JP5208133B2 - バックル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バックルに挿入されるロックトング、及びロックトングに連結される偏向体を備え、この偏向体はシートベルトを肩部ベルト領域と膝部ベルト領域とに分割するとともに、これら2つの領域が偏向要素から異なる方向に離間しつつ延在するようにシートベルトを偏向する構成とされた、自動車のバックル装置に関するものである。
本発明の目的は、改良されたバックル装置を提供することである。
この目的は、請求項1の特徴を有するバックル装置によって達成される。
従って、偏向体は少なくとも1つの延出要素(「伸長要素」或いは「細長片」ともいう)を介してロックトング(「ロックタング」ないし「舌状体」ともいう)に連結されており、その延出要素の少なくとも一部が偏向体まわりに巻き付けされ、その延出要素は、少なくとも一部が偏向体を強固に保持するのが好ましい。少なくとも1つの延出要素は、肩部ベルト領域に結果的に生じる力を制限するべく、肩部ベルト領域に作用する力(以下、「荷重」ないし「応力」ともいう)によって偏向体から巻き出され得る。換言すれば、肩部ベルト領域に作用する力によって回転が開始され、その間に延出要素が偏向体から巻き出される。
少なくとも1つの延出要素は、肩部ベルト領域に結果的に生じる力を制限するべく、肩部ベルト領域に作用する力によって変形することで偏向体から巻き出されるのが好ましい。前記の力は延出要素が変形する間に吸収される。
偏向体は所定の延在方向に延在するのが好ましい。円柱形ないし円筒形のローラーの形態の偏向体では、前記の延在方向はローラー形状の偏向体の回転軸(円柱軸)に平行に延在する。この場合、少なくとも1つの延出要素は、偏向体の延在方向に交差して偏向体まわりに、また好ましくは偏向体の自由端部まわりに巻き付けられる。この端部は、偏向体の中央部を介して偏向体の更なる第2の自由端部に連結されるのが好ましく、当該自由端部は偏向体の延在方向に関し偏向体の別の端部に対向する。これら3つの部位が互いに一体状に形成されるのが好ましい。
2つの自由端部及び中央部はそれぞれ1つの断面を有し、両端部の断面が同一形状とされた構成であるのが好ましく、また2つの自由端部及び中央部は、延在方向について同様の断面を有する、すなわち断面の輪郭及び断面の表面の双方に関して同様であるのが好ましい。
本発明の変更例では、偏向体の両端部の断面はそれぞれ、偏向体の中央部の断面よりも大きい構成とされる。本発明の更なる2つの変更例では、両端部の断面は、いずれかが中央部の断面と同一の大きさとされ、および/またはそれぞれの断面が偏向体の中央部の断面よりも小さい構成とされる。この場合、当該断面は、偏向体の延在方向に垂直(直交状)に延在する断面とされる。
偏向体から少なくとも1つの延出要素を巻き出すべく偏向体に導入される力は、中央部の断面の大きさに対する端部の断面の大きさの比率によって制御が可能とされる。この場合、異なる断面によって(偏向ローラーの円形断面では、前記断面は円柱軸に垂直な偏向ローラーの半径によって単に規定される)、延出要素の巻き出し時に巻き出る両端部上(断面とされる)の点と、肩部ベルト領域(断面とされる)が偏向ローラーの中央部から離間状に延在する起点となる点、および/または膝部ベルト領域(断面とされる)が偏向ローラーの中央部から離間状に延在する起点となる点との間の距離が変化することが重要となる。
偏向ローラーの場合には、その3つの部位(両端部、中央部)は共通の円柱軸(回転軸)を有し、両端部の断面がそれぞれ中央部の断面と同一の大きさとされ、肩部ベルト領域(また肩部ベルト領域に沿って延在する当該肩部ベルト領域の構成要素)に作用する一方の力のみによって(延出要素の巻き出しによる)偏向ローラーの回転が生じ、構成要素が巻き出し点に対する応力中心距離(レバーアーム:断面に生じる引っ張り力の合力と圧縮力の合力との間の距離)を有するため、その力が閾値を上回ると、延出要素を巻き出すべく、当該応力中心距離を介して力のモーメントが偏向ローラーに導入される。
偏向体の中央部の断面が偏向体の両端部の各断面よりも小さい場合には、肩部ベルト領域に作用する力と膝部ベルト領域(また膝部ベルト領域に沿って延在する当該膝部ベルト領域の構成要素)に作用する力の双方が同一方向に作用する。この場合、ベルトの各領域に作用する力の構成要素の両方が、巻き出し点に対する応力中心距離を有し、当該応力中心距離を介して偏向ローラーに力のモーメントが作用して延出要素を巻き出す。
一方で、両端部がそれぞれ中央部の断面よりも小さい断面を有する場合には、肩部ベルト領域に作用する力が閾値を上回ると偏向ローラーの回転が生じ、これに対し膝部ベルト領域に作用する力が当該回転と反対方向に作用する。この場合、ベルトの各領域に作用する力の構成要素の両方が、巻き出し点に対する応力中心距離を有し、当該応力中心距離を介して偏向ローラーに対向状に作用する力のモーメントが生じる。
偏向体の2つの自由端部はそれぞれ円柱構造とされ、また延在方向に合致する共通の円柱軸を有するのが好ましい。偏向体の中央部も円柱構造とされるのが好ましく、その円柱軸が偏向体の両端部の円柱軸に合致するのが好ましい。
実施形態の変更例では、中央部が縦長の断面、特には卵形や楕円形(長円形)の断面を有する。縦長の断面は、第1の方向に(断面の長軸が)当該第1の方向と交差する第2の方向よりも長く延在する断面形状とされる。この場合、偏向体の中央部は、当該中央部の空間上の角度位置に依存する種々の長さのレバーを形成する。その結果として、中央部が回転軸まわりに回転する際、少なくとも1つの延出要素に導入される力が変化する。従って、中央部の断面形状によって、少なくとも1つの延出要素へと導入される力の大きさが(経路に依存した形態および/または時間に依存した形態で)制御可能とされる。またこれは、両端部の断面と中央部の断面の両方が縦長の構造である場合においても可能となる。
肩部ベルト領域に作用する力によって延出要素に作用する力を変化させるに重要なのは、偏向体の中央部の応力中心距離である。この応力中心距離の長さは、断面に関し肩部ベルト領域が偏向体の中央部から離間状に延在する起点となる点と、断面に関し延出要素の巻き出し時に巻き出る両端部上の点との間の距離によって規定される。膝部ベルト領域に作用する力についても同様に適用される。
偏向体は少なくとも1つの付加的な変形要素を介してロックトングに連結されるのが好ましく、当該変形要素は、少なくとも1つの延出要素が偏向体から巻き出される際にエネルギー吸収によって変形する。本発明の変更例では、少なくとも1つの変形要素は、弾性的に或いは塑性的(非弾性的)に変形するのが好ましい。本発明の更なる変更例では、少なくとも1つの延出要素が偏向体から巻き出される際、少なくとも1つの変形要素は、エネルギー吸収によって変形要素の延在方向と交差する少なくとも1つの軸まわりに湾曲するように構成される。必要に応じては、互いに離間状に配設された複数の軸まわりに変形要素が湾曲することもできる。
この軸は仮想上の軸であってもよい。この場合、変形要素はループ形状で配設されるのが好ましい。変更例として、前述の軸は、まわりに変形要素が配設された部材によって形成されてもよい。この場合、少なくとも1つの延出要素が偏向体から巻き出される際、特にピン部材の形状とされた変形要素は、エネルギー吸収によってロックトング或いは偏向体に設けられた切り抜き部外へと引っ張られるのが好ましい。
変形要素が切り抜き部外へと引っ張られない場合には、変形要素は一端部により脆弱点を介してロックトングに連結可能とされ、当該脆弱点は少なくとも1つの延出要素がエネルギー吸収によって偏向体から巻き出される際に破断する。
更に、少なくとも1つの延出要素は、当該少なくとも1つの延出要素がエネルギー吸収によって偏向体から巻き出される際に破断する脆弱点を介してロックトングに連結可能とされる。
更に、少なくとも一部が偏向体に巻き付けられる更なる第2の延出要素を介して、偏向体がロックトングに連結されるのが好ましい。この場合、この更なる第2の延出要素は、肩部ベルト領域に作用する規定の力によって別の延出要素と同様にして偏向体から巻き出され、偏向ローラーがその巻き出し動作によって肩部ベルト領域による負荷を解除することで、肩部ベルト領域に結果的に作用する力が制限される。
更なる第2の延出要素は、偏向体の更なる第2の端部まわりに巻き付けられるのが好ましく、これによりシートベルトが2つの延出要素の間で偏向体に沿って偏向体の中央部まわりに配設される。
偏向体に対しシートベルトを保持するべく、前記の偏向体は、シートベルトがまわりに配設される保持領域を有し、当該保持領域に沿ってシートベルトがスライド動作(摺動)し得る。この保持領域は、偏向体の中央部に設けられるのが好ましく、またシートベルトと協同して肩部ベルト領域に作用する力が予め設定された閾値の力を上回るか、或いは当該閾値と等しくなるように配置構成されるのが好ましく、保持領域まわりに配設されたシートベルトは、摩擦力によって偏向体を円柱軸(回転軸)まわりに回転動作させ、少なくとも1つの延出要素が偏向体から巻き出される。
この場合、保持領域とシートベルトとの間の前記摩擦は、肩部ベルト領域に作用する力が前記閾値よりも小さい場合には、偏向体がシートベルトによって移動して巻き出し動作が完結することなく、シートベルトが偏向体に沿ってスライド動作するのが可能となる。
保持領域は、第1保持面及び第2保持面を有するのが好ましく、肩部ベルト領域に作用する力が閾値よりも小さい場合には、シートベルトが第1保持面のみに当接し、また肩部ベルト領域に作用する力が前記閾値を上回るか或いは当該閾値と等しい場合には、シートベルトが第2保持面においても付加的に当接する。
