JP5501771B2 - 膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池に関する。
近年、地球環境にやさしく、クリーンな発電システムとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型等に分類される。これらのうち固体高分子型燃料電池は、低温作動性、小型軽量化などの観点から、電気自動車用電源やポータブル機器電源、さらに電気と熱を同時利用する家庭用コージェネレーションシステムなどへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、一般に次のように構成される。まず、イオン伝導性(イオンは通常プロトン)を有する高分子電解質膜の両側に、白金族の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質からなるイオン伝導性バインダーとを含む電極触媒層がそれぞれ形成される。各電極触媒層の外側には、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気する多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ形成される。ガス拡散層としてはカーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。電極触媒層とガス拡散層を一体化したものはガス拡散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極をそれぞれ電極触媒層が電解質膜と向かい合うように電解質膜に接合した構造体は膜−電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。この膜−電極接合体の両側には、導電性と気密性を備えたセパレータが配置される。電極面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を供給するガス流路が膜−電極接合体とセパレータの接触部分又はセパレータ内に形成されている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノールなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガスを供給して発電する。すなわち、燃料極では燃料がイオン化されてプロトンと電子が生じ、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反応することで水が生成する。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
また、このようなプロトン交換型燃料電池に対して、アニオン伝導性膜及びアニオン伝導性バインダーを使用するアニオン交換型燃料電池(アニオンは通常水酸化物イオン)も検討されている。この場合の固体高分子型燃料電池の構成はプロトン伝導性膜及びプロトン伝導性バインダーに代えてアニオン伝導性膜及びアニオン伝導性バインダーを使用する以外、基本的にはプロトン交換型燃料電池の場合と同様であり、電気エネルギー発生の機構としては、酸素極では酸素と水と電子とが反応して水酸化物イオンが生じ、水酸化物イオンはアニオン伝導性膜を通り燃料極で水素と反応して水と電子を生じ、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極に送られ、再び酸素及び水と反応して水酸化物イオンを生じる。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
上記電極反応は、燃料もしくは酸化剤の供給経路としての気相、イオン経路としての液相、電子経路としての固相が形成する三相界面で起こる。イオン伝導性バインダーは触媒を結着させ、電極触媒層から電解質膜へのプロトンもしくは水酸化物イオンの移動を媒介して該触媒の利用効率を高める目的で使用される。従って、イオン伝導性バインダーが形成するイオン経路と接触しない触媒は、三相界面を形成することができないために反応に寄与することが難しく、また、高効率を得るには燃料ガスもしくは酸化剤ガスを拡散させるための細孔構造や、触媒の分散状態など、電極触媒層の緻密な構造設計が重要となる。また、ガス拡散電極部では、反応ガスに含まれる水や酸素極もしくは燃料極で生成する水により、触媒表面が被覆されてしまい、燃料ガスもしくは酸化剤ガスが触媒表面に接触できなくなり発電が停止する場合や、燃料ガスもしくは酸化剤ガスの供給又は排出を妨げて電極反応が停止する場合がある。そのため、ガス拡散電極部には撥水性が要求される。
膜−電極接合体の製造方法としては、電極触媒及び高分子電解質などを溶媒に混合分散させた触媒スラリーをガス拡散基材上へ塗布乾燥することにより作製したガス拡散電極と、高分子電解質膜とをガス拡散電極/高分子電解質膜/ガス拡散電極の順となるように挟持し、これをホットプレスなどにより接合する方法が知られている。
高分子電解質膜としては、化学的に安定という理由からパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子であるナフィオン(Nafion,デュポン社の登録商標、以下同様)が一般的に用いられている。ナフィオン膜は主鎖の強い疎水性と、スルホン酸基の親水性との作用により、数nm程度の球状クラスターが1nm程度の間隔の狭いチャンネルによって繋がった構造を有しており、高いイオン伝導性が発現する。また、ナフィオンは電極触媒層において、電極反応サイトとなる三相界面を形成するためにも使用されている。
従来の膜−電極接合体は、ナフィオンを高分子電解質膜及び電極触媒層中の電解質としても使用する、すなわち、同組成の電解質を使用するため、良好な接合強度、電気的接合状態を得ることは比較的容易である。しかしながら、ナフィオンを高分子電解質膜及び電極触媒層中の電解質の両方に使用した場合にも、膜−電極間の界面抵抗があり、界面抵抗に起因する電池内部損失が生じて発電効率が低下することが指摘されている。また、電極触媒層は多孔質構造であるために電極触媒層表面は凹凸構造であり、電解質膜が凹凸構造に追従しないことで電極触媒層の反応面積が減少する問題が指摘されている。特に、電解質膜や電極触媒層中の電解質のいずれかに炭化水素系電解質などのナフィオン以外の電解質を使用する場合には、異種材料に起因する膜−電極間の接合不良の問題が顕著に現れる。燃料電池の長期信頼性を確保する上でも、発電効率を上げる上でも、良好な膜−電極接合界面の形成方法は重要であり、膜−電極間の界面抵抗の低い膜−電極接合体の開発が所望されている。
電解質膜と電極との接合性を改善する手法としては、例えば、電解質膜と電極との層間にプロトン伝導性を有するイオン伝導体中間層を設けることが検討されている(特許文献1)。電解質膜及び電極よりも柔らかいイオン伝導体中間層を用いることで、イオン伝導体が電極表面の凹凸に食い込み、接合性が向上する。別の例としては、電解質膜と電極との層間に電子導電性粒子を存在させることで界面抵抗を小さくする手法が提案されている(特許文献2)。電解質膜と電極との界面部分に凹凸構造を形成することで接合界面の表面積を大きくし、界面抵抗を小さくすることが開示されている。また、別の例では、電解質膜と電極との層間に、該電解質膜と同じ電解質と電極触媒層を構成する炭素材料(=電子導電性粒子)からなる中間層を介在させ、該中間層によって、膜の傷付きを防止し、かつ、膜にかかる応力を緩和することにより電解質膜と電極との接
合性を改良する手法が提案されている(特許文献3)。
特開2000−195527号公報 特開平8−64221号公報 特開2005−190749号公報
特許文献1の手法も特許文献2の手法も電解質膜と電極との間に中間層を設けて実質的に電解質膜と電極との接合面積を大きくすることによって、発電効率を上げようとするものである。また、特許文献3の手法に関しては、中間層は電解質膜と電極との界面抵抗を改善するものではなく、機械的接合性を改良しようとするものである。本発明も電解質膜と電極との間に中間層を設けるものであるが、中間層の中のイオン伝導を担う部分が効率よく電解質膜及び電極と接触するよう設計することで界面抵抗を小さくし発電効率を上げようとするものであり、特許文献1〜3とは着眼点及び手法を全く異にする。
本発明は、経済的で、環境に優しく、成形性が良く、膜−電極界面抵抗が小さく発電効率に優れる膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、高分子電解質膜と、この高分子電解質膜に該膜を挟んで接合されている2つのガス拡散電極とからなる、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体において、各ガス拡散電極は電極触媒層とガス拡散層から構成され、少なくとも一方の電極触媒層と高分子電解質膜との間に、イオン伝導体からなる中間層を有し、イオン伝導体がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離するブロック共重合体から主としてなり、重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、中間層と高分子電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなる該膜−電極接合体に関する。
