JP2003003271A - 防食被覆組成物及び防食被覆組成物調製用調合剤 - Google Patents

防食被覆組成物及び防食被覆組成物調製用調合剤

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JP2003003271A
JP2003003271A JP2001185305A JP2001185305A JP2003003271A JP 2003003271 A JP2003003271 A JP 2003003271A JP 2001185305 A JP2001185305 A JP 2001185305A JP 2001185305 A JP2001185305 A JP 2001185305A JP 2003003271 A JP2003003271 A JP 2003003271A
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Akihisa Hashimoto
明久 橋本
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Nippon Dacro Shamrock Co Ltd
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Nippon Dacro Shamrock Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境汚染をもたらすことがなく、
塩水に対しても、淡水に対しても安定した防食効果を有
する防食被覆組成物を提供すること。 【解決手段】 水溶性クロム酸化合物と、亜鉛粉
末、アルミニウム粉末、亜鉛合金粉末、及びアルミニウ
ム合金粉末から成る群より選択される少なくとも一種の
金属粉末の表面に高級脂肪酸塩をコーティングして成る
金属成分と、前記高級脂肪酸塩を分解可能な酸化剤と、
グリコール系化合物及びα−ヒドロキシケトン類からな
る群から選択される少なくとも一種と、水及び水溶性有
機溶媒からなる群から選択される少なくとも一種の分散
媒とを含有して成ることを特徴とする防食被覆組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防食被覆組成物及
び防食被覆組成物調製用調合剤に関し、さらに詳しく
は、クロム化合物の含有量が少なくて環境を汚染する恐
れが少なく、しかも塩水及び淡水のいずれに対しても安
定した防食効果を発揮することのできる防食被覆組成物
及びその防食被覆組成物に調合するための防食被覆組成
物調製用調合剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄鋼を主とする金属の表面に防食
効果を付与する種々の被覆組成物が知られている。その
一例として、特開平4−8889号公報に記載されてい
るように、無水クロム酸、ホウ酸化合物、及び卑金属
(主として亜鉛又はアルミニウム)の粉末と、pH調整
剤(金属の酸化物又は水酸化物)と、オキソヒドロキシ
低分子量エーテル(ポリグリコール類)と、水及び有機
溶剤とから成る防食被覆組成物がある。
【0003】この防食被覆組成物は、通常、無水クロム
酸、pH調整剤及び水などを含む第1組成物と、金属粉
末及びグリコール系化合物、オキソヒドロキシ低分子量
エーテル(プロピレングリコールなど)を含む第2組成
物との組み合わせとして使用者に提供されて、使用前に
これらを混合することによって調製され、使用される。
この防食被覆組成物は、最終的に金属表面に1μm程度
の皮膜層が形成される程度の一定量が塗布され、約20
0℃以上の温度で少なくとも0.2秒加熱されることに
よって、皮膜層を形成する。
【0004】この防食被覆組成物を用いた処理により形
成される皮膜は、塩水に対する鉄鋼の防水皮膜として、
亜鉛めっきなどに比較して優れた効果を発揮し、連続塩
水噴霧試験においても長期にわたり優れた効果を示すの
で、この組成物による処理は、塩害対策に有効な防食処
理として利用されている。
【0005】この防食被覆組成物の防食機構は、完全に
は解明されているわけではないが、次のように考えられ
ている。金属基体表面に塗布された前記防食被覆組成物
は、加熱されることによって、金属粉末にコーティング
されている高分子脂肪酸塩が分解されて金属粉末の表面
が露出され、さらに、無水クロム酸が還元されてクロム
酸化物(主としてCr)が生成され、これが前記
金属粉末の結合剤(マトリックス)となって前記金属粉
末を結合させ、金属基体の表面に皮膜層を形成させる。
その皮膜層は不導体化作用により安定化する。また、該
マトリックスはある程度導電性を有し、またクロム酸化
物中に六価クロムが残って、これが金属粉末を活性に保
つ。これらのことが前記被覆層中に含まれる金属粉末に
犠牲保護作用を発揮させる。以上の作用により、この防
食被覆組成物は防食機能を発揮する。
【0006】しかし、この防食被覆組成物において、金
属粉末の結合力、及び塩水環境下などにおける防食性能
を十分に向上させるためには、前記皮膜層中のクロム酸
化物の含有量をある程度多くする必要がある。このため
に、前記防食被覆組成物に六価クロムを多量に使用しな
ければならない。したがって、この防食被覆組成物の製
造及び使用に関して六価クロムによる環境汚染が問題と
なる。
【0007】例えば、製造工程及び塗装時における洗浄