この場合、シートベルトの第2保持面への当接時に、第2保持面とシートベルトとの間には、シートベルトによって偏向体を動かす摩擦が生じるのが好ましい。これにより、シートベルトの第1保持面への当接時に、第1保持領域とシートベルトとの間には、偏向体がシートベルトによって移動することなく(すなわち延出要素が偏向体から巻き出されない)、シートベルトが偏向体に沿ってスライド動作するのを許容する摩擦が生じる。
本発明の一実施の形態では、第1保持面は、偏向体、特には偏向体の中央部に配設された少なくとも1つの可動要素のうちシートベルトに対向する面によって形成され、第2保持面は、偏向体の中央部のうちシートベルトに対向する面によって形成される。従って、円柱状の中央部の場合には、第2保持面が円柱状の外表面とされる。
可動要素は、第1の位置から第2の位置へと移動するように配置構成されるのが好ましく、第1の位置では、可動要素の第1保持面が第2保持面の法線(「垂直線」ともいう)に沿って前記第2保持面をこえて突出し、これにより可動要素の第1の位置において偏向体の中央部まわりに配設されたシートベルトは、第1保持面にのみ当接し、また第2保持面から所定距離を隔てて偏向体の中央部を取り囲む。可動要素の第2の位置では、前記可動要素は偏向体の凹部に配設されるのが好ましく、これによりシートベルトは第2保持面に平坦状に当接することとなる。好ましくは、可動要素が凹部を通じて確実に案内され、前記凹部は、偏向体の延在方向と交差して、すなわち偏向体の半径方向に延在するのが好ましく、これにより可動要素はその第1の位置においては、偏向体の延在方向と交差して突出する。この場合、第1保持面は、可動要素のうち第2保持面から離間した前面によって形成され、可動要素の第2の位置においては、第2保持面と継ぎ目無く平坦状に延在する。
第1保持面に当接するシートベルトに前述の閾値を上回る力が導入されたときに、可動要素が第1の位置から第2の位置へと移動する。
本発明の変更例では、可動要素はスプリング要素(「バネ要素」ともいう)を介して偏向体上に支持される。このスプリング要素は、可動要素に関連する偏向体の凹部に配設されるのが好ましい。更に第2保持面にも当接させるためには、シートベルトが第1保持面に押圧される力の閾値がスプリング要素のバネ定数によって調節可能とされる。
更なる実施形態では、可動要素自体は、弾性的或いは非弾性的に変形が可能となるように構成され、これにより可動要素の第1保持面に当接するシートベルトによって、すなわちシートベルトの肩部ベルト領域に導入される力が前述の閾値を上回ったときに、第1の位置から第2の位置へと変形し得る。
更なる変更例では、可動要素は、第1の位置においては、固定構造とされ連結手段(「接続手段」ともいう)によって偏向体に保持される。この連結手段は、肩部ベルト領域に作用する力が前記閾値を上回ったときに、可動要素を第2の位置へと移動させるべく破断するように配置構成されるのが好ましく、従ってシートベルトが可動要素を偏向体のうち対応する凹部へと十分な力で押圧する。
本発明の変更例では、連結手段は、偏向体と可動要素との間の係止連結(ラッチ連結)を形成し、前記係止連結は、特にスプリング要素、特にはリーフスプリングで、前述の凹部を通じて案内される可動要素の切り抜き部内へと、すなわち可動要素の動作方向と交差して押圧されるボール部材によって形成され、これにより前記可動要素はその第1の位置において偏向体上に保持される。可動要素がシートベルトによって十分な力で凹部へと押圧される場合、すなわち肩部ベルト領域に閾値を上回る力が作用するとき、ボール部材は切り抜き部外へと引き出され、また可動要素はその第2の位置へと移動され、当該第2の位置においてはシートベルトが第2保持面を平坦状に押圧する。
本発明の一実施の形態では、偏向体のうち対応する凹部へと確実に案内されるピン部材として可動要素が構成される。変更例として、可動要素が偏向体の中央部の全幅に沿って偏向体の延在方向に延在するのが好ましい。
本発明の変更例では、可動要素は凹部を覆うリーフスプリングとして構成され、シートベルトに対向する面が第1保持面を形成する。
リーフスプリングは、好ましくはその第1の位置においてシートベルトに向けて湾曲し、これによりその第1保持面において凹部から突出し、第1保持面は、当該第1保持面の最外縁部において偏向体上の第2保持面と同じ高さ、すなわち第2保持面を継ぎ目無く取り囲む。従って、第1の位置では、シートベルトは、リーフスプリングの凸状の第1保持面にのみ当接し、これにより偏向体に沿ってスライド動作可能とされる。肩部ベルト領域に作用する力が予め設定された閾値を上回った場合には、シートベルトがリーフスプリングをその下方に配設された偏向体の凹部へと押圧し、すなわちリーフスプリングの湾曲部分の向きが反転し、これにより第2の位置においてはこの湾曲部分が凹部へと突出する。シートベルトが凹部に隣接する第2保持面を平坦状に押圧し、偏向ローラーに沿って移動する。従って、第1の位置から第2の位置へのリーフスプリングの動作は、(リーフスプリングの弾性変形による)リーフスプリングの湾曲部分の反転動作に相当する。
勿論、上述の可動要素を複数設けることもできる。前記複数の可動要素は、偏向体に沿って割り当てられるのが好ましく、またそれぞれ第2保持面の法線に沿って移動可能に偏向体に配設されるのが好ましい。特に、これら可動要素は、第2保持面のうち、可動要素の第2の位置においてシートベルトが当接する表面上に平坦ないし一様に配設されるのが好ましい。
本発明の更なる変更例では、可動要素は偏向体に沿って延在し、特には弾力性のワイヤークランプとして構成され、このワイヤークランプはシートベルトによって、シートベルトがワイヤークランプに沿ってスライド動作する第1の位置から、ワイヤークランプが偏向体のうち対応する凹部に対し平坦状に配設される第2の位置へと、連続的に押圧される。従って、偏向体の表面(第2保持面)に沿った凹部は、ワイヤークランプに合致する軌道を有し、これによりワイヤークランプが偏向体の前述の凹部(第2の位置)に平坦状に配設された場合には、ワイヤークランプの第1保持面は、少なくとも第2保持面の高さと同様の距離を第2保持面の法線に沿って移動する。シートベルトが第1保持領域(すなわちワイヤークランプ上)に当接することで、第1の位置から第2の位置へのワイヤークランプの動作が生じる。肩部ベルト領域に作用する力が前述の閾値を上回った場合には、シートベルトは、ワイヤークランプの復元力とは反対方向にワイヤークランプに対応する偏向体の凹部へとワイヤークランプを押圧し、これによりワイヤークランプを受ける機能を果たす。
可動要素(例えばワイヤークランプの形態の可動要素)は、偏向体を断面に関して取り囲むのが好ましく、これにより可動要素の第1の位置において、シートベルトは、第2保持面の全面上に所定距離を隔てて保持され得る。
この場合、可動要素は、偏向体の表面(第2保持面)に沿った矩形の経路を有し、当該経路は、偏向体の延在方向に延在する複数の第1の部位と、これら複数の第1の部位と交差して延在する複数の第2の部位を有し、これら複数の第2の部位はそれぞれ互いに同方向に延在する2つの第1の部位を連結し、同時に偏向体の延在方向と交差して偏向体を少なくとも部分的に取り囲む。
本発明の更なる実施形態では、第1保持面が静止状態で第2保持面の法線に沿って第2保持面をこえて突出し、これにより、肩部ベルト領域に作用する力が予め設定された閾値よりも小さい状態では、シートベルトが第1保持面に当接し、一方で肩部ベルト領域に作用する力が前記閾値を上回るか或いは前記閾値に等しい状態では、シートベルトは第2保持面(及び第1保持面)に強固に被着されるように変形する。
この場合、第1保持面は、偏向体から突出する突出部によって、すなわちシートベルトに面する偏向体から離間した面によって構成される。
好ましくは、突出部は延在方向と交差する方向に関し偏向体を環状に取り囲み、このような複数の突出部は、偏向体の延在方向に関し互いに所定距離を隔てて偏向体を取り囲むように構成されるのが好ましい。その結果、偏向体に複数の凹部が形成され、それらの底部がそれぞれ第2保持面の構成要素とされる。肩部ベルト領域に予め設定された閾値を上回る力が作用した場合には、シートベルトは、前記凹部内へと引き込まれて第2保持面にも付加的に当接し、シートベルトが偏向体に沿って移動され、少なくとも1つの延出要素が偏向体から巻き出される程度までシートベルトと偏向体との間の摩擦が増加する。
変更例として、突出部が偏向体まわりに螺旋状に延在し、これにより第1保持面は、偏向体から離間状に延在する肩部ベルト領域の方向に配設された複数の第1の部位と、偏向体から離間状に延在する膝部ベルト領域の方向に配設された複数の第2の部位とを有する。
前述の突出部は、偏向体に一体状に形成されるのが好ましく、従って偏向体の一構成要素を形成するのが好ましい。
延出要素は、ロックトングに一体状に形成されるのが好ましく、ロックトングと同様に金属材料からなるのが好ましい。
同様に、偏向体が金属材料からなるのが好ましい。偏向体の第2保持面自体の構造によって当該第2保持面の摩擦係数を高めるのが好ましい。換言すれば、第2保持面が立設状に設けられた微小の突起部(突出部)を複数備え、当該突起部は第1保持面に対し有効面を十分に増やし、従ってシートベルトと偏向ローラーの第2保持面との間の摩擦も高められる。
