JP5187484B2 - タイルの補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイルの補修方法に関する。更に詳しくは、ひび割れ、下地からの浮き又は剥がれ等に対して適切な処置を施された不良タイルの表面に、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に、効率よく形成し、外観性及び意匠性を維持することができるタイルを補修する方法に関する。
従来、ビル、マンション、一般家屋等の建造物の壁面等には、意匠性に優れたタイルが広く用いられている。しかしながら、大気汚染、天災、季節の変化等によって、タイルにひび割れが発生したり、タイルが下地から剥がれたりする等の不良現象が発生することがある。
不良タイルの改修方法としては、新品タイルに交換する以外に、空隙に樹脂を注入する方法、不良タイルの表面を含む全面に多層塗膜を形成する方法等が知られている。
不良タイルの表面に塗膜を形成し、補修する方法としては、下塗り材(シリル基含有アクリル系共重合体を含むコーティング材)、防水機能を有する中塗り材(カルボニル基含有アクリル系共重合体、2つ以上のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体等を含む架橋性水性コーティング材)、及び、上塗り材(架橋型樹脂溶液)を順次塗工する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開平6−33565号公報
上記特許文献1における方法のように、水性塗料を用いて多層塗膜を形成すると、乾燥するまでに要する時間が長くなり、作業性が低下することがある。また、乾燥が完結するまでに雨に降られると、一部が流れてしまい、均一な塗膜を得ることが困難であり、汚れ、筋等が付きやすくなり、施工後の外観性が低下することがある。
更に、1年を通して、気温の変化が激しくなると、特に、冬季において硬化皮膜が破断することがある。
本発明の目的は、建物の外装材料、内装材料等として、コンクリート、モルタル、アスファルト、金属、木材、樹脂等からなる下地の表面に配設された陶磁器製タイルにおいて、経年変化等によって、ひび割れ、下地からの浮き又は剥がれ等の不良現象が見られる場合に、これらに対する適切な処置を施した後、タイルの表面に、密着性及び耐久性に優れた、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に、効率よく形成し、長期に渡って、外観性、防汚性及び意匠性を維持することができ、また、季節の移り変わりに伴う気温の変化に影響されることが少なく、例えば、冬季等、気温の低い時期において各層が破断しにくく、低温安定性に優れるタイルの補修方法を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.改修すべきタイルの表面に、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に形成することによりタイルを補修する方法であって、上記防水層の形成に用いる組成物(以下、「防水層形成用組成物」ともいう。)は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−1]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物(防水層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−40℃〜20℃であり、上記保護層の形成に用いる組成物(以下、「保護層形成用組成物」ともいう。)は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−P]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物(保護層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−30℃〜30℃であり、上記防水層を形成する組成物(防水層形成用組成物)に含有される上記共重合体[A−1]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)とからなる共重合体であり、上記単位(a11)及び(a12)の含有量は、該共重合体[A−1]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%であり、上記保護層を形成する組成物(保護層形成用組成物)に含有される上記共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)からなる共重合体であり、上記単位(a21)、(a22)、(a23)及び(a24)の含有量は、上記共重合体[A−P]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%であり、上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含み、且つ、上記防水層を形成する組成物(防水層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層を形成する組成物(保護層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いことを特徴とするタイルの補修方法。
以下、この補修方法を、「第1態様の方法」という。
2.改修すべきタイルの表面に、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に形成することによりタイルを補修する方法であって、上記防水層の形成に用いる組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−2]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−40℃〜20℃であり、上記保護層の形成に用いる組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−P]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−30℃〜30℃であり、上記防水層を形成する組成物に含有される上記共重合体[A−2]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a13)と、他の化合物よりなる単位(a14)からなる共重合体であり、上記単位(a11)、(a12)、(a13)及び(a14)の含有量は、上記共重合体[A−2]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、30〜80質量%、10〜40質量%及び0〜20質量%であり、上記保護層を形成する組成物に含有される上記共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)からなる共重合体であり、上記単位(a21)、(a22)、(a23)及び(a24)の含有量は、上記共重合体[A−P]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%であり、上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含み、且つ、上記防水層を形成する組成物(防水層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層を形成する組成物(保護層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いことを特徴とするタイルの補修方法。
以下、この補修方法を、「第2態様の方法」という。
3.上記防水層を形成する組成物(防水層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−20℃〜15℃であり、且つ、上記保護層を形成する組成物(保護層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−10℃〜30℃である上記1又は2に記載のタイルの補修方法。
4.上記アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物が、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルを含む上記1乃至3のいずれか一項に記載のタイルの補修方法。
5.上記防水層を形成する組成物(防水層形成用組成物)、及び、上記保護層を形成する組成物(保護層形成用組成物)の固形分が、70〜95質量%の範囲にある上記1乃至のいずれかに記載のタイルの補修方法。
6.ゼロスパン法により測定された、プライマー層、防水層及び保護層を備える積層体の伸びが、−5℃において1mm以上である上記1乃至のいずれかに記載のタイルの補修方法。
本発明のタイルの補修方法によれば、建物の外装材料、内装材料等として、コンクリート、モルタル、アスファルト、金属、木材、樹脂等からなる下地の表面に配設された陶磁器製タイルにおいて、経年変化等によって、ひび割れ、下地からの浮き又は剥がれ等の不良現象が見られる場合に、これらに対する適切な処置を施した後、タイルの表面に、密着性及び耐久性に優れた、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に効率よく形成し、新しいタイルの張替えと変わらない外観に改修することができ、長期に渡って、外観性、防汚性及び意匠性を維持することができる。また、季節の移り変わりに伴う気温の変化に影響されることが少なく、耐久性に優れる。例えば、冬季等、気温の低い時期において層(皮膜)が破断しにくく(低温安定性に優れ)、優れた耐水性(防水性)を維持することができる。
上記防水層を形成する組成物(防水層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層を形成する組成物(保護層形成用組成物)を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いので、より耐久性に優れた、防水層及び保護層を効率よく形成することができる。
上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含むので、耐久性に優れた、防水層及び保護層を効率よく形成することができる。
上記防水層形成用組成物に含有される共重合体[A−1]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)とからなり、特定の含有割合による共重合体であるので、外観性に優れた防水層を効率よく形成することができる。
また、上記防水層形成用組成物に含有される共重合体[A−2]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a13)と、他の化合物よりなる単位(a14)とからなり、特定の含有割合による共重合体であるので、外観性に優れた防水層を効率よく形成することができる。
上記保護層形成用組成物に含有される共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)とからなり、特定の含有割合による共重合体であるので、外観性及び防汚性に優れた保護層を、効率よく形成することができる。
上記防水層形成用組成物及び上記保護層形成用組成物の固形分が70〜95質量%の範囲にある場合には、外観性に優れた、防水層及び保護層を効率よく形成することができる。
