JP3125979B2 - 非汚染塗膜の形成方法 - Google Patents

非汚染塗膜の形成方法

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JP3125979B2 JP08038691A JP3869196A JP3125979B2 JP 3125979 B2 JP3125979 B2 JP 3125979B2 JP 08038691 A JP08038691 A JP 08038691A JP 3869196 A JP3869196 A JP 3869196A JP 3125979 B2 JP3125979 B2 JP 3125979B2
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健介 栗本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、ガラス、磁
器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成
形板、プラスチック等の各種素材によって形成される建
築物または土木構築物の表面仕上げを行う方法に関する
ものであり、詳しくは非汚染塗膜の形成方法に係るもの
である。
【0002】
【従来技術】従来より建築物、土木構築物等の躯体の保
護、意匠性の付与および、美観の向上のため塗装仕上げ
が行われている。特に、近年フッ素樹脂塗料、アクリル
シリコン樹脂塗料あるいはアクリルウレタン樹脂塗料等
の高耐久性塗料の出現により、躯体の保護においては大
きな進歩を遂げた。しかしながら、これら高耐久性塗料
では、その優れた耐久性により、かえって塗膜表面の汚
染の問題がクローズアップされる結果となった。すなわ
ち、これら高耐久性塗料以前の塗料によって形成される
塗膜は、太陽光の紫外線によって表面が劣化し、汚染物
質の付着が生じたとしても、塗膜表面の劣化部分と共に
剥落除去されていたのであるが、塗膜の耐久性が向上し
たため、塗膜表面の劣化剥落の機構が機能できなくなっ
たのである。特に最近は都心や都市近郊部において、自
動車等からの排出ガスにより、大気中に油性の汚染物質
が浮遊している状況で、それら油性の汚染物質が、高耐
久性塗料から形成された塗膜表面に付着した場合には、
著しいすす状あるいはすじ状の汚染を生じ、都市景観の
向上のため施した塗装仕上げが、意味をなさない場合が
あった。
【0003】このような問題に対して、塗膜表面を親水
性にし、付着した油性の汚染物質を降雨時の雨水が塗膜
表面に広がる作用によって、剥離し洗い流してしまうよ
うな非汚染形塗料が各種発表されている。さらに、この
ような非汚染塗料による塗膜の形成方法も発表されてい
る。特開平7−136584号公報には、非汚染塗膜を
形成する方法として、無機質基材に(1)下塗り塗料を
塗装し、(2)次にポリイソシアネート硬化型溶剤系
塗料又は特定のビニルモノマーを共重合させて得られ
る共重合体に金属キレート化合物を配合してなる有機珪
素硬化型溶剤系塗料にオルガノシリケートを配合した上
塗り塗料を塗装し、(3)続いて硬化させる建築外装用
汚れ防止上塗り塗膜の形成方法が開示されている。これ
によれば、下塗り塗料としては、複層仕上塗料を用いる
のが好ましく、特に、未硬化型合成樹脂エマルション系
複層仕上塗料、反応硬化形水溶性エポキシ樹脂複層模様
仕上塗料、反応硬化形溶剤系エポキシ樹脂複層仕上塗料
などが好ましいとしている。
【0004】一般に、複層仕上塗材としては硬質タイプ
のものと弾性タイプの防水形複層仕上塗材がある。防水
形複層仕上塗材は、一般的には20℃において120%
以上の伸びを示すものである(JIS A6909(1995) 建築用
仕上塗材による)。このような大きな伸びを示す弾性タ
イプの塗膜上に上記のような非汚染型塗膜を積層してみ
たところ、経時においてひび割れや艶引け、膨れ、はが
れ等の欠陥が表れ、耐久性に問題が生じた。
【0005】弾性塗膜は、経時において特に汚れやすい
といわれている。その理由として、弾性塗膜は表面が柔
らかいために汚染物質の物理的吸着を招き、降雨等によ
る水による洗い流しは不可能となるためと考えられる。
しかし弾性塗膜は、下地のクラックに追従でき、防水性
も優れるなどの利点がある。このような利点を生かしつ
つ、汚染しない塗膜が望まれているものの、現在のとこ
ろ満足するようなものは得られていないのが現状であ
る。
【0006】そこで、弾性塗膜の上に非汚染塗膜を積層
し、弾性塗膜の利点と非汚染性を兼ね備えた積層塗膜を
形成させることを試みたが、前述のような種々の問題が
生じたものである。
【0007】特開平7−136584号公報における上
塗り塗料は、有機珪素硬化型溶剤系塗料にオルガノシリ
ケートを配合したものであるが、該塗料によって形成さ
れる塗膜は非常に硬質のものである。これは、オルガノ
シリケートが
【化5】 のような反応により、架橋していくためである。よっ
て、経時になればなるほど塗膜は硬質になる。このよう
な硬質の塗膜を、通常の複層仕上塗材による硬質塗膜上
に積層した場合は問題は起こらないが、例えば防水形複
層仕上塗材による塗膜のような弾性塗膜上に積層した場
合、上塗りの非汚染塗膜が経時でひび割れや、艶引け、
膨れ、はがれ等の欠陥が表れるという問題が生じ、実際
にはこのような仕上げはできなかった。
【0008】また、建築物表面の目地部分に使用されて
いるシーリング材は汚染されやすいといわれているが、
このようなシーリング材上に、シリケートを配合した非
汚染塗料による塗膜のような非常に硬質の塗膜が直接積
層された場合にも、ひび割れやはがれの原因となり、実
際にはこのような仕上げはできなかった。
【0009】一方、特開平7−136584号公報にお
ける上塗り塗料のようなオルガノシリケートを配合した
ような非汚染塗料や、その他従来からある非汚染型塗料
によって形成された非汚染塗膜は、表面の親水性化に長
期間を有するという問題もあった。
【0010】このような問題を解決するために、オルガ
ノシリケートを配合したような非汚染塗料を例に挙げて
みると、さらに表面の親水性を高めようとオルガノシリ
ケートを大量に配合したところ、塗膜の架橋密度が大き
くなりすぎ、塗膜が脆くなったり、耐薬品性の低下を招
くなど、塗膜の耐候性の低下へつながってしまうという
問題が起こってしまった。従って、親水性化のためにオ
ルガノシリケートの多量配合が必要であるが、多量に入
れると塗膜物性を損なうという矛盾が存在するわけであ
る。
【0011】またさらに、従来の非汚染塗料による非汚
染塗膜は、降雨による汚染物質の流下を主目的におき、
表面を親水性にすることのみに焦点を当てているため、
一度付着した汚れの染み込み抵抗性に劣り、長期間降雨
等による水との接触がなかった場合には、塗膜中に汚染
物質である油性汚れが浸透してしまうという問題があっ
た。これにより、その後に降雨等により水の接触があっ
たとしてももはや流下は困難であり、汚染物質は永久に
付着してしまう。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、非汚染
塗膜の形成においては以下のような問題が生じていると
いえる。
【0013】従来からの非汚染型塗料による塗膜を形
成する際に、下地が弾性塗膜やシーリング材等の弾性防
水材の場合、基材のクラック発生等に伴う下地塗膜の伸
張に、非汚染塗膜が追従できず、ひび割れやはがれとい
った問題が発生し、実質上は弾性の塗膜上に非汚染塗料
は塗装不可能であった。これは、特にオルガノシリケー
トを多量に配合した非汚染型塗料に多くみられる。
【0014】従来からの非汚染型塗料によって形成さ
れる塗膜は、表面の親水性化に長期を要し、塗膜形成後
の初期における非汚染性が劣るため、塗装工事施工終了
後、ごく短期間において雨筋汚れ等を生じる結果とな
る。本来、非汚染型塗料とは汚染しないことをその効果
とするものであり、また、使用するユーザー、塗装工事
を依頼する施主は、その効果を期待しているものであ
る。従って、塗膜形成後初期においてであっても、汚れ
の発生を生じることは、これらユーザーや施主の期待を
一時的にせよ裏切るものであり、また長期間においての
非汚染効果にまで不安感を与えるものとなる。
【0015】従来からの非汚染塗料では降雨による汚
染物質の流下を主目的とするあまりに、一度付着した汚
れの染み込み抵抗性に劣り、長期に渡って降雨が無かっ
た場合には、塗膜中に油性汚れが浸透して、もはや降雨
によっては流下困難な汚れが残ってしまう。
【0016】よって本発明が解決しようとする課題は、
降雨等の塗膜形成後に生ずる作用により、初めて塗膜が
親水性となるのではなく、塗膜形成直後より、その表面
が親水性となり、汚染物質を洗い流す効果を生じ、か
つ、特定の架橋構造により強固でありながら脆くなら
ず、油性汚れの染み込み抵抗性にも優れ、耐候性、その
他の塗膜物性の良好な非汚染塗膜を得るものであり、特
に弾性塗膜上や弾性防水材上に非汚染塗膜の形成を行う
方法を提供するものである。
【0017】
【課題解決のための手段】このような課題を解決するた
めに、本発明者らは鋭意検討の結果、塗膜形成直後より
表面が親水性であり、油性汚れの染み込み抵抗性にも優
れた非汚染塗膜を、弾性塗材や弾性防水材上にも形成す
ることのできる非汚染塗膜の形成方法を発明した。即ち
本発明は下記の非汚染塗膜の形成方法に係るものであ
