JP5457837B2 - ブロックポリマーをスルホン化する方法 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は2007年1月19日提出の米国特許仮出願第60/885,804号の優先権の恩典を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
本明細書に記載する技術は、一般にはスルホン化ポリマーの製造法に関する。より具体的には、本明細書に記載する技術は、非ハロゲン化脂肪族溶媒中での芳香族含有ポリマー(例えば、スチレンブロックコポリマー)のスルホン化に関する。いくつかの好ましい態様において、本発明の技術は、少なくとも2つのスルホン化に抵抗性のポリマー末端ブロックおよび少なくとも1つのスルホン化に感受性のポリマー内部ブロックを有する芳香族含有ブロックコポリマーをスルホン化するための方法に関する。
本明細書に記載する技術は、非ハロゲン化脂肪族溶媒中で芳香族含有ポリマーをスルホン化するために、硫酸アシルなどのスルホン化試薬を用いる。本発明の技術に従い、非ハロゲン化溶媒を含む反応混合物中のポリマーの初期濃度は、処理不能となる(disabling)ゲル化を起こさない様式で芳香族含有ポリマーの高レベルのスルホン化を達成しうるように、限界濃度よりも低く保つことができる。
長年にわたり、芳香族含有ポリマー(例えば、スチレンブロックコポリマー)の性質を変更および改善するために、多くの改変がそれらに加えられてきた。一つのそのような改変はポリマーをスルホン化することである。スルホン化感受性単位を含むポリマーがいったん重合し、望まれる場合には水素化されると、これをスルホン化試薬を用いてスルホン化することができる。ポリスチレン(PS)などの高重合体のスルホン化に関する最初の情報は、第二次世界大戦の前に発表された。それ以来、様々な工業的、家庭内、および医学的適用におけるスルホン化ポリマーの利用は着実に増えている。スルホン化イオノマーは、スルホ(-SO3)基を含む高分子化合物と定義された。これらの化合物はその興味深い化学的および機械的特性ゆえに、いくつかの工業的適用、例えば、非混和性ポリマーの適合性混合物の生成、イオン交換材料の使用、逆浸透および限外ろ過用の膜における使用、マクロ欠陥なしコンクリート用の可塑剤として、導電性複合体としてなどで満足に用いられている。ポリマーのスルホン化の一般的な概要はKucera, F., Jancar, J., Polymer Engineering and Science (1998), 38(5), 783-792(非特許文献1)において見いだすことができる。
例えば、最初のスルホン化ブロックコポリマーの一つは一般にWinklerの米国特許第3,577,357号(特許文献1)に開示されている。Winklerの特許の選択的にスルホン化したブロックコポリマーは、一般構造A-B-(B-A)1-5を有すると特徴づけられ、ここで各Aは非エラストマーのスルホン化モノビニルアレーンポリマーブロックであり、各Bはジエンから調製した実質的に飽和エラストマーの水素化ポリマーブロックである。Winklerの特許におけるブロックコポリマーは、全ポリマー中少なくとも1重量%の硫黄および各モノビニルアレーン単位に対して1つまでのスルホン化成分を提供するのに十分な程度までスルホン化された。Winklerの特許は、スルホン化反応は通常、コポリマーをハロアルカンなどの不活性媒質で膨潤またはその中に分散して行うことを教示している。Winklerの特許の実施例において、シクロヘキサン中のポリスチレン-水素化ポリイソプレン-ポリスチレントリブロックコポリマーを1,2-ジクロロエタン中に三酸化硫黄/リン酸トリエチルを含むスルホン化剤で処理する。1,2-ジクロロエタン存在下、シクロヘキサン中でのポリマーのスルホン化は、ほんの1%のポリマー濃度および2.1%の硫黄取り込み(1グラムあたり約0.66ミリ当量(meq/g)のスルホン酸に相当)でさえ、反応混合物のゲル化を伴うと報告された。
Makowskiらの米国特許第3,870,841号(特許文献2)は、一般に、可塑性ポリマーのスルホン化を開示している。これはハロゲン化溶媒中、スルホン化剤との直接反応によって、スルホン酸基を芳香族含有ポリマー中に導入しうることを教示しており、スルホン化剤は、例えば、硫酸およびクロロスルホン酸でありうる。好ましいスルホン化剤はジオキサン、テトラヒドロフラン、およびリン酸トリアルキルとの硫酸アセチルおよび三酸化硫黄複合体である。伝えられるところでは、約0.2から約10モル%のスルホン化レベルに達することができる。一例において、t-ブチルスチレン/イソプレンランダムコポリマーが塩化メチレン中、リン酸トリエチル-SO3複合体でスルホン化された。得られたポリマーは100モノマー単位あたり約4.4のスルホン酸ナトリウムを含むと報告された。
スルホン酸基をスルホン化感受性ポリマー中に取り込むのに用いうるいくつかの公知の化学試薬および経路があるが、ゲル化を伴わずにポリマーをスルホン化するのが難しいことは当技術分野において広く認識されている。Sherrington, D. C.; Swann, A.; Huxham, I. M.; Tetley, L. J. Mater. Chem. 1993, 3, 781(非特許文献2)、およびその中に組み込まれている引用文献参照。ポリマーのゲル化は化学的ゲル化、物理的ゲル化、またはその組み合わせによって起こりうる。化学的ゲル化は、例えば、スルホン架橋形成などの共有結合の形成によるポリマー架橋が原因でありうる。Polymer Engineering and Science (1998), 38(5), 783-792(非特許文献3)参照。ポリマーのゲル化を引き起こすのに加えて、望ましくない化学架橋がポリマーの沈澱および/または扱いにくさも引き起こしうる。その一方で、物理的ゲル化は非共有架橋が原因でありうる。物理的ゲル化は通常は適当な溶媒条件によって阻止することができる。例えば、Li, et al. Reactive & Functional Polymers 56:189 (2003)(非特許文献4)は、トルエン中のスルホン化ポリ[スチレン]-ブロック-[2-[(ペルフルオロノネニル)オキシ]エチルメタクリレート]の「不溶性」が「系におけるイオン双極子の分子間結合から生じるブロックコポリマーの物理的に架橋された網目」によると記載している。これは、極性共溶媒を加えることで、容易にポリマーを可溶化できると教示している。
文献は、著しいスルホン架橋基を形成せずに芳香族含有ポリマーをスルホン化するための、様々な硫酸アシルの使用を教示しており、これらはカルボン酸無水物および硫酸から容易に調製することができる。化学的ゲル化は硫酸アシルの使用によって低減または制御することができるが、物理的ゲル化またはポリマーの沈澱はまだポリマーのスルホン化に重大な問題を提起する。物理的ゲル化またはポリマーの沈澱を低減するために、文献に開示された硫酸アシル法のために最良の反応媒質は、典型的にはジクロロエタンなどのハロゲン化溶媒である。ハロゲン化溶媒は、非スルホン化ポリマーおよび硫酸アシル試薬(例えば、硫酸アセチル)に溶解性を与えるだけでなく、得られるスルホン化ポリマーを、沈澱または処理不能となるゲル化を起こすことなく、可溶型(例えば、均質な液体)に維持すると主張されている。しかし、ハロゲン化溶媒の使用は環境、健康、および安全(EH&S)の観点から非常に有害である。非ハロゲン化脂肪族溶媒中で芳香族含有ブロックコポリマーを、ハロゲン化溶媒中と同等またはそれよりも高いレベルでスルホン酸を取り込んで、効果的にスルホン化しうる方法が強く望まれている。非ハロゲン化脂肪族溶媒の利点には、例えば、(a)ハロゲン化溶媒に関連する実質的な環境問題を起こさない;(b)典型的には出発原料のブロックコポリマーの調製において用いられ、それによりポリマーを単離し、スルホン化前に再度溶解する必要なく、ポリマーのスルホン化を可能にする;および/または(c)スルホン化ポリマーのフィルム、膜、コーティングなどへのその後の下流の加工に適した溶媒であることが含まれる。
しかし、一般には、高いレベルでスルホン酸を取り込んでの、スチレン含有ポリマーをスルホン化するための非ハロゲン化脂肪族溶媒の有用性は、得られるスルホン化ポリマーが極性の高いスルホン酸基を有し、典型的には非極性、非ハロゲン化脂肪族溶媒と不適合で、それによりポリマーの処理不能となるゲル化および/または沈澱を引き起こすため、問題があると思われる。例えば、Sheeringtonは、一般に、硫酸アシルがポリ(スチレン)-ポリ(水素化ブタジエン)-ポリ(スチレン)トリブロックコポリマーなどのポリマーをゲル化を伴わずにスルホン化しえないことを開示した。Sherrington, L. J. Mater. Chem., 1993, 3, 781(非特許文献5)参照。もう一つの例として、前述のWinklerの特許において、シクロヘキサン中のポリスチレン-水素化ポリイソプレン-ポリスチレントリブロックコポリマーが、1,2-ジクロロエタン中に溶解した三酸化硫黄/リン酸トリエチルを含むスルホン化剤で処理された。ポリマーのスルホン化は、ハロゲン化溶媒存在下でさえもゲル化を伴うと報告された。加えて、硫酸アセチルなどの多くのスルホン化試薬と非ハロゲン化脂肪族溶媒との組み合わせの有用性は、そのようなスルホン化試薬は非ハロゲン化脂肪族溶媒中の溶解性が非常に低いか、または無視できるほどで、ポリマーのスルホン化変換は非常に不良となるため、低いと思われる。
非ハロゲン化脂肪族溶媒中でのポリマーのスルホン化を可能にするために、十分な溶解性を有する硫酸高級アシルを用いる方法が開発された。例えば、硫酸ラウロイルなどの硫酸高級アシルによるシクロヘキサン中のポリスチレンの均質なスルホン化が報告されている。Thaler, W. A. Macromolecules, 1983, 16, 623(非特許文献6)参照。Thalerの論文において、1グラムあたり0.6ミリ当量(meq/g)の硫酸ラウロイルの処理レベルが、それよりも低ければ反応溶液が「非常に扱いやすい」レベルと定義されている。同上。このレベルよりも上では、Thalerの論文は「ポリマーが完全に溶解性であるかどうかを識別するのは困難であった」と記載している。同上。Thalerの論文は、シクロヘキサン中でポリスチレンをスルホン化するための硫酸プロピオニルおよび硫酸ブチリルの使用も試験したが、処理レベルは非常に低く、0.6meq/gレベルよりもはるかに低かった。Thalerの論文は、ポリスチレンの溶解性はスルホン化の増大と共に低下することを示している。言い換えると、Thalerの論文は、ポリスチレン100グラムあたりスルホン化試薬60ミリ当量(meq)よりも高い処理レベル(スルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約0.35meqよりも高いポリマースルホン化レベル、または約3.75%のスチレンスルホン化度に相当)では、粘性が高まり、ポリマー生成物の溶解性の識別が困難になることを示している。Thalerの論文は、副産物であるカルボン酸はポリマーの溶解性維持を助ける上で重要な役割を果たしていると思われ、明らかに共溶媒として機能していることにも言及している。
Thalerの欧州特許第0 071 347号(特許文献3)は、シクロヘキサンなどの非ハロゲン化脂肪族溶媒中、C8以上の硫酸アシルを用いてのポリスチレンおよび他の芳香族含有ポリマーのスルホン化法も開示している。この特許は、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でポリマー芳香族基を所望のスルホン化レベルまでスルホン化するために、硫酸アセチルなどの硫酸低級アシルは溶解性が不足していることについての概要を示している。加えて、欧州特許第0 071 347号(特許文献3)はスルホン化ポリマー生成物を「ゲルなし」と記載しているが、この特許においてゲルを測定する手段は、この文脈における「ゲル」なる用語が適当な溶媒を加えても溶解することができないゲル粒子(典型的には化学的架橋によって形成される)を意味することを明らかにしている。
硫酸高級アシルを使用するもう一つの例として、前述のLiの論文は、シクロヘキサン中で28%までのスチレンスルホン化を示す、ポリ[スチレン]-ブロック-[2-[(ペルフルオロノネニル)オキシ]エチルメタクリレート]をスルホン化するための硫酸ラウロイルの使用を開示している。Li, et al. Reactive & Functional Polymers, 56:189(非特許文献4)参照。Liの論文におけるこれらのポリマーの分子量は非常に低く、スルホン化中の均質性の状態または扱いやすさは記載されていなかった。
C2〜C8硫酸塩などの硫酸低級アシル、特にC2からC4硫酸塩は、硫酸高級アシルまたは他のスルホン化試薬に比べて多くの利点を有する。これらの硫酸低級アシルは、他の硫酸アシルと同じく、スルホン形成は無視できる程度で芳香環をスルホン化することが可能で、それにより実質的な化学的ゲル化を起こすことなく進行する。加えて、これらの硫酸低級アシルは市販の酸無水物から単純な加工装置を用いて経済的に調製することができる。さらに、硫酸低級アシルは硫酸高級アシルよりもモルを基準とした質量効率が高い。さらに、副産物であるC2からC4硫酸アシルのカルボン酸は十分に揮発性で、スルホン化ポリマー生成物からこれらの酸を当業者には公知の蒸発法によって少なくとも部分的に除去可能であり、またこれらのカルボン酸は十分に水溶性で、当業者には公知の洗浄法により中和することなく効果的に除去される。
Xie, et al. J. Applied Polymer Sci, 96, 1398 (2005)(非特許文献7)は、高度不飽和スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマーをスルホン化するための、シクロヘキサンおよび硫酸アセチルと組み合わせてのアセトンの使用を開示している。Xieの論文は、ゲル化をスルホネート基の結合が原因とした。この論文は、アセトンがこの結合を低減させうるとした。しかし、スルホン酸の取り込みは約0.45meq/gにすぎないと報告されている。Xieの論文におけるIRスペクトルは、スルホン化がポリブタジエンセグメントとポリスチレンセグメントの両方で起こったことを示していると思われる。
したがって、(1)ポリマーの沈澱が実質的にない;(2)処理不能となるゲル化を起こさない;(3)高度のスルホン化に効率的に達することができる;および/または(4)スルホン化試薬として硫酸低級アシルを用いる、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化芳香族含有ポリマーを生成するための方法が、当技術分野においていまだに必要とされている。
米国特許第3,577,357号 米国特許第3,870,841号 欧州特許第0 071 347号
Kucera, F., Jancar, J., Polymer Engineering and Science (1998), 38(5), 783-792 Sherrington, D. C.; Swann, A.; Huxham, I. M.; Tetley, L. J. Mater. Chem. 1993, 3, 781 Polymer Engineering and Science (1998), 38(5), 783-792 Li, et al. Reactive & Functional Polymers 56:189 (2003) Sherrington, L. J. Mater. Chem., 1993, 3, 781 Thaler, W. A. Macromolecules, 1983, 16, 623 Xie, et al. J. Applied Polymer Sci, 96, 1398 (2005)
本明細書に記載する技術は、一般には非ハロゲン化溶媒中での芳香族含有ブロックコポリマーのスルホン化に関し、ここでスルホン化は高い、または上昇したレベルのスルホン酸のポリマーへの取り込みによって達成することができる。本明細書に記載する技術は、Kraton Polymers LLC, Houston, Texasにより2006年7月20日に提出され、公報第20070021569号として公開されている、米国特許出願第11/458,856号に記載のものなどのスルホン化ポリマーの生成に対して特に有用である。米国特許出願第11/458,856号の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明の技術の少なくともいくつかの態様によるスルホン化反応混合物および/または得られる生成物は、処理不能となるゲル化を起こさない。
一つの局面において、本明細書に記載する技術は、以下の段階を含む非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法を提供する:
少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーであって、これは好ましくはA-B-A、A-B-A-B-A、(A-B-A)nX、(A-B)nX、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B)nX、(A-B-D)nX、A-B-B-B-A、(A-B-B)nX、またはそれらの混合である一般構造を有し、式中nが1から30の整数であり、Xがカップリング剤の残基であり、かつ式中各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Dブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該A、DおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、前駆体ブロックポリマーを提供する段階;ならびに
前駆体ブロックポリマーを硫酸アシルと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ブロックポリマーを形成する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までである、段階。
当業者であれば理解するであろうとおり、本明細書に記載する技術において用いる、または生成するポリマーは、単一ポリマーまたは同じもしくは異なる種類のポリマーの混合物でありうる。
前駆体ブロックポリマーの初期濃度は好ましくは、反応混合物の全重量に基づき、少なくとも1つの前駆体ブロックポリマーの約0.5重量%から限界濃度よりも低い濃度まで、または約1.0重量%から限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度まで、または約2.0重量%から限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度まで、または約3.0重量%から限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である。本明細書において用いられる「限界濃度」なる用語の意味は、以下の詳細な説明において定義する。少なくともいくつかの態様において、スルホン化反応は、反応混合物が処理不能となるゲル化を起こさない様式で行うことができる。または、スルホン化反応は、得られるスルホン化ポリマーおよび非ハロゲン化脂肪族溶媒の少なくとも一部を含む反応生成物が処理不能となるゲル化を起こさない様式で行う。または、本発明の技術の反応混合物および反応生成物の両方が、ポリマーの沈澱を実質的に含まず、処理不能となるゲル化を起こさない。いくつかの態様に従い、本発明の技術の反応混合物はハロゲン化溶媒を実質的に含まない。
本発明の技術のいくつかの態様に従って用いるスルホン化試薬は、約2から約8炭素原子、または約3から約8炭素原子、または約3から約5炭素原子のアシル基を含む硫酸アシルである。一つの好ましい例は硫酸イソブチリルである。硫酸アシルは、例えば、スルホン化反応を行うのと同じ温度もしくは異なる温度、または約20℃から約40℃の温度で行うインサイチュー反応で得ることができる。または、硫酸アシルは、反応混合物に加える前に別の反応から得ることができる。少なくともいくつかの態様において、反応混合物中の硫酸アシルのスルホン化感受性反復単位に対するモル比は約0.1から約2.0、または約0.2から約1.3、または約0.3から約1.0である。
好ましくは、スルホン化ブロックポリマーは約0.4meq/gよりも大きい、または約0.6meq/gよりも大きい、または約0.8meq/gよりも大きい、または1.0meq/gよりも大きい、または1.4meq/gよりも大きいスルホン化度を有する。いくつかの態様に従い、Bブロックを、該Bブロックにおけるスルホン化感受性モノマーの単位に基づき、約10から約100モルパーセント、または約20から約95モルパーセント、または約30から約90モルパーセント、または約40から約70モルパーセントの程度までスルホン化する。
