JP5188387B2 - 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5188387B2
JP5188387B2 JP2008506086A JP2008506086A JP5188387B2 JP 5188387 B2 JP5188387 B2 JP 5188387B2 JP 2008506086 A JP2008506086 A JP 2008506086A JP 2008506086 A JP2008506086 A JP 2008506086A JP 5188387 B2 JP5188387 B2 JP 5188387B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer block
catalyst layer
polymer
membrane
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008506086A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008096598A1 (ja
Inventor
慎二 中井
敬次 久保
弘之 大木
友裕 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2008506086A priority Critical patent/JP5188387B2/ja
Publication of JPWO2008096598A1 publication Critical patent/JPWO2008096598A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5188387B2 publication Critical patent/JP5188387B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/8605Porous electrodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/8663Selection of inactive substances as ingredients for catalytic active masses, e.g. binders, fillers
    • H01M4/8668Binders
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • H01M8/1004Fuel cells with solid electrolytes characterised by membrane-electrode assemblies [MEA]
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Sustainable Energy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池に関する。
近年、地球環境にやさしく、クリーンな発電システムとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型等に分類される。これらのうち固体高分子型燃料電池は、低温作動性、小型軽量化などの観点から、電気自動車用電源やポータブル機器電源、さらに電気と熱を同時利用する家庭用コージェネレーションシステムなどへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、一般に次のように構成される。まず、イオン伝導性(イオンは通常プロトン)を有する高分子電解質膜の両側に、白金族の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質からなるイオン伝導性バインダーとを含む触媒層がそれぞれ形成される。各触媒層の外側には、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気する多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ形成される。ガス拡散層としてはカーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。触媒層とガス拡散層を一体化したものはガス拡散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極をそれぞれ触媒層が電解質膜と向かい合うように電解質膜に接合した構造体は膜−電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。この膜−電極接合体の両側には、導電性と気密性を備えたセパレータが配置される。電極面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を供給するガス流路が膜−電極接合体とセパレータの接触部分又はセパレータ内に形成されている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノールなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガスを供給して発電する。すなわち、燃料極では燃料がイオン化されてプロトンと電子が生じ、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反応することで水が生成する。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
また、このようなプロトン交換型燃料電池に対して、アニオン伝導性膜及びアニオン伝導性バインダーを使用するアニオン交換型燃料電池(アニオンは通常水酸化物イオン)も検討されている。この場合の固体高分子型燃料電池の構成はプロトン伝導性膜及びプロトン伝導性バインダーに代えてアニオン伝導性膜及びアニオン伝導性バインダーを使用する以外、基本的にはプロトン交換型燃料電池の場合と同様であり、電気エネルギー発生の機構としては、酸素極では酸素と水と電子とが反応して水酸化物イオンが生じ、水酸化物イオンはアニオン伝導性膜を通り燃料極で水素と反応して水と電子を生じ、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極に送られ、再び酸素及び水と反応して水酸化物イオンを生じる。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
上記電極反応は、燃料もしくは酸化剤の供給経路としての気相、イオン経路としての液相、電子経路としての固相が形成する三相界面で起こる。イオン伝導性バインダーは触媒を結着させ、触媒層から電解質膜へのプロトンもしくは水酸化物イオンの移動を媒介して該触媒の利用効率を高める目的で使用される。従って、イオン伝導性バインダーが形成するイオン経路と接触しない触媒は、3相界面を形成することができないために反応に寄与することが難しく、また、高効率を得るには燃料ガスもしくは酸化剤ガスを拡散させるための細孔構造や、触媒の分散状態など、触媒層の緻密な構造設計が重要となる。また、ガス拡散電極部では、反応ガスに含まれる水や酸素極もしくは燃料極で生成する水により、触媒表面が被覆されてしまい、燃料ガスもしくは酸化剤ガスが触媒表面に接触できなくなり発電が停止する場合や、燃料ガスもしくは酸化剤ガスの供給又は排出を妨げて電極反応が停止する場合がある。そのため、ガス拡散電極部には撥水性が要求される。
また、ガス拡散電極と電解質膜との接合については、ホットプレスなどにより接合する方法が知られている。また、良好な接合強度、電気的接合状態を得るために、ガス拡散電極と電解質膜との間にイオン伝導性バインダーを接着性樹脂として適用し、密着性を向上させる方法が知られている。かかる適用に当たってイオン伝導性バインダーは一般に溶液状態で使用される。
電極反応サイトとなる三相界面を形成するために、プロトン交換型燃料電池ではイオン伝導性バインダー(カチオン伝導性バインダー)としては、化学的に安定という理由から特許文献1や特許文献2に記載されているようにパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子であるナフィオン(Nafion,デュポン社の登録商標、以下同様)が一般的に用いられている。しかし、ナフィオンはスルホン酸基をもたない疎水性の主鎖骨格を有しており、触媒層中で該疎水性部分に被覆された触媒は三相界面を形成することができず、電極反応に寄与できないと考えられる。また、三相界面を増やし触媒利用率を高めるためにスルホン酸基の含有量を増やしても、ポリマーの親水性が高まり、バインダー自体が発電中の反応ガスに含まれる湿分や酸素極の生成水等により、電池系外に徐々に溶出してしまい、電極の劣化が進行して十分な運転時間が確保することができなくなる恐れがある。また、触媒層中のスルホン酸基含有量を増やすためにナフィオン含有量を増やしても、三相界面形成に必要な反応物の拡散経路を閉塞してしまい、電極反応効率が低下する恐れがある。
三相界面を増やすために、触媒を担持した電導性粒子とプロトン伝導性を有する電解質粒子とからなる電極が提案されている(特許文献3)。かかる電極は反応ガスの拡散経路を形成するには有利であるが、得られた電解質粒子の粒径が3〜20μmと非常に大きいために、三相界面を多くする緻密な電極触媒層の設計が困難である。また、電解質粒子にマトリックスポリマーを使用するため、触媒と接する電解質粒子表面のイオン基密度を高めることができず、三相界面形成に必要なイオン経路の形成が難しい。
イオン伝導性バインダー材料としては、フッ素系電解質以外にも、例えば、スルホン酸基などのイオン伝導性基を導入した芳香族エンプラ系樹脂が検討されている。また、芳香族エンプラ系樹脂の他にも、スチレン系の熱可塑性エラストマーからなるカチオン伝導性バインダーが提案されている(特許文献4や特許文献5)。例えば、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体の略)のスルホン化体が提案されており、水に難溶で、かつ電解質膜と良好な接合強度を有することが開示されている。しかし、上記した芳香族エンプラ系樹脂やスチレン系の熱可塑性エラストマーからなるイオン伝導性バインダーもフッ素系イオン伝導性バインダーと同様の問題を有している。
また、架橋基を導入することで高いイオン基含有量であっても水不溶とした樹脂も検討されているが、有機溶剤に不溶であるため、適当な溶剤に懸濁して使用しなければならず、触媒層中への分散性が悪く、有効な三相界面を形成することが困難である。
一方、アニオン交換型燃料電池で使用されるアニオン伝導性バインダーとしては、パーフルオロスルホン酸系高分子のスルホン酸基をアニオン交換基に変換したものが知られている。例えば、特許文献6に、テトラフルオロエチレンとCF=CFOCFCF(CF)O(CFSOFとを共重合させた後、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミンを作用させたものが開示されている。また、アニオン伝導性バインダーとして芳香族ポリエーテルスルホンと芳香族ポリチオエーテルスルホンとの共重合体のクロロメチル化物をアミノ化して得られるアニオン交換樹脂が特許文献7に開示されている。また、アニオン伝導性バインダーとしてポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体等に第4級アンモニウム基を導入したものからなるアニオン伝導性バインダーが特許文献8に開示されている。しかし、上記アニオン伝導性バインダーもカチオン伝導性バインダーと同等の欠点を有する。
上述の通り、電極反応サイトとなる三相界面形成に優れ、かつ、反応物の拡散経路を閉塞しない触媒層は開発されてないが実情である。
特公平2−7398号公報 特開平3−208260号公報 特開2003−123771号公報 特開2002−164055号公報 特表2000−513484号公報 特開2000−331693号公報 特開平11−273695号公報 特開2002−367626号公報
