JP5161770B2 - 免疫刺激オリゴヌクレオチド及びその医薬用途 - Google Patents

免疫刺激オリゴヌクレオチド及びその医薬用途 Download PDF

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Description

本発明は、免疫刺激オリゴヌクレオチド及びその医薬用途に関し、詳しくは、インターフェロン(IFN)誘導活性が増強され、かつ炎症性サイトカイン誘導活性が低減された新規な免疫刺激オリゴヌクレオチド及び前記オリゴヌクレオチドを含む医薬品とその用途に関する。
徳永らによって特定のタイプの細菌性DNAは免疫応答を刺激することが報告されている(Yamamotoら Jpn.J.Cancer Res.1988 79:866-873)。免疫刺激活性に必須な細菌性DNAの主成分は、メチル化修飾を受けていないCpGジヌクレオチドモチーフ(以下CpGと記す)を含む特徴的な短い配列構造である。合成したCpG含有オリゴヌクレオチドについても、マクロファージ及びナチュラルキラー(NK)細胞のI型IFN(IFN−αとIFN−β)及びIFN−γの産生を誘導し、NK細胞の細胞障害活性を有することが報告されている(特開平4−352724号公報)。また、CpG含有オリゴヌクレオチドはマクロファージのみならず、樹状細胞やB細胞等にも作用し、細胞増殖活性、炎症性サイトカインのインターロイキン−12(以下、IL−12)、腫瘍壊死因子−α(以下、TNF−α)の産生、インターロイキン−6(以下、IL−6)の産生を誘導することが報告されている(Klinmanら Proc.Natl.Acad.Sci.1996 93:2879-2883)。このことから、CpG含有オリゴヌクレオチドは細胞性免疫を誘導し、かつTh1応答を誘導するため、ワクチンのアジュバントあるいはアレルギー性疾患の治療に有用であるが、一方では、TNF−αやIL−6の産生誘導により敗血症、発熱、関節痛、筋肉痛や発赤等の副作用を誘発する可能性も否定できない。
徳永らはマウスNK細胞の細胞障害活性において、6塩基パリンドロームモチーフからなるCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドが強い活性を有することを見出し、5'−AACGTT−3'(配列番号92)、5'−AGCGCT−3'(配列番号93)、5'−GACGTC−3'(配列番号61)の配列が最も強いことを報告している(Yamamotoら J.Immunol.1992 148:4072-4076)。また、他のタイプの免疫調節オリゴヌクレオチド配列も報告されている(国際公開第1998/018810号パンフレット、国際公開第2003/015711号パンフレット、国際公開第2004/058179号パンフレット)。
オリゴヌクレオチドの活性増強を目的とした研究も行われている。徳永らはCpGを含む6塩基パリンドロームモチーフの外側にデオキシグアニル酸の繰り返し構造(ポリG配列)を挿入するとNK細胞活性とIFN誘導活性が増強することを見出している(特開平4−352724号公報)。また、CpGを含む6塩基配列の外側の配列が少なからず活性に影響を及ぼすことが明らかになっている。
その他の公知のCpG含有配列としては、D−タイプ(あるいはA−タイプ)及びK−タイプ(あるいはB−タイプ)の免疫刺激オリゴヌクレオチドがある(国際公開第2000/61151号パンフレット)。K−タイプはB細胞を活性化することが知られている。D−タイプはCpGを含むパリンドローム配列の外側にポリG配列が付加されており、樹状細胞のI型IFNの産生を誘導し、ヒトNK細胞を活性化させる。D−タイプのIFN誘導活性については3'末端側が重要とされており、3'末端側のポリG配列の長さは4塩基以上必要である(国際公開第2000/61151号パンフレット)。一方、炎症性サイトカインIL−12やTNF−αの産生誘導活性においても3'末端側のポリG配列が重要であり、その効果の発現には少なくとも4塩基以上のポリG配列が必要とされている(大韓民国KR2001−063153号公報)。従って、公知の免疫刺激活性を向上させるオリゴヌクレオチドの配列、又はポリG配列の構造はIFN誘導と炎症性サイトカイン誘導の独立性を明らかにしていない。
パリンドロームモチーフが5'−GACGATCGTC−3'(配列番号76)である免疫刺激ヌクレオチドは、10個までの最適な長さのポリG配列を5'末端と3'末端に挿入することにより、従来の非修飾型(修飾型の効果は後述している)のCpG含有免疫刺激ヌクレオチドよりも強力なIFN−α誘導活性を有することが見出されている(特開2005−237328号公報)。5'−GACGATCGTC−3'(配列番号76)を有する免疫刺激ヌクレオチドに高いIFN−α誘導活性をもたらすにはGを3'末端側または5'末端側に8〜10個置くほうがよいが、免疫制御性サイトカインであるインターロイキン−10(以下、IL−10)の産生を抑えるには5'末端側に偏在させるとよいことが開示されている(特開2005−237328号公報)。また、炎症性サイトカインTNF−αやIL−12の誘導活性は、IFN−α誘導活性と緩やかに相関することが報告されている。これらのことは、5'−GACGATCGTC−3'(配列番号76)以外のパリンドロームモチーフにおいて5'末端側へのポリG配列挿入の効果を明らかにしていない。また、CpG含有オリゴヌクレオチドの炎症性サイトカイン誘導活性が減弱し、かつIFN−γとIFN−αの両方のIFN誘導活性が増強する最適なポリG配列の塩基数は開示されていない。
従来のD−タイプCpGよりも高い免疫刺激活性を有するオリゴヌクレオチドとして5'−GGTGCCGATCGGCAGGGGGG−3'(配列番号1)が見出されている(特願2004−287102号公報)。この塩基配列の1個ないし数個の塩基が置換された誘導体についても開示されている。3個以上変換した具体的配列は開示されていないが、唯一7塩基を置換した5'−GGGGGGTGCCGATCGGCAGGG−3'(配列番号5)は、3'末端のポリG配列が3塩基でもIFN誘導活性を有することが見出されている(国際公開第2006/035939号パンフレット)。
その他の活性増強を目的とした研究としては、オリゴヌクレオチドの化学修飾による安定化が知られている。天然に存在するホスホジエステルヌクレオチドは細胞内及び細胞培地中において様々な核酸分解活性によって分解されやすい。そのため、核酸分解活性の攻撃標的であるヌクレオチド間のホスホジエステル結合を置換することによる安定化、さらにその結果としての活性増加の検討が行われている。頻繁に用いられている置換方法としては、ホスホロチオエートへの置換である。Klinmanらの研究では、免疫刺激オリゴヌクレオチドのパリンドロームモチーフの外側のポリG配列をホスホチロオエート修飾することにより、免疫応答の誘導が増強されることを示している(国際公開第2000/61151号パンフレット)。
非メチル化CpGを含む細菌性DNAの受容体は、Toll様受容体(TLR)ファミリーのメンバーの一つTLR9であることがTLR9ノックアウトマウスを用いた研究において見出されている(Hemmiら Nature 2000 408:740-745)。また、ヒトTLR9とマウスTLR9を活性化する最適なCpG配列は異なることが示され、種特異性の存在も明らかにされている(Bauerら PNAS 2001 98(16):9237-9242)。ヒトへの治療を目的とした開発においては、CpGオリゴヌクレオチドがヒトTLR9に高親和性を示すことが必須であるが、一方では開発段階における動物を用いた前臨床試験においてマウスなど動物に作用することも重要である。