非ハロゲン化脂肪族溶媒は、前駆体ポリマーまたはポリマーの混合物の溶媒であり、スルホン化反応を妨害しない、任意の化合物でありうる。典型例には、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、またはそれらの混合物などの、約5から12炭素の直鎖、分枝、または環式飽和炭化水素が含まれるが、それらに限定されるわけではない。少なくともいくつかの態様において、非ハロゲン化脂肪族溶媒は第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒および第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒を含む。好ましくは、第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒は、その中に前駆体ポリマーが実質的に溶解性である溶媒(例えば、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン)であり;第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒は、第一の溶媒と混和性であるが、前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックにとって工程の温度範囲で貧溶媒であり、かつスルホン化反応を妨害しないように選択する。言い換えると、前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックは、好ましくは、第二の非ハロゲン化溶媒に工程の温度範囲で実質的に不溶性である。前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックがポリスチレンである場合、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2-エチルヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、パラフィン油、混合パラフィン溶媒などの、約12炭素までの直鎖および分枝脂肪族炭化水素を含む、ポリスチレンにとって貧溶媒である適当な溶媒を第二の非ハロゲン化溶媒として用いることができる。
もう一つの局面において、本明細書に記載の技術は非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製する方法であって、反応混合物中にミセルおよび/または他のポリマー凝集物を形成する段階を含む方法を提供する。この方法によるスルホン化反応は、反応混合物および/または反応生成物中で処理不能となるゲル化を起こさない様式で行うことができる。
ミセルおよび/または他のポリマー凝集物は以下の段階によって形成することができる:
(1)少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーであって、これは好ましくはA-B-A、A-B-A-B-A、(A-B-A)nX、(A-B)nX、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B)nX、(A-B-D)nX、A-B-B-B-A、(A-B-B)nX、またはそれらの混合である一般構造を有し、式中nが1から30の整数であり、Xがカップリング剤の残基であり、かつ式中各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Dブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該A、DおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、前駆体ブロックポリマーを提供する段階;および
(2)前駆体ブロックポリマーを硫酸アシルと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ブロックポリマーを生成する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までである、段階。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、本発明の技術のいくつかの態様のために、前述のスルホン化反応中に形成されるミセルは、非ハロゲン化脂肪族溶媒で膨潤した1つまたは複数のスルホン化抵抗性ブロック(例えば、外殻)によって囲まれた、1つまたは複数のスルホン化ブロックおよび多量の硫酸アシルスルホン化剤を含む内核を有すると記載することができる。いかなる特定の理論にも縛られることなく、本発明の技術のいくつかの態様のために、スルホン化反応中に形成される他のポリマー凝集物は、ミセルについて前述した記載以外の様式でポリマー鎖の凝集から生じる分離または非分離構造、および/または複数の分離したミセルのゆるく凝集した群と記載することができる。当業者であれば、本発明の技術のミセルおよび/または他のポリマー凝集物は、ポリマーの組成および溶媒の質に応じた1つまたは複数のポリマー分子を含みうることを理解するであろう。ブロックの異なる溶解性に基づくブロックコポリマーからのミセルおよび/または他のポリマー凝集物形成の記載は当技術分野において周知で、例えば、J. Noolandi and K.M. Hong, Macromolecules (16), page 1443, 1983 and J.R. Quintana, M. Villacampa, M. Munoz, A. Andrio and I. Katime, Macromolecules, (25), page 3125 and 3129, 1992を参照されたい。
さらなる局面において、本明細書に記載の技術は、以下の段階を含む非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法を提供する:
(1)少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーであって、これは好ましくはA-B-A、A-B-A-B-A、(A-B-A)nX、(A-B)nX、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B)nX、(A-B-D)nX、A-B-B-B-A、(A-B-B)nX、またはそれらの混合である一般構造を有し、式中nが1から30の整数であり、Xがカップリング剤の残基であり、かつ式中各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Dブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該A、DおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、前駆体ブロックポリマーを提供すること、および
前駆体ブロックポリマーを少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒と混合して、少なくとも1つの前駆体ブロックポリマーを含むミセルおよび/または他のポリマー凝集物を形成すること
により、スルホン化の前に前駆体ブロックポリマーを含むミセルおよび/または他のポリマー凝集物をあらかじめ形成する段階;ならびに
(2)前駆体ブロックポリマーを含むあらかじめ形成したミセルおよび/または他のポリマー凝集物を反応混合物中で硫酸アシルによりスルホン化して、スルホン化ブロックポリマーを生成する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までである、段階。
いくつかの態様において、ミセルおよび/または他のポリマー凝集物をあらかじめ形成するのを助けるために、非ハロゲン化脂肪族溶媒は第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒中および第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒を含む。好ましくは、2つの溶媒は、前駆体ブロックポリマーが第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒に実質的に溶解性であり、前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックが第二の非ハロゲン化溶媒に実質的に不溶性であるように選択する。いくつかの態様に従い、1つまたは複数の前駆体ブロックポリマーをまず第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒と混合して溶液を生成し;次いで第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒を第一の混合物に加えて、前駆体ブロックポリマーのミセルおよび/または他のポリマー凝集物を含む第二の混合物を生成する。例えば、前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックがポリスチレンである場合、第一の脂肪族溶媒はシクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンでありえ;第二の脂肪族溶媒はn-ヘプタンなどの直鎖もしくは分枝脂肪族溶媒またはそのような直鎖もしくは分枝脂肪族溶媒の混合物でありうる。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、あらかじめ形成したミセルは、第一および第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒の混合物で膨潤した1つまたは複数のスルホン化抵抗性ブロック(例えば、外殻)によって囲まれた、第一の脂肪族溶媒で膨潤した1つまたは複数のスルホン化感受性ブロックを含む内核を有すると記載することができる。いかなる特定の理論にも縛られることなく、他のあらかじめ形成したポリマー凝集物は、ミセルについて前述した記載以外の様式でポリマー鎖の凝集から生じる分離または非分離構造、および/または複数の分離したミセルのゆるく凝集した群と記載することができる。
さらにもう一つの局面において、本明細書に記載する技術は、以下の段階を含む実質的に水不溶性であるスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法を提供する:
(1)少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で前駆体ブロックポリマーを提供する段階であって、前駆体ブロックポリマーが少なくとも2つのポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1つのポリマー内部ブロックBを含み、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックである、段階;ならびに
(2)前駆体ブロックポリマーを反応混合物中で、該少なくとも1つのブロックBが実質的にスルホン化されるまでスルホン化する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までであり、末端ブロックAが本質的にスルホン化されない、段階。
さらにもう一つの局面において、本明細書に記載する技術は、以下の段階を含む非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ポリマーを調製するための方法を提供する:
(1)スルホン化に感受性の単位を含む前駆体ポリマーを提供する段階;および
(2)前駆体ブロックポリマーを硫酸アシルなどのスルホン化試薬と、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、少なくとも1つのスルホン化ポリマーを生成する段階であって、前駆体ポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも低い濃度までであり、スルホン化ポリマーが、約0.4meq/gよりも大きい、または約0.6meq/gよりも大きい、または約0.8meq/gよりも大きい、または1.0meq/gよりも大きい、または1.4meq/gよりも大きいスルホン化度を有する、段階。
[請求項1001]
以下の段階を含む、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法:
少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーを提供する段階であって、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該AおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、段階;ならびに
前駆体ブロックポリマーを硫酸アシルと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ブロックポリマーを形成する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲である、段階。
[請求項1002]
反応混合物中にポリマーの沈澱が実質的になく、処理不能となる(disabling)ゲル化を起こさない様式で、スルホン化反応が行われる、請求項1001記載の方法。
[請求項1003]
前駆体ブロックポリマーがA-B-A、A-B-A-B-A、(A-B-A) n X、(A-B) n X、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B) n X、(A-B-D) n X、A-B-B-B-A、(A-B-B) n X、またはそれらの混合である一般構造を有し、式中前駆体ブロックポリマー中の複数のAブロック、Bブロック、またはDブロックが同じであるかまたは異なり、式中nが約1から約30の整数であり、Xがカップリング剤の残基であり、かつ各Dブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつオレフィン不飽和を実質的に含まない、請求項1001記載の方法。
[請求項1004]
前駆体ブロックポリマーが約10から約60モルパーセントの間のAブロックを含む、請求項1001記載の方法。
[請求項1005]
前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約1.0重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である、請求項1001記載の方法。
[請求項1006]
前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約3.0重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である、請求項1001記載の方法。
[請求項1007]
各Aブロックが独立に1,000から60,000の間の数平均分子量を有し、各Dブロックが独立に1,000から50,000の間の数平均分子量を有し、かつ各Bブロックが独立に10,000から300,000の間の数平均分子量を有する、請求項1003記載の方法。
[請求項1008]
各Aブロックが、重合した(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)3から18炭素原子のアルファオレフィン、(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役ジエンのモノマー、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステル、(viii)それらの誘導体、および(ix)それらの混合物から選択される1つまたは複数のセグメントを含み、重合した1,3-シクロジエンまたは共役ジエンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1003記載の方法。
[請求項1009]
各Bブロックが、重合した(i)無置換スチレンモノマー、(ii)オルト-置換スチレンモノマー、(iii)メタ-置換スチレンモノマー、(iv)アルファ-メチルスチレン、(v)1,1-ジフェニルエチレン、(vi)1,2-ジフェニルエチレン、(vii)それらの誘導体、および(viii)それらの混合物から選択される1つまたは複数のビニル芳香族モノマーのポリマーを含む、請求項1003記載の方法。
[請求項1010]
各Dブロックが、20℃未満のガラス転移温度および1000から50,000の間の数平均分子量を有するポリマーを含み、該Dブロックが(i)20から80モルパーセントの間の水素化前のビニル含有率を有するイソプレン、1,3-ブタジエンから選択される重合または共重合した共役ジエン、(ii)重合したアクリレートモノマー、(iii)シリコーンポリマー、(iv)重合したイソブチレン、(v)それらの誘導体、および(vi)それらの混合物からなる群より選択され、重合した1,3-ブタジエンまたはイソプレンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1003記載の方法。
[請求項1011]
硫酸アシルが約2から約8炭素原子のアシル基を含む、請求項1001記載の方法。
[請求項1012]
硫酸アシルが約3から約5炭素原子のアシル基を含む、請求項1001記載の方法。
[請求項1013]
硫酸アシルが硫酸イソブチリルである、請求項1001記載の方法。
[請求項1014]
各Bブロックがスルホン化後に1つまたは複数のスルホン官能基を含み、かつ各Aブロックがスルホン化後にスルホン官能基を本質的に含まない、請求項1001記載の方法。
[請求項1015]
スルホン化ブロックポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、請求項1001記載の方法。
[請求項1016]
Bブロックが、Bブロック中のスルホン化感受性モノマーの単位に基づき、約10から約100モルパーセントの程度までスルホン化される、請求項1001記載の方法。
[請求項1017]
少なくとも1つのBブロックが、少なくとも1つの共役ジエンと、(i)無置換スチレンモノマー、(ii)オルト-置換スチレンモノマー、(iii)メタ-置換スチレンモノマー、(iv)アルファ-メチルスチレン、(v)1,1-ジフェニルエチレン、(vi)1,2-ジフェニルエチレン、(vii)それらの誘導体、および(viii)それらの混合物から選択される少なくとも1つのモノアルケニルアレーンとの水素化コポリマーブロックである、請求項1001記載の方法。
[請求項1018]
少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、またはそれらの混合物である、請求項1001記載の方法。
[請求項1019]
少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、イソペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、またはそれらの混合物を含む、請求項1001記載の方法。
[請求項1020]
前駆体ブロックポリマーが、少なくとも一つの非ハロゲン化脂肪族溶媒に少なくとも部分的に溶解性である、請求項1001記載の方法。
[請求項1021]
少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒が、第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒および第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒を含む、請求項1020記載の方法。
[請求項1022]
前駆体ブロックポリマーが第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒に実質的に溶解性であり、かつBブロックが第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒に実質的に不溶性である、請求項1021記載の方法。
[請求項1023]
第一の脂肪族溶媒がシクロペンタン、シクロヘキサン、またはメチルシクロヘキサンであり、かつ第二の脂肪族溶媒が直鎖もしくは分枝非環式脂肪族溶媒、または直鎖もしくは分枝脂肪族溶媒の混合物である、請求項1021記載の方法。
[請求項1024]
第二の脂肪族溶媒がn-ヘプタンである、請求項1023記載の方法。
[請求項1025]
硫酸アシルがインサイチュー反応で得られる、請求項1001記載の方法。
[請求項1026]
硫酸アシルが反応混合物への添加前に別の反応から得られる、請求項1001記載の方法。
[請求項1027]
反応混合物中の硫酸アシルのスルホン化感受性反復単位に対するモル比が約0.1から約2.0である、請求項1001記載の方法。
[請求項1028]
反応混合物中の硫酸アシルのスルホン化感受性反復単位に対するモル比が約0.2から約1.3である、請求項1001記載の方法。
[請求項1029]
反応混合物中の硫酸アシルのスルホン化感受性反復単位に対するモル比が約0.3から約1.0である、請求項1001記載の方法。
[請求項1030]
反応混合物がハロゲン化溶媒を実質的に含まない、請求項1001記載の方法。
[請求項1031]
反応段階が約20℃から約150℃の範囲内の温度で実施される、請求項1001記載の方法。
[請求項1032]
反応段階が約30℃から約70℃の範囲内の温度で実施される、請求項1001記載の方法。
[請求項1033]
反応段階が約40℃から約60℃の範囲内の温度で実施される、請求項1001記載の方法。
[請求項1034]
前駆体ブロックポリマーが、前駆体ブロックポリマーの生成から得られる反応混合物中で単離することなく提供される、請求項1001記載の方法。
[請求項1035]
請求項1001記載の方法により製造したスルホン化ブロックポリマー。
[請求項1036]
スルホン化ブロックポリマーと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒の少なくとも一部とを含む、請求項1001記載の方法による生成物。
[請求項1037]
処理不能となるゲル化を起こさない、請求項1036記載の生成物。
[請求項1038]
