JP3961644B2 - 撥水性を有する共重合体水溶液もしくは水分散液、及びその製造方法、及びこれを含む水性塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水性を有する共重合体水溶液もしくは水分散液に関し、詳しくは撥水性及び耐水性に優れた塗膜を形成し得る塗料用樹脂として有用な共重合体水溶液もしくは水分散液及びその製造方法、及びこれを含む水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
ポリジメチルシロキサンに代表されるような低分子量の撥水剤を塗料に混合することにより乾燥塗膜に撥水性を付与する方法は従来からよく知られているが、経時で撥水性が低下するなどの問題点があった。これに対してシリコーン変性アクリル樹脂のように樹脂中に撥水性基を導入する方法をとることによって撥水持続性の高い撥水性塗膜を得ることが可能である。
【0003】
大気汚染防止および塗装時の衛生の面から、また防災上からもこのような撥水性樹脂の水性化が強く求められているが、従来の撥水性樹脂は一般に疎水性が強く、水溶化、水分散が難しい。このような問題点を解決する手段として、例えば特開平2−150475号公報では、オルガノポリシロキサンマクロモノマーとα,β- エチレン性不飽和単量体を乳化重合させることによる水性化の方法が開示されている。しかしながらこの方法では、親水性の高い界面活性剤を使用せざるを得ず、十分な撥水性を示すまでには到らなかった。またカルボキシル基等の親水性官能基導入により撥水性樹脂を自己乳化させる方法もあるが、極端に高い樹脂酸価が必要となり、耐水性の面から好ましい方法とは言えなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、撥水性を付与する単量体及びアルコキシシリル基を有する単量体を必須とすることにより、塗膜に優れた撥水性及び耐水性を付与しうる水性樹脂が得られることを見出し本発明に到達した。
【0005】
即ち本発明は、(a)下記の構造式(I)及び(II)で示される単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体を3〜70重量%、
【0006】
【化9】
【0007】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R2 は同一又は異なってフェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基を、n1 は1〜10の整数を、n2 は5〜200の整数を夫々示す。)
【0008】
【化10】
【0009】
(式中、R3は水素原子又はメチル基を、Xは水素原子又はフッ素原子を、n3は1〜8の整数を、n4は1〜30の整数を夫々示す。)
(b)アルコキシシリル基を有する単量体を1〜40重量%、
(c)カルボキシル基、スルホン酸基及びアミノ基の群から選ばれる1種の官能基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体を1〜25重量%、(e)カルボニル基を有する単量体を1〜30重量%および(d)その他の共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体を0〜95重量%含有する単量体混合物を有機溶剤中でラジカル重合を行って得られる共重合体(A)溶液に水を添加し、その後に中和剤を添加して水溶化、もしくは水分散化して製造された撥水性を有する撥水性を有する共重合体水溶液もしくは水分散液をビヒクル成分として含有し、架橋剤として1分子中に少なくとも2個の−NH−NH 2 含有基を有するヒドラジン誘導体を含有する水性塗料組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において上記の構造式(I)及び(II)で示される単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体(a)は、共重合体に撥水性を付与するものであり、上記構造式(I)で示されるポリシロキサン鎖を有する単量体(a−1)及び上記構造式(II)で示されるフッ素を含有する単量体(a−2)のいずれか1方又は両方を使用できる。
【0011】
上記構造式(I)で示される単量体(a−1)において、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 はフェニル基または炭素数1〜6のアルキル基であるが、必ずしも互いに同じものである必要は無い。n1 は1〜10の整数、n2 は5〜200、好ましくは15〜150の整数である。n2 が5未満では十分な撥水性が得られず、逆に200を越える場合は共重合体の親水性が不足し、水溶性もしくは水分散性不良となるので望ましくない。該単量体(a−1)の具体例として、市販品では、「サイラプレーンFM−0711」、「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーンFM−0725」(いずれもチッソ社製)等が挙げられる。
【0012】
上記構造式(II)で示される単量体(a−2)において、R3 は水素原子またはメチル基であり、Xは水素原子またはフッ素原子である。n3 は1〜8の整数、n4 は1〜30の整数である。n4 が30を越えると、他の単量体との混合性や共重合性が劣り、また親水性が不足するため水溶性もしくは水分散性不良となるので望ましくない。該単量体(a−2)の具体例として、例えば2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(ペンタデカフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ノナデカフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレートなど、市販品では「FAMAC」(日本メクトロン社製)、「ビスコート8FM」、「ビスコート17FM」(いずれも大阪有機化学工業社製)などが挙げられる。
