JP2004203995A - 水系分散体 - Google Patents

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Takeshi Mogi
武志 茂木
Koji Tamori
功二 田守
Tatsuya Shimizu
達也 清水
Ichiro Kajiwara
一郎 梶原
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Abstract

【課題】特に長期の貯蔵安定性を有する水系塗料として有用な水系分散体を提供する。
【解決手段】水系分散体は、水性媒体中に、(A)式
(R1)4-n Si(OR2)n
(R1 は水素原子、フェニル基または1価の有機基、R2 はアルキル基またはアシル基、nは3または4である。)
で表されるオルガノシランの縮合物からなるポリオルガノシロキサン、(B)ガラス転移点が−20℃〜+80℃のアクリル系ポリマー、並びに(C)式
(R3)m M (OR4)k
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウム、R3 は1価の有機基、R4 はフェニル基、アルキル基またはアシル基、m≧0、k≧1、(m+k)=(Mの原子価)である。〕
で表される金属化合物やその加水分解物もしくは縮合物(加水分解・縮合物)、これらの化合物のキレート化物、該金属化合物のキレート化物の加水分解・縮合物あるいは該金属化合物の加水分解・縮合物のキレート化物を含有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系分散体に関し、さらに詳細には、ポリオルガノシロキサン成分およびアクリル系ポリマーを含有し、特に水系塗料として有用な水系分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、環境問題を背景として、水系塗料は様々な分野で使用されており、その適用範囲は拡大の一途をたどっているが、それに伴い、水系塗料に対する要求性能もますます高度化しており、特に近年、外壁用塗料として使用したときに、排気ガスや砂塵の曝露を受けた塗装面に雨筋が付いて醜くなる問題があり、高度の耐汚染性が求められている。 水系塗料において、この耐汚染性を改善する手段として、オルガノシリケートの乳化物を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)、ポリエチレングリコール系化合物で変性したオルガノシリケートを添加する方法(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)などが開示されている。このようなオルガノシリケート等を水系塗料に添加する方法では、相分離したオルガノシリケートのシラノール性水酸基が塗膜表面を親水化することにより水との接触角を下げ、雨筋が付きにくくなる利点がある。しかしながら、これらの方法は、オルガノシリケートの貯蔵安定性が低いため、オルガノシリケートを塗装直前に添加しなければならないため、いわゆる2液型となり、作業現場での取り扱いが煩雑になるという欠点がある。
【0003】
このような欠点を改良する手段として、オルガノシラン成分と有機樹脂成分とを複合化した水系分散体が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照。)。しかしながら、これらの水系分散体は、塗膜表面に充分なシラノール性水酸基が形成されないために、塗膜表面が撥水性であったり、あるいは塗膜表面にシラノール性水酸基が形成されるのに1年以上の長期間を要し、初期の耐汚染性が劣るという問題がある。
これらの問題を改良する手段として、ポリアルコキシシロキサン成分と有機樹脂成分とを複合化した水系分散体が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。しかしながら、この方法でも、塗膜表面に親水性のシラノール性水酸基が形成されるのに6ヶ月程度を要し、依然として初期の耐汚染性が十分でないという欠点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−259892号公報
【特許文献2】
国際特許公開WO99/05228号公報
【特許文献3】
特開平11−343462号公報
【特許文献4】
特開平8−34955号公報
【特許文献5】
特開平10−183064号公報
【特許文献6】
特開平10−292017号公報
【特許文献7】
特開2001−302920号公報
【特許文献8】
特開2000−53919号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来公知の方法では得られなかった長期の貯蔵安定性を有し、かつ優れた耐汚染性を塗装後短期間で発現しうる水系塗料として有用な水系分散体を提供することにある。
【0006】
本発明は、
水性媒体中に、(A)下記一般式(1)
(R1)4-n Si(OR2)n (1)
(式中、R1 は水素原子、フェニル基または炭素数1〜8の他の1価の有機基を示し、R2 は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは3または4である。)
で表されるオルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン2〜50重量部、(B)ガラス転移点が−20℃〜+80℃のアクリル系ポリマー49.99〜97.99重量部、並びに(C)下記一般式(2)
(R3)m Sn(OR4)k (2)
(式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R3 は炭素数4〜18のアルキル基を示し、R4 フェニル基、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、mは0以上の整数、kは1以上の整数で、(m+k)=(Mの原子価)である。)
で表される金属化合物、該金属化合物の加水分解物、該金属化合物の縮合物、該金属化合物のキレート化物、該キレート化物の加水分解物、該キレート化物の縮合物、該金属化合物の加水分解物のキレート化物、および該金属化合物の縮合物のキレート化物の群から選ばれる少なくとも1種0.01〜10重量部〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量部〕を含有することを特徴とする水系分散体、からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分
本発明における(A)成分は、前記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下、「オルガノシラン(1)」という。)の縮合物から選ばれる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(以下、「(A)ポリオルガノシロキサン」という。)からなる。
ここでいうオルガノシラン(1)の縮合物とは、オルガノシラン(1)の加水分解により生成されるシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成した成分を含有するものであるが、本発明では、該シラノール基がすべて縮合している必要はなく、一部のシラノール基のみが縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含する概念である。また、オルガノシラン(1)の縮合物中には、未反応のオルガノシラン(1)が混在していてもよい。
【0008】
一般式(1)において、R1 の炭素数1〜8の他の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トルオイル基、カプロイル基等のアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基のほか、これらの基の置換誘導体等を挙げることができる。
【0009】
1 の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基等を挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
【0010】
また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等を挙げることができる。
一般式(1)中に複数存在するR2 は、相互に同一でも異なっていてもよい。一般式(1)におけるnは3または4である必要がある。このnが2以下であると、塗膜の耐汚染性が低下する。
【0011】
n=4のオルガノシラン(1)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等を挙げることができる。
【0012】
また、n=3のオルガノシラン(1)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0013】
これらのオルガノシラン(1)のうち、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等である。
【0014】
(A)ポリオルガノシロキサンを製造する際には、オルガノシラン(1)を、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、特に、n=4のオルガノシラン(1)とn=3のオルガノシラン(1)とを併用することが好ましい。両者のオルガノシラン(1)を併用することにより、特に貯蔵安定性と耐温水性が優れた水系分散体を得ることができる。
【0015】
(A)ポリオルガノシロキサンを構成するオルガノシラン(1)の縮合物において、n=4の構成単位は、通常、2〜100モル%、好ましくは5〜80モル%、さらに好ましくは50〜80モル%であり、n=3の構成単位は、通常、98〜0モル%、好ましくは95〜20モル%、さらに好ましくは50〜20モル%である。n=4の構成単位が2モル%未満では、耐汚染性が低下する傾向がある。なお、オルガノシラン(1)の縮合物として、n=4のオルガノシラン(1)のみを用いると、加水分解反応が速くなりすぎて貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0016】
(A)ポリオルガノシロキサンは、オルガノシラン(1)を予め加水分解・縮合させて製造される。この加水分解・縮合反応に際しては、オルガノシラン(1)に、適量の水、および後述する加水分解・縮合触媒を添加し、また必要に応じて有機溶剤を添加して、反応させることが好ましい。
この場合、水の使用量は、オルガノシラン(1)1モルに対して、通常、1.2〜3.0モル、好ましくは1.3〜2.0モル程度である。
【0017】
また、必要に応じて用いられる有機溶剤としては、オルガノシラン(1)の縮合物や後述する(B)アクリル系ポリマーと均一に相溶するものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を挙げることができる。
前記アルコール類の具体例としては、メチルアルール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール等を挙げることができる。
【0018】
また、前記芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等を、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なお、オルガノシラン(1)の縮合物が有機溶剤を含む場合には、後述するラジカル重合の前に、該有機溶剤を水系媒体から除去しておくことが好ましい。
【0019】
本発明の(A)ポリオルガノシロキサンの平均縮合度は、通常、6〜1,000量体、好ましくは8〜500量体である。該平均縮合度が6量体未満であると、重合安定性や貯蔵安定性が低下する傾向があり、一方1,000量体を超えると、塗膜の透明性が低下する傾向がある。この場合、(A)成分全体としての平均縮合度が前記範囲内にある限りでは、(A)成分中に、加水分解・縮合していないオルガノシラン(1)や、オルガノシラン(1)の2〜5量体、さらには7量体以上の縮合物が含まれていてもよい。なお、該平均縮合度は、液体クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量から算出された値である。
(A)ポリオルガノシロキサンの平均縮合度は、オルガノシラン(1)の加水分解・縮合の際に用いられる水の量により調整することができる。
