JP2005113028A - コーティング組成物および構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材と光触媒層である上塗り層との密着性を高め、基材の耐候性、密着性に優れ、さらに上塗り層における光触媒能を損なうことなく、長期耐久性を有する、光触媒含有塗膜の下塗り用として有用なコーティング組成物を提供する。
【解決手段】(a)(R1 n Si(OR2 4-n (式中、R1 は2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれた少なくとも1種を完全加水分解縮合物換算で、3〜45重量%、(b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含有する重合体を固形分換算で5〜35重量%、ならびに(c)無機充填剤を固形分換算で50〜90重量%[ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%]を含有するコーティング組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング組成物に関し、さらに詳細には、光触媒による基材の劣化を防止でき、高硬度で、耐候性、長期耐久密着性に優れた塗膜が得られる、光触媒含有塗膜の下塗り用に好適なコーティング組成物に関する。
近年、耐候性、耐汚染性、耐薬品性に優れ、しかも硬度の高い塗膜を形成させることのできるコーティング組成物が求められており、さらに今後は汎用性の高いものが求められる。これまでには、シリル基含有ビニル系樹脂とオルガノシラン化合物からなる組成物として、特許文献1(特開平01−69673号公報)や特許文献2(特開平01−69674号公報)があるが、いずれも、基材が限定されている。また、特許文献3(特開平04−108172号公報)や特許文献4(特開平04−117473号公報)などがあるが、いずれも、対象基材は広いが、具体的に塗装仕様については述べられていない。
一方、オルガノシラン系コーティング材は、耐候(光)性、耐汚染性などに優れたメンテナンスフリーのコーティング材として技術開発が進められている。このようなオルガノシラン系コーティング材に対する要求性能はますます厳しくなっており、近年では、塗膜外観、密着性、耐候性、耐熱性、耐アルカリ性、耐有機薬品性、耐湿性、耐(温)水性、耐絶縁性、耐摩耗性、耐汚染性などに優れ、硬度の高い塗膜を形成することのできるコーティング材が求められている。
特に、耐汚染性を改善するためには、塗膜表面を親水性化するとよいことが認められており、例えば、親水性物質や水溶性物質を添加する方法が提案されている。しかし、このような方法では、親水性物質や水溶性物質が次第に光により劣化したり、水により洗い流されたりして、塗膜表面の親水性を充分なレベルに長期にわたり持続することが困難である。
また近年、光触媒成分を配合したコーティング組成物が数多く提案されており、その例として、チタン酸化物、加水分解性ケイ素化合物(アルキルシリケートまたはハロゲン化ケイ素)の加水分解物、および溶媒(水またはアルコール)からなる光触媒用酸化チタン塗膜形成性組成物(特許文献5:特開平8−164334号公報)、少なくとも2個のアルコキシ基を有するケイ素化合物、少なくとも2個のアルコキシ基を有するチタン化合物またはジルコニウム化合物、およびグアニジル基を有するアルコキシシランおよび/またはポリシロキサンで処理された酸化チタンなどの親水性無機粉末からなる、抗菌・防カビ性を付与するための表面処理組成物(特許文献6:特開平8−176527号公報)のほか、テトラアルコキシシラン20〜200重量部、トリアルコキシシラン100重量部およびジアルコキシシラン0〜60重量部を原料とし、該原料から調製されるポリスチレン換算重量平均分子量が900以上の無機塗料と光触媒機能を有する粉末との混合液から得られる塗膜を酸またはアルカリで処理する無機塗膜の形成方法(特許文献7:特開平8−259891号公報)などが知られている。
しかしながら、これらの塗膜形成用の組成物や混合液は、本質的に光触媒成分あるいはグアニジル基を有するアルコキシシランおよび/またはポリシロキサン成分に基づく抗菌・防カビ、脱臭や有害物質の分解を意図したものであり、これらの作用に加えて、オルガノシラン系コーティング材に求められる硬度、密着性、耐アルカリ性、耐有機薬品性、耐候性、耐汚染性などを含めた塗膜性能が総合的に検討されてはいない。
一方、オルガノシラン系コーティング材に対する要求性能をある程度満たすコーティング用組成物として、オルガノシランの部分縮合物、コロイダルシリカの分散液およびシリコーン変性アクリル樹脂を配合した組成物(特許文献8:特開昭60−135465号公報)、オルガノシランの縮合物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物および加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂を配合した組成物(特許文献9:特開昭64−1769号公報)、オルガノシランの縮合物、コロイド状アルミナおよび加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂を配成した組成物(特許文献10:米国特許第4,904,721号明細書)などが提案されている。
しかしながら、上記特許文献8(特開昭60−135465号公報)および特許文献10(米国特許第4,904,721号明細書)に記載されている組成物から得られる塗膜は、長時間の紫外線照射により光沢が低下するという欠点がある。また、上記特許文献9(特開昭64−1769号公報)に記載されている組成物は、保存安定性が充分ではなく、固形分濃度を高くすると、短期間でゲル化し易いという問題を有している。
さらに、本願特許出願人は、既にオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、加水分解性および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有するビニル系樹脂、金属キレート化合物ならびにβ-ジケトン類および/またはβ-ケトエステル類を含有するコーティング組成物(特許文献11:特開平5−345877号公報)を提案しており、該組成物は、オルガノシラン系コーティング材に求められている上記塗膜性能のバランスに優れているが、これらの性能についても、さらなる改善が求められている。
ところで、上記のような光触媒成分を含有するコーティング組成物を基材に直接塗布すると、基板がプラスチックなどの有機物の場合には、光触媒の酸化作用によって、基材自体が劣化しやすく、基材の耐候性、耐久密着性に劣るという問題がある。また、基材がガラスや金属などの無機物の場合には、金属イオンの移行による光触媒能の低下が起こったり、密着性に劣るなどの問題がある。さらに、基材にあらかじめ下塗りを施す場合でも、上塗り層(光触媒層)と基板との密着性が不充分な場合がある。
また、光触媒専用の下塗り用コーティング組成物として、特許文献12(特許第3038599号)があるが、特に柔軟性の要求される有機基材に適用する場合、光触媒含有塗膜に対する耐ラジカル劣化性、および有機基材に対する長期密着性のバランスが取れない場合がある。
特開平01−69673号公報 特開平01−69674号公報 特開平04−108172号公報 特開平04−117473号公報 特開平8−164334号公報 特開平8−176527号公報 特開平8−259891号公報 特開昭60−135465号公報 特開昭64−1769号公報 米国特許第4,904,721号明細書 特開平5−345877号公報 特許第3038599号公報
本発明は、一般にラジカル耐性、耐候性、耐熱性などの化学的抵抗性に優れる無機充填材剤の配合量を上げることにより(組成物中に50〜90重量%)、有機基材に対する密着性とラジカル劣化耐性を両立し、よって有機基材に対する密着性に優れ、かつ光触媒由来のラジカル耐性に優れ、ラジカル劣化しやすい有機基材と光触媒層である上塗り層との密着性を高め、さらに上塗り層における光触媒能を損なうことなく、長期耐久性を有する、光触媒含有塗膜の下塗り用として有用なコーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(a)下記一般式(1)
(R1 n Si(OR2 4-n ・・・・・(1)
(式中、R1 は2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれた少なくとも1種(以下「(a)成分」ともいう)を完全加水分解縮合物換算で3〜45重量%、
(b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含有する重合体(以下「(b)成分」あるいは「(b)シリル基含有重合体」ともいう)を固形分換算で5〜35重量%、ならびに
