JP3901000B2 - 水系分散体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系分散体に関し、さらに詳細には、従来公知の方法では得られなかった重合安定性、貯蔵安定性、耐温水性に優れ、かつ、極めて優れた耐汚染性を有し、さらには極めて優れた耐候性をも有する、水系塗料として有用な水系分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、環境問題を背景として、水系塗料は様々な分野で使用されており、その適用範囲は拡大の一途をたどっているが、それに伴い、塗料に対する要求性能もますます高度化している。
特に近年、外壁用塗料として使用したときに排気ガスや砂塵の曝露を受けた塗装面に雨筋が付き、醜くなるという耐汚染性の解決が求められている。
水系塗料において、この耐汚染性の要求を満たす手段として、特開平8−259892号公報には、オルガノシリケートの乳化物を水系分散体に添加する方法が、国際特許公開WO99/05228号公報および特開平11−343462号公報には、ポリエチレングリコール系化合物で変性したオルガノシリケートを水系塗料に添加する方法が開示されている。これらオルガノシリケートなどを水系樹脂分散体に添加する方法は、相分離したオルガノシリケートのシラノール性水酸基が塗膜表面を親水化することにより水との接触角を下げ、雨筋が付きにくくなる。しかしながら、これらオルガノシリケートなどを水系樹脂分散体に添加する方法は、オルガノシリケートと水系樹脂分散体とが相溶性に劣るため、塗膜が不透明であったり、塗膜表面が曇ったり、さらには、耐水性、耐温水性が劣る、塗膜表面の親水性が持続しない、貯蔵安定性に劣るなどの欠点がある。
これらの欠点を改良する手段として、特開平8−34955号公報、特開平10−183064号公報、特開平10−292017号公報、特開2001−302920号公報には、オルガノシランと有機樹脂を複合化した水系分散体が提案されている。しかしながら、これらの水系分散体は、塗膜表面に充分なシラノール性水酸基が形成されないために、そもそも塗膜表面が撥水性であったり、あるいは、シラノール性水酸基が形成されるのに長期間を要し、初期の耐汚染性が劣るという欠点がある。
【0003】
これらの欠点を改良する手段として、特開2000−53919号公報には、ポリアルコキシポリシロキサンと有機樹脂を複合化した水系分散体が提案されている。これらポリアルコキシポリシロキサンと有機樹脂を複合化する方法は、充分量のシラノール性水酸基が塗膜表面を親水化することにより水との接触角を下げ、また、ポリアルコキシポリシロキサンと樹脂とが相溶化されていることから、塗膜の透明性や表面光沢が良好で、親水性が初期から発現し、かつ親水性が持続する。しかしながら、同特許でも開示されているとおり、通常、ポリアルコキシポリシロキサンと有機樹脂の複合化の際に、重合安定性が劣るという欠点があり、同特許では加水分解抑制剤なる親水性化合物、主には、親水性高分子化合物を重合の際に添加している。この方法では、重合安定性は向上するものの、親水性化合物が温水に侵されるため、塗膜の耐温水性が劣るという欠点がある。また、貯蔵安定性も充分ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来公知の方法では得られなかった重合安定性、貯蔵安定性、耐温水性に優れ、かつ、極めて優れた耐汚染性を有し、さらには極めて優れた耐候性をも有する、水系塗料として有用な水系分散体を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水性媒体中に、(A)下記一般式(1)
(R4−n−(Si)−(OR・・・・・(1)
(式中、Rは水素原子、フェニル基または炭素数1〜8の1価の有機基、Rは同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基、nは3または4である。)で表されるオルガノシランの縮合物であるポリオルガノシロキサン2〜50重量部の存在下に、(B’)下記(B)アクリル系ポリマーを構成するアクリル系単量体を含むラジカル重合性単量体成分をラジカル乳化重合することにより得られる(B)ガラス転移点が−20℃〜80℃のアクリル系ポリマー98〜50重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕を含有するポリオルガノシロキサン/アクリル系ポリマー複合粒子が分散し、かつ、上記(A)ポリオルガノシロキサンは、該複合粒子における加水分解されていないOR基が1〜25mmol/g(該複合粒子固形分換算)であり、また上記オルガノシラン中のn=4の構成単位が2〜100モル%、さらに平均縮合度が上記オルガノシランの6〜1,000量体である、水系分散体に関する。
本発明の水系分散体は、水性媒体中で、上記(A)ポリオルガノシロキサン、(B’)上記(B)アクリル系ポリマーを構成するアクリル系単量体を含むラジカル重合性単量体成分、および(C)乳化剤を混合したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで、(D)ラジカル重合開始剤の共存下、pH5〜8で、(B’)単量体成分をラジカル重合することにより得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水系分散体は、比較的高濃度のポリオルガノシロキサンが複合化されたアクリル系粒子であり、加水分解可能なアルコキシシリル基を粒子中に有するため、塗膜形成後の酸性雨などで充分量のシラノール性水酸基が塗膜表面を親水化し、水との接触角を下げ、また、樹脂との相溶化が充分なされていることから、塗膜の透明性や表面光沢が良好で、かつ耐汚染性が持続する。しかも、ポリオルガノシロキサンの組成、縮合度を限定することで、余分な親水性物質を添加することなく重合安定性が良好であることから、塗膜の耐温水性にも優れるという利点を有する。
【0007】
また、その製造方法として、アクリル系単量体を主成分とするラジカル重合性単量体成分(以下「ラジカル重合性単量体」ともいう)をポリオルガノシロキサンの存在下、特定のpH範囲内で、水性媒体中において中性でミニエマルジョン重合することにより、従来公知の方法では得られなかった以下の利点を有する。
(I)ラジカル重合性単量体のミニエマルジョン重合中にポリオルガノシロキサンの加水分解・縮合反応が進まないため、ミニエマルジョン重合中に重合を阻害する低分子量アルコキシシランの加水分解物、および加水分解反応の副生成物であるアルコールの発生がなく、また、特定の構造、縮合度のポリオルガノシロキサンを選択することで、ミニエマルジョン重合中のモノマー油滴の安定性が良好であり、よって、比較的多量のポリオルガノシロキサンを含んでいてもラジカル重合中の反応安定性が良好である。
(II)エマルジョン粒子中で、ポリオルガノシロキサン成分である(A)成分の存在下にラジカル重合性単量体が重合するため、シロキサン成分がアクリル系ポリマー中に極めて微分散した構造を形成する。その結果、シロキサン成分として相互溶解性に劣るメチル系シリコーン樹脂を使用しても、透明性に優れた被膜が形成される。
【0008】
(III)エマルジョン粒子中では、ポリマーどうしが無溶剤状態で共存するため、シロキサン成分中の加水分解反応活性に富むアルコキシシラン基の自由度が制限を受ける。その結果、アルコキシシラン基の加水分解が抑制され、良好な貯蔵安定性が得られる。
(IV)シロキサン成分中に特定構造のアルコキシシラン基を一定量以上含有させるため、エマルジョン粒子中でアルコキシシラン基が良好な状態で拘束される一方、その高い加水分解反応活性が温存され、塗膜形成後にその表面から加水分解が進行し、親水性の発現が早く、かつ、長期に渡って、親水性が保持されるために、極めて優れた耐汚染性が発現する。
【0009】
(A)ポリオルガノシロキサン
本発明の水系分散体を構成する(A)ポリオルガノシロキサンとは、上記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」ともいう)の縮合物である。上記オルガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。また、オルガノシラン(1)の縮合物は、上記一般式(1)でいうところのOR2基が含まれている必要がある。
【0010】
(A)成分中に残存するOR2基が存在することにより、加水分解していないOR2基が組成物中に残り、これが、塗膜表面において、雨水で加水分解、親水化し、汚染除去性(耐汚染性)が飛躍的に向上する。
本発明の複合粒子中に存在する(A)ポリオルガノシロキサン中の加水分解されていないOR2基は、1〜25mmol/g(複合粒子固形分換算)、好ましくは2〜20mmol/g(複合粒子固形分換算)である。1mmol/g(複合粒子固形分換算)未満では、得られる塗膜の耐汚染性が劣り、一方、25mmol/g(複合粒子固形分換算)を超えると、水性分散体の貯蔵安定性が劣る。この複合粒子中における(A)ポリオルガノシロキサンのOR2基量は、(A)成分中の残存OR2基量と、(A)〜(B)成分中の(A)成分の割合により、容易に調整することができる。
ここで、(A)ポリオルガノシロキサン中に残存する上記OR2基は、(A)成分中に好ましくは50〜100モル%、さらに好ましくは60〜100モル%である。50モル%未満では、残存OR2基が少なすぎて、得られる組成物を用いた塗膜の耐汚染除去性が乏しい。
ここで、(A)成分に含有されるOR2基とは、(A)ポリオルガノシロキサン自体に残存する該OR2基のほか、未だ加水分解・縮合されていないオルガノシラン(1)のOR2基を含む概念である。
なお、本発明の複合粒子中や(A)ポリオルガノシロキサン中に含有される上記OR2基量は、適当な触媒で加水分解することにより発生するアルコール濃度を測定することにより算出することができる。
【0011】
一般式(1)において、R1の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0012】
1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
【0013】
また、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なっていてもよい。
【0014】
このようなオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類(以上、n=4の場合);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類(以上、n=3の場合)などを挙げることができる。
