JP4033723B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂エマルションを結合剤とする水性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水性塗料の結合剤としては、各種アクリル系モノマー等のエチレン性不飽和モノマーを乳化重合することにより得られる合成樹脂エマルションが広く用いられている。このような合成樹脂エマルションは、基本的には水を媒体とするものであるが、溶剤形の樹脂に比べ造膜性が劣ることから、塗料の結合剤として用いる場合は、通常、高沸点の有機溶剤を造膜助剤として添加している。
【0003】
近年、環境や健康に対する意識の高まりから、有機溶剤の排出を抑制する動きが活発化しており、水性塗料においても有機溶剤の低減が望まれている。この要望に応えるために、水性塗料においては、その結合剤となる合成樹脂エマルションが、造膜助剤を添加しなくても造膜可能となることが必要となる。一般的に、このような造膜性を確保する手法のひとつとして、合成樹脂エマルションに用いるモノマー成分の種類や比率を調整して樹脂のガラス転移温度を下げる方法が挙げられる。しかしながら、この手法では、形成される被膜表面の粘着性が大きくなり、耐汚染性やブロッキング性が著しく低下してしまうという問題が生じやすくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、造膜性に優れるとともに、粘着性が低減された被膜を形成することができる水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、段階的に熱応答性モノマーを共重合した合成樹脂エマルションを結合剤とする水性塗料組成物が上記問題点を解決できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.モノマー成分としてエチレン性不飽和モノマーを含む水分散性樹脂粒子(A)の存在下に、熱応答性モノマーとして少なくともN−アルキル(メタ)アクリルアミド(b−1)を含むエチレン性不飽和モノマー(B)を、N−アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーの下限臨界共溶温度を超える温度で共重合することにより得られる合成樹脂エマルション
を結合剤とすることを特徴とする水性塗料組成物。
2.(A)成分が少なくとも一つの架橋性官能基を含有し、(B)成分が(A)成分の架橋性官能基と架橋可能な官能基を含有することを特徴とする1.に記載の水性塗料組成物。
3.(A)成分のガラス転移温度が10℃以下であることを特徴とする1.または2.に記載の水性塗料組成物。
4.(A)成分の固形分100重量部に対し、(b−1)成分を0.5〜30重量部共重合することにより得られる合成樹脂エマルションを結合剤とする1.から3.のいずれかに記載の水性塗料組成物。
5.(b−1)成分が、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
【0008】
本発明の水性塗料組成物において結合剤として使用する合成樹脂エマルションは、具体的には、エチレン性不飽和モノマーを共重合することにより水分散性樹脂粒子(以下「(A)成分」ともいう)を形成させる第一工程、該水分散性樹脂粒子の存在下に、少なくとも熱応答性モノマー(以下「(b−1)成分」ともいう)を含むエチレン性不飽和モノマー(以下「(B)成分」ともいう)を、該熱応答性モノマーのホモポリマーの下限臨界共溶温度を超える温度で共重合する第二工程、を含む方法によって製造することができるものである。
【0009】
第一工程において使用するエチレン性不飽和モノマーとしては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、N−tブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等などのアミン含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系モノマー;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル系モノマー;ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトニルアクリレート、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、及びブタンジオールアクリレートアセチルアセテートなどのカルボニル基含有モノマー;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレートなどのジ(メタ)アクリル系モノマー;メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジンなどのヒドラジノ基含有モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニルモノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル等が挙げられる。これらのモノマーは単独あるいは2種類以上で用いることができる。
また、上述したエチレン性不飽和モノマー以外の化合物も含有することができる。エチレン性不飽和モノマー以外の化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有化合物;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、サリチル酸等のカルボキシル基含有化合物;ヒドラジン等のヒドラジノ基含有化合物;シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4′−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N′−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,3−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等のヒドラジド基含有化合物等が挙げられる。
(A)成分のガラス転移温度は、上述の化合物を適宜組み合わせることによって調整することができる。本発明では、特に(A)成分のガラス転移温度が10℃以下、さらに5℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が10℃以下であることにより、造膜性に優れた塗料を得ることができる。
【0010】