本発明のタイル壁面の補修方法は、改修すべきタイル、即ち、建物の外装材料、内装材料等として、コンクリート、モルタル、アスファルト、金属、木材、樹脂等からなる下地の表面に配設された陶磁器製タイルにおいて、経年変化等によって、ひび割れ、下地からの浮き又は剥がれ等の不良現象が見られ、これらに対する適切な処置を施してなるタイルの表面に、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に形成することによりタイルを補修する方法である。第1態様の方法では、上記防水層の形成に用いる組成物(防水層形成用組成物)は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−1](以下、「成分[A−1]」ともいう。)と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B](以下、「成分[B]」ともいう。)と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C](以下、「成分[C]」ともいう。)とを含む有機溶剤系組成物であり、該防水層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−40℃〜20℃であり、上記保護層の形成に用いる組成物(保護層形成用組成物)は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−P](以下、「成分[A−Pともいう。)と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B](成分[B])と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C](成分[C])とを含む有機溶剤系組成物であり、該保護層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−30℃〜30℃であり、上記防水層形成用組成物に含有される上記共重合体[A−1]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)とからなる共重合体であり、上記単位(a11)及び(a12)の含有量は、該共重合体[A−1]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%であり、上記保護層形成用組成物に含有される上記共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)からなる共重合体であり、上記単位(a21)、(a22)、(a23)及び(a24)の含有量は、上記共重合体[A−P]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%であり、上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含み、且つ、上記防水層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いこと特徴である。
また、第2態様の方法では、上記防水層形成用組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−2](以下、「成分[A−2]」ともいう。)と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B](成分[B])と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C](成分[C])とを含む有機溶剤系組成物であり、該防水層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−40℃〜20℃であり、上記保護層形成用組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−P](成分[A−P])と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B](成分[B])と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C](成分[C])とを含む有機溶剤系組成物であり、該保護層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−30℃〜30℃であり、上記防水層形成用組成物に含有される上記共重合体[A−2]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a13)と、他の化合物よりなる単位(a14)からなる共重合体であり、上記単位(a11)、(a12)、(a13)及び(a14)の含有量は、上記共重合体[A−2]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、30〜80質量%、10〜40質量%及び0〜20質量%であり、上記保護層形成用組成物に含有される上記共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)からなる共重合体であり、上記単位(a21)、(a22)、(a23)及び(a24)の含有量は、上記共重合体[A−P]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%であり、上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含み、且つ、上記防水層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いことが特徴である。
本発明のタイル壁面の補修方法においては、プライマー層形成用組成物によりプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、上記成分[A−1又は[A−2]と成分[B]と、成分[C]を含む防水層形成用組成物により防水層(硬化皮膜)を形成する防水層形成工程と、上記成分[A−P]、成分[B]及び成分[C]を含む保護層形成用組成物により保護層(硬化皮膜)を形成する保護層形成工程とを、この順に備える。尚、プライマー層形成工程と防水層形成工程との間、及び、防水層形成工程と保護層形成工程との間、には、それぞれ、中間層を形成する工程を備えてもよい。
上記プライマー層形成工程において用いられるプライマー層形成用組成物は、透明又は略透明であり、且つ、耐水性を備える皮膜を形成するものであれば、特に限定されず、コンクリート等の下塗り材等として公知の組成物、例えば、アクリル酸エステル樹脂系組成物、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂系組成物、アクリルウレタン樹脂系組成物、ウレタン樹脂系組成物、アクリルシリコーン樹脂系組成物、シリコーン樹脂系組成物、フッ素樹脂系組成物等を用いることができる。これらのうち、アクリルウレタン樹脂系組成物、ウレタン樹脂系組成物等が好ましい。また、熱可塑性及び硬化性のいずれでもよいが、硬化性の組成物が好ましく、プライマー層が該組成物による硬化皮膜であることが好ましい。
尚、このプライマー層形成用組成物は、水系組成物及び有機溶剤系組成物のいずれでもよいが、作業性の観点から、有機溶剤系組成物であることが好ましい。
上記プライマー層形成用組成物は、公知の添加剤、例えば、成膜助剤、硬化触媒、凍結安定剤、防腐剤、防かび剤、シランカップリング剤、消泡剤等を含有することができる。
上記アクリルウレタン樹脂系組成物としては、好ましくは、(平均で)2個以上の水酸基を有する重合体と、多価アルコールと、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートと、シランカップリング剤とを含有する組成物である。該組成物を用いると、市販のタイル表面に対する接着性に特に優れる。
上記重合体としては、(平均で)2個以上の水酸基を有するポリオール、(平均で)2個以上の水酸基を有する(メタ)アクリル重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、特に好ましい重合体は、(平均で)2個以上の水酸基を有する(メタ)アクリル重合体であり、防水層形成用組成物、及び、保護層形成用組成物に含有される、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位の1種以上を含む共重合体(水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位とからなる共重合体、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、芳香族ビニル化合物よりなる単位と、他の化合物よりなる単位とからなる共重合体等)である。
上記多価アルコールとしては、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよく、また、脂肪族化合物、脂環族化合物及び芳香族化合物のいずれでもよい。好ましくは、上記組成物に2種以上の多価アルコールを含むことであり、特に好ましい多価アルコールは、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコール、及び、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールである。これらの化合物については、防水層形成用組成物、及び、保護層形成用組成物に含有される各成分を適用することができる。また、上記水酸基価が異なる化合物の含有割合は特に限定されない。
上記多価アルコールの含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に、通常、5〜100質量部である。
上記有機ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートのいずれでもよい。また、上記組成物に、1種のみ含有されてよいし、2種以上が含有されてもよい。
上記有機ポリイソシアネートの含有量は、このイソシアネートのイソシアネート基のモル数と、上記重合体の水酸基のモル数及び上記多価アルコールの水酸基のモル数の和との比NCO/OHが、通常、0.5〜2となるように、選択される。
また、上記シランカップリング剤としては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記シランカップリング剤の含有量は、上記重合体100質量部に対して、通常、0.001〜50質量部である。
尚、上記プライマー層形成用組成物の調製に際しては、予め、有機ポリイソシアネート以外の原料成分を混合して得られた主材を準備しておき、該プライマー層形成用組成物の使用前に、上記主材に有機ポリイソシアネートが配合され、十分に混合される。
上記プライマー層形成用組成物の固形分は、特に限定されないが、通常、20〜60質量%である。また、この組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度も特に限定されず、通常、−30〜40℃の範囲にある。
上記プライマー層形成工程において、上記プライマー層は、上記プライマー層形成用組成物の塗布及び乾燥により形成することができる。このプライマー層形成用組成物は、改修すべきタイルの表面に、好ましくは、改修すべきタイルを含む全タイルの表面に、均一に塗布される。塗布方法としては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等を使用する方法が挙げられる。複数回塗工を行ってもよい。