【0015】
これらのうち、本発明の(A)ポリオルガノシロキサンとして、好ましく用いられるのは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランの、(共)縮合物である。
【0016】
(A)ポリオルガノシロキサンは、2種以上のオルガノシラン(1)の縮合物を混合して使用することができる。特に、一般式(1)で表記されるn=4のオルガノシランの縮合物と一般式(1)で表記されるn=3のオルガノシランの縮合物を混合して使用することが好ましい。これらの縮合物を混合して使用することにより、特に貯蔵安定性と耐温水性が優れたものとなる。
すなわち、本発明の(A)ポリオルガノシロキサンを構成するオルガノシラン(1)において、n=4の構成単位は2〜100モル%、好ましくは5〜80モル%、n=3の構成単位は98〜0モル%、好ましくは95〜20モル%である。
n=4の構成単位が2モル%未満では、耐汚染性が劣る。なお、オルガノシラン(1)として、n=4の構成単位である4官能性のオルガノシラン(1)(n=4)のみを用いると、加水分解反応しやすく貯蔵安定性が悪いため、好ましくは該4官能性のオルガノシランと3官能性のオルガノシラン(1)(n=3)とを併用することにより、組成物の貯蔵安定性と得られる塗膜の耐温水性を良好なものとすることができる。
【0017】
(A)成分である オルガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシラン(1)を予め加水分解・縮合させて、オルガノシラン(1)の縮合物として使用する。この際、縮合物を調製する際に、オルガノシラン(1)に適量の水、後記すると同様の加水分解・縮合触媒、および必要に応じて、有機溶剤を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させることが好ましい。
ここで、水の使用量は、オルガノシラン(1)1モルに対して、通常、1.2〜3.0モル、好ましくは1.3〜2.0モル程度である。
【0018】
また、この際、必要に応じて用いられる有機溶剤としては、オルガノシラン(1)の縮合物や後記(B)成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。
【0019】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なお、上記縮合物中に有機溶媒を含む場合には、後記するミニエマルジョン重合の前に、この有機溶媒を水系分散体から除去しておくことが好ましい。
【0020】
本発明の(A)ポリオルガノシロキサンの平均縮合度は、一般式(1)で表されるオルガノシラン(1)の6量体〜1,000量体、好ましくは8〜500量体である。(A)ポリオルガノシロキサンの平均縮合度が6量体未満である場合、重合安定性、貯蔵安定性に劣る。一方、1,000量体を超えると、塗膜の透明性が劣る。
ここで、(A)ポリオルガノシロキサンには、加水分解・縮合していないオルガノシラン(1)や、オルガノシラン(1)の2〜5量体、さらには7量体以上の縮合物が含まれていてもよく、これらの平均縮合度が上記の本発明の範囲内であればよい。また、上記平均縮合度は、液体クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量から算出された値である。
上記(A)ポリオルガノシロキサンの平均縮合度は、前述の縮合の際に用いられる水の量によって、調整することができる。また、縮合度6未満のポリオルガノシロキサンも、より縮合度の高いポリオルガノシロキサンを混合して平均縮合度を6量体以上とすることで好適に使用することができる。
【0021】
また、(A)ポリオルガノシロキサンの市販品には、三菱化学(株)製のMKCシリケート、多摩化学工業(株)製のエチルシリケート、コルコート(株)製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング(株)製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。ポリオルガノシロキサンの平均縮合度が6量体未満である場合、さらに縮合させるか、より縮合度の高いポリオルガノシロキサンを混合して平均縮合度を6量体以上とすることで好適に使用することができる。一般式(1)で表されるオルガノシランの6量体以上である(A)ポリオルガノシロキサンの市販品のより具体的な製品名としては、多摩化学工業(株)製の「シリケート45」、「シリケート48」、コルコート(株)製の「エチルシリケート48」(以上n=4の縮合体)、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の「SR2402」,「DC3037」,「DC3074」、信越化学工業(株)製の「X40−9220」,「X40−9225」、GE東芝シリコーン社製の「TSR165」(以上n=3の縮合体)などが挙げられ、好適に使用することができる。
一般式(1)で表されるオルガノシランの6量体未満であるポリオルガノシロキサンの市販品の例としては、多摩化学工業(株)製の「シリケート40」、「Mシリケート51」、コルコート(株)製の「エチルシリケート40」、「メチルシリケート51」、三菱化学(株)製のMS51(以上n=4の縮合体)などが挙げられ、単独では使用することができないが、一般式(1)で表されるオルガノシランの6量体以上である(A)ポリオルガノシロキサンと併用して、平均縮合度を6量体以上とすることで、好適に使用することができる。
【0022】
なお、(A)成分は、加水分解性アルコキシ基を含有しているが、本特許の目的を外さない限り、その一部は加水分解してシラノール基となっていてもよい。
また、本発明に用いられる(A)成分は、2種以上のオルガノシラン(1)の縮合物であっても、また、異なるオルガノシラン(1)の縮合物のブレンド物であってもよい。
【0023】
(B)アクリル系ポリマー
(B)アクリル系ポリマーに用いられるアクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸の中和塩;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリル酸エステル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有(メタ)アクリルエステル類;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類などの(メタ)アクリル化合物が挙げられる。
【0024】
上記アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類が特に好ましい。さらに好ましくは、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0025】
そのほか、(B´)ラジカル重合性単量体成分には、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
ジビニルベンゼンなどの上記以外の多官能性単量体;
【0026】
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドなどのアミド化合物;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;
そのほかジカプロラクトンなどを含有していてもよい。
【0027】
また、上記(B´)ラジカル重合性単量体成分には、官能基を有するラジカル重合性単量体として、単体ではpHを酸性にするもの、例えば、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの上記以外の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物を用いる場合にはアンモニア、アミン、水酸化金属、下記塩基性の重合性単量体などで中和して使用することができる。また、単体ではpHを塩基性にするもの、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、などのアミノ基含有(メタ)アクリルエステル類;2−アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−フェニル−2′−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−ヒドロキシ−2′−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミドなどのアミンイミド基含有ビニル系単量体、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類などを用いる場合には、塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸、上記の酸性重合性単量体などで中和して使用することができる。
【0028】
さらに、(B´)ラジカル重合性単量体成分には、ジアルキルアミド基を有するラジカル重合性単量体およびポリオキシエチレン基を有するラジカル重合性単量体を使用することができる。
【0029】
ここで、ジアルキルアミド基を有するラジカル重合性単量体としては、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ(n−プロピル)アクリルアミド、N,N−ジ(i−プロピル)アクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジ(n−プロピル)メタクリルアミド、N,N−ジ(i−プロピル)メタクリルアミドなどが挙げられ、好ましくは、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドである。
【0030】
さらに、ポリオキシエチレン基を有するラジカル重合性単量体としては、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350〔以上、日本油脂(株)製〕、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA〔以上、日本乳化剤(株)製〕などが挙げられる。
ここで、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位は2〜30が好ましい。
【0031】