本発明は、経済的で、環境に優しく、成形性が良く、電極反応効率に優れる触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、高分子電解質膜と、この高分子電解質膜に該膜を挟んで接合されている2つのガス拡散電極とからなる、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体において、各ガス拡散電極は触媒層とガス拡散層から構成され、その触媒層は触媒粒子とイオン伝導性バインダーから主として構成されるが、その少なくとも一方の触媒層として用い得る触媒層であって、イオン伝導性バインダーがイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離するブロック共重合体であって、粒子径が1μm以下である該ブロック共重合体から主としてなり、該ブロック共重合体が、重合体ブロック(B)が内側に配向し、重合体ブロック(A)が外側に配向したコアシェル構造を取り、重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、ブロック共重合体と触媒粒子との接触部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなる該触媒層に関する。
本発明の触媒層は反応効率に優れる。このような構造を有する触媒層は、ブロック共重合体のイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が連続相をなすため、電極反応サイトとなる三相界面の形成に必要なイオン経路を確保し、また、触媒粒子とブロック共重合体との接触部分にイオン伝導性基を有する相を備えるために、効率良く三相界面を形成することができる。また、イオン伝導性バインダーとしてイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)があることで、触媒層の耐水性が高まり、発電中の反応ガスに含まれる湿分や酸素極の生成水等により、イオン伝導性バインダー自体が電池系外に徐々に溶出し、電極が劣化することを防止することができる。

前記ブロック共重合体において、重合体ブロック(A)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位であることが好ましい。
また、重合体ブロック(B)がゴム状重合体ブロック(B1)であることが好ましい。ゴム状重合体ブロックは、フレキシブルな構造であることによってブロック共重合体が全体として弾力性を帯び、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。
重合体ブロック(B)は、また、重合体ブロック(B1)、及び重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B1)と相分離する構造保持性重合体ブロック(B2)からなるのが好ましい。重合体ブロック(B2)を加えることによって膜−電極接合体の構造破壊や相分離構造の破壊の可能性を低減することができる。
上記イオン伝導性基としてはカチオン伝導性基もアニオン伝導性基も使用可能であるが、カチオン伝導性基としてのスルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基が好ましく、スルホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基がより好ましい。
このような電極反応効率に優れる触媒層は、前記ブロック共重合体及び必要に応じて添加剤を水系分散媒に該共重合体の粒子径が1μm以下になるように分散させた分散液と触媒粒子と必要に応じて撥水剤とを混合し、水系分散媒を除去することにより製造することができる。該共重合体の粒子径を1μm以下とすることで、従来と同じ触媒層の厚みにおいて、該共重合体と触媒粒子が接触する面積を大きくすることができる、すなわち、三相界面を増やすことができる。該共重合体の粒子径が1μmを超えても三相界面を増やす目的で触媒層中の共重合体の含有量を増やすことは可能であるが、触媒層の厚みが増すために、燃料や空気などの反応物の拡散が阻害され、電極反応効率を高めることができない。また、水系分散媒、すなわち水又は水を主体とする溶媒を用いることで、該共重合体はイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)を内層としイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)を外層とするように配向するので、ブロック共重合体と触媒粒子との接触部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなるようになる。
本発明はまた、上記触媒層を使用した膜−電極接合体並びに該膜−電極接合体を使用した燃料電池に関する。
本発明の触媒層、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池は、経済的で、環境に優しく、電極反応効率に優れ、電池効率の向上、あるいは、電極に使用する貴金属触媒の使用量低減に役立つ。
以下、本発明について詳細に説明する。図1は、本発明の燃料電池用電極の触媒層の構成を模式的に示す構成図である。図示するように、該触媒層は触媒粒子とブロック共重合体から主として構成され、ブロック共重合体はイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)とに相分離し、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、ブロック共重合体と触媒粒子との接触部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなる。
上記触媒粒子の構成材料について特に制限はなく、白金黒などの触媒金属微粒子や、触媒金属を導電性材料に担持した触媒担持粒子を使用することができる。触媒金属としては、水素やメタノールなどの燃料の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、パラジウム等、あるいはそれらの合金、例えば白金−ルテニウム合金が挙げられる。中でも白金や白金合金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は、10〜300オングストロームである。担体材料としては、導電性材料であればいずれのものでもよく、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが挙げられ、これら単独であるいは2種以上混合して使用される。
本発明で使用するブロック共重合体はイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離する共重合体である。かかる共重合体の例として、WO 2006/068279 A1に記載された共重合体が挙げられるが、本発明で使用するブロック共重合体を以下に詳述する。
重合体ブロック(A)の繰返し単位を形成し得る単量体としては特に制限はなく、例として、芳香族ビニル系化合物、炭素数4〜8の共役ジエン(1,3−ブタジエン、イソプレン等)、炭素数2〜8のアルケン(エチレン、プロピレン、イソブチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等)等が挙げられるが、イオン伝導性基導入の容易性から芳香族ビニル系化合物が好ましい。芳香族ビニル系化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン環に結合した水素原子が1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基もしくはtert−ブチル基)で置換されたスチレン(p−メチルスチレン等)、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。芳香族ビニル系化合物単位は、イオン伝導性基の導入の容易性からスチレン単位及び/又はα−メチルスチレン単位であるのが好ましい。芳香族ビニル系化合物単位は、また、電極反応の副反応で生じる過酸化水素や過酸化水素由来のヒドロキシルラジカルによる酸化からの安定性を高めるため、3級炭素を持たない構造であるのが好ましく、具体的にはα−メチルスチレン単位であるのが好ましい。
重合体ブロック(A)の繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である場合、重合体ブロック(A)は1種もしくは複数の他の単量体単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体単位としては、例えば、炭素数4〜8の共役ジエン単位(1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位等)、(メタ)アクリル酸エステル単位((メタ)アクリル酸メチル単位、(メタ)アクリル酸エチル単位、(メタ)アクリル酸ブチル単位等)、炭素数2〜8のアルケン単位(エチレン単位、プロピレン単位、イソブテン単位等)などを挙げることができる。上記で共役ジエン単位はその30モル%以上が水素添加されているのが好ましく、50モル%以上が水素添加されているのがより好ましく、80モル%以上が水素添加されているのがより一層好ましい。イオン伝導性バインダーに十分な酸化安定性を付与するために、重合体ブロック(A)における芳香族ビニル系化合物単位の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、芳香族ビニル系化合物と上記他の単量体との共重合形態はランダム共重合である必要がある。
イオン伝導性基が導入されていない状態での重合体ブロック(A)の分子量は、イオン伝導性バインダーの性状、要求性能、他の重合体成分等によって適宜選択される。分子量が大きい場合、粘度の上昇により、均一な平均粒子径を有するブロック共重合体の水分散液を得ることが難しくなる傾向になり、分子量が小さい場合、イオン伝導性バインダーに導入できるイオン伝導性基の量が制限される傾向になり、必要性能に応じて分子量を適宜選択することが重要である。上記分子量はポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、100〜1,000,000の間から選択されるのが好ましく、1,000〜100,000の間から選択されるのがより好ましい。
該ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)以外にイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)を有する。重合体ブロック(A)に高含量でイオン基が導入されていても、重合体ブロック(B)を有することによって耐水性が向上し、発電中にイオン伝導性バインダーの流出を防止できる。重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(A)と相分離し、かつ、耐水性を有していれば特に制限はないが、ゴム状重合体ブロック(B1)であることが好ましい。ゴム状重合体ブロックは、フレキシブルな構造であることによってブロック共重合体が全体として弾力性を帯び、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。ここでいうフレキシブルな重合体ブロック(B1)はガラス転移点あるいは軟化点が50℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下のいわゆるゴム状重合体ブロックである。