上記プライマー層の形成に際し、不良タイルの不良箇所に対し、予め、タイル表面の外観性を損なわない程度に、例えば、空隙にエポキシ樹脂等を注入しておいてもよい。また、タイル表面の汚れ等を、高圧水洗、薬剤洗浄等により落としておくことが好ましい。
また、上記プライマー層形成用組成物を塗布する前には、この組成物に含有される有機溶剤、及び/又は、該有機溶剤と親和性のある有機溶剤を用いて、タイル表面を濡らしてもよい。
その後、プライマー層形成用組成物による塗膜の乾燥が行われ、硬化皮膜が得られる。
このプライマー層形成用組成物の塗布及び乾燥に要する時間の合計は、通常、0.5〜24時間である。
上記プライマー層形成工程において形成される上記プライマー層の厚さは、塗工前のタイルの表面状態により選択されるが、通常、5〜100μmである。
上記防水層形成工程において用いられる防水層形成用組成物、及び、上記保護層形成工程において用いられる保護層形成用組成物は、いずれも、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−1、[A−2]又は[A−P]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む組成物であるが、両者は、互いにガラス転移温度の異なる硬化物を与える、異なる組成を有する組成物である。
上記共重合体[A−1、[A−2]又は[A−P]としては、エチレン性不飽和化合物よりなる単位を2種以上含む共重合体であれば、特に限定されず、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト共重合体でもよい。本発明において、この成分[A−1、[A−2]又は[A−P]としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位の1種以上を含む共重合体が好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンモノアクリレート等の多価アルコールのモノ又はポリアクリレート;ペンタエリスリトールトリメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート等の多価アルコールのモノ又はポリメタクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、2以上。)のモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステル;シクロヘキセンオキシドとアクリル酸との付加物等のエポキシドと、アクリル酸との付加物;シクロヘキセンオキシドとメタクリル酸との付加物等のエポキシドと、メタクリル酸との付加物、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール、イソプロペニルフェノール、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ヒドロキシアルキルアクリレート及び/又はヒドロキシアルキルメタクリレートを含むことが好ましい。
上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]を構成する、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位の含有割合は、成分[A−1、[A−2]又は[A−P]を構成する全単位の合計を100質量%とした場合に、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。上記単位の含有量が上記範囲にあると、成分[A−1、[A−2]又は[A−P]と成分[B]と、成分[C]による硬化反応が十分に進行し、得られる硬化物(硬化皮膜)の耐薬品性、耐摩耗性及び引張物性に優れる。
他のエチレン性不飽和化合物としては、芳香族ビニル化合物、脂環族ビニル化合物、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、酸無水物基を有するエチレン性不飽和化合物、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物、アルコキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物、アミド基を有するエチレン性不飽和化合物、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物、ニトリル基を有する不飽和化合物、アルコキシポリアルキレングリコールのモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステル、ビニルエステル等が挙げられる。これらは、組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、2−イソプロペニルナフタレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、脂環族ビニル化合物としては、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基を有するエチレン性不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物は、−COOR基(Rは脂肪族炭化水素基)を有する化合物であり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸n−ヘキサデシル、アクリル酸n−オクタデシル等のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−ヘキサデシル、メタクリル酸n−オクタデシル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。
また、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等の脂環族炭化水素基を含むエステル結合を有する不飽和化合物、又は、芳香族炭化水素基を含むエステル結合を有する不飽和化合物を用いることもできる。
アルコキシ基を有するエチレン性不飽和化合物としては、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレート;メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物としては、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジエチルアミノプロピルアクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジエチルアミノプロピルアクリレート、3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート等のジアルキルアミノアルキルアクリレート;ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、2−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート等のジアルキルアミノアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミド基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスメタクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、アクリロキシベンゼンスルホン酸、メタクリロキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ニトリル基を有する不飽和化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルコキシポリアルキレングリコールのモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステルとしては、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノアクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]は、上記のように、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位の1種以上を含む共重合体であることが好ましい。この成分[A−1、[A−2]又は[A−P]の水酸基価は、10〜400mgKOH/gであり、好ましくは15〜300mgKOH/g、より好ましくは20〜200mgKOH/gである。上記範囲の水酸基価を有する成分[A]を用いることにより、成分[B]及び[C]とともに均一な3次元網目構造を形成することができる。尚、上記水酸基価は、JIS K1557(水酸基価の求め方)に準じて測定することができる。
また、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]について、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)は、2,000〜20,000であり、好ましくは2,000〜15,000、より好ましくは2,000〜10,000である。上記範囲の水酸基価を有する成分[A−1、[A−2]又は[A−P]を用いることにより、各組成物を用いる際の作業性に優れ、柔軟性に優れた硬化物(硬化皮膜)を形成することができる。更に、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]について、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)と、上記Mnとの比である多分散度は、通常、3.0以下であり、好ましくは1.5〜2.5である。上記多分散度が、この範囲にあれば、得られる硬化物(硬化皮膜)が安定した3次元網目構造を備え、耐久性に優れる。尚、上記数平均分子量(Mn)、及び、上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、テトラヒドロフラン溶媒を用いて測定することができる。
以下、防水層形成用組成物及び保護層形成用組成物に含有される成分[A−1、[A−2]又は[A−P]について説明する。尚、上記防水層形成用組成物に含有される成分[A−1又は[A−2]の水酸基価及びMnと、上記保護層形成用組成物に含有される成分[A−P]の水酸基価及びMnとは、それぞれ、同一であってよいし、異なってもよい。
上記防水層形成用組成物に含有される成分[A−1]は、
〔x1〕水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位とからなる共重合体
である。また、成分[A−2]は、
〔x2〕水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、芳香族ビニル化合物よりなる単位と、他の化合物よりなる単位とからなる共重合体
である。これらは、第1態様の方法及び第2態様の方法において、それぞれ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記態様〔x1〕において、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物は、好ましくは、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、多価アルコールのモノ又はポリアクリレート等である。