本発明の水系分散体における(B)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、−20℃〜80℃、好ましくは0〜60℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあることにより、耐汚染性/耐凍害性のバランスに優れるという効果が得られる。
このガラス転移温度は、モノマーの種類、比率を変えることにより、容易に調整することができる。
【0032】
本発明の水系分散体における(A)成分と(B)成分との割合は、(A)成分の合計量が、2〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、(B)成分が98〜50重量部、好ましくは95〜60重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である。
(A)成分の重量部が2重量部未満では、耐汚染性に劣り、一方、50重量部を超えると重合安定性、貯蔵安定性に劣る。
【0033】
水系分散体の調製
本発明の水系分散体は、水などの水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B')上記(B)アクリル系ポリマーを構成するアクリル系単量体を含むラジカル重合性単量体成分、ならびに(C)乳化剤を混合し、これを平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで、(D)ラジカル重合開始剤を加えて、pH4〜9で、上記(B')単量体成分をラジカル重合することにより得られる。
【0034】
(C)乳化剤
乳化剤として用いられる界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪酸塩などのアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル四級アミン塩などのカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリエーテルなどのノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例えば、アミノ酸型、ベタイン酸型など)、スルホン酸型などの両性界面活性剤、商品名で、ラテムルS−180A〔花王(株)製〕、エレミノールJS−2〔三洋化成(株)製〕、アクアロンKH−10〔第一工業製薬(株)製〕、アデカリアソープSE−10N〔旭電化工業(株)製〕〕、Antox MS−60〔日本乳化剤(株)製〕、サーフマーFP−120〔東邦化学工業(株)製〕などの反応性乳化剤などのいずれでも使用可能である。
特に、反応性乳化剤を用いると、耐候性、耐水性に優れ好ましい。
【0035】
上記反応性乳化剤としては、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤が特に好ましい。ここで、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤とは、1分子中に▲1▼炭素数8以上のアルキル基などの疎水基と、▲2▼ポリオキシエチレン鎖を含む親水基と、▲3▼ラジカル重合性不飽和2重結合を有する乳化剤をいう。
ポリオキシエチレン鎖は、末端がスルホネートなどでエステル化されていてもよい。
【0036】
ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤のうち、末端がエステル化されていないものとしては、例えば、アデカリアソープNE−20,NE−30,NE−40〔製品名、旭電化工業(株)製〕などのα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、またはアクアロンRN−10,RN−20,RN−30,RN−50〔製品名、第一工業製薬(株)製〕などのポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルなどの反応性ノニオン型界面活性剤といわれる、エチレン性不飽和単量体と共重合可能なノニオン型界面活性剤が挙げられる。
【0037】
また、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤のうち、末端がエステル化されているものとしては、例えば、エレミノールJS−2,JS−5〔製品名、三洋化成(株)製〕、ラテムルS−120,S−180A,S−180〔製品名、花王(株)製〕、アクアロンHS−10,KH−5,KH−10〔製品名、第一工業製薬(株)製〕、アデカリアソープSE−10N〔製品名、旭電化工業(株)製〕などが挙げられる。
特に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの非反応性の乳化剤と、上記反応性乳化剤とを併用することにより、重合安定性と耐候性をバランスさせることができる。
以上の乳化剤は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0038】
乳化剤の使用量は、(A)成分と(B´)成分の合計量100重量部に対し、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。0.1重量部未満では、乳化が充分でなく、また、ラジカル重合安定性が低下し好ましくない。一方、5重量部を超えると、泡立ちが問題となり好ましくない。
【0039】
なお、本発明の水系分散体の製造には、水性媒体として、通常、水が用いられる。
水の使用量は、(A)成分および(B´)成分の合計量100重量部に対し、通常、50〜2,000重量部、好ましくは80〜1,000重量部、さらに好ましくは100〜500重量部である。50重量部未満では、乳化が困難であったり、乳化後のエマルジョンの安定性が低下したりするため、好ましくない。一方、2,000重量部を超えると、生産性が低下するため好ましくない。
【0040】
(D)ラジカル重合開始剤
重合反応に際しては、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2′−アゾビス〔2−N−ベンジルアミジノ〕プロパン塩酸塩などの水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤;パーオキサイド系開始剤と、ロンガリット、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤とを併用したレドックス系開始剤などが使用できる。
これらの(D)成分のなかでも、重合安定性の面から、油溶性開始剤が好ましい。
なお、ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイドなど、pHが酸性になるものは使用しないことが好ましい。
これらのラジカル重合開始剤の使用量は、(A)成分および(B´)成分の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜3重量部である。0.01重量部未満では、ラジカル重合反応が途中で失活することがあり、一方、5重量部を超えると、耐候性に劣る場合がある。
【0041】
(E)紫外線吸収作用および/または光安定化作用を有する成分
本発明でいう「紫外線吸収作用および/または光安定化作用(以下、これらの作用をまとめて「紫外線吸収・光安定化作用」という。)」を有する成分は、生成された複合重合体とは本質的に分離して存在するものと、(ロ)紫外線吸収・光安定化作用を有する成分が(B)成分として使用された化合物に由来し、水系媒体中に分散している複合重合体の構成単位となっているものとの両者を包含する概念である。
【0042】
水系分散体の調製時に使用される紫外線吸収・光安定化作用を有する化合物は、特に限られたものではなく、シュウ酸アニリド系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などの有機系紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系紫外線吸収剤;有機ニッケル化合物、ヒンダードアミン系などの光安定化剤など、従来より塗料、合成ゴム、合成樹脂、合成繊維用として使用し得る紫外線吸収作用あるいは光安定化作用を有するものならいずれでもよい。
【0043】
以下に、紫外線吸収・光安定化作用を有する化合物(場合により商品名)の例を挙げるが、該化合物の一部にはメーカー名と商品名を併記する。
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、
フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−n−オクチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシフェニルサリシレートや、ラジカル重合性モノマーとして、p−メタクリロイルオキシフェニルサリシレートなどのサリチル酸系紫外線吸収剤;
【0044】
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL3000〕、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL M−40〕、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL 408〕、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3049〕、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL MS−40〕、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3050〕や、ラジカル重合性モノマーとして、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
【0045】
2−〔4−{(2−ヒドロキシ−3−n−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンと2−〔4−{(2−ヒドロキシ−3−n−トリドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンとの混合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN400〕、2−(4−i−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンなどのトリアジン系紫外線吸収剤;
