JP7088324B2 - プライマー組成物及びこれを用いてなる水性液、プライマー層付き基材フィルム並びにプリズムシート - Google Patents

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Description

本発明は、プライマー組成物に関し、更に詳しくは、基材フィルムとコーティング層の双方との密着性に優れたプライマー層を形成することができるプライマー組成物、該プライマー組成物を用いてなる水性液、プライマー層付き基材フィルム並びにプリズムシートに関するものである。
従来から、合成樹脂は寸法安定性、機械的特性、耐熱性、透明性、電気的特性及び耐薬品性などに優れた性質を有するため各種基材用樹脂として広く用いられている。例えば、ポリエステルフィルムは、包装材料、磁気カード、印刷材料等の産業上種々の分野で利用されており、前記ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性ポリエステルやこれらの共重合体に、必要に応じて他の樹脂を混合したものを、溶融押出して成形した後、二軸延伸し、熱固定したものが用いられている。このようなポリエステルフィルムは、諸物性に優れている反面、その表面は高度に結晶配向されているため、フィルム上に設けられるコーティング層との密着性に乏しいという問題があった。
そのため、ポリエステルフィルムとコーティング層との密着性を向上させるために、フィルム表面に密着性を付与する検討がなされており、例えば、フィルム表面に易接着処理を施したり、各種樹脂からなるプライマー層を設けたりする方法が知られている。
しかしながら、近年、コーティング層を形成するコーティング剤等の組成は多様化しており、その種類によってはプライマー層とコーティング層との密着性が十分でない場合があり、密着性のさらなる向上が求められている。
例えば、コーティング層の一つとしてプリズム層がある。プリズム層の形成方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をプリズム型に導入し、プリズム型とポリエステルフィルムとで活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟み込んだ状態で活性エネルギー線を照射し、樹脂組成物を硬化させ、プリズム型を取り除くことにより、ポリエステルフィルム上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層を形成する方法が挙げられる。このような手法の場合、プリズムパターンが精巧に形成されるためには、無溶剤系の活性エネルギー線硬化性樹脂を使用する必要がある。しかし、無溶剤系の樹脂は、溶剤系に比べて、ポリエステルフィルム上に積層されたプライマー層への浸透、膨潤効果が低く、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなる層とプライマー層との密着性が不十分となりやすい。
そこで特許文献1には、フィルムの少なくとも片面に、(メタ)アクリロイル基を含有する樹脂とウレタン樹脂とからなる複合樹脂、及び架橋剤を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層フィルムが開示され、該技術によれば、プリズム層の形成に用いられる、無溶剤型活性エネルギー線硬化性樹脂との密着性に優れるとされている。
特開2016-64517号公報
しかしながら、近年、プリズム層の形成に用いられる無溶剤型活性エネルギー線硬化性樹脂の組成は多様化しており、上記特許文献1により提案されたプライマー組成物等においても密着性が必ずしも十分ではなくなってきている。
そこで、本発明は、このような背景下において、基材フィルムとコーティング層の双方、特にはポリエステルフィルムと無溶剤系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層の双方との密着性に優れるプライマー層を形成するためのプライマー組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル系樹脂を含有するプライマー組成物において、さらにポリウレタン樹脂と架橋剤を必須成分として含有させ、かつ、酸価が特定量以上であるポリエステル系樹脂を用いることにより、基材フィルムとコーティング層、とりわけ、無溶剤系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層の双方との密着性に優れるプライマー層を形成するプライマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)~(10)を特徴とする。
(1)ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)及び架橋剤(C)を含有し、前記ポリエステル系樹脂(A)は、酸価が10mgKOH/g以上であり、かつ数平均分子量が1,500以上であることを特徴とするプライマー組成物。
(2)前記架橋剤(C)が、カルボジイミド系化合物及びイソシアネート系化合物のうちの少なくとも一方であることを特徴とする前記(1)に記載のプライマー組成物。
(3)前記イソシアネート系化合物が、塩基性化合物により中和可能な酸性基及びアニオン性基のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする前記(2)に記載のプライマー組成物。
(4)前記ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対する前記ポリウレタン樹脂(B)の含有量が、25~2500質量部であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のプライマー組成物。
(5)前記ポリウレタン樹脂(B)の破断伸度が100%以上であることを特徴とする前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のプライマー組成物。
(6)前記ポリウレタン樹脂(B)が、塩基性化合物により中和可能な酸性基及びアニオン性基のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする前記(1)~(5)のいずれか1つに記載のプライマー組成物。
(7)前記(1)~(6)のいずれか1つに記載のプライマー組成物が、水性溶媒に溶解又は分散されてなることを特徴とする水性液。
(8)基材フィルム上に、前記(1)~(6)のいずれか1つに記載のプライマー組成物からなるプライマー層を有することを特徴とするプライマー層付き基材フィルム。
(9)前記(8)に記載のプライマー層付き基材フィルムのプライマー層上に、プリズム層を有することを特徴とするプリズムシート。
(10)前記プリズム層が、無溶剤系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする前記(9)に記載のプリズムシート。
本発明のプライマー組成物は、ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)及び架橋剤(C)を含有し、前記ポリエステル系樹脂(A)の酸価が10mgKOH/g以上であり、かつその数平均分子量が1,500以上であることを特徴としているので、基材フィルムとコーティング層の双方との密着性に優れるものであり、特にはポリエステルフィルムと、例えばプリズム層の形成に用いられる無溶剤系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなる層との密着性に優れる。