また、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物は、炭素数が9以上(特に、10〜16)のアクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルのみであってよいし、該アクリル酸アルキルエステルと、他のアクリル酸アルキルエステル(炭素数が4〜8のアクリル酸アルキルエステル)及び/又は炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルとの組合せであってもよい。後者の場合、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルの使用割合は、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物全量に対し、通常、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
上記態様〔x1〕において、上記水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(以下、「単位(a11)」という。)、及び、上記アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(以下、「単位(a12)」という。)の含有量は、この共重合体を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%、より好ましくは10〜40質量%及び60〜90質量%である。この構成を有する共重合体を含有する防水層形成用組成物を用いることにより、プライマー層に対する接着性、柔軟性、防水性、外観性等に優れた防水層を得ることができる。
上記態様〔x1〕の共重合体としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、及び、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位からなる共重合体が特に好ましい。
上記態様〔x2〕において、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物は、好ましくは、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、多価アルコールのモノ又はポリアクリレート等である。
また、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物は、炭素数が9以上(特に、10〜16)のアクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルのみであってよいし、該アクリル酸アルキルエステルと、他のアクリル酸アルキルエステル(炭素数が4〜8のアクリル酸アルキルエステル)及び/又は炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルとの組合せであってもよい。後者の場合、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルの使用割合は、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物全量に対し、通常、5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。
芳香族ビニル化合物の好ましい例は、スチレン、α−メチルスチレン等である。
更に、他の化合物は、上記の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物、及び、芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物であり、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、酸無水物基を有するエチレン性不飽和化合物、アルコキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物、アミド基を有するエチレン性不飽和化合物、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物、ニトリル基を有する不飽和化合物、ポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、2以上。)のモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステル、アルコキシポリアルキレングリコールのモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステル等が挙げられる。
上記態様〔x2〕において、上記水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)、上記アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)、上記芳香族ビニル化合物よりなる単位(以下、「単位(a13)」という。)、及び、上記他の化合物よりなる単位(以下、「単位(a14)」という。)の含有量は、この共重合体を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、30〜80質量%、10〜40質量%及び0〜20質量%、より好ましくは10〜45質量%、35〜70質量%、10〜30質量%及び0〜20質量%である。この構成を有する共重合体を含有する防水層形成用組成物を用いることにより、プライマー層に対する接着性、柔軟性、防水性、外観性等に優れた防水層を得ることができる。
上記態様〔x2〕の共重合体としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、芳香族ビニル化合物よりなる単位からなる共重合体が特に好ましい。
次に、上記保護層形成用組成物に含有される成分[A−P]は、
〔y1〕水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位と、芳香族ビニル化合物よりなる単位と、他の化合物よりなる単位とからなる共重合体
である。
上記態様〔y1〕において、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、及び、他の化合物については、上記態様〔x2〕における説明と同様である。尚、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物は、炭素数が9以上(特に、10〜16)のアクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルのみであってよいし、該アクリル酸アルキルエステルと、他のアクリル酸アルキルエステル(炭素数が4〜8のアクリル酸アルキルエステル)及び/又は炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルとの組合せであってもよい。後者の場合、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルの使用割合は、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物全量に対し、通常、1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%である。
上記態様〔y1〕において、上記水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(以下、「単位(a21)」という。)、上記アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(以下、「単位(a22)」という。)、上記芳香族ビニル化合物よりなる単位(以下、「単位(a23)」という。)、及び、上記他の化合物よりなる単位(以下、「単位(a24)」という。)の含有量は、この共重合体を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%、より好ましくは10〜40質量%、15〜55質量%、10〜35質量%及び0〜20質量%である。この構成を有する共重合体を含有する保護層形成用組成物を用いることにより、防水層に対する接着性、柔軟性、防汚性、防水性、外観性等に優れた保護層を得ることができる。
上記態様〔y1〕の共重合体としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、炭素数が5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、芳香族ビニル化合物よりなる単位からなる共重合体が特に好ましい。
上記防水層形成用組成物、及び、上記保護層形成用組成物は、いずれも、好ましくは有機溶剤系組成物であることから、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]は、溶液重合、高温連続重合等により製造されたものを用いることが好ましい。
溶液重合を適用する場合には、通常、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物;過酢酸、過コハク酸;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物等の重合開始剤が用いられる。この重合開始剤の使用量は、単量体全量を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜10質量部である。
重合溶媒は、生成する共重合体を溶解可能なものであれば、特に限定されず、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。重合溶媒の使用量は、得られる共重合体の固形分が10〜90質量%となる量であることが好ましい。
溶液重合により成分[A−1、[A−2]又は[A−P]を製造する場合、単量体の使用方法は、特に限定されないが、好ましくは、予め、一部の単量体を反応系に収容して重合を開始し、重合反応の進行とともに残りの単量体を連続添加又は分割添加しながら更に重合を行う方法である。この方法によると、多分散度の小さな成分[A−1、[A−2]又は[A−P]を製造することができる。尚、重合温度は、単量体の種類、重合開始剤の種類及びその分解温度又は半減期、重合溶媒の沸点等により選択されるが、通常、50℃〜120℃である。
また、高温連続重合により成分[A−1、[A−2]又は[A−P]を製造する場合、特開昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報等に開示された方法を適用することができる。この方法の一例としては、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、単量体のみ、又は、単量体及び重合溶媒の混合物からなる原料成分を一定の供給速度で反応器へ供給し、該原料成分の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
