JP3463512B2 - 水性樹脂分散体 - Google Patents

水性樹脂分散体

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JP3463512B2 JP16471397A JP16471397A JP3463512B2 JP 3463512 B2 JP3463512 B2 JP 3463512B2 JP 16471397 A JP16471397 A JP 16471397A JP 16471397 A JP16471397 A JP 16471397A JP 3463512 B2 JP3463512 B2 JP 3463512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性の良好な水
性樹脂分散体の製造方法に関し、さらに詳しくは分子構
造中に紫外線吸収剤をもつ分散樹脂の粒子径が極めて細
かく、耐候性の良好な水性樹脂分散体の製造方法に関す
るものである。
【0002】本発明の組成物は塗料、合成樹脂、金属、
ガラス、陶磁器、石膏、紙、木材、皮革、さらには軽量
コンクリ−ト、モルタル、硅酸カルシュウム板、スレ−
ト、または石膏ボ−ドなどの各種基材に施された下塗り
塗料の上に塗布でき、耐候性耐水性、耐汚染性、耐薬品
性等の良好な塗膜を形成する。
【0003】
【従来の技術】近年、資源等の有効利用の点から有機溶
剤型塗料から水性型塗料、特に水性エマルジョン型塗料
に代わりつつある。しかしながら、通常の水性エマルジ
ョン型塗料は、水中に分散した乳化重合型樹脂が乾燥に
際して融着して皮膜を形成するために有機溶剤型塗料に
比べ、塗膜の緻密性が悪く、塗料に要求される性能の中
で特に皮膜の耐水性、耐候性が悪いという欠点を有して
いた。この欠点を改良するために乳化重合系の樹脂にお
いて、紫外線吸収剤の後添加をする方法が知られている
が、長期耐候性では徐々にブリードアウトし光沢保持の
低下や色差の変化が大きく、耐候性の良好な水性樹脂分
散体は得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは種々検討
の結果耐候性の良好な、安定かつ得られる樹脂の粒子
径が極めて細かい水性樹脂分散体の製造方法を提供する
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、ラジカル
重合可能なエチレン性不飽和単量体分子内にラジカル
重合可能な不飽和2重結合を持つ紫外線吸収剤、反応
化剤、水への溶解性が0.3重量%以下である油溶性
合開始剤、水を予め0.5μm以下の油滴となるよう撹
拌した後、反応釜に滴下することを特徴とする水性樹脂
分散体の製造方法であり、水性樹脂分散体の平均粒子径
が110nm以下であることを特徴とする水性樹脂分散
の製造方法である
【0006】 の発明は、ラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体としてカルボキシル基を有する単量体
を全単量体に対して0.5〜5重量%使用することを特
徴とする第一発明の水性樹脂分散体の製造方法である。
【0007】
【発明の実施形態】本発明に使用するエチレン性不飽和
単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸2エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ
ル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メ
タ)アクリル酸エステル類や、スチレン、アルファメチ
ルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等、カルボキシル基を有する単量体としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルア
ミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロ
キシルプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレー
ト、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレー
ト、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等を
例示することができる。
【0008】カルボキシル基を有する単量体は、全単量
体に対して0.5〜5重量部使用することにより、製造