水溶性でも水分散性でもない、請求項1036記載の生成物から製造される物品。
[請求項1039]
非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法であって、
少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーであって、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該AおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、前駆体ブロックポリマー
を提供すること;および
初期濃度が反応混合物の全重量に基づき約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲である前駆体ブロックポリマーを、硫酸アシルと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ブロックポリマーを形成すること
によって、反応混合物中にミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせを形成する段階を含む、方法。
[請求項1040]
前駆体ブロックポリマーがA-B-A、A-B-A-B-A、(A-B-A) n X、(A-B) n X、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B) n X、(A-B-D) n X、A-B-B-B-A、(A-B-B) n X、またはそれらの混合である一般構造を有し、式中前駆体ブロックポリマー中の複数のAブロック、Bブロック、またはDブロックが同じであるかまたは異なり、式中nが約1から約30の整数であり、Xがカップリング剤の残基であり、かつ各Dブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつオレフィン不飽和を実質的に含まない、請求項1039記載の方法。
[請求項1041]
前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約1.0重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である、請求項1039記載の方法。
[請求項1042]
各Aブロックが独立に1,000から60,000の間の数平均分子量を有し、各Dブロックが独立に1,000から50,000の間の数平均分子量を有し、かつ各Bブロックが独立に10,000から300,000の間の数平均分子量を有する、請求項1040記載の方法。
[請求項1043]
各Aブロックが、重合した(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)3から18炭素原子のアルファオレフィン、(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役ジエンのモノマー、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステル、(viii)それらの誘導体、および(ix)それらの混合物から選択される1つまたは複数のセグメントを含み、重合した1,3-シクロジエンまたは共役ジエンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1040記載の方法。
[請求項1044]
各Bブロックが、重合した(i)無置換スチレンモノマー、(ii)オルト-置換スチレンモノマー、(iii)メタ-置換スチレンモノマー、(iv)アルファ-メチルスチレン、(v)1,1-ジフェニルエチレン、(vi)1,2-ジフェニルエチレン、(vii)それらの誘導体、および(viii)それらの混合物から選択される1つまたは複数のビニル芳香族モノマーのポリマーを含む、請求項1040記載の方法。
[請求項1045]
各Dブロックが、20℃未満のガラス転移温度および1000から50,000の間の数平均分子量を有するポリマーを含み、該Dブロックが(i)20から80モルパーセントの間の水素化前のビニル含有率を有するイソプレン、1,3-ブタジエンから選択される重合または共重合した共役ジエン、(ii)重合したアクリレートモノマー、(iii)シリコーンポリマー、(iv)重合したイソブチレン、(v)それらの誘導体、および(vi)それらの混合物からなる群より選択され、重合した1,3-ブタジエンまたはイソプレンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1040記載の方法。
[請求項1046]
反応混合物がハロゲン化溶媒を実質的に含まない、請求項1039記載の方法。
[請求項1047]
スルホン化ブロックポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、請求項1039記載の方法。
[請求項1048]
Bブロックが、Bブロック中のスルホン化感受性モノマーの単位に基づき、約10から約100モルパーセントの程度までスルホン化される、請求項1039記載の方法。
[請求項1049]
前駆体ブロックポリマーが、前駆体ブロックポリマーの生成から得られる反応混合物中で単離することなく提供される、請求項1039記載の方法。
[請求項1050]
スルホン化ブロックポリマーと、請求項1039記載の方法で用いられる少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒の少なくとも一部とを含む、該方法により生成された生成物。
[請求項1051]
処理不能となるゲル化を起こさない、請求項1050記載の生成物。
[請求項1052]
以下の段階を含む、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法:
(1)少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーであって、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該AおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、前駆体ブロックポリマー
を提供すること、および
前駆体ブロックポリマーを少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒と混合して、前駆体ブロックポリマーを含むミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせを形成すること
により、スルホン化の前に前駆体ブロックポリマーを含むミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせをあらかじめ形成する段階;および
(2)前駆体ブロックポリマーを含むあらかじめ形成したミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部を反応混合物中で硫酸アシルによりスルホン化して、スルホン化ブロックポリマーを形成する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲である、段階。
[請求項1053]
非ハロゲン化脂肪族溶媒が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1052記載の方法。
[請求項1054]
前駆体ブロックポリマーが非ハロゲン化脂肪族溶媒に部分的に溶解性である、請求項1052記載の方法。
[請求項1055]
非ハロゲン化脂肪族溶媒が第一の非ロゲン化脂肪族溶媒および第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒を含む、請求項1052記載の方法。
[請求項1056]
前駆体ブロックポリマーが第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒に実質的に溶解性であり、かつBブロックが第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒に実質的に不溶性である、請求項1055記載の方法。
[請求項1057]
前駆体ブロックポリマーがまず第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒と混合されて第一の混合物が形成され、次いで第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒が第一の混合物に添加されて、前駆体ブロックポリマーの凝集物またはミセルを含む第二の混合物が形成される、請求項1056記載の方法。
[請求項1058]
第一の脂肪族溶媒がシクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、かつ第二の脂肪族溶媒が直鎖もしくは分枝非環式脂肪族溶媒、または直鎖もしくは分枝脂肪族溶媒の混合物である、請求項1056記載の方法。
[請求項1059]
第二の脂肪族溶媒がn-ヘプタンである、請求項1058記載の方法。
[請求項1060]
反応混合物、スルホン化段階の生成物、または両方において、ポリマーの沈澱が実質的になく、かつ処理不能となるゲル化を起こさない様式で、スルホン化反応が行われる、請求項1052記載の方法。
[請求項1061]
前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約1.0重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である、請求項1052記載の方法。
[請求項1062]
前駆体ブロックポリマーがA-B-A、A-B-A-B-A、(A-B-A) n X、(A-B) n X、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B) n X、(A-B-D) n X、A-B-B-B-A、(A-B-B) n X、またはそれらの混合である一般構造を有し、式中前駆体ブロックポリマー中の複数のAブロック、Bブロック、またはDブロックが同じであるかまたは異なり、式中nが1から30の整数であり、Xがカップリング剤の残基であり、かつ各Dブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつオレフィン不飽和を実質的に含まない、請求項1052記載の方法。
[請求項1063]
各Aブロックが独立に1,000から60,000の間の数平均分子量を有し、各Dブロックが独立に1,000から50,000の間の数平均分子量を有し、かつ各Bブロックが独立に10,000から300,000の間の数平均分子量を有する、請求項1062記載の方法。
[請求項1064]
各Aブロックが、重合した(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)3から18炭素原子のアルファオレフィン、(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役ジエンのモノマー、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステル、(viii)それらの誘導体、および(ix)それらの混合物から選択される1つまたは複数のセグメントを含み、重合した1,3-シクロジエンまたは共役ジエンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1052記載の方法。
[請求項1065]
各Bブロックが、重合した(i)無置換スチレンモノマー、(ii)オルト-置換スチレンモノマー、(iii)メタ-置換スチレンモノマー、(iv)アルファ-メチルスチレン、(v)1,1-ジフェニルエチレン、(vi)1,2-ジフェニルエチレン、(vii)それらの誘導体、および(viii)それらの混合物から選択される1つまたは複数のビニル芳香族モノマーのポリマーを含む、請求項1052記載の方法。
[請求項1066]
各Dブロックが、20℃未満のガラス転移温度および1000から50,000の間の数平均分子量を有するポリマーを含み、該Dブロックが(i)20から80モルパーセントの間の水素化前のビニル含有率を有するイソプレン、1,3-ブタジエンから選択される重合または共重合した共役ジエン、(ii)重合したアクリレートモノマー、(iii)シリコーンポリマー、(iv)重合したイソブチレン、(v)それらの誘導体、および(vi)それらの混合物からなる群より選択され、重合した1,3-ブタジエンまたはイソプレンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1062記載の方法。
[請求項1067]
少なくとも1つのBブロックが、少なくとも1つの共役ジエンと、(i)無置換スチレンモノマー、(ii)オルト-置換スチレンモノマー、(iii)メタ-置換スチレンモノマー、(iv)アルファ-メチルスチレン、(v)1,1-ジフェニルエチレン、(vi)1,2-ジフェニルエチレン、(vii)それらの誘導体、および(viii)それらの混合物から選択される少なくとも1つのモノアルケニルアレーンとの水素化コポリマーブロックである、請求項1052記載の方法。
[請求項1068]
反応混合物がハロゲン化溶媒を実質的に含まない、請求項1052記載の方法。
[請求項1069]
スルホン化ブロックポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、請求項1052記載の方法。
[請求項1070]
Bブロックが、Bブロック中のスルホン化感受性モノマーの単位に基づき、約10から約100モルパーセントの程度までスルホン化される、請求項1052記載の方法。
[請求項1071]
前駆体ブロックポリマーが、前駆体ブロックポリマーの生成から得られる反応混合物中で単離することなく提供される、請求項1052記載の方法。
[請求項1072]
スルホン化ブロックポリマーと、請求項1052記載の方法で用いられる少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒の少なくとも一部とを含む、該方法により生成された生成物。
[請求項1073]
以下の段階を含む、実質的に水不溶性であるスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法:
少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で前駆体ブロックポリマーを提供する段階であって、前駆体ブロックポリマーが少なくとも2つのポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1つのポリマー内部ブロックBを含み、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックである、段階;ならびに
前駆体ブロックポリマーを反応混合物中で、少なくとも1つのブロックBが実質的にスルホン化されるまでスルホン化する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲であり、末端ブロックAが本質的にスルホン化されない、段階。
[請求項1074]
スルホン化段階の生成物がポリマーの沈澱を実質的に含まず、かつ処理不能となるゲル化を起こさない、請求項1073記載の方法。
[請求項1075]
実質的にスルホン化されるとは、内部ブロックBにおいてブロックコポリマーの全スルホン化の少なくとも約90%が起こることを意味する、請求項1073記載の方法。
[請求項1076]
前駆体ブロックポリマーがオレフィン不飽和を実質的に含まない、請求項1073記載の方法。
[請求項1077]
反応混合物がハロゲン化溶媒を実質的に含まない、請求項1073記載の方法。
[請求項1078]
前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約1.0重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である、請求項1073記載の方法。
[請求項1079]
前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、約3.0重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度までの範囲である、請求項1073記載の方法。
[請求項1080]
各Aブロックが独立に1,000から60,000の間の数平均分子量を有し、かつ重合した(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)3から18炭素原子のアルファオレフィン、(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役ジエンのモノマー、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステル、(viii)それらの誘導体、および(ix)それらの混合物から選択される1つまたは複数のセグメントを含み、重合した1,3-シクロジエンまたは共役ジエンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1073記載の方法。
[請求項1081]
各Bブロックが独立に10,000から300,000の間の数平均分子量を有し、かつ重合した(i)無置換スチレンモノマー、(ii)オルト-置換スチレンモノマー、(iii)メタ-置換スチレンモノマー、(iv)アルファ-メチルスチレン、(v)1,1-ジフェニルエチレン、(vi)1,2-ジフェニルエチレン、(vii)それらの誘導体、および(viii)それらの混合物から選択される1つまたは複数のビニル芳香族モノマーのポリマーを含む、請求項1073記載の方法。
[請求項1082]
前駆体ブロックポリマーが少なくとも1つのDブロックをさらに含み、各Dブロックが独立に1,000から50,000の間の数平均分子量を有し、かつ20℃未満のガラス転移温度および1000から50,000の間の数平均分子量を有するポリマーを含み、該Dブロックが(i)20から80モルパーセントの間の水素化前のビニル含有率を有するイソプレン、1,3-ブタジエンから選択される重合または共重合した共役ジエン、(ii)重合したアクリレートモノマー、(iii)シリコーンポリマー、(iv)重合したイソブチレン、(v)それらの誘導体、および(vi)それらの混合物からなる群より選択され、重合した1,3-ブタジエンまたはイソプレンを含む任意のセグメントが続いて水素化される、請求項1073記載の方法。
[請求項1083]
硫酸アシルが約2から約8炭素原子のアシル基を含む、請求項1073記載の方法。
[請求項1084]
硫酸アシルが約3から約5炭素原子のアシル基を含む、請求項1073記載の方法。
[請求項1085]
硫酸アシルが硫酸イソブチリルである、請求項1073記載の方法。
[請求項1086]
スルホン化ブロックポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、請求項1073記載の方法。
[請求項1087]
Bブロックが、Bブロック中のスルホン化感受性モノマーの単位に基づき、約10から約100モルパーセントの程度までスルホン化される、請求項1073記載の方法。
[請求項1088]
前駆体ブロックポリマーが、前駆体ブロックポリマーの生成から得られる反応混合物中で単離することなく提供される、請求項1073記載の方法。
[請求項1089]
スルホン化ブロックポリマーと、請求項1073記載の方法で用いられる少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒の少なくとも一部とを含む、該方法により生成された生成物。
[請求項1090]
以下の段階を含む、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ポリマーを調製するための方法:
スルホン化感受性モノマーの単位を含む前駆体ポリマーを提供する段階;
前駆体ポリマーをスルホン化試薬と、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ポリマーを形成する段階であって、前駆体ポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、0.1重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも低い濃度までであり、かつスルホン化ポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、段階。
[請求項1091]
反応混合物中にポリマーの沈澱が実質的になく、かつ処理不能となるゲル化を起こさない様式で、スルホン化反応が行われる、請求項1090記載の方法。
[請求項1092]
反応混合物がハロゲン化溶媒を実質的に含まない、請求項1090記載の方法。
[請求項1093]
スルホン化試薬が、硫酸アシル、または三酸化硫黄とリン酸エステルとの反応から誘導されるリン酸アルキル三酸化硫黄複合体である、請求項1090記載の方法。
[請求項1094]
スルホン化試薬が、硫酸イソブチリル、またはリン酸トリエチルの三酸化硫黄複合体である、請求項1090記載の方法。
[請求項1095]
前駆体ポリマーが、前駆体ポリマーの生成から得られる反応混合物中で単離することなく提供される、請求項1090記載の方法。
[請求項1096]