上記原料成分が、単量体及び重合溶媒の混合物である場合、反応開始時に、予め、反応器に収容された溶媒と、上記重合溶媒は同一であっても、異なっていてもよい。これら溶媒及び重合溶媒は、上記溶液重合において用いられる有機溶媒として例示した化合物であってよいし、そのほか、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコールを使用又は併用することができる。尚、上記原料成分における重合溶媒の含有割合は、単量体全量100質量部に対して、好ましくは200質量部以下である。
尚、上記原料成分は、重合開始剤を含有してよいし、含有されなくてもよい。上記原料成分に、重合開始剤を含有させる場合、その配合量は、単量体全量100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。
上記高温連続重合における重合温度は、好ましくは150℃〜350℃である。この重合温度が150℃未満であると、得られる共重合体の分子量が大きくなりすぎる場合、反応速度が遅くなってしまう場合等がある。一方、350℃を超えると、生成した重合体の分解反応が発生して重合溶液が着色することがある。
反応系の圧力は、重合温度と、使用する単量体及び重合溶媒の各沸点に依存するものであり、重合反応に影響を及ぼさないが、前記重合温度を維持できる圧力であればよい。反応系における単量体の滞留時間は、好ましくは2〜60分である。この滞留時間が短すぎると、未反応の単量体が残留する場合がある。一方、長すぎると、生産性が低下することがある。
上記高温連続重合によれば、Mnが2,000〜20,000の範囲にあり、比較的低粘度の共重合体を得ることができる。また、溶液重合に比べて、多分散度の低い共重合体を得ることができる。更に、この重合方法は、熱重合開始剤を用いる必要がないか、又は、熱重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量の共重合体が得られるため、熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高い共重合体を得ることができる。従って、各組成物により形成される硬化物(硬化皮膜)を耐候性に優れたものとすることができる。
上記低分子量多価アルコール[B]は、アルコール性水酸基を(平均で)2個以上有し且つ分子量が2,000以下のものであり、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含むのであれば、特に限定されず、各組成物に、各多価アルコールが1種のみ含有されてよいし、2種以上が含有されてもよい。
上記成分[B]は、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよく、また、脂肪族化合物、脂環族化合物及び芳香族化合物のいずれでもよい。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノール、2,5−ノルボルナンジオール、アダマンタンジオール、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ポリカーボネートジオール、ポリラクトンジオール等が挙げられる。
3価アルコールとしては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール等が挙げられる。
4価アルコールとしては、エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタテトロール、2,3,4,5−ヘキサテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等が挙げられる。
5価アルコールとしては、アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等が挙げられる。
6価アルコールとしては、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等が挙げられる。
その他、ダイマージオール;水添ダイマージオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン脂肪酸モノエステルに、アルキレンオキサイドを付加して得られたグリセリン変性ポリオール、2価アルコールに、アルキレンオキサイドを付加させて得られたポリエーテルジオール等のポリエーテルポリオール;ひまし油変性ポリオール等の、多価カルボン酸と、多価アルコールとを反応させて得られた縮合物、環状エステル(ラクトン)の開環重合物、多価カルボン酸と、多価アルコールと、環状エステルとを反応させて得られた生成物等のポリエステルポリオール等を用いることもできる。
尚、上記ダイマージオールとしては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸や、トール油、綿実油、大豆油等から得られる乾性油脂肪酸又は半乾性油脂肪酸等を2分子加熱重合して製造されたダイマー酸を還元して得られた、通常、炭素数が30〜42の不飽和化合物を用いることができる。
また、プライマー層に対する接着性、防水層に対する接着性、低温安定性、柔軟性、皮膜強度、作業性等の観点から、上記防水層形成用組成物及び上記保護層形成用組成物に含有される成分[B]は、水酸基価の異なる2種の多価アルコールを含む。具体的には、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコール(以下、「多価アルコール(B1)」ともいう。)、及び、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコール(以下、「多価アルコール(B2)」ともいう。)であり、特に好ましくは、水酸基価が130〜220mgKOH/gの多価アルコール、及び、水酸基価が500〜1,000mgKOH/gの多価アルコールである。尚、上記範囲外の水酸基価を有する多価アルコールを更に用いてもよい。上記水酸基価は、JIS K1557(水酸基価の求め方)に準じて測定することができる。
上記多価アルコール(B1)としては、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ポリエステルポリオール(ひまし油変性ポリオール)、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記多価アルコール(B2)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分[B]が、上記の多価アルコール(B1)及び(B2)を含む場合、これらの含有割合(B1)/(B2)は、両者の合計を100質量%とした場合に、好ましくは5〜95質量%/5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%/10〜90質量%である。上記割合であると、プライマー層に対する防水層の接着性、防水層に対する保護層の接着性、防水層及び保護層の柔軟性、皮膜強度、作業性等に特に優れる。
上記有機ポリイソシアネート[C]は、平均2個以上のイソシアネート基を有するものであれば、特に限定されず、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートのいずれでもよい。また、各組成物に、1種のみ含有されてよいし、2種以上が含有されてもよい。
脂肪族のジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族のジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族のジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、3,3−ジメチルフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族のトリイソシアネートとしては、ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族のトリイソシアネートとしては、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。
また、芳香族のトリイソシアネートとしては、トリフェニルメタン−4,4’,4"−トリイソシアネート等が挙げられる。
更に、上記化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、カルボジイミド変性物、二量体、三量体等を用いることもできる。
本発明においては、有機溶剤で希釈する必要がなく、常温で液状を示す化合物が好ましく、耐候性に優れることから、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートを用いることが特に好ましい。
上記防水層形成用組成物及び上記保護層形成用組成物は、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]成分[B]及び成分[C]に加えて、硬化触媒、消泡剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、脱水剤、レベリング剤、防汚剤、艶消剤、増粘剤、有機溶剤等を含有してもよい。
上記硬化触媒としては、成分[A−1、[A−2]又は[A−P]及び成分[B]と、成分[C]との反応による硬化を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N",N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N",N"−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−(N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノール、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−エタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)−アミノプロピルエーテル等のアミン類;オクテン酸鉛、オクチル酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫メルカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等の有機金属化合物;炭酸カルシウム、重炭酸ソーダ等の無機塩等が挙げられる。これらのうち、成分[A−1、[A−2]又は[A−P]及び[B]と、成分[C]との反応性に優れることから、有機金属化合物を用いることが好ましい。
上記硬化触媒の含有量は、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部である。
上記消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、オキシアルキレン系消泡剤等が挙げられる。
上記加水分解防止剤としては、カルボジイミド類、アゾジカルボキシリック酸エステル類、脂肪酸アマイド類等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、立体障害をもったフェノール類、芳香族ジアミン等が挙げられる。
また、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、サルチル酸類等が挙げられる。
上記防汚剤としては、アルコキシシリケート及びその縮合体等が挙げられる。
上記艶消剤としては、シリカ粉末等が挙げられる。
また、上記有機溶剤としては、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
