JP2005259646A - 液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた液体燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 負極の導電性を低下させることなく、長期間にわたり安定的に負極に親水性を付与することができる液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた高出力と出力安定性とを備えた液体燃料電池を提供する。
【解決手段】 酸素を還元する正極2と、燃料を酸化する負極1と、正極2と負極1との間に配置された電解質膜3とを備え、負極1が触媒層1bを含み、触媒層1bが、触媒と、導電性金属酸化物と、プロトン伝導性物質とを含む液体燃料電池用発電素子とし、その液体燃料電池用発電素子を用いて液体燃料電池を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 酸素を還元する正極2と、燃料を酸化する負極1と、正極2と負極1との間に配置された電解質膜3とを備え、負極1が触媒層1bを含み、触媒層1bが、触媒と、導電性金属酸化物と、プロトン伝導性物質とを含む液体燃料電池用発電素子とし、その液体燃料電池用発電素子を用いて液体燃料電池を構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた液体燃料電池に関し、さらに詳しくは液体燃料の酸化反応をスムーズに進行させることができるとともに導電性の低下を防止した液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた高い出力を有する液体燃料電池に関する。
近年、パソコン、携帯電話などのコードレス機器の普及に伴い、その電源である二次電池はますます小型化、高容量化が要望されている。現在、エネルギー密度が高く、小型軽量化が図れる二次電池としてリチウムイオン二次電池が実用化されており、ポータブル電源として需要が増大している。しかし、使用されるコードレス機器の種類によっては、このリチウムイオン二次電池では未だ十分な連続使用時間を保証する程度までには至っていない。
このような状況の中で上記要望に応え得る電池として、燃料電池が期待されている。なかでも、液体燃料を直接電池の反応に利用する直接メタノール型燃料電池は、小型化が可能であり、将来のポータブル電源として有望である(例えば、特許文献1参照。)。
この直接メタノール型燃料電池の電極は、正極および負極ともにカーボン粉末上に貴金属粒子を高分散した触媒、プロトン交換樹脂およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から構成されている。このPTFEをバインダとして使用することで一定の強度を有する電極を形成できるとともに、電極に撥水性を付与することができる(例えば、非特許文献1参照。)。
上記直接メタノール型燃料電池の正極では、気体である酸素が反応するため、この反応を阻害する水分を除去する必要から撥水性が要求される。一方、負極では液体であるメタノールが反応するため、逆に撥水性があると電極の濡れ性が悪くなりメタノールの酸化反応が進みにくくなる問題がある。この問題を解決するために、負極の触媒層中に親水性部材を添加することで負極の親水性を向上することが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。また、負極に使用するカーボンとして親水性官能基を有するものを使用することも提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2000−268836号公報
特開昭62−86662号公報
特開2000−106202号公報
特開2003−7308号公報
コーデェッシュ(Kordesch)、外2名、「イーシーエス プロシーディングズ(ECS Proceedings)」、(米国)、1982年、第82−2巻、第265号、p.427−428
しかし、特許文献2、特許文献3などに提案されている負極の触媒層中に親水性部材を添加する方法では、メタノールに対する負極の濡れ性は向上するものの、親水性部材として導電性の低い部材を使用しているため、負極の抵抗値が増加するという問題がある。
また、特許文献4などに提案されている負極に使用するカーボンとして親水性官能基を有するものを使用する方法では、短期的には負極の親水性を向上できるが、負極でメタノールが酸化される際にカーボンも徐々に酸化され腐食するためカーボンの親水性が徐々に低下し、負極に長期間安定的に親水性を付与できないという問題がある。