排水には六価クロムが含有されているので、洗浄排水中
の六価クロムを還元して無害化する処理が要求され、そ
の結果、排水処理コストの増大を招く。また、上記のよ
うにして形成した皮膜中には六価クロムが含まれている
ので、前記皮膜を有する被処理体が雨水等に曝される
と、前記皮膜中に含まれている六価クロムが雨水等によ
り流出することが考えられ、さらにその被処理体が廃棄
されたときに、前記皮膜中に含まれている六価クロムも
同時に環境中に放出されることになる。
【0008】現代社会においては、環境保護が重要なテ
ーマとなっており、この種の防食被覆組成物を使用した
防食処理を継続実施することは困難な状況にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の防食
被覆組成物が有する前記欠点を解消することを目的とす
る。すなわち、本発明の目的は、環境汚染をもたらすこ
とがなく、塩水に対しても、淡水に対しても安定した防
食効果を有する防食被覆組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、地球環境
保全の世論の高まりによるクロム削減要求に応じるべ
く、従来の防食被覆組成物の改良を行い、クロムの使用
量が少なく、被覆層から六価クロムがほとんど溶出せ
ず、しかも防食効果が大きい防食被覆組成物を開発する
ことに成功した。
【0011】本発明における防食被覆組成物では、単に
配合中からクロムを削減するのではなく、クロム化合物
の一部を代替する成分として酸化剤を加える。この酸化
剤は、この防食被覆組成物を被処理体に塗布した後の焼
き付け工程中に、金属粉末上に形成されている高分子脂
肪酸塩のコーティング皮膜の熱分解を促進して、金属粉
末の表面を速やかに露出させることにより、金属粉末の
犠牲保護作用を効果的に発揮させる。また、酸化剤とし
ては、従来の防食被覆組成物よりも低温度又は短時間の
加熱で優れた防食性能を有する防食被覆組成物を得るべ
く、種々の酸化剤を配合した防食被覆組成物を調製して
防食性能試験を行った結果、金属酸化物、又は金属を含
有する酸から形成される塩が有効であると認められた。
これらの酸化剤を配合することにより、配合するクロム
量を削減させ、溶出するクロムの量(以下、「溶出クロ
ム量」という)を低減させることができるので、環境汚
染がほとんどなく、しかも塩水環境下においても、淡水
環境下においても安定した効果を示す防食被覆組成物を
得ることができた。
【0012】すなわち、本発明は、水溶性クロム酸化合
物と、亜鉛粉末、アルミニウム粉末、亜鉛合金粉末、及
びアルミニウム合金粉末から成る群より選択される少な
くとも一種の金属粉末の表面に高級脂肪酸塩をコーティ
ングして成る金属成分と、前記高級脂肪酸塩を分解可能
な酸化剤と、グリコール系化合物及びα−ヒドロキシケ
トン類からなる群から選択される少なくとも一種と、水
及び水溶性有機溶媒からなる群より選択される少なくと
も一種の分散媒とを含有して成ることを特徴とする防食
被覆組成物であり、前記防食被覆組成物の好適な態様と
して、前記水溶性クロム酸化合物は、防食被覆組成物全
体に対してその含有量が1〜6重量%であり、前記酸化
剤は、防食被覆組成物全体に対してその含有量が0.0
1〜6重量%であり、前記金属成分は、防食被覆組成物
全体に対してその含有量が10〜40重量%であり、前
記グリコール系化合物及びα−ヒドロキシケトン類から
なる群から選択される少なくとも一種は、防食被覆組成
物全体に対してその含有量が7〜30重量%であり、前
記水溶性クロム酸化合物は、無水クロム酸、水溶性クロ
ム酸塩、又は水溶性重クロム酸塩であり、前記酸化剤
は、マンガン、モリブデン、若しくはタングステンの酸
化物、又はこれらの金属を含有する酸から形成される塩
であり、前記グリコール系化合物は、低級アルコキシレ
ングリコール化合物であり、前記水溶性クロム酸化合物
の含有量と前記酸化剤の含有量との合計が、防食被覆組
成物全体に対して1〜6重量%である。この防食被覆組
成物はさらにpH調製剤を含有し、防食被覆組成物全体
に対してその含有量が多くとも1重量%であり、前記p
H調製剤は、ナトリウム、カリウム、リチウム、ストロ
ンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム若しく
は亜鉛の酸化物又は水酸化物であり、この防食被覆組成
物はさらに界面活性剤を含有し、防食被覆組成物全体に
対してその含有量が多くとも4重量%であり、前記界面
活性剤は、ノニオン界面活性剤であり、この防食被覆組
成物はさらにホウ酸化合物を含有し、防食被覆組成物全
体に対してその含有量が1〜6重量%である。
【0013】また、その他の発明は、防食被覆組成物を
調製するための防食被覆組成物調製用調合剤であって、
その防食被覆組成物に含有される前記水溶性クロム酸化
合物、前記酸化剤、及び前記分散媒を含有する第1組成
物と、その防食被覆組成物に含有される前記金属成分及
び前記グリコール系化合物及びα−ヒドロキシケトン類
よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する第
2組成物との組み合わせから成ることを特徴とする防食
被覆組成物調製用調合剤である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る防食被覆組成物にお
ける前記水溶性クロム酸は、本発明に係る防食被覆組成