【0046】
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN328〕、2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔4−エタノール−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、
【0047】
i−オクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN384〕、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンソトリアゾール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN900〕、2−〔2−ヒドロキシ−3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕−2H−ベンソトリアゾール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN928〕、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN1130〕、3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロパノール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの水系分散液(旭電化工業(株)製アデカスタブLX−301)や、
【0048】
ラジカル重合性モノマーとして、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシ−3−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、
【0049】
2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール〔大塚化学(株)製RUVA−93〕、2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−メチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−t−ブチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−t−ブチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、
【0050】
2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルアミノフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルアミノフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルアミノ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノ−3−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルアミノ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノ−3−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
【0051】
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3039〕、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3035〕などのシアノアクリレート系紫外線吸収剤
などを挙げることができるが、これらに特に限定されるものではない。
【0052】
また、ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートと1−(メチル)−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとの混合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN292〕、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−n−オクチルオキシ−4−ピペリジル)セバケート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN123〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−〔{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル〕ブチルマロネート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN144〕、TINUVIN111FD〔商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製〕、テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−57〕、テトラキシ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−52〕、
【0053】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル混合エステル(旭電化工業(株)製アデカスタブLA−62〕、アデカスタブLA−67〔商品名、旭電化工業(株)製〕、アデカスタブLA−63P〔商品名、旭電化工業(株)製〕、アデカスタブLA−68LD〔商品名、旭電化工業(株)製〕、1−〔2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン〔三共(株)製サノールLS−2626〕、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン〔三共(株)製サノールLS−744〕、8−アセチル−3−n−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン〔三共(株)製サノールLS−440〕、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕〔三共(株)製サノールLS−944〕、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル混合エステルの水系分散液〔旭電化工業(株)製アデカスタブLX−332〕や、
【0054】
ラジカル重合性モノマーとして、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−82〕、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−87〕、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート
などを挙げることができるが、これらに特に限定されるものではない。
【0055】
これらの紫外線吸収・光安定化作用を有する化合物のうち、それぞれ非ラジカル重合性またはラジカル重合性である、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系またはシアノアクリレート系の有機紫外線吸収剤;酸化亜鉛の微粒子または酸化セリウムの微粒子からなる無機紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定化剤が好ましい。
上記酸化亜鉛の微粒子および酸化セリウムの微粒子の平均粒子径は、通常、0.003〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.2μmである。
上記紫外線吸収・光安定化作用を有する化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
また、紫外線吸収・光安定化作用を有する化合物として、融点が−5℃以下のラジカル重合性をもたない液状化合物を使用することにより、塗膜に低温での柔軟性が付与されるため、良好な耐候性に加えて、良好な耐凍害性を付与することができる。
さらに、紫外線吸収・光安定化作用を有する成分がラジカル重合性モノマーに由来する場合には、紫外線吸収・光安定化作用を有する成分の塗膜からのブリードアウトが抑制される結果、長期にわたり優れた耐候性を保持することができる。
【0057】
本発明において、水系分散体を調製する段階での紫外線吸収・光安定化作用を有する化合物の使用量は、水系分散体100重量部(固形分)に対して、通常、0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜5重量部である。
【0058】
(F)ポリ(メタ)アクリレート
また、本発明の水系分散体には、上記エマルジョン化に際し、(F)ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜10,000、好ましくは1,000〜5,000のポリ(メタ)アクリレートを含有させてもよい。本発明のミニエマルジョン重合時に特定の分子量のポリ(メタ)アクリレートを共存させることにより、重合安定性がより良好となる。
ここで、上記(F)ポリ(メタ)アクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類を、必要に応じて、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤とともに溶液重合することにより得られる。(F)成分としては、アルコール性水酸基、シロキサン基などの官能基を含んでいてもよい。(F)成分としては、スルホン酸基、カルボキシル基などの酸官能基は含まないことが好ましい。酸官能基が含まれると耐温水性に劣る。
(F)成分としては、工業的には綜研化学製「アクトフローUT−300」(分子量3,800)、「アクトフローUMB−1001」(分子量1,500)、「アクトフローUME−1001」(分子量2000)、「アクトフローCBL−3098」(分子量4,000)などが挙げられる。(F)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000未満では、重合安定性の向上に効果なく、一方、10,000を超えると、粒子径が大きくなり、耐候性、密着性が劣ることがある。
