JP2007258162A - 高分子電解質、高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質、高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】経済的で、環境に優しく、成形性、耐久性に優れ、特に乾燥時と湿潤時の寸法変化や力学特性変化が小さく、またメタノール溶液処理前後でのメタノール透過性等の変化が小さい高分子電解質の提供及びその利用。
【解決手段】互いに相分離する重合体ブロック(A)、(B)及び(C)を含むブロック/グラフト共重合体であって、(A)はビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有し、(B)は柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とし、柔軟相を形成し、(C)は芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックであるか結晶性ポリオレフィンブロックであって、拘束相を形成し、イオン伝導性基は実質上(A)のみに存在するブロック/グラフト共重合体を含有する高分子電解質、並びに膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性に優れた高分子電解質、それからなる高分子電解質膜、並びに該高分子電解質膜を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池に関する。
近年、エネルギー及び/又は環境問題の抜本的解決策として、さらには将来の水素エネルギー時代の中心的エネルギー変換システムとして、燃料電池技術が注目されている。特に固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、小型軽量化が可能であるなどの理由から、電気自動車用の駆動電源や携帯機器用の電源としての利用、さらに電気と熱を同時利用する家庭据置き用の電源機器などへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、一般に次のように構成される。まず、イオン伝導性を有する高分子電解質膜の両側に、白金属の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質からなるイオン伝導性バインダーとを含む触媒層がそれぞれ形成される。各触媒層の外側には、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気する多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ形成される。ガス拡散層としてはカーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。触媒層とガス拡散層を一体化したものはガス拡散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極をそれぞれ触媒層が電解質膜と向かい合うように電解質膜に接合した構造体は膜−電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。この膜−電極接合体の両側には、導電性と気密性を備えたセパレータが配置される。電極面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を供給するガス流路が膜−電極接合体とセパレータの接触部分又はセパレータ内に形成されている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノールなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガスを供給して発電する。すなわち、燃料極では燃料がイオン化されてプロトンと電子が生じ、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反応することで水が生成する。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
固体高分子型燃料電池が実用化され普及していくためには、性能面では、高い発電性能のみならず、長時間安定して運転できることが重要である。固体高分子型燃料電池は、一般的には、定常運転しているのではなく、起動、運転、停止を繰り返し行うものである。運転時、高分子電解質膜は湿潤下にあるものの、停止した際には湿度低下がおきやすい。
そのため、低湿度下(乾燥時)と湿潤時の寸法変化や力学特性変化が小さい電解質膜が望まれている。また、起動後すぐに安定運転できる等、動作環境が変化した場合にもすぐに一定の特性を発現できるような、始動性に優れた電解質膜が望まれている。
また、燃料としてメタノールを用いる固体高分子型燃料電池では、運転中に電解質膜の構造、特にイオン伝導性基であるスルホン酸基が凝集することにより形成されるイオンチャンネルの構造が変化しやすく、そのため発電特性も変化しやすい。それ故、発電前後(電解質膜においては、メタノール溶液浸漬処理前後に相当)の特性、特にメタノール透過性やイオン伝導度等の特性の変化が小さい電解質膜が望まれている。
一般的に、固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜としては、化学的に安定であるという理由からパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子であるナフィオン(Nafion,デュポン社の登録商標。以下同様)が用いられている。しかしながら、乾燥時と湿潤時の力学特性(引張特性等)の変化が大きいため、長期発電試験中に性能が低下しやすい傾向にある。加えて、ナフィオンはフッ素系のポリマーであるため、合成及び廃棄時に環境への配慮が必要であり、かつ高価である。そのため、新規な電解質膜の開発が望まれている。
上記課題を解決すべく、パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質膜に代わり、非フッ素系ポリマーをベースとした高分子電解質膜が多数提案されている。例えば、耐熱性芳香族ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)をスルホン化したもの(特許文献1)、ポリエーテルスルホン(PES)をスルホン化したもの(非特許文献1)等が挙げられる。一般にスルホン化芳香族ポリマーはイオン伝導性を高めるためにスルホン酸基導入量を増やしているが、その結果、膨潤しやすくなり、乾燥時と湿潤時の力学特性(引張特性)の変化も大きくなっているのが実情である。
一方、スチレンとゴム成分とからなるブロック共重合体のポリスチレンブロックをスルホン化することにより、ポリスチレンブロックをイオン伝導性チャンネルとした電解質膜も提案されている。例えば、特許文献2において、安価で、機械的、化学的に安定な高分子電解質膜として、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体の略)のスルホン化体からなる高分子電解質膜が提案されている。しかしながら、我々が実際に試験した結果、これらの高分子電解質膜においても、乾燥時と湿潤時の力学特性(引張特性等)の変化が大きく、またメタノール溶液浸漬処理前後での、メタノール透過性、イオン伝導度等の特性の変化も大きいことが明らかとなった。これら特性の変化が大きいことは、この膜を固体高分子型燃料電池に使用した際に、安定して運転が可能な時間が限定されることを示している。
このように、固体高分子型燃料電池において、長時間運転時に安定して駆動可能な、耐久性に優れた固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜は未だ提案されていないのが実情である。
特開平6−93114号公報 特表平10−503788号公報 J. MembraneScience 197(2002)231
本発明の目的は、経済的で、環境に優しく、成形性に優れ、かつ耐久性に優れた、特に固体高分子型燃料電池において長時間運転時に安定して使用可能な、乾燥時と湿潤時の寸法変化や力学特性(引張特性等)の変化が小さく、またメタノール溶液浸漬処理前後でのメタノール透過性等の特性の変化が小さい高分子電解質であって、かつ始動性にも優れた高分子電解質膜、それからなる高分子電解質膜、並びに該高分子電解質膜を使用した膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、互いに相分離する3種の特定の重合体ブロックであって、それぞれイオン伝導性機能、柔軟性機能及び構造保持性(拘束性)機能を有する重合体ブロックを構成成分とするブロック共重合体を主成分とする高分子電解質が、上記目的を満たすことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、互いに相分離する重合体ブロック(A)、(B)及び(C)を構成成分とするブロック共重合体あるいはグラフト共重合体であって、重合体ブロック(A)はビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有し、重合体ブロック(B)は柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とし、柔軟相を形成し、重合体ブロック(C)は芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックであるか結晶性ポリオレフィンブロックであって、拘束相を形成し、イオン伝導性基は実質上重合体ブロック(A)のみに存在するブロック共重合体又はグラフト共重合体を主成分として含有する高分子電解質に関する。
上記ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体において、重合体ブロック(A)は極性基を有するものとして、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)は、それぞれ、同じもしくは類似の構造を有するものとして、ミクロ相分離を起こし、重合体ブロック(A)同士、重合体ブロック(B)同士、及び重合体ブロック(C)同士がそれぞれ集合する性質がある。
重合体ブロック(A)はイオン伝導性基を有するので重合体ブロック(A)同士の集合によりイオンチャンネルが形成され、イオンの通り道となる。重合体ブロック(B)は、実質的にイオン伝導性基を有しない柔軟相として機能するため、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)等が改善される。重合体ブロック(C)は、実質的にイオン伝導性基を有しない拘束相として機能するため、寸法安定性、形態安定性、耐久性、湿潤下での力学特性等が改善される。
イオン伝導性基はスルホン酸基、ホスホン酸基並びにそれらの塩を包含する。
本発明はまた、該高分子電解質から得られる膜、並びに、該膜を用いた膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池に関する。
本発明の高分子電解質は、経済的で、環境に優しく、成形性に優れ、かつ耐久性に優れ、特に乾燥時と湿潤時の寸法の変化や力学特性(引張特性等)の変化が小さく、またメタノール溶液浸漬処理前後でのメタノール透過性等の特性の変化が小さいという特徴を有することから、長時間安定した性能を発揮できる。また、乾燥、湿潤という動作環境が変化した場合にもすぐに一定の特性が発現できるという特徴も有していることから始動性にも優れている。したがって、該高分子電解質から得られる膜、並びに該膜を使用した膜−電極接合体は、固体高分子型燃料電池において優れた性能を発揮し得る。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体は、ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)を構成成分の1つとして含む。
ビニル系化合物単位としては芳香族ビニル系化合物単位が好ましく、芳香族ビニル系化合物単位としては、下記一般式(I)
(式中、Arは1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す)で表される単位が好ましい。主たる繰返し単位は一般式(I)で表される単位から選ばれる1種から構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