重合体ブロック(B1)を構成する繰返し単位としては、炭素数4〜8の共役ジエン単位(1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位等)、炭素数2〜8のアルケン単位(イソブチレン単位等)などを挙げることができる。これらの単位を与える単量体は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。また、(共)重合に供する単量体が炭素−炭素二重結合を2つ有する場合にはそのいずれが重合に用いられてもよく、共役ジエンの場合には1,2−結合であっても1,4−結合であってもよく、ガラス転移点あるいは軟化点が50℃以下であれば、また1,2−結合と1,4−結合との割合にも特に制限はない。
重合体ブロック(B1)を構成する繰返し単位が、共役ジエンである場合のように炭素−炭素二重結合を有している場合には、本発明のイオン伝導性バインダーを用いた膜−電極接合体の発電性能、耐熱劣化性の向上などの観点から、かかる炭素−炭素二重結合はその30モル%以上が水素添加されているのが好ましく、50モル%以上が水素添加されているのがより好ましく、80モル%以上が水素添加されているのがより一層好ましい。炭素−炭素二重結合の水素添加率は、一般に用いられている方法、例えば、ヨウ素価測定法、H−NMR測定等によって算出することができる。
また、重合体ブロック(B1)は、上記単量体単位以外に、ブロック共重合体に弾力性を与えるという重合体ブロック(B1)の目的を損わない範囲で他の単量体の単位、例えばスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系化合物、塩化ビニル等のハロゲン含有ビニル化合物等の単位を含んでいてもよい。この場合上記単量体と他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが必要である。重合体ブロック(B1)における共役ジエン単位やアルケン単位の割合は、上記単量体と他の単量体との合計に対して、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのがより一層好ましい。
重合体ブロック(B1)がイオン伝導性基を有さないとは実質上有さないという意味であり、ブロック共重合体製造の過程で微量のイオン伝導性基が重合体ブロック(B1)に取り込まれても、本発明の範囲内である。このことは後述する重合体ブロック(B2)にも当てはまる。
前記共重合体の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B1)との質量比は、触媒層中の耐水性が得られる割合であれば特に限定されず、95:5〜5:95であるのが好ましく、90:10〜10:90であるのがより好ましく、50:50〜10:90であるのがより一層好ましい。
ブロック共重合体における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B1)との配置については特に制限されず、ブロック共重合体はA−B1型ジブロック共重合体、A−B1−A型トリブロック共重合体、B1−A−B1型トリブロック共重合体、A−B1−A−B1型テトラブロック共重合体、A−B1−A−B1−A型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−A−B1型ペンタブロック共重合体等であることができる。これらのブロック共重合体は、各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用するブロック共重合体は重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B1)に加え、これらのブロックと異なり、これらのブロックと相分離する、イオン伝導性基を有さない他の重合体ブロック(B)として構造保持性重合体ブロック(B2)を含んでいてもよい。つまり、重合体ブロック(B)は重合体ブロック(B1)からなっていてもよいし、重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)とからなっていてもよい。重合体ブロック(B2)を構成する繰返し単位としては重合体ブロック(A)の説明で述べた芳香族ビニル系化合物単位を具体例として挙げることができる。重合体ブロック(B2)を構成するかかる芳香族ビニル系化合物単位中、重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル系化合物単位と比較してイオン伝導性基の入り難い芳香族ビニル系化合物単位が好ましく、重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル系化合物単位が例えばスチレン単位及び/又はα−メチルスチレン単位である場合には、ベンゼン環に結合した水素原子が1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されたスチレン単位(例えばt−ブチルスチレン単位)であることが好ましい。
重合体ブロック(B2)を用いた場合、イオン伝導性バインダーの膨潤が抑制され、発電中のイオン伝導性バインダーの膨潤による反応物の拡散阻害を低減することができ、また、発電中のイオン伝導性バインダーの膨潤により膜−電極接合体の構造が破壊される可能性を低減することができる。また、ブロック共重合体を分散させた水系分散液と触媒粒子との混合液から水系分散媒を除去して触媒層を形成する工程において、分散液中で形成されていたイオン伝導体の相分離構造が破壊される可能性を、重合体ブロック(B2)によって、低減することができる。
ブロック共重合体が重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B1)及び重合体ブロック(B2)から構成される場合、これらの重合体ブロックの配置については特に制限されず、A−B1−B2型トリブロック共重合体、A−B1−B2−A型テトラブロック共重合体、A−B1−A−B2型テトラブロック共重合体、B1−A−B1−B2型テトラブロック共重合体、A−B1−B2−B1型テトラブロック共重合体、B2−B1−B2−A型テトラブロック共重合体、B2−A−B1−A−B2型ペンタブロック共重合体、B2−B1−A−B1−B2型ペンタブロック共重合体、A−B2−B1−B2−A型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−B1−A型ペンタブロック共重合体、A−B2−B1−A−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−A−B1型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−A−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−B1−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−B1−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−A−B2−B1型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−A−B2型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−B2−A型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−B2−B1型ペンタブロック共重合体、B2−A−B2−B1−B2型ペンタブロック共重合体等であることができる。これらの中で、重合体ブロック(A)が末端にあって後述するシェル相を形成しやすい配置、特に、例えばA−B2−B1−B2−Aなどのゴム状重合体ブロック(B1)を中心にして、その両側に重合体ブロック(B2)を配し、さらに重合体ブロック(B2)の両外側に重合体ブロック(A)を配した配置が好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体が重合体ブロック(B2)を含む場合、ブロック共重合体に占める重合体ブロック(B2)の割合は75質量%未満であるのが好ましく、70質量%未満であるのがより好ましく、60質量%未満であるのがより一層好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体のイオン伝導性基が導入されていない状態での数平均分子量は特に制限されないが、ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、10,000〜2,000,000であることが好ましく、15,000〜1,000,000であることがより好ましく、20,000〜500,000であることがより一層好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体は重合体ブロック(A)にイオン伝導性基を有する。本発明でイオン伝導性に言及する場合のイオンとしてはカチオンとアニオンがあり、カチオンとしてはプロトンなどが挙げられ、アニオンとしては水酸化物イオンなどが挙げられる。イオン伝導性基としては、カチオン伝導性基でもアニオン伝導性基でもよいが、カチオン伝導性基の方が好適に用いられる。カチオン伝導性基としては、該イオン伝導性バインダーを用いて作製される膜−電極接合体が十分なカチオン伝導度を発現できるような基であれば特に制限されないが、−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表されるスルホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が好適に用いられる。上記でアルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどが挙げられる。カチオン伝導性基としては、また、カルボキシル基又はその塩も用いることができる。アニオン伝導性基としては、該イオン伝導性バインダーを用いて作製される膜−電極接合体が十分なアニオン伝導度を発現できるような基であれば特に限定されないが、以下に示すような基が挙げられる。
(上記式において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R〜R及びR11はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R10はメチル基又はエチル基を表し、Xは水酸化物イオン又は酸アニオンを表し、mは2〜6の整数を表し、nは2又は3を表す)。
上記式において多価の基はブロック共重合体間又はブロック共重合体内で重合体ブロック(A)同士を結合する。
イオン伝導性基は、芳香族ビニル重合体ブロック(A)の側鎖または自由末端側に存在しているのが好ましい。
イオン伝導性基の導入量は、得られるブロック共重合体の要求性能等によって適宜選択されるが、固体高分子型燃料電池用のイオン伝導性バインダーとして使用するのに十分なイオン伝導性を発現するためには、通常、ブロック共重合体のイオン交換容量が0.30meq/g以上となるような量であることが好ましく、0.40meq/g以上となるような量であることがより好ましい。ブロック共重合体のイオン交換容量の上限については特に制限はないが、通常、3meq/g以下であるのが好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体の粒子径は、触媒中の触媒粒子との接触面積を大きくするために、1μm以下であることが必要であり、0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがより一層好ましい。上記粒子径が1μm以下の場合、それを超える場合と比して、電池反応効率が向上し、電池出力を向上させることができる。該ブロック共重合体の粒子径の下限としては特に制限はないが、ブロック共重合体がイオン伝導性基を有する相とイオン伝導性基を有さない相とに相分離するのに必要な粒子径とする観点から、10nm以上であるのが好ましく、40nm以上であるのがより好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体は既述のWO 2006/068279 A1に記載された製法によってもしくはこれに準じて製造することができる。