アレルギー性疾患の治療では現在多用されている対症療法ではなく、免疫調節型でかつ有効な根治療法が望まれている。アレルギー患者はアレルゲンに対する免疫応答がTh2に偏っており、Th1免疫応答が抑制されている。従って、Th1免疫応答を誘導し、Th2免疫反応を抑制する治療剤はアレルギー体質の改善に有用である。ある種の非パリンドローム配列からなるCpGオリゴヌクレオチド(特開2003−286174号公報)や6塩基パリンドローム5'−AACGTT−3'を含むCpGオリゴヌクレオチド(特表2002−500159号公報、Tigheら J.Allergy Clin.Immunol.2000 106:124-134)はマウス喘息モデルにおいて治療効果を有することが開示されている。しかしながら、上記の免疫刺激オリゴヌクレオチドはTh1反応を誘導するのみならず、炎症性サイトカインを誘発するため、薬理作用上、有効な用量を投与した場合、好ましくない副作用が発現することが懸念される。
アレルギー症状は肥満細胞がヒスタミン等を含む顆粒を細胞外に放出(脱顆粒)することが原因であり、この脱顆粒は肥満細胞上のIgEとアレルゲンが結合した結果として、引き起こされる。近年、抗原特異的な制御性T細胞(Treg)は、その免疫バランスを保持する機能において注目されている。例えば、TregによるIgE受容体FcεRIを介した脱顆粒の抑制などが挙げられる(Tillら J.Allergy Clin.Immunol.2004 113:1025-1034)。また、IFN−α及びIFN−βはIL−10の産生誘導を促進することが示されている(Amanら Blood.1996 87:4731-4736)。さらに、IL−10はIgG4やIgA産生細胞の分化誘導を促進することから、免疫刺激ヌクレオチドによるアレルギー治療効果はIL−10の誘導もその機序の一つであると考えられている。従って、アレルギー治療に好適な免疫刺激ヌクレオチドは、IFN−α誘導活性が増強され、IL−10誘導活性も維持していることが望ましい。
肝炎とは、ウイルス、アルコール、薬物、毒素及び自己免疫性などの原因で誘発された肝臓の炎症を含む症患を指す。
肝炎ウイルスによる肝炎が大多数を占め、特にA,B,C型が多いが、他にもD,E,F,G型、及び特発性肝炎ウイルスの存在が知られている。また、上記の肝炎ウイルスはRNA型,DNA型など多数の異なるウイルス・ファミリーの間に広がっている。
B型ウイルス(Hepatitis B virus、HBV)及びC型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus、HCV)はそれぞれ急性及び慢性感染を引き起こす。急性肝炎は初期感染や慢性的な感染者における再発に伴って症状が現れる。一方、慢性のC型肝炎においては、6ヵ月以上にわたって肝臓の炎症が続き、細胞が破壊され、肝機能の低下を伴う。HCV感染では、急性肝炎から慢性肝炎への進行の危険性が高いことも問題である。このような状況から、肝炎ウイルス感染症に対する治療の早期介入と効果の高い治療法の開発が望まれている。
C型肝炎においては種々のインターフェロン(以下、IFN)製剤の単独治療やIFN−α製剤とリバビリンとの併用療法が治療手段の第一選択と成っている。併用治療は、単剤治療より持続的反応が期待出来る反面、より高価で、より多くの副作用を伴う。しかしながら、これらの治療を行っても、全治療者の約60%に治療効果が認められるだけであり、効果が出た後に治療を中止すると半分以上の患者が再燃する。このような状況から、さらなる治療薬の開発が望まれている。
CpGオリゴヌクレオチドの肝炎治療における効果としては、インターフェロン誘導による抗ウイルス効果の増強と、ウイルス感染細胞に対する細胞性免疫の誘導及び耐性株の出現に対する抵抗性などが挙げられる。CpGオリゴヌクレオチドのHBVあるいはHCV感染による肝炎治療用途に関しては、特表2003−526662号公報および特表2006−515277号公報における技術情報がある。前者はCpGオリゴヌクレオチド(免疫活性化配列:ISS)を肝炎ウイルス抗原と一緒には投与せずに治療する方法について開示している。後者はインターフェロン療法などの抗ウイルス剤が無効であった慢性C型肝炎の個体を処置する方法について開示しており、患者での有用性に関して開発番号CpG10101による臨床試験成績が2006年欧州肝臓学会他において開示されている。しかしながら、臨床試験成績から、CpG10101の単剤治療の効果は従来の治療法と比べると極めて不十分であり、ペグ化修飾IFN−α製剤とリバビリンとCpGオリゴヌクレオチドの3剤の併用治療は、標準的な治療法であるペグ化修飾IFN−α製剤とリバビリンの成績と比較して若干の有効性の向上は期待できるが、他の抗ウイルス剤との併用(例えばポリメラーゼやプロテアーゼなどウイルス酵素の阻害剤との併用治療)と比べて十分な治療効果が得られないことが既に明らかにされている。
また、既存のCpGオリゴヌクレオチドは炎症性のサイトカインであるTNF−α、IL−12やIL−6の産生誘導により敗血症、発熱、関節痛、筋肉痛や発赤や予期しない副作用を誘発する可能性も否定できず、実際にマウスの肝炎モデルを用いた試験例から肝炎の症状を悪化させることが示されている(Abeら Fukushima J. Med. Sci. 2005 51:41-49)。したがって、肝炎治療に適した免疫刺激活性が向上し、かつ副作用が低減されたCpGオリゴヌクレオチドの創出が望まれている。
免疫刺激オリゴヌクレオチドの活性に依存して、投与量、投与回数を減らすことが可能となり、その結果、毒性作用が発生する可能性の低下、また、QOLを上昇させる可能性が極めて高い。
以上のことから、ヒトにおいて、上述した既存の免疫刺激配列と比較して、IFN誘導活性が向上し、かつ炎症性サイトカイン誘導活性が低減した配列を見出すことは、産業利用上、非常に有用であり、有益性が極めて高い。
本発明の目的は、インターフェロン(IFN)誘導活性が増強され、かつ炎症性サイトカイン誘導活性が低減された新規な免疫刺激オリゴヌクレオチド及びこの免疫刺激オリゴヌクレオチドを含む医薬品とその用途を提供することである。
本発明者らはこの課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、IFN誘導活性において、CpGモチーフを含む配列の外側の5'−末端側が重要であることを見出した。すなわち、6塩基以上の連続したグアニン配列の5’末端側への挿入により、インターフェロン誘導活性がそれ以外のものよりも優れたオリゴヌクレオチドが得られることを確認した。更に検討を進めた結果、ポリG配列が5'−末端側には塩基数が6乃至10の長さで挿入され、3’−末端側には塩基数が0乃至3の長さで挿入されており、かつ所定の構造的特徴を有するCpGオリゴヌクレオチドは、従来知られているD−タイプCpG配列からなるオリゴヌクレオチドよりもI型IFN、すなわちIFN−α及びIFN−βとIFN−γ誘導活性が増強されており、炎症性サイトカイン誘導活性が低減しており、更に高いIgE産生抑制活性、Th2抑制活性、およびTh1誘導活性を有することを見出した。これらに加えて、肝炎モデルマウスにおける試験の結果、in vivoにおいて肝炎治療効果をも有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の各発明を提供するものである。
〔1〕 式:5’−(G)MPXCGYQ(G)N−3’で示される塩基配列からなり、
