JP6452717B2 - 中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーの水性エマルジョンの調製方法 - Google Patents

中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーの水性エマルジョンの調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーの水性エマルジョンの調製方法に関する。本発明はより詳細には、比較的小さい粒径を有する中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーのエマルジョンに関する。本発明は、このように調製した水性エマルジョンにも関する。
中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーが知られている。通例、これらはスチレンおよび/またはt−ブチルスチレンを主成分とするスルホン化ポリマーであり、スチレンは主として中間ブロックで使用され、続いてスルホン化され、t−ブチルスチレンは、末端ブロックで使用されて、スルホン化に耐える。これらのポリマーは、水の存在下では固体状態であり、高い水輸送特性と十分な湿潤強度の両方を有する。これらのポリマーは、優れたバリア特性を有することが知られている。
WO2007010039から、中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーが知られている。このブロックコポリマーは、少なくとも2種のポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1種のポリマー内部ブロックBを含むブロックコポリマーを主成分とし、各Aブロックはスルホン化に耐性のポリマーブロックであり、各Bブロックはスルホン化されやすいポリマーブロックであり、前記AブロックおよびBブロックは、いかなる高レベルのオレフィン性不飽和も含有していない。
このようなポリマーは現在、例えば商標Nexar(R)としてクレイトンポリマーズから市販されている。Nexar分子の代表的な構造は、2個のポリ(t−ブチルスチレン)(tBS)ブロック、2個のポリ(エチレン/プロピレン)(EP)ブロック(水素添加ポリイソプレン)および中間における部分スルホン化ポリスチレン(sPS)ブロックから成るペンタブロックである。
このような中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは通例、ヘプタンおよびシクロヘキサンの組み合わせによる約10%の溶液として顧客に提供される。このことが一部の顧客に問題を引き起こすのは、一部の顧客がこの種の溶媒の取り扱いに精通せず、十分な換気および廃棄システムをしかるべき場所に持っていないためである。有機溶媒は、このような溶媒の高い揮発性や低い発火点によって、各種の取り扱い上の問題を引き起こすことがある。このようなポリマーを水性エマルジョンとして提供できることが、解決策となる。さらに水担持システムは、より環境に優しい。しかし、好適な水性エマルジョンの調製には、これ自体の問題がないわけではない。
EP2242137およびEP1852928は、ポリマー電解質燃料電池のメンブレン電極アセンブリに関する。これらはイオン伝導性基を有するポリマーブロック(A)および非イオン伝導性基を有さないポリマーブロック(B)を含むブロックコポリマーを用い、どちらのポリマーブロックも相互から相分離され、ポリマーブロック(a)は連続相を形成している。EP2242137の段落[0047]では、ブロックコポリマーの乳化方法が記載されている。この方法は末端ブロックスルホン化ブロックコポリマーのみについて記載および例証されている。末端ブロックスルホン化ブロックコポリマーは、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーとは挙動が異なる。従って、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーの水性分散物の調製方法は、EP2242137またはEP1852928に開示されていない。
あいにく中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは、安定なエマルジョンを調製するために界面活性剤の存在を必要とすることが多い。このことによりコストがかさみ、事態が複雑となり(発泡)、水性エマルジョンの応用性に悪影響を及ぼすことがある。
界面活性剤は、2種類の液体の間の、または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる化合物である。界面活性剤は、洗浄剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤および分散剤として作用し得る。界面活性剤は通常、両親媒性である有機化合物であり、これらが疎水性基(これの尾部)および親水性基(これの頭部)の両方を含有することを意味する。ゆえに、界面活性剤は水不溶性(または油溶性)成分および水溶性成分の両方を含有する。界面活性剤は、水に拡散して、空気と水との界面にまたは水が油と混合している場合油と水との界面に吸着する。水不溶性疎水性基は、バルク水相から空気中または油相中へ延在して、このとき水溶性頭基は水相中に残存している。表面における界面活性剤のこの配列が、水/空気または水/油界面での水の表面特性を調節する(Wikipedia,2014)。いかなる疑念も回避するために、中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、界面活性剤とはみなされない。むしろ、界面活性剤は、質量が通例5000ダルトン未満の化合物である。