(c)無機充填剤を固形分換算で50〜90重量%[ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%]
を含有するコーティング組成物(以下「組成物(I)」ともいう)に関する。
ここで、(b)成分中のケイ素含有量は、0.1〜2重量%が好ましい。
また、(c)成分中には、コロイド状シリカおよび/または紫外線吸収粒子を含有することが好ましい。
さらに、(c)成分の配合量は、固形分換算で70〜90重量%であることが好ましい。
本発明のコーティング組成物は、光触媒含有塗膜の下塗り層形成に好適に用いられる。
次に、本発明は、基材上に上記コーティング組成物から得られる塗膜を設け、その上に、光触媒を含む塗膜を形成した構造体に関する。
本発明のコーティング組成物は、光触媒による基材の劣化を防止でき、耐候性に優れるとともに、基材および光触媒層との密着性に優れた硬化体を得ることができる。
本発明のコーティング組成物は、高硬度で、耐候性、耐酸化性に優れ、有機成分を含有するバインダー成分が有機基材に対する密着性を確保し、無機粒子を多く含有することで上塗り層(光触媒含有塗膜)から発生するラジカルに対する耐性を高めることによって、上塗り層(光触媒含有塗膜)と基板との密着性を高め、長期耐久性に優れるという効果が得られるため、光触媒含有塗膜の下塗り用コーティング組成物として有用である。
本発明のコーティング組成物は、基材に対し、この組成物を複数回塗装してもよいし、本発明のコーティング組成物と基材との間に他の下塗り用コーティング組成物を塗装するなどして用いてもよい。
以下、本発明のコーティング組成物について説明し、次いで、光触媒含有塗膜などについても説明する。
本発明のコーティング組成物
本発明のコーティング組成物は、上記(a)成分、(b)成分および(c)成分を主成分とする。
(a)成分;
(a)成分は、後述する(b)成分、(c)成分の架橋成分であり、結着剤として作用するものである。上記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」という)、オルガノシラン(1)の加水分解物、およびオルガノシラン(1)の縮合物から選択された少なくとも1種である。すなわち、(a)成分は、これら3種のうちの1種だけでもよいし、任意の2種の混合物であってもよいし、3種類すべてを含んだ混合物であってもよい。ここで、上記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に2〜4個含まれるOR2 基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。また、上記オルガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシラン(1)の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
一般式(1)において、R1 の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
1 の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。一般式(1)中に、R1 が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2 は、相互に同一でも異なってもよい。
このようなオルガノシラン(1)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましく、また、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
本発明において、オルガノシラン(1)としては、特に、トリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。ジアルコキシシランをトリアルコキシシランと併用することにより、得られる塗膜を柔軟化し、耐アルカリ性を向上させることができる。
オルガノシラン(1)は、そのまま、あるいは加水分解物および/または縮合物として使用される。オルガノシラン(1)を加水分解物および/または縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮合させて(a)成分として使用することもできるが、後述するように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して組成物を調製する際に、適量の水〔後記(d)成分など〕を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させて、(a)成分とすることが好ましい。
(a)成分が縮合物として使用されるとき、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは、800〜100,000、さらに好ましくは、1,000〜50,000である。
また、(a)成分の加水分解・縮合物の市販品には、三菱化学(株)製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア(株)製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。
本発明において、(a)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のコーティング組成物における(a)成分の配合量は、(a)〜(c)成分中に、完全加水分解縮合物換算で、3〜45重量%、好ましくは3〜30重量%である。3重量%未満では、結着剤としての働きが不十分であるため塗膜が脆くなる場合があり、一方、45重量%を超えると、有機基材との密着性が低下する場合がある。
ここで、完全加水分解縮合物とは、オルガノシランのR2O−基が100%加水分解してSiOH基となり、さらに完全に縮合してシロキサンになったものをいう。
(b)シリル基含有重合体;
(b)成分は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基(以下「特定シリル基」という)を、好ましくは重合体分子鎖の末端および/または側鎖に有する重合体からなる。
本発明のコーティング組成物において、(b)成分は、塗膜を硬化させる際に、そのシリル基中の加水分解性基および/または水酸基が上記(a)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたらす成分である。
(b)成分における特定シリル基の含有量は、ケイ素原子の量に換算して、特定シリル基の導入前の重合体に対して、通常、0.1〜2重量%、好ましくは0.3〜1.7重量%である。(b)成分におけるケイ素含有量が0.1重量%未満の場合は、(a)成分との共有結合部位が少なくなるため、製膜時に層分離が発生する場合がある。一方、2重量%を超えると、組成物保管時にゲル化を引き起こす場合がある。
なお、好ましい特定シリル基は、下記一般式(2)で表される基である。
(R33-i
│ …………(2)
−Si−Xi
(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシル基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基を示し、R3 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラルキル基を示し、iは1〜3の整数である。)
(b)成分は、例えば、下記(イ)や(ロ)の方法により、製造することができる。
(イ)上記一般式(2)に対応するヒドロシラン化合物(以下「ヒドロシラン化合物(イ)」という)を、炭素−炭素二重結合を有するビニル系重合体(以下「不飽和ビニル系重合体」という)中の該炭素−炭素二重結合に付加反応させる方法。
(ロ)下記一般式(3)
(R33-i
│ …………(3)
4−Si−Xi
〔式中、X、R3 、iは一般式(2)におけるそれぞれX、R3 、iと同義であり、R4 は重合性二重結合を有する有機基を示す〕で表されるシラン化合物(以下「不飽和シラン化合物(ロ)」という)と、他のビニル系単量体とを共重合する方法。
上記(イ)の方法に使用されるヒドロシラン化合物(イ)としては、例えば、メチルジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどのハロゲン化シラン類;メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン、ジメチル・アミノキシシランなどのアミノキシシラン類などを挙げることができる。これらのヒドロシラン化合物(イ)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上記(イ)の方法に使用される不飽和ビニル系重合体は、水酸基を有する重合体以外であれば特に限定されず、例えば、下記(イ−1)や(イ−2)の方法あるいはこれらの組み合わせなどによって製造することができる。
