JP2019019307A - アクリル系樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

アクリル系樹脂組成物及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】低臭気性であって、硬化性に優れ、濁りの少ない硬化塗膜を得ることができる樹脂組成物及び積層体を提供する。【解決手段】分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(B)と、メチルメタクリレート単位を60質量%以上有する重合体(C)と、ワックス(D)とを含有し、前記単量体(A)として、芳香環を有する(メタ)アクリレート(a1)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a2)と、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−10℃以下の(メタ)アクリレート(a3)と、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、土木建築用等に利用できるアクリル系樹脂組成物及び積層体に関する。
従来、床面、壁面、道路の舗装面等の基材に塗膜を形成する被覆剤として、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が用いられている。
不飽和ポリエステル系樹脂は、耐溶剤性に優れるものの、耐候性に劣り、硬化時の収縮が大きく、低温施工性が悪い。
エポキシ系樹脂は、耐アルカリ性に優れ、基材との接着性に優れるものの、耐候性に劣り、硬化時間が長く、低温での硬化性に劣る。
ポリウレタン系樹脂は、弾力性、柔軟性に優れるものの、耐薬品性、耐候性に劣る。
また、被覆剤としては、低温硬化性、耐候性、耐薬品性に優れるビニルエステル系樹脂やアクリル系樹脂がよく用いられている。
ビニルエステル系樹脂及びアクリル系樹脂は、スチレン、メチルメタクリレート等の低分子量の単量体に起因する特有の臭気を有するため、作業時の臭気が問題となっている。
これらの材料は、床面、壁面、道路の舗装面等の基材に塗膜を形成する被覆剤として様々な方法で使用されてきている中、石や骨材などの風合いを活かした被覆方法も提案されてきている。
近年、環境問題への関心が高まっており、スチレン、メチルメタクリレート等の低分子量の単量体を含む樹脂組成物は揮発性が多く、かつ臭気の強い成分を含んでいることから、その使用が控えられる傾向にある。
こうした問題に対し、空乾性を有するラジカル重合性不飽和基含有樹脂(1)及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートを用いた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、低臭性で且つ耐水性に優れ、またパラフィンワックスを使用せずとも酸素による塗膜の硬化阻害を受けることなく、空気中で速やかに硬化することが報告されている。
分子末端に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、アセトアセトキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマー、炭素数が8以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及びワックスを必須成分として用いた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、揮散性の高いモノマーを使用しないため、低臭気性、低毒性に効果があり、ラジカル硬化可能でき、塗膜表面乾燥性に優れ、さらに硬化させて得られる硬化物の強度特性、耐薬品性、耐熱性、耐候性及び二次接着性に優れ、防水被覆材等の土木建築材料の用途に大変有用であることが報告されている。
ラジカル重合性メタクリル樹脂とメタクリレートモノマーと硬化促進剤とから成る樹脂部と、骨材部と、メチルエチルケトンパーオキサイドから成る硬化剤部とによって構成される樹脂組成物であって、樹脂部の硬化物の収縮率が1.0%以上3.0%以下であり、収縮応力が2N/mm以上8N/mm以下のものが提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、ラジカル硬化により急速に硬化することと、ごく僅かに収縮している効果により熱膨張時の応力が緩和され塗膜の膨張によるふくれや、塗膜の膨張時の下地からの剥離が生じることがないことが報告されている。
(A)(メタ)アクリル系重合体、(B)ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香環を有する(メタ)アクリレート、(C)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及び(D)熱重合開始剤を含有する熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4)。特許文献4の発明によれば、硬化物の透明性が高い熱硬化性樹脂組成物が得られることが報告されている。
特定の低酸価の不飽和ポリエステル、重合性単官能(メタ)アクリルモノマー、及び熱可塑性樹脂粉末の増粘剤を、特定の組成比で用いることが提案されている(例えば、特許文献5)。特許文献5の発明によれば、スチレン揮発は全くなく、短時間で増粘が可能であり、作業性が良好であり、さらに、硬化性及び表面乾燥性が良好で、注型板及び積層板の物性、光重合及び熱重合の反応性のいずれも、既存スチレン型ビニルエステル樹脂硬化物より優れた特性を示していることが報告されている。
特開2004−143393号公報 特開2005−120305号公報 特開2010−084048号公報 特開2012−126896号公報 特開2007−291179号公報
特許文献1〜特許文献3及び特許文献5に記載されるような、空乾性を有するラジカル重合性不飽和基含有樹脂や分子末端に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーやラジカル重合性メタクリル樹脂を(メタ)アクリルモノマーなどと配合した樹脂組成物は、塗膜の表面乾燥性に優れるものの、本発明者らの検討によれば、樹脂組成物の硬化塗膜を得たときに塗膜が白濁し透明性が低くなってしまい、石や骨材の風合いを活かした被覆方法への適用は困難であった。
また、特許文献4に記載されるような、アクリル系重合体、芳香環を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及び熱重合開始剤を含有する熱硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の透明性は非常に良好ではあるものの、室温以下の雰囲気下では硬化させる事ができない。硬化触媒を変更して室温以下の雰囲気下で硬化させた場合、塗膜が非常に硬く、脆いものとなってしまい、石や骨材に被覆させた場合に塗膜がひび割れたり、欠けたりして適用が困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、低臭気性であって、硬化性に優れ、濁りの少ない硬化塗膜を得ることができることから石や骨材の風合いを活かした意匠性のある被覆方法へと適用させることのできるアクリル系樹脂組成物及び積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の種類のモノマーを含む樹脂と、特定量のワックスとを含有する樹脂組成物とすることで、低臭気性であって、硬化性に優れ、濁りの少ない硬化塗膜を得ることができることから石や骨材の風合いを活かした意匠性のある被覆方法へと適用させることのできるアクリル系樹脂組成物及び積層体を見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下の態様を有する。
本発明のアクリル系樹脂組成物は、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(B)と、メチルメタクリレート単位を60質量%以上有する重合体(C)と、ワックス(D)とを含有し、前記単量体(A)として、芳香環を有する(メタ)アクリレート(a1)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a2)と、ホモポリマーのTgが−10℃以下の(メタ)アクリレート(a3)とを含有する。
本発明によれば、低臭気性であって、硬化性に優れ、濁りの少ない硬化塗膜を得ることができることから石や骨材の風合いを活かした意匠性のある被覆方法へと適用させることのできるアクリル系樹脂組成物及び積層体を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称であり、一般式CH=C(R)−C(=O)−[Rは水素原子又はメチル基を示す。]で表される。「アクリル系」とは、アクリル系とメタクリル系の総称である。
「アクリル系樹脂組成物」
本発明のアクリル系樹脂組成物(以下「樹脂組成物」と略す)は、土木用又は建築用等に用いることができる樹脂組成物であって、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(B)と、メチルメタクリレート単位を60質量%以上有する重合体(C)と、ワックス(D)とを含有する。また、本発明の樹脂組成物は、前記単量体(A)として、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香環を有する(メタ)アクリレート(a1)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a2)と、ホモポリマーのガラス転移温度(以下、Tgともいう。)が−10℃以下の(メタ)アクリレート(a3)と、を含有する。
<単量体(A)>
単量体(A)は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単量体である。単量体(A)は、樹脂組成物の粘度を調整したり、樹脂組成物より形成される塗膜硬化物の機械的強度等を調整したりすることができる成分である。
単量体(A)としては、以下の(a1)〜(a4)等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の粘度を容易に調整でき、樹脂組成物より形成される接着保護層の機械的強度を容易に調整できる点では、(a1)、(a2)、(a3)から各々少なくとも1種以上配合することが好ましい。
(a1):芳香環を有する(メタ)アクリレート単量体。
(a2):ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート。
(a3):ホモポリマーのTgが−10℃以下の(メタ)アクリレート(ただし、前記(a1)及び(a2)を除く)。
(a4):単量体(a1)〜(a3)以外の単量体(A) (ただし、前記(a1)、(a2)及び(a3)を除く)。