Arの定義における炭素数6〜14のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、インデニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。該アリール基が1〜3個の置換基を有する場合の置換基としては、それぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基(クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基等)などが挙げられる。
の定義における炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。Rの定義における炭素数6〜14のアリール基としてはArの定義における1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基と同様なものを挙げることができる。
が炭素数1〜4のアルキル基である場合、Arは置換基を有さないのが最も好ましいが、置換基を有する場合には、置換基の数は1もしくは2個であるのが好ましく、1個であるのがより好ましい。Rが炭素数6〜14のアリール基である場合、このアリール基及びArの両方もしくは一方が置換基を有さないのが最も好ましいが、両方とも置換基を有する場合には、置換基の数は1もしくは2個であるのが好ましく、1個であるのがより好ましい。
上記芳香族ビニル系化合物単位を与える芳香族ビニル系化合物の具体例としてはスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルフェナントレン、ビニルビフェニル、α−メチルスチレン、1−メチル−1−ナフチルエチレン、1−メチル−1−ビフェニリルエチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記芳香族ビニル系化合物単位を与える芳香族ビニル系化合物は各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。
重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損わない範囲内で、芳香族ビニル系化合物単位以外に、1種もしくは複数の他の単量体単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体単位を与える単量体としては、例えば炭素数4〜8の共役ジエン(具体例は後述の重合体ブロック(B)の説明におけると同様)、炭素数2〜8のアルケン(具体例は後述の重合体ブロック(B)の説明におけると同様)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等)等が挙げられる。芳香族ビニル系化合物と上記他の単量体との共重合形態はランダム共重合である必要がある。
重合体ブロック(A)に含まれる芳香族ビニル系化合物単位の割合は、十分なイオン伝導性を付与する観点から50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがより一層好ましい。
重合体ブロック(A)のイオン伝導性基が導入されていない状態での分子量は、高分子電解質の性状、要求性能、他の重合体成分等によって適宜選択されるが、ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、100〜1,000,000の間から選択されるのが好ましく、500〜100,000の間から選択されるのがより好ましい。
また、重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損わない範囲内で公知の方法により架橋されていてもよい。架橋を導入することにより、重合体ブロック(A)が形成するイオンチャンネル相が膨潤しにくくなり、乾燥時と湿潤時の力学特性(引張特性等)の変化や、メタノール溶液浸漬処理前後でのメタノール透過性・イオン伝導度等の特性の変化が更に小さくなる傾向にある。
本発明の高分子電解質で使用するブロック共重合体は、重合体ブロック(A)以外に、柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、柔軟相を形成する重合体ブロック(B)を有し、重合体ブロック(B)を有することによってブロック共重合体が全体として弾力性を帯びかつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。ここでいう重合体ブロック(B)はガラス転移点あるいは軟化点が50℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下のいわゆるゴム状重合体ブロックである。なお、重合体ブロック(B)と後述する重合体ブロック(C)としての結晶性ポリオレフィンブロックとは構成する主たる繰返し単位の内容が一部重なる場合があるが、重合体ブロック(B)は柔軟相を形成するものであるから、結晶性ポリオレフィンブロックを包含しない。
柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位としては、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位、炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、アクリル酸エステル単位、ビニルエステル単位、ビニルエーテル単位等が挙げられる。これらの単位を与えるビニル系化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。また、(共)重合に供する単量体が炭素−炭素二重結合を2つ有する場合にはそのいずれが重合に用いられてもよく、共役ジエンの場合には1,2−結合であっても1,4−結合であってもよく、またガラス転移点あるいは軟化点が50℃以下であれば、1,2−結合と1,4−結合との割合にも特に制限はない。
重合体ブロック(B)は、得られるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体に、柔軟性、弾力性ひいては膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって良好な成形性を与える観点から、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位から選ばれる少なくとも1種を主たる繰返し単位とする重合体ブロックであることが好ましく、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種を主たる繰返し単位とする重合体ブロックであることがより好ましく、炭素数2〜6のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種を主たる繰返し単位とする重合体ブロックであることがより一層好ましい。上記で、アルケン単位として最も好ましいのはイソブテン単位であり、共役ジエン単位として最も好ましいのは1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位である。
重合体ブロック(B)の主たる繰返し単位が、ビニルシクロアルケン単位や共役ジエン単位や共役シクロアルカジエン単位である場合のように炭素−炭素二重結合を有している場合には、本発明の高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体の発電性能、耐熱劣化性の向上などの観点から、かかる炭素−炭素二重結合はその30モル%以上が水素添加されているのが好ましく、50モル%以上が水素添加されているのがより好ましく、80モル%以上が水素添加されているのがより一層好ましい。炭素−炭素二重結合の水素添加率は、一般に用いられている方法、例えば、ヨウ素価測定法、H−NMR測定等によって算出することができる。
重合体ブロック(B)において、上記した柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を与えるビニル系化合物について述べる。炭素数2〜8のアルケンとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等が挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルケンとしてはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン及びシクロオクテンが挙げられ、炭素数7〜10のビニルシクロアルケンとしてはビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘプテン、ビニルシクロオクテンなどが挙げられ、炭素数4〜8の共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等が挙げられ、炭素数5〜8の共役シクロアルカジエンとしてはシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等が挙げられる。また、アクリル酸エステルとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、ビニルエステルとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられ、ビニルエーテルとしてはメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、重合体ブロック(B)は、上記柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位以外に、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体に柔軟性、弾力性を与えるという重合体ブロック(B)の目的を損なわない範囲で、他の単量体単位、例えば、後述の重合体ブロック(C)の説明において挙げる芳香族ビニル系化合物単位、塩化ビニル単位等のハロゲン含有ビニル化合物単位等を含んでいてもよい。この場合、柔軟相を形成し得るビニル系化合物と他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが必要である。かかる他の単量体の使用量は、柔軟相を形成し得るビニル系化合物と他の単量体との合計に対して、50質量%未満であるのが好ましく、30質量%未満であるのがより好ましく、10質量%未満であるのがより一層好ましい。
本発明の高分子電解質で使用するブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)以外に、芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とする重合体ブロックであるか結晶性ポリオレフィンブロックであって、拘束相(ブロック共重合体の相分離構造を保持するよう機能する相)を形成する重合体ブロック(C)を有する。背景技術の項で述べたように、固体高分子型燃料電池は運転時と停止時とで湿度変化を生じやすいので、その間の寸法変化や力学的特性(引張強度等)の変化が小さい高分子電解質膜が求められており、また、発電前後(直接メタノール型固体高分子型燃料電池ではメタノール溶液浸漬処理前後に相当)の特性、特にメタノール透過性やイオン伝導度等の特性の変化の小さい高分子電解質膜が求められているが、これらの特性は、一般に、長時間運転の間に低下する。本発明では、これらの特性を、拘束相を形成する重合体ブロック(C)を設けることによって、維持しようとするものである。
重合体ブロック(C)において主たる繰返し単位を構成する場合の芳香族ビニル系化合物単位は、一般式(II)
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表すが、少なくとも1つは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単位から選ばれる少なくとも1種の単位であるのが好ましい。
一般式(II)における各基に関し、R〜Rの定義において炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基などの分岐状アルキル基が挙げられ、Rの定義において炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの分岐状アルキル基が挙げられる。一般式(II)で表される芳香族ビニル系化合物単位の好適な具体例としてはp−メチルスチレン単位、4−tert−ブチルスチレン単位、p−メチル−α−メチルスチレン単位、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン単位等が挙げられる。これらの芳香族ビニル系化合物単位を与える芳香族ビニル系化合物は各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。