そこで、本発明は、負極の添加材を改善することにより、負極に長期間安定的に親水性を付与できるとともに導電性の低下を防止した液体燃料電池用発電素子およびそれを用いた高い出力を有する液体燃料電池を提供するものである。
本発明の液体燃料電池用発電素子は、酸素を還元する正極と、燃料を酸化する負極と、前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質とを備えた液体燃料電池用発電素子であって、前記負極が触媒層を含み、前記触媒層が、触媒と、導電性金属酸化物と、プロトン伝導性物質とを含むことを特徴とする。
また、本発明の液体燃料電池は、上記液体燃料電池用発電素子を用いたことを特徴とする。
本発明の液体燃料電池用発電素子は、負極の触媒層に導電性金属酸化物を添加することにより、負極の導電性を低下させることなく、長期間にわたり安定的に負極に親水性を付与することができる。また、本発明の液体燃料電池は、上記液体燃料電池用発電素子を用いることにより、高出力と出力安定性を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明の液体燃料電池用発電素子の実施の形態について説明する。本発明の液体燃料電池用発電素子の一例は、酸素を還元する正極と、燃料を酸化する負極と、上記正極と上記負極との間に配置された固体電解質とを備えた液体燃料電池用発電素子であって、上記負極が触媒層を含み、上記触媒層が、触媒と、導電性金属酸化物と、プロトン伝導性物質とを含んでいる。負極の触媒層に導電性金属酸化物を含有させることにより、負極の導電性を低下させることなく、負極に長期間安定的に親水性を付与することができる。
上記導電性金属酸化物の抵抗率としては、100Ω・cm以下が好ましく、1Ω・cm以下がより好ましい。この範囲内であれば、液体燃料電池の抵抗を低く抑えることができるからである。本明細書では、上記導電性金属酸化物の抵抗率とは、上記導電性金属酸化物を9.8MPaの圧力で圧縮して圧縮物を形成し、上記圧縮物の厚さを1.5mm以上2.5mm以下として、上記圧縮物の抵抗率を測定した値であると定義する。
上記導電性金属酸化物としては、具体的には、例えば、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、酸化タングステン、酸化モリブデンなどの金属酸化物、アンチモン、リンおよびフッ素から選ばれる少なくとも一つの元素をドープした酸化錫、錫、亜鉛、ジルコニウムおよびフッ素から選ばれる少なくとも一つの元素をドープした酸化インジウムなどが使用できる。これらは、親水性を有するとともに、導電性をも有する。
上記導電性金属酸化物の粒子径としは、0.001μm以上100μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましい。0.001μm未満では、導電性金属酸化物をコロイド状にしても安定に存在させることが困難となり、凝集が起こりやすく取り扱いが困難となるからであり、また、100μmを超えると、かさ高くなるために触媒中に均一に分散することが困難になるからである。
上記触媒層内の上記導電性金属酸化物の含有量としては、上記触媒層に含まれる触媒100重量部に対して、0.01重量部以上100重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上10重量部以下がより好ましい。この範囲内であれば、負極の導電性を低下させることなく、より確実に負極に親水性を付与することができるとともに、負極の厚さを適度に維持できるため放電生成物である二酸化炭素の排出が容易になるからである。
また、上記固体電解質と接する側の上記触媒層内の上記導電性金属酸化物の含有量は、上記固体電解質と接しない側の上記触媒層内の上記導電性金属酸化物の含有量より多いことが好ましい。これにより、負極と固体電解質との界面における接触抵抗をより低減できるからである。
さらに、上記触媒は、上記導電性金属酸化物の表面に固定されていることが好ましい。これにより、実効反応面積を向上させることが可能となり、液体燃料の酸化反応をよりスムーズに進行させることができ、さらなる出力向上を図ることができるからである。
また、必要に応じて上記導電性金属酸化物に対してさらに親水化処理を施すことが好ましい。負極の親水性をさらに向上できるからである。親水化処理の方法としては、例えばシランカップリング剤による処理などがあるが、これに限定されるものではない。
負極は、メタノールを酸化する機能を有しており、例えば、多孔性の炭素材料からなる拡散層と、触媒を担持した炭素粉末、プロトン伝導性物質および上記導電性金属酸化物からなる触媒層とを積層して構成される。