そのため、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材の上にコーティング層、特にはプリズム層を設けるためのプライマーとして非常に有用である。
以下本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、「カルボン酸」との用語は、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステルなどを含むものである。
また、本発明において「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
<プライマー組成物>
本発明のプライマー組成物は、ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)及び架橋剤(C)を含有するものである。
<ポリエステル系樹脂(A)>
本発明のプライマー組成物に含有されるポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸成分(a1)とポリオール成分(a2)を共重合して得ることができる。
〔多価カルボン酸成分(a1)〕
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(a1)は、二価以上の多価カルボン酸であればよく、少なくとも二価カルボン酸を含むことが好ましい。
二価カルボン酸としては、例えば、
テレフタル酸、イソフタル酸、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4′-オキシジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム等の芳香族ジカルボン酸;
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;
等が挙げられる。
これらは、単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。
これらの中でも、プライマー組成物から形成したプライマー層のコーティング層との密着性、水性溶媒に溶解又は分散した際の水性液の安定性の点で、芳香族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸のうちの少なくとも1つを主成分として用いることが好ましく、特には密着性に優れる点から、芳香族ジカルボン酸を主成分として用いることが好ましく、更にはイソフタル酸を主成分として用いることが好ましい。
ここで、主成分とは、多価カルボン酸成分(a1)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上含有することを意味する。
二価カルボン酸の含有割合は、多価カルボン酸成分(a1)全体に対して、60~97モル%であることが好ましく、特には65~95モル%、更には70~93モル%、殊には75~90モル%であることが好ましい。かかる含有割合が低すぎると、耐水性が低下したり、製造工程中にゲル化したりする傾向があり、高すぎると、水分散化が困難となる傾向がある。
本発明においては、ポリエステル系樹脂中に分岐点を増やす目的で、三価以上の多価カルボン酸を用いることができる。三価以上の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、アダマンタントリカルボン酸、トリメシン酸等を挙げることができる。
本発明においては、鎖延長剤としての機能、親水性付与剤としての機能、及びポリエステル系樹脂中に後述の架橋剤との反応点を形成する機能を有する点で、多価カルボン酸成分(a1)として、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(a11)(以下、「カルボン酸無水物(a11)」と記載することがある。)を含有することが好ましい。
かかるカルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(a11)としては、少なくとも2つのカルボン酸無水物構造を有するものであればよい。
カルボン酸無水物(a11)の具体例としては、例えば、
1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4-オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2′,3,3′-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物等の芳香族カルボン酸無水物;
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂環族カルボン酸無水物;
エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族カルボン酸無水物;等が挙げられる。
これらは単独で、もしくは2種以上を併せて用いることができる。
これらの中でも、樹脂製造時にゲル化を招きにくい点から、テトラカルボン酸二無水物が好ましく、中でも、コーティング層とプライマー層の密着性の点から芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、更には1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)が好ましい。
多価カルボン酸成分(a1)におけるカルボン酸無水物(a11)の含有割合は、多価カルボン酸成分(a1)全体に対して、3~40モル%であることが好ましく、特には5~35モル%、更には7~30モル%、殊には10~25モル%であることが好ましい。かかる含有割合が低すぎると、生成されたポリエステル系樹脂を水性溶媒に分散させる際の水分散化が困難となったり、架橋剤との架橋点が不足し密着性、耐水性が低下する傾向がある。含有割合が高すぎると、製造工程中にゲル化したり、親水性が高くなるため耐水性が低下したり、架橋剤配合時に架橋密度が高くなりすぎるためコーティング層との密着性が低下する傾向がある。
〔ポリオール成分(a2)〕
ポリオール成分(a2)としては、例えば、直鎖構造の脂肪族ジオール、その他の二価アルコール、三価以上の多価アルコール等が挙げられる。
直鎖構造の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
その他の二価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の分岐構造を有する脂肪族ジオール;
1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4′-チオジフェノール、4,4′-メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、ビスフェノールフルオレン、4,4′-ジヒドロキシビフェニル、o-,m-及びp-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ナフタレンジオール、p-キシレンジオール等の芳香族ジオール;
及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体;
等が挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6-ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
