JP6052364B2 - 水性被覆材及び塗装物 - Google Patents
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Description
しかし、(i)のようにガラス転移温度を高くして塗膜の硬度を高くする方法では、成膜性が低下してしまい、冬場に塗膜にヒビ等が発生する(凍害性)ことがある。また、この方法による耐汚染性の大幅な改善は困難である。
また、(ii)のように塗膜表面を親水化する手法では、単量体の組成による親水化は耐候性が低下してしまう。その他、界面活性剤等の添加を行うと耐水性が低下し、耐汚染性の効果を持続し難くなる。
また、(iii)のように帯電性を制御する手法では、帯電防止剤の添加は耐候性、耐水性に悪影響を及ぼすため、効果を持続させることが困難である。
例えば、特許文献1には、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体エマルション100質量部と、コロイダルシリカ1〜300質量部とを含有する水性被覆組成物(水性被覆材)が示されている。しかしながら、この水性被覆材は耐汚染性が不十分である。
しかし、この塗膜は、屋外暴露直後は優れた耐汚染性を発揮するが、経時的に水接触角が上昇して耐汚染性が低下してしまうことがあった。
また、本発明では、耐汚染性、特に低汚染維持性、透明性、耐候性に優れた塗装物を提供する。
[1]重合体(I)のエマルション粒子と、コロイダルシリカ(II)と、アニオン系界面活性剤(III)と、ノニオン系界面活性剤と、分子中に少なくとも2つのヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物とを含み、
前記重合体(I)は、ジメチルシロキサンに由来する繰り返し単位を有する重合体ブロック(A)と、重合体ブロック(B)と、前記重合体ブロック(A)及び前記重合体ブロック(B)に共重合したケイ素含有グラフト交叉単位(C)から構成されるグラフトブロック共重合体であり、
前記重合体(I)のエマルション粒子は、重合体ブロック(B)で構成される内層と外層を備える多層構造であり、
前記重合体(I)の合計質量を100質量部としたとき、前記重合体ブロック(B)の含有量が50〜99.7質量部であり、
前記重合体ブロック(B)は、前記重合体ブロック(B)の合計質量を100質量部としたとき、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性基を2つ以上有する多官能単量体からなる単量体(a)0.1〜20質量部、カルボニル基及び/又はアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体(b)0.1〜10質量部、並びにその他の共重合単量体(c)99.8〜70質量部(ただし、単量体(a)、(b)、(c)の合計が100質量部である。)の各単量体に由来する繰り返し単位を有し、
前記単量体(c)はエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含み、
前記外層には、前記単量体(a)に由来する繰り返し単位が0.1〜18質量部、前記単量体(b)に由来する繰り返し単位が0.1〜8質量部、及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する繰り返し単位が0.1〜10質量部含まれ、
前記内層には、前記重合体ブロック(B)が有する各繰り返し単位の総量のうち、前記外層に含まれる各繰り返し単位の量を差し引いた前記単量体(a)、単量体(b)及び前記単量体(c)の各単量体に由来する繰り返し単位が含まれ、
前記コロイダルシリカ(II)の固形分含有量が、前記重合体(I)100質量部に対して0.5〜20質量部であり、
前記アニオン系界面活性剤(III)が、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である水性被覆材。
[2]重合体(I)のエマルション粒子と、コロイダルシリカ(II)と、アニオン系界面活性剤(III)と、ノニオン系界面活性剤と、分子中に少なくとも2つのヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物とを含み、
前記重合体(I)は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性基を2つ以上有する多官能単量体からなる単量体(a)、カルボニル基及び/又はアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体(b)、並びにその他の共重合単量体(c)の各単量体に由来する繰り返し単位を有しており、前記単量体(a)、(b)及び(c)に由来する繰り返し単位の合計100質量部に対して、前記単量体(a)に由来する繰り返し単位0.1〜20質量部、前記単量体(b)に由来する繰り返し単位0.1〜10質量部及び前記単量体(c)に由来する繰り返し単位99.8〜70質量部であり(ただし、前記重合体(I)の合計質量を100質量部としたとき、前記単量体(a)、(b)及び(c)に由来する繰り返し単位の合計が100質量部であるものを除く。)、
前記単量体(c)はエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含み、
