JP5629761B2 - 高分子電解質、高分子電解質膜、膜−電極接合体、および固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Description
そこで、機械的強度の改善策として高分子電解質とポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルムなどの補強材からなる電解質複合膜を高分子電解質膜として用いることも提案されている(特許文献1参照)が、補強材のプロトン伝導性が低いために、電解質複合膜の膜抵抗が高くなり、発電特性が悪くなる傾向にあった。
[1] イオン伝導性基を有する2つの重合体ブロック(A)と、イオン伝導性を有しない1つの重合体ブロック(B)と、イオン伝導性を有しない4つの重合体ブロック(C)を構成成分とする共重合体からなる高分子電解質であって、前記重合体ブロック(B)は前記重合体ブロック(C)よりも軟化温度が20℃以上低く、前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)の両端が前記重合体ブロック(C)と結合していることを特徴とする高分子電解質;
[2] 前記重合体ブロック(A)が、芳香族ビニル化合物単位の繰り返し単位から構成されることを特徴とする上記[1]に記載の高分子電解質;
[3] 前記重合体ブロック(C)が、下記の一般式(a)
[4] 前記重合体ブロック(B)が、炭素数2〜8のアルケン単位及び炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位から構成されることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質;
[5] 前記イオン伝導性基が−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子電解質;
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の高分子電解質からなる高分子電解質膜;
[7] 上記[6]に記載の高分子電解質膜を備える膜−電極接合体;および
[8] 上記[7]に記載の膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池を提供する。
すなわち、本発明の高分子電解質は、重合体ブロック(B)の軟化温度よりも高い温度で使用することで、弾力性を帯び、かつ柔軟になる。また、前記重合体ブロック(C)の軟化温度よりも低い温度で使用することで、使用温度での形態安定性、耐久性、耐熱性、湿潤下での機械的強度等が改善される。また、重合体ブロック(B)の軟化温度が低いことで、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作成にあたっての成型性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。
本発明の高分子電解質は、イオン伝導性基を有する2つの重合体ブロック(A)と、イオン伝導性を有しない1つの重合体ブロック(B)と、イオン伝導性を有しない4つの重合体ブロック(C)を構成成分とする共重合体からなる。
本発明の高分子電解質を成す共重合体は単一である必要はなく、複数種の混合物であってもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の重合体、低分子量有機化合物、無機化合物などを含んでもよい。また、本発明の高分子電解質を成す共重合体を構成する2つの重合体ブロック(A)、4つの重合体ブロック(C)の構造(構成繰り返し単位、重合度、イオン伝導性基の割合など)はそれぞれ同じである必要はなく、それぞれイオン伝導性基を有する重合体ブロック、イオン伝導性を有しない重合体ブロックであればよい。
本発明の高分子電解質を成す共重合体は、イオン伝導性基を有する2つの重合体ブロック(A)を構成成分とする。
上記の重合体ブロック(A)としては、芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック、ポリカーボネートブロック、ポリアミドブロック、ポリイミドブロック、ポリ尿素ブロック、ポリスルホンブロック、ポリスルホネートブロック、ポリベンゾオキサゾールブロック、ポリベンゾチアゾールブロック、ポリフェニルキノキサリンブロック、ポリキノリンブロック、ポリトリアジンブロック、ポリアクリレートブロック、ポリメタクリレートブロック等の各重合体ブロックにイオン伝導性基を導入した重合体ブロックが挙げられ、中でも芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロックから選ばれる重合体ブロックにイオン伝導性基を導入した重合体ブロックが好ましく、合成が容易であるという観点から、芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする重合体ブロックにイオン伝導性基を導入した重合体ブロックがより好ましい。
重合体ブロック(A)は、これらの芳香族ビニル化合物を重合する工程を含む重合によって得られた共重合体の重合体ブロック(A)に相当する部分(重合体ブロック(A)のイオン伝導性基を水素に置換した構造からなる前駆体ブロックであり、以下、「重合体ブロック(A0)」と称する場合がある)に選択的にイオン伝導性基を導入することで製造できる。その場合、これら単量体の芳香環上には、イオン伝導性基を導入する反応を阻害する官能基がないことが望ましい。例えば、スチレンの芳香環上の水素(特に4位の水素)がアルキル基(特に炭素数3以上のアルキル基)などで置換されているとイオン伝導性基の導入が困難な場合があるので、該芳香環は他の官能基で置換されていないか、アリール基などのそれ自体がイオン伝導性基を導入可能な置換基で置換されていることが好ましく、イオン伝導性基の導入容易性、イオン伝導性基の高密度化などの観点から、スチレン、ビニルビフェニルがより好ましい。
本発明の高分子電解質を成す共重合体は、イオン伝導性を有しない1つの重合体ブロック(B)を構成成分とする。
本発明の高分子電解質膜は、重合体ブロック(B)によって、使用温度域において、弾力性を帯び、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作成にあたっては成型性(組立性、接合性、締付性など)に優れる。
ここで、共重合体を構成する各重合体ブロック(C)の軟化温度が異なる場合は、最も低い軟化温度を示す重合体ブロック(C)よりも、重合体ブロック(B)の軟化温度が20℃以上低い。幅広い使用温度域において高い弾力性を帯び、かつ柔軟性を発揮しやすいことから、重合体ブロック(B)の軟化温度は、重合体ブロック(C)よりも40℃以上低いことが好ましく、70℃以上低いことがより好ましい。
かかる重合体ブロック(B)を構成する繰り返し単位としては、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルカン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、炭素数1〜12の側鎖を有するアクリル酸エステル単位、および炭素数1〜12の側鎖を有するメタクリル酸エステル単位が挙げられる。これらの群から選ばれる繰り返し単位は単独または2種以上組み合わせて用いてもよい。