本発明の触媒層ではブロック共重合体と触媒粒子との接触部分がイオン伝導基を有する重合体ブロック(A)からなるが、かかる構造を与えるため、ブロック共重合体は内層を重合体ブロック(B)とし外層を重合体ブロック(A)とするコアシェル構造を取ることが好ましい。かかるコアシェル構造を取ることによって、イオン伝導基を有する重合体ブロック(A)が効率よく連続相を形成することができる。また、触媒粒子と接触するブロック共重合体の表面にイオン伝導性基を高密度で備えることができるため、電極反応サイトとなる三相界面の形成に有利である。また、本発明では、触媒粒子間の空間の1%〜90%は空隙のまま残されていることにより、イオン伝導性バインダーが触媒粒子を完全に被覆しないため、反応物(水素ガス、メタノール、酸素等)の拡散経路を十分に確保することができ、燃料及び酸素利用効率に優れる。
本発明で使用するイオン伝導性バインダーは上記ブロック共重合体を主成分とする。
本発明で使用するイオン伝導性体は、本発明の効果を損わない限り、各種添加剤、例えば、軟化剤、安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、カーボン繊維、無機充填剤等を各単独で又は2種以上組み合わせて含有していてもよい。
軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系もしくはアロマ系のプロセスオイル等の石油系軟化剤、パラフィン、植物油系軟化剤、可塑剤等が挙げられる。
安定剤はフェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等を包含し、具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2,−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロジナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系安定剤;ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジアステリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定剤等が挙げられる。これら安定剤は各単独で用いても、2種以上組み合わせても用いてもよい。無機充填剤の具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタン、モンモリロナイト、アルミナ等が挙げられる。
イオン伝導性バインダーに含有させ得る上記種々の任意の添加剤の添加時期に関しては、ブロック共重合体と添加剤とを予め混合してもよいし、後述する、ブロック共重合体の水を主体とする分散媒への分散液を調製する際に添加してもよく、又はかかる分散液と触媒との混合時に添加してもよい。
本発明で使用するイオン伝導性バインダーにおけるブロック共重合体の含有量は、イオン伝導性の観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましい。
本発明における触媒層は既述した触媒粒子とイオン伝導性バインダーとから主として構成されるが、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、撥水剤を例示することができる。撥水剤としては例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。通常撥水剤である添加剤はブロック共重合体と触媒とを混合する際に添加することができる。
なお、本発明における触媒層に占める触媒粒子とイオン伝導性バインダーとの合計は、触媒粒子とイオン伝導性バインダーとの接触面積を確保し、高い電極反応効率を得る観点から90質量%以上であるのが好ましく、95質量%以上であるのがより好ましい。
本発明の触媒層においては、ブロック共重合体と触媒粒子との接触部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなっているが、かかる構造とするには、前記ブロック共重合体をイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)が内側にイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が外側に配向した形態(すなわちコアシェル構造)とすることが好ましい。かかる形態を誘導する方法は特に制限されない。例として、(1)前記ブロック共重合体及び必要に応じ添加剤を水系分散媒に分散させた分散液と触媒粒子及び必要に応じ撥水剤とを混合し、混合液から水系分散媒を除去する方法などが挙げられる。この方法における分散液としては乳化液又は懸濁液が好ましく、乳化液がより好ましい。
既述の如く、本発明の触媒層においては、触媒粒子間の空間にはイオン伝導性バインダーなどが存在するが、該空間の一部、好ましくは1〜90%は空隙のまま残され、反応物の通り道となるが、空隙率を上記のように調節するには、前記(1)の方法における分散液中のブロック共重合体の濃度を調整する、分散液と触媒粒子との混合物に造孔剤を加えてキャスティングした後に造孔剤を溶解除去する等の手段を講ずればよい。造孔剤としては、亜鉛、アルミニウム、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、ニッケル、マグネシウム、カルシウム等の金属や、これらの金属の少なくとも1つを含む合金や化合物;ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子からなる繊維等を用いることができる。上記方法の内、空隙率にもっとも影響を与えるのが、濃度の調整であり、水系分散媒が蒸発した箇所が空隙として残る。触媒層の空隙率は、例えば、触媒層の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を撮影し、その中で空隙の占める面積率を計算することにより求めることができる。
前記(1)の方法における分散液中のブロック共重合体の粒子径は、触媒中の触媒粒子との接触面積を大きくするために、1μm以下であることが必要であり、0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。上記粒子径が1μm以下の場合、それを超える場合と比して、電池反応効率が向上し、電池出力を向上させることができる。上記分散液中のブロック共重合体の粒子径の下限としては特に制限はないが、ブロック共重合体がイオン伝導性基を有する相とイオン伝導性基を有さない相とに相分離するのに必要な粒子径とする観点から、10nm以上であるのが好ましく、40nm以上であるのがより好ましい。分散液中の粒子径は一般に用いられている方法、例えば、動的光散乱法などで測定することができる。
前記(1)の方法においてブロック共重合体の分散液を得る方法は特に限定されず、該共重合体を水系分散媒に乳化する方法、乳化重合や懸濁重合などの液相重合から得る方法などを挙げることができるが、該共重合体を乳化する方法が好ましい。
ブロック共重合体を乳化する方法としては、ブロック共重合体の溶融物を、ブロック共重合体の融点以上の温度で水系分散媒に分散させる直接乳化法を用いることができる。水系分散媒は水又は水を主体とする溶媒の意である。別の方法として、ブロック共重合体を有機溶媒に溶解させた後に、この溶液を水系分散媒に分散させる溶液反転乳化法を用いることができる。ブロック共重合体の溶解に用いる有機溶媒や、分散媒として用いる水に混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類の他、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を例示することができる。これらの溶媒は各単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、共重合体の分散において、有機溶媒を使用する場合には、分散後に、有機溶媒を除去することが好ましい。有機溶媒の除去は、例えば、攪拌機とコンデンサーを備えた反応槽やベントを備えた押出機、ロータリーエバポレーター等を用いて、水との共沸を利用して実施することができる。有機溶媒の除去は、常圧または減圧のいずれの圧力下で実施してもよい。
共重合体の分散化は攪拌手段を備えた容器を用いて実施することができる。攪拌手段としては、特に制限されないが、大きな剪断力を生じさせる観点から、タービン型攪拌機、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザーが好ましい。また、分散は、可動式の攪拌装置を備えたラインミキサーや非可動式のライン式の混合機(スタティックミキサー、商品名、株式会社ノリタケ製)などを使用して行ってもよい。この他に、上記したような攪拌手段により一度分散化を行った後に、さらに、高圧ホモジナイザー(マントンゴーリン、商品名、APVゴーリン社製;マイクロフルイダイザー、商品名、みづほ工業株式会社製;ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製など)等による微分散化処理を行ってもよい。
共重合体を水系分散媒に分散させる際には、乳化/分散剤として界面活性剤を使用してもよく、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤の使用量は、通常、使用するブロック共重合体100質量部に対して、通常、0.1〜40質量部の範囲内であり、好ましくは0.1〜20質量部の範囲内であるが、必要最小限に止めるのがよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤や多価アルコール型ノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド化合物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。多価アルコール型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどを挙げることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、第1級高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、アルコキシスルホニル高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、スルホン化高級アルコールエーテルの塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ホスホン化アルキルエーテルの塩、ホスホン化アルキルアリルエーテルの塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
ブロック共重合体の分散液と触媒粒子とを混合する方法については特に制限はなく、上記したブロック共重合体の乳化に使用できるような攪拌手段を備えた容器を用いて実施することができる。
ブロック共重合体と触媒粒子との混合液から電極触媒層を形成する方法については特に制限はなく、印刷法やスプレー法などの公知の方法を適用することができる。