(イ−1)官能基(以下「官能基(α)」という)を有するビニル系単量体を(共)重合したのち、該(共)重合体中の官能基(α)に、該官能基(α)と反応しうる官能基(以下「官能基(β)」という)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の側鎖に炭素−炭素二重結合を有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法。
(イ−2)官能基(α)を有するラジカル重合開始剤(例えば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸など)を使用し、あるいは、ラジカル重合開始剤と連鎖移動剤の双方に官能基(α)を有する化合物(例えば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸とジチオグリコール酸など)を使用して、ビニル系単量体を(共)重合して、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端にラジカル重合開始剤や連鎖移動剤に由来する官能基(α)を有する(共)重合体を合成したのち、該(共)重合体中の官能基(α)に、官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法。
(イ−1)および(イ−2)の方法における官能基(α)と官能基(β)との反応の例としては、カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応、カルボン酸無水物基と水酸基との開環エステル化反応、カルボキシル基とエポキシ基との開環エステル化反応、カルボキシル基とアミノ基とのアミド化反応、カルボン酸無水物基とアミノ基との開環アミド化反応、エポキシ基とアミノ基との開環付加反応、水酸基とイソシアネート基とのウレタン化反応や、これらの反応の組み合わせなどを挙げることができる。
官能基(α)を有するビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニル系単量体;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2'−フェニル−2'−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2'−ヒドロキシ−2'−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミドなどのアミンイミド基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニル系単量体などを挙げることができる。
これらの官能基(α)を有するビニル系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
官能基(α)を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、
(イ)スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
(ロ)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;
(ハ)ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量体;
(ニ)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸アミド化合物;
(ホ)塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステルなどのビニル化合物;
(ヘ)1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、イソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などの置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの脂肪族共役ジエン;
(ト)アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;
(チ)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;
(リ)4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマー;
そのほかジカプロラクトンなどが挙げられる。
これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物としては、例えば、官能基(α)を有するビニル系単量体と同様のビニル系単量体や、上記水酸基含有ビニル系単量体とジイソシアネート化合物とを等モルで反応させることにより得られるイソシアネート基含有不飽和化合物などを挙げることができる。
また、上記(ロ)の方法に使用される不飽和シラン化合物(ロ)の具体例としては、
CH2 =CHSi(CH3)(OCH3)2 、CH2 =CHSi(OCH3)3
CH3 =CHSi(CH3)Cl2 、CH2 =CHSiCl3
CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(CH3)(OCH3)2
CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(OCH3)3
CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2
CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(OCH3)3
CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(CH3)Cl2
CH2 =CHCOO(CH2)2 SiCl3 、CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(CH3)Cl2
CH2 =CHCOO(CH2)3 SiCl3
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(CH3)(OCH3)2
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(OCH3)3
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(OCH3)3
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(CH3)Cl2
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 SiCl3
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(CH3)Cl2
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 SiCl3
Figure 2005113028
Figure 2005113028
Figure 2005113028
Figure 2005113028
などを挙げることができる。
これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
また、不飽和シラン化合物(ロ)と共重合させる他のビニル系単量体としては、例えば、上記(イ−1)の方法について例示した官能基(α)を有するビニル系単量体や他のビニル系単量体などの1種以上を挙げることができる。
上記(b)成分を製造する際の重合方法としては、例えば、一括して単量体を添加して重合する方法、単量体の一部を重合したのち、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、もしくは、単量体を重合の始めから連続的に添加する方法などが挙げられる。
また、これらの重合方法を組み合わせた重合方法を採用することもできる。
好ましい重合方法としては、溶液重合が挙げられる。溶液重合に使用される溶媒は、通常のものを使用できるが、そのうち、ケトン類、アルコール類が好ましい。この重合において、重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤、無機電解質は、公知のものを使用することができる。