なおガラス転移温度は、フォックス(FOX)の式より計算される値である。
例えば、モノマー(1)及びモノマー(2)からなる2成分系において、それぞれのホモポリマーのガラス転移点Tg(1)およびTg(2)が分かっている場合には、該モノマー(1)及び(2)の2成分からなる共重合体のガラス転移点Tgは、次式に示すフォックス(FOX)の式(2成分)により計算値として求めることができる。
1/Tg=W(1)/Tg(1)+W(2)/Tg(2)(但し、W(1)+W(2)=1)
W(1):モノマー(1)の重量分率、W(2):モノマー(2)の重量分率、Tg(1):モノマー(1)のホモポリマーのTg値(単位:K)、Tg(2):モノマー(2)のホモポリマーのTg値(単位:K)
本発明におけるポリマーのTg値は上記の式を多成分系に一般化した式により計算したものである。
【0011】
第一工程では、エチレン性不飽和モノマーを、その0.1〜10重量%の乳化剤、及び0.1〜1.0重量%重合開始剤の存在下、50〜90℃の水浴中で乳化重合することが望ましい。重合時間は特に限定されないが、概ね0.5〜4時間程度である。
【0012】
乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤または反応性乳化剤が使用できる。例えば、ラウリル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート硫酸塩などのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系乳化剤;エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、エレミノールRS−30(三洋化成工業製)、ラテムルS−180A(花王製)、アクアロンHS−05(第一工業製薬製)、アクアロンRN−10(第一工業製薬製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化製)などの反応性乳化剤である。これらの乳化剤は単独あるいは2種類以上を併用して用いることができる。
【0013】
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、過酸化ブチル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ化合物などを用いることができる。これらの重合開始剤は亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、N,N,N’,N’−テトラメチルエチルアミンなどの還元剤と併用してレドックス重合開始剤として用いることができる。
【0014】
本発明における第二工程では、熱応答性モノマー(b−1)を必須成分として使用する。この熱応答性モノマー(b−1)とは、該モノマーのホモポリマーが温度変化に応じて水和状態/脱水和状態の変化を生じるモノマーのことである。第二工程では、この熱応答性モノマー(b−1)を含むエチレン性不飽和モノマー(B)を、上述の第一工程で得られた水分散性樹脂粒子(A)に対して添加し、共重合させるものである。具体的には、(b−1)成分を含むエチレン性不飽和モノマー(B)を、重合開始剤とともに(A)成分に添加し、概ね2時間以上乳化重合を行うことが望ましい。
【0015】
第二工程における重合温度は、熱応答性モノマー(b−1)のホモポリマーの下限臨界共溶温度を超える温度とする必要がある。ここで言う下限臨界共溶温度とは、熱応答性モノマーのホモポリマーが水和状態から脱水和状態への転移を生じるときの臨界温度である。熱応答性モノマーのホモポリマーは、下限臨界共溶温度よりも低い温度領域においては親水性で水に溶解し、下限臨界共溶温度より高い温度領域においては疎水性で水に不溶となる。本発明では、熱応答性モノマー(b−1)をこのような高い温度領域で共重合させることが、造膜性と低粘着性とを両立するのに有利にはたらく。下限臨界共溶温度よりも低い温度領域で共重合を行った場合は、造膜性と低粘着性との両立が難しく、また重合時の安定性を確保することも困難となる。
【0016】
(b−1)成分としては、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジンなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;ビニルメチルエーテル等が挙げられる。これらのモノマーは単独あるいは2種類以上で用いることができる。このうち本発明では、N−アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上を好適に用いることができる。この中でも特にN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが好適に用いられる。
【0017】
(b−1)成分のガラス転移温度は、(A)成分のガラス転移温度よりも高いこと(好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上)が好ましい。(b−1)成分のガラス転移温度を、(A)成分のガラス転移温度よりも高くすることにより、被膜表面の粘着性を抑えることができる。なお、ガラス転移温度は、上述したフォックス(FOX)の式より計算し求めることができる。
【0018】
(b−1)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、0.5〜30重量部添加することが望ましい。(b−1)成分が0.5重量部より少ないときは、得られる被膜の粘着性が大きくなり、30重量部より多いときは、重合時にエマルションの凝集やゲル化等が発生しやすく、均一なエマルションを得ることが困難となる。
【0019】
上記(b−1)成分とともに添加することができるエチレン性不飽和モノマーとしては、第一工程で用いるエチレン性不飽和モノマーと同様のものを使用することができる。
重合開始剤としては、第一工程で用いるものと同様のものを使用することができる。
【0020】
本発明では、さらに、(A)成分が少なくとも一つの架橋性官能基を含有し、(B)成分が(A)成分の架橋性官能基と架橋可能な官能基を含有することが好ましい。(A)成分と(B)成分が架橋可能であることにより、形成塗膜の耐水性をより向上させることができる。
【0021】