本発明のイオンチャンネル構造が制御された中間層を適用することにより、膜−電極間の接合状態が改善され、膜−電極間の界面抵抗が低減して、膜−電極接合体の電気抵抗が低減し、出力が向上するなど発電効率が向上する。
このような構造を有する中間層は、ブロック共重合体のイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が連続相をなすため、中間層内部のイオン伝導性が良く、また、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなるために、効率良くイオン経路を形成することができる。また、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)があることで、中間層の耐水性が高まり、発電中の反応ガスに含まれる湿分や酸素極の生成水等により、中間層を形成するブロック共重合体が電池系外に徐々に溶出し、膜−電極接合体が劣化することを防止することができる。
また、前記ブロック共重合体において、重合体ブロック(A)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位であり、重合体ブロック(B)がゴム状重合体ブロック(B1)であることが好ましい。ゴム状重合体ブロックは、フレキシブルな構造であることによってブロック共重合体が全体として弾力性を帯び、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。
重合体ブロック(B)は、また、重合体ブロック(B1)と構造保持性重合体ブロック(B2)からなるのが好ましい。重合体ブロック(B2)を加えることにより、相分離構造の変化によって、イオンチャンネルの連続性、さらには膜−電極接合体の耐久性が損われる可能性を低減することができる。
上記イオン伝導性基としてはカチオン伝導性基もアニオン伝導性基も使用可能であるが、カチオン伝導性基としてのスルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基が好ましく、スルホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基がより好ましい。
中間層を形成するイオン伝導体は、水系分散媒に該ブロック共重合体及び必要に応じ各種添加剤を該ブロック共重合体の粒径サイズが1μm以下になるように分散させた分散液から水系分散媒を除去することにより得ることができる。該ブロック共重合体の粒径サイズを1μm以下とすることで、ブロック共重合体同士の接触する面積を大きくすることができ、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)の連続性を増やすことができる。該共重合体の粒径サイズが1μmを越える場合、中間層と電解質膜との接合部分又は中間層と電極触媒層との接合部分に該共重合体の粒径に起因する凹凸構造が形成され、接合部分に効率良くイオン経路を形成することが難しく、膜−電極界面抵抗を低減することができない。また、水系分散媒、すなわち水又は水を主体とする溶媒を用いることで、該共重合体はイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)を内層としイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)を外層とするように相分離するので、ブロック共重合体同士の接触部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなるようになり、また、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分には重合体ブロック(A)からなるようになる。
本発明はまた、上記膜−電極接合体を使用した燃料電池に関する。
本発明の膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池は、経済的で、環境に優しく、成形性が良く、膜−電極界面抵抗が小さく発電効率に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。図1は、本発明の膜−電極接合体に設けられた中間層の構造を模式的に示す構成図である。図示するように、該中間層はイオン伝導体からなり、該イオン伝導体の主たる構成成分であるブロック共重合体はイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)とに相分離し、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなっている。
本発明で使用するブロック共重合体はイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離する共重合体である。かかる共重合体の例として、WO 2006/068279 A1に記載された共重合体が挙げられるが、本発明で使用するブロック共重合体を以下に詳述する。
重合体ブロック(A)の繰返し単位を形成し得る単量体としては特に制限はなく、例として、芳香族ビニル系化合物、炭素数4〜8の共役ジエン(1,3−ブタジエン、イソプレン等)、炭素数2〜8のアルケン(エチレン、プロピレン、イソブチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等)等が挙げられるが、イオン伝導性基導入の容易性から芳香族ビニル系化合物が好ましい。芳香族ビニル系化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン環に結合した水素原子の1〜3個が炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基もしくはtert−ブチル基)で置換されたスチレン(p−メチルスチレン等)、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。芳香族ビニル系化合物単位は、イオン伝導性基の導入の容易性からスチレン単位及び/又はα−メチルスチレン単位であるのが好ましい。芳香族ビニル系化合物単位は、また、電極反応の副反応で生じる過酸化水素や過酸化水素由来のヒドロキシルラジカルによる酸化からの安定性を高めるため、3級炭素を持たない構造であるのが好ましく、具体的にはα−メチルスチレン単位であるのが好ましい。
重合体ブロック(A)の繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である場合、重合体ブロック(A)は1種もしくは複数の他の単量体単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体単位としては、例えば、炭素数4〜8の共役ジエン単位(1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位等)、(メタ)アクリル酸エステル単位((メタ)アクリル酸メチル単位、(メタ)アクリル酸エチル単位、(メタ)アクリル酸ブチル単位等)、炭素数2〜8のアルケン単位(エチレン単位、プロピレン単位、イソブテン単位等)などを挙げることができる。上記で共役ジエン単位はその30モル%以上が水素添加されているのが好ましく、50モル%以上が水素添加されているのがより好ましく、80モル%以上が水素添加されているのがより一層好ましい。イオン伝導体に十分な酸化安定性を付与するために、重合体ブロック(A)における芳香族ビニル系化合物単位の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、芳香族ビニル系化合物と上記他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが好ましい。
イオン伝導性基が導入されていない状態での重合体ブロック(A)の分子量は、イオン伝導体の性状、要求性能、他の重合体成分等によって適宜選択される。分子量が大きい場合、粘度の上昇により、均一な平均粒子径を有するブロック共重合体の水分散液を得ることが難しくなる傾向になり、また、イオン伝導体の引張強度等の力学特性が高くなる傾向になり、分子量が小さい場合、イオン伝導体を構成するブロック共重合体の相分離構造の形成が難しくなる傾向になり、必要性能に応じて分子量を適宜選択することが重要である。上記分子量はポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、100〜1,000,000の間から選択されるのが好ましく、1,000〜100,000の間から選択されるのがより好ましい。
該ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)以外にイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)を有する。重合体ブロック(A)に高含量でイオン基が導入されていても、重合体ブロック(B)を有することによって耐水性が向上し、発電中にイオン伝導体の流出を防止できる。重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(A)と相分離し、かつ、耐水性を有していれば特に制限はないが、フレキシブルな重合体ブロック(B1)であることが好ましい。重合体ブロック(B)が、フレキシブルな構造であることによってブロック共重合体が全体として弾力性を帯び、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。ここでいうフレキシブルな重合体ブロック(B1)はガラス転移点あるいは軟化点が50℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下のいわゆるゴム状重合体ブロックである。
