JP2015229682A - 樹脂配合物、および積層体とその製造方法 - Google Patents

樹脂配合物、および積層体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピンホールの発生を抑制して表面性が良好な被覆層を形成でき、しかもベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できる被覆材料としても使用できる樹脂配合物、および積層体とその製造方法の提供。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)、ワックス、並びに三級アミンを含むシラップ組成物と、有機過酸化物と、骨材とを含有する樹脂配合物であって、特定の測定方法により測定される表面張力低減率が5〜30%である(メタ)アクリル系重合体(X)をさらに含有する、樹脂配合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂配合物、および積層体とその製造方法に関する。
建築物等の床面などの構造体を構成するコンクリート基盤等には、通常、床面に機能を付与する目的で不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の被覆材料が塗布、硬化され、被覆層が形成されている。
特に、耐薬品性や耐候性などの機能が要求される被覆層を形成する場合や、短時間での施工或いは低温での施工などが要求される場合には、被覆材料として(メタ)アクリル系シラップ組成物が用いられることが多い。
(メタ)アクリル系シラップ組成物としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体、重合体、硬化促進剤である三級アミン、硬化時に空気中の酸素による硬化阻害を防ぐ目的で添加されているワックスなどを含むものが知られている(例えば特許文献1参照)。
コンクリート基盤等に(メタ)アクリル系シラップ組成物を被覆する際は、下塗りのプライマー層、中塗りのベースコート層、仕上げ(上塗り)のトップコート層の3層構造の被覆層とするのが一般的である。
プライマー層は、コンクリート基盤とベースコート層との接着性を向上させるために設けられる。ベースコート層は、シラップ組成物と骨材とを含有する樹脂モルタル組成物(中塗り材)からなる層であり、主に耐荷重性などを付与する目的で設けられる。トップコート層は、主に耐薬品性や外観性などを付与する目的で設けられる。
特開平5−78545号公報
しかしながら、(メタ)アクリル系シラップ組成物は短時間で硬化するため、ピンホールが発生しやすいという課題があった。
例えば、(メタ)アクリル系シラップ組成物をプライマー層形成用の下塗り材(以下、「プライマー」ともいう。)として用いた場合、コンクリート基盤等の基盤に含まれる空気と下塗り材とが置換されるまでには時間を要するが、硬化時間が短いため置換される前に硬化が完了してしまう。そのため、基盤に含まれる空気に影響を受けてプライマー層にピンホールが発生することがあった。
また、(メタ)アクリル系シラップ組成物をベースコート形成用の樹脂モルタル組成物として用いる場合、(メタ)アクリル系シラップ組成物と骨材等とを混合する際に巻き込まれた空気が、基盤上に塗工した樹脂モルタル組成物中に留まってしまう。(メタ)アクリル系シラップ組成物は硬化時間が短いため、この空気が抜ける前に硬化が完了してしまい、ベースコート層にピンホールが発生し、表面性が低下することがあった。
発生したピンホールへの対応としては、従来、ベースコート層まで形成した後にパテ材等で穴埋めを施し、その後に上塗り材を塗布してトップコート層を形成し、外観等の表面性を良好にするのが一般的であった。
また、ピンホールを改善する方法として、下記方法が提案されている。
(1)下塗り材に消泡剤を添加するとともに、プライマー層が厚くなるように下塗り材を必要以上に塗布して、プライマー層由来のピンホールを極力抑制する方法。
(2)消泡剤を(メタ)アクリル系シラップ組成物に添加し、シラップ組成物や樹脂モルタル組成物に巻き込まれる空気を軽減する方法。
しかしながら、方法(1)の場合、下塗り材を必要以上に塗布する工程は、能力や作業時間を要するため、結果として短時間で施工できる(メタ)アクリル系シラップ組成物のメリットを充分に活かせないことがあった。
方法(2)の場合、消泡剤の添加量を増加させても効果に限界があるため、表面性を充分に満足する被覆層が得られにくかった。
また、ベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できる被覆材料を用いれば、塗布工程を1回分減らすことができる、すなわち、ピンホールを発生させ易い工程を減らすことができるので、ピンホールの発生を軽減できるという発想はこれまでにほとんどなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ピンホールの発生を抑制して表面性が良好な被覆層を形成でき、しかもベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できる被覆材料としても使用できる樹脂配合物、および積層体とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] (メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)、ワックス、並びに三級アミンを含むシラップ組成物と、有機過酸化物と、骨材とを含有する樹脂配合物であって、下記測定方法により測定される表面張力低減率が5〜30%である(メタ)アクリル系重合体(X)をさらに含有する、樹脂配合物。
(測定方法)
メタクリル酸メチル60質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル10質量部と、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸n−ブチルの共重合体(メタクリル酸メチル/メタクリル酸n−ブチルで表される質量比が60/40であり、質量平均分子量が42,000であり、ガラス転移温度が65℃である)30質量部と、融点が47℃であるパラフィンワックス0.4質量部と、融点が55℃であるパラフィンワックス0.3質量部と、融点が66℃であるパラフィンワックス0.2質量部と、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン1質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.0026質量部とからなるモデルシラップ組成物(Z)の表面張力(a1)と、前記モデルシラップ組成物(Z)100質量部に(メタ)アクリル系重合体(X)0.4質量部を添加した混合物の表面張力(a2)を測定し、下記式(1)より表面張力低減率を求める。
表面張力低減率(%)={(a1−a2)/a1}×100 ・・・(1)
[2] 前記ワックスの含有量が、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、並びに(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)の合計100質量部に対し、0.2〜2質量部である、[1]に記載の樹脂配合物。
[3] 前記(メタ)アクリル系重合体(X)の含有量が、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、並びに(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)の合計100質量部に対し、0.05〜3質量部である、[1]または[2]に記載の樹脂配合物。
[4] 前記骨材の含有量が、前記シラップ組成物100質量部に対し、50〜400質量部である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の樹脂配合物。
[5] 基盤上に[1]〜[4]のいずれか1つに記載の樹脂配合物を塗布し、該樹脂配合物を硬化させる、積層体の製造方法。
[6] 基盤上に[1]〜[4]のいずれか1つに記載の樹脂配合物を塗布し、該樹脂配合物を硬化させてなる、積層体。
[7] 基盤上に下塗り材を塗布し、該下塗り材を硬化させた硬化面上に、前記樹脂配合物を塗布する、[5]に記載の積層体の製造方法。
[8] 基盤上に下塗り材を塗布し、該下塗り材を硬化させた硬化面上に、前記樹脂配合物を硬化させてなる、[6]に記載の積層体。
本発明によれば、ピンホールの発生を抑制して表面性が良好な被覆層を形成でき、しかもベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できる被覆材料としても使用できる樹脂配合物、および積層体とその製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称であり、一般式CH=C(R)−C(=O)−[Rは水素原子またはメチル基を示す。]で表される。
「樹脂配合物」
本発明の樹脂配合物は、シラップ組成物と、有機過酸化物と、骨材とを含有し、(メタ)アクリル系重合体(X)をさらに含有する。なお、(メタ)アクリル系重合体(X)はシラップ組成物を構成する成分として樹脂配合物に含まれていてもよいし、有機過酸化物や骨材と共にシラップ組成物と混合されることで樹脂配合物に含まれていてもよい。
<シラップ組成物>
シラップ組成物は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)と、ワックスと、三級アミンとを含む。
詳しくは後述するが、(B)成分としては、(メタ)アクリル酸重合体および(メタ)アクリル酸エステル重合体等の(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体、並びにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーおよびエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基を有する重合体が挙げられる。これら(B)成分と(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)との組み合わせによって、シラップ組成物は以下に示すシラップ組成物(a)〜(d)に分けられる。