また、(b)成分の他の例としては、特定シリル基含有エポキシ樹脂、特定シリル基含有ポリエステル樹脂、特定シリル基含有フッ素樹脂などを挙げることができる。
上記特定シリル基含有エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエステルなどのエポキシ樹脂中のエポキシ基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、ビニルシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
また、上記特定シリル基含有ポリエステル樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂中に含有されるカルボキシル基や水酸基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
さらに、上記特定シリル基含有フッ素樹脂は、例えば、フッ化エチレンなどの(共)重合体中に含有されるカルボキシル基や水酸基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
(b)成分のポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは3,000〜50,000である。
本発明のコーティング組成物における(b)成分の配合量は、(a)〜(c)成分中に、5〜35重量%、好ましくは5〜25重量%である。5重量%未満では、(b)シリル基含有重合体中を構成する有機成分の全組成物中における絶対量が少なくなりすぎて、有機基材との密着性に劣ったり、得られる塗膜自体が耐アルカリ性に劣るものとなる場合がある。一方、35重量%を超えると、組成物中における(b)成分を構成する有機成分の割合が増えて、例えば、上塗り層に含まれる光触媒から発生するラジカルによって該有機成分が劣化し、光触媒含有塗膜との長期密着性が低下する。
本発明において、(b)成分は、単独でまたは上記のようにして得られた2種以上を混合して使用することができる。
なお、本発明のコーティング組成物は、上記(b)成分を、後記(d)水および/または有機溶媒(以下「(d)成分」ともいう)の存在下で、(a)成分と共縮合させることが好ましい。
(c)無機充填剤;
(c)無機充填剤としては、無機化合物の、粉体および/またはゾルもしくはコロイドが挙げられ、塗膜の所望の特性に応じて配合される。(c)成分がゾルもしくはコロイド状の場合には、その平均粒径は、通常、0.005〜100μm程度である。
(c)成分をなす化合物の具体例としては、SiO2 、Al2 3 、AlGaAs、Al(OH)3 、Sb2 5 、Si3 4 、Sn−In2 3 、Sb−In2 3 、MgF、CeF3 、CeO2 、ZnO2、3Al2 3 ・2SiO2 、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeOx 、CrO2 、Fe4 N、BaTiO3 、BaO−Al2 3 −SiO2 、Baフェライト、SmCO5 、YCO5、CeCO5 、PrCO5 、Sm2 CO17、Nd2 Fe14B、Al4 3 、α−Si、SiN4 、CoO、Sb−SnO2 、Sb2 5 、MnO2 、MnB、Co3 4 、Co3 B、LiTaO3 、MgO、MgAl2 4 、BeAl2 4、ZrSiO4 、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi2 、CrSi2 、CoSi2 、MnSi1.73、Mg2 Si、β−B、BaC、BP、TiB2 、ZrB2 、HfB2 、Ru2 Si3 、TiO2 (ルチル型)、TiO3 、PbTiO3 、Al2 TiO5 、Zn2 SiO4 、Zr2 SiO4 、2MgO2 −Al2 3 −5SiO2 、Nb2 5 、Li2 O−Al2 3 −4SiO2 、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。
これら(c)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(c)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
これらの(c)成分の平均粒子径は、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。
(c)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
本発明の(c)成分としては、特に好ましくはコロイド状シリカ、および/または紫外線吸収粒子である。コロイド状シリカとしては、メタノール分散コロイダルシリカやイソプロパノール分散コロイダルシリカなどの有機溶剤系コロイダルシリカが挙げられる。
また、紫外線吸収粒子としては、酸化セリウムや酸化亜鉛、およびルチル型の酸化チタンが挙げられる。(c)成分として、紫外線吸収粒子を併用することにより、有機基材の紫外線劣化を抑制できるため、本発明組成物から得られる塗膜と有機基材との長期密着性を確保できる。
(c)成分を組成物中に配合する方法としては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組成物の調製時に添加して、(c)成分を、上記(a)成分、(b)成分、あるいは、上記縮合物などと共加水分解・縮合させてもよい。
(c)成分の使用量は、(a)〜(c)成分中に、固形分換算で、50〜90重量%、好ましくは70〜90重量%である。50重量%未満では、光触媒層から発生するラジカル耐性が弱くなり長期耐久性に弱いものとなる場合があり、一方、90重量%を超えると、保存安定性が悪くなる場合や、製膜性に劣るものとなる場合がある。
(d)水および/または有機溶媒;
本発明のコーティング組成物は、上記(a)〜(c)成分を必須とし、場合により、後述する(e)〜(g)成分などを含有するものであり、通常、組成物を調製する際に、水がオルガノシラン(1)を加水分解・縮合反応させ、あるいは、後述する粒子状成分を分散させるために添加される。
本発明における水の使用量は、(a)成分におけるオルガノシラン(1)1モルに対して、通常、0.5〜3モル、好ましくは、0.7〜2モル程度である。
なお、上記水は、上記(c)成分や、有機溶媒または後記(e)〜(g)成分に含有されることのある水を包含するものである。
また、上記有機溶剤は、主として、(a)〜(c)成分、後記(e)〜(g)成分などを均一に混合させ、組成物の全固形分濃度を調整すると同時に、種々の塗装方法に適用できるようにし、かつ組成物の分散安定性および保存安定性をさらに向上させるために使用される。
このような有機溶剤としては、上記各成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なお、上記有機溶媒は、上記(a)〜(c)成分や、後記(e)〜(g)成分に含有されることのある有機溶媒を包含するものである。
本発明のコーティング組成物は、上記オルガノシラン(1)に、適量の水〔(d)成分〕を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させることが好ましい。
また、上述したように、(a)成分として、オルガノシラン(1)の加水分解物および/または縮合物を使用することもできる。
本発明のコーティング組成物には、それぞれ、さらに、下記の(e)〜(g)成分を配合することができる。以下、これらの成分について、説明する。
(e)成分;
(e)成分は、(a)成分や(b)成分などの加水分解・縮合反応を促進する触媒である。
(e)成分を使用することにより、得られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、使用されるオルガノシラン成分の重縮合反応により生成されるポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、強度、長期耐久性などに優れた塗膜を得ることができ、かつ塗膜の厚膜化や塗装作業も容易となる。
このような(e)成分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランである。
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物(以下「有機金属化合物(4)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
M(OR5 r (R6 COCHCOR7 s ・・・(4)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R5 およびR6は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R7 は、R5 およびR6 と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、rおよびsは0〜4の整数で、(r+s)=(Mの原子価)である。〕