前記重合体(I)のエマルション粒子は、内層と外層を備える多層構造であり、
前記外層には、前記重合体(I)に含まれる前記単量体(a)、(b)及び(c)に由来する繰り返し単位の合計100質量部に対して、前記単量体(a)に由来する繰り返し単位が0.1〜18質量部、前記単量体(b)に由来する繰り返し単位が0.1〜8質量部、及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する繰り返し単位が0.1〜10質量部含まれ、
前記内層には、前記重合体(I)が有する各繰り返し単位の総量のうち、前記外層に含まれる各繰り返し単位の量を差し引いた前記単量体(a)、単量体(b)及び前記単量体(c)の各単量体に由来する繰り返し単位が含まれ、
前記コロイダルシリカ(II)の固形分含有量が、前記重合体(I)100質量部に対して0.5〜20質量部であり、
前記アニオン系界面活性剤(III)が、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である水性被覆材。
[3]前記[1]又は[2]に記載の水性被覆材が塗布された塗装物。
また、本発明の塗装物は、耐汚染性に優れ、特に低汚染維持性を発現することができ、かつ透明性及び耐候性にも優れている。
以下、本発明の水性被覆材について詳細に説明する。
本発明の水性被覆材は、重合体(I)と、コロイダルシリカ(II)と、アニオン系界面活性剤(III)と、ノニオン系界面活性剤と、分子中に少なくとも2つのヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物(以下、単に有機ヒドラジン化合物という。)とが含まれている。
重合体(I)は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性基を2つ以上有する多官能単量体からなる単量体(a)、カルボニル基及び/又はアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体(b)(以下、単量体(b)という。)、並びにその他の共重合単量体(c)(以下、単量体(c)という。)を共重合させることにより得られる重合体である。
重合体(I)は、形成される塗膜に成膜性、耐候性、耐水性、耐凍害性等を付与する役割を果たす。
単量体(a)は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性基を2つ以上有する多官能単量体からなる単量体である。単量体(a)を用いることにより、形成される塗膜表面へのコロイダルシリカ(II)の露出量を向上させることができ、優れた耐汚染性、耐候性、耐水性が得られる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a)の含有量は、重合体(I)の合計質量を100質量部としたとき、0.1〜20質量部であり、0.5〜18質量部であることが好ましい。単量体(a)の含有量が0.1質量部以上であれば、耐汚染性、耐候性、耐水性に優れた塗膜を形成することができる。また、単量体(a)が20質量部以下であれば、耐凍害性を低下させることなく耐汚染性、耐候性、耐水性に優れた塗膜を形成することができる。
単量体(b)は、カルボニル基及び/又はアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体である。単量体(b)を用いることにより、後述する有機ヒドラジン化合物との間で架橋反応が進行し、低汚染維持性、耐候性、耐水性、耐凍害性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、及び各種下地に対する密着性に優れた塗膜を形成することができる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)の含有量が0.1質量部以上であれば、低汚染維持性、耐候性、耐水性、耐凍害性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、各種下地に対する密着性に優れた塗膜を形成することができる。また、単量体(b)の含有量が20質量部以下であれば、初期の耐汚染性を低下させることなく、低汚染維持性、耐候性、耐水性、耐凍害性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、各種下地に対する密着性に優れた塗膜を形成することができる。
単量体(c)は、単量体(a)及び単量体(b)以外に共重合させることのできる単量体である。
単量体(c)は、特に限定されないが、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体、t−ブチルメタクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレート、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体、耐紫外線ラジカル重合性単量体を使用することが好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体や、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの単量体の含有量は、重合体(I)の合計質量を100質量部としたとき、5〜70質量部であることが好ましく、10〜60質量部であることがより好ましい。前記含有量が5質量部以上であれば、形成される塗膜の耐水性及び耐候性が向上する。また、前記含有量が70質量部以下であれば、形成される塗膜の耐凍害性を低下させることなく、形成される塗膜の耐候性及び耐水性を向上させることができる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
