JP7298374B2 - ポリエステル系樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
また、ポリエステル系樹脂は、コーティング剤組成物やプライマー組成物、粘着剤組成物、接着剤組成物等といった組成物として使用されており、特にこの組成物をポリエステルフィルム上に塗工した場合、ポリエステルフィルムとの密着性の点で有用である。
かかる場合には、一般的なポリエステル系樹脂の主鎖や側鎖に更に機能性の構造部位を導入することが考えられる。
例えば、カルボキシ基を有するポリエステル系樹脂にグリシジル基を有するアクリル系モノマーを反応させることにより、エチレン性不飽和基の構造部位をポリエステル系樹脂に導入することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、導入される構造部位が機能性の構造部位、例えば、エチレン性不飽和基を有する場合には、とりわけ、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材の上にコーティング層、特にはプリズム層を設けるためのプライマー組成物を形成するポリエステル系樹脂として好適に用いることができる。
本発明において、「カルボン酸」との用語は、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等を含むものである。
そして、本発明において、「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
更に、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートを意味する。
以下、本発明のポリエステル系樹脂の製造方法に用いられる(A)~(C)成分について順を追って説明する。
上記ポリエステル系樹脂(A)は、通常、構成原料として、多価カルボン酸(a1)およびポリオール(a2)を含む共重合成分を共重合することにより得られる。そして、上記ポリエステル系樹脂(A)は、水酸基価が10mgKOH/g以下であり、側鎖にカルボキシ基を有する。このような側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸(a1)としてカルボン酸無水物構造を有する多価カルボン酸無水物(以下、単に「多価カルボン酸無水物」と称することがある)を用いることにより得られる。
上記ポリエステル系樹脂(A)の構成原料として用いられる多価カルボン酸(a1)としては、例えば、二価カルボン酸、三価以上の多価カルボン酸等が挙げられる。なかでも、ポリエステル系樹脂(A)の主鎖を構成する多価カルボン酸(a1)としては、二価カルボン酸が好ましい。
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸、1,9-ノナンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4’-オキシジ安息香酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;
1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;
等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができ、所望する物性に合わせて、適宜選択される。
ここで、「主成分」とは、多価カルボン酸(a1)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上含有することを意味する。
上記三価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、アダマンタントリカルボン酸、トリメシン酸等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4-オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂環族多価カルボン酸無水物;
エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸無水物;
等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
ポリオール(a2)としては、例えば、二価アルコール、三価以上の多価アルコール等が挙げられる。
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の分岐構造を有する脂肪族ジオール;
1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4’-チオジフェノール、4,4’-メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、ビスフェノールフルオレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、o-,m-及びp-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ナフタレンジオール、p-キシレンジオール等の芳香族ジオール;
及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体;
等が挙げられる。
直鎖構造の脂肪族ジオール以外のポリオール成分が多すぎると、密着性が低下する傾向があり、少なすぎると水性液の安定性が低下する傾向がある。