【0013】
本発明においてアルコキシシリル基を有する単量体(b)は、下記構造式(III )で示されるアルコキシシリル基を有するものであり、
【0014】
【化11】
【0015】
(式中、R4 は炭素数1〜10のアルキル基をR5 及びR6 は同一又は異なってフェニル基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシル基を、n5 は1〜4の整数を夫々示す。また、n5 が2以上のとき、R5 同志及びR6 は同志は同じであっても異なっていてもよい。)
その代表例としては下記構造式(IV)及び(V)で示される単量体を挙げることができる。
【0016】
【化12】
【0017】
(式中、Aは、
【0018】
【化13】
【0019】
を示す。R7 は水素原子又はメチル基を、R8 は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を夫々示す。R4 、R5 、R6 及びn5 は、夫々前記と同じ意味を有する。)
【0020】
【化14】
【0021】
(式中、R9 は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を、n6 は0又は1を示す。R4 、R5 、R6 及びn5 は、夫々前記と同じ意味を有する。)
上記構造式(IV)及び(V)において、R8 及びR9 によって示される炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基としては、直鎖又は分枝状のアルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、1,2−,1,3−又は2,3−ブチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基などを挙げられる。R5 及びR6 で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖又は分枝状のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−,i−,sec−又はtert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチルなどが挙げられる。R4 で示される炭素数1〜10のアルキル基としては、R5 及びR6 で示される炭素数1〜6のアルキル基として例示したものの他に、さらにn−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。R5 及びR6 で示される炭素数1〜10のアルコキシル基としては、直鎖又は分枝状のアルコキシル基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−,i−,sec−又はtert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、n−オクチルオキシなどが挙げられる。
【0022】
上記構造式(IV)の単量体のうちAが
【0023】
【化15】
【0024】
であるものとしては、例えばβ−(メタ)アクリロイルオキシエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどが好適に例示できる。
【0025】
また上記構造式(IV)の単量体のうちAが
【0026】
【化16】
【0027】
であるものとしては、例えば
【0028】
【化17】
【0029】
などが挙げられる。
【0030】
上記構造式(V)の単量体としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0031】
本発明においてカルボキシル基、スルホン酸基及びアミノ基の群から選ばれる1種の官能基を有するα,β- エチレン性不飽和単量体(c)は、共重合体の水溶性もしくは水分散性を向上させるものであり、カルボキシル基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシルプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシルペンチル(メタ)アクリレート、水酸基を有する不飽和単量体と無水2官能カルボン酸(例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等)との等モル付加物などが挙げられ、スルホン酸基を有する単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロキシエチルスルホン酸などが挙げられる。またアミノ基を有する単量体としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t- ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0032】
