JP3202570B2 - 非汚染塗料用組成物 - Google Patents

非汚染塗料用組成物

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JP3202570B2
JP3202570B2 JP35388395A JP35388395A JP3202570B2 JP 3202570 B2 JP3202570 B2 JP 3202570B2 JP 35388395 A JP35388395 A JP 35388395A JP 35388395 A JP35388395 A JP 35388395A JP 3202570 B2 JP3202570 B2 JP 3202570B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、金属、ガラ
ス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、
押出成型板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに
使用される非汚染塗料用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、建築物、土木構築物等の躯体の
保護、意匠性の付与および、美観の向上のため塗装仕上
げが行われている。特に、近年フッソ樹脂塗料、アクリ
ルシリコン樹脂塗料あるいはアクリルウレタン樹脂塗料
等の高耐久性塗料の出現により、躯体の保護においては
大きな進歩を遂げた。しかしながら、これら高耐久性塗
料では、工場や主要道路に隣接する都市部、市街地にお
いて、それらの排出ガス等の大気汚染によって生じる、
著しいすす状あるいはすじ状の汚染(雨筋汚れ)に対す
る耐汚染性がさらに要求されるようになっている。
【0003】一般に塗膜の耐汚染性は、粘着性、表面電
気抵抗率、および表面粗さに要因するとされているた
め、これらの要因に対し、様々な改善の試みがなされて
いる。例えば、特開平6−179790号公報には、ア
ルカリ金属スルホニウム塩のような親水性化剤を塗料に
混ぜて、塗膜の表面抵抗率を低下させることにより、静
電気による汚染物質の付着を抑制する方法が示されてい
るが、スルホニウム塩は水に溶解しやすいので、降雨等
の水の接触により塗膜から溶出して、塗膜にミクロなピ
ンホールを形成し、塗膜の耐候性や付着一般の塗膜物性
を低下させることになっていた。
【0004】また、特開平4−370176号公報に
は、ポリアルキレンオキサイドセグメントなどの親水性
セグメントとポリシロキサンなどの疎水性セグメントと
を含むセグメント化ポリマーを塗料に含むことで、塗膜
表面に疎水性と親水性を同時に付与し、汚染物質の付着
の抑制および降雨による洗浄効果を期待したものがあ
る。塗膜表面の親水性は、例えば図1のような、塗膜表
面の水に対する接触角に表れ、この値が小さいものほど
親水性塗膜であると言える。この塗膜表面の親水性によ
り、降水が塗膜と汚染物質との界面に浸透、流入し、そ
の雨とともに汚染物質を洗い流す効果(ソイルリリース
効果)が得られるものである。
【0005】このような塗膜表面の親水性化の機構につ
いては、雑誌「表面」Vol.32No.6(199
4)第55〜61頁に、「コーティング材料としてのシ
リコーン系ポリマーの表面特性」として、前記、特開平
4−370176の発明者自身により紹介されており、
塗膜表面の親水性/疎水性の変換がモルフォロジー変化
によって生じることが以下のように記載されている。親
水性セグメントであるアシルウレタン結合と疎水性セグ
メントであるシロキサン結合とが隣接した構造のシリコ
ーンマクロモノマーを合成し、その共重合体(シリコー
ンマクロモノマー20wt%)の膜表面における、親水
性/疎水性それぞれのセグメントの配向状態と塗膜表面
の雰囲気との関係について検討を行った。結果、共重合
体膜表面の初期の水との接触角は90°であったが、そ
の塗膜の室温で2週間水浸漬した後は74°とシリコー
ンを含まない系よりも低く表面が親水性となり、次いで
1週間放置乾燥すると水との接触角は回復し、疎水性と
なる傾向を示した。比較サンプルとするシリコーンマク
ロモノマーを含まないアクリル共重合体膜では、このよ
うな現象は示さずシリコーンマクロモノマーの構造に起
因するものと推定できる。また、乾燥後の表面(DR
Y)と2週間水浸漬直後の表面(WET)とのESCA
による深さ方向の分析を行った結果、親水性セグメント
の表面での濃度を示す元素としてN、疎水性セグメント
のそれをSiとして両者の濃度比により塗膜表層の状態
を考察すると、塗膜表面の環境が疎水性の場合はシリコ
ーンセグメントが表面に濃縮され、逆に親水性となる場
合はアシルウレタンセグメントが濃縮されるモルフォロ
ジー変化が生じていることが推測された。この現象は表
面自由エネルギーの低い疎水性セグメント部の、塗膜表
面への局在化に引っ張られるように、塗膜表面近辺に局
在化した親水性部が、塗膜表面環境、すなわち降雨等に
より水が存在する場合に、塗膜表面へと移行して局在化
するというモルフォロジー変化をするものである。しか
しながら、上記文献にも記載されているように、実際に
塗膜表面の疎水性から親水性へのモルフォロジー変化は
即時に行われるものではなく、塗膜表面への降雨がある
程度長期にわたり、表面と水との接触時間が長い場合に
おいて、徐々に親水性へと移行することができるもので
ある。さらに、降雨がある程度長期間なかった場合、つ
まり晴天が続いた場合には、塗膜表面は疎水性へと逆行