(式中、Cはシトシンであり、Gはグアニンである。X及びYは相互に独立した0乃至10ヌクレオチド長でかつ4塩基以上の連続したグアニンを含まない任意の配列であり、X+Yの長さは6乃至20ヌクレオチド長である。XCGYは長さが少なくとも8ヌクレオチド長のパリンドローム配列を含み、長さが8乃至22ヌクレオチド長である。P及びQはグアニン以外の相互に独立した1ヌクレオチドであり、Mは6乃至10の整数であり、Nは0乃至3の整数である。なお、XとYのヌクレオチド長は必ずしも同じでなくとも良い。)
全長が16乃至37ヌクレオチド長である(但し、配列番号5記載の塩基配列(GGGGGGTGCCGATCGGCAGGG)からなるものを除く。)ことを特徴とする、免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔2〕 前記Mが6乃至8の整数であり、かつ全長が16乃至35ヌクレオチド長である、〔1〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔3〕 前記XCGYの長さが9または10ヌクレオチド長であり、かつ全長が17乃至23ヌクレオチド長である、〔1〕または〔2〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔4〕 前記XCGYがCGATCG(配列番号59)、ATCGAT(配列番号60)およびGACGTC(配列番号61)から選ばれるいずれか一つの塩基配列を含む、〔1〕乃至〔3〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔5〕 前記XCGYがCGATCG(配列番号59)を含む、〔1〕乃至〔3〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔6〕 前記CGATCG(配列番号59)を含む免疫刺激オリゴヌクレオチドが配列番号6、7、9乃至11及び15乃至18、22、24、26、28、48、50乃至52、54、95及び97に示される塩基配列からなる〔4〕又は〔5〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔7〕 前記CGATCG(配列番号60)を含む免疫刺激オリゴヌクレオチドが配列番号30に示される塩基配列からなる〔4〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔8〕 前記CGATCG(配列番号61)を含む免疫刺激オリゴヌクレオチドが配列番号40及び42に示される塩基配列からなる〔4〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔9〕 配列番号6、7、10及び15乃至17、24、26、28、48、50乃至52、95および97に示される塩基配列からなる〔4〕又は〔5〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔10〕 全て又は一部のヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されている、〔1〕乃至〔9〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔11〕 5'−末端の連続するG配列のヌクレオチド残基間の少なくとも一部のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されている、〔10〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔12〕 3'−末端のヌクレオチド残基間の少なくとも一部のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されている、〔10〕または〔11〕に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
〔13〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、医薬。
〔14〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、アレルギー疾患の治療、又は予防剤。
〔15〕 前記アレルギー疾患が花粉アレルギー症である、〔14〕に記載のアレルギー疾患の治療、又は予防剤。
〔16〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドをアジュバントとして含む、ワクチン。
〔17〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、肝炎の治療、又は予防剤。
〔18〕 前記肝炎がウイルス性肝炎である〔17〕に記載の肝炎の治療、又は予防剤。
〔19〕 前記ウイルス性肝炎がB型あるいはC型肝炎である〔18〕に記載の肝炎の治療、又は予防剤。
〔20〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、アレルギー疾患の治療、又は予防剤としての使用。
〔21〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、ワクチンのアジュバントとしての使用。
〔22〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、肝炎の治療、又は予防剤としての使用。
〔23〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、アレルギー疾患の治療、又は予防方法。
〔24〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを、ワクチンに対するアジュバントとして利用する方法。
〔25〕 〔1〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、肝炎の治療、又は予防方法。
本発明で提供される新規な免疫刺激オリゴヌクレオチドは、IFN誘導活性が増強され、炎症性サイトカイン誘導活性が低減され、また、高いIgE産生抑制活性、Th2抑制活性、およびTh1誘導活性を有しているなど、優れた免疫刺激活性を有するため、高い治療効果を有する。また、肝炎モデルマウスにおける試験の結果、in vivoにおいて肝炎治療効果をも有することも証明されている。更に、副作用の危険性が低減されているため、高用量の使用を可能である。したがって、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、従来の免疫刺激オリゴヌクレオチドと比べて短期間で高率かつ安全なワクチンアジュバントとして、アレルギー疾患および/または肝炎の治療、及び予防が可能となる。