時あるいは水性樹脂分散体の保存時の安定性が向上す
る。0.5重量部以下では重合安定性、経時による粘度
安定性が悪く、また5重量部以上では得られた皮膜の耐
水性が悪くなる。流動性、乾燥性の調整、樹脂保存時の
安定性の向上を主目的として、アクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシルプロピル、メタクリル酸ヒ
ドロキシエチル等が使用できる。さらに皮膜に架橋構造
を付与する目的で、エチレングリコールジメタクリレー
ト、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、グリシジ
ルメタクリレート等が使用できる。これらの目的のため
に、これらの1種または2種以上を混合して使用する。
これらは全単量体に対して0. 1〜10重量部使用する
ことが望ましく、より好ましくは、0.5〜5重量部使
用することである。0.1重量部以下では得られた皮膜
の耐候性、耐水性が悪く、10重量部以上では皮膜にワ
レ等が発生する。
【0009】本発明で使用する重合性紫外線吸収剤は、
分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上
有する紫外線吸収剤であり、式(1)で表されるベンゾ
トリアゾール系化合物がある。
【0010】式(1)
【0011】
【化1】
【0012】この重合性紫外線吸収剤は、ラジカル重合
可能なエチレン性不飽和単量体に対して0. 05〜10
重量部使用することが望ましい。10重量部以上では重
合安定性が悪く凝集物が多くなり、良好なものが得られ
ない。さらに、これらの紫外線吸収剤が反応性を有しな
い場合は、樹脂との相溶性が悪くブリードアウトしたり
温水処理、酸処理、アルカリ処理などでもブリードアウ
トする。本発明で使用する反応性乳化剤は、分子内にラ
ジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上有するアニ
オン性またはノニオン性の乳化剤であり、例えば下記一
般式(2)、(3)で表されるスルホコハク酸エステル
系(市販品としては、例えば、花王(株)製ラテムルS
−120P、S−180A、三洋化成(株)製エレミノ
ールJS−2等)、一般式(4)で表されるアルキルフ
ェノールエーテル系(市販品としては、第一工業製薬
(株)製アクアロンHS−10、RN−20等)があ
る。
【0013】一般式(2)
【0014】
【化2】
【0015】一般式(3)
【0016】
【化3】
【0017】一般式(4)
【0018】
【化4】
【0019】乳化重合に際しては、これらの1種または
2種以上を混合して使用する。これら乳化剤はラジカル
重合可能なエチレン性不飽和単量体100重量に対して
0.1〜10重量部使用することが望ましい。10重量
部以上では粒子径は小さくなるが、多量の乳化剤を使用
するため、その悪影響として被膜の耐水性が悪くなる。
さらに、これらの乳化剤が反応性を有しない場合には、
たとえ安定な樹脂分散体が得られたとしても活性剤の溶
出による耐水性の低下は免れない。本発明のもう一つの
特徴は、重合開始剤として油溶性開始剤を使用する点に
ある。油溶性重合開始剤に代えて水溶性の過硫酸塩、過
酸化物およびアゾビス化合物等を熱、または還元性物質
によってレドックス的にラジカル分解して単量体の重合
をせしめると重合過程で粒子径が大きくなり、皮膜の耐
水性が悪くなる。
【0020】油溶性開始剤としては、tert−ブチル
パーベンゾエ−ト、ラウリルパーオキサイド、過酸化ベ
ンゾイル、tert−ブチルハイドロパーオキシド、ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルブチロニ
トリル、アゾビスバレロニトリル等が好ましい。これら
油溶性開始剤は単独で使用することもできるが、エリソ
ルビン酸ナトリウム等の還元剤と併用によるレドックス
型で使用してもよい。油溶性開始剤は、ラジカル重合可
能なエチレン性単量体100重量部に対して、0.1〜
10重量部が使用される。本発明において、硫酸第2
銅、塩化第2銅などの銅イオン、硫酸第2鉄、塩化第2
鉄などの遷移金属イオンを反応釜の仕込み水に対して1
-7〜10-5モル/リットルの範囲で添加することが望
ましい。
【0021】本発明により得られる水性樹脂分散体は、
染料、顔料等の着色剤、フィラー等を配合することがで
き、合成樹脂、金属、ガラス、陶磁器、石膏、紙、木
材、皮革、さらに軽量コンクリート、軽量気泡コンクリ
ート、モルタル、硅酸カルシュウム板、スレート、石膏
ボード等へのトップコート用塗料、塗料バインダー、紙