これらの中でも、コーティング層とプライマー層の密着性の点で、直鎖構造の脂肪族ジオールを用いることが好ましく、さらには、適度な柔軟性を有し密着性に優れる点で、エチレングリコールを除く直鎖構造の脂肪族ジオールを用いることが好ましく、特には、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールを用いることが好ましく、殊に、樹脂の結晶化度が下がり、より密着性に優れる点でジエチレングリコール及び1,5-ペンタンジオールを用いることが好ましい。
また、水性溶媒に溶解又は分散した際の水性液の安定性の点からは直鎖構造の脂肪族ジオールとそれ以外のポリオール成分を併用することが好ましく、さらには、コーティング層とプライマー層の密着性の点から、直鎖構造の脂肪族ジオールと分岐構造を有する脂肪族ポリオールを併用することが好ましく、特に、分岐構造を有する脂肪族ポリオールとして、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールを用いることが好ましく、殊にネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。
直鎖構造の脂肪族ジオールとそれ以外のポリオール成分を併用する場合、直鎖構造の脂肪族ジオールとそれ以外のポリオール成分の使用割合(モル比)は、直鎖構造の脂肪族ジオール/それ以外のポリオール成分として、98/2~50/50が好ましく、95/5~60/40がさらに好ましく、90/10~70/30が特に好ましい。
直鎖構造の脂肪族ジオール以外のポリオール成分が多すぎると、密着性が低下する傾向があり、少なすぎると水性液の安定性が低下する傾向がある。
〔ポリエステル系樹脂(A)の製造方法〕
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(A)は、上記多価カルボン酸成分(a1)及びポリオール成分(a2)を含む共重合成分を共重合して得ることができ、例えば、カルボン酸無水物(a11)を除く多価カルボン酸成分(a1)、ポリオール成分(a2)を共重合して得られる水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物(a11)で鎖延長させる方法により製造することができる。
まず、所定量の、カルボン酸無水物(a11)を除く多価カルボン酸成分(a1)、ポリオール成分(a2)を無溶媒で混合する。このとき、カルボン酸無水物(a11)を除く多価カルボン酸成分(a1)とポリオール成分(a2)との混合比率(モル比)は、多価カルボン酸成分(a1)1モルに対してポリオール成分(a2)を1.05~1.65モルとすることが好ましく、更には1.08~1.50モル、特には1.10~1.30モルとすることが好ましい。
この混合物を適宜の反応器に仕込み、通常170~260℃に加熱することにより、副生成物である水又はメタノールを留去しながら、エステル化反応又はエステル交換反応を進行させて、水酸基含有プレポリマーを生成する。
更に、上記水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物(a11)を用いた開環付加反応によって鎖延長させることにより、ポリエステル系樹脂(A)を得ることができる。
中でも、上述のように、コーティング層とプライマー層の密着性の点からカルボン酸無水物(a11)として芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、更には1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)が好ましい。
上記水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物(a11)で鎖延長させるに際して、通常230℃以下、好ましくは150~210℃、特に好ましくは165~200℃で反応させることができる。したがって、上記反応に際して溶剤は必ずしも必要ではないが、そのような温度における反応物の粘度が高過ぎる場合には、撹拌し易くするために適宜適当な溶剤を使用することができる。
かかる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、プソイドクメン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等が挙げられる。なお、エステル系溶剤及びアルコール系溶剤など、ポリエステル系樹脂と反応する恐れのある溶剤は使用しないことが好ましい。
上記の反応に際しては、適宜、エステル化触媒、エステル交換触媒、その他重合触媒等を配合することができ、例えば、エステル化触媒としてテトラブトキシチタンを用いることができる。また、その他の安定剤等の種々の添加剤を用いてもよい。
かくして、上述の方法により本発明のポリエステル系樹脂(A)が得られる。
本発明において、上記ポリエステル系樹脂(A)は、カルボキシル基を有することが必要であり、側鎖にカルボキシル基を含有することが特に好ましく、側鎖にピロメリット酸由来のカルボキシル基を有することが更に好ましい。
このようにして得られるポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量は、1,500以上が必要であり、好ましくは2,500~25,000であり、より好ましくは3,000~18,000であり、さらに好ましくは3,500~12,000である。ポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量が小さすぎると、耐水性や密着性が低下することとなる。なお、数平均分子量が大きすぎると、水分散化が困難となったり、他樹脂との相溶性や密着性が低下することとなる。
また、ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは4,000~50,000、さらに好ましくは5,000~40,000、特に好ましくは7,000~30,000である。ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量が大きすぎると、水分散化が困難となったり、他樹脂との相溶性や密着性が低下する傾向があり、小さすぎると、耐水性や密着性が低下する傾向がある。
なお、上記の数平均分子量及び重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による数平均分子量及び重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC-8320GPC」)に、カラム:TSKgel SuperMultipore HZ-M(排除限界分子量:2×10、理論段数:16,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm)の2本直列を用いることにより測定されるものである。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-30~70℃であり、特に好ましくは0~60℃であり、更に好ましくは30~55℃である。ガラス転移温度が高すぎると、密着性が低下する傾向があり、ガラス転移温度が低すぎると、耐ブロッキング性が低下したり、密着性が低下する傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定されるものである。