図1−1は、実施例1において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図1−2は、実施例1において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−γ産生量を測定した結果を示す図である。 図1−3は、実施例1において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図1−4は、実施例1において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−γ産生量を測定した結果を示す図である。 図1−5は、実施例1において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図1−6は、実施例1において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−γ産生量を測定した結果を示す図である。 図2は、実施例2において、マウスJ774細胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIL−12p40産生量を測定した結果を示す図である。 図3−1は、実施例3において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6−PXCGYQ−G3)及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpG(G2−PXCGYQ−G6)で刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図3−2は、実施例3において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド等(G6−PXCGYQ−G3)及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpG(G2−PXCGYQ−G6)で刺激し、培養上清中のIFN−γ産生量を測定した結果を示す図である。 図3−3は、実施例3において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6/7−PXCGYQ−G2)及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpG(G2/3−PXCGYQ−G6)で刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図4は、実施例4において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図5−1は、実施例7において、ヒトPBMCを本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図5−2は、実施例7において、ヒトPBMCを本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図5−3は、実施例7において、ヒトPBMCを本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図5−4は、実施例7において、ヒトPBMCを本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図6は、実施例8において、ヒトPBMCを本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のIFN−α産生量を測定した結果を示す図である。 図7−1は、実施例9において、マウス脾細胞を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpGで刺激し、培養上清中のIFN−γ産生量を測定した結果を示す図である。 図7−2は、実施例9において、マウス脾細胞を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpGで刺激し、培養上清中のIL−10産生量を測定した結果を示す図である。 図8−1は、実施例10において、マウスJ774細胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6−PXCGYQ−G3)及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpG(G2−PXCGYQ−G6)で刺激し、培養上清中のIL−12産生量を測定した結果を示す図である。 図8−2は、実施例10において、マウスJ774細胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6−PXCGYQ−G3)及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpG(G2−PXCGYQ−G6)で刺激し、培養上清中のTNF−α産生量を測定した結果を示す図である。 図9は、実施例11において、マウスJ774細胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpGと公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し、培養上清中のTNF−α産生量を測定した結果を示す図である。 図10は、実施例12において、ヒトPBMCを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及びパリンドロームモチーフが同一であるD−タイプCpGと公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドを抗CD40抗体とIL−4とともに刺激し、培養上清中のIgE産生量を測定した結果を示す図である。 図11は、実施例13において、マウスを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドとスギ花粉抗原Cry j 1で処置し、アレルギー惹起後の血清中のIgE産生量を測定した結果を示す図である。 図12−1は、実施例13において、マウスを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドとスギ花粉抗原Cry j 1で処置した後、アレルギー惹起後に摘出した脾細胞をCry j 1で刺激し、培養上清中のIFN−γ産生量を測定した結果を示す図である。 図12−2は、実施例13において、マウスを本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドとスギ花粉抗原Cry j 1で処置した後、アレルギー惹起後に摘出した脾細胞をCry j 1で刺激し、培養上清中のIL−5産生量を測定した結果を示す図である。 図13は、実施例14において、ConA誘発マウス肝炎モデルにおいて本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの血清中ALT値の上昇に及ぼす影響を評価した結果を示す図である。 図14−1は、実施例15において、ConA誘発マウス肝炎モデルにおいて本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドと公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドの血清中ALT値の上昇に及ぼす影響を比較評価した結果を示す図である。 図14−2は、実施例15において、ConA誘発マウス肝炎モデルにおいて本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドと公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドの血清中ALT値の上昇に及ぼす影響を比較評価した結果を示す図である。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、式:5’−(G)MPXCGYQ(G)N−3’で示される塩基配列からなり、(式中、Cはシトシンであり、Gはグアニンである。