重合体ブロック(C)が芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とする場合には、重合体ブロック(C)は芳香族ビニル系化合物単位以外の他の単量体単位を、拘束相としての機能を妨げない範囲内で、含んでいてもよく、他の単量体単位を与える単量体としては、例えば炭素数4〜8の共役ジエン(具体例は既述の重合体ブロック(B)の説明におけると同様)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等)が挙げられる。この際、芳香族ビニル系化合物と他の単量体との共重合形態はランダム共重合である必要がある。
拘束相としての機能を果たす観点から、上記した芳香族ビニル系化合物単位は、重合体ブロック(C)の50質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、90質量%以上を占めることがより一層好ましい。
重合体ブロック(C)が結晶性ポリオレフィンブロックによって構成されている場合、かかる結晶性ポリオレフィンブロックとしては結晶性ポリエチレンブロック、結晶性ポリプロピレンブロック、結晶性水添1,4−ポリブタジエンブロック等が挙げられ、これらの中で水素添加1,4−ポリブタジエンブロックが最も好ましい。
重合体ブロック(C)を重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)とミクロ相分離させ、かつ拘束相として機能させる観点から、重合体ブロック(C)として特に好適な例としては、ポリp−メチルスチレンブロック、ポリ4−(tert−ブチル)スチレンブロック、ポリp−メチル−α−メチルスチレン単位、ポリ4−tert−ブチル−α−メチルスチレン単位等のポリスチレン系ブロック;任意の相互割合の、p−メチルスチレン、4−(tert−ブチル)スチレン、p−メチル−α−メチルスチレン、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン等のアルキル置換スチレンの2種以上からなる共重合体ブロック;結晶性水添1,4−ポリブタジエン;結晶性ポリエチレンブロック;結晶性ポリプロピレンブロック等が挙げられる。
また、重合体ブロック(C)は、本発明の効果を損わない範囲内で公知の方法により架橋させてもよい。架橋を導入することにより、拘束力が更に高くなり、乾燥時と湿潤時の寸法や力学特性(引張特性)の変化や、メタノール溶液処理前後でのメタノール透過性等の特性の変化が更に小さくなる傾向にある。
重合体ブロック(C)の分子量は、高分子電解質の性状、要求性能、他の重合体成分等によって適宜選択される。分子量が大きい場合、高分子電解質の力学特性が高くなる傾向にあるが、大きすぎるとブロック共重合体の成形が困難になり、分子量が小さい場合、力学特性が低くなる傾向にあり、必要性能に応じて分子量を適宜選択することが重要である。ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、100〜1,000,000の間から選択されるのが好ましく、1,000〜100,000の間から選択されるのがより好ましい。
重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)から構成されるブロック共重合体の構造は、特に限定されないが、例として、A−B−C型トリブロック共重合体、A−B−C−A型テトラブロック共重合体、A−B−A−C型テトラブロック共重合体、B−A−B−C型テトラブロック共重合体、A−B−C−B型テトラブロック共重合体、C−B−C−A型テトラブロック共重合体、C−A−B−A−C型ペンタブロック共重合体、C−B−A−B−C型ペンタブロック共重合体、A−C−B−C−A型ペンタブロック共重合体、A−C−B−A−C型ペンタブロック共重合体、A−B−C−A−B型ペンタブロック共重合体、A−B−C−A−C型ペンタブロック共重合体、A−B−C−B−C型ペンタブロック共重合体、A−B−A−B−C型ペンタブロック共重合体、A−B−A−C−B型ペンタブロック共重合体、B−A−B−A−C型ペンタブロック共重合体、B−A−B−C−A型ペンタブロック共重合体、B−A−B−C−B型ペンタブロック共重合体、C−A−C−B−C型ペンタブロック共重合体等が挙げられる。
グラフト共重合体の構造も、ブロック共重合体同様に特に限定されない。これらのブロック共重合体あるいはグラフト共重合体は、各単独で用いても2種以上組み合わせてもよい。
本発明のブロック共重合体あるいはグラフト共重合体において、2個以上の重合体ブロック(A)を有する場合、それらは構造や分子量などが互いに同じであっても又は異なっていてもよい。また、該ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体が2個以上の重合体ブロック(B)を有する場合、それらは構造や分子量などが互いに同じであっても又は異なっていてもよい。また、該ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体が2個以上の重合体ブロック(C)を有する場合、それらは構造や分子量などが互いに同じであっても又は異なっていてもよい。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体において、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(C)の和と重合体ブロック(B)との質量比は、柔軟性、弾力性ひいては膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって良好な成形性を与える観点から、90:10〜10:90であるのが好ましく、85:15〜15:85であるのがより好ましく、80:20〜20:80であるのがより一層好ましい。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体において、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(B)との質量比は、寸法安定性、形態安定性及び耐久性の観点から、95:5〜5:95であるのが好ましく、90:10〜10:90であるのがより好ましく、85:15〜15:85であるのがより一層好ましい。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体のイオン伝導性基が導入されていない状態での数平均分子量は特に制限されないが、ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、10,000〜2,000,000が好ましく、15,000〜1,000,000がより好ましく、20,000〜500,000がより一層好ましい。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体は重合体ブロック(A)中にイオン伝導性基を有することが必要である。本発明でイオン伝導性に言及する場合のイオンとしてはプロトンなどが挙げられる。イオン伝導性基としては、該高分子電解質膜を用いて作製される膜−電極接合体が十分なイオン伝導度を発現できるような基であれば特に限定されないが、中でも−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表されるスルホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が好適に用いられる。イオン伝導性基としては、また、カルボキシル基又はその塩も用いることができる。イオン伝導性基の導入位置を重合体ブロック(A)にするのは、イオン伝導性基の導入が容易なため及びイオンチャンネル形成を容易にするためである。
重合体ブロック(A)中へのイオン伝導性基の導入位置については特に制限はなく、主たる繰返し単位である芳香族ビニル系化合物単位に導入しても既述の他の単量体単位に導入してもよい。しかし、イオンチャンネル形成を容易にする観点や直接メタノール型固体高分子型燃料電池におけるメタノールクロスオーバー(燃料であるメタノールが一方の電極側から他方の電極側へ電解質膜を透過してしまう現象)の抑制の観点から、芳香族ビニル系化合物単位の芳香環に導入するのが好ましい。
本発明において、イオン伝導性基は実質上重合体ブロック(A)のみに存在する。これは1つにはイオンチャンネルの形成を容易にするためであり、また、1つにはイオンチャンネル形成を重合体ブロック(A)に実質上限定し、重合体ブロック(C)を実質上拘束層として機能させることにより、長時間発電後のイオンチャンネルの構造変化を大幅に抑制するためである。構造変化によりイオンチャンネルが大きくなると、メタノールが透過しやすくなり、発電効率も悪くなる傾向にある。本発明において、イオン伝導性基が実質上重合体ブロック(A)のみに存在するとは、重合体ブロック(C)が一般式(II)で表される芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、R〜Rの合計炭素数が1〜3の場合には、ブロック共重合体中に存在するイオン伝導性基の60モル%以上、好ましくは70モル%以上が重合体ブロック(A)に存在し、重合体ブロック(C)が一般式(II)で表される芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、R〜Rの合計炭素数が4以上の場合には、ブロック共重合体中に存在するイオン伝導性基の75モル%以上、好ましくは90モル%以上が重合体ブロック(A)に存在し、重合体ブロック(C)が結晶性ポリオレフィンブロックである場合には95モル%以上が重合体ブロック
(A)に存在することを意味するものとする。
イオン伝導性基の導入量は、高分子電解質の性能を決める上で重要である。本発明の高分子電解質を固体高分子型燃料電池における高分子電解質膜として使用するのに十分なイオン伝導性を発現するためには、本発明の高分子電解質のイオン交換容量は0.30meq/g以上となるような量であることが好ましく、0.35meq/g以上であることがより好ましい。イオン交換容量の上限については、イオン交換容量が大きくなりすぎると親水性が高まり、膨潤しやすい傾向にあるので、3.0meq/g以下であるのが好ましい。
本発明で用いられるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体は主として次の2つの製造方法によって得ることができる。すなわち、(1)イオン伝導性基を有さないブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を製造した後、イオン伝導性基を結合させる方法、(2)イオン伝導性基を有する単量体を用いてブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を製造する方法である。
まず第1の製造法について述べる。
重合体ブロック(A)、(B)又は(C)を構成する単量体の種類、分子量等によって、重合体ブロック(A)、(B)又は(C)の製造法は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法等から適宜選択されるが、工業的な容易さから、ラジカル重合法、アニオン重合あるいはカチオン重合法が好ましく選択される。特に、分子量、分子量分布、重合体の構造、重合体ブロック(A)、(B)及び(C)の結合の容易さ等からいわゆるリビング重合法が好ましく、具体的にはリビングラジカル重合法あるいはリビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法が好ましい。
製造法の具体例として、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を主たる繰返し単位とする重合体ブロック(C)、スチレン又はα−メチルスチレンからなる重合体ブロック(A)及び共役ジエンからなる重合体ブロック(B)を成分とするブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の製造法について述べる。この場合、工業的容易さ、分子量、分子量分布、重合体ブロック(A)、(B)及び(C)の結合の容易さ等からリビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法で製造するのが好ましく、次のような具体的な合成例が示される。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体をアニオン重合によって製造するに当たっては、
(1)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を重合し、その後共役ジエン、スチレンを逐次重合させA−B−C型ブロック共重合体を得る方法、