(A)成分、(B)成分の官能基の組合せとしては、例えば、エポキシ−アミン、エポキシ−酸、ポリオール−イソシアネート、カルボキシル−エポキシ、カルボキシル−金属イオン、カルボキシル−カルボジイミド、カルボキシル−オキサゾリン、カルボニル−ヒドラジド、カルボニル−ヒドラジノ等があげられる。このうち、エポキシ−アミン、エポキシ−酸、カルボニル−ヒドラジド、カルボニル−ヒドラジノ、ポリオール−イソシアネート等の組み合わせが好適に用いられる。具体的には、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとアミン含有(メタ)アクリル系モノマーの組み合わせ、エポキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとエチレン性不飽和カルボン酸の組み合わせ等が挙げられる。
【0022】
第二工程の後、得られた合成樹脂エマルションはpH調製を行うことが望ましい。ここで、中和剤としてはアンモニア、N,N−ジメチルアミノエタノールなどの揮発性アミン類、水酸化ナトリウムなどの水酸化物水溶液を用いることができる。臭気低減等を考慮すると、水酸化物水溶液を用いることが望ましい。また、重合溶液にリン酸水素ニナトリウムやリン酸ニ水素カリウムなどで調製した緩衝液を用いることで、中和剤の添加量を減らすこともできる。
【0023】
このようにして得られる合成樹脂エマルションは、その固形分を高く設定しても、重合時、塗料製造時及び塗料貯蔵時において十分な安定性を有するものであり、具体的には、固形分を30重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上とすることができる。このような高固形分の合成樹脂エマルションは、水性塗料組成物の配合設計においても有利である。
【0024】
本発明の水性塗料組成物は、上述のような合成樹脂エマルションを結合剤とするものであり、結合剤以外に通常塗料に混合する添加剤、例えば、顔料、充填剤、骨材、分散剤、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、防黴剤、防藻剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を使用することもできる。
【0025】
顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料等をあげることができる。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム等をあげることができる。
骨材としては、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器・セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等やそれらの表面を着色コーティングしたもの等を使用することができる。
【0026】
また、(A)成分、(B)成分に存在する官能基と反応可能な官能基を有する化合物を塗料に混合することもできる。(A)成分、(B)成分に存在する官能基と反応可能な官能基を有する化合物を混合することにより、形成塗膜の耐水性をより向上させることができる。
この様な官能基の組み合わせとしては、例えば、エポキシ−アミン、エポキシ−酸、ポリオール−イソシアネート、カルボキシル−エポキシ、カルボキシル−金属イオン、カルボキシル−カルボジイミド、カルボキシル−オキサゾリン、カルボニル−ヒドラジノ、カルボニル−ヒドラジド等があげられる。このうち、エポキシ−アミン、エポキシ−酸、カルボニル−ヒドラジノ、カルボニル−ヒドラジド、ポリオール−イソシアネート等の組み合わせが好適に用いられる。
【0027】
本発明組成物では、合成樹脂エマルション中の熱応答性モノマーが常温下では親水性を示すことに起因して、塗料に適度な粘性が付与されることから、増粘剤等の添加量を低減することもできる。
【0028】
本発明の水性塗料組成物は、主に建築物、土木構築物等の表面仕上材として好適に用いることができ、これらの表面に低粘着性の被膜を形成することができる。適用可能な基材としては、例えば、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、プラスチック、木材、壁紙等があげられる。本発明組成物は、基材に直接塗装することもできるし、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー等による下地処理等)を施した上に塗装することも可能であり、このような処理方法は基材の状況等に応じて適宜選択することができる。塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装、ロールコーター、フローコーター等種々の方法により塗装することができる。建材表面に工場等においてプレコートすることも可能である。
【0029】
本発明は、常温で硬化可能な水性塗料組成物であり、さらに、合成樹脂エマルションの最低造膜温度が5℃以下、好ましくは0℃以下となるようにモノマー成分を組合わせると、有機溶剤の添加量を十分に低減することが可能となる。この場合、具体的には、水性塗料組成物中における有機溶剤の含有量を1重量%以下とすることができる。このような水性塗料組成物は、低温下で十分に被膜を形成することができるようになり、低VOC(揮発性有機化合物)水性塗料組成物として、特に建築物の室内塗装用に好適に使用することができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入ラインを取り付けたセパラブルフラスコ中に窒素置換を行いながら、緩衝液(M/15リン酸二水素カリウム:M/15リン酸水素二ナトリウム=7:3(重量比)の混合液、pH=6.4、以下同様)100重量部に溶解した過硫酸アンモニウム0.7重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を添加した。これにメタクリル酸メチル43重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル55重量部、アクリル酸2重量部を加え乳化させた。反応器を70℃に昇温し1.5時間重合を行った。
次に、別の容器で調製したN−イソプロピルアクリルアミド11重量部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.5重量部、過硫酸アンモニウム0.01重量部を溶解した緩衝液40重量部を反応器に1時間かけて滴下し、70℃にて5時間さらに重合を行った。
重合後、得られた合成樹脂エマルションを室温まで放冷した後、10N水酸化ナトリウム水溶液3重量部を攪拌投入し中和した。なお、N−イソプロピルアクリルアミドのホモポリマーの下限臨界共溶温度は32℃、ガラス転移温度は134℃である。
得られた合成樹脂エマルション200重量部(固形分50%)に対し、酸化チタンを60重量部配合して白色の水性塗料を製造し、各種試験を行った。
【0032】
【表1】
Figure 0004033723
【0033】