有機金属化合物(4)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
これらの有機金属化合物(4)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
また、有機スズ化合物の具体例としては、(C4 9 2 Sn(OCOC11232 、(C4 9 2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 2 、(C4 9 2 Sn(OCOCH=CHCOOC4 9 2 、(C8 172 Sn(OCOC8 172 、(C8 172 Sn(OCOC11232 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 2 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC4 9 2 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC8 172 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC16332 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC17352 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC18372 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC20412
(C492SnOCOCH3



(C492SnOCOCH3
(C492Sn(OCOC11233
(C492Sn(OCONa)3
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
(C4 9 2 Sn(SCH2 COOC8 172
(C4 9 2 Sn(SCH2 CH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 CH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 COOC12252 、(C8 172 Sn(SCH2 CH2 COOC12252 、(C4 9 )Sn(SCOCH=CHCOOC8 173
(C8 17)Sn(SCOCH=CHCOOC8 173
(C492Sn(SCH2COOC817



(C492Sn(SCH2COOC817
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
(C4 9 2 Sn=S、(C8 172 Sn=S、
(C492Sn=S



(C492Sn=S
などのスルフィド型有機スズ化合物;
(C4 9 )SnCl3 、(C4 9 2 SnCl2 、(C8 172 SnCl2
(C492Sn−Cl



(C492Sn−Cl
などのクロライド型有機スズ化合物;(C4 9 2 SnO、(C8 172 SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物;
などを挙げることができる。
(e)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
(e)成分は、組成物を調製する際に配合してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
(e)成分の使用量は、有機金属化合物等以外の場合、上記(a)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.01〜80重量部、さらに好ましくは、0.1〜50重量部であり、有機金属化合物等の場合、上記(a)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.1〜80重量部、さらに好ましくは、0.5〜50重量部である。この場合、(d)成分の使用量が100重量部を超えると、組成物の保存安定性が低下したり、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
(f)成分;
(f)成分は、下記一般式(5)
6 COCH2 COR7 ・・・(5)
〔式中、R6 およびR7 は、有機金属化合物(4)における上記各一般式のそれぞれR6 およびR7 と同義である〕で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
このような(f)成分は、特に、上記(e)成分として有機金属化合物等を使用する場合に併用することが好ましい。
(f)成分は、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、(f)成分が上記有機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合物等による上記(a)成分と(b)成分の共縮合反応を促進する作用を適度にコントロールすることにより、得られる組成物の保存安定性をさらに向上させる作用をなすものと推定される。
(f)成分の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げることができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルが好ましい。
(f)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(f)成分の使用量は、上記有機金属化合物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、(f)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
他の添加剤;
また、本発明の組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化などのために、別途充填材を添加・分散させることもできる。このような充填材としては、例えば、非水溶性の有機顔料や無機顔料、顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状のセラミックス、金属あるいは合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などを挙げることができる。
上記他の充填材の具体例としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
これらの他の充填材は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
他の充填材の使用量は、組成物の全固形分100重量部に対して、通常、300重量部以下である。
さらに、本発明の組成物には、所望により、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料などの他の添加剤を配合することもできる。
特に、本発明のコーティング組成物を光触媒含有塗膜の下塗り用として用いる場合には、塗膜全体の耐候性、耐久密着性を向上させる目的で、(c)成分として示した紫外線吸収粒子以外の有機系紫外線吸収剤や紫外線安定剤などを配合してもよい。
有機系の紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系などが挙げられる。また、紫外線安定剤としては、ピペリジン系などが挙げられる。
有機系の紫外線吸収剤および/または紫外線安定剤の使用量は、本発明の効果を阻害しなければ特に限定されないが、固形分換算で本発明の組成物100重量部に対し、0.01〜30重量部である。
また、本発明の組成物のコーティング性をより向上させるためにレベリング剤を配合することができる。このようなレベリング剤のうち、フッ素系のレベリング剤(商品名。以下同様)としては、例えば、ビーエムヘミー(BM−CHEMIE)社のBM1000、BM1100;エフカケミカルズ社のエフカ772、エフカ777;共栄社化学(株)製のフローレンシリーズ;住友スリーエム(株)のFCシリーズ;東邦化学(株)のフルオナールTFシリーズなどを挙げることができ、シリコーン系のレベリング剤としては、例えば、ビックケミー社のBYKシリーズ;シュメグマン(Sshmegmann)社のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ社のエフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ88などを挙げることができ、エーテル系またはエステル系のレベリング剤としては、例えば、日信化学工業(株)のカーフィノール;花王(株)のエマルゲン、ホモゲノールなどを挙げることができる。