上記多孔性の炭素材料としては、例えば、カーボンクロス、カーボンペーパなどを使用することができる。
上記触媒としては、例えば、白金微粒子や、鉄、ニッケル、コバルト、錫、ルテニウムまたは金などと白金との合金微粒子などが用いられるが、これらに限定されるものではない。また、上記触媒は、金属単体として単独で用いることもできるが、炭素粉末などの担体に触媒微粒子を高担持して用いることもできる。
上記触媒の担体である炭素粉末としては、例えばBET比表面積が10〜2000m2/gのカーボンブラックが用いられる。この炭素粉末に上記触媒を例えばコロイド法を用いて担持する。炭素粉末と触媒の重量比は、炭素粉末100重量部に対し、触媒を5〜400重量部とすることが好ましい。この範囲内であれば、十分な触媒活性が得られ、また触媒の粒子径が大きくなりすぎず、触媒活性が低下しないからである。
プロトン伝導性物質としては、例えば、ポリパーフルオロスルホン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルスルホン酸樹脂、スルホン化ポリイミド樹脂などのスルホン酸基を有する樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。このようなプロトン伝導性物質の含有量は、触媒担持炭素粉末100重量部に対し、2〜200重量部とすることが好ましい。この範囲内であれば、十分なプロトン伝導性が得られ、また電気抵抗が大きくならず、電池性能が低下しないからである。
上記プロトン伝導性物質は、バインダとしても機能するため、必ずしもさらにバインダを添加する必要はないが、上記負極の触媒層には、イオン伝導性を持たないフッ素樹脂バインダを添加してもよい。イオン伝導性を持たないフッ素樹脂バインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E/TFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。上記バインダの粒子径としては、0.01〜100μmが好ましい。0.01μm未満では、十分な結着性が得られず、100μmを超えると、かさ高くなるために触媒中に均一に分散することができないからである。また、上記バインダの添加量としては、触媒担持炭素粉末100重量部に対し、0.01〜100重量部とすることが好ましい。0.01重量部未満では、十分な結着性が得られず、100重量部を超えると電気抵抗が大きくなり、電池性能が低下するからである。
正極は、酸素を還元する機能を有しており、例えば、多孔性の炭素材料からなる拡散層と、触媒を担持した炭素粉末およびプロトン伝導性物質からなる触媒層とを積層して構成される。また、負極と同様に正極の触媒層にフッ素樹脂バインダを添加してもよい。但し、正極には撥水性が必要であるので、導電性金属酸化物は添加しない。これらの正極の材料としては、前述した負極と同様の材料を用いることができる。なお、正極の触媒層にフッ素樹脂バインダを用いない場合には、正極の拡散層に用いる多孔性の炭素材料としては、撥水処理を行ったものを用いるのが好ましい。正極に撥水性を付与するためである。撥水処理としては、多孔性の炭素材料にフッ素樹脂などを塗布することにより行うことができる。
本実施形態では、正極と負極の間に電解質兼セパレータ(固体電解質)として機能する電解質膜を配置する。電解質膜は、電子伝導性を持たずプロトンを輸送することが可能な材料により構成される。例えば、ポリパーフルオロスルホン酸樹脂膜、具体的には、デュポン社製の“ナフィオン膜”、旭硝子社製の“フレミオン膜”、旭化成工業社製の“アシプレックス膜”などの固体高分子電解質膜により構成することができる。その他では、スルホン化ポリエーテルスルホン酸樹脂膜、スルホン化ポリイミド樹脂膜、硫酸ドープポリベンズイミダゾール膜などの固体高分子電解質膜からも構成することができる。
次に、以上の負極材料および正極材料(電極材料)を用いた電極の製造方法について説明する。先ず、前述の電極材料と水と有機溶剤とを均一に分散してスラリーとする。このスラリーの固形分量は、スラリーの全重量100重量部に対して1〜70重量部とするのが好ましい。1重量部未満では十分な粘性が得られないため作業性が悪く、70重量部を超えると粘性が高くなりすぎて作業性が悪くなるからである。これらの電極材料の分散は、例えばボールミル、ホモジナイザー、超音波分散機などを用いて行うことができるが、これらに限定されない。また、上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが使用できる。