好ましくは、これら突起部は鋸歯状(三角形状)の(ロックラグとして)構成され、これら突起部は、断面に関し両側が種々の傾斜で互いに鋭角状に延在する構成であるのが好ましく、一方で肩部ベルト領域を介して導入される力よりも膝部ベルト領域を介して導入される力の方が偏向体とシートベルトの間の相対動作においてより大きな抵抗が生じるように、第2保持面の法線に関しこれら突起部(ロックラグ)の方向性が定められるのが好ましい。これら突起部は、シートベルト構造物内に係合し、および/または前記構造物の裏側に係合し、一般的には単一の繊維によって製造され、これによりシートベルトが第2保持面を予め設定された閾値の力で押圧した場合には、シートベルトと第2保持面の突起部との間に固定状の連結が生じる。突起部の先端部分が平坦状とされ、これによりシートベルトが過大な応力を受けないように構成されるのが好ましい。
本発明の更なる特徴及び利点は、図面を用いて示す実施形態の詳細な説明によって明確化される。
図5には、本発明のバックル装置の斜視図が示されている。このバックル装置は、一般的に自動車の車台或いは車両シートに保持されたバックル(図示省略)に挿入されるロックトング4(「ロックタング」或いは「舌状体」ともいう)を備える。このロックトング4は、2つの延長要素3(「伸長要素」或いは「細長片」ともいう)を介して偏向体1に連結されており、この偏向体1はシートベルト(「安全ベルト」ともいう)2が延在する向きを偏向する機能を果たす。シートベルト2は、例えば3点式のシートベルトとして知られており、シートベルトを収容する装置(例えばベルトローラー)から出発して、車両のうち必要に応じて拘束される乗員の肩部の高さに概ね配設される肩部ベルトに適した偏向部分まで延在し、それにより偏向された後、前記乗員の胸部上を対角線状に偏向体1まで誘導され、そこから乗員の膝部に沿ってベルト固定位置(ベルトアンカー位置)へと延在する。従って、このシートベルト2は、偏向体1のまわりに位置し、この偏向体によって、前記乗員の上体を対角線状に延在する肩部ベルト領域7と膝部に沿って延在する膝部ベルト領域5とに分割される。
偏向体1は、延在方向9に延在し、図5に示す実施形態では、前記の延在方向9と平行に延在する円柱軸16を備えた偏向ローラー(円柱ローラー形状の偏向体)として構成されている。この偏向体1は、延在方向9および/または円柱軸16の方向に関し互いに対向する2つの自由端部11,13を有し、また特に偏向体1の中央部12を介して互いに一体状に連結されている。換言すれば、これら3つの部位11,12,13は、互いに一体構造とされるのが好ましい。
従って、延在方向9と交差しつつロックトング4から偏向体1のうちそれぞれが対応する端部11,13へと延出した2つの延出要素3は、2つの端部によって案内されて、前記偏向体まわりに巻き付けされ、これによりロックトング4は、2つの延出要素3により2つの端部11,13を介して偏向体1に連結される。この場合、2つの延出要素3はそれぞれ、対応する端部11,13まわりに同方向に巻き付けられ、これら延出要素3が端部11,13のそれぞれを好ましくは180°から360°までの範囲で取り囲む。これら延出要素3は、それぞれの端部を介して(例えば溶接連結や電極連結によって)偏向ローラー1に固定状に連結されるのが好ましい。
延出要素3は、偏向体1上に配置構成されており、偏向体1が延在方向9と交差する方向に関しロックトング4から所定距離で配置され、ロックトング4が延出要素3とともに偏向体1まわりにシートベルト2を誘導するバックル装置の挿通開口を構成している。
この場合、シートベルト2は、偏向体1の中央部12に配置された保持領域20に当接する。この保持領域20は、シートベルト2が当該保持領域20に沿ってスライド動作する(「摺動する」ともいう)のを許容する構成とされる。一方で、予め設定される閾値を上回る力(以下、「荷重」ないし「応力」ともいう)が肩部ベルト領域7に作用した場合には、シートベルト2と保持領域20との間の摩擦力が高まるように保持領域20の特性が変化し、これによりシートベルトの保持領域20に沿ったスライド動作が阻止され、またシートベルト2が偏向体1に沿って延在する。結果として、延出要素3が偏向体1の端部11,13から巻き出され、それにより結果的に肩部ベルト領域7に作用する力が制限されることとなる。典型的には衝突時のような自動車の減速の際に、予め設定された閾値を上回る力が生じるように保持領域20が構成されており、このときシートベルト2によって拘束された乗員は、シートベルト2で対応する速度に設定される。
必要に応じては、エネルギー吸収のための変形要素8(変形可能な要素)を追加して(選択的に)設けることができる。図5に示す実施形態の場合、閉じたループ形状の弾性ないし伸縮性の2つの変形要素がそれぞれ、偏向体1から円柱軸16に沿って突出する軸端をロックトング4に対し連結する。その結果、そのような変形要素8は、円柱軸16と一直線とされた偏向体1の軸端をループ形状の部分が取り囲み、またプリテンション状態で対向するループ形状の部分が、ロックトング4に設けられたフックに引っ掛けられる。延出要素3が偏向体1から巻き出される際、これら2つの変形要素8は、エネルギー吸収によって伸長ないし拡張する。
図7には、実施形態の変更例が示されており、この変更例を図5と対比すると、変形要素8は、非弾性的(塑性的)に変形可能なリンクとして構成され、今度は偏向体1の軸端(あるいは偏向体うち関連する領域)をロックトング4に連結し、このリンクが少なくとも180°の角度を包含する。更に、このリンク8は、一方の端部8aにより脆弱点8bを介してロックトング4に連結される。偏向体1からの延出要素3の巻き出し時および/または繰り出し時においては、リンク8は最初に曲げ変形を受け、これによりリンク8は最初に直線的に引っ張られる。偏向体1とロックトング4との間の距離が増加して、直線的に引っ張られるリンク8を介して脆弱点8bに力が集中し、その結果脆弱点8bが完全に分離されるまでエネルギー吸収によって予定された態様での破断が可能とされる。
図6に示す実施形態では、変形要素8は着脱可能なピン部材として構成され、このピン部材は、円柱軸16の領域において偏向体1(偏向ローラー)をロックトング4に連結する。変更或いは追加として、肩部ベルト領域7が延在する起点となる偏向体1の領域にピン部材8を設けることができる。この場合、ピン部材8の延在方向は、肩部ベルト領域7が偏向体1から離間しつつ延在する方向に合致するのが好ましい。延出要素3が偏向体1から巻き出る、したがってロックトング4から離間しつつ移動する際、ロックトング4(或いは可能ならば偏向体1)上に設けられた切り抜き部(カットアウト部)からピン部材8が移動ないし外れることによって、ピン部材として構成される変形要素8によってエネルギーが吸収されるのが好ましい。この場合、ピン部材8は、当該ピン部材8が移動するときに規定の抵抗が生じるように切り抜き部によって保持される。ピン部材が対応する切り抜き部から移動する際、1または複数の軸まわりにピン部材8が曲がることでこの抵抗が生じるのが好ましい。
偏向ローラー1の円柱軸16にピン部材8が連結される(可能ならば軸端を介して)構成では、ピン部材8は、当該ピン部材が偏向ローラー1の回転を阻害しないような関節式の連結で設けられるのが好ましい。円柱軸16に対する応力中心距離(レバーアーム:断面に生じる引っ張り力の合力と圧縮力の合力との間の距離)でピン部材8を取り付ける際、応力中心距離が一定になるようにピン部材8が別の円柱面上に巻き付けられてもよい。この巻き付け面が円柱軸16から一定の距離にないとき、例えば段階的或いは連続的に力が制限されることを特徴とすることができる。
図8には、更なる実施形態が示されており、図5から図7の形態と対比した場合、付加的な変形要素8が追加されて設けられていない。その代わりに、図8に示すバックル装置では、脆弱点3aに沿った破断によって延出要素3が偏向体1から巻き出される際に規定の(制御可能な)抵抗が追加で生じるように、延出要素3のうち偏向体1の端部11,13まわりに巻かれる領域はそれ自体が、破断可能な連結部3a(脆弱点3a)を介して偏向体1の端部11,13に連結される。脆弱点3aが明確となるように、端部11を前側の延出要素3に対して後方に引っ込ませて示している。
シートベルトは特定の閾値の力からは偏向体1に沿って移動し、これにより延出要素3が偏向体1から巻き出され、偏向体1の保持領域20は、シートベルト2上に作用する力に依存した2つの態様を採ることが可能とされ、保持領域20の一方の態様では、シートベルト2は、当該シートベルト上に予め設定された規定の閾値を下回る力が作用した状態において、延出要素3が巻き出されることなく保持領域20に沿ってスライド動作することが特徴とされる。これに対し、保持領域20の他方の態様では、シートベルト2と保持領域20との間に、摩擦或いは固定状の連結が生じることが特徴とされ、これにより肩部ベルト領域7に作用する力が前記閾値を上回ったときに、シートベルト2と保持領域20との間の相対的な動作が防止される。
従って、図9及び図10によれば、保持領域20は、肩部ベルト領域7に作用する力が前記閾値を下回るときにシートベルト2が当接する第1保持面21と、前述の力が前記閾値を上回ったときにシートベルト2が当接する第2保持面22と、を有する。この場合、第1保持面21とシートベルト2との間の摩擦は、シートベルト2が第1保持面21に沿ってスライド動作し得るように設定され、これに対し第2保持面22とシートベルト2との間の摩擦は、第2保持面22に当接するシートベルト2が偏向体1へ力を誘導し得るように設定され、このため偏向体1がシートベルト2によって移動して、延出要素3が偏向体1から巻き出される。
図11及び図12に示す実施形態によれば、移動可能な複数の可動要素30が偏向体1上に配設され、当該可動要素が第1の位置と第2の位置との間を種々移動する。この場合、これら可動要素30はそれぞれ、偏向体1のうちスロット形状或いはできる限り見え難いホール形状の凹部33で確実に誘導され、当該凹部はそれぞれ偏向体1の表面22に関する法線31(垂直線)に沿って延在する。第1の位置では、可動要素30は、シートベルト2に対向する前面21が、それぞれ対応する凹部33から突出する。この場合、偏向体1まわりに配設されたシートベルト2は、全体として第1保持面21を形成する前面21にのみ当接する。