・シラップ組成物(a):(A)成分と、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体との組み合わせ。
・シラップ組成物(b):(A)成分と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとの組み合わせ。
・シラップ組成物(c): (A)成分と、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとの組み合わせ。
・シラップ組成物(d): (A)成分と、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとの組み合わせ。
なお、(A)成分と(B)成分の組み合わせとしては、上述した以外にも、(A)成分と、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等からなる群より選ばれる2種以上の(B)成分との組み合わせであってもよい。また、(A)成分と(B)成分の組み合わせとしては、(A)成分と、以下の(メタ)アクリロイル基を有する重合体との組み合わせであってもよい。
((A)成分)
(A)成分は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物である。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、1分子中に1つの重合性二重結合を有する単官能単量体、1分子中に2つ以上の重合性二重結合を有する多官能単量体などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単官能単量体および多官能単量体のいずれか一方を用いてもよいし、単官能単量体と多官能単量体とを併用しても何ら問題ない。
単官能単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有単量体類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の窒素含有単量体類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルホリル等の官能基含有単量体類;(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロテンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル等の脂環型(メタ)アクリル酸エステル類;2−メトキシ(メタ)アクリレート、2−エトシキ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキル基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;ベンジルメタクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートなどが挙げられる。
これら単官能単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能単量体としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロプレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタジエングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これら多官能単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シラップ組成物(a)に用いる(A)成分としては、上述した単官能単量体の中でも、硬化性や硬化物の物性などの観点から、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロテンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−メトキシ(メタ)アクリレート、2−エトシキ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートが好ましい。これらの中でも、さらに粘度を低減できることからメチルメタクリレート、n−ブチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレートがより好ましい。
これら単官能単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、シラップ組成物(a)に用いる(A)成分としては、上述した多官能単量体の中でも、樹脂配合物の硬化性等を向上させる観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
これら多官能単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シラップ組成物(b)〜(d)に用いる(A)成分としては、シラップ組成物(a)に用いる(A)成分と同様のものが好ましい。
シラップ組成物がシラップ組成物(a)の場合、(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、50〜90質量%が好ましく、55〜85質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が50質量%以上であればシラップ組成物(a)の粘度を容易に低くすることができ、塗工しやすくなる傾向にあり、90質量%以下であればシラップ組成物(a)の粘度を調整しやすい。
また、(A)成分として多官能単量体を含む場合、その多官能単量体の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。多官能単量体の含有量が1質量%以上であれば硬化体の強度を高くでき、20質量%以下であれば可使時間が極端に短くなることなく、硬化体の強度を高くすることができる。
シラップ組成物がシラップ組成物(b)の場合、(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、30〜80質量%が好ましく、40〜78質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が30質量%以上であればシラップ組成物の粘度を容易に調整することができ、塗工しやすくなる傾向にあり、80質量%以下であればシラップ組成物の粘度を低く調整できる。
シラップ組成物がシラップ組成物(c)の場合、(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、20〜70質量%が好ましく、30〜68質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が20質量%以上であればシラップ組成物の粘度を容易に調整することができ、塗工しやすくなる傾向にあり、70質量%以下であればシラップ組成物の粘度を低く調整できる。
シラップ組成物がシラップ組成物(d)の場合、(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、20〜70質量%が好ましく、30〜68質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が20質量%以上であればシラップ組成物の粘度を容易に調整することができ、塗工しやすくなる傾向にあり、70質量%以下であればシラップ組成物の粘度を低く調整できる。
((B)成分)
(B)成分は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)である。
(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーなどのオリゴマーが挙げられる。また、(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、重合体(例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体など)に、(メタ)アクリロイル基を導入した重合体であってもよい。
これら(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体:
(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体は、単独重合体でも共重合体でもよく、(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、並びに(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸(共)重合体は、(メタ)アクリル酸の単独重合体または共重合体であり、具体的には、アクリル酸の単独重合体、メタクリル酸の単独重合体、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、(メタ)アクリロイル基を有する単量体以外の単量体と(メタ)アクリル酸との共重合体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを単独重合または共重合して得られるポリ(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体以外の単量体と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(A)成分の説明において先に例示した単官能単量体が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