重合体ブロック(B1)を構成する繰返し単位としては、炭素数4〜8の共役ジエン単位(1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位等)、炭素数2〜8のアルケン単位(イソブチレン単位等)などを挙げることができる。これらの単位を与える単量体は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。また、(共)重合に供する単量体が炭素−炭素二重結合を2つ有する場合にはそのいずれが重合に用いられてもよく、共役ジエンの場合には1,2−結合であっても1,4−結合であってもよく、ガラス転移点あるいは軟化点が50℃以下であれば、また1,2−結合と1,4−結合との割合にも特に制限はない。
重合体ブロック(B1)を構成する繰返し単位が、共役ジエンである場合のように炭素−炭素二重結合を有している場合には、本発明のイオン伝導性バインダーを用いた膜−電極接合体の発電性能、耐熱劣化性の向上などの観点から、かかる炭素−炭素二重結合はその30モル%以上が水素添加されているのが好ましく、50モル%以上が水素添加されているのがより好ましく、80モル%以上が水素添加されているのがより一層好ましい。炭素−炭素二重結合の水素添加率は、一般に用いられている方法、例えば、ヨウ素価測定法、H−NMR測定等によって算出することができる。
また、重合体ブロック(B1)は、上記単量体単位(炭素数4〜8の共役ジエン単位(1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位等)、炭素数2〜8のアルケン単位(イソブチレン単位等)など)以外に、ブロック共重合体に弾力性を与えるという重合体ブロック(B1)の目的を損わない範囲で他の単量体単位、例えばスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系化合物、塩化ビニル等のハロゲン含有ビニル化合物等の単量体単位を含んでいてもよい。この場合上記単量体単位と他の単量体単位との共重合形態はランダム共重合であることが好ましい。重合体ブロック(B1)における上記単量体(炭素数4〜8の共役ジエン単位(1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位等)、炭素数2〜8のアルケン単位(イソブチレン単位等)など)の割合は、該単量体単位と他の単量体単位との合計に対して、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのがより一層好ましい。
重合体ブロック(B1)がイオン伝導性基を有さないとは実質上有さないという意味であり、ブロック共重合体製造の過程で微量のイオン伝導性基が重合体ブロック(B1)に取り込まれても、本発明の範囲内である。このことは後述する重合体ブロック(B2)にも当てはまる。
前記共重合体の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B1)との質量比は、イオン伝導体の耐水性が得られる割合であれば特に限定されず、95:5〜5:95であるのが好ましく、90:10〜10:90であるのがより好ましく、50:50〜10:90であるのがより一層好ましい。
ブロック共重合体における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B1)との配置については特に制限されず、ブロック共重合体はA−B1型ジブロック共重合体、A−B1−A型トリブロック共重合体、B1−A−B1型トリブロック共重合体、A−B1−A−B1型テトラブロック共重合体、A−B1−A−B1−A型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−A−B1型ペンタブロック共重合体等であることができる。これらのブロック共重合体は、各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用するブロック共重合体は重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B1)に加え、これらのブロックと異なり、これらのブロックと相分離する他のイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B2)を含んでいてもよい。つまり、重合体ブロック(B)は重合体ブロック(B1)からなっていてもよいし、重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)とからなっていてもよい。重合体ブロック(B2)を構成する繰返し単位としては重合体ブロック(A)の説明で述べた芳香族ビニル系化合物単位を具体例として挙げることができる。重合体ブロック(B2)を構成するかかる芳香族ビニル系化合物単位中、重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル系化合物単位と比較してイオン伝導性基によって置換され難い芳香族ビニル系化合物単位が好ましく、重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル系化合物単位が例えばスチレン単位及び/又はα−メチルスチレン単位である場合には、ベンゼン環に結合した水素原子の1〜3個が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたスチレン単位(例えばt−ブチルスチレン単位)であることが好ましい。
ブロック共重合体が重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B1)及び重合体ブロック(B2)から構成される場合、これらの重合体ブロックの配置については特に制限されず、A−B1−B2型トリブロック共重合体、A−B1−B2−A型テトラブロック共重合体、A−B1−A−B2型テトラブロック共重合体、B1−A−B1−B2型テトラブロック共重合体、A−B1−B2−B1型テトラブロック共重合体、B2−B1−B2−A型テトラブロック共重合体、B2−A−B1−A−B2型ペンタブロック共重合体、B2−B1−A−B1−B2型ペンタブロック共重合体、A−B2−B1−B2−A型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−B1−A型ペンタブロック共重合体、A−B2−B1−A−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−A−B1型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−A−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−B1−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−B2−B1−B2型ペンタブロック共重合体、A−B1−A−B2−B1型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−A−B2型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−B2−A型ペンタブロック共重合体、B1−A−B1−B2−B1型ペンタブロック共重合体、B2−A−B2−B1−B2型ペンタブロック共重合体等であることができる。これらの中で、重合体ブロック(A)が両末端にあることにより、後述するシェル相を形成しやすい配置、例えばA−B2−B1−B2−Aなどのゴム状重合体ブロック(B1)を中心にして、その両側に重合体ブロック(B2)を配し、さらに重合体ブロック(B2)の両外側に重合体ブロック(A)を配した配置が好ましい。
重合体ブロック(B2)を用いた場合、イオン伝導体の膨潤が抑制され、発電中のイオン伝導体の膨潤によりイオンチャンネルの連続性、さらには膜−電極接合体の耐久性が損われる可能性を低減することができる。また、重合体ブロック(B2)によってブロック共重合体を分散させた水系分散液から水系分散媒を除去して中間層を形成する工程において、分散液中で形成されていたイオン伝導体の相分離構造が変化する可能性を低減することができる。
