JP3307497B2 - 耐候性塗料組成物 - Google Patents

耐候性塗料組成物

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JP3307497B2 JP33853493A JP33853493A JP3307497B2 JP 3307497 B2 JP3307497 B2 JP 3307497B2 JP 33853493 A JP33853493 A JP 33853493A JP 33853493 A JP33853493 A JP 33853493A JP 3307497 B2 JP3307497 B2 JP 3307497B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は撥水性、耐汚染性、耐酸
性の改良された耐候性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗料組成物については省エネルギー、塗
装工程の合理化などから室温硬化性で高耐候性である塗
料が求められている。更に近年大気汚染によって塗膜が
汚れ易く、酸性雨による塗膜の劣化が指摘され、耐酸性
や耐汚染性の塗料も切望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に耐候性に優れた
塗料としてアクリル系樹脂が使用され、自動車、建築外
装、橋梁等広範囲にわたって塗布されている。これらの
アクリル系塗料は、イソシアネート化合物やメラミン樹
脂で架橋させて耐久性をもたせているが、イソシアネー
トは皮膚に対する刺激性等の理由により使用が控えられ
つつあり、また、メラミンは酸性雨によりトリアジンが
解裂して光沢低下を来すため好ましくない。環境問題、
大気汚染、安全性面から水系アクリル塗料も広く使用さ
れているが、塗膜の硬度が低いことや汚れがつき易く、
汚染除去性にも乏しく、長期の耐候性は期待できない。
上記の問題を解決するためにγ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシランと他のラジカル重合性モノマーと
の共重合物を使用する方法が提案されている(特開昭57
-36109号、同 58-155666号公報参照)が、これはシロキ
サン結合が少ないため撥水性や耐酸性雨性等に十分満足
できるものではないし、長期の紫外線曝露により、光沢
低下も大きいという不利があった。長期の紫外線曝露に
対して光沢低下の少ない、含フッ素系共重合体が提案
(特開昭57-34107号公報参照)されているが、これの架
橋剤としてイソシアネート化合物やメラミン樹脂を利用
することから前記の問題は完全に解決されていないのみ
ならず、他のアクリル系塗料に比べ塗膜硬度が低く汚れ
易いことも指摘されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の様な不利
を解決した耐候性塗料組成物に関するものであり、これ
(イ)加水分解性シリル基を重合単位中に1〜30モル
%含有するアクリル系樹脂脂固型分100重量部、(ロ)
下記一般式(1)の構造を有するオルガノポリシロキサ
ン化合物と該オルガノポリシロキサンと共重合性の他の
ラジカル重合性モノマー(但し、加水分解性シリル基を
含有する重合性モノマーを除く)とをラジカル重合して
なる共重合体固型分20〜200重量部を配合したものを主
要樹脂成分とすることを特徴とするものである。
【化3】 (R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断され
てもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1
〜6の1価炭化水素基、mは1、2又は3で、nは3〜
200の整数である。)
【0005】すなわち、本発明者らは耐候性、撥水性、
耐汚染性に優れた塗料組成物の取得について種々検討し
た結果、アクリル系樹脂、特に加水分解性シリル基を1
分子中に2ヶ以上含有する湿気硬化型アクリル系樹脂あ
るいは水系のアクリル樹脂エマルジョンに、一般式
(1)で示される長鎖ジメチルポリシロキサン化合物を
他のラジカル重合性モノマーと共重合してなる共重合体
を配合したものを主要樹脂成分とする塗料組成物を、基
体に塗布、硬化することにより本発明の目的が達成され
ることを見出し、また、この硬化塗膜は、すぐれた耐候
性を有し、長鎖ジメチルポリシロキサンを表層に含有し
ているので、耐紫外線性で光沢保持性も高く、耐汚染
性、汚染除去性、撥水性、防水性、着氷防止性、耐酸性
も与えられることを見出した。さらに、特に高い耐候
性、撥水持続性を有し、屋外用塗料としても最適とされ