単量体(a1)の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、エトキシ化オルト−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド(EO)変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等の芳香環を有する(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。これらの中でも、硬化物の透明性の点から、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレートがより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
単量体(a1)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計100質量部のうち、40〜70質量部であることが好ましい。
単量体(a2)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
単量体(a2)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計100質量部のうち、5〜25質量部であることが好ましい。
単量体(a3)の具体例としては、エチルアクリレート、アクリル酸、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、2−エトキシレーテッド2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数が4以上)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(ポリプロピレングリコールの繰り返し数が2以上)、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、等の、ホモポリマーのTgが−10℃以下、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体が挙げられる。
これらの中でも、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシレーテッド2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体(a3)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計100質量部のうち、5〜25質量部であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、単量体(a1)〜(a3)以外の単量体(a4)を、低臭気性、硬化性等を損なわない範囲で含有してもよい。
単量体(a4)としては、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有メタクリレート;マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボン酸含有(メタ)アクリレート;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の1個の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロエチルアクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート;ジメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のジ又はトリアルキルシクロヘキシル基含有(メタ)アクリレート;イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)クリレート等が挙げられる。
また、単量体(a4)として、フラン環、ヒドロフラン環、ピラン環及びヒドロピラン環からなる群より選ばれるヘテロ環を有する(メタ)アクリレートを使用してもよい。
フラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、フリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロフラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ピラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、ピラニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロピラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、ジヒドロピラニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルジヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルテトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単量体(a4)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計100質量部のうち、0〜20質量部であることが好ましい。
単量体(A)は、(A)、(B)及び(C)の合計100質量部のうち、65〜85質量部が好ましく、70〜85質量部がより好ましい。単量体(A)を65質量部以上にすることによって、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、作業性が良好となる。単量体(A)を85質量部以下にすることによって、樹脂組成物の粘度が低くなりすぎず作業時に適度の塗布厚を塗装することができる。
<単量体(B)>
単量体(B)は、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する単量体である。単量体(B)は、硬化後の塗膜に靱性を付与でき、硬化物の機械的強度を向上させることができる。
単量体(B)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロプレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(B)の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量した際に、2〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。単量体(B)の含有量が2質量部以上であれば、塗膜に靱性を付与し塗膜の機械的強度を向上させることができ、20質量部以下とすれば、硬化するまでの時間が短くなりすぎず、塗工作業性が良好となり、硬化物の靱性も損なわれない。
<重合体(C)>
重合体(C)は、メチルメタクリレート単位を60質量%以上、好ましくは80質量%以上有するものであり、樹脂組成物の粘度、硬化性を向上させることができる成分である。重合体(C)は、(A)成分及び(B)成分に可溶であることが好ましい。
重合体(C)のメチルメタクリレート単位含有量が60質量%未満であると、塗膜の強度を損なうことがある。
また、重合体(C)は、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることが好ましく、60〜110℃であることがより好ましく、80〜105℃であることがさらに好ましい。重合体(C)のTgが60℃以上であれば、樹脂組成物の表面硬化性が良好となる。一方、重合体(C)のTgが110℃以下であれば、塗膜が硬くて脆くなることを防止できる。加えて、樹脂組成物を製造する際、単量体(A)、単量体(B)への溶解性が良好となる。
重合体(C)のガラス転移温度(Tg)はFoxの式に準拠した下記式(1)により求められる。
1/(273+Tg)=Σ(W/(273+Tg))・・・(1)
式(1)中、「Tg」は重合体(C)のガラス転移温度(℃)である。重合体(C)はn種(n≧1)の単量体(1)、(2)・・・(n)の重合体であり、「W」は重合体(C)を構成する各単量体単位の質量分率であり、「Tg」は重合体(C)を構成する各単量体単位のホモポリマーのガラス転移温度(℃)である。
ここで、重合体(C)が例えば2種以上の単量体(1)、(2)・・・からなる共重合体の場合、重合体(C)のガラス転移温度(Tg)はFoxの式に準拠した下記式(1’)に示す式より求められる。
1/(273+Tg)=W/(273+Tg)+W/(273+Tg)+・・・・・・(1’)
式(1’)中、「W」、「W」・・・は、それぞれ単量体単位(1)、(2)・・・の質量分率であり、「Tg」、「Tg」・・・は、それぞれ単量体単位(1)、(2)・・・のホモポリマーのガラス転移温度(℃)である。これらのガラス転移温度は、「Polymer Handbook 3rd Edition」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION、1989年)に記載された値を使用できる。
重合体(C)の種類は、メチルメタクリレート単位60質量%以上であれば特に限定されず、例えば、下記の(c−1)及び(c−2)が挙げられる。
(c−1):メチルメタクリレートの単独重合体、又は、メチルメタクリレートとその他のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(但し、メチルメタクリレート単位が60質量%以上)。
(c−2):メチルメタクリレート単位と、二重結合を有する単位とを有する共重合体(但し、メチルメタクリレート単位が60質量%以上)。
重合体(C)は、(c−1)及び(c−2)の一方のみを含んでもよいし、両方を含んでもよい。
[重合体(c−1)]
重合体(c−1)は、メチルメタクリレートの単独重合体、又は、メチルメタクリレートとその他のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体である(但し、メチルメタクリレート単位が60質量%以上)。その他のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
重合体(c−1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(c−1)の質量平均分子量(以下、「Mw」と記す。)は、10,000〜200,000が好ましく、20,000〜170,000がより好ましく、30,000〜100,000が特に好ましい。Mwを前記下限値以上にすれば、樹脂組成物の硬化塗膜の強度を向上させることができる。Mwを前記上限値以下にすれば、樹脂組成物を製造する際、(A)成分、(B)成分への溶解性が良好となる。