可動要素30はそれぞれ、スプリング要素32を介して各可動要素30に対応する凹部33の底部に支持される。各可動要素30は、スプリング要素32により生じる反力(弾性付勢力或いは弾発力)に抗して、係合が解除された第1の位置から第2の位置へと移動され、図12に示すような第2の位置では、偏向体1の中央部12のうち外側を向く表面22に対しシートベルト2が水平ないし平坦となる。従って、可動要素30の凹部33に隣接する偏向体1の中央部12の表面22によって第2保持面22が形成される。前述の閾値を上回る力が肩部ベルト領域7に作用した状態では、シートベルト2の作用によって可動要素30が第1の位置から第2の位置へと移動し、可動要素30が凹部33へと押圧される。
図13及び図14には、図11及び図12に示す偏向体1の変形例が示されており、図11及び図12の例と対比した場合、可動要素30はスプリング要素32によって第1の位置に保持されるのではなく、それ自体の弾性によって第1の位置に保持される。これに関し、複数の可動要素30はそれぞれ、シートベルト2に対向する表面22に対して拡張された頭部を備え、当該表面22全体によって第1保持面22を形成する。第1の位置では、これらの頭部は、その最も外側の縁部領域がそれぞれ対応する凹部33に隣接する縁部領域に留まり、これにより第1保持面21(頭部の表面)は、第2保持面22の法線31に沿って第2保持面22よりも上側に突出する。従って、シートベルト2は、(弾性を有する)可動要素30の第1の位置においては、可動要素30の頭部(第1保持面)に対してのみ当接する。予め設定された規定の閾値を上回る力が肩部ベルト領域7に作用した場合には、シートベルト2は、可動要素30の頭部の弾性変形によって可動要素30を対応する凹部33内へと押圧し、これによりシートベルト2が第2保持面22と水平ないし平坦となる。この場合、弾性変形した頭部は、凹部33において頭部に対応した(円錐状の)拡径部によって確実に支持される構成であるのが好ましい。
図15及び図16には、図11及び図12に示す偏向体1の変形例が示されており、図11及び図12の例と対比した場合、可動要素30がスプリング要素32によって第1の位置に保持されるのではなく、連結手段34によって第1の位置に保持され、当該連結手段は破断可能とされ、第2保持面22に垂直な移動方向31と交差する方向に関し可動要素30からそれぞれ突出し、また対応する凹部33の壁部に設けられた切り抜き部に係合する。閾値を上回る力が肩部ベルト領域7に作用した場合には、連結要素34が可動要素30から破断するようにシートベルト2が可動要素30を押圧し、これにより可動要素30はそれぞれ第2の位置に設定され、これによりシートベルト2が第2保持面22を押圧するようになる。
図17及び図18には、図15及び図16に示す偏向体1の変形例が示されており、複数の可動要素30はそれぞれ、損傷を受けることなく可逆的に使用される連結要素34によって第1の位置に保持される。この場合、可動要素30にそれぞれ1つの切り抜き部37が設けられ、それぞれに対応する可動要素30の移動方向31と交差する方向に関し、リーフスプリング36によって当該切り抜き部内にボール体35が押圧され、これにより閾値を上回る力が肩部ベルト領域7に作用したとき、可動要素30を押圧するシートベルト2は、初めに可動要素30を第2の係合位置へと移動させることが可能となる。ボール体35がリーフスプリング36の弾性力に抗して切り抜き部37の外へと付勢された場合には、可動要素30は、図18に示すような第2の係合位置に到達する。
図19及び図20には、本発明にかかる偏向体1の更なる実施形態が示され、可動要素30がリーフスプリングとして構成されている。この場合、各リーフスプリング30は、対応する凹部33よりも上側に配設されており、当該リーフスプリングは対応する凹部33を取り囲む縁部領域において支持される。この場合、リーフスプリングは、その第1の位置では、偏向体1を取り囲むシートベルト2の方向に(凸状に)湾曲し、これによりシートベルト2はリーフスプリング30のみに当接する。換言すれば、第1保持面21は、シートベルト2に対向するリーフスプリング30の表面21によって形成される。閾値を上回る力が肩部ベルト領域7に作用した場合には、リーフスプリングの湾曲部分の向きが反転して対応する凹部33内へと突出するように、シートベルト2がリーフスプリング30を押圧し、これにより偏向体1のうち凹部33に隣接する表面22によって形成されていた第2保持面22をシートベルト2が押圧するようになる。
図21から22には、偏向体1の一実施形態が示されており、可動要素30は、偏向体1の表面22(第2保持面22)に沿って延在するワイヤークランプ(ワイヤー状のクランプ部材)によって形成されている。このワイヤークランプ30は、2つの自由端部を介して偏向体1上に固定されており、シートベルト2に対向する面が第1保持面21を形成する。このワイヤークランプ30は、支持されたシートベルト2によって、シートベルト2がその下側の第2保持面22と接触しない第1の位置から、偏向体1にそれぞれ形成された凹部33にワイヤークランプ30が配設されてシートベルト2が第2保持面22に当接する第2の位置へと移動可能とされる。ワイヤークランプ30の第1の位置から第2の位置への動作は、上述のような態様のシートベルト2によって生じる。ワイヤークランプ30の第1の位置において、シートベルト2が偏向体1の第2保持面22から所定距離を隔てた状態で保持されるように、ワイヤークランプ30は、延在方向9と交差する方向に延在する複数の延在部41を有し、当該延在部は、延在方向9に延在する延在部40によって互いに連結され、これによりワイヤークランプ30が矩形の経路で延在する。
図23及び図24における偏向体1では、シートベルト2に対向する突出部50の表面によって第1保持面21が形成され、当該突出部が延在方向9と交差する方向に関して偏向体1を環状に取り囲む。そのような2つの外周の突出部50の間には、摩擦係数の高い2つの第2保持面22が延在する。肩部ベルト領域7に作用する力が閾値を超えない(下回る)状態では、偏向体1のまわりのシートベルト2は、突出部50の前述の表面21(第1保持面21)のみに当接する。一方で、前記の力が閾値を上回った場合には、シートベルト2は当該シートベルトに作用する力によって、突出部50間に介在する第2保持面22にも当接するように変形する(図24参照)。
図25及び図26には、図23及び図24に示す偏向体1の変形例が示されており、図23及び図24の例と対比した場合、突出部50が偏向体1を螺旋状に取り囲む。従って、より深い低所(下側)に位置する第2保持面22も同様に偏向体1を螺旋状に取り囲む。これにより、第1保持面21の第1の部位60は、第2の部位61に対向して離間状に延在する肩部ベルト領域7のベルト延在方向に向けて配設され、第2の部位61は、偏向体1から離間して延在する膝部ベルト領域5のベルト延在方向に向けて配設される。これにより、第2保持面22に対するベルト領域7,5のそれぞれの当接状態が最適化される。
偏向体1のうち周囲にシートベルト2が配置される中央部12が、図34に示すように断面に関し、偏向体1の両側の2つの端部11,13よりも直径および/または半径が大きい構成とされと、偏向体1上のシートベルト2および/または延出要素3による力が影響を受ける。もちろん、端部11,13と中央部12の直径を同一の大きさ(図32参照)に維持することや、或いは中央部12の直径を端部11,13の直径よりも小さくする(図33参照)ことも可能とされる。図34に示すような場合、肩部ベルト領域7に作用する力(肩部ベルト領域7の張力)が前述の閾値を上回ると偏向体1の回転が生じるのに対し、膝部ベルト領域5及び膝部ベルト領域5の張設に作用する力は、そのような回転とは反対に作用し、および/または肩部ベルト領域に作用する力を制限するための力比率の考えに基づいて増加する。従って、肩部ベルト領域に作用する力、また膝部ベルト領域5に作用する力が、単に延出要素3の巻き出しによって制限されることで、エネルギー吸収装置を追加して使用するのを省略することが可能となる。最終的な肩部ベルト領域の力が、乗員の寸法による膝部ベルト領域の力に依存するような場合には、肩部ベルト領域7における乗員の保持調整が可能とされ、および/または自動調節される。更なる有利な点として、巻き出し点MPに対する膝部ベルト領域5の応力中心距離によって、偏向ローラー1の回転が膝部ベルト領域5の付加的な張設に変換される。
図32に示す態様の場合には、肩部ベルト領域7に作用する力のみによって(延出要素3の巻き出しにより)偏向ローラー1の回転が生じるのに対し、図33示す態様の場合には、肩部ベルト領域7に作用する力と、膝部ベルト領域5に作用する力の双方によって、偏向ローラー1の回転が引き起こされる。
更に、図27から図29に示す態様によれば、円柱軸或いは回転軸16に対して円柱状の対称形状とは異なる形状を含む中央部12を採用することによって、延出要素3に作用する力を、経路に依存した形態および/または時間に依存した形態で変化させることが可能となる。中央部12が例えば縦長の断面(例えば楕円状の部位)を含む場合には、配置される角度によって定まるこの中央部12は、種々の長さの応力中心距離を有し、この応力中心距離の長さが点SGと点MPとの間の距離によって定められ、点SGが(断面視において)ベルト肩部領域7が偏向体1の中央部12から離間して延在する基点となり、(断面視において)点MPを覆うように端部11,13が巻き出される。