るので、建築用、自動車用、鉄道車両用、航空機、船舶
用、橋梁用、プラント用、更には電気製品用として有用
であることを確認し、このシロキサン含有共重合体の種
類、配合比、反応条件などについて研究をすすめ本発明
を完成させた。
【0006】本発明の耐候性塗料組成物を構成する基本
樹脂であるアクリル系樹脂としてはアクリレート及び/
又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマ
ーの単重合体あるいは共重合体が用いられ、溶液重
合、固相重合、乳化重合等の方法により高分子化された
ものであれば特に限定されない。しかし特に1分子中に
加水分解性シリル基を2ヶ以上含有する湿気硬化型のア
クリル系樹脂が好適である。1分子中の加水分解性シリ
ル基の上限は特に限定はされないが、分子鎖末端及び/
又は分子側鎖においてジメトキシシリル基、トリメトキ
シシリル基等の加水分解性シリル基を重合単位中の1〜
30モル%程度が含有しているアクリル系樹脂が好まし
い。すなわち、一般式(2)又は(3)で表されるラジ
カル重合性基を有するアルコキシシラン化合物を共重合
成分とするものである。
【0007】
【化4】 (Xはラジカル重合性基、R2は酸素原子により中断され
ても良い炭素数1〜12の2価炭化水素基、R5、R6は各々
炭素数1〜6の1価炭化水素基、kは1〜3の整数を表
わす。)
【0008】Xの具体例としては、CH2=CHCOO-, CH2=C
(CH3)COO-, CH2=CHOOC-, CH2=CHO-,CH2=CH-,
【化5】 等が挙げられる。R2の具体例としては、-CH2-, -(CH2)3
-, -(CH2)4-, -CH2CH2O(CH2)3-, -(CH2CH2O)2(CH2)3-
等、R5、R6の具体例としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
フェニル基等があげられる。
【0009】ラジカル重合性基を有するアルコキシシラ
ン化合物の具体例としては下記のものが挙げられる。 CH2=CHCOOC3H6Si(OCH3)3, CH2=C(CH3)COOC3H6Si(OCH3)3, CH2=C(CH3)COOC3H6Si(CH3)(OCH3)2, CH2=C(CH3)COOC3H6Si(CH3)2OCH3, CH2=C(CH3)COOC2H4OC3H6Si(OCH3)3, CH2=C(CH3)COOC12H24Si(OCH3)3, CH2=CHOC3H6Si(CH3)(OC2H5)2, CH2=CHSi(OCH3)3, CH2=CHSi(OC2H5)3,CH2=CHS i(C4H9)(OC4H9)2,
【化6】
【0010】前記アルコキシシランが共重合されるアク
リレート及び/又はメタクリレートとしてはメチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト等が例示される。これらは以下に示すモノマーとも併
用して共重合することができる。併用できるモノマーと
しては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリル酸、ビニルピロリドン、ビ
ニルピリジン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチ
レン、無水マレイン酸等が例示されれる。なお、(メ
タ)アクリルはアクリルとメタクリルの総称である。
【0011】次に、アクリル系樹脂に配合される、耐候
性、撥水性、耐汚染性等を付与する、オルガノポリシロ
キサン化合物と該オルガノポリシロキサンと共重合性の
他のラジカル重合性モノマーとをラジカル重合してなる
共重合体は、1分子中に1個のラジカル重合性基を有す
るオルガノポリシロキサン化合物を他のラジカル重合性
モノマーとラジカル共重合してなるものであり、実際的
にはアクリル系シリコーングラフト共重合体である。1
分子中に1個のラジカル重合性基を有するオルガノポリ
シロキサン化合物としては下記一般式(1)の構造を有
するラジカル重合性シリコーンマクロマーが用いられ
る。以下、一般式(1)で示される化合物を単にシリコ
ーンマクロマーと呼ぶ。
【化7】 (R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断され
てもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1
〜6の1価炭化水素基、mは1、2または3の整数であ
る。nは3〜 200の整数を表わす。)
【0012】R2の具体例としては-CH2-,-[CH2CH(CH3)]
-,-(CH2)3-,-CH2CH(CH3)CH2-,-(CH2)6-, -(CH2)12-, -