耐紫外線ラジカル重合性単量体としては、代表例として、光安定化作用を有する(メタ)アクリレート、紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。光安定化作用を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
グラフトブロック共重合体中の重合体ブロック(B)の含有量は、グラフトブロック共重合体の全質量を100質量部としたとき、50〜99.7質量部であることが好ましく、60〜99.5質量部であることがより好ましい。重合体ブロック(B)の含有量が50質量部以上であれば、形成される塗膜の硬度、強度及び耐汚染性が向上する。また、重合体ブロック(B)の含有量が99.7質量部以下であれば、形成される塗膜の耐候性、耐水性及び耐凍害性の低下が抑制されやすい。
コロイダルシリカ(II)は、本発明の水性被覆材を用いて形成される塗膜に親水性、及び導電性を付与し、該塗膜の耐汚染性を向上させる役割を果たす。また、形成される塗膜に硬さ、耐候性を与える役割を果たす。
コロイダルシリカ(II)は市販品を使用することができ、水を分散媒にしたものであっても有機溶剤を分散媒としたものであってもよい。
酸性を示す水性コロイダルシリカとしては、例えば、商品名:スノーテックスOXS(SiO2固形分10%)、スノーテックスOS(SiO2固形分20%)、スノーテックスO(SiO2固形分20%)、スノーテックスO−40(SiO2固形分40%)、スノーテックスOL(SiO2固形分20%)、スノーテックスOUP(SiO2固形分15%)(以上、日産化学工業(株)製)、アデライトAT−20Q(旭電化工業(株)製、SiO2固形分20%)、カタロイドSN(触媒化成工業(株)製、SiO2固形分20%)、シリカドール−20A(日本化学工業(株)製、SiO2固形分20%)、シリカドール−20GA(日本化学工業(株)製、SiO2固形分20%)等が挙げられる。
これらのコロイダルシリカは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
SiR1 n+1(OR2)3−n (1)
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2は水素原子、又はエーテル結合を含んでもよい炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、nは0〜2の整数である。)
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、塗膜表面に露出したコロイダルシリカ(II)が占める面積とは、塗膜表面の走査型電子顕微鏡写真の二次電子像を画像処理することにより求めた面積をいう。また、コロイダルシリカ(II)に覆われていない被覆成分の分布状態や大きさは、走査型電子顕微鏡の二次電子像を用いて目視で判断することができる。具体的な電子顕微鏡写真撮影条件と画像処理に用いたソフトウェアの一例を以下に挙げる。
日本電子製 JSM−6340F型 電界放射形走査型電子顕微鏡
加速電圧 2.5kV、倍率 50,000倍・画像処理解析
Planetron Inc. Image−Pro Plus
解析対象最小面積 1e−5μm2
尚、成膜時にコロイダルシリカ(II)は重合体粒子の間をすり抜けるように塗膜表面に浮上し、重合体粒子を覆うような形で成膜すると考えられる。従って、塗膜の表面形態について、コロイダルシリカ(II)に覆われていない重合体部分の形状は、被覆成分中の重合体粒子の形状を反映し、円形又はそれに近い形状、もしくはそれらが付着した形状が主となる。電子顕微鏡写真においてこれら重合体粒子とコロイダルシリカ(II)のコントラストが不十分であると、実態に即した画像処理結果が得られにくい。従って電子顕微鏡写真のデジタル画像にコントラストを付けるため、Photo Shop等のソフトウェアで処理してから画像処理を行うことも有効である。
さらに、塗膜の表層におけるコロイダルシリカ(II)由来のシリコン濃度は、10atm%以上であることが好ましい。シリコン濃度が10atm%以上であれば、形成される塗膜に充分な耐汚染性、水接触角、制電性が得られやすい。
塗膜の表層におけるコロイダルシリカ(II)由来のシリコン濃度は、X線光電子分光法にて求めることができる。具体的なX線光電子分光法の測定条件の一例を以下に示す。
(X線光電子分光法)
VG社 ESCA LAB 220iXL
X線源 単色化Alkα, 200W
レンズモード Large XLモード
Pass Energy 100e(wide scan)
20e(narrow scan)