加工剤、繊維処理剤等に使用することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により、本発明を説明する。例
中、部とは重量部を、%とは重量%をそれぞれ表す。 実施例1 攪拌機、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器
に表1に示す反応缶量を仕込み、窒素ガスで飽和させ
る。表1の滴下分は予めパイプラインミキサー(ライン
ミキサー)で油滴径を0.5μ以下にする。内温を8
0℃に昇温した後、重合開始剤の反応釜量を添加し、5
分後に滴下を開始した。滴下量を2時間で滴下し、80
℃でさらに2時間熟成した後冷却し、アンモニアでPH
8〜9に調整した。油滴径の測定、水性樹脂分散体の粒
子径の測定はレーザー解析法微粒子径測定装置(コール
ター社製ナノサイザー)で測定した。固形分42.0
%、粘度2250cps、粒子径92nmの樹脂分散体
を得た。
【0023】
【表1】
【0024】実施例2〜6 実施例1と同様の方法で、表2示すようにエチレン性単
量体、重合性紫外線吸収剤の量を変えて樹脂分散体を得
た。
【0025】
【表2】
【0026】実施例により得られた水性樹脂分散体の重
合安定性、粒子径の測定を行い、結果は表3に示した。
また水性樹脂分散体に成膜助剤等を加え調整し、樹脂皮
膜の耐水性試験、耐凍結・融解試験、促進耐候性試験を
行った。結果は表4に示したとおりであった。
【0027】試験方法 1.塗膜の作成 水性樹脂分散体に成膜助剤(テキサノ−ル)でMFTが
0℃になるように調整した。
【0028】2.耐水性試験方法A.ガラス板上に10
Mil.アプリケ−タ−で塗布し、室温で24Hr常温
乾燥し、50℃温水に3時間浸漬し白化の程度を肉眼で
判定する。 判定基準 5:良好(全く白化のないもの) 1:不良(全面に著しい白化が認められるもの)
【0029】3.耐水性試験方法B.スレ−ト板上に刷
毛にて厚さ0.5mmになるように塗布し、室温で72
Hr常温乾燥し、50℃温水に7日間浸漬しブリスター
等がないかどうか肉眼で判定する。 判定基準 5:良好(全く異常の無いもの) 1:不良(全面に著しい外観変化が認められるもの)
【0030】4.耐凍結融解試験方法20℃の水中浸漬
2時間・・−20℃水中凍結2時間を1サイクルとし、
30サイクルおこない塗膜の外観を肉眼およびルーペで
観察した。 判定基準 5:良好(全く異常の無いもの) 1:不良(全面に著しい外観変化が認められるもの)
【0031】6.促進耐候性試験方法 スレ−ト板上に白艶有り塗料をスプレーで厚さ0. 5mm
になるように塗布し、72Hr常温乾燥した塗板に、試
料を厚さ0. 3mmになるように刷毛で塗布し、72Hr
常温乾燥し、光沢計で60度の初期光沢を測定しデユー
サイクル方式、耐候性試験機に1000時間照射し、光
沢値を測定し、初期光沢の保持率で評価した。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】本発明の水性樹脂分散体は、合成樹脂、
金属、ガラス、陶磁器、石膏、紙、木材、皮革等の各種
基材に、下塗りを施すことなく塗布でき、さらには軽量
コンクリ−ト、軽量気泡コンクリ−ト、モルタル、硅酸
カルシュ−ム板、スレ−ト板、または石膏ボ−ドなどの
各種無機質基材に対しての塗布に対し良好な塗膜を形成
する。また、これら基材に施された下塗り塗料の上に塗
布でき、耐候性、耐水性、耐凍結融解性、の良好な塗膜
を形成することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量
    分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を持つ
    紫外線吸収剤、反応乳化剤、水への溶解性が0.3重量
    %以下である油溶性重合開始剤、水を予め0.5μm以
    下の油滴となるよう撹拌した後、反応釜に滴下すること
    を特徴とする水性樹脂分散体の製造方法であり、水性樹
    脂分散体の平均粒子径が110nm以下であることを特
    徴とする水性樹脂分散体の製造方法
  2. 【請求項2】ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量
    体としてカルボキシル基を有する単量体を全単量体に対
    して0.5〜5重量%使用することを特徴とする請求項
    1記載の水性樹脂分散体の製造方法
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