JP2018080297A - 水性塗料組成物 - Google Patents

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宏樹 石倉
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雄太 四ツ▲柳▼
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Abstract

【課題】長期間屋外に暴露されても汚染されにくい塗膜を形成できる水性塗料組成物を提供する。【解決手段】親水性基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a1)由来の構成単位と、架橋基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a2)由来の構成単位と、前記モノマー(a1)および前記モノマー(a2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a3)由来の構成単位とからなる水性樹脂(A)と、前記架橋基と反応し得る官能基を有する水性樹脂 (B)と、を含み、水性樹脂(A)中の全構成単位の合計質量に対するモノマー(a1)由来の構成単位の割合が40〜95質量%、モノマー(a2)由来の構成単位の割合が0.01〜20質量%で、水性樹脂(A)の重量平均分子量が50000〜150000で、水性樹脂 (A)の質量を水性樹脂(B)の質量で除した値が0.01以上0.1未満である水性塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水性塗料組成物に関する。
従来、建築物を雨、光、熱、湿気等の外的刺激から守るために、疎水性の塗料が建築物に塗装されている。疎水性の塗料の塗膜は、耐水性、耐候性等に優れる。しかし、疎水性汚れが付着しやすく、また、付着した汚れを水で流れ落そうとしても容易に流れ落ちない。そのため、疎水性の塗料を塗装した建築物においては、車の排気ガス等からの油性の汚れや土ほこり等が壁面に付着したり、それらが雨と共に移動し雨筋として強調されたりする現象がよく見られる。建築物の形状によっては雨筋がより出やすくなる。このような現象は、建築物の価値を著しく低下させてしまう。
近年、省資源の観点からメンテナンスフリー塗料の重要性が増し、特に耐汚染性に優れた塗料の需要が拡大している。低汚染塗料は一般に、形成される塗膜表面が親水性を帯びるものであることが多い。これは、表面が親水性であれば、親和性の異なる疎水性汚れが表面に付着しにくく、しかも雨が降った際、雨滴によって表面が洗い流され、汚れが容易に除去されるためである。
しかし、このような塗膜が屋外に曝され太陽光、降雨、気温変化等の刺激が加えられると、塗膜表面の親水性は一般に低下してしまう。例えば、塗膜表面を親水化し耐汚染性を付与する方法として、コロイダルシリカやポリシロキサン水性分散体を塗料に含有させる方法が知られている。しかし、この方法では、長期間の屋外暴露の際、コロイダルシリカやポリシロキサン水性分散体が雨水等により流失してしまい、親水化効果が失われる。塗膜表面の親水性が低下すると、耐汚染性も低下する。
特許文献1には、コロイダルシリカを乳化安定剤として用いてモノマーを乳化重合して得られるエマルションを含む樹脂組成物が提案されている。この樹脂組成物を用いた塗膜は、耐汚染性が長期にわたり良好であるとされている。しかし、耐汚染性の持続性は必ずしも十分とはいえない。
特許文献2には、カチオン性樹脂の水性分散体又はノニオン性樹脂の水溶液若しくは水分散体と、テトラアルコキシシラン等とアミノ基を有するシラン化合物との縮合物と、酸とを含む水性塗料組成物が提案されている。この水性塗料組成物の塗膜は、耐汚染性等の物性に優れるとされている。しかし、耐汚染性の持続性は必ずしも十分とはいえない。
特許文献3には、アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマー、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和モノマー、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーを特定の割合で含むモノマー混合物を共重合して得られるポリマーと、カルボジイミド基を有する水性ポリマーとを特定の割合で含む水系塗料が提案されている。この水系塗料の塗膜は、耐汚染性、耐水性に優れ、また耐汚染性が長期にわたって持続するとされている。しかし、耐汚染性の持続性には未だ改善の余地がある。
特開2008−133361号公報 特開2008−274242号公報 特開2012−62413号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、長期間屋外に暴露されても汚染されにくい塗膜を形成できる水性塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
〔1〕親水性基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a1)由来の構成単位と、架橋基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a2)由来の構成単位と、前記モノマー(a1)および前記モノマー(a2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a3)由来の構成単位とからなる水性樹脂(A)と、
前記架橋基と反応し得る官能基を有する水性樹脂 (B)と、を含み、
前記水性樹脂(A)中の全構成単位の合計質量に対する、前記モノマー(a1)由来の構成単位の割合が40〜95質量%、前記モノマー(a2)由来の構成単位の割合が0.01〜20質量%であり、
前記水性樹脂(A)の重量平均分子量が50000〜150000であり、