【0020】
(A)ポリオルガノシロキサンの市販品には、MKCシリケート〔三菱化学(株)製〕、エチルシリケート〔多摩化学工業(株)製〕、エチルシリケート〔コルコート(株)製〕、シリコンレジン〔東レ・ダウコーニング(株)製〕、シリコンレジン〔東芝シリコーン(株)製〕、シリコンレジン〔信越化学工業(株)製〕、シリコンオリゴマー〔日本ユニカ(株)製〕等があり、これらをそのまま、またはさらに縮合させて使用してもよい。
また、オルガノシラン(1)の平均縮合度が6量体以上である(A)ポリオルガノシロキサンの市販品には、n=4の縮合物として、シリケート45、シリケート48〔以上、多摩化学工業(株)製〕;エチルシリケート48〔コルコート(株)製〕や、n=3の縮合物として、SR2402、DC3037、DC3074〔以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製〕;X40−9220、X40−9225〔以上、信越化学工業(株)製〕;TSR165〔GE東芝シリコーン社製〕等を挙げることができる。
さらに、オルガノシラン(1)の平均縮合度が6量体未満である(A)ポリオルガノシロキサンの市販品には、n=4の縮合物として、シリケート40、Mシリケート51〔以上、多摩化学工業(株)製〕;エチルシリケート40、メチルシリケート51〔以上、コルコート(株)製〕;MS51〔三菱化学(株)製〕等を挙げることができる。
【0021】
本発明において、(A)ポリオルガノシロキサンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の水系分散体における(A)ポリオルガノシロキサンの使用量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部当たり、2〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部である。該使用量が2重量部未満では、耐汚染性が低下し、一方50重量部を超えると、水系分散体の貯蔵安定性が低下する。
【0022】
(B)成分
本発明における(B)成分は、ガラス転移点が−20℃〜+80℃のアクリル系ポリマー(以下、「(B)アクリル系ポリマー」という。)からなる。
(B)アクリル系ポリマーに用いられるアクリル系モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸塩類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0023】
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリル酸エステル類;
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペンタデカフルオロ−n−オクチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリルエステル類;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類
を挙げることができる。
【0024】
これらのアクリル系モノマーのうち、(メタ)アクリル酸エステル類、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、さらに好ましくは、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等である。
前記アクリル系モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
(B)アクリル系ポリマーを製造する際には、前記アクリル系モノマー以外のラジカル重合性モノマー(以下、「他のモノマー」という。)を使用することができる。
他のモノマーとしては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、3−ヒドロキシメチルスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、3−メチル−4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;
ジビニルベンゼン等の多官能性(メタ)アクリル酸エステル類以外の多官能性モノマー;
【0026】
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の不飽和アミド化合物;
(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;
ジカプロラクトン
などを挙げることができる。
【0027】
また、他のモノマーとして、単体ではpHを酸性にするモノマーや、単体ではpHを塩基性にするモノマーを、それぞれ中和して使用することができる。
前記単体ではpHを酸性にする他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類等を挙げることができ、これらは、アンモニア、非ラジカル重合性アミノ化合物、水酸化ナトリウム等の水酸化金属類、下記する単体ではpHを塩基性にする他のモノマー等で中和して使用することができる。
【0028】
前記単体ではpHを塩基性にする他のモノマーとしては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;2−アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有ビニル系モノマー;N,N,N−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、N−メチル−N−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、N,N−ジメチル−N−(2−フェニル−2−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド等のアミンイミド基含有ビニル系モノマー等を挙げることができ、これらは、塩酸、硫酸等の無機酸類、酢酸等の有機酸類、前記単体ではpHを酸性にする他のモノマー等で中和して使用することができる。
【0029】
また、他のモノマーとして、ジアルキルアミド基を有するモノマーや、ポリオキシエチレン鎖を有するモノマーを使用することができる。
前記ジアルキルアミド基を有する他のモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−i−プロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類を挙げることができる。
これらのうち、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
【0030】
前記ポリオキシエチレン鎖を有する他のモノマーとしては、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類、好ましくはポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位数が2〜30であるモノマーが望ましく、具体例としては、商品名で、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350〔以上、日本油脂(株)製〕;MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA〔以上、日本乳化剤(株)製〕等を挙げることができる。
【0031】
また、他のモノマーとして、アルド基および/またはケト基を有するラジカル重合性モノマーを使用することができる。
前記アルド基および/またはケト基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル−n−プロピルケトン、ビニル−i−プロピルケトン、ビニル−n−ブチルケトン、ビニル−i−ブチルケトン、ビニル−t−ブチルケトン等のアルキル基の炭素数が4〜7のビニルアルキルケトンや、ビニルフェニルケトン、ビニルベンジルケトン、ジビニルケトン等のビニルケトン類;ジアセトン(メタ)アクリルリレート、アセトニトリル(メタ)アクリルリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−(メタ)アクリルリレート−アセチルアセテート等のアルド基および/またはケト基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0032】
また、前記以外の他のモノマーとして、後述する(F)紫外線吸収作用および/または光安定化作用を有する成分並びに(G)シランカップリング剤のうち、ラジカル重合性の化合物を使用することもできる。
【0033】
(B')成分中におけるアクリル系モノマーの含有率は、通常、30〜100重量%、好ましくは40〜98重量%、さらに好ましくは50〜95重量%である。該アクリル系モノマーの含有率が30重量%未満では、塗膜の耐候性が低下する傾向がある。
【0034】
(B)アクリル系ポリマーのガラス転移点は、−20℃〜+80℃、好ましくは0〜60℃、さらに好ましくは10〜40℃である。ガラス転移点が−20℃より低いと、耐汚染性が低下し、一方80℃を超えると、塗膜にクラックを生じやすくなる。
(B)アクリル系ポリマーのガラス転移点は、モノマーの種類、組み合わせや比率を変えることにより調整することができる。
また、(B)アクリル系ポリマーのポリスチレン換算重量平均分子量は、通常、10,000〜5,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000である。
【0035】
本発明において、(B)アクリル系ポリマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の水系分散体における(B)アクリル系ポリマーの使用量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部当たり、49.99〜97.99重量部、好ましくは70〜97重量部、さらに好ましくは80〜96重量部である。(B)成分の使用量が49.99未満では、耐汚染性が低下し、一方97.99重量部を超えると、ラジカル重合時の反応安定性や、水系分散体の貯蔵安定性が低下する。
【0036】
(C)成分
本発明における(C)成分は、前記一般式(2)で表されるで金属化合物(以下、「金属化合物(2)」という。)、金属化合物(2)の加水分解物、金属化合物(2)の縮合物、金属化合物(2)のキレート化物、該キレート化物の加水分解物、該キレート化物の縮合物、金属化合物(2)の加水分解物のキレート化物、および金属化合物(2)の縮合物のキレート化物の群から選ばれる少なくとも1種からなる。以下では、金属化合物(2)のキレート化物、金属化合物(2)の加水分解物のキレート化物および金属化合物(2)の縮合物のキレート化物をまとめて、「金属キレート化合物」ともいう。
【0037】
本発明でいう「加水分解物」とは、Mに結合している加水分解性基(OR4 基等)が全てOH基に変換した成分、該加水分解性基の一部のみがOH基に変換した成分のほか、OH基の数が異なる成分の混合物を含む概念である。
また、本発明でいう「縮合物」とは、M−OH基が2つ以上縮合して、M−O−M結合を形成した成分を含むものを意味するが、M−OH基が全て縮合した成分、M−OH基の一部のみが縮合した成分のほか、縮合度(即ち、M−O−M結合の数)が異なる成分の混合物を含む概念である。また、これらの「縮合物」にはMに結合している加水分解性基が残存していてもよい。
一般式(2)において、Mとしては、特にチタンが好ましい。
【0038】
また、R3 の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トルオイル基等のアシル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシル基、ベンゾイルオキシ基、トルオイルオキシ基等のアシルオキシ基や、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基等のほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0039】