本発明で使用するブロック共重合体が重合体ブロック(B2)を含む場合、ブロック共重合体に占める重合体ブロック(B2)の割合は75質量%未満であるのが好ましく、70質量%未満であるのがより好ましく、60質量%未満であるのがより一層好ましい。また、重合体ブロック(B2)に上記したような機能を発揮させる観点から、ブロック共重合体に占める重合体ブロック(B2)の割合は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがより一層好ましい。また、ブロック共重合体が重合体ブロック(B2)を含む場合、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B2)の和と重合体ブロック(B1)との質量比は、要求性能、柔軟性、弾力性ひいては膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって良好な成形性を与える観点から、20:80〜80:20であるのが好ましく、25:75〜75:25であるのがより好ましく、30:70〜70:30であるのがより一層好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体のイオン伝導性基が導入されていない状態での数平均分子量は特に制限されないが、ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、10,000〜2,000,000であることが好ましく、15,000〜1,000,000であることがより好ましく、20,000〜500,000であることがより一層好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体は重合体ブロック(A)にイオン伝導性基を有する。本発明でイオン伝導性に言及する場合のイオンとしてはカチオンとアニオンがあり、カチオンとしてはプロトンなどが挙げられ、アニオンとしては水酸化物イオンなどが挙げられる。イオン伝導性基としては、カチオン伝導性基でもアニオン伝導性基でもよいが、カチオン伝導性基の方が好適に用いられる。カチオン伝導性基としては、該イオン伝導体を用いて作製される膜−電極接合体が十分なカチオン伝導度を発現できるような基であれば特に制限されないが、−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表されるスルホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が好適に用いられる。上記でアルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどが挙げられる。カチオン伝導性基としては、また、カルボキシル基又はその塩も用いることができる。アニオン伝導性基としては、該イオン伝導体を用いて作製される膜−電極接合体が十分なアニオン伝導度を発現できるような基であれば特に限定されないが、以下に示すような基が挙げられる。
(上記式において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R〜R及びR11はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R10はメチル基又はエチル基を表し、Xは水酸化物イオン又は酸アニオンを表し、mは2〜6の整数を表し、nは2又は3を表す)。
上記式において多価の基はブロック共重合体間又はブロック共重合体内で重合体ブロック(A)同士を結合する。
イオン伝導性基は、芳香族ビニル重合体ブロック(A)の側鎖または自由末端側に存在しているのが好ましい。
イオン伝導性基の導入量は、得られるブロック共重合体の要求性能等によって適宜選択されるが、中間層として使用するのに十分なイオン伝導性を発現するためには、通常、ブロック共重合体のイオン交換容量が0.30meq/g以上となるような量であることが好ましく、0.40meq/g以上となるような量であることがより好ましい。ブロック共重合体のイオン交換容量の上限については特に制限はないが、通常、3meq/g以下であるのが好ましい。重合体ブロック(A)におけるイオン伝導性基を有する単量体単位の割合は、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがよい一層好ましい。また、重合体ブロック(A)におけるイオン伝導性基を有する単量体単位と他の単量体単位との共重合形態は重合体ブロック(A)が相分離しないためにはランダム共重合であることが好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体は既述のWO 2006/068279 A1に記載された製法によってもしくはこれに準じて製造することができる。
本発明の膜−電極接合体の膜−電極接合部分に設けられる中間層では、ブロック共重合体粒子同士がイオン伝導基を有する重合体ブロック(A)で接し、かつ、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分はイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなるが、かかる構造を与えるため、ブロック共重合体は内層(コア相)を重合体ブロック(B)とし外層(シェル相)を重合体ブロック(A)とするコアシェル構造を取ることが好ましい。このコアシェル構造は、通常球状である。かかるコアシェル構造を取ることによって、イオン伝導基を有する重合体ブロック(A)が効率よく連続相を形成することができ、中間層内部のイオン伝導性に優れ、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分に容易にイオン経路を形成することができ、その結果、膜−電極界面抵抗を低減させ、発電効率を高めることができる。
本発明で使用するイオン伝導体は上記ブロック共重合体を主成分とする。
本発明のイオン伝導性体は、本発明の効果を損わない限り、各種添加剤、例えば、軟化剤、安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、カーボン繊維、無機充填剤等を各単独で又は2種以上組み合わせて含有していてもよい。
軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系もしくはアロマ系のプロセスオイル等の石油系軟化剤、パラフィン、植物油系軟化剤、可塑剤等が挙げられる。
安定剤は、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等を包含し、具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2,−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロジナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系安定剤;ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジアステリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定剤等が挙げられる。
無機充填剤の具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタン、モンモリロナイト、アルミナ等が挙げられる。
イオン伝導体に含有させ得る上記種々の任意の添加剤の添加時期に関しては、ブロック共重合体と添加剤とを予め混合してもよいし、後述する、ブロック共重合体の水を主体とする分散媒への分散液を調製する際に添加してもよい。
本発明で使用するイオン伝導体におけるブロック共重合体の含有量は、イオン伝導性の観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましい。
本発明の膜−電極接合体の膜−電極接合部分に設けられる中間層では、ブロック共重合体粒子同士がイオン伝導基を有する重合体ブロック(A)で接し、かつ、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分はイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなるが、かかる構造とするには、前記ブロック共重合体をイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)が内側にイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が外側に相分離した形態(すなわちコアシェル構造)とすることが好ましい。かかる形態を誘導する方法は特に制限されない。例として、(1)前記ブロック共重合体を水を主体とする分散媒に分散させた分散液から分散媒を除去する方法などが挙げられる。この方法における分散液としては乳化液又は懸濁液が好ましく、乳化液がより好ましい。
前記(1)の方法における分散液中のブロック共重合体の粒子サイズとしてはイオン伝導体同士の接触面積を大きくするために1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下がより一層好ましい。上記粒子サイズが1μm以下の場合、それを超える場合と比して、膜−電極界面抵抗の低減が顕著であり、電池出力を向上させることができる。上記分散液中のブロック共重合体の粒子サイズの下限としては特に制限はないが、ブロック共重合体がイオン伝導性基を有する相とイオン伝導性基を有さない相とに相分離するのに必要な粒径とする観点から、10nm以上であるのが好ましく、40nm以上であるのがより好ましい。分散液中の粒子サイズの測定は一般に用いられている方法、例えば、動的光散乱法などで測定することができる。
前記(1)の方法においてブロック共重合体の分散液を得る方法は特に限定されず、該共重合体を水系分散媒に乳化する方法、乳化重合や懸濁重合などの液相重合から得る方法などを挙げることができるが、該共重合体を乳化する方法が好ましい。