炭素−炭素二重結合の水素添加率は、一般に用いられている方法、例えば、ヨウ素価測定法、1H−NMR測定等によって算出することができる。このように重合体ブロック(B)が炭素−炭素二重結合を有しない、あるいは低減した構造とすることで、高分子電解質膜の劣化が抑制できる。
また、本発明の高分子電解質を製造するにあたり、イオン伝導性基を有しない共重合体を重合した後にイオン伝導性基を導入して重合体ブロック(A)を形成する場合、重合体ブロック(B)が飽和炭化水素構造であれば、重合体ブロック(B)にはイオン伝導性基が導入されにくいため好ましい。
本発明の高分子電解質を成すブロック共重合体は、イオン伝導性を有しない4つの重合体ブロック(C)を構成成分とする。
重合体ブロック(C)は、拘束相として機能する。幅広い使用温度域において拘束機能を発揮しやすいことから、重合体ブロック(C)の軟化温度(すなわち、該重合体ブロックが独立して重合体となった場合の重合体の軟化温度)は80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが更に好ましい。
すなわち、イオン伝導性基を有しない共重合体を重合後にイオン伝導性基を導入して重合体ブロック(A)を形成する場合に、R2〜R4によって重合体ブロック(C)へのイオン伝導性基の導入が妨げられるので好ましい。また、軟化温度が比較的高くなるので、使用温度域を広くできる。
本発明の高分子電解質は、イオン性基を有する2つの重合体ブロック(A)とイオン性基を有しない1つの重合体ブロック(B)とイオン性基を有しない4つの重合体ブロック(C)とを構成成分とした共重合体からなる。さらにその構造を規定することで、高いプロトン伝導性と、湿潤時の高い機械的強度を両立することができる。
一般に重合体ブロック(Y)を間に挟むX−Y―Z型ブロック共重合体は、重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Z)がそれぞれ他のポリマーとドメインを形成し、重合体ブロック(Y)を挟むブリッジ構造を形成することで機械的強度を発現する(この際、重合体ブロック(Y)がとる鎖の形態をブリッジ鎖と呼ぶ)。一方、ブロック共重合体がループ構造を形成して重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Z)が同じドメインを構成すると前記ブリッジ構造の比率が低下するので機械的強度が低下する。すなわちループ構造を低減し、ブリッジ構造を増やすことで機械的強度を高めることができる。
本発明の高分子電解質を成す共重合体は、重合体ブロックが−(A)−(C)−(B)−のブロック構造を取ることでブリッジ構造のみとなり、重合体ブロック(C)がブリッジ鎖を形成することにより、高分子電解質膜としての機械的強度が高くなる傾向にある。
具体的には、シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を重合し、その後スチレン、4−tert−ブチルスチレン、共役ジエン、4−tert−ブチルスチレン、スチレン、4−tert−ブチルスチレンを逐次重合させC−A0−C−B−C−A0―C型ブロック共重合体を得る方法、等を採用/応用することができる。
まず、共重合体にスルホン酸基を導入する方法について述べる。スルホン化は、公知のスルホン化の方法で行える。このような方法としては、共重合体の有機溶媒溶液や懸濁液を調製し、スルホン化剤を添加し混合する方法や共重合体に直接ガス状のスルホン化剤を添加する方法等が例示される。
本発明の高分子電解質膜は、固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜として必要な性能、膜強度、ハンドリング性等の観点から、その膜厚が5〜200μmであることが好ましく、7〜100μm程度であることがより好ましい。膜厚が5μm未満である場合には、膜の機械的強度やガスの遮断性が不充分となる傾向がある。逆に、膜厚が200μmを超えて厚い場合には、膜抵抗が大きくなり、充分なプロトン伝導性が発現しないため、電池の発電特性が低くなる傾向がある。該膜厚はより好ましくは8〜70μmである。
高分子電解質を成す共重合体の重合体ブロックの構成、分子量、イオン交換容量等に応じて、上記に例示した溶媒の中から、1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択し使用することができるが、特に強靭性を有する高分子電解質膜を作製しやすい観点から、トルエンとイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、シクロヘキサンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、シクロヘキサンとイソブチルアルコールの混合溶媒、テトラヒドロフラン溶媒、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶媒が好ましく、特に、トルエンとイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒が好ましい。
微分散化の手法としては公知の方法を用いることができるが、不純物混入防止の観点でボールミルにおける粉砕用のボールのようなメディアを使用しない方法が好ましい。具体例としては高圧衝突法などが挙げられる。
良好な強靭性を有する高分子電解質膜を作製しやすい観点から、60〜100℃程度の熱風乾燥にて4分以上かけて溶媒を除去する方法や、25℃程度で1〜3時間程度予備乾燥させた後、100℃程度の熱風乾燥にて数分かけて乾燥する方法や、25℃程度で1〜3時間程度予備乾燥させた後、25〜40℃程度の雰囲気下、真空乾燥にて1〜12時間程度乾燥する方法などが好適に用いられる。
次に、本発明の高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体について述べる。膜−電極接合体の製造については特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、イオン伝導性バインダー、導電性触媒担体、分散媒を含む触媒ペーストを印刷法やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布し乾燥することで触媒層とガス拡散層との接合体を形成させ、ついで1対の接合体をそれぞれ触媒層を内側にして、高分子電解質膜の両側にホットプレスなどにより接合させる方法や、上記触媒ペーストを印刷法やスプレー法により高分子電解質膜の両側に塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着させる方法がある。
さらに別の製造方法として、イオン伝導性バインダーを含む溶液又は懸濁液を、高分子電解質膜の両面及び/又は1対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、高分子電解質膜と触媒層面とを張り合わせ、熱圧着などにより接合させる方法がある。この場合、該溶液又は懸濁液は電解質膜及び触媒層面のいずれか一方に塗付してもよいし、両方に塗付してもよい。
さらに他の製造方法として、まず、上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製などの基材フィルムに塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、ついで、1対のこの基材フィルム上の触媒層を高分子電解質膜の両側に加熱圧着により転写し、基材フィルムを剥離することで高分子電解質膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法がある。