3 の前記置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基等を挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR3 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
一般式(2)中に2個以上存在するR3 は、相互に同一でも異なってもよい。
【0040】
また、R4 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等を挙げることができる。
一般式(2)中に2個以上存在するR4 は、相互に同一でも異なってもよい。
【0041】
金属キレート化合物に使用されるキレート化剤としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸エステル類、ヒドロキシカルボン酸ラクトン類、ヒドロキシカルボン酸塩類、ジケトン類、ケトカルボン酸類、ケトカルボン酸エステル類、ケトアルコール類、アミノアルコール類等を挙げることができる。
【0042】
ヒドロキシカルボン酸類の具体例としては、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、アトロラクチン酸、α−ヒドロキシ吉草酸、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、ムチン酸、サッカリン酸、酒石酸、タルトロン酸、β−フェニル乳酸、サリチル酸等のα−ヒドロキシカルボン酸類;β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ吉草酸、β−ヒドロキシイソ吉草酸等のβ−ヒドロキシカルボン酸類などを挙げることができる。
【0043】
また、ヒドロキシカルボン酸エステル類の具体例としては、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、クエン酸モノメチル、クエン酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酒石酸モノメチル、酒石酸モノエチル、サリチル酸メチル等を挙げることができ、ヒドロキシカルボン酸ラクトン類の具体例としては、グルクロノラクトン、グルコヘプトノ1,4−ラクトン、サッカリン酸1,4−ラクトン等を挙げることができ、ヒドロキシカルボン酸塩類の具体例としては、グリコール酸アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、グリコール酸アンモニウム、乳酸アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、乳酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0044】
また、ジケトン類の具体例としては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン等を挙げることができ、ケトカルボン酸類の具体例としては、ピルビン酸、ピルビン酸ピルベート、アセチル酢酸、アセチルアセト酢酸等を挙げることができ、ケトカルボン酸エステル類の具体例としては、ピルビン酸エチル、アセチル酢酸メチル、アセチル酢酸エチル等を挙げることができ、ケトアルコール類の具体例としては、ジアセトンアルコール、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘキサノン等を挙げることができ、アミノアルコール類の具体例としては、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジメタノールアミン、メチルジエタノールアミン等を挙げることができる。
【0045】
好ましい(C)成分の具体例としては、
テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキスラクテートジルコニウム、テトラキスグリコレートジルコニウム等のジルコニウム化合物;
【0046】
テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタン、ジヒドロキシ・ビスラクテートチタン、ジヒドロキシ・ビスグリコレートチタン、ジヒドロキシ・ビス(α−ヒドロキシブチレート)チタン、ジヒドロキシ・ビス(α−ヒドロキシバリレート)チタン、ジヒドロキシ・ビスサリチレートチタン、テトラアルコキシチタン(例えば、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン等)のクエン酸キレートの加水分解物、テトラアルコキシチタン(例えば、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン等)の酒石酸キレートの加水分解物等のチタン化合物;
【0047】
トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、アセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ヒドロキシ・ビスラクテートアルミニウム、ヒドロキシ・ビスグリコレートアルミニウム等のアルミニウム化合物
などを挙げることができる。
【0048】
本発明における(C)成分としては、特に貯蔵安定性の点から、金属化合物(2)のキレート化物の加水分解物、金属化合物(2)の加水分解物のキレート化物が好ましく、さらに好ましくは、キレート化剤としてヒドロキシカルボン酸類等を用いた、金属化合物(2)のキレート化物の加水分解物および金属化合物(2)の加水分解物のキレート化物であり、特に好ましくは、ジヒドロキシ・ビスラクテートチタン、ジヒドロキシ・ビスグリコレートチタン、ジヒドロキシ・ビス(α−ヒドロキシブチレート)チタン、テトラ−i−プロポキシチタンのクエン酸キレートの加水分解物、テトラ−i−プロポキシチタンの酒石酸キレートの加水分解物等のチタン化合物等である。
また、本発明においては、(C)成分として、商品名でA−10、B−2、B−4、B−7、B−10(以上、日本曹達(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0049】
本発明において、金属化合物(2)、金属化合物(2)の加水分解物、金属化合物(2)の縮合物、金属化合物(2)のキレート化物、該キレート化物の加水分解物、該キレート化物の縮合物、金属化合物(2)の加水分解物のキレート化物、および金属化合物(2)の縮合物のキレート化物はそれぞれ、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0050】
水系分散体の形態
本発明の水系分散体の好ましい形態としては、例えば、後述する水系分散体の調製法(イ)〜(ニ)に対応して、次の [I] 〜 [IV] ものを挙げることができる。
[I] 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合することにより得られる分散体、を含む水系分散体。
【0051】
[II] 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合することにより得られる分散体に、(C)成分を添加して加熱することにより調製されてなる水系分散体。
【0052】
[III] 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマーの一部、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下で、該(B')成分をラジカル重合したのち、さらに(B')成分の残部を添加してラジカル重合することにより得られる分散体、を含む水系分散体。
【0053】
[IV] 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマーの一部、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下で、該(B')成分をラジカル重合したのち、さらに(B')成分の残部を添加してラジカル重合することにより得られる分散体に、(C)成分を添加して加熱することにより調製されてなる水系分散体。
【0054】
水系分散体の調製法
本発明の水系分散体の調製法としては、例えば、下記(イ)〜(ニ)の方法を挙げることができる。
(イ) 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合することにより、分散体(α)を調製したのち、(C)成分を添加する方法。
【0055】
(ロ) 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合することにより、分散体(α)を調製したのち、(C)成分を添加して加熱する方法。
【0056】
(ハ) 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマーの一部、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下で、該(B')成分をラジカル重合したのち、さらに(B')成分の残部を添加してラジカル重合することにより、分散体(β)を調製したのち、(C)成分を添加する方法。
【0057】
(ニ) 水性媒体中で、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマーの一部、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下で、該(B')成分をラジカル重合したのち、さらに(B')成分の残部を添加してラジカル重合することにより、分散体(β)を調製したのち、(C)成分を添加して加熱する方法。
【0058】
前記(イ)〜(ニ)の方法における水性媒体は、水を主体とする媒体である。水の使用量は、(A)成分および(B')成分の合計100重量部に対して、通常、50〜2,000重量部、好ましくは80〜1,000重量部、さらに好ましくは100〜500重量部である。該使用量が50重量部未満では、エマルジョン化が困難となったり、エマルジョンの分散安定性が低下する傾向があり、一方2,000重量部を超えると、生産性が低下するおそれがある。
【0059】
前記(イ)〜(ニ)の方法において、添加される(C)成分は、そのままでも、また水系媒体中の分散体としても添加することができる。
後者の水系媒体中の分散体をなす(C)成分は、(C)成分を水系媒体中に分散させて調製しても、また下記(ホ)の方法により調製してもよい。
(ホ) 水性媒体中で、(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、(C)成分および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合する方法。
【0060】
前記(ハ)および(ニ)の方法において、(B')成分の一部をラジカル重合することにより得られる水系分散体と追加される(B')成分の残部との重量比は、好ましくは2/98〜70/30、さらに好ましくは5/95〜50/50である。該重量比が2/98未満では、耐汚染性が低下する傾向があり、一方70/30を超えると、水系分散体の貯蔵安定性が低下する傾向がある。
【0061】
前記(イ)〜(ニ)の方法によると、比較的高濃度の(A)ポリオルガノシロキサンが(B)アクリル系ポリマーと相溶して複合化した粒子として得られるため、水系分散体の貯蔵中に加水分解した(A)成分が溶出して系全体の粘度が高くなるのを防ぎ、貯蔵安定性を向上させるとともに、塗膜の透明性や表面光沢が良好となり、かつ耐汚染性が長期にわたり持続でき、しかも重合安定性が良好であることから、塗膜の耐温水性にも優れるという利点を有する。
【0062】
また、前記(イ)〜(ニ)の方法におけるエマルジョンの微細化後の(B')成分のラジカル重合は、1種のミニエマルジョン重合といえるものであり、従来公知の方法では得られなかった下記(i)〜(iii)のような利点を有する。
(i) (B')成分のラジカル重合中に(A)成分の加水分解・縮合反応が進まないため、ラジカル重合中に重合を阻害する低分子量アルコキシシランの加水分解物や加水分解反応の副生成物であるアルコールが発生することがなく、またエマルジョン中のモノマー油滴の分散安定性が良好であり、それにより、比較的多量の(A)成分を含んでいても、ラジカル重合の反応安定性が良好である。
(ii) エマルジョン粒子中で、(A)成分の存在下に(B')成分がラジカル重合するため、(A)成分が(B)成分中に極めて微分散した構造を形成する結果、シロキサン成分として相溶性に劣るメチル系ポリオルガノシロキサンを使用しても、透明性に優れた塗膜が形成される。