物を被処理体に塗布した後、加熱したときにクロム酸化
物となって、これが前記金属粉末に対する結合剤として
作用して前記金属粉末を結合し、防食皮膜を形成させる
物質である。
【0015】前記水溶性クロム酸化合物としては、例え
ば、無水クロム酸及びクロム酸の水溶性金属塩、並びに
重クロム酸塩等が使用可能であるが、一般的にいって、
無水クロム酸塩が使用しやすく、またクロム酸カルシウ
ム、クロム酸マグネシウム、重クロム酸亜鉛、重クロム
酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、及び重クロム酸カ
ルシウム等も好適に使用することができる。
【0016】前記水溶性クロム酸化合物の配合量として
は、用途及び目的等に応じて適宜決定可能であるが、好
ましくは1〜6重量%であり、特に好ましくは1〜3重
量%である。前記水溶性クロム酸化合物の配合量がこの
範囲内にあると、防食皮膜を効果的に形成させることが
でき、また溶出クロムが多大になることもない。
【0017】前記金属成分は、被処理体の表面を覆い、
前記水溶性クロム酸化合物とともに被処理体の表面に防
食皮膜を形成する物質である。前記金属成分は、金属粉
末の表面に高級脂肪酸塩をコーティングして成る。
【0018】前記金属粉末は、前記金属成分の主体を成
す物質である。前記金属粉末は、前記防食皮膜中で犠牲
保護作用を示す。前記金属粉末が示すこの作用によっ
て、本発明に係る防食被覆組成物は、被処理体に対する
防食を実現する。前記金属粉末に使用する金属として
は、標準電極電位が負であり、その絶対値が鉄より大き
い金属が好ましい。このような金属であると、被処理体
の腐蝕を遅延させることができる。そのような金属とし
ては、取り扱い易さ、コスト等を考慮すると、特に亜
鉛、アルミニウム、亜鉛合金、及びアルミニウム合金等
が好適である。また、このような金属の金属粉末を二種
以上混合して使用してもよい。
【0019】前記金属粉末の形状としては、本発明の目
的を達成することができれば特に制限はなく、例えば、
粒状及びフレーク状等を挙げることができ、フレーク状
が特に好ましい。前記金属粉末の形状がフレーク状であ
ると、前記防食皮膜が、積層皮膜として形成されること
により、素地の隠蔽性が確保されるという利点がある。
【0020】前記金属粉末の大きさは、本発明の目的を
達成することができれば特に制限はなく、従来のこの種
の防食被覆組成物に通常使用される金属粉末の大きさと
同程度にすることができるが、好ましくは、例えばその
形状がフレーク状であるときには、その厚さが0.1〜
0.5μmであり、その長さが最長で約15μmであ
る。
【0021】また、前記金属粉末の配合量は、前記水溶
性クロム酸化合物の配合量との関係においても決定さ
れ、前記金属粉末の配合量に対する前記水溶性クロム酸
化合物の配合量の比率が、重量比として、0.05〜1
であることが好ましく、さらには0.08〜0.5であ
ることが望ましい。前記の比率が0.05未満である防
食被覆組成物においては、前記金属粉末に対してバイン
ダーとして機能する前記水溶性クロム酸化合物の量が少
ないことから、被処理体に塗布されたときに、金属粉末
間の空隙を充填してこれらを相互に結合し、またこれら
を被処理体に結合させることが困難になり、防食皮膜の
付着性が低下する場合がある。また、前記の比率が1よ
り大きい防食被覆組成物においては、防食皮膜中におけ
る前記金属粉末の存在割合が小さいことから、十分な犠
牲保護作用が発揮されなくなる場合がある。
【0022】前記金属粉末は、その表面に高分子脂肪酸
塩皮膜を有している。前記高分子脂肪酸塩皮膜は、酸性
の水溶性クロム酸化合物からの腐食攻撃を抑制するとい
う機能を有し、その結果、表面に高分子脂肪酸塩皮膜を
有する金属粉末を防食被覆組成物に使用すると、防食性
能の高い防食皮膜が得られるという利点を生じる。
【0023】前記高分子脂肪酸塩としては、例えば、ス
テアリン酸、パルミチン酸、ラウリル酸、及びオレイン
酸を挙げることができ、この中でも特にステアリン酸が
好適である。
【0024】前記高分子脂肪酸塩皮膜の厚みとしては、
0.001〜0.01μmであることが望ましい。
【0025】前記金属成分の調製方法としては、例え
ば、蒸留亜鉛ダストと高分子脂肪酸とを混合して、ボー
ルミル粉砕を行う方法を挙げることができる。
【0026】前記金属成分の配合量は、10〜40重量
%であることが好ましく、さらに15〜30重量%であ
ることが特に好ましい。前記金属粉末の配合量が前記前
記範囲内であると、被処理体の表面に好適な皮膜を形成
することが可能である。
【0027】前記酸化剤は、前記クロム化合物の一部を
代替する成分として防食被覆組成物に加えられる物質で
あり、前記金属粉末の表面にコーティングされた前記高
級脂肪酸塩を分解可能である。前記酸化剤は、前記防食
被覆組成物を被処理体に塗布して形成される前記防食皮
膜中において、前記金属粉末間に前記水溶性クロム化合
物が形成するマトリックスの中に存在し、前記防食皮膜
の焼き付け工程中に、前記金属粉末の表面にコーティン
グされた前記高分子脂肪酸塩から成る皮膜の熱分解を促
進して、前記金属粉末の表面を速やかに露出させること
により、前記金属粉末の表面における不動態の形成を促
進させる。前記酸化剤は、このように高級脂肪酸塩を分
解可能であることにより、前記金属表面を安定化させる