理想的には、界面活性剤なしの安定なエマルジョン、即ち中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーが例えば2マイクロメートル以下の平均粒度を有する小型粒子として、水中で合理的な期間にわたって細かな分散を維持するエマルジョンを製造できるはずである。商業的目的では、このことは少なくとも1年間にわたって安定なエマルジョンを意味する。研究所試験手順では、このことは、ポリマー粒子の崩壊または癒着なしに、エマルジョンは少なくとも3日間にわたって安定であることを意味する。このことは、先行して重合が行われた炭化水素溶媒を使用しても可能であるはずである。異なる表現をすれば、シクロヘキサン、ヘプタンまたはこれの混合物などの炭化水素溶媒に溶解させた中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの通例の溶液を使用する場合、添加した界面活性剤に依存することなく、安定なエマルジョンを調製できれば理想的である。
国際公開第2007/010039号 欧州特許出願公開第2242137号明細書 欧州特許出願公開第1852928号明細書
Wikipedia,2014
本発明は、少なくとも2種の非スルホン化ポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1種のスルホン化ブロックBを含む中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの水性エマルジョンを調製する方法であって、以下の:
a)無極性溶媒中の前記中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーのセメントを準備する工程であって、無極性溶媒が49から99℃の沸点を持つ炭化水素化合物またはこのような化合物の混合物である工程;
b)工程a)のセメントを共溶媒と混合して混合物を形成する工程;
c)工程b)の混合物を、界面活性剤の非存在下で、水によって乳化してエマルジョンを製造する工程;
d)炭化水素溶媒と、場合により共溶媒をエマルジョンから除去して水性エマルジョンを製造する工程
を含み、無極性溶媒が2.0(√MPaで表す)未満のハンセン極性パラメータ(δp)を有し、共溶媒が2.8から15の範囲の、好ましくは5.0から12の範囲のハンセン極性パラメータ(δp)および4.0から27(√MPaで表す)の範囲のハンセン水素結合パラメータ(δh)を有する極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒である方法を提供する。好ましくは、共溶媒は最高99℃の沸点を有し、これにより水性エマルジョンは、ほとんどまたは全く(有機)溶媒を用いずに提供され得る。
共溶媒は、微量(最大1500ppm)が残存するとはいえ、除去され得る。共溶媒にエマルジョンの膜形成特性を改善させるために、共溶媒を目的によりエマルジョン中に残してもよい。それゆえ本発明の方法により製造されたエマルジョンは、共溶媒なしで作ったエマルジョンとは異なる。従って、本発明は、少なくとも2種の非スルホン化ポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1種のスルホン化ブロックBを含む中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの水性エマルジョンであって、エマルジョンの質量に基づいて計算した10から30質量%、好適にはエマルジョンの10から15質量%の範囲の固形分を有し、中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの粒子の平均粒度が最大で2.0μmであり、エマルジョンの固形分に基づいて計算して1500ppmまでの共溶媒を含有し、共溶媒が2.8から15、好ましくは5.0から12の範囲のハンセン極性パラメータ(δp)および4.0から27(√MPaで表す)の範囲のハンセン水素結合パラメータ(δh)を有する極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒である、水性エマルジョンを提供する。
このように本発明者らは、乳化中に特定の共溶媒を利用することによって、水性中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーエマルジョンの平均粒径を低減できることを見出した。最終径は、添加した共溶媒の種類および量に依存する。
従って、本発明は、水中で固形である、中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーのエマルジョンを広範に含む。ブロックコポリマーは、少なくとも2種の非スルホン化ポリマー末端ブロックAならびにスルホニル基および/またはこれの誘導体を持つ少なくとも1種の内部スチレン系ポリマーブロックBを含む。場合により、中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、20℃未満のガラス転移温度を有する1種以上の内部ポリマーブロックDを含んでよい。このような中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、WO2007010039、およびEP2242137などから公知である。