スルホン化ポリマーと、請求項1090記載の方法で用いられる少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒の少なくとも一部とを含む、該方法により生成された生成物。
[請求項1097]
処理不能となるゲル化を起こさない、請求項1096記載の生成物。
[請求項1098]
反応段階が約20℃から約100℃の範囲内の温度で実施される、請求項1001記載の方法。
[請求項1099]
第二の脂肪族溶媒が、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、またはそれらの混合物である、請求項1023記載の方法。
[請求項1100]
第二の脂肪族溶媒が、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、またはそれらの混合物である、請求項1058記載の方法。
図面のいくつかの図の簡単な説明
[該当なし]
発明の詳細な説明
本明細書に記載の技術は、非ハロゲン化脂肪族溶媒、例えば、シクロヘキサンもしくはメチルシクロヘキサン、またはこれらおよび他の非ハロゲン化脂肪族溶媒の様々な混合物中、硫酸アシルなどのスルホン化試薬を用いて、芳香族含有ブロックコポリマー組成物をスルホン化するための改善された方法を提供する。本明細書に記載する技術の少なくともいくつかの態様に従い、高い、または上昇したレベルのスルホン化を処理不能となるゲル化を起こさない反応混合物中で達成することができる。
本明細書において用いられる「処理不能となるゲル化」なる用語は、反応塊を経済的加工のために扱いにくくし、かつポリマーの化学的スルホン架橋に起因しうる前述の化学的ゲル化とは別物であってもなくてもよく、またはこれを伴っていてもいなくてもよい、非常に高い粘性、粘弾性、および/または流動性の不足の発生と定義される。
所与の結果が処理不能となるゲル化を構成するかどうかを簡便に判断するために、当業者であれば様々な手段を用いることができる。上で定義した「処理不能となるゲル化」なる用語の範囲を限定することなく、そのような手段には、例えば、規定の量の反応生成物を規定の口径の漏斗に入れて、生成物の流速を測定する、流動試験などのスクリーニング法が含まれる。スルホン化反応混合物または生成物が処理不能となるゲル化を起こさないかどうかを調べる一つの最良の方法は、単純な流動法である。
より具体的には、この流動法に従い、#5の孔を有する標準のフォードカップ粘度計から流下しうる本発明の技術の反応混合物および生成物は処理不能となるゲル化を起こさないと判断することができる。標準のフォードカップおよび#5の孔の説明については、Paul N. Gardner Co., Inc., Pompano Beach, FL, 69 Years Anniversary Catalog, pp. 1382-1390を参照されたい。流動法において、フォードカップに反応混合物または反応生成物を充填し、この材料が重力下でカップの底の孔を通って流下する能力を視覚的に評価する。5分後に、カップの内壁をぬらす、および/またはコーティングする材料以外に、カップに本質的な残留材料が残らないような、孔を通って流下する材料が処理不能となるゲル化を起こさないと判断される。そうすることで、そのような本発明の技術の反応混合物および生成物はより経済的に加工可能であると思われる。
本明細書において用いられる「限界濃度」なる用語は、それ以上では反応および/または生成物混合物中で引き続いて処理不能となるゲル化が起こる、反応混合物中の前駆体ポリマーの初期濃度を意味する。そのような限界濃度は、例えば、ポリマー出発原料の組成、用いる溶媒または溶媒混合物の同一性、およびポリマーの所望のスルホン化度に依存する。
本明細書において用いられる「スルホン化に抵抗性」なる用語は、参照したポリマーブロックまたは反復単位のスルホン化が、起こりうるとしても非常にわずかであることを意味し;「スルホン化に感受性」なる用語は、参照したブロックまたは単位においてスルホン化が非常に起こりやすいことを意味する。末端ブロックに関して本明細書において用いられる「スルホン化に抵抗性」なる表現、および内部ブロックに関する「スルホン化に感受性」なる表現は、スルホン化がコポリマーの内部ブロックで主に起こり、したがってブロックコポリマーの全スルホン化度に対する内部ブロックで起こるスルホン化度は、ほとんどの場合に、末端ブロックで起こるスルホン化度よりも高いことを表すことになる。内部ブロックのスルホン化度はブロックコポリマーの全スルホン化の少なくとも85%である。もう一つの態様において、内部ブロックのスルホン化度は全スルホン化の少なくとも90%であり、この態様における好ましい量は全スルホン化の少なくとも95%である。いくつかの態様において、末端ブロックはスルホン化を示さないこともある。
本明細書の全体を通して、末端ブロックおよび内部ブロックに関して議論する。多くの場合、「A」で表す末端ブロックおよび「B」で表す内部ブロックに関連する構造を用いる。そのような議論は、特に記載がないかぎり、「A」末端ブロックおよび「B」内部ブロックを含むブロックコポリマーのみに限定することを意図するものではなく、代わりに末端ブロックはスルホン化に抵抗性であり、内部ブロックはスルホン化に感受性である、本明細書に記載の技術のいくつかの好ましい態様に従っての、ブロックポリマーの構造の代表である議論であることが意図される。例えば、末端ブロックは「A1」、または「A2」ブロックで表してもよく、内部ブロックは「B1」、「B2」、「D」、「E」または「F」ブロックで表してもよい。さらに、いくつかの態様において、複数の内部ブロックがスルホン化に感受性であってもよく、これらは互いに同じでも、異なっていてもよい。例えば、A-B-B-B-Aなる名称はA-B-B1-B-Aと等価でありうることが理解されるであろう。
本明細書において用いられる「オレフィン不飽和を実質的に含まない」なる用語は、ポリマー(例えば、ブロックコポリマー)またはポリマーブロックの残留オレフィン不飽和がポリマーまたはポリマーブロック1グラムあたり炭素-炭素二重結合2.0ミリ当量未満、好ましくはポリマーまたはポリマーブロック1グラムあたり炭素-炭素二重結合0.2ミリ当量未満であることを意味する。これは、例えば、ポリマー中に存在する任意の共役ジエンポリマー成分について、そのような共役ジエンは、二重結合の少なくとも90%が水素添加により還元されている、好ましくは二重結合の少なくとも95%が水素添加により還元されている、さらにより好ましくは二重結合の少なくとも98%が水素添加により還元されている程度まで水素化されていなければならないことを意味する。
本明細書に記載の技術において用いる前駆体ポリマーは、スルホン化に感受性の反復単位またはブロックを含む。前駆体(または基礎)ポリマーは、アニオン重合、緩和アニオン重合、カチオン重合、チーグラー-ナッタ重合、およびリビングまたは安定フリーラジカル重合を含む、当技術分野において公知のいくつかの異なる方法によって製造することができる。アニオン重合は以下の詳細な説明および引用した特許に記載されている。スチレンブロックコポリマーを製造するための緩和アニオン重合法は、例えば、米国特許第6,391,981号、第6,455,651号および第6,492,469号(すべてKraton Polymers US LLC, Houston, Texas)において開示されている。ブロックコポリマーを調製するためのカチオン重合法は、例えば、米国特許第6,515,083号(Kaneka Corporation, Osaka, JP)および第4,946,899号(University of Akron, Akron, OH)において開示されている。
ブロックコポリマーを製造するために用いうるリビングチーグラー-ナッタ重合法は、G.W. Coates, P.D. Hustad, and S. Reinartz in Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 2236-2257によって総説が発表された。H. Zhang and K. Nomura (JACS Communications, 2005)によるその後の発表は、特にスチレンブロックコポリマーを製造するためのリビングZ-N技術の使用を記載している。窒素酸化物が仲介するリビングラジカル重合化学の分野における以前の研究が、例えば、C.J. Hawker, A.W. Bosman, and E. Harth, Chemical Reviews, 101(12), pp. 3661-3688 (2001)にまとめられている。その総説において概略が記載されているとおり、スチレンブロックコポリマーをリビングまたは安定フリーラジカル技術を用いて製造することができた。本明細書に記載の技術の少なくとも1つの態様によるポリマーのために、窒素酸化物が仲介する重合法が好ましいリビングまたは安定フリーラジカル重合法であろう。
1. 前駆体ポリマーの構造
本明細書に記載の技術は、米国特許出願第11/458,856号に記載のとおり、スルホン化ブロックコポリマーを製造するために特に適しており、この出願の記載は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
少なくとも1つの態様に従い、前駆体ブロックポリマーは少なくとも2つのポリマー末端ブロックおよび少なくとも1つの飽和ポリマー内部ブロックを含む。各末端ブロックはスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、少なくとも1つの内部ブロックはスルホン化に感受性の飽和ポリマーブロックである。好ましくは、末端および内部ブロックはオレフィン不飽和を実質的に含まない。同様に好ましくは、各末端ブロックは独立に約1,000から約60,000の間の数平均分子量を有し、各内部ブロックは独立に約10,000から約300,000の間の数平均分子量を有する。
少なくとも1つの好ましい態様に従い、前駆体ブロックポリマーは、スルホン化後、末端ブロックのモルパーセンテージがブロックコポリマーが水に不溶性かつ水に非分散性となるのに十分であるようなものであるべきである。前記ブロックコポリマーにおいて、末端ブロックのモルパーセントは15%より大きくてもよく、または20%より大きい、または20%より大きく70%未満、または20%より大きく50%未満であってもよい。いかなる特定の理論にも縛られることなく、末端ブロックの疎水性単位はスルホン化ブロックコポリマーの不溶性に貢献していると考えられる。さらに、末端ブロックのモルパーセントがより低い値に近づく場合、全ブロックコポリマーの疎水性を、疎水性モノマー単位を内部ブロックに取り込むことによって調節することができる。
いくつかの態様において、本発明の技術によってスルホン化する前駆体ブロックポリマーは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのポリマー末端または外部ブロックAおよび少なくとも1つの飽和ポリマー内部ブロックBを有し、ここで各Aブロックは独立にスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、各Bブロックは独立にスルホン化に感受性のポリマーブロックである。
好ましい構造は一般構造A-B-A、(A-B)n(A)、(A-B-A)n、(A-B-A)nX、(A-B)nX 、A-B-D-B-A、A-D-B-D-A、(A-D-B)n(A)、(A-B-D)n(A)、(A-B-D)nX、(A-D-B)nX、A-B-B-B-A、(A-B-B)nX、またはそれらの混合物を有し、式中nは1から約30の整数であり、Xはカップリング剤の残基である。より好ましい構造は直鎖のA-B-A、A-D-B-D-A、(A-B)2X、(A-B-D)2Xおよび(A-D-B)2X構造または放射状構造(A-B)nX、(A-B-D)nXおよび(A-D-B)nXのいずれかであり、式中nは3から6である。そのようなブロックコポリマーは典型的には、例えば、アニオン重合、カチオン重合またはチーグラー-ナッタ重合を介して製造する。好ましくは、ブロックコポリマーはアニオン重合を介して製造する。任意の重合において、ポリマー混合物は、任意の直鎖および/または放射状ポリマーに加えて、特定の量のジブロックコポリマー(例えば、A-Bコポリマー)を含みうる。
Aブロックは、重合した(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)3から18炭素原子のアルファオレフィン、(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役ジエンのモノマー、(vi)アクリル酸エステル、(vii)メタクリル酸エステル、(viii)それらの誘導体、および(ix)それらの混合物から選択される1つまたは複数のセグメントでありうる。Aセグメントが1,3-シクロジエンまたは共役ジエンのポリマーである場合、このセグメントは重合後に水素化することができる。
パラ-置換スチレンモノマーは、例えば、パラ-メチルスチレン、パラ-エチルスチレン、パラ-n-プロピルスチレン、パラ-イソ-プロピルスチレン、パラ-n-ブチルスチレン、パラ-sec-ブチルスチレン、パラ-イソ-ブチルスチレン、パラ-t-ブチルスチレン、パラ-デシルスチレンの異性体、パラ-ドデシルスチレンの異性体、それらの誘導体、またはそれらの混合物から選択することができる。好ましいパラ-置換スチレンモノマーには、パラ-t-ブチルスチレンおよびパラ-メチルスチレンが含まれ、パラ-t-ブチルスチレンが最も好ましい。モノマーは特定の原料に応じてモノマーの混合物であってもよい。パラ-置換スチレンモノマーの全純度は所望のパラ-置換スチレンモノマーの少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも98重量%である。
Aブロックがエチレンのポリマーである場合、前述のG. W. Coatesらの総説における引用文献で教示されるとおり、エチレンをチーグラー-ナッタ法で重合することが有用でありえ、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。米国特許第3,450,795号(Langerら)において教示されるとおり、エチレンブロックをアニオン重合を用いて製造することが好ましく、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。そのようなエチレンブロックのブロック分子量は典型的には約1,000から約60,000の間である。
Aブロックが3から18炭素原子のアルファオレフィンのポリマーである場合、そのようなポリマーは、前述のG. W. Coatesらの総説における引用文献で教示されるとおり、チーグラー-ナッタ法によって調製することができ、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。好ましくは、アルファオレフィンはプロピレン、ブチレン、ヘキサンまたはオクテンであり、プロピレンが最も好ましい。そのようなアルファオレフィンのブロック分子量は典型的には約1,000から約60,000の間である。
Aブロックが1,3-シクロジエンモノマーの水素化ポリマーである場合、そのようなモノマーは1,3-シクロヘキサジエン、1,3-シクロヘプタジエン、または1,3-シクロオクタジエンから選択することができる。好ましくは、シクロジエンモノマーは1,3-シクロヘキサジエンである。そのようなシクロジエンモノマーの重合は米国特許第6,699,941号(Kraton Polymers U.S. LLC, Houston, TX)に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。本発明の技術の少なくともいくつかの態様において、シクロジエンモノマーを用いるときは、非水素化重合シクロジエンブロックはスルホン化に感受性でありうるため、Aブロックを水素化することが好ましい。
Aブロックが、水素化前に35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役アクリルジエンの水素化ポリマーである場合、共役ジエンは1,3-ブタジエンであることが好ましい。水素化前のAブロックのビニル含有率は35モルパーセント未満であることが好ましく、より好ましくは30モルパーセント未満である。特定の態様において、水素化前のAブロックのビニル含有率は25モルパーセント未満、好ましくは20モルパーセント未満、より好ましくは15モルパーセント未満、さらにより好ましくは10モルパーセント未満である。このように、Aブロックは、ポリエチレンのものと同様、結晶構造を有しうる。そのようなAブロック構造は米国特許第3,670,054号(Shell Oil Company, New York, NY)および第4,107,236号(Phillips Petroleum Company, Bartlesville, OK)に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。
Aブロックはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのポリマーであってもよい。これらのポリマーブロックは、米国特許第6,767,976号(Kuraray Co., Ltd., Kurashiki, JP)に開示されている方法に従って製造してもよく、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。メタクリル酸エステルの具体例には、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸トリフルオロエチルなどの、一級アルコールとメタクリル酸とのエステル;メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸イソボルニルなどの、二級アルコールとメタクリル酸とのエステル;またはメタクリル酸tert-ブチルなどの、三級アルコールとメタクリル酸とのエステルが含まれる。アクリル酸エステルの具体例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリフルオロエチルなどの、一級アルコールとアクリル酸とのエステル;アクリル酸イソプロピル、アクリル酸シクロヘキシルおよびアクリル酸イソボルニルなどの、二級アルコールとアクリル酸とのエステル;またはアクリル酸tert-ブチルなどの、三級アルコールとアクリル酸とのエステルが含まれうる。
必要があれば、1つまたは複数の原料として、1つまたは複数の他のアニオン重合可能モノマーを、本明細書に記載の技術においてメタクリル酸またはアクリル酸エステルと共に用いてもよい。任意に用いることができるアニオン重合可能モノマーの例には、メタクリル酸トリメチルシリル、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、アクリル酸トリメチルシリル、N-イソプロピルアクリルアミド、およびN-tert-ブチルアクリルアミドなどのメタクリルまたはアクリルモノマーが含まれる。さらに、その分子内にメタクリル酸エステル構造またはアクリル酸エステル構造などの複数のメタクリルまたはアクリル構造を有する多官能性アニオン重合可能モノマー(例えば、ジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,4-ブタンジオール、ジメタクリル酸1,4-ブタンジオール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6-ヘキサンジオール、トリアクリル酸トリメチロールプロパンおよびトリメタクリル酸トリメチロールプロパン)を用いてもよい。
アクリル酸またはメタクリル酸エステルポリマーブロックを製造するために用いる重合法において、モノマーの一つ、例えば、メタクリル酸もしくはアクリル酸エステルを用いてもよく、またはその複数を組み合わせて用いてもよい。複数のモノマーを組み合わせて用いる場合、ランダム、ブロック、テーパードブロックなどの共重合型から選択される任意の共重合型は、モノマーの組み合わせおよびモノマーを重合系に加えるタイミング(例えば、複数のモノマーの同時添加、または所与の時間間隔での別々の添加)などの条件を選択することにより影響されうる。
Aブロックは、Bブロックについて以下に言及するビニル芳香族モノマーを約15モルパーセントまで含んでいてもよい。いくつかの態様において、Aブロックは、Bブロックについて以下に言及するビニル芳香族モノマーを約10モルパーセントまで含んでいてもよく、好ましくはわずかに約5モルパーセントまで、特に好ましくはわずかに約2モルパーセントまで含むことになる。しかし、最も好ましい態様において、Aブロックは、Bブロックについて以下に言及するビニル芳香族モノマーを実質的に含まない。したがって、Aブロックのスルホン化度はAブロック中の全モノマーの約ゼロ(0)から約15モルパーセントでありうる。この範囲は本明細書により記載するモルパーセントのすべての組み合わせを含みうることに留意されたい。
飽和Bブロックに関して、各Bブロックは、無置換スチレンモノマー、オルト-置換スチレンモノマー、メタ-置換スチレンモノマー、アルファ-メチルスチレンモノマー、1,1-ジフェニルエチレンモノマー、1,2-ジフェニルエチレンモノマー、それらの誘導体、およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数の重合ビニル芳香族モノマーのセグメントを含むことができる。直前に示したモノマーおよびポリマーに加えて、Bブロックは、約20から約80モルパーセントの間のビニル含有率を有する、そのようなモノマーの1,3-ブタジエン、イソプレンおよびそれらの混合物から選択される共役ジエンとの水素化コポリマーを含んでいてもよい。水素化ジエンとのこれらのコポリマーはランダムコポリマー、テーパードコポリマー、ブロックコポリマーまたは制御分布コポリマーでありうる。したがって、下記の2つの好ましい構造がある:Bブロックが水素化されており、この段落で示した共役ジエンとビニル芳香族モノマーとのコポリマーを含むもの、およびBブロックが、モノマーの性質により飽和しており、水素化の追加段階を必要としない、無置換スチレンモノマーブロックであるもの。
