JP3073775B2 - 水性塗料用低染化剤、低汚染型水性塗料組成物及びその使用方法 - Google Patents

水性塗料用低染化剤、低汚染型水性塗料組成物及びその使用方法

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JP3073775B2 JP11509664A JP50966499A JP3073775B2 JP 3073775 B2 JP3073775 B2 JP 3073775B2 JP 11509664 A JP11509664 A JP 11509664A JP 50966499 A JP50966499 A JP 50966499A JP 3073775 B2 JP3073775 B2 JP 3073775B2
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博義 小野
義文 浅田
久志 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、特に屋外において使用される金属、ガラ
ス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、
押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに
使用される水性塗料用の低汚染化剤に関するものであ
り、さらにはその低汚染化剤を添加した低汚染型水性塗
料組成物に関するものである。本発明の水性塗料用低汚
染化剤を用いた水性塗料組成物は、特に建築物、橋梁等
の構造物の表面塗装に使用される塗料であって、直接基
材に塗装する塗料であってもよく、また各種の仕上げ塗
料、パターン塗料、石材調塗料、模様塗料等の最終仕上
げ塗料としても使用可能である。
背景技術 近年、建築・土木構造物に使用する塗料分野において
は有機溶剤を溶媒とする溶剤型塗料から、水を溶媒とす
る水性塗料への転換が図られつつある。これは、塗装作
業者や居住者の健康被害を低減するためや、大気環境汚
染を低減する目的で行われているものであり、年々水性
化が進んできている。
公知の水性塗料の中には、耐候性、耐水性などに関し
ては溶剤型塗料と同等レベルの性能を有するものもあ
る。しかし、特に汚染性に着目すると、低汚染型と唱わ
れる水性塗料でさえ、溶剤型の低汚染型塗料のレベルに
は遠く及ばないのが現状である。
また、水性塗料による塗膜は一般的に溶剤型の塗料に
よる塗膜に比べて、塗膜硬度が低く、汚染物質が付着し
た時の染み込み性が高い傾向がある。従って、一度汚染
物質が付着すると、塗膜表面からその汚れを除去するこ
とは困難な場合が多い。
このような問題を解決した低汚染型塗料としては、塗
料中に特定のオルガノシリケート及び/又はその縮合物
を配合する技術がWO94/06870に開示されている。より具
体的には、WO94/06870に開示される技術は、特定のオル
ガノシリケート及び/又はその縮合物を配合し、塗膜形
成後にその塗膜を酸処理することによって、塗膜表面を
親水性にし、油性の汚染物質を付着しにくくし、また付
着した汚染物質を降雨等の水滴とともに洗い流してしま
うことを特徴とする。
しかしながら、WO94/06870に開示された技術は、有機
溶剤系の塗料に単にオルガノシリケート及び/又はその
縮合物を添加するものである。これを水性塗料に適用し
て、水性塗料にオルガノシリケート及び/又はその縮合
物を添加して得られた塗料は、水性塗料とオルガノシリ
ケート及び/又はその縮合物との相溶性が悪く、以下に
記載されるような問題を有しており、実用化にはこれら
の問題を解決する必要がある。
1)混合物には添加後短時間(1時間以内)に沈殿物が
生じることが多い。
2)顔料を含まない水性クリヤー塗料においては形成さ
れた塗膜に白濁を生じる。
3)一般にグロスペイントと呼ばれる高光沢の水性塗料
においては、表面光沢が極端に低下する。
これらは、前述の通り水性塗料とオルガノシリケート
及び/又はその縮合物との相溶性が悪いためと考えられ
る。
本発明が解決しようとする課題は、以下の通りであ
る。
a.水性塗料に添加した場合に耐汚染性及び汚染物質の染
み込み防止性を飛躍的に向上できる低汚染化剤を提供す
ること。
b.水性塗料に添加した場合に、耐候性、耐水性に影響を
与えず、光沢にも影響を与えない低汚染化剤を提供する
こと。
c.水性塗料との相溶性に優れた汚染化剤を提供するこ
と。
また本発明は、前記低汚染化剤を添加した低汚染型水
性塗料組成物を提供することを目的とする。
発明の開示 本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検
討を重ねた結果、各種水性塗料に少なくとも1個のポリ
アルキレンオキサイド基を持つようなアルコキシシラン
の変性縮合物を添加することにより、良好な耐汚染性及
び汚染物質の染み込み抵抗性を有し、さらには耐候性、
耐水性に優れる塗膜を形成できることを見いだし本発明
を完成した。
本発明は以下の水性塗料用低汚染化剤及びそれを用い
た水性塗料組成物に関するものである。
請求項1に記載の発明は、少なくとも1個のポリオキ
シアルキレン基及びアルコキシル基を持つアルコキシシ
ランの変性縮合物であって、前記ポリオキシアルキレン
基の繰り返し単位の炭素数が1〜4、前記アルコキシル
基の炭素数が1〜4であることを特徴とする水性塗料用
低汚染化剤に関するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水性塗料
用低汚染化剤であって、ポリオキシアルキレン基は繰り
返し単位の炭素数2のポリオキシエチレン基であり、ア
ルコキシル基は炭素数2のエトキシ基であることを特徴
とするものである。
請求項3に記載の発明は、合成樹脂エマルション
(A)の固形分100重量部に対して、少なくとも1個の