次に、本発明の電極を用いた膜−電極接合体について述べる。膜−電極接合体の製造方法については特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、触媒層をガス拡散層上に形成させることでガス拡散電極を作製し、ついで1対のガス拡散電極を、それぞれ触媒層を内側にして、高分子電解質膜の両側にホットプレスなどにより接合させる方法や、本発明の触媒層を高分子電解質膜の両側に形成させ、それぞれの触媒層に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着させる方法がある。さらに別の製造法として、まず、触媒層をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製などの基材フィルム上に形成し、ついで、1対のこの基材フィルム上の触媒層を電解質膜の両側に加熱圧着により転写し、基材フィルムを剥離することで電解質膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法がある。また、触媒層と高分子電解質膜とを一体化する際に高分子電解質を含む溶液又は懸濁液を、高分子電解質膜の両面及び/又は2対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、高分子電解質膜と触媒層面とを貼り合わせ、熱圧着などにより接合させる方法がある。この場合、該溶液又は懸濁液は高分子電解質膜及び触媒層面のいずれか一方に塗付してもよいし、両方に塗付してもよい。これらの方法においては、イオン伝導性基をNaなどの金属との塩にした状態で行い、接合後の酸処理によってプロトン型に戻す処理を行ってもよい。
上記膜−電極接合体を構成する高分子電解質膜としては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュポン社製)や「Gore−select」(登録商標、ゴア社製)などの既存のパーフルオロスルホン酸系ポリマーからなる電解質膜、スルホン化ポリエーテルスルホンやスルホン化ポリエーテルケトンからなる電解質膜、リン酸や硫酸を含浸したポリベンズイミダゾールからなる電解質膜等を用いることができる。また、本発明の触媒層に使用するイオン伝導性バインダーを構成するブロック共重合体から電解質膜を作製してもよい。なお、高分子電解質膜とガス拡散電極との密着性を一層高めるためには、本発明の触媒層に使用するイオン伝導性バインダー中のブロック共重合体と同一材料から形成した電解質膜を用いることが好ましい。
上記膜−電極接合体のガス拡散層は、導電性及びガス透過性を備えた材料から構成され、かかる材料として例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素繊維よりなる多孔性材料が挙げられる。また、かかる材料には、撥水性を向上させるために、撥水化処理を施してもよい。
上記のような方法で得られた膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより、固体高分子型燃料電池が得られる。本発明の膜−電極接合体は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体として使用可能である。
上記膜−電極接合体を使用した本発明の燃料電池は、電極反応効率に優れるので、電池効率を向上させるか、あるいは電極に使用する貴金属触媒の使用量を低減させることができる。また、該燃料電池は化学的安定性に優れ、経時的な発電特性の低下が少なく、長時間安定して使用できる。
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
参考例1
ポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(A))と水添ポリブタジエン(重合体ブロック(B))とからなるブロック共重合体の製造
既報の方法(WO 02/40611号)と同様の方法で、ポリα−メチルスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSEBmSと略記する)を合成した。得られたmSEBmSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は76000であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は55%、α−メチルスチレン単位の含有量は30.0質量%であった。また、ポリブタジエンブロック中には、α−メチルスチレンが実質的に共重合されていないことが、H−NMRスペクトル測定による組成分析により判明した。
合成したmSEBmSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリα−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下HmSEBmSと略記する)を得た。得られたHmSEBmSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.6%であった。
参考例2
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B1))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(B2))からなるブロック共重合体の製造
既報の方法(特開2006−49002号公報)と同様の方法で、1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン568ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)1.14mlを仕込んだ後、スチレン4.27ml、4−tert−ブチルスチレン53.3ml、イソプレン66.4ml、4−tert−ブチルスチレン52.6ml及びスチレン9.30mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリスチレン−b−(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、StBSItBSSと略記する)を合成した。得られたStBSItBSSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は167471であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は93.5%、スチレン単位の含有量は9.6質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は62.2質量%であった。
合成したStBSItBSSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−水添ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、StBSEPtBSSと略記する)を得た。得られたStBSEPtBSSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
実施例1
(1)スルホン化HmSEBmSの合成
塩化メチレン99.0ml中、0℃にて無水酢酸49.5mlと硫酸22.1mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例1で得られたブロック共重合体HmSEBmS100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。35℃にて6時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化HmSEBmSを得た。得られたスルホン化HmSEBmSのイオン交換容量は1.73meq/gであった。イオン交換容量の測定は以下の手順により行った。
イオン交換容量の測定
試料を密閉できるガラス容器中に秤量(a(g))し、そこに過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を、フェノールフタレイン液を指示薬とし、0.01NのNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(b(ml))した。イオン交換容量は、次式により求めた。イオン交換容量=(0.01×b×f)/a
(2)スルホン化HmSEBmSの水分散液の調製
5質量%のスルホン化HmSEBmS溶液(トルエン/イソブチルアルコール=7/3)を調製し、次いで、ホモジナイザー(エム・テクニック株式会社製CLEARMIX)を用いて5000r.p.m.で攪拌しながら水を0.5ml/minの速度で添加した。液粘度が上昇して攪拌が困難になった時点で回転数を7000r.p.m.にし、同時に水の添加速度を5ml/minとしたところでポリマー溶液が懸濁した。エバポレーターを用いて溶剤を除去し、最終的に5質量%の水分散液を作製した。得られた水分散液中のスルホン化HmSEBmSの平均粒径は約10μmであった。
(3)(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約100nmである、スルホン化HmSEBmSの水分散液を得た。
(4)アノードの作製
実施例1(3)で得られた分散液と触媒とn−プロピルアルコールとを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを東レ社製のカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、60℃で30分乾燥させることでアノードを作製した。アノード用触媒には田中貴金属工業社製のPt−Ru担持カーボン(TEC61E54、Pt:Ru:カーボン=30:23:47)を使用した。作製したアノードは、Pt 1.00mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.49(質量比)であった。
(5)カソードの作製
デュポン社製のNafion(DE1021、パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子)水分散液と触媒とn−プロピルアルコールとを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを撥水処理した東レ社製のカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、115℃で30分乾燥させることでカソードを作製した。カソード用触媒には田中貴金属工業社製のPt担持カーボン(TEC10E50E、Pt:カーボン=47:53)を使用した。作製したカソードは、Pt 1.02mg/cm、Nafion/触媒金属=0.85(質量比)であった。
(6)膜−電極接合体の作製
デュポン社製のNafion117(パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、膜厚は175μm、9cm角)、実施例1(4)で得られたアノード(5cm角)、実施例1(5)で得られたカソード(5cm角)を張り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
実施例2
(1)スルホン化StBSEPtBSSの合成
実施例1(1)と同様の方法で、スルホン化StBSEPtBSSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン29.6ml中、0℃にて無水酢酸14.8mlと硫酸6.62mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例2で得られたブロック共重合体StBSEPtBSS20gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン262mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。常温にて48時間攪拌後、塩化メチレン50mlを加えて重合体溶液を希釈した。2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化StBSEPtBSSの合成を得た。得られたスルホン化StBSEPtBSSのイオン交換容量は0.86meq/gであった。
(2)スルホン化StBSEPtBSSの水分散液の調製