制御分布構造を有するBブロックが、Kraton Polymers U.S. LLC, Houston, TXによって提出された米国公開特許出願第2003/0176582号に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。スチレンブロックを含むBブロックは本明細書に記載している。一つの好ましい態様において、ポリマーが別の水素化段階を必要としないため、飽和Bブロックは無置換スチレンブロックである。
加えて、本明細書に記載の技術のもう一つの局面は、前駆体ブロックポリマー中にガラス転移温度が約20℃未満の少なくとも1つの衝撃改質剤ブロックDを含むことである。衝撃改質剤ブロックDの1つのそのような例は、約20から約80モルパーセントの間の水素化前のビニル含有率および約1,000から約50,000の間の数平均分子量を有する、イソプレン、1,3-ブタジエンおよびそれらの混合物から選択される共役ジエンの水素化ポリマーまたはコポリマーを含む。ブロックDのもう一つの例は、約1,000から約50,000の数平均分子量を有するアクリレートまたはシリコーンポリマーでありうる。さらにもう一つの例において、Dブロックは約1,000から約50,000の数平均分子量を有するイソブチレンのポリマーでありうる。
いくつかの態様に従い、各Aブロックは独立に約1,000から約60,000の間の数平均分子量を有し、各Bブロックは独立に約10,000から約300,000の間の数平均分子量を有する。好ましくは、各Aブロックは約2,000から約50,000の間、より好ましくは約3,000から約40,000の間、さらにより好ましくは約3,000から約30,000の間の数平均分子量を有する。好ましくは、各Bブロックは約15,000から約250,000の間、より好ましくは約20,000から約200,000の間、さらにより好ましくは約30,000から約100,000の間の数平均分子量を有する。この範囲は本明細書により記載する前記数平均分子量のすべての組み合わせも含みうることに留意されたい。
ブロックの分子量は、例えば、光散乱測定によりもとめることができ、数平均分子量で表す。好ましくは、本明細書に記載の技術の前駆体ポリマーは、約8モルパーセントから約80モルパーセントのAブロック、好ましくは約10から約60モルパーセントのAブロック、より好ましくは約15モルパーセントよりも多いAブロック、さらにより好ましくは約20から約50モルパーセントのAブロックを有する。
いくつかの態様において、前駆体ブロックポリマー中のスルホン化感受性ビニル芳香族モノマー(例えば、無置換スチレンモノマー、オルト-置換スチレンモノマー、メタ-置換スチレンモノマー、アルファ-メチルスチレンモノマー、1,1-ジフェニルエチレンモノマー、1,2-ジフェニルエチレンモノマー、それらの誘導体、またはそれらの混合物でありうる)の相対量は約5から約90モルパーセント、好ましくは約5から約85モルパーセントである。もう一つの態様において、この量は、前駆体ポリマー中のモノマーの全モル量に基づき、約10から約80モルパーセント、好ましくは約10から約75モルパーセント、より好ましくは約15から約75モルパーセントでありえ、最も好ましいのは約25から約70モルパーセントである。この範囲は本明細書により記載するモルパーセントのすべての組み合わせを含みうることに留意されたい。
飽和Bブロックについて、一つの好ましい態様において、各Bブロック中のビニル芳香族モノマー(無置換スチレンモノマー、オルト-置換スチレンモノマー、メタ-置換スチレンモノマー、アルファ-メチルスチレンモノマー、1,1-ジフェニルエチレンモノマー、1,2-ジフェニルエチレンモノマー、それらの誘導体、またはそれらの混合物でありうる)のモルパーセントは約10から約100モルパーセント、好ましくは約25から約100モルパーセント、より好ましくは約50から約100モルパーセント、さらにより好ましくは約75から約100モルパーセント、最も好ましくは100モルパーセントである。この範囲は本明細書により記載するモルパーセントのすべての組み合わせを含みうることに留意されたい。
前駆体ブロックポリマーの非限定例には、以下の一般構造で表しうるものが含まれる:
i) (ptBS-S)n
ii) (ptBS-EB-S)n
iii) (ptBS-S/EB)n
iv) (ptBS-S/EB-S)n;または
v) (ptBS-S-S/EB)n
式中:ptBS=パラ-tert-ブチルスチレンブロック;S=スチレンブロック;EB=水素化ポリブタジエンブロック;およびS/EB=ブタジエンおよびスチレンの水素化ブロック、式中n=1から30。
2. 前駆体ポリマーを調製するための全アニオン法
前駆体ポリマーを調製するための方法に関して、アニオン重合法は溶液中の適当なモノマーをリチウム開始剤で重合する段階を含む。重合媒体として用いる溶媒は、形成中のポリマーのリビングアニオン鎖末端と反応せず、市販の重合単位において容易に扱われ、生成物ポリマーのために適当な溶解特性を提供する、任意の炭化水素でありうる。例えば、非極性脂肪族炭化水素は一般にイオン化可能な水素原子を持たず、特に適した溶媒となる。本明細書に記載の技術のために好ましい溶媒には、ハロゲン化溶媒を実質的に含まない非ハロゲン化脂肪族溶媒が含まれる。有用な溶媒には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびシクロオクタンなどの環式アルカンが含まれ、これらはすべてハロゲン化されておらず、相対的に非極性である。他の適当な溶媒は当業者には公知で、工程条件の所与の設定で有効に実施するために選択することができ、重合温度は考慮に入れる主要な因子の一つである。
本発明のブロックコポリマーを調製するための出発原料には、前述の初期モノマーが含まれる。アニオン共重合のための他の重要な出発原料には、1つまたは複数の重合開始剤が含まれる。本発明の技術において、そのような重合開始剤には、例えば、s-ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、アミルリチウムなどのアルキルリチウム化合物、およびm-ジイソプロペニルベンゼンのジ-sec-ブチルリチウム付加物などのジ-開始剤を含む他の有機リチウム化合物が含まれる。様々な重合開始剤のうち、s-ブチルリチウムが好ましい。開始剤は重合混合物(モノマーおよび溶媒を含む)中、所望のポリマー鎖1つにつき1つの開始剤分子に基づいて計算した量で用いることができる。リチウム開始剤法は当技術分野において周知で、当業者には容易に利用可能である。
本発明の技術のブロックコポリマーを調製するための重合条件は、典型的には一般にアニオン重合のために用いるものと同様である。本発明の技術のいくつかの態様に従い、重合は好ましくは約-30℃から約150℃、より好ましくは約10℃から約100℃、最も好ましくは、工業的限界を鑑みて、約30℃から約90℃の温度で行うことができる。重合は不活性雰囲気、好ましくは窒素雰囲気下で行うことができ、約0.5から約10バールの範囲内の圧力下で達成しうる。この共重合は一般に約12時間未満を必要とし、温度、モノマー成分の濃度、および望まれるポリマーの分子量に応じて、約5分から約5時間で達成することができる。複数のモノマーを組み合わせて用いる場合、ランダム、ブロック、テーパードブロック、制御分布ブロックなどの共重合型から選択される任意の共重合型を用いてもよい。
アニオン重合法はアルミニウムアルキル、マグネシウムアルキル、亜鉛アルキル、またはその組み合わせなどのルイス酸の添加により緩和しうることが理解される。加えたルイス酸の重合法への効果には下記の1つまたは複数が含まれる:(1)リビングポリマー溶液の粘性を低下させて、より高いポリマー濃度で操作し、したがってより少ない溶媒を用いる方法を可能にする、(2)リビングポリマー鎖末端の熱安定性を増強し、これはより高い温度での重合を可能にし、またポリマー溶液の粘性を低下させて、より少ない溶媒の使用を可能にする、および(3)反応速度を低下させ、これはより高い温度での重合を可能にする一方で、標準のアニオン重合法で用いられてきた反応の熱を除去するために同じ技術を用いる。アニオン重合技術を緩和するためにルイス酸を用いる加工上の利点は様々な文献に開示され、当技術分野において公知である。そのような緩和されたアニオン重合法によって製造したポリマーは、通常のアニオン重合法を用いて調製したものと同じ構造を有することができ、したがってこの方法は本発明の技術の前駆体ポリマーを製造する上で有用でありうる。
ルイス酸で緩和されたアニオン重合法のために、約100℃から約150℃の間の反応温度では非常に高いポリマー濃度で反応を実施することが可能であるため、これらの温度が好ましい。化学量論的過剰のルイス酸を用いてもよいが、ほとんどの場合、過剰のルイス酸の余分のコストに見合うだけの十分な加工上の利益はない。緩和アニオン重合技術による方法の能力改善を達成するために、リビングアニオン鎖末端1モルあたり約0.1から約1モルのルイス酸を用いることが好ましい。
当業者であれば理解しうるとおり、直鎖ポリマーを逐次ブロック重合により調製してもよい。放射状(分枝)ポリマーの調製は、「カップリング」と呼ばれる重合後段階を必要とする。いくつかの態様に従い、前述の放射状の式における「n」は1から約30、好ましくは約2から約15、より好ましくは2から6の整数であり、Xはカップリング剤の残りまたは残基である。様々なカップリング剤が当技術分野において公知で、本明細書に記載の技術のカップリングしたブロックコポリマーを調製する際に用いることができる。これらのカップリング剤には、例えば、ジハロアルカン、ハロゲン化シリコン、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、1価アルコールのカルボン酸とのエステル(例えば、安息香酸メチルおよびアジピン酸ジメチル)およびエポキシド化オイルが含まれる。
星形ポリマーは、例えば、米国特許第3,985,830号、第4,391,949号、および第4,444,953号、ならびにカナダ特許第716,645号に開示されているポリアルケニルカップリング剤によって調製することができ、これらの開示はそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。適当なポリアルケニルカップリング剤には、ジビニルベンゼン、好ましくはm-ジビニルベンゼンが含まれる。他の好ましいポリアルケニルカップリング剤には、テトラ-メトキシシラン(TMOS)およびテトラ-エトキシシラン(TEOS)などのテトラ-アルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)などのトリ-アルコキシシラン、アジピン酸ジメチルおよびアジピン酸ジエチルなどの脂肪族エステル、ならびにビス-フェノールAとエピクロロヒドリンとの反応由来のジグリシジルエーテルなどのジグリシジル芳香族エポキシ化合物が含まれる。当業者であれば、逐次、放射状、および/または星形ポリマーまたはその組み合わせを製造するための方法の任意の組み合わせを、本明細書に記載し、添付の特許請求の範囲において示す、本発明の技術の実施において用いうることを理解すべきである。
3. 水素化ブロックコポリマーの調製法
いくつかの場合、例えば、(1)B内部ブロックにジエンがある場合、(2)Aブロックが1,3-シクロジエンのポリマーである場合、(3)衝撃改質剤ブロックDがある場合、または(4)Aブロックが約35モルパーセント未満のビニル含有率を有する共役ジエンのポリマーである場合、オレフィン不飽和を実質的に除去するためにブロックコポリマーを選択的に水素化することが好ましい。水素化は一般に最終ポリマーの熱安定性、紫外線安定性、酸化安定性と、したがって、耐候性を改善することができ、前述のAブロックまたはDブロックのスルホン化のためのいかなる機会も低減する。
水素化は、当技術分野において公知のいくつかの水素化または選択的水素化法のいずれかによって実施することができる。一般に、これらの方法はエチレン不飽和を含むポリマーを水素化するために行い、適当な触媒の作用に基づいていてもよい。そのような触媒、または触媒前駆体は、好ましくは、アルミニウムアルキルまたは元素周期表のI-A、II-AおよびIII-B族から選択される金属、特にリチウム、マグネシウムもしくはアルミニウムの水素化物などの適当な還元剤と組み合わせることができる、ニッケルまたはコバルトなどのVIII族金属を含む。この調製は適当な溶媒または希釈剤中、約20℃から約80℃の温度で達成することができる。有用な他の触媒には、例えば、チタンの触媒系が含まれる。
本明細書に記載の技術のいくつかの態様において、共役ジエン二重結合の少なくとも約90パーセントが還元され、アレーン二重結合のゼロから約10パーセントが還元されるような条件下で水素化を行うことができる。好ましい範囲は、共役ジエン二重結合の少なくとも約95パーセントが還元され、より好ましくは共役ジエン二重結合の約98パーセントが還元されるような範囲である。
一つの好ましい態様において、水素化がいったん完了すると、得られる前駆体ポリマー溶液または混合物から水素化触媒を除去する、または前駆体ポリマーを回収することなく、このポリマー溶液または混合物をスルホン化することができる。
もう一つの態様において、水素化がいったん完了すると、前駆体ポリマー溶液または混合物を比較的大量の水性酸(好ましくは約1から約30重量パーセントの酸)と、水性酸とポリマー溶液または混合物の体積比約0.5対約1で撹拌することにより、触媒を酸化および抽出するために処理する。酸の性質は重要ではない。適当な酸には、例えば、リン酸、硫酸および有機酸が含まれる。この撹拌は約50℃で約30から約60分間、窒素中の酸素混合物をスパージしながら続けることができる。酸素と炭化水素の爆発性混合物の生成を避けるために、この段階では注意すべきである。当業者であれば、本発明の技術のいくつかの態様において、そのように処理した水素化ポリマーは、残留する水がスルホン化反応を阻害または防止しないように、続くスルホン化の前に乾燥すべきであることを理解するであろう。
4. スルホン化ポリマーの製造法
ポリマーを重合し、望まれる場合には水素化した後、本明細書に記載の技術の方法により、非ハロゲン化脂肪族溶媒中、硫酸アシルなどのスルホン化試薬を用いてこれをスルホン化することができる。いくつかの態様において、前駆体ポリマーの生成により得られる反応混合物から単離、洗浄、および乾燥した後に、前駆体ポリマーをスルホン化することができる。いくつかの他の態様において、前駆体ポリマーを、前駆体ポリマーの生成により得られる反応混合物から単離することなくスルホン化することもできる。
一般に、本明細書に記載の技術の方法は、前述の構造のスチレンブロックコポリマーをシクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンなどの非ハロゲン化脂肪族溶媒中、硫酸アシルなどのスルホン化試薬を用いてスルホン化することができる。本発明の技術の反応系におけるスルホン化ポリマーは、良好なスルホン化変換を達成するために十分な溶解性を示す。本発明の技術のいくつかの好ましい態様において、反応系はハロゲン化溶媒を実質的に含まない。本発明の技術の方法に従い、少なくともスルホン化の初期段階の間、前駆体ポリマー濃度を前駆体ポリマーの限界濃度未満に維持することにより、反応混合物、反応生成物、または両方において処理不能となるゲル化を起こさない様式で、高レベルのスチレンスルホン化を達成することができる。しかし、当業者であれば、本発明の技術のいくつかの態様において、特にセミバッチまたは連続生成法において、スルホン化ポリマーの生成中に反応混合物中のポリマーの全濃度が前駆体ポリマーの限界濃度よりも高くなりうることを理解するであろう。
本発明の技術のいくつかの態様に従い、反応混合物、反応生成物、または両方においてポリマーの沈澱が実質的になく、処理不能となるゲル化を起こさない様式で、高レベルのスチレンスルホン化を達成することができる。当業者であれば、ポリマーの沈澱が実質的にない混合物中で、処理の経過中に局部的な溶媒蒸発の結果、少量のポリマーが表面上に沈着しうることを理解するであろう。例えば、本発明の技術のいくつかの態様に従い、混合物中のポリマーの5%以下が沈澱した場合に、混合物はポリマーの沈澱が実質的にないと考える。
それよりも低いければポリマーのゲル化が処理不能とならないか、または無視できる限界濃度はポリマーの組成に依存するため、スルホン化を行うことができるポリマー濃度は出発ポリマーの組成に依存する。前述のとおり、限界濃度は、用いる溶媒または溶媒混合物の同一性および望まれるスルホン化度などの他の因子にも依存しうる。一般に、ポリマー濃度は、好ましくはハロゲン化溶媒を実質的に含まない反応混合物の全重量に基づき、約1重量%から約30重量%、または約1重量%から約20重量%、または約1%から約15重量%、または約1%から約12重量%、または約1重量%から約10重量%の範囲内に入る。本明細書に記載の技術のいくつかの態様に従い、前駆体ポリマーまたは前駆体ポリマーの混合物の初期濃度は、反応混合物の全重量に基づき、前駆体ポリマーの限界濃度未満、または約0.1重量%から前駆体ポリマーの限界濃度未満の濃度の範囲、または約0.5重量%から前駆体ポリマーの限界濃度未満の濃度、または約1.0重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度、または約2.0重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度、または約3.0重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度、または約5.0重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも約0.1重量%低い濃度に維持するべきである。
実施例の項に例示するとおり、構造(ptBS-EB-S)nで約42%のスチレン含有率および約43%のパラ-tert-ブチルスチレン含有率を有するブロックコポリマーのスルホン化は約5%から6%のポリマー濃度で都合よく実施しうるが、同じブロックコポリマーの約7%のポリマー濃度でのスルホン化は反応混合物および反応生成物の処理不能となるゲル化を引き起こす。
少なくともいくつかの態様において、ポリマー濃度を限界濃度未満に維持することで、ゲル化を起こす高濃度条件に比べて副生成物であるカルボン酸の濃度が低い反応混合物を得ることができる。さらに、実施例の項に例示するとおり、本発明の技術の方法によりポリマーの沈澱または処理不能となるゲル化を起こすことなく達成しうるスチレン単位のスルホン化度は、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でのポリスチレンのスルホン化について文献で報告されたものを予想外に大きく上回っている。
本明細書に記載の技術の方法を実施する際に、硫酸アシル生成のための任意の公知の方法を用いてもよい。アシル基は好ましくはC2からC8、またはC3からC8、またはC3からC5の、直鎖、分枝、または環式カルボン酸、無水物、もしくは酸塩化物、またはそれらの混合物から誘導される。好ましくは、これらの化合物は非芳香族炭素-炭素二重結合、ヒドロキシル基、または硫酸アシルと反応性であるか、もしくはスルホン化反応条件下で容易に分解する任意の他の官能基を含まない。例えば、カルボニル官能基からアルファ位に脂肪族4級炭素を有するアシル基(例えば、無水トリメチル酢酸から誘導される硫酸アシル)は、ポリマースルホン化反応中に容易に分解するようで、好ましくは本明細書に記載の技術においては避けるべきである。本発明の技術において硫酸アシルの生成のために有用なアシル基の範囲内に同様に含まれるものは、無水安息香酸および無水フタル酸などの芳香族カルボン酸、無水物、および酸塩化物から誘導されるものである。より好ましくは、アシル基はプロピオニル、n-ブチリル、およびイソブチリルの群より選択される。さらにより好ましくは、アシル基はイソブチリルである。硫酸イソブチリルは高いポリマースルホン化度および相対的に最小の副生成物の生成を提供しうることが明らかにされている。
カルボン酸無水物および硫酸からの硫酸アシルの生成は以下の一般式で表すことができる。
Figure 0005457837
硫酸アシルはスルホン化反応の過程でゆっくり分解して、以下の一般式のアルファ-スルホン化カルボン酸を生じる。
Figure 0005457837
本明細書に記載の技術の一つの態様において、硫酸アシル試薬を、非ハロゲン化脂肪族溶媒中のポリマー溶液への添加前に別の「事前生成」反応において行う反応中のカルボン酸無水物および硫酸から得る。事前生成反応は溶媒あり、または溶媒なしで行うことができる。硫酸アシルを事前生成するために溶媒を用いる場合、溶媒は好ましくは非ハロゲン化溶媒である。または、硫酸アシル試薬は非ハロゲン化脂肪族溶媒中のポリマー溶液内のインサイチュー反応において得ることもできる。本発明の技術のこの態様に従い、無水物と硫酸のモル比は約0.8対約2、好ましくは約1.0対約1.4でありうる。この好ましい方法において用いる硫酸は、好ましくは約93重量%から約100重量%の濃度、より好ましくは約95重量%から約100重量%の濃度を有する。当業者であれば、油強度が反応混合物の意図しない炭化を避ける、または最小とするのに十分であるとの条件で、硫酸アシルを生成するためのインサイチュー反応における硫酸の代替物として油を用いうることを理解するであろう。