中央部12が円柱軸16に対し偏心することによってこのような効果が得られる。
また、図30及び図31の実施形態では、中央部12及び各端部11,13の双方がそれぞれ縦長の断面14,15を有し、これらはそれぞれ長軸14a,15aに沿って延在し、両端部11,13の断面14の長軸14aは、中央部12の断面15の長軸15aに対し所定の角度を形成する。また、この場合、上述のSG−MP間の距離及び延出要素3の巻き出し時の力の伝達経路は、経路に依存した形態および/または時間に依存した形態で変化する。
図35から図37には本発明にかかるバックル装置の更なる実施形態が示されており、この形態ではロックトング4が2つの延出要素3に一体状に設けられている。ロックトング4は、両延出要素3とともに、金属片による一体部分として型抜きされ、引き続きロール状に巻かれて曲げられる。両延出要素3は、延在方向9に延在する2つの補強ストラット3bによって互いに接続されている。これら補強ストラット3bは、シートベルトによる力がバックル装置に導入される際に、延出要素3の展開動作を防止する。これら2つの補強ストラット3bを設けることによって、肩部ベルト領域7に作用する力を介して偏向体1へと導入されるトルクの伝達向上が図られる。偏向体1を製造するためには、型抜きされた部材(ロックトング4及び延出要素3)がインジェクション成形装置へと導入され、補強ストラット3bのまわりがプラスチック材料によってインジェクション成形される。図25、図26及び図37における保持領域20もインジェクション成形時に形成され、これにより当該保持領域も偏向ローラー1に一体状に形成される。この保持領域20を他の材料、例えば金属材料によって形成し、前記の保持領域を偏向ローラー1に割り当てることも可能である。図35から図37に示す実施形態では、摩擦係数の高い第2保持面22は、(図37参照の)第2保持面22によって形成されるのが好ましい。この場合、第2保持面には、延在方向9に垂直に延在する断面については、第2保持面の法線に対し互いに鋭角状に延在する2つの面を有する複数の突起部22aが設けられており、一方では種々の傾斜部が設けられてもよく、すなわち複数の突起部22aは互いに方向性が従属するように形成され、偏向体1とシートベルト2との間の相対的な動作において、膝部ベルト領域5を介して力が導入される場合には、肩部ベルト領域7を介して力が導入され場合よりも大きな抵抗が生じる。シートベルト2に過大な応力が作用しないように、突起部22aの先端部分(「頂点」ともいう)が平坦状とされるのが好ましい。
以下には、本発明の基本的な動作原理が、再度図1から図6を参照しつつ説明される。
本動作原理の中心的な要素として、偏向ローラーの形態を有するのが好ましい偏向体1が挙げられ、この偏向ローラーが切換え可能な2つの状態を採り得る。通常の使用状態では、低摩擦係数を要する偏向ローラー1まわりをシートベルト2が自在に移動する。一方で事故の際には、この自在な移動が高摩擦係数での摩擦連結と固定状連結のいずれか一方によって防止される。この場合、偏向ローラー1及びシートベルト2は、接触領域に相対的な動作を防止するユニットを形成する。運動学的な機能の詳細については以下に説明される。
図1によれば、偏向ローラー1は、膝部ベルト領域5の仮想平面上での巻き出し動作が可能とされる。この動作では、前記平面上に回転中心MPが配置され、この部位での瞬間速度が消失する。膝部ベルト領域5と偏向ローラー1との間には接触領域において相対的な動作が生じないため、膝部ベルト領域5の瞬間速度もまたゼロに等しい(点“MP”が膝部ベルト領域5に配置される)。動作方向の速度は、巻き出し平面からの距離に関し直線的に増加し、最高点SGにおいて最大速度VSGに達し、同時に偏向ローラー1及びシートベルトの一部を形成する。この場合、点SGは、偏向ローラー1の中心点Mの倍の速度2*Vで移動する。従って、中心点Mの移動距離がs[mm]で規定されると、点SGは2*s[mm]の移動距離でシフトする。これに対し点MPは累積的に移動しない。この単純な運動学上の関係により、可動要素にかかわらず膝部ベルト領域5を解放しない(緩めない)ように、また肩部ベルト領域7が規定の態様で負荷解除されるように装置が構成される。この場合、接触領域での相対的な動作を防止することが重要である。
一方で、ここでは巻き出し平面は形成されず、ケーブル理論の技術的原理、特には図2及び図3に参照されるように、ローラーまわりにケーブル2を単純に包む原理が利用される。
図2及び図3によれば、ケーブル2(および/またはシートベルト2)が偏向ローラー1のまわりに完全に包まれて、一方の端部でクランプされる。他方の端部にも力FLapが作用する。この力の大きさとは無関係に、偏向ローラー1の動作は生じない。この力は、包み込み部分に沿った偏向ローラー1とケーブル2との間の圧縮にのみ作用し、クランプされることで完全に向きがかわる。従って、以下のような力の比率、FLap=FClampingとなる。
従って、このシステムは半不変とされる。この理由として、偏向ローラー1は、力の流れを変化させることなく巻き出し平面に沿ったいずれかの位置をも採り得るからである。このシステムはそれ自体に張力が付与されて未だ移動可能とされる。まわりが包まれたケーブル2が包み込み部に沿って切断され、新たなケーブル端部が偏向ローラー1に固定状に連結される場合、このシステムは完全なケーブル2と同様の性能を有する。
これらに基づいた場合、このシステムを更に拡張し修正することが可能とされる。この場合、図4によれば、エネルギー吸収要素(変形要素8)により点Mを介して力が偏向され、更なる第2の力であるFShoulderが上部点SGに導入される。ケーブル2のよる偏向ローラー1への非固定状或いは固定状の連結によって、完全に包み込まれた部位が結合解除され、またそのようにシミュレートされる。その結果、偏向ローラー1とシートベルト2(ケーブル2)との間の相対的な動作の防止が確実なものとなる。従って、このシステムは以下の通りである。
力の分布に関しては、全てのタイプで平衡が生じる。従って、水平方向の力の合計がゼロに等しく、
Shoulder+FLap−FEA−FClamping=0
となる。
点MPまわりに瞬間的な平衡が生じ、
Shoulder*2*r=FEA*r
Shoulder*2=FEA
となる。
従って、結果的に、
Clamping=FLap−FShoulder
となり、すなわち規定の力は偏向ローラー1の位置によらない。クランプ部位に固定状に連結されるエネルギー吸収要素(変形要素8)が、例えば点Mに設けられるとき、力FShoulderの制限が可能となる。2*FShoulderの力が変形力FEAを超えない場合には、システムが平衡となり全ての力がクランプ部位へと作用する。予め調整された変形力FEA、例えば6kNを上回ると、点SGにはFShoulder=3kNの力が作用し、偏向ローラー1が動き始める。FLapとFClampingとの間に力の流れがある場合には、膝部ベルト領域が完全に偏向され、膝部ベルト領域の動作が阻止され、肩部ベルトの力が予め調整された変形力FEAによって制限される。
偏向ローラー1の規定の動作が達成されるには、図5に示すように、好ましくはシート状の金属材料によって形成された平坦状の細片の形態の2つの延出要素3が用いられるのが好ましい。これらのシート状の金属要素は、適宜の形態によってロックトング4に連結され、偏向されたシートベルト2の近傍において偏向ローラー1の周面に沿ってそれぞれ左右に延在する。これらは偏向ローラー1との間で固定状に連結される。この場合、巻き出された延出要素3は、偏向ローラー1とロックトング4との間の接続ウェブ(連結ウェブ)としての機能を果たす。変形要素8の拡張ないし伸張によってエネルギー吸収が追加的に生じ得る。実施可能な他のエネルギー吸収原理としては、ピン部材の引き出し、構成要素の偏向及び曲げ変形、(上述の)リンクの破断と同様の引っ張り力が挙げられる。
図6に示すように、ピン部材8によってロックトング4に連結されている偏向ローラー1では、肩部ベルトの方向に関する偏向ローラー1の変位xでの巻き出し動作によって、点Mに関し同一変位xでのピン部材8の引き出しが生じる。
一方、ピン部材8が別の部位、例えば(破線で示すように)点SGに取り付けられる場合には、偏向ローラー1の変位xの巻き出し動作の間、この点SGは2*xの変位でシフトする。これら幾何学上の特徴によって、ピン部材8として必要な制限力に変換される。第1のケースでは肩部ベルト2つ分の力とされ、第2のケースでは二つの経路で肩部ベルト1つ分の力とされる。エネルギーに関しては、両方の場合に同一の変形エネルギーが生じる。
本発明では、「「車両用のバックル装置であって、バックルに挿設されるロックトング(4)と、前記ロックトング(4)に連結され、シートベルト(2)を肩部ベルト領域(7)と膝部ベルト領域(5)とに分割するとともに、前記2つの領域(7,5)が離間しつつ異なる方向へ延在するように前記シートベルト(2)を偏向する偏向体(1)と、を備え、前記偏向体(1)は、少なくとも一部が前記偏向体(1)まわりに巻き付けられる少なくとも1つの延出要素(3)を介して前記ロックトング(4)に連結されることを特徴とするバックル装置」ないし請求項1に記載のバックル装置であって、
前記肩部ベルト領域(7)に予め設定された閾値を上回る力が作用することによって、前記少なくとも1つの延出要素(3)が前記偏向体(1)から巻き出され、結果として前記肩部ベルト領域(7)に作用する力を制限することを特徴とするバックル装置」という態様(態様1)を採り得る。