これらの方法においては、イオン伝導性基をナトリウムなどの金属との塩にした状態で行い、接合後の酸処理によってプロトン型に戻す処理を行ってもよい。
なお、高分子電解質とガス拡散電極との密着性を一層高めるためには、ガス拡散電極と密着する面に位置する高分子電解質膜と同様の構造(重合体の繰り返し単位、共重合比率、分子量、イオン伝導性基、イオン交換容量などが共通、または類似している、特に重合体の繰り返し単位、イオン伝導性基が共通、または類似している)からなるイオン伝導性バインダーを用いることが好ましい。
上記のような方法で得られた膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより、固体高分子型燃料電池が得られる。本発明の膜−電極接合体は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体として使用可能である。
試料を密閉できるガラス容器中にブロック共重合体を秤量(秤量値a(g))し、過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液((300〜500)×a(ml))を添加して12時間攪拌した。フェノールフタレインを指示薬として、水中に発生した塩化水素を0.01規定のNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(滴定量b(ml))した。
イオン交換容量は次式により求めた。
イオン交換容量(meq/g)=(0.01×b×f)/a
数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記の条件で測定した。
装置:東ソー(株)製、商品名:HLC−8220GPC
溶離液:THF
カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK−GEL(TSKgel G3000HxL(内径7.6mm、有効長30cm)を1本、TSKgel Super Multipore HZ−M(内径4.6mm、有効長15cm)を2本の計3本を直列で接続)
カラム温度:40℃
検出器:RI
送液量:0.35ml/分
数平均分子量計算:標準ポリスチレン換算
高分子電解質膜を広域動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数 11Hz)で、−80℃から250℃まで、昇温速度を毎分3℃として、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E’’及び損失正接tanδを測定し、損失正接のピーク温度Tα(℃)を軟化温度とした。なお、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(A)の損失正接のピーク温度が近いためピーク分割処理にてそれぞれのピークに分割し、上記ピーク温度Tα(℃)を特定した。
WO2007/94185号公報に記載の方法と同様の方法で、1000mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン450ml及びsec−ブチルリチウム(1.05M−シクロヘキサン溶液)1.50mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン5.20ml、スチレン14.3ml、4−tert−ブチルスチレン5.20ml、イソプレン40.7ml、4−tert−ブチルスチレン5.20ml、スチレン14.3ml、及び4−tert−ブチルスチレン5.20mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)―b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)―b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSTITSTと略記する)を合成した。
得られたTSTITSTの数平均分子量は73,230であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は36.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.0質量%であった。
得られたTSTETSTの残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)スペクトル測定によって算出を試みたが、検出限界以下であった。
WO2007/94185号公報に記載の方法と同様の方法で、塩化メチレン122ml中、0℃にて無水酢酸61.2mlと硫酸27.4mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例1で得られたブロック共重合体TSTETST30gを、3L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空-窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬176mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水500mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、濾過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して、本発明の高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSTETSTを得た。
得られたスルホン化TSTETSTのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、滴定の結果イオン交換容量は2.71meq/gであった。
参考例1と同様の方法で、1400mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン675ml及びsec−ブチルリチウム(1.05M−シクロヘキサン溶液)2.30mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン13.0ml、スチレン21.9ml、4−tert−ブチルスチレン13.0ml、イソプレン37.1ml、4−tert−ブチルスチレン13.0ml、スチレン21.9ml、及び4−tert−ブチルスチレン13.0mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)―b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−bポリ(4−tert−ブチルスチレン)―b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSTITSTと略記する)を合成した。
得られたTSTITSTの数平均分子量は61,900であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は34.9質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は40.4質量%であった。