本発明の技術のもう一つの態様において、硫酸アシル試薬を、脂肪族溶媒中のポリマー溶液への添加前に別の「事前生成」反応において行う反応中のカルボン酸無水物および油から得ることができ、ここで油強度は約1%から約60%遊離三酸化硫黄、または約1%から約46%遊離三酸化硫黄、または約10%から約46%遊離三酸化硫黄の範囲であり、ここで無水物と油中に存在する硫酸のモル比は約0.9対約1.2である。
加えて、硫酸アシル試薬はカルボン酸無水物から硫酸、油、または三酸化硫黄の任意の組み合わせとの反応により調製することもできる。さらに、硫酸アシル試薬はカルボン酸からクロロスルホン酸、油、三酸化硫黄、またはその任意の組み合わせとの反応により調製することもできる。さらに、硫酸アシル試薬はカルボン酸塩化物から硫酸との反応により調製することもできる。または、硫酸アシルをカルボン酸、無水物、および/または酸塩化物の任意の組み合わせから調製してもよい。
ポリマーのスチレン反復単位の硫酸アシルによるスルホン化は以下の一般式で表すことができる。
Figure 0005457837
ポリマー溶液中に存在するスルホン化感受性モノマー反復単位のモル数に対して用いうる硫酸アシル試薬の量は、軽度にスルホン化されたポリマー生成物のための非常に低いレベルから重度にスルホン化されたポリマー生成物のための高レベルまでの範囲でありうる。硫酸アシルのモル量は、所与の方法から生成しうる硫酸アシルの理論量として決定することができ、その量は反応中の制限試薬によって規定される。本発明の技術のいくつかの態様に従い、硫酸アシルのスチレン反復単位(すなわち、スルホン化感受性単位)に対するモル比は約0.1から約2.0、または約0.2から約1.3、または約0.3から約1.0でありうる。
本明細書に記載の技術の少なくともいくつかの態様に従い、ブロックポリマー中のスルホン化に感受性のビニル芳香族モノマーのスルホン化度は、スルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約0.4ミリ当量(meq)(0.4meq/g)よりも大きい、またはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約0.6meq(0.6meq/g)よりも大きい、またはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約0.8meq(0.8meq/g)よりも大きい、またはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.0meq(1.0meq/g)よりも大きい、またはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.4meq(1.4meq/g)よりも大きい。例えば、前述の前駆体ポリマーを本明細書に記載の技術の方法に従ってスルホン化した後、典型的なスルホン化のレベルは各Bブロックが1つまたは複数のスルホン官能基を含むレベルである。好ましいスルホン化のレベルは、各Bブロックにおけるスルホン化感受性ビニル芳香族モノマーのモルパーセントに基づき、約10から約100モルパーセント、または約20から95モルパーセント、または約30から90モルパーセント、または約40から約70モルパーセントで、このモノマーは、例えば、無置換スチレンモノマー、オルト-置換スチレンモノマー、メタ-置換スチレンモノマー、アルファ-メチルスチレンモノマー、1,1-ジフェニルエチレンモノマー、1,2-ジフェニルエチレンモノマー、それらの誘導体、またはそれらの混合物でありうる。スルホン化の範囲は本明細書に記載のモルパーセントのすべての組み合わせを含みうることに留意されたい。
スルホン化ポリマーのスルホン化のレベルまたはスルホン化度は、当業者には公知のNMRおよび/もしくは滴定法、ならびに/または以下の実施例に記載し、当業者には理解されると思われる2つの別々の滴定を用いる方法によって測定することができる。例えば、本発明の技術の方法から得られる溶液を約63℃で1H NMRにより分析することができる。スチレンスルホン化のパーセンテージは、1H NMRスペクトルの芳香族シグナルの積分から算出することができる。もう一つの例のために、反応生成物を2つの別々の滴定(「2滴定法」)により分析して、スチレンポリマースルホン酸、硫酸、および非ポリマー副生成物のスルホン酸(例えば、2-スルホ-アルキルカルボン酸)を定量し、次いで質量バランスに基づきスチレンスルホン化度を算出することができる。NMR法および2滴定法に関するさらなる情報は以下の実施例2に記載している。または、スルホン化のレベルを、アルコールおよび水の混合溶媒中のNaOHの標準化溶液を含むテトラヒドロフランに再溶解した、乾燥ポリマー試料の滴定によりもとめることができる。この最後の場合、副生成物の酸の厳密な除去を確実にすることが好ましい。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、ポリマーの沈澱または処理不能となるゲル化を起こすことなく非ハロゲン化溶媒中で良好なスルホン化レベルを達成しうる手段は、スチレンスルホン酸部分を溶媒から分離し、それによりゲル化を引き起こしうるポリマー連合性増粘様挙動を防止または最小化する、ミセルおよび/または他のポリマー凝集物をポリマーが形成するメカニズムを通じてである。そのような分離の重要性は、反応媒質からの分離後、スルホン化ポリマー生成物は同じ非ハロゲン化脂肪族溶媒に再度溶解しないが、テトラヒドロフラン(THF)またはキシレンとイソプロピルアルコールの混合物などの極性が高い溶媒または溶媒混合物には容易に溶解するという事実により例示される。溶液または混合物中でスルホン化ポリマーミセルおよび/または他のポリマー凝集物が形成されたという証拠は、動的光散乱に基づく粒径分析によって得られている。いくつかの場合に、出発ポリマー組成および溶媒の選択に依存して、スルホン化前の初期ポリマー溶液は希薄状態での動的光散乱により判断して大部分はミセルおよび/または他のポリマー凝集物を含まないこともあり、その後、スルホン化変換の比較的早期にそのようなミセルおよび/または他のポリマー凝集物を形成する。他の場合には、初期ポリマー溶液は主に凝集種からなることもあり、これは直接スルホン化し、光散乱特性にほとんど変化を伴わない。さらにいくつかの他の場合には、初期ポリマー溶液はミセルおよび非凝集ポリマーの混合物からなることもある。ブロックの異なる溶解性に基づくブロックコポリマーからのミセルおよび/または他のポリマー凝集物の形成は当技術分野において周知で、例えば、J. Noolandi and K.M. Hong, Macromolecules (16), page 1443, 1983 and J.R. Quintana, M. Villacampa, M. Munoz, A. Andrio and I. Katime, Macromolecules, (25), page 3125 and 3129, 1992を参照されたい。ミセル溶液および混合物からの動的光散乱については、A. S. Yeung and C. W. Frank, Polymer, 31, pages 2089-2100 and 2101-2111 (1990)参照。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、本発明の技術のいくつかの態様のために、前述のスルホン化反応中に形成したミセルは、非ハロゲン化脂肪族溶媒で膨潤した1つまたは複数のスルホン化抵抗性ブロック(例えば、外殻)によって囲まれた、1つまたは複数のスルホン化ブロックおよび多量の硫酸アシルスルホン化剤を含む内核を有すると記載することができる。本発明の技術のいくつかの態様のために、スルホン化反応中に形成した他のポリマー凝集物は、ミセルについて前述した記載以外の様式でポリマー鎖の凝集から生じる分離または非分離構造、および/または複数の分離したミセルのゆるく凝集した群と記載することができる。当業者であれば、本発明の技術のミセルおよび/または他のポリマー凝集物は、ポリマーの組成および溶媒の質に応じた1つまたは複数のポリマー分子を含みうることを理解するであろう。
本明細書に記載の技術は、反応混合物を生成するために非ハロゲン化脂肪族溶媒を用いる。本発明の技術の少なくともいくつかの態様に従い、反応混合物はハロゲン化溶媒を実質的に含まない。非ハロゲン化溶媒は、約5から約10炭素の直鎖、分枝、および環式脂肪族炭化水素でありうる。適当な非ハロゲン化溶媒の例には、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。好ましい非ハロゲン化溶媒はシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、またはそれらの混合物である。より好ましい非ハロゲン化溶媒はシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、またはそれらの混合物である。
本発明の技術の少なくともいくつかの態様のために、ポリマーミセルおよび/または他のポリマー凝集物は、単一の非ハロゲン化溶媒を用いる場合でも、スルホン化前にあらかじめ形成しうることが明らかにされている。さらに、本発明の技術の少なくともいくつかの他の態様のために、第一の非ハロゲン化脂肪族溶媒中の前駆体ポリマーの溶液に第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒を加えることで、ポリマーミセルおよび/または他のポリマー凝集物の「事前形成」を引き起こしうる、または助けうることも明らかにされている。この場合、好ましくは、スルホン化する前駆体ポリマーは第一の非ハロゲン化溶媒に実質的に溶解性で、この溶媒は、例えば、シクロヘキサン メチルシクロヘキサン、またはそれらの混合物でありうる。一方、第二の非ハロゲン化溶媒は、好ましくは、第一の溶媒と混和性であるが、前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックにとって工程の温度範囲で貧溶媒であり、かつスルホン化反応を妨害しないように選択する。言い換えると、好ましくは、前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックは、第二の非ハロゲン化溶媒に工程の温度範囲で実質的に不溶性である。前駆体ポリマーのスルホン化感受性ブロックがポリスチレンである場合、約12炭素までの直鎖および分枝脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2-エチルヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、パラフィン油、混合パラフィン溶媒などを含む、ポリスチレンにとって貧溶媒である適当な溶媒を第二の非ハロゲン化溶媒として用いることができる。第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒の1つの好ましい例はn-ヘプタンである。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、あらかじめ形成したミセルは、第一および第二の非ハロゲン化脂肪族溶媒の混合物で膨潤した1つまたは複数のスルホン化抵抗性ブロック(例えば、外殻)によって囲まれた、第一の脂肪族溶媒で膨潤した1つまたは複数のスルホン化感受性ブロックを含む内核を有すると記載することができる。他のあらかじめ形成したポリマー凝集物は、ミセルについて前述した記載以外の様式でポリマー鎖の凝集から生じる分離または非分離構造、および/または複数の分離したミセルのゆるく凝集した群と記載することができる。当業者であれば、ミセルおよび/または他のポリマー凝集物は、ポリマーの組成および溶媒の質に応じた複数のポリマー分子を含みうることを理解するであろう。
驚くことに、いくつかの場合に、あらかじめ形成したポリマーミセルおよび/または他のポリマー凝集物は、第二の溶媒を添加せずに達成しうるものよりもかなり高い濃度で処理不能となるゲル化を起こすことなくポリマーのスルホン化を可能にしうることが明らかにされている。加えて、このアプローチは、ポリマーのスルホン化変換率および副生成物の最小化に関して、C3硫酸アシル(硫酸プロピオニル)などのより極性の高い硫酸アシルの有用性を実質的に改善することができる。言い換えると、このアプローチはより極性の高いスルホン化試薬の有用性を改善することができる。
硫酸アシルと本明細書に記載の技術の芳香族含有ポリマー(例えば、スチレンブロックコポリマー)との間のスルホン化反応は、約20℃から約150℃、または約20℃から約100℃、または約20℃から約80℃、または約30℃から約70℃、または約40℃から約60℃の範囲の反応温度(例えば、約50℃)で実施することができる。反応時間は、反応の温度に依存して、およそ1分未満からおよそ24時間以上の範囲でありうる。カルボン酸無水物と硫酸とのインサイチュー反応を用いるいくつかの好ましい硫酸アシル態様において、反応混合物の初期温度は意図するスルホン化反応温度とほぼ同じでありうる。または、初期温度は意図するその後のスルホン化反応温度より低くてもよい。好ましい態様において、硫酸アシルは約20℃から約40℃(例えば、約30℃)で約0.5から約2時間、または約1から1.5時間の間にインサイチューで生成することができ、次いで反応混合物を約40℃から約60℃に加熱して反応の完了を促進することができる。
本発明の技術の方法の一部として要求されはしないが、任意の反応停止段階を、例えば、水またはメタノール、エタノール、もしくはイソプロパノールなどのヒドロキシ含有化合物でありうる反応停止剤の添加によって実施することができる。典型的にそのような段階において、少なくとも残留する未反応の硫酸アシルと反応するのに十分な量の反応停止剤を加えてもよい。
本明細書に記載の技術のいくつかの態様において、非ハロゲン化脂肪族溶媒中での芳香族含有ポリマーのスルホン化を、バッチ反応またはセミバッチ反応において芳香族含有ポリマーをスルホン化試薬と接触させることにより実施することができる。本発明の技術のいくつかの他の態様において、スルホン化を連続反応において実施することができ、これは、例えば、連続撹拌するタンク反応器または一連の複数の連続撹拌するタンク反応器を用いることで可能となりうる。
本発明の技術の方法は、米国特許出願第11/458,856号に記載のとおり、膜およびコーティングの生成において有用性を有するスルホン化スチレンブロックコポリマー調製のために有用であり、この出願は全体が参照により本明細書に組み入れられている。いくつかの態様において、本発明の技術の方法から得られるスルホン化ポリマーの反応混合物を、反応混合物からポリマーを単離することなく、膜、コーティングまたは他の品目を生成するために直接または品目の性能を改善するための少量の成分を加えて用いることができる。
本明細書に記載の技術の方法を、特にポリマーが非ハロゲン化脂肪族溶媒から沈澱する、または溶媒中で処理不能となるゲル化を示すことがないように、スルホン酸基を溶媒から分子内「崩壊」または分子間凝集により分離することが可能である場合、スチレン含有、他の芳香族官能基含有、不飽和、またはそれ以外にスルホン化試薬に対して反応性のいずれであろうと、他のクラスのポリマーをスルホン化するために用いうることも企図される。
ポリマーをスルホン化するための本発明の技術の方法を硫酸アシル試薬の文脈で上に記載しているが、他のスルホン化試薬の有用性も企図される。例えば、三酸化硫黄とリン酸トリエチルなどのリン酸エステルとの複合体形成/反応から誘導されるスルホン化試薬の使用が本発明の技術において示されている。著しい程度のスルホン酸アルキルエステル取り込みによる芳香族スルホン化を提供するためのそのようなスルホン化試薬の化学は当技術分野において公知である。したがって、得られるスルホン化ポリマーはスルホン酸およびスルホン酸アルキルエステル基の両方を含むと思われる。他の企図されるスルホン化試薬には、三酸化硫黄と五酸化リン、ポリリン酸、1,4-ジオキサン、トリエチルアミンなどとの反応または複合体生成から誘導されるものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本明細書に記載の技術およびその利点は、以下の実施例を参照することでよりよく理解されるであろう。これらの実施例は本発明の技術の具体的態様を記載するために提供する。これらの具体的実施例を提供することにより、出願人らは本発明の技術の範囲および精神を限定することはない。当業者であれば、本明細書に記載の技術の全範囲は本明細書に添付する特許請求の範囲によって規定されるもの、およびその特許請求の範囲の任意の変更、改変、または等価物を含むことを理解するであろう。
実施例
実施例1:構造(ptBS-EB-S) n のSB-1なる名称のスチレンブロックコポリマーの調製
42重量%のスチレン(S)および43重量%のパラ-tert-ブチルスチレン(すなわち、p-t-ブチルスチレンまたはptBS)を含む、構造(ptBS-EB-S)nのSB-1なる名称のスチレンブロックコポリマーを本実施例において調製した。この(ptBS-EB-S)nポリマーにおいて、内部ブロックにおけるスチレン含有率を算出するためにEB-Sを内部ブロックと考えた。
SB-1ポリマーは、Aブロックがp-t-ブチルスチレンのポリマーブロックであり、Bブロックが無置換スチレンのポリマーブロックである、選択的に水素化された(A-D-B)nXブロックコポリマーである。Dなる名称のブロックは水素化ブタジエン(EB)であり、Xはカップリング剤テトラメトキシシランのケイ素含有残基である。
SB-1の調製において、シクロヘキサン中でのp-t-ブチルスチレンのアニオン重合をs-ブチルリチウム(s-BuLi)を用いて開始し、推定分子量約22,000g/molを有するAブロックを得た。この溶液の一部をシクロヘキサン、ジエチルエーテルおよびブタジエンを含む第二の反応器に移し、重合を進行させて、分子量28,000g/molの第二のセグメント(ptBS-Bd-Li)を得た。ポリブタジエンセグメントは約40重量%の1,2-付加内容物を有していた。リビング(ptBS-Bd-Li)ジブロックコポリマー溶液をスチレンモノマーで処理して、ポリスチレンだけからなる第三のブロックを有するリビングトリブロックコポリマー(ptBS-Bd-S-Li)を生成した(SブロックMW=25,000g/mol)。リビングポリマー溶液を、カップリング剤としてテトラメトキシシラン(およそSi/Li=0.41/1(mol/mol))を用いてカップリングした。分枝((ptBS-Bd-S)3)(主成分)および直鎖((ptBS-Bd-S)2)のカップリングしたポリマーの混合物を得た。
標準のCo2+/トリエチルアルミニウム法を用いた水素化によりペンタブロックコポリマーのブタジエン部分におけるC=C不飽和が除去されて、分枝((ptBS-EB-S)3)(主成分)および直鎖((ptBS-EB-S)2)のカップリングしたポリマーの混合物である、所望の(A-D-B)nXブロックコポリマーを得た。このポリマーの内部セグメントはポリスチレンだけを含み、末端セグメントはポリ-p-t-ブチルスチレンだけを含んでいたため、これらのポリマーの内部セグメントは末端セグメントよりもスルホン化に対してはるかに感受性であった。水素化BdセグメントであるEBポリマーブロックはスルホン化抵抗性であり、ポリ-p-t-ブチルスチレン末端セグメントとスルホン化ポリスチレン中心セグメントとの間の強化スペーサーブロックとして作用した。
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)(ポリスチレンで較正)により測定した、SB-1生成物混合物の直鎖トリブロック成分(カップリングしたポリマーのための2-アーム)の分子量(MW)は約140kg/molであった。この分子量はSB-1の「見かけのMW 2アーム」(kg/mol)と呼ぶことができる。この見かけのMWは、ポリスチレン等価分子量を真のMW値に調節するための以下の係数(モノマーのMWに基づいて調節)を用いてSB-1トリブロックコポリマーの実際のMWを推定するために調節した:ポリスチレン(S)については、見かけのMWにポリスチレン重量%の1.0倍をかける;水素化ポリブタジエン(EB)については、見かけのMWに水素化ポリブタジエン重量%の0.54倍をかける;ptBSについては、見かけのMWにポリ-パラ-tert-ブチルスチレン重量%の1.6倍をかける。SB-1生成物混合物の直鎖トリブロック成分の実際の分子量は、「Mn(真)2-アーム」(kg/mol)と呼ぶことができ、約156kg/molであった。
SB-1ポリマーは約42重量%のポリスチレン、約43重量%のポリ-p-t-ブチルスチレン、および約15重量%の水素化ポリブタジエン(EB)を含む。内部ブロックEB-S中のスチレン含有率は約73重量%である。
実施例2:単離スチレンブロックコポリマーSB-1のスルホン化
本実施例は、スルホン化試薬として硫酸イソブチルを用いて、シクロヘキサン中でSB-1なる名称のスチレンブロックコポリマーをスルホン化する方法を示す。本実施例において用いるSB-1ポリマーは、実施例1で調製した水素化ポリマー溶液を洗浄して触媒を除去し、溶媒を水蒸気蒸留し、強制空気乾燥器内で乾燥することにより単離した乾燥ポリマー団粒または粉末であった。そのようにして得た乾燥ポリマー団粒を90℃の減圧乾燥器内で約2時間さらに乾燥した後、本実施例で用いた。