ポリオキシアルキレン基とアルコキシル基を有するアル
コキシシランの変性縮合物であって、前記ポリオキシア
ルキレン基の繰り返し単位の炭素数が1〜4、前記アル
コキシル基の炭素数が1〜4である水性塗料用低汚染化
剤(B)をSiO2換算で1.0〜40.0重量部添加することを
特徴とする低汚染型水性塗料組成物に関するものであ
る。
上述の低汚染型水性塗料組成物においては、水性塗料
用低汚染化剤(B)が、ポリオキシアルキレン基は繰り
返し単位の炭素数2のポリオキシエチレン基であり、ア
ルコキシル基は炭素数2のエトキシ基であることが好ま
しい。
本発明の低汚染型水性塗料組成物において使用する合
成樹脂エマルション(A)は、アクリル樹脂系エマルシ
ョン、アクリルシリコン樹脂系エマルション、フッ素樹
脂系エマルション、ウレタン樹脂系エマルションから選
択されるものであることが好ましく、これらの合成樹脂
エマルションは、架橋反応型エマルションであることが
特に好適である。
請求項10に記載の発明は、合成樹脂エマルション
(A)の固形分100重量部に対して、少なくとも1個の
ポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するア
ルコキシシランの変性縮合物であって、前記ポリオキシ
アルキレン基の繰り返し単位の炭素数は1〜4、前記ア
ルコキシル基の炭素数は1〜4である水性塗料用低汚染
化剤(B)をSiO2換算にて1.0〜40.0重量部を添加して
混合し、塗装することを特徴とする低汚染型水性塗料組
成物の使用方法に関するものである。
低汚染化剤は、水と反応するものであり、余り長期に
わたって水を含む合成樹脂エマルションと接触させてお
くことは避けるべきであり、上記の構成により、流通段
階では2成分以上の多成分タイプの塗料として扱い、使
用時に混合することによって、本発明の低汚染型水性塗
料組成物に本来の特徴を十分発揮させることができる。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明す
る。
(1)水性塗料用低汚染化剤について 本発明の水性塗料用低汚染化剤は、少なくとも1個の
ポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するア
ルコキシシランの変性縮合物であり、前記ポリオキシア
ルキレン基の繰り返し単位の炭素数が1〜4、前記アル
コキシル基の炭素数が1〜4であることを特徴とするも
のである。
本発明の低汚染化剤の製造方法としては、結果的に、
繰り返し単位の炭素数が1〜4のポリオキシアルキレン
基を少なくとも1個有し、炭素数が1〜4のアルコキシ
ル基を持つアルコキシシランの変性縮合物が得られる方
法は特に限定なく使用可能である。低汚染化剤の具体的
な製造方法としは、たとえばアルコキシシランの縮合物
の1種又は2種以上の混合物を、ポリオキシアルキレン
基含有化合物の1種又は2種以上でエステル交換反応さ
せる方法、カップリング剤を用いて付加反応させる方法
等が例示される。
i)エステル交換反応 一般式が、 (R1O)4-aSi(R2 (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2はア
ルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1〜4の
アルコキシル基を示し、aは0〜2の整数を示す)にて
表されるアルコキシシランの縮合物(以下「a成分」と
いう。また、その縮合前の原料を「a成分のモノマー」
という。)を、一般式 R3−(OCnH2n−R4 (式中、R3は水素原子またはアルキル基、エポキシ基、
アシル基を示し、R4は水酸基、アルキル基、アルコキシ
ル基、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基を示し、
nは1〜4の整数、mは1〜20の整数を示す)にて表さ
れるポリオキシアルキレン鎖含有化合物(以下「b成
分」という。)によってエステル交換することにより、
本発明の低汚染化剤が製造される。特に、エステル交換
反応においては、末端に少なくとも1個の水酸基を有す
るb成分を使用する必要がある(尚、後述するカップリ
ング剤による付加反応の場合はこの限りではない。) 具体的には、a成分のモノマーとしては、例えばテト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n
−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、
テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシ
ラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロ
ポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルト
リプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロ
ピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラ
ン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブト
キシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエト
キシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリ
ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメ
チルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ
エチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラ
ン、ジエチルジブトキシシランなどが挙げられる。これ
らの化合物は単独で、もしくは複数の種類を混合して使
用することができる。
a成分のアルコキシシリル基の炭素数は1〜4である
ことが好ましい。炭素数が5を超えるとa成分のモノマ
ーとb成分とのエステル交換反応において高温での加温
が必要となる。ところがa成分の熱安定性が劣るため、
エステル交換反応時に使用不可能なゲルを生じる傾向が
ある。
また、a成分の平均縮合度は1〜20が好ましい。平均
縮合度が20を超えると、取り扱いが不便になるので好ま
しくない。
b成分の具体例として、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレン−プロピレングリコール、ポリ
オキシエチレン−テトラメチレングリコール、ポリオキ
シエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエ
チレンジグリコール酸、ポリオキシエチレングリコール
ビニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアリル
エーテル、ポリオキシエチレングリコールジアリルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ンなどが挙げられる。これらの化合物は、1種もしくは
2種以上の組み合わせから選択することができる。
b成分の平均分子量は150〜2000が好ましい。平均分
子量が150未満の場合は、a成分とのエステル交換反応
によって得られた低汚染化剤を塗料に混合した際の安定
性が劣ってくる傾向にあり、優れた光沢が得られなくな
ってくる。逆に、b成分の平均分子量が2000を超える
と、硬化塗膜の耐水性や硬度が低下する傾向にある。
以上において、a成分のモノマーを縮合させた後にエ
ステル交換反応を行う例を記載したが、a成分のモノマ
ーを予めb成分でエステル交換した後に、縮合させる製
造方法も使用可能である。
エステル交換反応を行う際には、エステル交換触媒
(以下「c成分」という)を添加することができる。
c成分としては、以下の化合物を例示することができ
る。
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジオ
クチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレートなどの有
機錫化合物 リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフ
ェート、モノオクチルホスフェートなどのリン酸または
リン酸エステル類 プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、グリシ
ジルメタクリレート、γ−グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、エピコート828などのエポキシ化合物と
リン酸及び/又は酸性モノリン酸エステルとの付加物 有機チタネート化合物 有機アルミニウム化合物 有機ジルコニウム化合物 マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、これらの酸
無水物、パラトルエンスルフォン酸などの酸性化合物 ヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミンなど
のアミン類 水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物 このようなc成分は、単独であるいは2種類以上を併
用して使用することができる。c成分の使用量は、a成
分100重量部に対して、0.0001〜5重量部が好ましい。
c成分の使用量が0.0001重量部以下では、エステル交換
反応への寄与が小さく、逆に5重量部以上ではa成分自
体の縮合反応が早くなり低汚染化剤の安定性が低下する
ので好ましくない。
ii)カップリング剤による付加反応 本発明における低汚染化剤は、b成分をエステル交換
によりa成分に導入する製造方法以外に、一分子中にa
成分とb成分とを結合する反応性官能基と、1個以上の
アルコキシシリル基を有するカップリング剤(以下「d
成分」という)を使用して付加反応により製造すること
もできる。
d成分における反応性官能基としては、たとえば、ビ
ニル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メ
ルカプト基などが挙げられる。また、該官能基は、アル
コキシシリル基との間にウレタン結合、尿素結合、シロ
キサン結合、アミド結合などを介して結合されたもので
あってもよい。
d成分としては、具体的には、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエ
チル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リエトキシシランなどが例示される。
(2)水性塗料用低汚染化剤の使用方法 本発明の水性塗料用低汚染化剤は、一般的な水性塗料
へ添加して使用する。添加方法としては、直接的に水性
塗料へ添加することも可能であるし、低汚染化剤を混合
可能な溶剤、もしくは架橋剤等に混合した後に水性塗料
へ添加することも可能である。添加量としては、水性塗
料の合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し
て、SiO2換算で1.0〜40.0重量部の添加が望ましい。
ここで、SiO2換算とは、アルコキシシランやシリケー
トなどのSi−O結合をもつ化合物が完全に加水分解した