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。レベリング剤の使用量は、全組成物に対して、好ましくは、0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜3重量%である。
レベリング剤を配合する方法としては、組成物を調製する際に配合してもよく、また塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
なお、本発明のコーティング組成物には、他の樹脂をブレンドしてもよい。他の樹脂としては、アクリル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョンなどが挙げられる。
本発明の組成物を調製するに際しては、(e)成分と(f)成分とを使用しない場合は、各成分の混合方法は特に限定されないが、(e)成分と(f)成分とを使用する場合は、好ましくは、(a)〜(g)成分のうち(f)成分を除いた混合物を得たのち、これに(f)成分を添加する方法が採用される。
本発明のコーティング組成物用の全固形分濃度は、通常、50重量%以下、好ましくは、40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下であり、基材の種類、塗装方法、塗装膜厚に応じて適宜調整される。
光触媒含有塗膜
本発明のコーティング組成物から得られる塗膜の上部に設けられる光触媒含有塗膜は、通常、光触媒を含有するコーティング組成物を塗布し、乾燥することにより得られる。このコーティング組成物は、光触媒を含有するコーティング組成物であれば特に制限はなく、例えば、オルガノシラン系の化合物(および/またはその縮合物)や、シリル基含有重合体などの従来のコーティング組成物に光触媒を含有させた組成物や、従来提案されている光触媒成分を配合したコーティング組成物などが挙げられる。これらの具体例としては、本発明の「従来技術」に列挙した各種の組成物が挙げられる(段落番号「0002」〜「0009」参照)。
特に、以下の組成からなる(II) または(III)のコーティング組成物が好ましい。
(II)
(a)下記一般式(1)
(R1 n Si(OR2 4-n ・・・・・(1)
(式中、R1 は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれた少なくとも1種、
(b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含有する重合体、ならびに
(h)光触媒
を含有するコーティング組成物(以下「組成物(II) 」ともいう)。
(III)上記(a)成分および(h)光触媒を含有するコーティング組成物(以下「組成物(III)」ともいう)。
組成物(II) および組成物(III)から得られる塗膜中では、通常、(h)光触媒が上記(a)成分などと結合を有しており、塗膜の親水性、耐汚染性が長期にわたり持続される。
ここで、組成物(II) および組成物(III)における(a)成分および(b)成分の種類や組成割合は、本発明のコーティング組成物(I)と同様であるので、省略する。
また、組成物(II) および組成物(III)には、上記(e)〜(g)成分が配合されていてもよい。(e)〜(g)成分の種類や組成割合は、本発明のコーティング組成物(I)と同様である。
(h)光触媒;
光触媒塗膜に用いられる好ましい光触媒としては、光触媒能を有する半導体が挙げられる。光触媒能を有する半導体としては、例えば、TiO2 、TiO3 、SrTiO3 、FeTiO3 、WO3 、SnO2 、Bi2 3 、In2 3 、ZnO、Fe2 3 、RuO2 、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3 、MoS2 、LaRhO3 、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb2 5 、ZrO2 、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどを挙げることができ、このうち、好ましいものは、TiO2 、ZnOであり、特に好ましいものはアナターゼ型のTiO2 である。
また、上記半導体は、粉体および/またはゾルの態様で使用されることが望ましい。詳細には、粉体、水に分散した水系ゾル、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒やトルエンなどの非極性溶媒に分散した溶媒系ゾルの3種類のうちのいずれかの態様をとることが望ましい。溶媒系ゾルの場合、半導体の分散性によっては、さらに水や溶媒で希釈して用いてもよい。これらの存在形態における半導体の平均粒子径は、光触媒能の観点では小さいほど好ましい。この場合、半導体の平均粒子径が0.3μm以上であると、半導体の光隠ぺい作用により、塗膜が不透明となる。また、0.3μm未満であると、塗膜が透明となる。したがって、半導体の平均粒子径は、組成物の用途に応じて適宜選択することができる。
組成物(II) および組成物(III)において、(h)成分が水系ゾルあるいは溶媒系ゾルである場合の固形分濃度は、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは、40重量%以下である。
(h)成分を組成物(II) および組成物(III)中に配合する方法としては、上記(a)成分および(b)成分と上記(e)〜(g)成分などからなる組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、この組成物の調製時に添加して、(h)成分の存在下で、(a)成分などを加水分解・縮合させることもできる。(h)成分を組成物の調製時に添加すると、(h)成分中の半導体化合物を(a)成分などと共縮合させることができ、得られる塗膜の長期耐久性が特に改善される。また、(h)成分が水系ゾルである場合は、組成物の調製時に添加するのが好ましく、さらに、上述の(f)成分の配合により、系内の粘性が上昇する場合にも、(h)成分を組成物の調製時に添加する方が好ましい。
さらに、本発明に用いられる上記組成物が着色成分を含有するエナメルとして用いられる場合は、(h)成分を組成物に添加したのち、調色を行ってもよく、また、(h)成分と着色成分とを同時に組成物に添加してもよい。
本発明において、(h)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
光触媒含有塗膜中における(h)成分の使用量は、固形分換算で、通常、10〜90重量%、好ましくは、20〜80重量%である。10重量%未満では、光触媒反応による防汚効果が不足する場合があり、一方90重量%を超えると、成膜性が低下する場合がある。
また、組成物(II) および組成物(III)の全固形分濃度は、好ましくは、50重量%以下であり、使用目的に応じて適宜調整される。例えば、薄膜形成基材への含浸を目的とするときには、通常、0.1〜10重量%であり、また厚膜形成を目的で使用するときには、通常、10〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。組成物の全固形分濃度が50重量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
構造体
本発明のコーティング組成物を用いて得られる構造体の構成としては、基材/本発明のコーティング組成物(下塗り用コーティング組成物)からなる塗膜/光触媒含有塗膜、あるいは、基材/プライマー/本発明のコーティング組成物(下塗り用コーティング組成物)からなる塗膜/光触媒含有塗膜などからなる。
本発明の組成物を基材に塗布する際には、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などが挙げられ、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成させることができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、0.5〜60分程度加熱して乾燥することにより、塗膜を形成することができる。
また、光触媒含有塗膜は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、0.5〜60分程度加熱して乾燥することにより、下塗り層の上に、塗膜を形成することができる。なお、下塗り層と上塗り層の総計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜80μm、好ましくは、0.2〜60μm程度である。