本発明における酸価とは、ポリエステル系樹脂(A)中におけるカルボキシル基の含有量を意味するものである。なお、本発明で言うカルボキシル基とは、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されたカルボキシラートイオン状態のものも含む。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(A)の酸価は、10mgKOH/g以上であることが必要であり、好ましくは20~150mgKOH/gであり、特に好ましくは30~120mgKOH/gであり、更に好ましくは40~100mgKOH/gであり、殊に好ましくは50~80mgKOH/gである。酸価が低すぎると、密着性が低下して本発明の効果を得ることができない。なお、かかる酸価が高すぎると耐水性が低下したり、ポリエステル系樹脂(A)の製造中に樹脂がゲル化したり、部分ゲル化に伴い密着性が低下したりする傾向がある。
なお、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価はJIS K0070に基づき中和滴定により求められるものである。
<ポリウレタン樹脂(B)>
本発明のプライマー組成物に含有されるポリウレタン樹脂(B)は、公知のウレタン樹脂を使用することができる。通常ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート(b1)とポリオール(b2)との反応により調製される。
〔ポリイソシアネート(b1)〕
ポリイソシアネート(b1)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。これらの中でも、黄変性を考慮すると、芳香族イソシアネート以外を用いることが好ましい。
〔ポリオール(b2)〕
ポリオール(b2)としては、例えば、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。上記の中でも、コーティング層とプライマー層の密着性の観点から、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類が好ましく、特にポリエーテルポリオール類が好ましい。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸等)又はそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。
カーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネートポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(B)を合成する際に鎖延長剤を使用してもよく、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基又はアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。
また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(B)は、水分散性のポリウレタン樹脂であり、溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。
ポリウレタン樹脂(B)を水に分散又は溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ポリウレタン樹脂(B)中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ポリウレタン樹脂(B)の構造中に塩基性化合物により中和可能な酸性基及びアニオン性基のうちの少なくとも1つを導入した自己乳化タイプが、ポリウレタン樹脂水性液の貯蔵安定性や、プライマー層の耐水性、透明性、コーティング層に対する密着性に優れる点から好ましい。
また、導入する酸性基及び/又はアニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸等、種々のものが挙げられるが、本発明のポリウレタン樹脂(B)は密着性の点でカルボキシル基を有することが好ましい。
ポリウレタン樹脂(B)にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。
例えば、ポリウレタン樹脂(B)の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。
また、このカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが、水性化の点から好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。
かかるポリウレタン樹脂(B)は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、プライマー層の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
ポリウレタン樹脂(B)の酸価は、好ましくは4mgKOH/g以上であり、特に好ましくは10~60mgKOH/gであり、更に好ましくは15~40mgKOH/gである。ポリウレタン樹脂(B)の酸価が4mgKOH/g以上であることにより、コーティング層との密着性に優れるという点で有利である。
なお、上記ポリウレタン樹脂(B)の酸価はJIS K0070に基づき中和滴定により求められるものである。
ポリウレタン樹脂(B)は、コーティング層とプライマー層の密着性が向上するという観点から、破断伸度が100%以上であることが好ましく、300%以上がより好ましく、400%以上が更に好ましい。なお、上限については通常1,000%である。
なお、破断伸度は、JIS K7161に基づいた乾燥被膜の引張試験により測定することができる。
ポリウレタン樹脂(B)は、市販品を利用することができ、例えば、三洋化成工業社製「パーマリンUA-200」、「ユーコートUS-230」、第一工業製薬社製「スーパーフレックス300」、「スーパーフレックス500M」、DIC社製「ハイドランAP-201」等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(B)の含有量は、本発明のプライマー組成物の固形分全体に対して、10~90質量%であることが好ましく、25~85質量%がより好ましく、40~82質量%がさらに好ましく、45~80質量%が特に好ましい。
ポリウレタン樹脂(B)の含有量が多すぎると、コーティング層とプライマー層の密着性が低下する傾向があり、少なすぎても密着性が低下する傾向がある。
本発明のプライマー組成物において、ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対するポリウレタン樹脂(B)の含有量は、25~2500質量部であるのが好ましく、50~2000質量部がより好ましく、100~1000質量部が更に好ましく、200~600質量部が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対するポリウレタン樹脂(B)の含有量が多すぎると、コーティング層とプライマー層の密着性が低下する傾向があり、ポリウレタン樹脂(B)が少なすぎても同様に密着性が低下する傾向がある。
<架橋剤(C)>
本発明に使用される架橋剤(C)としては、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる官能基と反応性を有する官能基を含有する化合物であればよく、例えば、ポリエステル系樹脂(A)中のカルボキシル基と反応性を有する官能基を含有する化合物が用いられる。
