JP2010232121A - 電解質複合膜、膜−電極接合体、および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

電解質複合膜、膜−電極接合体、および固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コスト、環境負荷が低く、高い寸法安定性を有し、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池に用いたとき、出力特性を低下させること無く、湿潤時の機械的耐久性を得ることが可能であり、加えて耐久性、電極との良好な接合性も兼ね備えた電解質膜、並びに該電解質膜を用いた膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる不織布を補強材とし、該補強材と電解質からなることを特徴とする電解質複合膜であって、前記電解質がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)及びイオン伝導性基を有しないゴム状重合体ブロック(B)を構成成分とし、該補強材に充填され、かつ、積層されている電解質複合膜、並びに該電解質膜を用いた膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、形態安定性に優れ、力学的強度にも優れた高分子電解質膜、並びに該高分子電解質膜を使用した膜−電極接合体及び燃料電池に関する。
近年、エネルギー及び/又は環境問題の抜本的解決策として、さらには将来の水素エネルギー時代の中心的エネルギー変換システムとして、燃料電池技術が注目されている。特に固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、小型軽量化が可能であるなどの理由から、電気自動車用の駆動電源や携帯機器用の電源としての利用、さらに電気と熱を同時利用する家庭据置き用の電源機器などへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池に使用される高分子電解質に要求される性能として、プロトン伝導性だけではなく、湿潤−乾燥状態の繰り返しに対する寸法安定性や、湿潤時の高い機械的強度などが要求される。また、水素燃料を使用した場合には低湿度下での出力向上が求められる。
プロトン伝導性を向上するための対策として、イオン交換容量を高くする必要があるが、その場合、膜の膨潤が大きくなり機械的強度も低下し、燃料電池の長期運転において膜がクリープしやすくなり、燃料電池の耐久性が低下する等の問題が生じる。また、プロトン伝導性は同等だが、膜抵抗を低減させるべく、膜厚を薄くする手法が採用されているが、その場合、膜の機械的強度が低下する、膜をガス拡散電極と接合させて膜電極接合体を作成する場合の加工性が悪くなるなどの問題が生じる。そこで、それらの改善策として高分子電解質膜として電解質と補強材からなる電解質複合膜が検討されている。
含フッ素重合体織布で補強されたパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質複合膜も検討されている(例えば特許文献1)。このように高分子電解質を織布や不織布で補強することで膜強度が改善する。しかしながら、これらパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質を用いた複合膜は化学的耐久性、機械的耐久性に優れるものの、材料が高価なだけでなく、合成及び廃棄時にフッ素系材料による環境負荷が高い。また、補強材を非フッ素系とすれば(例えば特許文献2)環境負荷は幾分低下するが、根本的な解決にならないばかりか、補強材とパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質との相溶性がよくないために、煩雑な複合化手法が必要であるなど、加工性が悪いという欠点を有している。
そこで、非フッ素系材料からなり、膜強度の高い電解質複合膜の検討がされている。例えば芳香環にスルホン酸基を導入した炭化水素系高分子電解質を不織布等の多孔性の有機材料からなる補強材に充填してなる電解質複合膜が検討されている(例えば特許文献3)。
これら炭化水素系高分子電解質を多孔性の有機材料に充填することによって機械的耐久性、耐水性等を改善できる。しかしながら、これらの電解質複合膜はパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質と同様に相溶性が必ずしも良くないために煩雑な複合化手法が必要であるなど、加工性が悪いという欠点、並びに電極との接合性等が悪くなるという欠点を有している。
このように、固体高分子型燃料電池に用いられる高分子電解質膜において機械的耐久性に優れ、使用時の湿潤−乾燥状態の繰り返しに対する寸法安定性を有するものがないのが現状である。
特開2005−078895号公報 特開2006−269266号公報 特開2006−338928号公報 WO02/40611号国際公開公報
Macromolecules. , 2(5), 453−458(1969). Kautsch.Gummi,Kunstst. , 37(5),377−379(1984). Polym.Bull. , 12, 71−77(1984).
本発明の目的は、製造コスト、環境負荷が低く、高い寸法安定性を有し、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池に用いたとき、出力特性を低下させること無く、湿潤時の機械的耐久性を得ることが可能であり、加えて耐久性、電極との良好な接合性も兼ね備えた電解質膜、並びに該電解質膜を用いた膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる不織布を補強材とし、該補強材と電解質からなることを特徴とする電解質複合膜であって、前記電解質がイオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)及びイオン伝導性基を有しないゴム状重合体ブロック(B)を構成成分とし、該補強材に充填され、かつ、積層されている電解質複合膜を提供することで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる不織布を補強材とし、該補強材と電解質からなることを特徴とする電解質複合膜であって、前記電解質が、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)と実質的にイオン伝導性を有しないゴム状重合体ブロック(B)を構成成分とするブロック共重合体からなり、該補強材に充填され、かつ、積層されている電解質複合膜に関する。
また請求項2に記載の発明は、
前記芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルの繰り返し単位の70%以上が芳香族単位から構成されている請求項1に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項3に記載の発明は、
前記重合体ブロック(A)の50質量%以上が芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする請求項1に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項4に記載の発明は、
前記ブロック共重合体が、50質量%以上が芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする実質的にイオン伝導性基を有さない非ゴム状重合体ブロック(C)を構成成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項5に記載の発明は、
前記重合体ブロック(C)が、下記の一般式(a)
Figure 2010232121
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表すが、少なくとも1つは炭素数1〜8のアルキル基を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位として有する重合体ブロックである請求項4記載の電解質複合膜に関する。
また請求項6に記載の発明は、
前記重合体ブロック(B)が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、並びに炭素‐炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位からなる重合体ブロックである請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項7に記載の発明は、
前記重合体ブロック(B)が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素‐炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる重合体ブロックである請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項8に記載の発明は、
前記重合体ブロック(C)と前記重合体ブロック(A)との質量比が85:15〜20:80である請求項4〜7のいずれか1項に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項9に記載の発明は、
前記重合体ブロック(A)と前記重合体ブロック(B)との質量比が95:5〜5:95である請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項10に記載の発明は、
前記イオン伝導性基が−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の電解質複合膜に関する。
また請求項11に記載の発明は、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の電解質複合膜を使用した膜−電極接合体に関する。
また請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池に関する。
本発明の電解質複合膜の構成成分であるブロック共重合体において、前記重合体ブロック(A)と前記重合体ブロック(B)とはミクロ相分離を起こし、重合体ブロック(A)同士と重合体ブロック(B)同士とがそれぞれ集合する性質があり、重合体ブロック(A)はイオン伝導性基を有するので重合体ブロック(A)同士の集合によりイオンチャンネルが形成され、プロトン等のイオンの通り道となる。また、重合体ブロック(B)の存在により、ブロック共重合体が全体として弾力性を帯び、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作成に当たって成型性(組立性、接合性、締付性など)が改善される。重合体ブロック(B)はアルケン単位や共役ジエン単位などから構成される。