なお、本発明の構造体において、本発明のコーティング組成物からなる塗膜や光触媒含有塗膜は、組成が膜厚方向に順次変化する、いわゆる傾斜材料とすることもできる。
傾斜材料は、例えば、(1)本発明のコーティング組成物や光触媒含有塗膜を多層塗りとし、各層の組成を順次変化させる方法や、(2)本発明のコーティング組成物あるいは光触媒含有組成物をスピンコートなどで基材に塗装後、塗装された基材を地上に対して平行に載置するか、180度逆転させて、一定時間静置して、例えば、(c)成分である無機充填剤を重力方向に沈降させるなどの方法により、形成させることができる。
基材
本発明の組成物を適用しうる基材としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属;セメント、コンクリート、ALC、フレキシブルボード、モルタル、スレート、石膏、セラミックス、レンガなどの無機窯業系材料;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などのプラスチック成型品;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリイミドなどのプラスチックフィルムや、木材、紙、ガラスなどを挙げることができる。また、本発明の組成物は、劣化塗膜の再塗装にも有用である。
これらの基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施すこともできる。金属系基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、脱脂、メッキ処理、クロメート処理、火炎処理、カップリング処理などを挙げることができ、プラスチック系基材に対する表面処理としては、例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理などを挙げることができ、無機窯業系基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、目止め、模様付けなどを挙げることができ、木質基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、目止め、防虫処理などを挙げることができ、紙質基材に対する表面処理としては、例えば、目止め、防虫処理などを挙げることができ、さらに劣化塗膜に対する表面処理としては、例えば、ケレンなどを挙げることができる。
本発明の組成物による塗布操作は、基材の種類や状態、塗布方法によって異なる。例えば、金属系基材の場合、防錆の必要があれば、本発明のコーティング組成物以外に、プライマーを用い、無機窯業系基材の場合、基材の特性(表面荒さ、含浸性、アルカリ性など)により塗膜の隠ぺい性が異なるため、プライマーを用いる場合がある。また、劣化塗膜の再塗装の場合、旧塗膜の劣化が著しいときはプライマーを用いる。それ以外の基材、例えば、プラスチック、木材、紙、ガラスなどの場合は、用途に応じてプライマーを用いても用いなくてもよい。
プライマーの種類は特に限定されず、基材と組成物との密着性を向上させる作用を有するものであればよく、基材の種類、使用目的に応じて選択する。プライマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また顔料などの着色成分を含むエナメルでも、該着色成分を含まないクリヤーでもよい。
プライマーの種類としては、例えば、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョンなどを挙げることができる。また、これらのプライマーには、厳しい条件での基材と塗膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与することもできる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、エーテル結合、エステル結合などを挙げることができる。さらに、プライマーには、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などが配合されていてもよい。
また、本発明の組成物から形成した塗膜の表面には、塗膜の耐摩耗性や光沢をさらに高めることを目的として、例えば、米国特許第3,986,997号明細書、米国特許第4,027,073号明細書などに記載されたコロイダルシリカとシロキサン樹脂との安定な分散液のようなシロキサン樹脂系塗料などからなるクリア層を形成することもできる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものでない。
なお、実施例および比較例中の部および%は、特記しない限り重量基準である。
また、実施例および比較例における各種の測定・評価は、下記の方法により行った。
(1)貯蔵安定性
40℃で3ヶ月保管した後の液外観、粘度により評価した。液外観を下記基準で評価し、○のサンプルについて、粘度評価を実施した。
液外観評価基準;目視で観察し○、×にて評価。
○:初期と変化なし
×:分離、沈降あり
粘度評価基準;B型粘度計にて評価
◎:粘度変化率が初期値±20%未満
○:粘度変化率が初期値±20〜50%
△:粘度変化率が初期値±50%超え
×:ゲル化
(2)透明性
各組成物を、石英ガラス上に、乾燥膜厚2μmになるように塗布したのち、可視光の透過率を測定して、下記基準で評価した。
◎;透過率が80%を超える。
○;透過率が60〜80%
△;透過率が60%未満
(3)温水密着性
各組成物を塗布したサンプルを60℃温水に浸漬し、密着性をテープ剥離試験により評価した。評価基準を下記に示す。
◎:1週間浸漬後、テープ剥離なし
○:4日間浸漬後ではテープ剥離しないが、1週間浸漬後にテープ剥離
△:1日間浸漬後ではテープ剥離しないが、4日間浸漬後にテープ剥離
×:1日間浸漬後にテープ剥離
(4)親水性
サンプルに、1.0mW/cm2 のブラックライト蛍光灯を1week照射したのち、水の接触角(単位:度)を測定した。
(5)耐候性
JIS K5400により、サンシャインウエザーメーターで3,000時間照射試験を実施し、目視外観、密着性を評価した。
目視外観:目視観察を行い、下記基準で評価した。
○:膜の剥がれも無く、初期と変化なし
×:膜が剥がれあり
密着性:テープ剥離試験を行い、下記基準で評価した。
◎:テープ貼り付け部全面にて膜の剥がれなし。
○:テープ貼り付け部にて、5%未満の剥がれあり
△:テープ貼り付け部にて、5以上、50%以下の剥がれあり
×:テープ貼り付け部にて、50%を超える剥がれあり
参考例1〔(b)成分の合成〕
還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート75部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、シクロヘキシルメタクリレート5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部、i−ブチルアルコール75部、メチルエチルケトン50部およびメタノール25部を加えて混合したのち、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル3部をキシレン8部に溶解した溶液を30分間かけて滴下したのち、80℃で5時間反応させた。冷却後、メチルエチルケトンを35部加えて、固形分濃度約35%、Mwが8,000、固形分中のケイ素含量が1.1%の重合体溶液(以下「(b−A)」という)を得た。
参考例2〔(b)成分の合成〕
還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート55部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、シクロヘキシルメタクリレート5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、グリシジルメタクリレート20部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部、i−ブチルアルコール75部、メチルエチルケトン50部およびメタノール25部を加えて混合したのち、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル3部をキシレン8部に溶解した溶液を30分間かけて滴下したのち、80℃で5時間反応させた。冷却後、メチルエチルケトンを35部加えて、固形分濃度約35%、Mwが6,000の、固形分中のケイ素含量が1.1%の重合体溶液(以下「(b−B)」という)を得た。
参考例3〔(b)成分の合成〕