上記架橋剤(C)としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物、金属系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物(エポキシ系化合物)としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-611」、「デナコールEX-612」、「デナコールEX-614」、「デナコールEX-614B」、「デナコールEX-622」等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-512」、「デナコールEX-521」等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-411」等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-421」等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-313」、「デナコールEX-314」等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-321」等)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-201」等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-211」等)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-212」等)、ヒドロゲネイティッドビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-252」等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-810」、「デナコールEX-811」等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-850」、「デナコールEX-851」等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-821」、「デナコールEX-830」、「デナコールEX-832」、「デナコールEX-841」、「デナコールEX-861」等)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-911」等)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX-941」、「デナコールEX-920」、「デナコールEX-931」等が挙げられる。中でも、水性タイプのものが好適であり、特に、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの2官能で直鎖構造のものがコーティング層とプライマー層の密着性の点から好適である。
オキサゾリン基を有する化合物(オキサゾリン系化合物)としては、例えば、2位の炭素位置に不飽和炭素-炭素結合をもつ置換基を有する付加重合性2-オキサゾリン(例えば、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン)と他の不飽和単量体との共重合体等が挙げられ、市販品として、日本触媒社製の「エポクロスWS-500」、「エポクロスWS-700」、「エポクロスK-2010E」、「エポクロスK-2020E」、「エポクロスK-2030E」等が挙げられる。
カルボジイミド基を有する化合物(カルボジイミド系化合物)としては、官能基としてカルボジイミド基、又はその互変異性の関係にあるシアナミド基を分子内に少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02」、「カルボジライトV-02-L2」、「カルボジライトSV-02」、「カルボジライトV-04」、「カルボジライトV-10」、「カルボジライトE-03A」、「カルボジライトE-02」、「カルボジライトE-04」等が挙げられる。中でも、コーティング層とプライマー層の密着性の点から、キシリレン骨格、トリレン骨格、ジフェニルメタン骨格、テトラメチルキシリレン骨格等の芳香族基を有するものが好ましく、特には「カルボジライトV-04」、「カルボジライトE-04」等が好適である。
アミノ基を有する化合物(アミノ系化合物)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物(イソシアネート系化合物)としては、官能基としてイソシアネート基を分子内に少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば、日本ポリウレタン社製の「アクアネート110」、「アクアネート210」、第一工業製薬社製の「エラストロンBN-27」、「エラストロンBN-77」、明成化学工業社製の「メイカネートTP-10」、「SU-268A」等が挙げられる。
中でも、コーティング層とプライマー層の密着性の点から塩基性化合物により中和可能な酸性基及び/又はアニオン性基を有するイソシアネート系化合物が好ましく、特にはカルボキシル基を有するイソシアネート系化合物が好ましい。なお、本発明で言う「酸性基及び/又はアニオン性基」とは、カルボキシル基を例に取ると、含有されるカルボキシル基は、イソシアネート系化合物が固体のときは酸性基の形態であり、イソシアネート系化合物が溶解し液体となったときはアニオン性基の形態であるため、これらを含めるものであることを意味している。同じく密着性の点から、キシリレン骨格、トリレン骨格、ジフェニルメタン骨格、テトラメチルキシリレン骨格等の芳香族基を有するものが好ましい。また、安定性の点からは官能基ブロックタイプのものが好ましく、「エラストロンBN-77」、「エラストロンBN-27」等が好適である。
金属系化合物としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプロピオネート等の金属アルコキシドや、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル、エチレンジアミン四酢酸配位化合物の金属キレート化合物等や、酢酸-アンモニウム錯塩、アンモニウム-カーボネート錯塩等が挙げられる。
アジリジン系化合物としては、アジリジン基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば、日本触媒社製の「ケミタイトPZ-33」、「ケミタイトDZ-22E」等が挙げられる。
メラミン系化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミンや、三和ケミカル社製の「ニカラックMW-30M」、「ニカラックMW-30」、「ニカラックMW-22」、「ニカラックMS-11」、「ニカラックMS-011」、「ニカラックMX-730」、「ニカラックMX-750」、「ニカラックMX-706」、「ニカラックMX-035」等のメチル化メラミン樹脂、「ニカラックMX-45」、「ニカラックMX-410」等の混合エーテル化メラミン樹脂等が挙げられる。
架橋剤(C)としては、これらの中から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。