重合体(c−1)のMwは、樹脂を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した分子量をポリスチレン換算したものである。
重合体(c−1)の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部とした際に、1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。重合体(c−1)の含有量が前記上限値以下であると、樹脂組成物の可使時間(組成物が流動性を有し、塗装作業可能な時間)を十分にとれ、塗工作業性を良好にできる。一方、重合体(c−1)の含有量が前記下限値以上であると、樹脂組成物の粘度バランスがとれ、また、その硬化性を向上でき、硬化時間を適度に短縮できる。
また、重合体(c−1)の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部とした際に、上記の範囲内(5〜20質量部)で、かつ下記式(2)を満たす範囲内であることがより好ましい。下記式(2)を満たせば、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、塗工作業性を良好に維持できる。
300,000<重合体(c−1)のMw×重合体(c−1)の含有量<1,400,000 ・・・(2)
式(2)中、「重合体(c−1)の含有量」は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部としたときの重合体(c−1)の含有量(質量部)である。
重合体(c−1)が、重合体(c−1−1)、(c−1−2)・・・の混合物である場合は、上記式(2)の代わりに下記式(2’)を用いる。
300,000<{重合体(c−1−1)のMw×重合体(c−1−1)の含有量}+{重合体(c−1−2)のMw×重合体(c−1−2)の含有量}+・・・<1,400,000 ・・・(2’)
[重合体(c−2)]
重合体(c−2)は、メチルメタクリレート単位と、二重結合を有する単位とを有する共重合体である(但し、メチルメタクリレート単位が60質量%以上である)。
重合体(c−2)における前記二重結合は、ラジカル重合反応に関与する二重結合であり、かかる二重結合を有する官能基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合体(c−2)は、樹脂組成物の硬化塗膜の機械的強度に寄与することができる。
重合体(c−2)は、メチルメタクリレート(cm1)単位及び二重結合を有する単位以外の他のアクリル系単量体(cm2)単位を有してもよい。他のアクリル系単量体(cm2)は、単官能アクリル系単量体、多官能アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
具体的な単量体(cm2)としては、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;上記炭素数2個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位、及びシクロアルキル(メタ)アクリレート単位のいずれにも含まれないアクリル系単位として、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記単量体のなかでも、炭素数2〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が好ましい。
炭素数2〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートは、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレートが好ましく、n−ブチルメタクリレートがより好ましい。
重合体(c−2)の製造方法は特に限定されないが、下記の製造方法が好ましい。
すなわち、まず、第1段階の反応として、メチルメタクリレート(cm1)と、エステルを形成し得る第1の官能基を有する第1の反応性単量体と、必要に応じて他のアクリル系単量体(cm2)とを共重合させて、前記第1の官能基を有する第1の共重合体を得る。
次いで、第2段階の反応として、前記第1の共重合体に、前記第1の官能基と反応してエステルを形成し得る第2の官能基及び二重結合を有する第2の反応性単量体を添加し、前記第1の官能基と前記第2の官能基とを反応させて、メチルメタクリレート単位と二重結合を有する単位とを有する重合体(c−2)を得る。
前記第1の官能基と前記第2の官能基の組み合わせとしては、カルボキシ基とグリシジル基、ヒドロキシ基とイソシアネート基等が好ましい。
より具体的な重合体(c−2)の製造方法としては、下記の方法が挙げられる。
第1段階の反応において、メチルメタクリレート(cm1)と(メタ)アクリル酸と必要に応じて他のアクリル系単量体(cm2)とを懸濁重合して、カルボキシ基を有する第1の共重合体を得る。
次いで、第2段階の反応において、得られた第1の共重合体をメチルメタクリレート(cm1)に加えて溶液化し、該溶液にグリシジル(メタ)アクリレートを添加する。第1の共重合体のカルボキシ基とグリシジル(メタ)アクリレートのグリシジル基とを反応させてエステルを形成することにより、重合体(c−2)を得る。
第1段階の反応において、懸濁重合する際の重合温度は70〜98℃の範囲であることが好ましく、重合時間は2〜5時間程度であることが好ましい。
第2段階の反応における反応温度は90〜95℃が好ましく、反応時間は1〜4時間程度が好ましい。
第1段階の反応に用いる単量体の好ましい組成比は、メチルメタクリレート(cm1)が20〜95質量%、他のアクリル系単量体(cm2)が80〜5質量%、(メタ)アクリル酸が0.3〜4質量%であることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸については0.3〜2質量%であることがより好ましい。
第2段階の反応においては、第1の共重合体100質量部に対するメチルメタクリレート単量体(cm1)の量を70〜150質量部とすることが好ましい。また、第1段階の反応に用いた(メタ)アクリル酸の1モルに対して、グリシジル(メタ)アクリレートを0.9〜1.2モル反応させることが好ましく、1.0〜1.1モル反応させることがより好ましい。
第1段階の反応において懸濁重合を行う懸濁液は水性懸濁液が好ましい。該水性懸濁液には分散剤を添加することが好ましい。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカなどの水難溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体などのノニオン系高分子化合物;ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸メチル共重合物のアルカリ金属塩などのアニオン系高分子化合物等が挙げられる。
分散剤の添加量は懸濁液に対し0.005〜5質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
前記懸濁重合時の懸濁液には、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガンなどの電解質を含有させることが好ましい。電解質を含有させれば、分散安定性を向上させることができる。電解質の添加量は適宜設定すればよく特に限定されるものではない。
前記懸濁重合においては重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤としては特に限定されず、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエード、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量や添加方法は適宜設定すればよく特に限定されるものではない。
前記懸濁重合においては連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤を用いると、単官能アクリル系単量体の重合反応を容易に制御できる。
連鎖移動剤としてチオール化合物が好適に用いられる。
チオール化合物としては特に限定されず、例えば、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;チオフェノールチオナフトールなどの芳香族メルカプタン:チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチルなどのチオグリコール酸アルキル等が挙げられる。
連鎖移動剤の添加量や添加方法は適宜設定すればよく特に限定されるものではない。
第2段階の反応において、第1の官能基と第2の官能基との反応を促進させるためにエステル化触媒を用いることができる。
エステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミンなどのアミン類;テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウウム塩類;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エステル化触媒の添加量は適宜設定すればよく特に限定されるものではない。
第2段階の反応において重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤を添加すると第2段階の反応をより安定に行うことができる。
重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤の添加量は適宜設定すればよく特に限定されるものではない。
第1段階の反応で得られる第1の共重合体の質量平均分子量(Mw)は10,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜170,000の範囲内であることが好ましく、30,000〜100,000の範囲内であることがさらに好ましい。
該質量平均分子量が前記下限値以上であると硬化物の強度が充分に高くなりやすい。該質量平均分子量が前記上限値以下であると樹脂組成物を取り扱うときの作業性が良好となる。
なお、本明細書における質量平均分子量は、重合体を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と記す。)により測定した分子量をポリスチレン換算したものである。
第2段階の反応で得られる重合体(c−2)が二重結合を有すること、すなわち第1の共重合体に含まれるカルボキシ基が第2段階の反応によってグリシジル(メタ)アクリレートのグリシジル基と反応したことは、重合体(c−2)の酸価が第1段階の反応で用いられた(メタ)アクリル酸から見積もられる値より少なくなっていることで確認できる。
重合体(c−2)の酸価(単位:mgKOH/g)は1以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。