る。
【0018】1.建築物または土木構造物の表面に、 (1)気温20℃時の塗膜の伸び率(α)が50〜80
0%である弾性塗材または弾性防水材により形成される
第一層の上に、 (2)以下に示す(A)(B)により構成され、気温2
0℃時の塗膜の伸び率(β)が2〜300%であるウレ
タン樹脂塗料により形成される第二層 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合、を積層し、さらに (3)以下に示す(C)(D)(E)(F)で構成さ
れ、気温20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜20
0%である非汚染塗料組成物によって形成される第三層 (C)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
が20〜150KOHmg/gのポリオールを固形分で
100重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式
【化6】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物を固形分で1〜40重量部 (F)ポリイソシアネートを(C)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合、を積層することを特徴とする非汚染塗膜の形成
方法。 2.建築物または土木構造物の表面に、 (1)気温20℃時の塗膜の伸び率(α)が50〜80
0%である弾性塗材または弾性防水材により形成される
第一層の上に、 (2)以下に示す(A)(B)により構成され、気温2
0℃時の塗膜の伸び率(β)が2〜300%であるウレ
タン樹脂塗料により形成される第二層 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合、を積層し、さらに (3)以下に示す(G)(D)(E)(F)で構成さ
れ、気温20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜20
0%である非汚染塗料組成物によって形成される第三層 (G)数平均分子量3000〜30000、フッ素含量
が10〜30重量%、水酸基価が10〜30KOHmg
/gの溶剤可溶性の含フッ素共重合体を固形分で100
重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式
【化7】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物を固形分で1〜40重量部 (F)ポリイソシアネートを(G)含フッ素共重合体の
水酸基に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5とな
るように配合、を積層することを特徴とする非汚染塗膜
の形成方法。 3.建築物または土木構造物の表面に、 (1)気温20℃時の塗膜の伸び率(α)が50〜80
0%である弾性塗材または弾性防水材により形成される
第一層の上に、 (2)以下に示す(A)(B)により構成され、気温2
0℃時の塗膜の伸び率(β)が2〜300%であるウレ
タン樹脂塗料により形成される第二層 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合、を積層し、さらに (3)以下に示す(H)(D)(E)で構成され、気温
20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜200%であ
る非汚染塗料組成物によって形成される第三層 (H)一般式
【化8】 で表される基を含有するアルコキシシリル基含有アクリ
ル共重合体を固形分で100重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式
【化9】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物を固形分で1〜30重量部、を積層することを特
徴とする非汚染塗膜の形成方法。 4.第一層の塗膜の伸び率(α)が120〜800%で
あり、第二層の塗膜の伸び率(β)が20〜200%、
第三層の塗膜の伸び率(γ)が20〜150%であるこ
とを特徴とする1.から3.の何れかに記載の防水形非
汚染塗膜の形成方法。 5.第二層の塗膜の伸び率(β)が第一層の塗膜の伸び
率(α)以下であり、さらに第三層の塗膜の伸び率
(γ)が第二層の塗膜の伸び率(β)以下である
[(α)≧(β)≧(γ)]ことを特徴とする1.から
4.の何れかに記載の非汚染塗膜の形成方法。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに詳細に説明する。 <非汚染塗膜の形成用基材>本願発明の方法によって形
成される積層塗膜は、建築物または土木構造物の表面上
に形成される。この建築物または土木構造物の表面と
は、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイデ
ィングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材
によって形成されているものである。これらの表面は、
場合によっては一般にプライマーやシーラー、サーフェ
ーサーと呼ばれる下地調整材によって下地調整すること
ができる。特に、コンクリートやサイディングボード、
押出成形板のように多孔質の素材上に塗装をする際は、
下地調整を行う必要がある。
【0020】<第一層>本発明の第一層は、気温20℃
時の塗膜の伸び率(α)が50〜800%である弾性塗
材または弾性防水材により形成されるものである。 弾性塗材または弾性防水材 本発明における弾性塗材または弾性防水材としては、JI
S A6916(1995) 仕上塗材用下地調整塗材に規定されるよ
うな下地調整材のうち伸び率が50〜800%であるも
のが挙げられる。その他、JIS A6021(1995) 屋根用塗膜
防水材に規定されるような塗膜防水材や、JIS A6909(19
95) 建築用仕上塗材のうち防水形複層塗材E、防水形複
層塗材CE、防水形複層塗材RE及び防水形複層塗材R
S、シーリング材等が挙げられる。その他、水和凝固形
塗膜防水材や一般の塗膜防水材が例示でき、そのなかで
も塗膜の伸び率が50〜800%のものを第一層とす
る。
【0021】JIS A6916(1995)仕上塗材用下地調整材
は、セメントとアクリル系、エチレン酢酸ビニル系、ス
チレンブタジエンゴム系、クロロプレンゴム系等の合成
樹脂エマルションを混和液として用いる下地調整材、又
は前述の合成樹脂エマルションの単独又は混合系を結合
材とする下地調整材のうち、塗膜の伸び率が50〜80
0%のものを使用できる。また、JIS A6021(1995) 屋根
用塗膜防水材のなかでも、特に第二層のウレタン樹脂塗
料との相性がよい、アクリルゴム系、クロロプレンゴム
系、ウレタンゴム系の塗膜防水材が好適に用いられる。
JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材の防水形複層塗材Eと
は、合成樹脂エマルション系複層塗材の防水形のもので
あり、おもにアクリル系、酢酸ビニル系などの合成樹脂
エマルションの単体または混合物を結合材とするもので
ある。JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材の防水形複層塗
材RSとは、合成樹脂溶液系複層塗材の防水形のもので
あり、おもにアクリル系、ビニル系などの合成樹脂をキ
シレン、トルエンなど有機溶剤で溶解したもの、エポキ
シ系、ウレタン系などの反応硬化形合成樹脂をキシレ
ン、トルエンなどの有機溶剤で溶解したものなどの合成
樹脂溶液の単体または混合物を結合材とするものであ
る。JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材の防水形複層塗材
CEとは、ポリマーセメント系複層塗材の防水形のもの
であり、セメント及びこれにセメント混和用のアクリル
系、エチレン酢酸ビニル系、酢酸ビニル系、合成ゴム
系、又はこれらの混合物であるセメント混和用ポリマー
ディスパージョンを結合材とするものである。JIS A690
9(1995) 建築用仕上塗材の防水形複層塗材REとは、反
応硬化形合成樹脂エマルション系複層塗材の防水形のも
のであり、エポキシ系等の使用時に反応硬化させる合成
樹脂エマルションを結合材とするものである。
【0022】その他、シーリング材としては、変成シリ
コーン系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、アク
リル系、スチレンブタジエンゴム系、ブチルゴム系のシ
ーリング材等が例示できる。これらは、反応硬化2成分
形や湿気硬化1成分形、乾燥硬化1成分形などがあり、
被着体によって使い分けられる。シーリング材のなか
で、シリコーン系のものは、第二層のウレタン樹脂塗料
との密着性がほとんどないため好ましくない。またポリ
サルファイド系のシーリング材は、第二層のウレタン樹
脂塗料による塗膜への可塑剤移行がみられ、汚染につな
がるので好ましくない。
【0023】水和凝固形塗膜防水材としては、アクリル
系、酢酸ビニル系、合成ゴム系、エポキシ系のポリマー