なおここで、「ミクロ相分離」とは微視的な意味での相分離を意味し、より詳しくは形成されるドメインサイズが可視光の波長(3800〜7800Å)以下である相分離を意味するものとする。
芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる不織布を補強材とし、該補強材と電解質からなることを特徴とする本発明の電解質複合膜は、湿潤時においても高い寸法安定性、並びに高い機械的耐久性を有することから、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池に用いたとき、出力特性、耐久性に優れる。また、電解質に弾力性と柔軟性を有する重合体を有することから、電極との接合性にも優れ、該電解質複合膜を用いた膜−電極接合体、及び燃料電池は出力特性、並びに耐久性に優れる。
本発明の電解質複合膜は、電解質が補強材に充填され、かつ、積層されている。このことによって、電解質と補強材は強固に一体化され、かつ、膜の柔軟性、強度、イオン伝導性も高いものとなる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の電解質複合膜の厚さは、特に制限はないが、5〜200μmの範囲であることが好ましく、10〜100μmの範囲であることがより好ましく、15〜60μmの範囲であることがより好ましい。また、電解質層と補強材層の厚さの比は5:95〜80:20の範囲であることが好ましく、10:90〜70:30の範囲であることがより好ましく、20:80〜60:40の範囲であることが更に好ましい。
上記の重合体ブロック(A)としては、芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック、ポリカーボネートブロック、ポリアミドブロック、ポリイミドブロック、ポリ尿素ブロック、ポリスルホンブロック、ポリスルホネートブロック、ポリベンゾオキサゾールブロック、ポリベンゾチアゾールブロック、ポリフェニルキノキサリンブロック、ポリキノリンブロック、ポリトリアジンブロック、ポリアクリレート誘導体ブロック、ポリメタクリレート誘導体ブロック等が挙げられ、中でも芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック等が好ましい。このうち、合成が容易である、また、本発明の補強材と電解質は構造の類似性から親和性が高いので補強材に電解質が均一性高く複合化される、という観点から芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックがより好ましい。
上記の芳香族ビニル系化合物単位が有する芳香環は炭素環式芳香環であるのが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等が挙げられる。これら芳香族ビニル系化合物の具体例として、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−n−プロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−イソブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられる。
また、上記炭素環式芳香環として、α−炭素が4級炭素であるものでもよい。すなわち、α−炭素原子に結合した水素原子が炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、もしくはtert−ブチル基)、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基(クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロエチル基等)又はフェニル基で置換された芳香族ビニル系化合物等を挙げることができ、具体的には、α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−4−エチルスチレン、α−メチル−4−t−ブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられる。
これらは1種又は2種以上組み合わせて使用できるが、中でもスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−2−メチルスチレンが好ましい。これらの2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。
重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損わない範囲内で1種もしくは複数の他の単量体単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体としては、例えば、炭素数4〜8の共役ジエン(1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等)、炭素数2〜8のアルケン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等)等が挙げられる。上記他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが望ましい。
重合体ブロック(A)が芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とすると、重合体ブロック(B)とのミクロ相分離を起こす上で有利であり、この結果イオン伝導性を高めることができる。この場合、芳香族ビニル系化合物単位は、最終的に得られる電解質複合膜に十分なイオン伝導性を付与するために、重合体ブロック(A)の50質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、90質量%以上を占めることがより一層好ましい。
各重合体ブロック(A)の分子量は、電解質複合膜の性状、要求性能、他の重合体成分等によって適宜選択される。分子量が大きい場合、電解質複合膜の力学特性が高くなる傾向にあるが、大きすぎるとブロック共重合体の成形、製膜が困難になり、分子量が小さい場合、ミクロ相分離構造、ひいては、イオンチャンネルを形成しにくくなるため、イオン伝導性を示さなくなる傾向にあり、また力学特性が低くなる傾向にあることから、必要性能に応じて分子量を適宜選択することが重要である。
各重合体ブロック(A)のイオン伝導性基が導入されていない状態での分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、1,000〜500,000の間から選択されるのが好ましく、2,000〜250,000の範囲から選択されるのがより好ましく、3,000〜100,000の間から選択されるのがより好ましい。
また、重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損わない範囲内で公知の方法により架橋されていてもよい。架橋を導入することにより、重合体ブロック(A)が形成するイオンチャンネル相が膨潤しにくくなり、乾燥時と湿潤時の力学特性(引張特性等)の変化などが更に小さくなる傾向にある。
重合体ブロック(A)が有するイオン伝導性基としては特に限定はなく、イオン伝導性を有する官能基を用いることが出来、アニオンおよび/またはカチオンとの親和性が高いもの、特に官能基の一部がイオンとして解離しやすいものが好適であり、例えばスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩、ピリジンの4級塩のなどが挙げられる。特にプロトン性官能基または該プロトン性官能基のプロトンを他のイオンと交換した塩はプロトン伝導性に優れ、例えばスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基並びにそれらの塩などが挙げられる。イオン伝導性、導入しやすさ、価格などの観点からスルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらの塩が好適に用いられる。イオン伝導性基の種類や濃度を適宜選択することでイオン交換容量を調節することができる。
重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とはミクロ相分離を起こし、重合体ブロック(A)同士と重合体ブロック(B)同士とがそれぞれ集合する性質があり、重合体ブロック(A)はイオン伝導性基を有するので重合体ブロック(A)同士の集合によりイオンチャンネルが形成され、イオンの通り道となる。かかる重合体ブロック(B)を有することによってブロック共重合体が全体として弾力性を帯びかつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって成形性(組立性、接合性、締付性など)等が改善される。ここでいうゴム状重合体ブロック(B)はガラス転移点あるいは軟化点が30℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下の重合体ブロックを意味する。
ゴム状重合体ブロック(B)を構成する繰返し単位を構成することができる単量体としては炭素数2〜8のアルケン、炭素数5〜8のシクロアルケン、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン、炭素数4〜8の共役ジエン及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン、炭素−炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数7〜10のビニルシクロアルケン、炭素−炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数4〜8の共役ジエン、炭素−炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上を重合(共重合)させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。また、(共)重合に供する単量体が炭素−炭素二重結合を2つ有する場合にはそのいずれが重合に用いられてもよく、共役ジエンの場合には1,2−結合であっても1,4−結合であってもよく、またガラス転移点あるいは軟化点が30℃以下であれば、1,2−結合と1,4−結合との割合にも特に制限はない。