(iii) エマルジョン粒子中では、ポリマー同士が無溶剤状態で共存するため、貯蔵中のシロキサン成分の反応が抑制され、貯蔵安定性が良好となる。
【0063】
ところで、ポリマーエマルジョンを製造する場合、多くは乳化重合で製造される。乳化重合は、通常、粒径が数μm〜数mmの大きなモノマー油滴から、モノマー分子が水性媒体中を通じて、粒径が数nmの乳化剤ミセルへ移動しつつ重合が進行し、最終的に数百nmの粒径のポリマー粒子が生成する。これに対して、本発明におけるミニエマルジョン重合は、予めモノマー油滴を所望の粒径に微細乳化しておき、その粒径のまま重合を進行・完了させる方法であり、水性媒体中でのモノマー分子の移動が必要ないことから、特に疎水性モノマーを重合させる場合に用いられる重合法である。本発明の水系分散体は、特に前記(イ)〜(ニ)の方法でミニエマルジョン重合により調製することにより、より多くの(A)ポリオルガノシロキサンを含む水系分散体を重合安定性よく調製することができる。
【0064】
また、前記(ハ)および(ニ)の方法における(B')成分を2段階で添加するラジカル重合は、1種のコア/シェル重合といえるものであり、該方法によると、最初に添加した(B')成分と(A)成分とが複合化したコア部を構成し、追加された(B')成分がシェル部を構成する2層構造を有するポリマー粒子が得られる。この方法では、コア部の(A)成分がシェル部の(B)成分によって保護されるため、水の存在下における(A)成分の加水分解がより防止され、貯蔵安定性がさらに改善される。
【0065】
前記(ロ)および(ニ)の方法における(C)成分の添加後の加熱処理の条件は、加熱温度が、通常、40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80 ℃である。加熱温度が40℃未満でも100℃を超えても、耐汚染性低下する傾向がある。また、加熱時間が、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜10時間、さらに好ましくは1〜5時間である。
【0066】
−(D)乳化剤−
ラジカル重合における乳化剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル四級アミン塩等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリエーテル等のノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例えば、アミノ酸型、ベタイン酸型等)、スルホン酸型等の両性界面活性剤のほか、以下商品名で、ラテムルS−180A〔花王(株)製〕;エレミノールJS−2〔三洋化成(株)製〕;アクアロンKH−10〔第一工業製薬(株)製〕;アデカリアソープSE−10N、SR−10N〔以上、旭電化工業(株)製〕〕;Antox MS−60〔日本乳化剤(株)製〕;サーフマーFP−120〔東邦化学工業(株)製〕等の反応性乳化剤等を使用することができるが、特に反応性乳化剤が、耐候性や耐水性に優れた塗膜が得られる点で好ましい。
【0067】
前記反応性乳化剤としては、1分子中に炭素数8以上のアルキル基等の疎水基と、ポリオキシエチレン鎖を含む親水基と、ラジカル重合性不飽和結合とを有する、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤が好ましい。なお、該反応性乳化剤中のポリオキシエチレン鎖は、末端がスルホネート等でエステル化されていてもよい。
【0068】
前記ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤のうち、末端がエステル化されていないものとしては、商品名で、例えば、アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40〔以上、旭電化工業(株)製〕等のα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン類;アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50〔以上、第一工業製薬(株)製〕等のポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル類などの反応性ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
【0069】
また、ポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤のうち、末端がエステル化されているものとしては、商品名で、例えば、エレミノールJS−2、JS−5〔以上、三洋化成(株)製〕;ラテムルS−120、S−180A、S−180〔以上、花王(株)製〕;アクアロンHS−10、KH−5、KH−10〔以上、第一工業製薬(株)製〕;アデカリアソープSE−10N、SR−10N〔以上、旭電化工業(株)製〕等を挙げることができる。
本発明においては、特に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の非反応性乳化剤と、前記反応性乳化剤とを併用することにより、重合安定性と耐候性とを良好にバランスさせることができる。
【0070】
前記乳化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
乳化剤の使用量は、(B')成分のラジカル重合時の(A)成分と(B')成分との合計100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。該使用量が0.1重量部未満では、均一なエマルジョン化が困難となったり、ラジカル重合時の反応安定性が低下する傾向があり、一方5重量部を超えると、泡立ちが問題となり作業性が低下する傾向がある。
【0071】
−(E)ラジカル重合開始剤−
ラジカル重合に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2′−アゾビス〔2−N−ベンジルアミジノ〕プロパン塩酸塩等の水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤;パーオキサイド系開始剤と、ロンガリット、アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤とを併用したレドックス系開始剤等を挙げることができるが、重合安定性の面から、油溶性開始剤が好ましい。
これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なお、ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド等の、pHを酸性にするものは使用しないことが好ましい。
【0072】
ラジカル重合開始剤の使用量は、(B')成分のラジカル重合時の(A)成分および(B')成分の合計100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜3重量部である。該使用量が0.01重量部未満では、ラジカル重合反応が途中で失活するおそれがあり、一方5重量部を超えると、耐候性が低下するおそれがある。
【0073】
水系分散体の調製に際し、各成分を混合してエマルジョン化するに当たっては、各成分の混合物が液状である温度および圧力下に、目視上で均一な混合状態となるよう撹拌すればよい。
また、エマルジョンの微細化に際しては、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波等の機械的ないし物理的手段を用いて処理することにより、エマルジョンの平均粒子径を、0.5μm以下、好ましくは0.05〜0.2μmにする。エマルジョンの平均粒子径が0.5μmを超えると、耐水性が不十分となるおそれがある。
また、ラジカル重合における反応条件は、反応温度が、通常、25〜100℃、好ましくは40〜90℃であり、反応時間が、通常、0.5〜15時間、好ましくは1〜8時間である。
【0074】
また、ラジカル重合時のpHおよびラジカル重合後のpHは、4〜9、好ましくは5〜8である。ラジカル重合時のpHが4より低くても9より高くても、ラジカル重合時の反応安定性や水系分散体の貯蔵安定性が低下する。また、ラジカル重合後のpHが4より低くても9より高くても、水系分散体の貯蔵安定性が低下する。さらには、ラジカル重合時に、好ましくはラジカル重合後においても、pHを4〜9、好ましくは5〜8に調整することにより、(A)ポリオルガノシロキサン中のOR2 基が加水分解することなく残存して、塗膜形成後に該基が塗膜表面に移行し、雨水などにより加水分解する結果、塗膜表面が親水性化され、耐汚染性が飛躍的に向上させることができる。
【0075】
水系分散体の調製に用いられる(A)成分、(B')成分や(C)成分がカルボキシル基やカルボン酸無水物基等の酸性基を有する場合には、ラジカル重合後に、少なくとも1種の塩基性化合物を添加して、pHを前記範囲内に調整することにより、また前記各成分が、アミノ基やアミンイミド基等の塩基性基を有する場合には、ラジカル重合後に、少なくとも1種の酸性化合物を添加して、pHを前記範囲内に調整することにより、さらに前記各成分が酸性基と塩基性基の両者を有する場合には、ラジカル重合後に、これらの基の割合に応じて、少なくとも1種の塩基性化合物あるいは酸性化合物を添加して、pHを前記範囲内に調整することにより、いずれの場合も、得られるポリマー粒子の親水性を高めて、分散性を向上させることができるとともに、貯蔵中の(A)成分の溶出を防止することができる。
【0076】
前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール等のアミン類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物などを挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記酸性化合物としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、くえん酸、アジピン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の有機酸類を挙げることができる。
これらの酸性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
このpH調整後の水系分散体のpHは、通常、4〜9、好ましくは5〜8である。
【0077】
本発明の水系分散体の分散状態は、粒子状あるいはゾル状であることができる。
水系分散体中におけるポリマー粒子の平均粒子径は、通常、0.01〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.2μmである。
また、本発明の水系分散体の固形分濃度は、通常、10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である。この固形分濃度は、通常、水性媒体となる水の量によって調整される。
【0078】
本発明の水系分散体における水性媒体は、本質的に水からなるが、(A)成分中のOR2 基が加水分解されると、アルコール(R2 −OH)を含有するようになり、また(C)成分が加水分解物を含むとき、アルコール(R4 −OH)を含有する場合もある。水系媒体中のアルコール含有量が高くなりすぎると、ラジカル重合時の反応安定性が低下したり、耐汚染性が低下したりするおそれがある。したがって、本発明においては、ラジカル重合中およびラジカル重合後の水性媒体中のアルコール含有量を2重量%以下とすることが好ましい。水性媒体中のアルコール含有量が2重量%を超えると、塗膜表面に曇りを発生するおそれがある。
【0079】
水性媒体中のアルコール含有量が多過ぎる場合には、例えば、必要に応じてpH調整したのち、水の追加、アルコールの分離除去等の処理を行う。
水系媒体中のアルコールを分離除去する方法としては、例えば、下記▲1▼〜▲5▼の方法を挙げることができる。
▲1▼蒸発缶による方法
減圧または常圧下で、水系分散体中に空気、窒素等の気体を吹き込みながら、加熱下または常温下で攪拌して、アルコールを留去する方法。この方法に使用される装置としては、実験室的には重合用の四つ口フラスコを、工業的には重合用リアクターを挙げることができる。