「スルホン化に耐性」という表現は、末端ブロックAに関して時々使用される。これは、スルホン化スチレン系ブロックコポリマー中の利用可能なすべてのスルホニル基の約10mol%未満がAブロック中にあることを意味する。「スルホン化に耐性」という表現がブロックDに関して使用される場合、スルホン化スチレン系ブロックコポリマー中の利用可能なすべてのスルホニル基の約15mol%未満がDブロック中にあることを意味する。
ブロックコポリマーという表現は、識別可能なブロックを有するポリマーを示す。これらのブロックは、異なる特性を有する。通例、ブロックコポリマーは複数の別個のガラス転移温度を有する。末端ブロックスルホン化ブロックコポリマーと中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーとの間の重要な相違は、後者において、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーが水と接触していても、Aブロックが疎水性マトリクスを提供できるということである。該ポリマーは、あたかも架橋されているかのように挙動する。このことは、例えばこのようなスルホン化ブロックコポリマーから生成されたメンブレンの安定性にとって重要である。これに対して、内部Bブロックは、このブロック中に存在するスルホニル基またはこれの誘導体の結果として親水性となる。Dブロックは、存在する場合、疎水性から親水性に及ぶ特性を有し得るが、ただしDブロックは水と接触した場合に、スルホン化ブロックコポリマーから作製される物品の安定性に悪影響を及ぼさない。好ましくは、Dブロックは疎水性である。
中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは、直鎖または分枝であってよい。好ましい構造は、一般配置A−B−A、(A−B)(A)、(A−B−A)、(A−B−A)X、(A−B)X、A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−D−B)(A)、(A−B−D)(A)、(A−B−D)X、(A−D−B)Xまたはこれの混合物を有し、式中、nは2から約30の整数であり、Xはカップリング剤残基であり、ならびにA、BおよびDは以下で定義する通りである。
内部ブロックにおいて選択的にスルホン化されているブロックコポリマーの極めて特徴的な特色は、これらが強度(水で平衡させた場合でも)、水蒸気輸送挙動、寸法安定性および加工性を含む、これまで実現できなかった特性の有用なバランスを備えた物品を形成できることである。疎水性ブロックおよびブロックコポリマー鎖末端における疎水性ブロックの位置は、これらのポリマーおよびこれらから形成した物品の湿潤強度、寸法安定性および加工性に寄与する。コポリマー内部に位置するスルホン化ブロックによって、水蒸気が効果的に輸送される。複合特性により、コーティングに理想的に好適な独自の材料が得られる。
スルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、スルホン化(参照により本明細書に組み入れられているWO200710039に記載されているSOとのまたはC−Cアシルサルフェートとの反応)により、対応する未スルホン化スチレン系ブロックコポリマーから生成されてよい。これらの未スルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、式中、AおよびDが同じ意味を有するが(Aがスルホン化に耐性であり、Dが好ましくはスルホン化に耐性であるため)、Bの代わりのB’がスルホン化前の対応するブロックである、同一の構造式によって定義してよい。
最も好ましい構造は、直鎖A−B−A、(A−B)X、(A−B−D)Xおよび(A−D−B)X構造または放射状構造(A−B)Xおよび(A−D−B)Xのどちらかであり、nは3から6である。スルホン化前のブロックコポリマーは、通例、アニオン重合、カチオン重合またはチーグラー−ナッタ重合によって生成される。好ましくは、これらの未スルホン化ブロックコポリマーは、アニオン重合によって生成される。任意の重合において、ポリマー混合物が任意の直鎖および/または放射状ポリマーに加えて、ある量のA−Bジブロックコポリマーを含むことが認識されている。最も好ましい構造は、対応するA−D−B’−D−Aをスルホン化することによって生成される−D−B−D−Aである。
好ましくは
a)各Aブロックが、独立して、1,000から60,000、より好ましくは5,000から40,000、なおより好ましくは7,000から20,000の見かけの数平均モル質量を有するポリマーブロックであり;および/または
b)各Dブロックが、存在する場合、独立して、1,000から60,000、より好ましくは2,000から40,000、なおより好ましくは5,000から20,000の見かけの数平均モル質量を有するポリマーブロックであり;および/または
c)各Bブロックが、独立して、10,000から300,000、より好ましくは15,000から200,000、なおより好ましくは19,000から100,000の見かけの数平均モル質量を有するポリマーブロックである。
各Aブロックが1,000より低い見かけの数平均モル質量を有する中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーでは、前記ブロックは小さすぎて十分な強度を確保できないことがある。各Aブロックが60,000を超える見かけの数平均モル質量を有する中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーでは、前記ブロックはブロックBに対して大きすぎることがある。この場合、ブロックコポリマーは導電率が不十分なことがある。全体の分子量の増加の結果として、加工がより困難となることもある。