本明細書における酸価の値は、重合体をトルエンに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1NのKOHエタノール溶液を用いて滴定して求めた値である。
重合体(c−2)の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部とした際に、1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。重合体(c−2)の含有量が前記上限値以下であると、樹脂組成物の可使時間を十分にとれ、塗工作業性を良好にできる。一方、重合体(c−2)の含有量が前記下限値以上であると、樹脂組成物の粘度バランスがとれ、また、その硬化性を向上でき、硬化時間を適度に短縮できる。
重合体(c−2)の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部とした際に、上記の範囲内(5〜20質量部)で、かつ下記式(3)を満たす範囲内であることがより好ましい。下記式(3)を満たせば、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、塗工作業性を良好に維持できる。
300,000<重合体(c−2)のMw×重合体(c−2)の含有量<1,400,000 ・・・(3)
式(3)中、「重合体(c−2)の含有量」は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部としたときの重合体(c−2)の含有量(質量部)である。
重合体(c−2)が、重合体(c−2−1)、(c−2−2)・・・の混合物である場合は、上記式(3)の代わりに下記式(3’)を用いる。
300,000<{重合体(c−2−1)のMw×重合体(c−2−1)の含有量}+{重合体(c−2−2)のMw×重合体(c−2−2)の含有量}+・・・<1,400,000 ・・・(3’)
重合体(C)の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計を100質量部とした際に、1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。重合体(c−2)の含有量が前記上限値以下であると、樹脂組成物の可使時間を十分にとれ、塗工作業性を良好にできる。一方、重合体(C)の含有量が前記下限値以上であると、樹脂組成物の粘度バランスがとれ、また、その硬化性を向上でき、硬化時間を適度に短縮できる。
重合体(C)が重合体(c−1)と重合体(c−2)の混合物である場合には、下記式(4)を満たす範囲内であることが好ましい。下記式(4)を満たせば、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、塗工作業性を良好に維持できる。
300,000<{重合体(c−1)のMw×重合体(c−1)の含有量}+{重合体(c−2)のMw×重合体(c−2)の含有量}<1,400,000 ・・・(4)
<ワックス(D)>
ワックス(D)は、硬化反応中において塗膜表面の空気を遮断して表面硬化性を向上させるための成分である。ワックス(D)は、(A)成分、(B)成分に溶解しないものを用いることができる。
ワックス(D)の具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等、既知の各種ワックスが挙げられる。
ワックス(D)の融点は40℃以上が好ましく、120℃以下であることが好ましい。2種以上の融点が異なるワックスを併用することもできる。
ワックス(D)としては、表面硬化性を向上させる点で、有機溶剤に分散したワックス(D)を使用してもよい。ワックス(D)が有機溶剤に分散状態にあり、微粒子化されていることにより、空気遮断作用を効果的に発現することができる。この分散状態のワックスは、市販されているものを用いることができ、該ワックスをそのまま添加することにより、前記樹脂組成物を調製できる。この場合、樹脂組成物は有機溶剤も含有することになる。
分散状態のワックス(D)は、有機溶剤を全く含有せずに、(A)成分、(B)成分にワックスが分散しているものであってもよい。
ワックス(D)の含有量は、空気硬化性と塗膜の物性とのバランス等の点から、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分との合計100質量部に対して、0.1〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
ワックス(D)の含有量を前記下限値以上にすれば、樹脂組成物を塗装硬化させた際に充分な空気遮断作用を得ることができ、表面硬化性を良好にできる。ワックス(D)の含有量を前記上限値以下にすれば、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎることもなく硬化速度や塗膜の物性が良好となる傾向にあり、貯蔵時に樹脂組成物に安定して分散させることができ、また、樹脂組成物を塗装硬化させた際の耐汚染性を良好にできる。
<硬化促進剤(E)>
本発明の樹脂組成物は、硬化促進剤(E)を含有することが好ましい。
硬化促進剤(E)としては、3級アミン、有機金属化合物、金属石鹸などが挙げられる。
3級アミンの具体例としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、フェニルモルホリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等が挙げられる。
3級アミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3級アミンのなかでも、芳香族3級アミンが好ましい。芳香族3級アミンとしては、少なくとも1個の芳香族残基が窒素原子に直接結合しているものが好ましい。
この芳香族3級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N−(2−ヒドロキシエチル)N−メチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン;N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン又はN,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。また、p(パラ)体の代わりに、m(メタ)体であってもよい。
芳香族3級アミンのなかでも、樹脂組成物の反応性、硬化性の点から、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンが好ましい。
3級アミン等の硬化促進剤の添加量は、硬化性と作業性とのバランス等の点から、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.2〜8質量部がより好ましく、0.3〜5質量部が特に好ましい。3級アミンの添加量を前記下限値以上にすれば、表面硬化性を良好にでき、前記上限値以下にすれば、低温であっても適切な可使時間にできる。
なお、3級アミンの添加量は、使用する硬化促進剤の種類や温度環境に応じて好ましい範囲は異なり、使用温度に応じて添加量を適宜調整することが好ましい。
有機金属化合物としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ニッケル、オクチル酸コバルト、アセトアセチル酸コバルト等の有機金属化合物が挙げられる。これら有機金属化合物を樹脂組成物に添加することによって表面硬化性を良好にできる。
有機金属化合物や金属石鹸の添加量は、硬化性と作業性とのバランス等の点から、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、有機金属化合物に由来する金属の含有量が、0.3質量部以下が好ましく、0.2質量部以下がより好ましい。
なお、有機金属化合物の添加量は、使用する硬化促進剤の種類や温度環境に応じて好ましい範囲は異なり、使用温度に応じて添加量を適宜調整することが好ましい。また、硬化物の透明性を損なう恐れのある際には、硬化物の透明性を損なわない程度に含有させることも可能である。
上記の硬化促進剤は、樹脂組成物を硬化させる直前に添加してもよいし、あらかじめ樹脂組成物に添加しておいてもよい。
<硬化剤>
前記樹脂組成物を硬化させる際には、前記硬化促進剤に硬化剤を組み合わせてレドックス触媒とすることが好ましい。
この硬化剤としては、ラジカル重合を開始させることができる公知の硬化剤が挙げられる。このような硬化剤としては、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。前記硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記硬化剤のなかでも、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びハイドロパーオキサイドが好ましく、ベンゾイルパーオキサイドが特に好ましい。
ベンゾイルパーオキサイドは、取扱性の点から、不活性の液体又は固体によって濃度が30〜55質量%程度に希釈された液状、ペースト状又は粉末状のものが好ましい。
硬化剤の添加量は、樹脂組成物の可使時間が5〜60分になる量に適宜調整することが好ましい。この範囲で硬化剤を添加すれば、添加後から速やかに重合反応が開始し、樹脂組成物の硬化を進行させることができる。
硬化剤としてベンゾイルパーオキサイドを用いる場合には、その添加量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、0.25〜5質量部が好ましく、0.25〜4質量部がより好ましい。ベンゾイルパーオキサイドの添加量を前記下限値以上とすれば、硬化性が良好となり、前記上限値以下とすれば、樹脂組成物の塗工作業性、得られる塗膜の各種物性が向上する傾向にある。ただし、硬化剤の添加量は、使用温度に応じて適宜調整することが好ましい。
<その他の添加剤成分>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、その他の添加剤成分として、オリゴマー、その他のポリマー成分、重合禁止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、揺変剤、補強材、可塑剤、イソシアネートプレポリマー、エポキシ樹脂、骨材、酸化クロムやベンガラ等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料などを使用することができる。また、樹脂組成物には、添加剤成分として、塗工作業性や外観向上等の目的で、消泡剤、脱泡剤、レベリング剤等を含有させることも可能である。
[オリゴマー]
本発明の樹脂組成物には、表面硬化性の向上を図るために、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーが含まれてもよい。該オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
(ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、多価イソシアネート成分(u−a)、ポリオール成分(u−b)及び水酸基含有(メタ)アクリレート成分(u−c)を主成分として得られる重合体が挙げられる。
多価イソシアネート成分(u−a)としては、従来より知られる通常使用される分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を使用できる。このようなイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族イソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート類;などが挙げられる。また、イソホロンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体、ヌレート変性体等のトリイソシアネート化合物類;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の3価以上の多価イソシアネート化合物の混合物等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価イソシアネート成分(u−a)のなかでも、ウレタン(メタ)アクリレート合成時の意図的な分子設計の容易さの点から、トリレンジイソシアネート(TDI)が特に好ましい。
ポリオール成分(u−b)としては、従来より知られている通常使用される2価以上のアルコール性水酸基を有する化合物を使用できる。その具体例としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;アジピン酸とプロピレングリコールの反応生成物等のポリエステルポリオール;ポリアクリルポリオール;などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオール成分(u−b)としては、柔軟性を発揮できる点から、ポリエステルポリオールが特に好ましい。
ポリオール成分(u−b)の質量平均分子量は、意図した柔軟性を発揮できる点から、400以上であることが好ましい。また、柔軟性と硬化性のバランスをとり易い点から、ポリオール成分(u−b)の質量平均分子量は10,000以下であることが好ましい。さらに、ポリオール成分(u−b)の質量平均分子量は1,000以上がより好ましく、3,000以下がより好ましい。
なお、関連技術においては、一般にポリウレタンを形成するポリオールの一部として、鎖延長剤を配合することがある。しかし、鎖延長剤は一般に低分子量のものが多く、ポリオールと鎖延長剤の反応性の差により生成するオリゴマーの分子量に偏りができたり、発現させたいポリオール特性が損なわれたりする。従って、本発明においては、鎖延長剤を配合することは好ましくない。
水酸基含有(メタ)アクリレート成分(u−c)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのγ−ブチロラクトン開環付加物又はε−カプロラクトン開環付加物、(メタ)アクリル酸へのエチレンオキサイドの開環付加物又はプロピレンオキサイドの開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水酸基含有(メタ)アクリレート成分(u−c)は、樹脂組成物中の他の成分との相溶性や各種物性の点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量は、適度な架橋点間距離により良好な柔軟性を付与する点から、1,000以上であることが好ましく、5,000以上がより好ましい。塗工作業性を良好にする点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量は、50,000以下であることが好ましい。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量は5,000以上がより好ましく、20,000以下がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを合成する際、多価イソシアネート成分(u−a)/ポリオール成分(u−b)及び水酸基含有(メタ)アクリレート成分(u−c)の使用割合[(u−a)/((u−b)+(u−c))]は、官能基モル比(NCO/OH)で1/1となるようにするのが好ましい。ただし、1/0.95〜0.95/1の範囲内で変動しても特に支障はない。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成方法は特に限定されない。例えば、多価イソシアネート成分(u−a)中に不活性溶媒を加え、更に触媒(ジラウリン酸ジn−ブチル錫等)を加えて、温度40℃〜80℃に保持しながら、これに水酸基含有(メタ)アクリレート成分(u−c)、ポリオール成分(u−b)を順次滴下していく方法が挙げられる。また、水酸基含有(メタ)アクリレート成分(u−c)及びポリオール成分(u−b)中に、不活性溶媒と触媒を加え、多価イソシアネート成分(u−a)を徐々に加える方法でも構わない。
不活性溶媒としては、例えば、水酸基等を有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができる。
(エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー)
エポキシ(メタ)アクリレートは、多塩基酸無水物と、水酸基含有(メタ)アクリレートの部分エステル化物と、2官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを公知の方法で反応させて得られるものである。2官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応させた汎用のエポキシ樹脂である。
(ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー)
ポリエステル(メタ)アクリレートは、多塩基酸又はその無水物と、多価アルコール化合物と、(メタ)アクリル酸付加物又はグリシジル(メタ)アクリレートとを公知の方法で反応させて得られるものである。多塩基酸無水物としては、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
(オリゴマー添加量)
本発明の樹脂組成物において、オリゴマーの添加量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。オリゴマーの添加量を前記上限値以下とすれば、樹脂組成物の可撓性を損なうことなく、塗工作業性、得られる塗膜の各種物性が向上する傾向にある。
[その他のポリマー成分]
本発明の樹脂組成物には、重合体(C)及び前記オリゴマー以外に、その他のポリマーが含まれてもよい。その他のポリマー成分として、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂等が挙げられ、その含有量は、硬化物の透明性を損なわない程度にすることが好ましい。
[重合禁止剤]
重合禁止剤としては、貯蔵安定性を向上させる目的で、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール等を添加することが好ましい。
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤は、単量体(a4)以外のシランカップリング剤であり、例えば、γ−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤は、無機物への接着性向上を目的として使用することができる。
単量体(a4)以外のシランカップリング剤の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、硬化性、コストの点から、3質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を前記上限値以下にすれば、樹脂組成物の無機成分への接着性を向上させつつ、表面硬化性が良好となる。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤は、塗膜の耐候性を向上させる目的で使用する。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノンなどの2―ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体或いは2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリイブチルフェニル)ベンゾトリアゾール或いはこれらのハロゲン化物或いはフェニルサリシレート、p−ターシャリイブチルフェニルサリシレートなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
[耐光安定剤]
耐光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5―ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
[揺変剤]
揺変剤は、樹脂組成物にチキソトロピー性を付与するものである。具体的には、揺変剤を含有すると、樹脂組成物に構造粘性が付与され、チキソトロピー性が増し、樹脂組成物中の添加剤を均一に分布させることができ、樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。また、揺変剤を含有させれば、樹脂組成物を、例えば傾斜面へ施工する場合等の塗工作業性を向上させることができる。
揺変剤としては、ウレタンウレア系、脂肪酸アマイド、有機ベントナイト、酸化ポリエチレンワックスなど有機系揺変剤や微粒シリカが好ましい。揺変剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
揺変剤は複数を組み合わせて使用できる。揺変剤の組み合わせとしては、脂肪酸アマイドと微粒シリカの組み合わせ、有機ベントナイトと微粒シリカの組み合わせ、脂肪酸アマイドと有機ベントナイトと微粒シリカの組み合わせ、酸化ポリエチレンワックスと微粒シリカの組み合わせが挙げられる。
微粒シリカの平均一次粒子径は7〜40μmが好ましい。
揺変剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計100質量部に対して、ウレタンウレア系、脂肪酸アマイド及び/又は有機ベントナイトが合計で5質量部以下、微粒シリカが10質量部以下であることが好ましい。
揺変剤の含有量が多すぎると、樹脂組成物の流動性が低下し、塗工作業性が低下することから、均一な塗装塗膜を得ることができないことがある。これらの観点から、傾斜面に施工する際の流動性の抑制としては上記含有量の範囲に設定することが好ましい。