ディスパージョンとセメントを結合材とするものが例示
できる。その他、一般の塗膜防水材と呼ばれるものが使
用できるが、ウレタン樹脂塗料との相性から、アクリル
樹脂エマルジョン系、エポキシ系(溶剤系)などが好適
に用いられる。
【0024】塗膜の伸び率(α) このような弾性塗材や弾性防水材は、気温20℃時の塗
膜の伸び率が50〜800%のものを使用する。伸び率
が50%より小さい場合は、硬質の非汚染型塗料を直接
塗付しても、経時においてひび割れ等の欠陥の発生はみ
られないが、伸び率が50%以上の場合に硬質の非汚染
型塗料を直接塗付すると、経時においてひび割れ等の欠
陥が発生するという問題がある。本発明は、伸び率50
%以上の場合においてもひび割れが発生するのを効果的
に防止するものであり、弾性塗材または弾性防水材によ
る第一層上に、ウレタン樹脂塗料による第二層、非汚染
塗料組成物による第三層と積層することにより、経時に
おいてもひび割れやはがれ等の欠陥がなく良好な非汚染
塗膜が得られるものである。特に、防水形の非汚染塗膜
を形成する場合は、JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材で
規定されているように塗膜の伸び率(α)が120%以
上のものを使用することにより可能となる。
【0025】第一層塗膜の形成方法 この弾性塗材または弾性防水材は、新築塗装工事の場合
は、建築物または土木構造物の表面に、必要であれば下
地調整を行った後にまたはそのまま直接、塗付する。ま
た、改修塗装工事の場合は、旧塗膜が弾性塗材または弾
性防水材であるときは、この旧塗膜を第一層として第二
層のウレタン樹脂塗料及び第三層の非汚染塗料組成物を
塗付すれば良い。その他、旧塗膜が硬質系の塗膜の場合
は、そのまま弾性塗材または弾性防水材を塗付してもよ
いし、フィラー、シーラー等で素地調整を行った後に弾
性塗材または弾性防水材を塗付してもよい。その他、旧
塗膜を完全に除去してから、素地調整を行い、弾性塗材
または弾性防水材を塗付することもできるし、そのまま
弾性塗材または弾性防水材を塗付することも可能であ
る。なお、建築物等の目地部にシーリング材が使用され
ている場合は、シーリング材を第一層として、第二層の
ウレタン樹脂塗料、第三層の非汚染塗料組成物を塗付し
てもよい。
【0026】第一層は、ハケ塗り、スプレー塗装、ロー
ラー塗装等種々の方法により塗装することが可能であ
る。その他シーリング材については、充填するなど通常
の方法で目地部を形成し、第一層とする。
【0027】<第二層>本発明の第二層は、以下に示す
(A)(B)により構成され、気温20℃時の塗膜の伸
び率(β)が2〜300%であるウレタン樹脂塗料によ
り形成されるものである。 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合 (A)ポリオール (A)のポリオール(以下(A)成分という)は、ポリ
ウレタン技術分野において一般的に使用されるオリゴマ
ーポリオールを意味し、硬化剤であるポリイソシアネー
トと混合・反応することにより、第二層の塗膜形成主要
素となるものである。
【0028】このようなポリオールとしては、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポ
リオール等がある。ポリエーテルポリオールとしては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グル
コース、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコ
ールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチ
レンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサ
イド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリオー
ル類、および、前記多価アルコールにテトラヒドロフラ
ンを開環重合により付加して得られるポリオキシテトラ
メチレンポリオール類がある。
【0029】ポリエステルポリオール類としてはエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキ
サンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールあるいはその他の低分子量多
価アルコールの1種又は2種以上とグルタル酸、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スペリン酸、セバシン酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸ある
いはその他の低分子ジカルボン酸やオリゴマー酸の1種
又は2種以上との縮合重合体、プロピオラクトン、カプ
ロラクトン、バレロラクトン等の開環エステル類の開環
重合体等のポリオール類が例示できる。
【0030】また、アクリル共重合体において、アクリ
ル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリ
ル酸β−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシ
ブチル、アクリル酸β−ヒドロキシペンチル等のアクリ
ル酸のヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸の
同様なヒドロキシアルキルエステル、さらにグリセリ
ン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールのアク
リル酸モノエステル又はこれらと同様なメタクリル酸モ
ノエステル、N−メチロールアクリルアミド又はN−メ
チロールメタクリルアミド等の水酸基を有するモノエチ
レン性不飽和モノマーを共重合モノマーとした1分子中
に2以上の水酸基を有するアクリルポリールが使用でき
る。
【0031】その他、フェノールレジンポリオール、エ
ポキシポリール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソ
プレンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオ
ール、アクリル、スチレン等の単量体をビニル付加ない
し分散せしめたポリマーポリオール、ウレア分散ポリオ
ール、カーボネートポリオール等が本発明のポリオール
として使用することが可能である。これらのポリオール
は、一般の溶剤型の他、非水ディスパージョン(NA
D)型でも使用が可能である。特に、耐久性の面からア
クリルポリオールが望ましい。
【0032】本発明に使用する前記ポリオールの分子量
は、重量平均分子量にて5000〜80000、好まし
くは20000〜60000である。分子量が5000
より小さくなる場合には、塗膜の硬化性、耐久性が十分
でなく、80000より大きくなる場合には、塗膜の仕
上がり性が十分ではない。
【0033】さらに、これらポリオールの水酸基価は2
0〜150 KOHmg/g 、好ましくは30〜100 KOHmg
/g である。水酸基価が20 KOHmg/g 未満の場合は、
塗膜の耐久性、汚染性が劣り、150 KOHmg/g を超え
る場合は、塗膜の耐久性、可撓性が十分でない。
【0034】また、これらポリオールのガラス転移点は
−10℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃であ
る。−10℃より低くなると、形成される塗膜の耐久性
が悪くなる傾向にある。逆に150℃より高い時は可撓
性、耐久性が劣ってくる。
【0035】(B)ポリイソシアネート 第二層のポリウレタン樹脂塗料では、(B)ポリイソシ
アネート(以下(B)成分という)を配合して架橋硬化
させ、第二層を形成する。このような硬化剤としては、
トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポ
リメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XD
I)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XD
I、水添MDI等のイソシアネートモノマーをアロハネ
ート、ビウレット、2量化(ウレチジオン)、3量化
(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反
応の他、ポリエステルポリオールやカプロラクタムとの
反応等により、誘導体化したもの、および、それらの混
合物が使用可能である。これらの(B)成分は活性水素
を含有しない溶剤による溶液として使用することが好ま
しい。さらに、これらの(B)成分は、アルコール類、
フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性
メチレン化合物類等のブロック剤を用いたブロックイソ
シアネートの形態でも使用できる。これらの(B)成分
も活性水素を含有しない溶剤による溶液として使用され
るのが好ましい。
【0036】これらの(B)成分と(A)成分との混合
は、OH/NCO比で0.6〜1.5、好ましくは0.