アニオン系界面活性剤(III)は、ノニオン系界面活性剤と併用することにより、形成される塗膜表面に占めるコロイダルシリカ(II)の面積を大きくさせ、効率的かつ効果的に親水性と制電性を付与し、該塗膜の耐汚染性を向上させる役割を果たす。
アニオン系界面活性剤(III)としては、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1種以上の界面活性剤が挙げられる。なお、上記の硫酸エステル塩にはホルマリン縮合物も含む。
また、アニオン系界面活性剤(III)の硫酸エステル塩としては、例えば、硫酸エステルナトリウム塩、硫酸エステルカリウム塩、硫酸エステルカルシウム塩、硫酸エステルアンモニウム塩等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩としては、例えばNewcol 707SF等のNewcol 700番シリーズ(商品名、日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物としては、例えばSP−185FNa(商品名、東邦化学(株)製)等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物としては、例えばAntox MS−60(商品名、日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤は、アニオン系界面活性剤(III)と併用することにより、形成される塗膜表面に占めるコロイダルシリカ(II)の面積を大きくさせ、効率的かつ効果的に親水性と制電性を付与し、該塗膜の耐汚染性を向上させる役割を果たす。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン誘導体、ポリオキシアルキレンアリールエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルのホルマリン縮合物等が挙げられる。なかでも、塗膜表面に占めるコロイダルシリカ(II)の面積を大きくさせて、効率的かつ効果的に親水性及び制電性に特に優れた塗膜が得られる点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが特に好ましい。
また、ポリオキシエチレンの繰り返し単位数は、特に優れた親水性と制電性を有する塗膜が得られる点から、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
R3O−(C2H4O)m−H (2)
(ただし、mは0又は正の整数であり、R3は1〜36の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。)
このノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、エマルゲン1150S−60(商品名、花王(株)製、R3:主に炭素原子数が11のアルキル基、m=50)等が挙げられる。
本発明における有機ヒドラジン化合物は、分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する化合物である。塗膜の乾燥時に、単量体(b)のカルボニル基及び/又はアルデヒド基と、配合された有機ヒドラジン化合物のヒドラジノ基との間で架橋反応が進行する。水性被覆材が有機ヒドラジン化合物を含有することにより、低汚染維持性、耐候性、耐水性、耐凍害性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、各種下地に対する密着性に優れた塗膜が得られる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の水性被覆材には、コーティング材料として高度な性能を発現させる点から、各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、造膜助剤等の各種添加剤が含まれていてよく、さらにポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂等の他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類、イソシアネート類等の硬化剤が混合されていてもよい。
以下、本発明の水性被覆材の製造方法について説明する。
本発明の水性被覆材の製造方法は、重合体(I)を含む被覆成分を調製する工程(1)と、アニオン系界面活性剤(III)及びノニオン系界面活性剤を添加する工程(2)と、被覆成分にコロイダルシリカ(II)を添加する工程(3)とを含む方法である。工程(2)は、工程(1)と同時に行ってもよく、工程(1)の後に行ってもよい。
乳化重合によりエマルション粒子分散液を得る方法としては、例えば、界面活性剤(アニオン系界面活性剤(III)及びノニオン系界面活性剤)の存在下、単量体(a)〜(c)のラジカル重合性単量体混合物を重合系内に供給し、ラジカル重合開始剤により重合を行わせる方法等、公知の方法を使用することができる。
また、水性被覆材及び塗料の貯蔵安定性の点からは、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類と硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤の組み合わせが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