本発明において、コーティング層とプライマー層の密着性の点から、上記の中でも、カルボジイミド系化合物及びイソシアネート系化合物のうちの少なくとも一方を用いることが好ましく、これら化合物は芳香環を有するものが特に好ましく、芳香環とカルボジイミド基を有する化合物が更に好ましく、テトラメチルキシリレン骨格とカルボジイミド基を有する化合物が殊に好ましい。
特に、プライマー層の厚みはコストや透明性の点から薄い方が好ましいものの、厚みが薄いと密着性が低下する傾向にあるため、インラインコーティングによるナノオーダーの薄膜形成時等には上述の好ましい架橋剤の使用が特に有効である。
上記架橋剤(C)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)中に含まれる官能基の量、ポリエステル系樹脂(A)の分子量、用途目的により適宜選択できるが、プライマー組成物の固形分全体に対し、好ましくは2~50質量%であり、特に好ましくは4~45質量%であり、更に好ましくは7~40質量%である。
架橋剤(C)が多すぎると逆に架橋が起こらなくなり、コーティング層とプライマー層の密着性、プライマー層の耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると架橋不足となり密着性、耐水性が低下する傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)中の官能基(カルボキシル基)量と、上記架橋剤(C)中の官能基(例えば、カルボジイミド基、シアナミド基、イソシアネート基等)量とのモル比は、前者((A)及び(B))/後者(C)として、100/10~100/600が好ましく、100/20~100/450がより好ましく、100/30~100/300が更に好ましい。
架橋剤(C)の官能基量が多すぎると逆に架橋が起こらなくなり、コーティング層とプライマー層の密着性、プライマー層の耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると架橋不足となり密着性、耐水性が低下する傾向がある。
本発明のプライマー組成物には、上記各成分以外に、必要に応じて、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤、熱安定剤、ガラス繊維、無機・有機充填剤、色料、難燃剤、軟化剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤、ゲル化剤、消泡剤、他の熱可塑性樹脂等を、本発明の効果を損なわない程度に配合することができる。
<水性液>
本発明の水性液は、上記のプライマー組成物が水性溶媒に溶解又は分散されてなるものである。以下、水性溶媒に溶解又は分散させることを「水溶解又は水分散」と表記する。
本発明の水性液を調製するに際しては、上記のポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、架橋剤(C)及び水性溶媒を適宜混合して行うことができ、例えば、(1)ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、架橋剤(C)の各成分を混合した後、水性溶媒を混合して水性液とする方法、(2)ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、架橋剤(C)の各成分のそれぞれを水性溶媒で水性液としておき、これらを混合し水性液とする方法、(3)ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、架橋剤(C)の各成分のいずれかを水性溶媒で水性液としておき、更に残りの成分を混合し水性液とする方法等が挙げられるが、調製が容易な点で上記(2)の方法が好ましい。
上記水性溶媒としては、水又は水に適宜の親水性有機溶媒を混合したものを挙げることができる。前記親水性有機溶媒としては、例えば、アセトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等のグリコールエーテル類など、水と混合可能なものが挙げられる。特に、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、イソプロピルアルコールを用いることが好ましい。親水性有機溶媒を用いる場合には、その水性液の全体に対する割合は適宜設定される。例えば、20質量%以下の範囲と設定することができるが、これに限定されるものではない。また、これら水性溶媒の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、架橋剤(C)の水性液を調製する際には、水性媒体に均一に溶解または分散させるために中和剤を配合することが好ましく、かかる中和剤としては、プライマー組成物に含有されるポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)及び架橋剤(C)のカルボキシル基を中和することができるものであればよい。具体的には、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等の有機アミン;及びアンモニア等が挙げられる。これら中和剤の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
これら中和剤の中でも乾燥により揮散させやすく、得られる被膜の耐水性という点で、沸点が150℃以下のものであることが好ましい。特に、汎用性が高く、低沸点であり、乾燥時の揮散が容易な点から、アンモニア、トリエチルアミンが好ましく、アンモニアが特に好ましい。
また、この水性液には、必要に応じて、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を配合することができる。界面活性剤を配合することによって、水性液をポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材に塗布する際の基材フィルムへの濡れ性を向上させることができる。
界面活性剤としては適宜のものを用いることができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。これら界面活性剤の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
なお、コーティング層とプライマー層の密着性及びプライマー層の耐水性の点からは、界面活性剤を添加しない方が好ましい。
また、この水性液には、更に必要に応じて、耐電防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤等を配合してもよい。
この水性液の固形分の濃度は、ポリエステル系樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)の良好な分散性を確保することができるように適宜調整され、例えば、5~30質量%が好ましい。なお、塗布時は所望の膜厚を得るべく適宜希釈され、例えば固形分濃度を1~15質量%に調整し使用される。
上記の水性液を基材フィルムに塗布し、加熱乾燥することにより、プライマー組成物のポリエステル系樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)が架橋剤(C)により架橋されてなる被膜(プライマー層)を形成して、プライマー層付き基材フィルムを得ることができる。
上記基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルム又はシートから選択される単層体又は複層体があげられる。