5質量%のスルホン化StBSEPtBSS溶液(トルエン/イソブチルアルコール=8/2)を調製し、次いで、薄膜旋回型高速ホモジナイザー(プライミクス社製 フィルミックス)に周速30m/sで攪拌しながらポリマー溶液を70ml/min、水を80ml/minの速度で添加し、転相乳化させた。エバポレーターを用いて溶剤を除去し、5質量%の水分散液を作製した。得られた水分散液中のスルホン化HStBSEPtBSSの平均粒径は約7.0μmであった。
(3)(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約53nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
(4)アノードの作製
実施例2(3)で得られた分散液を用いる以外は実施例1(4)と同様にしてアノードを作製した。作製したアノードは、Pt 1.00mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.89(質量比)であった。
(5)膜−電極接合体の作製
実施例2の(4)で得られたアノードを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
実施例3
(1)アノードの作製
デュポン社製のNafion(DE1021、パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子)水分散液と触媒とn−プロピルアルコールとを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを東レ社製のカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、115℃で30分乾燥させることでアノードを作製した。アノード用触媒には田中貴金属工業社製のPt−Ru担持カーボン(TEC61E54、Pt:Ru:カーボン=30:23:47)を使用した。作製したアノードは、Pt 1.00mg/cm、Nafion/触媒金属=0.89(質量比)であった。
(2)カソードの作製
実施例2(3)で得られた分散液と触媒とn−プロピルアルコールとを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを撥水処理した東レ社製のカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、60℃で30分乾燥させることでカソードを作製した。カソード用触媒には田中貴金属工業社製のPt担持カーボン(TEC10E50E、Pt:カーボン=47:53)を使用した。作製したカソードは、Pt 1.00mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.49(質量比)であった。
(3)膜−電極接合体の作製
デュポン社製のNafion212(パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、膜厚は50μm、9cm角)と、実施例3(1)で得られたアノード(5cm角)、実施例3(2)で得られたカソード(5cm角)を張り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
比較例1
(1)アノードの作製
実施例1(2)で得られたスルホン化HmSEBmSの水分散液(平均粒径は約10μm)を用いて、実施例1の(4)と同様の方法にてアノードを作製した。作製したアノードは、Pt 1.04mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.50(質量比)であった。
(2)膜−電極接合体の作製
比較例1(2)で得られたアノードを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例2
(1)アノードの作製
実施例1(1)で得られたスルホン化HmSEBmSをTHFに溶解することで作製した、スルホン化HmSEBmSの均一溶液を実施例1(4)の分散液の代りに用いた以外は実施例1(4)と同様の方法にてアノードを作製した。作製したアノードは、Pt 1.02mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.50(質量比)であった。
(2)膜−電極接合体の作製
比較例2(1)で得られたアノードを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例3
(1)アノードの作製
実施例2(1)で得られたスルホン化StBSEPtBSSをTHFに溶解することで作製した、スルホン化StBSEPtBSSの均一溶液を実施例1(4)の分散液の代りに用いた以外は実施例1(4)と同様の方法にてアノードを作製した。作製したアノードは、Pt 1.00mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.89(質量比)であった。
(2)膜−電極接合体の作製
比較例3(1)で得られたアノードを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例4
(1)カソードの作製
実施例2(1)で得られたスルホン化StBSEPtBSSをTHFに溶解することで作製した、スルホン化StBSEPtBSSの均一溶液を実施例3(2)の分散液の代りに用いた以外は実施例3(2)と同様の方法にてカソードを作製した。作製したカソードは、Pt 1.00mg/cm、ブロック共重合体:触媒金属=0.51(質量比)であった。
(2)膜−電極接合体の作製
比較例4(1)で得られたカソードを用いる以外は実施例3(3)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例5
(1)平均粒子11μmの乳化液の作製
メタクリレート系反応性乳化剤(三洋化成工業社製のエミノール RS−30)11.2g、トリメチロールプロパントリアクリレート(架橋剤)0.8g及び炭酸ナトリウム(安定化剤)0.730gを水146.4gに懸濁させ、2.0%過硫酸カリウム水溶液1.0gを窒素雰囲気で添加した後、80℃に昇温し、3時間攪拌することで平均粒子径が11μmである乳化液を得た。
(2)アノードの作製
比較例5(1)で得られた乳化液と触媒とを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを東レ社製のカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、60℃で30分乾燥させ、次いで、1N−硫酸に室温で24時間浸漬することでプロトン交換型にイオン交換させた。アノード用触媒には田中貴金属工業社製のPt−Ru担持カーボン(TEC61E54、Pt:Ru:カーボン=30:23:47)を使用した。作製したアノードは、Pt 1.00mg/cm、ブロック共重合体/触媒金属=0.90(質量比)であった。
(3)膜−電極接合体の作製
比較例5(2)で得られたアノードを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
実施例及び比較例の膜−電極接合体の性能試験
1)燃料電池単セル出力性能評価(アノード)
実施例1、実施例2及び比較例1〜3で作製した膜−電極接合体のそれぞれを、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で順に挟み固体高分子型燃料電池用単セルを作製した。なお、それぞれの膜−電極接合体とセパレータとの間には、電極の厚さ分の段差からのガス漏れを防ぐために、ガスケットを配した。燃料には5mol/LのMeOH水溶液を用い、酸化剤には60℃のバブラにて加湿した酸素を用いた。試験条件は、アノード流量:1ml/min、カソード流量:250ml/min、セル温度60℃とし、電流−電圧特性を評価した。
2)燃料電池単セル出力性能評価(カソード)
実施例3、及び比較例4で作製した膜−電極接合体のそれぞれを、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で順に挟み固体高分子型燃料電池用単セルを作製した。なお、それぞれの膜−電極接合体とセパレータとの間には、電極の厚さ分の段差からのガス漏れを防ぐために、ガスケットを配した。燃料には60℃のバブラにて加湿した水素を用い、酸化剤には60℃のバブラにて加湿した空気を用いた。試験条件は、アノード流量:261ml/min、カソード流量:250ml/min、セル温度60℃とし、電流−電圧特性を評価した。
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2で得られた電極の触媒層の電子顕微鏡写真
実施例1(4)で得られたアノードの触媒層の電子顕微鏡写真を図2に示す。触媒層中のブロック共重合体はイオン伝導性基を有する相がシェル層であり、イオン伝導性基を有さない相がコア相であるコアシェル構造を形成している。コアシェル構造のシェル相は連続的なイオン経路を形成し、また、該イオン経路と触媒粒子と空隙(空隙率10%)とが界面を形成し、電極反応サイトとなる三相界面を形成している構造が明確に示された。図3に示した実施例2(1)で得られたアノードについても同様に、ブロック共重合体はコアシェル構造を形成し、また、イオン経路と触媒粒子と空隙(空隙率15%)とが三相界面を形成していることが明確に示された。なお、触媒層中の空隙率は任意の5箇所における電子顕微鏡写真の空隙率を平均して算出した。一方、図4に示した比較例1で作製したアノードの触媒層については、ブロック共重合体の相分離構造は確認できるが、イオン伝導性基を有する相の連続性がなくイオン経路の形成効率が悪く、また、イオン伝導性バインダーと触媒粒子との接触部分は、イオン伝導性基を含む相とイオン伝導性基を含まない相のどちらの相にも被覆されており、三相界面の形成効率が悪い。図5に示す比較例2で作製したアノードの触媒層については、イオン伝導性バインダーとしてのブロック共重合体の相分離構造が得られず、イオン経路の形成効率が悪い。
単セルのアノード性能評価試験の結果
実施例1、実施例2、及び比較例1〜3及び5で作製した膜−電極接合体について、固体高分子型燃料電池用単セルの出力性能評価試験の結果を表1に示す。実施例1と比較例1との比較から、本発明の電極触媒層は、分散液中のブロック共重合体の粒子径が10μの分散液から作製した電極に比して、電池出力が高く、電池反応効率が向上することが明確となった。また、実施例1と比較例2との比較及び実施例2と比較例3との比較から、本発明の電極は、ブロック共重合体の溶液を使用して作製した電極触媒層に比して、電池出力が高く、電池反応効率が向上することが明確となり、本発明の電極構造の優位性が証明された。また、比較例5において、特開2003−123771号公報において開示されている電解質微粒子と類似の架橋微粒子をイオン伝導性バインダーとして用いた結果、本発明のイオンチャンネルが制御された構造に比して性能が低いことが確認され、本発明の優位性が示された。
単セルのカソード性能評価試験の結果
実施例3及び比較例4で作製した膜−電極接合体について、固体高分子型燃料電池用単セルの出力性能評価試験の結果を表2に示す。実施例3と比較例4との比較から、本発明の電極は、ブロック共重合体の溶液を使用して作製した電極触媒層に比して、電池出力が高く、電池反応効率が向上することがカソードについても明確となり、本発明の電極構造の優位性が証明された。
実施例及び比較例の単セルについての電流密度に対する電圧の変化の測定
実施例1〜3及び比較例1〜4で作製した膜−電極接合体について、固体高分子型燃料電池用単セルの発電特性として、電流密度に対する電圧の変化を測定した。電流−電圧特性を図6〜図12に示す。