【0059】
(F)ポリ(メタ)アクリレートの使用量は、(A)成分および(B´)成分の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。0.1重量部未満では、重合安定性性の向上に効果がなく、一方、10重量部を超えると、粒子径が大きくなり、耐候性、密着性が劣ることがある。
【0060】
ところで、高分子エマルジョンを製造する場合、多くは乳化重合で製造される。
乳化重合は、通常、数μm〜数mmの大きな単量体の油滴から、単量体分子が水性溶媒中を通じて、数nmの乳化剤ミセルへ移動しつつ重合が進行し、最終的に数百nmの粒径の重合体粒子が生成する。これに対し、本発明におけるミニエマルジョン重合は、所望の粒径に予め単量体油滴を微細乳化しておき、その粒径のまま重合を進行・完了させる方法であり、単量体分子の移動が必要ないことから、特に疎水性のモノマーを重合させる場合に用いられる重合法である。本発明の高耐久性エマルジョンは、ミニエマルジョン重合でラジカル重合することで、より多くのポリオルガノシロキサンを含むエマルジョンを重合安定性よく重合することができる。
【0061】
すなわち、本発明の水系分散体は、上記(A)〜(B´)成分および(C)成分、あるいは、(A)〜(B´)成分および(C)成分ならびに(E)および/または(F)成分を混合し、この平均粒子径を0.5μm以下に微細化し(以下「微細化」ともいう)、次いで、上記(D)ラジカル重合開始剤を加えて、ラジカル重合(ミニエマルジョン重合)を行なうことによって得られる。
【0062】
微細化は、高圧ホモジナイザー、超音波、ホモミキサーなどの機械的手段を用いて、水系をミニエマルジョン化する。この際、系のpHは4〜9であることが好ましい。また、この際、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下、好ましくは0.05〜0.2μmとする。0.5μmを超えると、耐水性が劣り好ましくない。
【0063】
さらに、ラジカル重合反応では、微細乳化状態下で、(A)成分の加水分解、縮合反応を防止しながら、(B´)単量体成分のラジカル重合が進行する。なお、本特許の目的を外さない限り、(A)成分のアルコキシ基の一部が加水分解してもよい。また、エマルジョン粒子中で、ポリマーどうしが無溶剤状態で絡み合うため、ポリオルガノシロキサン成分中の加水分解反応活性に富むアルコキシ基の自由度が制限され、良好な貯蔵安定性が得られる。
【0064】
また、この際のラジカル重合反応の反応条件は、温度が、通常、25〜100℃、好ましくは40〜90℃、反応時間は、通常、0.5〜15時間、好ましくは1〜8時間である。
【0065】
なお、ラジカル重合反応において、(A)成分や(B´)成分がカルボキシル基やカルボン酸無水物基などの酸性基を有する場合には、重合反応前に、少なくとも1種の塩基性化合物を添加してpHを調節することが好ましい。一方、上記各成分が、アミノ基やアミンイミド基などの塩基性を有する場合には、重合反応前に、少なくとも1種の酸性化合物を添加してpHを調節することが好ましい。
さらに、上記各成分が酸性基と塩基性基とを有する場合には、重合反応前に、これらの基の割合に応じて、少なくとも1種の塩基性化合物あるいは酸性化合物を添加して、pHを調節することにより、(A)成分の加水分解反応を防止することができる。
【0066】
上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類;カセイカリ、カセイソーダなどのアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。
また、上記酸性化合物としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、くえん酸、アジピン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの有機酸類が挙げられる。
上記pH調節時のpH値は、通常、5〜8である。重合後のpHについても同様である。重合中のpH値が、未満またはを超えると重合安定性が劣り、重合後のpH値が、未満またはを超えると貯蔵安定性が劣る。また、重合中、反応系のpHが本発明の範囲外の場合、(A)ポリオルガノシロキサン中に含有するOR基が実質的にすべて加水分解してしてしまい、得られる組成物の耐汚染性が劣るものとなる。重合中、好ましくは重合後においても、反応系(組成物)のpHを5〜8に調整することにより、(A)ポリオルガノシロキサン中に含有されるOR基が加水分解されることなく残存し、これが、塗膜表面にきて、雨水により加水分解して、塗膜表面を親水化し、汚染除去(耐汚染性)が飛躍的に向上させることができる。
【0067】
本発明の水系分散体は、複合粒子(有機無機複合体)が水系媒体中に分散しているが、その分散状態は、粒子状あるいは水性ゾル状であることができる。
この場合、本発明の有機無機複合体の平均粒子径は、通常、0.01〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.2μmである。
また、本発明の水系分散体の固形分濃度は、通常、10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である。この固形分濃度は、通常、上記水の量によって調整される。
【0068】
本発明の水系分散体における水系媒体は、本質的に水からなるが、(A)成分中のアルコキシ基の加水分解が生じると、アルコールを含有することになる。過度の加水分解が生じると重合安定性が低下したり、塗膜形成後の耐汚染性が低下することがあるが、多量に含有するアルコキシ基の一部は加水分解しても良い。
このような場合、本発明の水系分散体のアルコール含有量は、2重量%以下とすることが好ましい。2重量%を超えると、塗膜表面が曇ることがある。
【0069】
アルコールの含有量を2重量%以下とするためには、重合後、必要に応じてpH調整した後に、水系溶媒による希釈、加熱・蒸留などの手段で低減させておくことができる。加熱・蒸留によりアルコールの含有量を低減させる方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0070】
▲1▼(蒸発缶式):減圧または常圧下で反応容器内に空気、窒素などの気体を吹き込みながら、加熱または常温で、攪拌し、アルコールを留去する方法。具体的な装置として、実験室的には重合に使用する四つ口フラスコ、工業的には重合に使用するリアクターを重合に引き続きそのまま使用できる。
▲2▼(遠心薄膜式):円錐型伝熱面を回転させ、遠心力により液を薄膜化し、アルコールを蒸発させる方法。具体的な装置として、実験室的にはエバポレーター、工業的には大川原製作所製「エバポール」や日本車輌製「遠心式分子蒸留装置」など。
▲3▼(外部循環スプレー式):波形プレートを重ね合わせた表面に処理液と加熱媒体を交互に流し、アルコールを蒸発させる方法。具体的な装置としては、日曹エンジニアリング製「バブレス」など。
▲4▼(流下薄膜式):処理液を加熱管群の頂部から薄膜状に流下する間に、アルコールを蒸発させる方法。
▲5▼(攪拌薄膜式):円筒型加熱管内に設置された攪拌翼により処理液を強制的に薄膜化し、アルコールを蒸発させる方法。具体的な装置としては、神鋼パンテック製「ワイプレン」、「エクセバ」など。
【0071】
これらの方法の中では、加熱・蒸留によりアルコールの含有量を低減させるための余分な付加装置が必要ない点から▲1▼(蒸発缶式)が好ましく、工業的な生産効率の点から▲2▼(遠心薄膜式)と▲3▼(外部循環スプレー式)が好ましい。
なお、水系分散体の安定性を損なわない限り、加熱・蒸留によりアルコールの含有量を低減させると同時に、水も揮発させ、水系分散体の固形分濃度を高くしてもよい。
【0072】
(G)シランカップリング剤
なお、本発明の水系分散体には、(G)シランカップリング剤が配合されていてもよい。(G)シランカップリング剤は、上記(B´)単量体成分とラジカル重合可能な重合性不飽和基、および(A)成分と共縮合可能なアルコキシシリル基などのシロキサン結合を形成し得る基を有する化合物である。
本発明の水系分散体中に、この(G)シランカップリング剤を含有させると、本発明の水系分散体の有機成分と無機成分のハイブリッド性が向上するため成膜時の耐クラック性、透明性、耐候性が向上する。
この(G)シランカップリング剤を配合するには、乳化前に上記(A)成分および(B´)成分の混合液に添加しても良く、また、上記重合時に添加してもよく、さらにまた、本発明の水系分散体の調製後に添加してもよい。好ましくは、乳化前に上記(A)成分および(B´)成分の混合液に添加するのが好ましい。
【0073】
(G)シランカップリング剤の具体例としては、
CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2
CH2=CHSi(OCH3)3
CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSiCl3
CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3などが挙げられる。
(G)シランカップリング剤の配合量は、(A)成分および(B´)成分の合計量100重量部に対し、通常、20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
【0074】
加水分解触媒
本発明の水性分散体の塗装前に(A)成分の加水分解反応を促進する触媒を用いることにより、耐汚染性をより早期に発現させることができる。
【0075】
このような加水分解触媒としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0076】
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランである。
【0077】
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物(以下「有機金属化合物(2)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
【0078】
M(OR3r(R4COCHCOR5s・・・(2)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R3およびR4は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R5は、R3およびR4と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、rおよびsは0〜4の整数で、(r+s)=(Mの原子価)である。〕
