JP2009108124A - 水系塗料 - Google Patents

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正祥 大曲
Tatsuya Shimizu
達也 清水
Minoru Kato
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Abstract

【課題】密着性、耐湿性、耐候性、遮光性に優れ、かつ硬度の高い塗膜を形成することのできる水系塗料を提供する。
【解決手段】(A)(a)オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種と(b)ラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合物を、乳化状態で、加水分解・縮合反応及びラジカル重合して得られる複合体、及び(B)平均粒子径が5〜50μm、厚さが0.1〜0.3μm、平均粒子径/厚さの比が50〜200である鱗片状のセラミックス、金属単体、及び合金から選ばれる少なくとも1種とを含むことを特徴とする水系塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、水系塗料に関する。
従来から、コーティング剤は、様々な分野で使用されており、その適用範囲も拡大の一途をたどっている。それに伴い、コーティング剤に対する要求性能もますます高度化している。近年では、例えば、屋外等の太陽光に曝露される環境下において、密着性、耐湿性、耐候性、遮光性などの性能バランスに優れ、かつ硬度の高い塗膜を形成し得るコーティング剤が求められている。また、低公害、省資源、安全衛生などの観点から、脱溶剤化が強く求められており、コーティング剤に求められる種々の性能を有する水系コーティング剤が望まれている。
水系コーティング剤としては、反応型樹脂エマルジョン、例えば加水分解性シリル基含有樹脂エマルジョンが提案されている。
具体的には、加水分解性シリル基とアミンイミド基とを有するビニル系重合体を含有する反応型樹脂エマルジョンが提案されている(特許文献1)。
また、アルコキシシリル基を有するビニル系重合体の水分散体とスズ化合物の水分散体からなる水性塗料組成物が提案されている(特許文献2)。
特開平7−26035号公報 特開平7−91510号公報
しかしながら、これらの加水分解性シリル基含有樹脂エマルジョンは、一般に保存安定性に劣り、特にこのエマルジョンを長期間保存した場合、ゲル化したり、あるいは、長期保存後のエマルジョンから得られる塗膜の性能が、製造直後のエマルジョンから得られる塗膜とは異なり、安定した品質を確保できないという欠点があり、実用性の面で問題がある。また、保存安定性が比較的良好な場合にも、密着性、耐湿性、耐候性、遮光性などを総合した性能バランスの面で、満足できるものを調製することは困難であった。
そこで、本発明は、密着性、耐湿性、耐候性、遮光性に優れ、かつ硬度の高い塗膜を与えうる水系塗料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)(a)オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種と(b)ラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合物を、乳化状態で、加水分解・縮合反応及びラジカル重合して得られる複合体と、(B)鱗片状のセラミックス、金属単体、及び合金から選ばれる少なくとも1種とを含む水系塗料によると、本発明の上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供するものである。
[1] (A)(a)オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種と(b)ラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合物を、乳化状態で、加水分解・縮合反応及びラジカル重合して得られる複合体と、(B)鱗片状のセラミックス、金属単体、及び合金から選ばれる少なくとも1種とを含むことを特徴とする水系塗料。
[2] (B)成分は、長さが5〜50μm、幅が5〜50μm、厚さが0.1〜0.3μmの鱗片状物である上記[1]に記載の水系塗料。
[3] (A)成分100質量部に対して、(B)成分の配合量が1〜100質量部である上記[1]又は[2]に記載の水系塗料。
本発明の水系塗料によると、密着性、耐湿性、耐候性、遮光性に優れ、かつ硬度の高い塗膜を形成することができる。特に、本発明の水系塗料によると、優れた耐候性及び遮光性を有する塗膜を形成することができるため、例えば屋外等の太陽光に曝露される環境下で使用する場合にも、基材等から剥離や割れを生じることのない塗膜を得ることができる。
本発明の水系塗料は、(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて添加される他の任意成分を含む。
以下、各成分ごとに詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明の水系塗料に用いられる(A)成分は、(a)オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種と(b)ラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合物を、乳化状態で、加水分解・縮合反応及びラジカル重合して得られる複合体である。
まず、(a)成分、及び(b)成分について説明する。