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、「モル質量」という用語は、ASTM D5296−11に従って行われるようなポリスチレン較正標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリマーまたはコポリマーのブロックのポリスチレン換算または見かけのモル質量を示す。GPCは、ポリマーが分子サイズに従って分離される周知の方法であり、最大分子が最初に溶離する。クロマトグラフは、市販のポリスチレンモル質量標準を使用して較正する。使用した検出器は、好ましくは複合紫外線および屈折率検出器である。本明細書で表したモル質量は、GPCトレースのピークにて測定する。
好ましくは、スルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、スルホン化ブロックコポリマーの質量に基づいて計算した10から85質量パーセント(%m)の範囲の、好ましくは20から60%mの、より好ましくは25から50%mの範囲のBブロック含有率を有する。含有率が10%m未満の場合、低すぎる導電率となる。含有率が85%mを超える場合、ブロックコポリマーは強度が不十分となることがある。好ましい範囲では、導電率と強度との間のバランスの改善が見出される。これらの範囲内のブロックコポリマーは、水に不溶性で水に非分散性となる。末端ブロックおよび場合によるDブロックの疎水性単位は、ブロックコポリマーの不溶性に寄与する。さらにBブロックの質量含有率が、スルホン化ブロックコポリマーが溶性となる高い値に近づく場合、スチレン系ブロックコポリマー全体の疎水性は、AブロックならびにBブロックを含む内部ブロック内に疎水性モノマー単位を包含させることによって調整できる。
本発明のエマルジョンで使用するスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの重要な特色は、分子1個につき十分なスルホン基を有するということである(この定義は、水の輸送を可能にする塩および酸誘導体を含む。)。好ましくは、スルホン化ブロックコポリマーは、ポリマー1gにつき0.2から4.0ミリモルの、好ましくは0.3から3.0ミリモルの、より好ましくは0.5から2.5ミリモルの範囲のスルホン基含有量を有する。これはスルホン基の質量によるイオン交換能とも呼ばれる。(スルホニル基の電荷が1であるため、電位差滴定によって見出されるmeq/gと、mmol/gのIEC値は一致する。)。
本発明の基礎を成す微細に分散されたポリマー粒子を用いて安定なエマルジョンを形成する際の問題は、ポリマー1グラムにつき2.5ミリモル未満の、より好ましくはポリマー1グラムにつき1.5ミリモル未満のIECを有する中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーでは特に問題である。このため新たな方法は、ポリマー1グラムにつき0.2から2.0ミリモルの範囲の、より好ましくは0.3から1.5ミリモルの範囲の、なおより好ましくは0.5から1.25ミリモルの範囲のIECを有する中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーに対して好ましく適用される。
未スルホン化スチレン系ブロックコポリマーから生成されるスルホン化スチレン系ブロックコポリマーに関して、好ましくは、各Aブロックは独立して、スルホン化に耐性であるモノマーから生成される。このようなモノマーは、(i)パラ置換スチレン、(ii)エチレン、(iii)3から18個の炭素原子のアルファオレフィン、(iv)1,3−シクロジエン、(v)共役ジエン、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステルおよび(viii)モノマー(i)から(vii)の混合物から選択してよい。いずれの残存するオレフィン系不飽和(例えば末端ブロック内のジエンモノマーに基づくブロックコポリマーの場合)とも反応するスルホン化条件を選択する場合、オレフィン系不飽和は好ましくは、例えば水素添加によって除去される。ブロックAに強力なマトリクスを提供させるためには、好ましくは、ブロックAは30℃を超えるガラス転移温度を有する。例えばジエンモノマーを使用する場合、これらは好ましくは1,4−形式で重合される。より好ましくは、各Aブロックは、パラ置換スチレンのポリマーまたはコポリマーを含む。
好適なモノマーと考えられるパラ置換スチレンは、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、パラ−n−プロピルスチレン、パラ−イソ−プロピルスチレン、パラ−n−ブチルスチレン、パラ−sec−ブチルスチレン、パラ−イソ−ブチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレン、パラ−デシルスチレンの異性体、パラ−ドデシルスチレンの異性体および上のモノマーの混合物より選択され得る。好ましいパラ置換スチレンはパラ−t−ブチルスチレンおよびパラ−メチルスチレンであり、パラ−t−ブチルスチレン(tBS)が最も好ましい。モノマーは、特定の源に応じて、モノマーの混合物でもよい。パラ置換スチレンの全体の純度は、モノマーとして使用される望ましいパラ置換スチレンの少なくとも90%m、好ましくは少なくとも95%mおよびなおさらに好ましくは少なくとも98%mであることが望ましい。