【0079】
有機金属化合物(2)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
【0080】
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
【0081】
これらの有機金属化合物(2)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0082】
また、有機スズ化合物の具体例としては、
Figure 0003901000
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0083】
(C492Sn(SCH2COOC8172
(C492Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC12252
(C8172Sn(SCH2CH2COOC12252
(C49)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
(C817)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
【0084】
Figure 0003901000
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0085】
Figure 0003901000
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0086】
Figure 0003901000
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物;
などを挙げることができる。
【0087】
加水分解触媒の使用量は、上記(A)成分および(B´)成分の合計100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。5重量部を超えると、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0088】
(H)無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイド
なお、本発明の水系分散体には、上記(E)成分以外の(H)無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドが塗膜の所望の特性に応じて配合される。
(H)成分がゾルもしくはコロイド状の場合には、その平均粒径は、通常、0.001〜100μm程度である。
【0089】
(H)成分をなす化合物の具体例としては、TiO2、TiO3、SrTiO3、FeTiO3、WO3、SnO2、Bi23、In23、ZnO、Fe23、RuO2、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3、MoS2、LaRhO3、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb25、ZrO2、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどの光触媒能を有する半導体のほか、SiO2、Al23、AlGa、As、Al(OH)3、Sb25、Si34、Sn−In23、Sb−In23、MgF、CeF3、CeO2、3Al23・2SiO2、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeOx、CrO2、Fe4N、BaTiO3、BaO−Al23−SiO2、Baフェライト、SmCO5、YCO5、CeCO5PrCO5、Sm2CO17、Nd2Fe14B、Al43、α−Si、SiN4、CoO、Sb−SnO2、Sb25、MnO2、MnB、Co34、Co3B、LiTaO3、MgO、MgAl24、BeAl24、ZrSiO4、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi2、CrSi2、CoSi2、MnSi1.73、Mg2Si、β−B、BaC、BP、TiB2、ZrB2、HfB2、Ru2Si3、TiO2(ルチル型)、TiO3、PbTiO3、Al2TiO5、Zn2SiO4、Zr2SiO4、2MgO2−Al23−5SiO2、Nb25、Li2O−Al23−4SiO2、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。
これら(H)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0090】
(H)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
(H)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
【0091】
(H)成分を水系分散体中に配合する方法としては、水系分散体の調製後に添加してもよく、あるいは、水系分散体の調製時に添加してもよい。
【0092】
(H)成分の使用量は、上記(A)成分および(B´)成分の合計量100重量部に対して、固形分で、通常、500重量部以下、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0093】
他の添加剤
また、本発明の水系分散体には、得られる塗膜の着色、厚膜化などのために、別途、上記(E),(H)成分以外の充填材を添加・分散させることもできる。
このような充填材としては、例えば、非水溶性の有機顔料や無機顔料、顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状のセラミックス、金属あるいは合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などを挙げることができる。
【0094】
上記充填材の具体例としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
これらの充填材は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
充填材の使用量は、上記(A)成分および(B´)成分の合計量100重量部に対して、通常、300重量部以下である。
【0095】
さらに、本発明の水系分散体には、所望により、上記(C)成分以外のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、その他の界面活性剤、チタンカップリング剤、染料などの他の添加剤を配合することもできる。
【0096】
また、本発明の水系分散体には、塗膜の形成を促進させるために造膜助剤を配合することができる。このような造膜助剤としては、n−ヘキシルアルコール、ベンジジアルコールなどの沸点100℃以上のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブ、i−プロピルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、n−ヘキシルセロソルブなどのセロソルブ類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;ブチルカルビトールアセテートんどのカルビトールアセテート類;トリ−n−ブトキシメチルフォスフェートなどのフォスフェート類などを挙げることができる。
造膜助剤の配合量は、全水系分散体の、通常、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
造膜助剤を配合する方法としては、本発明の水系分散体を調製する際に配合してもよく、また塗膜を形成する段階で水系分散体に配合してもよく、さらには水系分散体の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
【0097】
また、本発明の水系分散体のコーティング性をより向上させるためにレベリング剤を配合することができる。このようなレベリング剤のうち、フッ素系のレベリング剤(商品名。以下同様)としては、例えば、ビーエムヘミー(BM−CHEMIE)社のBM1000、BM1100;エフカケミカルズ社のエフカ772、エフカ777;共栄社化学(株)製のフローレンシリーズ;住友スリーエム(株)のFCシリーズ;東邦化学(株)のフルオナールTFシリーズなどを挙げることができ、シリコーン系のレベリング剤としては、例えば、ビックケミー社のBYKシリーズ;シュメグマン(Sshmegmann)社のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ社のエフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ88などを挙げることができ、エーテル系またはエステル系のレベリング剤としては、例えば、日信化学工業(株)のカーフィノール;花王(株)のエマルゲン、ホモゲノールなどを挙げることができる。
【0098】
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。
レベリング剤の使用量は、水系分散体(固形分換算)に対して、好ましくは、5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。
【0099】
レベリング剤を配合する方法としては、本発明の水系分散体を調製する際に配合してもよく、また塗膜を形成する段階で水系分散体に配合してもよく、さらには水系分散体の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
【0100】
なお、本発明の水系分散体は、他の樹脂をブレンドしてもよい。他の樹脂としては、アクリル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、シリコンアクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョンなどが挙げられる。
【0101】
以上のようにして調製された他の成分をも含有する本発明の水系分散体の全固形分濃度は、通常、10〜55重量%、好ましくは、15〜50重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。全固形分濃度が55重量%を超えると、レベリング性が低下する傾向がある。