ポリエステル系樹脂(A)は、ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価が10mgKOH/g以下となるように上記多価カルボン酸(a1)およびポリオール(a2)を適宜選択し、これらを共重合して得ることができる。なかでも多価カルボン酸無水物を除く多価カルボン酸(a1)とポリオール(a2)とを共重合して得られる水酸基含有プレポリマーに、多価カルボン酸無水物を反応させる方法により製造することが好ましい。
以下、ポリエステル系樹脂(A)の製造方法について詳述する。
上記ポリエステル系樹脂(A)は水酸基価が10mgKOH/g以下であることを特徴とするものである。このように水酸基価が小さいポリエステル系樹脂(A)を用いることにより、活性水素基含有化合物(B)との反応性に優れる。ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは8mgKOH/g以下、特に好ましくは5mgKOH/g以下、殊に好ましくは1mgKOH/g以下である。水酸基価は小さければ小さいほど好ましく、下限値は0mgKOH/gである。本発明において水酸基価は、JIS K0070に基づき中和滴定により求められるものである。
本発明の製造方法においては、活性水素基含有化合物(B)が有する活性水素基と上記ポリエステル系樹脂(A)のカルボキシ基とが反応することにより、活性水素基含有化合物(B)由来の構造部位がポリエステル系樹脂の側鎖に導入される。
上記活性水素基としては、例えば、アミノ基、メルカプト基、水酸基等が挙げられ、なかでもアミノ基、メルカプト基、水酸基が好ましく、特にはアミノ基、水酸基が好ましく、更には水酸基が好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、単官能水酸基含有(メタ)アクリレート、多官能水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明のポリエステル系樹脂の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物(C)〔以下、単に「化合物(C)」と称する場合がある〕の存在下で行われるものである。
なお、化合物(C)は、反応によってその化合物由来の成分を含む中間体を生成するが、最終的に得られるポリエステル系樹脂には、化合物(C)の成分は含まれない。
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物(C)の存在下でポリエステル系樹脂(A)と活性水素基含有化合物(B)とを反応させるものである。
以下、本発明のポリエステル系樹脂の製造方法について詳述する。
上記第15族元素を有する塩基性化合物(D)を構成する第15族元素としては、例えば、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスが挙げられ、なかでも、窒素、リンが好ましく、特には窒素が好ましい。上記第15族元素を有する塩基性化合物(D)は、単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
また、窒素元素を有する塩基性化合物としては、触媒活性が高く、高収率で所望の構造部位が導入されたポリエステル系樹脂が得られることからアミン系化合物が好ましい。
メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族一級アミン系化合物;
ジメチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族二級アミン系化合物;
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジメチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール等の脂肪族三級アミン系化合物;
等が挙げられる。
上記マグネシウム化合物(E)としては、例えば、マグネシウムの、酸化物、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸アンモニウム塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、ハロゲン化水素酸塩等の無機酸との塩;カルボン酸塩、過カルボン酸塩、スルホン酸塩等の有機酸との塩;アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、シクロペンタジエン塩等の錯塩等が挙げられる。これらのマグネシウムの塩は、水和物および無水物のいずれでもよい。そのなかでも、マグネシウムの、酸化物、水酸化物塩、炭酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、硝酸塩、ハロゲン化水素酸塩、カルボン酸塩、および錯塩が好ましい。
上記アルカリ金属化合物(F)としては、例えば、アルカリ金属の、水素化塩、酸化物、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、ハロゲン化水素酸塩、チオシアン酸塩等の無機酸との塩;アルコキシド塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の有機酸との塩;アミド塩、スルホンアミド塩等の有機塩基との塩;アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、シクロペンタジエン塩等の錯塩等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩は、水和物および無水物のいずれでもよい。また、これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。そのなかでも、アルカリ金属の、酸化物、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ハロゲン化水素酸塩、カルボン酸塩、アミド塩、および錯塩が好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂の側鎖に下記一般式(2)で表される構造部位を有するものである。
