JPH1112311A - 水性樹脂分散体 - Google Patents

水性樹脂分散体

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JPH1112311A
JPH1112311A JP9164714A JP16471497A JPH1112311A JP H1112311 A JPH1112311 A JP H1112311A JP 9164714 A JP9164714 A JP 9164714A JP 16471497 A JP16471497 A JP 16471497A JP H1112311 A JPH1112311 A JP H1112311A
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resin dispersion
aqueous resin
dimethylpolysiloxane
water
radically polymerizable
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JP9164714A
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Tomio Hashimoto
富雄 橋本
Takeshi Kitamoto
剛 北本
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】撥水性、耐水性、耐候性、耐汚染性、耐薬品性
等の良好な塗膜を提供すること。 【解決手段】ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量
体と分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を持つ
ジメチルポリシロキサンを乳化剤、重合開始剤、水を乳
化剤、重合開始剤、水を必須成分としてラジカル重合す
ることにより得られる撥水性の良好な水性樹脂分散体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥水性の良好な水
性樹脂分散体に関し、さらに詳しくは分子構造中にジメ
チルポリシロキサンをもつ分散樹脂の粒子径が極めて細
かく、塗料、合成樹脂、金属、ガラス、陶磁器、石膏、
紙、木材、皮革、さらには軽量コンクリ−ト、モルタ
ル、硅酸カルシュウム板、スレ−ト、または石膏ボ−ド
などの各種基材に塗布でき、撥水性、耐水性、耐候性、
耐汚染性、耐薬品性等の良好な塗膜を形成する水性樹脂
分散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、資源等の有効利用の点から有機溶
剤型塗料から水性型塗料、特に水性エマルジョン型塗料
に代わりつつある。しかしながら、通常の水性エマルジ
ョン型塗料は、水中に分散した乳化重合型樹脂が乾燥に
際して融着して皮膜を形成するために有機溶剤型塗料に
比べ、塗膜の緻密性が悪く、塗料に要求される性能の中
で特に皮膜の耐水性が悪いという欠点を有していた。
【0003】この欠点を改良するために乳化重合系の樹
脂においてその粒子径を非常に細かくし皮膜の緻密性を
向上させる方法が知られているが、緻密な皮膜が得られ
てもシリコ−ン系のポリマ−のような耐水性、耐候性、
耐汚染性は得られない。
【0004】皮膜の耐水性、耐候性、撥水性を向上させ
る方法として構造中にラジカル重合可能な二重結合を持
つジメチルポリシロキサンを共重合させる手段が知られ
ている。しかし、乳化重合系で合成を行うことにより種
々の問題が生じる。例えばラジカル重合可能な不飽和2
重結合をもつジメチルポリシロキサンの分子量が100
0〜10000と大きいためにエチレン性不飽和単量体
との反応性に欠け乳化重合時に多量の凝集物を生じた
り、安定に水性樹脂分散体が得られにくいという欠点を
有している。
【0005】さらに上に示した方法により得られた樹脂
分散体は粒子径の大きいエマルジョンであることが多
く、耐水性、耐候性、撥水性等の良好なジメチルポリシ
ロキサンで変性しても粒子径が大きいことによる塗膜欠
陥によりシリコ−ン変性による効果が得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは種々検討
の結果、ジメチルポリシロキサン変性の水性樹脂分散体
の製造時において、安定かつ得られる樹脂の粒子径が極