(2)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を重合し、その後スチレン、共役ジエンを逐次重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加してC−A−B−A−C型ブロック共重合体を得る方法、
(3)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、共役ジエン、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を逐次重合させC−B−C型ブロック共重合体を作成し、アニオン重合開始剤系(アニオン重合開始剤/N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)を添加し共役ジエン単位をリチオ化した後、スチレンを重合させ、C−B(−g−A)−C型ブロック・グラフト共重合体を得る方法、
(4)非極性溶媒中有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエン、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を逐次重合させA−B−C型ブロック共重合体を得る方法、
(5)非極性溶媒中有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、共役ジエンを重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加してA−C−B−C−A型ブロック共重合体を得る方法、
などを採用/応用することができる。
本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体をカチオン重合によって製造するに当たっては、
(6)ハロゲン系/炭化水素系混合溶媒中、−78℃で、2官能性ハロゲン化開始剤を用いて、ルイス酸存在下、イソブテンをカチオン重合させた後、スチレン、4−tert−ブチルスチレン等のスチレン誘導体を逐次重合させ、C−A−B−A−C型ブロック共重合体を得る方法、
などを採用/応用することができる。
次に、得られるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体にイオン伝導性基を結合させる方法について述べる。
まず、得られたブロック共重合体あるいはグラフト共重合体にスルホン酸基を導入する方法について述べる。スルホン化は、公知のスルホン化の方法で行える。このような方法としては、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の有機溶媒溶液や縣濁液を調製し、スルホン化剤を添加し混合する方法やブロック共重合体あるいはグラフト共重合体に直接ガス状のスルホン化剤を添加する方法等が例示される。
使用するスルホン化剤としては、硫酸、硫酸と脂肪族酸無水物との混合物系、クロロスルホン酸、クロロスルホン酸と塩化トリメチルシリルとの混合物系、三酸化硫黄、三酸化硫黄とトリエチルホスフェートとの混合物系、さらに2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸に代表される芳香族有機スルホン酸等が例示される。また、使用する有機溶媒としては、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類等が例示でき、必要に応じて複数の組合せから、適宜選択して使用してもよい。
得られるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体にホスホン酸基を導入する方法について述べる。ホスホン化は、公知のホスホン化の方法で行える。具体的には、例えば、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の有機溶媒溶液や懸濁液を調製し、無水塩化アルミニウムの存在下、該共重合体をクロロメチルエーテル等と反応させ、芳香環にハロメチル基を導入後、これに三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させ、さらに加水分解反応を行ってホスホン酸基を導入する方法などが挙げられる。あるいは、該共重合体に三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させ、芳香環にホスフィン酸基を導入後、硝酸によりホスフィン酸基を酸化してホスホン酸基とする方法等が例示できる。
スルホン化又はホスホン化の程度としては、すでに述べたごとく、本発明の高分子電解質のイオン交換容量が0.30meq/g以上、特に0.35meq/g以上となるように、しかし、3.0meq/g以下であるようにスルホン化またはホスホン化することが望ましい。これにより実用的なイオン伝導性能が得られる。最終的に得られる高分子電解質のイオン交換容量やスルホン化もしくはホスホン化されたブロック共重合体あるいはグラフト共重合体のイオン交換容量、又はブロック共重合体あるいはグラフト共重合体における重合体ブロック(A)中のスルホン化率又はホスホン化率は、酸価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて算出することができる。
本発明で用いられるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の、第2の製造法は、イオン伝導性基を有する少なくとも1つの単量体を用いてブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を製造する方法である。
イオン伝導性基を有する単量体としては、芳香族系ビニル系化合物にイオン伝導性基が結合した単量体が好ましい。具体的には、o、mもしくはp−アルキルスチレンスルホン酸、α−アルキル−o、mもしくはp−アルキル−スチレンスルホン酸、α−アルキル−ビニルナフタレンスルホン酸、α−アルキル−ビニルアントラセンスルホン酸、α−アルキル−ビニルピレンスルホン酸、o、mもしくはp−アルキルスチレンホスホン酸、α−アルキル−o、mもしくはp−アルキル−スチレンホスホン酸、α−アルキル−ビニルナフタレンホスホン酸、α−アルキル−ビニルアントラセンホスホン酸、α−アルキル−ビニルピレンホスホン酸等が挙げられる。
イオン伝導性基を含有する単量体としては、共役ジエン化合物にイオン伝導性基が結合した単量体も用いることができる。具体的には、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸、1,3−ブタジエン−2−スルホン酸、イソプレン−1−スルホン酸、イソプレン−2−スルホン酸、1,3−ブタジエンー1−ホスホン酸、1,3−ブタジエン−2−ホスホン酸、イソプレン−1−ホスホン酸、イソプレン−2−ホスホン酸等が挙げられる。
イオン伝導性基を含有する単量体としてはまた、ビニルスルホン酸、α−アルキル−ビニルスルホン酸、ビニルアルキルスルホン酸、α−アルキル−ビニルアルキルスルホン酸、ビニルホスホン酸、α−アルキル−ビニルホスホン酸、ビニルアルキルホスホン酸、α−アルキル−ビニルアルキルホスホン酸等も用いることができる。
イオン伝導性を含有する単量体としては、さらに、イオン伝導性基が結合した(メタ)アクリル系単量体も用いることができる。具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸等が挙げられる。
イオン伝導性基は、適当な金属イオン(例えばアルカリ金属イオン)あるいは対イオン(例えばアンモニウムイオン)で中和されている塩の形で導入されていてもよい。例えば、o、mもしくはp−アルキルスチレンスルホン酸ナトリウム、あるいはα−メチル−o、mもしくはp−アルキルスチレンスルホン酸ナトリウムを用いて重合体を製造することで、所望のイオン伝導性基を導入できる。又、適当な方法でイオン交換することにより、スルホン酸基を塩型にしたブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を得ることができる。
本発明の高分子電解質は、本発明に用いるブロック共重合体もしくはグラフト共重合体に加え、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、軟化剤を含有していてもよい。軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系もしくはアロマ系のプロセスオイル等の石油系軟化剤、パラフィン、植物油系軟化剤、可塑剤等があり、これらは各単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の高分子電解質は、さらに、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、カーボン繊維等を各単独で又は2種以上組み合わせて含有していてもよい。安定剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2,−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロジナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系安定剤;ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジアステリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定剤等が挙げられる。これら安定剤は各単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の高分子電解質は、さらに、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、無機充填剤を含有していてもよい。かかる無機充填剤の具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタン、モンモリロナイト、アルミナ等が挙げられる。
本発明の高分子電解質における上記ブロック共重合体もしくはグラフト共重合体の含有量は、イオン伝導性の観点から、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのがより一層好ましい。
本発明は、また、本発明の高分子電解質から調製される高分子電解質膜に関する。
本発明の高分子電解質膜の調製方法については、かかる調製のための通常の方法であればいずれの方法も採用できる。例えば、本発明の高分子電解質を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体、必要に応じて上記したような添加剤を適当な溶媒と混合して該ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を溶解もしくは懸濁せしめ、PET、ガラス等の板状体にキャストするか又はコーターやアプリケーター等を用いて塗布し、適切な条件で溶媒を除去することによって、所望の厚みを有する電解質膜を得る方法や、熱プレス成形、ロール成形、押し出し成形等の公知の方法を用いて電解質膜を得る方法などを用いることができる。また、得られた電解質膜層の上に、新たに、同じもしくは異なるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を含む溶液を塗布して乾燥することにより積層化させてもよい。また、上記のようにして得られた、同じもしくは異なる電解質膜同士を熱ロール成形等で圧着させて積層化させてもよい。
このとき使用する溶媒は、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の構造を破壊することなく、キャストもしくはコートが可能な程度の粘度の溶液を調製することが可能なものであれば特に限定されない。具体的には、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類、あるいはこれらの混合溶媒等を例示できる。ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の構成、分子量、イオン交換容量等に応じて、上記に例示した溶媒の中から、1種又は2種以上の組合せを適宜選択し、使用することができる。