((a)成分)
(a)成分は、オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種である。
ここで、オルガノシランは、一般に、下記一般式(1)で表される。
(R1nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は、2個存在するときは同一又は異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2は、同一又は異なり、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
一般式(1)中、R1の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などが挙げられる。
1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などが挙げられる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。一般式(1)中に、R1が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
一般式(1)中、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。一般式(1)中に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なってもよい。
このようなオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどが挙げられる。
これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましい。トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
本明細書中、「オルガノシランの加水分解物」とは、オルガノシラン中の加水分解性基(上記一般式(1)中のOR基)の全部が加水分解されたものだけでなく、加水分解性基の一部のみ(例えば、2〜4個含まれるOR基のうち1個)が加水分解され、残部が加水分解されていない部分加水分解物を含む意で用いられる。(a)成分として用いられるオルガノシランの加水分解物としては、オルガノシラン中の加水分解性基の全部が加水分解されたもの、部分加水分解物、これらの混合物のいずれも用いることができる。
「オルガノシランの縮合物」とは、オルガノシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである。本発明における「オルガノシランの縮合物」の語は、オルガノシランの加水分解物のシラノール基の全部が結合したものだけでなく、一部のシラノール基同士が縮合した部分縮合物を含む意で用いられる。(a)成分として用いられるオルガノシランの縮合物としては、シラノール基の全部が結合した縮合物、部分縮合物、あるいは、縮合の程度が異なっているものの混合物のいずれも用いることができる。
(a)成分は、上記オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種であり、オルガノシランと、オルガノシランの縮合物(以下、「ポリオルガノシロキサン」ともいう。)とを含むことが好ましい。本発明の水系塗料においては、オルガノシランとポリオルガノシロキサンとを共縮合することにより、硬度、耐候性、成膜性、透明性、耐クラック性などの特性に優れた塗膜を形成することができる。また、乳化後に、(b)成分のビニル化合物が重合する際の重合安定性が著しく向上し、高固形分で重合できるために工業化が容易であるという利点もある。
オルガノシランとポリオルガノシロキサンの2種類を併用する場合には、オルガノシランとしてはジアルコキシシラン類が好ましい。ジアルコキシシラン類を用いると、分子鎖として直鎖状成分が加わり、得られる粒子の可撓性を高めることができる。さらに、得られる水系分散体を用いて塗膜を形成した際に、透明性に優れた塗膜を得ることができる。ジアルコキシシラン類としては、特にジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが好ましい。
また、この場合のポリオルガノシロキサンとしては、特に、トリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせの縮合物が好ましい。ジアルコキシシランをトリアルコキシシランと併用することにより、得られる塗膜の柔軟性と耐候性を共に優れたものとすることができる。
ポリオルガノシロキサンは、オルガノシランを予め加水分解・縮合させて、オルガノシランの縮合物として使用する。この際、ポリオルガノシロキサンを調製する際に、オルガノシランに適量の水、及び必要に応じて、有機溶剤を添加することにより、オルガノシランを加水分解・縮合させることが好ましい。ここで、水の使用量は、オルガノシラン1モルに対して、通常、1.2〜3.0モル、好ましくは1.3〜2.0モル程度である。
また、この際、必要に応じて用いられる有機溶剤としては、ポリオルガノシロキサンや後記(b)成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。
芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、ポリオルガノシロキサン中に有機溶媒を含む場合には、後述する縮合・重合反応の前に、この有機溶媒を水系分散体から除去しておくこともできる。
ポリオルガノシロキサンのポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは、800〜100,000、さらに好ましくは、1,000〜50,000である。
ポリオルガノシロキサンの市販品としては、三菱化学社製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン社製のシリコンレジン、信越化学工業社製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア社製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカ社製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、又は縮合させて使用することができる。
(a)成分として、オルガノシランとポリオルガノシロキサンを併用する場合、両者の混合割合は、オルガノシラン(完全加水分解縮合物換算)が95〜5質量%、好ましくは90〜10質量%、ポリオルガノシロキサン(完全加水分解縮合物換算)が5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%(ただし、オルガノシラン+ポリオルガノシラン=100質量%)である。ポリオルガノシロキサンが5質量%未満では、得られる塗膜の表面にべとつきが見られたり、塗膜の硬化性が悪化する場合があり好ましくない。一方、95質量%を超えると、オルガノシラン成分の割合が少なくなりすぎて、(a)成分を含有する混合物の乳化が困難となることがある。また、乳化できた場合でも、乳化後の(b)ラジカル重合性ビニルモノマーの重合安定性や、エマルジョンの安定性が低下したり、あるいは得られた複合体の成膜性が低下することがあり好ましくない。ここで、上記完全加水分解縮合物とは、オルガノシランのR2O−基が100%加水分解してSiOH基となり、さらに完全に縮合してシロキサン構造になったものをいう。
((b)成分)
(b)成分は、ラジカル重合性ビニルモノマーである。
上記ラジカル重合性ビニルモノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、具体的には、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリル酸エステル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有(メタ)アクリルエステル類;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、などのアミノ基含有(メタ)アクリルエステル類;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類などの(メタ)アクリル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;ジビニルベンゼンなどの上記以外の多官能性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸アミド化合物;アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマー;そのほかジカプロラクトンなどが挙げられる。
さらに、官能基を有する(b)成分として、例えば、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの上記以外の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどの上記以外の水酸基含有ビニル系単量体;2−アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−フェニル−2′−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−ヒドロキシ−2′−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミドなどのアミンイミド基含有ビニル系単量体;アリルグリシジルエーテルなどの上記以外のエポキシ基含有ビニル系単量体などが挙げられる。
以上の(b)成分のうちでは、(メタ)アクリル化合物などが好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、酸アミド化合物などが特に好ましい。
(A)成分の複合体中、(a)成分と(b)成分との割合は、(a)成分の合計量(完全加水分解縮合物換算)が、1〜95質量部、好ましくは10〜90質量部、(b)成分が99〜5質量部、好ましくは90〜10質量部〔ただし、(a)+(b)=100質量部〕である。(b)成分の割合が、5質量部未満では、成膜性、耐クラック性が低下し好ましくない。一方、該割合が、99質量部を超えると、耐候性の悪化が顕著となり好ましくない。
(A)成分は、上記(a)成分と(b)成分とを含有する混合物を、水及び界面活性剤の存在下で乳化し、加水分解・縮合反応及びラジカル重合を行なうことによって得られる。この縮合・重合反応では、乳化状態下で、(a)成分(好ましくはオルガノシランとポリオルガノシロキサンとの混合物)の(共)縮合と、(b)ラジカル重合性ビニルモノマーのラジカル重合とが同時に進行する。なお、(a)成分がオルガノシランとポリオルガノシロキサンとの混合物である場合の反応は、上記2種の共縮合のほか、オルガノシランやポリオルガノシランがそれぞれ単独で縮合反応する場合も含む。その結果、(a)成分からなるシロキサン成分と(b)成分からなるビニルポリマーが相互貫入網目構造を形成する。また、エマルジョン粒子中で、ポリマーどうしが無溶剤状態で絡み合うため、シロキサン成分中の縮合活性に富むシラノール基の自由度が制限され、その縮合が抑制され、良好な保存安定性が得られる。