約10.0gの単離スチレンブロックコポリマーSB-1および約190gのシクロヘキサンを、オーバーヘッド撹拌機、Ca(SO4)2を充填した乾燥管、栓、および熱電対を備えた500mL四頚丸底フラスコに加えた。混合物を250RPMで撹拌しながら約50℃でポリマーが溶解するまで加熱し、約5重量%のSB-1ポリマーを含むポリマー溶液を得た。次いで、5%ポリマー溶液を約30℃まで冷却した。
約5.90g(0.037モル)の無水イソ酪酸をこの5%ポリマー溶液に加え、続いて約2.96g(0.029モル)の試薬等級の硫酸(約95重量%濃度、残りは水)を加えた。反応混合物を約30℃で約1時間と、次いで約50℃に加熱してさらに5時間撹拌した。反応経過中、混合物はポリマーの沈澱を生じず、粘性が低く、いかなるゲル化の視覚的徴候もなかった。冷却後、得られた反応生成物はわずかに青色の部分的に不透明な外観を伴う濃灰色、低粘性の液体で、いかなるゲル化の視覚的徴候もなかった。
約2グラムのこの生成物を数滴のメタノールで処理し、50℃の減圧乾燥器中で約0.5時間乾燥することにより、溶媒を除去した。30mgの乾燥ポリマーの試料を約0.75mLのテトラヒドロフラン-d8(THF-d8)に溶解し、次いで、その後のNMR分析において干渉する不安定なプロトンシグナルを芳香族プロトンシグナルから低磁場へとシフトさせるために、これに濃H2SO4を部分滴加した。得られた溶液を約63℃で1H NMRにより分析した。スチレンスルホン化のパーセンテージを、スルホン化スチレン単位上の芳香族プロトンの半分に相当する、約7.6ppmの1H NMRシグナルの積分から算出した。そのような芳香族プロトンの残りの半分に対応するシグナルはスルホン化していないスチレンの芳香族プロトンおよびt-ブチルスチレンの芳香族プロトンに対応するシグナルと重なっていた。NMR分析より、スルホン化に感受性のスチレン反復単位の58mol%がスルホン化されたことが示された。
反応生成物を2回の別の滴定(「二滴定法」)によりさらに分析して、スチレンポリマースルホン酸、硫酸、および非ポリマーの副生成物スルホン酸(2-スルホイソ酪酸)のレベルを定量した。各滴定について、反応生成物溶液の約5gの一定量を約100mLのテトラヒドロフランに溶解し、約2mLの水および約2mLのメタノールを加えた。第一の滴定において、溶液をメタノール中0.1Nシクロヘキシルアミンで電位差滴定し、2つの終点をもとめた。第一の終点は試料中のすべてのスルホン酸基および硫酸の第一の酸性プロトンに対応し、第二の終点は硫酸の第二の酸性プロトンに対応していた。第二の滴定において、溶液をメタノール:水(約3.5:1)中0.14N水酸化ナトリウムで電位差滴定し、3つの終点をもとめた。第一の終点は試料中のすべてのスルホン酸基と硫酸の第一および第二の酸性プロトンに対応し、第二の終点は2-スルホイソ酪酸のカルボン酸に対応し、第三の終点はイソ酪酸に対応していた。
第一の滴定における硫酸の第二の酸性プロトンの選択的検出と、第二の滴定における2-スルホイソ酪酸のカルボン酸の選択的検出を合わせて、酸成分の濃度を算出し、以下の結果を得ることができた:ポリマースルホン酸約0.1085mmol/g、硫酸約0.0142mmol/g、2-スルホイソ酪酸約0.0094mmol/g、およびイソ酪酸約0.3368mmol/g。質量バランスに基づき、スチレンスルホン化度は約56mol%と算出され、これは前述の1H NMR分析の結果と非常によく一致し、スルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸1.92ミリ当量(1.92meq/g)に相当する。副生成物の酸成分レベルは100%固体スルホン化ポリマーに基づいて以下の重量パーセンテージで存在すると算出された:硫酸約2.5%、2-スルホイソ酪酸約2.5%、およびイソ酪酸約52.5%。
単純なスクリーニング法を用いて、反応生成物のすぐれた流動性が約20℃で示された。反応生成物を、支持スタンドで水平に維持し、手袋をした指で底部の孔をふさいだ、#5の孔を有する標準のフォードカップ(Paul N. Gardner Co., Inc., Pompano Beach, FL, 69 Years Anniversary Catalog, pp. 1382-1390、品目VI-333、孔径#5)に、カップがいっぱいになるまで加えた。次いで、ガラスプレートをカップの上部にのせ、それによりわずかに過剰の反応生成物がカップの流水溝にあふれるのを観察した。回収ビーカーをカップの下に置き、次いで指を孔から放した。次いで、ガラスプレートをカップの上部から取り除き、それにより液体内容物が速やかに、かつ基本的に完全にカップから流出した。ガラスプレートの除去から液体の上面がカップの垂直の全長を流れ落ちるまでの間にかかった時間と定義した流出時間は約7秒であった。装置の壁をぬらす薄いコーティング以外にカップ内に目立った反応生成物は残っていなかった。
わずかに青色の「コロイド状」外観を呈する反応生成物を、Malvern Instruments Limited, UKから市販されているMalvern Zetasizer Nano Series動的光散乱装置、モデル番号ZEN3600での粒径分析によりさらに特徴づけた。反応生成物をシクロヘキサンで10倍希釈して約0.5〜0.6重量%のポリマー溶液を得、これを1cmアクリルキュベットに入れ、強度の関数としての粒径分布をもとめるための装置の汎用アルゴリズムにかけた。このアルゴリズムにより、平均流体力学的半径に関する粒径分布が得られ、全強度の95.6%をなす230nmの主ピーク、全強度の1.5%をなす20nmの小ピーク、および全強度の2.8%をなす4000nmの小ピークが見られた。230nmの主ピークは、反応生成物が、ポリマーミセル構造の特徴と思われる、限定可能な粒径および分布のスルホン化ポリマーミセルおよび/または他の凝集物からなるという説明と一致している。
シクロヘキサン中0.5重量%の非スルホン化前駆体ポリマーSB-1の粒径分析では、全強度の76.4%をなす20.6nmの主ピーク、全強度の22.6%をなす158nmの小ピーク、および全強度の1.0%をなす5560nmの非常に小さいピークが見られた。この特性の主となる粒径は溶液中のランダムコイルポリマー鎖に一致している。シクロヘキサン中の前駆体ポリマーについて158nmの小ピークの存在は、ポリマー凝集物として存在する溶液中のポリマー鎖の一部に一致する。
比較実施例A
本実施例は、他は実施例2と同等であるスルホン化反応において、ハロゲン化溶媒である1,2-ジクロロエタンの使用がシクロヘキサンの使用よりも劣ることを示している。
約10.0gの実施例2で調製した乾燥単離スチレンブロックコポリマーSB-1および約190gの1,2-ジクロロエタンの溶液を、オーバーヘッド撹拌機、Ca(SO4)2を充填した乾燥管、栓、および熱電対を備えた500mL四頚丸底フラスコに加えた。5%ポリマー溶液を250RPMで撹拌しながら約30℃まで加熱した。約5.90g(0.037モル)の無水イソ酪酸をこの溶液に加え、続いて2.96g(0.029モル)の試薬等級の硫酸(約95重量%濃度)を加えた。反応混合物を約30℃で約1時間と、次いで約50℃に加熱してさらに約9.5時間撹拌した。室温まで冷却後、この生成物の2グラムの一定量を数滴のメタノールで処理し、50℃の減圧乾燥器中で約0.5時間乾燥することにより、溶媒を除去した。次いで、乾燥した生成物をTHF-d8に溶解し、63℃で1H NMRにより分析した。この分析より、スチレン反復単位の約35mol%だけがスルホン化されたことが示され、反応時間を実質的に長くしても、実施例2と比べて1,2-ジクロロエタン中での硫酸イソブチルのポリマーとの反応は前駆体ポリマーのスルホン化において効率が低いことが示された。
比較実施例BからF
実施例B〜Fは、シクロヘキサン中でのポリスチレンのC4硫酸アシルによるスルホン化が、比較的低いスルホン酸取り込み度でポリマーの沈澱を引き起こすことを示している。
表1にまとめている各実施例について、所望の量のポリスチレン(典型的Mn=140,000;典型的Mw=230,000、Tg=94.0℃、ASTM D-1238による200℃/5.0kgでのメルトインデックス6.00〜9.00g/10分、Aldrichカタログ#430102-1KG、Sigma-Aldrich Fine Chemicals, Milwaukee, WIから市販)を、オーバーヘッド撹拌機、Ca(SO4)2を充填した乾燥管、栓、および熱電対を備えた500mL四頚丸底フラスコ中、約50〜70℃でシクロヘキサンに溶解した。次いで、所望の量の無水n-酪酸またはイソ酪酸を各ポリマー溶液に約50℃で加えた後、所望の量の試薬等級の硫酸を加えた。各実施例において、無水物と硫酸とのモル比は約1.3から1で、硫酸とポリマースチレン反復単位とのモル比は約0.3から1であった。
Figure 0005457837
a沈澱ポリマーの沈着を認めた後に反応停止した試料の分析。
bスチレン単位スルホン化のmol%から算出。
反応混合物を約50℃でポリマーの沈澱が起こるまで撹拌し、沈澱は最初は反応混合液のレベルのすぐ上の反応フラスコの表面におけるゴム状のポリマー沈着物の沈着によって明らかとなった。反応中のこれらの時点で、反応混合物の約4グラムの一定量を取り出し、数ミリリットル(mL)のイソプロピルアルコールで反応停止した。乾燥後、これらの生成物からの試料を1H NMRで分析し、各試料でポリマーの沈澱が始まったスチレン単位のスルホン化度をもとめた。各実施例において、ポリマー沈澱が最初に見られてから約10分間反応を続け、次いで反応混合物を保存容器に移した。各実施例において、ポリマーは透明な溶媒から明白に沈澱した粘着性のゴム様の塊として保存容器の底に沈積した。表1の結果は、低いスルホン酸取り込み度でも、反応を行ったポリマー濃度にかわらず、ポリスチレンは反応混合物から沈澱したことを明らかに示している。
実施例3〜6
実施例3〜6は、シクロヘキサン溶媒中でのスチレンブロックコポリマーSB-1のスルホン化に対する異なる硫酸アシル試薬組成物の影響を示した。これらの実施例で用いたスチレンブロックコポリマーSB-1は実施例1で調製し、実施例2に記載のとおりに単離、洗浄、および乾燥した。
各実施例について、約10グラムの単離前駆体ポリマーSB-1を約190グラムのシクロヘキサンに溶解し、実施例2に記載のものと同等の条件下でスルホン化した。各反応について、無水物と硫酸とのモル比は約1.30で、硫酸とポリマースチレン反復単位とのモル比は約0.712であった。各反応終了時に、シクロヘキサン中のスルホン化ポリマーを実施例2に記載の二滴定法で分析した。反応生成物を#5の孔を有するフォードカップからの流れによる流動性および動的光散乱による粒径についても特徴づけ、いずれのタイプの特徴づけも実施例2に記載のとおりに実施した。これらの実施例の結果を実施例2からの結果と共に表2にまとめている。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、硫酸プロピオニルおよび、特にアセチルに比べてC4以上の硫酸アシルによる改善されたポリマースルホン化度は、C4以上の硫酸アシルのシクロヘキサン中の溶解性が高いこと、および2-スルホカルボン酸副生成物の生成が減少したことに起因すると考えられる。表2の結果が示すとおり、副生成物の2-スルホカルボン酸の生成は、反応を硫酸イソブチリルで実施した実施例2で特に減少している。
Figure 0005457837
実施例7
本実施例は、実施例1で調製したSB-1と同じ構造およびブロック特徴を有する、SB-2なる名称の非洗浄スチレンブロックコポリマーのシクロヘキサン中でのスルホン化を示す。
構造(ptBS-EB-S)nを有するSB-2ポリマーを、ジエチルエーテルの代わりに110PPMの1,2-ジエトキシプロパンを用いて約40重量%の所望の1,2-付加含有率を達成した以外は、実施例1に記載のものと同じ方法を用いて調製した。前述の実施例2〜6および比較実施例Aで用いた単離SB-1とは異なり、本実施例ではポリマーSB-2をスルホン化する前にポリマー生成の水素化段階からのポリマーSB-2をあらかじめ単離または精製することはしなかった。
シクロヘキサン中約15.65重量%のスチレンブロックコポリマーSB-2を含む、約63.9gのポリマー水素化生成物を、オーバーヘッド撹拌機、Ca(SO4)2を充填した乾燥管、栓、および熱電対を備えた500mL四頚丸底フラスコに加えた。次いで、約136.1gのシクロヘキサンをこの混合物に加えて、約5%のSB-2ポリマーを含むポリマー溶液を得た。溶液を約30℃まで加熱し、次いで約8.63g(0.0545モル)の無水イソ酪酸を溶液に加え、続いて2.96g(0.042モル)の試薬等級の硫酸(約95重量%濃度)を加えた。
反応混合物を約30℃で約1時間と、次いで約50℃に加熱してさらに約5時間撹拌した。冷却後、わずかに青色の不透明な外観を伴い、いかなるゲル化の視覚的徴候もない、暗褐色で粘性の低い液体を得た。放置により、少量の固体2-スルホイソ酪酸が反応生成物から沈降するのが観察された。反応生成物を実施例2に記載の二滴定法により分析し、以下の結果を得た:ポリマースルホン酸約0.1443mmol/g、硫酸約0.0214mmol/g、2-スルホイソ酪酸約0.0199mmol/g、およびイソ酪酸約0.463mmol/g。質量バランスに基づいて算出し、スチレンスルホン化度は約76.2mol%で、これはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約2.47ミリ当量に相当する。
反応生成物を、実施例2に記載のとおり、#5の孔を有するフォードカップからの流れによる流動性について特徴づけた。流出時間は約6秒であった。装置の壁をぬらす薄いコーティング以外にカップ内に目立った反応生成物は残っていなかった。動的光散乱により測定して、反応生成物は全強度の97.4%をなす150nmの主ピーク、および全強度の2.6%をなす4310nmの小ピークの粒径分布を示した。
シクロヘキサン中0.5重量%での非スルホン化、非単離前駆体ポリマーSB-2の粒径分析により、全強度の95.5%をなす25.5nmの主ピーク、および全強度の4.5%をなす3700nmの非常に小さいピークが見られた。実施例2に記載のとおりシクロヘキサンに再度溶解した単離前駆体ポリマーSB-1とは対照的に、70から200nmの範囲にピークがないことは、スルホン化前に前駆体ポリマーSB-2溶液にあらかじめ形成したミセルが実質的にないことと一致している。
実施例8〜12
実施例8〜12は、実施例1で調製し、次いで実施例2に記載のとおりに単離および乾燥した、構造(ptBS-EB-S)nのスチレンブロックコポリマーSB-1のスルホン化であって、シクロヘキサン溶媒中で行っているスルホン化におけるゲル化の程度に対するポリマー濃度の影響を示す。より具体的には、実施例8および9は本明細書に記載の技術に従って行い、一方、実施例10、11および12は比較実施例で、本明細書に記載の技術に従わずに行った。
各実施例について、反応条件および結果を表3にまとめており、所望の量の単離スチレンブロックコポリマーSB-1を、オーバーヘッド撹拌機、Ca(SO4)2を充填した乾燥管、栓、および熱電対を備えた500mL四頚丸底フラスコ中のシクロヘキサンに溶解した。次いで、所望の量の無水イソ酪酸を各ポリマー溶液に、約30℃で撹拌しながら加え、続いて試薬等級の硫酸を加えた。各実施例において、無水物と硫酸とのモル比は約1.3から1で、硫酸とポリマースチレン反復単位とのモル比は約0.712であった。各実施例について、反応混合物を約30℃で約1時間と、次いで約50℃で約5時間撹拌したが、重度のゲル化が起こった実施例は例外とし、反応塊の撹拌が無効となり、撹拌機の心棒の軸に沿って上へと明らかに伸びている反応混合物の塊を伴った時点で反応を中止した。
各反応の停止時に、シクロヘキサン中のスルホン化ポリマーの一定量を反応停止し、実施例2に記載の二滴定法により分析した。反応生成物を、50℃の反応フラスコから取り出した直後と室温(22±3℃)で放置後の両方で、実施例2に記載のとおり、#5の孔を有するフォードカップからの流れによる流動性についても特徴づけた。
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実施例13〜17
実施例13〜17は、非ハロゲン化脂肪族溶媒中での様々な構造のスチレンブロックコポリマーのスルホン化を示す。これらの実施例におけるスルホン化反応を表4にまとめている。
実施例13および14は、シクロヘキサン中3重量%および5重量%の濃度の、構造(ptBS-S/EB-S)nのSB-3なる名称のブロックコポリマーについてである。実施例15および16は、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサン中の、構造(ptBS-S)nのSB-4なる名称のブロックコポリマーについてである。実施例17は、構造(ptBS-S/EB)nのSB-5なる名称のブロックコポリマーについてである。
SB-3なる名称の(ptBS-S/EB-S)nブロックコポリマーは約53重量%の全スチレンを含み、これは米国公開特許出願第2003/0176582号に記載のとおりに制御分布ブロックとしてブタジエンと共重合し、次いで水素化した。ブロックポリマーSB-3は約19重量%のp-tert-ブチルスチレンを含む。SB-3の調製において、シクロヘキサン中でのp-t-ブチルスチレンのアニオン重合をs-ブチルリチウム(s-BuLi)を用いて開始し、推定分子量約10,700g/molを有するAブロックを得た。この溶液の一部を、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、スチレンおよびブタジエンチャージの約10%を含む第二の反応器に移した。移動後、ブタジエンの残りを約55℃で約30分の間隔で加え、次いで重合を進行させて、分子量約29,000g/molの第二のセグメント(Bd/S)を得た(ptBS-Bd/S-Li)。ポリブタジエンセグメントは約40重量%の1,2-付加含有率を有し;コポリマーセグメントは約40重量%のポリスチレン含有率を有していた。次いで、リビング(ptBS-Bd/S-Li)ジブロックコポリマー溶液をスチレンモノマーで処理して、ポリスチレンだけからなる第三のブロックを有するリビングトリブロックコポリマー(ptBS-Bd/S-S-Li)を生成した(SブロックMW=21,000g/mol)。リビングポリマー溶液をテトラメトキシシランを用いてカップリングした。分枝((ptBS-Bd-S)3)(主成分)および直鎖((ptBS-Bd-S)2)のカップリングしたポリマーの混合物を得た。このポリマーSB-3を次いで、実施例1および2で前述したとおりに、水素化、単離、洗浄、および乾燥した。
SB-4なる名称の(ptBS-S)nブロックコポリマーは、Aブロックがパラ-tert-ブチルスチレン(p-t-ブチルスチレンまたはptBS)のポリマーブロックであり、Bブロックが無置換スチレン(S)のポリマーブロックである、(A-B)nXブロックコポリマーである。このポリマーは非常に低いビニル含有率を確実にするための水素化を必要とせず、水素化を行わなかった。SB-4ポリマーの調製において、シクロヘキサン中でのp-t-ブチルスチレンのアニオン重合をs-BuLiを用いて開始し、推定分子量約26,000g/molを有するAブロックを得た。シクロヘキサン中のリビングポリ-p-t-ブチルスチレンの溶液をスチレンモノマーで処理した。続いて起こる重合により、ポリスチレンだけからなるBブロックを有し、p-t-ブチルスチレン含有率約32重量%の、リビングジブロックコポリマーを生成した。リビングポリマー溶液をテトラメトキシシラン(Si/Li=0.40/1(mol/mol))を用いてカップリングした。分枝(主成分)および直鎖のカップリングしたポリマーの混合物を得た。混合物をSB-4と命名した。これらのポリマーの内部セグメントはポリスチレンだけを含み、末端セグメントはポリ-p-t-ブチルスチレンだけを含んでいたため、これらのポリマーの内部セグメントは末端セグメントよりもはるかにスルホン化に対して感受性であった。
SB-4ポリマーは約68重量%のポリスチレンおよび約32重量%のポリ-p-t-ブチルスチレンを含む。SB-4ポリマーを溶媒の水蒸気蒸留により単離し、実施例2に記載のとおりに乾燥した。
SB-5なる名称の(ptBS-S/EB)nブロックコポリマーは約31重量%のスチレンおよび38重量%のp-t-ブチルスチレンを含む。
SB-5ポリマーは、Aブロックがスルホン化に抵抗性であることが判明したパラ-tert-ブチルスチレン(p-t-ブチルスチレンまたはptBS)のポリマーブロックであり、Bブロックがスルホン化に感受性であることが判明したブタジエンおよびスチレン(S/EB)の水素化制御分布ブロックである、選択的に水素化された(A-B)nXブロックコポリマーである。Aブロックを、開始剤としてs-BuLiを用い、シクロヘキサン中でのp-t-ブチルスチレン(ptBS)のアニオン重合により調製した。制御分布SBコポリマーセグメントを、SB-3について前述したとおりに重合した。得られたptBS-SB-Liポリマーは約23,000g/モルのptBSブロックのMW、および約72,000g/モルのS/BdセグメントのMWを有していた。ポリブタジエンセグメントは約40重量%の1,2-付加含有率を有し;コポリマーセグメントは約50重量%のポリスチレン含有率を有していた。得られたジブロックコポリマーをメチルトリメトキシシラン(Si/Li=0.45/1(mol/mol))を用いてカップリングした。カップリングしたポリマーはほとんどが直鎖A-B-Aトリブロックコポリマーであった。次いで、このポリマーを、実施例1および2で前述したとおりに、水素化し、溶媒から回収した。