また本発明では、「請求項1または前記態様1に記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)が所定の延在方向(9)に延在することを特徴とするバックル装置」という態様(態様2)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2に記載のバックル装置であって、
前記少なくとも1つの延出要素(3)が前記偏向体(1)の前記延在方向(9)と交差して前記偏向体(1)まわりに巻き付けられることを特徴とするバックル装置」という態様(態様3)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2または3に記載のバックル装置であって、
前記少なくとも1つの延出要素(3)が前記偏向体(1)の前記延在方向(9)と交差して前記偏向体(1)の一方の端部(11)まわりに巻き付けられることを特徴とするバックル装置」という態様(態様4)を採り得る。
また本発明では、「前記態様4に記載のバックル装置であって、
前記端部(11)が前記偏向体(1)の中央部(12)を介して前記偏向体(1)の別の端部(13)に連結されていることを特徴とするバックル装置」という態様(態様5)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5に記載のバックル装置であって、
前記2つの端部(11,13)及び前記中央部(12)がそれぞれ1つの断面(14,15)を有し、前記2つの端部(11,13)の両方の断面(14)が合致した構成であることを特徴とするバックル装置」という態様(態様6)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5ないし6に記載のバックル装置であって、
前記2つの端部(11,13)の両方の断面(14)がいずれも、前記中央部(12)の断面(15)よりも大きいことを特徴とするバックル装置」という態様(態様7)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5ないし6に記載のバックル装置であって、
前記2つの端部(11,13)の両方の断面(14)がいずれも、前記中央部(12)の断面(15)と同一の大きさであることを特徴とするバックル装置」という態様(態様8)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5ないし6に記載のバックル装置であって、
前記2つの端部(11,13)の両方の断面(14)がいずれも、前記中央部(12)の断面(15)よりも小さいことを特徴とするバックル装置」という態様(態様9)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2、ないし5または6から9のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記2つの端部(11,13)は、それぞれ円柱構造であり、また前記延在方向(9)と平行な共通の円柱軸(16)を有することを特徴とするバックル装置」という態様(態様10)を採り得る。
また本発明では、「前記態様10に記載のバックル装置であって、
前記中央部(12)は、円柱構造であり、また前記2つの端部(11,13)の前記円柱軸(16)と合致する円柱軸(16)を有することを特徴とするバックル装置」という態様(態様11)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2、ないし5または6から11のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記中央部(12)のうち前記延在方向(9)に平行に延在する重心軸(17)の中心が前記2つの端部(11,13)の前記円柱軸(16)と合致しないことを特徴とするバックル装置」という態様(態様12)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5または6から11のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記中央部(12)は、所定の長軸(15a)に沿って延在する特に卵形或いは楕円形の断面(15)を有することを特徴とするバックル装置」という態様(態様13)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5または6から13のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)の前記2つの端部(11,13)はそれぞれ、所定の長軸(14a)に沿って延在する特に卵形或いは楕円形の断面(14)を有することを特徴とするバックル装置」という態様(態様14)を採り得る。
また本発明では、「前記態様13ないし14に記載のバックル装置であって、
前記2つの端部(11,13)の断面(14)の長軸(14a)は、前記中央部(12)の断面(15)の長軸(15a)に対し特に鋭角をなすことを特徴とするバックル装置」という態様(態様15)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1または2から15のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)は、前記少なくとも1つの延出要素(3)が巻き出される際にエネルギー吸収によって変形する少なくとも1つの付加的な変形要素(8)を介して、前記ロックトング(4)に連結されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様16)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1から16のうちのいずれかに記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)は、前記偏向体(1)まわりに少なくとも一部が巻き付けられる更なる第2の延出要素(3)を介して前記ロックトング(4)に連結され、前記肩部ベルト領域(7)に予め設定された閾値を上回る力が作用することによって、前記更なる第2の延出要素(3)が前記偏向体(1)から巻き出され、結果として前記肩部ベルト領域(7)に作用する力を制限することを特徴とするバックル装置」という態様(態様17)を採り得る。
また本発明では、「前記態様17、ないし5または6から16のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記更なる第2の延出要素(3)が前記偏向体(1)の更なる第2の端部(13)まわりに巻き付けられることを特徴とするバックル装置」という態様(態様18)を採り得る。
また本発明では、「請求項1、前記態様1から18のうちのいずれかに記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)は、前記偏向体(1)に対し前記シートベルト(2)を保持する保持領域(20)を有し、当該保持領域(20)まわりに前記シートベルト(2)が配設されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様19)を採り得る。
また本発明では、「前記態様5ないし19に記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)の中央部(2)上に保持領域(20)が設けられていることを特徴とするバックル装置」という態様(態様20)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1、2ないし19または20に記載のバックル装置であって、
保持領域(20)が前記シートベルト(2)と協同し、肩部ベルト領域(7)に閾値を上回る力が作用して、保持領域(20)に当接する前記シートベルト(2)が前記偏向体(1)を回転動作させ、これにより少なくとも1つの延出要素(3)が前記偏向体(1)から巻き出されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様21)を採り得る。
また本発明では、「前記態様21に記載のバックル装置であって、
保持領域(20)が前記シートベルト(2)と協同し、肩部ベルト領域(7)に閾値を上回る力が作用した場合には、前記保持領域(20)と前記シートベルト(2)との間の摩擦が高まることによって前記偏向体(1)が前記シートベルト(2)によって移動し、また肩部ベルト領域(7)に前記閾値を下回る力が作用した場合には、前記保持領域(20)と前記シートベルト(2)との間の前記摩擦によって、前記偏向体(1)が前記シートベルト(2)によって移動することなく、前記シートベルト(2)の前記偏向体(1)に沿ったスライド動作が許容されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様22)を採り得る。
また本発明では、「前記態様19から22のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記保持領域(20)が第1及び第2保持面(21,22)を有することを特徴とするバックル装置」という態様(態様23)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1ないし23に記載のバックル装置であって、
肩部ベルト領域(7)に予め設定された閾値を下回る力が作用した場合には、前記シートベルト(2)が第1保持面(21)のみに当接し、肩部ベルト領域(7)に前記閾値を上回る力が作用した場合には、前記シートベルト(2)が第2保持面(22)に当接することを特徴とするバックル装置」という態様(態様24)を採り得る。