ブロック共重合体を乳化する方法としては、ブロック共重合体の溶融物を、ブロック共重合体の融点以上の温度で水系分散媒に分散させる直接乳化法を用いることができる。水系分散媒は水又は水を主体とする溶媒の意である。別の方法として、ブロック共重合体を有機溶媒に溶解させた後に、この溶液を水系分散媒に分散させる溶液反転乳化法を用いることができる。ブロック共重合体の溶解に用いる有機溶媒や、分散媒として用いる水に混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類の他、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を例示することができる。これらの溶媒は各単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、共重合体の分散において、有機溶媒を使用する場合には、分散後に、有機溶媒を除去することが好ましい。有機溶媒の除去は、例えば、攪拌機とコンデンサーを備えた反応槽やベントを備えた押出機、ロータリーエバポレーター等を用いて、水との共沸を利用して実施することができる。有機溶媒の除去は、常圧または減圧のいずれの圧力下で実施してもよい。
共重合体の分散化は攪拌手段を備えた容器を用いて実施することができる。攪拌手段としては、特に制限されないが、大きな剪断力を生じさせる観点から、タービン型攪拌機、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザーが好ましい。また、分散は、可動式の攪拌装置を備えたラインミキサーや非可動式のライン式の混合機(スタティックミキサー、商品名、株式会社ノリタケ製)などを使用して行ってもよい。この他に、上記したような攪拌手段により一度分散化を行った後に、さらに、高圧ホモジナイザー(マントンゴーリン、商品名、APVゴーリン社製;マイクロフルイダイザー、商品名、みづほ工業株式会社製;ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製など)等による微分散化処理を行ってもよい。
共重合体を水系分散媒に分散させる際には、乳化/分散剤として界面活性剤を使用してもよく、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤の使用量は、通常、使用するブロック共重合体100質量部に対して、通常、0.1〜40質量部の範囲内であり、好ましくは0.1〜20質量部の範囲内であるが、必要最小限に止めるのがよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤や多価アルコール型ノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド化合物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。多価アルコール型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどを挙げることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、第1級高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、アルコキシスルホニル高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、スルホン化高級アルコールエーテルの塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ホスホン化アルキルエーテルの塩、ホスホン化アルキルアリルエーテルの塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
ブロック共重合体の分散液から中間層を形成する方法ついては特に制限はなく、印刷法やスプレー法などの公知の方法を適用することができる。
次に、本発明の膜−電極接合体について述べる。中間層を有する膜−電極接合体の製造方法については特に制限はなく、例えば、電解質膜の表面に中間層を形成し、中間層と電極触媒層とが接合するようにガス拡散電極と接合させる方法や、ガス拡散電極を構成する電極触媒層の表面に中間層を形成し、中間層と電解質膜とが接合するように電解質膜と接合させる方法や、電解質膜の表面に中間層を形成した後に電極触媒層を電解質膜の両側に形成させ、それぞれの電極触媒層にホットプレスなどによりガス拡散層を圧着させる方法がる。中間層を電解質膜又は電極触媒層の表面に形成させる方法としては、特に制限はなく、ブロック共重合体を含有する前記分散液から分散媒を除去する方法を挙げることができ、分散媒の除去の方法としては、分散液を印刷法やスプレー法などにより電解質膜又は電極触媒層の表面に塗布し、それと同時に又は後に、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、気流下での乾燥などにより分散媒を蒸発させる方法を挙げることができる。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製などの基材フィルム上に分散液を塗布し分散媒を除去することによって中間層を形成し、ついで、基材フィルム上の中間層を電解質膜又は電極触媒層の面上へ圧着により転写し、基材フィルムを剥離する方法や、電極触媒層又は電解質膜の表面に分散液を塗布してその裏面から浸出する分散媒を除去する方法などがある。中間層は膜−電極接合部分のどちらか一方に用いてもよいし、両方に用いてもよい。
上記膜−電極接合体を構成する高分子電解質膜としては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュポン社製)や「Gore−select」(登録商標、ゴア社製)などの既存のパーフルオロスルホン酸系ポリマーからなる電解質膜、スルホン化ポリエーテルスルホンやスルホン化ポリエーテルケトンからなる電解質膜、リン酸や硫酸を含浸したポリベンズイミダゾールからなる電解質膜等を用いることができる。また、本発明の膜−電極接合体を構成する中間層として使用するイオン伝導体を構成するブロック共重合体から電解質膜を作製してもよい。なお、高分子電解質膜と中間層との密着性を一層高めるためには、本発明の膜−電極接合体を構成する中間層に使用するブロック共重合体と同質材料から形成した電解質膜を用いること、すなわち高分子電解質膜に用いる高分子と中間層に使用するブロック共重合体とは同一でも異なっていてもよいが、共に、中間層に使用するブロック共重合体の定義中に入るものであることが好ましい。高分子電解質膜として中間層に用いるブロック共重合体を用いる場合であって、該ブロック共重合体が重合体ブロック(B2)を含む場合には、該ブロック共重合体としては、その構造保持性の観点から、重合体ブロック(B2)が両末端にあるもの、例えばB2−A−B1−A−B2などが好ましい。
上記膜−電極接合体を構成する電極触媒層の製造については特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、イオン伝導性バインダーを含む触媒ペーストを印刷法やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布し乾燥することで電極触媒層とガス拡散層との接合体を形成することができる。上記で触媒ペーストはイオン伝導性バインダーと触媒粒子とを、水やアルコール系溶媒などの溶媒中に混合分散させることにより調製できる。この際、さらに、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性材料などを、本発明の効果を損わない範囲で、少量含ませてもよい。撥水性材料を含ませることにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。
触媒ペーストにおけるイオン伝導性バインダーの含有量は、得られる電極触媒層が所望の特性を有するように適宜決定すればよいが、触媒金属に対し、0.1〜3.0倍質量であるのが好ましく、0.3〜2.0倍質量であるのがより好ましく、0.5〜1.5倍質量であるのがより一層好ましい。電極触媒層内のイオン伝導性の観点から0.1倍質量以上が好ましく、得られる電極触媒層内での反応物質の拡散経路を確保する観点から3.0倍質量以下であることが好ましい。また、触媒ペーストにおいて、触媒粒子、イオン伝導性バインダーなどを合わせた固形分濃度は、5〜50質量%程度とするのがよい。
上記イオン伝導性バインダー中、カチオン伝導性バインダーとしては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュポン社製)や「Gore−select」(登録商標、ゴア社製)などの既存のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子からなるイオン伝導性バインダー、スルホン化ポリエーテルスルホンやスルホン化ポリエーテルケトンからなるイオン伝導性バインダー、リン酸や硫酸を含浸したポリベンズイミダゾールからなるイオン伝導性バインダー等を用いることができる。また、アニオン伝導性バインダーとしては、例えば、ポリクロロメチルスチレンを第3級アミンと反応させて第4級アンモニウム塩とし、必要に応じ水酸化物の形態にしたもの等を用いることができる。また、本発明で使用するイオン伝導体を構成するブロック共重合体からイオン伝導性バインダーを作製してもよい。これらのイオン伝導性バインダーは前述したイオン伝導体におけると同様な添加剤を同様な量含んでいてもよい。なお、中間層と電極触媒層との密着性を一層高めるためには、本発明の膜−電極接合体を構成する中間層に使用するブロック共重合体と同一材料から形成したイオン伝導性バインダーを用いること、すなわちイオン伝導体に用いる高分子と中間層に使用するブロック共重合体とは同一でも異なっていてもよいが、共に、中間層に使用するブロック共重合体の定義中に入るものであることが好ましい。