これら(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して得られる共重合体である。この共重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体以外の単量体と(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合したものであってもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体のガラス転移温度(Tg)は、それぞれ0℃以上が好ましく、20〜105℃がより好ましい。ガラス転移温度が0℃以上であれば適正な硬化性が得られる傾向にあり、105℃以下であれば樹脂配合物の硬化性が向上する傾向にある。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)の測定により求めたものである。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体の質量平均分子量(Mw)は、それぞれ5,000〜200,000が好ましく、10,000〜180,000がより好ましい。質量平均分子量が5,000以上であれば樹脂配合物の適正な粘度や硬化速度が得られる傾向にあり、200,000以下であれば粘度が高くなりすぎず良好な作業性が得られる傾向にある。
質量平均分子量は、濃度が0.4質量%になるように重合体のテトラヒドロフラン溶液を調製し、この溶液をゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)用装置に100μl注入し、流量:1ml/min、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件下で、GPC法により測定した分子量を標準ポリスチレン換算したものである。
シラップ組成物がシラップ組成物(a)の場合、(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、10〜50質量%が好ましく、15〜45質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が10質量%以上であればシラップ組成物(a)の粘度を調整しやすくなり、50質量%以下であればシラップ組成物(a)粘度を容易に低くすることができ、塗工しやすくなる傾向にある。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー:
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、イソシアネートおよびポリオールを反応させて得られるウレタンオリゴマーと、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含有する化合物との反応物である。
ウレタンオリゴマーを構成するポリオールとしては、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物が挙げられ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の2価フェノールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加反応生成物類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、メチルペンタンジオール等の多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸等の多塩基酸と、無水物との反応で得られるポリエステルポリオール類;アルキレングリコールとラクトンとから得られるポリラクトンジオール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールと、ホスゲン、ジメチルカーボネート等のカーボネート化剤との反応で得られるカーボネート結合を含むポリカーボネートジオール類などが挙げられる。これらの中でも、下地への追従性等の点から、ポリアルキレングリコール類が好ましく、その中でもポリブチレングリコールが特に好ましい。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタンオリゴマーを構成するポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられ、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これらの化合物と、水やトリメチロールプロパン等とのアダクト化合物や、三量体環化化合物などをポリイソシアネートとして用いることもできる。
これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを構成する水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含有する化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;ε−カプロラクトンと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート付加物等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外の化合物などが挙げられる。
これらの水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じ、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの一部をアリル基含有アルコールに置き換えてもよい。アリル基含有アルコールとしては、例えばアリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、塗工時の作業性の観点から、質量平均分子量で30,000以下であることが好ましい。
質量平均分子量は、濃度が0.4質量%になるようにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのテトラヒドロフラン溶液を調製し、この溶液をゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)用装置に100μl注入し、流量:1ml/min、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件下で、GPC法により測定した分子量を標準ポリスチレン換算したものである。
シラップ組成物がシラップ組成物(b)の場合、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、20〜70質量%が好ましく、23〜65質量%がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が20質量%以上であれば硬化体の物性を調整しやすく、70質量%以下であればシラップ組成物の粘度を調整しやすい。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー:
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、二塩基酸成分および多価アルコール成分を反応させて得られる不飽和ポリエステルと、不飽和ポリエステルの末端水酸基またはカルボキシ基とエステル結合が可能な(メタ)アクリロイル基含有化合物との反応物である。
不飽和ポリエステルを構成する二塩基酸成分としては、例えばヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸などが挙げられる。
これらの二塩基酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和ポリエステルを構成する多価アルコール成分としては、例えばネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどが挙げられる。
これらの多価アルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、具体的に、不飽和ポリエステルの分子末端のカルボキシ基を(メタ)アクリル酸グリシジル等の不飽和エポキシ化合物と反応させた不飽和ポリエステル(メタ)アクリレート;不飽和ポリエステルの分子末端の水酸基をイソシアネート基含有(メタ)アクリレート化合物と反応させて得られるウレタン結合含有不飽和ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
シラップ組成物がシラップ組成物(c)の場合、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、30〜80質量%が好ましく、32〜75質量%がより好ましい。ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が30質量%以上であれば硬化体の物性を調整しやすく、80質量%以下であればシラップ組成物の粘度を調整しやすい。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー:
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を含む単量体成分との反応物である。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを構成するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールE型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などが挙げられ、固形や液状のものなど様々なものを用いることができる。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂と反応させる単量体成分には、必要に応じ、(メタ)アクリル酸以外の他の単量体が含まれていてもよい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸と共重合可能であれば特に制限されないが、例えば(A)成分の説明において先に例示した単官能単量体などが挙げられる。