▲2▼遠心薄膜式蒸発装置による方法
円錐型伝熱面を回転させて、遠心力により水系分散体を薄膜化して、アルコールを蒸発させる方法。この方法に使用される装置としては、実験室的にはエバポレーターを、工業的には大川原製作所製の「エバポール」や日本車輌製の「遠心式分子蒸留装置」を挙げることができる。
【0080】
▲3▼外部循環式装置による方法
波形プレートを重ね合わせて形成した流路に、水系分散体と加熱媒体とを互い違いに流すことにより、アルコールを蒸発させる方法。この方法に使用される装置としては、工業的には日曹エンジニアリング製の「バブレス」を挙げることができる。
▲4▼流下薄膜式装置による方法
水系分散体を加熱管群の頂部から薄膜状に流下させることにより、アルコールを蒸発させる方法。
▲5▼攪拌薄膜式装置による方法
円筒型加熱管内に設置された攪拌翼により水系分散体を薄膜化することにより、アルコールを蒸発させる方法。この方法に使用される装置としては、工業的には神鋼パンテック製の「ワイプレン」や「エクセバ」を挙げることができる。
【0081】
これらの方法のうち、付加的な装置を必要としない点では、▲1▼の方法が好ましく、あるいは工業的な生産効率の点では、▲2▼および▲3▼の方法および外部循環式装置による方法が好ましい。
なお、水系分散体の貯蔵安定性を損なわない範囲内で、アルコールの分離除去と同時に、水を揮発ないし蒸発させることにより、水系分散体の固形分濃度を高くすることもできる。なお、アルコール含有量が望ましい範囲内である場合でも、水の追加、水の揮発ないし蒸発等により、水系分散体の固形分濃度を調整してもよい。
【0082】
他の成分
−紫外線吸収・光安定化成分−
本発明の水系分散体には、紫外線吸収作用および/または光安定化作用を有する成分(以下、「紫外線吸収・光安定化成分」という。)を配合することが好ましい。
紫外線吸収・光安定化成分とは、(B)成分とは本質的に分離して存在するものと、(B')成分中の他のモノマーとして使用された化合物に由来し、(B)成分の構成単位となっているものとの両者を包含する概念である。
【0083】
紫外線吸収・光安定化成分としては、特に限られたものではなく、例えば、シュウ酸アニリド系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の有機系紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤;有機ニッケル化合物、ヒンダードアミン系等の光安定化剤など、従来より塗料、合成ゴム、合成樹脂、合成繊維用として使用し得る紫外線吸収作用および/または光安定化作用を有するものならいずれでもよい。
【0084】
以下に、紫外線吸収・光安定化成分(場合により商品名)の例を挙げるが、一部にはメーカー名と商品名を併記する。
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、
フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−n−オクチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシフェニルサリシレートや、ラジカル重合性モノマーとして、p−メタクリロイルオキシフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;
【0085】
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL3000〕、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL M−40〕、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL 408〕、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3049〕、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL MS−40〕、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3050〕や、ラジカル重合性モノマーとして、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
【0086】
2−〔4−{(2−ヒドロキシ−3−n−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンと2−〔4−{(2−ヒドロキシ−3−n−トリドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンとの混合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN400〕、2−(4−i−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;
【0087】
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN328〕、2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔4−エタノール−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、
【0088】
i−オクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN384〕、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンソトリアゾール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN900〕、2−〔2−ヒドロキシ−3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕−2H−ベンソトリアゾール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN928〕、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN1130〕、3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロパノール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの水系分散液(旭電化工業(株)製アデカスタブLX−301)や、
【0089】
ラジカル重合性モノマーとして、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシ−3−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール、
【0090】
2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール〔大塚化学(株)製RUVA−93〕、2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−メチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−t−ブチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−t−ブチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール、
【0091】
2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルアミノフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルアミノフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルアミノ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノ−3−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルアミノ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノ−3−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−メタクリロイルアミノ−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
【0092】
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3039〕、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート〔BASFジャパン(株)製UVINUL 3035〕等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤
などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
また、ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートと1−(メチル)−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとの混合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN292〕、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−n−オクチルオキシ−4−ピペリジル)セバケート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN123〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−〔{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル〕ブチルマロネート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN144〕、TINUVIN111FD〔商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製〕、テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−57〕、テトラキシ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−52〕、
【0094】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル混合エステル(旭電化工業(株)製アデカスタブLA−62〕、アデカスタブLA−67〔商品名、旭電化工業(株)製〕、アデカスタブLA−63P〔商品名、旭電化工業(株)製〕、アデカスタブLA−68LD〔商品名、旭電化工業(株)製〕、1−〔2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン〔三共(株)製サノールLS−2626〕、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン〔三共(株)製サノールLS−744〕、8−アセチル−3−n−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン〔三共(株)製サノールLS−440〕、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕〔三共(株)製サノールLS−944〕、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル混合エステルの水系分散液〔旭電化工業(株)製アデカスタブLX−332〕や、
【0095】
ラジカル重合性モノマーとして、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−82〕、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔旭電化工業(株)製アデカスタブLA−87〕、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート
等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
これらの紫外線吸収・光安定化成分のうち、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系またはシアノアクリレート系の有機紫外線吸収剤;酸化亜鉛の微粒子または酸化セリウムの微粒子からなる無機紫外線吸収剤;およびヒンダードアミン系光安定化剤の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの各成分は、非ラジカル重合性ないしラジカル重合性であることができる。
前記酸化亜鉛の微粒子および酸化セリウムの微粒子の平均粒子径は、通常、0.003〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.2μmである。
【0097】
また、紫外線吸収・光安定化成分として、融点が−5℃以下のラジカル重合性をもたない液状化合物を使用することにより、塗膜に低温での柔軟性が付与される結果、良好な耐候性に加えて、良好な耐凍害性を付与することができる。
さらに、紫外線吸収・光安定化成分がラジカル重合性モノマーに由来する場合には、紫外線吸収・光安定化成分の塗膜からのブリードアウトが抑制される結果、長期にわたり優れた耐候性を保持することができる。
前記紫外線吸収・光安定化成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0098】
紫外線吸収・光安定化成分の配合量は、水系分散体100重量部(固形分)に対して、通常、0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜5重量部である。
【0099】
−シランカップリング剤−
本発明の水系分散体には、(B')成分とラジカル共重合可能な重合性不飽和基と(A)成分と共縮合可能なアルコキシシリル基等のシロキサン結合を形成し得る基を有するシランカップリング剤を配合することができる。
本発明の水系分散体にシランカップリング剤を配合することにより、水系分散体中の有機成分と無機成分とのハイブリッド性が向上するため、耐クラック性、透明性や耐候性をさらに向上させることができる。
シランカップリング剤は、エマルジョン化前の(A)成分および/または(B')成分に添加しても、エマルジョン化前の(A)成分と(B')成分との混合液に添加しても、ラジカル重合時に添加しても、さらには水系分散体の調製後に添加してもよいが、エマルジョン化前の(A)成分と(B')成分との混合液に添加することが好ましい。
【0100】
シランカップリング剤の具体例としては、
CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 ) 2 、CH2 =CHSi(OCH3 ) 3
CH2 =CHSi(CH3 ) Cl2 、CH2 =CHSiCl3
等のビニル基含有シランカップリング剤;
CH2 =CHCOO(CH2 ) 2 Si(CH3 )(OCH3 ) 2
CH2 =CHCOO(CH2 ) 2 Si(OCH3 ) 3
CH2 =CHCOO(CH2 ) 3 Si(CH3 ) (OCH3 ) 2
CH2 =CHCOO(CH2 ) 3 Si(OCH3 ) 3
CH2 =CHCOO(CH2 ) 2 Si(CH3 ) Cl2
CH2 =CHCOO(CH2 ) 2 SiCl3
【0101】
CH2 =CHCOO(CH2 ) 3 Si(CH3 ) Cl2
CH2 =CHCOO(CH2 ) 3 SiCl3
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 2 Si(CH3 ) (OCH3 ) 2
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 2 Si(OCH3 ) 3
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3 Si(CH3 )(OCH3 ) 2
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3 Si(OCH3 ) 3
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 2 Si(CH3 ) Cl2
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 2 SiCl3
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3 Si(CH3 ) Cl2
CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3 SiCl3
等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有シランカップリング剤
などを挙げることができる。
これらのシランカップリング剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0102】
シランカップリング剤の配合量は、(A)成分と(B')成分または(B)成分との合計100重量部に対して、通常、20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
【0103】
−架橋剤−
本発明の水系分散体には、(B')成分としてアルド基および/またはケト基を有する他のモノマーを用いた場合、ヒドラジド基を2個以上有する架橋剤(以下、単に「架橋剤」という。)を、塗装前に配合することが好ましい。この場合、アルド基および/またはケト基を有する他のモノマーの使用量は、全(B')成分の、通常、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。このような水系分散体を使用することにより、耐汚染性がさらに優れた塗膜を得ることができる。
【0104】
架橋剤としては、例えば、しゅう酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシンジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の合計炭素数が2〜10、好ましくは4〜6のジカルボン酸ジヒドラジド類;クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド等の3官能以上のヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ヒドラジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジン等の合計炭素数が2〜4の脂肪族ジヒドラジン類等の水溶性ジヒドラジン類や、これらの化合物中の少なくとも一部のヒドラジノ基を、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール等のカルボニル化合物と反応させることによりブロックした化合物、例えば、アジピン酸ジヒドラジドモノアセトンヒドラゾン、アジピン酸ジヒドラジドジアセトンヒドラゾン等を挙げることができる。
これらの架橋剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記架橋剤の配合量は、水系分散体中のアルド基およびケト基の合計モル数に対して、通常、等モル〜0.2モルの範囲である。
【0105】
−加水分解・縮合触媒−
本発明の水性分散体は、本質的には、(C)成分を触媒として含有する1液型であるが、必要に応じて、その塗装前に、(A)成分の加水分解反応や縮合反応を促進する触媒(以下、「加水分解・縮合触媒」という。)を配合することにより、耐汚染性をより早期に発現させることができる。
【0106】
このような加水分解・縮合触媒としては、例えば、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物等を挙げることができる。
【0107】
前記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フタル酸等を挙げることができ、好ましくは、酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸である。
これらの酸性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
これらのアルカリ性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸等のアルカリ金属塩などを挙げることができる。 これらの塩化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0108】
また、前記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等を挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランである。
これらのアミン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0109】
加水分解・縮合触媒の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。該配合量が5重量部を超えると、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0110】
−その他の添加剤−
本発明の水系分散体には、塗膜の所望の特性に応じて、紫外線吸収・光安定化成分以外の無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドを配合することができる。
前記無機化合物の平均粒径は、粉体の場合には、通常、0.01〜1,000μm程度であり、またゾルもしくはコロイドの場合には、通常、0.001〜100μm程度である。
【0111】
前記無機化合物の具体例としては、TiO3 、SrTiO3 、FeTiO3 、WO3 、SnO2 、Bi2 3 、In2 3 、Fe2 3 、RuO2 、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3 、MoS2 、LaRhO3 、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb2 5 、ZrO2 、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSb等の光触媒能を有する半導体のほか、SiO2 、Al2 3 、AlGa、As、Al(OH)3 、Sb2 5 、Si3 4 、Sn−In2 3 、Sb−In2 3 、MgF、CeF3 、3Al2 3 ・2SiO2 、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeOx 、CrO2 、Fe4 N、
【0112】
BaTiO3 、BaO−Al2 3 −SiO2 、Baフェライト、SmCO5 、YCO5 、CeCO5 PrCO5 、Sm2 CO17、Nd2 Fe14B、Al4 3 、α−Si、SiN4、CoO、Sb−SnO2 、Sb2 5 、MnO2 、MnB、Co3 4 、Co3 B、LiTaO3 、MgO、MgAl2 4 、BeAl2 4 、ZrSiO4 、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi2 、CrSi2 、CoSi2 、MnSi1.73、Mg2 Si、β−B、BaC、BP、TiB2 、ZrB2 、HfB2 、Ru2 Si3 、TiO2 (ルチル型)、TiO3 、PbTiO3 、Al2 TiO5 、Zn2 SiO4 、Zr2 SiO4 、2MgO2 −Al2 3 −5SiO2 、Nb2 5 、Li2 O−Al2 3 −4SiO2 、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライト等を挙げることができる。
これらの無機化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0113】