X及びYは相互に独立した0乃至10ヌクレオチド長でかつ4塩基以上の連続したグアニンを含まない任意の配列であり、X+Yの長さは6乃至20ヌクレオチド長である。XCGYは長さが少なくとも8ヌクレオチド長のパリンドローム配列を含み、長さが8乃至22ヌクレオチド長である。P及びQはグアニン以外の相互に独立した1ヌクレオチドであり、Mは6乃至10の整数であり、Nは0乃至3の整数である。なお、XとYのヌクレオチド長は必ずしも同じでなくとも良い。)、全長が16乃至37ヌクレオチド長である(但し、配列番号5記載の塩基配列(GGGGGGTGCCGATCGGCAGGG)からなるものを除く。)ことを特徴とする。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドを構成する塩基配列は、式:5’−(G)MPXCGYQ(G)N−3’で示される。式中の「5´−」は5´末端を、「3´−」は3´末端を示す。また、Cはシトシンであり、Gはグアニンであり、XとYは相互に独立した任意の配列及び長さからなる部分であり、PとQは相互に独立した任意のヌクレオチドである。(G)Mと(G)Nは、それぞれグアニン(G)のみからなる連続する配列部分を示し、それぞれのMとNはグアニンの数を表す。すなわち、前記式は、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの5´末端から3´末端の塩基配列を一般化して示したものある。尚、本発明において「XCGY」とは、前記式中のX、C、G、及びYで構成される配列部分全体を意味し、「PXCGYQ」とは、前記式中のP、X、C、G、Y、及びQで構成される配列部分全体を意味する。また、前記式に関し「長さ」とは、各配列部分を構成するヌクレオチドの数(ヌクレオチド長)を意味する。さらに、「X+Yの長さ」とは、Xの長さとYの長さの合計を意味するものとする。
前記式中、XとYの長さはそれぞれ0乃至10ヌクレオチド長の範囲である。特に、2〜6ヌクレオチド長であることが好ましい。X及びYの配列はそれぞれ独立した任意のヌクレオチドからなるものであればよいが、4塩基以上の連続したグアニンが含まれないことが必要である。更に、X+Yの長さは6乃至20ヌクレオチド長であることが必要である。6乃至12ヌクレオチド長が好ましく、7又は8ヌクレオチド長がより好ましく、8ヌクレオチド長が最も好ましい。なお、XとYのヌクレオチド長は必ずしも同じでなくとも良い。
前記式中、XCGYにはパリンドローム配列が含まれることが必要である。パリンドローム配列とは、任意の2塩基の間の軸に対して左右対称に相補的な塩基から構成される塩基配列部分を意味し、回文配列とも別称されることがある。本発明においてXCGYに含まれるパリンドローム配列の長さは、8ヌクレオチド長以上であることが必要である。尚、XCGYは8塩基以上のパリンドローム配列のみからなっていてもよいし、一部に8塩基以上のパリンドローム配列を含む限り、必ずしも完全に相補的でなくてもよい。
XCGYは、CGATCG(配列番号59)、ATCGAT(配列番号60)及びGACGTC(配列番号61)から選ばれるいずれか一つの塩基配列を含むことが好ましい。特に、CGATCG(配列番号59)を含むことが最も好ましい。これらの配列自体はパリンドローム配列であり、XCGYに含まれるパリンドローム配列はこれらの配列を一部として含むことが好ましい。
上記本発明におけるパリンドローム配列の例を以下に示す。XCGYが、8塩基配列のパリンドローム配列としては、CCGATCGG(配列番号62),GCGATCGC(配列番号63),ACGATCGT(配列番号64),CATCGATG(配列番号65),GATCGATC(配列番号66),ATCGCGAT(配列番号67),GAACGTTC(配列番号68),CAACGTTG(配列番号69),AGCGCGCT(配列番号70),ACGTACGT(配列番号71),TAGCGCTA(配列番号72),ACGGCCGT(配列番号73),CGACGTCG(配列番号74),CGTCGACG(配列番号75)が挙げられる。このうち、CCGATCGG,GCGATCGC,ACGATCGT,CATCGATG,CGACGTCGが好ましい。XCGYが、10塩基配列のパリンドローム配列としては、GACGATCGTC(配列番号76),GGCGATCGCC(配列番号77),CGATCGATCG(配列番号78),GATCGCGATC(配列番号79)、GCAACGTTGC(配列番号80),GCATCGATGC(配列番号81),CAGCGCGCTG(配列番号82),GACGTACGTC(配列番号83),CTAGCGCTAG(配列番号84),CCCGATCGGG(配列番号85),GACGGCCGTC(配列番号86),GCCGATCGGC(配列番号87),TCCGATCGGA(配列番号88),ACGTCGACGT(配列番号89),ACAACGTTGT(配列番号90)及びACGACGTCGT(配列番号91)が挙げられる。このうち、GCCGATCGGC,CCCGATCGGG,TCCGATCGGA,GGCGATCGCC,GACGATCGTC,GCATCGATGC,ACGACGTCGTが好ましい。なお、パリンドローム配列は、その長さが少なくとも8ヌクレオチド長ある配列であれば必ずしもこれらの具体例に限定されない。
XCGYの長さは8乃至22ヌクレオチド長であり、この範囲でXとYのそれぞれの長さやパリンドローム配列の種類に応じて調整することができる。好ましくは、8乃至14ヌクレオチド長が好ましく、9または10ヌクレオチド長がより好ましく、10ヌクレオチド長が最も好ましい。
前記式中のP及びQはグアニン以外の1ヌクレオチドである。具体的には、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)のいずれかである。
前記式中のMは、6乃至10の整数であり、6乃至8であることが好ましい。上記範囲を逸脱すると、IFN誘導活性が不十分となるため好ましくない。また、Nは0乃至3の整数である。上記範囲を逸脱すると、炎症性サイトカイン誘導活性を充分に低減させることができないので好ましくない。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの全長は、16乃至37ヌクレオチド長であり、前記式中のMやN、XやYの長さ等により異なる。前記の通りMが6乃至8の範囲であるときは6乃至35ヌクレオチド長である。また、XCGYの長さが9または10ヌクレオチド長の場合には17乃至23ヌクレオチド長である。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの塩基配列の例として、好ましくは、GGGGGGTGACGATCGTCGGG(配列番号97:Mod92),GGGGGGTGACGATCGTCAGGG(配列番号28:Mod46),GGGGGGTCCCGATCGGGAGGG(配列番号22:Mod43),GGGGGGTTCCGATCGGAAGGG(配列番号24:Mod44),GGGGGGTGGCGATCGCCAGGG(配列番号26:Mod45),GGGGGGTGCATCGATGCAGGG(配列番号30:Mod47),GGGGGGGTGCCGATCGGCAGGG(配列番号6:Mod53),GGGGGGGGTGCCGATCGGCAGGG(配列番号7:Mod54),GGGGGGTGCCGATCGGCAGG(配列番号9:Mod40),GGGGGGGTGCCGATCGGCAGG(配列番号10:Mod55),GGGGGGTGCCGATCGGCAG(配列番号11:Mod41),GGGGGGTGCCGATCGGCA(配列番号15:Mod61),GGGGGGGTGCCGATCGGCA(配列番号16:Mod62),GGGGGGGGTGCCGATCGGCA(配列番号17:Mod63),GGGGGGGGGGTGCCGATCGGCA(配列番号18:Mod64),GGGGGGGACGACGTCGTCGG(配列番号40:Mod71)及びGGGGGGAACGACGTCGTTGG(配列番号42:Mod73)を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されない。