JPWO2013031634A1 - ブロック共重合体、高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる課題に対し、湿潤時の力学特性を高めるため、高分子電解質とポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルム等の補強材からなる高分子電解質膜が提案されている(特許文献1参照)。しかし、補強材のプロトン伝導性が低いため、高分子電解質膜の膜抵抗が高くなり、発電特性が悪化する傾向がある。
[1]イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)、非晶性オレフィン重合体ブロック(B)、及びイオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体ブロック(C)からなり、かつ6〜10個の重合体ブロックからなるブロック共重合体であって、前記重合体ブロック(A)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記末端重合体ブロックの少なくとも一方が重合体ブロック(A)であり、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックは重合体ブロック(C)のみであるブロック共重合体;
[2]前記重合体ブロック(A)がイオン伝導性基を有する芳香族ビニル化合物重合体ブロックである上記[1]のブロック共重合体;
[3]前記イオン伝導性基が−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で示される基である上記[1]又は[2]のブロック共重合体;
[4]前記重合体ブロック(B)が軟化温度30℃以下の非晶性オレフィン重合体ブロックである上記[1]〜[3]のいずれかのブロック共重合体;
[5]前記重合体ブロック(C)が下記一般式(a)
で示される芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする上記[1]〜[4]のいずれかのブロック共重合体;
[6]上記[1]〜[5]のいずれかのブロック共重合体を構成成分とする高分子電解質膜;
[7]上記[6]の高分子電解質膜を備える膜−電極接合体;及び
[8]上記[7]の膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池;
を提供するものである。
まず、本発明のブロック共重合体について説明する。
本発明のブロック共重合体は、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)(以下、単に「重合体ブロック(A)」と称する場合がある)、非晶性オレフィン重合体ブロック(B)(以下、単に「重合体ブロック(B)」と称する場合がある)、及びイオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体ブロック(C)(以下、単に「重合体ブロック(C)」と称する場合がある)からなり、かつ6〜10個の重合体ブロックからなるブロック共重合体であって、前記重合体ブロック(A)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記末端重合体ブロックの少なくとも一方が重合体ブロック(A)であり、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックは重合体ブロック(C)のみであることを特徴とする。
本発明のブロック共重合体は、高分子電解質膜の構成成分として有用であり、その場合、該ブロック共重合体は1種単独で用いても複数種を併用してもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の重合体、低分子量有機化合物、無機化合物等を含んでもよい。
本発明のブロック共重合体の構成成分の一つである重合体ブロック(A)は、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入した構造を有する。本発明のブロック共重合体は、後述するように、例えば、イオン伝導性基を有さない特定のブロック共重合体を製造した後に、該ブロック共重合体における重合体ブロック(A)に変換すべき位置にある重合体ブロック(A0)に選択的にイオン伝導性基を導入することで製造できる。
該重合体ブロック(A0)としては、芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック、ポリカーボネートブロック、ポリアミドブロック、ポリイミドブロック、ポリ尿素ブロック、ポリスルホンブロック、ポリスルホネートブロック、ポリベンゾオキサゾールブロック、ポリベンゾチアゾールブロック、ポリフェニルキノキサリンブロック、ポリキノリンブロック、ポリトリアジンブロック、ポリアクリレートブロック、ポリメタクリレートブロック等の重合体ブロックが挙げられる。中でも、芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロックから選ばれる重合体ブロックが好ましく、合成が容易である観点から、芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする重合体ブロックがより好ましい。
なお、芳香族ビニル化合物を1種を単独で用いる場合には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルビフェニルのいずれかを用いることが好ましく、芳香族ビニル化合物を複数種併用して共重合する場合には、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−2−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンからなる群から複数種を選択することがより好ましい。これら複数種の芳香族ビニル化合物を共重合させて重合体ブロック(A0)を形成する場合の共重合方法は、ランダム共重合が好ましい。
かかる分子量が大きい場合、高分子電解質膜の力学特性が優れる傾向になるが、100,000以下であれば、高分子電解質膜の成形、製膜が容易である。また、かかる分子量が1,000以上であれば、ミクロ相分離が起こりやすく、イオンチャンネルを形成しやすくなるためイオン伝導性が高くなる傾向にあり、また力学特性も向上する傾向になる。
イオン伝導性基としては、当該ブロック共重合体を用いて作製される高分子電解質膜、膜−電極接合体が十分なイオン伝導度を発現できる基であれば特に限定されず、特にプロトン等のカチオンを伝導するイオン伝導性基としては、−SO3M、−PO3HM、−CO2M(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で示されるスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基又はそれらの塩を用いることができ、特に高いカチオン伝導性を示す観点から、−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは前記定義のとおりである)で示されるスルホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が好ましい。
本発明のブロック共重合体の構成成分の一つである重合体ブロック(B)は、非晶性オレフィン重合体ブロックである。ここで、非晶性オレフィン重合体ブロックとは、オレフィン単位を繰り返し単位とする重合体ブロックであって、非晶性のものを指す。非晶性については、動的粘弾性の測定によって結晶性オレフィン由来の貯蔵弾性率の変化がないことによって確認できる。当該ブロック共重合体を用いた本発明の高分子電解質膜は、重合体ブロック(B)の存在によって、使用温度域において弾力性を有し、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製にあたっては成形性(組立性、接合性、締付性等)に優れる。