シラップ組成物がシラップ組成物(d)の場合、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100質量%中、30〜80質量%が好ましく、35〜75質量%がより好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が30質量%以上であれば硬化体の物性を調整しやすく、含有量が80質量%以下であればシラップ組成物の粘度を調整しやすい。
(メタ)アクリロイル基を有する重合体:
(B)成分として用いることができる(メタ)アクリロイル基を有する重合体は、上述したように、重合体(例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体など)に、(メタ)アクリロイル基を導入した重合体であってもよく、該重合体は二重結合を有する。
このような(メタ)アクリロイル基を有する重合体は、例えば以下のようにして製造される。
まず、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とを共重合して共重合体(コポリマー)を得る。
グリシジル(メタ)アクリレートと、テトラブチルアンモニウムブロミド等のエステル化触媒との混合物中に、先のコポリマーを加えて共重合をさらに行うことで、コポリマーに(メタ)アクリロイル基を導入した、二重結合を有する重合体を得る。
(B)成分としては、上述した中でも、樹脂物性や樹脂粘度を調整し易いことから(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体を用いることが好ましい。
((メタ)アクリル系重合体(X))
本発明では、樹脂配合物を調製する際に撹拌などで系中に巻き込まれた空気などの気泡を系外へ排出させるために、(メタ)アクリル系重合体(X)を用いる。(メタ)アクリル系重合体(X)を用いることで、撹拌時などに巻き込んだ空気が系外へ排出されるので、この空気に起因したピンホールの発生を抑制でき、表面性が良好な被覆層を形成できる。また、(メタ)アクリル系重合体(X)を用いると、樹脂配合物のコンクリート基盤への浸透性が向上し、基盤由来から生じるピンホールの抑制も向上することができる。
以下、空気などの気泡を系外へ排出させることを「気泡の抜け性」ともいう。
(メタ)アクリル系重合体(X)は、下記測定方法により測定される表面張力低減率が5〜30%である。すなわち、下記モデルシラップ組成物(Z)に所定量添加した場合に、モデルシラップ組成物(Z)の表面張力を5〜30%低減させる効果を有するものである。表面張力低減率が5%以上であれば、ピンホールが生じにくい。一方、表面張力低減率が30%以下であれば、ピンホールが生じにくいため平滑な硬化体面を得ることができる。
(測定方法)
メタクリル酸メチル60質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル10質量部と、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸n−ブチルの共重合体(メタクリル酸メチル/メタクリル酸n−ブチルで表される質量比が60/40であり、質量平均分子量が42,000であり、ガラス転移温度が65℃である)30質量部と、融点が47℃であるパラフィンワックス0.4質量部と、融点が55℃であるパラフィンワックス0.3質量部と、融点が66℃であるパラフィンワックス0.2質量部と、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン1質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.0026質量部とからなるモデルシラップ組成物(Z)の表面張力(a1)と、前記モデルシラップ組成物(Z)100質量部に(メタ)アクリル系重合体(X)0.4質量部を添加した混合物の表面張力(a2)を測定し、下記式(1)より表面張力低減率を求める。
表面張力低減率(%)={(a1−a2)/a1}×100 ・・・(1)
(メタ)アクリル系重合体(X)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリエステル、(メタ)アクリル酸ポリエーテルの単独重合体またはこれらの共重合体などが挙げられる。また、これら単独重合体または共重合体に、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基含有化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有化合物をさらに共重合させたものや、これら単独重合体または共重合体中のカルボキシ基をアミン化合物で中和しアミン塩を導入したものを、(メタ)アクリル系重合体(X)として用いてもよい。
(メタ)アクリル系重合体(X)は、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリエステル、(メタ)アクリル酸ポリエーテルからなる群より選ばれる1種以上を溶液重合、塊状重合などにより重合することが得られるが、これらの方法に限定されない。
(メタ)アクリル系重合体(X)の質量平均分子量(Mw)は、コンクリート基盤等の基盤への浸透性がより高まる点から、2,000以上であることが好ましい。また、粘度が高くなりすぎず良好な取扱い性が得られる点から、100,000以下であることが好ましい。さらに、質量平均分子量の下限に関しては4,000以上がより好ましく、上限に関しては80,000以下がより好ましい。
質量平均分子量は、濃度が0.4質量%になるように重合体のテトラヒドロフラン溶液を調製し、この溶液をゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)用装置に100μl注入し、流量:1ml/min、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件下で、GPC法により測定した分子量を標準ポリスチレン換算したものである。
(メタ)アクリル系重合体(X)としては、市販品を用いることもでき、例えばビックケミー・ジャパン社より市販されている「BYK−350」、「BYK−352」、「BYK−354」、「YK−355」、「BYK−392」、「BYK−361N」などが挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体(X)は、そのままの状態で用いてもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシプロピルアセテート等の溶剤や(メタ)アクリル酸エステル単量体などで所望の濃度になるように希釈してから用いてもよい。
(メタ)アクリル系重合体(X)の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、0.05〜3質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(X)の含有量が0.05質量部以上であれば、樹脂配合物をコンクリート基盤などに塗布した際に浸透性がより高まる。一方、(メタ)アクリル系重合体(X)の含有量が3質量部以下であれば、樹脂配合物が充分にコンクリート基盤等へ浸透し易くなる。
(ワックス)
シラップ組成物は、硬化反応中における樹脂配合物の表面の空気遮断による表面硬化性を向上させる等の目的で、ワックスを含有する。
ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスを石油ナフサ等の溶剤に分散させた特殊ワックスなど、各種ワックスが挙げられる。
ワックスの融点は40℃以上が好ましく、120℃以下が好ましい。
また、本発明においては、融点が異なる同一種類のワックスを組み合わせて用いてもよいし、異なる種類のワックスを併用してもよい。
ワックスとしては、融点が異なるパラフィンワックスを2つ以上組み合わせて用いることが特に好ましい。
ワックスの含有量は固形分換算で、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、0.2〜2質量部が好ましく、0.3〜1.5質量部がより好ましい。ワックスの含有量が0.2質量部以上であれば、充分な空気遮断性が得られ、表面硬化性が良好となる傾向にある。一方、ワックスの含有量が2質量部以下であれば、シラップ組成物や樹脂配合物を撹拌した際に巻き込んだ空気などの気泡を概ね系外へ排出することができ、被覆層の物性や表面性がより良好となる傾向にある。
(三級アミン)
シラップ組成物には、後述する有機過酸化物と反応・硬化しやすくする目的で、三級アミンを含有する。三級アミンは、硬化反応を促進させる硬化促進剤の役割を果たす。
三級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2―ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等の芳香族三級アミンなどが挙げられる。
これら三級アミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
三級アミンの含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜8質量部がより好ましい。三級アミンの含有量が0.1質量部以上であれば、樹脂配合物の硬化性が良好となる傾向にある。一方、三級アミンの含有量が10質量部以下であれば、作業に適した可使時間(樹脂配合物が流動性を有し、塗布可能な時間)が得られやすくなる。
(その他の成分)
シラップ組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、湿潤剤、可塑剤、重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、顔料などの添加剤が挙げられる。