以上より、上記防水層形成用組成物及び上記保護層形成用組成物の構成を示す。
上記防水層形成用組成物は、成分[A−1、[A−2]又は[A−P]、[B]及び[C]を含み、必要に応じて、硬化触媒、消泡剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、脱水剤、レベリング剤、防汚剤、艶消剤、増粘剤、有機溶剤等を含有してもよい。
上記成分[B]の含有量は、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜90質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。この成分[B]の含有量が上記範囲にあると、得られる硬化物(硬化皮膜)の機械的物性及び耐候性に優れる。
尚、上記成分[B]は、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコール(B1)と、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコール(B2)とからな、その好ましい含有割合は上記のとおりである。
また、上記成分[C]の含有量は、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]の水酸基のモル数と、上記成分[B]の水酸基のモル数と、上記成分[C]のイソシアネート基のモル数とから、適宜、好ましい割合となるように選択される。即ち、上記成分[C]の含有量は、上記成分[C]のイソシアネート基のモル数と、上記成分[A−1、[A−2]又は[A−P]の水酸基のモル数及び上記成分[B]の水酸基のモル数の和との比NCO/OHが、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5、更に好ましくは0.9〜1.2となるように、選択される。上記比が小さいと、硬化物(硬化皮膜)の強度が十分でない場合がある。一方、上記比が大きすぎると、組成物が硬化不良を起こしたり、硬化物(硬化皮膜)が脆くなることがある。
尚、上記防水層形成用組成物の調製に際しては、予め、成分[C]以外の原料成分を混合して得られた主材を準備しておき、該防水層形成用組成物の使用前に、上記主材に成分[C]が配合され、十分に混合される。
上記防水層形成用組成物の固形分は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。このように、固形分が高くても、塗工性に不具合を生じるような粘度の上昇を招くことがなく、作業性に優れる。
上記防水層形成用組成物により形成される防水層は、該防水層形成用組成物に配合された添加剤の種類、量等によるが、通常、透明又は略透明である。
上記防水層形成用組成物の好ましい構成を以下に示す。
(1)第1態様の方法に係る成分[A−1]としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、及び、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位からなる重合体であって、各単位量が、全単位量に対し、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%である共重合体、等。
(1’)第1態様の方法に係る成分[A−2]としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、芳香族ビニル化合物よりなる単位からなる重合体であって、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、及び、芳香族ビニル化合物よりなる単位の各含有量が、全単位量に対し、それぞれ、5〜50質量%及び10〜40質量%であり、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位の各含有量の合計が30〜80質量%であり、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位の含有量が、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位の合計量(100%)に対して、5〜70%である共重合体、等。
(2)成分[B]としては、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ひまし油変性ポリオール等の、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコール(B1)と、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコール(B2)とからなり、これらの含有割合(B1)/(B2)が、両者の合計を100質量%とした場合に、5〜95質量%/5〜95質量%である低分子量多価アルコール、等。
(3)成分[C]としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、等。
(4)成分[B]の含有量は、成分[A−1又は[A−2]を100質量部とした場合に、1〜100質量部であり、成分[C]の含有量は、上記成分[C]のイソシアネート基のモル数と、上記成分[A−1又は[A−2]の水酸基のモル数及び上記成分[B]の水酸基のモル数の和との比NCO/OHが、0.5〜2.0となる量である。
上記保護層形成用組成物もまた、成分[A−P]、[B]及び[C]を含み、必要に応じて、硬化触媒、消泡剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、脱水剤、レベリング剤、防汚剤、艶消剤、増粘剤、有機溶剤等を含有してもよい。
上記成分[B]の含有量は、上記成分[A−P]100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜90質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。この成分[B]の含有量が上記範囲にあると、得られる硬化物(硬化皮膜)の機械的物性及び耐候性に優れる。
尚、上記成分[B]は、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコール(B1)と、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコール(B2)とからな、その好ましい含有割合は上記のとおりである。
また、上記成分[C]の含有量は、上記成分[A−P]の水酸基のモル数と、上記成分[B]の水酸基のモル数と、上記成分[C]のイソシアネート基のモル数とから、適宜、好ましい割合となるように選択される。即ち、上記成分[C]の含有量は、上記成分[C]のイソシアネート基のモル数と、上記成分[A−P]の水酸基のモル数及び上記成分[B]の水酸基のモル数の和との比NCO/OHが、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5、更に好ましくは0.9〜1.2となるように、選択される。上記比が小さいと、硬化物(硬化皮膜)の強度が十分でない場合がある。一方、上記比が大きすぎると、組成物が硬化不良を起こしたり、硬化物(硬化皮膜)が脆くなることがある。
尚、上記保護層形成用組成物の調製に際しては、予め、成分[C]以外の原料成分を混合して得られた主材を準備しておき、該保護層形成用組成物の使用前に、上記主材に成分[C]が配合され、十分に混合される。
上記保護層形成用組成物の固形分は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。このように、固形分が高くても、塗工性に不具合を生じるような粘度の上昇を招くことがなく、作業性に優れる。
上記保護層形成用組成物により形成される保護層は、該保護層形成用組成物に配合された添加剤の種類、量等によるが、通常、透明又は略透明である。
上記保護層形成用組成物の好ましい構成を以下に示す。
(1)成分[A−P]としては、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、炭素数が5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、芳香族ビニル化合物よりなる単位からなる重合体であって、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位、及び、芳香族ビニル化合物よりなる単位の各含有量が、全単位量に対し、それぞれ、5〜50質量%及び5〜40質量%であり、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位の各含有量の合計が10〜60質量%であり、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位の含有量が、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルよりなる単位、及び、炭素数5以上のメタクリル酸アルキルエステルよりなる単位の合計量(100%)に対して、1〜60%である共重合体等。
(2)成分[B]としては、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ひまし油変性ポリオール等の、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコール(B1)と、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコール(B2)とからなり、これらの含有割合(B1)/(B2)が、両者の合計を100質量%とした場合に、5〜95質量%/5〜95質量%である低分子量多価アルコール、等。
(3)成分[C]としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、等。
(4)成分[B]の含有量は、成分[A−P]を100質量部とした場合に、1〜100質量部であり、成分[C]の含有量は、上記成分[C]のイソシアネート基のモル数と、上記成分[A−P]の水酸基のモル数及び上記成分[B]の水酸基のモル数の和との比NCO/OHが、0.5〜2.0となる量である。
上記防水層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度(以下、「Tw」ともいう。)、及び、上記保護層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度(以下、「Tp」ともいう。)は、それぞれ、−40℃〜20℃、及び、−30℃〜30℃である。また、両者の関係は、Tw<Tpであり、好ましくはTw≦Tp−5である。尚、更に好ましいガラス転移温度Tw及びTpは、それぞれ、−20℃〜15℃、及び、−10℃〜30℃であり、特に好ましくは、ガラス転移温度Tw及びTpが、それぞれ、−20℃〜15℃、及び、−5℃〜30℃である。各硬化物が、上記範囲のガラス転移温度を備えることにより、防水層及び保護層の柔軟性、低温安定性等に特に優れる。
本発明のタイル壁面の補修方法において、プライマー層の表面、あるいは、必要に応じて該プライマー層の表面に形成された中間層の表面に、防水層形成用組成物を塗布し、防水層が形成される(防水層形成工程)。上記防水層形成用組成物の塗布方法としては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等を使用する方法が挙げられる。複数回塗工を行ってもよい。