重合体ブロック(B)を構成する繰返し単位が、ビニルシクロアルケン単位や共役ジエン単位や共役シクロアルカジエン単位である場合のように重合後も炭素−炭素二重結合を有している場合には、本発明の電解質複合膜を用いた膜−電極接合体の発電性能、耐熱劣化性の向上などの観点から、かかる炭素−炭素二重結合はその30モル%以上が水素添加されているのが好ましく、50モル%以上が水素添加されているのがより好ましく、80モル%以上が水素添加されているのがより一層好ましい。例えば重合体ブロック(B)として、炭素数4〜8の共役ジエン単位を重合したのち、炭素−炭素二重結合の実質的に全部を水素添加されたものを用いても良い。炭素−炭素二重結合の水素添加率は、一般に用いられている方法、例えば、ヨウ素価測定法、H−NMR測定等によって算出することができる。
重合体ブロック(B)は、得られるブロック共重合体に、弾力性ひいては膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製にあたって良好な成形性を与える観点から、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、並びに炭素−炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位からなる重合体ブロックであることが好ましく、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種の繰返し単位からなる重合体ブロックであることがより好ましく、炭素数2〜6のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種の繰返し単位からなる重合体ブロックであることがより一層好ましい。上記で、アルケン単位として最も好ましいのはイソブテン単位であり、共役ジエン単位として最も好ましいのは1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位である。
上記で炭素数2〜8のアルケンとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等が挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルケンとしてはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン及びシクロオクテンが挙げられ、炭素数7〜10のビニルシクロアルケンとしてはビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘプテン、ビニルシクロオクテンなどが挙げられ、炭素数4〜8の共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等が挙げられ、炭素数5〜8の共役シクロアルカジエンとしてはシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等が挙げられる。
また、重合体ブロック(B)は、上記単量体以外に、ブロック共重合体に弾力性を与えるという重合体ブロック(B)の目的を損わない範囲で他の単量体、例えばスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系化合物;塩化ビニル等のハロゲン含有ビニル化合物等を含んでいてもよい。この場合上記単量体と他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが必要である。かかる他の単量体の使用量は、上記単量体と他の単量体との合計に対して、50質量%未満であるのが好ましく、30質量%未満であるのがより好ましく、10質量%未満であるのがより一層好ましい。
重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とを構成成分とするブロック共重合体の構造は特に限定されないが、重合体ブロック(A)は複数あることが望ましく、少なくとも1つの重合体ブロック(B)の両端は、ブロック共重合体の末端でないことが望ましい。例としてA−B−A型トリブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体とA−B型ジブロック共重合体との混合物、A−B−A−B型テトラブロック共重合体、A−B−A−B−A型ペンタブロック共重合体、B−A−B−A−B型ペンタブロック共重合体、(A−B)nX型星形共重合体(Xはカップリング剤残基を表す)、(B−A)nX型星形共重合体(Xはカップリング剤残基を表す)等が挙げられる。これらのブロック共重合体は、各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との質量比は95:5〜5:95であるのが好ましく、90:10〜10:90であるのがより好ましく、65:35〜10:90であるのがより一層好ましい。この質量比が95:5〜5:95である場合には、ミクロ相分離により重合体ブロック(A)の形成するイオンチャンネルがシリンダー状ないし連続相となるのに有利であって、実用上十分なイオン伝導性が発現し、また疎水性である重合体ブロック(B)の割合が適切となって優れた耐水性が発現する。
本発明で使用するブロック共重合体は、一部にグラフト結合を含むものも包含する。一部にグラフト結合を含むブロック共重合体としては、構成する重合体ブロックの一部がブロック共重合体のメインの部分(例えば主鎖)にグラフト結合したものなどが挙げられる。
本発明で用いるブロック共重合体の数平均分子量は特に制限されないが、イオン伝導性基が導入されていない状態でのポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、10,000〜1,000,000が好ましく、15,000〜700,000がより好ましく、20,000〜500,000がより一層好ましい。
本発明の電解質複合膜を構成する電解質におけるブロック共重合体は重合体ブロック(A)にイオン伝導性基を有することが必要である。本発明でイオン伝導性に言及する場合のイオンとしてはプロトンなどが挙げられる。イオン伝導性基としては、該電解質複合膜を用いて作製される膜−電極接合体が十分なイオン伝導度を発現できるような基であれば特に限定されないが、中でも−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表されるスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基又はそれらの塩を用いることができ、特に高いイオン伝導性を示す観点から、スルホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が好適に用いられる。
イオン伝導性基の導入位置を重合体ブロック(A)にするのはブロック共重合体全体の耐ラジカル性を向上させるのに特に有効であるためである。
イオン伝導性基の重合体ブロック(A)中への導入位置については特に制限はなく、芳香族化合物単位、芳香族ビニル系化合物単位に導入しても既述の他の単量体単位に導入してもよいが、イオンチャンネル形成を容易にする観点から、芳香族化合物単位、芳香族ビニル系化合物単位の芳香環に導入するのが好ましい。また、芳香族を構造中に有する補強材との親和性が高い芳香族ビニル系化合物単位の芳香環を有する重合体ブロック(A)に極性の高いイオン伝導性基を導入し、ゴム状重合体ブロックの疎水性を相対的に高めることは、各ブロックそれぞれの補強材との親和性を高めることとなり、結果として電解質と補強材の接着性、一体性を高めるものとできる。
イオン伝導性基の導入量は、得られるブロック共重合体の要求性能等によって適宜選択されるが、固体高分子型燃料電池用の電解質膜として使用するのに十分なイオン伝導性を発現するためには、通常、ブロック共重合体のイオン交換容量が0.70meq/g以上となるような量であることが好ましく、1.00meq/g以上となるような量であることがより好ましい。ブロック共重合体のイオン交換容量の上限については、イオン交換容量が大きくなりすぎると親水性が高まり耐水性が不十分になる傾向となるので、4.00meq/g以下であるのが好ましい。
本発明で使用される補強材は、機械的な耐久性、及び化学的な耐久性を十分に発揮でき、かつ加工性(電解質との複合化の容易性、補強材の薄膜化の容易性など)、材料の入手性などの観点から、不織布を用いる必要があり、該不織布は芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる繊維より得られるものである。該不織布は吸水率が特に少なく、耐酸性、耐薬品性にも優れることから好ましく、これらを不織布にしたものを補強材として有する電解質複合膜は、固体高分子型燃料電池に用いた場合には極めて良好な耐久性、及び出力特性等の電池性能を有する。
本発明に用いる芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルとは、溶融相において光学的異方性(液晶性)を示す芳香族系ポリエステルであり、例えば試料をホットステージに載せ窒素雰囲気下で加熱し、試料の透過光を観察することで認定できる。溶融異方性ポリエステルは芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸の反復構成単位を主成分とするものであり、例えば、下記に示す反復構成単位群の組合せからなるものが好ましい。
Figure 2010232121
本発明で使用される芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルとしては、パラヒドロキシ安息香酸と6 − ヒドロキシ− 2 − ナフトエ酸が主成分となる構成、またはパラヒドロキシ安息香酸と6 − ヒドロキシ− 2 − ナフトエ酸とテレフタル酸とビフェノールが主成分となる構成が特に好ましい。なお、上記芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルには、必要に応じて着色剤、無機フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常使用されている添加剤および熱可塑性エラストマーを本発明の機能を阻害しない範囲で添加してもよい。
本発明でいう芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル不織布の製造方法(紡糸方法)は、フラッシュ紡糸法、メルトブロー法、溶融静電紡糸法等が挙げられるが、極細繊維からなる不織布の製造が比較的容易であること、紡糸時に溶剤を必要とせず環境への影響を最小限とすることができる点からメルトブロー法で製造された不織布であることが好ましい。
この繊維は高度に配向しているため、紡糸しただけでも十分高い強度を有しているおり、この繊維を常法により不織布化することにより、本発明の電解質複合膜の補強材として用いることができる。