還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート50部、シクロヘキシルメタクリレート5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部、i−ブチルアルコール75部、メチルエチルケトン50部およびメタノール25部を加えて混合したのち、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル3部をキシレン8部に溶解した溶液を30分間かけて滴下したのち、80℃で5時間反応させた。冷却後、メチルエチルケトンを35部加えて、固形分濃度約35%、Mwが6,000、固形分中のケイ素含量が4.5%の重合体溶液(以下「(b−C)」という)を得た。
実施例1(本発明の組成物の調製)
撹拌機、環流冷却器を備えた反応器に、(a)成分としてメチルトリメトキシシラン25部、ジメトルジメトキシシラン9部、(b)成分として固形分35%の(b−A)50部、(d)成分としてi−プロピルアルコール7部、(e)成分としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール30%希釈液を3部を加えて混合し、撹拌下50゜Cに昇温した。(d)成分として水:7部を30分間でインクレし、60゜Cで4時間反応させた。次いで、(f)成分としてアセチルアセトン:1部を加えて1時間撹拌した後に室温に冷却した。次いで撹拌下、(d)成分としてi−プロピルアルコール100部、メチルエチルケトン:100部、加えた後、i−プロピルアルコール分散コロイダルシリカ(固形分濃度約10%)を900部を添加し、本発明の組成物I−1を得た。調製した各組成分を貯蔵安定性評価結果、および透明性評価結果と併せて表1に示した。
実施例2〜6
各組成分を表1記載とした以外は調製例1と同様とした。貯蔵安定性評価結果、透明性評価結果と併せて表1に示した。
Figure 2005113028
IPA:イソプロピルアルコール
MIBK:メチルイソブチルケトン
比較例1
撹拌機、環流冷却器を備えた反応器に、(a)成分としてメチルトリメトキシシラン25部、ジメトルジメトキシシラン9部、(d)成分としてi−プロピルアルコール7部、(e)成分としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール30%希釈液を3部を加えて混合し、撹拌下50゜Cに昇温した。(d)成分として水:7部を30分間でインクレし、60゜Cで4時間反応させた。次いで、(f)成分としてアセチルアセトン:1部を加えて1時間撹拌した後に室温に冷却した。次いで、撹拌下、(d)成分としてi−プロピルアルコール60部、メチルエチルケトン:67部、加えた後、i−プロピルアルコール分散コロイダルシリカ(固形分濃度約10%)を500部を添加し、比較例の組成物(a−1)を得た。貯蔵安定性評価の結果、液外観○、粘度◎、透明性○であった。
比較例2
i−プロパノール分散コロイダルシリカ、およびメチルイソブチルケトン分散酸化セリウムを加えない以外は、実施例4と同様に調製し、比較例の組成物(a−2)を得た。貯蔵安定性評価の結果、液外観○、粘度◎、透明性○であった。
調製例1[上塗り用組成物(光触媒含有層を形成するコート材)の調製]
撹拌機、環流冷却器を備えた反応器に、固形分濃度約24%の水分散酸化チタン157部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ8部、末端アルコキシシリル基/ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)基含有ジメチルジメトキシシランオリゴマー(Mw約10000)11部、i−プロピルアルコール22部を加え混合し、室温で1時間撹拌した。その後、メチルトリメトキシシラン60部、固形分濃度約35%の(b−B)成分23部を加えて、室温で1時間攪拌した。次いで、i−プロピルアルコール36部を加え混合し、30゜Cで1時間撹拌した。その後、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム:2部をi−プロピルアルコール18部に溶解したものを加えて混合し、撹拌下、60゜Cで4時間共縮合反応させた。室温に冷却した後、i−プロピルアルコール600部を加え、固形分濃度約10%の組成物≡−1を得た。
調製例2
固形分濃度30%の水分散体酸化チタンを13部、コルコート社製エチルシリケート48を6部、固形分濃度約10%のi−プロパノール分散コロイダルシリカを30部にi−プロパノールを51部加え、固形分濃度約10%の上塗り用組成物≡−2を得た。
実施例7〜12
本発明のコーティング組成物100部にジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を3部添加、良く撹拌したものを変性アクリル樹脂(帝人デュポン社製、メリネックス505、以下同じ)で表面処理済みのPET(Pポリエチレンテレフタレート)フィルム上に乾燥塗膜1μmとなるように塗布、乾燥し硬化体とした。得られたサンプルの温水密着性を評価した。結果を表2に示した。
比較例3〜4
比較例1〜2にて調製した組成物100部にジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を3部添加、良く撹拌したものを変性アクリル樹脂で表面処理済みのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に乾燥塗膜1μmとなるように塗布、乾燥し硬化体とした。得られたサンプルの温水密着性を評価した。結果を表2に示した。





Figure 2005113028
実施例13〜26
表3に記載した各基材に、本発明の下塗り用コーティング組成物(I−1〜I−6)100部にジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分15%)5部を添加、良く撹拌したものを乾燥膜厚1μmとなるように塗布、乾燥(80℃×10分)した。その上に、上塗り用コーティング組成物100部にジブチルスズジアセテートのi-プロピルアルコール溶液(固形分15%)を3部添加、良く撹拌したものを乾燥塗膜0.1μmとなるように塗布、乾燥(80℃×60分)し、硬化体とした。
得られた硬化体に対して、親水性および耐候性の評価を行った。結果を表3に併せて示す。
Figure 2005113028
比較例5〜8
表4に記載した各基材に、比較例2にて調製した(a−2)100部にジオクチルスズジマレエートエステルのi-ブチルアルコール溶液(固形分15%)5部を添加、良く撹拌したものを乾燥膜厚1μmとなるように塗布、乾燥(80℃×10分)した。その上に、上塗り用コーティング組成物100部にジブチルスズジアセテートのi-プロピルアルコール溶液(固形分15%)を3部添加、良く撹拌したものを乾燥塗膜0.1μmとなるように塗布、乾燥(80℃×60分)し、硬化体とした。
得られた硬化体に対して、親水性および耐候性の評価を行った。結果を表4に併せて示す。




Figure 2005113028
本発明のコーティング組成物は、光触媒含有塗膜の下塗り用として有用であり、光触媒による基材の劣化を防止でき、高硬度で、耐候性、長期耐久密着性に優れたコート材が得られ、光触媒含有塗膜の下塗り用好適である。

Claims (6)

  1. (a)下記一般式(1)
    (R1 n Si(OR2 4-n ・・・・・(1)
    (式中、R1 は2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれた少なくとも1種を完全加水分解縮合物換算で3〜45重量%、
    (b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含有する重合体を固形分換算で5〜35重量%、ならびに
    (c)無機充填剤を固形分換算で50〜90重量%[ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%]
    を含有するコーティング組成物。
  2. (b)成分中のケイ素含有量が0.1〜2重量%である請求項1記載のコーティング組成物。
  3. (c)成分中にコロイド状シリカおよび/または紫外線吸収粒子を含有する請求項1または2記載のコーティング組成物。
  4. (c)成分が固形分換算で70〜90重量%である請求項1〜3いずれかに記載のコーティング組成物。
  5. 光触媒含有塗膜の下塗り層形成に用いられる請求項1〜4いずれかに記載のコーティング組成物。
  6. 基材上に請求項1〜5いずれかに記載のコーティング組成物から得られる塗膜を設け、その上に、光触媒を含む塗膜を形成した構造体。
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