ことができ、前記金属粉末の犠牲防食作用を効率良く発
揮させて、本発明に係る防食被覆組成物の防食性能を向
上させていると考えられる。
【0028】前記酸化剤としては、例えば、塩素酸塩
類、金属を含有する酸から形成される塩類、及び金属酸
化物等を挙げることができ、特に、マンガン、モリブデ
ン、若しくはタングステン等の金属の酸化物、又はこれ
らの金属を含有する酸から形成される塩が好適であり、
さらにその中でも、過マンガン酸カリウム等の過マンガ
ン酸塩、三酸化モリブデン、及び三酸化タングステン等
が好ましい。前記酸化剤としてこれらの化合物を使用す
ると、上記に示した効果が大きくなり、防食性能がさら
に増大する利点がある。
【0029】前記酸化剤の配合量としては、用途及び目
的等に応じて適宜決定可能であるが、好ましくは0.0
1〜6重量%であり、特に好ましくは0.1〜2重量%
である。前記酸化剤の配合量がこの範囲内にあると、前
記酸化剤の機能が充分に発揮され、他の成分の機能を阻
害することもなく、また、前記金属粉末がその表面に高
分子脂肪酸塩の皮膜を有する場合に、その皮膜の分解を
十分に行うことができ、その一方で、その皮膜が早期に
破壊され過ぎることもないので、その皮膜の付着性の低
下が生じることがないという利点がある。
【0030】また、前記水溶性クロム酸化合物と前記酸
化剤との配合量の和は、防食被覆組成物の全体に対して
1〜6重量%であることが好ましい。前記配合量の和が
前記範囲内であると、被処理体の表面に対して付着性の
良い安定した防食皮膜が得られるという利点がある。
【0031】前記グリコール系化合物及びα−ヒドロキ
シケトン類からなる群から選択される少なくとも一種
は、本発明に係る防食被覆組成物において、水溶性クロ
ム酸化合物に対する還元剤として働き、これをクロム酸
化物に変える作用を有するとともに、この防食被覆組成
物が被処理体に塗布されて加熱されて、防食皮膜が形成
される段階で、徐々に揮発して、この防食被覆組成物の
沸騰的揮発を防止することにより、均一な防食皮膜の形
成を容易にする。
【0032】前記グリコール系化合物としては、低分子
量のグリコール化合物、例えば、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
エチレングリコール、及びトリプロピレングリコール等
を挙げることができ、またこれらのグリコール化合物の
中から選択される二種以上のグリコール化合物の混合物
であってもよい。また、α−ヒドロキシケトン類として
は、例えばジアセトンアルコール等を挙げることができ
る。α−ヒドロキシケトン類はその一種を単独で使用す
ることもできるし、またその二種以上を併用することも
できる。α−ヒドロキシケトン類として好適なのは、ジ
アセトンアルコールである。本発明においては、グリコ
ール系化合物の一種又は二種以上とα−ヒドロキシケト
ン類の一種又は二種以上とを併用することもできる。
【0033】グリコール系化合物及びα−ヒドロキシケ
トン類からなる群から選択される少なくとも一種の配合
量としては、7〜30重量%であることが好ましいく、
さらに12〜20重量%であることが特に好適である。
グリコール系化合物、α−ヒドロキシケトン類、又はこ
れらの混合物の配合量が前記範囲内であると、前記効果
が充分に得られ、また他の成分の作用を阻害することも
ない。
【0034】前記水及び水溶性有機溶媒からなる群から
選択される少なくとも一種の分散媒は、本発明に係る防
食被覆組成物に含有される他の成分を分散させる媒体で
ある。前記水溶性有機溶媒としては、例えば、エチレン
グリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレング
リコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレ
ングリコールを挙げることができ、特にジプロピレング
リコールが好適である。また、前記分散媒としては、前
記水と前記水溶性有機溶媒との混合物であってもよい。
【0035】本発明に係る防食被覆組成物は、少なくと
も以上の成分を含有していればよいが、これら以外の成
分を含有していてもよく、例えば、ホウ素化合物、pH
調整剤、又は界面活性剤等を含有することができる。
【0036】前記ホウ素化合物は、前記防食被覆組成物
によって形成される防食皮膜に含まれる前記金属成分か
ら亜鉛等の金属が溶出するのを抑制する機能を発揮する
成分である。前記ホウ素化合物としては、例えば、ホウ
酸化合物及び酸化ホウ素等を挙げることができる。前記
ホウ酸化合物としては、オルトホウ酸が好適であり、必
要に応じてメタホウ酸及びテトラホウ酸等も使用するこ
とができる。
【0037】前記ホウ素化合物の配合量としては、前記
クロム化合物の配合量に対して、重量比で70〜150
%であり、また、前記防食被覆組成物全体に対して1〜
6重量%であることが好ましい。前記ホウ素化合物の配
合量が前記範囲内であると、前記ホウ素化合物の上記機
能が充分に発揮され、また他の成分の機能を阻害するお
それもない。
【0038】また、本発明に係る防食被覆組成物にホウ
素化合物を配合する場合には、前記金属粉末の配合量に
対する前記水溶性クロム酸化合物の配合量と前記ホウ素
化合物の配合量との合計の比率が、前述した前記金属粉
末の配合量に対する前記水溶性クロム酸化合物の配合量
の比率に示した範囲内であることが、前述した理由と同
様の理由により好ましい。