本発明においてその他の共重合可能なα,β- エチレン性不飽和単量体(d)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル、などの(メタ)アクリル酸エステル類;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニルなどのビニルエステル類;酢酸イソプロペニルなどのプロペニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α- メチルスチレン、ビニルトルエン、α- クロルスチレンなどが挙げられ、これらは1種あるいは2種以上を目的に応じて適宜選択して用いることができる。
【0033】
上記単量体類の共重合割合は、単量体(a)を3〜70重量%、好ましくは5〜40重量%、単量体(b)を1〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、単量体(c)を1〜25重量%、好ましくは5〜15重量%、及び単量体(d)を0〜95重量%、好ましくは20〜70重量%である。単量体(a)が3重量%未満では、十分な撥水性が得られず、逆に70重量%を越えると共重合体の水溶化もしくは水分散化が困難になるので好ましくない。単量体(b)が1重量%未満では、共重合体水溶(水分散)液の水溶性もしくは水分散性が不良となり、逆に40重量%を越えると共重合体の重合工程や水溶化・水分散化工程でアルコキシシリル基の加水分解や自己縮合反応が生じゲル化しやすくなるので好ましくない。単量体(c)が1重量%未満では、共重合体の水溶化もしくは水分散化が困難になり、逆に25重量%を越えると十分な撥水性が得られず、さらに耐水性も著しく低下するので好ましくない。
【0034】
本発明の共重合体水溶液もしくは水分散液は、上記単量体(a)〜(d)の混合物を用いて、▲1▼溶液重合後に中和剤を用いて水溶化もしくは水分散化する方法、▲2▼界面活性剤を使用する乳化重合法などの方法により製造することができる。特に本発明では、得られる塗膜の撥水性、耐水性の点からは、▲1▼の方法、即ち上述の単量体混合物を有機溶剤中で重合開始剤存在下でラジカル重合を行なって共重合体(A)溶液を得た後、これに水及び中和剤を添加して水溶化もしくは水分散する共重合体水溶液もしくは水分散液の製造方法を提供するものである。
【0035】
本発明の製造方法によれば撥水性や耐水性に悪影響をおよぼす界面活性剤を用いることなく本発明の共重合体水溶液あるいは水分散液を製造することができる。
【0036】
本発明方法において、ラジカル重合時に使用する有機溶剤としては、アルコ−ル系、セロソルブ系、カルビト−ル系、セロソルブアセテ−ト系などが使用でき、特に有機溶剤中に炭素数1〜8のアルコールを10重量%以上、好ましくは30重量%以上含有することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、あるいはラウリルパーオキサイド、t−ブチルパー2−エチルヘキサネート、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系の開始剤が使用できる。該ラジカル重合開始剤濃度は、単量体100重量部に対して0.3〜10重量部が好ましい。
【0037】
本発明方法において、水溶化もしくは水分散に際して使用される中和剤としては、単量体(c)がカルボキシル基、スルホン酸基を有する場合には、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどのアミンや、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用でき、単量体(c)がアミノ基を有する場合には、例えば塩酸、硫酸、リン酸、等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリメチル酢酸、(メタ)アクリル酸、乳酸等の有機酸が使用できる。
【0038】
上記ラジカル重合によって得られた共重合体(A)を水溶化もしくは水分散する場合、例えば共重合体(A)溶液を撹拌しながら中和剤を添加して中和を行った後、水を添加するか、中和した共重合体(A)を水中に徐々に添加することで相転換することも可能であるが、この場合アルコキシシリル基の加水分解及び縮合反応が急速に進行し、増粘、ゲル化するおそれがあるので、それを防止するために中和及び水添加をできるだけ短時間で行うことが望ましい。具体的には、中和剤添加から水による相転換までの時間は、反応容器、撹拌条件、雰囲気温度によって異なるが、一般には24時間以内、好ましくは10時間以内とするのが好都合である。上記共重合体(A)溶液を、増粘やゲル化させずに水溶化もしくは水分散させる最も好ましい方法は、共重合体(A)溶液に水を添加し、その後に中和剤を添加する方法である。この方法によればアルコキシシリル基の加水分解触媒としても作用し架橋を促進する中和剤が水分散後に配合されるので、シラノール基が安定に存在しうることから増粘、ゲル化を防止できる。
【0039】
また本発明方法においては、共重合体(A)溶液に、撥水性基を含まない水溶化もしくは水分散化可能な樹脂(B)溶液を混合してから、該混合物に水および中和剤を添加して水溶化もしくは水分散化して製造することができる。
【0040】
該樹脂(B)としては、共重合体(A)と十分混合するものであれば特に制限はなく、例えば水溶性/水分散性を付与する単量体及びその他の単量体を共重合することにより得られる共重合体、具体的には前記単量体(c)及び単量体(b)、(d)に列記の中から適宜選択して共重合することにより得られる共重合体を使用することができる。共重合反応は共重合体(A)と同様にして行うことができる。
【0041】
上記樹脂(B)を用いる場合、樹脂(B)の使用割合は、共重合体(A)との合計樹脂固形分中に95重量%以下、好ましくは80重量%以下となるようにするのが望ましい。該樹脂(B)の使用割合が95重量%を越えると十分な撥水性を得られない場合があるので望ましくない。