後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO2)となって残
る重量分にて表したものである。
一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反応
して加水分解反応を起こしてシラノールとなり、さらに
シラノール同士やシラノールとアルコキシル基が縮合反
応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行う
と、シリカ(SiO2)となる。これらの反応は、 RO(Si(OR)2O)−R+(n+1)H2O →nSiO2+(2n+2)R−OH という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシ
リカ成分の量を換算したものである。
実際の計算は、次式により行った。
シリカ残量比率(SiO2換算値)=m×w/100 m:実際のアルコキシシラン変性縮合物又はアルコキシシ
ラン化合物の添加量 w:アルコキシシラン変性縮合物又はアルコキシシラン化
合物のシリカ残量比率(wt%) 本発明の低汚染化剤を、塗料の合成樹脂エマルション
の固形分100重量部に対して、1.0重量部未満加えても、
低汚染化の効果が得られない。更に、40.0重量部以上加
えると、塗料との相溶性が低下してしまう傾向にあり、
光沢の低下が起こるので好ましくない。
本発明の低汚染化剤は、単独で用いてもかまわない
が、先にa成分として示したようなアルコキシシラン化
合物を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することも
できる。
(3)添加する水性塗料について 本発明の水性塗料用低汚染化剤を添加する水性塗料と
しては、合成樹脂エマルションを結合材とし、その他塗
料用の各種添加剤を含有するものである。
合成樹脂エマルションとしては、たとえば、アクリル
樹脂系エマルション、アクリルシリコン樹脂系エマルシ
ョン、フッ素樹脂系エマルション、ウレタン樹脂系エマ
ルションなどが挙げられる。
〔アクリル樹脂系エマルション〕
アクリル樹脂系エマルションとしては、アクリル系単
量体、およびアクリル系単量体と共重合可能な他の単量
体とをラジカル共重合により得られるものが使用でき
る。
アクリル系単量体は、特に限定されないが、以下の単量
体を例示することができる。
メチル(メタ)アクリレート(メチルアクリレート又
はメチルメタアクリレートのいずれかであることを示
す。以下において同じ。)、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのア
ルキル基含有(メタ)アクリル系単量体 2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水
酸基含有(メタ)アクリル系単量体 (メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン
酸 ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基
含有(メタ)アクリル系単量体 (メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルア
ミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系単量体 アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アク
リル系単量体 グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含
有(メタ)アクリル系単量体 これらのアクリル系単量体と共重合可能な他の単量体
としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量
体、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、
シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスル
ホン酸含有ビニル単量体、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸などの酸無水物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ク
ロロプレンなどの塩素含有単量体、ヒドロキシエチルビ
ニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなど
の水酸基含有アルキルビニルエーテル、エチレングリコ
ールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノア
リルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテ
ルなどのアルキレングリコールモノアリルエーテル類、
エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフ
ィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、
ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル、メチルビニル
エーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル、エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテルなど
のアリルエーテル等を例示できる。
合成樹脂エマルション(A)として、アクリル樹脂系
エマルションを用いた場合は、耐久性、光沢の高さ、コ