前記水性樹脂 (A)の質量を前記水性樹脂(B)の質量で除した値が0.01以上0.1未満であることを特徴とする水性塗料組成物。
〔2〕前記親水性基が、アミノ基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、4級アンモニウム基、硫酸基、モルホリノ基およびポリ(オキシアルキレン)基からなる群より選ばれる少なくとも1種である〔1〕に記載の水性塗料組成物。
〔3〕前記架橋基が、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ケト基およびアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種である〔1〕または〔2〕に記載の水性塗料組成物。
〔4〕前記架橋基と反応し得る官能基が、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ヒドラジド基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアジリジン基からなる群より選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の水性塗料組成物。
本発明の水性塗料組成物によれば、長期間屋外に暴露されても汚染されにくい塗膜を形成できる。
本発明の水性塗料組成物(以下、「本水性塗料組成物」ともいう。)は、水性樹脂(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)と、水性樹脂 (B)(以下、「(B)成分」ともいう。)とを含む。
「水性樹脂」とは、水に分散または溶解が可能な樹脂を意味する。
本水性塗料組成物は、通常、水をさらに含む。典型的には、水中に(A)成分および(B)成分が分散または溶解している。
本水性塗料組成物において、(A)成分の質量を(B)成分の質量で除した値(以下、「固形分比率(A)/(B)」ともいう。)は、0.01以上0.1未満であり、0.01以上0.06以下が好ましく、0.02以上0.04以下がより好ましい。固形分比率(A)/(B)が前記範囲の下限値以上であると、(A)成分による親水化効果が充分に発揮され、塗膜の耐汚染性が優れる。固形分比率(A)/(B)が前記範囲の上限値以下であると、塗膜の耐汚染性、耐水性、耐候性が優れる。
<(A)成分>
(A)成分は、親水性基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a1)由来の構成単位と、架橋基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a2)由来の構成単位と、前記モノマー(a1)および前記モノマー(a2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a3)由来の構成単位とからなる共重合体である。
モノマー(a1)における親水性基としては、アミノ基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、4級アンモニウム基、硫酸基、モルホリノ基およびポリ(オキシアルキレン)基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等が挙げられ、−NR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示す。)が好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基が好ましい。
モノマー(a1)の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム、アリルスルホン酸、スルホエトキシ(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートベンジルクロライド塩等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよびメタクリロイルの総称である。
モノマー(a2)における架橋基としては、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ケト基およびアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
モノマー(a2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、アクロレイン、クロトンアルデヒド、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンが挙げられる。
なお、ジアセトンアクリルアミドのケト基は架橋基として機能するが、アミド基は親水性基として機能しない。そのため、ジアセトンアクリルアミドはモノマー(a2)に該当する。
モノマー(a3)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルn−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、等の芳香族ビニル化合物;
ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、等の多官能重合性モノマー;
その他、(メタ)アクリロニトリル等のビニル化合物;等。
(A)成分中のモノマー(a1)由来の構成単位、モノマー(a2)由来の構成単位、モノマー(a3)由来の構成単位はそれぞれ1種でもよく2種以上でもよい。
(A)成分中の全構成単位の合計質量(100質量%)に対するモノマー(a1)由来の構成単位の割合は、40〜95質量%であり、50〜90質量%が好ましい。モノマー(a1)由来の構成単位の割合が前記範囲の下限値以上であると、親水化効果が充分に発揮され、塗膜の耐汚染性が優れる。また、本水性塗料組成物の貯蔵安定性にも優れる。モノマー(a1)由来の構成単位の割合が前記範囲の上限値以下であると、塗膜の耐水性、耐候性が優れる。