湿潤剤:
湿潤剤はシラップ組成物と、後述する骨材との濡れ性を上げることで、樹脂配合物に巻き込まれた空気などの気泡をより速やかに系外へ排出させる目的で配合される。
湿潤剤としては、ビックケミー・ジャパン社から市販されているDisperbykシリーズ(製品名:103、112、164、166、167、182、183、184、2000、2050、2150、2164)、BYKシリーズ(W969、W980、W9010)等が適している。これらの中でも、Disperbyk−163、167,2164が特に好ましい。
湿潤剤の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、0.1〜3質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。湿潤剤の含有量が多いほど湿潤剤の効果が充分に得られ、湿潤剤の含有量が少ないほど溶剤の影響を受けにくく、硬化後の物性が良好となる傾向にある。
可塑剤:
可塑剤は、硬化収縮の抑制や硬化後の塗膜に柔軟性を与える目的で配合される。
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;アルキルスルホン酸フェニルエステル、アジピン酸ポリエステルなどが挙げられる。但し、パラフィン類はパラフィンワックスを含まない。
これら可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、0〜25質量部が好ましく、0〜20質量部がより好ましい。可塑剤の含有量25質量部以下であれば樹脂配合物を硬化したときの柔軟性が好適となる傾向にある。
重合禁止剤:
重合禁止剤は、シラップ組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で配合される。
重合禁止剤としては、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、1,4−ナフトキノン、2-ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンなどが挙げられる。
これら重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
消泡剤:
消泡剤は、樹脂配合物の調製の際の撹拌時および撹拌後の材料均一性の向上や、硬化時の酸素の影響を抑制する等の目的で配合される。
消泡剤としては、公知の消泡剤が挙げられる。具体的には、特殊アクリル系重合物を溶剤に溶解させたアクリル系消泡剤、特殊ビニル系重合物を溶剤に溶解させたビニル系消泡剤などを挙げることができる。市販品としては、楠本化成社から市販されているディスパロンシリーズや、ビックケミー・ジャパン社から市販されているBYKシリーズなどが挙げられる。
特に、環境の面から溶剤はトルエン・キシレンを含まないものを用いるのが好ましい。
また、消泡剤は脱泡剤と組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤:
シランカップリング剤は、無機物への接着性を向上させる目的で配合される。
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(粘度)
シラップ組成物の粘度としては特に限定されないが、23℃においてJIS−Z8803規定のブルックフィールド型粘度計BM型で計測した溶液粘度が15〜700mPa・sであることが好ましく、30〜600mPa・sであることがより好ましい。
なお、シラップ組成物または樹脂配合物をプライマー層形成用の下塗り材として用いる場合、シラップ組成物の粘度が低いほど、コンクリート基盤等への浸透性が向上する。ただし、粘度が低すぎると、シラップ組成物または樹脂配合物を基盤上へ塗布する際に厚みが付け難くなり、作業性が悪くなる。従って、シラップ組成物の粘度は15〜200mPa・sが好ましく、30〜150mPa・sがより好ましい。
樹脂配合物をベースコート層形成用の樹脂モルタル組成物や、トップコート層形成用の上塗り材として用いる場合、シラップ組成物の粘度が低すぎると、樹脂配合物の骨材分離が生じ、均一な硬化物(ベースコート層やトップコート層)が得られにくくなる傾向にある。一方、粘度が高すぎると樹脂配合物とした際に巻き込んだ空気が抜けにくくなり、表面性が悪くなる傾向となる。従って、シラップ組成物の粘度は100〜700mPa・sが好ましく、100〜600mPa・sがより好ましい。
<有機過酸化物>
有機過酸化物は、後述する樹脂配合物のゲル化時間を制御する硬化剤の役割を果たす。
有機過酸化物としては、例えば過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性が良好なことから過酸化ベンゾイルやクメンハイドロパーオキサイドが好ましい。なお、クメンハイドロパーオキサイドを用いる場合には、後述する硬化促進助剤としてナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトなどの金属石鹸を併用することが好ましい。
これら有機過酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機過酸化物は、シラップ組成物に含まれる三級アミン等の硬化促進剤と組み合わせたレドックス触媒として用いてもよい。
有機過酸化物の含有量は、樹脂配合物の使用温度により異なるため一概には決められないが、例えば23℃の環境下においては、シラップ組成物100質量部に対し、1〜5質量部が好ましい。有機過酸化物の添加量が1質量部以上であれば、樹脂配合物に未硬化部が生じることがなく、樹脂配合物の硬化が長時間にわたることがない。一方、有機過酸化物の添加量が5質量部以下であれば、硬化性が良く、かつ作業時間も確保できる。
なお、樹脂配合物の使用温度が23℃以外の場合は、有機過酸化物の含有量を調整して使用することが好ましい。
<骨材>
骨材は、樹脂配合物の硬化物の強度付与や硬化収縮率を抑制する成分である。
骨材としては、例えば珪砂、セラミック骨材、炭酸カルシウム、シリカヒューム、フライアッシュ、タルク、クレー、ガラスビーズなどが挙げられる。
これら骨材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、珪砂の混合物を用いると、作業性、流動性が良好で、かつ硬化後の表面性が良好となる。
骨材の粒度(平均粒子径)としては特に制限されないが、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。
骨材の含有量は、シラップ組成物100質量部に対し、50〜400質量部が好ましく、80〜200質量部がより好ましい。骨材の含有量が50質量部以上であれば、強度や硬化時の収縮を抑制でき、かつ充分な強度の硬化物が得られる。一方、骨材の含有量が400質量部以下であれば、硬化物の表面性がより良好となり、かつ硬化物の強度や硬化収縮抑制効果を得ることができる。
<その他の成分>
樹脂配合物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、硬化促進助剤などの添加剤が挙げられる。
また、樹脂配合物は、シラップ組成物の説明において先に例示した湿潤剤、可塑剤、重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
硬化促進助剤:
硬化促進助剤は、上述した有機過酸化物の分解を促進させ、硬化反応を促す役割を果たす。
硬化促進助剤としては、多価金属石鹸などが挙げられる。シラップ組成物中の三級アミンと多価金属石鹸とを併用することで、硬化時間をより短縮できると共に、硬化性をより向上させることができる。
多価金属石鹸としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセトアセチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ニッケルなどが挙げられる。これらの中でも、適度な可使時間および良好な硬化性を得ることができるなどの観点から、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトが好ましい。
これら多価金属石鹸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価金属石鹸の含有量は、シラップ組成物100質量部に対し、0.01質量部超が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましい。多価金属石鹸の含有量が0.01質量部超であれば、良好な硬化性を得ることができる。
ただし、多価金属石鹸の含有量が多すぎると、多価金属石鹸を分散溶解している溶剤量が多くなることから硬化性が低下したり、硬化塗膜の強度が低下したりする傾向にある。従って、多価金属石鹸の含有量の上限値は、1.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましい。
なお、本発明において、「多価金属石鹸の含有量」とは、多価金属石鹸に由来する金属の含有量のことである。
<樹脂配合物の製造方法>
樹脂配合物は、例えば以下のようにして製造できる。
まず、(A)成分、(B)成分、および(メタ)アクリル系重合体(X)と、必要に応じてその他の成分(添加剤)とを混合し、シラップ組成物を調製する。ついで、シラップ組成物、有機過酸化物、および骨材と、必要に応じて硬化促進助剤等のその他の成分とを混合し、樹脂配合物を得る。
なお、湿潤剤や可塑剤等のその他の成分は、シラップ組成物の調製時に用いずに、シラップ組成物と有機過酸化物と骨材とを混合するタイミングで、これらに添加してもよい。
<硬化>
本発明の樹脂配合物を良好に硬化させるには、23℃の環境下の場合においてはゲル化時間を10分〜60分の範囲にすることが好ましい。ゲル化時間が10分未満では作業する時間が短くなる。また、ゲル化時間が60分を超えると樹脂配合物の硬化が悪くなり硬化体の物性が得られにくくなる。