前記無機化合物の存在形態には、粉体、水中に分散した水系のゾルもしくはコロイドと、イソプロピルアルコール等の極性溶媒やトルエン等の非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドとがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、無機化合物の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
無機化合物が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
【0114】
前記無機化合物を水系分散体中に配合する方法としては、水系分散体の調製時に添加しても、あるいは水系分散体の調製後に添加してもよい。
前記無機化合物の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して、固形分で、通常、500重量部以下、好ましくは400重量部以下である。
【0115】
本発明の水系分散体には、得られる塗膜の着色、厚膜化などのために、別途、前記以外の充填材を配合することができる。
充填材としては、例えば、非水溶性の有機顔料や無機顔料;顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状のセラミックス;金属、合金、金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物や硫化物等を挙げることができる。
【0116】
前記充填材の具体例としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデン等を挙げることができる。
これらの充填材は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0117】
充填材の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して、通常、300重量部以下である。
【0118】
本発明の水系分散体には、塗膜の形成を促進させるために造膜助剤を配合することができる。
このような造膜助剤としては、例えば、n−ヘキシルアルコール、ベンジジアルコール等の沸点100℃以上のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブ、i−プロピルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、n−ヘキシルセロソルブ等のセロソルブ類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート類;ブチルカルビトールアセテート等のカルビトールアセテート類;トリ−n−ブトキシメチルホスフェート等のホスフェート類などを挙げることができる。
これらの造膜助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
造膜助剤の配合量は、全水系分散体の、通常、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
造膜助剤を配合する方法としては、水系分散体を調製する際に添加しても、また塗膜を形成する段階で添加しても、さらには水系分散体の調製と塗膜の形成との両方の段階で添加してもよい。
【0119】
本発明の水系分散体には、コーティング性をより向上させるためにレベリング剤を配合することができる。
このようなレベリング剤の具体例としては、商品名で、フッ素系のレベリング剤として、BM1000、BM1100〔以上、ビーエムヘミー(BM−CHEMIE)社製〕;エフカ772、エフカ777〔以上、エフカケミカルズ社〕;フローレンシリーズ〔共栄社化学(株)製〕;FCシリーズ〔住友スリーエム(株)製〕;フルオナールTFシリーズ〔東邦化学(株)製〕等を挙げることができ、シリコーン系のレベリング剤として、BYKシリーズ〔ビックケミー社製〕;Sshmegoシリーズ〔シュメグマン(Sshmegmann)社製〕;エフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ88〔以上、エフカケミカルズ社製〕等を挙げることができ、エーテル系またはエステル系のレベリング剤として、カーフィノール〔日信化学工業(株)製〕;エマルゲン、ホモゲノール〔以上、花王(株)〕等を挙げることができる。
これらのレベリング剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0120】
レベリング剤の配合法としては、水系分散体を調製する任意の段階で配合しても、また塗膜を形成する段階で水系分散体に配合しても、さらには水系分散体の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観がさらに改善され、薄膜として均一に塗布することができる。
レベリング剤の配合量は、水系分散体100重量部(固形分)に対して、通常、5重量部以下、好ましくは3重量部以下である。
【0121】
本発明の水系分散体には、エマルジョン化の際に、ポリスチレン換算重量平均分子量が、通常、1,000〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の低分子量ポリ(メタ)アクリレートを配合することができ、それによりラジカル重合時の反応安定性がより良好となる。
前記低分子量ポリ(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類を、必要に応じて、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤と共に溶液重合することにより得られるものを挙げることができる。また、低分子量ポリ(メタ)アクリレートは、アルコール性水酸基、シロキサン基等の官能基を有していてもよいが、スルホン酸基、カルボキシル基等の酸性基はもたないことが好ましい。酸性基を有すると、耐温水性が低下する傾向がある。
【0122】
低分子量ポリ(メタ)アクリレートの市販品には、商品名で、アクトフローUT−300(Mw=3,800)、アクトフローUMB−1001(Mw=1,500)、アクトフローUME−1001(Mw=2000)、アクトフローCBL−3098(Mw=4,000)〔以上、綜研化学(株)製〕等がある。
低分子量ポリ(メタ)アクリレートのMwが1,000未満では、重合安定性の向上効果が低下する傾向があり、一方10,000を超えると、粒子径が大きくなって、耐候性や密着性が低下する傾向がある。
これらの低分子量ポリ(メタ)アクリレートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0123】
低分子量ポリ(メタ)アクリレートの配合量は、(A)成分と(B')成分との合計100重量部に対して、通常、10重量部以下、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。該配合量が10重量部を超えると、粒子径が大きくなり、耐候性や密着性が低下する傾向がある。
【0124】
本発明の水系分散体には、他の樹脂あるいは樹脂エマルジョン、例えば、アクリル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、シリコンアクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン等を配合することができる。
これらの他の樹脂あるいは樹脂エマルジョンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
本発明の水系分散体には、所望により、(D)成分以外のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコール等の分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類;ひまし油誘導体、フェロけい酸塩等の増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジド等の無機発泡剤;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジン等のヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物等の有機発泡剤のほか、チタンカップリング剤、染料等の他の添加剤を配合することもできる。
【0126】
本発明の水系分散体の全固形分濃度は、通常、10〜55重量%、好ましくは、15〜50重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。なお、全固形分濃度が55重量%を超えると、レベリング性が低下する傾向がある。
【0127】
コーティング材および塗装体
本発明の水系分散体は、それ単独でまたは他の樹脂あるいは樹脂エマルジョンと混合して、特に、コーティング材(塗料)として有用であり、該コーティング材は上塗り用にも下塗り用にも使用することができる。以下では、本発明の水系分散体を含むコーティング材を「本発明のコーティング材」という。
【0128】
本発明のコーティング材を適用しうる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン類;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリ(メタ)アクリレート樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素系樹脂;AN樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、AES樹脂、ポリ塩化ビフェニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリイミド等のプラスチック成形品やプラスチックフィルムのほか、木材、紙等の有機系基材;鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属基材;セメント、コンクリート、ALC、フレキシブルボード、モルタル、スレート、石膏、セラミックス、レンガ等の無機窯業系基材などを挙げることができる。
これらの基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理等の下地処理を施すこともできる。
【0129】
本発明のコーティング材による基材の塗装には、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーター等の塗装手段や、ディップコート、流し塗り、スプレーコート、スクリーンプロセス、電着塗装等の塗装方法を採用することができる。
本発明のコーティング材による塗装厚さは、乾燥膜厚として、通常、0.05〜200μm程度である。その後、常温で乾燥するか、あるいは30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、塗膜を形成することができる。
また、本発明のコーティング材あるいは他のコーティング材を用いて下塗りを施す場合の塗装厚さは、乾燥膜厚として、1回塗りで0.05〜20μm程度、2回塗りでは0.1〜40μm程度である。その後、常温で乾燥するか、あるいは30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、下塗り層を形成することができる。
本発明のコーティング材を用いた塗装体の下塗り層と上塗り層の合計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜400μm、好ましくは、0.2〜300μm程度である。
【0130】
本発明のコーティング材による塗装仕様は、基材の種類や状態、塗装目的、塗装方法などによって異なり、基材と塗膜との密着性の確保、防錆、エフロ防止、水分浸入防止などの目的で下塗り層を設ける。下塗り層に用いられる材料としては、充填材を含まないプライマーと、前記した目的に加えて、塗膜外観の意匠性を付与する目的で用いられる、充填材を含むシーラーを挙げることができる。プライマ−およびシーラーの種類は特に限定されるものではなく、基材の種類、使用目的などに応じて適宜選択することができる。
また、金属基材の場合、防錆の必要があればプライマ−やシーラーなどの下塗り層を設ける。無機窯業系基材の場合、基材の性状(表面荒さ、含浸性、アルカリ性など)により塗膜の隠蔽性が異なるため、通常、プライマ−またはシーラーを用いる。有機樹脂系基材の場合も、通常、プライマーまたはシーラーを用いる。また劣化塗膜の再塗装の場合、旧塗膜の劣化が著しいときは、プライマ−またはシーラーを用いる。それ以外の基材、例えば、防錆を必要としない金属、タイルやガラスなどの場合は、用途に応じて下塗り層を設けても設けなくてもよい。