[補強材]
補強材は、樹脂組成物の可撓性や引張破断伸度が使用場面に対し過剰であるときに用いることが好ましい。
補強材としては、チョップドストランドやロービングネット状のガラス繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維等が挙げられる。補強材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[可塑剤]
可塑剤は、硬化時の収縮の低減を図るためのものである。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類、アルキルスルホン酸フェニルエステル等のアルキルスルホン酸エステル類、1,2−ジシクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル類、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、オクチルアゼレート等のアゼラインエステル類等の2塩基性脂肪酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類が挙げられる。可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましい。可塑剤の含有量を10質量部以下にすると、塗膜の機械的強度を充分に確保でき、塗膜の表面に可塑剤が滲出することを防止できる。
[消泡剤]
消泡剤としては、公知の消泡剤が挙げられる。具体的には、特殊アクリル系重合物を溶剤に溶解させたアクリル系消泡剤、特殊ビニル系重合物を溶剤に溶解させたビニル系消泡剤等を挙げることができる。消泡剤のなかでも楠本化成株式会社から市販されているディスパロンシリーズ(製品名:OX−880EF、OX−881、OX−883、OX−77EF、OX−710、OX−8040、1922、1927、1950、P−410EF、P−420、P−425、PD−7、1970、230、230EF、LF−1980、LF−1982、LF−1983、LF−1984、LF−1985等。)等がより好ましく、ディスパロンシリーズのうち、230、230EF、LF−1980、LF−1985がさらに好ましく、230EF、LF−1985が特に好ましい。また、ビックケミー・ジャパン株式会社から市販されているBYK−052N、BYK−1752を用いることもできる。消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
消泡剤の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。上記上限値以下であれば、樹脂組成物を撹拌混合した際に混入した気泡を効果的に取り除くことができ、気泡の混入しない塗膜を得られる。
[イソシアネートプレポリマー]
イソシアネートプレポリマーは、反応性が高く、空気中の水分や樹脂組成物中の単量体成分と反応しやすい。従って、アクリル系樹脂組成物がイソシアネートプレポリマーを含有すれば、硬化時間をより短縮できる。
イソシアネートプレポリマーとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等をプレポリマー化したポリイソシアヌレート等が挙げられる。イソシアネートプレポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソシアネートプレポリマーの含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましい。イソシアネートプレポリマーの含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の可使時間を十分に確保しつつ、硬化時間をより短縮でき、作業性が良好となる。
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、無機基材との接着性を向上させる成分である。従って、樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有すれば、コンクリートやアスファルト舗装に使用されている砕石等への接着を良好にできる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、無機基材との接着性及び硬化性の観点から、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
エポキシ樹脂の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の可使時間を十分に確保しつつ、硬化時間を短縮でき、作業性が良好となる。
[チオール化合物]
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、脂肪族チオール及び芳香族チオフェノール等のチオール基を1個以上有するチオール化合物を配合してもよい。ラジカル重合性樹脂組成物は、薄膜にして硬化すると空気中の酸素の影響を受けて硬化性が低下する場合があるが、チオール化合物を配合すると硬化性を改善できることがある。
チオール化合物としては脂肪族チオールが好ましい。チオール化合物は、1級チオール化合物、2級チオール化合物及び3級チオール化合物のいずれも使用できる。硬化性改善の観点から、1級または2級チオール基を2個以上有する多官能チオールが好ましく、1級または2級チオール基を3個以上有する多官能チオールがより好ましい。なお、多官能チオールとは、チオール基を2個以上有するチオール化合物であり、n官能チオールとはチオール基がn個のチオール化合物のことをいう。
1級チオール化合物の具体例としては、テトラエチレングリコールビスメルカプトアセテート、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)等の2官能チオール;トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトブチレート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、グリセロールトリス−(3−メルカプトプロピオネート)、グリセロールトリス−(4−メルカプトブチレート)等の3官能チオール;ペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトブチレート)等の4官能チオール;ジペンタエリスリトールヘキサメルカプトアセテート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトブチレート)等の4官能を超える多官能チオール、等が挙げられる。
2級チオール化合物の具体例としては、3−メルカプト酪酸等の1官能チオール;エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、水素化ビスフェノールAビス(3−メルカプトブチレート)、ビスフェノールAジヒドロキシエチルエーテル−3−メルカプトブチレート、エチレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、オクタンジオールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)等の2官能チオール;トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシエチル)]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトバレレート)、トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、トリス−2−(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)エチルイソシアヌレート等の3官能チオール;、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)等の4官能チオール;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)等の4官能を超える多官能チオール;等が挙げられる。
それらの中でも、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシエチル)]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等が好ましく、これらの1種以上を用いることが好ましい。
チオール化合物の分子量は200〜1,000が好ましい。
チオール化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.05〜2質量部が好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましい。チオール化合物の配合量は、多いほど樹脂組成物を薄膜での硬化させたときの硬化性が良好になる傾向がある。一方、チオール化合物は比較的高価であるので、その配合量は少ないほど樹脂組成物の経済性が向上する傾向がある。
チオール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。1級チオール化合物と2級チオール化合物を併用して用いてもよい。
[骨材]
本発明の樹脂組成物は、骨材を含有してもよい。骨材は、樹脂組成物から得られる塗膜に強度を付与する成分である。
骨材としては、例えば砂、硅砂、川砂、寒水石、エメリー、大理石などの天然無機鉱石、アルミナ、スラグ、ガラス、セラミック骨材、陶器、磁器、タイル、ガラスビーズ、着色骨材、炭酸カルシウム、シリカヒューム、フライアッシュ、タルク、クレー、酸化チタン、水酸化アルミニウム等などが挙げられる。骨材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に硬化物の透明性が求められる場合には、砂、硅砂、川砂、寒水石、エメリー、大理石などの天然無機鉱石、アルミナ、スラグ、ガラス、セラミック骨材、陶器、磁器、タイル、ガラスビーズ、着色骨材などのうちから適宜選択すればよい。
骨材を配合する場合の骨材含有量は、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、100〜800質量部であることが好ましく、150〜700質量部であることがより好ましい。骨材の配合量が100質量部以上であれば、塗膜に十分な強度を付与できるとともに、塗膜の形状安定性を良好に維持できる。一方、骨材の含有量が800質量部以下であれば、樹脂組成物の塗工作業性を良好に維持できる。
<樹脂組成物の製造方法>
上記の樹脂組成物の製造方法としては、上述した各成分を混合する方法が挙げられる。