また、例えば、式:5’−(G)MPXCGYQ(G)N−3’のMが7でNが2である場合、GGGGGGGAGCCGATCGGCTGG(配列番号43),GGGGGGGAGCCGATCGGCAGG(配列番号44),GGGGGGGTGCCGATCGGCTGG(配列番号45),GGGGGGGAGCCGATCGGCCGG(配列番号46),GGGGGGGCGCCGATCGGCCGG(配列番号47),GGGGGGGTGACGATCGTCAGG(配列番号48:Mod84),GGGGGGGTGACGATCGTCTGG(配列番号49),GGGGGGGAGACGATCGTCAGG(配列番号50:Mod85),GGGGGGGAGACGATCGTCTGG(配列番号51:Mod83),GGGGGGGCGACGATCGTCAGG(配列番号52:Mod87),GGGGGGGTGACGATCGTTAGG(配列番号53),GGGGGGGTCGACGTCGTGG(配列番号100),GGGGGGGACGACGTCGTGG(配列番号101)及びGGGGGGGTCGACGTCGAGG(配列番号102),GGGGGGGACGACGTCGTCGG(配列番号105)であってもよく、さらに、Mが7でNが3である場合、GGGGGGGCGACGATCGTCGGG(配列番号54),GGGGGGGTGACGATCGTCGGG(配列番号94),GGGGGGGTCGACGTCGTGGG(配列番号99)及びGGGGGGGTCGACGTCGAGGG(配列番号107)、Mが8でNが1である場合、GGGGGGGGCGACGATCGTCG(配列番号95;Mod93),GGGGGGGGTGACGATCGTCG(配列番号96),GGGGGGGGACGACGTCGTG(配列番号103)及びGGGGGGGGTCGACGTCGAG(配列番号104)であってもよい。また、Mが8でNが0である場合、GGGGGGGGACGACGTCGTC(配列番号106)であってもよい。
下記実施例において具体的に示される通り、配列表の配列番号6、7、9乃至11及び15乃至18、22、24、26、28、30、40、42、48、50乃至52、54、95及び97で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、前記式において、PXCGYQの条件を満たすがその他の条件を満たさないD−タイプCpG配列よりもIFN誘導活性が増強され、炎症性サイトカイン誘導活性が低減することが確認されている。すなわち、IFN誘導活性においては、オリゴヌクレオチドのCpGモチーフを含むパリンドローム配列が必須であるが、IFN誘導活性の増強と炎症性サイトカイン誘導活性の低減においては、その外側に挿入するポリG配列の塩基数が重要である。従って、本発明の最も重要な部分は、ポリG配列と特定のパリンドローム配列との組み合わせではなく、最適なポリG配列の挿入様式である。また、上記列挙したオリゴヌクレオチドのうち、配列番号6、7、10及び15乃至17、24、26、28、48及び50乃至52に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、中でも、配列番号6、7、10、28、48及び50乃至52のオリゴヌクレオチドは、強いインターフェロン(IFN)誘導活性を有しており、特に好ましい。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合、各ヌクレオチドのリボース糖部、塩基部のうちの全て又は一部が化学修飾されていてもよい。ただし、XCGYのCのメチル化は免疫刺激活性が消失するので好ましくない。このような修飾された本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの好適な実施形態としては、ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合におけるリン酸基の酸素原子の置換及び/又は修飾であり、例えばホスホロチオエート(Phosphorothioate)、メチルフォスフォネート(Methylphosphonate)及びフォスフォラミデート(Phosphoramidate)を挙げることができる。ホスホロチオエート修飾は、5'−末端のポリG配列(前記式中の(G)M)の一部又は全てのヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合においてなされていることが好ましい。5'−末端のポリG配列については、該配列を構成するすべての塩基間又は最末端のホスホジエステル結合においてホスホロチエート修飾がなされていることが好ましい。3'−末端のポリG配列については、最末端の塩基を除く一部又は全ての塩基間のホスホジエステル結合においてホスホロチオエート修飾がなされていることが好ましい。また、上記一般式におけるN=0又は1のオリゴヌクレオチドはグアニン以外の3’−末端側のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されていてもよい。さらには、5’−末端のポリG配列と3’−末端側の最末端のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されていることが好ましい。さらに、免疫刺激活性を有する限りにおいては、CpGジヌクレオチドのシトシン(前記式中の中央部のC)においてメチル化以外の化学修飾がされていてもよい。
ホスホジエステル骨格を有するオリゴヌクレオチドの分解は、エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼにより媒介される。ヌクレオチド間結合がホスホロチオエート修飾されることによりこれらのヌクレアーゼに対して抵抗性を獲得することが知られている。一部のヌクレオチド残基間が修飾されているオリゴヌクレオチドとしては、例えば、5'及び3'末端のヌクレオチド間がホスホロチオエート修飾結合を有するオリゴヌクレオチドやポリG配列のヌクレオチド間がホスホロチオエート修飾結合を有するオリゴヌクレオチドがあり、エキソヌクレアーゼに耐性を有する。また、全てのヌクレオチド残基間がホスホロチオエート修飾されているオリゴヌクレオチドはエキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼに抵抗性を有する。ヌクレアーゼ耐性のCpGオリゴヌクレオチドは安定であり、例えば、標的受容体に作用する時間の延長や一定の濃度を維持する結果、増強された免疫刺激活性を示す。
なお、上記の本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、上述した塩基配列に関する要件を満たしていれば、免疫刺激活性、具体的には増強されたIFN誘導活性と低減された炎症性サイトカイン誘導活性を有する限り、核酸以外の分子が結合されていてもよい。