していく為、塗膜表面が親水性へ移行するためには、再
度長期間水と接触する必要がある。これを防止する方策
の一つとして、モルフォロジー変化を生じやすくするた
め、塗膜形成用ポリマーのガラス転移点を低く設定する
方法があるが、そうすれば表面硬度が低下する結果、ソ
イルリリース効果による洗い流しの不可能な塵埃の物理
的付着を招き、かえって永久的な汚染につながることに
なる。
【0006】一方、特願平6−506632(国際公開
WO94/06870号公報)には、塗料中にオルガノ
シリケートを混合し、それらの架橋反応によって塗膜表
面に親水性化と硬度の向上の双方を図った方法が示され
ている。一般にオルガノシリケートは、化3のような反
応が進行し、このような反応で生ずるシラノール基やシ
ロキサン結合が塗膜表面の親水性の要因となる。従っ
て、塗膜表面の親水性化、硬度の向上のためには、第一
段階の酸触媒の存在による加水分解反応が律速となる。
このような理由から上記塗料においては、当該オルガノ
シリケートの反応を進行させるために、酸などの表面処
理が必要となる。実際の建物外壁への塗装を考慮する
と、酸性雨などにより、反応は進行すると考えられる
が、先述同様、ソイルリリース効果を十分に発揮するに
必要な、親水性表面となるには、塗膜形成後かなりの長
期間を必要とする。
【0007】
【化3】
【0008】さらに、特開平6−145453号公報に
は、アクリルシリコン樹脂にオルガノシリケートを混合
し、親水性塗膜を得る方法が示されている。アクリルシ
リコン樹脂は、その硬化に寄与する官能基が、オルガノ
シリケートと類似した加水分解性シリル基のため硬化機
構も同様であり、塗膜形成のためには通常酸または塩基
が硬化触媒として混合される。これらの触媒は当該オル
ガノシリケートの反応も同時に進行させるため、塗膜表
面の親水性化は比較的早く得られる。しかしながら、特
開平6−145453号公報記載のように、本来その分
子中の一部に加水分解性シリル基を含有させ、塗膜の架
橋度合いを調整するアクリルシリコン樹脂に対して、架
橋部位の多いオルガノシリケートを多量に配合すると、
塗膜の架橋密度が大きくなりすぎ、塗膜がもろくなると
共に、イオン結合性が強く、酸または塩基による加水分
解性の高いシロキサン結合が多数導入される結果、塗膜
の耐薬品性の低下を招き、これらの結果として塗膜の耐
候性が低下する。従って、親水性向上のためにはオルガ
ノシリケートの多量配合が必要であるが、多量に入れる
と塗膜物性を損なわれるという矛盾があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来からの
非汚染型塗料によって形成される塗膜のうち、表面の親
水性化に長期を要するものは、塗膜形成後の初期におけ
る非汚染性の低さから、塗装工事施工終了後、ごく短期
間において雨筋汚れ等を生じる結果となる。本来、非汚
染型塗料とは汚染しないことをその効果とするものであ
り、また、使用するユーザー、塗装工事を依頼する施主
は、その効果を期待しているものである。従って、塗膜
形成後初期であっても、汚れの発生を生じることは、こ
れらユーザーや施主の期待を一時的にせよ裏切るもので
あり、また長期間においての非汚染効果にまで不安感を
与えるものとなる。従って本発明が解決しようとする課
題は、降雨等の塗膜形成後に生ずる作用により、初めて
塗膜が親水性となるのではなく、塗膜形成直後より、そ
の表面が親水性を発揮し、汚染物質を洗い流すソイルリ
リース効果を有し、かつ、特定の架橋構造により強固で
ありながら脆くならず、耐候性、その他の塗膜物性の良
好な非汚染型の塗膜を提供する非汚染塗料用組成物を得
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明者らは、親水性付与成分であるポリ
チレンオキサイドを塗膜表面に導入すべく鋭意検討の結
果、アクリルシリコン樹脂、オルガノシリケートの架橋
に、特定比率にて特定のポリエチレンオキサイドを架橋
させることにより、初期よりその表面が親水性となる塗
膜を形成することが可能であることを見出し本発明を完
成した。すなわち、本発明の非汚染塗料用組成物は、 (A)一般式
【化4】で表される基を含有するアルコキシシリル基含
有アクリル共重合体樹脂の固形分100重量部に対し
て、 (B)エチレンオキサイドの繰り返し数が2〜20のポ
リエチレンオキサイド鎖を含有する、アルコキシシラン
化合物が固形分で0.1〜20重量部、 (C)一般式
【化5】で表されるアルキルシリケートおよび/または
これらの縮合物が固形分で1〜30重量部、含有される
ものであり、さらに場合によっては、上記アルコキシシ
リル基の加水分解・縮合用触媒を含有するものである。
【0011】本発明の非汚染塗料組成物における1成分
である、(A)成分のアルコキシシリル基含有アクリル
共重合体(以下、(A)成分という。)は、一般式
【化6】 で表されるアルコキシシリル基を1分子中に少なくとも
1個、好ましくは2個以上有する重合体である。このア
ルコキシシリル基は、(A)成分の主鎖の末端または、
側鎖に含まれていても良く、双方に含まれていても良
い。(A)成分1分子中のアルコキシシリル基の個数が
1個未満では、本発明の組成物から得られる硬化物すな
わち塗膜の耐溶剤性が低下しやすくなる。化6において
式中、R1 は炭素数1〜10、好ましくは1〜4のア
ルキル基であるが、R1 の炭素数が10を越えると、
アルコキシシリル基の反応性が低下し、R1 がアルキ
ル基以外、例えばフェニル基、ベンジル基の場合にも反