本発明の燃料電池用電極の触媒層の構成を模式的に示す構成図である。 実施例1の(4)で得られた固体高分子型燃料電池用のアノードの触媒層の電子顕微鏡写真である。 実施例2の(4)で得られた固体高分子型燃料電池用のアノードの触媒層の電子顕微鏡写真である。 比較例1の(1)で得られた固体高分子型燃料電池用のアノードの触媒層の電子顕微鏡写真である。 比較例2の(1)で得られた固体高分子型燃料電池用のアノードの触媒層の電子顕微鏡写真である。 実施例1の(6)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 実施例2の(6)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 実施例3の(2)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 比較例1の(2)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 比較例2の(2)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 比較例3の(2)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 比較例4の(2)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。 比較例5の(3)で得られた膜−電極接合体の固体高分子型燃料電池単セルの電流―電圧特性を示す図である。
符号の説明
1、5、9、13及び17 触媒粒子
2、6、10及び14 イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)
3、7、11及び15 イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)
4、8、12、16及び18 空隙

Claims (13)

  1. 高分子電解質膜と、この高分子電解質膜に該膜を挟んで接合されている2つのガス拡散電極とからなる、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体において、各ガス拡散電極は触媒層とガス拡散層から構成され、その触媒層は触媒粒子とイオン伝導性バインダーから主として構成されるが、その少なくとも一方の触媒層として用い得る触媒層であって、イオン伝導性バインダーがイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離するブロック共重合体であって、粒子径が1μm以下である該ブロック共重合体から主としてなり、該ブロック共重合体が、重合体ブロック(B)が内側に配向し、重合体ブロック(A)が外側に配向したコアシェル構造を取り、重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、ブロック共重合体と触媒粒子との接触部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなる該触媒層。
  2. 重合体ブロック(A)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項1記載の触媒層。
  3. 芳香族ビニル系化合物がスチレン、α−メチルスチレン及びベンゼン環に結合した水素原子が1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されたスチレンから選ばれる請求項2記載の触媒層。
  4. 重合体ブロック(B)がゴム状重合体ブロック(B1)からなる請求項1記載の触媒層。
  5. 重合体ブロック(B1)が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素-炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種を繰り返し単位とする重合体ブロックである請求項4記載の触媒層。
  6. 重合体ブロック(B)が重合体ブロック(B1)、及び重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B1)と相分離する構造保持性重合体ブロック(B2)からなる請求項1記載の触媒層。
  7. 重合体ブロック(B2)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項6記載の触媒層。
  8. ブロック共重合体が、重合体ブロック(B1)を中心にして、その両側に重合体ブロック(B2)を配し、さらに重合体ブロック(B2)の両外側に重合体ブロック(A)を配した構造を有する請求項6記載の触媒層。
  9. イオン伝導性基が、スルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基である請求項1記載の触媒層。
  10. 触媒粒子間の空間の1〜90%が空隙である請求項1記載の触媒層。
  11. 該ブロック共重合体及び必要に応じて添加剤を水系分散媒に該共重合体の粒子径が1μm以下になるように分散させた分散液と触媒粒子及び必要に応じて撥水剤とを混合し、水系分散媒を除去することを特徴とする請求項1記載の触媒層の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の触媒層を使用した膜-電極接合体。
  13. 請求項12記載の膜-電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
JP2008506086A 2007-02-07 2008-01-23 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 Expired - Fee Related JP5188387B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008506086A JP5188387B2 (ja) 2007-02-07 2008-01-23 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007028230 2007-02-07
JP2007028230 2007-02-07
PCT/JP2008/050859 WO2008096598A1 (ja) 2007-02-07 2008-01-23 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜-電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP2008506086A JP5188387B2 (ja) 2007-02-07 2008-01-23 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008096598A1 JPWO2008096598A1 (ja) 2010-05-20
JP5188387B2 true JP5188387B2 (ja) 2013-04-24

Family

ID=39681509

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008506086A Expired - Fee Related JP5188387B2 (ja) 2007-02-07 2008-01-23 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池

Country Status (7)

Country Link
US (1) US8420276B2 (ja)
EP (1) EP2131424B1 (ja)
JP (1) JP5188387B2 (ja)
KR (1) KR101503941B1 (ja)
CN (1) CN101652887B (ja)
TW (1) TWI426650B (ja)
WO (1) WO2008096598A1 (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2242137B1 (en) * 2008-02-06 2014-12-03 Kuraray Co., Ltd. Membrane-electrode assembly and solid polymer electrolyte fuel cell
DE102008028552A1 (de) * 2008-06-16 2009-12-17 Elcomax Membranes Gmbh Gasdiffusionselektroden mit funktionalisierten Nanopartikeln
JP5352252B2 (ja) * 2009-01-19 2013-11-27 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用触媒層の製造方法
JP2011099368A (ja) * 2009-11-05 2011-05-19 Denso Corp SOx吸収装置およびそれを用いた排気浄化装置
JP5405275B2 (ja) * 2009-11-19 2014-02-05 株式会社クラレ 触媒層およびその製造方法
EP2553751A4 (en) 2010-04-01 2014-07-16 Trenergi Corp HIGH TEMPERATURE MEMBRANE ELECTRODE ASSEMBLY WITH HIGH POWER DENSITY AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
US9105933B2 (en) * 2010-06-29 2015-08-11 Vito Nv Gas diffusion electrode, method of producing same, membrane electrode assembly comprising same and method of producing membrane electrode assembly comprising same
JP2012104244A (ja) * 2010-11-05 2012-05-31 Kuraray Co Ltd 触媒層形成用組成物、ガス拡散電極、膜−電極接合体及び燃料電池
EP3367467B1 (en) 2011-05-17 2020-03-04 Indiana University Research & Technology Corporation Methods for making a battery
TWI654241B (zh) 2012-03-15 2019-03-21 科騰聚合物美國有限責任公司 經磺化之嵌段共聚物與微粒碳之摻合物及包含該摻合物之膜、薄膜及塗層
KR20150047492A (ko) * 2012-08-23 2015-05-04 가부시키가이샤 구라레 고분자 전해질 막
TWI551615B (zh) * 2014-12-31 2016-10-01 奇美實業股份有限公司 共軛二烯-乙烯基芳香烴共聚物
EP3275035A1 (en) * 2015-03-24 2018-01-31 3M Innovative Properties Company Porous electrodes and electrochemical cells and liquid flow batteries therefrom
DE102015217055A1 (de) * 2015-09-07 2017-03-09 Osram Oled Gmbh Optoelektronisches Bauelement und Verfahren zur Detektion einer Fehlstelle in einem optoelektronischen Bauelement
KR102664090B1 (ko) 2018-08-20 2024-05-07 현대자동차주식회사 전도성 고분자 쉘을 지닌 금속 나노입자 및 전도성 박막을 포함하는 전극 및 이들의 제조 방법
KR102644546B1 (ko) 2018-10-17 2024-03-06 현대자동차주식회사 연료 전지용 촉매 복합체 및 이의 제조 방법
CN112310420A (zh) * 2019-07-29 2021-02-02 上海济平新能源科技有限公司 燃料电池用电极、膜电极组件、芯片、催化剂层、催化剂分散液及其制备方法
CN112054152B (zh) * 2020-09-30 2023-04-28 中创新航技术研究院(江苏)有限公司 隔膜和电池