めて細かい耐水性の良好な水性樹脂分散体を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】第一の発明は、ラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体と分子内にラジカル重合可能な不飽和
2重結合をもつジメチルポリシロキサンを乳化剤、重合
開始剤、水を必須成分としてラジカル重合することによ
り得られる水性樹脂分散体である。
【0009】第二の発明は、水性樹脂分散体の平均粒子
径が100nm以下であることを特徴とする第一発明の
撥水性の良好な水性樹脂分散体である。
【0010】第三の発明は、水への溶解性が0.3重量
%以下である油溶性重合開始剤を使用することを特徴と
する第一ないし第二発明の撥水性の良好な水性樹脂分散
体である。
【0011】第四の発明は、乳化剤として反応性乳化剤
を使用することを特徴とする第一ないし第三発明の撥水
性の良好な水性樹脂分散体である。
【0012】第五の発明は、ラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体としてカルボキシル基を有する単量体
を全単量体に対して0.5〜5重量%使用することを特
徴とする第一ないし第四発明の撥水性の良好な水性樹脂
分散体である。
【0013】第六の発明は、滴下モノマーの油滴径が
0.5μ以下であることを特徴とする第一ないし第五発
明の撥水性の良好な水性樹脂分散体である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に使用するエチレン性不飽
和単量体としては(メタ)アクリル酸のアルキルエステ
ルからなる単量体であり、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキ
シル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メ
タクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル等
の(メタ)アクリル酸エステル類や、スチレン、アルフ
ァメチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等が使用することができる。
【0015】また、カルボキシル基を有する単量体とし
て、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、等が、製造時あるいは水性樹脂分散体
の保存時の安定性が向上するため併用することが好まし
い。この目的のためにカルボキシル基を有する単量体を
全単量体に対して0.5〜5重量部使用することが好ま
しい。0.5重量部以下では重合安定性、経時による粘
度安定性が悪く、また5重量部以上では得られた皮膜の
耐水性が悪くなる。
【0016】また、流動性、乾燥性の調整、樹脂保存時
の安定性の向上を主目的として、アクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシルプロピル、メタクリル酸ヒ
ドロキシエチル等が使用できる。さらに皮膜に架橋構造
を付与する目的で、エチレングリコールジメタクリジメ
タクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼ
ン、グリシジルメタクリレ−ト等も使用できる。これら
の目的のために、これらの1種または2種以上を混合し
て使用する。これらは全単量体に対して0.1〜10重
量部使用することが望ましく、より好ましくは、0.5
〜5重量部使用することである。0.1重量部以下では
得られた皮膜の耐水性が悪く、10重量部以上では皮膜
にワレ等が発生する。
【0017】本発明で使用するラジカル重合可能な不飽
和2重結合を持つジメチルポリシロキサンは分子内にラ
ジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上有するポリ
シロキサンであり、例えば下記一般式(1)、(2)で
表されるメタクリロキシ末端ジメチルポリシロキサン
(市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製X-22
-164B 、X-22-174DX、チッソ(株)製サイラプレ−ンFM
2231、FP2241、FM0711、FM0721、FM-0725 等)、一般式
(3)で表される側鎖にメタクリロキシ基を有するジメ
チルポリシロキサンがある。
【0018】一般式(1)
【0019】
【化1】
【0020】一般式(2)
【0021】
【化2】
【0022】一般式(3)
【0023】
【化3】
【0024】重合に際しては、これらの1種または2種