本発明の電解質複合膜の補強材としては、芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル繊維から得られる不織布を用いるが、本発明の趣旨に反しない範囲でPET繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維を混合しても良い。本発明の目的である電解質複合膜の補強材としての機械的な耐久性、及び化学的な耐久性を十分に発揮するためには、70%以上が芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル繊維からなることが好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルは本発明の趣旨に反しない範囲で若干の脂肪族構造を主鎖、または側鎖に含んでもよいが、本発明の目的である電解質複合膜の補強材としての耐久性を十分に発揮するためには、繰り返し単位の数を基準として芳香族単位が50%を超えている必要があり、70%以上が芳香族単位からなることが好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上であることがより好ましい。
補強材として用いる芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル不織布の厚みは、3〜70μmの範囲にあることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましく、更に5〜30μmであることが好ましい。厚みが3μmよりも薄い場合には、得られた電解質複合膜の機械特性が不十分になる傾向にある。また、70μmよりも厚いと、抵抗が大きくなり燃料電池の特性が悪くなる傾向にある。
補強材として用いる芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル不織布の目付けは、0.2〜30g/mの範囲にあることが好ましく、0.5〜20g/mであることがより好ましく、更に1〜10g/mであることが好ましい。
本発明で用いることができる補強材としての不織布の空孔率は40〜95%が好ましく、50〜90%であることがより好ましい。40%よりも空孔率が低いと電解質複合膜としてのイオン伝導性が低下する傾向にある。また、95%よりも空孔率が高くなると不織布本来の強度が保てなくなるので好ましくない。
本発明の高分子固体電解質膜に補強材として用いられる芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル不織布は表面処理を行うこともできる。この処理を行うとその後の高分子固体電解質の含浸を好適に行うことができる。このような表面処理の一例としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理をあげることができる。
本発明の電解質複合膜は、補強材として上記の芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルの不織布を含有した複合体を形成しており、電解質の一部が補強材中に充填されている必要がある。
補強材中への電解質の充填率(補強材の空孔に対する電解質の充填量)は、充填率が低いと燃料がリークしやすくなり、十分な発電性能が得られにくいことから、70体積%以上であることが好ましく、85体積%以上であることがより好ましい。また、電解質複合膜の厚さが補強材の厚さの105%より薄い場合には、電極との接合性が悪くなる傾向にあることから、補強材の厚さの105%以上であることが好ましく、120%以上であることがより好ましい。
非ゴム状重合体ブロック(C)は、拘束相として機能する。ここでいう非ゴム状重合体ブロック(C)は、発電する雰囲気下で、拘束機能を発現する必要があることから、そのガラス転移点あるいは軟化点が30℃超、好ましくは40℃以上、より好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上の重合体ブロックを意味する。
重合体ブロック(C)としては、芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック、ポリカーボネートブロック、ポリアミドブロック、ポリイミドブロック、ポリ尿素ブロック、ポリスルホンブロック、ポリスルホネートブロック、ポリベンゾオキサゾールブロック、ポリベンゾチアゾールブロック、ポリフェニルキノキサリンブロック、ポリキノリンブロック、ポリトリアジンブロック、ポリアクリレート誘導体ブロック、ポリメタクリレート誘導体ブロック等が挙げられ、中でも芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック等が好ましく、合成が容易である、また、本発明の補強材と電解質は構造の類似性から、親和性が高く、補強材に電解質が均一性高く複合化される、という観点から芳香族ビニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックがより好ましい。
上記の芳香族ビニル系化合物単位が有する芳香環は炭素環式芳香環であるのが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等が挙げられる。これら芳香族ビニル系化合物の具体例として、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−n−プロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−イソブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられる。
また、上記の芳香族ビニル系化合物単位が炭素環式芳香環として、α−炭素が4級炭素であるものでもよい。すなわち、α−炭素原子に結合した水素原子が炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、もしくはtert−ブチル基)、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基(クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロエチル基等)又はフェニル基で置換された芳香族ビニル系化合物等を挙げることができ、具体的には、α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−4−エチルスチレン、α−メチル−4−t−ブチルスチレン、α−メチル−4−イソプロピルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられる。
これらは1種又は2種以上組み合わせて使用できるが、中でも4−t−ブチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、α−メチル−4−t−ブチルスチレン、α−メチル−イソプロピルスチレンが好ましい。これらの2種以上を共重合させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。
重合体ブロック(C)は、本発明の効果を損わない範囲内で1種もしくは複数の他の単量体単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体としては、例えば、炭素数4〜8の共役ジエン(1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等)、炭素数2〜8のアルケン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等)等が挙げられる。上記他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが望ましい。
重合体ブロック(C)とイオン伝導性ブロック(A)との比率に特に限定はないが、イオン伝導性基を導入する前の単量体単位の比率として、85:15〜0:100であることが好ましく、重合体ブロック(C)による機械的強度と、高いイオン伝導性を両立する上では、85:15〜20:80であることが好ましく、更に75:25〜25:75の範囲であることが好ましい。
実質的にイオン伝導性基を有さない重合体ブロック(C)は、下記の一般式(a)
Figure 2010232121
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表すが、少なくとも1つは炭素数1〜8のアルキル基を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位として有する重合体ブロックから構成されていてもよい。一般式(a)のRで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。一般式(a)のR〜Rで表される炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。一般式(a)で表される芳香族ビニル化合物単位の好適な具体例としては、p−メチルスチレン単位、4−tert−ブチルスチレン単位、p−メチル−α−メチルスチレン単位、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン単位等が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。これら2種以上を重合(共重合)させる場合の形態はランダム共重合でもブロック共重合でもグラフト共重合でもテーパード共重合でもよい。
重合体ブロック(C)は、拘束相としての機能を妨げない範囲内で、芳香族ビニル系化合物単位以外に、1種もしくは複数の他の単量体単位を含んでいても良い。かかる他の単量体単位を与える単量体としては、例えば、炭素数4〜8の共役ジエン、炭素数2〜8のアルケン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル、ビニルエーテル等が挙げられる。これらの具体例は前述の重合体ブロック(A)の説明におけると同様である。芳香族ビニル系化合物と上記他の単量体との共重合形態はランダム共重合であることが望ましい。
拘束相としての機能を果たす観点から、上記した芳香族ビニル化合物単位は、重合体ブロック(C)の50質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、90質量%以上を占めることがより一層好ましい。
重合体ブロック(C)の分子量は、高分子電解質の性状、要求性能、他の重合体成分等によって適宜選択される。分子量が大きい場合、高分子電解質の力学特性が高くなる傾向にあるが、大きすぎるとブロック共重合体の成形、製膜が困難になり、分子量が小さい場合、力学特性が低くなる傾向にあり、必要性能に応じて分子量を適宜選択することが重要である。ポリスチレン換算の数平均分子量として、通常、800〜500,000の間から選択されるのが好ましく、2,000〜150,000の間から選択されるのがより好ましく、3,000〜50,000の間から選択されるのがより好ましい。