(A)成分の製造に用いられる水は、あらかじめ添加された(a)成分の水系の混合液中に存在する水であってもよく、あるいは、(a)成分の混合物にさらに界面活性剤とともに添加される水であってもよい。水の使用量は、(a)成分(完全加水分解縮合物換算)及び(b)成分の合計量100質量部に対し、通常、80〜1,000質量部、好ましく100〜500質量部である。80質量部未満では、乳化が困難であったり、乳化後のエマルジョンの安定性が低下したりするため、好ましくない。一方、1,000質量部を超えると、生産性が低下するため好ましくない。
また、乳化剤として用いられる界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪酸塩などのアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル四級アミン塩などのカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリエーテルなどのノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例えば、アミノ酸型、ベタイン酸型など)、スルホン酸型などの両性界面活性剤などのいずれでも使用可能である。これらの界面活性剤は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
界面活性剤の使用量は、(a)成分(完全加水分解縮合物換算)と(b)成分の合計量(100質量%)に対し、通常、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満では、乳化が充分でなく、また、加水分解・縮合及びラジカル重合時の安定性が低下し好ましくない。一方、10質量%を超えると、泡立ちが問題となり好ましくない。
また、この縮合・重合反応に際しては、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド、2,2′−アゾビス〔2−N−ベンジルアミジノ〕プロパン塩酸塩などの水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤;酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸などの還元剤を併用したレドックス系開始剤などが使用できる。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、(b)ラジカル重合性ビニルモノマーに対して、通常、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
(A)成分の縮合・重合反応に際しては、高圧ホモジナイザー、超音波、ホモミキサーなどの機械的手段を用いて、水系をミニエマルジョン化する。また、この際の縮合・重合反応の反応条件は、温度が、通常、25〜80℃、好ましくは40〜70℃、反応時間は、通常、0.5〜15時間、好ましくは1〜8時間である。
なお、縮合・重合反応において、(a)成分や(b)成分がカルボキシル基やカルボン酸無水物基などの酸性基を有する場合には、縮合・重合反応後に、少なくとも1種の塩基性化合物を添加してpHを調節することが好ましい。一方、上記各成分が、アミノ基やアミンイミド基などの塩基性を有する場合には、縮合・重合反応後に、少なくとも1種の酸性化合物を添加してpHを調節することが好ましい。さらに、上記各成分が酸性基と塩基性基とを有する場合には、縮合・重合反応後に、これらの基の割合に応じて、少なくとも1種の塩基性化合物あるいは酸性化合物を添加して、pHを調節することにより、いずれも、得られる水系分散体の親水性を高めて、分散性を向上させることができる。
上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類;カセイカリ、カセイソーダなどのアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。また、上記酸性化合物としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸、アジピン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの有機酸類が挙げられる。上記pH調節時の水系分散体のpH値は、通常、6〜10、好ましくは7〜8である。
このように、(A)成分の複合体(有機無機複合体)は、水系媒体中に分散した状態で得られる。なお、本明細書中、(A)成分の複合体が水系媒体中に分散したものを「(A)成分の水分散体」と称する。水分散体中、(A)成分の複合体の分散状態は、粒子状あるいは水性ゾル状である。この場合、(A)成分の複合体の平均粒子径は、通常、0.01〜100μm、好ましくは0.05〜10μmである。
また、水分散体中、(b)成分のラジカル重合により得られる重合体のガラス転移点は、−20℃〜+80℃、好ましくは0〜60℃である。ガラス転移点をこの範囲とすることにより、耐ブロッキング性/耐凍害性のバランスに優れた乾燥塗膜を得ることができる。なお、このガラス転移点は、モノマーの種類や比率等を変えることにより、容易に調整することができる。また、上記重合体のMwは、通常、10,000〜10,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000である。