また、上記触媒粒子としては、特に制限はなく、白金黒などの触媒金属微粒子や、触媒金属を導電性材料に担持した触媒担持粒子を使用することができる。触媒金属としては、水素やメタノールなどの燃料の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、パラジウム等、あるいはそれらの合金、例えば白金−ルテニウム合金が挙げられる。中でも白金や白金合金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は、10〜300オングストロームである。担体材料としては、導電性材料であればいずれのものでもよく、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが挙げられ、これら単独であるいは2種以上混合して使用される。
上記膜−電極接合体のガス拡散層は、導電性及びガス透過性を備えた材料から構成され、かかる材料として例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素繊維よりなる多孔性材料が挙げられる。また、かかる材料には、撥水性を向上させるために、撥水化処理を施してもよい。撥水処理を行なう方法としては、例えば、ガス拡散層をポリテトラフルオロエチレンといったフッ素系撥水性材料などの分散液に浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させることで撥水処理を行なう方法などが挙げられる。
上記のような方法で得られた膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより、固体高分子型燃料電池が得られる。本発明の膜−電極接合体は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体として使用可能である。
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
参考例1
ポリα−メチルスチレンと水添ポリブタジエンとからなるブロック共重合体の製造
既報の方法(WO 02/40611)と同様の方法で、ポリα−メチルスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSBmSと略記する)を合成した。得られたmSBmSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は76000であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は55%、α−メチルスチレン単位の含有量は30.0質量%であった。また、ポリブタジエンブロック中には、α−メチルスチレンが実質的に共重合されていないことが、H−NMRスペクトル測定による組成分析により判明した。
合成したmSBmSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリα−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSEBmSと略記する)を得た。得られたmSEBmSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.6%であった。
参考例2
スルホン化mSEBmSの合成
既報の方法(特開2006−210326号公報)と同様の方法で、スルホン化mSEBmSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン41.8ml中、0℃にて無水酢酸21.0mlと硫酸9.34mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例1で得られたブロック共重合体mSEBmS100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。35℃にて1時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化mSEBmSを得た。得られたスルホン化mSEBmSのイオン交換容量は0.69meq/gであった。
参考例3
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B1))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(B2))からなるブロック共重合体の製造
既報の方法(特開2007−258162号公報)と同様の方法で、1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン576ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)1.78mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン32.1ml、スチレン13.5ml、イソプレン81.6ml、スチレン13.3ml及び4−tert−ブチルスチレン31.5mlを逐次添加し、30℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSIStBSと略記する)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は94682であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は93.8%、スチレン単位の含有量は17.6質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は42.9質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSEPStBSと略記する)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
参考例4
スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例2と同様の方法で、スルホン化tBSSEPStBSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン38.4ml中、0℃にて無水酢酸19.2mlと硫酸8.6mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例3で得られたブロック共重合体tBSSEPStBS100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン840mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。35℃にて1時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSのイオン交換容量は0.50meq/gであった。
参考例5
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B1))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(B2))からなるブロック共重合体の製造
既報の方法(特開2007−258162号公報)と同様の方法で、1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン568ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)1.14mlを仕込んだ後、スチレン4.27ml、4−tert−ブチルスチレン53.3ml、イソプレン66.4ml、4−tert−ブチルスチレン52.6ml及びスチレン9.30mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリスチレン−b−(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、StBSItBSSと略記する)を合成した。得られたStBSItBSSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は167471であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は93.5%、スチレン単位の含有量は9.6質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は62.2質量%であった。
合成したStBSItBSSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−水添ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、StBSEPtBSSと略記する)を得た。得られたStBSEPtBSSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
実施例1
(1)スルホン化StBSEPtBSSの合成