【0042】
さらに本発明方法において、上記共重合体(A)の水溶化もしくは水分散化に際して特に塗膜形成初期の撥水性を向上させる目的で、共重合体(A)溶液もしくは共重合体(A)及び樹脂(B)の混合溶液に撥水性基を有する界面活性剤を添加してから水溶化もしくは水分散化することができる。
【0043】
該界面活性剤としては、例えば下記構造式(VI)または(VII )で示される撥水性基を有するものが使用できる。
【0044】
【化18】
【0045】
(式中、R10はフェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基を、n7 は5〜200の整数を夫々示す。)
【0046】
【化19】
【0047】
(式中、Yは水素原子又はフッ素原子を、n8 は1〜30の整数を夫々示す。)下記構造式(VI)で示される界面活性剤としては、具体的には、例えばポリエ−テル変性シリコ−ンオイル、アルキル変性シリコ−ンオイルなどが挙げられる。下記構造式(VII )で示される界面活性剤としては、具体的には、例えばパ−フルオロアルキルカルボン酸塩、パ−フルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。該界面活性剤の添加量は、樹脂固形分に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下であることが望ましい。該添加量が10重量%を越えると得られる塗膜の撥水性及び耐水性が低下するので望ましくない。
【0048】
一方本発明では、前記▲2▼の製造方法、即ち水を媒体として、これに乳化剤を用いて前記単量体(a)〜(d)の混合物を分散乳化させ、水溶性の重合開始剤を加えて50〜90℃で加熱することによって行われる乳化重合法をも提供するものである。レドックス開始剤を用いると室温で行なうことも可能である。乳化剤としては、例えば高級アルコ−ルの硫酸塩、アルキルスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤や、ポリオキシエチレンの各種アルキルエ−テル、アルキルエステル、アルキルアリルエ−テルなどの非イオン界面活性剤、及び重合性不飽和基を有する反応性界面活性剤などが使用される。重合開始剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、クメンヒドロパ−オキシド、あるいは水溶性レドックス開始剤などが用いられる。
【0049】
次いで本発明では、上記の通り製造される共重合体水溶液もしくは水分散液をビヒクル成分として含む水性塗料組成物を提供するものである。
【0050】
上記共重合体水溶液もしくは水分散液の製造に用いられる単量体(a)〜(d)の混合物には、さらに耐水性などの点からカルボニル基を有する単量体(e)を、必要に応じて1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%含有することができる。
【0051】
カルボニル基を有する単量体(e)としては、例えばアクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロ−ル、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられる。このうち特にダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミドが好適である。
【0052】
本発明の水性塗料組成物は、上記カルボニル基が共重合体に導入された場合には、架橋剤として、1分子中に少なくとも2個の−NH−NH2 含有基を有するヒドラジン誘導体を含有することができる。ここで−NH−NH2 含有基には、ヒドラジド基、セミカルバジド基が含まれる。
【0053】
該ヒドラジン誘導体としては、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸ジヒドラジド、ならびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラ−ド)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52−22878号参照);炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネ−トやイソホロンジイソシアネ−ト等のジイソシアネ−ト及びそれより誘導されるポリイソシアネ−ト化合物にヒドラジン化合物や上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネ−ト化合物とポリエ−テルポリオ−ル類やポリエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネ−ト基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド、或いは該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物(特開平8−151358号、特開平8−245878号参照)等が挙げられる。
【0054】
該ヒドラジン誘導体は、前記共重合体水溶液もしくは水分散液中に含まれるカルボニル基の1モルに対してヒドラジン誘導体中の−NH−NH2 基が0.01〜2モル、好ましくは0.05〜1.5モルとなるように配合される。
【0055】