応は低下する。R1 で表されるアルキル基の具体例と
しては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等があげ
られる。 また前記式中R2 は、水素原子、または炭
素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基よりなる群から選ばれた1価の炭化
水素基である。R2 で表される炭化水素基において、
アルキル基の具体例としては、R1 と同様の基が挙げ
られ、アリール基の具体例としては、例えばフェニル基
などが挙げられ、アラルキル基の具体例としては、例え
ばベンジル基などが挙げられる。前記、化6で表される
アルコキシシリル基の具体例としては、例えば後述する
アルコキシシル基含有モノマーに含まれる基が挙げられ
る。
【0012】(A)成分は、その主鎖が実質的にアクリ
ル共重合体鎖からなるために、その硬化物の耐候性、耐
薬品性、耐水性などに優れている。さらに、(A)成分
において、アルコキシシリル基が炭素原子に結合してい
れば、得られる硬化物の耐水性はより一層優れたものと
なり、耐アルカリ性、耐酸性なども優れたものとなる。
また、(A)成分の数平均分子量は、本発明の組成物か
ら得られる硬化物の耐久性などの物性の点から、100
0〜30000が好ましく、3000〜25000がさ
らに好ましい。
【0013】(A)成分は、例えばアクリル酸、メタク
リル酸、それらの誘導体などのアクリル系モノマーと、
アルコキシシリル基含有モノマーとの共重合により得る
ことができる。アクリル系モノマーには、特に限定はな
く、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ト
リフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロ
ヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニト
リル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−
エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルア
ミド、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類など
のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシア
ルキルエステル類とリン酸もしくはリン酸エステル類と
の縮合生成物であるリン酸エステル基含有ビニル系化合
物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アク
リレートなどが挙げられる。また、前記アルコキシシリ
ル基含有モノマーとしては重合性二重結合を有している
という事以外とくに限定はなく、その具体例としては、
例えば、
【化7】
【化8】 などが挙げられ、末端にアルコキシシリル基をウレタン
結合あるいはシロキサン結合を介して有するアクリレー
トまたはメタアクリレートなども含まれる。(A)成分
中におけるアルコキシシリル基含有モノマーの割合は、
組成物の硬化性や塗膜の耐久性などの点から5〜90%
が好ましく、10〜70%がさらに好ましい。
【0014】(A)成分中には、50%を越えない範囲
で、主鎖にウレタン結合やシロキサン結合により形成さ
れたセグメントを含んでいてもよく、(メタ)アクリル
誘導体以外のモノマーに由来するセグメントを含んでい
てもよい。このモノマーには限定はなく、その具体例と
して、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロス
チレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル系化
合物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
カルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、アミン塩など)、それらの酸無水物(無水マレイ
ン酸など)、または、それらと炭素数1〜20の直鎖ま
たは分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフエス
テルなどの不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニル
エステルやアリル化合物、ビニルピリジン、アミノエチ
ルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物、
イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジア
ミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどの
アミド基含有ビニル化合物、2−ヒドロキシエチルビニ
ルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプ
レン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロ
オレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニ
ルスルホン酸などのその他のビニル系化合物などが挙げ
られる。