8〜1.2となるような比率で行う。このときOH/N
CO比が0.6より小さくても、1.5より大きくて
も、塗膜の耐久性、硬化性が劣るため、積層塗膜全体と
しての塗膜の耐久性に劣ることになる。
【0037】その他の添加剤 本発明における第二層用ウレタン樹脂塗料には、着色顔
料を配合して着色(エナメル)塗膜としてもよい。この
ような着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カー
ボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロム酸鉛
(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オーカ
ー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、
ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリ
レン系、キナクリドン系、キノフタロン系等の有機顔料
が使用できる。また、重質炭酸カルシウム、クレー、カ
オリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、
ホワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料を使用すること
も可能である。
【0038】この他、通常塗料に配合することが可能な
各種添加剤を本発明の効果に影響しない程度に配合する
ことが可能である。このような添加剤としては、可塑
剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、
顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外
線吸収剤等があげられる。
【0039】塗膜の伸び率(β) 本発明における第二層は、気温20℃時の塗膜の伸び率
が2〜300%であるウレタン樹脂塗料によって形成さ
れる。塗膜の伸び率が2%より小さい場合、第二層の塗
膜自体が硬質になり過ぎて、第一層の伸びに追従できず
割れが発生してしまう。逆に塗膜の伸び率が300%よ
り大きくなると、第三層の塗膜に割れが発生しやすくな
るので好ましくない。また、防水形非汚染塗膜を形成す
る際には、塗膜の伸び率(β)が20%〜200%であ
ることが望ましい。特に、第一層の塗膜の伸び率(α)
に比べて、同じかまたはそれより小さい伸び率のものが
好適に用いられる。
【0040】第二層の形成方法 第二層は、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等種
々の塗膜形成方法により形成することが可能である。
【0041】<第三層>本発明における第三層は以下の
いずれかの非汚染塗料組成物によって形成される。 非汚染塗料組成物 以下の(C)(D)(E)(F)によって構成され、気
温20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜200%で
ある塗料組成物。 (C)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
が20〜150KOHmg/gのポリオールを固形分で100
重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式
【化10】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物を固形分で1〜40重量部 (F)ポリイソシアネートを(C)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合
【0042】非汚染塗料組成物 以下の(G)(D)(E)(F)によって構成され、気
温20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜200%で
ある塗料組成物。 (G)数平均分子量3000〜30000、フッ素含量
が10〜30重量%、水酸基価が10〜30KOHmg/gの
溶剤可溶性の含フッ素共重合体を固形分で100重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式
【化11】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物を固形分で1〜40重量部 (F)ポリイソシアネートを(C)ポリオールの水酸基
に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
に配合
【0043】非汚染塗料組成物 以下の(H)(D)(E)で構成され、気温20℃時の
塗膜の伸び率(γ)が0.5〜200%である塗料組成
物。 (H)一般式
【化12】 で表される基を含有するアルコキシシリルキ基含有アク
リル共重合体を固形分で100重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式
【化13】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物を固形分で1〜30重量部
【0044】以下に各構成要素について示す。 (C)ポリオール (C)のポリオール(以下(C)成分という)は、ポリ
ウレタン技術分野において一般的に使用されるオリゴマ
ーポリオールを意味し、硬化剤であるポリイソシアネー
トと混合・反応することにより、第三層の塗膜形成主要
素となるものである。このポリオールは第二層の欄にて
示した(A)のポリオールと同様のものが使用できる。
【0045】(G)含フッ素共重合体 本発明の(G)含フッ素共重合体(以下(G)成分とい
う)は、一般に常温硬化型のフッ素樹脂塗料に使用され
る水酸基を持つフッ素樹脂を全て包括する。含フッ素共
重合体は、フッ素モノマーと共重合モノマーを共重合し
て得られるが、フッ素モノマーとしては、テトラフルオ
ロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフル
オロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ト
リフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0046】共重合モノマーとしては、ビニルモノマー
が使用されるが、ビニルモノマーのうちビニルエーテル
としてはシクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニ
ルエーテル、およびヒドロキシアルキルビニルエーテ
ル、グリシジルビニルエーテルなどが使用される。また
アルキルビニルエーテルおよびヒドロキシビニルエーテ
ルのモノマーに二塩基酸無水物などの酸を反応させて一
部をカルボキシル化してもかまわない。ビニルエーテル
部位の酸による変成は共重合体を形成してからでもかま
わない。ビニルエーテルではテトラフルオロビニルエー
テルおよび官能基としてカルボキシ基、他のビニル基、
水酸基、グリシジル基またはアミノ基を有するビニルエ
ーテルも使用できる。
【0047】またビニルエステルとしては一般に使用で
きるが価格の点などからベオバ−9,−10(シエル社
製)などが好ましく使用できる。また、酢酸ビニル、ピ
バリン酸ビニルなども使われる。クロトン酸ビニルや官
能基を持つヒドロキシアルキルクロトン酸ビニルでもか
まわない。また安息香酸ビニル、マレイン酸ジエステル
なども使われる。ビニルエーテルやビニルエステルを用
いた共重合体やこれら共重合体の一部にカルボキシル基
を有するものでもかまわない。また共重合体はヒドロキ
シ基、イソシアネート基またはグリシジル基などの架橋
性官能基を有しているものが好適に使用される。
【0048】本発明の(G)成分は数平均分子量が30
00〜30000、フッ素含量が10〜30重量%、水
酸基価が30〜100KOHmg/g、ガラス転移温度が0〜
70℃で溶剤可溶性ものが使用できる。数平均分子量が
3000より小さい場合は、硬化剤との反応性に乏し
く、また各塗膜物性に劣り、逆に、30000より大き
い場合は、混合するポリアルキレンオキサイド鎖含有ア
ルコキシシラン化合物またはアルキルシリケートとの相
溶性が劣るため好ましくない。また、フッ素含有量が1
0重量%より小さい場合は、得られる塗膜の耐候性が充
分でなく、逆に、30重量%より大きい場合は、塗膜の
硬化性、可撓性が劣り、高い光沢値が得られないため好
ましくない。一方、水酸基価が30KOHmg/gより小さい
場合は、架橋密度が低いため、各塗膜物性、耐汚染性が
劣り、逆に、100KOHmg/gより大きい場合は、架橋反
応による硬化収縮が大きくなるため耐久性が低下する。
その他、ガラス転移温度が0℃より低い場合は、表面硬
度が不十分で汚染物質の物理的付着を招き、洗浄すら不
可能な永久的な汚れを生じる。逆に、70℃より大きい
場合は、塗膜の可撓性に劣り、経時でワレなどを生じる
ため好ましくない。
【0049】(H)アルコキシシリル基含有アクリル共
重合体 本発明の(H)アルコキシシリル基含有アクリル共重合
体(以下(H)成分という)は、一般式
【化14】 で表されるアルコキシシリル基を1分子中に少なくとも
1個、好ましくは2個以上有する重合体である。このア
ルコキシシリル基は、(H)成分の主鎖の末端または、
側鎖に含まれていてもよく、双方に含まれていても良
い。(H)成分1分子中のアルコキシシリル基の個数が
1個未満では、第三層の塗膜の耐溶剤性が低下しやすく
なる。
【0050】式中、R1 は炭素数1〜10、好ましくは
1〜4のアルキル基であるが、R1の炭素数が10を越
えると、アルコキシシリル基の反応性が低下し、R1
アルキル基以外、例えばフェニル基、ベンジル基の場合
にも反応は低下する。R1 で表されるアルキル基の具体
例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が
挙げられる。
【0051】また、式中R2 は、水素原子または炭素数
1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、アリール
基、アラルキル基よりなる群から選ばれた1価の炭化水
素基である。R2 で表される炭化水素基において、アル
キル基の具体例としては、R1と同様の基が挙げられ、
アリール基の具体例としては、例えばフェニル基等が挙
げられ、アラルキル基の具体例としては、例えばベンジ
ル基などが挙げられる。
【0052】(H)成分は、その主鎖が実質的にアクリ
ル共重合体鎖からなるために、塗膜の耐候性、耐薬品
性、耐水性などに優れている。さらに(H)成分におい
て、アルコキシシリル基が炭素原子に結合していれば、
得られる塗膜の耐水性はより一層優れたものとなり、耐
アルカリ性、耐酸性なども優れたものになる。
【0053】(H)成分の数平均分子量は、塗膜の耐久
性などの物性の点から、1000〜30000が好まし
く、3000〜25000がさらに好ましい。
【0054】(H)成分は、例えばアクリル酸、メタク
リル酸、それらの誘導体などのアクリル系モノマーと、
アルコキシシリル基含有モノマーとの共重合体により得
ることができる。アクリル系モノマーには、特に限定は
ないが、その具体例としては、メチル(メタ)アクリル
レート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロ
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリ
ロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミ
ド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ
メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアク
リルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリ
ルアミド、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類
などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキ
シアルキルエステル類とリン酸もしくはリン酸エステル
との縮合生成物であるリン酸エステル基含有ビニル系化
合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。
【0055】また、前記アルコキシシリル基含有モノマ
ーとしては、重合性二重結合を有しているということ以
外特に限定はなく、その具体例としては、例えば、
【化15】
【化16】 などが挙げられ、末端にアルコキシシリル基をウレタン
結合或いはシロキサン結合を介して有するアクリレート
またはメタアクリレートなども含まれる。(H)成分中