実施例13および14のそれぞれについて、実施例2に記載のものと同等の反応において、SB-3ポリマーをシクロヘキサンに溶解し、無水イソ酪酸および硫酸により30℃で約1時間処理し、続いて約50℃で約5時間反応させた。実施例13の反応生成物は、シクロヘキサン中で10倍希釈したところ、不透明で小ゲル粒子からなる混合物を生じたため、その動的光散乱分析は得られなかった。
実施例15について、SB-4ポリマーをシクロヘキサンに約50℃で溶解し、次いで無水イソ酪酸をこのポリマー溶液に加え、続いて濃硫酸(約95重量%)を加えた。反応混合物を約50℃で約5.5時間撹拌した。
実施例16について、SB-4ポリマーをメチルシクロヘキサンに約50℃で溶解した。別の反応フラスコ中で、無水イソ酪酸を10℃未満に冷却し、反応混合物の温度を16℃未満に維持しながら、濃硫酸(約95重量%)を撹拌しながら滴下した。硫酸の添加完了後、得られた硫酸イソブチリルを室温に戻した。次いで、硫酸イソブチリルをSB-4ポリマーのメチルシクロヘキサン溶液に約50℃で加え、続いてSB-4ポリマーと約50℃で約5時間反応させた。
実施例17について、実施例2に記載のものと同等の反応において、単離SB-5ポリマーをシクロヘキサンに溶解し、無水イソ酪酸および硫酸により30℃で約1時間処理し、続いて約50℃で約5時間反応させた。
実施例13から17の各反応の終了時に、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン中のスルホン化ポリマー生成物を実施例2に記載のとおりに分析し、特徴づけた。実施例13〜17の反応条件および結果を表4にまとめている。
Figure 0005457837
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a. 動的光散乱測定のための希釈剤として用いた脂肪族溶媒は反応で用いたものと同じ溶媒であった。
実施例18
本実施例は、他の点ではポリマーSB-1の全体構造と類似の構造(ptBS-EB-S)nのSB-6なる名称のブロックコポリマーにおけるEBブロックの長さの増大は、シクロヘキサン溶媒中でのポリマーのスルホン化中のゲル化傾向を高めることを示している。
ポリマーSB-6は、EBセグメントが長いこと以外は、SB-1と同じ全体構造を有する。このポリマーを、実施例1に記載のものと同じ方法を用いて調製し、p-t-BSブロックのMWが約22,000g/モル、EBセグメントのMWが約18,000g/モル、および全体の分子量(直鎖のカップリングしたポリマー)が約170,000g/モルの、約33重量%のスチレンおよび約34重量%のp-t-ブチルスチレンからなる(ptBS-EB-S)nブロックポリマーを得た。ポリマーをスルホン化前に、実施例2に記載のとおり、乾燥団粒および/または粉末として単離した。
実施例8〜12に記載のものと同等の反応において、乾燥SB-6ポリマーをシクロヘキサンに溶解し、無水イソ酪酸および硫酸により30℃で約1時間処理し、続いて約50℃で約5時間反応させた。無水酪酸と硫酸とのモル比は約1.3から1で、硫酸とポリマースチレン反復単位との比は約0.65であった。最初の試みにおいて、反応混合物中の初期前駆体ポリマー濃度は約4.85重量%で、反応塊の撹拌が無効となり、撹拌機の心棒の軸に沿って上へと明らかに伸びている反応混合物の塊を伴うような、反応混合物の重度のゲル化が起こった。この重度のゲル化が起こった時点のおよそのスチレンスルホン化度はスチレン単位の約24mol%であった。
第二の反応において、反応混合物中の初期前駆体ポリマー濃度は約2.94重量%で、反応は50℃で8時間の間中容易に撹拌されるままであった。第二の反応の生成物は非常に流動性であったが、わずかなゲル化の明白な視覚的徴候を示した。生成物の滴定分析を実施例2に記載のとおりに実施した。滴定結果および質量バランスから算出して、スチレンスルホン化度は約44.3%で、これはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.26ミリ当量(1.26meq/g)に相当する。
実施例19
本実施例は、構造(ptBS-EB-S)nを有する非洗浄スチレンブロックコポリマーSB-2のスルホン化における、油と無水イソ酪酸との別の「事前生成」から調製した硫酸アシルの有用性を示している。
本実施例において、硫酸イソブチリルを、約29.8g(0.189mol)の無水イソ酪酸に25.0gの26%油(0.081molのSO3および0.189molのH2SO4)を、氷浴で反応温度を約15℃未満に維持しながら約15分かけて滴下することにより調製した。次いで、5.84gのこの試薬を、実施例7に記載の非洗浄、非単離前駆体スチレンコポリマーSB-2のシクロヘキサン溶液を30℃で撹拌しながらこれに加え、ここで硫酸アシル添加前のシクロヘキサン中の前駆体ポリマー濃度は約5.0重量%であった。硫酸イソブチリル試薬の調製においてSO3および硫酸の100%が硫酸アシルに変換されたと仮定して、硫酸アシルとスルホン化感受性スチレン単位とのモル比は約0.7119であった。
約30℃で約75分間反応させた後、反応温度を約50℃に上昇させ、合計約5時間反応させた。反応の間ずっと、混合物はポリマーの沈澱を生じないままで、粘性が低く、いかなるゲル化の視覚的徴候もなかった。冷却後、得られた反応生成物はわずかに青色の部分的に不透明な外観を伴い、いかなるゲル化の視覚的徴候もない、暗褐色で粘性の低い液体であった。滴定分析を実施例2に記載のとおりに実施した。滴定結果および質量バランスから算出して、スチレンスルホン化度は約44.3%で、これはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.69ミリ当量(1.69meq/g)に相当する。副生成物の酸成分レベルは100%固体スルホン化ポリマーに基づいて以下の重量パーセンテージで存在すると算出された:硫酸約2.4%、2-スルホイソ酪酸約6.0%、およびイソ酪酸約23.6%。動的光散乱により測定して、反応生成物は全強度の92.2%をなす241nmの主ピーク、全強度の2.4%をなす20.7nmの小ピーク、および全強度の5.4%をなす4580nmの小ピークの粒径分布を示した。
実施例20
本実施例は、シクロヘキサン中での硫酸イソブチリルによるスルホン化の間の、構造(ptBS-EB-S)nを有する単離スチレンブロックコポリマーSB-1の溶液中の粒径の変化を示している。
実施例8に記載の反応の間、動的光散乱により測定した粒径分布の変化を経時的に追跡した。約0.5gの一定量を反応混合物から抜き出し、新鮮シクロヘキサンで10倍希釈し、次いでMalvern Zetasizer Nano Series動的光散乱装置、モデル番号ZEN3600で、強度の関数としての粒径分布をもとめるための装置の汎用アルゴリズムを用いて、1cmアクリルキュベット中で分析した。実験の結果を表5にまとめている。標的反応温度を50℃に上げた60分の時点で、追加の反応混合物を取り出し、イソプロピルアルコールで反応停止し、50℃の減圧乾燥器で約半時間乾燥し、1H NMRで分析した。この60分の時点でスルホン化感受性スチレン単位のスルホン化度は約1mol%であった。
結果は、シクロヘキサン中の前駆体ポリマーSB-1は主に、平均の「サイズ」、すなわち20nm前後の流体力学的直径を有するランダムコイルポリマー鎖(非凝集)の形で存在し、少量の凝集ポリマー構造に起因しうる少量の大粒子(約80nm)を伴うことを示している。無水イソ酪酸および硫酸の添加後、ポリマーは約30℃で徐々にスルホン化され、ポリマー凝集物、すなわちミセルに起因しうる約100nmから約150nmの大きい粒子の相対量の増加、および同時に約20nmの小さい粒子の相対量の減少を伴った。反応温度を約50℃に上げ、その後ポリマーのスルホン化はより急速に進行する。モノマーのポリマー鎖に起因しうる小さい粒子の完全な消失が見られ、その一方で凝集ポリマー構造の見かけの粒径は約200nmから約300nmまで増大した。いかなる特定の理論にも縛られることなく、この凝集ポリマー構造の粒径増大は個別のポリマーミセルに取り込まれるポリマー鎖の平均数増大を反映している、および/または個別のポリマーミセルのより大きい粒子へのわずかな二次的凝集、すなわちわずかなフロキュレーションを反映していると考えられる。
Figure 0005457837
実施例21
本実施例は、スルホン化試薬の添加またはインサイチュー生成の前にポリマーミセルを「事前生成」するために、非洗浄スチレンブロックコポリマーSB-2のシクロヘキサン溶液にn-ヘプタンを加えることの有用性を示している。
構造(ptBS-EB-S)nのSB-2なる名称のスチレンブロックコポリマーを実施例7に記載のとおりに調製した。SB-2ポリマーは水素化触媒の酸化または抽出を行わず、また該ポリマーの調製に用いたシクロヘキサン溶液からの単離も行わなかった。SB-2ポリマーをシクロヘキサン中約15.65重量%の未処理の溶液で得た。約0.5重量%の濃度の前駆体ポリマーの溶液を、シクロヘキサン中のこの前駆体ポリマーの未処理溶液を、1つの試料ではn-ヘプタンで、もう1つの試料ではシクロヘキサンで希釈することにより調製した。次いで、これら2つの試料の両方を、実施例2に記載のとおり粒径分析により特徴づけた。
n-ヘプタンで希釈した試料は、約94.4nmの平均粒径で1つのピークを示した。この粒径は本質的に完全なポリマーミセル構造の形成に一致しており、モノマーのランダムコイルポリマー鎖の不在を示している。シクロヘキサンで希釈した試料は全強度の95.2%をなす23.7nmの主ピーク、および全強度の4.8%をなす4400nmの小ピークを示した。この特性の主となる粒径は溶液中のランダムコイルポリマー鎖に一致している。これらの結果は、前駆体ポリマーのシクロヘキサン溶液にn-ヘプタンを加えることでポリマーミセルの形成が誘導されることを示している。
実施例22〜25
これらの実施例は、ポリマーミセルを「事前生成」するために、実施例7に記載のとおりに調製した非洗浄SB-2ポリマーのシクロヘキサン溶液にn-ヘプタンを加えることの有用性をさらに示しており、ここでより高い固体加工が可能となった。
各実施例について、非単離スチレンブロックコポリマーSB-2を前駆体ポリマーとして用いた。これらの反応において、シクロヘキサン中に約15.65重量%のSB-2を含む前駆体ポリマー溶液を表6に示す非ハロゲン化脂肪族溶媒で希釈した。各実施例について、反応を実施例7と同等の様式で実施した。これらの反応において、無水酪酸と硫酸とのモル比は約1.3で、硫酸とスルホン化感受性スチレン単位とのモル比は約0.7119であった。これらの実験の結果を表6にまとめている。
結果は、希釈剤としてn-ヘプタンで実施した反応は、希釈剤としてのシクロヘキサンによる反応と比べて、より短時間でスチレンスルホン化のより高いレベルを達成したことを示している。加えて、実施例25のn-ヘプタンの使用は、希釈剤としてシクロヘキサンを用いる場合(実施例24)にゲル化を引き起こすポリマー濃度で処理不能となるゲル化を起こすことなくポリマーのスルホン化を可能にする。
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実施例26
本実施例は、ポリマーミセルを「事前生成」するために、単離SB-1ポリマーのシクロヘキサン溶液にn-ヘプタンを加えることの有用性を示しており、ここで実施例4に記載の反応に比べて硫酸プロピオニルの改善された有用性が可能となる。
本実施例について、実施例1で調製し、実施例2に記載のとおりに単離、洗浄、および乾燥したスチレンブロックコポリマーSB-1を前駆体ポリマーとして用いた。この反応において、前駆体ポリマーをまずシクロヘキサンに溶解して約15.65重量%のポリマー溶液を得、これを次いで追加の希釈剤としてのn-ヘプタンで希釈して約5.0重量%のポリマー溶液を得た。次いで、スルホン化反応を実施例4と同等の様式で実施した。この反応において、無水プロピオン酸と硫酸とのモル比は約1.3で、硫酸とスルホン化感受性スチレン単位とのモル比は約0.7119であった。冷却後、得られた反応生成物はわずかに青色の部分的に不透明な外観を伴い、いかなるゲル化の視覚的徴候もない、紫色で粘性の低い液体であった。
反応生成物を、実施例2に記載のとおり、#5の孔を有するフォードカップからの流れによる流動性について特徴づけた。流出時間は約6秒であった。反応生成物は全強度の100%をなす163nmのピークの粒径分布を示した。滴定分析を実施例2に記載のとおりに実施した。滴定結果および質量バランスから算出して、スチレンスルホン化度は約51.2%で、これはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸約1.77ミリ当量(1.77meq/g)に相当する。本実施例で追加の希釈剤としてn-ヘプタンにより実施した反応は、シクロヘキサンだけで行った実施例4の反応に比べてスチレンスルホン化の実質的に高いレベルを達成した。
実施例27
本実施例は、シクロヘキサン溶媒中で行った、構造(ptBS-EB-S)nを有するSB-1なる名称のスチレンブロックコポリマーおよび構造(ptBS-S)nを有するSB-4なる名称のスチレンブロックコポリマーの重量による1:1混合物のスルホン化を示している。
実施例1で調製し、実施例2に記載のとおりに単離および乾燥した、約5.0gのスチレンブロックコポリマーSB-1、実施例15および16で調製した約5.0gのスチレンブロックコポリマーSB-4、および約190gのシクロヘキサンを、オーバーヘッド撹拌機、Ca(SO4)2を充填した乾燥管、栓、および熱電対を備えた500mL四頚丸底フラスコに加えた。混合物を250RPMで撹拌しながら約50℃まで加熱し、ポリマーは溶解して5重量%溶液を得た。次いで、5重量%ポリマー溶液を約30℃まで冷却した。
次いで、約7.73g(0.049モル)の無水イソ酪酸をこの5重量%のポリマー溶液に加え、続いて約3.88g(0.038モル)の試薬等級の硫酸(約95重量%濃度)を加えた。反応混合物を約30℃で約1時間撹拌し、次いで約50℃に加熱してさらに5時間撹拌した。反応の間ずっと、混合物はポリマーの沈澱を生じないままで、粘性が低く、いかなるゲル化の視覚的徴候もなかった。冷却後、得られた反応生成物は灰色の部分的に不透明な外観を伴い、いかなるゲル化の視覚的徴候もない、紫色で粘性の低い液体であった。滴定分析を実施例2に記載のとおりに実施した。スチレン単位スルホン化のmol%は54.8で、これはスルホン化ポリマー1グラムあたりスルホン酸2.35ミリ当量(2.35meq/g)に相当する。
反応生成物を、実施例2に記載のとおり、#5の孔を有するフォードカップからの流れによる流動性について特徴づけた。流出時間は約5秒であった。動的光散乱により測定して、反応生成物は全強度の100%をなす159nmの主ピークの平均流体力学的半径による粒径分布を示した。
実施例28
本実施例は、乾燥したスルホン化ブロックコポリマーを生成するためのスルホン化反応で用いたものと同じ脂肪族溶媒中でその溶解性の欠如を示している。本実施例において用いる乾燥したスルホン化ブロックコポリマーは、非ハロゲン化脂肪族溶媒中の前駆体ブロックポリマーの硫酸アシルによるスルホン化によって得た。ポリマーをスルホン化反応混合物から溶媒の蒸発により単離し、乾燥した。
より具体的には、実施例2、14、15、および17に記載のとおりに調製したスルホン化反応生成物混合物の一定量からポリマー固体を得た。約5グラムの各反応混合物を、周囲条件下で約20時間の溶媒の蒸発により乾燥した。次いで、それぞれ約50mgのこれらのポリマー固体の一部を約5gのシクロヘキサンを含む4ドラムバイアルに加えた。バイアルを血液振盪機に約24時間置き、室温でのポリマーの溶解性の程度を視覚的に評価した。ポリマー試料はどれもいかなる溶解の視覚的徴候も示さず、単離スルホン化ブロックコポリマーはそれらの調製に用いたものと同じ脂肪族溶媒に不溶性であることを示していた。
本発明の技術を、当業者であればこれを実施することが可能となるような、詳細、明瞭、簡潔、かつ正確な表現で記載してきた。前述の内容は本発明の好ましい態様を記載するものであり、添付の特許請求の範囲に示す本発明の技術の精神および範囲から逸脱することなく改変を行いうることが理解されるべきである。

Claims (5)

  1. 以下の段階を含む、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法:
    少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーを提供する段階であって、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該AおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、段階;ならびに
    前駆体ブロックポリマーを硫酸アシルと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ブロックポリマーを形成する段階であって、硫酸アシルが2から8炭素原子を有し、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲であり、
    反応混合物中にポリマーの沈澱が実質的になく、処理不能となる(disabling)ゲル化を起こさない様式で、スルホン化反応が行われ、
    スルホン化ブロックポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、段階。
  2. スルホン化ブロックポリマーと、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒の少なくとも一部とを含む、請求項1記載の方法による生成物。
  3. 以下の段階を含む、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法:
    (1)少なくとも1つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックBを有する前駆体ブロックポリマーであって、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックであり、該AおよびBブロックがオレフィン不飽和を実質的に含まない、前駆体ブロックポリマー
    を提供すること、および
    前駆体ブロックポリマーを少なくとも1つの非ハロゲン化溶媒と混合して、前駆体ブロックポリマーを含むミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせを形成すること
    により、スルホン化の前に前駆体ブロックポリマーを含むミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせをあらかじめ形成する段階;および
    (2)前駆体ブロックポリマーを含むあらかじめ形成したミセル、他のポリマー凝集物、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部を反応混合物中で硫酸アシルによりスルホン化して、スルホン化ブロックポリマーを形成する段階であって、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲であり、
    反応混合物中にポリマーの沈澱が実質的になく、処理不能となる(disabling)ゲル化を起こさない様式で、スルホン化反応が行われ、
    スルホン化ブロックポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有する、段階。
  4. 以下の段階を含む、水不溶性であるスルホン化ブロックポリマーを調製するための方法:
    少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で前駆体ブロックポリマーを提供する段階であって、前駆体ブロックポリマーが少なくとも2つのポリマー末端ブロックAおよび少なくとも1つのポリマー内部ブロックBを含み、各Aブロックがスルホン化に抵抗性のポリマーブロックであり、かつ各Bブロックがスルホン化に感受性のポリマーブロックである、段階;ならびに
    前駆体ブロックポリマーを反応混合物中で、少なくとも1つのブロックBが実質的にスルホン化されるまでスルホン化する段階であって、
    該実質的にスルホン化されるとは、内部ブロックBにおいてブロックコポリマーの全スルホン化の少なくとも90%が起こることを意味し、前駆体ブロックポリマーは、3から5炭素原子を有する硫酸アシルでスルホン化され、前駆体ブロックポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、0.1重量%から前駆体ブロックポリマーの限界濃度よりも低い濃度までの範囲であり、ブロックAのスルホン化度はブロックA中の全モノマーの0から15モルパーセントである、段階。
  5. 以下の段階を含む、非ハロゲン化脂肪族溶媒中でスルホン化ポリマーを調製するための方法:
    スルホン化感受性モノマーの単位を含む前駆体ポリマーを提供する段階;
    前駆体ポリマーをスルホン化試薬と、少なくとも1つの非ハロゲン化脂肪族溶媒をさらに含む反応混合物中で反応させて、スルホン化ポリマーを形成する段階であって、前駆体ポリマーの初期濃度が、反応混合物の全重量に基づき、0.1重量%から前駆体ポリマーの限界濃度よりも低い濃度までであり、かつスルホン化ポリマーが、スルホン化ブロックポリマー1グラムあたりスルホン酸1.0ミリ当量よりも大きいスルホン化度を有し、
    反応混合物中にポリマーの沈澱が実質的になく、処理不能となる(disabling)ゲル化を起こさない様式で、スルホン化反応が行われる、段階。
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