【0015】これらアルコキシシリル基含有モノマーの
少なくとも1種以上とラジカル重合性モノマーの少なく
とも1種を非反応性を有する適当な溶媒中で混合し、ラ
ジカル重合開始剤を用いて共重合させることによってア
ルコキシシリル基含有アクリル共重合体を得ることがで
きる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイ
ルパーオキシド、ジクロルベンゾイルパーオキシド、
2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3,
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼン、t−ブチルパーベンゾエートなどのパーエステ
ル化合物、アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチル
アゾブチレートなどのアゾ化合物、および有機過酸化物
などが挙げられる。
【0016】次に、本発明に使用される(B)ポリエチ
レンオキサイド鎖を含有するアルコキシシラン化合物
(以下(B)成分という)は、ポリエチレンオキサイド
基の繰り返し単位と、少なくとも1個以上のアルコキシ
シリル基を有する化合物である。(B)成分のポリエチ
レンオキサイド繰り返し数は2〜20である。(B)
成分は、その両末端がアルコキシシリル基であってもよ
く、一端がアルコキシシリル基であって他端がその他の
官能基であってもよい。このような片末端に有すること
のできる官能基としては、例えば、ビニル基、ヒドロキ
シル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メ
ルカプト基などが挙げられる。また、該官能基は、アル
コキシシリル基との間にウレタン結合、尿素結合、シロ
キサン結合、アミド結合等を介して結合されたものであ
っても良い。
【0017】このような(B)成分は、例えば、ポリ
チレンオキサイド鎖含有化合物と、アルコキシシリル基
含有化合物(以下カップリング剤という。)を反応させ
て合成したものが使用できる。前記ポリエチレンオキサ
イド鎖含有化合物は、分子量が150〜3500が好ま
しく、200〜1500がさらに好ましい。分子量が1
50未満の場合、硬化物の親水性に劣り、降雨による汚
染物質の洗浄効果が得られず、分子量が3500を越え
る場合、硬化物の耐水性や硬度が著しく低下する。この
ようなポリエチレンオキサイド鎖含有化合物としては、
ポリエチレングリコール、ポリエチレン−プロピレング
リコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオ
キシエチレンジグリコール酸、ポリエチレングリコール
ビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエー
テル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエ
チレングリコールジアリルエーテルなどが挙げられる。
また、該ポリエチレンオキサイド鎖含有化合物は、1種
もしくは2種以上の組み合わせから選択することができ
る。一方、カップリング剤は、例えば、一分子中に、少
なくとも1個以上のアルコキシシリル基とそのほかの置
換基を有する化合物である。カップリング剤としては具
体的には、例えば、β−(3、4エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、イソシアネート官能性シラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げ
られる。
【0018】(B)成分の合成は、特に限定されない
が、ポリエチレンオキサイド鎖含有化合物とカップリン
グ剤とを別々に用意し、例えば重合性二重結合を有する
各化合物についてはラジカル重合開始剤を用いて共重合
させる他、アミノ基/エポキシ基、イソシアネート基/
水酸基、またはイソシアネート基/アミノ基の付加反応
など公知の方法によって合成することができる。また、
第1級または第2級アミノ基等の活性水素基を有するア
ルコキシシリル化合物にエチレンオキサイドを開環付加
せしめる方法によっても合成可能である。ラジカル重合
開始剤を用いて共重合させる場合は、重合性二重結合を
有するポリエチレンオキサイド鎖含有化合物の少なくと
も1種以上と、カップリング剤の少なくとも1種以上を
非反応性の適当な溶媒中で反応させて得る事ができる。
この際、使用されるラジカル重合開始剤は、例えば、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキ
サイド、2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシ
ン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロ
ピル)ベンゼン、t−ブチルパーベンゾエートなどのパ
ーエステル化合物、アゾビスイソブチロニトリルおよび
ジメチルアゾブチレートなどのアゾ化合物、および有機
過酸化物などが挙げられる。重合性二重結合を有するポ
エチレンオキサイド鎖含有化合物としては、例えば、
ポリオキシエチレンジグリコール酸を用いることがで
き、カップリング剤には、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチ
ルジエトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピル
トリエトキシシランなどを単独もしくは2種以上の組み
合わせで使用できる。イソシアネート/水酸基の付加反
応により合成する場合、例えばポリエチレンオキサイド
鎖含有化合物には、ポリエチレングリコールなどの末端
にヒドロキシル基を有する化合物と、カップリング剤に
はイソシアネート含有カップリング剤などのイソシアネ
ート基を有する化合物を混合し合成させる。この合成方
法においては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ
マレートまたはジオクチル錫ジマレートなどの反応触媒
を使用することも可能である。
【0019】これらの反応において合成される(B)成
分としては、ポリエチレンオキサイド鎖含有化合物の両
末端または片末端にカップリング剤を付加したものが得
られ、それら単独または両者の混合物が使用できる。
(B)成分の配合割合は、(A)成分の樹脂固形分10
0重量部に対し、固形分で0.1〜20重量部、好まし
くは0.2〜10重量部である。0.1重量部未満では
得られる硬化物の親水性が充分でなく、20重量部を越
えると、樹脂との相溶性、硬化物の耐水性などが劣る結
果となる。
【0020】本発明に使用される(C)一般式、
【化9】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物(以下、(C)成分という)は、例えば、テトラ
メチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−
n−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリケ
ートから選択される1種以上が、また縮合物としては、
上記テトラアルキルシリケートを加水分解条件下にて縮
合させて得られるものから選択される1種以上があげら
れる。特にテトラメチルシリケート、テトラエチルシリ
ケートの少なくとも1種またはこれらの縮合物の使用
が、形成された塗膜の可撓性と緻密性とのバランスから
好ましい。縮合物の縮合度は2〜20が好ましく、縮合
度が20以上になると縮合物の粘度が上昇し、取扱が不
便になるとともに、アルコキシシリル基含有アクリル樹
脂との相溶性が悪くなり、塗料に白濁を生じる結果とな
る。この(C)成分は、(A)成分に混合してもよい
し、(A)成分を合成する際、(C)成分を予め反応容
器中に存在せしめておくこともできる。後者の方法を採
れば、相溶性および親水性が改良されるのでより望まし
い。
【0021】また、(C)成分の混合割合は、(A)成
分の樹脂固形分100重量部に対し、固形分で1〜30
重量部、好ましくは10〜25重量部が適当である。こ
れは、1重量部未満では硬化塗膜の表面硬度が十分でな
く、汚染物質の物理的付着を招き、永久的な汚染が生
じ、30重量部を超えると、樹脂との相溶性、硬化物に
おける外観が悪化したり、クラックが発生するといった
問題があるためである。
【0022】本発明に必要に応じて使用される(D)ア
ルコキシシリル基の加水分解・縮合用触媒(以下(D)
成分という)の具体例としては、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫ジラウレー
ト、ジオクチル錫ジマレート、オクチル酸スズなどの有
機スズ化合物、リン酸、モノメチルホスフェート、モノ
エチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオ
クチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチ
ルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホス
フェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェ
ートなどのリン酸エステル、プロピレンオキサイド、ブ
チレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシ
ジルメタクリレート、グリシドール、アクリルグリシジ
ルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、エ
ポキシ化合物とリン酸および/またはモノ酸性リン酸エ
ステルとの付加反応物、マレイン酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン酸、コハク
酸、フタル酸、トリメット酸、ピロメット酸、これらの
酸無水物、p−トルエンスルホン酸、などの酸性化合物
が挙げられる。また、これらの酸性触媒とアミンとの混
合物または反応物も含まれる。例えば、ヘキシルアミ
ン、N.N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミン
などのアミン類が挙げられるが、有機スズ化合物が好ま
しく、特に塗膜形成初期における塗膜表面の親水性化に
優れることからマレート系有機スズ化合物がより好まし
く用いられる。
【0023】(D)成分の使用量には特に限定はない
が、(A)成分、(B)成分および(C)成分の樹脂固
形分100重量部に対して、通常0.1〜20重量部が
適当であり、0.1〜10重量部がさらに好ましい。こ
れは、(D)成分の使用量が0.1重量部未満になる
と、硬化性が低下する傾向があり、20重量部を超える
と塗膜の外観性が低下する傾向があるためである。
【0024】なお、本発明の非汚染塗料用組成物に、脱