におけるアルコキシシリル基含有モノマーの割合は、塗
膜の硬化性や耐久性などの点から5〜90%が好まし
く、10〜70%がさらに好適である。
【0056】(H)成分中には、50%を超えない範囲
で、主鎖にウレタン結合やシロキサン結合により形成さ
れたセグメントを含んでいてもよく、(メタ)アクリル
誘導体以外のモノマーに由来するセグメントを含んでい
てもよい。このモノマーは特に限定はないが、その具体
例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ク
ロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシス
チレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル
系化合物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不
飽和カルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩、アミン塩など)、それらの酸無水物(無水マ
レイン酸など)、または、それらと炭素数1〜20の直
鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフ
エステルなどの不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビ
ニルエステルやアリル化合物、ビニルピリジン、アミノ
エチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合
物、イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸
ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンな
どのアミド基含有ビニル化合物、2−ヒドロキシエチル
ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシ
ルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロ
ロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フル
オロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、
ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物などが
挙げられる。
【0057】これらアルコキシシリル基含有モノマーの
少なくとも1種以上と、ラジカル重合性モノマーの少な
くとも1種を、非反応性を有する適当な溶媒中で混合
し、ラジカル重合開始剤を用いて共重合させることによ
ってアルコキシシリル基含有アクリル共重合体を得るこ
とができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキ
サイド、2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシ
ン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロ
ピル)ベンゼン、t−ブチルパーベンゾエートなどのパ
ーエステル化合物、アゾビスイソブチロニトリルおよび
ジメチルアゾブチレートなどのアゾ化合物、および有機
過酸化物などが挙げられる。
【0058】(D)アルコキシシラン化合物 本発明の(D)アルキレンオキサイド鎖を含有するアル
コキシシラン化合物(以下(D)成分という)は、アル
キレンオキサイド基の繰り返し単位と、少なくとも1個
以上のアルコキシシリル基を有する化合物である。かか
る(D)成分のアルキレンオキサイド基繰り返し単位
は、そのアルキレン部分の炭素数は2〜4であり、繰り
返し数は2〜40、好ましくは2〜20である。
【0059】(D)成分は、その両末端がアルコキシシ
リル基であってもよく、一端がアルコキシシリル基であ
って、他端がその他の官能基であってもよい。このよう
な片末端に有することのできる官能基としては、例え
ば、ビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ
基、イソシアネート基、メルカプト基等が挙げられる。
また、該官能基は、アルコキシシリル基との間にウレタ
ン結合、尿素結合、シロキサン結合、アミド結合等を介
して結合されたものであっても良い。このような(D)
成分は、例えば、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合
物と、アルコキシシリル基含有化合物(以下カップリン
グ剤という。)を反応させて合成したものが使用でき
る。
【0060】前記ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合
物は、重量平均分子量が150〜3500が好ましく、
200〜1500がさらに好ましい。重量平均分子量が
150未満の場合、最終的に得られる硬化塗膜の親水性
に劣り、降雨による汚染物質の洗浄効果が得られず、重
量平均分子量が3500を越える場合、硬化物の耐水性
や硬度が低下する。このようなポリアルキレンオキサイ
ド鎖含有化合物としては、ポリエチレングリコール、ポ
リエチレン−プロピレングリコール、ポリエチレン−テ
トラメチレングリコール、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポ
リエチレングリコールビニルエーテル、ポリエチレング
リコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールア
リルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテ
ルなどが挙げられる。また、該ポリアルキレンオキサイ
ド鎖含有化合物は、1種もしくは2種以上の組み合わせ
から選択することができる。
【0061】一方、カップリング剤は、例えば、一分子
中に、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基とその
ほかの置換基を有する化合物である。カップリング剤と
しては具体的には、例えば、β−(3、4エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N
−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネー
ト官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシ
シランなどが挙げられる。
【0062】(D)成分の合成は、特に限定されない
が、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物とカップリ
ング剤とを別々に用意し、例えば重合性二重結合を有す
る各化合物についてはラジカル重合開始剤を用いて共重
合させる他、アミノ基/エポキシ基、イソシアネート基
/水酸基またはイソシアネート基/アミノ基等の付加反
応など公知の方法によって合成することができる。ま
た、第1級、第2級アミノ基等の活性水素基を有するア
ルコキシシリル化合物にエチレンオキサイドを開環付加
せしめる方法によっても合成可能である。
【0063】ラジカル重合開始剤を用いて共重合させる
場合は、重合性二重結合を有するポリアルキレンオキサ
イド鎖含有化合物の少なくとも1種以上と、カップリン
グ剤の少なくとも1種以上を非反応性の適当な溶媒中で
反応させて得る事ができる。この際、使用されるラジカ
ル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサ
イド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジ
(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3,1,3−ビ
ス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t
−ブチルパーベンゾエートなどのパーエステル化合物、
アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチルアゾブチレ
ートなどのアゾ化合物、および有機過酸化物などが挙げ
られる。
【0064】重合性二重結合を有するポリアルキレンオ
キサイド鎖含有化合物としては、例えば、ポリエチレン
グリコールビニルエーテルを用いることができ、カップ
リング剤には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキ
シシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリエトキ
シシランなどを単独もしくは2種以上の組み合わせで使
用できる。
【0065】イソシアネート/ポリオールの付加反応に
より合成する場合、例えばポリアルキレンオキサイド鎖
含有化合物には、ポリエチレングリコールなどの末端に
ヒドロキシル基を有する化合物と、カップリング剤には
イソシアネート含有カップリング剤などのイソシアネー
ト基を有する化合物を混合し合成させる。この合成方法
においては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ
ジマレートまたはジオクチルスズジマレートなどの反応
触媒を使用することも可能である。
【0066】これらの反応において、合成される(D)
成分としては、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物
の両末端または片末端にカップリング剤を付加したもの
が得られ、それら単独または両者の混合物が使用でき
る。
【0067】これら(D)成分の内で、アルキレンオキ
サイド鎖がエチレンオキサイド鎖であり片末端が水酸基
であるものが、本発明の非汚染効果、すなわち耐汚染性
ならびに染み込み抵抗性等が高いため最も好ましい。
【0068】(D)成分の配合割合は、(C)、
(G)、(H)各成分の樹脂固形分100重量部に対
し、固形分で0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜
10重量部である。0.1重量部未満では得られる硬化
物の親水性が充分でなく、20重量部を越えると、各樹
脂との相溶性、硬化物の耐水性などが劣る結果となる。
【0069】(E)アルキルシリケート 本発明の(E)一般式
【化17】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
縮合物(以下、(E)成分という)は、例えば、テトラ
メチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−
n−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリケ
ートから選択される1種以上が、縮合物としては、上記
テトラアルキルシリケートを加水分解条件下にて縮合さ
せて得られるものから選択される1種以上があげられ
る。特にテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケ
ートの少なくとも1種またはこれらの縮合物の使用が形
成された塗膜の可撓性と緻密性のバランスの点から好ま
しい。縮合物の縮合度は2〜20が好ましく、縮合度が
20を超えると、縮合物の粘度が上昇し取扱いが不便に
なるとともに、(C)、(G)、(H)各成分との相溶
性が悪くなり、塗料に白濁を生じる結果となる。
【0070】また、(E)成分の混合割合は、(C)、
(G)各成分の樹脂固形分100重量部に対し、固形分
で1〜40重量部、好ましくは2〜20重量部が適当で
ある。これは、1重量部未満では硬化塗膜の表面硬度が
十分でなく、汚染物質の物理的付着を招き、永久的な汚
染が生じ、40重量部を超えると、各樹脂との相溶性、
硬化物における外観が悪化したり、クラックが発生する
といった問題があるためである。(H)成分の樹脂固形
分100重量部に対しては、1〜30重量部が適当であ
る。これは、(H)成分自体が(E)成分と同様の反応
機構により硬化していくという特徴を有していることか
ら、(E)成分を多量に混入すると形成された塗膜が非
常に硬質となり、第二層の伸びに追従できなくなり、ク
ラックが発生しやすくなるためである。
【0071】(F)ポリイソシアネート 第三層において、非汚染塗料組成物およびについて
は、(F)ポリイソシアネート(以下(F)成分とい
う)を配合して架橋硬化させ、第三層を形成する。この
(F)成分については、前述の(B)成分と同様のもの
が使用できる。
【0072】この(F)成分は、(C)および(G)成
分の水酸基に対して、OH/NCO比率で0.6〜1.