また、(A)成分の水分散体の固形分濃度は、通常、10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%である。この固形分濃度は、通常、上記水の量によって調整される。なお、水分散体における水系媒体は、本質的に水からなるが、場合により、アルコールなどの有機溶媒を数質量%程度まで含むことができる。また、水分散体中に、上記(a)成分の調製時に必要に応じて用いられる有機溶媒を含む場合には、この有機溶媒を水分散体から除去しておくこともできる。さらに、水分散体中には、必要に応じて、(a)成分の調製時に用いられる上記のような各種有機溶媒を添加することもできる。
[(B)成分]
本発明の水系塗料に用いられる(B)成分は、平均粒子径が5〜50μm、厚さが0.1〜0.3μm、平均粒子径/厚さの比が50〜200である鱗片状のセラミックス、金属単体、及び合金から選ばれる少なくとも1種である。
上記セラミックスとしては、シリカ、水酸化酸化アルミニウム、マイカ等が挙げられる。
上記金属単体としては、アルミニウム、チタン、亜鉛、銅、ニッケル、銀、金、プラチナ、クロム、錫、インジウム等が挙げられる。中でも、アルミニウムが好ましい。
上記合金としては、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
(B)成分として用いられるセラミックス、金属単体、合金は、鱗片状の形状を有するもの(鱗片状物または薄片状物)である。
この鱗片状の形状は、平均粒子径が5〜50μm、厚さが0.1〜0.3μm、平均粒子径/厚さの比(アスペクト比)が50〜200、好ましくは60〜150の寸法を有する。
ここで、平均粒子径とは、電子顕微鏡を用いて、鱗片状の形状の最長径を測定した場合の平均値(例えば、1,000個の測定値の平均値)をいう。
(B)成分を得る方法としては、例えば、(B)成分がアルミニウムである場合には、圧延ロールで圧延加工して得られたアルミ箔を微細に粉砕して製造する方法等が挙げられる。
(B)成分としては、入手の容易性、コスト等の観点から、鱗片状の金属単体が好ましく、鱗片状のアルミニウムがより好ましい。
本発明の水系塗料は、(A)成分(複合体)を含む水系分散体に、(B)成分を添加、分散させることにより得られる。すなわち、本発明の水系塗料は、(a)成分及び(b)成分の加水分解・縮合反応及びラジカル重合を行って、(A)成分(複合体)を含む水系分散体を得た後、この水系分散体中に(B)成分を添加し分散させることにより得られる。
本発明の水系塗料中、(B)成分の配合量は、(A)成分(複合体)100質量部(すなわち、(a)成分(完全加水分解縮合物換算)及び(b)成分の合計量100質量部)に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは、5〜70質量部、特に好ましくは10〜50質量部である。該量が1質量部以上であると、遮光性に関して、より優れた物性を得ることができる。該量が100質量部以下であると、耐候性及び密着性に関して、より優れた物性を得ることができる。
[任意成分]
本発明の水系塗料には、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化促進剤、上記(a)成分以外のシリコーン系樹脂、無機化合物の粉体及び/又はゾルもしくはコロイド等を配合することができる。
上記シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤は、乳化前に上記(a)成分及び(b)成分の混合液に添加することが好ましいが、(a)成分、(b)成分の縮合及び重合時や、水系分散体の調製後に添加してもよい。
上記硬化促進剤としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物及び/又はその部分加水分解物等が挙げられる。硬化促進剤は、水系分散体を調製する段階や、塗膜を形成する段階、これら両方の段階で配合することができる。
上記シリコーン系樹脂としては、シリル基含有重合体や、ポリオルガノシロキサンとシリル基含有重合体とのハイブリッド体を水系媒体中に分散させた水系分散体等が挙げられる。
上記無機化合物をなす化合物としては、酸化チタン等の光触媒能を有する半導体のほか、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドとして用いられる。これらは、水系分散体の調製後に添加してもよく、あるいは、水系分散体の調製時に添加して、上記(a)成分等と共加水分解・縮合させてもよい。
また、本発明の水系塗料には、必要に応じて、上記以外に、非水溶性の有機顔料や無機顔料;顔料以外の、粒子状もしくは繊維状のセラミックス、金属あるいは合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物;界面活性剤、分散剤、増粘剤、有機あるいは無機発泡剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、レベリング剤等を配合することができる。
本発明の水系塗料の全固形分濃度は、通常、10〜55質量%、好ましくは15〜50質量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。全固形分濃度が55質量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
本発明の水系塗料は、基材と、基材上に積層して形成されたコーティング組成物からなる層(塗膜)とを含む塗装体の、前記コーティング組成物として用いられる。コーティング組成物からなる層は、上塗り層と下塗り層とを含んでもよく、本発明の水系塗料は、いずれの層を形成するためのコーティング組成物としても用いることができる。