ゲル化時間は、主に樹脂配合物中の有機過酸化物の含有量により制御できる。
なお、ゲル化時間とは硬化剤と硬化促進剤が同時に存在した時間から流動性を失うまでの時間のことである。
<作用効果>
以上説明した本発明の樹脂配合物は、上述したシラップ組成物、有機過酸化物、および骨材に加え、(メタ)アクリル系重合体(X)を含有する。よって、樹脂配合物を調製する際に撹拌などで系中に巻き込まれた空気などの気泡を系外へ排出できるので、ピンホールの発生が抑制され、表面性が良好な被覆層を形成できる。
また、本発明の樹脂配合物はコンクリート基盤等の基盤への浸透性に優れるので、基盤由来から生じるピンホールの抑制も向上することができる。よって、本発明の樹脂配合物をプライマー層形成用の下塗り材として使用することができる。
しかも、本発明の樹脂配合物は、硬化後の硬化体中に樹脂配合物を調製する際に撹拌などにより巻き込まれた空気などの気泡の残留が少ないため、強度、耐摩耗性、耐薬品性、表面性などの機能を有する被覆層を形成できる。よって、例えば建築物や構造物のコンクリート基盤への耐摩耗性や耐薬品性などの機能付与や、欠損部などを補修するための補修材として用いることができる。すなわち、本発明の樹脂配合物は、ベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できる被覆材料(樹脂モルタル組成物、および上塗り材)として使用することもできる。従って、上述したように、コンクリート基盤等の基盤へ被覆層を形成する際、通常は、プライマー層とベースコート層とトップコート層の3層構造の被覆層とするところ、本発明の樹脂配合物を用いれば、ベースコート層とトップコート層を兼ね備えた層を形成できるので、被覆材料の塗布工程を1回分減らすことができる。すなわち、ピンホールを発生させ易い工程を減らすことができるので、ピンホールの発生を軽減できる。
また、本発明のシ樹脂配合物を用いることで、後述する積層体とした場合でも外観が良好で、耐久性に優れた積層体が得られる。
本発明の樹脂配合物は、特に倉庫や機械室等の床面に好適に用いることができる。
[積層体]
本発明の積層体は、建築物や橋梁などの構造体を構成する基盤上に本発明の樹脂配合物を塗布し、該樹脂配合物を硬化させてなるものである。
本発明の積層体は、基盤に本発明の樹脂配合物を塗布し、該樹脂配合物を硬化させて基盤上に塗膜(被覆層)を形成することで製造できる。
構造体としては、例えばセメントコンクリート、モルタルコンクリート、レジンコンクリート、透水コンクリート、ALC板、PC板等が挙げられる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて構成される。また、コンクリートの場合は、鉄筋を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
これら構造体は、例えば自動車工場、倉庫、食品工場、加工場、部品組立工場など建築物の床等に用いられるものである。建築物の床においては、既に塗膜を形成した建築物の床材等を剥がした後の構造体を、被覆層を形成する前の構造体として用いても特に問題はない。
構造体の形状については特に制限されず、例えば平面、曲面、傾斜面など、どのような形状であってもよい。
上述したように、基盤上に形成される被覆層は、下塗りのプライマー層、中塗りのベースコート層、仕上げ(上塗り)のトップコート層の3層構造とするのが一般的である。
本発明の樹脂配合物は、プライマー層形成用の下塗り材、ベースコート層形成用の中塗り材(樹脂モルタル組成物)、トップコート層形成用の上塗り材のいずれにも使用することができる。
被覆層は、その全てが本発明の樹脂配合物から形成されていてもよいし、被覆層の一部が本発明の樹脂配合物から形成され、残りの部分が本発明の樹脂配合物以外の他の被覆材料から形成されていてもよい。例えば、ベースコート層および/またはトップコート層が本発明の樹脂配合物から形成される場合、プライマー層は本発明の樹脂配合物から形成されていてもよいし、他の被覆材料から形成されていてもよい。
本発明の樹脂配合物は、ベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できる。よって、基盤上に下塗り材を塗布し、該下塗り材を硬化させた硬化面(プライマー層)上に、本発明の樹脂配合物を例えばコテなどで塗布し、硬化させれば、ベースコート層とトップコート層を兼ね備えた層を形成できる。この方法によれば、基盤上に2層構造の被覆層が形成された積層体が得られる。
下塗り材としては、本発明の樹脂配合物を用いてもよいし、本発明の樹脂配合物以外の他の被覆材料を用いてもよい。他の被覆材料としては、(メタ)アクリル系シラップ組成物が挙げられ、具体的には本発明の樹脂配合物を構成するシラップ組成物などが使用できる。
下塗り材の塗布厚は、基盤にもよるが、通常は0.5〜7mmが好ましく、1〜5mmがより好ましく、1〜3mmがさらに好ましい。下塗り材の塗布厚が0.5mm以上であれば、基盤に下塗り材が浸透して良好な接着性が得られ、かつ表面性も良好となる。一方、下塗り材の塗布厚が7mm以下であれば、骨材の分離が少なく均一なプライマー層が得られ易い。
なお、基盤上に下塗り材を塗布するに際して、基盤の脆弱部あるいは水・油脂分など接着性能を阻害する因子は事前に処理しておくことが好ましい。
中塗り材(樹脂モルタル組成物)としては、本発明の樹脂配合物を用いることが好ましい。
中塗り材の塗布厚は、塗布作業性、塗布後の外観などから、0.5〜7mmが好ましく、1〜5mmがより好ましく、1〜3mmがさらに好ましい。中塗り材の塗布厚が0.5mm以上であれば、均一な塗膜が得られる。一方、中塗り材の塗布厚が7mm以下であれば、骨材の分離が少なく均一なベースコート層が得られ易い。
上塗り材としては、本発明の樹脂配合物を用いてもよいし、本発明の樹脂配合物以外の他の被覆材料を用いてもよい。他の被覆材料としては、(メタ)アクリル系シラップ組成物が挙げられ、具体的には本発明の樹脂配合物を構成するシラップ組成物などが使用できる。
上塗り材として(メタ)アクリル系シラップ組成物を用いる場合、上塗り材の塗布量は仕上げ方法にもよるが、通常は0.1〜1.0kg/mが好ましく、0.2〜0.8kg/mがより好ましい。トップコート層は1層でもよいし、2層以上に積層してもよい。
また、基盤上に形成されたプライマー層に、ピンホールが発生していない場合や、ピンホールが発生していてもパテ材などでピンホールを簡単に処理できる場合には、中塗り材を塗布せずに、プライマー層上に直接、本発明の樹脂配合物を塗布してトップコート層を形成してもよい。上述したように、本発明の樹脂配合物はベースコート層とトップコート層との機能を兼ね備えた層を形成できるので、中塗り材の塗布を省略することもできる。このときの上塗り材の塗布厚は、外観を良好にする観点から、0.5〜7mmが好ましく、1〜5mmがより好ましく、1〜3mmがさらに好ましい。
さらに、滑りを防止する目的で上塗り材を塗布し硬化する前に、骨材を散布し上塗り材と一緒に硬化させ、固着させることもできる。
下塗り材、中塗り材、および上塗り材の塗布方法としては特に制限されず、ハケ、コテ、ローラーなどを用いた塗布方法が挙げられる。
施工時の温度としては、−10〜35℃の温度範囲が可能であり、0〜30℃の範囲が好ましい。また、施工性の点からゲル化時間は10〜60分の範囲が好ましく、10〜45分がさらに好ましい。ゲル化時間や硬化時間の調整は、硬化剤(有機過酸化物)および硬化促進剤の量を塗布時の温度に応じて調節することにより行うことができる。
以上説明した本発明の積層体は、基盤上に本発明の樹脂配合物の硬化物である被覆層が形成されているので、ピンホールの発生が抑制され、表面性が良好である。また、強度、耐摩耗性、耐薬品性等にも優れる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、各実施例、比較例中「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[(メタ)アクリル系重合体(X)]
(メタ)アクリル系重合体(X)として、ビックケミー・ジャパン社製の「BYK−352」および「BYK−354」を用いた。なお、BYK−352は有効成分が80%であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルを20%含有するものである。BYK−354は有効成分が51%であり、高沸点芳香族ジブチルイソケトンを49%含有するものである。
これら(メタ)アクリル系重合体(X)の表面張力低減率を以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
<モデルシラップ組成物(Z)の調製>
撹拌機、コンデンサーを備えた容器に、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と略す。)60部と、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「2−EHA」と略す。)10部と、融点が47℃であるパラフィンワックス0.4部と、融点が55℃であるパラフィンワックス0.3部と、融点が66℃であるパラフィンワックス0.2部と、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(以下、「PTEO」と略す。)1.0部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.0026部とを混合し、これらを撹拌しながら、MMAおよびメタクリル酸n−ブチル(以下、「n−BMA」と略す。)の共重合体(MMA/n−BMAで表される質量比が60/40であり、質量平均分子量が42,000であり、ガラス転移温度が65℃である)30部を投入した。水浴にて溶液温度を60℃にし2時間加熱し、共重合体を溶解した。共重合体の溶解を確認後、冷却し、モデルシラップ組成物(Z)を得た。
<表面張力の測定>
得られたモデルシラップ組成物(Z)を使用前によく撹拌し均一にした後、モデルシラップ組成物(Z)100gを計量した。モデルシラップ組成物(Z)100gに(メタ)アクリル系重合体(X)を固形分換算で0.4gを添加し、撹拌・混合して混合物を得た。