5となるように配合しなければならない。このときOH
/NCO比が0.6より小さくても、1.5より大きく
ても、第三層の塗膜の耐久性、硬化性が劣るため、積層
塗膜全体としての塗膜の耐久性に劣ることになる。
【0073】その他の添加剤 本発明における非汚染塗料組成物、及びには、着
色顔料を配合して着色(エナメル)塗膜としてもよい。
このような着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、
カーボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロム酸
鉛(モリブデードオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オー
カー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ
系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、
ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインド
リノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシアニン系、
キノフタロン系等の有機顔料が使用できる。
【0074】また、重質炭酸カルシウム、クレー、カオ
リン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホ
ワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料を使用することも
可能である。特に、艶消し塗膜を形成する場合には、塗
膜表面における非汚染効果を損なうことの最も少ないホ
ワイトカーボン、珪藻土を使用することが最適である。
なお、これらの無機質を塗料に添加する際に、粉体表面
をカップリング剤で処理したり、塗料にカップリング剤
を添加することは好ましい手段である。
【0075】本発明の非汚染塗料組成物、及びに
は、通常塗料に配合することが可能な各種添加剤を本発
明の効果に影響しない程度に配合することが可能であ
る。このような添加剤としては、可塑剤、防腐剤、防黴
剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降
防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤等があげ
られる。
【0076】その他、本発明における非汚染塗料組成物
には、さらに(I)アルコキシシリル基の加水分解・
縮合用触媒(以下(I)成分という)を加えることが可
能である。(I)成分の具体例としては、ジブチルスズ
ジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルス
ズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル
酸スズなどの有機スズ化合物、リン酸、モノメチルホス
フェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフ
ェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフ
ェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジデシルホスフェートなどのリン酸エステル、プロピレ
ンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオ
キサイド、グリシジルメタクリレート、グリシドール、
アクリルグリシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、エポキシ化合物とリン酸および/または
モノ酸性リン酸エステルとの付加反応物、マレイン酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、
クエン酸、コハク酸、フタル酸、トリメット酸、ピロメ
ット酸、これらの酸無水物、p−トルエンスルホン酸な
どの酸性化合物が挙げられる。また、これらの酸性触媒
とアミンとの混合物または反応物も含まれる。例えば、
ヘキシルアミン、N.N−ジメチルドデシルアミン、ド
デシルアミンなどのアミン類が挙げられるが、有機スズ
化合物が好ましく、特に塗膜形成初期における塗膜表面
の親水性化に優れることからマレート系有機スズ化合物
がより好ましく用いられる。
【0077】(I)成分の使用量は特に限定はないが、
(H)、(D)、(E)成分の全樹脂固形分100重量
部に対して、通常0.1〜20重量部が適当であり、
0.1〜10重量部がさらに好ましい。これは、(I)
成分の使用量が0.1重量部未満になると、硬化性が低
下する傾向があり、20重量部を越えると塗膜の外観性
が低下する傾向にあるためである。
【0078】さらに、非汚染塗料組成物には、組成物
の長期保存安定性の面から(J)脱水剤および/または
アルキルアルコール(以下(J)成分という)を添加す
ることができる。脱水剤の具体例としては、例えばオル
トギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、
オルト酢酸エチル、メチルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシランなどの加水分解性エステル化合物が挙げ
られる。その他、アルキルアルコールとしては、例えば
メタノール、エタノールのような低分子量アルコールが
挙げられる。
【0079】これら、(J)成分は、(H)成分中に添
加しておくのが好ましいが、(H)成分の重合に際し、
重合前または重合後、或いは重合時に添加できる。ま
た、(J)成分の使用量は特に限定はないが、(H)成
分の樹脂固形分100重量部に対して、0.5〜20重
量部、さらに2〜10重量部が好ましい。なお、脱水剤
とアルキルアルコールを併用すれば、組成物の保存安定
性に顕著な効果が見られる。
【0080】塗膜の伸び率(γ) 本発明における第三層は、気温20℃時の塗膜の伸び率
が0.5〜200%である非汚染塗料組成物によって形
成される。塗膜の伸び率が0.5%より小さくなると、
塗膜が硬質すぎて割れが発生する可能性があるため好ま
しくない。逆に塗膜の伸び率が200%より大きい場合
は、塗膜の耐汚染性が著しく劣ってくるため好ましくな
い。また、防水型非汚染塗膜を形成する際は、塗膜の伸
び率(γ)が20〜150%であることが望ましい。特
に、第二層の塗膜の伸び率(β)に比べて、同じかまた
はそれより小さい伸び率のものが好適に用いられる。
【0081】本発明の第三層は、ハケ塗り、スプレー塗
装、ローラー塗装、浸漬等種々の方法により塗装するこ
とが可能である。
【0082】<非汚染塗膜>以上のような第一層、第二
層、第三層を順次積層していくことにより、本発明の非
汚染塗膜は形成できる。その際、第二層の塗膜の伸び率