上記塗装体を形成する方法としては、本発明の水系塗料を、基材上に直に、あるいは基板上に積層して形成された下塗り層上に塗布し、乾燥、あるいは加熱することにより、塗膜を形成する方法が挙げられる。
水系塗料を塗布する方法としては、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーター等を用いる方法や、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着等が挙げられる。
加熱の条件は、30〜200℃の温度で、通常、30秒間〜60分間である。
本発明の水系塗料からなる塗膜は、乾燥膜厚として、0.05〜200μmの厚さを有する。なお、本発明の水系塗料あるいは他の塗料を用いて下塗りを施す場合には、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm、2回塗りでは厚さ0.1〜40μmの塗膜を形成させることができる。下塗りと上塗りの総計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜400μm、好ましくは、0.2〜300μmである。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)などのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリアクリル;ABS樹脂、AES樹脂、ポリ塩化ビフェニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素系樹脂などのプラスチック成形品やプラスチックフィルムのほか、木材、紙などの有機系基材;鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属基材;セメント、コンクリート、ALC、フレキシブルボード、モルタル、スレート、石膏、セラミックス、レンガなどの無機窯業系基材などが挙げられる。
上記基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施すこともできる。表面処理としては、例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理などを挙げることができる。
また、上記基材上には、上述のとおり、下塗り層(例えば、プライマー、シーラー等)を設けることができる。下塗り層は、基材の種類や状態により、必要に応じて設けられる。例えば、基材が金属系基材の場合には、防錆の必要がある場合等に設けられる。
下塗り層に用いられるポリマーの種類としては、例えば、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、アクリルウレタンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン、ポリシロキサン、他のシリコン含有エマルジョンなどを挙げることができる。これらのポリマーは、2種類以上をブレンドさせて用いることが好ましく、ブレンドする成分として、本発明の水系塗料を用いてもよい。好ましいプライマーの組み合わせとしては、アクリルエマルジョン/水系塗料、アクリルエマルジョン/エポキシエマルジョン、シリコン含有エマルジョン/エポキシエマルジョン、エポキシエマルジョン/アクリルウレタンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン/エポキシエマルジョン/アクリルエマルジョンなどを挙げることができる。また、これらのポリマーには、厳しい条件での基材と塗膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与することもできる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、アルキルシリル基、エ−テル結合、エステル結合などを挙げることができる。さらに、下塗り層に用いられる樹脂には、硬化促進剤を添加して用いてもよい。アクリル樹脂、ウレタン樹脂などには、上述の硬化促進剤として例示された化合物を用いてもよく、エポキシ樹脂には、一般的なエポキシ硬化剤、具体的には、アミン類、イミダゾール誘導体、酸無水物類、ポリアミド樹脂などが用いられる。
また、本発明の水系塗料からなる塗膜の表面には、塗膜の耐摩耗性や光沢をさらに高めることを目的として、例えば、米国特許第3,986,997号明細書、米国特許第4,027,073号明細書などに記載されたコロイダルシリカとシロキサン樹脂との安定な分散液のようなシロキサン樹脂系塗料などからなるクリア層を形成することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す反応成分(ただし、アクリル酸及び過硫酸カリウムを除く。表中の数値の単位は、質量部である。)を室温で10分撹拌してエマルジョン化し、その後、80%アクリル酸水溶液を加え、撹拌を続けながら40℃で2時間、加水分解・縮合反応を行った。その後、高圧ホモジナイザー(みずほ工業社製、マイクロフルイダイザーM110Y)を用い、70MPaの圧力でエマルジョンを微細化した。得られたエマルジョンを四つ口セパラブルフラスコに投入して、撹拌しながら窒素置換した後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウムを3.5%水溶液として加え、75℃で4時間重合反応を行った。