得られたTSTETSTの残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)スペクトル測定によって算出を試みたが、検出限界以下であった。
製造例1と同様の方法で、塩化メチレン123ml中、0℃にて無水酢酸61.5mlと硫酸27.5mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例2で得られたブロック共重合体TSTETST30gを、3L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空-窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬177mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水500mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して本発明の高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSTETSTを得た。
得られたスルホン化TSTETSTのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、滴定の結果イオン交換容量は2.61meq/gであった。
参考例1と同様の方法で、1400mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン519ml及びsec−ブチルリチウム(1.0M−シクロヘキサン溶液)2.36mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン21.6ml、スチレン30.1ml、イソプレン86.9ml、スチレン30.1ml及び4−tert−ブチルスチレン21.6mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSISTと略記する)を合成した。
得られたTSISTの数平均分子量は79,100であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は35.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.0質量%であった。
得られたTSESTの残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)スペクトル測定によって算出を試みたが、検出限界以下であった。
製造例1と同様の方法で、塩化メチレン119ml中、0℃にて無水酢酸59.5mlと硫酸26.6mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例3で得られたブロック共重合体TSEST30gを、3L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空-窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬171mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水500mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して、本発明に属さない高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSESTを得た。
得られたスルホン化TSESTのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、滴定の結果イオン交換容量は2.65meq/gであった。
参考例3と同様の方法で、1400mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン600ml及びsec−ブチルリチウム(1.0M−シクロヘキサン溶液)5.57mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン35.6ml、スチレン29.1ml、イソプレン54.3ml、スチレン29.1ml及び4−tert−ブチルスチレン35.6mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSISTと略記する)を合成した。
得られたTSISTの数平均分子量は26,000であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は33.4質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は42.2質量%であった。
得られたTSESTの残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)スペクトル測定によって算出を試みたが、検出限界以下であった。
製造例1と同様の方法で、塩化メチレン142ml中、0℃にて無水酢酸70.9mlと硫酸31.7mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例4で得られたブロック共重合体TSEST30gを、3L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空−窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬204mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水500mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して本発明に属さない高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSESTを得た。
得られたスルホン化TSESTのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、滴定の結果イオン交換容量は2.56meq/gであった。
参考例1と同様の方法で、1400mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン593ml及びsec−ブチルリチウム(1.00M−シクロヘキサン溶液)2.92mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン11.9ml、スチレン32.6ml、4−tert−ブチルスチレン11.90ml、イソプレン59.0ml、4−tert−ブチルスチレン11.9ml、スチレン32.6ml、及び4−tert−ブチルスチレン11.9mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)―b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSTITSTと略記する)を合成した。
得られたTSTITSTの数平均分子量は64,100であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は41.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は29.0質量%であった。