水剤および/またはアルキルアルコールを添加すること
ができ、本発明の非汚染塗料用組成物の長期保存安定性
が確保できるためこれらを添加することがより好まし
い。脱水剤の具体例としては、例えば、オルトギ酸メチ
ル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸
エチル、メチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ランなどの加水分解性エステル化合物が挙げられる。一
方、アルキルアルコールとしては、例えば、メタノー
ル、エタノールのような低分子量アルコールが挙げられ
る。これら、脱水剤およびまたはアルキルアルコール
は、アルコキシシリル基含有共重合体(A)中に添加し
ておくのが好ましいが、(A)成分の重合に際し、重合
前または重合後、或いは重合時に添加できる。また、脱
水剤および/またはアルキルアルコールの使用量に特に
限定はないが、(A)成分の樹脂固形分100重量部に
対し、0.5〜20重量部、さらに2〜10重量部が好
ましい。なお、脱水剤とアルキルアルコールを併用すれ
ば、保存安定性に顕著な効果が見られ、好ましい。
【0025】本発明の組成物では、(A)、(B)、
(C)、(D)成分による透明(クリヤー)塗膜の他
に、着色顔料を配合して、着色(エナメル)塗膜として
もよい、このような着色顔料としては、酸化チタン、酸
化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベんがら)、
クロム酸鉛、モリブデードオレンジ、黄鉛、黄色酸化
鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔
料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキ
ノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イ
ソインドリノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシア
ニン系、キノフタロン系等の有機顔料が使用できる。
【0026】また、重質炭酸カルシウム、クレー、カオ
リン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホ
ワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料を使用することも
可能である。特に、艶消し塗膜を形成する場合には、塗
膜表面における非汚染効果を損なうことの最も少ないホ
ワイトカーボン、珪藻土を使用することが最適である。
なお、これらの無機質を塗料に添加する際に、粉体表面
をカップリング剤で処理したり、塗料にカップリング剤
を添加することは好ましい手段である。
【0027】さらに、用途に応じて希釈剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、酸化防止剤、沈降防止剤、レベリング剤
などの添加物、ニトロセルロース、セルロースアセテー
トブチレートなどの繊維素、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴ
ム、ポリビニルブチラールなどの樹脂、充填剤などを添
加しても何ら問題はなく、公知の塗料用添加剤を使用す
ることができる。
【0028】さらに、各種塗装、特に、浸漬、吹き付
け、刷毛塗りなどの常法により、被塗物に本発明の塗料
用組成物を塗布し、硬化させることにより被塗物の表面
に密着性、耐久性などに優れた塗膜を形成することが出
来る。
【0029】
【作用】本発明における塗膜形成初期より発生する塗膜
表面の親水性は、構成成分の親水性部位に起因するもの
と思われるが、分子の表面自由エネルギーのみを考慮し
た場合には、表面自由エネルギーの大きな親水性部位
が、塗膜表面に初期より分布することは考えられない。
したがって、本発明における初期よりの親水性の機構は
定かではないが、本発明の構成においてのみ生じる何ら
かの特異性により、塗膜表面に親水性部位が押し出され
ているものと推察される。このような効果により、初期
より塗膜の非汚染効果(ソイルリリース効果)を発揮
し、さらに、その他の成分の架橋構造との絡み合いによ
り、可撓性や耐候性に優れる塗膜を形成しているものと
思われる。
【0030】
【実施例】
(合成例1)ポリエチレンオキサイド鎖含有カップリン
グ剤合成例(1) 加熱装置、撹拌器、還流装置、脱水装置、温度計を備え
た反応槽に、ポリエチレングリコール200(平均分子
量200;和光純薬(株)社製)20重量部と、イソシ
アネート含有シランであるY−9030(日本ユニカー
(株)社製)54.3重量部を、ジブチルスズジラウレ
ート0.05重量部とを仕込み、50℃にて8時間反応
させ、淡黄色のポリエチレンオキサイド鎖含有カップリ
ング剤(1)を得た。このポリエチレンオキサイド鎖含
有カップリング剤の平均分子量は、ゲル浸透クロマトグ
ラフィー(以下GPCという)のポリスチレン換算によ
り測定した結果800であった。 (合成例2)ポリエチレンオキサイド鎖含有カップリン
グ剤合成例(2) 加熱装置、撹拌器、還流装置、脱水装置、温度計を備え
た反応槽に、ポリエチレングリコールグリシジルエーテ
ルであるエポライト40E(平均分子量170:共栄社
化学(株)社製)100重量部と、アミノ基含有シラン
であるA−1100(日本ユニカー(株)社製)63.