【0102】
コーティング材・塗装体
本発明の水系分散体は、そのままで、あるいは、上記のような(G)シランカップリング剤以降の添加剤を配合することによって、コーティング材(塗料)として使用することができる。なお、これらの本発明の水系分散体は、上塗り用コーティング組成物のほか、下塗り用コーティング組成物としても使用可能である。
【0103】
なお、上記コーティング材としては、(B´)成分として、アルド基および/またはケト基を含むラジカル重合性単量体を0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%使用して得られた水系分散体を用い、塗装前にヒドラジド基を2個以上有する架橋剤を添加したものが好ましい。
ここで、アルド基および/またはケト基を含むラジカル重合性単量体としては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン類(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル−n−プロピルケトン、ビニル−i−プロピルケトン、ビニル−n−ブチルケトン、ビニル−i−ブチルケトン、ビニル−t−ブチルケトンなど)、ビニルフェニルケトン、ビニルベンジルケトン、ジビニルケトン、ジアセトン(メタ)アクリルリレート、アセトニトリル(メタ)アクリルリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテートなどが挙げられる。
【0104】
また、ヒドラジド基を2個以上有する架橋剤としては、例えば、しゅう酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシンジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの合計炭素数が2〜10、特に4〜6のジカルボン酸ジヒドラジド類;クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジドなどの3官能以上のヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ヒドラジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジンなどの合計炭素数が2〜4の脂肪族ジヒドラジン類などの水溶性ジヒドラジンや、これらの多官能性ヒドラジン誘導体の少なくとも一部のヒドラジノ基を、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのカルボニル化合物と反応させることによりブロックした化合物(以下「ブロック化多官能性ヒドラジン誘導体」という)、例えば、アジピン酸ジヒドラジドモノアセトンヒドラゾン、アジピン酸ジヒドラジドジアセトンヒドラゾンなどが挙げられる。
この架橋剤の添加量は、ケト基およびアルド基の合計モル数に対し、等モル〜0.2モルである。このようなコーティング材を用いると、耐汚染性がさらに優れる。
【0105】
本発明の塗装体の構成としては、例えば、基材上に、本発明の水系分散体を含むコーティング材が塗装された構成をとるものすべてが挙げられ、例えば、以下の構成が挙げられる。
▲1▼基材(プライマー処理あり、または無し)/本発明の水系分散体(水系分散体単独、水系分散体と他の樹脂とのブレンド)のクリアーまたはエナメル
▲2▼基材(プライマー処理あり、または無し)/本発明の水系分散体(水系分散体単独、水系分散体と他の樹脂とのブレンド)のエナメル/本発明の水系分散体(水系分散体単独、水系分散体と他の樹脂とのブレンド)のクリアー
▲3▼基材(プライマー処理あり、または無し)/他の樹脂のクリアー、またはエナメル/本発明の水系分散体(水系分散体単独、水系分散体と他の樹脂とのブレンド)のクリアーまたはエナメル
【0106】
本発明の水系分散体を含有するコーティング材(塗料)を基材に塗布する際には、いずれの水系分散体の場合も、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着などが挙げられる。
【0107】
本発明の水系分散体は、乾燥膜厚として、厚さ0.05〜200μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、塗膜を形成することができる。
【0108】
なお、あらかじめ、本発明の水系分散体あるいは他の塗料を用いて下塗りを施す場合には、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成させることができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、各種の基材に塗膜を形成することができる。
なお、下塗りと上塗りの総計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜400μm、好ましくは、0.2〜300μm程度である。
【0109】
基材
本発明の水系分散体を含有するコーティング材(塗料)を適用しうる基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)などのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリ(メタ)アクリル酸エステル類;ABS樹脂、AES樹脂、ポリ塩化ビフェニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素系樹脂などのプラスチック成形品やプラスチックフィルムのほか、木材、紙などの有機系基材;鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属基材;セメント、コンクリート、ALC、フレキシブルボード、モルタル、スレート、石膏、セラミックス、レンガなどの無機窯業系基材などが挙げられる。
【0110】
これらの基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施すこともできる。
例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理などを挙げることができる。
【0111】
コーティング仕様は、基材の種類や状態、塗布方法によって異なる。例えば、金属系基材の場合、防錆の必要があればプライマ−やシーラーなどの下塗り層を設けたり、無機窯業系基材の場合、基材の特性(表面荒さ、含浸性、アルカリ性など)により塗膜の隠蔽性が異なるため、通常、プライマ−またはシーラーを用いる。有機樹脂系基材の場合も、通常、プライマーまたはシーラーを用いる。また、劣化塗膜の再塗装の場合、旧塗膜の劣化が著しいときは、プライマ−またはシーラーを用いる。それ以外の基材、例えば、防錆を必要としない金属、タイルやガラスなどの場合は、用途に応じて下塗り層を設けても設けなくてもよい。
【0112】
下塗り層としては、基材またはコーティング組成物との密着性確保、防錆、エフロ防止、水分浸入防止などの目的で用いられる、充填材を含まないプライマーと、上記記載の目的に加えて、塗膜外観の意匠性を付与する目的で用いられる、充填材を含むシーラーとが挙げられる。プライマ−およびシーラーの種類は特に限定されず、基材の種類、使用目的などに応じて選択することができる。下塗り層に用いられるポリマーの種類としては、例えば、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、アクリルウレタンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン、ポリシロキサン、その他のシリコン含有エマルジョンなどを挙げることができる。これらのポリマーは、2種類以上をブレンドさせて用いることが好ましく、ブレンドする成分として、前述した水系分散体を用いてもよい。好ましいプライマーの組み合わせとしては、アクリルエマルジョン/水系分散体、アクリルエマルジョン/エポキシエマルジョン、シリコン含有エマルジョン/エポキシエマルジョン、エポキシエマルジョン/アクリルウレタンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン/エポキシエマルジョン/アクリルエマルジョンなどを挙げることができる。また、これらのポリマーには、厳しい条件での基材と塗膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与することもできる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、アルキルシリル基、エ−テル結合、エステル結合などを挙げることができる。さらに、下塗り層に用いられる樹脂には、硬化促進剤を添加して用いてもよい。アクリル樹脂、ウレタン樹脂などには、前述した水系分散体の任意成分として用いられる加水分解触媒(硬化促進剤)として例示された化合物を用いてもよく、エポキシ樹脂には、一般的なエポキシ硬化剤、具体的には、アミン類、イミダゾール誘導体、酸無水物類、ポリアミド樹脂などが用いられる。
【0113】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものでない。実施例中、部および%は特に断らない限り、重量基準である。
なお、実施例および比較例における各種の測定・評価は、下記の方法により行った。
【0114】
複合粒子中の OR 2 基含有量( mmol g
<水系分散体の水相中のメタノール濃度>
重合して得られた水系分散体1.3gを遠心分離装置を用いて15,000回転で4時間遠心分離することにより、樹脂分を沈降させ、上澄み液を得た。PEG20Mを充填したヒューズドシリカキャピラリーカラムを備えたヤナコ分析工業(株)製G6800ガスクロマトグラフにてデカン20ppmを含むN,N−ジメチルホルムアミドを内部標準とし、得られた上澄み液2μl中のメタノール濃度(c1mmol/g )を測定した。
<複合粒子中のアルコキシ基を加水分解した後の水相中のメタノール濃度>
重合して得られた水系分散体100gを攪拌しながら、この中へ10%硫酸水溶液3gを加えた後、密栓し、80℃で24時間反応させることにより、複合粒子中のメトキシ基を加水分解させメタノールを生成させた。室温まで冷却した後、この分散体1.3gを遠心分離装置を用いて15、000回転で4時間遠心分離することにより、樹脂分を沈降させ、上澄み液を得た。上記と同様にして、得られた上澄み液2μl中のメタノール濃度(c2mmol/g )を測定した。