[造膜性試験]
フィルムアプリケーターを用いて、水性塗料をフィルム上にウェット膜厚150μmで塗工し、これを−15〜20℃の温度勾配をもつ金属板上に載置し、最低造膜温度を測定した。結果は表3に示す。
【0034】
[表面粘着性試験]
フィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に水性塗料をウェット膜厚250μmで塗工し、20℃および50℃で72時間乾燥させた。このガラス板を、水平に置き黒色珪砂を被膜表面に散布した後、ガラス板を垂直に立てて黒色珪砂を自然落下させた。表面粘着性は、このときの黒色珪砂の残存度合によって評価した。評価は、黒色珪砂の残存度合が小さいものを10、残存度合が大きいものを1とし、10段階評価にて行った。結果は表3に示す。
【0035】
[耐水性試験]
フィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に水性塗料をウェット膜厚250μmで塗工し、20℃および50℃で72時間乾燥させた。このガラス板を、20℃の水に72時間浸漬した後、塗膜の状態を目視にて評価した。評価は、膨れ・剥れが見られないものを5、膨れ・剥れが見られるものを1とし、5段階評価にて行った。結果は表3に示す。
【0036】
(実施例2〜9)
使用したモノマー、乳化剤、中和剤を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして水性塗料を製造した。各種水性塗料について上記試験を行った。試験結果は表3に示す。
【0037】
(実施例10)
実施例9で得られた合成樹脂エマルション200重量部(固形分50%)に対し、酸化チタンを60重量部、アジピン酸ジヒドラジド1重量部を配合して白色の水性塗料を製造した。水性塗料について上記試験を行った。試験結果は表3に示す。
【0038】
(比較例1)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入ラインを取り付けたセパラブルフラスコ中に窒素置換を行いながら、緩衝液100重量部に溶解した過硫酸アンモニウム0.7重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を添加した。これにメタクリル酸メチル50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部を加え乳化させた。反応器を70℃に昇温し6時間重合を行った。
重合後、得られたエマルションを室温まで放冷した後、28%アンモニア水2重量部を攪拌投入し中和した。
得られた合成樹脂エマルション200重量部(固形分50%)に対し、酸化チタンを60重量部配合して白色の水性塗料を製造し、各種試験を行った。試験結果は表3に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0004033723
【0040】
(比較例2〜3)
使用したモノマー、乳化剤、中和剤を表2に示すように変更した以外は比較例1と同様にして水性塗料を製造し、各種試験を行った。試験結果は表3に示す。
【0041】
(比較例4)
使用したモノマー、乳化剤、中和剤を表2に示すように変更した以外は比較例1と同様にして合成樹脂エマルションを製造した。得られた合成樹脂エマルション200重量部(固形分50%)に対し、別途調製したポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)樹脂10重量部、酸化チタンを60重量部配合して白色の水性塗料を製造し、各種試験を行った。なお、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)樹脂は以下の方法で得た。
【0042】
(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)樹脂の製造方法)
窒素雰囲気下、N−イソプロピルアクリルアミド5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメタノール50重量部に加え、60℃下8時間ラジカル重合を行った。重合終了後、メタノール溶液を50℃の温水中に投じ、樹脂を析出させた。この樹脂をデカンテーションにより回収した後、50℃の乾燥器中で72時間乾燥させた。
【0043】
(比較例5)
使用したモノマー、乳化剤、中和剤を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして水性塗料を製造し、各種試験を行った。試験結果は表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0004033723
【0045】
本発明による実施例1〜10は、造膜助剤を使用しなくても、低温で十分に造膜することができた。また、表面粘着性試験、耐水性試験においても優れた性能を示した。
一方、比較例1〜5に関しては、低温造膜性および表面粘着性を併せ持つ水性塗料は得られなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の水性塗料組成物は、造膜性に優れるとともに、粘着性が低減された被膜を形成することができる。

Claims (5)

  1. モノマー成分としてエチレン性不飽和モノマーを含む水分散性樹脂粒子(A)の存在下に、熱応答性モノマーとして少なくともN−アルキル(メタ)アクリルアミド(b−1)を含むエチレン性不飽和モノマー(B)を、N−アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーの下限臨界共溶温度を超える温度で共重合することにより得られる合成樹脂エマルション
    を結合剤とすることを特徴とする水性塗料組成物。
  2. (A)成分が少なくとも一つの架橋性官能基を含有し、(B)成分が(A)成分の架橋性官能基と架橋可能な官能基を含有することを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. (A)成分のガラス転移温度が10℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
  4. (A)成分の固形分100重量部に対し、(b−1)成分を0.5〜30重量部共重合することにより得られる合成樹脂エマルションを結合剤とする請求項1から3のいずれかに記載の水性塗料組成物。
  5. (b−1)成分が、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水性塗料組成物。
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