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて、顔料、充填剤、骨材、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、防錆剤、硬化触媒などの塗料用添加剤を適宜選択し組合わせて配合することができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0057】
共重合体水分散液の製造
実施例1
フラスコ中にイソプロピルアルコール79重量部を仕込み、還流温度(約84℃)まで撹拌を行いながら昇温した。次いで温度を還流温度に保ちながら下記単量体混合物を4時間滴下した。
【0058】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 58部
アクリル酸 7部
KBM−502 (注1) 15部
サイラプレーンFM−0711 (注2) 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
その後還流温度に保ちながら2時間熟成した後室温まで冷却し、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液を得た。続いて得られた共重合体溶液を希釈槽に移し、脱イオン水820部、続いてトリエチルアミン9.8部を加えて50℃に昇温したのち、温度を50℃に保ちながら2時間撹拌を行ってから冷却し、不揮発分10%のほぼ無色の半透明な水分散液を得た。
【0059】
(注1)KBM−502:信越化学工業社製、アルコキシシリル基含有単量体、(注2)サイラプレーンFM−0711:チッソ社製、ポリジメチルシロキサン基含有単量体、分子量1,000
実施例2
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、不揮発分10%のうすい乳白色の水分散液を得た。
【0060】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 28部
アクリル酸 7部
ビニルトリメトキシシラン 15部
サイラプレーンFM−0711 40部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
実施例3
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、不揮発分10%のうすい乳白色の水分散液を得た。
【0061】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 58部
アクリル酸 7部
KBM−503 (注3) 15部
サイラプレーンFM−0725 (注4) 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
(注3)KBM−503:信越化学工業社製、アルコキシシリル基含有単量体、(注4)サイラプレーンFM−0725:チッソ社製、ポリジメチルシロキサン基含有単量体、分子量10,000
実施例4
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、不揮発分10%のうすい乳白色の水分散液を得た。
【0062】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 62部
アクリル酸 7部
KBM−502 10部
FAMAC (注5) 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
(注5)FAMAC:日本メクトロン社製、パ−フルオロアルキルメタクリレ−ト、フッ素濃度60.7重量%
実施例5
実施例1と同様の単量体混合物を用いて同様の操作でフラスコ中で重合反応を行い、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液を得た。続いて得られた樹脂溶液を希釈槽に移し、「KF−355」(信越化学工業社製、シリコ−ン系界面活性剤)0.4部を添加して10分間撹拌した。その後脱イオン水820部、続いてトリエチルアミン9.8部を加えて50℃に昇温したのち温度を50℃に保ちながら2時間撹拌を行ってから冷却し、不揮発分10%のほぼ無色の半透明な水分散液を得た。
【0063】
実施例6
実施例1と同様の単量体混合物を用いて同様の操作でフラスコ中で重合反応を行い、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液を得た。続いて得られた樹脂溶液を希釈槽に移し、「フロラ−ドFC−93」(住友スリ−エム社製、フッ素系界面活性剤)0.15部を添加して10分間撹拌した。その後脱イオン水820部、続いてトリエチルアミン9.8部を加えて50℃に昇温したのち温度を50℃に保ちながら2時間撹拌を行ってから冷却し、不揮発分10%のほぼ無色の半透明な水分散液を得た。
【0064】
実施例7
フラスコ中にイソプロピルアルコール79重量部を仕込み、還流温度(約84℃)まで撹拌を行いながら昇温した。次いで温度を還流温度に保ちながら下記単量体混合物を4時間滴下した。
【0065】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 30部
メタクリル酸メチル 10部
アクリル酸 5部
KBM−502 10部
サイラプレ−ンFM−0711 35部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
その後還流温度に保ちながら2時間熟成した後室温まで冷却し、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液(A)を得た。別フラスコにおいて、滴下する単量体混合物として下記混合物を用いた以外は共重合体溶液(A)と同様にして重合反応を行い、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液(B)を得た。