Aブロックの基礎を形成し得る他の好ましいモノマーとしては、エチレン;プロピレン、ブチレン、ヘキサンまたはオクタン;1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエンおよび1,3−シクロオクタジエン;1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレン(好ましくは水素添加);ならびに各種の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
Bブロックがスルホン化モノマーから生成される場合、ここでAブロックは通常、スルホン化を受ける他のモノマーも含み得る。好ましくは、スルホン化ポリマーは、未スルホン化ブロックコポリマーをスルホン化することにより生成され、従って好ましくは、Aブロックはスルホン化を通常受けるモノマーはほとんどまたは全く含有していない。
このため、Aブロックは、15モルパーセントまでの、Bブロック中への包含に関して言及されるビニル芳香族モノマーを含有してよい。幾つかの実施形態において、Aブロックは、10モルパーセントまでの、好ましくはわずか5モルパーセントまでの、特に好ましくはわずか2モルパーセントまでの、Bブロック中への包含に関して言及されるビニル芳香族モノマーを含むことができる。
しかし最も好ましい実施形態において、Aブロックは、Bブロック中への包含に関して言及されるビニル芳香族モノマーを含有しない。従って、Aブロックにおけるスルホン化レベルは、0となるか、または0に近くなる(Aブロックにおける全モノマーのモルパーセントで表す。)。ゆえに、好ましい実施形態において、Aブロックは、スルホン化スチレン系ブロックコポリマーが水と接触している場合でも、強力な疎水性マトリクスを提供する。
スルホン化スチレン系ブロックコポリマーは場合により1個以上のDブロックを含んで弾性を与えてよい。好ましくは、前記Dブロックは、共役ジエンのポリマーもしくはコポリマーまたは水素添加ポリマーもしくはコポリマー、または共役ジエンと共重合性モノマーとの混合物を含む。共役ジエンは、好ましくはイソプレン、1,3−ブタジエンおよびこれの混合物から選択され、このうち20から80モルパーセントが1,2−付加形式で(コ)ポリマー中に組み入れられる。最も好ましくは、前記Dブロックは、重合イソプレン(EP)の水素添加ブロックである。好適なDブロックの別の例は、アクリレートまたはシリコーンポリマーである。また別の例において、Dブロックは、イソブチレンのポリマーである。
1個または複数のDブロックの利点は、スルホン化ブロックコポリマーから生成される生成物の弾性/靭性が向上することである。Aブロックにおけるスルホン化レベルが好ましくは0モルパーセントであるか、または0モルパーセントに近いにもかかわらず、1個または複数のDブロックの多少のスルホン化が許容される。スルホン化のレベルは、特に(複数の)Dブロックのサイズおよび複数のAブロックのサイズに関連する、2、3の面に依存する。
さらに、スルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、少なくとも1種のBブロックを含み、各Bブロックは、スルホン化モノマーまたは重合後にスルホン化可能であるモノマーから生成される。スルホン化モノマー、好ましくは、スルホン化スチレン系モノマーは、各種のスルホニル−ビニルスチレンモノマーを含む。
好ましくは、スルホン化スチレン系ブロックコポリマーは、対応する未スルホン化スチレン系ブロックコポリマーをスルホン化することにより生成され、各B’ブロックは、重合後にスルホン化できるモノマーより成る。これらのモノマーは好ましくは、(i)非置換スチレン、(ii)オルト置換スチレン、(iii)メタ置換スチレン、(iv)アルファ−メチルスチレン、(v)1,1−ジフェニルエチレン、(vi)1,2−ジフェニルエチレンおよび(vii)これの混合物から選択されるビニル芳香族モノマーであり、スチレンが最も好ましい。スルホン化の間、ビニル芳香族モノマーの全部または一部がスルホン化されて、例えばスルホン化ポリスチレン(sPS)が生じる。
各BブロックまたはB’ブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。例えばこれは、スルホン化または未スルホン化ビニル芳香族モノマーと、他のビニル芳香族モノマーおよび/または1種以上の共役ジエンとのランダムまたはテーパードコポリマーであってよい。これらのブロックは、開示が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許出願公開第2003/0176582号に開示されたポリマーに似た、モノマーの制御分布も有してよい。コポリマーの使用は、Bブロック中のスルホン基の量に影響を及ぼすのに好都合であり得る。このことは、スルホン化ブロックコポリマーが未スルホン化ブロックコポリマーの内部ブロックを選択的にスルホン化することにより生成される場合に、特に有利である。
例えば、スルホン化スチレン系ブロックコポリマーの調製に使用する未スルホン化スチレン系ブロックコポリマーの内部ブロックにおいて、内部B’ブロックのそれぞれにおける非置換スチレン、オルト置換スチレン、メタ置換スチレン、アルファ−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンおよび/または1,2−ジフェニルエチレンであるビニル芳香族モノマーのモルパーセントは、10から100モルパーセント、好ましくは25から100モルパーセント、より好ましくは50から100モルパーセント、なおより好ましくは75から100モルパーセント、最も好ましくは約100モルパーセントである。