このような重合体ブロック(B)を構成する繰り返し単位としては、例えば炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルカン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位等が挙げられる。これらの繰り返し単位は、1種を単独で用いても複数種を併用してもよい。
複数種の単量体を共重合させて重合体ブロック(B)を製造する場合、共重合方法はランダム共重合が好ましい。
なお、炭素−炭素二重結合の水素添加率は一般に用いられている方法、例えばヨウ素価測定法、1H−NMR測定等によって算出できる。
また、本発明のブロック共重合体を製造するにあたり、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体を重合した後にイオン伝導性基を導入する場合、重合体ブロック(B)が飽和炭化水素構造であれば、重合体ブロック(B)にはイオン伝導性基が導入されにくいため好ましい。したがって、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体を重合した後に重合体ブロック(B)に残存する炭素−炭素二重結合の水素添加反応を行う場合は、イオン伝導性基を導入する前に行うことが望ましい。
本発明のブロック共重合体の構成成分の一つである重合体ブロック(C)は、イオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体であり、重合体ブロック(A)との極性の違い、及び重合体ブロック(B)との化学構造の違いにより、ミクロ相分離が起こりやすい。重合体ブロック(C)は重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)とミクロ相分離した状態で、かつ軟化温度(すなわち該重合体ブロック(C)が独立して重合体となった場合の軟化温度)以下で使用することで、当該ブロック共重合体において拘束相として機能する。
また、同様の観点から、重合体ブロック(C)の軟化温度は80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
本発明のブロック共重合体は、前述した重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)からなり、かつ6〜10個の重合体ブロックからなるブロック共重合体であって、前記重合体ブロック(A)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記末端重合体ブロックの少なくとも一方が重合体ブロック(A)であり、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックは重合体ブロック(C)のみである。
当該ブロック共重合体における重合体ブロックの結合様式を示すと下記式(b)、式(c)又は式(d)となる。
A−・・・[C−B−C]・・・−C (b)
A−・・・[C−B−C]・・・−A (c)
A−・・・・・・・・[C−B−C] (d)
すなわち、式(b)は、両末端が重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(C)であり、その間に重合体ブロック(B)の両端に重合体ブロック(C)が結合した[C−B−C]ユニットが存在している。式(c)は、両末端が共に重合体ブロック(A)であり、その間に重合体ブロック(B)の両端に重合体ブロック(C)が結合した[C−B−C]ユニットが存在している。式(d)は、両末端が重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(C)であり、かかる末端重合体ブロック(C)に重合体ブロック(B)が結合し、さらにかかる重合体ブロック(B)の他端に別の重合体ブロック(C)が結合した[C−B−C]ユニットが存在している。
本発明のブロック共重合体の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体を製造した後、イオン伝導性基を導入する方法が好ましい。
まず、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体にスルホン酸基を導入する方法(スルホン化)について述べる。スルホン化は、公知のスルホン化法を適用でき、例えば、該ブロック共重合体と有機溶媒から溶液や懸濁液を調製し、スルホン化剤を添加する方法や、該ブロック共重合体に直接ガス状のスルホン化剤を添加する方法等が挙げられる。
次に、本発明の高分子電解質膜について説明する。
本発明の高分子電解質膜は、本発明のブロック共重合体を構成成分とする。
ヒンダードアミン類としては、例えば、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ))、2−(2,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)が挙げられる。これらヒンダードアミン類は1種のみ用いても複数種を併用してもよい。
力学特性に優れる高分子電解質膜を作製しやすい観点から、トルエン及びイソブチルアルコールとの混合溶媒、トルエンと2−プロパノールとの混合溶媒、シクロヘキサンと2−プロパノールの混合溶媒、シクロヘキサンとイソブチルアルコールの混合溶媒、テトラヒドロフラン溶媒、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶媒が好ましく、特に、トルエンとイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエンと2−プロパノールの混合溶媒が好ましい。
次に、本発明の膜−電極接合体について説明する。
本発明の膜−電極接合体は、前述した本発明の高分子電解質膜を備える。該膜−電極接合体の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、イオン伝導性バインダー、導電性触媒担体、分散媒を含む触媒ペーストを印刷法やスプレー法によりガス拡散層上に塗布し乾燥することで、触媒層とガス拡散層との接合体を形成させ、このようにして形成した接合体2枚でそれぞれの触媒層が高分子電解質膜に接するように挟み、ホットプレス等により接合させる方法;上記触媒ペーストを印刷法やスプレー法により高分子電解質膜の両面に塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層にホットプレス等によりガス拡散層を圧着させる方法;イオン伝導性バインダーを含む溶液又は懸濁液を、高分子電解質膜の両面及び/又は1対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、高分子電解質膜と触媒層面とを貼り合わせ、熱圧着等により接合させる方法;上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製等の基材フィルムに塗布し、乾燥して触媒層を形成させたものを2枚用意し、それぞれの触媒層が高分子電解質膜に接するように挟み、高分子電解質膜の両側に加熱圧着により触媒層を転写したのち、基材フィルムを剥離することで高分子電解質膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法;が挙げられる。これらの方法においては、イオン伝導性基をナトリウム等の金属との塩にした状態で行い、接合後の酸処理によってプロトン型に戻してもよい。