【0066】
スチレン 5部
メタクリル酸n−ブチル 26部
メタクリル酸メチル 37部
アクリル酸2-ヒドロキシエチル 7部
アクリル酸 10部
KBM−502 15部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
上記にように得られた共重合体溶液(A)18部、及び共重合体溶液(B)162部を希釈槽に夫々仕込み、15分間撹拌してから、脱イオン水816.5部、続いてトリエチルアミン13.3部を加えて50℃に昇温したのち温度を50℃に保ちながら2時間撹拌を行ってから冷却し、不揮発分10%の乳白色の水分散液を得た。
【0067】
実施例8
実施例1と同様の単量体混合物を用いて同様の操作でフラスコ中で重合反応を行い、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液(C)を得た。
【0068】
別フラスコにおいて、滴下する単量体混合物として下記混合物を用いた以外は共重合体溶液(C)と同様にして重合反応を行い、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液(D)を得た。
【0069】
メタクリル酸n−ブチル 22部
メタクリル酸メチル 48部
アクリル酸 30部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
上記にように得られた共重合体溶液(C)108部、及び共重合体溶液(D)72部を希釈槽に夫々仕込み、15分間撹拌してから、脱イオン水807.1部、続いてトリエチルアミン22.7部を加えて50℃に昇温したのち温度を50℃に保ちながら2時間撹拌を行ってから冷却し、不揮発分10%のほぼ無色透明な水分散液を得た。
【0070】
実施例9
フラスコ中にドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.15部と脱イオン水95部を仕込み、85℃に昇温した。続いて下記の単量体混合物を水80部にホモミキサーを用いて分散してから過硫酸アンモニウム1.0部を添加した。その水分散液を5時間かけてフラスコ中に滴下し、さらに2時間熟成させて不揮発分39%の乳白色のエマルションを得た。得られたエマルションは脱イオン水で不揮発分10%に希釈して性能試験に用いた。
【0071】
メタクリル酸n−ブチル 25.5部
アクリル酸n−ブチル 50.5部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 3 部
アクリル酸 1 部
サイラプレーンFM−0711 10 部
KBM−503 10 部
ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム 8.7部
比較例1
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、水分散液を得ようと試みたが、粗大粒子の生成、沈降が起こり、良好な状態の水分散液は得られなかった。
【0072】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 73部
アクリル酸 7部
サイラプレーンFM−0725 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
比較例2
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、水分散液を得ようと試みたが、粗大粒子の生成、沈降が起こり、良好な状態の水分散液は得られなかった。
【0073】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 73部
アクリル酸 7部
FAMAC 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
比較例3
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様の操作でフラスコ中で重合反応を行い、不揮発分56%のほぼ無色透明の粘稠な共重合体溶液を得た。
【0074】
メタクリル酸n−ブチル 22部
メタクリル酸メチル 38部
アクリル酸 30部
サイラプレーンFM−0711 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
続いて得られた樹脂溶液を希釈槽に移し、脱イオン水787.8部、トリエチルアミン42部を加えて50℃に昇温したのち温度を50℃に保ちながら2時間撹拌を行ってから冷却し、不揮発分10%のほぼ無色透明な水溶液を得た。
【0075】
比較例4
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、不揮発分10%のほぼ無色の半透明な水分散液を得た。
【0076】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 48部
メタクリル酸メチル 20部
アクリル酸 7部
KBM−502 15部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
比較例5
フラスコ中にエチレングリコールモノブチルエーテル70重量部を仕込み、95℃まで撹拌を行いながら昇温した。次いで温度を95℃に保ちながら下記単量体混合物を4時間滴下した。
【0077】
メタクリル酸メチル 42.5部
メタクリル酸n−ブチル 12.5部