スルホン化のレベルに関して、代表的なレベルは、各Bブロックが1個以上のスルホン官能基を含有する場合である。好ましいスルホン化レベルは、各Bブロック中の非置換スチレン、オルト置換スチレン、メタ置換スチレン、アルファ−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンおよび1,2−ジフェニルエチレンであるビニル芳香族モノマーのモルパーセントに基づいて、10から100モルパーセント、さらに好ましくは20から95モルパーセントおよびなおさらに好ましくは30から90モルパーセントである。スルホン化レベルは、アルコールおよび水混合溶媒中におけるNaOHの標準化溶液を用いた、テトラヒドロフラン中に再溶解されている乾燥ポリマー試料の滴定によって決定することができる。スルホン化のレベルが言及した限度より低い場合、ここで導電率に悪影響が及ぶ。100%に近いスルホン化は、経済的に実現するには労力がかかりすぎることがある。好ましい範囲によって、特性と経済的実現性とのより魅力的なバランスが提供される。
スチレン系ブロックコポリマーを調製するためのアニオン重合方法に関して、ブロックコポリマーが溶解または乳化されてセメントを形成する、よく使用される溶媒は、沸点が49から99℃であり、ハンセン極性パラメータ(δp)が2.0未満である(√MPaで表す)炭化水素化合物である。これらの無極性溶媒は、極性溶媒よりも、スチレン系ブロックコポリマーの調製を可能にする。代表的な例としては、環式アルカン、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンが挙げられる。結果として、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは、前記溶媒を場合により他の炭化水素溶媒、例えば流体としてのヘプタンと混合して使用して、溶液として供給されることが多い。一部の顧客では、この種の溶媒の取り扱いに精通せず、または取り扱いの装備がないため、このことが問題を引き起こす。中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーをエマルジョンとして納入可能であることは、解決策となる。このこととは別に、エマルジョンが生成される方法によって、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーの生産者には、潜在的な再使用のために有機溶媒を回収する可能性がもたらされる。
本発明は、水性エマルジョン、即ち通常は不混和性である固相および水相の混合物の調製に関する。この場合、本発明は、時間が経つにつれ固相がポリマー微粒子と急速に分離しない安定なエマルジョンに関する。
乳化手順は周知であり、一般的な手順が本発明で適用され得る。高剪断による乳化に関する、かなりの数の文献が公開されている。多くの刊行物が役割を果たす分離機構、例えば液滴破壊、表面張力、動的表面張力に的をしぼっている。乳化方法の間に、液滴がより小さくなると、液滴の大きさをさらに小さくするのはますます困難となる。液滴の大きさは、界面活性剤を使用している場合には、界面活性剤の種類にも依存することがある。粘度も重要なことがある。本発明の中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは、通例、比較的高い粘度を有し、粒度の小さいエマルジョンを形成することがより困難となる。
中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは、間接乳化または直接乳化によって乳化することができる。前者の手順により、水を溶解したポリマーに添加して、最初に油中水型エマルジョンを生成し、この後にますます多くの水を添加して水中油型エマルジョンに反転させる。
直接乳化は、溶解したポリマーを水に撹拌しながら添加することによって行われ得る。最初に、大型の粒子が形成され、これが次に例えば高剪断によって破壊されることがある。油相と水相間の界面張力を低下させるために、および形成された粒子の安定化を与えるために、界面活性剤が水相中に存在することが有用なことがある。粒径は、剪断速度を調整することにより、および界面活性剤濃度を変更することによりある程度、影響を受けることがある。しかし、平均粒径を低減したいという要望が残されている。
例えば均質膜を生成するためには、平均粒径の小さいエマルジョンを生成することが重要である。小さければ小さいほどよい。平均粒径は、好適には約2.0マイクロメートル未満であり、より好適には約1.0マイクロメートル未満である。
スルホン化ブロックコポリマーのエマルジョンを調製する好ましい手順は、直接乳化によるものである。好ましくは、スルホン化ブロックコポリマーの(水の沸点より低い沸点を有する)揮発性有機溶媒による溶液と水を混合して、通例、ホモジナイザを用いてエマルジョンに変化させる。例えば研究室規模の実験では、Ultra−turrax(商標)T25またはT50が使用され得る。大規模な実験では、Danfoss(商標)VLT5000ロータ−ステータ装置が使用され得る。興味深いことに、後述するように、スルホン化ブロックコポリマーは、安定なエマルジョンを生成するために、界面活性剤の存在を必要としない。
スルホン化ブロックコポリマーの溶液と水とを混合し、次に有機溶媒をストリッピングする。このストリッピングは、スルホン化ブロックコポリマーの溶液の調製に使用する有機溶媒の沸点より上で加熱する際には大気圧下で、または減圧下でよい。例えば、研究室規模の実験では、溶媒をエマルジョンから、最初に大気圧下、沸騰水に近い温度にてストリッピングして、続いて回転蒸発装置で残留溶媒をさらなる減少させてよい。