有機ヒドラジン化合物の配合は、塩基性化合物の添加によりエマルション粒子分散液のpHを中性領域〜弱アルカリ性、すなわちpH6.5〜11.0程度の範囲に調整した後に添加する方法が挙げられるが、塩基性化合物を添加する前に有機ヒドラジン化合物を添加し、その後に塩基性化合物の添加する方法が好ましい。これにより、塗膜の耐汚染性及び低汚染維持性を向上させることが容易になる。
工程(3)においては、コロイダルシリカ(II)を添加する。工程(3)は、工程(2)の前に行ってもよく、同時に行ってもよく、後に行ってもよい。コロイダルシリカ(II)の添加方法は特に限定はない。
以上の方法により、水性被覆材が得られる。
水性被覆材を使用する際には、必要に応じて造膜助剤等の各種添加剤等を添加して使用する。
本発明の塗装物は、前述の水性被覆材が塗布された塗装物である。
本発明の水性被覆材を塗布することにより得られる塗膜としては、特にその塗膜形成箇所に制約はなく、種々の物品(以下、便宜的に基体と称する。)に成膜して塗装物とすることができる。基体としては、例えば、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押し出し成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック、珪酸カルシウム基材、塩ビシート、FRP(Fiber Reinforced Plastics)基材等が挙げられる。本発明の水性被覆材による塗膜は、これらの各種基体の表面仕上げ等に位置付けることができる。
また、常温あるいは50℃程度の低温乾燥で塗膜を形成させた後、重合体(I)のガラス転移温度以上の温度で加熱することにより、エマルション粒子同士の結着を強固にして、より耐候性に優れた塗膜とすることもできる。この場合、塗膜表面に露出するコロダルシリカの多少の沈みが観測されるため、短時間での加熱が有効である。
また、本発明の塗装物は、本発明の水性被覆材が塗布されているため、耐汚染性に優れており、特に低汚染維持性を発現することができる。また、透明性及び耐候性にも優れている。
本実施例における水性被覆材の物性試験は、以下に示す方法で行った。
[水接触角、耐カーボン汚染性、耐候性の評価用試験板の作製]
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦150mm×横70mm)に、製造例で得られた塗料を40℃の雰囲気下で、バーコーター#48にて塗装し、130℃で5分間乾燥した。その後、室温で1日間乾燥したものを、水接触角、耐カーボン汚染性、耐候性の評価用塗板とした。
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦300mm×横100mm)に、中塗りとしてダイヤナールLX−2011(三菱レイヨン(株)製)を使用した白エナメル塗料(PVC=40%)を乾燥膜厚が50μmになるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した。ついで、製造例で得られた塗料を乾燥膜厚が30μmになるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した後、室温で1日間乾燥したものを、耐屋外曝露汚染性の評価用塗板とした。
(1)透明性
ガラス板に40℃の雰囲気下で、製造例で得られた塗料を4MILアプリケーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥し、評価用塗板を得た。その塗膜の透明性を目視にて観測し、以下の基準で判定した。
「○」:透明である。
「△」:半透明である。
「×」:白濁している。
協和界面科学(株)製CA−X150型FACE接触角計を用い、評価用塗板に0.4μL(画面上目盛り;3目盛り)の水滴を滴下し、30秒経過後の水接触角を測定した。
評価用塗板に霧吹きにて水を噴霧した直後に、スポイトを用いてカーボンMA100(三菱化学(株)製)の10%石油ベンジン溶液を垂らし、5秒後に水道水にて洗い流した。カーボン溶液を垂らした部分について、カーボンの塗膜への付着程度を目視にて観測し、以下の基準で判定した。
「◎」:全く付着無し。
「○」:部分的に僅かに付着している。
「△」:全面に薄く付着している。
「×」:全面に濃く付着している。
縦300mm×横100mmの試験板を上方から3分の1の長さのところで、内角が135度になるように折り曲げ、その試験板を三菱レイヨン(株)豊橋事業所内(豊橋市牛川通)で南面に向かせ、面積が広い面(垂直面)を垂直にし、さらに面積の狭い面(上部面)が上部になるように設置し、2007年1月〜6月の6ヶ月間曝露した後、塗装被膜上部面における曝露前後の白さの差△Lを色差計により測定し、垂直面は雨筋汚れの有無を目視にて評価した。判定基準を以下に示す。
さらに、上記試験板の屋外暴露を2007年12月まで継続した後(2007年1月〜2007年12月の1年間)、塗装被膜上部面における曝露前後の白さの差△Lを色差計により測定し、垂直面は雨筋汚れの有無を目視にて評価した。1年間の屋外暴露結果を低汚染維持性の指標とした。判定基準を以下に示す。
(塗装被膜上部面における曝露前後の白さの差△L)
「◎」:2.5未満である。