(A)成分中の全構成単位の合計質量に対するモノマー(a2)由来の構成単位の割合は、0.01〜20質量%であり、0.1〜10質量%が好ましい。モノマー(a2)由来の構成単位の割合が前記範囲の下限値以上であると、屋外暴露下において塗膜表面の親水性が経時で低下しにくく、耐汚染性が長期間維持される。モノマー(a2)由来の構成単位の割合が前記範囲の上限値以下であると、塗膜の造膜性が優れ、平滑な塗膜が得られやすい。
(A)成分中の全構成単位の合計質量に対するモノマー(a3)由来の構成単位の割合は、5.0〜59.99質量%が好ましく、5.0〜49.9質量%がより好ましい。
なお、(A)成分中の全構成単位の合計質量に対する、モノマー(a1)由来の構成単位とモノマー(a3)由来の構成単位とモノマー(a3)由来の構成単位との合計質量の割合は100質量%である。
(A)成分の重量平均分子量は、50000〜150000であり、80000〜120000が好ましい。(A)成分の重量平均分子量が前記範囲の下限値以上であると、屋外暴露下において塗膜表面の親水性が経時で低下しにくく、耐汚染性が長期間維持される。(A)成分の重量平均分子量が前記範囲の上限値を超えると、(A)成分を溶剤重合により製造する際に粘度が上がり過ぎて合成が難しくなる。
(A)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
(A)成分は、典型的には、水分散体または水溶液の状態で本水性塗料用組成物に配合される。
(A)成分の水分散体または水溶液の固形分(水分散体または水溶液の総質量に対する(A)成分の固形分換算の含有量)は、水分散体または水溶液の総質量に対し、5〜15質量%が好ましい。固形分が前記範囲の下限値未満の場合は、塗料化した際の塗料の粘度が低すぎて塗装作業性が悪くなるおそれがある。固形分が前記範囲の上限値を超えると、水分散体が不安定になってゲル化するおそれがある。
(A)成分の水分散体中、(A)成分の粒子径は、0.01〜0.10μmが好ましい。粒子径がその範囲であれば塗膜の耐水性が良好である。
(A)成分の粒子径は、走査型電子顕微鏡により測定される平均粒子径である。
((A)成分の製造方法)
(A)成分は、モノマー(a1)と、モノマー(a2)と、モノマー(a3)とからなるモノマー混合物を重合して得られる。
モノマー混合物の総質量に対する各モノマーの割合(質量%)は、(A)成分を構成する全構成単位の合計質量に対する各モノマー由来の構成単位の割合と同様である。
重合方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合法を用いることができる。
(A)成分の製造方法の一例として、モノマー(a1)と、モノマー(a2)と、モノマー(a3)とからなるモノマー混合物を有機溶媒に溶解して加熱し、重合開始剤を用いて反応(重合反応)させ、冷却し、必要に応じて中和し、水を加え、前記有機溶媒を除く方法が挙げられる。これにより、微細な(A)成分の粒子が水に均一分散した半透明液体状の水分散体が得られる。この水分散体は、そのまま本水性塗料組成物の調製に用いることができる。
前記モノマー混合物を反応させる際の温度は、例えば60〜90℃とすることができる。反応させる時間は、例えば3〜10時間とすることができる。
有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒が望ましい。具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。重合安定性、溶媒の水置換性、溶媒除去性の点から、1−プロパノールまたは2−プロパノールが好ましい。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチル−α−クミルパーオキシド等の有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。還元剤と組み合わせて反応を速めることもできる。
中和剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等が挙げられる。塗膜の耐水性、耐汚染性の点から、アンモニアが好ましい。
<(B)成分>
(B)成分は、(A)成分が有する構成単位(a2)の架橋基と反応し得る官能基を有する。
そのような官能基としては、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ヒドラジド基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアジリジン基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(B)成分が有する官能基は、(A)成分が有する架橋基に応じて適宜選択される。
架橋基がグリシジル基の場合、(B)成分が有する官能基は、カルボキシル基および酸無水物基のいずれか一方または両方が好ましい。
架橋基がカルボキシル基および酸無水物基のいずれか一方または両方の場合、(B)成分が有する官能基は、グリシジル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアジリジン基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
架橋基がアルコキシシリル基の場合、(B)成分が有する官能基は、アルコキシシリル基が好ましい。
架橋基がケト基およびアルデヒド基のいずれか一方または両方の場合、(B)成分が有する官能基は、ヒドラジド基が好ましい。
(B)成分としては、前記官能基を有していればよく、種々の樹脂骨格組成を有する水性樹脂を用いることができる。
(B)成分の具体例としては、例えば水性アクリル共重合樹脂、水性ウレタン共重合樹脂、水性アクリルシリコン共重合樹脂、水性アクリルウレタン共重合樹脂、水性フッ素アクリル共重合樹脂、水性フッ素ビニル共重合樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