固形分は、重量によって計算した、水性エマルジョン中のスルホン化ブロックコポリマーの量である。好ましくは、輸送コストを低く保つため、固形分は実現可能な限り高い。他方、エマルジョンは、使用者が管理できるように、安定で十分に流動性でなければならない。好ましくは、生じたエマルジョンは、5から70重量%の範囲の、好ましくは10から50重量%の範囲の固形分を有する。
さらに、生じたエマルジョンは、好ましくは5重量%未満の、好ましくは1重量%未満の炭化水素溶媒含有率を有する。
本発明の目的のために、平均粒径が特定の共溶媒の存在により、約4.0分の1以下の大きさに低減され得ることが見出されている。このことは単なる(2.0分の1未満の大きさの低減をもたらし得る)希釈効果ではない。
驚くべきことに、ある共溶媒が平均粒径に対して有利な効果を有することが見出されている。これらの共溶媒は、ハンセン溶解度パラメータに基づいて選択してよい。
ハンセン溶解度パラメータ値は、分散結合(δd)、極性結合(δp)および水素結合(δh)に基づいている。これらは他の溶媒との、またポリマー、顔料、ナノ粒子などとの分子間相互作用に関する情報も含有する。数値を使用するため、数を比較することにより合理的に比較を行うことができる。例えば、アセトニトリルは、アセトンよりもはるかに極性であるが、わずかに少ない水素結合を示す。
通例、ハンセンパラメータは、√MPaまたは√cal/ml)のどちらかで表される。指摘したように、共溶媒は、2.8から15の、好ましくは5.0から12の範囲のハンセン極性パラメータ(δp)および4.0から27(√MPaで表す)の範囲のハンセン水素結合パラメータ(δh)を有する極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒である。
√(cal/ml)で表されているが、広範囲の溶媒一覧がhttp://www.stenutz.eu/chem/solv24.php?sort=1に開示されている。δp順に並べ、δpを√MPa(係数√4.2、即ち2.05を掛けた。)に変換した一連の溶媒を本明細書で以下にコピーする:
Figure 0006452717
ゆえに好適な共溶媒は、ジエチルエーテルと同様のまたはこれより高い、好ましくは2−ブトキシエタノールと同様のまたはこれより高い、およびジエチレングリコールと同様のまたはこれより低いδpを有する共溶媒である。さらに共溶媒は好ましくは、水の沸点よりも低い沸点も有するべきであることに留意されたい。
共溶媒の最も重要な特色は、極性成分δpである。好ましくは、これは5.1(2−ブトキシエタノール)から11.5(N,N−ジメチルアセトアミド)の範囲内である。これは例えばテトラヒドロフラン(5.7)、1−プロパノール(6.8)、2−ブタノン(9.0)を含む。これらの共溶媒は、驚くべきことに良好な結果を与え、最良の結果は1−プロパノールによって得られる。
共溶媒の有効量は、固形分に、およびセメントで使用した炭化水素溶媒の選択に依存する。このため、中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの含有率が低い場合、例えばセメントに対して5%mの場合には、ごく少量の共溶媒、例えばセメントおよび共溶媒の混合物に対して3%mが必要である。固形分が高い場合には、より大量の共溶媒、即ちセメントおよび共溶媒の混合物に対して最大60%mが必要である。例えば中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの12%m溶液において、最終混合物が8%mの固形分を有し、炭化水素溶媒と共溶媒の質量比が2:3となる、十分な2−ブタノンを添加してよい。好ましくは、炭化水素溶媒と共溶媒との質量比は、10:1から1:2、好ましくは5:1から2:3、より好ましくは3:1から1:1の範囲にある。
共溶媒および任意の洗浄剤に加えて、特殊な溶媒(欧州において1999/13/ECおよび2004/42/CEで規定された非揮発性有機化合物ならびに/またはUS Clean Air Actで規定された無害大気汚染物質)、例えばN−メチルピロリドン、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(Arcosolv(商標)TPNB)、各種のグリコールエーテル、グリコールエーテルエステルまたはエステルアルコール(例えばEastman(商標)EEH)および多くの他の市販の溶媒を、最低膜形成温度を低下させる融合助剤として含むことが有用なことがあり、このことによって均質な膜、コーティングまたは他の物品を得るのに役立つ。
上の融合助剤と共に、または融合助剤とは別に、エマルジョンに各種の他の添加剤をこれらの普通の量で添加してよい。このような添加剤としては、顔料、酸化防止剤、安定剤、不凍液、殺生物剤、触媒などが挙げられる。
本発明は、上で定義したエマルジョンからキャストした膜ならびに膜をキャストする方法にも関する。膜をキャストする方法は、前記エマルジョンをキャストおよび乾燥することを含み、融合助剤はエマルジョンの膜の乾燥時に使用され、および/または温度は最低膜形成温度を超えて上昇される。本発明は、上で定義したエマルジョンからキャストした膜から生成されるメンブレンならびに本発明のエマルジョンから生成されるコーティングにも関する。
エマルジョンは、例えば水分透過性メンブレンおよびコーティングの作製に使用してよい。これらは例えばメンブレンが使用される燃料電池、あらゆる分離装置および衣類、エネルギー回収式換気装置、水精製に利用してよい。
エマルジョンは他の物品にも使用してよい。
以下の材料を使用して、エマルジョンを調製した。