なかでも、透明性、耐薬品性、耐熱性、機械的強度及びコスト等の点からポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
上記ポリエステルフィルムは、未延伸のものと、延伸したもののいずれでもよいが、延伸フィルムを用いることが好ましく、特に二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
水性液の塗布方法としては公知一般の方法を用いることができ、例えば、基材フィルムの片面又は両面に、キスコート、リバースコート、グラビアコート、ダイコート等で塗布する方法が挙げられる。
また、加熱乾燥後(架橋後)のプライマー層の厚みは、0.01~2μmであることが好ましく、更には0.02~0.5μm、殊には0.03~0.3μm、特には0.05~0.15μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎると密着性が低下する傾向があり、厚すぎると透明性やヘイズ等の光学特性が悪化する傾向がある。
上記プライマー層付き基材フィルムのプライマー層上にさらにコーティング層を設け、該コーティング層をハードコート層やプリズム層とすることにより、積層フィルムやプリズムシートを得ることができる。
コーティング層を形成する材料としては、コーティング材料として一般的に用いられているアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂や、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等が挙げられるが、なかでも活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が好ましい。
<積層フィルム>
具体的には、上記プライマー層付き基材フィルムのプライマー層上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化することにより、プライマー層付き基材フィルムのプライマー層上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるハードコート層を有する積層フィルムを得ることができる。
上記ハードコート層の厚みとしては、通常0.5~15μmであり、好ましくは1~10μm、特には2~7μmであることが好ましい。
<プリズムシート>
また、プライマー層付き基材フィルムのプライマー層上にプリズム層を形成し、プリズムシートを得ることができる。
プリズム層としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層であることが好ましく、特に好ましくは、無溶剤系の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層である。
プリズム層が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層である場合のプリズム層の形成方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をプリズム型に導入し、プリズム型とプライマー層付き基材フィルム(特には、ポリエステルフィルム)のプライマー層側とで活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟み込んだ状態で活性エネルギー線を照射し、樹脂組成物を硬化させ、プリズム型を取り除くことにより、基材フィルム上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるプリズム層を形成する方法が挙げられる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、カーテン、フロー、スリット、ダイ、グラビア、コンマ、ディスペンサー、スクリーン印刷、インクジェット印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30~3,000mJ/cm程度照射すればよい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
プリズム層の厚みとしては、5~50μmであることが好ましく、特には10~45μm、更には15~40μm、殊には20~35μmであることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定法及び評価方法は次のとおりである。
なお、下記において、「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
(1)ポリエステル系樹脂の酸価の測定方法
ポリエステル系樹脂をトルエン/メタノール=7/3(体積比)の混合溶媒に溶解し、JIS K0070に基づき中和滴定により求めた。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂の酸価とは、樹脂中におけるカルボキシル基の含有量を意味するものである。
(2)数平均分子量及び重量平均分子量の測定方法
高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC-8320GPC」)にてカラム(TSKgel SuperMultipore HZ-M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm)の2本直列を用いて測定し、標準ポリスチレン分子量換算により求めた。
(3)ポリエステル系樹脂のガラス転移温度の測定方法
TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定した。
<ポリエステル系樹脂(A)及びその水性液の製造>
〔製造例1〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)298.9部(1.799mol)、ポリオール成分としてジエチレングリコール(DEG)196.2部(1.849mol)、ネオペンチルグリコール(NPG)30.4部(0.292mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が200~260℃となるまで2時間かけて昇温し、260℃で3時間エステル化反応を行った。その後、内温を170℃まで下げ、ピロメリット酸無水物(PMAn)74.5部(0.342mol)を添加し1時間鎖延長反応を行い、ポリエステル系樹脂[A-1]を得た。得られたポリエステル系樹脂[A-1]の組成及び物性を表1に示す。
次に、得られたポリエステル系樹脂[A-1]25部、脱イオン水72部、25%アンモニア水3部を反応器に仕込み、70℃に昇温し撹拌しながら溶解させ、固形分濃度25%のポリエステル系水性液(水分散体)を調製した。
〔製造例2〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)327.5部(1.971mol)、ポリオール成分としてジエチレングリコール(DEG)198.7部(1.872mol)、ネオペンチルグリコール(NPG)30.8部(0.296mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が200~260℃となるまで2時間かけて昇温し、260℃で3時間エステル化反応を行った。その後、内温を170℃まで下げ、ピロメリット酸無水物(PMAn)43.0部(0.197mol)を添加し1時間鎖延長反応を行い、ポリエステル系樹脂[A-2]を得た。得られたポリエステル系樹脂[A-2]の組成及び物性を表1に示す。