また、溶媒除去の条件は、本発明の高分子電解質膜を構成するブロック共重合体あるいはグラフト共重合体中のスルホン酸基等のイオン伝導性基が脱落する温度以下で、溶媒を完全に除去できる条件であれば任意に選択することが可能である。所望の物性を発現させるため、複数の温度を任意に組み合わせたり、通風気下と真空下等を任意に組み合わせてもよい。具体的には、室温〜60℃程度の真空条件下で、数時間予備乾燥した後、100℃以上の真空条件下、好ましくは100〜120℃で12時間程度の乾燥条件で溶媒を除去する方法、60〜140℃の通風気下、数分〜数時間程度の乾燥条件で溶媒を除去する方法等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の高分子電解質からなる膜の厚みは用途に応じて適宜選択される。例えば、該膜を固体高分子型燃料電池用電解質膜として使用する場合、必要な性能、膜強度、ハンドリング性等の観点から、その膜厚が5〜500μm程度であることが好ましい。膜厚が5μm未満である場合には、膜の機械的強度や、ガス及びメタノール等の燃料の遮断性が不充分となる傾向がある。逆に、膜厚が500μmを超えて厚い場合には、膜の電気抵抗が大きくなり、充分なイオン伝導性が発現しないため、電池の発電特性が低くなる傾向がある。該膜厚はより好ましくは10〜300μmである。
次に、本発明の高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体について述べる。膜−電極接合体の製造については特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、イオン伝導性バインダーを含む触媒ペーストを印刷法やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布し乾燥することで触媒層とガス拡散層との接合体を形成させ、ついで2対の接合体をそれぞれの触媒層を内側にして、高分子電解質膜の両側にホットプレスなどにより接合させる方法や、上記触媒ペーストを印刷法やスプレー法により高分子電解質膜の両側に塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着させる方法がある。さらに別の製造法として、イオン伝導性バインダーを含む溶液又は懸濁液を、高分子電解質膜の両面及び/又は2対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、電解質膜と触媒層面とを張り合わせ、熱圧着などにより接合させる方法がある。この場合、該溶液又は懸濁液は電解質膜及び触媒層面のいずれか一方に塗付してもよいし、両方に塗付してもよい。さらに他の製造法として、まず、上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製などの基材フィルムに塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、ついで、2対のこの基材フィルム上の触媒層を高分子電解質膜の両側に加熱圧着により転写し、基材フィルムを剥離することで電解質膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法がある。これらの方法においては、イオン伝導性基をNaなどの金属との塩にした状態で行い、接合後の酸処理によってプロトン型に戻す処理を行ってもよい。
上記膜−電極接合体を構成するイオン伝導性バインダーとしては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュポン社製)や「Gore−select」(登録商標、ゴア社製)などの既存のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーからなるイオン伝導性バインダー、スルホン化ポリエーテルスルホンやスルホン化ポリエーテルケトンからなるイオン伝導性バインダー、リン酸や硫酸を含浸したポリベンズイミダゾールからなるイオン伝導性バインダー等を用いることができる。また、本発明の高分子電解質の主成分であるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体からイオン伝導性バインダーを作製してもよい。なお、電解質膜とガス拡散電極との密着性を一層高めるためには、ガス拡散電極と接触する高分子電解質膜と同一もしくは類似の構造を有するイオン伝導性バインダーを用いることが好ましい。
上記膜−電極接合体の触媒層の構成材料について、導電材/触媒担体としては特に制限はなく、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが挙げられ、これら単独であるいは2種以上混合して使用される。触媒金属としては、水素やメタノールなどの燃料の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、パラジウム等、あるいはそれらの合金、例えば白金−ルテニウム合金が挙げられる。中でも白金や白金合金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は、10〜300オングストロームである。これら触媒はカーボン等の導電材/触媒担体に担持させた方が触媒使用量は少なくコスト的に有利である。また、触媒層には、必要に応じて撥水剤が含まれていてもよい。撥水剤としては例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記膜−電極接合体のガス拡散層は、導電性及びガス透過性を備えた材料から構成され、かかる材料として例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素繊維よりなる多孔性材料が挙げられる。また、かかる材料には、撥水性を向上させるために、撥水化処理を施してもよい。
上記のような方法で得られた膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより、固体高分子型燃料電池が得られる。本発明の膜−電極接合体は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体として使用可能である。
本発明の高分子電解質を用いた燃料電池は、耐久性に優れ、長時間運転時に安定して駆動可能である。また、乾燥、湿潤という動作環境が変化した場合にもすぐに一定の特性を発現できるという特徴も有していることから、始動性にも優れる。
以下、参考例、実施例及び比較例、並びに固体高分子型燃料電池用プロトン伝導性電解質膜としての性能試験(イオン交換容量、膜強度、膜のイオン伝導度及びメタノール透過速度並びに燃料電池用単セルの出力性能)及びその結果を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
参考例1
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造
1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン456ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)4.6mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン24.7ml、スチレン15.8ml及びイソプレン79.4mlを逐次添加し、30℃で重合させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン溶液27.3mlを添加してカップリングさせることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSIStBSと略記する場合がある)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は56600であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.2%、スチレン単位の含有量は13質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は28質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSEPStBSと略記する場合がある)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
参考例2
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造
1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン152ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)1.00mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン5.14ml、スチレン4.95ml及びイソプレン30.9mlを逐次添加し、30℃で逐次重合させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン溶液6.00mlを添加してカップリングさせることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSIStBS)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は80750であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.2%、スチレン単位の含有量は15.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は15.0質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で10時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSEPStBS)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.3%であった。
参考例3
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造
2000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン1010ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)6.8mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン45.7ml、スチレン44.0ml及びイソプレン177mlを逐次添加し、30℃で逐次重合させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン溶液39.5mlを添加してカップリングさせることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSIStBS)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は71560であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は19.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は21.0質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で8時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSEPStBS)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.0%であった。
参考例4
ポリスチレン(重合体ブロック(A))と水添ポリブタジエン(重合体ブロック(B))からなるブロック共重合体(SEBS)の製造
重合体ブロック(A)を重合する際に、芳香族ビニル系化合物としてスチレンを用い、重合体ブロック(B)を重合する際にブタジエンを用いて、既報の方法(特開平2005−281373)と同様の方法で、ポリスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリスチレン(以下SBSと略記する)を合成した。得られたSBSの数平均分子量は69700であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は60.4%、スチレン単位の含有量は39.6質量%であった。
合成したSBSを用いて、水素添加反応を50℃で7時間行ったことを除いて参考例1と同様にして水素添加率99.7%のポリスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリスチレン(以下SEBSと略記する)を得た。
参考例5
ポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(A))と水添ポリブタジエン(重合体ブロック(B))からなるブロック共重合体(mSEBmS)の製造