(CH2)2-O-(CH2)3-, -(CH2)2-O-(CH2)2-O-(CH2)3- 等が
例示され、R3、R4の具体例としては、-CH3,-CH2CH3,-CH
2CH2CH3,-CH2CH2CH2CH3等が例示される。nは3〜200
、好ましくは6〜100 の整数を表わす。nが3未満で
あると十分な撥水性が得られず、 200を超えると、得ら
れる共重合体を用いた塗料の皮膜形成性が悪くなり、撥
水性の耐久性が悪くなる。
【0013】このシリコーンマクロマーは、下記式
(4)で表される(メタ)アクリレート置換クロロシラ
ン化合物と下記式(5)で表わされる末端水酸基含有ジ
メチルポリシロキサン化合物とを、常法に従って脱塩酸
反応させるか、前記(4)で表される化合物と、下記式
(6)で表される、末端にLiを含有するジメチルポリシ
ロキサン化合物とを、常法に従って脱塩化リチウム反応
させることにより得ることができる。また、側鎖にSi-H
結合を1ヶ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンにアリル(メタ)アクリレートを付加反応(Pt触媒存
在下)することによって得ることもできる。
【0014】
【化8】
【0015】前記一般式(1)で表されるシリコーンマ
クロマーの具体例としては、下記のものが挙げられる。
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】このシリコーンマクロマーと共重合させる
他のラジカル重合性モノマー(但し、加水分解性シリル
基を含有する重合性モノマーを除く)はアクリレート及
び/又はメタクリレートを主体とすることが好ましい。
アクリレート、メタクリレートの具体例としては、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリ
レート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート類;トリフロロプロピ
ル(メタ)アクリレート、パーフロロブチルエチル(メ
タ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)
アクリレート等のフッ素置換アルキル(メタ)アクリレ
ート類;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4エポ
キシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエ
ポキシ基含有(メタ)アクリレート類などが挙げられ
る。
【0018】本発明において、アクリレート及び/又は
メタクリレートを主体とするということは、前記のシリ
コーンマクロマーと共重合するラジカル重合性モノマー
中の、上記アクリレート及び/又はメタクリレートの合
計量が、ラジカル重合性モノマー全体の50重量%以上を
占めることを意味する。これは、アクリレート及び/又
はメタクリレートが50重量%未満であると皮膜形成性が
不十分となり、撥水性の耐久性が悪くなるからである。
【0019】シリコーンマクロマーと共重合されるラジ
カル重合性モノマーのアクリレート及び/又はメタクリ
レート以外の化合物としては、(メタ)アクリル酸;ア
クリルアミド;スチレン、スチレン誘導体;フマル酸、
マレイン酸、これらの誘導体;アクリロニトリル;ビニ
ルピロリドン;酢酸ビニル;ビニルアルキルエーテル
類;分子中に1個のラジカル重合性基を有するポリオキ
シアルキレン及びポリカプロラクトン等のラジカル重合
性マクロマー類などが例示される。
【0020】シリコーンマクロマーと、アクリレート及
び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モ
ノマーとの共重合比率は、順に重量比で5〜80/20〜95
とするとよく、好ましくは10〜50/30〜85である。シリ
コーンマクロマーが5未満では十分な撥水性が得られ
ず、80を超えると皮膜形成性が悪くなり撥水性の耐久性
が悪くなる。アクリレート及び/又はメタクリレートを
主体とするラジカル重合性モノマーが20未満では皮膜形
成性が悪くなり撥水性の耐久性が悪くなり、95を超える
と十分な撥水性が得られない。
【0021】アクリル系樹脂固型分 100重量部に対す
る、シリコーンマクロマーとこのシリコーンマクロマー
と共重合性の他のラジカル重合性モノマーとをラジカル
共重合してなる共重合体固型分の配合量は20〜 200重量
部であり、特に20〜 100重量部が好ましい。後者の配合
量が20重量部未満の時は撥水性や耐候性が乏しく、 200
重量部を超えると塗膜硬度が低くなり経済的にも不利で