なお、硬化促進剤(E)のうち、3級アミンは、樹脂組成物を硬化させる直前に添加してもよく、予め樹脂組成物に添加しておいてもよい。硬化促進剤(E)として有機金属化合物を使用する場合は、樹脂組成物を硬化させる直前に添加するのが好ましい。有機金属化合物を予め樹脂組成物に添加しておくと、樹脂組成物の安定性が低下して、経時的に樹脂組成物の粘度が高まったり、樹脂組成物がゲル化したりすることがある。
また、硬化剤は、樹脂組成物を硬化させる直前に添加するのが好ましい。
<作用効果>
上述した本発明の樹脂組成物は、前記単量体(A)、前記単量体(B)、前記重合体(C)及びワックス(D)を含有し、前記単量体(A)として、芳香環を有する(メタ)アクリレート(a1)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a2)と、ホモポリマーのTgが−10℃以下の(メタ)アクリレート(a3)とを含有することにより、臭気を抑制できる。また、本発明の樹脂組成物は、硬化性に優れ、濁りの少ない硬化塗膜を容易に形成できる。そのため、石や骨材の風合いを活かした意匠性の高い被覆方法に適用できる。
本発明の樹脂組成物は、コンクリートやアスファルト等の床面、壁面、道路の舗装面等の被覆剤として好適である。
「積層体」
本発明の積層体は、基材と、基材の表面に形成された本発明の樹脂組成物の硬化物からなる塗膜とを備える。該積層体は、本発明の樹脂組成物を基材に塗工し、硬化させて硬化物を形成することにより得られる。
積層体における基材としては、例えば、セメントコンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルコンクリート、レジンコンクリート、透水コンクリート、ALC(軽量発泡コンクリート)板、PC(プレキャストコンクリート)板等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上が組み合わされて、基材とされる。コンクリートは、鉄筋を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
これらの基材は、例えば、建築物の床やプラットホーム、道路、橋、高架橋等の床版等に用いられるものである。建築物の床やプラットホーム及び床版構造体においては、既に塗膜を形成した建築物の床材や舗装層を形成した既設の基材や本発明における基材としてもよい。また、既設舗装層や既設防水層を剥がした後の構造体を、下塗り層を塗装する前の基材として用いてもよい。
基材の形状は特に制限されず、例えば、平面、曲面、傾斜面等、どのような形状であってもよい。
塗膜の厚みは特に限定されず、例えば、積層体に求められる機能に応じて決定される。
塗膜の形成方法としては、本発明の樹脂組成物を基材に塗工し、これを硬化する方法が挙げられる。
塗工方法としては、ローラー、金ゴテ、刷毛、自在ボウキ、塗装機(スプレー塗装機等)等を用いる公知の塗工方法が挙げられる。2液エアレス塗装機を用いる場合には、主剤側、硬化剤側の2液に分け、主剤側には硬化促進剤を添加し、硬化剤側に例えば硬化剤としての有機過酸化物を添加する方法が好ましい。
また、塗工時の温度は−20〜60℃が好ましく、特に−10〜40℃が好ましい。施工性の点から可使時間は5〜90分が好ましく、5〜60分間がより好ましい。硬化時間は10〜120分が好ましく、10〜90分がさらに好ましい。可使時間及び硬化時間は、有機過酸化物硬化剤及び硬化促進剤の量を調整することにより調節される。
本発明の積層体は、基材の表面に本発明の樹脂組成物の硬化物である塗膜が形成されていればよい。例えば、本発明の樹脂組成物の硬化物である塗膜が下塗り層として形成され、この下塗り層に中塗り層と上塗り層とがこの順に積層されてもよい。また、積層体は、基材の表面に、下塗り層のみが形成されていてもよいし、下塗り層及び上塗り層のみが形成されていてもよいし、下塗り層を含み4層以上の層が積層されていてもよい。
下塗り層を形成する樹脂組成物の粘度としては、23℃においてJIS−Z8803規定のブルックフィールド型粘度計(60rpm)で計測した溶液粘度が50〜400mPa・sであることが好ましい。
下塗り層の表面に中塗り層を形成する場合、中塗り層としては特に限定されず、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる層でもよいし、本発明の樹脂組成物以外の硬化物からなる層でもよい。
本発明の樹脂組成物以外の中塗り層形成用材料としては、溶剤系樹脂、エマルション系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び、メタクリル樹脂等の施工後に硬化させる合成樹脂系塗料(樹脂、ゴム、アスファルト等の固体状のものを熱溶融し液状化してから塗工するもの)、石油アスファルトやアスファルト乳剤、各種液状合成樹脂等の液体状のもの等が挙げられる。
中塗り層の形成方法は、中塗り層を構成する材質の種類に応じて適宜決定される。
中塗り層のなかでも、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる層が好ましく、とりわけ、骨材を含む本発明の樹脂組成物の硬化物からなる層がより好ましい。
中塗り層を形成する樹脂組成物の粘度としては、23℃においてJIS−Z8803規定のブルックフィールド型粘度計(60rpm)で計測した溶液粘度が50〜400mPa・sであることが好ましく、50〜300mPa・sであることがより好ましい。
また、中塗り層を形成する樹脂組成物は、その硬化物が、JIS K6251:2010に規定される測定方法に従い、23℃で測定された引張最大強度が4N/mm以上でかつ引張破断伸度130%以上であることが好ましい。
中塗り層の表面に上塗り層を形成する場合、上塗り層としては中塗り層と同様のものを使用できる。また、上塗り層は、意匠性や外観の点から、フィルムやシートで形成されたトップコート層又は保護層でもよい。
上塗り層を形成する樹脂組成物の粘度としては、23℃においてJIS−Z8803規定のブルックフィールド型粘度計(60rpm)で計測した溶液粘度が100〜400mPa・sであることが好ましい。
また、上塗り層を形成する樹脂組成物は、その硬化物が、JIS K6251:2010に規定される測定方法に従い、23℃で測定された引張最大強度が10N/mm以上であることが好ましい。
本発明の積層体は、基材表面に、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる塗膜を形成したものであり、その塗膜は濁りの少ない透明性が高いものである。そのため、本発明の積層体は、石や骨材の風合いを容易に活かすことができ、意匠性が高い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例における「部」はすべて「質量部」を、ケン化度と湿度以外の「%」はすべて「質量%」を示す。
[合成例1:重合体(P−1)の合成]
攪拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置内に、脱イオン水135部、及び分散剤としてポリビニルアルコール(ケン化度80モル%、重合度1,700)0.4部を加えて攪拌し、ポリビニルアルコールを完全に溶解した後、一旦攪拌を停止した。メチルメタクリレート(以下「MMA」と略す)100部、重合開始剤として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下「AMBN」と略す)0.2部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(以下「n−DM」と略す)0.8部、電解質として炭酸ナトリウム0.1部を加えて再度攪拌し、75℃に昇温して2.5時間反応させた。さらに、98℃に昇温して1.5時間保持した後、反応を終了させた。
次いで、40℃に冷却した後、得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、脱水した後、40℃で16時間乾燥して、粒状ビニル系重合体(P−1)(以下「P−1」と略す)を得た。
得られたP−1のガラス転移温度(Tg)は100℃、質量平均分子量は40,000であった。
なお、粒状ビニル系重合体のTgはポリマーハンドブックに記載のホモポリマーのTgから、Foxの式を用いて算出した。
[合成例2:重合体(P−2)の合成]
合成例1の反応において、MMAの使用量を100部から80部に変更し、n−ブチルアクリレート(以下「n−BMA」と略す)を20部添加し、n−DMの使用量を0.8部から0.35部に変更した。それら以外は合成例1と同様にして、Tg82℃、質量平均分子量80,000の粒状ビニル系重合体(P−2)(以下「P−2」と略す)を得た。
[合成例3:重合体(P−3)の合成]
合成例1の反応において、MMAの使用量を100部から40部に変更し、n−BMAの使用量を60部に変更し、n−DMの使用量を0.8部から0.5部に変更した。それら以外は合成例1と同様にして、Tg49℃、質量平均分子量60,000の粒状ビニル系重合体(P−3)(以下「P−3」と略す)を得た。
<樹脂組成物の調製>
[実施例1:樹脂組成物(S−1)]
攪拌機、温度計、冷却管付きの1Lフラスコに、単量体(A)としてフェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトエステルPO)53.0部、及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下「2−HPMA」と略す)10部、メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPME−100(以下「PME−100」と略す)10部、2−エチルヘキシルアクリレート(以下「2−EHA」と略す)10部と、単量体(B)としてポリプロピレングリコールジメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPDP−400N(以下「PDP−400N」と略す))5.0部と、耐光安定剤として2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(以下「BHT」と略す)0.12部と、ワックス(D)としてパラフィン−130(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス(以下「P−130」と略す))0.4部、及びパラフィン−150(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス(以下「P−150」と略す))0.3部、HNP−9(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス(以下「HNP−9」と略す))0.3部、消泡剤(楠本化成株式会社製、商品名:ディスパロン230EF)0.5部と、硬化促進剤(E)としてN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(以下「PTEO」と略す)0.6部と紫外線吸収剤としてJF−77(城北化学株式会社製)(以下「JF−77」と略す)を0.2部、を投入した後、攪拌しながら、重合体(C)としてP−1を12.0部投入した。引き続き、75℃で2時間加熱して溶解した。溶解を確認後、冷却して、樹脂組成物(S−1)を得た。得られた樹脂組成物(S−1)の配合組成を表1に示す。