以上を混合して使用する。これらのジメチルポリシロキ
サンは分子量1000〜10000のものを、ラジカル
重合可能なエチレン性不飽和単量体100重量部に対し
0.1〜20重量部使用することが望ましく、より好ま
しくは0.5 〜10重量部使用することである。ジメ
チルポリシロキサンの量が20重量部より多い場合はラ
ジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体との反応性が
低下し残留モノマ−が発生したり、ジメチルポリシロキ
サンがブリ−ドアウトしたりする原因となる。また、重
合に際しては滴下系モノマ−の油滴径を0.5μ以下に
することが好ましく、0.5μ以上の油滴径であると重
合安定性が悪く凝集物が発生しやすい。油滴径を細かく
する方法としては、パイプラインミキサ−(ラインミキ
サ−)ホモミキサ−、高圧ホモジナイザ−等が使用でき
る。また、油滴径の測定方法としてはレ−ザ−解析法に
よる微粒子径測定装置、光学顕微鏡等が使用できる。
【0025】本発明で使用する反応性乳化剤は分子内に
ラジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上有するア
ニオン性またはノニオン性の乳化剤であり、例えば下記
一般式(4)、(5)で表されるスルホコハク酸エステ
ル系(市販品としては、例えば、花王(株)製ラテムル
S−120P、S−180A、三洋化成(株)製エレミ
ノールJS−2等)、一般式(6)で表されるアルキル
フェノールエーテル系(市販品としては、第一工業製薬
(株)製アクアロンHS−10、RN−20等)があ
る。
【0026】一般式(4)
【0027】
【化4】
【0028】一般式(5)
【0029】
【化5】
【0030】一般式(6)
【0031】
【化6】
【0032】乳化重合に際しては、これらの1種または
2種以上を混合して使用する。これら乳化剤はラジカル
重合可能なエチレン性不飽和単量体100重量に対して
0.1〜10重量部使用することが望ましい。10重量
部以上では粒子径は小さくなるが、多量の乳化剤を使用
するため、その悪影響として被膜の耐水性が悪くなる。
【0033】さらに、これらの乳化剤が反応性を有しな
い場合には、たとえ安定な樹脂分散体が得られたとして
も活性剤の溶出による耐水性の低下は免れない。
【0034】本発明のもう一つの特徴は、重合開始剤と
して油溶性開始剤を使用する点にある。油溶性重合開始
剤に代えて水溶性の過硫酸塩、過酸化物およびアゾビス
化合物等を熱、または還元性物質によってレドックス的
にラジカル分解して単量体の重合をせしめると重合過程
で粒子径が大きくなり、皮膜の耐水性が悪くなる。油溶
性開始剤としては、tert−ブチルパ−ベンゾエ−
ト、ラウリルパ−オキサイド、過酸化ベンゾイル、te
rt−ブチルハイドロパ−オキシド、アゾビスイソブチ
ロニトリル、アゾビスジメチルブチロニトリル、アゾビ
スバレロニトリル等が好ましい。これら油溶性開始剤は
単独で使用することもできるが、エリソルビン酸ナトリ
ウム等の還元剤と併用によるレドックス型で使用しても
よい。
【0035】油溶性開始剤は、ラジカル重合可能なエチ
レン性単量体100重量部に対して、0.1〜10重量
部が使用される。
【0036】本発明において、硫酸第2銅、塩化第2銅
などの銅イオン、硫酸第2鉄、塩化第2鉄などの遷移金
属イオンを反応釜の仕込み水に対して10-7〜10-5モ
ル/リットルの範囲で添加することが望ましい。
【0037】本発明により得られる水性樹脂分散体は、
染料、顔料等の着色剤、フィラ−等を配合することがで
き、合成樹脂、金属、ガラス、陶磁器、石膏、紙、木
材、皮革、さらに軽量コンクリ−ト、軽量気泡コンクリ
−ト、モルタル、硅酸カルシュウム板、スレ−ト、石膏
ボ−ド等へのトップコ−ト用塗料、塗料バインダ−、紙
加工剤、繊維処理剤等に使用することができる。
【0038】以下、実施例により、本発明を説明する。
例中、部とは重量部を、%とは重量%をそれぞれ表す。
【0039】実施例1 攪拌機、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器
に表1に示す反応缶量を仕込み、窒素ガスで飽和させ
る。表1の滴下分は予めパイプラインミキサ−(ライン
ミキサ−)で油滴径を0.5μ以下にする。内温を80
℃に昇温した後、重合開始剤の反応釜量を添加し、5分
後に滴下を開始した。滴下量を2時間で滴下し、80℃
でさらに2時間熟成した後冷却し、アンモニアでPH8
〜9に調整した。油滴径の測定、水性樹脂分散体の粒子
径の測定はレ−ザ−解析法微粒子径測定装置(コ−ルタ