ある。
【0022】共重合は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の
有機過酸化物類;2,2’−アゾビス(2−メチルブチ
ロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
等のアゾ系化合物などの通常のラジカル重合開始剤の存
在下に行なわれ、溶液重合法、塊状重合法の何れの方法
を適用することも可能である。この場合、分子量調整剤
としてブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、四塩化炭
素、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を使
用してもよい。特に溶液重合法が、シリコーンマクロマ
ーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体の分子量
を最適範囲に調整することが容易であるため好ましいも
のである。
【0023】この場合に用いられる溶媒としてはベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチ
ル等のエステル類;エタノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類などの
1種、又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】重合温度は50〜 180℃、特に60〜 120℃の
範囲内で行なうのが好ましく、この温度条件下であれば
5〜10時間程度で重合反応を完結させることができる。
【0025】このようにして製造される、シリコーンマ
クロマーとこのシリコーンマクロマーと共重合性の他の
ラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合してなる共
重合体の、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分
子量は 5,000〜500,000 、特に10,000〜100,000 の範囲
にあることが好ましい。重量平均分子量が 5,000未満で
は皮膜形成性が不十分となるため撥水性の耐久性に劣る
ものとなり、 500,000を超えるとアクリル系樹脂との相
溶性が悪くなる。
【0026】また、シリコーンマクロマーとこのシリコ
ーンマクロマーと共重合性の他のラジカル重合性モノマ
ーとをラジカル共重合してなる共重合体は、水系アクリ
ルエマルジョン塗料にも配合することができ、その際の
上記共重合体は、シリコーンマクロマーと他の共重合性
モノマーを水性媒体中で懸濁重合するか、あるいは界面
活性剤存在下で水性媒体中に乳化分散後ラジカル開始剤
で共重合することによって得るのが有利である。このよ
うにすると共重合後に水に分散した状態のままで使用す
ることができる。得られた共重合体エマルジョンの配合
量は水系アクリルエマルジョン塗料の樹脂固型分 100重
量部に対し、固型分で20〜 200重量部で使用される。
【0027】シリコーンマクロマーと他の共重合性モノ
マーとの共重合体エマルジョンは、前述の重合性モノマ
ー及びシリコーンマクロマーの混合物 100重量部に対
し、界面活性剤 0.1〜10重量部を添加し、水性媒体中で
乳化分散液を調製し、続いて、水溶性ラジカル重合開始
剤を用いて乳化重合することにより得られる。上記乳化
分散液を調製するための界面活性剤は公知のものが使用
され、ドテシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアル
キルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルス
ルホン酸モノエステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリ
ウム等が例示される。また乳化重合に使用する水溶性ラ
ジカル重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸ナト
リウム、過硫酸アンモニウム等の無機系過酸化物、t−
ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、
t−ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物、
2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プ
ロパン]塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−2−