【0039】本発明に係る防食被覆組成物はpH3〜6
の間で貯蔵安定性が良好であるので、前記防食被覆組成
物のpHがこの範囲内にない場合には、前記pH調整剤
によって、そのpHがこの範囲内になるように調整する
ことが望ましい。例えば、前記防食被覆組成物において
使用される水溶性クロム酸化合物が強酸性である場合に
は、前記防食被覆組成物のpHが前記範囲よりも小さく
なる場合があるので、この場合には、前記pH調整剤に
よってそのpHを前記範囲内に調整することが好まし
い。
【0040】前記pH調整剤としては、例えば、リチウ
ム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、及び
亜鉛等の酸化物並びに水酸化物等を挙げることができ
る。前記pH調整剤の配合量は1重量%であることが好
ましい。前記pH調整剤は、水又はその他の溶媒に溶解
させた状態で使用することができる。
【0041】前記界面活性剤は、前記防食被覆組成物中
における前記金属粉末の懸濁分散を安定化させる機能を
有する。前記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性
剤等が好適であり、特にアルキルフェノールポリエトキ
シ付加化合物等が好ましい。前記界面活性剤としてこれ
らの化合物を用いると、前記機能がより効果的に発揮さ
れる。前記界面活性剤の配合量としては、4重量%以下
であることが好ましい。前記界面活性剤の配合量が、前
記範囲内であると前記機能が充分に発揮され、また他の
成分の機能を阻害するおそれもない。
【0042】本発明に係る防食被覆組成物は、上記の成
分を均一に混合することによって調製することができ
る。
【0043】本発明に係る防食被覆組成物を使用者に提
供する方法としては、前記のように前記防食被覆組成物
を調製した後、その防食被覆組成物を使用者に提供する
方法、及び、防食被覆組成物調製用調合剤の形で販売
し、使用者がその防食被覆組成物調製用調合剤から前記
防食被覆組成物を調製することにより、前記防食被覆組
成物を使用者に提供する方法等を挙げることができる。
これらの提供方法の中で、前記防食被覆組成物の保存安
定性等の観点から前記防食被覆組成物調製用調合剤によ
る提供方法が特に好ましい。
【0044】前記防食被覆組成物調製用調合剤は、前記
防食被覆組成物に使用される前記成分を複数のグループ
に分け、その各グループごとにそのグループに属する前
記成分を混合することによって得られる複数の組成物か
ら構成される。使用者は、その複数の組成物を所定の割
合で混合することによって前記防食被覆組成物を調製す
ることができる。前記組成物中の前記各成分の配合量
は、前記複数の組成物を所定の割合で混合して得られた
前記防食被覆組成物中の前記成分の含有量が、前述した
前記成分の配合量の範囲内になるように決定されること
が望ましい。
【0045】前記グループの数及びそのグループに属す
る前記成分の種類については、目的に応じて適宜決定可
能であるが、保存安定性及び取り扱い上の利便性等を考
慮すると、前記防食被覆組成物調製用調合剤は、前記水
溶性クロム酸化合物、前記酸化剤、及び前記分散媒、更
に要すれば前記ホウ酸化合物を含有し、又は含有してな
る第1組成物と、前記金属成分、グリコール系化合物及
びα−ヒドロキシケトン類からなる群から選択される少
なくとも一種を含有し、又は含有して成る第2組成物と
の組み合わせにより構成されることが好適である。前記
防食被覆組成物を調製するときの、前記第1組成物と前
記第2組成物との混合比は、取り扱い易さ、及び混合の
し易さ等の理由から前記第1組成物が50〜70重量%
に対し、前記第2組成物が50〜30重量%であること
が好適である。したがって、前記第1組成物及び前記第
2組成物中の前記成分の配合量は、それぞれを前記の割
合で混合したときに得られる前記防食被覆組成物中の前
記各成分の含有量が、前述した前記各成分について配合
量の範囲内になるように決定されることが好ましい。
【0046】ホウ素化合物、pH調整剤、又は界面活性
剤等を前記防食被覆組成物調製用調合剤に配合する場合
には、前記ホウ素化合物は前記第1組成物に配合するこ
とが望ましく、pH調整剤は第1組成物に配合すること
が望ましく、界面活性剤は第2組成物に配合することが
望ましい。
【0047】本発明に係る防食被覆組成物は、基本的に
は従来の防食被覆組成物と同様に使用される。以下、本
発明に係る防食被覆組成物の使用方法を説明する。本発
明に係る防食被覆組成物は、防食被覆組成物形で使用者
に提供される場合には、そのまま使用され、防食被覆組
成物調製用調合剤の形で使用者に提供される場合には、
使用時に使用者が防食被覆組成物調製用調合剤から防食
被覆組成物を調製して使用される。
【0048】防食処理の対象となる金属基体の表面は、
通常、アルカリクリーナー、又は塩素系蒸気洗浄溶液等
で予め脱脂される。前記防食被覆組成物を前記金属基体
に塗布する方法としては、スプレー、ロールコート、浸
漬塗装、浸漬後遠心振りきりによって余滴を除去する方
法、浸漬後振動によって余滴を除去する方法、及び刷毛
塗り等を挙げることができる。
【0049】前記防食被覆組成物が塗布された金属基体
は、熱風循環乾燥炉(IDC燃焼炉又は電気炉)、遠赤
外線加熱炉、赤外線加熱炉、若しくは高周波誘導加熱
炉、又はこれらの組み合わせによって、180℃以上で