スト面、樹脂設計の自由度の高さなどが有利である。
〔アクリルシリコン樹脂系エマルション〕
アクリルシリコン樹脂系エマルションとしては、珪素
含有アクリル系単量体、および珪素含有アクリル系単量
体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合により
得られるものが使用できる。
珪素含有アクリル系単量体としては、特に限定されな
いが、たとえば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシ
プロピルメチルジエトキシシランなどの加水分解性シリ
ル基含有ビニル系単量体等を例示できる。
珪素含有アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体
としては、たとえば、前述のアクリル樹脂系エマルショ
ンで使用されるアクリル系単量体やアクリル系単量体と
共重合可能な他の単量体等を、特に限定されず使用でき
る。
合成樹脂エマルション(A)として、アクリルシリコ
ン樹脂系エマルションを用いた場合は、耐候性、耐黄変
性、耐久性、耐薬品性、耐汚染性などが有利である。
〔フッ素樹脂系エマルション〕
フッ素樹脂系エマルションとしては、フッ素含有単量
体、およびフッ素含有単量体と共重合可能な他の単量体
とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
フッ素含有単量体としては、たとえば、フッ化ビニリ
デン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレ
ン、ペンタフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ンなどのフルオロオレフィン;トリフルオロエチル(メ
タ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)ア
クリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アク
リレートなどのフッ素含有(メタ)アクリレート等が例
示される。
フッ素含有単量体と共重合可能な他の単量体として
は、たとえば、前述のアクリル樹脂系エマルションで使
用されるアクリル系単量体やアクリル系単量体と共重合
可能な他の単量体等を、特に限定されず使用できる。
合成樹脂エマルション(A)として、フッ素樹脂系エ
マルションを用いた場合は、耐候性、耐黄変性、耐久
性、耐薬品性、耐汚染性などが有利である。
〔ウレタン樹脂系エマルション〕
ウレタン樹脂系エマルションとは、塗膜形成後の塗膜
中にウレタン結合を持つようになるエマルションを総称
する。即ち、塗膜形成前からウレタン結合を有するもの
でもよいし、塗膜形成後の反応によりウレタン架橋を形
成するものでもよい。エマルションの形態としては、1
液型でもよいし2液型であってもよい。
1液型としては、ウレタン結合を有する重合性単量体
を他の共重合可能な単量体と共重合する方法、ウレタン
結合を有する水性樹脂の存在下に重合性不飽和単量体を
重合する方法、反応基を有する水性ウレタン樹脂と、該
反応基と反応することのできる基を含むエマルションと
を混合する方法等が挙げられる。
2液型としては、水分散性イソシアネートと水酸基含
有エマルションとの組み合わせ等が挙げられる。
合成樹脂エマルション(A)として、ウレタン樹脂系
エマルションを用いた場合は、耐久性、耐溶剤性、耐薬
品性、耐汚染性などが有利である。
〔架橋反応型エマルション〕
合成樹脂エマルションの中で、前記の水酸基とイソシ
アネート化合物による架橋反応以外に、カルボニル基と
ヒドラジド基、カルボン酸と金属イオン、エポキシ基と
アミン、エポキシ基とカルボキシル基、カルボン酸とア
ジリジン、カルボン酸とカルボジイミド、カルボン酸と
オキサゾリン、アセトアセテートとケチミンなどを利用
した架橋反応を形成するエマルションを使用することも
可能である。架橋反応型エマルションは、1液タイプで
あっても、2成分以上の多成分タイプであってもよい。
合成樹脂エマルション(A)として、架橋反応型エマ
ルションを用いた場合は、耐久性、耐溶剤性、耐薬品
性、耐汚染性などが有利である。
合成樹脂エマルション(A)の製造方法はとくに限定
されないが、たとえば乳化重合法として、バッチ重合、
モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合などの方法に
より製造することができる。
重合に用いる乳化剤は一般に使用されるものであれば
特に限定はされず、アニオン性、カチオン性、ノニオン
性、両性、ノニオン−カチオン性、ノニオン−アニオン
性のものを単独あるいは併用して使用することができ
る。また、耐水性の向上を目的として反応性基をもった
乳化剤も使用することができる。
重合開始剤としては、合成エマルションの製造におい
て使用される公知のラジカル開始剤を限定なく使用する
ことができ、過硫酸アンモニウム塩などの過硫酸塩、過
酸化水素と亜硫酸水素ナトリウムなどとの組み合わせか
らなるレドックス開始剤、さらに第一鉄塩、硝酸銀など
の無機系開始剤を混合させた系、または、ジコハク酸パ
ーオキシド、ジグルタール酸パーオキシドなどの二塩基
酸過酸化物、アゾビスブチロニトリルなどの有機系開始
剤などが挙げられる。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して0.0
1〜5重量部程度が使用できる。その他、乳化物のpH調
整のため炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、チオ硫酸ナト
リウムなどの無機塩およびトリエチルアミン、トリエタ
ノールアミンなどの有機塩基類を添加することができ
る。
本発明の低汚染化剤を添加する水性塗料には、硬化触