得られたTSTETSTの残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)スペクトル測定によって算出を試みたが、検出限界以下であった。
製造例1と同様の方法で、塩化メチレン127ml中、0℃にて無水酢酸63.7mlと硫酸28.5mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例5で得られたブロック共重合体TSTETST30gを、3L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空−窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬200mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水500mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、濾過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して本発明の高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSTETSTを得た。
得られたスルホン化TSTETSTのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から100mol%、滴定の結果イオン交換容量は3.00meq/gであった。
参考例1と同様の方法で、1000mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン514ml及びsec−ブチルリチウム(1.00M−シクロヘキサン溶液)1.95mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン5.8ml、スチレン16.1ml、4−tert−ブチルスチレン5.8ml、スチレン16.1ml、4−tert−ブチルスチレン5.8ml、イソプレン42.6ml、及び4−tert−ブチルスチレン5.8mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)―b−ポリイソプレン−b―ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSTSTITと略記する)を合成した。
得られたTSTSTITの数平均分子量は38,700であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は36.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は25.0質量%であった。
製造例1と同様の方法で、塩化メチレン36.5ml中、0℃にて無水酢酸18.3mlと硫酸8.2mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例6で得られたブロック共重合体TSTSTET10gを、2L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空−窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン125mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬57.2mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水400mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して本発明の高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSTSTETを得た。
得られたスルホン化TSTSTETのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から92mol%、滴定の結果イオン交換容量は2.50meq/gであった。
参考例1と同様の方法で、1000mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン500ml及びsec−ブチルリチウム(1.10M−シクロヘキサン溶液)3.2mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン6.0ml、スチレン26.5ml、4−tert−ブチルスチレン6.0ml、イソプレン24.3ml、4−tert−ブチルスチレン6.0mlを逐次添加し、60℃で重合させ、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSTITと略記する)を合成した。
得られたTSTITの数平均分子量は49,000であり、1H−NMR(400MHz)測定から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は44.0質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は20.6質量%であった。
得られたTSTETの残存二重結合量を1H−NMR(400MHz)スペクトル測定によって算出を試みたが、検出限界以下であった。
製造例1と同様の方法で、塩化メチレン125ml中、0℃にて無水酢酸22.9mlと硫酸10.2mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、参考例7で得られたブロック共重合体TSTET10gを、2L攪拌機付きのガラス製反応容器に入れ、真空−窒素導入を3回繰り返した後、窒素を導入した状態で、塩化メチレン400mlを加え、常温にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬71.7mlを、5分かけて滴下した。常温にて48時間攪拌後、蒸留水22mlを加えて反応を停止した。その後、攪拌下、蒸留水500mlを徐々に滴下し、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過により固形分の回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収した重合体を真空乾燥して本発明に属さない高分子電解質を成す共重合体であるスルホン化TSTETを得た。
得られたスルホン化TSTETのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)分析から95mol%、滴定の結果イオン交換容量は3.00meq/gであった。
(高分子電解質膜の作製)
製造例1で得られた共重合体を本発明の高分子電解質として、本発明の高分子電解質膜を作成した。製造例1で得られたスルホン化TSTETST(イオン交換容量2.71meq/g)の18質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比7/3)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
製造例2で得られた共重合体を本発明の高分子電解質として、本発明の高分子電解質膜を作成した。製造例2で得られたスルホン化TSTETST(イオン交換容量2.61meq/g)の12質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約125μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させた後、再度その上に、前記溶液を約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