本発明で用いるブロック共重合体が重合体ブロック(C)、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)から構成される場合、該ブロック共重合体の構造は、特に限定されないが、例としてA−B−C−Aテトラブロック共重合体、B−A−B−Cテトラブロック共重合体、A−B−C−Bテトラブロック共重合体、C−B−C−Aテトラブロック共重合体、A−B−A−Cテトラブロック共重合体、A−C−B−C−Aペンタブロック共重合体、C−A−B−A−Cペンタブロック共重合体、A−C−B−C−Aペンタブロック共重合体、C−B−A−B−Cペンタブロック共重合体、A−B−C−A−Bペンタブロック共重合体、A−B−C−A−Cペンタブロック共重合体、A−B−C−B−Cペンタブロック共重合体、A−B−A−B−Cペンタブロック共重合体、A−B−A−C−Bペンタブロック共重合体、B−A−B−A−Cペンタブロック共重合体、B−A−B−C−Aペンタブロック共重合体、B−A−B−C−Bペンタブロック共重合体、C−A−C−B−Cペンタブロック共重合体等が挙げられる。
本発明で使用するブロック共重合体は、一部にグラフト結合を含むものも包含する。一部にグラフト結合を含むブロック共重合体としては、構成する重合体ブロックの一部がブロック共重合体の主たる部分(例えば主鎖)にグラフト結合したものなどが挙げられる。
本発明で用いられる電解質におけるブロック共重合体の製造法に関しては、特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体を製造した後、イオン伝導性基を結合させる方法が好ましい。
重合体ブロック(A)又は(B)を構成する単量体の種類、分子量等によって、重合体ブロック(A)又は(B)の製造法は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法等から適宜選択されるが、工業的な容易さから、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法が好ましく選択される。特に、分子量制御、分子量分布制御、重合体構造制御、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との結合の容易さ等からいわゆるリビング重合法が好ましく、具体的にはリビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法が好ましい。
製造法の具体例として、ポリ(α−メチルスチレン)からなる重合体ブロック(A)及び共役ジエンからなる重合体ブロック(B)を成分とするブロック共重合体の製造法について述べる。この場合、工業的容易さ、分子量、分子量分布、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との結合の容易さ等からリビングアニオン重合法で製造するのが好ましく、次のような具体的な合成例が示される。
(1)テトラヒドロフラン溶媒中でジアニオン系開始剤を用いて共役ジエン重合後に、―78℃の温度条件下でα−メチルスチレンを逐次重合させA−B−A型ブロック共重合体を得る方法(例えば非特許文献1参照)。
(2)α−メチルスチレンをアニオン系開始剤を用いてバルク重合をした後に、共役ジエンを逐次重合させ、その後テトラクロロシラン等のカップリング剤によりカップリング反応を行い、(A−B)nX型ブロック共重合体を得る方法(例えば非特許文献2、3参照)。
(3)非極性溶媒中有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法。
(4)非極性溶媒中有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレン(重合体ブロック(A)を構成する単量体)を重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させ、得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに重合体ブロック(A)を構成する単量体を重合させてA−B−A型ブロック共重合体を得る方法。
製造法の具体例として、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を主たる繰返し単位とする重合体ブロック(C)、スチレン又はα−メチルスチレンからなる重合体ブロック(A)及び共役ジエンからなる重合体ブロック(B)を構成成分とするブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の製造法について述べる。この場合、工業的容易さ、分子量、分子量分布、重合体ブロック(C)、(B)及び(A)の結合の容易さ等からリビングアニオン重合法が好ましく、次のような具体的な合成例が挙げられ、採用/応用することができる。
(5)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を重合し、その後共役ジエン、スチレンを逐次重合させC−B−A型ブロック共重合体を得る方法。
(6)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を重合し、その後スチレン、共役ジエンを逐次重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加してC−A−B−A−C型ブロック共重合体を得る方法。
(6)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、10〜100℃の温度条件下で、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、共役ジエン、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を逐次重合させC−B−C型ブロック共重合体を作成し、アニオン重合開始剤系(アニオン重合開始剤/N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)を添加し共役ジエン単位をリチオ化した後、スチレンを重合させ、C−B(−g−A)−C型ブロック・グラフト共重合体を得る方法。
(7)非極性溶媒中有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエン、4−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を逐次重合させてA−B−C型ブロック共重合体、及びα−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、共役ジエン、4−tert−ブチルスチレンを逐次重合させてA−C−B−C型ブロック共重合体を得る方法。
このようにして製造されたブロック共重合体は、重合体ブロック(B)を構成する炭素数4〜8の共役ジエン単位の二重結合の水素添加反応に供される。該水素添加反応の方法としては、アニオン重合等で得られたブロック共重合体の溶液を耐圧容器に仕込み、Ni/Al系等のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において水素添加反応を行う方法を例示できる。
次に、得られたブロック共重合体にイオン伝導性基を結合させる方法について述べる。まず、得られたブロック共重合体にスルホン酸基を導入する方法について述べる。スルホン化は、公知のスルホン化の方法で行える。このような方法としては、ブロック共重合体の有機溶媒溶液や縣濁液を調製し、スルホン化剤を添加し混合する方法やブロック共重合体に直接ガス状のスルホン化剤を添加する方法等が例示される。
使用するスルホン化剤としては、硫酸、硫酸と脂肪族酸無水物との混合物系、クロロスルホン酸、クロロスルホン酸と塩化トリメチルシリルとの混合物系、三酸化硫黄、三酸化硫黄とトリエチルホスフェートとの混合物系、さらに2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸に代表される芳香族有機スルホン酸等が例示される。また、使用する有機溶媒としては、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類等が例示でき、必要に応じて複数の組合せから、適宜選択して使用してもよい。
得られたブロック共重合体のスルホン化物を含む反応溶液から、スルホン化物を固形物として取り出す方法としては、水中に反応溶液を注ぎスルホン化物を沈殿させた後に溶媒を常圧留去する方法や、反応溶液中に停止剤の水を徐々に添加し懸濁せしめ、スルホン化物を析出させた後に溶媒を常圧留去する方法などが挙げられるが、スルホン化物が微分散化し、その後の水での洗浄効率が高くなる観点から、反応溶液中に停止剤の水を徐々に添加し、懸濁せしめ、スルホン化物を析出させる方法が好適に用いられる。
得られたブロック共重合体にホスホン酸基を導入する方法について述べる。ホスホン化は、公知のホスホン化の方法で行える。具体的には、例えば、ブロック共重合体の有機溶媒溶液や懸濁液を調製し、無水塩化アルミニウムの存在下、該共重合体をクロロメチルエーテル等と反応させ、芳香環にハロメチル基を導入後、これに三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させ、さらに加水分解反応を行ってホスホン酸基を導入する方法などが挙げられる。あるいは、該共重合体に三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させ、芳香環にホスフィン酸基を導入後、硝酸によりホスフィン酸基を酸化してホスホン酸基とする方法等が例示できる。
スルホン化又はホスホン化の程度としては、すでに述べたごとく、ブロック共重合体のイオン交換容量が0.70meq/g以上、特に0.80meq/g以上になるまで、しかし、4.00meq/g以下であるようにスルホン化またはホスホン化されることが望ましい。これにより実用的なイオン伝導性能が得られる。スルホン化またはホスホン化されたブロック共重合体のイオン交換容量、もしくはブロック共重合体における芳香族ビニル系化合物中のスルホン化率又はホスホン化率は、酸価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて算出することができる。
イオン伝導性基は、適当な金属イオン(例えばアルカリ金属イオン)あるいは対イオン(例えばアンモニウムイオン)で中和されている塩の形で導入されていてもよい。例えば、適当な方法でイオン交換することにより、スルホン酸基を塩型にしたブロック共重合体を得ることができる。
本発明の電解質複合膜は、本発明の効果を損わない限り、各種添加剤、例えば、軟化剤、安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤等を各単独で又は2種以上組み合わせて含有していても良い。
軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系もしくはアロマ系のプロセスオイル等の石油系軟化剤、パラフィン、植物油系軟化剤、可塑剤等が挙げられる。