0重量部とを仕込み、50℃にて8時間反応させ、淡黄
色のポリエチレンンオキサイド鎖含有カップリング剤
(2)を得た。このポリエチレンオキサイド鎖含有カッ
プリング剤の平均分子量は、GPCのポリスチレン換算
により測定した結果、980であった。
【0031】(実施例1) アルコキシシリル基含有アクリル共重合体樹脂であるゼ
ムラック(鐘淵化学工業(株)製;平均分子量15,0
00、Tg30℃、樹脂固形分50%)の樹脂固形分1
00重量部に対して、ポリエチレンオキサイド鎖含有カ
ップリング剤(1)を6.0重量部とメチルシリケート
51(三菱化学(株)製;固形分100%)を1.0重
量部配合し、硬化触媒としてジブチルスズジラウレート
を2.0重量部混合して組成物を得た。この組成物につ
いて、以下のように試験体の作製を行い、形成された塗
膜について評価試験を行った。 <試験体作製方法> (a)150mm×200mm×3mmの透明なガラス
板3枚に、上記の塗料溶液を、乾燥膜厚が約15μmと
なるようにアプリケーター塗装を行い、気温20℃、湿
度65%で7日間養生したものを試験体(1)とした。 (b)150mm×70mm×0.8mmのアルミニウ
ム板3枚にSK#1000プライマー(エポキシ樹脂系
プライマー、エスケー化研(株)社製)を乾燥膜厚が約
25μmとなるようにスプレー塗装し、室温20℃、湿
度65%で8時間乾燥を行った後、フッソロンエナメル
〔シロ〕(フッ素樹脂系エナメル塗料、エスケー化研
(株)社製)を乾燥膜厚が約20μmとなるようにスプ
レー塗装し、気温20℃、湿度65%で16時間乾燥を
行ったものを試験体基材とした。次に、試験体基材に組
成物を、乾燥膜厚が約15μmとなるようにスプレー塗
装したものを試験体(2)とした。
【0032】<試験方法> (1)塗膜硬化後の外観の評価 試験体(1)を用い、JIS K5400 7.1塗膜の外観試験に
準じ、塗膜の外観を評価した。 評価 ○:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常なし ×:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常あり (2)耐水性評価 試験体(1)1枚を用い、JIS K5400 8.19耐水性試験に
準じ、20℃の水中に1週間浸漬処理した後、水を振り
切り、気温20℃、湿度65%で2時間乾燥させた後の
塗膜の外観を評価した。 評価 ○:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常なし ×:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常あり (3)耐酸性評価 試験体(1)のもう1枚を用い、JIS K5400 8.22耐酸性
試験に準じ、20℃の5wt%硫酸水溶液に1週間浸漬
処理した後、塗膜面を水洗し、20℃で2時間乾燥させ
た後の塗膜の外観を評価した。 評価 ○:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常なし ×:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常あり (4)耐アルカリ性評価 試験体(1)の残りの1枚を用い、JIS K5400 8.21耐ア
ルカリ性試験に準じ、20℃の5wt%水酸化ナトリウ
ム水溶液に1週間浸漬処理した後、塗膜面を水洗し、2
0℃で2時間乾燥させた後の塗膜の外観を評価した。 評価 ○:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常なし ×:塗膜にクラック、艶引け、白化などの異常あり (5)水に対する接触角測定 試験体(2)1枚を用い、試験体作製後、気温20℃、
湿度65%で24時間、72時間および14日乾燥させ
た後の塗膜表面に、0.2ccの脱イオン水を滴下し、
20℃にて滴下直後、1分後の接触角を協和界面科学
(株)社製CA−A型接触角測定装置にて測定した。 (6)耐汚染性 試験体(2)の残りの1枚を用い、気温20℃、湿度6
5%で1週間乾燥したものを大阪府茨木市で南面向き4
5度傾斜にて屋外暴露を実施し、初期と6ヵ月後の明度
差(△L値)を、東京電色(株)社製TC−1800型
色差計用いて測色した。 (7)汚れの染み込み抵抗性 試験体(2)の残りの1枚を用い、気温20℃、湿度6
5%で1週間乾燥したものを、JIS K5400 8.10 耐汚染
性試験に準じ、塗膜面に15重量%のカーボンブラック
水分散ペースト液を、直径20mm、高さ5mmとなる
ように滴下し、50℃の恒温室中に2時間放置する。そ
の後、流水中にて洗浄し、塗膜表面の汚染の程度を目視
により評価した。
【0033】<評価結果>硬化後の塗膜外観評価、耐水
性、耐酸性、耐アルカリ性評価ともに塗膜に異常は見ら
れず良好な塗膜状態であった。水に対する接触角は、2
4時間後測定時で滴下直後が70゜、1分後が64゜、
72時間後測定時で滴下直後が62゜、1分後が54