その後、上記防水層形成用組成物による塗膜の乾燥が行われ、硬化皮膜が得られる。
この防水層形成用組成物の塗布及び乾燥に要する時間の合計は、通常、0.5〜24時間である。
上記防水層形成工程において形成される上記防水層の厚さは、通常、50〜500μmである。
その後、上記防水層の表面、あるいは、必要に応じて該防水層の表面に形成された中間層の表面に、保護層形成用組成物を塗布し、保護層が形成される(保護層形成工程)。上記保護層形成用組成物の塗布方法としては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等を使用する方法が挙げられる。複数回塗工を行ってもよい。
その後、上記保護層形成用組成物による塗膜の乾燥が行われ、硬化皮膜が得られる。
この保護層形成用組成物の塗布及び乾燥に要する時間の合計は、通常、0.5〜24時間である。
上記保護層形成工程において形成される上記保護層の厚さは、通常、50〜300μmである。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下において、部及び%は質量基準である。
1.共重合体[A]の製造
製造例1(高温連続重合による水酸基含有共重合体A1の製造)
重合体の製造原料は次の通りである。即ち、単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート16部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト15.5部、イソブチルメタクリレート46.5部及びスチレン22部と、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキシド1部とからなる単量体混合物を用いた。
電熱式ヒータを備えた容量6000mlの加圧式攪拌槽型反応器を、ジエチレングリコールモノエチルエーテルで満たし、温度を220℃にして、圧力調節器により圧力をゲージ圧で25〜27kg/cmに保った。
次いで、反応器内の圧力を一定に保ちながら、原料タンクに収容した上記単量体混合物を、供給速度500g/分、及び、滞留時間12分で反応器に連続供給するとともに重合を開始し、単量体混合物の供給量に相当する重合溶液を反応器の出口から連続的に抜き出した。反応温度は、反応開始直後に一旦低下し、重合熱による温度上昇が認められたが、ヒータを制御することにより、反応温度を220〜223℃に保持した。
単量体混合物の供給を開始した後、反応温度が上記範囲内で安定した時点を、重合溶液の回収開始点とし、これから35分間、重合反応を継続した。その結果、17.5kgの単量体混合液を供給し、17.4kgの重合溶液を回収した。
その後、重合溶液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発性成分を分離及び除去した。そして、炭化水素溶剤であるLAWSに溶解し、共重合体A1を含む固形分67%の樹脂溶液23.7kgを得た。
共重合体A1の平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。GPCによる分子量をポリスチレン換算したときのMnは3,000、重量平均分子量(Mw)は5,400、多分散度は1.80であった。また、共重合体A1の水酸基価は、71.6mgKOH/gであった。
製造例2(高温連続重合による水酸基含有共重合体A2の製造)
重合体の製造原料は次の通りである。即ち、単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部及び2−エチルヘキシルアクリレ−ト70部と、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキシド1部とからなる単量体混合物を用いた。
共重合体A2の製造に際しては、製造例1と同様にして重合反応を開始し、反応温度を228〜231℃に保持した。
単量体混合物の供給を開始した後、反応温度が上記範囲内で安定した時点を、重合溶液の回収開始点とし、これから40分間、重合反応を継続した。その結果、20.0kgの単量体混合液を供給し、19.9kgの重合溶液を回収した。
その後、重合溶液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発性成分を分離及び除去し、共重合体A2を含む固形分99.9%の樹脂溶液17.9kgを得た。この樹脂溶液のガスクロマトグラフを行ったところ、未反応モノマーが検出されなかった。
共重合体A2のMnは2,100、Mwは3,570、多分散度は1.70であった。また、共重合体A2の水酸基価は、118mgKOH/gであった。
製造例3(高温連続重合による水酸基含有共重合体A3の製造)
重合体の製造原料は次の通りである。即ち、単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト5部、イソブチルメタクリレ−ト20部及びメチルメタクリレ−ト55部と、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキシド1部とからなる単量体混合物を用いた。
共重合体A3の製造に際しては、製造例1と同様にして重合反応を開始し、反応温度を220〜223℃に保持した。
単量体混合物の供給を開始した後、反応温度が上記範囲内で安定した時点を、重合溶液の回収開始点とし、これから40分間、重合反応を継続した。その結果、20.0kgの単量体混合液を供給し、19.9kgの重合溶液を回収した。
その後、重合溶液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発性成分を分離及び除去した。そして、LAWSに溶解し、共重合体A3を含む固形分40%の樹脂溶液44.1kgを得た。
共重合体A3のMnは5,000、Mwは9,500、多分散度は1.90であった。また、共重合体A3の水酸基価は、87mgKOH/gであった。
製造例4(溶液重合による水酸基含有共重合体A4の製造)
重合体の製造原料は次の通りである。即ち、単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート16%、2−エチルヘキシルアクリレ−ト5.5%、スチレン32%及びイソブチルメタクリレ−ト46.5%からなる単量体混合物を用いた。
還流冷却器、温度計、滴下ロート、窒素置換用ガラス管及び攪拌器が配設された4つ口フラスコに、上記単量体混合物15部、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)100部、及び、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、90℃で重合反応を開始した。1時間後、上記単量体混合物85部、MIBK25部、及び、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6部からなる溶液を6時間に渡って連続滴下して重合反応を行った。
得られた重合溶液を、減圧下、溶剤を留去することにより、共重合体A4を含む固形分45.8%の樹脂溶液を得た。
共重合体A4のMnは8,800、Mwは19,000、多分散度は2.20であった。また、共重合体A4の水酸基価は、71.6mgKOH/gであった。
2.プライマー層形成用組成物、防水層形成用組成物及び保護層形成用組成物の調製
各組成物の調製に用いた成分は、上記共重合体A1〜A4と、下記成分である。
2−1.低分子量多価アルコール
(1)B1−1
水酸基価が165(分子量不明)であるヒマシ油系ポリオール(商品名「Y−406」、伊藤製油社製)を用いた。
(2)B1−2
水酸基価が200(分子量不明)であるダイマー酸ジオール(商品名「ソバモール908」、コグニスジャパン社製)を用いた。
(3)B2
水酸基価が949であり、分子量が118である3−メチル−1,5−ペンタンジオールを用いた。
2−2.増粘剤
(1)F1
微粉末シリカ(商品名「サイロホービック200」、富士シリシア化学社製)
(2)F2
脂肪酸アミドを主成分とする添加剤(商品名「A−S−A TS−823」、伊藤製油社製)
2−3.硬化触媒
ジブチル錫ジラウレート
2−4.溶剤
LAWS(炭化水素系溶剤、シェルケミカル社製)
2−5.消泡剤
商品名「フローレンAC−326F」、共栄社化学社製
2−6.有機ポリイソシアネート
(1)C1
イソシアヌレート型ポリイソシアネート(商品名「デュラネートTPA−100」、旭化成ケミカルズ社製、化合物中のイソシアネート基の割合:23.1質量%)
(2)C2
イソシアヌレート型ポリイソシアネート(商品名「デュラネートTSS−100」、旭化成ケミカルズ社製、化合物中のイソシアネート基の割合:17.9質量%)
調製例1(プライマー層形成用組成物P−1の調製)
共重合体A1と、低分子量多価アルコールB1−1と、低分子量多価アルコールB2と、増粘剤F1と、硬化触媒と、溶剤と、消泡剤とを、それぞれ、100部、10部、5部、5部、0.1部、40部及び0.5部秤量して混合し、均一なプライマー層形成用主材とした。
一方、有機ポリイソシアネートC1と、シランカップリング剤であるオルガノシラン(東レ・ダウコーニング社製)とを、それぞれ、100部及び10部秤量して混合し、均一なプライマー層形成用硬化剤とした。
その後、上記プライマー層形成用主材100部及び上記プライマー層形成用硬化剤25部を混合し、均一なプライマー層形成用組成物P−1(固形分63.6%)を得た。
調製例2(防水層形成用組成物D−1の調製)
共重合体A1、低分子量多価アルコールB1−1及びB2、増粘剤F2、硬化触媒並びに消泡剤を、表1に記載の割合で混合し、均一な防水層形成用主材を得た。
その後、上記防水層形成用主材と、有機ポリイソシアネートC2とを、それぞれ、100部及び70部秤量して混合し、均一な防水層形成用組成物D−1を得た。この防水層形成用組成物D−1において、上記有機ポリイソシアネートC2のイソシアネート基のモル数と、上記防水層形成用主材に含まれる成分[A]の水酸基のモル数及び成分[B]の水酸基のモル数の和との比NCO/OHは1.0である。
この防水層形成用組成物D−1について、120℃で30分間静置した後の残分は87.5%であり、これを固形分とした。また、この組成物を24時間放置して得られた硬化物について、示差走査熱量計(DSC)によりガラス転移温度を測定したところ、6.4℃であった(表1参照)。
調製例3(防水層形成用組成物D−2の調製)
表1に示す成分及び割合で、調製例2と同様にして防水層形成用組成物D−2を得た。固形分は83%であり、ガラス転移温度は−5.2℃であった(表1参照)。
調製例4(防水層形成用組成物D−3の調製)
表1に示す成分及び割合で、調製例2と同様にして防水層形成用組成物D−3を得た。固形分は78%であり、ガラス転移温度は38.2℃であった(表1参照)。
調製例5(防水層形成用組成物D−4の調製)
表1に示す成分及び割合で、調製例2と同様にして防水層形成用組成物D−4を得た。固形分は71%であり、ガラス転移温度は6.8℃であった(表1参照)。
調製例6(防水層形成用組成物D−5の調製)
表1に示す成分及び割合で、調製例2と同様にして防水層形成用組成物D−5を得た。固形分は88%であり、ガラス転移温度は−4.3℃であった(表1参照)。
Figure 0005187484
調製例7(保護層形成用組成物T−1の調製)
共重合体A4、低分子量多価アルコールB1−1及びB2、増粘剤F2、硬化触媒、溶剤並びに消泡剤を、表2に記載の割合で混合し、均一な保護層形成用主材を得た。
その後、上記保護層形成用主材と、有機ポリイソシアネートC2とを、それぞれ、100部及び18部秤量して混合し、均一な保護層形成用組成物T−1を得た。