「○」:2.5以上、5.0未満である。
「△」:5.0以上、7.5未満である。
「×」:7.5以上である。
(垂直面の雨筋汚れの有無)
「◎」:雨筋汚染なし。
「○」:わずかに雨筋汚染が見られる。
「×」:明らかに雨筋汚染が見られる。
評価用試験板を70mm×50mmの大きさに切り取り、ダイプラ・メタルウエザーKU−R4−W型(ダイプラ・ウィンテス(株)社製)に切り取った評価用試験板を入れ、試験サイクル:照射4時間(噴霧5秒/15分)/結露4時間、UV強度:85mW/cm2、ブラックパネル温度:照射時63℃/結露時30℃、湿度:照射時50%RH/結露時96%RH、の条件で、480時間(60サイクル)経過後の60°グロスの保持率を耐候性の指標とし、以下の基準で判定した。
「◎」:90%以上である。
「○」:70%以上、90%未満である。
「△」:50%以上、70%未満である。
「×」:50%未満、もしくは塗膜の剥離・クラックが生じた。
環状ジメチルシロキサンオリゴマーの3〜7量体混合物(95部)と、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(5部)、脱イオン水(250部)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.4部)及びドデシルベンゼンスルホン酸(0.4部)からなる組成物を、ホモミキサーで予備混合し、圧力式ホモジナイザーを用いて200kg/cm2の圧力で強制乳化して、原料プレエマルションを得た。
ついで、水(55部)及びドデシルベンゼンスルホン酸(5部)を、攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら、上記原料プレエマルションを4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間重合を進行させ、冷却して、ドデシルベンゼンスルホン酸と当モル量のアンモニアを加えてポリオルガノシロキサン共重合体水分散液(SiEm)を調製した。固形分は22.7%であった。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、及び滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水を80部と、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製、非反応型アニオン性界面活性剤、固形分30%)を2.5部と、SiEmを4部(固形分0.9部)と、1段目(内層)の共重合体の構成成分であるエチレングリコールジメタクリレート(0.1部)、メチルメタクリレート(27.9部)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2部)の混合物とを仕込んだ。フラスコの内温を50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム(0.15部)と脱イオン水(1部)からなる開始剤水溶液を添加し、更に亜硫酸水素ナトリウム(0.05部)と脱イオン水(1部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を65℃に保持し、上記還元剤水溶液を添加してから1時間後にエマルゲン1150S−60(花王(株)製、非反応型ノニオン性界面活性剤、固形分60%)(1.17部)と脱イオン水(1.17部)からなる界面活性剤水溶液を添加した。
その後、室温まで冷却し、スノーテックスNS(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ水分散液、SiO2固形分=20%)を25部(固形分として5部)添加して水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
1段目(内層)及び2段目(外層)に用いる単量体(a)〜(c)を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
SiEmを用いず(SiEmを0部に変更)、「1段目(内層)」に示す共重合体の構成成分、「2段目(外層)」に示す共重合体の構成成分を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、及び滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(87部)、ニューコール707SF(1.88部)、SiEm(4部)(固形分0.9部)、表1の「1段目(内層)」に示す共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物、及びパーブチルH69(日本油脂(株)製)(0.09部)を仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(0.0005部)、アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)、及び脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を80℃に保持し、上記還元剤水溶液を添加してから0.5時間後にエマルゲン1150S−60(1.17部)と脱イオン水(1.17部)からなる界面活性剤水溶液を添加した。
