JP5501771B2 - 膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Description
合性を改良する手法が提案されている(特許文献3)。
本発明は、経済的で、環境に優しく、成形性が良く、膜−電極界面抵抗が小さく発電効率に優れる膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明のイオンチャンネル構造が制御された中間層を適用することにより、膜−電極間の接合状態が改善され、膜−電極間の界面抵抗が低減して、膜−電極接合体の電気抵抗が低減し、出力が向上するなど発電効率が向上する。
このような構造を有する中間層は、ブロック共重合体のイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が連続相をなすため、中間層内部のイオン伝導性が良く、また、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなるために、効率良くイオン経路を形成することができる。また、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)があることで、中間層の耐水性が高まり、発電中の反応ガスに含まれる湿分や酸素極の生成水等により、中間層を形成するブロック共重合体が電池系外に徐々に溶出し、膜−電極接合体が劣化することを防止することができる。
重合体ブロック(B)は、また、重合体ブロック(B1)と構造保持性重合体ブロック(B2)からなるのが好ましい。重合体ブロック(B2)を加えることにより、相分離構造の変化によって、イオンチャンネルの連続性、さらには膜−電極接合体の耐久性が損われる可能性を低減することができる。
上記式において多価の基はブロック共重合体間又はブロック共重合体内で重合体ブロック(A)同士を結合する。
イオン伝導性基は、芳香族ビニル重合体ブロック(A)の側鎖または自由末端側に存在しているのが好ましい。
本発明のイオン伝導性体は、本発明の効果を損わない限り、各種添加剤、例えば、軟化剤、安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、カーボン繊維、無機充填剤等を各単独で又は2種以上組み合わせて含有していてもよい。
安定剤は、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等を包含し、具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2,−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロジナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系安定剤;ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジアステリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定剤等が挙げられる。
無機充填剤の具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタン、モンモリロナイト、アルミナ等が挙げられる。
これらの界面活性剤は単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリα−メチルスチレンと水添ポリブタジエンとからなるブロック共重合体の製造
既報の方法(WO 02/40611)と同様の方法で、ポリα−メチルスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSBmSと略記する)を合成した。得られたmSBmSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は76000であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は55%、α−メチルスチレン単位の含有量は30.0質量%であった。また、ポリブタジエンブロック中には、α−メチルスチレンが実質的に共重合されていないことが、1H−NMRスペクトル測定による組成分析により判明した。
合成したmSBmSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリα−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSEBmSと略記する)を得た。得られたmSEBmSの水素添加率を1H−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.6%であった。
スルホン化mSEBmSの合成
既報の方法(特開2006−210326号公報)と同様の方法で、スルホン化mSEBmSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン41.8ml中、0℃にて無水酢酸21.0mlと硫酸9.34mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例1で得られたブロック共重合体mSEBmS100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。35℃にて1時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化mSEBmSを得た。得られたスルホン化mSEBmSのイオン交換容量は0.69meq/gであった。
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B1))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(B2))からなるブロック共重合体の製造
既報の方法(特開2007−258162号公報)と同様の方法で、1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン576ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)1.78mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン32.1ml、スチレン13.5ml、イソプレン81.6ml、スチレン13.3ml及び4−tert−ブチルスチレン31.5mlを逐次添加し、30℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSIStBSと略記する)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は94682であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は93.8%、スチレン単位の含有量は17.6質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は42.9質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSEPStBSと略記する)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率を1H−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例2と同様の方法で、スルホン化tBSSEPStBSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン38.4ml中、0℃にて無水酢酸19.2mlと硫酸8.6mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例3で得られたブロック共重合体tBSSEPStBS100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン840mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。35℃にて1時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSのイオン交換容量は0.50meq/gであった。