【0131】
下塗り層に用いられる材料としては、例えば、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、アクリルウレタンエマルジョンや、アクリルシリコンエマルジョン、ポリシロキサン等のシリコン含有エマルジョンなどを挙げることができる。
これらの材料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また本発明の水系分散体と混合して使用することもできる。
また、下塗り層に用いられる材料には、厳しい条件での基材と塗膜との十分な密着性が必要な場合、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、アルキルシリル基、エ−テル結合、エステル結合等の各種の官能基を導入することもできる。
さらに、下塗り層に用いられる材料には、硬化促進剤を添加してもよい。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等には、前記加水分解・縮合触媒として例示した化合物が用いられ、エポキシ樹脂には、一般的なエポキシ樹脂用硬化剤、具体的には、アミン類、イミダゾール誘導体、酸無水物類、ポリアミド樹脂等が用いられる。
【0132】
本発明のコーティング材を使用する際の好ましい下塗り層の材料の組み合わせとしては、例えば、アクリルエマルジョン/本発明の水系分散体、アクリルエマルジョン/エポキシエマルジョン、シリコン含有エマルジョン/エポキシエマルジョン、エポキシエマルジョン/アクリルウレタンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン/エポキシエマルジョン/アクリルエマルジョン等を挙げることができる。
【0133】
本発明のコーティング材により塗装した塗装体の典型的な構成としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(i) 基材(プライマー処理ありまたは無し)/本発明のコーティング材のク
リアーまたはエナメル。
(ii) 基材(プライマー処理ありまたは無し)/本発明のコーティング材のエ
ナメル/本発明のコーティング材のクリアー。
(iii) 基材(プライマー処理ありまたは無し)/他の樹脂のクリアーまたはエ
ナメル/本発明のコーティング材のクリアーまたはエナメル。
また、本発明のコーティング材から形成した塗膜の表面には、塗膜の耐摩耗性や光沢をさらに高めることを目的として、例えば、特許文献9、特許文献10等に記載されたコロイダルシリカとシリコン樹脂との安定な分散液のようなシリコン樹脂系塗料のようなクリア層を形成することもできる。
【0134】
【特許文献9】
米国特許第3,986,997号明細書
【特許文献10】
米国特許第4,027,073号明細書
【0135】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものでない。実施例中、部および%は特に断らない限り、重量基準である。
なお、実施例および比較例における各種の測定・評価は、下記の方法により行った。
耐汚染性
ジェイエスアール(株)製シリコンアクリルエマルジョンB7302(商品名)をワニスとする白エナメル(酸化チタン顔料の含有率=40%)を乾燥重量で50g/m2 塗布した硬質アルミ板に、各コーティング材をスプレーガンを用いて乾燥重量で25g/m2 塗布したのち、ギアーオーブンを用い、140℃で4分間加熱して、試験片を作製した。
次いで、各試験片を、北向き垂直の暴露台に設置して、3ヶ月間放置した。その後、試験片表面を目視により観察し、下記基準で評価した。
○:雨筋が目立たず、全体に曝露前の白さを保持している、
△:雨筋は目立たないが、全体に曝露前の白さより黒色化している、
×:雨筋が目立つ。
【0136】
水接触角
前記耐汚染性の評価の場合と同様にして作製した試験片を、北向き垂直の暴露台に設置して、1ヶ月間放置した。その後、試験片表面の水接触角を、協和界面科学(株)製CA−V150により測定した。
貯蔵後の耐汚染性および水接触角
各コーティング材をプラスチック瓶に入れて密栓し、50℃で1カ月放置したのち、ジェイエスアール(株)製シリコンアクリルエマルジョンB7302をワニスとする白エナメル(酸化チタン顔料の含有率=40%)を乾燥重量で50g/m2 塗布した硬質アルミ板に、スプレーガンを用いて乾燥重量で25g/m2 塗布し、ギアーオーブンを用い、140℃で4分間加熱して、試験片を作製した。
次いで、各試験片について、前記と同様にして、耐汚染性および水接触角を測定した。貯蔵前後での耐汚染性の差および水接触角の差が小さいほど、貯蔵安定性が良好であることを示す。
【0137】
調製例1〜2
表1に示す(A)成分、(B'-1)成分、(D-1)成分および水を、室温で10分間撹拌してエマルジョン化したのち、70MPaの圧力下で、高圧ホモジナイザー〔みずほ工業(株)製、マイクロフルイダイザーM110Y 〕により、エマルジョンを微細化した。その後、このエマルジョンを四つ口セパラブルフラスコに投入して、撹拌しながら、窒素置換したのち、(E)成分としてアゾビスイソブチロニトリルを加え、80℃で2時間重合した。
次いで、反応温度を80℃に維持したまま、表1に示す(B'-2)成分、(D-2)成分および水を予め乳化させて、2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を85℃に上昇させ、さらに1時間重合した。
次いで、表1に示す(C)成分を加え、80℃で2時間攪拌して熱処理を行った。その後、室温まで冷却したのち、アンモニア水でpH7.0に調整して、本発明における分散体(A−1)および分散体(A−2)を得た。
【0138】
【表1】
Figure 2004203995
(*1) 溶剤:水80重量%および2−プロパノール20重量%
(*2) 溶剤:水80重量%および2−プロパノール20重量%
【0139】
表1中の各添加剤の内容は、次のとおりである。
エチルシリケート48:テトラエトキシシランの縮合物(10量体)〔コルコート(株)製〕
X40-9220 :メチルトリメトキシシラン縮合物(10〜15量体)〔信越化学(株)製〕
アクアロンKH-10 :末端が硫酸エステル化されたポリオキシエチレン鎖を有する反応性乳化剤〔第一工業製薬(株)製〕
【0140】
調製例3
熱処理時に添加する金属化合物を表2に示す成分に変更した以外は、調製例1〜2と同様にして、比較用の分散体(a−1)を得た。
【0141】
調製例4
金属化合物を添加する前に、系を20℃まで冷却したのち、金属化合物を添加した以外は、調製例1〜2と同様にして、比較用の分散体(a−2)を得た。
【0142】
調製例5
金属化合物を添加する前に、系を20℃まで冷却したのち、表2に示す金属化合物を添加した以外は、調製例1〜2と同様にして、比較用の分散体(a−3)を得た。
【0143】
【表2】
Figure 2004203995
(*1) 溶剤:水80重量%および2−プロパノール20重量%
【0144】
実施例1〜2
分散体(A−1)〜(A−2)を表3に示す比率にて調合して、本発明の水系分散体を得た。
得られた各水系分散体100部に対して、表3に示すアジピン酸ジヒドラジド(固体)およびエチレングリコールモノブチルエーテルの50%水溶液を配合して、コーティング材を調製し、各種評価を行った。
その結果、50℃で1ヶ月貯蔵後も塗膜表面が高い親水性を保持していた。また、50℃で1カ月貯蔵前後での耐汚染性の差および水接触角の差が小さく、貯蔵安定性が優れていた。評価結果を表3に示す。
【0145】
比較例1〜3
分散体(a−1)〜(a−3)を表3に示す比率にて調合して、比較用の水系分散体を得た。
得られた各水系分散体100部に対して、表3に示すアジピン酸ジヒドラジド(固体)およびエチレングリコールモノブチルエーテルの50%水溶液を配合して、コーティング材を調製し、各種評価を行った。
その結果、比較例1〜2では、50℃で1カ月貯蔵後に、塗膜表面の親水性の低下による雨筋が顕著に観察された。また比較例1〜3では、50℃で1カ月貯蔵前後での耐汚染性の差および水接触角の差が大きく、貯蔵安定性が不良であった。評価結果を表3に示す。
【0146】
【表3】
Figure 2004203995
【0147】
【発明の効果】
本発明の水系分散体は、従来公知の方法では得られなかった長期の貯蔵安定性を有し、かつ優れた耐汚染性を塗装後短期間で発現しうるものであり、特に水系塗料として極めて有用である。

Claims (5)

  1. 水性媒体中に、(A)下記一般式(1)
    (R1)4-n Si(OR2)n (1)
    (式中、R1 は水素原子、フェニル基または炭素数1〜8の他の1価の有機基を示し、R2 は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは3または4である。)
    で表されるオルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン2〜50重量部、(B)ガラス転移点が−20℃〜+80℃のアクリル系ポリマー49.99〜97.99重量部、並びに(C)下記一般式(2)
    (R3)m M (OR4)k (2)
    〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R3 は炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R4 はフェニル基、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、mは0以上の整数、kは1以上の整数で、(m+k)=(Mの原子価)である。〕
    で表される金属化合物、該金属化合物の加水分解物、該金属化合物の縮合物、該金属化合物のキレート化物、該キレート化物の加水分解物、該キレート化物の縮合物、該金属化合物の加水分解物のキレート化物、および該金属化合物の縮合物のキレート化物の群から選ばれる少なくとも1種0.01〜10重量部〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量部〕を含有することを特徴とする水系分散体。
  2. 水性媒体中で、請求項1に記載の(A)ポリオルガノシロキサン、請求項1に記載の(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合することにより得られる分散体、を含むことを特徴とする請求項1に記載の水系分散体。
  3. 水性媒体中で、請求項1に記載の(A)ポリオルガノシロキサン、請求項1に記載の(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマー、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下、pH4〜9で、該(B')成分をラジカル重合することにより得られる分散体に、請求項1に記載の(C)成分を添加して加熱することにより調製されてなることを特徴とする請求項1に記載の水系分散体。
  4. 水性媒体中で、請求項1に記載の(A)ポリオルガノシロキサン、請求項1に記載の(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマーの一部、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下で、該(B')成分をラジカル重合したのち、さらに(B')成分の残部を添加してラジカル重合することにより得られる分散体、を含むことを特徴とする請求項1に記載の水系分散体。
  5. 水性媒体中で、請求項1に記載の(A)ポリオルガノシロキサン、請求項1に記載の(B)アクリル系ポリマーを構成する(B')アクリル系モノマーを含むラジカル重合性モノマーの一部、および(D)乳化剤を混合してエマルジョン化したのち、エマルジョンの平均粒子径を0.5μm以下に微細化し、次いで(E)ラジカル重合開始剤の存在下で、該(B')成分をラジカル重合したのち、さらに(B')成分の残部を添加してラジカル重合することにより得られる分散体に、請求項1に記載の(C)成分を添加して加熱することにより調製されてなることを特徴とする請求項1に記載の水系分散体。
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