安定剤は、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等を包含し、具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2,−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロジナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系安定剤;ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジアステリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定剤等が挙げられる。
本発明の電解質複合膜におけるブロック共重合体の含有量は、イオン伝導性の観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましい。
本発明の電解質複合膜は、固体高分子型燃料電池用電解質膜として必要な性能、膜強度、ハンドリング性等の観点から、その膜厚が5〜500μm程度であることが好ましく、7〜100μm程度であることがより好ましい。膜厚が5μm未満である場合には、膜の機械的強度やガスの遮断性が不充分となる傾向がある。逆に、膜厚が500μmを超えて厚い場合には、膜抵抗が大きくなり、充分なプロトン伝導性が発現しないため、電池の発電特性が低くなる傾向がある。該膜厚はより好ましくは5〜300μmである。
本発明の電解質複合膜の調製方法については、かかる調製のための通常の方法であればいずれの方法も採用できるが、例えば、本発明の電解質複合膜の構成電解質膜を構成するブロック共重合体及び上記したような添加剤を適当な溶媒と混合して、5質量%以上の該ブロック共重合体の均一溶液又は乳化液を調製した後、離形処理済みのPETフィルム等に、コーターやアプリケーター等を用いて塗布した後、適切な条件で溶媒を除去することによって、所望の厚みを有する電解質膜を得、次いで補強材を電解質膜上に置いた後、上記調整液をコーターやアプリケーター等を用いて塗布し、適切な条件で溶媒を除去することによって得る方法などの公知の方法を用いて成膜する方法などを用いることができる。
均一溶液系で調整する場合に使用する溶媒は、ブロック共重合体の構造を破壊することなく、溶液塗工が可能な程度の粘度の溶液を調製することが可能なものであれば特に制限されない。具体的には、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類、あるいはこれらの混合溶媒等が例示できる。ブロック共重合体の構成、分子量、イオン交換容量等に応じて、上記に例示した溶媒の中から、1種又は2種以上の組合せを適宜選択し使用することができるが、特に良好な強度と柔軟性を有する電解質膜を調整しやすい観点から、トルエンとイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、シクロヘキサンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、シクロヘキサンとイソブチルアルコールの混合溶媒、テトラヒドロフラン溶媒、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶媒が好ましく、特に、トルエンとイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒が好ましい。
ブロック共重合体の乳化液系で調整する場合について述べる。イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)が親水性、重合体ブロック(B)が疎水性であるため保護コロイド形成能があり、界面活性剤を使用することなく乳化物を得ることができる。また、水などの極性溶媒を使用することで、極性の高いイオン伝導性基を外殻に有する粒子を容易に製造することができる。
上記乳化液を作成する方法としては公知の方法を用いることができるが、狭い粒径分布の乳化物が得られる点で転相乳化法を応用するのが好ましい。即ち、該ブロックポリマーを適当な有機溶剤に溶解した液を乳化機などで攪拌しながら水等の極性溶剤を加えていく。初期は有機溶剤系の中に水などの極性溶剤が粒子として分散している状態にあるが、極性溶剤がある量を超えると共連続状態となり、急激に粘度が上昇する。さらに極性溶剤を添加すると極性溶剤が連続相、有機溶媒が微粒子となり、粘度は急激に低下する。この方法を用いることで、粒径の揃った乳化液を得ることができる。
ただし、乳化物の直径が1μmを超える大粒径である場合、粒子内でブロックポリマーが相分離した構造となり、全てのイオン伝導性基が外殻に出てきていないため、イオン伝導性基を有効に使用することができない。したがって、ブロックポリマーを用いる場合には用いるポリマーの分子量やブロックの比率にもよるが、平均粒径が1μm以下の粒子径になるまで微粒子化するのが望ましい。多くの場合、上記プレ乳化での平均粒径は1μm以上となるため、さらなる微分散化が必要となる。微分散化の手法としては公知の方法を用いることができるが、不純物混入防止の観点でボールミルにおける粉砕用のボールのようなメディアを使用しない方法が好ましい。具体例としては高圧衝突法などが挙げられる。
また、溶液塗工方法における溶媒除去の条件は、ブロック共重合体のスルホン酸基等のイオン伝導性基が脱落する温度以下で、溶媒を完全に除去できる条件であれば任意に選択することが可能である。所望の物性を発現させるため、複数の温度を任意に組み合わせたり、通風気下と真空下等を任意に組み合わせてもよい。具体的には、60〜100℃程度の熱風乾燥にて4分以上かけて溶媒を除去する方法や、100〜140℃程度の熱風乾燥にて2〜4分にて溶媒を除去する方法や、25℃程度で1〜3時間程度、予備乾燥させた後、100℃程度の熱風乾燥にて数分かけて乾燥する方法や、25℃程度で1〜3時間程度、予備乾燥させた後、25〜40℃程度の雰囲気下、真空乾燥にて1〜12時間程度乾燥する方法などが挙げられる。良好な強度と柔軟性を有する電解質膜を調製しやすい観点から、60〜100℃程度の熱風乾燥にて4分以上かけて溶媒を除去する方法や、25℃程度で1〜3時間程度、予備乾燥させた後、100℃程度の熱風乾燥にて数分かけて乾燥する方法や、25℃程度で1〜3時間程度、予備乾燥させた後、25〜40℃程度の雰囲気下、真空乾燥にて1〜12時間程度乾燥する方法などが好適に用いられる。
次に、本発明の電解質複合膜を用いた膜−電極接合体について述べる。膜−電極接合体の製造については特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、イオン伝導性バインダーを含む触媒ペーストを印刷法やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布し乾燥することで触媒層とガス拡散層との接合体を形成させ、ついで1対の接合体をそれぞれ触媒層を内側にして、電解質複合膜の両側にホットプレスなどにより接合させる方法や、上記触媒ペーストを印刷法やスプレー法により電解質複合膜の両側に塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着させる方法がある。さらに別の製造法として、イオン伝導性バインダーを含む溶液又は懸濁液を、電解質複合膜の両面及び/又は1対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、電解質複合膜と触媒層面とを張り合わせ、熱圧着などにより接合させる方法がある。この場合、該溶液又は懸濁液は電解質膜及び触媒層面のいずれか一方に塗付してもよいし、両方に塗付してもよい。さらに他の製造法として、まず、上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製などの基材フィルムに塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、ついで、1対のこの基材フィルム上の触媒層を電解質複合膜の両側に加熱圧着により転写し、基材フィルムを剥離することで電解質複合膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法がある。これらの方法においては、イオン伝導性基をNaなどの金属との塩にした状態で行い、接合後の酸処理によってプロトン型に戻す処理を行ってもよい。
上記膜−電極接合体を構成するイオン伝導性バインダーとしては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュポン社製)や「Gore−select」(登録商標、ゴア社製)などの既存のパーフルオロスルホン酸系ポリマーからなるイオン伝導性バインダー、スルホン化ポリエーテルスルホンやスルホン化ポリエーテルケトンからなるイオン伝導性バインダー、リン酸や硫酸を含浸したポリベンズイミダゾールからなるイオン伝導性バインダー等を用いることができる。また、本発明の電解質複合膜を構成するブロック共重合体からイオン伝導性バインダーを作製してもよい。なお、電解質複合膜とガス拡散電極との密着性を一層高めるためには、ガス拡散電極と密着する面の構成電解質と同一材料から形成したイオン伝導性バインダーを用いることが好ましい。
上記膜−電極接合体の触媒層の構成材料について、導電材/触媒担体としては特に制限はなく、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが挙げられ、これら単独であるいは2種以上混合して使用される。触媒金属としては、水素やメタノールなどの燃料の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、パラジウム等、あるいはそれらの合金、例えば白金−ルテニウム合金が挙げられる。中でも白金や白金合金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は、10〜300オングストロームである。これら触媒はカーボン等の導電材/触媒担体に担持させた方が触媒使用量は少なくコスト的に有利である。また、触媒層には、必要に応じて撥水剤が含まれていてもよい。撥水剤としては例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記膜−電極接合体のガス拡散層は、導電性及びガス透過性を備えた材料から構成され、かかる材料として例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素繊維よりなる多孔性材料が挙げられる。また、かかる材料には、撥水性を向上させるために、撥水化処理を施してもよい。
上記のような方法で得られた膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより、固体高分子型燃料電池が得られる。本発明の膜−電極接合体は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体として使用可能である。