参考例2と同様の方法で、スルホン化StBSEPtBSSを合成した。具体的には先ず、塩化メチレン29.6ml中、0℃にて無水酢酸14.8mlと硫酸6.62mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例5で得られたブロック共重合体StBSEPtBSS20gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン262mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。常温にて48時間攪拌後、塩化メチレン50mlを加えて重合体溶液を希釈した。2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化StBSEPtBSSを得た。得られたスルホン化StBSEPtBSSのイオン交換容量は0.86meq/gであった。イオン交換容量の測定は以下の手順により行った。
イオン交換容量の測定
試料を密閉できるガラス容器中に秤量(a(g))し、そこに過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を、フェノールフタレイン液を指示薬とし、0.01NのNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(b(ml))した。イオン交換容量は、次式により求めた。イオン交換容量=(0.01×b×f)/a
(2)スルホン化StBSEPtBSSの水分散液の調製
5質量%のスルホン化StBSEPtBSS溶液(トルエン/イソブチルアルコール=8/2)を調製し、次いで、薄膜旋回型高速ホモジナイザー(プライミクス社製 フィルミックス)に周速30m/sで攪拌しながらポリマー溶液を70ml/min、水を80ml/minの速度で添加し、転相乳化させた。エバポレーターを用いて溶剤を除去し、5質量%の水分散液を得た。得られた水分散液中のスルホン化StBSEPtBSSの平均粒径は約7.0μmであった。
(3)(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約59nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
(4)電解質膜の作製
参考例2で得られたスルホン化mSEBmSから公知の方法で厚さ50μm、サイズ9cm角の電解質膜(以下、試験膜Aと呼ぶ)を作製した。
(5)ガス拡散電極の作製
ガス拡散電極は、電解質としてデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液と触媒とを混合し、均一に分散された触媒ペーストを調製し、次いでこのペーストを撥水処理したカーボンペーパーの片面に均一に塗布し、常温で数時間放置した後、115℃で30分乾燥させることで作製した。アノード用触媒には田中貴金属工業社製のPt−Ru担持カーボン(TEC61E54)を使用し、カソード用触媒には田中貴金属工業社製のPt担持カーボン(TEC10E50E)を使用した。作製したガス拡散電極は、アノード:Pt 1.00mg/cm、Ru 0.77mg/cm、ポリマー 1.57mg/cm、カソード:Pt 1.00mg/cm、ポリマー 1.20mg/cmであった。
(6)膜−電極接合体の作製
試験膜Aの両面に実施例1(3)で得られた分散液をスプレ−塗布し乾燥することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
実施例2
(1)電解質膜の作製
参考例4で得られたスルホン化tBSSEPStBSを公知の方法で厚さ50μm、サイズ9cm角の電解質膜(以下、試験膜Bと呼ぶ)を作製した。
(2)膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例1(6)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
実施例3
(1)スルホン化StBSEPtBSSの水分散液の調製
実施例1(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約85nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
(2)膜−電極接合体の作製
試験膜Aの両面に実施例3(1)で得られた分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
実施例4
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例3(2)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
実施例5
(1)スルホン化StBSEPtBSSの水分散液の調製
実施例1(2)で得られた水分散液を高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製Nanomizer mark II)で処理することで、平均粒径が約117nmである、スルホン化StBSEPtBSSの水分散液を得た。
(2)膜−電極接合体の作製
試験膜Aの両面に実施例5(1)で得られた分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
実施例6
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例5(2)と同様にして膜−電極接合体を作製した。
実施例7
膜−電極接合体の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に実施例5(1)で得られた分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
実施例8
(1)膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は実施例7と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例1
膜−電極接合体の作製
試験膜Aと実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)とを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した
比較例2
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は比較例1と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例3
膜−電極接合体の作製
試験膜Aと実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)とを熱プレス(130℃、20kgf/cm、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
比較例4
膜−電極接合体の作製
試験膜Bを用いる以外は比較例3と同様にして膜−電極接合体を作製した。
比較例5
膜−電極接合体(特許文献1記載の膜−電極接合体)の作製
試験膜Aの両面に実施例1(5)で用いたデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、実施例1(5)で得られたガス拡散電極(5cm角)と中間層を形成させた試験膜Aとを熱プレス(130℃、20kgf/cm2、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
比較例6
膜−電極接合体(特許文献1記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に実施例1(5)で用いたデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを熱プレス(130℃、20kgf/cm、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
比較例7
膜−電極接合体(特許文献1記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に、スルホン化mSEBmSのテトラヒドロフラン溶液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
比較例8
膜−電極接合体(特許文献2記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に、実施例1(5)で用いたデュポン社製のパーフルオロカーボンスルホン酸の分散液、及びカーボンブラック(Valcan XC72)を、パーフルオロカーボンスルホン酸/カーボンブラックの質量比が50/50になるように調製した混合液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを熱プレス(130℃、20kgf/cm、8min)により貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
比較例9
膜−電極接合体(特許文献2又は3記載の膜−電極接合体)の作製