[実施例2〜9:樹脂組成物(S−2)〜(S−9)の調製]
配合組成を表1に示す組成に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(S−2)〜(S−9)を得た。
[比較例1〜8:樹脂組成物(S−10)〜(S−17)の調製]
配合組成を表2に示す組成に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(S−10)〜(S−17)を得た。
表1及び表2において、「PHMA」はフェニルメタクリレート、「BZMA」はベンジルメタクリレート、「ETMA」はメタクリル酸2−エトキシエチル(三菱ケミカル株式会社製、商品名:アクリエステルET)、「ニューフロンティアBPE−4」はエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬株式会社製、商品名:ニューフロンティアBPE−4)、「添加剤1」は1級チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、「添加剤2」は2級チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)を表す。
(粘度)
各例の樹脂組成物について、以下の測定方法によって粘度を測定した。その結果を表1,2に示す。
B型(ブルックフィールド型)粘度計(BM型、株式会社トキメック製)を用いて、23±1℃における粘度(60rpmのときの粘度)を測定した。
(TI値)
各例の樹脂組成物について、以下の測定方法によってTI値(チキソトロピックインデックス)を測定した。その結果を表1,2に示す。
JIS−K6833に規定される方法に従って、組成物の温度が23±1℃のときに、B型粘度計(BM型、株式会社トキメック製)を用いて測定される粘度から下記式(5)により求めた。
TI値=〔回転数6rpmのときの粘度(mPa・s)〕/〔回転数60rpmのときの粘度(mPa・s)〕 ・・・(5)
<性能評価>
以下のように、硬化剤を含有する樹脂組成物を調製し、硬化特性、引張試験、作業性、臭気、接着性及び透明性を測定又は評価した。それらの結果を表1,2に示す。
[硬化特性(23℃)]
23℃における硬化特性測定用試料を下記のように調製した。
各例の樹脂組成物100部に対して、硬化剤(製品名ナイパーNS、日油株式会社製、過酸化ベンゾイル40%品)(以下「ナイパーNS」と略す)3部を添加し、充分に混合して硬化剤入り樹脂組成物を得た。
(ゲル化時間)
室内温度23℃、湿度50%の環境可変室内で、100mlのポリプロピレン製カップに前記の硬化剤入り樹脂組成物を50g投入し、硬化剤添加から樹脂の流動性が無くなるまでの時間を測定し、その時間をゲル化時間とした。
(乾燥時間)
室内温度23℃、湿度50%の環境可変室内において、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に前記の硬化剤入り樹脂組成物を、アプリケーターを用いて300μmの厚みに塗装した。その後、塗膜が乾燥するまでの時間を計測し、その時間を乾燥時間とした。塗膜の乾燥の完了は、得られた塗膜の表面にガーゼを接触させた際に、ガーゼが塗膜に引っ付かなくなった時点とした。
[硬化特性(0℃)]
0℃における硬化特性測定用試料を下記のように調製した。
各例の樹脂組成物100部に対して、硬化促進剤としてAC−150(製品名アクリシラップAC−150、株式会社菱晃製)(以下「AC−150」と略す)1部、硬化剤としてナイパーNSを6部添加し、充分に混合して硬化剤入り樹脂組成物を得た。
(ゲル化時間)
0℃に制御した恒温恒湿槽内で、100mlのポリプロピレン製カップに前記の硬化剤入り樹脂組成物を50g投入し、硬化剤添加から樹脂の流動性が無くなるまでの時間を測定し、その時間をゲル化時間とした。
(乾燥時間)
0℃に制御した恒温恒湿槽内において、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に前記の硬化剤入り樹脂組成物を、アプリケーターを用いて300μmの厚みに塗装した。その後、塗膜が乾燥するまでの時間を計測し、その時間を乾燥時間とした。塗膜の乾燥の完了は、得られた塗膜の表面にガーゼを接触させた際に、ガーゼが塗膜に引っ付かなくなった時点とした。
[引張試験]
室内温度23℃、湿度50%の環境可変室内で、前記の硬化剤入り樹脂組成物を、型に注入し、硬化させ、養生した。硬化させた翌日に脱型後、厚さ3mmの注型板(試験サンプル)を得た。
これらの試験サンプルをJIS−K6251:2010に従って23℃で引張試験し、破壊時の引張破壊強度(N/mm)を測定した。この引張破壊強度は硬化塗膜の機械的強度の指標の一つである。また、引張試験においては引張破断伸度も測定した。
[臭気]
室内温度23℃、湿度50%の環境可変室内で、各例の樹脂組成物と基材(スレート板、90cm×90cm×厚さ5mm)とを、温度23℃、相対湿度50%の環境可変室(3m×7m×高さ3m)内に4時間以上放置して、環境可変室の温度と同じになるように調整した。その後、樹脂組成物に硬化剤ナイパーNSを添加し、該環境可変室内にて基材の表面に約0.3kg/mの塗布量で塗装した。この塗装作業中に5名の評価者が立ち会い、塗膜表面から50cm離れた位置での臭気を下記の基準で評価した。
○:5人全員が臭いを感じなかった。
△:1〜4人が臭いを感じた。
×:5人全員が臭いを感じた。
[作業性]
室内温度23℃、湿度50%の環境可変室内で、各例の樹脂組成物とJISモルタル板(30cm×30cm×厚さ6cm)とを、温度23℃、相対湿度50%の環境可変室(3m×7m×高さ3m)内に4時間以上放置して、環境可変室の温度と同じになるように調整した。その後、樹脂組成物に硬化剤ナイパーNSを添加し、該環境可変室内にて基材の表面に約0.3kg/mの塗布量で、ウールローラーを用いて塗装したときの塗装作業性を下記評価基準に基づき評価した。
○:塗工ムラが発生せず、良好であった。
×:塗工ムラが発生した。
[接着性]
塗装作業性の評価と同様に樹脂組成物を塗工し、硬化した24時間後に、日本塗り床工業会試験方法の塗り床の付着強さ試験方法(NNK−005:2006)に従って接着性を下記の基準で評価した。
○:基材凝集破壊もしくは塗膜の凝集破壊が生じた領域が80%以上の領域であった。
×:基材凝集破壊もしくは塗膜の凝集破壊(基材と塗膜の層間剥離を含む)が生じた領域が80%未満であった。
[透明性]
室内温度23℃、湿度50%の環境可変室内で、前記の硬化剤入り樹脂組成物を、硬化させ、養生した。硬化させた翌日に厚さ3mmの樹脂硬化物を得た。
樹脂硬化物の全光線透過率(%)をJIS−K7105に準じて測定した。測定には、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いた。測定された全光線透過率から、以下の基準で透明性を評価した。
○:全光線透過率が75.0%以上であった。
△:全光線透過率が50.0%以上、75.0%未満であった。
×:全光線透過率が50.0%未満であった。
Figure 2019019307
Figure 2019019307
表1に示すように、本発明の範囲内にある実施例1〜5は、樹脂粘度が好ましい範囲内にあることで作業性が良好であり、硬化特性も乾燥時間も適正な範囲内であり、臭気が弱く、透明性、接着性についても良好であった。
これに対して、表2に示すように、比較例1(樹脂組成物S−10)は、樹脂粘度が好ましい範囲内にあることで作業性も良好であり、硬化特性も乾燥時間も適正な範囲内であり、臭気が弱いものの、樹脂組成物の硬化物の透明性が低い結果となった。
比較例2(樹脂組成物S−11)は、樹脂粘度も好ましい範囲内にあることで作業性も良好であり、硬化特性も乾燥時間も適正な範囲内であるものの、臭気が強く、また、樹脂組成物の硬化物の透明性が低い結果となった。
比較例3(樹脂組成物S−12)は、樹脂粘度が好ましい範囲内にあることで作業性が良好であり、硬化特性も乾燥時間も適正な範囲内であり、樹脂組成物の硬化物の透明性も高いものの、臭気が強い結果となった。
比較例4(樹脂組成物S−13)は、樹脂粘度が好ましい範囲内にあることで作業性が良好であり、乾燥時間も適正な範囲内であり、臭気が弱く、樹脂組成物の硬化物の透明性も高いものの、引張試験で引張強度と引張破断伸度が共に低位であり、塗膜として非常に脆いものとなった。
比較例5(樹脂組成物S−14)は、樹脂粘度が好ましい範囲から外れ、作業性が低位であった。そのため、他の評価は未実施とした。
比較例6〜7(樹脂組成物S−15〜S−16)は、樹脂粘度が好ましい範囲内にあることで作業性が良好であり、硬化特性も乾燥時間も適正な範囲内であり、臭気も弱かったものの、樹脂組成物の硬化物の透明性が低かった。また、引張試験において引張強度と引張破断伸度が共に低位であり、塗膜として非常に脆い結果となった。
比較例8(樹脂組成物S−17)は、樹脂粘度が好ましい範囲内にあることで作業性が良好であり、臭気が弱く、透明性も良好であるものの、乾燥時間が60分を超える結果となった。
本発明の樹脂組成物は、低臭気性であって、硬化性に優れ、濁りの少ない硬化塗膜を得ることができる。そのため、石や骨材の風合いを活かした意匠性のある被覆方法に容易に適用させることができる。

Claims (4)

  1. 分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(B)と、メチルメタクリレート単位を60質量%以上有する重合体(C)と、ワックス(D)とを含有し、
    前記単量体(A)として、芳香環を有する(メタ)アクリレート(a1)と、
    ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a2)と、
    ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−10℃以下の(メタ)アクリレート(a3)と、を含有する、アクリル系樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリレート(a1)が、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のアクリル系樹脂組成物。
  3. 前記単量体(A)と前記単量体(B)と前記重合体(C)との合計100質量部に対し、前記重合体(C)を1〜20質量部含有する、請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂組成物。
  4. 基材と、該基材の表面に形成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成物が硬化した硬化物の塗膜とを備える積層体。
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