ついで、上記界面活性剤水溶液を添加してから0.25時間後に、表1の「2段目(外層)」に示す共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物、脱イオン水(20部)、ニューコール707SF(10.62部)及びAMP−90(0.115部)を予め乳化分散させたプレエマルション液を1.5時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してから65℃で0.75時間保持した。ついで、アジピン酸ジヒドラジド(0.93部)及び脱イオン水(2部)を添加後、80℃にて0.25時間保持し、28%アンモニア水(1.33部)を添加後、さらに65℃で0.5時間保持した。
その後、室温まで冷却し、スノーテックスNS(25部)(固形分として5部)を添加して水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
コロイダルシリカ水分散液の種類及び添加量、界面活性剤の種類、「1段目(内層)」に示す共重合体の構成成分、「2段目(外層)」に示す共重合体の構成成分、分子中に2個のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物の種類及び添加量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例5と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
MMA:メチルメタクリレート
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
n−BMA:ノルマルブチルメタクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
MAA:メタクリル酸
SZ−6030:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
DAAm:ダイアセトンアクリルアミド
TAC:トリアリルシアヌレート
n−BA:ノルマルブチルアクリレート
スノーテックスNS:(商品名、日産化学工業(株)製、粒子径は8〜11nm)
スノーテックス30:(商品名、日産化学工業(株)製、粒子径は10〜20nm)
スノーテックスN−40:(商品名、日産化学工業(株)製)、粒子径は20〜30nm)
ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製)
CP−12Na:(商品名、東邦化学(株)製)
ラテムルE−118B:(商品名、花王(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)
エマルゲン1150S−60:(商品名、花王(株)製)
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
VDH:1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(商品名アミキュアVDH、味の素ファインテクノ(株)社製)
実施例1においてアジピン酸ジヒドラジド(0.93部)及び脱イオン水(2部)を添加しない以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
コロイダルシリカ水分散液の種類、界面活性剤の種類、「1段目(内層)」に示す共重合体の構成成分、「2段目(外層)」に示す共重合体の構成成分を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
実施例1においてエマルゲン1150S−60(1.17部)と脱イオン水(1.17部)からなる界面活性剤水溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(5部)を添加して塗料とした。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、及び滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(44.7部)、SiEm(88.1部)(固形分として20部)及び過硫酸カリウム(0.48部)を仕込んだ。70℃に昇温した後に、窒素雰囲気下で攪拌しながら、表2の「1段目(内層)」に示す共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で1時間保持し、さらに80℃に昇温して1時間保持した。
その後、室温まで冷却し、28%アンモニア水(1.12部)を添加した後に、スノーテックス30(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ水分散液、SiO2固形分=30%)を100部(固形分として30部)添加して、室温にて1時間保持した。その後、アジピン酸ジヒドラジド(1.52部)を添加して水性被覆材を得た。
さらに、得られた水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(20部)を添加して塗料とした。
コロイダルシリカ水分散液の種類及び添加量を表2に示す通りに変更した以外は、比較例6と同様にして水性被覆材を得た。