上記Rは、側鎖のエステルの2番の酸素原子に隣接した2番目の炭素原子が水酸基を有しない有機基である。また、本発明の製造方法で得られるポリエステル系樹脂を、プライマー層(プライマー組成物)に用いる場合は、耐水性の点から、上記有機基にエポキシ基由来の水酸基を有しないことが好ましい。
上記不飽和基含有ポリエステル系樹脂は、活性水素基含有化合物(B)として、水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることで得られる。この不飽和基含有ポリエステル系樹脂を含む組成物は、基材とコーティング層とを密着させるためのプライマー層(プライマー組成物)として好適に用いることができる。
ポリエステル系樹脂においても、立体的及び空間的自由度が比較的高い状態にある。そのため、例えば、上記不飽和基含有ポリエステル系樹脂を、基材フィルムとコーティング層の間に設けるプライマー層を形成するためのプライマー組成物に用いる場合、不飽和基含有ポリエステル系樹脂の不飽和基は反応性基としてプライマー層の表面に偏析する。
不飽和基の含有量(mmol/g)=(P1m×P1n)/(P1mw×S1)・・・(I)
式(I)中、P1mは水酸基含有(メタ)アクリレートの重量(mg)、P1nは水酸基含有(メタ)アクリレートの1分子当たりの不飽和基数、P1mwは水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量(g/mol)、S1は不飽和基含有ポリエステル系樹脂の固形分重量(g)である。
また、不飽和基含有ポリエステル系樹脂の不飽和基の含有量は、NMRにより測定することもできる。
上記プライマー組成物は、不飽和基含有ポリエステル系樹脂を含むものであり、更に架橋剤を含有することが好ましい。
また、安定性の点からは官能基ブロックタイプのものが好ましく、「SU-268A」、「Trixene aqua BI220」等が好適である。
架橋剤の含有量が多すぎても少なすぎても、架橋不足により密着性、耐湿熱性が低下する傾向がある。
かかる含有量が低すぎると、コーティング層との反応点不足で充分な密着性が得られなくなる傾向があり、かかる含有量が多すぎると、プライマー組成物内で架橋反応が進むことで塗膜が硬くなり、密着性が低下する傾向がある。
不飽和基の含有量(mmol/g)=(P2m×P2n)/(P2mw×S2)・・・(II)
式(II)中、P2mは水酸基含有(メタ)アクリレートの重量(mg)、P2nは水酸基含有(メタ)アクリレートの1分子当たりの不飽和基数、P2mwは水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量(g/mol)、S2はプライマー組成物の固形分総重量(g)である。
上記水性液の調製は、不飽和基含有ポリエステル系樹脂またはプライマー組成物、および水性溶媒を適宜混合して行うことができ、例えば、(1)プライマー組成物を調製した後、水性溶媒を混合して水性液とする方法、(2)不飽和基含有ポリエステル系樹脂および架橋剤のそれぞれを水性溶媒で水性液としておき、これらを混合し水性液とする方法、(3)不飽和基含有ポリエステル系樹脂および架橋剤のいずれかを水性溶媒で水性液としておき、更に残りの成分を混合し水性液とする方法等が挙げられるが、調製が容易な点で上記(2)の方法が好ましい。
これら界面活性剤のなかから選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
なお、コーティング層とプライマー層の密着性およびプライマー層の耐水性の点からは、界面活性剤を添加しない方が好ましい。
上記の水性液を基材フィルムに塗布し、加熱乾燥することにより、プライマー組成物中の不飽和基含有ポリエステル系樹脂が架橋剤により架橋されてなる被膜(プライマー層)を形成して、プライマー層付き基材フィルムを得ることができる。
なかでも、透明性、耐薬品性、耐熱性、機械的強度およびコスト等の点からポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。
上記ポリエステル系フィルムは、未延伸のものと、延伸したもののいずれでもよいが、延伸フィルムを用いることが好ましく、特に二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
また、ポリエステル系樹脂に関する各物性値の測定方法は次のとおりである。
ガラス転移温度は示差走査熱量計を用いて測定することにより求めた。なお、測定条件は、測定温度範囲-90~100℃、温度上昇速度10℃/分である。
水酸基価(mgKOH/g)は、ポリエステル系樹脂1gをトルエン/ピリジン 5/5(重量比)の混合溶媒30gに溶解させ、JIS K0070に基づき中和滴定により求めた。
酸価(mgKOH/g)は、ポリエステル系樹脂1gをメチルエチルケトン/水=10/1(重量比)の混合溶媒30gに溶解し、室温(23℃)で1時間撹拌後、JIS K0070に基づき中和滴定により求めた。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂の酸価とは、樹脂中におけるカルボキシ基の含有量に起因するものである。