本発明において、免疫刺激オリゴヌクレオチドが免疫刺激活性を有するとは、インターフェロン(IFN)誘導活性が増強され、かつ炎症性サイトカイン誘導活性が低減されることを意味する。ここで、炎症性サイトカインとはインターロイキン−12(以下、IL−12)、腫瘍壊死因子−α(以下、TNF−α)、インターロイキン−6(以下、IL−6)およびインターロイキン−1β(以下、IL−1β)を意味する。炎症性とは、組織における発熱の誘導や細胞の浸潤及び活性化を引き起こす性質を言う。一方、免疫抑制性とは上記の炎症反応を抑制するような機能あるいは性質を有することを表す。インターロイキン−10(以下、IL−10)は、免疫抑制性サイトカインの一つであり、機能的に炎症性サイトカインとは異なる。IFN誘導活性或いは炎症性サイトカイン誘導活性とは、例えば、ヒトにおいては平均的な反応性を有するヒト検体の末梢血単核球(PBMC)、マウスにおいては骨髄由来樹状細胞あるいは脾細胞あるいはCpG配列を有する免疫刺激オリゴヌクレオチドに感受性の単球系細胞株J774やRAW264.7からの各サイトカイン産生を誘導する作用のことを示す。本発明においては、ヒト末梢血単核球(以下、PBMC)における免疫刺激オリゴヌクレオチド処置によるIFN−α及びIFN−γの産生誘導を指標とした活性として示すことができる。また、マウス脾細胞における免疫刺激オリゴヌクレオチド処置によるIFN−γ及びIL−10の産生誘導を指標とした活性として示すことができる。更に、マウス樹状細胞及びJ774細胞株において免疫刺激オリゴヌクレオチド処置によりインターロイキン−12p40(以下IL−12p40)及びTNF−αの産生誘導を指標とした活性として示すこともできる。また、本発明において、いくつかの免疫刺激オリゴヌクレオチド配列の活性を比較する際に用いる、増強されたIFN誘導活性とは、上記細胞を免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激した場合に他よりも低濃度において多量のIFN−α及びIFN−γを誘導することを表わす。一方、低減された炎症性サイトカイン誘導活性とは、上記細胞を免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激した場合に他よりも少量のIL−12p40及びTNF−αを誘導することをいう。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドによるPBMCからのIFN−γ及びIFN−αのin vitroでの誘導活性を評価する試験の具体的方法を以下に示す。ヒト血液からHistopaque 1077を用いた密度勾配遠心を2000rpm,室温で25分間行い、PBMCを単離する。単離したPBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあたり4.0×10個の細胞が含まれるように調製後、丸底の96穴マイクロプレートに1ウェルあたり4.0×10個の細胞を播き、免疫刺激オリゴヌクレオチドの存在下で24時間、または7日間刺激し、それぞれ培養上清を回収する。IFNαとIFNγの産生量は、それぞれ24時間と7日間の刺激後の培養上清を用いてELISA法にて定量する。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドによるPBMCからのIL−12及びTNF−αのin vitroでの誘導活性を評価する試験の具体的方法を以下に示す。ヒト血液からHistopaque 1077を用いた密度勾配遠心を2000rpm,室温で25分間行い、PBMCを単離する。単離したPBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあたり2.0×10個の細胞が含まれるように調製後、平底の96穴マイクロプレートに1ウェルあたり2.0×10個の細胞を播き、免疫刺激オリゴヌクレオチドの存在下で8時間、または24時間刺激し、それぞれ培養上清を回収する。IL−12及びTNF−αの産生量は、それぞれ8時間と24時間の刺激後の培養上清を用いてELISA法にて定量する。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドによるマウス脾細胞からのIFN−γ及びIL−10産生誘導の有無を確認する手段として、in vitroでの誘導評価試験が挙げられる。具体的方法を以下に示す。オス10−25週齢のCL57BL/6Nマウスの脾臓を摘出し、RPMI1640/FCS 10%の入ったシャーレに移す。擦り付きスライドガラス2枚を用いて脾臓をすり潰し、セルストレイナーで漉しながら丸底遠沈管に移す。1000rpmで10分間4℃にて遠心し、上清を捨てて、5mLの溶血バッファー(0.83% NH4Clと170mM Tris−HCl,pH7.65を9対1で混合して調製する)を加え、ピペッティング操作で細胞塊をほぐして懸濁する。5分間室温でインキュベーションしたのち、5mLの培養液を加えて転倒混和し、1000rpmで10分間4℃にて遠心する。上清を捨てて、10mLの培養液を加え、ピペッティング操作で細胞塊をほぐして懸濁した。洗浄操作を2回繰り返したのちに、培養液で再懸濁して、トリパンブルーを用いて細胞数をカウントして、1mLあたりの生細胞数が4×106となるように調製する。丸底の96穴プレートに1ウェルあたり4.0×105個の細胞となるように播き、免疫刺激オリゴヌクレオチドを添加して3日間刺激する。刺激終了後、培養上清中のIFN−γ及びIL−10の濃度をELISA法にて定量する。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドによるマウスJ774細胞からのIL−12p40及びTNF−α産生誘導の有無を確認する手段として、in vitroでの誘導評価試験が挙げられる。J774細胞株は培養液(RPMI1640,FCS 10%,50μM 2−ME)で1mLあたりに1×106個となるように調整する。平底96穴マルチプレートに1ウェルあたり1.0×105個の細胞となるように播き、免疫刺激オリゴヌクレオチドを添加して4時間あるいは8時間あるいは48時間刺激する。刺激終了後、培養上清中のIL−12p40及びTNF−αの濃度をELISA法にて定量する。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド又は従来の技術及び核酸合成装置で合成できる。これらの合成方法は酵素的方法、化学的方法、本発明の配列より長い配列の分解を含むが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、修飾されたオリゴヌクレオチドも従来の技術において合成される。例えば、オリゴヌクレオチドホスホルアミデートを硫黄で処理することにより、ホスホロチオエート修飾されたオリゴヌクレオチドが得られるが、必ずしもこれに限定されるものではない。これらのオリゴヌクレオチドの合成技術、修飾技術は本明細中に引用されている特許文献、非特許文献においても用いられており、その他にも多数の報告が確認される公知の技術である。
上記した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、医薬としての使用を目的としたオリゴヌクレオチド複合体の形態にあってもよい。複合体とは、該免疫刺激オリゴヌクレオチドと他の物質(例えば、サイトカイン類やペプチド、タンパクあるいは非タンパク質からなる抗原が含まれる)との混合物及び結合体、該免疫刺激オリゴヌクレオチドを取り込ませたコロイド分散系あるいは脂質ベース系を使用してもよい。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロクロスフェア、ビーズがあげられる。また、脂質ベース系としては、例えば、水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、及びリポソームが選択されてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。好適な実施形態としては、上記の複合体が免疫刺激オリゴヌクレオチドを埋封したリポソームである。埋封とは、リポソームの脂質膜表面との結合、脂質膜中への取り込み、あるいはリポソームの内腔への取り込みを指し示す。また、リポソームは特定の機能分子、例えば、モノクロナール抗体、糖、糖脂質、若しくはタンパク質により、修飾、若しくは結合されていてもよい。