その後、上記で得られたスラリーを、多孔性の炭素材料からなる拡散層に塗布して乾燥する。続いて熱プレスを行うことで、有機樹脂成分が溶融結着し、電極が形成される。熱プレスの温度は、有機樹脂成分の種類によって異なるが、使用する有機樹脂成分のガラス転移点以上、ガラス転移点を20℃上回る温度以下に設定することが好ましい。プレスの圧力は3〜50MPaが好ましい。3MPa未満では電極の成形が十分でなく、50MPaを超えると電極内のポアがつぶれてしまい、電池性能が低下するからである。
続いて、このようにして作製した正極および負極で前述の電解質膜を挟持し、熱プレスで圧着して電極・電解質一体化物を作製する。熱プレスの温度は、100〜180℃に設定することが好ましい。プレスの圧力は3〜50MPaが好ましい。100℃未満、3MPa未満では電極・電解質一体化物の形成が十分でなく、180℃および50MPaを超えると電極内のポアがつぶれてしまい、電池性能が低下するからである。
このようにして作製した電極・電解質一体化物は、負極に導電性金属酸化物を含有しているため、負極の液体燃料に対する濡れ性に優れ、液体燃料の酸化反応がスムーズに進行するため、電池性能の向上を図ることができる。
次に、本発明の液体燃料電池の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の液体燃料電池の各構成部品をそれぞれ結合させる前の一例を示す断面図である。負極1は、多孔性の炭素材料からなる拡散層1aと、触媒を担持した炭素粉末、プロトン伝導性物質、導電性金属酸化物からなる触媒層1bとを積層して構成されている。正極2は、撥水性を付与した多孔性の炭素材料からなる拡散層2aと、触媒を担持した炭素粉末、プロトン伝導性物質からなる触媒層2bとを積層して構成されている。電解質膜3は、電子伝導性を持たずプロトンを輸送することが可能な固体高分子電解質膜から構成されている。
負極1、正極2および電解質膜3は、積層されて電極・電解質一体化物として構成される。即ち、電極・電解質一体化物は、負極1と、正極2と、負極1と正極2との間に設けられた電解質膜3とから構成される。
負極1の電解質膜3と反対側には、金属からなる負極集電板4を介して、液体燃料5を貯蔵する燃料タンク6が設けられている。液体燃料5としては、例えば、メタノール水溶液、エタノール水溶液、ジメチルエーテル、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウム水溶液、水素化ホウ素リチウム水溶液などが用いられる。燃料タンク6は、例えば、PTFE、硬質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂や、ステンレス鋼などの耐食性金属から構成されている。負極集電板4には燃料供給孔7が設けられており、この部分から液体燃料5が負極1へと供給される。
正極2の電解質膜3と反対側には、金属からなる正極集電板8が設けられており、正極集電板8と正極2とが接する部分には空気孔9が設けられている。これにより、空気孔9を通して大気中の酸素が正極2と接することになる。
また、負極集電板4および正極集電板8の端部には、それぞれ負極リード線10、正極リード線11が接続されている。さらに、上記電極・電解質一体化物の周囲には、シリコーンゴムなどからなるシール材12が配置されている。
本実施形態の液体燃料電池を完成するには、上記結合前の各構成部品を電極・電解質一体化物に対して垂直に加圧して固定ればよい。
以下、本発明の液体燃料電池を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<抵抗率の測定>
先ず、実施例で使用する導電性金属酸化物と、比較例で使用する従来の金属酸化物との抵抗率を下記のようにして測定した。また、参考として何もドープしていないSnO2の抵抗率も測定した。
先ず、実施例で使用する導電性金属酸化物と、比較例で使用する従来の金属酸化物との抵抗率を下記のようにして測定した。また、参考として何もドープしていないSnO2の抵抗率も測定した。
即ち、測定試料粉末を9.8MPaの圧力で圧縮して、厚さ1.5mmの圧縮物を作製した。次に、この圧縮物の抵抗率を、三菱化学社製の粉体抵抗測定装置“MCP−PD51”を用いて測定した。その結果を表1に示す。但し、SiO2については、上記測定方法では測定圏外となったので、圧力を73.5MPaに増加させて同様に測定した。
以下のようにして、図1と同様の構造の液体燃料電池を作製した。