(B)成分中の前記官能基の含有量は、官能基の構造によって適宜規定される。
(B)成分のガラス転移温度(Tg)は、0〜50℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。Tgがその温度範囲ならば耐雨筋汚染性が良好となる。
Tgは、示差走査熱量計により測定される。
(B)成分が粒状である場合、(B)成分の粒子径は、本水性塗料用組成物の安定性、塗膜の耐水性および促進耐候性の観点から0.1〜0.25μmが好ましくい。
(B)成分の粒子径は、大塚電子社製 濃厚系粒径アナライザーにより測定される平均粒子径である。
((B)成分の製造方法)
(B)成分の製造方法としては、例えば、前記官能基を有するモノマーを含むモノマー成分を重合する方法が挙げられる。なお、ヒドラジド基を導入するに当たっては、通常、まずヒドラジド基と反応し得るケト基を有するモノマーを重合し、これにヒドラジド基を有する化合物を反応させる、という道筋を経る。ケト基を有するモノマーとしてはジアセトンアクリルアミドが挙げられ、ヒドラジド基を有する化合物としてはアジピン酸ジヒドラジドが挙げられる。
前記官能基を有するモノマーとしては、例えば、前記モノマー(a2)のうち前記官能基を有するモノマー等の、前記官能基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。
モノマー成分は、前記官能基を有するモノマー以外の他のモノマーをさらに含んでもよい。他のモノマーとしては、前記官能基を有するモノマーと共重合可能なモノマーであればよく、塗料用樹脂に用いられるモノマーとして公知のモノマーのなかから(B)成分の所望の樹脂骨格組成に応じて適宜選択できる。
モノマー成分の重合方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合法を用いることができる。
<任意成分>
本水性塗料組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分および(B)成分以外の塗料用樹脂、顔料、添加剤、溶剤等をさらに含んでもよい。顔料としては、例えば体質顔料、着色顔料、光輝顔料等が挙げられる。添加剤としては、例えば消泡剤、防腐剤、分散剤、湿潤剤、劣化防止剤等が挙げられる。これらはそれぞれ公知のものを用いることができる。
本水性塗料組成物は、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて水、(A)成分および(B)成分以外の塗料用樹脂、顔料、添加剤、溶剤等を混合することにより調製できる。本水性塗料組成物中の(A)成分および(B)成分の合計の含有量は、本水性塗料組成物の用途によって適宜規定される。塗料の各材料の混合順序は特に限定されない。混合方法としては、各材料を均一に混合できれば特に制限されず、例えば、各材料を容器に入れ、高速攪拌機等の攪拌手段によって攪拌する方法が挙げられる。
<作用効果>
本水性塗料組成物にあっては、(A)成分と(B)成分とを含み、固形分比率(A)/(B)が0.01以上0.1未満であるため、長期間屋外に暴露されても汚染されにくい塗膜を形成できる。
(A)成分は、モノマー(a1)由来の構成単位およびモノマー(a2)由来の構成単位を有するため、親水性基および架橋基を有する。(A)成分が親水性基を有することで、塗膜表面が親水性を有し、塗膜の耐汚染性が優れる。(A)成分が架橋基を有し、(B)成分が、前記架橋基と反応し得る官能基を有することで、塗膜中で(A)成分と(B)成分とが反応し強固に化学結合するため、塗膜表面の親水性が失われにくく、塗膜の耐汚染性が長期間持続する。
また、本水性塗料組成物から形成される塗膜は、耐水性、耐候性にも優れる。
また、本水性塗料組成物は、貯蔵安定性にも優れる。
本水性塗料組成物の塗膜は、本水性塗料組成物を被塗装物に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
被塗装物としては、特に限定されず、例えばサイディングボード、フレキシブル板等が挙げられる。本水性塗料組成物が塗布される前に予め、被塗装物に下塗塗膜が形成されていてもよい。下塗塗膜は、公知の下塗塗料を用いて形成できる。
塗布方法は特に限定されず、例えば刷毛、ローラー、ガン等が挙げられる。乾燥条件としては、例えば、23℃で14日間の条件が挙げられる。
本水性塗料組成物の塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、乾燥後の厚さとして、50〜500μmとすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下において、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
<水性樹脂(A)の製造>
[製造例A1]
攪拌機を備えた内容量3Lの丸底フラスコに、2−プロパノール500部、メチルメタクリレート30部、ジメチルアミノエチルメタクリレート150部、メタクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド16部を仕込み、攪拌しながら昇温し、75℃にて2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、反応を開始した。内温75℃にて5時間反応させ冷却し、40℃以下にて25%アンモニア水15部、水1800部を仕込み、均一になるまで攪拌し、固形分8%の液体を得た。ロータリーエバポレーターを用いて、この液体から2−プロパノールを留去し、固形分10%、重量平均分子量11万の水性樹脂(A1)を得た。
[製造例A2〜A13]
使用する原料の仕込み量(部)を表1〜3に示すようにした以外は製造例A1と同様な方法で水性樹脂(A2)〜(A13)を得た。
各水性樹脂の固形分、粒子径、重量平均分子量を表1〜3に示す。
Figure 2018080297