次に、本発明の固体高分子型燃料電池について説明する。
本発明の固体高分子型燃料電池は、前述した本発明の膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより得られる。
本発明の固体高分子型燃料電池は、用いる燃料によって、水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等に分類できる。
試料を密閉できるガラス容器中にブロック共重合体を秤量(秤量値a(g))し、過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液((300〜500)×a(ml))を添加して12時間攪拌した。フェノールフタレインを指示薬として、水中に発生した塩化水素を0.01規定の水酸化ナトリウム標準水溶液(力価f)にて滴定(滴定量b(ml))した。
イオン交換容量は次式により求めた。
イオン交換容量(meq/g)=(0.01×b×f)/a
数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記の条件で測定した。
装置:東ソー(株)製、商品名:HLC−8220GPC
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK−GEL(TSKgel G3000HxL(内径7.6mm、有効長30cm)を1本、TSKgel Super Multipore HZ−M(内径4.6mm、有効長15cm)を2本の計3本を直列で接続)
カラム温度:40℃
検出器:RI
送液量:0.35ml/分
数平均分子量計算:標準ポリスチレン換算
後述の実施例1〜3及び比較例1で得られた高分子電解質膜を、広域動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数 11Hz)で、昇温速度を3℃/分で、−80℃から250℃まで昇温して、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及び損失正接(tanδ)を測定した。結晶化オレフィン重合体に由来する80〜100℃における貯蔵弾性率のピークがないことに基づき、重合体ブロック(B)の非晶性を判断した。この結果、下記実施例、比較例で得られたすべての高分子電解質膜について、重合体ブロック(B)は非晶性であった。また、損失正接のピーク温度より、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の軟化温度を測定した。なお、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(A)の損失正接のピーク温度が近いため、ピーク分割処理にてそれぞれのピークに分割し、重合体ブロック(C)の軟化温度を特定した。
[参考例1]
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン664ml、及びsec−ブチルリチウム(1.0mol/Lシクロヘキサン溶液)1.65mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、スチレン27.4ml、4−tert−ブチルスチレン13.8ml、スチレン27.4ml、4−tert−ブチルスチレン13.8ml、イソプレン111ml、4−tert−ブチルスチレン13.8ml、スチレン27.4ml、及び4−tert−ブチルスチレン13.8mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STSTITST−1と略記する)を合成した。
得られたSTSTITST−1の数平均分子量は196,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は93.8%、スチレン単位の含有量は35.4質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.4質量%であった。
得られたSTSTETST−1のポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)により算出することを試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積2000mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン904ml、及びsec−ブチルリチウム(0.83mol/Lシクロヘキサン溶液)2.00mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、スチレン28.8ml、4−tert−ブチルスチレン20.8ml、スチレン28.8ml、4−tert−ブチルスチレン20.8ml、イソプレン91.5ml、4−tert−ブチルスチレン20.8ml、スチレン28.8ml、及び4−tert−ブチルスチレン20.8mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STSTITST−2と略記する)を合成した。
得られたSTSTITST−2の数平均分子量は126,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は93.7%、スチレン単位の含有量は35.4質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は34.4質量%であった。
得られたSTSTETST−2のポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)により算出することを試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積2000mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン857ml、及びsec−ブチルリチウム(1.15mol/Lシクロヘキサン溶液)2.70mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、スチレン19.8ml、4−tert−ブチルスチレン14.7ml、イソプレン36.0ml、4−tert−ブチルスチレン14.7ml、スチレン19.8ml、及び4−tert−ブチルスチレン14.7mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STITSTと略記する)を合成した。
得られたSTITSTの数平均分子量は79,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.2%、スチレン単位の含有量は35.5質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は39.6質量%であった。
得られたSTETSTのポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)により算出することを試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン519ml、及びsec−ブチルリチウム(1.0mol/Lシクロヘキサン溶液)2.36mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、4−tert−ブチルスチレン21.6ml、スチレン30.1ml、イソプレン86.9ml、スチレン30.1ml及び4−tert−ブチルスチレン21.6mlを順次添加して重合し、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSISTと略記する)を合成した。