正極は以下のようにして作製した。先ず、ライオン社製の“ケッチェンブラックEC”(商品名)を50重量部、平均粒子径3nmの白金微粒子を50重量部担持した白金担持カーボンを100重量部、エレクトロケム(Electrochem)社製のプロトン伝導性物質“ナフィオン(Nafion)溶液”(商品名、固形分濃度5重量%)を75重量部、およびイオン交換水を5重量部準備した。これらをホモジナイザーで混合分散し、拡散層である撥水処理(フッ素樹脂の塗布処理)を行ったカーボンペーパ上に白金量が1.5mg/cm2になるように塗布して乾燥した。次に、160℃、10MPaの条件で2分間熱プレスを行い電極として成型し、正極を得た。
負極は以下のように作製した。先ず、上記“ケッチェンブラックEC”を50重量部、粒子径5〜10nmの白金ルテニウム合金(合金重量比1:1)微粒子を50重量部担持した白金担持カーボンを10重量部、上記“ナフィオン溶液”を75重量部、導電性金属酸化物として住友金属鉱山社製のITO(抵抗率:0.3Ω・cm)を1重量部、およびイオン交換水を6重量部準備した。これらをホモジナイザーで均一に混合分散し、拡散層であるカーボンペーパ(撥水処理なし)に白金量が1.5mg/cm2になるように塗布して乾燥した。次に、160℃、10MPaの条件で2分間熱プレスを行い電極として成型し、負極を得た。
電解質膜は、デュポン社製の固体高分子電解質膜“ナフィオン117”(商品名)を用い、正極および負極でこの電解質膜を挟持し、160℃、10MPaの条件で3分間熱プレスを行い、電極・電解質一体化物を作製した。なお、電極面積は正極、負極ともに10cm2とした。
また、正極集電板は厚さ10μmの金製のシートから構成した。液体燃料としては、5重量%のメタノール水溶液を用いた。負極集電板は正極集電板と同様に構成した。
正極の白金担持カーボンの量を10重量部、イオン交換水の量を6重量部とし、負極のITOの量を0.1重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして液体燃料電池を作製した。
負極に添加する導電性金属酸化物としてITOに代えて、10重量%のSb(アンチモン)をドープしたSnO2(平均粒子径:0.7μm、抵抗率:4Ω・cm)を1重量部添加したこと以外は、実施例2と同様にして液体燃料電池を作製した。
(比較例1)
負極にITOを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして液体燃料電池を作製した。
負極にITOを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして液体燃料電池を作製した。
(比較例2)
負極にSiO2(平均粒子径:1.0μm、73.5MPaで圧縮時の抵抗率:6.1×106Ω・cm)を0.6重量部添加したこと以外は、比較例1と同様にして液体燃料電池を作製した。
負極にSiO2(平均粒子径:1.0μm、73.5MPaで圧縮時の抵抗率:6.1×106Ω・cm)を0.6重量部添加したこと以外は、比較例1と同様にして液体燃料電池を作製した。
(比較例3)
負極に親水化処理(空気中で200〜250℃の加熱処理)を行った前述の“ケッチェンブラックEC”を0.6重量部添加したこと以外は、比較例1と同様にして液体燃料電池を作製した。
負極に親水化処理(空気中で200〜250℃の加熱処理)を行った前述の“ケッチェンブラックEC”を0.6重量部添加したこと以外は、比較例1と同様にして液体燃料電池を作製した。
以上のように作製した実施例1〜3および比較例1〜3の液体燃料電池に対して、室温(20℃)下で1kHzの交流を印加したときのインピーダンスを測定し、その結果を表2に示す。
表2から、実施例1〜3に比べて比較例2のインピーダンスが高いことが分かる。これは、比較例2では負極の触媒層に導電性を有しないSiO2を添加したからである。
また、実施例1〜3および比較例1〜3の液体燃料電池に対して、500mAを印加して電圧が50mVになるまで放電(1回目の放電)を行った。その放電曲線を図2に示す。
また、放電開始から10分後の作動電圧を測定し、その結果を表3に示す。さらに、1回目の放電後に、残った液体燃料を新しい液体燃料にすべて交換し、同様にして放電(2回目の放電)を行った。以下同様にして50回の放電を行って、50回目の放電開始から10分後の作動電圧を測定し、その結果を表3に示す。
また、放電開始から10分後の作動電圧を測定し、その結果を表3に示す。さらに、1回目の放電後に、残った液体燃料を新しい液体燃料にすべて交換し、同様にして放電(2回目の放電)を行った。以下同様にして50回の放電を行って、50回目の放電開始から10分後の作動電圧を測定し、その結果を表3に示す。
図2から、比較例2では作動電圧が低く、比較例1では作動電圧の経時変化(経時低下)が大きいことが分かる。これは、比較例2では負極の抵抗率が高いため作動電圧が低下したからである。また、比較例1では導電性金属酸化物を添加しなかったため、負極の親水性が不足してメタノールの拡散が不十分となって作動電圧の経時低下が大きくなったからである。