製造例5で得られた共重合体を本発明の高分子電解質として、本発明の高分子電解質膜を作成した。製造例5で得られたスルホン化TSTETST(イオン交換容量3.00meq/g)の18質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比75/25)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
製造例6で得られた共重合体を本発明の高分子電解質として、本発明の高分子電解質膜を作成した。製造例6で得られたスルホン化TSTSTET(イオン交換容量2.50meq/g)の10.2質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比9/1)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約275μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させた後、再度その上に、前記溶液を約150μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
製造例3で得られたスルホン化TSEST(イオン交換容量2.65meq/g)の17質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比7/3)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
製造例4で得られたスルホン化TSEST(イオン交換容量2.56meq/g)の13質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比85/15)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約200μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させた後、再度その上に、前記溶液を約250μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ30μmの膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
製造例7で得られたスルホン化TSTET(イオン交換容量3.00meq/g)の15質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比75/25)溶液を調製し、離型処理済みPETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させたが、厚みむらが多く均一な膜を得ることができなかった。
以下の1)〜3)の試験において、各実施例及び比較例で得られた高分子電解質膜を評価した。
得られた高分子電解質膜から1cm×4cmの試験片を切り抜き、それを一対の金電極で挟み、開放系セルに装着した。測定セルを温度80℃、相対湿度30%の雰囲気下に設置し、交流インピーダンス法によりプロトン伝導度を測定した。
得られた高分子電解質膜を用いて作製した固体高分子型燃料電池用単セルについて、出力性能を評価した。尚、固体高分子型燃料電池用単セルは以下の手順で作製した。
Pt−Ru合金触媒担持カーボンに、Nafionの10質量%水分散液を、カーボンとNafionとの質量比が1:1になるように添加混合し、ついでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、均一に分散されたペーストを調製した。このペーストをスプレー法にて、カーボンペーパーの片面に均一に塗布した。130℃で30分乾燥させ、アノード用の電極を作製した。
また、Pt触媒担持カーボンに、Nafionの10質量%溶液を、カーボンとNafionとの質量比が1:0.75になるように添加混合し、ついでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、均一に分散されたペーストを調製し、アノード側と同様の方法にてカソード用電極を作製した。
その後、実施例、比較例で作製した高分子電解質膜を、上記2種類の電極でそれぞれ膜と触媒面とが向かい合うように挟み、その外側を2枚の耐熱性フィルム及び2枚のステンレス板で順に挟み、ホットプレス(115℃、20kg/cm2、8min)により膜−電極接合体を作製した。
ついで作製した膜−電極接合体を、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で挟み、固体高分子型燃料電池用の評価セル(電極面積は25cm2)を作製した。
セル温度を80℃に設定して、上記の評価セルをセットした。100%R.H.に加湿した水素、酸素を用いて、前処理を行った後、発電試験を実施し、1A/cm2時のセル電圧を評価した。
2.5cm×7.5cmのダンベル型試験片に長軸方向に向かい5cmの切込みを入れ、該試験片を25℃水中に12時間浸漬させた後、インストロンジャパン社製5566型引張試験機にセットし、25℃、相対湿度50%、引張速度250mm/minの条件において応力を測定した。
また、比較例3のようにブロック構造を有する場合は、製膜性が悪く、膜化することが困難であり、本発明の高分子電解質の構造が重要であることが確認された。
以上により、本発明の高分子電解質膜を用いた膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池は、耐久性の観点において優れる。
Claims (5)
- イオン伝導性基を有する2つの重合体ブロック(A)と、イオン伝導性を有しない1つの重合体ブロック(B)と、イオン伝導性を有しない4つの重合体ブロック(C)を構成成分とする共重合体からなる高分子電解質であって、前記重合体ブロック(A)が、芳香族ビニル化合物単位の繰り返し単位から構成される2つの重合体ブロックであり、前記重合体ブロック(B)が、炭素数2〜8のアルケン単位及び炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位から構成される1つの重合体ブロックであり、前記重合体ブロック(C)が、下記の一般式(a)で表される芳香族ビニル系化合物単位の繰り返し単位から構成される4つの重合体ブロックであり、前記重合体ブロック(B)は前記重合体ブロック(C)よりも軟化温度が20℃以上低く、前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)の両端が前記重合体ブロック(C)と結合していることを特徴とする高分子電解質。
- 前記イオン伝導性基が−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である請求項1に記載の高分子電解質。
- 請求項1又は2に記載の高分子電解質からなる高分子電解質膜。
- 請求項3に記載の高分子電解質膜を備える膜−電極接合体。
- 請求項4に記載の膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池。
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