得られたTSISTの数平均分子量は79,100であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は35.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.0質量%であった。
得られたTSESTのポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)により算出することを試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン540ml、及びsec−ブチルリチウム(0.90mol/Lシクロヘキサン溶液)2.10mlを添加した後、60℃にて攪拌しつつ、スチレン28.8ml、4−tert−ブチルスチレン19.2ml、イソプレン80.1ml、4−tert−ブチルスチレン18.2ml、スチレン28.8mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン(以下、STITSと略記する)を合成した。
得られたSTITSの数平均分子量は90,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は32.8質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は26.5質量%であった。
得られたSTETSのポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)による算出することを試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブ中に、脱水したシクロヘキサン608ml、及びsec−ブチルリチウム(1.15mol/Lシクロヘキサン溶液)3.13mlを添加した後、60℃にて攪拌しつつ、スチレン50.2ml、4−tert−ブチルスチレン63.6ml、イソプレン82.6ml、4−tert−ブチルスチレン30.4mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b―ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STITと略記する)を合成した。
得られたSTITの数平均分子量は53,700であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は24.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は45.0質量%であった。
得られたSTETのポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)により算出することを試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブ中に、脱水したシクロヘキサン608ml、及びsec−ブチルリチウム(1.15mol/Lシクロヘキサン溶液)2.0mlを添加した後、60℃にて攪拌しつつ、スチレン59.4ml、4−tert−ブチルスチレン43.1ml、イソプレン52.2ml、4−tert−ブチルスチレン20.6mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b―ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STITと略記する)を合成した。
得られたSTITの数平均分子量は79,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は35.8質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は39.4質量%であった。
上記で得られたSTITのシクロヘキサン溶液を調製し、窒素置換した耐圧容器に添加した後、Ni/Al系のチーグラー系触媒を用いて、水素圧0.5〜1.0MPa、70℃で18時間水素添加反応を行い、ポリスチレンからなる重合体ブロック(A0)、水添ポリイソプレンからなる重合体ブロック(B)、及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)からなる重合体ブロック(C)からなるブロック共重合体であるポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−水添ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STETと略記する)を得た。
得られたSTETのポリイソプレンに由来する残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)により算出することを試みたが、検出限界以下であった。
(ブロック共重合体(1)の製造)
加熱乾燥後、窒素置換した200mL三口フラスコに、塩化メチレン72.7ml、無水酢酸36.4mlを添加し、0℃にて撹拌しつつ濃硫酸16.3mlを滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例1で得られたブロック共重合体STSTETST−1を20g、攪拌機を備えた内容積3Lのガラス製反応容器に入れ、系内を窒素置換した後、塩化メチレン250mlを加えて、常温にて4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤114mlを5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水25.2mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに、蒸留水500mlを滴下して、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水1Lを加えて、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。洗浄及びろ過操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、得られたブロック共重合体を減圧下で乾燥して、本発明のブロック共重合体であるスルホン化STSTETST−1(以下、ブロック共重合体(1)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(1)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%であり、イオン交換容量は滴定の結果から2.65meq/gであった。
ブロック共重合体(1)の13質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比75/25)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約450μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(2)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積1000mlの三口フラスコに、塩化メチレン262ml及び無水酢酸131mlを添加し、0℃にて撹拌しつつ濃硫酸を58.7ml滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌してスルホン化剤を調製した。