また、表3から、比較例3では放電回数の増加に伴う作動電圧の低下が大きいことが分かる。これは、放電回数の増加により親水化処理した“ケッチェンブラックEC”(親水性カーボン)が腐食し、負極の親水性が低下したからである。
これに対して、実施例1〜3では、作動電圧が高く、その経時低下も小さく、放電回数の増加に伴う作動電圧の低下も小さい。即ち、高出力と出力安定性とを備えた液体燃料電池を実現できた。
以上説明したように本発明の液体燃料電池用発電素子を用いた液体燃料電池は、高出力と出力安定性を実現できる。このため、この液体燃料電池をパソコン、携帯電話などのコードレス機器の電源に使用することで、コードレス機器の高性能化を図ることができる。
1 負極
1a 拡散層
1b 触媒層
2 正極
2a 拡散層
2b 触媒層
3 電解質膜
4 負極集電板
5 液体燃料
6 燃料タンク
7 燃料供給孔
8 正極集電板
9 空気孔
10 負極リード線
11 正極リード線
12 シール材
1a 拡散層
1b 触媒層
2 正極
2a 拡散層
2b 触媒層
3 電解質膜
4 負極集電板
5 液体燃料
6 燃料タンク
7 燃料供給孔
8 正極集電板
9 空気孔
10 負極リード線
11 正極リード線
12 シール材
Claims (10)
- 酸素を還元する正極と、燃料を酸化する負極と、前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質とを備えた液体燃料電池用発電素子であって、
前記負極が、触媒層を含み、
前記触媒層が、触媒と、導電性金属酸化物と、プロトン伝導性物質とを含むことを特徴とする液体燃料電池用発電素子。 - 前記導電性金属酸化物を9.8MPaの圧力で圧縮して圧縮物を形成し、前記圧縮物の厚さを1.5mm以上2.5mm以下として、前記圧縮物の抵抗率を測定した値を、前記導電性金属酸化物の抵抗率とした場合、前記導電性金属酸化物の抵抗率が、100Ω・cm以下である請求項1に記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記導電性金属酸化物が、インジウム−錫複合酸化物、酸化タングステン、および酸化モリブデンから選ばれる少なくとも一つの金属酸化物である請求項1または2に記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記導電性金属酸化物が、アンチモン、リンおよびフッ素から選ばれる少なくとも一つの元素をドープした酸化錫である請求項1または2に記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記導電性金属酸化物が、錫、亜鉛、ジルコニウムおよびフッ素から選ばれる少なくとも一つの元素をドープした酸化インジウムである請求項1または2に記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記導電性金属酸化物の粒子径が、0.001μm以上100μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記触媒層内の前記導電性金属酸化物の含有量が、前記触媒層に含まれる触媒100重量部に対して、0.01重量部以上100重量部以下である請求項1〜6のいずれかに記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記固体電解質と接する側の前記触媒層内の前記導電性金属酸化物の含有量が、前記固体電解質と接しない側の前記触媒層内の前記導電性金属酸化物の含有量より多い請求項1〜7のいずれかに記載の液体燃料電池用発電素子。
- 前記触媒が、前記導電性金属酸化物に固定されている請求項1〜8のいずれかに記載の液体燃料電池用発電素子。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液体燃料電池用発電素子を用いたことを特徴とする液体燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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2004
- 2004-03-15 JP JP2004072895A patent/JP2005259646A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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