Figure 0006452717
実験で使用した装置は、Ultra−turrax(商標)T25またはT50であった。IKA製のCombimag RCT水浴ならびに同じくIKA製のrotovap RV05を使用した。
エマルジョンの固形分は、試料を130℃のオーブン(Gallenkamp Plusオーブン)で15分間乾燥させることによって決定した。平均粒度径は、Beckman Coulter LS230レーザ回折粒度測定装置を使用して決定した。エマルジョンの残留溶媒含有率は、GCヘッドスペースによって、2,2−ジメチルブタンを内部標準(THF 1リットル中3.170グラム)として使用して測定した。Trace GC Ultraヘッドスペースガスクロマトグラフは、Interscience製であった。
[実施例1、比較]
MD9100溶液20グラムを水30グラムとT25内で13500rpmにて混合した。高温、減圧下で溶媒をストリップ除去した後、中間ブロックスルホン化ブロックコポリマーは急速に凝固した。安定なエマルジョンは得られなかった。
[実施例2a、b、比較]
実験1を繰り返した。MD9100溶液100グラムをかなりの量の界面活性剤(それぞれX100 1グラムまたはSDS 1グラム)および水150グラムとT50内で9500rpmにて混合した。高温、減圧下で溶媒をストリップ除去した後、SDSの場合、固形分12%mおよび平均粒径2.75マイクロメートルを有する、Triton X100を使用した場合、20%mおよび1.02マイクロメートルを有する安定なエマルジョンを得た。界面活性剤が系内に残存し、このため最終生成物の特性に影響を及ぼすことが理解されるべきである。
[実施例3a、b、比較]
実験1を繰り返した。MD9100溶液20グラムを無極性溶媒(シクロヘキサンまたはトルエン)7.5グラムおよび水30グラムとT25内で13500rpmにて混合した。溶媒および共溶媒の大部分を高温、減圧下でストリップ除去した後の結果を下の表に示す。希釈(実験3a)または無極性溶媒の使用により、安定なエマルジョンが得られることがわかる。しかし、結果は到底十分ではない。
[本発明による実施例4−6]
実験1を繰り返した。MD9100溶液20グラムを共溶媒(MEK、THF、1−プロパノール)7.5グラムおよび水30グラムとT25内で13500rpmにて混合した。高温、減圧下で溶媒および共溶媒の大部分をストリップ除去した後、下の表に示すような固形分および平均粒径を有する安定なエマルジョンを得た。しかし、本明細書で定義するようなハンセン要件を満たす共溶媒を用いると、許容可能な平均粒径を有する適正な安定エマルジョンが得られる。
Figure 0006452717
上の結果は、共溶媒の存在が水性エマルジョンの安定性および平均粒径に著しくプラスの効果を有することを示している。X100を用いると、優れた結果が得られるが、生成物中の残留X100が損なわれる。
最も好ましい共溶媒は、1−プロパノールである。この共溶媒は、X100さえも上回る性能である。

Claims (2)

  1. 少なくとも2種の非スルホン化ポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1種のスルホン化ブロックBを含む中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの水性エマルジョンを調製する方法であって、以下の:
    a)無極性溶媒中の前記中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーのセメントを準備する工程であって、前記無極性溶媒が49から99℃の範囲の沸点を持つ炭化水素化合物またはこのような化合物の混合物である工程;
    b)工程a)のセメントを共溶媒と混合して混合物を形成する工程;
    c)工程b)の混合物を、界面活性剤の非存在下で、水によって乳化してエマルジョンを製造する工程;
    d)炭化水素溶媒と、場合により共溶媒をエマルジョンから除去して水性エマルジョンを製造する工程
    を含み、前記無極性溶媒が2.0(√MPaで表す)未満のハンセン極性パラメータ(δp)を有し、前記共溶媒が2.8から15の範囲のハンセン極性パラメータ(δp)、および4.0から27(√MPaで表す)の範囲のハンセン水素結合パラメータ(δh)を有する極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒である方法。
  2. 少なくとも2種の非スルホン化ポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1種のスルホン化ブロックBを含む中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの水性エマルジョンであって、前記エマルジョンの質量に基づいて計算した10−30質量%の範囲の固形分を有し、レーザ回折分光法によって決定した前記中間ブロックスルホン化スチレン系ブロックコポリマーの粒子の平均粒度が最大で2.0μmであり、前記エマルジョンの質量に基づいて計算して1500ppmまでの共溶媒を含有し、前記共溶媒が2.8−15の範囲のハンセン極性パラメータ(δp)、および4.0から27(√MPaで計算)の範囲のハンセン水素結合パラメータ(δh)を有する極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒であり、界面活性剤を含まない、水性エマルジョン。
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