既報の方法(WO 02/40611号)と同様の方法で、ポリα−メチルスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSBmSと略記する)を合成した。得られたmSBmSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は80590であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は58.9%、α−メチルスチレン単位の含有量は28.7質量%であった。また、ポリブタジエンブロック中には、α−メチルスチレンが実質的に共重合されていないことが、H−NMRスペクトル測定による組成分析により判明した。合成したmSBmSを用いて、水素添加反応を80℃で5時間行ったことを除いて参考例1と同様にして水素添加率99.7%のポリα−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSEBmSと略記する)を得た。
参考例6
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造
1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン479ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)3.3mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン47.1ml、スチレン12.9ml及びイソプレン60.6mlを逐次添加し、30℃で逐次重合させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン溶液19.1mlを添加してカップリングさせることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSIStBS)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は65700であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は13.4質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は43.5質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSEPStBS)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
参考例7
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造
1000mLナスフラスコに、脱水シクロヘキサン480ml及びsec−ブチルリチウム(1.3M−シクロヘキサン溶液)4.8mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン43.9ml、スチレン18.6ml及びイソプレン56.4mlを逐次添加し、30℃で逐次重合させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン溶液24.8mlを添加してカップリングさせることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSIStBS)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は47800であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.1%、スチレン単位の含有量は18.1質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は41.3質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSEPStBS)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
参考例8
ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造
1400mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン512ml及びsec−ブチルリチウム(0.8M−シクロヘキサン溶液)3.25mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン39.1ml、スチレン12.1ml及びイソプレン57.1mlを逐次添加し、30℃で逐次重合させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン溶液10.4mlを添加してカップリングさせることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSIStBS)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は103900であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は12.3質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は40.5質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で12時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(tBSSEPStBS)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。
実施例1
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例1で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)15gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン150mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン6.4ml中、0℃にて無水酢酸3.2mlと硫酸1.4mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて12時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から63.9mol%、イオン交換容量は0.76meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの25質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約350μmの厚みでコートし、室温で十分乾燥させたのち、十分真空乾燥させることで、厚さ50μmの膜を得た。
(3)固体高分子型燃料電池用単セルの作製
固体高分子型燃料電池用の電極を以下の手順で作製した。Pt−Ru合金触媒担持カーボンに、Nafionの5質量%メタノール溶液を、Pt−Ru合金とNafionとの質量比が2:1になるように添加混合し、均一に分散されたペーストを調製した。このペーストを転写シートに塗布し、24時間乾燥させて、アノード側の触媒シートを作製した。また、Pt触媒担持カーボンに、低級アルコールと水との混合溶媒中へのNafionの5質量%溶液を、Pt触媒とNafionとの質量比が2:1になるように添加混合し、均一に分散されたペーストを調製し、アノード側と同様の方法にてカソード側の触媒シートを作製した。(2)で作製した燃料電池用電解質膜を、上記2種類の触媒シートでそれぞれ膜と触媒面とが向かい合うように挟み、その外側を2枚の耐熱性フィルム及び2枚のステンレス板で順に挟み、ホットプレス(150℃、100kg/cm、10min)により膜と触媒シートとを接合させた。最後にステンレス板及び耐熱性フィルムを外し、転写シートを剥離して膜−電極接合体を作製した。ついで作製した膜−電極接合体を、2枚のカーボンペーパーで挟み、その外側を2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で挟み固体高分子型燃料電池用の評価セルを作製した。
実施例2
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例1で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)15gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン150mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン12.8ml中、0℃にて無水酢酸6.4mlと硫酸2.8mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて24時間攪拌後、1Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から99.5mol%、イオン交換容量は1.15meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
実施例1の(2)と同様の操作により、厚さ50μmの膜を得た。
実施例3
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例3で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)15gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン150mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン7.6ml中、0℃にて無水酢酸3.8mlと硫酸1.6mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて12時間攪拌後、1Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から57.0mol%、イオン交換容量は0.97meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの5質量%THF溶液を調製し、ポリテトラフルオロエチレンシート上に約1000μmの厚みでキャストし、室温で十分乾燥させたのち、十分真空乾燥させることで、厚さ50μmの膜を得た。
実施例4
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例2で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)15gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン150mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン6.1ml中、0℃にて無水酢酸3.0mlと硫酸1.3mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて20時間攪拌後、1Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から87.2mol%、イオン交換容量は1.12meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSを用いた以外は、実施例3の(2)と同様の操作により、厚さ50μmの膜を得た。
実施例5
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例3で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)15gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン150mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン18.1ml中、0℃にて無水酢酸9.0mlと硫酸3.9mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて24時間攪拌後、1Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から99.1mol%、イオン交換容量は1.60meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSを用いた以外は、実施例3の(2)と同様の操作により、厚さ50μmの膜を得た。