一方、参考例2で得られたブロック共重合体STSTETST−2を72g、攪拌機を備えた内容積5Lのガラス製反応容器に入れ、系内を窒素置換した後、塩化メチレン900mlを加えて常温にて4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤411mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水91mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに、蒸留水1000mlを徐々に滴下して、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水を1L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体の回収をした。この洗浄及びろ過操作を、洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、得られたブロック共重合体を減圧下で乾燥して本発明のブロック共重合体であるスルホン化STSTETST−2(以下、ブロック共重合体(2)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(2)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、イオン交換容量は滴定の結果から2.65meq/gであった。
ブロック共重合体(2)の12質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させた後、さらに約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(3)の製造)
乾燥後、窒素置換した100mlの三口フラスコに、塩化メチレン14.3ml及び無水酢酸28.5mlを添加し、0℃にて攪拌しつつ、濃硫酸を16.6ml滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌してスルホン化剤を調製した。
一方、参考例3で得られたブロック共重合体STETST20gを、攪拌機を備えた内容積3Lのガラス製反応容器に入れ、窒素置換した後、塩化メチレン250mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。この溶液に先に調製したスルホン化剤59.4mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水21mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水300mlを滴下し、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過によりブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水1Lを加えて、攪拌しながら洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。この洗浄及びろ過操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収したブロック共重合体を減圧下で乾燥して本発明のブロック共重合体であるスルホン化STETST(以下、ブロック共重合体(3)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(3)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、イオン交換容量は滴定の結果から2.64meq/gであった。
ブロック共重合体(3)の8質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比80/20)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約550μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(4)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積500mlの三口フラスコ中に、塩化メチレン119ml及び無水酢酸59.5mlを添加し、0℃にて攪拌しつつ濃硫酸26.6mlを滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例4で得られたブロック共重合体TSEST30gを、攪拌機を備えた内容積3Lのガラス製反応容器に入れ、窒素置換した後、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤171mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水500mlを滴下し、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過によりブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水を1L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。洗浄及びろ過操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収したブロック共重合体を真空乾燥して本発明に属さないブロック共重合体であるスルホン化TSEST(以下、ブロック共重合体(4)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(4)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、イオン交換容量は滴定の結果から2.65meq/gであった。
ブロック共重合体(4)の17質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比70/30)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(5)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積200mlの三口フラスコに、塩化メチレン68.1ml及び無水酢酸34.1mlを添加し、0℃にて攪拌しつつ濃硫酸15.2mlを滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例5で得られたブロック共重合体STETSを20g、攪拌機を備えた2Lのガラス製反応容器に入れ、窒素置換した後、塩化メチレン250mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤106.7mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水500mlを滴下し、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過によりブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに移し、蒸留水を1L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。洗浄及びろ過操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、得られたブロック共重合体を減圧下で乾燥して本発明に属さないブロック共重合体であるスルホン化STETS(以下、ブロック共重合体(5)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(5)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、イオン交換容量は滴定の結果から2.52meq/gであった。