(β)が第一層の塗膜の伸び率(α)以下であり、さら
に第三層の塗膜の伸び率(γ)が第二層の伸び率(β)
以下であるように積層することが好ましい。言い換えれ
ば、以下のような関係が成り立つことが望ましい。 (α)≧(β)≧(γ) この関係を満たすように第一層から第三層を積層した場
合には、特に塗膜のひび割れや膨れ、はがれのない強固
な塗膜を形成することができる。
【0083】また、非汚染性がありなおかつ防水性があ
る塗膜形成する場合は、塗膜の伸び率がそれぞれ、 (α)120%〜800% (β)20〜200% (γ)20〜150% となるように積層することが好ましい。
【0084】
【発明の効果】本発明の非汚染塗膜の形成方法によれ
ば、弾性塗材層や弾性防水材層の上にも、ひび割れや膨
れ、はがれといった問題が生じず、強固で美装の非汚染
塗膜を形成することが可能になった。これは、ただ単に
第二層のウレタン樹脂塗料により形成される塗膜が緩衝
層として働くのみならず、第二層に加えて第三層が特殊
な構成の非汚染塗料組成物により形成されることから、
第二層と第三層の複合的効果で可能になるものである。
また、形成された塗膜は降雨等の塗膜形成後に生ずる作
用により、初めて塗膜が親水性となるのではなく、塗膜
形成直後よりその表面が親水性となり、汚染物質を洗い
流す効果を生じ、かつ第一層から第三層までの複合効果
により強固でありながら脆くならず、油汚れの染み込み
抵抗性にも優れ、耐候性、その他塗膜物性の良好な非汚
染塗膜を得るものである。
【0085】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴をより明確にする。 (合成例1)ポリアルキレンオキサイド鎖含有カップリ
ング剤合成例 加熱装置、撹拌器、環流装置、脱水装置、温度計を備え
た反応槽に、ポリエチレングリコール200(重量平均
分子量200:和光純薬株式会社製)20重量部と、イ
ソシアネート含有シランであるY−9030(日本ユニ
カー株式会社製)54.3重量部と、ジブチルスズラウ
レート0.05重量部とを仕込み、50℃にて8時間反
応させ、淡黄色のポリエチレンオキサイド鎖含有カップ
リング剤1を得た。このポリエチレンオキサイド鎖含有
カップリング剤1の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマ
トグラフィー(以下GPCという)のポリスチレン換算
により測定した結果800であった。
【0086】(配合例1)表1に示す原料を使用して、
表2の配合比率のように、アクリルポリオール2の固形
分100重量部に対して、酸化チタン84重量部を均一
に混練し、白色塗料の主剤を作成した。この主剤に対し
てOH/NCO比率が1.2となるように、硬化剤1を
固形分換算で13.5重量部添加した塗料組成物を得
た。 (配合例2〜3)表1に示す原料を使用して、表2の配
合比率にて、配合例1と同様にして塗料組成物を得た。 (配合例4)表1に示す原料を使用して、表2の配合比
率のようにアクリルポリオール2の固形分100に対し
て、酸化チタン84重量部を均一に混練し、これにポリ
エチレンオキサイド鎖含有カップリング剤1を10重量
部、メチルシリケートを10重量部配合し、白色塗料の
主剤を作製した。この主剤に対してOH/NCO比率が
1.2となるように、硬化剤1を固形分換算で13.5
重量部添加した塗料組成物を得た。 (配合例5)表1に示す原料を使用して、表2の配合比
率にて配合例4と同様にして塗料組成物を得た。 (配合例6)表1に示す原料を使用して、表2の配合比
率のように含フッ素共重合体の固形分100重量部に対
して、酸化チタン84重量部を均一に混練し、これにポ
リエチレンオキサイド鎖含有カップリング剤1を10重
量部、エチルシリケートを20重量部配合し、白色塗料
の主剤を作製した。この主剤に対して、OH/NCO比
率が1.2となるように硬化剤2を固形分換算で42.
8重量部添加した塗料組成物を得た。 (配合例7)表1に示す原料を使用して、表2の配合比
率のようにアルコキシシリル基含有アクリル共重合体1
の固形分100重量部に対して、酸化チタン84重量部
を均一に混練し、これにポリエチレンオキサイド鎖含有
カップリング剤1を5重量部、メチルシリケートを5重
量部配合し、白色塗料の主剤を作製した。この主剤に対
して、硬化触媒であるジブチルスズラウレートを1重量
部添加して塗料組成物を得た。 (配合例8〜配合例10)表1に示す原料を使用して、
表2の配合比率のごとく樹脂に顔料を混練した後、硬化
剤又は触媒を添加して塗料組成物を得た。 (配合例11〜12)表1に示す原料を使用して、表2
の配合比率のように配合例4と同様にして、塗料組成物
を得た。
【0087】(実施例1) 試験体用基材 150mm×300mm×6mmのスレート板2枚と、
150mm×75mm×6mmのスレート板3枚及び2
0mm×50mm×6mmのスレート板3枚の計8枚を
試験体用基材とし、それぞれの基材の裏面及び側面(計
5面)を無溶剤エポキシ樹脂にてシールして用いた。 積層塗膜形成 これら基材上に、表3に示すような材料を使用し、表4
で示すような順序にて第一層から第三層までを積層し
た。まず、素地調整としてEXシーラー(エスケー化研
株式会社製 塩化ゴム系溶剤形下塗材)を所要量0.2
kg/mとなるようにスプレー塗装し、気温20℃・
湿度65%で4時間乾燥させた。次に、第一層目として
レナエクセレント(エスケー化研株式会社製アクリルゴ
ム系防水形複層塗材E)を所要量2.0kg/mとな
るように2回に分けてスプレー塗装し、気温20℃・湿
度65%で24時間乾燥させた。さらに、第二層目とし
て配合例2の塗料組成物を乾燥膜厚が25μmとなるよ
うにスプレー塗装し、気温20℃・湿度65%で24時
間乾燥させた。最後に、第三層目として配合例5の塗料
組成物を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装
し、試験体とした。
【0088】試験方法 (1)塗膜硬化後の外観の評価 150mm×300mm×6mmの試験体1枚を、気温
20℃・湿度65%で7日間養生し、JIS K5400(1990)
7.1 塗膜の外観試験に準じ、塗膜の外観を評価した。 (2)温冷繰り返し試験評価 150mm×75mm×6mmの試験体1枚を、気温2
0℃湿度65%で7日間養生し、JIS A6909(1995) 6.11
温冷繰り返し試験に準じ、試験を行った。ただし、2
4時間の1サイクルを終えるごとに、塗膜の外観の評価
を行った。 (3)耐沸騰水性試験評価 150mm×75mm×6mmの試験体1枚を、気温2
0℃・湿度65%で7日間養生し、JIS K5400(1990) 8.
20 耐沸騰水性試験に準じ試験を行った。ただし、浸漬
時間は4時間とした。 (4)水に対する接触角測定 20mm×50mm×6mmの試験体3枚を、気温20
℃・湿度65%でそれぞれ24時間(1日)、72時間
(3日)、14日乾燥させる。乾燥後、塗膜表面に0.