次に、得られたポリエステル系樹脂[A-2]25部、脱イオン水73部、25%アンモニア水2部を反応器に仕込み、70℃に昇温し撹拌しながら溶解させ、固形分濃度25%のポリエステル系水性液(水分散体)を調製した。
〔比較製造例1〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)297.5部(1.791mol)、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(SIPM)52.5部(0.177mol)、ポリオール成分としてジエチレングリコール(DEG)216.2部(2.037mol)、ネオペンチルグリコール(NPG)33.8部(0.325mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が200~260℃となるまで2時間かけて昇温し、260℃で3時間エステル化反応を行った。その後、内温260℃で1mmHgまで減圧して1時間重縮合反応を行い、ポリエステル系樹脂[A’-1]を得た。得られたポリエステル系樹脂[A’-1]の組成及び物性を表1に示す。
次に、得られたポリエステル系樹脂[A’-1]25部、脱イオン水75部を反応器に仕込み、70℃に昇温し撹拌しながら溶解させ、固形分濃度25%のポリエステル系水性液(水分散体)を調製した。
Figure 0007088324000001
<ポリウレタン系樹脂(B)の水性液>
B-1:ポリエーテル系ポリウレタン(破断伸度710%、酸価22mgKOH/g)(三洋化成工業(株)製、「パーマリン UA-200」)
B-2:ポリエステル系ポリウレタン(破断伸度550%、酸価25mgKOH/g)(DIC(株)製、「ハイドランAP-201」)
<架橋剤(C)>
C-1:芳香族カルボジイミド系架橋剤、日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV-04」(固形分40%のポリカルボジイミド水性液、ノニオン性)
C-2:芳香族イソシアネート系架橋剤、第一工業製薬社製、「エラストロンBN-77」(固形分31%のポリイソシアネート水性液、アニオン性)
<実施例1~5及び比較例1~4>
上記で得られたポリエステル系樹脂(A)の水性液、ポリウレタン系樹脂(B)の水性液、及び架橋剤(C)を用いて、表2に示す通りの固形分質量比となるよう、各成分を混合し、実施例1~5及び比較例1~4のプライマー組成物を調製した。
得られたプライマー組成物について、下記の方法に従いプリズム層形成用の無溶剤型紫外線硬化型樹脂組成物との密着性を評価した。結果を表2に示す。
〔密着性〕
(評価方法)
上記調製したプライマー組成物を、樹脂組成物水性液の固形分が3%となるように脱イオン水で希釈し、プライマー組成物の塗液を調製した。調製した塗液をPETフィルム(東レ社製、ルミラーT60、厚み100μm)上にバーコーターNo.6にて塗布し、150℃で3分間乾燥させることで、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
次に、プリズム層形成用の無溶剤型紫外線硬化型樹脂組成物「サンラッドA」(三洋化成工業社製)を上記プライマー層の上にアプリケーターを用いて塗布し、続いて塗布面から13cmの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する高圧水銀ランプを用いて紫外線を450mJ/cmで照射することで紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させ、厚み25μmの樹脂層を形成した。
このようにして形成した紫外線硬化樹脂層に1mmのクロスカットを100個入れ、その上にニチバン社製のセロテープ(登録商標)を貼り付け、テープ上をプラスチック消しゴムで擦って十分に密着させた後、90°方向に急速に剥離し、樹脂層が残存したマス数により密着性評価を行った。評価基準は以下の通りであり、◎及び○を密着性良好とした。
(評価基準)
◎:96/100以上(残存個数/測定個数)
○:86/100以上、95/100以下
△:66/100以上、85/100以下
×:65/100以下
Figure 0007088324000002
表2の結果から、実施例1~5のプライマー組成物は、ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、及び架橋剤(C)を含有し、ポリエステル系樹脂(A)の酸価が10mgKOH/g以上であり、かつ数平均分子量が1,500以上であるので、基材フィルムとコーティング層の双方との密着性に優れることが判明した。
これに対し、比較例1は、ポリウレタン樹脂(B)を使用していないので、密着性が悪化した。比較例2は、ポリエステル系樹脂(A)の酸価が本発明で規定する下限未満であるので、密着性が悪化した。比較例3及び4は、ポリエステル系樹脂(A)を使用していないので、密着性が悪化した。
本発明のプライマー組成物は、基材フィルムのプライマーとして好適に用いることができる。また、得られるプライマー層付き基材フィルムは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化してなるコーティング層との密着性に優れるものであり、例えば、ラベルシートや印刷用シート、ハードコートフィルム、プリズムシートなど、フィルム上にコーティング層を設けてなるシートとして有用であり、特にはプリズムシートとして有用である。

Claims (6)

  1. 基材フィルム上に、プライマー組成物からなるプライマー層を有するプライマー層付き基材フィルムであって、
    前記プライマー組成物が、ポリエステル系樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)及び架橋剤(C)を含有し、
    前記ポリエステル系樹脂(A)は、カルボキシル基に由来する酸価が10mgKOH/g以上であり、かつ数平均分子量が3,500以上であり、
    前記ポリウレタン樹脂(B)の破断伸度が100%以上であることを特徴とするプライマー層付き基材フィルム。
  2. 前記架橋剤(C)が、カルボジイミド系化合物及びイソシアネート系化合物のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー層付き基材フィルム。
  3. 前記イソシアネート系化合物が、塩基性化合物により中和可能な酸性基及びアニオン性基のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項2に記載のプライマー層付き基材フィルム。
  4. 前記ポリウレタン樹脂(B)が、塩基性化合物により中和可能な酸性基及びアニオン性基のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプライマー層付き基材フィルム。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のプライマー層付き基材フィルムのプライマー層上に、プリズム層を有することを特徴とするプリズムシート。
  6. 前記プリズム層が、無溶剤系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする請求項に記載のプリズムシート。
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