実施例1(5)で得られたガス拡散電極の電極触媒層表面に、参考例2で得られたスルホン化HmSEBmS、及びカーボンブラック(Valcan XC72)を、スルホン化HmSEBmS/カーボンブラックの質量比が50/50になるように調製した混合液をスプレ−塗布することで中間層を形成し、中間層を形成させたガス拡散電極(5cm角)と試験膜Aとを貼り合わせることで膜−電極接合体を作製した。
実施例及び比較例の膜及び膜−電極接合体の性能試験
1)膜のイオン伝導度の測定
試験膜A及び試験膜Bについて、1cm×4cmのサイズに裁断した膜を4本の白金ワイヤーに挟んで測定セルを作製した。測定セルは、温度40℃の水中に浸漬して、膜面方向の交流4端子法にてイオン伝導度を測定した。
2)燃料電池単セル出力性能評価
実施例1〜8及び比較例1〜6で作製した膜−電極接合体のそれぞれを、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で順に挟み固体高分子型燃料電池用単セルを作製した。なお、それぞれの膜−電極接合体とセパレータとの間には、電極の厚さ分の段差からのガス漏れを防ぐために、ガスケットを配した。燃料には1mol/LのMeOH水溶液を用い、酸化剤には40℃のバブラにて加湿した酸素を用いた。試験条件は、アノード流量:1ml/min、カソード流量:175ml/min、セル温度40℃とし、電流値が50mA/cmの条件にて2時間の発電を実施した後の電気抵抗を評価した。なお、電気抵抗は電流値が50mA/cmの条件下で電流遮断法にて測定した。
実施例3及び比較例5で得られた膜−電極接合体の電子顕微鏡写真
実施例3で得られた膜−電極接合体の断面における電子顕微鏡写真を図2及び図3に示す。なお、実施例3で得られた膜−電極接合体は酢酸鉛を用いて膜−電極接合体を構成する電解質材料のスルホン酸基を選択的に染色することで相分離構造を観察した。
中間層中のブロック共重合体はイオン伝導性基を有する相がシェル相であり、イオン伝導性基を有さない相がコア相であるコアシェル構造を形成している。コアシェル構造のシェル相は連続的なイオン経路を形成し、また、中間層と電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分はシェル相から形成されている構造が明確に示された。
比較例5で得られた膜−電極接合体であって上記と同様の染色をしたものの断面における電子顕微鏡写真を図4に示す。中間層の相分離は観察されない。
性能試験の結果
実施例1〜8及び比較例1〜6に用いた試験膜A及び試験膜Bのイオン伝導度はそれぞれ0.024S/cm及び0.017S/cmであった。実施例1〜8及び比較例1〜6について50mA/cmにおける単セルの電気抵抗を測定した結果を表1に示す。
実施例1、実施例3、実施例5、実施例7、比較例1及び比較例3の試験膜Aを用いた試験から、本発明の中間層導入の効果が示された。また、実施例2、実施例4、実施例6、実施例8、比較例2及び比較例4の試験膜Bを用いた試験においても同様に本発明の効果が示された。実施例1〜8、比較例5及び比較例6の試験から、Nafionを膜−電極接合部分に導入した場合(特許文献1記載の手法でもある)に比して、本発明のイオンチャンネルを制御したコアシェル構造からなるイオン伝導体で構成される中間層の方が膜−電極界面抵抗の低減に有効であることが示された。さらに、実施例1〜8、比較例1、比較例3及び比較例7〜9の試験から、特許文献1及び2に記載された電解質膜と電極との界面部分に凹凸構造を形成させる手法や、特許文献3に記載された、中間層により、膜の傷付き防止及び膜への応力の緩和を行う方法に比して、イオンチャンネルを制御した、コアシェル構造からなるイオン伝導体で構成される中間層を用いる本発明及びスルホン化mSEBmSで構成される中間層を用いる本発明の方が膜−電極界面抵抗の低減に有効であることが示された。なお、イオンチャンネルを制御した、コアシェル構造からなるイオン伝導体を中間層として有する膜−電極接合体及びスルホン化mSEBmSを中間層として有する膜−電極接合体は、Nafionを膜−電極接合部に導入した比較例の膜−電極接合体に比して、ほぼ同等もしくはそれ以上の開回路電圧を示した。加えて、本発明の膜−電極接合体には、発電試験後においても剥離等は全くみられず、接合強度に優れていた。
本発明の膜−電極接合体に設けられた中間層の構造を模式的に示す構成図である。 実施例3で得られた固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体断面の電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られた固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体断面の電子顕微鏡写真である。 比較例5で得られた固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体断面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1及び3 イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)
2及び4 イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)
5 電極触媒層
6 中間層
7 電解質膜

Claims (12)

  1. 高分子電解質膜と、この高分子電解質膜に該膜を挟んで接合されている2つのガス拡散電極とからなる、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体において、各ガス拡散電極は電極触媒層とガス拡散層から構成され、少なくとも一方の電極触媒層と高分子電解質膜との間に、イオン伝導体からなる中間層を有し、イオン伝導体がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)とイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)からなり、両ブロックが互いに相分離するブロック共重合体から主としてなり、該ブロック共重合体がイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)が内側にイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が外側に相分離したコアシェル構造を取り、重合体ブロック(A)が連続相をなし、かつ、中間層と高分子電解質膜との接合部分及び中間層と電極触媒層との接合部分がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)からなる該膜−電極接合体。
  2. 重合体ブロック(A)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項1記載の膜−電極接合体。
  3. 芳香族ビニル系化合物が、スチレン、α−メチルスチレン及びベンゼン環に結合した水素原子の1〜3個が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたスチレンから選ばれる請求項2記載の膜−電極接合体。
  4. 重合体ブロック(B)がゴム状重合体ブロック(B1)からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
  5. 重合体ブロック(B1)が、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種を繰返し単位とする重合体ブロックである請求項4記載の膜−電極接合体。
  6. 重合体ブロック(B)が、重合体ブロック(B1)、及び重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B1)と相分離する構造保持性重合体ブロック(B2)からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
  7. 重合体ブロック(B2)を構成する繰返し単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項6記載の膜−電極接合体。
  8. ブロック共重合体が、両末端に重合体ブロック(A)を配した構造を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
  9. ブロック共重合体が、ゴム状重合体ブロック(B1)を中心にして、その両側に重合体ブロック(B2)を配し、さらに重合体ブロック(B2)の両外側に重合体ブロック(A)を配した構造を有する請求項6記載の膜−電極接合体。
  10. イオン伝導性基が、スルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれるカチオン伝導性基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
  11. イオン伝導体が、水系分散媒に該ブロック共重合体及び必要に応じ各種添加剤を該ブロック共重合体の粒径サイズが1μm以下になるように分散させた分散液から水系分散媒を除去することにより得られたものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の膜-電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
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