少なくとも0.2秒以上、好ましくは200℃以上で少
なくとも0.5秒以上、より好ましくは260℃以上で
少なくとも0.5秒以上加熱される。前記防食被覆組成
物が塗布され、加熱された金属基体は、室温まで放冷又
は強制空冷される。
【0050】以上により、金属基体に前記防食被覆組成
物による防食皮膜が形成される。必要ならば、その防食
皮膜上に前記防食被覆組成物を重ね塗りして、前記操作
を繰り返し行うことができる。
【0051】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0052】(実施例1)無水クロム酸濃度が3.1
%、過マンガン酸カリウム濃度が0.1%になるような
量の無水クロム酸濃度及び過マンガン酸カリウムを脱イ
オン水に溶解して成る溶液を用意する。これを第1組成
物とする。界面活性剤(アルキルフェノールポリエトキ
シ付加化合物型界面活性剤)0.2部及びジプロピレン
グリコール39.8部を含有して成る溶媒に亜鉛フレー
ク(厚み0.1〜0.3μm、最長部の平均長さが約
1.5μm)60部を分散させて、第2組成物を調製し
た。
【0053】第1組成物と第2組成物とを58:42の
割合で、前者を後者にゆっくり攪拌しながら注ぐことに
よって混合し、一夜室温で攪拌して、防食被覆組成物を
得た。この防食被覆組成物中の無水クロム酸の濃度は
1.8%である。
【0054】アルカリ洗浄し、スコッチブライトベリー
ファイン研磨布(米国スリーエム社製)で十分に研磨し
た軟鋼板に前記防食被覆組成物を均一になるようにバー
コーターで塗布した。この前記防食被覆組成物を塗布し
た軟鋼板を電気式熱風循環炉中に入れ、軟鋼板の温度が
300℃に達してから4分間保持し、その後室温で放冷
して防食被覆金属試料を作成した。
【0055】(実施例2)実施例1と同様に防食被覆組
成物を調製した。防食被覆金属試料の作成については、
防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環炉中
に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保持し
た以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を作成
した。
【0056】(実施例3)第1組成物中の過マンガン酸
カリウムの濃度を0.3%にした以外は、実施例1と同
様にして防食被覆組成物を調製した。防食被覆金属試料
の作成については、実施例1と同様にして防食被覆金属
試料を作成した。
【0057】(実施例4)実施例3と同様に防食被覆組
成物を調製した。防食被覆金属試料の作成については、
防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環炉中
に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保持し
た以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を作成
した。
【0058】(実施例5)第1組成物中の過マンガン酸
カリウムの濃度を0.3%にした以外は、実施例1と同
様にして防食被覆組成物を調製した。防食被覆金属試料
の作成については、実施例1と同様にして防食被覆金属
試料を作成した。
【0059】(実施例6)実施例5と同様に防食被覆組
成物を調製した。防食被覆金属試料の作成については、
防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環炉中
に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保持し
た以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を作成
した。
【0060】(実施例7)第1組成物に過マンガン酸カ
リウムを使用せず、第2組成物が三酸化モリブデンを
0.5部、ジプロピレングリコールを39.3部含有す
る以外は実施例1と同様に防食被覆組成物を調製した。
防食被覆金属試料の作成については、実施例1と同様に
して防食被覆金属試料を作成した。
【0061】(実施例8)実施例7と同様に防食被覆組
成物を調製した。防食被覆金属試料の作成については、
防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環炉中
に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保持し
た以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を作成
した。
【0062】(実施例9)第1組成物に過マンガン酸カ
リウムを使用せず、第2組成物が三酸化モリブデンを2
部、ジプロピレングリコールを37.8部含有する以外
は実施例1と同様に防食被覆組成物を調製した。防食被
覆金属試料の作成については、実施例1と同様にして防
食被覆金属試料を作成した。
【0063】(実施例10)実施例9と同様に防食被覆
組成物を調製した。防食被覆金属試料の作成について
は、防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環
炉中に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保