アクリル酸 15 部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 30 部
アゾビスイソブチロニトリル 0.7部
その後温度を95℃に保ちながら2時間熟成した後室温まで冷却し、中和剤としてトリエチルアミン21部を加えた後、エチレングリコールモノブチルエーテル45部で希釈して不揮発分43%のほぼ無色透明の粘稠な樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を脱イオン水で不揮発分10%に希釈して性能試験に用いた。
【0078】
比較例6
フラスコ中にドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.15部と脱イオン水95部を仕込み、85℃に昇温した。続いて下記の単量体混合物を水80部にホモミキサーを用いて分散してから過硫酸アンモニウム1.0部を添加した。その水分散液を5時間かけてフラスコ中に滴下し、さらに2時間熟成させて不揮発分39%の乳白色のエマルションを得た。得られたエマルションは脱イオン水で不揮発分10%に希釈して性能試験に用いた。
【0079】
メタクリル酸n−ブチル 25.5部
アクリル酸n−ブチル 50.5部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 3 部
アクリル酸 1 部
サイラプレーンFM−0711 20 部
ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム 8.7部
性能試験
上記の通り得られた実施例1〜9および比較例3〜6の水分散液もしくは水溶液は、いずれも良好な水分散性を示しており、これらをガラス板に50μmアプリケーターで夫々塗装し、100℃で2時間乾燥させた後、下記の性能試験に供した。結果を表1に示す。
【0080】
(*1)塗膜外観:目視で評価し、良好なものを○、ツヤびけが認められるものを×とした。
【0081】
(*2)撥水性:各塗装板上に0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学社製コンタクタングルメ−タ−DCCA型にて測定した。接触角の数値が大きい程撥水性良好であることを示す。
【0082】
(*3)耐水性:各塗装板を20℃の上水に6時間没水した後、塗面に異常のないものを○、白化やフクレが認められるものを×とした。
【0083】
【表1】
【0084】
水性塗料の作成
実施例10
実施例1において、滴下する単量体混合物として下記の単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様にして行い、不揮発分10%のほぼ無色の半透明な水分散液を得た。
【0085】
スチレン 10部
メタクリル酸n−ブチル 48部
ダイアセトンアクリルアミド 10部
アクリル酸 7部
KBM−502 15部
サイラプレ−ンFM−0711 10部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
得られた水分散液に、アジピン酸ジヒドラジド5.2部を加えて混合してクリヤ−塗料を得た。これをガラス板に50μmアプリケーターで塗装し、100℃で2時間乾燥させた後、上記と同様の性能試験に供したところ、塗膜外観及び耐水性はいずれも○であり、水接触角は93°であった。
【0086】
【作用及び発明の効果】
本発明の共重合体水溶液もしくは水分散液では、単量体(a)により導入された撥水性基による水溶化、水分散の難しさを、単量体(b)を共重合成分とすることで共重合体中に導入されたアルコキシシリル基が水の存在下で加水分解してシラノール基となり、このシラノール基が水溶性もしくは水分散性を著しく向上させるために克服でき、しかも水溶性/水分散性を付与する官能基を有する単量体(c)の共重合量を少なくすることが可能となり撥水性を向上させることができる。また該共重合体水溶液もしくは水分散液による塗膜の乾燥過程においては、シラノール基同士の自己縮合反応により強固な架橋構造を形成するため、良好な耐水性を示す塗膜が得られる。
【0087】
従って本発明の共重合体水溶液もしくは水分散液をビヒクル成分として用いた水性塗料組成物は、撥水性及び耐水性に優れた塗膜を形成することができる。
Claims (2)
- (a)下記の構造式(I)及び(II)で示される単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体を3〜70重量%、
(b)アルコキシシリル基を有する単量体を1〜40重量%、
(c)カルボキシル基、スルホン酸基及びアミノ基の群から選ばれる1種の官能基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体を1〜25重量%、(e)カルボニル基を有する単量体を1〜30重量%および(d)その他の共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体を0〜95重量%含有する単量体混合物を有機溶剤中でラジカル重合を行って得られる共重合体(A)溶液に水を添加し、その後に中和剤を添加して水溶化、もしくは水分散化して製造された撥水性を有する共重合体水溶液もしくは水分散液をビヒクル成分として含有し、架橋剤として1分子中に少なくとも2個の−NH−NH 2 含有基を有するヒドラジン誘導体を含有する水性塗料組成物。 - 有機溶剤が炭素数1〜8のアルコールを10重量%以上含有する請求項1記載の水性塗料組成物。
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