Figure 2018080297
Figure 2018080297
なお、製造例11で得られた水性樹脂(A11)については、アンモニア水添加時に均一化されず、高粘度の状態であったため、固形分、粒子径は測定できなかった。重量平均分子量については、アンモニア水添加前の未中和時に測定できた。
<水性樹脂(B)の製造>
[製造例B1]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水520部、アデカリアソープ(登録商標)SR10(ADEKA社製)10部を仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
内容量2Lのビーカーに水210部を仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)10部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート520部、2−エチルヘキシルアクリレート400部、ジアセトンアクリルアミド30部、メタクリル酸50部を仕込み乳化させてモノマー乳化液を得た。内容量100mLのビーカーに水50部を仕込み、これに過硫酸カリウム3部を溶解させて開始剤水溶液を得た。
60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液それぞれの全量のうち10%を加え、さらに水30部に溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1部を添加した。発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液それぞれの残りを4時間かけて滴下した。反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にて、アンモニア60部、アジピン酸ジヒドラジド20部を水150部に添加した水分散液と、防腐剤5部とを加え、アクリルポリマーエマルションを得た。このエマルションにテキサノール100部と水100部とを添加し、Tg20℃、粒子径0.10μmの水性樹脂(B1)を得た。
アデカリアソープSR10(ADEKA社製)は、下記式で表される化合物である。式中のRはアルキル基を示す。
Figure 2018080297
[製造例B2]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水670部、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)10部を仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
内容量1Lのビーカーに水105部を仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)5部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート270部、2−エチルヘキシルアクリレート 205部、グリシジルメタクリレート25部を仕込み乳化させてモノマー乳化液Iを得た。内容量100mLのビーカーに水50部を仕込み、これに過硫酸カリウム3部を溶解させて開始剤水溶液を得た。
60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液Iの全量のうち20%と、前記開始剤水溶液の全量のうち10%とを加え、さらに水30部に溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1部を添加した。発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液Iの残り全量と、前記開始剤水溶液の残りのうち45%とを2時間かけて滴下した。反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、1時間反応させた。
内容量1Lのビーカーに水105部を仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)5部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート270部、2−エチルヘキシルアクリレート205部、メタクリル酸25部を仕込み乳化させてモノマー乳化液IIを得た。このモノマー乳化液IIの全量と、前記開始剤水溶液の残り全量とを、前記1時間反応させた後のセパラブル丸底フラスコ中に2時間かけて滴下した。反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア30部、防腐剤5部を加え、アクリルポリマーエマルションを得た。このエマルションにテキサノール100部と水100部とを添加し、Tg20℃、粒子径0.20μmの水性樹脂(B2)を得た。
[製造例B3]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水1100部、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)10部を仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
内容量2Lのビーカーに水210部を仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)10部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート580部、2−エチルヘキシルアクリレート 360部、Z6030(東レダウコーニング社製)10部、メタクリル酸50部を仕込み、乳化させてモノマー乳化液を得た。内容量200mLのビーカーに水100部を仕込み、これに過硫酸カリウム3部を溶解させて開始剤水溶液を得た。