実施例6
(2)燃料電池用電解質膜の作製
実施例5の(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの5質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を用いた以外は、実施例3の(2)と同様の操作により、厚さ50μmの膜を得た。
実施例7
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例6で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン49.5ml中、0℃にて無水酢酸24.8mlと硫酸10.7mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて72時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から91.0mol%、イオン交換容量は1.05meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの25質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約200μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ31μmの膜を得た。
実施例8
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例6で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン16.9ml中、0℃にて無水酢酸8.4mlと硫酸3.7mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて4時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から46.0mol%、イオン交換容量は0.56meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの30質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約150μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ29μmの膜を得た。
実施例9
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例7で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン67.0ml中、0℃にて無水酢酸33.5mlと硫酸14.5mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて72時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から100mol%、イオン交換容量は1.52meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの28質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約150μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ27μmの膜を得た。
実施例10
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例7で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン13.4ml中、0℃にて無水酢酸6.7mlと硫酸2.9mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて4時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から30.0mol%、イオン交換容量は0.50meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの35質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ31μmの膜を得た。
実施例11
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例8で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン44.8ml中、0℃にて無水酢酸22.4mlと硫酸9.7mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて72時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から100mol%、イオン交換容量は1.09meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの15質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ29μmの膜を得た。
実施例12
(1)スルホン化tBSSEPStBSの合成
参考例8で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン15.7ml中、0℃にて無水酢酸7.9mlと硫酸3.4mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて4時間攪拌後、1Lの蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4−tert−ブチルスチレン単位はスルホン化されず、スチレン単位のみスルホン化された。スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から49.6mol%、イオン交換容量は0.55meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの17.5質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ32μmの膜を得た。
比較例1
(1)スルホン化SEBSの合成
塩化メチレン34.9ml中、0℃にて無水酢酸17.5mlと硫酸7.6mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、SEBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレン)ブロック共重合体[(株)クラレ製「セプトン8007」]100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて4.5時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分は、90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化SEBSを得た。得られたスルホン化SEBSのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から26.1mol%、イオン交換容量は0.68meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化SEBSを用いる以外実施例3の(2)と同様の方法にて厚さ50μmの膜を得た。
比較例2
(1)スルホン化SEPSの合成
SEPS(スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン)ブロック共重合体[(株)クラレ製「セプトン2002」]を用い、反応時間を6時間にした以外は、比較例1の(1)と同様の条件にてスルホン化SEPSを得た。得られたスルホン化SEPSのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から32.5mol%、イオン交換容量は0.84meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化SEPSの22質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約450μmの厚みでコートし、室温で十分乾燥させたのち、十分真空乾燥させることで、厚さ50μmの膜を得た。
比較例3
(1)スルホン化SEBSの合成
参考例4で得られたSEBS30gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン300mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。塩化メチレン13.4ml中、0℃にて無水酢酸6.7mlと硫酸2.9mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて5時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分は、90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化SEBSを得た。得られたスルホン化SEBSのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から27.4mol%、イオン交換容量は0.94meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化SEBSを用いる以外実施例3の(2)と同様の方法にて厚さ50μmの膜を得た。
比較例4
(1)スルホン化SEBSの合成
参考例4で得られたSEBS30gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン300mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。塩化メチレン29.1ml中、0℃にて無水酢酸14.6mlと硫酸6.3mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて5時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分は、90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化SEBSを得た。得られたスルホン化SEBSのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から50.0mol%、イオン交換容量は1.61meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化SEBSを用いる以外実施例3の(2)と同様の方法にて
厚さ50μmの膜を得た。
比較例5
(1)スルホン化mSEBmSの合成
参考例5で得られたブロック共重合体(mSEBmS)100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン41.8ml中、0℃にて無水酢酸21.0mlと硫酸9.34mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて1時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化mSEBmSを得た。得られたスルホン化mSEBmSのα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から31.4mol%、イオン交換容量は0.70meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化mSEBmSの18質量%シクロヘキサン/イソプロピルアルコール(質量比7/3)溶液を用い、約550μmの厚みでコートした以外は、実施例1の(1)と同様の方法にて厚さ50μmの膜を得た。
比較例6
パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質膜として、DuPont社ナフィオンフィルム(Nafion117)を選択した。
比較例7
スルホン化mSEBmSの合成