ヒドロキシエチルアミジノ)プロパン]塩酸塩、2,
2’−アゾビス(2−メチル−N−ヒドロキシエチル)
プロピオンアミド等のアゾビス系などが例示される。更
に、他の重合性モノマーの一部としてアクリル酸又はメ
タクリル酸を含有させ、トリエタノールアミン等の三級
アミンで中和して乳化分散液を調製し、続いて水溶性ラ
ジカル重合開始剤で乳化重合することにより共重合体エ
マルジョンを得ることもできる。
【0028】また、本発明の組成物は必要に応じて、着
色剤、安定剤、油脂類、ワックス類、充填剤などを添加
することができる。更に、本発明の組成物には、その安
定性を損なわない範囲においてアルコキシシリル基又は
シラノールの硬化触媒、例えば有機金属塩、金属アルコ
キシド、金属キレート、有機アミン、第4級アンモニウ
ム塩などを添加してもよく、これらの添加により、被処
理物の細孔中におけるこの組成物の加水分解、縮重合及
び無機表面との反応が促進されるという効果が得られ
る。
【0029】本発明の耐候性塗料組成物は、セメントコ
ンクリート、モルタル、ブロック、スレート、レンガ、
タイル、瓦、石材等の多孔質無機系材料や、鉄板、アル
ミ板等の金属基材に塗布される。また、エポキシ系塗料
やアクリル系塗料、アルキッド系塗料等の有機質塗料を
下塗りしてある建造物や、輸送機等の上塗り塗料として
も有用である。これらの材料に本発明組成物を施工する
場合はこの組成物を被処理物の表面に刷毛塗り、ローラ
ー塗り、流し塗り、浸積塗りしたり、スプレー塗布する
ことによって行うことができる。この場合、その塗布量
は被処理物1m2当りこの組成物を1〜1,000g、より好ま
しくは10〜200g程度で塗布される。
【0030】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げる。なお、例中
の部は重量部を表す。 調製例1 キシレン 100部にメチルメタクリレート82部、ブチルア
クリレート11部、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン7部及びアゾビスイソブチロニトリル(AI
BN)2部の混合物をN2通気下80〜90℃、2時間で滴
下し、滴下終了後80〜90℃で8時間熟成したところ、ポ
リスチレン換算分子量が45,000で粘度 300cS、不揮発分
51%の共重合体溶液が得られた。この共重合体溶液 100
部に酸化チタン20部、ジブチル錫ジオクトエート 0.5部
を加えボールミルで混合して白エナメルAを調製した。
【0031】調製例2 トルエン 100部にメチルメタクリレート50部、
【化11】 30部、ブチルメタクリレート20部およびAIBN2部の
混合物をN2通気下80〜90℃、2時間で滴下し、滴下終
了後80〜90℃で5時間熟成したところ、ポリスチレン換
算分子量が52,000で粘度 300cS、不揮発分50%の共重合
体溶液B−1を得た。
【0032】調製例3 ブチルメタクリレート69部、及びメタクリル酸1部の混
合液に
【化12】 30部を溶解し、得られた混合溶液にラウリル硫酸ナトリ
ウム2部、脱イオン水50部を加え乳化分散させた。別の
フラスコで、脱イオン水70部と10重量%過硫酸アンモニ
ウム水溶液10部の混合物をN2通気下80〜85℃に保ち、
ここへ撹拌しながら上記単量体混合物の乳化分散液150
部を5時間で滴下した。滴下終了後、更に2時間80〜85
℃で熟成してポリスチレン換算分子量20万、不揮発分42
%の共重合体エマルジョンB−2を得た。
【0033】実施例1 白エナメルA100部に共重合体溶液B−1を50部加えよ
く混合して磨き軟鋼板(0.3mm 厚)に乾燥膜厚が30μm
になるようにスプレー塗布し、室温で一週間乾燥させた
後、その塗膜物性を測定し、表1に記した。
【0034】実施例2 水性アクリルペイント[アトム化学塗料(株)製、エマ
ルジョン白塗料、不揮発分40%] 100部に、共重合体エ
マルジョンB−2を80部加え、よく混合して、実施例1
と同様にしてテストピースを作製し、その塗膜物性を表
1に記した。
【0035】比較例1 白エナメルAのみを用いて実施例1と同様にしてテスト
ピースを作製し、その塗膜物性を表1に記した。
【0036】比較例2 水性アクリルペイント(同上)のみを用いて実施例1と
同様にしてテストピースを作製し、その塗膜物性を第1
表に記した。
【0037】
【表1】
【0038】なお、前記の例中の粘度は25℃での測定値
を示したものであり、例中における物性値は以下の方法
による測定値を示したものである。 [鉛筆硬度] JIS K5400第6、14項による鉛筆ひっかき試験に準