60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液それぞれの全量のうち10%を加え、さらに水60部に溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1部を添加した。発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液の残りを3時間かけて滴下した。反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア60部、防腐剤5部を加え、アクリルシリコンポリマーエマルションを得た。これにテキサノール120部と水180部とを添加し、Tg30℃、粒子径0.10μmの水性樹脂(B3)を得た。
Z6030(東レダウコーニング社製)は、下記式で表される化合物である。
Figure 2018080297
[製造例B4]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水670部、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)5部を仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
内容量2Lのビーカーに水210部を仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)15部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート540部、2−エチルヘキシルアクリレート410部、メタクリル酸50部、を仕込み乳化させてモノマー乳化液を得た。内容量100mLのビーカーに水50部を仕込み、これに過硫酸カリウム3部を溶解させて開始剤水溶液を得た。
60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液それぞれの全量のうち10%を加え、さらに水30部に溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1部を添加した。発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液の残りを4時間かけて滴下した。反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア60部、防腐剤5部を加え、アクリルポリマーエマルションを得た。これにテキサノール100部と水100部とを添加し、Tg20℃、粒子径0.20μmの水性樹脂(B4)を得た。
[製造例B5]
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水1100部、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)5部を仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。
内容量2Lのビーカーに水210部を仕込み、これにアデカリアソープSR10(ADEKA社製)25部を加え溶解させ、撹拌しつつ、メチルメタクリレート520部、2−エチルヘキシルアクリレート380部、ブレンマー(登録商標)PE350(日油社製)100部を仕込み乳化させてモノマー乳化液を得た。内容量200mLのビーカーに水100部を仕込み、これに過硫酸カリウム3部を溶解させて開始剤水溶液を得た。
60℃となった前記セパラブル丸底フラスコに、前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液それぞれの全量のうち10%を加え、さらに水60部に溶解させた亜硫酸水素ナトリウム1部を添加した。発熱と色調変化(青白色)を確認した後、このセパラブル丸底フラスコ中に前記モノマー乳化液および前記開始剤水溶液の残りを3時間滴下した。反応温度は65℃を維持した。滴下終了後、2時間反応させて冷却し、40℃以下にてアンモニア20部、防腐剤5部を加え、アクリルポリマーエマルションを得た。これにテキサノール120部と水180部とを添加し、Tg20℃、粒子径0.25μmの水性樹脂(B5)を得た。
ブレンマーPE350(日油社製)は、下記式で表される化合物である。
Figure 2018080297
表4に、水性樹脂B1〜B5の樹脂骨格組成、蒸発残分、ガラス転移温度(Tg)、最低像膜温度、粒子径、pH、官能基の種類を示す。
Figure 2018080297
<水性塗料組成物の調製>
[実施例1]
水12部、ノプコスパース(登録商標)44C(サンノプコ社製)1部、プロピレングリコール2部、SNデフォーマー1320(サンノプコ社製)0.1部、ヒドロキシエチルセルロースSP400(ダイセル社製)0.2部、を混合し、さらにアンモニア水0.1部、ベンゾチアゾール系防腐剤0.1部を加えて混合した後、ガラスビーズと共に高速ディスパーで攪拌しつつ、酸化チタン30部を徐々に添加し白ペーストを得た。この白ペースト45.5部に対して、水性樹脂(B)として水性樹脂(B1)126部と、水性樹脂(A)として水性樹脂(A1)20部と、SNシックナー641(サンノプコ社製)2部とを添加し白塗料(水性塗料組成物)を作製した。
ここで、水性樹脂(B)、(A)の固形分はそれぞれ63部、2部であり、固形分比率(A)/(B)は0.03となる。また、白塗料のPVC(顔料体積濃度)は11%となる。
[実施例2〜9、比較例1〜10]
水性樹脂(B)、(A)それぞれの種類と添加部数を表5〜8に示すようにした以外は実施例1と同様な方法で白塗料を作製した。
表5〜8に、各例の白塗料における水性樹脂(B)、(A)それぞれの固形分、固形分比率(A)/(B)、水性樹脂(A)が有する架橋官能基、水性樹脂(B)が有する官能基、PVC(顔料体積濃度)を示す。
なお、比較例7において、水性樹脂(B5)が有する官能基は、水性樹脂(A5)が有する架橋官能基と反応しないため、これらの水性樹脂は架橋しない。