また本発明では、「前記態様24に記載のバックル装置であって、
前記シートベルト(2)が前記第2保持面(22)に当接する際、前記第2保持面(22)と前記シートベルト(2)との間に作用する摩擦によって、前記偏向体(1)が前記シートベルト(2)によって移動し、前記シートベルト(2)が前記第1保持面(21)のみに当接する際、前記第1保持面(21)と前記シートベルト(2)との間に作用する摩擦によって、前記偏向体(1)が前記シートベルト(2)によって移動することなく、前記シートベルト(2)が前記偏向体(1)に沿ってスライド動作することを特徴とするバックル装置」という態様(態様25)を採り得る。
また本発明では、「前記態様23から25のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)上に配設された少なくとも1つの可動要素(30)のうち前記シートベルト(20)に対向する表面によって前記第1保持面(21)が形成され、前記偏向体(1)の中央部(12)のうち前記シートベルト(2)に対向する表面によって前記第2保持面(22)が形成されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様26)を採り得る。
また本発明では、「前記態様26に記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)は、第1の位置から第2の位置へと移動し、前記第1の位置では、前記可動要素(30)の前記第1保持面(21)が、前記第2保持面(22)をこえて前記第2保持面(22)の法線に沿って突出し、これにより前記可動要素(30)の前記第1の位置においては、前記シートベルト(2)が前記第1保持面(21)のみに当接し、また前記第2の位置においては、前記可動要素(30)が前記偏向体(1)の凹部(32)に配設され、これにより前記シートバルト(2)が前記第2保持面(22)にも当接し、或いは前記第2保持面(22)のみに当接することを特徴とするバックル装置」という態様(態様27)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1または21ないし27に記載のバックル装置であって、
肩部ベルト領域(7)に作用する力が前記閾値を上回ったとき、前記可動要素(30)は、前記第1保持面(21)に当接する前記シートベルト(2)によって第1の位置から第2の位置へと移動することを特徴とするバックル装置」という態様(態様28)を採り得る。
また本発明では、「前記態様26から28のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)は、スプリング要素(33)を介して前記偏向体(1)上に保持されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様29)を採り得る。
また本発明では、「前記態様27または28に記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)は、前記シートベルト(2)によって第1の位置から第2の位置へと変形するように構成されていることを特徴とするバックル装置」という態様(態様30)を採り得る。
また本発明では、「前記態様27または28に記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)は、第1の位置において連結手段(34)によって前記偏向体(1)に保持されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様31)を採り得る。
また本発明では、「前記態様21ないし31に記載のバックル装置であって、
前記肩部ベルト領域(7)に作用する力が前記閾値を上回ったとき、連結手段(34)は、前記可動要素(30)が第2の位置へと移動するために、前記可動要素(30)によって破断するように構成されていることを特徴とするバックル装置」という態様(態様32)を採り得る。
また本発明では、「前記態様31に記載のバックル装置であって、
前記連結手段(34)は、前記偏向体(1)と前記可動要素(30)との間の係止連結を含むことを特徴とするバックル装置」という態様(態様33)を採り得る。
また本発明では、「前記態様27ないし33に記載のバックル装置であって、
第1の位置において前記偏向体(1)上に前記可動要素(30)を保持するべく、前記偏向体(1)上に設けられた切り抜き部(37)へと、特にリーフスプリングの形態のスプリング要素(36)によって押圧される、特にボール体の形態の移動ロック要素(35)によって係止連結が形成されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様34)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1または21ないし34に記載のバックル装置であって、
前記肩部ベルト領域(7)に予め設定された閾値を上回る力が作用するとき、第2の位置へと前記可動要素(30)を移動させるボール体は、切り抜き部(37)外へと付勢されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様35)を採り得る。
また本発明では、「前記態様26から35のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)はピン形状の部材として構成されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様36)を採り得る。
また本発明では、「前記態様27または28から30のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)は、凹部(22)から離間して第1保持面(21)を形成する面を有し、凹部(22)を覆うリーフスプリングとして構成されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様37)を採り得る。
また本発明では、「前記態様37に記載のバックル装置であって、
第1の位置においてリーフスプリング(30)は、その第1保持面(21)で凹部(22)から突出するように湾曲し、また第2の位置においてリーフスプリング(30)は、第1保持面(21)が凹部(22)内に配設されるように湾曲することを特徴とするバックル装置」という態様(態様38)を採り得る。
また本発明では、「前記態様26から38のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)上に複数の可動要素(30)が設けられ、前記可動要素(30)のうち前記シートベルト(2)に対向する全面によって第1保持面(21)が形成されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様39)を採り得る。
また本発明では、「前記態様26から30のいずれかに記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)は、特に弾力性のワイヤークランプの形態で、前記偏向体(1)に沿って延在することを特徴とするバックル装置」という態様(態様40)を採り得る。
また本発明では、「前記態様40に記載のバックル装置であって、
前記可動要素(30)が断面に関し前記偏向体(1)を取り囲むことを特徴とするバックル装置」という態様(態様41)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2ないし40から41のいずれかに記載のバックル装置であって、
可動要素(30)は、前記偏向体(1)に沿った矩形の経路を有し、当該経路は、延在方向(9)に延在する複数の第1の部位(40)と、これら複数の第1の部位(40)と交差して延在するとともに、それぞれ互いに延在方向(9)に延在する2つの第1の部位(40)を連結する複数の第2の部位(41)を有することを特徴とするバックル装置」という態様(態様42)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1または21ないし23から25のいずれかに記載のバックル装置であって、
第1保持面(21)が第2保持面(22)の法線(31)に沿って第2保持面(22)をこえて突出し、これにより肩部ベルト領域(7)に予め設定された閾値を下回る力が作用した状態では、前記シートベルト(2)が第1保持面(21)のみに当接し、肩部ベルト領域(7)に前記閾値を上回る力が作用した状態では、前記シートベルト(2)は第2保持面(22)に当接するように変形することを特徴とするバックル装置」という態様(態様43)を採り得る。
また本発明では、「前記態様43に記載のバックル装置であって、
前記偏向体(1)から突出するとともに、前記偏向体(1)から離間して第1保持面(21)を形成する面を有する少なくとも1つの突出部(50)を備えることを特徴とするバックル装置」という態様(態様44)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2ないし44に記載のバックル装置であって、
前記突出部(50)は、延在方向(9)に交差して前記偏向体(1)を環状に取り囲むことを特徴とするバックル装置」という態様(態様45)を採り得る。
また本発明では、「前記態様44または45に記載のバックル装置であって、