この保護層形成用組成物T−1について、120℃で30分間静置した後の残分は43.5%であり、これを固形分とした。また、この組成物を24時間放置して得られた硬化物について、示差走査熱量計(DSC)によりガラス転移温度を測定したところ、27.5℃であった(表2参照)。
調製例8(保護層形成用組成物T−2の調製)
表2に示す成分及び割合で、調製例7と同様にして保護層形成用組成物T−2を得た。固形分は44.5%であり、ガラス転移温度は21.3℃であった(表2参照)。
調製例9(保護層形成用組成物T−3の調製)
表2に示す成分及び割合で、調製例7と同様にして保護層形成用組成物T−3を得た。固形分は34.8%であり、ガラス転移温度は41.2℃であった(表2参照)。
調製例10(保護層形成用組成物T−4の調製)
表2に示す成分及び割合で、調製例7と同様にして保護層形成用組成物T−4を得た。固形分は46.6%であり、ガラス転移温度は2.7℃であった(表2参照)。
Figure 0005187484
3.タイル壁面の補修
実施例1
縦100mm及び横100mmの白色の施釉タイルの表面に、プライマー層形成用組成物P−1を刷毛塗りし、その後、24時間乾燥することにより、坪量0.1kg/m(厚さ60μm)のプライマー層を形成した。
次いで、上記プライマー層の表面に、防水層形成用組成物D−1を刷毛塗りし、その後、24時間乾燥することにより、坪量0.2kg/m(厚さ180μm)の防水層を形成した。
更に、上記防水層の表面に、保護層形成用組成物T−1を刷毛塗りし、その後、24時間乾燥することにより、坪量0.15kg/m(厚さ70μm)の保護層を形成し、補修タイルを得た(表3参照)。
上記補修タイルについて、[1]各層からなる積層膜のタイル表面への接着性、[2]屋外曝露後の外観性、[3]−5℃ゼロスパン、及び、[4]−5℃における繰り返し疲労試験の評価を行った。評価方法の詳細は以下の通りである。尚、[3]及び[4]については、タイルの代わりに、厚さ3mmのスレート板(パルテック社製)を用い、上記と同様にしてその表面にプライマー層、防水層及び保護層を順次形成して得られた補修スレート板を評価試料とした。
[1]タイル面接着性
補修タイルの製造直後(初期)、及び、温度23℃の水中に14日放置した後(耐水試験後)における、タイル表面に対する皮膜の接着性を、JIS K5600−5−6(付着性(クロスカット法))に準じて評価した。
[2]屋外曝露後の外観性
補修タイルを6ヶ月間屋外に曝露し、皮膜の外観性を目視評価した。
[3]−5℃ゼロスパン
補修スレート板におけるスレート板のみに切り込みを入れておき、温度−5℃の環境下に1時間静置した後、両側のスレート板を5mm/分で引っ張り、皮膜が破断したときのスレート板の間隔を測定した。
[4]−5℃における繰り返し疲労試験
上記[3]と同様の評価試料を準備し、0.3mm幅で皮膜の伸縮を繰り返してカウントし、皮膜が破断したときの回数を測定した。
以上の結果を表3に示す。
実施例2〜実施例6及び比較例1〜5
表3に示す組成物を用い、実施例1と同様にして補修タイル及び補修スレート板を製造し、各種評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005187484
表3から明らかなように、比較例1は、プライマー層を形成しなかった例であり、皮膜の付着性に劣り、耐水性にも劣っていた。比較例2は、防水層を形成しなかった例であり、低温における皮膜安定性が得られなかった。比較例3は、保護層を形成しなかった例であり、表層となった防水層の表面の雨筋が顕著であった。比較例4は、保護層形成に際して用いた組成物T−3の硬化物のガラス転移温度が40℃を超える例であり、低温における皮膜安定性が得られなかった。また、比較例5は、防水層形成に際して用いた組成物D−3の硬化物のガラス転移温度が20℃を超える例であり、低温における皮膜安定性が得られなかった。
一方、実施例1〜6は、各種性能のバランスに優れていた。特に、防水層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、保護層形成用組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より低く、また、防水層形成用組成物及び保護層形成用組成物に含有される成分[B]として、水酸基価の異なる多価アルコールを2種用いた実施例1〜4及び6は、接着性、防汚性、及び、低温における皮膜安定性により優れていた。
本発明のタイル壁面の補修方法は、建物の外装材料、内装材料等として、各種下地の表面に配設されたタイルにおいて、経年変化等によって、剥落、浮き、ひび割れ等の劣化が見られる場合に、これらに対する適切な処置を施した後、好ましくはタイル全面に対し、長期に渡って、防汚性、防水性、外観性及び意匠性を維持することができる硬化皮膜を、季節の移り変わり等に伴う気温の変化に影響されることなく、形成することができ、また、その作業性を向上させることができ、極めて有用である。

Claims (6)

  1. 改修すべきタイルの表面に、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に形成することによりタイルを補修する方法であって、
    上記防水層の形成に用いる組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−1]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−40℃〜20℃であり、
    上記保護層の形成に用いる組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−P]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−30℃〜30℃であり、
    上記防水層を形成する組成物に含有される上記共重合体[A−1]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)とからなる共重合体であり、上記単位(a11)及び(a12)の含有量は、該共重合体[A−1]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%であり、
    上記保護層を形成する組成物に含有される上記共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)からなる共重合体であり、上記単位(a21)、(a22)、(a23)及び(a24)の含有量は、上記共重合体[A−P]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%であり、
    上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含み、且つ、
    上記防水層を形成する組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層を形成する組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いことを特徴とするタイルの補修方法。
  2. 改修すべきタイルの表面に、プライマー層、防水層及び保護層を、この順に形成することによりタイルを補修する方法であって、
    上記防水層の形成に用いる組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−2]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−40℃〜20℃であり、
    上記保護層の形成に用いる組成物は、水酸基価が10〜400mgKOH/gであり且つ数平均分子量が2,000〜20,000である共重合体[A−P]と、分子量が2,000以下の低分子量多価アルコール[B]と、平均2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート[C]とを含む有機溶剤系組成物であり、該組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−30℃〜30℃であり、
    上記防水層を形成する組成物に含有される上記共重合体[A−2]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a11)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a12)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a13)と、他の化合物よりなる単位(a14)からなる共重合体であり、上記単位(a11)、(a12)、(a13)及び(a14)の含有量は、上記共重合体[A−2]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、30〜80質量%、10〜40質量%及び0〜20質量%であり、
    上記保護層を形成する組成物に含有される上記共重合体[A−P]が、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a21)と、アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物よりなる単位(a22)と、芳香族ビニル化合物よりなる単位(a23)と、他の化合物よりなる単位(a24)からなる共重合体であり、上記単位(a21)、(a22)、(a23)及び(a24)の含有量は、上記共重合体[A−P]を構成する全単位量を100質量%としたときに、それぞれ、5〜50質量%、10〜60質量%、5〜40質量%及び0〜20質量%であり、
    上記低分子量多価アルコール[B]が、水酸基価が110〜250mgKOH/gの多価アルコールと、水酸基価が250mgKOH/gを超えて1,200mgKOH/g以下の多価アルコールとを含み、且つ、
    上記防水層を形成する組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が、上記保護層を形成する組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度より7.0℃〜32.7℃の差で低いことを特徴とするタイルの補修方法。
  3. 上記防水層を形成する組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−20℃〜15℃であり、且つ、上記保護層を形成する組成物を用いて得られた硬化物のガラス転移温度が−10℃〜30℃である請求項1又は2に記載のタイルの補修方法。
  4. 上記アルキルエステル結合を有するエチレン性不飽和化合物が、炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルを含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタイルの補修方法。
  5. 上記防水層を形成する組成物、及び、上記保護層を形成する組成物の固形分が、70〜95質量%の範囲にある請求項1乃至のいずれかに記載のタイルの補修方法。
  6. ゼロスパン法により測定された、プライマー層、防水層及び保護層を備える積層体の伸びが、−5℃において1mm以上である請求項1乃至のいずれかに記載のタイルの補修方法。
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