<樹脂固形分の測定と複合粒子中のアルコキシ基含有量の算出>
重合して得られた水系分散体2gをアルミ皿に入れ、180℃で20分間乾燥し、乾燥前後の重量変化から樹脂固形分(x%)を得た。
1,c2とxから複合粒子中のOR2基含有量c(mmol/g)を次式により算出した。
c=(c2−c1)×(100−x)/x (mmol/g)
B)成分のガラス転移温度
重合して得られた水系分散体2gをアルミ皿に入れ、180℃で20分間乾燥し、ポリマーフィルムを得た。このポリマーフィルムについて、セイコー電子工業(株)製、DSC(型番:SSC/5200)を用いて、ガラス転移温度を測定した。
重合中のpH
ラジカル開始剤を加えてから1時間後に、重合系から注射器で100gの重合液を採取し、ふた付きガラスビン中で20℃まで冷却した後、東亜電波工業(株)製ガラス電極式水素イオン濃度計を用いてpHを測定し、重合中のpHとした。
水系分散体のpH
重合して得られた水系分散体を東亜電波工業(株)製ガラス電極式水素イオン濃度計を用いてpHを測定し、水系分散体のpHとした。
【0115】
重合安定性
重合中に凝固した場合、または、重合後の水系分散体100gを120メッシュのステンレス金網でろ過し、金網上に残った凝集物を180℃で2分間乾燥、乾燥物の重量が0.1g以上の場合を×、0.1g未満の場合を○とした。
貯蔵安定性
重合して得られた水系分散体をプラスチックびんに入れて密栓し、50℃で1ヶ月放置したのち、外観を目視により観察し、また増粘率(=放置後の粘度/放置前の粘度)を測定し、下記基準で評価した。
◎:外観変化がなく、増粘率が1.3未満のもの
○:外観変化がなく、増粘率が1.3以上2.0未満のもの
△:一部に外観変化がみられる、または、増粘率が2.0以上のもの
×:外観変化が著しく、ゲル化しているがあるいは増粘率が5.0以上のもの
【0116】
耐温水性
黒色電着塗装板にアプリケーターで乾燥膜厚23μmとなるよう評価するコーティング材を塗装し、140℃で4分間加熱し、試験片を作製した。これを80℃の温水に8時間浸せきした後、そのまま、室温中で16時間徐冷した。試験片を水から取り出し、塗膜の外見を目視で観察し、下記基準で評価した。
◎:水から取り出した直後から外観変化がないもの
○:水から取り出した直後はやや不透明であるが、試験片の乾燥後は外観変化がないもの
△:試験片の乾燥後もやや白濁の分かるもの
×:試験片の乾燥後も透明性を失い、白濁したもの
【0117】
耐汚染性
JSR(株)製、シリコンアクリルエマルジョンB7302をワニスとする白エナメル(PWC=40%)を乾燥重量で50g/m2dry塗布した硬質アルミ板に、評価するコーティング材をスプレーガンを用いて乾燥重量で25g/m2dry塗布し、ギアーオーブンを用いて140℃で4分間加熱し、試験片を作製した。
これをJSR(株)四日市工場内に設置した北面垂直の暴露台に設置し、3ヶ月間放置した。その後、試験片の表面を目視観察し、下記基準で評価した。
○:雨筋が目立たず、全体に曝露前の白さを保持している
△:雨筋は目立たないが、全体に曝露前の白さより黒色化している
×:雨筋が目立つ
【0118】
実施例1,2
表1に示す(A)〜(E)成分および水を室温条件下で10分間撹拌乳化したのち、70MPaの圧力で高圧ホモジナイザー〔みずほ工業(株)製、マイクロフルイダイザーM110Y〕で微細化した。この乳化物を四つ口のセパラブルフラスコに投入し、撹拌しながら、窒素置換後に、ラジカル開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を加え、75℃で4時間重合した。重合後、表1に示すように調整し、水系分散体(1)、(2)を得た。
【0119】
実施例1,2で得られた水系ポリマー分散体(1)、(2)を用い、この水系ポリマー分散体100部に対し、表1に示したとおり、アジピン酸ジヒドラジド゛(固体)、ジブチル錫ジラウレート10%水分散体、カルビトール50%水溶液を添加し、混合してコーティング剤を調製した。
得られた試験片について、各種の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0120】
比較例1〜3
表2に示す成分を用いて、実施例1〜2と同様に重合した。
比較例4
比較例3と同様に重合したのち、水系分散体のpHが10になるように10%アンモニア水溶液を添加し、30℃で4時間攪拌した。
【0121】
比較例1〜4で得られた比較水系ポリマー分散体(1)〜(4)を用い、この水系ポリマー分散体100部に対し、表2に示したとおり、アジピン酸ジヒドラジド゛(固体)、ジブチル錫ジラウレート10%水分散体、カルビトール50%水溶液を添加し、混合してコーティング剤(クリヤー)を調製した。
得られた試験片について、各種の評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例2,4は、重合中または水系分散体のpHが4〜9の範囲内にないため、用いられる(A)成分のOR2基が実質的にすべて加水分解し、また、比較例1,3,4は(A)成分の平均縮合度が本発明の範囲未満であり、さらに、比較例3,4は親水性高分子化合物を重合時に用いているため、本発明の効果が得られていない。
【0122】
【表1】
Figure 0003901000
【0123】
【表2】
Figure 0003901000
【0124】
なお、表1〜2中の各種の配合成分の詳細は、次のとおりである。
シリケート40;多摩化学工業(株)製、テトラエトキシシランの縮合物(5量体)、一般式(1)において、n=4、エトキシ基含有量=100モル%
シリケート48;多摩化学工業(株)製、テトラエトキシシランの縮合物(10量体)、一般式(1)において、n=4、エトキシ基含有量=100モル%
X40-9220;信越化学(株)製、メチルトリメトキシシラン縮合物(10〜15量体)、一般式(1)において、n=3、メトキシ基含有量=100モル%
PE−200;日本油脂(株)製、ブレンマーPE−200、ポリオキシエチレンメタクリレート
アクアロンKH−10;第一工業製薬(株)製、末端が硫酸エステル化されたポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤
TINUVIN-123;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ヒンダードアミン系光安定化剤
LA-82;旭電化(株)製、反応性ヒンダードアミン系光安定化剤
アロンT−40;東亞合成(株)製、ポリアクリル酸を水酸化ナトリウムで中和した高分子分散剤の43%水溶液
【0125】
【発明の効果】
本発明の水系分散体は、従来公知の方法では得られなかった重合安定性、貯蔵安定性、耐温水性に優れ、かつ、極めて優れた耐汚染性を有し、さらには極めて優れた耐候性をも有し、水系塗料として有用である。

Claims (12)

  1. 水性媒体中に、(A)下記一般式(1)
    (R4−n−(Si)−(OR・・・・・(1)
    (式中、Rは水素原子、フェニル基または炭素数1〜8の1価の有機基、Rは同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基、nは3または4である。)で表されるオルガノシランの縮合物であるポリオルガノシロキサン2〜50重量部の存在下に、(B’)下記(B)アクリル系ポリマーを構成するアクリル系単量体を含むラジカル重合性単量体成分をラジカル乳化重合することにより得られる(B)ガラス転移点が−20℃〜80℃のアクリル系ポリマー98〜50重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕を含有するポリオルガノシロキサン/アクリル系ポリマー複合粒子が分散し、かつ、上記(A)ポリオルガノシロキサンは、該複合粒子における加水分解されていないOR基が1〜25mmol/g(該複合粒子固形分換算)であり、また上記オルガノシラン中のn=4の構成単位が2〜100モル%、さらに平均縮合度が上記オルガノシランの6〜1,000量体である、水系分散体。
  2. オルガノシラン中の、n=4の構成単位が5〜80モル%、n=3の構成単位が95〜20モル%である請求項1記載の水系分散体。
  3. 水性媒体中で、上記(A)ポリオルガノシロキサン、(B’)上記(B)アクリル系ポリマーを構成するアクリル系単量体を含むラジカル重合性単量体成分、および(C)乳化剤を混合したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで、(D)ラジカル重合開始剤の共存下、pH5〜8で、(B’)単量体成分をラジカル重合することにより得られる請求項1記載の水系分散体。
  4. さらに、(E)紫外線吸収作用および/または光安定化作用を有する成分を含有する請求項1〜3いずれか1記載の水系分散体。
  5. (E)成分がトリアジン系、ベンゾトリアゾール系またはシアノアクリレート系の有機紫外線吸収剤;酸化亜鉛の微粒子または酸化セリウムの微粒子からなる無機紫外線吸収剤;およびヒンダードアミン系光安定化剤の群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項4記載の水系分散体。
  6. (E)成分が融点が−5℃以下のラジカル重合性を持たない液状化合物である請求項4または5記載の水系分散体。
  7. (E)成分がラジカル重合性単量体である請求項4または5記載の水系分散体。
  8. (B’)成分がアルド基および/またはケト基を含むラジカル重合性単量体を含有する請求項1〜7のいずれか1項記載の水系分散体。
  9. 塗装前にヒドラジド基を2個以上有する架橋剤を添加してなる請求項8記載の水系分散体。
  10. 塗装前に上記オルガノシランを加水分解しうる加水分解触媒を添加してなる請求項1〜9のいずれか1項記載の水系分散体。
  11. 水性媒体中で、上記(A)ポリオルガノシロキサン、(B’)上記(B)アクリル系ポリマーを構成するアクリル系単量体を含むラジカル重合性単量体成分、および(C)乳化剤を混合したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで、(D)ラジカル重合開始剤の共存下、pH5〜8で、(B’)単量体成分をラジカル重合することを特徴とする請求項1記載の水系分散体の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項記載の水系分散体を含有する塗料を基材に適用してなる塗装体。
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