本発明の芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる不織布を補強材とし、該補強材と電解質からなることを特徴とする電解質複合膜は、湿潤時においても高い寸法安定性、並びに高い機械的耐久性を有することから、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池に用いたとき、出力特性、耐久性に優れる。また、電解質が弾力性と柔軟性に富む重合体からなることから、電極との接合性にも優れ、該電解質複合膜を用いた膜−電極接合体、及び燃料電池は出力特性、並びに耐久性に優れる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<参考例1>
(ポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(A))と水添ポリブタジエン(重合体ブロック(B))とからなるブロック共重合体の製造)
特許文献4と同様の方法で、ポリα−メチルスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSBmSと略記する)を合成した。得られたmSBmSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は78000であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は55%、α−メチルスチレン単位の含有量は28.0質量%であった。また、ポリブタジエンブロック中には、α−メチルスチレンが実質的に共重合されていないことが、H−NMRスペクトル測定による組成分析により判明した。
合成したmSBmSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリα−メチルスチレン−b−水添ポリブタジエン−b−ポリα−メチルスチレン型トリブロック共重合体(以下mSEBmSと略記する)を得た。得られたmSEBmSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.3%であり、残存の二重結合割合は0.7%であった。
<参考例2>
(ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリイソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4−tert−ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からなるブロック共重合体の製造)
1400mLオートクレーブに、脱水シクロヘキサン865ml及びsec−ブチルリチウム(1.25M−シクロヘキサン溶液)3.27mlを仕込んだ後、4−tert−ブチルスチレン36.1ml、スチレン51.0mlを逐次添加し、50℃で逐次重合させ、次いでイソプレン149ml、スチレン49.4ml、及び4−tert−ブチルスチレン33.7mlを逐次添加し、60℃で逐次重合させることにより、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSIStBSと略記する)を合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は99010であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は94.0%、スチレン単位の含有量は34.8質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.8質量%であった。
合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において70℃で8時間水素添加反応を行い、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−水添ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、tBSSEPStBSと略記する)を得た。得られたtBSSEPStBSの水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、ポリイソプレンの二重結合に由来するピークは検出されなかった。
<製造例1>
(スルホン化mSEBmSの合成)
参考例1で得られたブロック共重合体(mSEBmS)70gを、1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン563mlを加え、30℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン38.7ml中、0℃にて無水酢酸20.0mlと硫酸8.84mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。30℃にて5時間攪拌後、停止剤としての蒸留水を10ml添加した。その後、攪拌下、1.2Lの蒸留水を重合体溶液にゆっくり注ぎ、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.2L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化mSEBmSを得た。得られたスルホン化mSEBmSのα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から51.5mol%、イオン交換容量は1.06meq/gであった。
<製造例2>
(スルホン化tBSSEPStBSの合成)
参考例2で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)40gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン500mlを加え、室温にて攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン147.5ml中、0℃にて無水酢酸73.7mlと硫酸33.0mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。室温にて72時間攪拌後、停止剤の蒸留水を20ml添加した。その後、0.7Lの蒸留水を重合体溶液にゆっくり注ぎ、重合体を凝固析出させた。塩化メチレンを常圧留去にて除去した後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.3L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを得た。得られたスルホン化tBSSEPStBSのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から100mol%、該スルホン化tBSSEPStBSのイオン交換容量は2.64meq/gであった。
<製造例3>
(スルホン化ポリエーテルスルホンの合成)
ポリエーテルスルホン樹脂(ソルベイアドバンストポリマーズ社製 UDEL P−1700)30gを、撹拌機付きのガラス製反応容器にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、1,2−ジクロロエタン400mlを加え、30℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、反応液を2℃に冷却し、1,2−ジクロロエタン40mlに溶解したクロロスルホン酸(5.92g)を、30分かけて0〜5℃の温度範囲で徐々に滴下した。滴下終了後、0〜5℃の温度範囲で1時間攪拌後、停止剤としてのメタノールを100ml添加した。その後、攪拌下、反応液を減圧濃縮し、重合体を乾固させた後、1,2−ジクロロエタンとメタノールの(質量比9/1)混合溶剤(200g)を加えて重合体を溶解した。得られた溶液を水中にゆっくり注ぎ、重合体を凝固析出させた後、ろ過した。ろ過により得られた固形分をビーカーに移し、蒸留水を1.5L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過回収を行った。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化ポリエーテルスルホンを得た。得られたスルホン化ポリエーテルスルホンのベンゼン環のスルホン化率はH−NMR分析から31.4mol%、イオン交換容量は0.71meq/gであった。
<実施例1>
(電解質複合膜の作製)
製造例2で得られたスルホン化tBSSEPStBS(イオン交換容量2.64meq/g)の16質量%のトルエン/イソプロピルアルコール(質量比5/5)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約75μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ7μmの膜(A)を得た。ついで、全芳香族液晶ポリエステル系不織布(厚み13μm、空孔率67%)を該電解質膜上に固定した後、その上に製造例2で得られたスルホン化tBSSEPStBS(イオン交換容量2.64meq/g)の13質量%のトルエン/イソプロピルアルコール(質量比5/5)溶液を約75μmの厚みでコートし、100℃で4分乾燥することで、トータルの厚さが20μmの膜を得た。得られた電解質複合膜は、気泡等の欠陥のない膜であった。
(固体高分子型燃料電池用単セルの作製)
固体高分子型燃料電池用の電極を以下の手順で作製した。Pt−Ru合金触媒担持カーボンに、Nafionの10質量%水分散液を、カーボンとNafionとの質量比が1:1になるように添加混合し、ついでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、均一に分散されたペーストを調製した。このペーストをスプレー法にて、カーボンペーパーの片面に均一に塗布した。130℃で30分乾燥させ、アノード用の電極を作製した。また、Pt触媒担持カーボンに、Nafionの10質量%溶液を、カーボンとNafionとの質量比が1:0.75になるように添加混合し、ついでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、均一に分散されたペーストを調製し、アノード側と同様の方法にてカソード用電極を作製した。(1)で作製した電解質複合膜を、上記2種類の電極でそれぞれ膜と触媒面とが向かい合うように挟み、その外側を2枚の耐熱性フィルム及び2枚のステンレス板で順に挟み、ホットプレス(130℃、20kg/cm、8min)により膜−電極接合体を作製した。ついで作製した膜−電極接合体を、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で挟み固体高分子型燃料電池用の評価セル(電極面積は25cm)を作製した。