じた方法で測定。 [碁盤目密着性] JIS K5400第6、15項の碁盤目試験に準じて、2mm
間隔で縦横それぞれ6本ずつカッターナイフで切傷を入
れ、セロテープを塗膜に密着させてから力いっぱい引き
剥したときの残存塗膜の碁盤目の数を読んだ。 [水の接触角] テストピースに純水5μL を垂らし、Contact Angle Me
ter CA-A[協和科学(株)製]を用いて測定した。 [耐水性] テストピースを水に1週間浸漬したのちの塗膜の外観を
目視して判断した。 〇:異常なし △:一部ぬれ模様あり ×:ぬれ模様大 [耐汚染性] 硬化塗膜上に黒色インクペン[ぺんてる(株)製、マジ
ックインキ]でマーキングし、10分間風乾した後、イソ
プロピルアルコールを含浸した脱脂綿で拭きとり下記基
準に従って目視で判定した。 〇:マーキングの残存全くなし ×:マーキングの残存あり [促進耐候性(QUVテスト)] アトラス・ユブコン[(株)東洋精機製作所製商品名]
を用いて紫外線を照射し、70℃×8時間、湿潤50℃×4
時間のサイクルで 1,000時間曝露して、そのときの光沢
保持率(%)及び水の接触角(撥水持続性)を測定し
た。
【0039】
【発明の効果】本発明の組成物は、アクリル系樹脂、特
に加水分解性シリル基を重合単位中に1〜30モル%含有
するアクリル系樹脂脂に、ラジカル重合性シリコーンマ
クロマーとこのマクロマーと共重合性の他のラジカル重
合性モノマーとをラジカル共重合してなる共重合体を配
合して得られるが、この組成物は撥水性、耐汚染性、耐
酸性の改良された耐候性塗料組成物として優れた特性を
示す。エマルジョン系塗料に、ラジカル重合性シリコー
ンマクロマーとこのマクロマーと共重合性の他のラジカ
ル重合性モノマーとの共重合体のエマルジョンを配合す
ると、耐汚染性、汚染除去性、撥水性が付与される。今
までのアクリルエマルジョン塗料硬化物は界面活性剤の
影響で水あかや媒煙等がつき易く、除去も困難であった
が本発明でジメチルポリシロキサンを表層に固定するこ
とができ、耐汚染性が改良される。湿気硬化型(シラン
架橋型)アクリル塗料は長期の紫外線照射により光沢が
低下するが、ラジカル重合性シリコーンマクロマーとこ
のマクロマーと共重合性の他のラジカル重合性モノマー
との共重合体を配合し共硬化することにより、光沢保持
性を優れたものに改良し、長期間にわたって撥水性も維
持することができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/00 - 201/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)加水分解性シリル基を重合単位中
    に1〜30モル%含有するアクリル系樹脂固型分100重量
    部、(ロ)下記一般式(1)の構造を有するオルガノポ
    リシロキサン化合物と該オルガノポリシロキサンと共重
    合性の他のラジカル重合性モノマー(但し、加水分解性
    シリル基を含有する重合性モノマーを除く)とをラジカ
    ル重合してなる共重合体固型分20〜200重量部を配合し
    たものを主要樹脂成分とすることを特徴とする耐候性塗
    料組成物。 【化1】 (R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断さ
    れてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素
    数1〜6の1価炭化水素基、mは1、2又は3で、nは
    3〜 200の整数を表わす。)
  2. 【請求項2】 アクリル系樹脂が一般式(2)又は
    (3)で表されるラジカル重合性基を有するアルコキシ
    シラン化合物を共重合成分として含有する請求項1
    載の耐候性塗料組成物。 【化2】 (Xはラジカル重合性基、R2は酸素原子により中断され
    ても良い炭素数1〜12の2価炭化水素基、R5、R6は各々
    炭素数1〜6の1価炭化水素基、kは1〜3の整数を表
    わす。)
  3. 【請求項3】 アクリル系樹脂が水系アクリルエマルジ
    ョンである請求項1記載の耐候性塗料組成物。
  4. 【請求項4】 水系アクリルエマルジョンに、一般式
    (1)のオルガノポリシロキサン化合物と該オルガノポ
    リシロキサンと共重合性の他のラジカル重合性モノマー
    との混合物を界面活性剤存在下で水性媒体中に乳化分散
    させ、水溶性ラジカル重合開始剤でラジカル重合させた
    共重合体を配合してなる請求項1ないし3 何れか1項
    記載の耐候性塗料組成物。
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