複数の突出部(50)は、それぞれ前記偏向体(1)から離間する1つの面を有し、これらの面が第1保持面(21)を形成することを特徴とするバックル装置」という態様(態様46)を採り得る。
また本発明では、「前記態様44に記載のバックル装置であって、
前記突出部(50)が前記偏向体(1)を螺旋状に取り囲み、これにより肩部ベルト領域(7)が前記偏向体(1)から離間状に延在する方向に関し配設された第1の部位(60)が第1保持面(21)に設けられ、膝部ベルト領域(4)が前記偏向体(1)から離間状に延在する方向に関し配設された第2の部位(61)が第1保持面(21)に設けられることを特徴とするバックル装置」という態様(態様47)を採り得る。
また本発明では、「前記態様16または17から47のいずれかに記載のバックル装置であって、
弾性変形する変形要素(8)を備えることを特徴とするバックル装置」という態様(態様48)を採り得る。
また本発明では、「前記態様16または17から47のいずれかに記載のバックル装置であって、
少なくとも1つの延出要素(3)が巻き出される際、変形要素が少なくとも1つの軸まわりに湾曲することを特徴とするバックル装置」という態様(態様49)を採り得る。
また本発明では、「前記態様16または49に記載のバックル装置であって、
少なくとも1つの延出要素(3)が巻き出される際、ロックトング上に設けられた切り抜き部外へと変形要素(8)が引っ張られることを特徴とするバックル装置」という態様(態様50)を採り得る。
また本発明では、「前記態様16または49に記載のバックル装置であって、
前記変形要素(8)は、少なくとも1つの延出要素(3)の巻き出し時に破断する脆弱点(8b)を介して端部(8a)にてロックトング(4)に連結されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様51)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1または2から51のいずれかに記載のバックル装置であって、
少なくとも1つの延出要素(3)は、少なくとも1つの延出要素(3)の巻き出し時に破断する脆弱点(8b)を介してロックトング(4)に連結されることを特徴とするバックル装置」という態様(態様52)を採り得る。
図1は、偏向体に作用する力FShoulder及びFLapを概略的に示す図である。 図2は、図1において、更に自動車の車台に偏向装置が連結されて偏向装置がクランプされた状態を概略的に示す図である。 図3は、図1において、更に自動車の車台に偏向装置が連結されて偏向装置がクランプされた状態を概略的に示す図である。 図4は、図1および/または図3において、更に偏向ローラーと自動車の車台とが弾性変形可能な変形要素(スプリング)を介して連結された状態を概略的に示す図である。 図5は、偏向体まわりに巻き付けられる延出要素を介して当該偏向体がロックトングに連結され、付加的に拡張可能な変形要素を介して偏向体がロックトングに連結された、本発明のバックル装置の斜視図である。 図6は、図5に示すバックル装置の変更例であって、着脱可能なピン部材の形態の変形要素を備えるバックル装置を概略的に示す図である。 図7は、図5および/または図6に示すバックル装置の変更例であって、変形可能なリンクの形態の変形要素を備えるバックル装置を概略的に示す図である。 図8は、図5に示すバックル装置の変更例の斜視図である。 図9は、第1及び第2の保持面を有し、第1の保持面よりも第2の保持面の摩擦係数が大きい偏向体まわりにシートベルトが配設された、本発明のバックル装置の偏向体を概略的に示す図である。 図10は、第1及び第2の保持面を有し、第1の保持面よりも第2の保持面の摩擦係数が大きい偏向体まわりにシートベルトが配設された、本発明のバックル装置の偏向体を概略的に示す図である。 図11は、可動要素が弾性状に配設され、その前面が第1の保持面を形成する、本発明のバックル装置の偏向体を概略的に示す図である。 図12は、可動要素が弾性状に配設され、その前面が第1の保持面を形成する、本発明のバックル装置の偏向体を概略的に示す図である。 図13は、図11及び図12に示す偏向体の変更例を概略的に示す図である。 図14は、図11及び図12に示す偏向体の変更例を概略的に示す図である。 図15は、図11及び図12に示す偏向体の変更例であって、破断可能な連結部によって可動要素が偏向体に連結された状態を概略的に示す図である。 図16は、図11及び図12に示す偏向体の変更例であって、破断可能な連結部によって可動要素が偏向体に連結された状態を概略的に示す図である。 図17は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、可動要素が離脱位置において係止連結によって偏向体に保持された状態を概略的に示す図である。 図18は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、可動要素が離脱位置において係止連結によって偏向体に保持された状態を概略的に示す図である。 図19は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、可動要素がリーフスプリングとされた構成を概略的に示す図である。 図20は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、可動要素がリーフスプリングとされた構成を概略的に示す図である。 図21は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、可動要素がワイヤークランプの形態とされた構成を概略的に示す図である。 図22は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、可動要素がワイヤークランプの形態とされた構成を概略的に示す図である。 図23は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、第1の保持面が偏向体に対し固定された状態を概略的に示す図である。 図24は、図11及び図12に示す偏向体の更なる変更例であって、第1の保持面が偏向体に対し固定された状態を概略的に示す図である。 図25は、図23及び図24に示す偏向体の更なる変更例を概略的に示す図である。 図26は、図23及び図24に示す偏向体の更なる変更例を概略的に示す図である。 図27は、断面が卵形ないし楕円形とされた中央空間部分を介して互いに連結される2つの端部を有する偏向体を概略的に示す図である。 図28は、中央空間を介して2つの端部が連結され、その中央部分の断面が卵形ないし楕円形とされた構成の偏向体を概略的に示す図である。 図29は、中央空間を介して2つの端部が連結され、その中央部分の断面が卵形ないし楕円形とされた構成の偏向体を概略的に示す図である。 図30は、中央空間を介して2つの端部が連結され、その端部及び中央部分の双方の断面が卵形ないし楕円形とされた構成の偏向体を概略的に示す図である。 図31は、中央空間を介して2つの端部が連結され、その端部及び中央部分の双方の断面が卵形ないし楕円形とされた構成の偏向体を概略的に示す図である。 図32は、偏向体の中央部分の径がその偏向体の両端部の径と同一、両端部の径よりも小さい、或いは両端部の径よりも大きい、ローラーの形態の偏向体を概略的に示す図である。 図33は、偏向体の中央部分の径がその偏向体の両端部の径と同一、両端部の径よりも小さい、或いは両端部の径よりも大きい、ローラーの形態の偏向体を概略的に示す図である。 図34は、偏向体の中央部分の径がその偏向体の両端部の径と同一、両端部の径よりも小さい、或いは両端部の径よりも大きい、ローラーの形態の偏向体を概略的に示す図である。 図35は、図25及び図26に示すタイプのバックル装置の斜視図である。 図36は、図25及び図26に示すタイプのバックル装置の斜視図である。 図37は、図25及び図26に示すタイプのバックル装置の斜視図である。
1 偏向体
2 シートベルト
3 延出要素
3a 脆弱点
3b 補強ストラット
4 ロックトング
5 膝部ベルト領域
7 肩部ベルト領域
8 変形要素(ピン部材)
8a 端部
8b 脆弱点
9 延在方向
11,13 端部
12 中央部
14 断面
14a 長軸
15 断面
15a 長軸
16 円柱軸(回転軸)
20 保持領域
21 第1保持面
22 第2保持面
22a 突起部
30 可動要素
31 法線
32 スプリング要素
33 凹部
34 連結要素(連結手段)
35 ボール体
36 リーフスプリング
37 切り抜き部
40 第1の部位
41 第2の部位
50 突出部
60 第1の部位
61 第2の部位

Claims (1)

  1. 車両用のバックル装置であって、
    バックルに挿設されるロックトング(4)と、
    前記ロックトング(4)に連結され、シートベルト(2)を肩部ベルト領域(7)と膝部ベルト領域(5)とに分割するとともに、前記2つの領域(7,5)が離間しつつ異なる方向へ延在するように前記シートベルト(2)を偏向する偏向体(1)と、
    を備え、
    前記偏向体(1)は、少なくとも一部が前記偏向体(1)まわりに巻き付けられる少なくとも1つの延出要素(3)を介して前記ロックトング(4)に連結されており、
    前記肩部ベルト領域(7)に予め設定された閾値を上回る力が作用することによって、前記少なくとも1つの延出要素(3)が前記偏向体(1)から巻き出され、結果として前記肩部ベルト領域(7)に作用する力を制限することを特徴とするバックル装置。
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