ピークトップ分子量および重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、「HLC-8320GPC」)にてカラム(TSKgel SuperMultipore HZ-M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm)を2本直列にして用いて測定し、標準ポリスチレン分子量換算により求めた。
不飽和基の含有量(mmol/g)は、下記式(Ia)により求めた。
不飽和基の含有量(mmol/g)=P1’m/(P1’mw×S1’)・・・(Ia)
式(Ia)中、P1’mはPEGMAの重量(mg)、P1’mwはPEGMAの平均分子量(g/mol)(水酸基価より算出)、S1’は得られた不飽和基含有ポリエステル系樹脂の固形分重量(g)である。なお、上記PEGMAとは、「反応に用いたポリエチレングリコールモノアクリレート」を意味する。
〔側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂(A-1)の製造〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)288.4部(1.736mol)、ポリオール成分としてジエチレングリコール(DEG)156.6部(1.476mol)、ネオペンチルグリコール(NPG)63.3部(0.608mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が270℃となるまで150分かけて昇温し、270℃で2.5時間エステル化反応を行った。
次いで、内温を170℃まで下げ、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物91.7部(0.347mol)を添加し170℃で1時間付加反応を行い、側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂(A-1)(水酸基価:2.2mgKOH/g)を得た。
そして、前記測定方法に従い測定したポリエステル系樹脂(A-1)の物性値を、後記表1に示す。
〔側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂(A-2)の製造〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)320.1部(1.927mol)、ポリオール成分としてジエチレングリコール(DEG)173.8部(1.638mol)、ネオペンチルグリコール(NPG)50.2部(0.0.482mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が270℃となるまで150分かけて昇温し、270℃で2.5時間エステル化反応を行った。
次いで、内温を80℃まで下げながらメチルエチルケトン532.2部を投入し、樹脂が完全に溶解したところで、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物56.0部(0.212mol)、触媒としてトリエチルアミン2.7部を添加し80℃で3時間付加反応を行い、側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂(A-2)(水酸基価:0.2mgKOH/g)の固形分50%溶液を得た。
そして、前記測定方法に従い測定したポリエステル系樹脂(A-2)の物性値を、下記表1に示す。
〔不飽和基含有ポリエステル系樹脂1の製造〕
上記で得られたポリエステル系樹脂(A-1)100部をメチルエチルケトン100部で溶解後、ポリエチレングリコールモノアクリレート1(PEGMA1、水酸基価より算出した平均分子量:540)39.7部、二炭酸ジ-t-ブチル17.5部(PEGMA1の水酸基に対して1.09当量)、メチルエチルケトン11.4部、触媒として水酸価マグネシウム(II)0.005部(PEGMA1の水酸基に対して0.1mol%)、水酸化リチウム0.012部(PEGMA1の水酸基に対して0.4mol%)、トリエチルアミン1.4部を反応器に仕込み、80℃で3時間反応を行った。得られた反応混合物の分子量測定を、前述のGPCを用いて行ったところ、後記表2に示す通り、ポリエステル系樹脂(A-1)に対して分子量が増加しており、不飽和基導入反応が進行していることが確認された。また、不飽和基含有ポリエステル系樹脂1の酸価は35.6mgKOH/gであり、不飽和基含有量は0.53mmol/gであった。
〔不飽和基含有ポリエステル系樹脂2の製造〕
上記で得られた固形分50%のポリエステル系樹脂(A-2)溶液200部(固形分100部)、ポリエチレングリコールモノアクリレート2(PEGMA2、水酸基価より算出した平均分子量:163.1)8.69部、二炭酸ジ-t-ブチル11.63部(PEGMA2の水酸基に対して1.0当量)、メチルエチルケトン54部、触媒としてビス(2,4-ペンタンジオナト)マグネシウム(II)0.06部(PEGMA2の水酸基に対して0.5mol%)、水酸化リチウム0.01部(PEGMA2の水酸基に対して0.5mol%)、トリエチルアミン1.1部を反応器に仕込み、70℃で18時間反応を行った。次いで、二炭酸ジ-t-ブチル2.3部(PEGMAの水酸基に対して0.2当量)を追加し、さらに70℃で18時間反応を行った。得られた反応混合物の分子量測定を、前述のGPCを用いて行ったところ、下記表2に示す通り、ポリエステル系樹脂(A-2)に対して分子量が増加しており、不飽和基導入反応が進行していることが確認された。また、不飽和基含有ポリエステル系樹脂2の酸価は22.3mgKOH/gであり、不飽和基含有量は0.49mmol/gであった。