゜、14日後測定時で滴下直後が60゜、1分後が54
゜であり、何れも比較例より24時間、72時間等の初
期の時点で接触角が低かった。また、耐汚染性評価で
は、ΔL値が−2.0であり、良好な耐汚染性が得られ
た。
【0034】(実施例2〜5)表1記載の配合にて、実
施例1に準じて組成物を作製し、実施例1と同様の評価
を行ったところ、表2のような結果となり、何れも比較
例より24時間、72時間等の初期の時点で接触角が低
かった。また、耐汚染性評価においても良好な耐汚染性
が得られた。
【0035】(比較例1)表1記載の配合のように、通
常のアルコキシシリル基含有アクリル樹脂と触媒のみの
組み合わせにて組成物を作製し、実施例1と同様の評価
を行ったところ、表2のような結果となり、初期におけ
る接触角の低下は殆ど見られず、耐汚染性評価において
も良好な結果が得られなかった。
【0036】(比較例2〜比較例3)表1記載の配合の
ように、実施例におけるポリエチレンオキサイド鎖含有
カップリング剤に替えて、通常のポリエチレングリコー
ルを使用して組成物を作製し、実施例1と同様の評価を
行ったところ、表2のような結果となり、初期における
接触角の低下は殆ど見られず、耐汚染性評価においても
良好な結果が得られなかった。
【0037】(比較例4) 表1記載の配合のように、通常のアルコキシシリル基含
有アクリル樹脂と触媒およびメチルシリケートの組み合
わせにて組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行っ
たところ、表2のようにメチルシリケートが多量過ぎ
て、塗膜の全面にクラックを生じ、その他の塗膜物性試
験を行うことができなかった。
【表1】
【表2】
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明は、降雨等の塗膜形
成後に生ずる作用により、初めて塗膜が親水性となるの
ではなく、塗膜形成直後よりその表面が親水性となり、
雨水と共に汚染物質を洗い流す作用が生じ、かつ、架橋
により強固でありながら脆くならず、耐候性、その他の
塗膜物性の良好な非汚染型の塗膜を提供する非汚染塗料
用組成物であるため、塗装工事施工終了後、ごく短期間
において雨筋汚れ等を生じることがなく、非汚染型塗料
として本来あるべき、初期からの非汚染性に優れるとい
う効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗膜の水に対する接触角を表す説明図
【符号の説明】
a 水滴 b 塗膜 θ 接触角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 久志 大阪府茨木市清水1丁目25番10号エスケ ー化研株式会社研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 143/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式 【化1】で表される基を含有する、アルコキシシリル基
    含有アクリル共重合体樹脂の固形分100重量部に対し
    て、(B)エチレンオキサイドの繰り返し数が2〜20
    のポリエチレンオキサイド鎖を含有する、アルコキシシ
    ラン化合物が固形分で0.1〜20重量部、(C)一般
    式 【化2】で表されるアルキルシリケートおよび/または
    これらの縮合物が固形分で1〜30重量部、含有されて
    いることを特徴とする非汚染塗料用組成物。
  2. 【請求項2】 (C)の化2で表されるアルキルシリケ
    ートおよび/またはこれらの縮合物のうち、R3が炭素
    数1〜3のアルキル基であることを特徴とする請求項1
    に記載の非汚染塗料用組成物。
  3. 【請求項3】 成分として、さらに(D)アルコキシシ
    リル基の加水分解・縮合用触媒が含有されていることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の非汚染塗料用組成
    物。
  4. 【請求項4】 (D)アルコキシシリル基の加水分解・
    縮合用触媒が、有機スズ化合物であることを特徴とする
    請求項に記載の非汚染塗料用組成物。
  5. 【請求項5】 (D)アルコキシシリル基の加水分解・
    縮合用触媒が、マレート系有機スズ化合物であることを
    特徴とする請求項に記載の非汚染塗料用組成物。
  6. 【請求項6】 成分として、さらに(E)着色顔料を含
    有するものであることを特徴とする請求項1から請求項
    の何れかに記載の非汚染塗料用組成物。
  7. 【請求項7】 成分として、さらに(F)体質顔料を含
    有するものであることを特徴とする請求項1から請求項
    の何れかに記載の艶消し非汚染塗料用組成物。
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