モデルシラップ組成物(Z)および得られた混合物をそれぞれPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のシャーレに適量移し、自動表面張力計(協和界面科学社製、「CBVP−Z」)を用い、白金プレートにて表面張力を測定した。モデルシラップ組成物(Z)の表面張力をa1とし、混合物の表面張力をa2として、下記式(1)より表面張力低減率を求めた。
表面張力低減率(%)={(a1−a2)/a1}×100 ・・・(1)
Figure 2015229682
モデルシラップ組成物(Z)単独の表面張力は25.8mN/mであった。
また、モデルシラップ組成物(Z)とBYK−352との混合物の表面張力は19.3mN/mであり、表面張力低減率は25.2%であった。
モデルシラップ組成物(Z)とBYK−354との混合物の表面張力は20.1mN/mであり、表面張力低減率は22.1%であった。
なお、表1中のカッコ内の数字は、固形分換算した量(g)である。
[シラップ組成物]
<シラップ組成物(S−1)の調製>
撹拌機、コンデンサーを備えた容器に、(A)成分としてMMA53部、2−EHA15部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「2−HEMA」と略す。)2部、アクリル酸2−サクシノイルオキシエチル(新中村化学工業社製、商品名:NKエステルA−SA(以下、「A−SA」と略す。))4部、および1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルBD(以下、「BDMA」と略す。))1部と、ワックスとして融点が47℃であるパラフィンワックス(以下、「ワックス1」と略す。)0.2部、融点が55℃であるパラフィンワックス(以下、「ワックス2」と略す。)0.2部、および融点が66℃であるパラフィンワックス(以下、「ワックス3」と略す。)0.15部と、三級アミン(硬化促進剤)としてN,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン(以下、「DIPT」と略す。)0.5部、およびN,N−ジメチル−p−トルイジン(以下、「DMPT」と略す。)0.3部と、重合禁止剤としてヒドロキノン(以下、「HQ」と略す。)0.006部と、(メタ)アクリル系重合体(X)としてBYK−352を0.5部と、シランカップリング剤としてKBM−503(信越化学工業社製)1部とを仕込み、撹拌しながら、(B)成分としてポリマー1(MMAおよびn−BMAの共重合体(MMA/n−BMAで表される質量比が60/40であり、質量平均分子量(Mw)が42,000であり、ガラス転移温度(Tg)が65℃である))25部を投入した。水浴にて溶液温度を60℃にし保持しながら2時間加熱し、(B)成分を溶解した。溶解を確認後、冷却し、シラップ組成物(S−1)を得た。シラップ組成物(S−1)の配合組成を表2に示す。
<シラップ組成物(S−3)〜(S−6)、(S−8)〜(S−14)の調製>
表2、3に記載の配合組成にすること以外は、シラップ組成物(S−1)の調製と同様にしてシラップ組成物(S−3)〜(S−6)、(S−8)〜(S−14)を得た。
<シラップ組成物(S−2)の調製>
(エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E−1)の合成)
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:jER1001、エポキシ当量;472)476.7部と、メタクリル酸86部と、MMA243.8部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルDM)5.6部と、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン0.56部を仕込み、撹拌しながら90℃まで加熱した。この温度を維持した状態で反応を進行させた。酸価が7以下となった時点で反応を終了し、冷却し、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E−1)を得た。
(シラップ組成物(S−2)の調製)
得られたE−1の68部に、MMA32部と、ワックス2を0.15部と、ワックス3を0.15部と、シランカップリング剤としてKBM−403(信越化学工業社製)1部と、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(以下、「BHT」と略す。)0.05部と、三級アミン(硬化促進剤)としてPTEO0.5部と、(メタ)アクリル系重合体(X)としてBYK−352を0.3部加え、シラップ組成物(S−2)を得た。
<シラップ組成物(S−7)の調製>
表2に記載の配合組成にすること以外は、シラップ組成物(S−2)の調製と同様にしてシラップ組成物(S−7)を得た。
<粘度の測定>
得られたシラップ組成物の粘度について、B型粘度計(トキメック社製、「BM型」)を用い、23℃において測定を開始してから1分後の値を測定し、その値をシラップ組成物の粘度とした。結果を表2、3に示す。
<気泡の抜け性の評価>
シラップ組成物50部を100mlディスポカップ(アズワン社製)に計量した後、ホモディスパーを用いて回転数2,000rpmにて3分間撹拌し、シラップ組成物中に気泡を積極的に混入させた。撹拌停止後、表面をアセトンにて脱脂処理したガラス板(10×10cm)上に設けた5×5cmのウレタンスポンジ枠内に、撹拌後のシラップ組成物5g流し込み、流し込んだ時点から10分間静置した。なお、流し込んだ直後に無数の気泡が入っていることを確認した。
静置後、シラップ組成物内に含まれる気泡を目視にて確認し、以下の評価基準にて評価した。結果を表2、3に示す。
○:10分経過後のシラップ組成物中に存在する気泡が5個未満である。
×:10分経過後のシラップ組成物中に存在する気泡が5個以上である。
Figure 2015229682
Figure 2015229682
表2、3中の記号は以下の通りである。
・MMA:メタクリル酸メチル、
・2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル(三菱化学社製)、
・n−BMA:メタクリル酸n−ブチル(三菱レイヨン社製、商品名アクリエステルB)、
・THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルTHF)、
・M120:アロニックスM120(東亞合成社製、商品名:アロニックスM120)、
・2−HEMA :メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルHO)、
・BDMA:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルBD) 、
・PDP−400:ポリプロピレングリコールジメタクリレート(日油社製、商品名:ブレンマーPDP−400N)、
・PDE−150:トリエチレングリコールジメタクリレート(日油社製、商品名:ブレンマーPDE−150)、
・A−SA:アクリル酸2−サクシノイルオキシエチル(新中村化学工業社製、商品名:NKエステルA−SA)、
・ポリマー1:MMA/n−BMA=60/40の共重合体(Tg=65℃、Mw=42,000)
・ポリマー2:MMA/n−BMA=60/40の共重合体(Tg=55℃、Mw=24,000)、
・ポリマー3:MMA/n−BMA=80/20の共重合体(Tg=82℃、Mw=84,000)、
・E−1:エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、
・BYK−352:(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−352)、
・BYK−354:(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−354)、
・DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン、
・DIPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、
・PTEO:N、N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、
・ワックス1:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:パラフィン115)、
・ワックス2:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:パラフィン130)、
・ワックス3:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:パラフィン150)、
・ワックス4:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:NHP−9)、
・ワックス5:特殊ワックス(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−S780、石油ナフサ/パラフィンワックス/二酸化珪素=89.5%/10%/0.5%)、
・KBM−503:シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBM−503)、
・KBM−403:シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBM−403)、
・Disperbyk−167:湿潤剤(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:Disperbyk−167)、
・消泡剤1:BYK−1752(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−1752)、