<実施例2>
(電解質複合膜の作製)
製造例1で得られたスルホン化mSEBmS20gをトルエン/イソプロパノール=80/20の混合溶剤80gに溶解し、20重量%のポリマー溶液を調整した。乳化機で攪拌しながら150gの水を約20分かけて徐々に加え、転相乳化させた。得られた乳化物の粒径を静的光散乱法で測定したところ、平均粒子径は7μmであった。次いで、エバポレータを用いてこの乳化物から溶剤を除去した。得られた乳化液を、高圧衝突法(ナノマイザー、150MPa)により微粒子化処理して平均粒径90nmの乳化物を得た。さらにエバポレータで濃縮し、固形分濃度17.2%の乳化液Aを得た。この溶液を離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約75μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、60℃、10分間乾燥させることで、厚さ7μmの膜(A)を得た。ついで、全芳香族液晶ポリエステル系不織布(厚み13μm、空孔率67%)を該電解質膜上に固定した後、その上に乳化液Aを約75μmの厚みでコートし、60℃で10分乾燥することで、トータルの厚さが20μmの膜を得た。得られた電解質複合膜は、気泡等の欠陥のない膜であった。
(固体高分子型燃料電池用単セルの作製)
作製した電解質複合膜を用いる以外実施例1と同様の方法にて固体高分子型燃料電池用の評価セルを作製した。
<比較例1>
(電解質膜の作製)
製造例2で得られたスルホン化tBSSEPStBSの19.0質量%のトルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約250μmの厚みでコートし、100℃で4分乾燥後、PETフィルムから剥離することで、厚さ20μmの膜を得た。
(固体高分子型燃料電池用単セルの作製)
作製した電解質膜を用いる以外、実施例1と同様の方法にて固体高分子型燃料電池用の評価セルを作製した。
<比較例2>
(電解質膜の作製)
実施例3で調整した固形分濃度17.2%の乳化液Aを、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約250μmの厚みでコートし、60℃で10分乾燥させた後、後、PETフィルムから剥離することで、厚さ20μmの膜を得た。
(固体高分子型燃料電池用単セルの作製)
作製した電解質膜を用いる以外実施例1と同様の方法にて固体高分子型燃料電池用の評価セルを作製した。
<比較例3>
(電解質複合膜の作製)
製造例2で得られたスルホン化tBSSEPStBS(イオン交換容量2.64meq/g)の16質量%のトルエン/イソプロピルアルコール(質量比5/5)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約75μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、4分間乾燥させることで、厚さ7μmの膜(A)を得た。ついで、ポリエチレンテレフタレートからなる不織布(厚み16μm、空孔率55%)を該電解質膜上に固定した後、その上に製造例2で得られたスルホン化tBSSEPStBS(イオン交換容量2.64meq/g)の13質量%のトルエン/イソプロピルアルコール(質量比5/5)溶液を約75μmの厚みでコートし、100℃で4分乾燥することで、トータルの厚さが20μmの膜を得た。
(固体高分子型燃料電池用単セルの作製)
作製した電解質膜を用いる以外、実施例1と同様の方法にて固体高分子型燃料電池用の評価セルを作製した。
<比較例4>
(電解質複合膜の作製)
製造例3で得られたスルホン化ポリエーテルスルホン(イオン交換容量0.71meq/g)の20質量%のジメチルアセトアミド溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約75μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃、20分間乾燥させることで、厚さ9μmの膜(A)を得た。ついで、全芳香族液晶ポリエステル系不織布(厚み13μm、空孔率67%)を該電解質膜上に固定した後、その上に製造例3で得られたスルホン化ポリエーテルスルホン(イオン交換容量0.71meq/g)の20質量%のジメチルアセトアミド溶液を約75μmの厚みでコートし、100℃で20分乾燥することで、トータルの厚さが24μmの膜を得た。電解質自体が非常に堅くて脆い材料であること、並びに電解質と全芳香族液晶ポリエステル系不織布との相溶性が悪いことから、気泡等の欠陥を有するものであった。
(実施例及び比較例の高分子膜の性能試験及びその結果)
以下の1)〜3)の試験において試料としては各実施例又は比較例で得られたスルホン化ブロック共重合体から調製した膜を評価した。
1)線膨張率測定
1cm×4cmの試料を4時間蒸留水または10M メタノール水溶液に浸漬した後に、長手方向の長さ(x)を計測し、以下の式により算出した。
線膨張率(%)=(x−4)/4×100
2)膜強度の測定
2.5cm×7.5cmのダンベル型試験片に長軸方向に向かい5cmの切込みを入れ、材料を、インストロンジャパン社製5566型引張試験機により、25℃、相対湿度50%、引張速度250mm/minの条件において応力を測定した
3)水素を用いた燃料電池用単セルの発電試験
得られた電解質膜および電解質複合膜を用いて作成した固体高分子型燃料電池用単セルについて、出力性能を評価した。燃料として水素を用い、酸化剤として酸素を用いた。水素の供給条件は、ストイキ1.5、加湿を30%R.H.とした。酸素の供給条件は、ストイキ2.0、加湿を30%R.H.とした。セル温度を70℃に設定して、実施例、比較例で作成した評価セルをセットした後、100%R.H.に加湿した水素、酸素を用いて、前処理を行った後、発電試験を実施し、0.6A/cm時のセル抵抗、及び電圧を評価した。
実施例1、2と比較例1、2で作成した電解質複合膜と電解質膜に関する1)〜3)の性能試験結果を表1に示す。
Figure 2010232121
実施例1と比較例1の比較、及び実施例2と比較例2の比較からわかるように、実施例1、2の電解質複合膜は、セル抵抗、電圧特性しいては出力特性を変えることなく、線膨張を大幅に抑制できかつ、湿潤時の機械的強度を大幅に向上させることができた。
また、実施例1と比較例3の比較からわかるように、補強材に全芳香族液晶ポリエステル系不織布を用いる代わりに、ポリエチレンテレフタレート不織布を用いた場合には、不織布自体の機械的強度が弱いために、得られた電解質複合膜の機械的強度も不十分であった。
また、比較例4では、電解質にゴム状重合体ブロック(B)を有さないスルホン化ポリエーテルスルホンを用いたために、欠陥のない電解質複合膜を作成することが困難であった。
上記各種性能試験の結果から、本発明の電解質複合膜は、高い寸法安定性に加え、湿潤時の力学的強度を高く、また、電極との良好な接合性も優れるため、これを用いた膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池の出力特性および耐久性も優れると言える。

Claims (12)

  1. 芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルからなる不織布を補強材とし、該補強材と電解質からなることを特徴とする電解質複合膜であって、前記電解質が、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)と実質的にイオン伝導性を有しないゴム状重合体ブロック(B)を構成成分とするブロック共重合体からなり、該補強材に充填され、かつ、積層されている電解質複合膜。
  2. 前記芳香族単位を主体とする液晶ポリエステルの繰り返し単位の70%以上が芳香族単位から構成されている請求項1に記載の電解質複合膜。
  3. 前記重合体ブロック(A)の50質量%以上が芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする請求項1に記載の電解質複合膜。
  4. 前記ブロック共重合体が、50質量%以上が芳香族ビニル化合物単位を繰り返し単位とする実質的にイオン伝導性基を有さない非ゴム状重合体ブロック(C)を構成成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質複合膜。
  5. 前記重合体ブロック(C)が、下記の一般式(a)
    Figure 2010232121
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表すが、少なくとも1つは炭素数1〜8のアルキル基を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位として有する重合体ブロックである請求項4記載の電解質複合膜。
  6. 前記重合体ブロック(B)が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、並びに炭素‐炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位からなる重合体ブロックである請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質複合膜。
  7. 前記重合体ブロック(B)が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素‐炭素二重結合が水素添加されていてもよい炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる重合体ブロックである請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質複合膜。
  8. 前記重合体ブロック(C)と前記重合体ブロック(A)との質量比が85:15〜20:80である請求項4〜7のいずれか1項に記載の電解質複合膜。
  9. 前記重合体ブロック(A)と前記重合体ブロック(B)との質量比が95:5〜5:95である請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解質複合膜。
  10. 前記イオン伝導性基が−SOM又は−POHM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の電解質複合膜。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電解質複合膜を使用した膜−電極接合体。
  12. 請求項11に記載の膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
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