Figure 2018080297
Figure 2018080297
Figure 2018080297
Figure 2018080297
<性能評価>
前記の白塗料について、以下の評価を行った。結果を表9〜12に示す。
ただし、比較例8の白塗料は、塗膜作製時に割れが入ったため、塗膜性能(耐雨筋汚染性、耐水性、促進耐候性)は評価不能であった。
また、製造例11で得た水性樹脂(A11)は、前述の通り、アンモニア水添加時に均一化されず、高粘度の状態であり、これを用いた比較例10の白塗料も高粘度の状態であった。そのため、以下の評価は行わなかった。
耐雨筋汚染性:
アルミ板(大きさ225×100×1mm)を、長辺方向の一端から3分の1の位置で、短辺方向に沿って内角135°に折り曲げ、凸面に溶剤型ウレタン系下塗塗料(二液)を塗布し、室温下で1日間乾燥し、次いで、水系下塗塗料(一液)を塗布し、室温下で4時間乾燥して下塗塗膜を形成した。この下塗塗膜上に、白塗料を、乾燥後に0.5mm厚となるように塗布し、室温下で1週間乾燥して塗膜を形成し、試験体とした。この試験体を埼玉県久喜市桜田の藤倉化成(株)敷地内(屋外)で1年間、南面に垂直暴露した。その後、試験体の塗膜を目視で観察し、以下の基準で塗膜の耐雨筋汚染性を評価した。
○:雨筋汚れ小、△:雨筋汚れ中、×:雨筋汚れ大。
耐水性:
スレート板(大きさ40×75×3mm)の片面に溶剤型ウレタン系下塗塗料(二液)を塗布し、室温下で1日間乾燥し、次いで、水系下塗塗料(一液)を塗布し、室温下で4時間乾燥して下塗塗膜を形成した。この下塗塗膜上に、白塗料を、乾燥後に0.5mm厚となるように塗布し、室温下で1週間乾燥して塗膜を形成した。その後、塗膜を形成したスレート板の裏面と側面にエポキシ系塗料(二液)を塗布し、1日乾燥した後、エポキシ系塗料の上にさらにフッ素系塗料(二液)を塗布し、3日間乾燥して試験体とした。この試験体を40℃純水に1週間浸漬した。その後、試験体の塗膜の状態を目視で観察し、以下の基準で塗膜の耐水性を評価した。
○:異常なし、△:わずかにフクレあり、×:多くのフクレあり。
促進耐候性:
耐水性と同じ方法で試験体を作製した。ただし、スレート板の大きさは40×40×3mmとした。この試験体の塗膜の表面における60度鏡面光沢度を、マイクロ・グロス(BYK社製)により測定した。
次いで、試験体に対し、アイスーパーUVテスター(岩崎電気製)にて、500時間の暴露処理を行った。処理後の試験体の塗膜の表面における60度鏡面光沢度を前記と同様に測定し、下記式により、処理前に対する光沢維持率(%)を算出した。
光沢維持率(%)=暴露処理後の60度鏡面光沢度/暴露処理前の60度鏡面光沢度×100
貯蔵安定性:
白塗料を缶に密封し、50℃下で1カ月貯蔵した後、白塗料の状態を目視で観察し、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
○:異常なし、×:沈降やゲル化が見られる。
Figure 2018080297
Figure 2018080297
Figure 2018080297
Figure 2018080297
実施例1〜9の白塗料の塗膜は、耐雨筋汚染性に優れ、長期間屋外に暴露されても汚染されにくいものであった。また、これらの塗膜は、耐水性、耐候性にも優れていた。また、これらの白塗料は、貯蔵安定性に優れていた。
対して比較例1〜7、9の白塗料の塗膜は、耐雨筋汚染性に劣っていた。比較例8の白塗料は、塗膜作製時に割れが入り、性能評価不能であった。比較例10の白塗料は、高粘度で塗布できない状態であった。
本発明の水性塗料組成物によれば、長期間屋外に暴露されても汚染されにくい塗膜を形成できる。

Claims (4)

  1. 親水性基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a1)由来の構成単位と、架橋基およびエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a2)由来の構成単位と、前記モノマー(a1)および前記モノマー(a2)以外のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(a3)由来の構成単位とからなる水性樹脂(A)と、
    前記架橋基と反応し得る官能基を有する水性樹脂 (B)と、を含み、
    前記水性樹脂(A)中の全構成単位の合計質量に対する、前記モノマー(a1)由来の構成単位の割合が40〜95質量%、前記モノマー(a2)由来の構成単位の割合が0.01〜20質量%であり、
    前記水性樹脂(A)の重量平均分子量が50000〜150000であり、
    前記水性樹脂 (A)の質量を前記水性樹脂(B)の質量で除した値が0.01以上0.1未満であることを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 前記親水性基が、アミノ基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、4級アンモニウム基、硫酸基、モルホリノ基およびポリ(オキシアルキレン)基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記架橋基が、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ケト基およびアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
  4. 前記架橋基と反応し得る官能基が、グリシジル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ヒドラジド基、カルボジイミド基、オキサゾリン基およびアジリジン基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
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