持した以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を
作成した。
【0064】(実施例11)第1組成物に過マンガン酸
カリウムを使用せず、第2組成物が三酸化タングステン
を0.5部、ジプロピレングリコールを39.3部含有
する以外は実施例1と同様に防食被覆組成物を調製し
た。防食被覆金属試料の作成については、実施例1と同
様にして防食被覆金属試料を作成した。
【0065】(実施例12)実施例11と同様に防食被
覆組成物を調製した。防食被覆金属試料の作成について
は、防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環
炉中に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保
持した以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を
作成した。
【0066】(実施例13)第1組成物に過マンガン酸
カリウムを使用せず、第2組成物が三酸化タングステン
を2部、ジプロピレングリコールを37.8部含有する
以外は実施例1と同様に防食被覆組成物を調製した。防
食被覆金属試料の作成については、実施例1と同様にし
て防食被覆金属試料を作成した。
【0067】(実施例14)実施例13と同様に防食被
覆組成物を調製した。防食被覆金属試料の作成について
は、防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環
炉中に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保
持した以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を
作成した。
【0068】(比較例1)第1組成物中の無水クロム酸
の濃度を6.9重量%とし、第1組成物に過マンガン酸
カリウムを使用しない以外は実施例1と同様に防食被覆
組成物を調製した。この防食被覆組成物中の無水クロム
酸の濃度は1.8%である。
【0069】防食被覆金属試料の作成については、実施
例1と同様にして防食被覆金属試料を作成した。
【0070】(比較例2)比較例1と同様に防食被覆組
成物を調製した。防食被覆金属試料の作成については、
防食被覆組成物を塗布した軟鋼板を電気式熱風循環炉中
に、軟鋼板の温度が260℃に達してから4分間保持し
た以外は実施例1と同様にして防食被覆金属試料を作成
した。
【0071】上記実施例及び比較例で得られた防食被覆
組成物及び防食被覆金属試料に対して以下の試験を行っ
た。
【0072】(1)塩水噴霧試験(SST) SSTは、前記防食被覆金属試料に対して、JIS−Z
−2371中性塩水噴霧試験方法により行った。防食被
覆金属試料の腐蝕の程度は肉眼で観察し、下記の基準に
よって判定評価した。
【0073】 5:赤さびの発生全くなし 4:10個以下のピンホール状の赤さびが発生 3:点さびが広がり、若干さび汁が流れ始める 2:さび汁の流れが著しい 1:全面赤さびで覆われている (2)複合サイクル腐蝕試験A法(CCT−A) CCT−Aとして、前記防食被覆金属試料に対して、下
記に示す操作を1サイクルとして行う推進耐食試験を第
1日目の朝にスタートして、第5日目の夕方まで行い、
それ以降第7日目の朝まで上記SSTを行った。そし
て、防食被覆金属試料の腐蝕の程度を上記と同様にして
評価した。
【0074】 塩水噴霧試験 17時間 強制乾燥 3時間 5%塩水に浸漬 2時間 自然乾燥 2時間 試験片は、SPCD−SD、70×150×0.8mm
の軟鉄鋼を使用した。
【0075】(3)溶出性クロム量の測定方法 脱脂除錆したM10×40セムスボルトに、前記実施例
1、実施例3、実施例5、実施例7、実施例9、実施例
11、実施例13、又は比較例1で得られた防食被覆組
成物を、付着量が200mg/dmになるように塗布
し、300℃及び260℃で各20分間焼き付けをし
て、前記セムスボルトの表面に防食皮膜を形成させた。
このセムスボルトの表面に防食皮膜を有して成る物質を
クロム測定用試料とした。
【0076】1つの防食被覆組成物から得られたクロム
測定用試料5本の重量W1を測定した。そのクロム測定
用試料5本を約200mlも5%食塩水に浸漬し、約1
時間加温して、溶出性クロムを抽出した。その後、前記
クロム測定用試料5本を前記食塩水から取り出し、クロ
ム抽出液を得た。このクロム抽出液に対して、濃塩酸、
5%ヨウ化カリウム水溶液、及び5%でんぷん溶液を添
加し、攪拌しながら1/100規定チオ硫酸ソーダ水溶
液で滴定した。滴定に要した前記チオ硫酸ソーダ水溶液
の容量をVmlとした。
【0077】一方、取り出された5本のクロム測定用試
料5本は、脱イオン水で洗浄し、加温した苛性ソーダ水
溶液に浸漬して、防食皮膜を除去し、得られた被覆除去
クロム測定用試料5本の重量W2を測定した。W1から
W2を差し引いて得られた値を被覆付着重量W3とし
た。
【0078】VをW3で除して得られた値を、被覆10
00mg当たりに換算した値を溶出クロム量とした。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明に係る防食被覆組成物によって形
成される防食皮膜は、溶出クロム量が少ない。したがっ
て、本発明に係る防食被覆組成物を使用すれば、防食皮