−社製ナノサイザ−)で測定した。固形分40.0%、
粘度2800cps、粒子径85nmの樹脂分散体を得
た。
【0040】
【表1】
【0041】実施例2〜6 実施例1と同様の方法で、表2に示すエチレン性単量
体、ジメチルポリシロキサンの量、反応性乳化剤を変え
て樹脂分散体を得た。
【0042】
【表2】
【0043】比較例1〜6 ジメチルポリシロキサン(比較例1)、ジメチルポリシ
ロキサンが不飽和2重結合を有しない例(比較例2)に
ついて実施例1に準じて樹脂分散体を製造した。
【0044】
【表3】
【0045】実施例、比較例より得られた水性樹脂分散
体の重合安定性、粒子径の測定をおこない結果は表4に
示した。また水性樹脂分散体に成膜助剤等を加え調整
し、樹脂皮膜の撥水性試験、耐凍結・融解試験、耐薬品
性試験、耐促進汚染性試験を行った。結果は表5に示し
たとおりであった。
【0046】試験方法 1.塗膜の作成 水性樹脂分散体に成膜助剤(テキサノ−ル)でMFTが
0℃になるように調整した。
【0047】2.撥水性試験方法 上質紙上に5Mil.アプリケ−タ−で塗布し、70℃
で10分熱風乾燥し30度の傾斜板板上に張り付け、注
射器で水を5滴落とし流れ落ちる状態を観察する。 判定基準 5:流れ落ち跡形が全くなし 1:流れ落ち全体に跡形がつく
【0048】3.耐凍結融解試験方法 20℃の水中浸漬2時間・・−20℃水中凍結2時間を
1サイクルとし、30サイクルおこない塗膜の外観を肉
眼およびル−ペで観察した。 判定基準 5:良好(全く異常の無いもの) 1:不良(全面に著しい外観変化が認められるもの)
【0049】4.耐薬品性試験方法 ガラス板上に10Mil.アプリケ−タ−で塗布し、室
温で24Hr常温乾燥し、5重量%の水酸化ナトリウム
水溶液に24Hr浸漬した後、白化の程度を肉眼で判定
する。 判定基準 5:良好(全く白化のないもの) 1:不良(全面に著しい白化が認められるもの)
【0050】5.促進耐汚染性試験方法 スレ−ト板上に刷毛にて厚さ0.5mmになるように塗
布し、室温で72Hr常温乾燥した塗板に、ワセリン
9:カ−ボンブラック1の割合で練ったものを、刷毛で
均一に塗り付け50℃24時間放置する。ガ−ゼで拭き
取り汚れ具合を肉眼で判定する。 判定基準 5:良好(全く汚染のないもの) 1:不良(全面に著しい汚染が認められる)
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【発明の効果】本発明の水性樹脂分散体は、合成樹脂、
金属、ガラス、陶磁器、石膏、紙、木材、皮革等の各種
基材に、下塗りを施すことなく塗布でき、さらには軽量
コンクリ−ト、軽量気泡コンクリ−ト、モルタル、硅酸
カルシュ−ム板、スレ−ト板、または石膏ボ−ドなどの
各種無機質基材に対しての塗布に対し良好な塗膜を形成
する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量
    体と分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を持つ
    ジメチルポリシロキサンを乳化剤、重合開始剤と水を必
    須成分としてラジカル重合することにより得られる水性
    樹脂分散体。
  2. 【請求項2】水性樹脂分散体の平均粒子径が110nm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の水性樹脂分
    散体。
  3. 【請求項3】水への溶解性が0.3重量%以下である油
    溶性重合開始剤を使用することを特徴とする請求項1〜
    2のいずれか記載の水性樹脂分散体。
  4. 【請求項4】乳化剤として反応性乳化剤を使用すること
    を特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性樹脂分散
    体。
  5. 【請求項5】ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量
    体としてカルボキシル基を有する単量体を全単量体に対
    して0.5〜5重量%使用することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか記載の水性樹脂分散体。
  6. 【請求項6】滴下モノマーの油滴径が0.5μ以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の水性
    樹脂分散体。
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