US11469449B1 (en) * 2021-09-01 2022-10-11 Enevate Corporation Phosphorus-containing compounds as additives for silicon-based li ion batteries
CN114725457B (zh) * 2022-03-29 2024-03-12 上海交通大学 一种加快局域氧气传质的膜电极制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003036857A (ja) * 2001-07-19 2003-02-07 Honda Motor Co Ltd 固体高分子型燃料電池用膜電極複合体
JP2005108827A (ja) * 2003-09-12 2005-04-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 触媒層形成用インク、これを用いた電極及び膜電極接合体
JP2005197178A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池用電極
JP2005259646A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Hitachi Maxell Ltd 液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた液体燃料電池
JP2005259513A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Toyota Motor Corp 燃料電池用電極、膜/電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP2006202737A (ja) * 2004-12-20 2006-08-03 Kuraray Co Ltd イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6167786A (ja) 1984-09-10 1986-04-07 Japan Storage Battery Co Ltd イオン交換樹脂膜−電極接合体の製造法
US4905931A (en) 1988-02-18 1990-03-06 The Boeing Company Arc suppression around fasteners
JPH03208260A (ja) 1990-01-09 1991-09-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体高分子電解質膜と電極との接合体の製造方法
US5677074A (en) * 1996-06-25 1997-10-14 The Dais Corporation Gas diffusion electrode
JPH11273695A (ja) 1998-03-19 1999-10-08 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子電解質型メタノール燃料電池
JP2000331693A (ja) 1999-05-19 2000-11-30 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子型燃料電池
JP3962548B2 (ja) 2001-01-19 2007-08-22 本田技研工業株式会社 高分子電解質型燃料電池
JP4641612B2 (ja) 2000-09-14 2011-03-02 株式会社トクヤマ ガス拡散電極用プロトン伝導性付与剤
US6806317B2 (en) 2000-11-20 2004-10-19 Kuraray Co., Ltd. Pressure-sensitive adhesive/adhesive and block copolymer suitable for use therein
JP4749604B2 (ja) 2001-06-12 2011-08-17 株式会社トクヤマ ガス拡散電極用イオン伝導性付与剤
DE10226073B8 (de) * 2001-06-13 2007-10-18 Honda Giken Kogyo K.K. Elektrode für eine ein Festpolymerelektrolyt aufweisende Brennstoffzelle und Herstellungsverfahren dafür
JP3738723B2 (ja) * 2001-10-19 2006-01-25 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用の電極およびこれを用いる燃料電池
DE112004000288T5 (de) 2003-02-13 2006-09-14 E.I. Dupont De Nemours And Co., Wilmington Elektrokatalysatoren und Verfahren zur Herstellung
US7364813B2 (en) 2003-09-12 2008-04-29 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Ink for forming catalyst layer, and electrode and membrane-electrode assembly using the same
JP2006049002A (ja) 2004-08-02 2006-02-16 Toyota Motor Corp 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質膜、及び燃料電池
WO2006068279A1 (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Kuraray Co., Ltd. イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003036857A (ja) * 2001-07-19 2003-02-07 Honda Motor Co Ltd 固体高分子型燃料電池用膜電極複合体
JP2005108827A (ja) * 2003-09-12 2005-04-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 触媒層形成用インク、これを用いた電極及び膜電極接合体
JP2005197178A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池用電極
JP2005259513A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Toyota Motor Corp 燃料電池用電極、膜/電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP2005259646A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Hitachi Maxell Ltd 液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた液体燃料電池
JP2006202737A (ja) * 2004-12-20 2006-08-03 Kuraray Co Ltd イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池

Also Published As

Publication number Publication date
EP2131424B1 (en) 2013-01-09
EP2131424A1 (en) 2009-12-09
WO2008096598A1 (ja) 2008-08-14
TW200843168A (en) 2008-11-01
CN101652887B (zh) 2012-08-22
EP2131424A4 (en) 2012-01-25
CN101652887A (zh) 2010-02-17
KR20090109123A (ko) 2009-10-19
TWI426650B (zh) 2014-02-11
US8420276B2 (en) 2013-04-16
KR101503941B1 (ko) 2015-03-18
US20100323269A1 (en) 2010-12-23
JPWO2008096598A1 (ja) 2010-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5188387B2 (ja) 触媒層及びその製法並びに該触媒層を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP5501771B2 (ja) 膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP5191139B2 (ja) 高分子電解質、高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP5118484B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質積層膜、膜−電極接合体及び燃料電池
KR101353211B1 (ko) 고분자 전해질막, 막-전극 접합체 및 고체 고분자형 전해질연료 전지
JP5276442B2 (ja) 高分子電解質、高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池
WO2006068279A1 (ja) イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池
JP2006210326A (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池
JP2008004312A (ja) イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池
JP2007258003A (ja) 高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池
JP2006202737A (ja) イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池
JP5405275B2 (ja) 触媒層およびその製造方法
JP2007214064A (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池
JP2007194048A (ja) イオン伝導性バインダー、膜−電極接合体及び燃料電池
JP4836666B2 (ja) 触媒電極層用プロトン伝導性付与剤溶液
JP5706906B2 (ja) 高分子電解質膜、膜−電極接合体、及び固体高分子型燃料電池
JP2007042573A (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池
JP2008153175A (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体の製造方法
JP2010067526A (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池
JP2010061914A (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101003

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130122

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees