JP5186644B2 - 防食膜及び防食塗料 - Google Patents

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本発明は、金属粒子等をインヒビターとして用いた防食膜と、10nmから300nmまでの範囲の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子、特にシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性及び透明性を利用した防食膜とを併用してなる防食膜、及び金属粒子等をインヒビターとして用いた防食塗料と、10nmから300nmまでの範囲の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子、特にシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性及び透明性を利用した防食塗料とを混合してなる防食膜及び防食塗料に関するものであって、更に高い防食性能を得ることができる防食膜及び防食塗料に関するものである。
従来、アルミホイール等のアルミニウム合金を始めとする金属表面の保護処理方法としては、クロメート処理、特にイエロークロメート処理と呼ばれるクロム酸クロメート処理が行われてきた。イエロークロメート処理においては、クロム酸またはクロム酸塩の1種以上及びフッ化物を含み、有機酸・無機酸でpHを調整した強酸性溶液中でアルミニウム等の表面を処理し、皮膜を形成する。このイエロークロメート皮膜は、1μm以下の薄膜で十分な防錆・防食効果を発揮する。
しかし、近年、クロメート処理、特にイエロークロメート処理で処理溶液中や皮膜中に含有される有毒な六価クロムの自然環境破壊や人体への有害性が問題となっており、六価クロムを使用しないアルミニウム等の表面処理方法が要請されている。このような要求に対して、膜厚を厚くできるとともに塗料の焼成温度が余り高くなくて済むため、有機(合成樹脂)系塗膜が使用されてきたが、有機系塗膜には、金属表面との密着性が良くないため金属に錆が生じ易く、また汚れとの密着性が良いため塗膜表面に付着した汚れを落とし難く塗膜の美観が損なわれるという不具合があった。
そこで、このような不具合を解決するために、特許文献1においては、コロイド状シリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物と不飽和エチレン単量体の重合体または共重合体を主成分とする、金属部材の塗膜構造の発明について開示している。また、特許文献2においては、特定のアクリル樹脂・エポキシ樹脂・ブロックポリイソシアネート化合物・粉末シリカ及び架橋性重合体粒子を主成分とするプライマーと、同上の各成分を主成分とする厚膜プライマーとからなる、透明な防食性厚膜塗料組成物の発明について開示している。
しかし、これらの特許文献1及び特許文献2に記載の塗料組成物においても、有機化合物を使用しているため、乾燥しても塗膜が軟らかく、飛んでくる小石等からアルミホイールを守るため、4工程〜5工程の塗装→乾燥→塗装→乾燥を繰り返して200μm程度の厚さまで保護塗装を行っており、塗装工程に長時間を要し、塗装ラインの長さも長くなり、コストも高くなる。さらに、保護塗装の硬度は鉛筆硬度でH程度であり、大変摩擦に弱いものであった。
そこで、本発明者らは、特許文献3において、塗装工程を短縮することによって塗装ラインも短くでき、低コスト化を図ることができるとともに、アルミニウム活性面と塗料成分とを直接結合させることができ、さらに表面硬度を向上させることができるアルミニウム表面の塗装方法及びアルミニウム用塗料の発明について開示している。
特公平7−77777号公報 特開平6−57177号公報 特開2004−154757号公報
しかしながら、上記特許文献3に記載の技術においては、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を使用しているため微細な連続気孔が形成されており、これらの連続気孔を伝って水が沁み込む恐れがあり、防食性が完全ではなかった。また、コロイダルシリカの粒径は約10nm〜約20nmと微小であるため、塗膜の厚さを40μm程度まで薄くすることができたが、防食膜のさらなる薄膜化の要請があった。
そこで、本発明は、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属粒子等のインヒビターが分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜及び防食塗料を提供することを課題とするものである。
請求項1の発明にかかる防食膜は、アルミニウム、亜鉛、アルミニウムと亜鉛の合金からなる群より選ばれた金属の粒子と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散してなるものである。ここで、有機樹脂バインダーとしてはイソシアネート−アクリル系バインダー等があり、無機高分子バインダーとしてはアルキルシリケート加水分解バインダー等があり、有機無機複合バインダーとしてはコロイダルシリカとブロックイソシアネートの混合物等がある。
請求項2の発明にかかる防食膜は、マグネシウム系金属の表面を陽極酸化による酸化物層で被覆し、前記酸化物層の表面をアルミニウム系、チタン系またはジルコニウム系のカップリング剤で変性した変性樹脂及び10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる層で被覆したものである。
請求項3の発明にかかる防食膜は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成された防食膜であって、コロイド状シリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物と不飽和エチレン単量体の重合体または共重合体と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散してなるものである。
請求項4の発明にかかる防食膜は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記シリカ殻からなる中空粒子が、立方体状形態を有するものである。
請求項5の発明にかかる防食膜は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記シリカ殻からなる中空粒子が、20nm〜150nmの範囲内の外径を有するものである。
請求項6の発明にかかる防食膜は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記シリカ殻からなる中空粒子の表面にイソシアネート系の表面改質剤を付加させたものである。ここで、「イソシアネート系の表面改質剤」とは、イソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上もった化合物からなる表面改質剤を意味する。
請求項7の発明にかかる防食塗料は、水溶性三価クロム化合物と、水溶性フッ化物と、亜鉛−アルミニウム合金粉末と、グリコール類及び/またはセルロース類とを含有する金属防食用被覆組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。ここで、有機樹脂塗料としてはイソシアネート−アクリル系塗料等があり、無機高分子塗料としてはアルキルシリケート加水分解塗料等があり、有機無機複合塗料としてはコロイダルシリカとブロックイソシアネートの混合物等がある。
請求項8の発明にかかる防食塗料は、請求項7の構成において、前記金属防食用被覆組成物は、水100重量部に対して前記水溶性三価クロム化合物をCr23 換算で0.2重量部〜10重量部、前記水溶性フッ化物をフッ素イオン換算で0.01重量部〜0.5重量部、前記亜鉛−アルミニウム合金粉末を5重量部〜50重量部、前記グリコール類及び/または前記セルロース類を5重量部〜30重量部含有し、pHが3.0〜7.0の範囲内にあるものである。
請求項9の発明にかかる防食塗料は、水溶性クロム酸化合物と、亜鉛粉末・アルミニウム粉末・亜鉛合金粉末・アルミニウム合金粉末からなる群より選択される少なくとも一種の金属粉末の表面に高級脂肪酸塩をコーティングしてなる金属成分と、前記高級脂肪酸塩を分解可能な酸化剤と、グリコール系化合物及び/またはα−ヒドロキシケトンと、水及び/または水溶性有機溶媒とを含有してなる防食被覆組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項10の発明にかかる防食塗料は、フッ化珪素塩・フッ化チタン塩・フッ化ジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種のフッ化物塩と、全てが加水分解性基によって置換されたシリコンモノマー・チタンモノマー・ジルコニウムモノマーから選ばれる少なくとも1種の加水分解性モノマー及び/またはその低縮合物とを反応させてなる無機膜形成用塗布剤と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項11の発明にかかる防食塗料は、アクリル樹脂、アミノ樹脂、及びリン酸基と水添ビスフェノール骨格の構造を有するアクリル樹脂とを含有する塗料組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項12の発明にかかる防食塗料は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、粉末シリカ及び架橋性重合体粒子を含有する防食塗料組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項13の発明にかかる防食塗料は、ウレタン変性エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、鉛及びクロムを含まない防錆顔料を含有する防錆プライマーと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項14の発明にかかる防食塗料は、リン酸、縮合リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種と、ジルコニウム塩またはチタン塩の少なくとも1種と、フッ化物と、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種とを含有するアルミニウム系金属表面処理用組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項15の発明にかかる防食塗料は、ベンゾトリアゾール系化合物、脂肪族アミン及び/または第四アンモニウム化合物、及びアルコキシシランからなる防食用組成物を非水系溶剤を溶媒として配合してなる銅材用防食剤組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項16の発明にかかる防食塗料は、フッ化水素及び/またはフッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミン及び/またはアルカノールアミンからなる防食用組成物を含有する水性防食用組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなるものである。
請求項17の発明にかかる防食塗料は、塩化セリウム(CeCl3 )と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項18の発明にかかる防食塗料は、ポリアニリンと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項19の発明にかかる防食塗料は、金属セレン(Se)及び/またはセレン化亜鉛(ZnSe)と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項20の発明にかかる防食塗料は、鱗片状亜鉛粉末粒子とその粒子表面に付加された疎水基を有するシラン化合物とからなる防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項21の発明にかかる防食塗料は、亜鉛粉末粒子と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項22の発明にかかる防食塗料は、ピリジニウム化合物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項23の発明にかかる防食塗料は、エピハロヒドリン変性ポリアミド、またはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなるものである。
請求項24の発明にかかる防食塗料は、請求項15乃至請求項23のいずれか1つの構成において、前記防食用組成物、前記塩化セリウム、前記ポリアニリン、前記金属セレン及び/または前記セレン化亜鉛、前記シリカ微粒子、前記防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末、前記亜鉛粉末粒子、前記ピリジニウム化合物、前記エピハロヒドリン変性ポリアミドまたは前記エピハロヒドリン変性ポリアミド及び前記ベンゾトリアゾールのいずれかと、前記シリカ殻からなる中空粒子との前記防食塗料全体に対する合計含有量は15重量%〜30重量%であり、前記有機樹脂塗料または前記無機高分子塗料または前記有機無機複合塗料の含有量は70重量%〜85重量%であるものである。
請求項25の発明にかかる防食塗料は、請求項7乃至請求項24のいずれか1つの構成において、前記有機樹脂塗料または前記無機高分子塗料または前記有機無機複合塗料は透明であるものである。
請求項26の発明にかかる防食塗料は、請求項7乃至請求項25のいずれか1つの構成において、前記シリカ殻からなる中空粒子が、立方体状形態を有するものである。
請求項27の発明にかかる防食塗料は、請求項7乃至請求項26のいずれか1つの構成において、前記シリカ殻からなる中空粒子が、20nm〜150nmの外径を有するものである。
請求項28の発明にかかる防食塗料は、請求項7乃至請求項27のいずれか1つの構成において、前記シリカ殻からなる中空粒子の表面にイソシアネート系の表面改質剤を付加させたものである。
請求項1の発明にかかる防食膜は、アルミニウム、亜鉛、アルミニウムと亜鉛の合金からなる群より選ばれた金属の粒子と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる。ここで、有機樹脂バインダーとしてはイソシアネート−アクリル系バインダー等があり、無機高分子バインダーとしてはアルキルシリケート加水分解バインダー等があり、有機無機複合バインダーとしてはコロイダルシリカとブロックイソシアネートの混合物等がある。
ここで、シリカ殻からなる中空粒子は、例えば、微結晶で立方体状形態のコロイド状炭酸カルシウムの表面に、シリコンアルコキシドの加水分解反応によって生成するシリカを析出させた後、酸処理することによってシリカ層内部の炭酸カルシウムを溶解させて、脱水した後に400℃〜800℃で焼成処理して溶解した炭酸カルシウムが流出した孔を塞ぐことによって製造される。
ここで、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂(ポリエステル樹脂)中に均一分散させたものは約2.0〜約3.0の比誘電率を有するものであるから、有機樹脂の中でも比誘電率が小さいエポキシ樹脂(比誘電率約4.0)よりもさらに比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダー中または有機無機複合バインダーに均一に分散してなる防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分には、アルミニウム・亜鉛・アルミニウムと亜鉛の合金、からなる群より選ばれた金属の粒子が存在しているため、水が沁み込んできても金属の粒子がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなるナノ中空粒子は中空であるため比重が小さく、固形分で4重量%混合するだけでも防食膜中に占める体積%は充分に大きく、防食膜の絶縁性を高めて防食性を向上させることができる。一方、混合量が固形分で15重量%を超えると、粘性が高くなって取扱いがし難くなる。したがって、防食膜におけるシリカ殻からなる中空粒子の混合量は、有機樹脂バインダー等に対して固形分で4重量%〜15重量%の割合が最も適切である。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属粒子等のインヒビターが分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。特に、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを20μm以下まで薄くすることができる防食膜となる。
請求項2の発明にかかる防食膜は、マグネシウム系金属の表面を陽極酸化による酸化物層で被覆し、酸化物層の表面をアルミニウム系、チタン系またはジルコニウム系のカップリング剤で変性した変性樹脂及び10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる層で被覆したものである。
ここで、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は空隙率が高いため、これを有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダー中または有機無機複合バインダーに均一に分散してなる防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダー中または有機無機複合バインダーに均一に分散してなる防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、マグネシウム系金属の表面を陽極酸化してなる陽極酸化皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできても陽極酸化皮膜がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有するマグネシウム系金属の防食膜となる。
また、シリカ殻からなるナノ中空粒子は中空であるため比重が小さく、固形分で4重量%混合するだけでも防食膜中に占める体積%は充分に大きく、防食膜の絶縁性を高めて防食性を向上させることができる。一方、混合量が固形分で15重量%を超えると、粘性が高くなって取扱いがし難くなる。したがって、防食膜におけるシリカ殻からなる中空粒子の混合量は、有機樹脂バインダー等に対して固形分で4重量%〜15重量%の割合が最も適切である。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、陽極酸化皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。特に、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを20μm以下まで薄くすることができる防食膜となる。
請求項3の発明にかかる防食膜は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成された防食膜であって、コロイド状シリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物と不飽和エチレン単量体の重合体または共重合体と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる。
ここで、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダー中または有機無機複合バインダーに均一に分散してなる防食膜は、上述の如く空隙率が高く、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダー中または有機無機複合バインダーに均一に分散してなる防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
更にまた、シリカ殻からなるナノ中空粒子は中空であるため比重が小さく、固形分で4重量%混合するだけでも防食膜中に占める体積%は充分に大きく、防食膜の絶縁性を高めて防食性を向上させることができる。一方、混合量が固形分で15重量%を超えると、粘性が高くなって取扱いがし難くなる。したがって、防食膜におけるシリカ殻からなる中空粒子の混合量は、有機樹脂バインダー等に対して固形分で4重量%〜15重量%の割合が最も適切である。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、コロイド状シリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物と不飽和エチレン単量体の重合体または共重合体が分布しているため、水が沁み込んできてもインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金の防食膜となる。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、陽極酸化皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。特に、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを20μm以下まで薄くすることができる防食膜となる。
請求項4の発明にかかる防食膜においては、シリカ殻からなる中空粒子が立方体状形態を有する。立方体状形態を有するシリカ殻からなる中空粒子を製造する方法としては、立方体状形態を有する微結晶のコロイド状炭酸カルシウムや立方体状炭酸カルシウムの表面に、シリコンアルコキシドの加水分解反応によって生成するシリカを析出させた後、酸処理することによってシリカ層内部の炭酸カルシウムを溶解させて、脱水した後に400℃〜800℃で焼成処理して溶解した炭酸カルシウムが流出した孔を塞ぐことによって製造される。
したがって、請求項1乃至請求項3に記載の効果に加えて、炭酸カルシウム微結晶の立方体状形態が転写された中空粒子となり、しかもシリカ殻の厚さが3nm〜15nmと薄いため空隙率が70%〜80%と極めて高く、絶縁性のより高い中空粒子となる。また、立方体状形態を有するため、球状の中空粒子よりも充填率が高くなるという作用効果も得られる。
このようにして、シリカ殻からなる立方体状形態を有する中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターを含む皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
請求項5の発明にかかる防食膜においては、シリカ殻からなる中空粒子が、20nm〜150nmの範囲内、より好ましくは50nm〜100nmの範囲内の外径を有する。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子の中でも、20nm〜150nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子がより製造し易く、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダー中に均一に分散させることが容易である。そして、防食性を高めるために約200層までのシリカ殻からなる中空粒子を積層させた場合でも、膜厚を20μm以下に薄くすることができる。さらに、より好ましくは、50nm〜100nmの外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を用いることによって、膜厚を20μm以下に薄く抑えながらより防食性を向上させることができる。
このようにして、20nm〜150nmの外径、より好ましくは50nm〜100nmの外径を有するシリカ殻からなる中空粒子の絶縁性を利用して、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、より防食性を向上させつつ膜厚を20μm以下まで薄くすることができる防食膜となる。
請求項6の発明にかかる防食膜においては、シリカ殻からなる中空粒子の表面にイソシアネート系の表面改質剤を付加させたものである。ここで、「イソシアネート系の表面改質剤」とは、イソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上もった化合物からなる表面改質剤を意味するものであり、具体例としては、アルキル基にイソシアネート基が3個結合したトリイソシアネート化合物、トリエトキシプロピルイソシアネートシラン(TEIS)、等がある。
このようなイソシアネート系の表面改質剤を、シリカ殻からなる中空粒子の表面に存在する水酸基(−OH)を介して付加させ、シリカ殻からなる中空粒子の全表面をイソシアネート系の表面改質剤でコーティングすることによって、再凝集を防止することができて分散性が向上し、また有機樹脂バインダー等に混合する場合にも有機樹脂等の活性基とイソシアネート基とが反応することによって、有機樹脂バインダー等とシリカ殻からなる中空粒子との強固な結合が得られる。
このようにして、有機樹脂バインダー等に混合する場合に分散性が向上するとともに有機樹脂バインダー等とシリカ殻からなる中空粒子との強固な結合が得られる、シリカ殻からなる中空粒子の絶縁性を利用した防食膜となる。
請求項7の発明にかかる防食塗料は、水溶性三価クロム化合物と、水溶性フッ化物と、亜鉛−アルミニウム合金粉末と、グリコール類及び/またはセルロース類とを含有する金属防食用被覆組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。ここで、有機樹脂塗料としてはイソシアネート−アクリル系塗料等があり、無機高分子塗料としてはアルキルシリケート加水分解塗料等があり、有機無機複合塗料としてはコロイダルシリカとブロックイソシアネートの混合物等がある。
本発明にかかる防食塗料のうち、金属防食用被覆組成物においては、亜鉛−アルミニウム合金粉末を用いることによって、亜鉛粉末の数倍から数十倍といわれる優れた合金粉末の耐食性を発揮せしめて耐食皮膜の長寿命化に成功したものであり、フッ化物を添加することによって三価クロム化合物の防食性を補強すること及び被防食体表面の不動態化を図ると同時に皮膜密着性を向上せしめる複合防食効果を有するものである。
また、防食組成物においては、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、水溶性三価クロム化合物と、水溶性フッ化物と、亜鉛−アルミニウム合金粉末と、グリコール類及び/またはセルロース類とを含有する金属防食用皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできても水溶性三価クロム化合物と亜鉛−アルミニウム合金粉末がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
シリカ殻からなる中空粒子は、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で、より好ましくは固形分で8重量%〜12重量%の割合で混合されている。特に、本発明者らは、実験研究の結果、シリカ殻からなる中空粒子は、有機樹脂塗料等に対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で、より好ましくは固形分で8重量%〜12重量%の割合で混合されている場合に、最も良好な結果が得られることを見出した。
即ち、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項8の発明にかかる防食塗料は、請求項7の構成において、金属防食用被覆組成物が、水100重量部に対して水溶性三価クロム化合物をCr23 換算で0.2重量部〜10重量部、水溶性フッ化物をフッ素イオン換算で0.01重量部〜0.5重量部、亜鉛−アルミニウム合金粉末を5重量部〜50重量部、グリコール類及び/またはセルロース類を5重量部〜30重量部含有し、pHが3.0〜7.0の範囲内にある。
即ち、上記請求項7の発明にかかる防食塗料の金属防食用被覆組成物において、水100重量部に対して水溶性三価クロム化合物をCr23 換算で0.2重量部〜10重量部、水溶性フッ化物をフッ素イオン換算で0.01重量部〜0.5重量部、亜鉛−アルミニウム合金粉末を5重量部〜50重量部、グリコール類及び/またはセルロース類を5重量部〜30重量部含有することによって、より優れた合金粉末の耐食性を発揮せしめて耐食皮膜の更なる長寿命化を可能にする。また、pHを3.0〜7.0の範囲内に調整することによって、水溶性フッ化物の濃度が高いために低pHとなって合金粉末が溶解・ゲル化することを防止することができる。
シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項9の発明にかかる防食塗料は、水溶性クロム酸化合物と、亜鉛粉末・アルミニウム粉末・亜鉛合金粉末・アルミニウム合金粉末からなる群より選択される少なくとも一種の金属粉末の表面に高級脂肪酸塩をコーティングしてなる金属成分と、高級脂肪酸塩を分解可能な酸化剤と、グリコール系化合物及び/またはα−ヒドロキシケトンと、水及び/または水溶性有機溶媒とを含有してなる防食被覆組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、水溶性クロム酸化合物と、亜鉛粉末・アルミニウム粉末・亜鉛合金粉末・アルミニウム合金粉末からなる群より選択される少なくとも一種の金属粉末とを含有する防食被覆組成物皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできても水溶性クロム酸化合物と亜鉛粉末等がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項10の発明にかかる防食塗料は、フッ化珪素塩・フッ化チタン塩・フッ化ジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種のフッ化物塩と、全てが加水分解性基によって置換されたシリコンモノマー・チタンモノマー・ジルコニウムモノマーから選ばれる少なくとも1種の加水分解性モノマー及び/またはその低縮合物とを反応させてなる無機膜形成用塗布剤と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、シリコンモノマー・チタンモノマー・ジルコニウムモノマーから選ばれる少なくとも1種の加水分解性モノマーが高分子化した金属ポリマーを含有する無機膜形成用塗布剤皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできても金属ポリマーがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項11の発明にかかる防食塗料は、アクリル樹脂、アミノ樹脂、及びリン酸基と水添ビスフェノール骨格の構造を有するアクリル樹脂とを含有する塗料組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、リン酸基と水添ビスフェノール骨格の構造を有するアクリル樹脂を含有する塗料組成物皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできてもリン酸基がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
加えて、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項12の発明にかかる防食塗料は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、粉末シリカ及び架橋性重合体粒子を含有する防食塗料組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、粉末シリカ及び架橋性重合体粒子を含有する防食塗料組成物皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできても粉末シリカがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項13の発明にかかる防食塗料は、ウレタン変性エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、鉛及びクロムを含まない防錆顔料を含有する防錆プライマーと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、鉛及びクロムを含まない防錆顔料を含有する防錆プライマー皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできても鉛及びクロムを含まない防錆顔料がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項14の発明にかかる防食塗料は、リン酸、縮合リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種と、ジルコニウム塩またはチタン塩の少なくとも1種と、フッ化物と、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種とを含有するアルミニウム系金属表面処理用組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、リン酸、縮合リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種と、ジルコニウム塩またはチタン塩の少なくとも1種と、フッ化物と、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種とを含有するアルミニウム系金属表面処理用組成物皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできてもリン酸、縮合リン酸またはそれらの塩、ジルコニウム塩またはチタン塩、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項15の発明にかかる防食塗料は、ベンゾトリアゾール系化合物、脂肪族アミン及び/または第四アンモニウム化合物、及びアルコキシシランからなる防食用組成物を非水系溶剤を溶媒として配合してなる銅材用防食剤組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、アルコキシシランを含有する防食用組成物皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできてもアルコキシシランがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項16の発明にかかる防食塗料は、フッ化水素及び/またはフッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミン及び/またはアルカノールアミンからなる防食用組成物を含有する水性防食用組成物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、フッ化水素及び/またはフッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミン及び/またはアルカノールアミンからなる防食用組成物皮膜で被覆されているため、水が沁み込んできてもフッ化水素及び/またはフッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミン及び/またはアルカノールアミンがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項17の発明にかかる防食塗料は、塩化セリウム(CeCl3 )と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、塩化セリウム(CeCl3 )粒子が分布しているため、水が沁み込んできても塩化セリウムがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項18の発明にかかる防食塗料は、ポリアニリンと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、ポリアニリンが分布しているため、水が沁み込んできてもポリアニリンがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項19の発明にかかる防食塗料は、金属セレン(Se)及び/またはセレン化亜鉛(ZnSe)と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、金属セレン(Se)及び/またはセレン化亜鉛(ZnSe)が分布しているため、水が沁み込んできても金属セレン及び/またはセレン化亜鉛がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項20の発明にかかる防食塗料は、鱗片状亜鉛粉末粒子とその粒子表面に付加された疎水基を有するシラン化合物とからなる防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、鱗片状亜鉛粉末粒子とその粒子表面に付加された疎水基を有するシラン化合物とからなる防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末が分布しているため、水が沁み込んできても防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項21の発明にかかる防食塗料は、亜鉛粉末粒子と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、亜鉛粉末が分布しているため、水が沁み込んできても亜鉛粉末がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項22の発明にかかる防食塗料は、ピリジニウム化合物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、ピリジニウム化合物が分布しているため、水が沁み込んできてもピリジニウム化合物がインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項23の発明にかかる防食塗料は、エピハロヒドリン変性ポリアミド、またはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散してなる。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く空隙率が高いため、これを有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、比誘電率が小さく、優れた絶縁性を示す。そして、シリカ殻からなるナノ中空粒子はその粒子径が10nmから300nmまでと小さいため、充分な防食性能を得るためにシリカ殻からなるナノ中空粒子を50層以上積層しても、約20μm以下と極めて薄い膜厚で充分な防食性能を得ることができ、低コストで形成できるとともに剥がれ難い丈夫な防食膜を得ることができる。
更に、シリカ殻からなる中空粒子を有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料に均一に分散してなる防食組成物を塗布して形成される防食膜は、反応で発泡を起こして気孔を生じさせて絶縁性を高めるものではなく、シリカ殻からなる中空粒子の中空性によって絶縁性を高めるものであるから、連続気孔が形成される恐れがなくシリカ殻からなる中空粒子による独立気孔であり、水が沁み込む恐れがない。
これに加えて、シリカ殻からなる中空粒子が分布していない部分は、エピハロヒドリン変性ポリアミド、またはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールが分布しているため、水が沁み込んできてもエピハロヒドリン変性ポリアミド、またはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールがインヒビターとして作用して、水の浸入を食い止めるので、極めて優れた防食性能を有する防食膜となる。
また、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%未満であると、中空粒子の割合が少な過ぎて十分な防食性を得ることができず、一方中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で15重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎて取り扱いにくくなってしまう。したがって、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して固形分で4重量%〜15重量%の範囲内であることが好ましい。更に、シリカ殻からなる中空粒子の混合割合が有機樹脂塗料等に対して8重量%〜12重量%の範囲内であると、防食塗料としての粘度も適切なものとなり、また塗膜となった場合の中空粒子の充填率も最大となるため、防食性能も一段と高くなってより好ましい。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、金属防食用被覆組成物皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項24の発明にかかる防食塗料においては、防食用組成物、塩化セリウム、ポリアニリン、金属セレン及び/またはセレン化亜鉛、シリカ微粒子、防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末、亜鉛粉末粒子、ピリジニウム化合物、エピハロヒドリン変性ポリアミドまたはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールのいずれかと、シリカ殻からなる中空粒子との防食塗料全体に対する合計含有量は10重量%〜30重量%であり、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料の含有量は70重量%〜90重量%である。
特に、防食用組成物、塩化セリウム、ポリアニリン、金属セレン及び/またはセレン化亜鉛、シリカ微粒子、防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末、亜鉛粉末粒子、ピリジニウム化合物、エピハロヒドリン変性ポリアミドまたはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールのいずれかが7.5重量%〜12.5重量%で、シリカ殻からなる中空粒子が7.5重量%〜12.5重量%で、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料の含有量が75重量%〜85重量%であることが、より好ましい。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、防食用組成物を始めとするインヒビターとシリカ殻からなる中空粒子との合計含有量が10重量%〜30重量%で、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料の含有量が70重量%〜90重量%である場合に、より好ましくは防食用組成物を始めとするインヒビターの含有量が7.5重量%〜12.5重量%で、シリカ殻からなる中空粒子の含有量が7.5重量%〜12.5重量%で、有機樹脂塗料等の含有量が75重量%〜85重量%である場合に、最も良好な結果が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
即ち、防食用組成物を始めとするインヒビターの含有量とシリカ殻からなる中空粒子の含有量がほぼ等しく、両者の合計含有量が20重量%前後であり、残り80重量%前後が有機樹脂塗料等である場合に、防食塗料として最も扱い易い粘度となり、金属表面等に塗布した場合に、最も防食力に優れた防食膜を形成することができる。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターで被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有し、塗料として扱い易い粘度となる防食塗料となる。
請求項25の発明にかかる防食塗料においては、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料が透明である。10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子は、上述の如く、シリカ殻の厚さが薄いため完全に透明であり、したがって混合するインヒビターの材料が透明であり、有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料が透明であれば、かかる防食塗料を均一に塗布してなる防食膜は、ほぼ透明になる。
これによって、アルミホイール等に適用した場合には、金属表面の光沢・色彩及び美観を損なうことなく、高い防食性能を得ることができる。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターで被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有するとともに、金属表面の光沢・色彩及び美観を損なうことがない防食塗料となる。
請求項26の発明にかかる防食塗料においては、シリカ殻からなる中空粒子が立方体状形態を有する。立方体状形態を有するシリカ殻からなる中空粒子を製造する方法としては、立方体状形態を有する微結晶のコロイド状炭酸カルシウムまたは立方体状炭酸カルシウムの表面に、シリコンアルコキシドの加水分解反応によって生成するシリカを析出させた後、酸処理することによってシリカ層内部の炭酸カルシウムを溶解させて、脱水した後に400℃〜800℃で焼成処理して溶解した炭酸カルシウムが流出した孔を塞ぐことによって製造される。
したがって、請求項7乃至請求項25に記載の効果に加えて、炭酸カルシウム微結晶の立方体状形態が転写された中空粒子となり、しかもシリカ殻の厚さが3nm〜15nmと薄いため空隙率が70%〜80%と極めて高く、絶縁性のより高い中空粒子となる。また、立方体状形態を有するため、球状の中空粒子よりも充填率が高くなるという作用効果も得られる。
このようにして、シリカ殻からなる立方体状形態を有する中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターを含む皮膜で被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食膜を形成することができる防食塗料となる。
請求項27の発明にかかる防食塗料においては、シリカ殻からなる中空粒子が、20nm〜150nmの外径、より好ましくは50nm〜100nmの外径を有する。
10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子の中でも、20nm〜150nmの外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が製造し易く、更に50nm〜100nmの外径を有するシリカ殻からなる中空粒子がより製造し易く、かつ有機樹脂塗料または無機高分子塗料または有機無機複合塗料中に均一に分散させることが容易である。
このようにして、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターで被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食塗料となる。
請求項28の発明にかかる防食塗料においては、シリカ殻からなる中空粒子の表面にイソシアネート系の表面改質剤を付加させたものである。ここで、「イソシアネート系の表面改質剤」とは、イソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上もった化合物からなる表面改質剤を意味するものであり、具体例としては、アルキル基にイソシアネート基が3個結合したトリイソシアネート化合物、トリエトキシプロピルイソシアネートシラン(TEIS)、等がある。
このようなイソシアネート系の表面改質剤を、シリカ殻からなる中空粒子の表面に存在する水酸基(−OH)を介して付加させ、シリカ殻からなる中空粒子の全表面をイソシアネート系の表面改質剤でコーティングすることによって、再凝集を防止することができて分散性が向上し、また有機樹脂塗料等に混合する場合にも有機樹脂等の活性基とイソシアネート基とが反応することによって、有機樹脂等とシリカ殻からなる中空粒子との強固な結合が得られる。
このようにして、有機樹脂塗料等に混合する場合に分散性が向上するとともに有機樹脂等とシリカ殻からなる中空粒子との強固な結合が得られ、シリカ殻からなる中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターで被覆されている部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する防食塗料となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1にかかる防食膜及び防食塗料について、図1乃至図3を参照して説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1にかかる防食塗料を用いて形成した防食膜付き試験片の全体構成を示す斜視図、(b)は防食膜付き試験片の構成を示す部分断面図である。図2は本発明の実施の形態1にかかる防食塗料の製造工程を示すフローチャートである。図3は本発明の実施の形態1にかかる防食塗料を用いて形成した防食膜付き試験片の製造工程を示すフローチャートである。
図1(a)に示されるように、本実施の形態1にかかる防食膜付き試験片1は、長さ150mm、幅70mm、厚さ5mmのアルミニウム板2の表面の酸化膜をサンドブラストで除去した後に、本実施の形態1にかかる防食塗料をスプレー塗装して防食膜3を形成したものである。
本実施の形態1にかかる防食塗料は、イソシアネート−アクリル系塗料に10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子及び亜鉛粉末粒子を均一に分散させてなるものであり、図1(b)に示されるように、本実施の形態1にかかる防食膜3においては、本実施の形態1にかかる防食塗料をスプレー塗装して焼付け乾燥することによって、イソシアネート系塗膜5中に、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4及び亜鉛粉末粒子5を均一に分散させてなる。
本実施の形態1にかかる防食塗料の配合は、表1に示される実施例1の通りである。
Figure 0005186644
表1に示されるように、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4を配合している。同様に、インヒビターとしての亜鉛粉末粒子5としても、最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
まず、本実施の形態1にかかる実施例1の防食塗料6の製造方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示されるように、最初に、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4を製造する(ステップS10)。
ここで、一般的な10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の製造方法の概略について説明する。75容量%以上の水中に、コロイド状炭酸カルシウム、シリコンアルコキシド、及び塩基触媒を投入して混合し、コロイド状炭酸カルシウムまたは粒子径が300nm未満の立方体状炭酸カルシウムの表面に、シリコンアルコキシドの加水分解反応によって生成するシリカを析出させる。その後、酸処理することによって、シリカ層内部の炭酸カルシウムを溶解させる。そして、脱水した後に400℃〜800℃で焼成処理する。この結果、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子が製造される。なお、焼成処理するのは、シリカ殻の炭酸カルシウムが溶出した微細な孔を塞ぎ、シリカ殻の構造をより緻密なものにするためである。
本実施の形態1においては、炭酸カルシウムとしてコロイド状炭酸カルシウムを使用することによって、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4を製造している。また、800℃で焼成処理することによって、シリカ殻がより緻密になるため、800℃で焼成処理している。一方、有機溶媒のキシレン80重量部にアクリル樹脂10重量部を溶解させて、アクリル樹脂溶液を作製する(ステップS11)。このアクリル樹脂溶液中に、ステップS10で製造した50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4を2.0重量部混合する(ステップS12)。
そして、分散機を用いて、アクリル樹脂溶液中にシリカ殻からなる中空粒子4を均一に分散させる(ステップS13)。ここで、平均粒径80nmの微小なシリカ殻からなる中空粒子4は凝集し易いため、分散機で強力な攪拌を行って均一に分散させる必要がある。続いて、亜鉛粉末粒子5を2.0重量部加えて更に攪拌する(ステップS14)。その後、ブロック型イソシアネートを6.0重量部追加して攪拌し(ステップS15)、均一な溶液として、本実施の形態1にかかる防食塗料7が完成する。
次に、こうして製造した本実施の形態1にかかる防食塗料7を用いた防食膜付き試験片の製造方法について、図3を参照して説明する。本実施の形態1においては、基材として上述の如く長さ150mm、幅70mm、厚さ5mmのアルミニウム板2を使用する。まず、アルミニウム板2をサンドブラスト処理して、表面の酸化膜を除去する(ステップS16)。サンドブラスト処理の条件としては、平均粒子径40μmのアルミナ粒子を秒速60mで吹き付けて行った。
次に、スプレーガンを用いて、防食塗料7を酸化膜が除去されたアルミニウム板表面にスプレー塗装する(ステップS17)。そして、自然乾燥させた後、乾燥炉に入れて、170℃で30分間焼付け乾燥する(ステップS18)。キシレンの沸点は約140℃であるため溶媒のキシレンは完全に除去されるとともに、ブロック型イソシアネートのブロックが外れてアクリル樹脂と反応し、図1(b)に示されるように、強固な構造の有機樹脂6中に平均粒径50nmのシリカ殻からなる中空粒子4及び亜鉛粉末粒子5が均一に分散した防食膜3となる。
放冷後、乾燥炉から防食膜付き試験片1を取り出す(ステップS19)。こうして完成した防食膜付き試験片1の防食膜3の厚さは約15μmであり、比誘電率を測定したところ測定値は2.5であり、充分に小さい値が得られた。
この防食膜付き試験片1の防食性を調べるために、キャス(CASS)試験を行った。キャス試験は、JIS H8681に準拠して、240時間まで行った。240時間までとしたのは、自動車メーカー等の防食性の基準が、「キャス試験で240時間まで異常が発生しないこと」となっているため、240時間を超える試験は必要がないからである。この結果、防食膜付き試験片1は、キャス試験を240時間行っても全く異常が発生せず、防食性に優れていることが分かった。
このようにして、本実施の形態1にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4及び亜鉛粉末粒子5を用いた防食膜3及び防食塗料7は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを20μm以下まで薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2にかかる防食膜及び防食塗料について、図4乃至図6を参照して説明する。
図4は本発明の実施の形態2にかかる防食膜及び防食塗料を製造するために用いられるコーティングシリカ殻からなる中空粒子の製造工程を示す模式図である。図5(a)は本発明の実施の形態2にかかる防食塗料を用いて形成した防食膜付き試験片の全体構成を示す斜視図、(b)は防食膜付き試験片の構成を示す部分断面図である。図6は本発明の実施の形態2にかかる防食塗料の製造工程を示すフローチャートである。
上記実施の形態1において用いられているシリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmの微粒子であるため、凝集し易く、分散させるために分散機による強力な攪拌が必要であった。これに対して、図4に示されるように、本実施の形態2にかかるコーティングシリカ殻からなる中空粒子10は、シリカ殻からなるナノ中空粒子4の表面がイソシアネート系表面改質剤8で覆われているために、凝集し難く分散が容易である。
本実施の形態2にかかるコーティングシリカ殻からなる中空粒子10の製造工程について、図4を参照して説明する。図4に示されるように、シリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4の表面には水酸基が無数に付いている。図4においては、反応が分かり易いように、無数の水酸基のうち3つのみを示している。これに対して、イソシアネート系表面改質剤としてのトリエトキシプロピルイソシアネートシラン(以下、「TEIS」とも言う。)8を、キシレンを溶媒としてオートクレーブ中でキシレンの超臨界状態において2時間反応させることによって、TEIS30のエトキシ基の3つ全部がシリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4の表面の水酸基と縮合して、シリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4の表面に結合する。
このようにして、シリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4の表面の無数の水酸基とTEIS8が反応することによって、シリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4の表面がTEIS8で覆われて、本実施の形態2にかかるコーティングシリカ殻からなる中空粒子10が形成される。これによって、凝集し難く分散が容易であるばかりでなく、イソシアネート基が有機樹脂の活性基と反応して有機樹脂と強固な結合を作ることにより、さらに有機樹脂中への均一分散が行い易いコーティングシリカ殻からなる中空粒子10となる。
図5(a)に示されるように、本実施の形態2にかかる防食膜付き試験片11は、長さ150mm、幅70mm、厚さ5mmのアルミニウム板2の表面の酸化膜をサンドブラストで除去した後に、本実施の形態2にかかる防食塗料をスプレー塗装して防食膜9を形成したものである。
本実施の形態2にかかる防食塗料は、イソシアネート−アクリル系塗料に10nm〜300nmの範囲内の外径を有するコーティングシリカ殻からなる中空粒子10及びアルミニウム−亜鉛合金粉末12を均一に分散させてなるものであり、図5(b)に示されるように、本実施の形態2にかかる防食膜9においては、本実施の形態2にかかる防食塗料をスプレー塗装して焼付け乾燥することによって、イソシアネート−アクリル系塗膜6中に、約30nmから約70nmまでの範囲の外径を有する平均粒径50nmのコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を均一に分散させてなる。
本実施の形態2にかかる防食塗料の配合は、表2に示される実施例2の通りである。
Figure 0005186644
表2に示されるように、本実施の形態2にかかる実施例2の防食塗料の配合は、実施の形態1にかかる実施例1の防食塗料におけるシリカ殻からなる中空粒子4がコーティングシリカ殻からなる中空粒子10に変わり、かつ亜鉛粉末粒子5がアルミニウム−亜鉛合金粉末12に変わったもので、それぞれの配合比は全く同一となっている。即ち、コーティングシリカ殻からなる中空粒子10の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を配合している。同様に、インヒビターとしてのアルミニウム−亜鉛合金粉末12としても、最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
本実施の形態2にかかる実施例2の防食塗料15の製造方法について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6に示されるように、最初に、図4で説明したようにして、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を製造する(ステップS20)。
一方、有機溶媒のキシレン80重量部にアクリル樹脂10重量部を溶解させて、アクリル樹脂溶液を作製する(ステップS21)。このアクリル樹脂溶液中に、ステップS20で製造した50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を2.0重量部混合する(ステップS22)。そして、攪拌することによって、アクリル樹脂溶液中にコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を均一に分散させる。ここで、コーティングシリカ殻からなる中空粒子10は凝集し難く分散し易いため、分散機で強力な攪拌を行う必要はない。
続いて、アルミニウム−亜鉛合金粉末12を2.0重量部加えて更に攪拌し(ステップS23)、その後、ブロック型イソシアネートを6.0重量部追加して攪拌し(ステップS24)、均一な溶液として、本実施の形態2にかかる防食塗料15が完成する。
次に、こうして製造した本実施の形態2にかかる防食塗料15を用いた防食膜付き試験片の製造方法について、実施の形態1の図3を参考にして説明する。本実施の形態2においては、図3のステップS17における「防食塗料7」が「防食塗料15」に変わるだけで、後は実施の形態1の図3と同様である。
即ち、まずアルミニウム板2をサンドブラスト処理して、表面の酸化膜を除去する(ステップS16)。次に、スプレーガンを用いて、防食塗料15を酸化膜が除去されたアルミニウム板表面にスプレー塗装する(ステップS17)。そして、自然乾燥させた後、乾燥炉に入れて、170℃で30分間焼付け乾燥する(ステップS18)。キシレンの沸点は約140℃であるため溶媒のキシレンは完全に除去されるとともに、ブロック型イソシアネートのブロックが外れてアクリル樹脂と反応し、図5(b)に示されるように、強固な構造の有機樹脂6中に平均粒径80nmのコーティングシリカ殻からなる中空粒子10及びアルミニウム−亜鉛合金粉末12が均一に分散した防食膜9となる。
放冷後、乾燥炉から防食膜付き試験片11を取り出す(ステップS19)。こうして完成した防食膜付き試験片11の防食膜9の厚さは約15μmであり、比誘電率を測定したところ測定値は2.0であり、実施の形態1よりもさらに小さい値が得られた。
この防食膜付き試験片11の防食性を調べるために、キャス(CASS)試験を行った。キャス試験は、JIS H8681に準拠して、240時間まで行った。この結果、防食膜付き試験片11は、キャス試験を240時間行っても全く異常が発生せず、防食性に優れていることが分かった。
このようにして、本実施の形態2にかかるコーティングシリカ殻からなる中空粒子10及びアルミニウム−亜鉛合金粉末12を用いた防食膜9及び防食塗料15は、有機樹脂等に混合する場合に分散性が向上するとともに有機樹脂等とシリカ殻からなる中空粒子との強固な結合が得られ、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを20μm以下まで薄くしても優れた防食性を得ることができる。
本実施の形態2においては、アルミニウム−亜鉛合金粉末12を用いた場合について説明したが、アルミニウム粒子或いは亜鉛粉末を用いても、同様な効果を得ることができる。また、コーティングシリカ殻からなる中空粒子10の代わりに、実施の形態1と同様のシリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子4を用いても良い。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態3にかかる防食塗料は、アルミニウム系のカップリング剤としてのアルミニウムキレートであるアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)を配合したアクリル樹脂塗料と、イソシアネート−アクリル系塗料に50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を均一に分散させてなる塗料とを均一に混合してなるものである。
ここで、アクリル樹脂の固形分1重量部に対して、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)の配合量は0.1重量部〜1重量部であることが好ましい。本実施の形態3にかかる防食塗料においては、アクリル樹脂の固形分1重量部に対して0.2重量部を配合した。また、イソシアネート−アクリル系塗料におけるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の固形分配合比は10重量%とした。
このような防食塗料を、マグネシウム系金属のAZ31に対して陽極酸化処理を行って厚さ5μmの酸化物層を形成し、この酸化物層の上に膜厚10μmとなるようにエアスプレーで塗布し、乾燥硬化して防食膜を形成した。この防食膜の密着性を評価するために、JISに規格されている碁盤目試験を実施した。
即ち、防食膜を形成したマグネシウム系金属のAZ31(圧延板)の試料の表面に、カッターナイフで縦横に切れ目を入れて2mm×2mmの枡目を100個作り、初期密着性を検査するために枡目全面に粘着セロハンテープを密着させてJISに規定されている角度で引き剥がし、剥離した枡目の数を調べた。その結果、粘着セロハンテープに接着して剥がれた枡目は100個中0個であり、初期密着性に優れていることが分かった。
また、密着性耐久試験として、同様にして作製した試料に対して、JIS−K−5600−7に規定されている塩水噴霧試験を実施し、250時間後に外観を目視によって調べるとともに、上述の碁盤目試験を実施した。その結果、塩水噴霧試験250時間後においても外観は良好であり、また碁盤目試験においても剥がれた枡目は100個中0個であり、耐久密着性に優れていることが分かった。
このようにして、本実施の形態3にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)を配合したアクリル樹脂を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを20μm以下まで薄くしても優れた防食性を得ることができる。
本実施の形態3においては、アルミニウム系のカップリング剤としてのアルミニウムキレートを用いた場合について説明したが、チタン系のカップリング剤またはジルコニウム系のカップリング剤を用いても、同様な効果を得ることができる。また、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4の代わりに、実施の形態2と同様のコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を用いても良い。
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態4にかかる防食塗料は、コロイド状シリカと、オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物と、不飽和エチレン単量体の重合物と、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子とを、無機高分子塗料としてのアルキルシリケート加水分解塗料に均一に分散させてなるものである。したがって、溶媒は水であり、水性防食塗料となる。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしてのコロイド状シリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物が分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態4にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
本実施の形態4においては、不飽和エチレン単量体の重合物を用いた場合について説明したが、不飽和エチレン単量体の共重合物を用いても、同様な効果を得ることができる。また、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4の代わりに、実施の形態2と同様のコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を用いても良い。
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態5にかかる防食塗料は、第1液と第2液と第3液とを均一に混合してなるものである。第1液は、亜鉛−アルミニウム合金のフレーク状粉末(厚さ0.1μm〜0.3μm、最長部の平均長さが約1.5μm)を200g/l、非イオン性界面活性剤2g/l、残部がポリエチレングリコールからなる混合物である。第2液は、無水クロム酸50g/l及びフッ化ナトリウム2.2g/lを脱イオン水中に溶解した後、水酸化カルシウムを2.0重量%添加した水溶液である。
そして第3液は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、アルキルシリケート加水分解塗料に均一に分散させてなるものである。これらの第1液と第2液と第3液とを1:1:1の割合で緩やかに攪拌しながら混合することによって、本実施の形態5にかかる防食塗料とした。この防食塗料をショットブラスト処理を行った鋼板に、バーコーターで均一膜厚になるように塗布し、その後加熱炉中で鋼板温度が300℃に達してから4分間加熱し、室温で炉内冷却した。形成された皮膜厚さは、1μmであった。
このようにして防食膜を形成した鋼板試験片について、腐食促進試験として、塩化ナトリウム5重量%水溶液に硫酸を添加してpH3に調整した35℃の腐食液に、10分間浸漬−50分間乾燥を1サイクルとして、最長720時間の間欠浸漬試験を実施し、発錆に至るまでの時間を評価したところ、720時間経過しても発錆は見られなかった。同様にして防食膜を形成したアルミニウム合金板試験片についても、同様な結果が得られた。
このようにして、本実施の形態5にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを1μmと薄くしても優れた防食性を得ることができる。
本実施の形態5においては、水溶性三価クロム化合物として無水クロム酸を、水溶性フッ化物としてフッ化ナトリウムを、グリコール類としてポリエチレングリコールを用いた場合について説明したが、これらに限られるものではなく、その他の水溶性三価クロム化合物、水溶性フッ化物、グリコール類及び/またはセルロース類を用いても、同様な効果を得ることができる。また、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の代わりに、実施の形態2と同様のコーティングシリカ殻からなる中空粒子を用いても良い。
実施の形態6
次に、本発明の実施の形態6にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態6にかかる防食塗料は、やはり第1液と第2液と第3液とを均一に混合してなるものである。第1液は、無水クロム酸濃度が3.1%、過マンガン酸カリウム濃度が0.1%になるような量の無水クロム酸及び過マンガン酸カリウムを、脱イオン水に溶解してなる水溶液である。第2液は、アルキルフェノールポリエトキシ付加化合物型界面活性剤0.2重量部及びジプロピレングリコール39.8重量部を含有してなる溶媒に、亜鉛フレーク(厚さ0.1μm〜0.3μm、最長部の平均長さが約1.5μm)を60重量部を均一に分散させてなるものである。
そして、第3液は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、アルキルシリケート加水分解塗料に均一に分散させてなるものである。これらの第1液と第2液と第3液とを1:1:1の割合で緩やかに攪拌しながら混合することによって、本実施の形態6にかかる防食塗料とした。この防食塗料を、アルカリ洗浄した後研磨布で十分に研磨した軟鋼板に、バーコーターで均一膜厚になるように塗布し、その後加熱炉中で鋼板温度が300℃に達してから4分間加熱し、室温で炉内冷却した。
このようにして防食膜を形成した軟鋼板試験片について、塩水噴霧試験として、JIS−Z−2371に規定される中性塩水噴霧試験を実施した結果、赤錆の発生は全くなく、極めて防食性に優れていることが分かった。
このようにして、本実施の形態6にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
本実施の形態6においては、亜鉛フレークを用いた場合について説明したが、アルミニウム粉末、亜鉛合金粉末、或いはアルミニウム合金粉末を用いても、同様な効果を得ることができる。また、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の代わりに、実施の形態2と同様のコーティングシリカ殻からなる中空粒子を用いても良い。
実施の形態7
次に、本発明の実施の形態7にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態7にかかる防食塗料は、塩化セリウム(CeCl3 )と50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、アルキルシリケート加水分解塗料に均一に分散させてなるものである。本実施の形態7にかかる防食塗料の配合は、表3に示される実施例3の通りである。
Figure 0005186644
表3に示されるように、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を配合している。同様に、インヒビターとしての塩化セリウムとしても、最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、無機化合物が溶解し易い水を使用している。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしての塩化セリウムが分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態7にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態8
次に、本発明の実施の形態8にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態8にかかる防食塗料は、アクリル樹脂、アミノ樹脂、及びリン酸基と水添ビスフェノール骨格の構造を有するアクリル樹脂とを含有する塗料組成物と、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
ここで、塗料組成物においては、アクリル樹脂は重合性不飽和単量体の共重合体であり、水酸基価が100mgKOH/g以下、好ましくは10mgKOH/g〜50mgKOH/gで、重量平均分子量が3000〜100000であることが、取り扱い易さや得られる防食膜の耐水性の点から適している。また、アミノ樹脂としては特に限定されないが、トリアジン環の数が1個〜5個のメラミン単体またはその縮合物からなり、重量平均分子量が300〜5000、好ましくは1000〜3000の範囲内にあるメラミン樹脂の部分メチロール化物等が適している。
更に、水添ビスフェノール骨格の構造を有するアクリル樹脂はリン酸基を有することを特徴とし、水添ビスフェノール骨格の構造を分子中に1個〜40個程度、好ましくは5個〜20個程度有し、酸価が10mgKOH/g〜300mgKOH/g、重量平均分子量が3000〜100000の範囲内にあるものが適している。一方、防食組成物としては、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、イソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させたものが適している。
このような塗料組成物と防食組成物とを1:1の割合で混合して、均一になるように攪拌することによって、本実施の形態8にかかる防食塗料が得られる。この防食塗料をアルミニウム板上に乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、140℃で30分間焼き付けて防食膜付きの試料を作製した。この試料の特性を、耐候性・防食性・付着性について試験した。
まず、耐候性(促進耐候性)については、JIS−K−5400−9.8.1に規定するサンシャインカーボンアーク灯式による促進耐候性試験を、照射時間が2000時間となるまで行って、試験後の防食膜面の20度鏡面反射率を測定し、試験前の防食膜面の20度鏡面反射率と比較して光沢保持率を求めたところ、80%以上という優れた結果が得られた。
次に、防食性については、素地に達するように防食膜にナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS−Z−2371に準じて250時間塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆幅を測定して評価したところ、錆幅が1mm未満で優れた防食性を示した。また、付着性については、JIS−K−5400−8.5.2に準じて防食膜に1mm×1mmの桝目を100個形成し、表面に粘着セロハンテープを貼付けて急激に剥がした後の防食膜に残った桝目の数で評価したところ、100個全てが残り、優れた付着性を示した。
このようにして、本実施の形態8にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた耐候性・防食性・付着性を得ることができる。
実施の形態9
次に、本発明の実施の形態9にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態9にかかる防食塗料は、ポリアニリンと50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmの図4に示されるようにして作製されたコーティング中空シリカ粒子を、イソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなるものである。本実施の形態9にかかる防食塗料の配合は、表4に示される実施例4の通りである。
Figure 0005186644
表4に示されるように、コーティング中空シリカ粒子の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のコーティング中空シリカ粒子を配合している。同様に、インヒビターとしてのポリアニリンとしても、最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、コーティング中空シリカ粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしてのポリアニリンが分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態9にかかるコーティング中空シリカ粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのコーティング中空シリカ粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態10
次に、本発明の実施の形態10にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態10にかかる防食塗料は、金属セレン及びセレン化亜鉛と50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、イソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなるものである。本実施の形態10にかかる防食塗料の配合は、表5に示される実施例5の通りである。
Figure 0005186644
表5に示されるように、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を配合している。同様に、インヒビターとしての金属セレン及びセレン化亜鉛としても、合計で最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしての金属セレン及びセレン化亜鉛が分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態10にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態11
次に、本発明の実施の形態11にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態11にかかる防食塗料は、シラン化合物をコーティングした鱗片状亜鉛粉末粒子と50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmの図4に示されるようにして作製されたコーティング中空シリカ粒子を、イソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなるものである。本実施の形態11にかかる防食塗料の配合は、表6に示される実施例6の通りである。
Figure 0005186644
表6に示されるように、コーティング中空シリカ粒子の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のコーティング中空シリカ粒子を配合している。同様に、インヒビターとしてのシラン化合物をコーティングした鱗片状亜鉛粉末粒子としても、最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、コーティング中空シリカ粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしてのシラン化合物をコーティングした鱗片状亜鉛粉末粒子が分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態11にかかるコーティング中空シリカ粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのコーティング中空シリカ粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態12
次に、本発明の実施の形態12にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態12にかかる防食塗料は、ピリジニウム化合物と50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、イソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなるものである。本実施の形態12にかかる防食塗料の配合は、表7に示される実施例7の通りである。
Figure 0005186644
表7に示されるように、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を配合している。同様に、インヒビターとしてのピリジニウム化合物としても、合計で最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしてのピリジニウム化合物が分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態12にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態13
次に、本発明の実施の形態13にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態13にかかる防食塗料は、エピハロヒドリン変性ポリアミドとベンゾトリアゾールと50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmの図4に示されるようにして作製されたコーティング中空シリカ粒子を、イソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなるものである。本実施の形態13にかかる防食塗料の配合は、表8に示される実施例8の通りである。
Figure 0005186644
表8に示されるように、コーティング中空シリカ粒子の固形分配合比は10重量%であり、最も好ましい量のコーティング中空シリカ粒子を配合している。同様に、インヒビターとしてのエピハロヒドリン変性ポリアミドとベンゾトリアゾールとしても、合計で最も好ましい量である固形分配合比10重量%を配合している。また、溶剤としては、有機樹脂が溶解し易いキシレン(オルト,メタ,パラの3異性体の混合物)を使用している。
かかる配合の防食塗料を金属表面に塗布して得られる防食膜においては、コーティング中空シリカ粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、インヒビターとしてのエピハロヒドリン変性ポリアミドとベンゾトリアゾールが分布している部分においては水が沁み込んできてもインヒビターの作用によって水の浸入を食い止めることによって、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態13にかかるコーティング中空シリカ粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのコーティング中空シリカ粒子の絶縁性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態14
次に、本発明の実施の形態14にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態14にかかる防食塗料は、リン酸・ジルコニウム塩等を含有するアルミニウム系金属表面処理用組成物(以下、「表面処理用組成物」ともいう。)と、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
表面処理用組成物は、リン酸(H3 PO4 )をPO4濃度で40ppm、ジルコニウム塩(H2 ZrF6 )をZr濃度で40ppm、亜リン酸を150ppm、有効フッ化物としてHFを10ppmとなるように配合したpH2.8の水溶液である。防食組成物は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、アルキルシリケート加水分解塗料に均一に分散させてなるものである。
これらの表面処理用組成物と防食組成物とを1:1の割合で混合して、均一に攪拌することによって、本実施の形態11にかかる防食塗料となる。この防食塗料を、アルミニウムまたはアルミニウム合金にスプレー塗布して乾燥することによって、耐食性及び塗膜密着性に優れた防食膜を形成することができる。
実施の形態15
次に、本発明の実施の形態15にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態15にかかる防食塗料は、アクリル樹脂・エポキシ樹脂・粉末シリカ・架橋性重合体粒子を含有する防食塗料組成物と、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を有機樹脂塗料中に分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
防食塗料組成物は、プライマー(A)とプライマー(B)とを混合してなるものである。プライマー(A)は、炭化水素系溶剤/エステル系溶剤の配合比率(重量部)1/1の混合溶剤を用意し、混合溶剤/アクリル樹脂ワニスの配合比率(重量部)が4/10になるように粉末シリカとアクリル樹脂ワニスを加え、ガラスビーズを用いたバッチ式分散機で粉末シリカを分散させた。その後、分散物を別容器に取り出し攪拌しながらエポキシ樹脂ワニスを加え、次いで同様に架橋性重合体粒子溶液を加えて、プライマー(A)を作製した。
プライマー(B)は、プライマー(A)と同じ混合溶剤/アクリル樹脂ワニスの配合比率(重量部)が6/10になるように粉末シリカとアクリル樹脂ワニスを加え、ガラスビーズを用いたバッチ式分散機で粉末シリカを分散させた。その後、分散物を別容器に取り出し攪拌しながらブロックポリイソシアネート化合物ワニスを加え、次いで同様に架橋性重合体粒子溶液を加えて、プライマー(B)を作製した。
プライマー(A)及びプライマー(B)について、アルミニウム系合金板を脱脂してクロム酸クロメート処理したものに、20μmの膜厚になるようにエアスプレー塗装して、アルミニウム系合金板の表面温度を140℃まで上げて20分間保持することによって焼付けして熱乾燥した。その上に、有色塗料をエアスプレー塗装して140℃で20分間保持して焼付けし、更にクリアー塗料を30μmの膜厚になるようにエアスプレー塗装して、140℃で20分間保持して焼付けした。
こうして得られた供試体について、JIS−K−5400−7.6に準じて鏡面光沢度を測定したところ、プライマー(A)の供試体及びプライマー(B)の供試体のいずれについても、反射率が80%以上という良好な結果が得られた。また、耐糸錆性についても試験したが、いずれについても全く錆が生じなかった。また、耐低温チッピング性試験として、供試体を−22℃〜−18℃の槽内に1時間置いた後、取り出して直ちに6号砕石をグラベロメーター(飛石試験機)を用いて圧縮空気圧4kg/cm2 で塗面に打ちつけ、衝撃によって生じる傷とその周辺を観察したところ、いずれについても衝撃によって生じた傷のみであり、良好な耐低温チッピング性を示した。
また、付着性試験として、カッターナイフで合金面に達する縦横の切込みを入れて2mm四方の100個の正方形を形成し、粘着セロハンテープを貼り付けて急激に剥がす碁盤目試験を行ったところ、いずれについても100個の桝目のうち剥がれは1個もなく、良好な密着性を示した。更に、耐水性試験として、38℃〜42℃の恒温水槽に供試体を240浸漬して取り出し、1時間後に碁盤目試験を行った。その結果、いずれについても100個の桝目のうち剥がれは1個もなく、良好な耐水性を示した。
このように極めて優れた防食性を有するプライマー(A)とプライマー(B)を1:1の割合で混合し、本実施の形態15にかかる防食塗料組成物を得た。この防食塗料組成物に、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子をイソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなる防食組成物を混合することによって、本実施の形態15にかかる防食塗料が得られた。
このようにして、本実施の形態15にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性と、プライマー(A)とプライマー(B)の極めて優れた防食性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態16
次に、本発明の実施の形態16にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態16にかかる防食塗料は、フッ化珪素塩等のフッ化物塩と全てが加水分解性基によって置換されたチタンモノマーとを反応させてなる無機膜形成用塗布剤と、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
無機膜形成用塗布剤は、テトラ−イソプロポキシチタン2.0重量部とエタノール48重量部の混合物を、チタンフッ化アンモニウム2.5重量部と脱イオン水47.5重量部の混合物中に20℃で1時間かけて攪拌しながら滴下することによって作製した。これに、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子をイソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなる防食組成物を混合することによって、本実施の形態15にかかる防食塗料が得られた。
この防食塗料を、板厚0.1mmのアルミニウム板をアルカリ脱脂剤を溶解した濃度2%の水溶液を使用して脱脂・水洗した後、乾燥皮膜重量が0.2g/m2 となるように塗布し、アルミニウム板到達温度が100℃になるようにして20秒間焼き付けて、防食膜を形成した。この防食膜が形成された供試体について、JIS−Z−2371に準じて塩水噴霧試験を実施して耐食性を評価した。その結果、試験時間120時間、240時間、360時間のいずれにおいても塗面に白錆・フクレの発生は認められず、極めて優れた防食性を有していることが確認された。
このようにして、本実施の形態16にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性と、フッ化珪素塩等のフッ化物塩と全てが加水分解性基によって置換されたチタンモノマーとを反応させてなる無機膜形の極めて優れた防食性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
本実施の形態16においては、フッ化物塩としてフッ化チタン塩としてのチタンフッ化アンモニウムを用いた場合について説明したが、フッ化珪素塩またはフッ化ジルコニウム塩を用いても、同様な効果を得ることができる。また、全てが加水分解性基によって置換されたチタンモノマーとしてテトラ−イソプロポキシチタンを用いた場合について説明したが、全てが加水分解性基によって置換されたシリコンモノマーまたはジルコニウムモノマーを用いても、同様な効果を得ることができる。更に、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の代わりに、実施の形態2と同様のコーティングシリカ殻からなる中空粒子を用いても良い。
実施の形態17
次に、本発明の実施の形態17にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態17にかかる防食塗料は、ウレタン変性エポキシ樹脂・メラミン樹脂・ブロックイソシアネート樹脂・鉛及びクロムを含まない防錆顔料を含有する防錆プライマーと、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
防錆プライマーの成分は、ウレタン変性エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂のグリシジル基に対して過剰量の活性水素を有するような量で多官能カルボン酸或いは多官能アミンを用いて変性し、その後残存する活性水素とジイソシアネートとを更に反応させて鎖延長されたものを使用するのが好ましい。このようなウレタン変性エポキシ樹脂を用いることにより、形成される防食プライマーの防食性を一段と向上させることができる。
メラミン樹脂は、ウレタン変性エポキシ樹脂の硬化剤として機能し得るものであり、特に限定されないが、例えばメラミンとホルムアルデヒドを反応させた後、アルコールで変性することによって得られるメラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれを含む樹脂組成物を挙げることができる。また、ブロックイソシアネート樹脂は、ポリイソシアネートにブロック剤を付加させることによって得られ、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生する。発生したイソシアネート基は、上記ウレタン変性エポキシ樹脂中の官能基と反応して、ウレタン変性エポキシ樹脂を硬化させる。
更に、鉛及びクロムを含まない防錆顔料は、一般に、水可溶分が多いと水分中にイオンが溶け易いことから、優れた防食性を示す。しかしながら、水可溶分は多過ぎると防錆プライマー塗膜が水により過剰に侵食されたり、膨れが発生し易くなるため、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下の量で配合される。鉛及びクロムを含まない防錆顔料としては、モリブデン酸亜鉛(水可溶分1.2%)、トリポリリン酸アルミニウム(水可溶分1.5%)、リンモリブデン酸アルミニウム(水可溶分0.4%)、リン酸亜鉛(水可溶分0.1%)等の微粉末等が挙げられる。
これら4成分を混合してなる防錆プライマーに、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子をイソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなる防食組成物を混合することによって、本実施の形態17にかかる防食塗料が得られた。
この防食塗料を、アルカリ脱脂剤を用いて脱脂を行い、次いで化成処理剤を用いて化成処理を行ったアルミダイキャスト合金製板に、乾燥膜厚で15μmになるようにスプレー塗装した。10分間放置した後、120℃で20分間熱処理することによって、防食膜を形成した。この防食膜の評価試験として、海水暴露試験を実施した。防食膜を形成したアルミダイキャスト合金製板を、常時海岸より引き込んだ海水を満たしたプールに浸漬した。試験条件として、浸漬12時間、乾燥12時間を1サイクルとして30日間浸漬した後、塗膜表面における腐食度を目視判定した。その結果、僅かに発錆が開始したものが認められたのみであり、防食性に極めて優れていることが分かった。
このようにして、本実施の形態17にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性と、防錆プライマーの極めて優れた防食性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態18
次に、本発明の実施の形態18にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態18にかかる防食塗料は、フッ化水素及び/またはフッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミン及び/またはアルカノールアミンからなる防食用組成物を含有する水性防食用組成物と、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
水性防食用組成物は、環状アミンと混合すると環状アミンの一部或いは全部が環状アミンのフッ酸塩に変化するフッ化物としてのフッ化アンモニウム、環状アミンとしてのピペラジン及びN,N−ジメチルピペラジン、アルキレンアミンとしてのエチレンジアミンを含有する水溶液である。ここで、フッ化アンモニウムが0.01重量%〜20重量%、ピペラジン及びN,N−ジメチルピペラジンの合計量が0.01重量%〜40重量%、エチレンジアミンが0.01重量%〜40重量%、水が50.1重量%〜99.9重量%の範囲内であることが好ましい。
このような水性防食用組成物に、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を、アルキルシリケート加水分解塗料に均一に分散させてなる防食組成物を混合することによって、本実施の形態18にかかる防食塗料が得られた。防食組成物の溶媒も水であり、したがって本実施の形態18にかかる防食塗料は、有機溶媒を使用しない水性防食塗料である。
このようにして、本実施の形態18にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性と、フッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミンの混合物の極めて優れた防食性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
実施の形態19
次に、本発明の実施の形態19にかかる防食膜及び防食塗料について説明する。本実施の形態19にかかる防食塗料は、ベンゾトリアゾール系化合物、脂肪族アミン及び/または第四アンモニウム化合物、及びアルコキシシランからなる防食用組成物を非水系溶剤を溶媒として配合してなる銅材用防食剤組成物と、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を分散させた防食組成物とを混合してなるものである。
銅材用防食剤組成物は、ベンゾトリアゾール系化合物としてのベンゾトリアゾール及び4−メチル−ベンゾトリアゾールの混合物と、脂肪族アミンとしてのオクチルアミン及び第四アンモニウム化合物としてのイミダゾリニウム化合物の混合物と、アルコキシシランとしてのビニルトリメトキシシランを、非水系溶剤としてのメタノールに溶解させたものである。
ここで、ベンゾトリアゾール及び4−メチル−ベンゾトリアゾールの混合物の配合比は、0.1重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは0.5重量%〜3重量%の範囲内である。また、オクチルアミン及びイミダゾリニウム化合物の混合物の配合比は、0.1重量%〜5重量%の範囲内、好ましくは0.2重量%〜1重量%の範囲内である。更に、ビニルトリメトキシシランの配合比は、0.1重量%〜5重量%の範囲内、好ましくは0.1重量%〜1重量%の範囲内である。
このように、本実施の形態19にかかる銅材用防食剤組成物は銅と化学的に反応してキレート化合物を生成するベンゾトリアゾール及び4−メチル−ベンゾトリアゾールを含むので、本実施の形態19にかかる銅材用防食剤組成物を銅材の表面に塗布するとキレート化合物が生成し、層状に銅材の表面を覆って防食性皮膜を形成して銅材表面を保護し、防食効果を発揮する。
また、オクチルアミン及びイミダゾリニウム化合物を含むので、これらの化合物はキレート化合物の層の間隙等に吸着層を形成し、防食性皮膜を保護する防食助剤としての機能を有する。更に、本実施の形態19にかかる銅材用防食剤組成物はビニルトリメトキシシランを含むので、ビニルトリメトキシシランが銅材表面とキレート化合物の層との間の仲介役となって架橋し、銅材表面と被覆材との密着度の向上に対して有効に作用する。
このような銅材用防食剤組成物に、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子をイソシアネート−アクリル系塗料に均一に分散させてなる防食組成物を混合することによって、本実施の形態19にかかる防食塗料が得られる。したがって、かかる配合の防食塗料を銅材表面に塗布して得られる防食膜においては、シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子が分布している部分においては水が沁み込むのを確実に防止し、キレート化合物の層が分布している部分においては水が沁み込んできても防食性を発揮するため、極めて優れた防食性能を有する。
このようにして、本実施の形態19にかかるシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子を用いた防食膜及び防食塗料は、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子の絶縁性及びキレート化合物の層の防食性を利用して、取扱いがし易くかつ確実に防食性を向上させることができ、独立気孔で水が沁み込む恐れがなく、塗膜の厚さを薄くしても優れた防食性を得ることができる。
上記各実施の形態においては、シリカ殻からなる中空粒子として、立方体状形態の中空粒子4を用いた場合についてのみ説明したが、シリカ殻からなる中空粒子の形状は立方体状形態に限られるものではなく、他の形状を有するシリカ殻からなる中空粒子を用いることもできる。
また、上記各実施の形態においては、シリカ殻からなる立方体状形態のナノ中空粒子として、50nm〜100nmの範囲内の外径を有する平均粒径80nmのシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子4、及びコーティングシリカ殻からなる中空粒子10を用いた場合について説明したが、10nm〜300nmまでの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子及びコーティングシリカ殻からなる中空粒子を用いた場合においても、同様な作用効果を得ることができる。
更に、上記各実施の形態における各種のインヒビターを、立方体状形態の中空粒子4を始めとするシリカ殻からなる中空粒子の内部にドーピングすることによって、より一層防食膜及び防食塗料の防食性を向上させることができる。
本発明を実施するに際しては、防食膜及び防食塗料のその他の部分の構成、成分、形状、数量、材質、大きさ、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
図1(a)は本発明の実施の形態1にかかる防食塗料を用いて形成した防食膜付き試験片の全体構成を示す斜視図、(b)は防食膜付き試験片の構成を示す部分断面図である。 図2は本発明の実施の形態1にかかる防食塗料の製造工程を示すフローチャートである。 図3は本発明の実施の形態1にかかる防食塗料を用いて形成した防食膜付き試験片の製造工程を示すフローチャートである。 図4は本発明の実施の形態2にかかる防食膜及び防食塗料を製造するために用いられるコーティングシリカ殻からなる中空粒子の製造工程を示す模式図である。 図5(a)は本発明の実施の形態2にかかる防食塗料を用いて形成した防食膜付き試験片の全体構成を示す斜視図、(b)は防食膜付き試験片の構成を示す部分断面図である。 図6は本発明の実施の形態2にかかる防食塗料の製造工程を示すフローチャートである。
1,11 防食膜付き試験片
3,9 防食膜
4 シリカ殻からなる立方体状形態の中空粒子
5 亜鉛粉末粒子
7,15 防食塗料
8 イソシアネート系表面改質剤
10 コーティング中空シリカ粒子
12 アルミニウム−亜鉛合金粉末

Claims (28)

  1. アルミニウム、亜鉛、アルミニウムと亜鉛の合金からなる群より選ばれた金属の粒子と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食膜。
  2. マグネシウム系金属の表面を陽極酸化による酸化物層で被覆し、前記酸化物層の表面をアルミニウム系、チタン系またはジルコニウム系のカップリング剤で変性した変性樹脂及び10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる層で被覆したことを特徴とする防食膜。
  3. アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成された防食膜であって、
    コロイド状シリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物と不飽和エチレン単量体の重合体または共重合体と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食膜。
  4. 前記シリカ殻からなる中空粒子が、立方体状形態を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の防食膜。
  5. 前記シリカ殻からなる中空粒子が、20nm〜150nmの範囲内の外径を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の防食膜。
  6. 前記シリカ殻からなる中空粒子の表面にイソシアネート系の表面改質剤を付加させたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の防食膜。
  7. 水溶性三価クロム化合物と、水溶性フッ化物と、亜鉛−アルミニウム合金粉末と、グリコール類及び/またはセルロース類とを含有する金属防食用被覆組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  8. 前記金属防食用被覆組成物が、水100重量部に対して前記水溶性三価クロム化合物をCr23 換算で0.2重量部〜10重量部、前記水溶性フッ化物をフッ素イオン換算で0.01重量部〜0.5重量部、前記亜鉛−アルミニウム合金粉末を5重量部〜50重量部、前記グリコール類及び/または前記セルロース類を5重量部〜30重量部含有し、pHが3.0〜7.0の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載の防食塗料。
  9. 水溶性クロム酸化合物と、亜鉛粉末・アルミニウム粉末・亜鉛合金粉末・アルミニウム合金粉末からなる群より選択される少なくとも一種の金属粉末の表面に高級脂肪酸塩をコーティングしてなる金属成分と、前記高級脂肪酸塩を分解可能な酸化剤と、グリコール系化合物及び/またはα−ヒドロキシケトンと、水及び/または水溶性有機溶媒とを含有してなる防食被覆組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  10. フッ化珪素塩・フッ化チタン塩・フッ化ジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種のフッ化物塩と、全てが加水分解性基によって置換されたシリコンモノマー・チタンモノマー・ジルコニウムモノマーから選ばれる少なくとも1種の加水分解性モノマー及び/またはその低縮合物とを反応させてなる無機膜形成用塗布剤と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  11. アクリル樹脂、アミノ樹脂、及びリン酸基と水添ビスフェノール骨格の構造を有するアクリル樹脂とを含有する塗料組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  12. アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、粉末シリカ及び架橋性重合体粒子を含有する防食塗料組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  13. ウレタン変性エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、鉛及びクロムを含まない防錆顔料を含有する防錆プライマーと、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  14. リン酸、縮合リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種と、ジルコニウム塩またはチタン塩の少なくとも1種と、フッ化物と、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩の少なくとも1種とを含有するアルミニウム系金属表面処理用組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  15. ベンゾトリアゾール系化合物、脂肪族アミン及び/または第四アンモニウム化合物、及びアルコキシシランからなる防食用組成物を非水系溶剤を溶媒として配合してなる銅材用防食剤組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  16. フッ化水素及び/またはフッ化アンモニウム、環状アミン、アルキレンアミン及び/またはアルカノールアミンからなる防食用組成物を含有する水性防食用組成物と、
    10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子が、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなる防食組成物とを混合してなることを特徴とする防食塗料。
  17. 塩化セリウム(CeCl3 )と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  18. ポリアニリンと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  19. 金属セレン(Se)及び/またはセレン化亜鉛(ZnSe)と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  20. 鱗片状亜鉛粉末粒子とその粒子表面に付加された疎水基を有するシラン化合物とからなる防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  21. 亜鉛粉末粒子と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  22. ピリジニウム化合物と、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  23. エピハロヒドリン変性ポリアミド、またはエピハロヒドリン変性ポリアミド及びベンゾトリアゾールと、10nm〜300nmの範囲内の外径を有するシリカ殻からなる中空粒子とを、有機樹脂バインダーまたは無機高分子バインダーまたは有機無機複合バインダーに対して、固形分で4重量%〜15重量%の割合で混合され、前記有機樹脂バインダーまたは前記無機高分子バインダーまたは前記有機無機複合バインダー中に均一に分散してなることを特徴とする防食塗料。
  24. 前記防食用組成物、前記塩化セリウム、前記ポリアニリン、前記金属セレン及び/または前記セレン化亜鉛、前記防錆塗料用鱗片状亜鉛粉末、前記亜鉛粉末粒子、前記ピリジニウム化合物、前記エピハロヒドリン変性ポリアミドまたは前記エピハロヒドリン変性ポリアミド及び前記ベンゾトリアゾールのいずれかと、前記シリカ殻からなる中空粒子との前記防食塗料全体に対する合計含有量は15重量%〜30重量%であり、前記有機樹脂塗料または前記無機高分子塗料または前記有機無機複合塗料の含有量は70重量%〜85重量%であることを特徴とする請求項15乃至請求項23のいずれか1つに記載の防食塗料。
  25. 前記有機樹脂塗料または前記無機高分子塗料または前記有機無機複合塗料は透明であることを特徴とする請求項7乃至請求項24のいずれか1つに記載の防食塗料。
  26. 前記シリカ殻からなる中空粒子が、立方体状形態を有することを特徴とする請求項7乃至請求項25のいずれか1つに記載の防食塗料。
  27. 前記シリカ殻からなる中空粒子が、20nm〜150nmの外径を有することを特徴とする請求項7乃至請求項26のいずれか1つに記載の防食塗料。
  28. 前記シリカ殻からなる中空粒子は、その表面にイソシアネート系の表面改質剤を付加させたことを特徴とする請求項7乃至請求項27のいずれか1つに記載の防食塗料。
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