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B1))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(B2))からなるブロック共重合体の製造
既報の方法(特開2007−258162号公報)と同様の方法で、1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン568ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)1.14mlを仕込んだ後、スチレン4.27ml、4−tert−ブチルスチレン53.3ml、イソプレン66.4ml、4−tert−ブチルスチレン52.6ml及びスチレン9.30mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリスチレン−b−(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、StBSItBSSと略記する)を合成した。得られたStBSItBSSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は167471であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は93.5%、スチレン単位の含有量は9.6質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は62.2質量%であった。
合成したStBSItBSSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−水添ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、StBSEPtBSSと略記する)を得た。得られたStBSEPtBSSの水素添加率を1H−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
(1)スルホン化StBSEPtBSSの合成
参考例2と同様の方法で、スルホン化StBSEPtBSSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン29.6ml中、0℃にて無水酢酸14.8mlと硫酸6.62mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例5で得られたブロック共重合体StBSEPtBSS20gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン262mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。常温にて48時間攪拌後、塩化メチレン50mlを加えて重合体溶液を希釈した。2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化StBSEPtBSSを得た。得られたスルホン化StBSEPtBSSのイオン交換容量は0.86meq/gであった。イオン交換容量の測定は以下の手順により行った。
イオン交換容量の測定
試料を密閉できるガラス容器中に秤量(a(g))し、そこに過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を、フェノールフタレイン液を指示薬とし、0.01NのNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(b(ml))した。イオン交換容量は、次式により求めた。イオン交換容量=(0.01×b×f)/a
5質量%のスルホン化StBSEPtBSS溶液(トルエン/イソブチルアルコール=8/2)を調製し、次いで、薄膜旋回型高速ホモジナイザー(プライミクス社製 フィルミックス)に周速30m/sで攪拌しながらポリマー溶液を70ml/min、水を80ml/minの速度で添加し、転相乳化させた。エバポレーターを用いて溶剤を除去し、5質量%の水分散液を得た。得られた水分散液中のスルホン化StBSEPtBSSの平均粒径は約7.0μmであった。
(3)(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約59nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
参考例2で得られたスルホン化mSEBmSから公知の方法で厚さ50μm、サイズ9cm角の電解質膜(以下、試験膜Aと呼ぶ)を作製した。
ガス拡散電極は、電解質としてデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液と触媒とを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを撥水処理したカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、115℃で30分乾燥させることで作製した。アノード用触媒には田中貴金属工業社製のPt−Ru担持カーボン(TEC61E54)を使用し、カソード用触媒には田中貴金属工業社製のPt担持カーボン(TEC10E50E)を使用した。作製したガス拡散電極は、アノード:Pt 1.00mg/cm2、Ru 0.77mg/cm2、ポリマー 1.57mg/cm2、カソード:Pt 1.00mg/cm2、ポリマー 1.20mg/cm2であった。
試験膜Aの両面に実施例1(3)で得られた分散液をスプレ−塗布し乾燥することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
(1)電解質膜の作製
参考例4で得られたスルホン化tBSSEPStBSを公知の方法で厚さ50μm、サイズ9cm角の電解質膜(以下、試験膜Bと呼ぶ)を作製した。
(2)膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
(1)スルホン化StBSEPtBSSの水分散液の調製
実施例1(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約85nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
(2)膜−電極接合体の作製
試験膜Aの両面に実施例3(1)で得られた分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例3(2)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
(1)スルホン化StBSEPtBSSの水分散液の調製
実施例1(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約117nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
(2)膜−電極接合体の作製
試験膜Aの両面に実施例5(1)で得られた分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例5(2)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に実施例5(1)で得られた分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
(1)膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例7と同様にして膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体の作製
試験膜Aと実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)とを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は比較例1と同様にして膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体の作製
試験膜Aと実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)とを熱プレス(130℃、20kgf/cm2、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は比較例3と同様にして膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体(特許文献1記載の膜−電極接合体)の作製