膜から六価クロムが溶出することによる環境汚染を効果
的に防止することができる。
【0081】また、本発明に係る防食被覆組成物は、ク
ロム使用量を低減させることができるので、製造時及び
塗装時において生産される洗浄排水に含有される六価ク
ロム量が少なく、排水処理が容易になり、排水処理コス
トの低減を図ることが可能である。さらに、前記防食皮
膜中に含有されるクロム量を低減させることができるの
で、前記防食皮膜を形成させた材料を廃棄するときに
も、環境汚染等を発生するおそれがない。
【0082】本発明に係る防食被覆組成物は、使用する
クロム量を低減させるにもかかわらず、これによって形
成される防食皮膜は、塩水に対しても、淡水に対しても
安定した防食効果を有する。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性クロム酸化合物と、亜鉛粉末、ア
    ルミニウム粉末、亜鉛合金粉末、及びアルミニウム合金
    粉末から成る群より選択される少なくとも一種の金属粉
    末の表面に高級脂肪酸塩をコーティングして成る金属成
    分と、前記高級脂肪酸塩を分解可能な酸化剤と、グリコ
    ール系化合物及びα−ヒドロキシケトン類からなる群か
    ら選択される少なくとも一種と、水及び水溶性有機溶媒
    からなる群より選択される少なくとも一種の分散媒とを
    含有して成ることを特徴とする防食被覆組成物。
  2. 【請求項2】 前記水溶性クロム酸化合物は、防食被覆
    組成物全体に対してその含有量が1〜6重量%である請
    求項1に記載の防食被覆組成物。
  3. 【請求項3】 前記酸化剤は、防食被覆組成物全体に対
    してその含有量が0.01〜6重量%である請求項1又
    は2に記載の防食被覆組成物。
  4. 【請求項4】 前記金属成分は、防食被覆組成物全体に
    対してその含有量が10〜40重量%である請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の防食被覆組成物。
  5. 【請求項5】 前記グリコール系化合物及びα−ヒドロ
    キシケトン類からなる群から選択される少なくとも一種
    は、防食被覆組成物全体に対してその含有量が7〜30
    重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食
    被覆組成物。
  6. 【請求項6】 前記水溶性クロム酸化合物は、無水クロ
    ム酸、水溶性クロム酸塩、又は水溶性重クロム酸塩であ
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食被覆組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記酸化剤は、マンガン、モリブデン、
    若しくはタングステンの酸化物、又はこれらの金属を含
    有する酸から形成される塩である請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の防食被覆組成物。
  8. 【請求項8】 前記グリコール系化合物は、低級アルコ
    キシレングリコール化合物である請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の防食被覆組成物。
  9. 【請求項9】 前記水溶性クロム酸化合物の含有量と前
    記酸化剤の含有量との合計が、防食被覆組成物全体に対
    して1〜6重量%である請求項1〜8のいずれか1項に
    記載の防食被覆組成物。
  10. 【請求項10】 pH調製剤を含有し、防食被覆組成物
    全体に対してその含有量が多くとも1重量%である請求
    項1〜9のいずれか1項に記載の防食被覆組成物。
  11. 【請求項11】 前記pH調製剤は、ナトリウム、カリ
    ウム、リチウム、ストロンチウム、カルシウム、バリウ
    ム、マグネシウム若しくは亜鉛の酸化物又は水酸化物で
    ある請求項10に記載の防食被覆組成物。
  12. 【請求項12】 界面活性剤を含有し、防食被覆組成物
    全体に対してその含有量が多くとも4重量%である請求
    項1〜11のいずれか1項に記載の防食被覆組成物。
  13. 【請求項13】 前記界面活性剤は、ノニオン界面活性
    剤である請求項15に記載の防食被覆組成物。
  14. 【請求項14】 ホウ酸化合物を含有し、防食被覆組成
    物全体に対してその含有量が1〜6重量%である請求項
    1〜13のいずれか1項に記載の防食被覆組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の防食被覆組成物を調製するための防食被覆組成物調製
    用調合剤であって、その防食被覆組成物に含有される前
    記水溶性クロム酸化合物、前記酸化剤、及び前記分散媒
    を含有する第1組成物と、その防食被覆組成物に含有さ
    れる前記金属成分及び前記グリコール系化合物及びα−
    ヒドロキシケトン類よりなる群から選択される少なくと
    も一種を含有する第2組成物との組み合わせから成るこ
    とを特徴とする防食被覆組成物調製用調合剤。
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