2ccの脱イオン水を滴下し、気温20℃・湿度65%
にて滴下直後及び1分後の接触角を共和界面科学株式会
社製CA−A型接触角測定装置にて測定した。 (5)耐汚染性評価 150mm×300mm×6mmの試験体1枚を、気温
20℃・湿度65%で7日間養生した後、大阪府茨木市
で南面向き45度傾斜にて屋外暴露を実施し、初期と6
カ月後の明度差(ΔL値)を東京電色株式会社製TC−
1800型色差計を用いて測定した。 (6)汚れの染み込み抵抗性評価 150mm×75mm×6mmの試験体1枚を、気温2
0℃・湿度65%で7日間養生した後、JIS K5400(199
0) 8.10 耐候性試験に準じ、塗膜面に15重量%のカ
ーボンブラック水分散ペースト液を、直径20mm・高
さ5mmとなるように滴下し、50℃の高温室中に2時
間放置した。その後、流水中で洗浄し、塗膜表面の汚染
の程度を目視により評価した。
【0089】評価結果 表6に示す通り、硬化後の塗膜の外観評価は良好であっ
た。温冷繰り返し、耐汚染性の試験等耐久性試験でも異
常は見られず、非常に高耐久性を示した。水に対する接
触角は、24時間後測定時で滴下直後が68゜、1分後
が62゜、72時間後測定時で滴下直後が58゜、1分
後が52゜、14日後測定時で滴下直後が58゜、1分
後が52゜であり、いずれも低い値を得ており、塗膜表
面が親水性であることがわかった。さらに、耐汚染性評
価ではΔL値が−2.7と言う結果が得られており、良
好な耐汚染性を示していることが判明した。また、汚れ
の染み込み抵抗性試験では痕跡が認められず、良好な結
果が得られた。従って、付着した汚れは塗膜表面にのみ
存在し、降雨によって完全に流下することのできる優れ
た非汚染塗膜であるとともに、基材と強固に密着し、美
装な積層塗膜を形成できることが明らかになった。
【0090】(実施例2) 試験体用基材 実施例1と同様のものを使用した。 積層塗膜形成 基材に表3に示すような材料を使用し、表4で示すよう
な順序にて第一層から第三層までを積層した。まず、素
地調整としてアーキプライマー(エスケー化研株式会社
製 一液ポリウレタン樹脂系溶剤形下塗材)を所要量
0.2Kg/m2となるようにスプレー塗装し、気温20
℃・湿度65%で6時間乾燥させた。次に、第一層目と
してSKシーラント(エスケー化研株式会社製 一液変
性シリコーン系シーリング材)を乾燥膜厚が5mmとな
るようにコテ塗りし、気温20℃・湿度65%で3日間
乾燥させた。さらに、第二層目として配合例2の塗料組
成物を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装
し、気温20℃・湿度65%で24時間乾燥させた。最
後に、第三層として配合例5の塗料組成物を乾燥膜厚が
25μmなるようにスプレー塗装し、試験体とした。
【0091】試験方法 実施例1に準じて試験を行った。 評価結果 表6に示す通り、実施例1と同様、良好な結果が得られ
た。
【0092】(実施例3〜4)表3に示すような材料を
使用し、表4で示すような順序で、実施例1に準じて試
験体を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、
表6に示す通り良好な結果が得られた。
【0093】(比較例1〜比較例3及び比較例5〜比較
例6)表3に示すような材料を使用し、表5で示すよう
な順序で、第一層から第三層を形成し、実施例1に準じ
て試験体を作製した。実施例1と同様の評価を行ったと
ころ、表7のような結果となった。
【0094】(比較例4)表3に示すような材料を使用
し、表5で示すような順序で、実施例2に準じて試験体
を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、表7
のような結果となった。
【0095】<比較例評価結果> 比較例1では、一般の硬質タイプのアクリル樹脂塗料を
第二層目、第三層目に積層しているが、第一層目のレナ
エクセレントの伸びに追従できず、経時で割れの発生が
見られるなど、積層塗膜の耐久性に問題が生じた。また
比較例5では、本発明の(D)成分である繰り返し単位
が2〜40のアルキレンオキサイド鎖を含有するアルコ
キシシラン化合物を含まないため、初期の接触角が本発
明のものに比べ高くなっており、染み込み抵抗性におい
ても痕跡が残る結果となった。さらに、比較例5では耐
沸騰水試験で膨れが生じた。比較例6では本発明の
(E)成分であるメチルシリケートの量が多いため、塗
膜の外観において他と比較して艶引けが著しく、温冷繰
り返し試験、耐沸騰水試験、屋外暴露試験のいずれにお
いても塗膜にひび割れが発生しており、積層塗膜の耐久
性に問題があることがわかった。
【0096】その他、比較例2〜比較例4は、第三層目
を一般のウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、アクリル
シリコン樹脂塗料によって形成させたものであるが、い
ずれの積層塗膜も耐久性には問題ないものの、接触角が
高く、塗膜表面が撥水性であり、耐汚染性、染み込み抵
抗性にも劣る結果となった。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 183/02 C09D 183/02 // C09D 127/12 127/12 (72)発明者 仲居 浩史 大阪府茨木市清水1丁目25番10号エスケ ー化研株式会社研究所内 (72)発明者 池内 忠彦 大阪府茨木市清水1丁目25番10号エスケ ー化研株式会社研究所内 (72)発明者 軽賀 英人 大阪府茨木市清水1丁目25番10号エスケ ー化研株式会社研究所内 (72)発明者 栗本 健介 大阪府茨木市清水1丁目25番10号エスケ ー化研株式会社研究所内 (72)発明者 鈴木 久志 大阪府茨木市清水1丁目25番10号エスケ ー化研株式会社研究所内 審査官 村山 禎恒 (56)参考文献 特開 昭62−129184(JP,A) 特開 昭62−4473(JP,A) 特開 平7−136584(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 27/40 C09D 175/04 C09D 183/02 C09D 127/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】建築物または土木構造物の表面に、 (1)気温20℃時の塗膜の伸び率(α)が50〜80
    0%である弾性塗材または弾性防水材により形成される
    第一層の上に、 (2)以下に示す(A)(B)により構成され、気温2
    0℃時の塗膜の伸び率(β)が2〜300%であるウレ
    タン樹脂塗料により形成される第二層 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
    20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
    に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
    に配合、 を積層し、さらに (3)以下に示す(C)(D)(E)(F)で構成さ
    れ、気温20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜20
    0%である非汚染塗料組成物によって形成される第三層 (C)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
    が20〜150KOHmg/gのポリオールを固形分で
    100重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
    鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
    コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式 【化1】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
    縮合物を固形分で1〜40重量部 (F)ポリイソシアネートを(C)ポリオールの水酸基
    に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
    に配合、 を積層することを特徴とする非汚染塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】建築物または土木構造物の表面に、 (1)気温20℃時の塗膜の伸び率(α)が50〜80
    0%である弾性塗材または弾性防水材により形成される
    第一層の上に、 (2)以下に示す(A)(B)により構成され、気温2
    0℃時の塗膜の伸び率(β)が2〜300%であるウレ
    タン樹脂塗料により形成される第二層 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
    20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
    に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
    に配合、 を積層し、さらに (3)以下に示す(G)(D)(E)(F)で構成さ
    れ、気温20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜20
    0%である非汚染塗料組成物によって形成される第三層 (G)数平均分子量3000〜30000、フッ素含量
    が10〜30重量%、水酸基価が10〜30KOHmg
    /gの溶剤可溶性の含フッ素共重合体を固形分で100
    重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
    鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
    コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式 【化2】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
    縮合物を固形分で1〜40重量部 (F)ポリイソシアネートを(G)含フッ素共重合体の
    水酸基に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5とな
    るように配合、 を積層することを特徴とする非汚染塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】建築物または土木構造物の表面に、 (1)気温20℃時の塗膜の伸び率(α)が50〜80
    0%である弾性塗材または弾性防水材により形成される
    第一層の上に、 (2)以下に示す(A)(B)により構成され、気温2
    0℃時の塗膜の伸び率(β)が2〜300%であるウレ
    タン樹脂塗料により形成される第二層 (A)重量平均分子量5000〜80000、水酸基価
    20〜150KOHmg/gのポリオール (B)ポリイソシアネートを(A)ポリオールの水酸基
    に対してOH/NCO比率で0.6〜1.5となるよう
    に配合、 を積層し、さらに (3)以下に示す(H)(D)(E)で構成され、気温
    20℃時の塗膜の伸び率(γ)が0.5〜200%であ
    る非汚染塗料組成物によって形成される第三層 (H)一般式 【化3】 で表される基を含有するアルコキシシリル基含有アクリ
    ル共重合体を固形分で100重量部 (D)繰り返し単位が2〜40のアルキレンオキサイド
    鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアル
    コキシシラン化合物を固形分で0.1〜20重量部 (E)一般式 【化4】 で表されるアルキルシリケートおよび/またはこれらの
    縮合物を固形分で1〜30重量部、 を積層することを特徴とする非汚染塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】第一層の塗膜の伸び率(α)が120〜8
    00%であり、第二層の塗膜の伸び率(β)が20〜2
    00%、第三層の塗膜の伸び率(γ)が20〜150%
    であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか
    に記載の防水形非汚染塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】第二層の塗膜の伸び率(β)が第一層の塗
    膜の伸び率(α)以下であり、さらに第三層の塗膜の伸
    び率(γ)が第二層の塗膜の伸び率(β)以下である
    [(α)≧(β)≧(γ)]ことを特徴とする請求項1
    から請求項4の何れかに記載の非汚染塗膜の形成方法。
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