ブロック共重合体(5)の10質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比70/30)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約150μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて100℃、4分間乾燥させたが、表面に直径が数cmの斑点が多数確認され、かかる斑点部分は5μm以上薄くなっていたことから、かかる膜厚の均一性に欠ける高分子電解質膜は固体高分子型燃料電池用として使用できないと判断した。
(スルホン化STETの合成)
乾燥後、窒素置換した内容積200mlの三口フラスコに、塩化メチレン49.8ml及び無水酢酸24.9mlを加え、0℃にて攪拌しつつ濃硫酸11.1mlを添加し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例6で得られたブロック共重合体STETを20g、攪拌機を備えた内容積2Lのガラス製反応容器に入れ、系内を窒素置換した後、塩化メチレン250mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。この溶液に先に調製したスルホン化剤78.1mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、溶液の一部をサンプリングしてブロック共重合体を単離し、1H−NMR(400MHz)分析からSTETのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率が100mol%、その結果から組成計算により算出できるイオン交換容量は1.94meq/gであることを確認した。蒸留水22mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水500mlを滴下し、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去させていく過程で、ブロック共重合体が溶解し、ろ過による固形分の回収を行うことができなかった。
(スルホン化STETの合成)
実施例3で用いたブロック共重合体STETSTを、参考例7で得られたブロック共重合体STETに変更した以外は、実施例3と同条件にて反応させた。常温にて48時間攪拌後、溶液の一部をサンプリングしてブロック共重合体を単離し、1H−NMR(400MHz)分析からSTETのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率が99.6mol%、その結果から組成計算により算出できるイオン交換容量は2.68meq/gであることを確認した。蒸留水22mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水500mlを滴下した。この混合液から塩化メチレンを留去させていく過程で、ブロック共重合体が析出せず、ろ過による固形分の回収を行うことができなかった。
実施例1〜3及び比較例1で得られたスルホン化ブロック共重合体から作製した高分子電解質膜を以下の1)〜4)の試験によって評価した。
得られた高分子電解質膜から1cm×4cmの試験片を切り抜き、それを一対の金電極で挟み、開放系の測定セルに装着した。測定セルを温度80℃、相対湿度30%の雰囲気下に設置し、交流インピーダンス法によりプロトン伝導度を測定した。
得られた高分子電解質膜を用いて作製した固体高分子型燃料電池用単セルについて、セル電圧を測定し、発電特性を評価した。なお、固体高分子型燃料電池用単セルは以下の手順で作製した。Pt担持カーボンに、Nafionの10質量%溶液を、Pt担持カーボンとNafionとの質量比が1:0.75になるように添加混合し、ついでn−プロパノールを、水/n−プロパノールの質量比が1/1になるまで添加し、均一に分散されたペーストを調製し、電極を作製した。ここで、Pt担持カーボンを塗布した面を触媒面と称する。
実施例又は比較例で得られた高分子電解質膜を、上記で作成した電極2枚を用いて、高分子電解質膜と触媒面とが向かい合うように挟み、その外側を2枚の耐熱性フィルム及び2枚のステンレス板で順に挟み、ホットプレス(115℃、2MPa、8min)により膜−電極接合体を作製した。得られた膜−電極接合体を、ガス供給流路の役割を兼ねた導電性の2枚のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で挟み固体高分子型燃料電池用の評価セル(電極面積は25cm2)を得た。
得られた高分子電解質膜から2cm×2cmの試験片を切り抜き、表裏を離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]で挟み、さらにガラス板で両面を挟んで、90℃の熱風乾燥機内に1週間放置した。得られた熱処理後の高分子電解質膜と、熱処理前の高分子電解質とをそれぞれGPC分析し、低分子量化した比率からその耐熱性を評価した。GPC分析においては、サンプル10mgを採取し、THF0.9g、MeOH0.1gに溶かした後、ジアゾメタンを0.1g添加し、GPC分析サンプルを調製したものを用いた。熱処理後の高分子電解質膜のGPCチャートで観察される溶出曲線は、熱処理前の高分子電解質膜のGPCチャートで現れるピークと同じ保持時間にメインピークが、メインピークより低分子量側に現れる低分子量体ピークがそれぞれ現れる。このメインピークと低分子量体ピークを、これらピーク間の谷部にてGPCチャートのベースラインに対して垂直に分割し、メインピークを含む領域の面積(Sa)と低分子量体ピークを含む領域の面積(Sb)を求め、Sb/(Sa+Sb)の値を百分率で表し、低分子量化率とした。
実施例及び比較例で得られた高分子電解質膜をダンベル状にカットしたのち、その試験片を25℃水中に12時間浸漬させ、これを引張試験機(インストロンジャパン社製、5566型)にセットした。25℃、相対湿度50%、引張速度500mm/min.の条件において応力を測定し、破断強さ及び破断伸びを求めた。
Claims (8)
- イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)、非晶性オレフィン重合体ブロック(B)、及びイオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体ブロック(C)からなり、かつ6〜10個の重合体ブロックからなるブロック共重合体であって、前記重合体ブロック(A)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記末端重合体ブロックの少なくとも一方が重合体ブロック(A)であり、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックは重合体ブロック(C)のみであるブロック共重合体。
- 前記重合体ブロック(A)がイオン伝導性基を有する芳香族ビニル化合物重合体ブロックである請求項1に記載のブロック共重合体。
- 前記イオン伝導性基が−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で示される基である請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
- 前記重合体ブロック(B)が軟化温度30℃以下の非晶性オレフィン重合体ブロックである請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロック共重合体を構成成分とする高分子電解質膜。
- 請求項6に記載の高分子電解質膜を備える膜−電極接合体。
- 請求項7に記載の膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池。
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