媒を添加するのが好ましい。硬化触媒の添加量は、水性
塗料100重量部に対して、硬化触媒0.1〜10重量部が好適
である。添加量が0.1重量部以下では、反応速度が遅く
なるので、結果として硬化塗膜の低汚染性の効果が低下
する傾向にある。また、10重量部以上では塗膜の外観と
耐久性が低下する傾向にある。
このような硬化触媒としては、たとえば、ジブチル錫
ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ジラ
ウレート、ジオクチル錫マレートなどの有機錫化合物;
リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホフェー
ト、モノオクチルホスフェートなどのリン酸またはリン
酸エステル類;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサ
イド、グリシジルメタクリレート、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、エピコート828などのエポ
キシ化合物とリン酸および/または酸性モノリン酸エス
テルとの付加物;有機チタネート化合物;有機アルミニ
ウム化合物;有機ジルコニウム化合物;マレイン酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、これらの酸無水物、パラトル
エンスルフォン酸などの酸性化合物;ヘキシルアミン、
N,N−ジメチルドデシルアミンなどのアミン類;水酸化
ナトリウムなどのアルカリ性化合物などが例示できる。
これらの硬化触媒は、単独あるいは2種類以上併用して
使用することができる。
これらの硬化触媒は、界面活性剤を用いて乳化分散後
添加することもできる。使用する界面活性剤は特に限定
されないが、ノニオン性、アニオン性、ノニオン−アニ
オン性のものが好適に使用できる。
本発明の低汚染化剤を添加する水性塗料には、必要に
応じて通常塗料に用いられる造膜助剤、無機系着色顔
料、有機系着色顔料、体質顔料などが配合可能である。
また、本発明に影響しない程度の可塑剤、防腐剤、防黴
剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、
たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など
の添加剤を単独あるいは併用して配合することができ
る。
(4)水性塗料組成物の使用について 本発明の低汚染化剤を添加した水性塗料組成物は、金
属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディング
ボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面
仕上げに使用することができ、主に建築物、土木構築物
等の躯体の保護に使用するものである。この際、本発明
の低汚染化剤を添加した水性塗料組成物は、最終の仕上
面に施されているものであり、基材に直接塗装すること
もできるし、何らかの表面処理(下地処理等)を施した
上に塗装することも可能であるが、特に限定されるもの
ではない。塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗
装、ローラー塗装、ロールコーター、フローコーター等
種々の方法により塗装することができる。さらには、建
材表面に工場等においてプレコートすることも可能であ
る。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより
明確にする。
(1)低汚染化剤の製造 (合成例1)アルコキシシラン変性縮合物E合成例 テトラエトキシシランの縮合物である平均分子量750
のエチルシリケート縮合物P(平均分子量750、シリカ
残量比率40重量%)100.0重量部と平均分子量200のポリ
オキシエチレングリコール(PEG)#200(和光純薬株式
会社製)106.7重量部を混合し、さらに触媒としてジブ
チル錫ジラウレート0.02重量部を添加後、75℃で8時間
脱エタノール反応を行い、アルコキシシラン変性縮合物
Eを合成した。
このアルコキシシラン変性縮合物Eの900℃にて焼成
して得られたシリカ残量比率は20.9wt%であった。
(合成例2)アルコキシシラン変性縮合物F合成例 エチルシリケート縮合物Pを100重量部、平均分子量4
00のポリオキシエチレングリコールモノセチルエーテル
(東京化成株式会社製)81.7重量部を混合し、触媒とし
てジブチル錫ジラウレート0.02重量部を添加して、合成
例1と同様にしてアルコキシシラン変性縮合物Fを合成
した。
このアルコキシシラン変性縮合物Fのシリカ残量比率
は22.2重量%であった。
(合成例3)アルコキシシラン変性縮合物G合成例 平均分子量900のエチルシリケート縮合物Q(平均分
子量900、シリカ残量比率45重量%)100重量部と、平均
分子量1000のポリオキシエチレンラウリルエーテル(花
王株式会社製)385.4重量部を混合し、更に触媒として
ジブチル錫ジラウレート0.02重量部を添加して、合成例
1と同様にしてアルコキシシラン変性縮合物Gを合成し
た。
このアルコキシシラン変性縮合物Gのシリカ残量比率
は11.7重量%であった。
以上の結果を表1にまとめて示した。
(2)低汚染化剤の合成樹脂エマルションへの添加 (i)塗料の調製 (実施例1〜5) 表2に示すような原料を使用して塗料を調製した。塗
料の配合は、表3に示した。
即ち、実施例1では、具体的にはフルオロオレフィン
−ビニルエーテル共重合体エマルション200重量部、ア
ルコキシシラン変性縮合物Eを13.9重量部(SiO2換算に
て樹脂固形分に対して約5.0重量部となるように配
合)、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタ
ンジオールモノイソブチレート(商品名:テキサノー
ル)17.8重量部を添加し、十分に撹拌した後、ジブチル
錫ジラウレート1.0重量部を添加して更に攪拌を行いク
リヤー塗料が作製された。
実施例2〜5についても、実施例1と同様な手順でク
リヤー塗料が作成された。
(比較例1〜3) 比較例1〜3の塗料の配合は表4に示されている。比
較例1〜3のクリヤー塗料は実施例1と同じ方法により
作製された。
(実施例6〜10) 表2に示すような原料を使用して、表3の配合に従い
塗料を作製し下記のような評価を行った。即ち、実施例
6においては、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共
重合体エマルション200重量部、酸化チタン(ルチル
型)75重量部、アルコキシシラン変性縮合物Aを13.9重
量部(SiO2換算にて樹脂固形分に対して約5.0重量部と
なるように配合)、テキサノールを17.8重量部混合し、
十分に撹拌した後、ジブチル錫ジラウレート1.0重量部
を添加し十分に攪拌して、塗料組成物が作製され、以下
の評価に供された。
実施例7〜10についても、実施例6と同様に作製され
た。
(比較例4〜6) 比較例4〜6の塗料の配合は表4に示されている。比
較例4〜6の塗料は実施例6と同じ方法により作製され
た。
(ii)評価とその結果 上記の記載にしたがって作製された塗料は、実施例1
〜5、比較例1〜3についてはクリヤー塗料の状態で相
溶性の評価を行った。実施例6〜10、比較例4〜6の塗
料は、白色塗料であり、塗膜の光沢、塗料の安定性、雨
筋汚染性、汚れの染み込み抵抗性の評価を行った。
1. 相溶性評価 実施例1〜5、比較例1〜3の塗料はクリヤー塗料で
あり、このクリヤー塗料は、150×120×3mmの透明なガ
ラス板に乾燥膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装さ
れ、気温20℃、湿度65%(以下、「標準状態」という)
で24時間乾燥養生された後、フィルムの透明性が目視に
て評価された。
評価は、以下のように表示し、結果は、表5に示し
た。
○:完全に透明な状態 ×:白濁して不透明な状態 <結果> 表5の結果から、実施例1〜5については、いずれも
透明な塗膜が得られ、アルコキシシラン変性縮合物Eと
樹脂の相溶性が優れていることが明らかとなった。
一方、比較例については、ポリオキシアルキレン化合
物による変性を行っていない市販のアルコキシシランを
配合したクリヤー塗料については、樹脂との不相溶に起
因する塗膜の白濁の発生が認められた。
2. 60度鏡面光沢度測定 実施例6〜10、比較例4〜6の塗料組成物を150×120
×3mmの透明なガラス板にWET膜厚が125μmとなるよう
にアプリケーターにてアプライした。標準状態で7日間
乾燥養生した後、JIS K5400(1990)7.6鏡面光沢度に準
じ、60度の角度での光沢値を測定した。また、比較用ブ
ランクとして実施例6の配合からアルコキシシラン変性
縮合物Eを除いた配合にて塗料組成物を作成し、同様の
試験を行った。結果は表6に示した。
3. 塗料安定性 実施例6〜10、比較例4〜6について、作製した塗料
組成物を100g秤量し、標準状態で1時間放置後の沈降物
の有無を確認した。評価は以下のように表示し、結果を
表6に示した。
○:沈降物なし ×:沈降物あり 4. 雨筋汚染性評価 300×150×3.0mmのアルミニウム板を上方から3分の
1の長さのところで、内角度が135度になるように折り
曲げたもの(以下、「曝露用板」という)に、SK#1000
プライマー(エポキシ樹脂系プライマー;エスケー化研
株式会社製)を、乾燥膜厚が約30μmとなるようにスプ
レー塗装し、標準状態で8時間乾燥させた。(暴露用板
は凸面を表面とする) 次に、作製した実施例6〜10、比較例4〜6の塗料組
成物を、前述のプライマーを塗装した暴露用板に乾燥膜
厚が約40μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で
7日間乾燥し試験体とした。
作製した試験体を、大阪府茨木市において、南面に向
けて面積が広い面を垂直にし、さらに面積の狭い面が上
部になるように設置して、屋外暴露を実施し、6ヶ月後
の雨筋汚れの有無を目視にて評価した。
評価は以下のように表示し、結果を表6に示した。
○:垂直面に雨筋汚染なし ×:垂直面に雨筋汚染が見られる 5. 汚れの染み込み抵抗性 150×75×0.8mmのアルミ板に、SK#1000プライマーを
乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態
で8時間乾燥を行った。
次に、作製した実施例6〜10、比較例4〜6の塗料組
成物を乾燥膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装し試
験体を作製した。作製した試験体を、標準状態で7日間
乾燥養生した後、JIS K5400(1990)8.10耐汚染性試験
に準じ、塗膜面に15重量%カーボンブラック水分散ペー
スト液を、直径20mm、高さ5mmとなるように滴下し、50
℃の恒温室中に2時間放置した。その後流水中にて洗浄
し、塗膜表面の汚染の程度を目視により評価した。
評価は以下の通り。なお、結果は表6に示す。
○:痕跡なし ×:痕跡有り <結果> 表6に記載の通り、実施例6〜10の塗料組成物につい
ては高い光沢値が得られ、また塗料放置による沈降物の
発生も認められず、安定性も良好であった。また、雨筋
汚染性試験と汚れの染み込み抵抗性試験から、汚染物質
の付着あるいは塗膜内への染み込みもまったく認められ
ず、優れた耐汚染性を有している。
これに対して、市販のアルコキシシランを使用した比
較例5では、著しく光沢値が低下してており、さらに塗
料放置後、下部に沈降物が生じていた。樹脂とアルコキ