参考例5で得られたブロック共重合体(mSEBmS)90gを攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン816mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン18.9ml中、0℃にて無水酢酸9.40mlと硫酸4.20mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて4時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化mSEBmSを得た。得られたスルホン化mSEBmSのα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から22.5mol%、イオン交換容量は0.49meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化mSEBmSの17.5質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
比較例8
スルホン化mSEBmSの合成
参考例5で得られたブロック共重合体(mSEBmS)35.5gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン300mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン14.7ml中、0℃にて無水酢酸7.30mlと硫酸3.30mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて7時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化mSEBmSを得た。得られたスルホン化mSEBmSのα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から50.5mol%、イオン交換容量は1.06meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化mSEBmSの16.5質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃、3分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
実施例1〜12及び比較例1〜8の高分子電解質膜の固体高分子型燃料電池用電解質膜としての性能試験
以下の2)〜7)の試験において試料としては各実施例又は比較例で得られたスルホン化ブロック共重合体から調製した膜又はナフィオン膜を使用した。1)の試験における試料としては各実施例又は比較例で得られたスルホン化ブロック共重合体又はナフィオン膜を使用した。
1)イオン交換容量の測定
試料を密閉できるガラス容器中に秤量(a(g))し、そこに過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を、フェノールフタレイン液を指示薬とし、0.01NのNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(b(ml))した。イオン交換容量は、次式により求めた。
イオン交換容量(meq/g) =(0.01×b×f)/a
2)膜強度の測定
試料をダンベル状に成形して、23℃、相対湿度50%下に24時間以上保管した試料(ドライ試料)、及び23℃、水中に24時間以上保管した試料(ウエット試料)について、引張速度500mm/minの条件での破断強度を測定した。
3)膜のイオン伝導度の測定
1cm×4cmの試料を一対の白金電極で挟み、開放系セルに装着した。測定セルを、温度60℃、相対湿度90%に調節した恒温恒湿器内、又は温度40℃の水中に設置し、交流インピーダンス法により膜のイオン伝導度を測定した。
4)膜のイオン伝導度の安定性試験
1cm×4cmの試料を一対の白金電極で挟み、開放系セルに装着した。測定セルを温度40℃、相対湿度50%に調節した恒温恒湿器内に設置した後、交流インピーダンス法により膜のイオン伝導度を測定した。ついで、測定セルを温度40℃の水中に設置し、交流インピーダンス法により膜のイオン伝導度を経時的に測定し、1分間のイオン伝導度の変化率が1%以下になった段階を安定化時間とした。
5)線膨張率の測定
試料を23℃、相対湿度50%下に12時間以上保管した後、試料を1cm×4cm片に切り取り、10M−MeOH水溶液中に4時間浸漬した後、試験片の長辺方向の長さ(b(cm)を計測し、次式により求めた。
線膨張率(%) =[(b−4)/4]×100
6)メタノール透過速度の測定
メタノール透過速度は、電解質膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に55mlの3M(モル/リットル)のメタノール水溶液を、他方のセルに55mlの純水を注入し、25℃で攪拌しながら、電解質膜を通って純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフィーを用いて測定することで算出した(電解質膜の面積は、4.5cm)。
7)燃料電池用単セルの出力性能の評価
実施例1の(3)で作成した固体高分子型燃料電池用単セルについて、出力性能を評価した。燃料には1M−MeOH水溶液を用い、酸化剤には空気を用いた。MeOH:1.8ml/min、空気:250ml/minの条件下、セル温度60℃にて試験した。
高分子電解質膜としての性能試験の結果
実施例1〜6、及び比較例1〜4、7及び8で作製した膜、及び比較例6のナフィオン膜のイオン伝導度(恒温恒湿器内)、線膨張率及び引張試験の結果を表1に、実施例7〜12、及び比較例7及び8で作製した膜のイオン伝導度(水中)、線膨張率及び引張試験の結果を表2に示す。表1及び2において、破断強度の保持率(%)は[(ウェット試料についての破断強度(MPa)/(ドライ試料についての破断強度(MPa)]×100として算出した。
表1から、比較例1〜4の拘束相を有さないブロック共重合体から作成された膜、及び比較例6の燃料電池用の電解質膜の代表例であるナフィオン膜に比べ、拘束相を形成する重合体ブロック(C)が存在する実施例1〜6の高分子電解質膜は、イオン伝導度及び/又はイオン交換容量が同等である場合には、ドライ時に対するウエット時の破断強度の保持率が大幅に改善され、寸法変化の指標になる線膨張率も大幅に低減できることが明らかである。
また、表2の実施例7〜12のように拘束相の質量分率を大きくした高分子電解質膜においては、比較例7及び8との比較から、イオン伝導度及び/又はイオン交換容量が同等である場合には、破断強度の保持率及び線膨張率ともに、更に改善されていることが明らかである。
実施例1及び7〜12並びに比較例1、5、7及び8で作製した膜のイオン伝導度及び線膨張率、並びに該膜について及び該膜を10M(モル/リットル)のメタノール水溶液に室温下、68時間浸漬し、ついで純水で十分洗浄した後の該膜について、3Mメタノール水溶液のメタノール透過速度を測定した結果を表3に示す。表3においてメタノール透過速度の変化率(%)は[(10Mメタノール水溶液処理後の3Mメタノール水溶液のメタノール透過速度)(μmol・cm−2・min−1)/(10Mメタノール水溶液処理前の3Mメタノール水溶液のメタノール透過速度)(μmol・cm−2・min−1)]×100として算出した。
表3から、比較例1、5、7及び8の拘束相を有さないブロック共重合体から作製された電解質膜では、線膨張率と10Mメタノール水溶液処理後の膜のメタノール透過速度の変化率とを同時に低く保つことが困難であるのに対し、実施例1及び7〜12の拘束相を形成する重合体ブロック(C)を有するブロック共重合体から作製された電解質膜では、イオン伝導度及び/又はイオン交換容量が同等である場合には、線膨張率と処理後の膜のメタノール透過速度の変化率とを同時に低く保つことができることが明らかとなった。
実施例7、9及び10、及び比較例7及び8で作製した膜の環境が乾燥状態(40℃、相対湿度50%)から湿潤状態(40℃、水中)に変化した場合について、膜のイオン伝導度の安定化時間を測定した結果を表4に示す。
表4から、比較例7及び8に比べ、実施例7、9及び10の拘束相を形成する重合体ブロック(C)を有するブロック共重合体から作成された電解質膜では、イオン伝導度が安定するのに要する時間を大幅に短縮化できることが明らかとなった。
これらの結果から、本発明の高分子電解質から作成された膜は、固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜として、耐久性に優れ、長時間運転時に安定して使用でき、かつ始動性にも優れていることが明らかとなった。
実施例1の(3)で作製した固体高分子型燃料電池用単セルの発電特性として、電流密度に対する電圧の変化を測定した。結果を図1に示す。単セルの開放電圧は0.68V、最高出力密度は50mW/cmであり、固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜として、特に直接型メタノール燃料電池用高分子電解質膜として有用であることが明らかとなった。また、発電試験後の単セルを解体したところ、その膜−電極接合体には剥離等全く見られず、接合性にも優れていることが明らかとなった。
固体高分子型燃料電池用単セルの電流密度―出力電圧を示す図である(実施 例1(3))。

Claims (13)

  1. 互いに相分離する重合体ブロック(A)、(B)及び(C)を構成成分とするブロック共重合体あるいはグラフト共重合体であって、重合体ブロック(A)はビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有し、重合体ブロック(B)は柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とし、柔軟相を形成し、重合体ブロック(C)は芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックであるか結晶性ポリオレフィンブロックであって、拘束相を形成し、イオン伝導性基は実質上重合体ブロック(A)のみに存在するブロック共重合体又はグラフト共重合体を主成分として含有する高分子電解質。
  2. 重合体ブロック(A)におけるビニル系化合物単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項1記載の高分子電解質。
  3. 芳香族ビニル系化合物単位が下記一般式(I)
    (式中、Arは1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す)で表される単位から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の高分子電解質。
  4. 重合体ブロック(C)における芳香族ビニル系化合物単位が下記一般式(II)
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表すが、少なくとも1つは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)で表される請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質。
  5. 重合体ブロック(B)における柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、並びに炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質。
  6. 柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の高分子電解質。
  7. 重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(C)の和と重合体ブロック(B)との質量比が90:10〜10:90である請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子電解質。
  8. 重合体ブロック(C)と重合体ブロック(B)の質量比が95:5〜5:95である請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子電解質。
  9. イオン伝導性基が−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子電解質。
  10. イオン交換容量が0.30meq/g以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子電解質。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子電解質からなる膜。
  12. 請求項11記載の高分子電解質膜を使用した膜−電極接合体。
  13. 請求項12記載の膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。

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