その後、10%アンモニア水溶液により、反応系のpHを7.0に調整した。次いで、四つ口セパラブルフラスコの1つの口を開放し、他の1つの口から窒素を毎分50リットルの速度で吹き込み、撹拌しながら80℃まで昇温した。その後、4時間アルコールを除去し、水を添加して、(A)成分の複合体を含む水系分散体(固形分濃度38質量%)を得た。得られた水系分散体中、アクリル系ポリマー((b)成分のラジカル重合により得られたポリマー)のTgは25℃、粒子((A)成分の複合体)の平均粒子径は0.1μmであった。なお、アクリル系ポリマーのガラス転移点(Tg)は、(b)成分の重合により得られた水系分散体2gをアルミニウム製皿に入れ、180℃で20分間乾燥して、フィルムを得たのち、このフィルムについて、セイコー電子工業社製DSC(型番:SSC/5200)を用いて測定したものである。
次いで、上記水系分散体100質量部に対して、(B)成分である鱗片状アルミニウム(東洋アルミ社製、品番:WL7640、平均粒子径:20μm、厚さ:0.2μm、平均粒子径/厚さの比:100)を25質量部、添加剤としてアジピン酸ジヒドラジドを1.5質量部、ブチルセロソルブを5質量部添加して均一に混合することにより水系塗料を得た。
得られた水系塗料の各種物性について、下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
[密着性]
得られた水系塗料を、コロナ処理したポリエステルフィルム(厚さ:70μm)基材上に、膜厚5μmになるように塗工して、試験片を形成した。得られた試験片の密着性を、JIS K5400によるテープ剥離試験を3回実施することにより評価した。
テープ剥離試験3回ともに剥離が生じなかった場合を「○」、少なくとも1回の試験において剥離が生じた場合を「×」とした。
[硬度]
上記密着性の評価と同様にして得られた試験片について、JIS K5400に準拠して、鉛筆硬度を測定した。
[耐湿性]
上記密着性の評価と同様にして得られた試験片を、温度50℃、湿度95%の環境下に、1,000時間連続保持した後、取り出して塗膜の状況を目視により観察した。変化が認められなかった場合を「○」、変化が認められた場合を「×」とした。
[耐候性]
上記密着性の評価と同様にして得られた試験片について、JIS K5400に準拠して、サンシャインウェザーメーターによる2,000時間の照射試験を実施し、塗膜の外観(割れ、剥離等)を目視により観察した。変化が認められなかった場合を「○」、割れや剥離が認められた場合を「×」とした。
[遮光性]
得られた水系塗料からなる塗膜の光透過性を測定することにより、遮光性を評価した。具体的には、水系塗料を、厚さ1mmの石英板上に乾燥膜厚が5μmになるように、アプリケータで塗布した後、100℃で10分間乾燥させて、試験片を得た。得られた試験片について、360nm、及び500nmにおける光透過率(%)を、吸光光度計(日立製作所社製、U−3210)により測定した。360nm、500nmのいずれにおける光透過率も5%以下である場合を「○」、少なくとも一方の光透過率が5%を越える場合を「×」とした。
Figure 2009108124
[比較例1]
鱗片状アルミニウム((B)成分)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、水系塗料を得た。結果を表2に示す。
[比較例2]
重合度が1,300のポリビニルアルコール(クラレ社製、エクセバールRS−2713)8質量部を、比抵抗値が17.2MΩ・cmの純粋92質量部に加熱溶解してポリビニルアルコール8%水溶液を得た。得られたポリビニルアルコール8%水溶液100質量部、実施例1と同様の鱗片状アルミニウムを25質量部、添加剤としてアジピン酸ジヒドラジドを1.5質量部、ブチルセロソルブを5質量部添加して均一に混合することにより水系塗料を得た。得られた水系塗料の各種物性について、実施例1と同様の方法により評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
鱗片状アルミニウム((B)成分)を用いなかったこと以外は、比較例2と同様にして、水系塗料を得た。結果を表2に示す。
Figure 2009108124
表2から、本発明の水系塗料によると、密着性、耐湿性、耐候性、遮光性に優れ、かつ硬度の高い塗膜を形成しうることがわかる。一方、(B)成分を配合しなかった比較例1では、遮光性、硬度が劣ることがわかる。また、本発明の(A)複合体を含まない水系分散体を用いると、(B)成分を配合しない場合と配合する場合のいずれであっても、前記の物性の2つ以上が劣ることがわかる(比較例2〜3)。

Claims (2)

  1. (A)(a)オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物及び該オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種と(b)ラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合物を、乳化状態で、加水分解・縮合反応及びラジカル重合して得られる複合体と、(B)平均粒子径が5〜50μm、厚さが0.1〜0.3μm、平均粒子径/厚さの比が50〜200である鱗片状のセラミックス、金属単体、及び合金から選ばれる少なくとも1種とを含むことを特徴とする水系塗料。
  2. (A)成分100質量部に対して、(B)成分の配合量が1〜100質量部である請求項1又は2に記載の水系塗料。
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