シシランの相溶性が悪く、分離による結果であることが
分かる。比較例4は通常の水系フッ素樹脂塗料の配合、
比較例6はウレタン樹脂塗料の配合であるが、雨筋汚染
が発生し、汚れの染み込みも著しく生じていた。
以上の結果から、通常のアルコキシシランは水中では
安定性が悪く、合成樹脂エマルションとの相溶性も劣る
ため、クリヤー塗膜での白濁、光沢の低下が生じること
がわかった。一方、本発明の低汚染化剤は、樹脂との相
溶性が良好となり、高い光沢値が得られる。さらに、水
中での分散性が向上するため表面への配向性に優れ、親
水性の塗膜表面が形成され、優れた非汚染性を有するこ
とがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 久志 大阪府茨木市清水1丁目25番10号 エス ケー化研株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 平9−31401(JP,A) 特開 平9−137119(JP,A) 特開 平9−206667(JP,A) 特開 平10−168382(JP,A) 特開 平11−148044(JP,A) 特開 昭60−49062(JP,A) 特開 平2−225585(JP,A) 特開 平6−322294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 201/00 C09D 5/00 C09D 5/14 C09D 7/12 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1個のポリオキシアルキレン基
    及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮
    合物であり、前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単
    位の炭素数が1〜4、前記アルコキシル基の炭素数が1
    〜4であることを特徴とする水性塗料用低汚染化剤。
  2. 【請求項2】前記ポリオキシアルキル基の繰り返し単位
    の炭素数が2のポリオキシエチレン基であり、前記アル
    コキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特徴
    とする請求項1に記載の水性塗料用低汚染化剤。
  3. 【請求項3】合成樹脂エマルション(A)の固形分100
    重量部に対して、 少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキ
    シル基を有するアルコキシシランの変性縮合物であっ
    て、前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素
    数は1〜4、前記アルコキシル基の炭素数は1〜4であ
    る水性塗料用低汚染化剤(B)がSiO2換算にて1.0〜40.
    0重量部添加されたものであることを特徴とする低汚染
    型水性塗料組成物。
  4. 【請求項4】前記水性塗料用低汚染化剤(B)は、前記
    ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数が2の
    ポリオキシエチレン基であり、前記アルコキシル基の炭
    素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項3
    に記載の低汚染型水性塗料組成物。
  5. 【請求項5】合成樹脂エマルション(A)が、アクリル
    樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3ま
    たは請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。
  6. 【請求項6】合成樹脂エマルション(A)が、アクリル
    シリコン樹脂系エマルションであることを特徴とする請
    求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成
    物。
  7. 【請求項7】合成樹脂エマルション(A)が、フッ素樹
    脂系エマルションであることを特徴とする請求項3また
    は請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。
  8. 【請求項8】合成樹脂エマルション(A)が、ウレタン
    樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3ま
    たは請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。
  9. 【請求項9】合成樹脂エマルション(A)が、架橋反応
    型エマルションであることを特徴とする請求項5〜8の
    いずれかに記載の低汚染型水性塗料組成物。
  10. 【請求項10】合成樹脂エマルション(A)の固形分10
    0重量部に対して、 少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキ
    シル基を有するアルコキシシランの変性縮合物であっ
    て、前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素
    数は1〜4、前記アルコキシル基の炭素数は1〜4であ
    る水性塗料用低汚染化剤(B)をSiO2換算にて1.0〜40.
    0重量部を添加して混合し、塗装することを特徴とする
    低汚染型水性塗料組成物の使用方法。
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