試験膜Aの両面に実施例1(5)で用いたデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを熱プレス(130℃、20kgf/cm2、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体(特許文献1記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に実施例1(5)で用いたデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを熱プレス(130℃、20kgf/cm2、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体(特許文献1記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に、スルホン化mSEBmSのテトラヒドロフラン溶液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体(特許文献2記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に、実施例1(5)で用いたデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液、及びカーボンブラック(Valcan XC72)を、パーフルオロカーボンスルホン酸/カーボンブラックの質量比が50/50になるように調製した混合液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを熱プレス(130℃、20kgf/cm2、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
膜−電極接合体(特許文献2又は3記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に、参考例2で得られたスルホン化HmSEBmS、及びカーボンブラック(Valcan XC72)を、スルホン化HmSEBmS/カーボンブラックの質量比が50/50になるように調製した混合液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
1)膜のイオン伝導度の測定
試験膜A及び試験膜Bについて、1cm×4cmのサイズに裁断した膜を4本の白金ワイヤーに挟んで測定セルを作製した。測定セルは、温度40℃の水中に浸漬して、膜面方向の交流4端子法にてイオン伝導度を測定した。
2)燃料電池単セル出力性能評価
実施例1〜8及び比較例1〜6で作製した膜−電極接合体のそれぞれを、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で順に挟み固体高分子型燃料電池用単セルを作製した。なお、それぞれの膜−電極接合体とセパレータとの間には、電極の厚さ分の段差からのガス漏れを防ぐために、ガスケットを配した。燃料には1mol/LのMeOH水溶液を用い、酸化剤には40℃のバブラにて加湿した酸素を用いた。試験条件は、アノード流量:1ml/min、カソード流量:175ml/min、セル温度40℃とし、電流値が50mA/cm2の条件にて2時間の発電を実施した後の電気抵抗を評価した。なお、電気抵抗は電流値が50mA/cm2の条件下で電流遮断法にて測定した。
実施例3で得られた膜−電極接合体の断面における電子顕微鏡写真を図2及び図3に示す。なお、実施例3で得られた膜−電極接合体は酢酸鉛を用いて膜−電極接合体を構成する電解質材料のスルホン酸基を選択的に染色することで相分離構造を観察した。
中間層中のブロック共重合体はイオン伝導性基を有する相がシェル相であり、イオン伝導性基を有さない相がコア相であるコアシェル構造を形成している。コアシェル構造のシェル相は連続的なイオン経路を形成し、また、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分はシェル相から形成されている構造が明確に示された。
比較例5で得られた膜−電極接合体であって上記と同様の染色をしたものの断面における電子顕微鏡写真を図4に示す。中間層の相分離は観察されない。
実施例1〜8及び比較例1〜6に用いた試験膜A及び試験膜Bのイオン伝導度はそれぞれ0.024S/cm及び0.017S/cmであった。実施例1〜8及び比較例1〜6について50mA/cm2における単セルの電気抵抗を測定した結果を表1に示す。
2及び4 イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)
5 電極触媒層
6 中間層
7 電解質膜
Claims (12)
- 高分子電解質膜と、この高分子電解質膜に該膜を挟んで接合されている2つのガス拡散電極とからなる、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体において、各ガス拡散電極は電極触媒層とガス拡散層から構成され、少なくとも一方の電極触媒層と高分子電解質膜との間に、イオン伝導体からなる中間層を有し、イオン伝導体がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離するブロック共重合体から主としてなり、該ブロック共重合体がイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)が内側にイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が外側に相分離したコアシェル構造を取り、重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、中間層と高分子電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなる該膜−電極接合体。
- 重合体ブロック(A)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項1記載の膜−電極接合体。
- 芳香族ビニル系化合物が、スチレン、α−メチルスチレン及びベンゼン環に結合した水素原子の1〜3個が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたスチレンから選ばれる請求項2記載の膜−電極接合体。
- 重合体ブロック(B)がゴム状重合体ブロック(B1)からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- 重合体ブロック(B1)が、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種を繰返し単位とする重合体ブロックである請求項4記載の膜−電極接合体。
- 重合体ブロック(B)が、重合体ブロック(B1)、及び重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B1)と相分離する構造保持性重合体ブロック(B2)からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- 重合体ブロック(B2)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項6記載の膜−電極接合体。
- ブロック共重合体が、両末端に重合体ブロック(A)を配した構造を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- ブロック共重合体が、ゴム状重合体ブロック(B1)を中心にして、その両側に重合体ブロック(B2)を配し、さらに重合体ブロック(B2)の両外側に重合体ブロック(A)を配した構造を有する請求項6記載の膜−電極接合体。
- イオン伝導性基が、スルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- イオン伝導体が、水系分散媒に該ブロック共重合体及び必要に応じ各種添加剤を該ブロック共重合体の粒径サイズが1μm以下になるように分散させた分散液から水系分散媒を除去することにより得られたものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の膜-電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
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