上記で得られた固形分40%の不飽和基含有ポリエステル系樹脂2溶液37.5部、脱イオン水62.05部、25%アンモニア水0.45部を反応器に仕込み、室温で撹拌しながら水分散させ、固形分濃度15%の不飽和基含有ポリエステル系樹脂2水性液(水分散体)を調製した。
上記で得られた不飽和基含有ポリエステル系樹脂2水性液(水分散体)とブロックイソシアネート系架橋剤「Trixene Aqua BI220」(Lanxess Chemicals Limited社製)、硬化触媒「エラストロンCAT-21」(第一工業製薬社製)を、後記表3に示すように、固形分重量比が、不飽和基含有ポリエステル系樹脂2:架橋剤:硬化触媒=70:30:1となるように混合し、室温で1時間撹拌することにより、プライマー組成物を調製した。
得られたプライマー組成物について、以下の評価を行った。
上記で得られたプライマー組成物を固形分が3%となるように脱イオン水で希釈し、プライマー組成物の塗液を調製した。調製した塗液をPETフィルム「ルミラーT60」(東レ社製、厚み100μm)上にバーコーターNo.6にて塗布し、150℃で3分間乾燥させることで、プライマー層を形成した。
(初期密着性)
次に、プリズム層形成用の無溶剤型紫外線硬化型樹脂組成物「サンラッドA」(三洋化成工業社製)を上記プライマー層の上にアプリケーターを用いて塗布し、続いて塗布面から13cmの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する高圧水銀ランプを用いて紫外線を400mJ/cm2で照射することで紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させ、厚み25μmの樹脂層を形成した。
(残存個数/測定個数)
◎:95/100以上
○:80/100以上、94/100以下
△:51/100以上、79/100以下
×:50/100以下
上記と同様にして得られたサンラッドAの硬化樹脂層を有する積層フィルムを、85℃、85%RHの環境下で96時間静置した後、23℃、50%RHの環境下で1時間静置し、上記と同様の手法で密着性評価を行った。
(初期密着性)
プリズム層形成用の無溶剤型紫外線硬化型樹脂組成物を「BTW-607-1」(東莞貝特利新材料有限公司社製)に変えたこと以外は初期密着性評価1と同様にして評価を行い、上記と同様の手法で密着性評価を行った。
上記と同様にして得られたBTW-607-1の硬化樹脂層を有する積層フィルムを、85℃、85%RHの環境下で96時間静置した後、23℃、50%RHの環境下で1時間静置し、上記と同様の手法で密着性評価を行った。
これらの評価結果を下記表3に併せて示す。
Claims (11)
- 上記ポリエステル系樹脂(A)と活性水素基含有化合物(B)を、上記一般式(1)で表される化合物(C)の存在下で反応させる際、さらに、第15族元素を有する塩基性化合物(D)を共存させることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記ポリエステル系樹脂(A)と上記活性水素基含有化合物(B)を、上記一般式(1)で表される化合物(C)の存在下で反応させる際、さらに、1種以上のマグネシウム化合物(E)を共存させることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記ポリエステル系樹脂(A)と上記活性水素基含有化合物(B)を、上記一般式(1)で表される化合物(C)の存在下で反応させる際、さらに、1種以上のアルカリ金属化合物(F)を共存させることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記活性水素基含有化合物(B)が活性水素基含有(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記一般式(1)で表される化合物(C)が二炭酸ジ-t-ブチルであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記アルカリ金属化合物(F)を構成するアルカリ金属がリチウムであることを特徴とする請求項4記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記活性水素基含有化合物(B)が有する活性水素基に対して、上記一般式(1)で表される化合物(C)を0.8~5当量の存在下で反応させることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、上記第15族元素を有する塩基性化合物(D)を0.05~20重量部共存させることを特徴とする請求項2記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記活性水素基含有化合物(B)が有する活性水素基に対して、上記マグネシウム化合物(E)を0.001~1000mol%共存させることを特徴とする請求項3記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
- 上記活性水素基含有化合物(B)が有する活性水素基に対して、上記アルカリ金属化合物(F)を0.001~1000mol%共存させることを特徴とする請求項4または7記載のポリエステル系樹脂の製造方法。
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