さらに、造膜助剤としてブチルセロソルブ(20部)を添加して塗料とした。
Claims (3)
- 重合体(I)のエマルション粒子と、コロイダルシリカ(II)と、アニオン系界面活性剤(III)と、ノニオン系界面活性剤と、分子中に少なくとも2つのヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物とを含み、
前記重合体(I)は、ジメチルシロキサンに由来する繰り返し単位を有する重合体ブロック(A)と、重合体ブロック(B)と、前記重合体ブロック(A)及び前記重合体ブロック(B)に共重合したケイ素含有グラフト交叉単位(C)から構成されるグラフトブロック共重合体であり、
前記重合体(I)のエマルション粒子は、重合体ブロック(B)で構成される内層と外層を備える多層構造であり、
前記重合体(I)の合計質量を100質量部としたとき、前記重合体ブロック(B)の含有量が50〜99.7質量部であり、
前記重合体ブロック(B)は、前記重合体ブロック(B)の合計質量を100質量部としたとき、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性基を2つ以上有する多官能単量体からなる単量体(a)0.1〜20質量部、カルボニル基及び/又はアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体(b)0.1〜10質量部、並びにその他の共重合単量体(c)99.8〜70質量部(ただし、単量体(a)、(b)、(c)の合計が100質量部である。)の各単量体に由来する繰り返し単位を有し、
前記単量体(c)はエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含み、
前記外層には、前記単量体(a)に由来する繰り返し単位が0.1〜18質量部、前記単量体(b)に由来する繰り返し単位が0.1〜8質量部、及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する繰り返し単位が0.1〜10質量部含まれ、
前記内層には、前記重合体ブロック(B)が有する各繰り返し単位の総量のうち、前記外層に含まれる各繰り返し単位の量を差し引いた前記単量体(a)、単量体(b)及び前記単量体(c)の各単量体に由来する繰り返し単位が含まれ、
前記コロイダルシリカ(II)の固形分含有量が、前記重合体(I)100質量部に対して0.5〜20質量部であり、
前記アニオン系界面活性剤(III)が、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である水性被覆材。 - 重合体(I)のエマルション粒子と、コロイダルシリカ(II)と、アニオン系界面活性剤(III)と、ノニオン系界面活性剤と、分子中に少なくとも2つのヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物とを含み、
前記重合体(I)は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性基を2つ以上有する多官能単量体からなる単量体(a)、カルボニル基及び/又はアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体(b)、並びにその他の共重合単量体(c)の各単量体に由来する繰り返し単位を有しており、前記単量体(a)、(b)及び(c)に由来する繰り返し単位の合計100質量部に対して、前記単量体(a)に由来する繰り返し単位0.1〜20質量部、前記単量体(b)に由来する繰り返し単位0.1〜10質量部及び前記単量体(c)に由来する繰り返し単位99.8〜70質量部であり(ただし、前記重合体(I)の合計質量を100質量部としたとき、前記単量体(a)、(b)及び(c)に由来する繰り返し単位の合計が100質量部であるものを除く。)、
前記単量体(c)はエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含み、
前記重合体(I)のエマルション粒子は、内層と外層を備える多層構造であり、
前記外層には、前記重合体(I)に含まれる前記単量体(a)、(b)及び(c)に由来する繰り返し単位の合計100質量部に対して、前記単量体(a)に由来する繰り返し単位が0.1〜18質量部、前記単量体(b)に由来する繰り返し単位が0.1〜8質量部、及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する繰り返し単位が0.1〜10質量部含まれ、
前記内層には、前記重合体(I)が有する各繰り返し単位の総量のうち、前記外層に含まれる各繰り返し単位の量を差し引いた前記単量体(a)、単量体(b)及び前記単量体(c)の各単量体に由来する繰り返し単位が含まれ、
前記コロイダルシリカ(II)の固形分含有量が、前記重合体(I)100質量部に対して0.5〜20質量部であり、
前記アニオン系界面活性剤(III)が、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である水性被覆材。 - 請求項1又は2に記載の水性被覆材が塗布された塗装物。
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