・消泡剤2:ディスパロン230EF(楠本化成社製、商品名:ディスパロン230EF)、
・HQ:ヒドロキノン、
・BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール。
表2、3の結果より、(メタ)アクリル系重合体(X)を含んだシラップ組成物は、(メタ)アクリル系重合体(X)を含まないシラップ組成物と比較し、シラップ組成物中に含有した気泡が抜け易く非常に良好であった。
なお、シラップ組成物(S−12)については、気泡の抜け性の評価を行わなかった。
「実施例1」
シラップ組成物(S−1)100部に、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L)2部添加し、充分に混合して有機過酸化物を溶解させた後、骨材(菱晃社製、商品名:KS−1)240部と、トナー(菱晃社製、商品名:MRT−41)2部をさらに加え、ミキサーにて回転数850rpmにて1分間撹拌混合し、樹脂配合物を得た。なお、トナーはピンホールを識別しやすくするために配合した。
得られた樹脂配合物を用いて、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
<表面性の評価>
(評価1:プライマー層なし)
温度23℃において、JIS A5371規定のN300コンクリート舗道板(300×300×60mm)の表面をダイヤモンドディスクサンダーにて研磨・清掃し、評価用の基盤とした。基盤に樹脂配合物をコテにて2mm厚に塗布・硬化させた後、塗膜表面のピンホールの有無について目視にて確認し、以下の評価基準にて評価した。
○:塗膜表面のピンホールが5個以下であり良好であった。
×:塗膜表面のピンホールが5個より多く見られた。
(評価2:プライマー層あり)
シラップ組成物(S−1)100部と、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L)2部とを混合したものを下塗り材として用いた。
評価1と同様の基盤を用い、該基盤上に下塗り材を刷毛にて0.4kg/m塗布し、硬化させてプライマー層を形成した。該プライマー層上に、評価1と同様にして樹脂配合物を塗布・硬化させた後、塗膜表面のピンホールの有無について目視にて観察し、評価した。
「実施例2〜7、比較例1〜5」
シラップ組成物の種類、骨材の種類と量、およびトナーの量を表4、5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂配合物を調製し、表面性の評価(評価1、2)を行った。結果を表4、5に示す。
なお、実施例2、7については、シラップ組成物に有機過酸化物を添加する前に、硬化促進助剤としてナフテン酸コバルト6%溶液(日本化学産業社製、製品名:ナフテックスコバルト6%(T)、コバルト含有量6%)1部(コバルトとして0.06部)をシラップ組成物に添加し、充分に混合しておいた。
また、評価2について、下塗り材としては、シラップ組成物(S−1)100部と、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル2部とを混合したものを用いた。
Figure 2015229682
Figure 2015229682
なお、表4中のカッコ内の数字は、金属(コバルト)の量(部)である。
また、表4、5中の記号は以下の通りである。
・BPO−50:過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L)、
・Co6%:ナフテン酸コバルト6%(日本化学産業社製、商品名:ナフテックスコバルト6%(T))、
・KC−1:骨材(菱晃社製、商品名:KC−1)、
・KS−1:骨材(菱晃社製、商品名:KS−1)、
・MRT−41:トナー(菱晃社製、商品名:MRT−41)。
表4の結果より、実施例1〜7の樹脂配合物は、気泡が系外へ抜け易く、硬化後の表面性が良好な硬化塗膜を形成できた。
一方、表5の結果より、(メタ)アクリル系重合体(X)を含まない比較例1〜4の樹脂配合物は、系中に気泡が残り易く、硬化後の表面性が劣る結果となった。
ワックスを含まないシラップ組成物(S−12)を用いた比較例5の樹脂配合物は、表面が硬化せず、いつまでもべたついていた。
また、プライマー層の有無に関わらず、気泡の抜け易さに大きな変化はなく、上記と同様の結果となった。
「実施例8〜14」
シラップ組成物の種類、骨材の種類と量、およびトナーの量を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂配合物を調製し、表面性の評価(評価2)を行った。結果を表6に示す。
なお、下塗り材としては、シラップ組成物(S−1)100部と、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル2部とを混合したものを用いた。
また、塗膜表面の平滑性について目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。結果を表6に示す。
A:塗膜表面は平滑である。
B:塗膜表面は平滑であるが、骨材がやや分離していた。
C:塗膜表面に、骨材由来の凹凸が認められた。
Figure 2015229682
表6中の記号は以下の通りである。
・BPO−50:過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L)、
・C−02:骨材(菱晃社製、商品名:ドーロガードC−02)、
・KC−1A:骨材(菱晃社製、商品名:KC−1A)、
・KC−1:骨材(菱晃社製、商品名:KC−1)、
・MRT−41:トナー(菱晃社製、商品名:MRT−41)。
表6の結果より、(メタ)アクリル系重合体(X)、ワックスの配合量が異なるシラップ組成物や、骨材の配合量等が異なる場合でも、実施例8〜14の樹脂配合物は、気泡が系外へ抜け易く、硬化後の表面性が良好な硬化塗膜を形成できた。
ただし、ワックスの配合量が多くなると気泡が若干抜けにくい傾向が見られた(実施例14)。また、骨材の配合量が少ないと骨材が分離し易く(実施例12)、逆に骨材が多いと硬化表面に凹凸が生じやすくなるという傾向が見られた(実施例9)。
本発明の樹脂配合物は、シラップ組成物に骨材を混合した時に巻き込まれる空気等の気泡を系外へ排出しやすく、ピンホールの発生を抑制できる。また、本発明の樹脂配合物は、ベースコートとトップコート等の機能を併せ持つ層を形成できる新しい被覆材料として使用できる。本発明の樹脂配合物は、自動車工場、倉庫、食品工場、加工場、部品組立工場など建築物の床や構造物の床面などの土木建築用途に有用である。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)、ワックス、並びに三級アミンを含むシラップ組成物と、有機過酸化物と、骨材とを含有する樹脂配合物であって、
    下記測定方法により測定される表面張力低減率が5〜30%である(メタ)アクリル系重合体(X)をさらに含有する、樹脂配合物。
    (測定方法)
    メタクリル酸メチル60質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル10質量部と、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸n−ブチルの共重合体(メタクリル酸メチル/メタクリル酸n−ブチルで表される質量比が60/40であり、質量平均分子量が42,000であり、ガラス転移温度が65℃である)30質量部と、融点が47℃であるパラフィンワックス0.4質量部と、融点が55℃であるパラフィンワックス0.3質量部と、融点が66℃であるパラフィンワックス0.2質量部と、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン1質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.0026質量部とからなるモデルシラップ組成物(Z)の表面張力(a1)と、前記モデルシラップ組成物(Z)100質量部に(メタ)アクリル系重合体(X)0.4質量部を添加した混合物の表面張力(a2)を測定し、下記式(1)より表面張力低減率を求める。
    表面張力低減率(%)={(a1−a2)/a1}×100 ・・・(1)
  2. 前記ワックスの含有量が、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、並びに(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)の合計100質量部に対し、0.2〜2質量部である、請求項1に記載の樹脂配合物。
  3. 前記(メタ)アクリル系重合体(X)の含有量が、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)、並びに(メタ)アクリロイル基を有する単量体の重合体および/または(メタ)アクリロイル基を有する重合体(B)の合計100質量部に対し、0.05〜3質量部である、請求項1または2に記載の樹脂配合物。
  4. 前記骨材の含有量が、前記シラップ組成物100質量部に対し、50〜400質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂配合物。
  5. 基盤上に請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂配合物を塗布し、該樹脂配合物を硬化させる、積層体の製造方法。
  6. 基盤上に請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂配合物を塗布し、該樹脂配合物を硬化させてなる、積層体。
  7. 基盤上に下塗り材を塗布し、該下塗り材を硬化させた硬化面上に、前記樹脂配合物を塗布する、請求項5に記載の積層体の製造方法。
  8. 基盤上に下塗り材を塗布し、該下塗り材を硬化させた硬化面上に、前記樹脂配合物を硬化させてなる、請求項6に記載の積層体。
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