リポソームを構成する脂質としては、リポソームを構成するために知られている任意の常用の脂質を単独で又は複数組合せて使用することができる。例えば、天然物、例えば卵黄、大豆、又はその他の動植物から得られる脂質、これらの脂質を水素添加によって不飽和度を低下したものを使用することができる。具体的には、例えば、ステロール類(例えばコレステロール)、ホスファチジルエタノールアミン類(例えばジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)、ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジルコリン類(例えばジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン)、ホスファチジルグリセロール類、ホスファチジルセリン類(例えばジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアロイルホスファチジルセリン)、ホスファチジン酸類(例えばジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸)、スフィンゴミエリン類やカルジオリピン等があげられるが、必ずしもこれに限定されない。
リポソームの作製は公知の方法を用いる。ボルテックス法及び超音波法が一般的であるが、そのほかにエタノール注入法、エーテル法、メカノケミカル法、加温法、脂質溶解法及び逆相蒸発法などが適用でき、これらを組合せて使用することもできる。例えば、ボルテックス法及び超音波法においては、所定の脂質を有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、クロロホルム又はこれらの混合物、例えばメタノールとクロロホルムとの混合物に溶解した後、該有機溶剤を蒸発除去することにより脂質の薄層を得る。この際、上記した脂質を様々な組み合わせ、濃度比率で有機溶剤に溶解することにより、多様なリポソームを製造することが可能である。次に、この脂質の薄層に水性媒体を加えてボルテックス処理又は超音波処理することによりリポソームが形成される。この際に、上記水性媒体にリポソーム内へ埋封する物質を混入、例えば溶解又は懸濁させておくことにより、物質をリポソームに埋封することができる。水性媒体に溶解する埋封物質の濃度は、特に限定はされないが、タンパク質においては0.00375〜375mg/mL、免疫刺激オリゴヌクレオチドにおいては0.5μg〜5000μg/mLであることが好ましい。また、一般的にはリポソーム粒子径としては0.01〜10μmの範囲内であることが好ましい。
上記本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、各種用途の医薬の有効成分として用いることができる。実施形態の一つの好適な適応症としては、アレルギー疾患があげられる。アレルギー疾患とは、花粉、ダニ、犬や猫などの動物、食物、ハウスダストなどに由来する抗原物質を起因とし、鼻炎、結膜炎、皮膚炎、喘息などの炎症を症状とする疾患である。さらに好適な実施形態としては、上記アレルギー疾患のうち、特に花粉アレルギー症の治療、又は予防剤の有効成分としての用途を挙げることができる。花粉アレルギーとは特にスギ花粉由来の蛋白を抗原とするアレルギーが一般的であるが、抗原がヒノキ、シラカバ、ハンノキ、ブタクサ、ヨモギ、カモガヤなどの他の花粉由来物質であっても良い。
例えば、スギ花粉抗原で感作したマウスの脾細胞をスギ花粉抗原で刺激すると通常は抗原特異的なTh2応答の指標となるIL−5やIL−4の産生が誘導され、Th1応答の指標となるIFN−γの産生誘導は確認できないが、スギ花粉抗原と本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで同時に刺激するとIFN−γが効果的に誘導されることを確認できる。また、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドをマウスに処置した後に、抗原とアラムの混合液でTh2反応を惹起すると、血清中の抗原特異的なIgEの産生は抑制され、抗原特異的なIgG2aが増加することが確認できる。この試験方法は感作及び治療用に処置する抗原に喘息誘発抗原を用いた場合、喘息の治療効果を確認できる。
従って、上記本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは各種アレルギーに対して高い治療、予防効果を示す。
上記本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、単剤での使用や、上記したアレルゲンとともに用いて減感作療法の治療剤としての使用も可能である。
さらに、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドはヒト細胞のIgE産生を抑制する作用を有する。かかる作用を確認するための手段として、in vitroでのIgE産生の抑制活性を評価する試験の具体的方法を以下に示す。上記した方法によりヒト血液から単離したPBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあたり4.0×10個の細胞が含まれるように調製した後、平底の96穴マイクロプレートに1ウェルあたり4.0×10個の細胞を播き、ヒトIL−4と抗CD40抗体とともに免疫刺激オリゴヌクレオチドを添加して14日間刺激し、培養上清を回収する。IgEの産生量はELISA法にて定量する。
上記発明の実施形態の一つの好適な適応症としては、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドをアジュバントとして含む、ワクチンであっても良い。ワクチンの使用可能な疾患は感染症及びアレルギー症である。感染症とはウィルス、細菌、真菌、及び原虫等を原因として発症する疾患であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。通常、ワクチンとは、患者に投与し、活性な免疫を生成する、感染性因子、感染因子のある部分、または動植物由来の因子を含む抗原性懸濁液または溶液をいう。ワクチンを構成する抗原性部分は、タンパク質、ペプチド、脂質、多糖、核酸のどれであっても良い。好ましい実施形態としては、特に限定はされないが、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドと上記ワクチンの混合液である。また、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドと上記ワクチンの抗原性部分との複合体であってもよい。
さらに、実施形態の一つの好適な適応症は、肝炎、具体的には免疫系の活性化を伴う肝炎、非ウイルス性の肝炎及び/又はウイルス性肝炎であって、さらに好ましくはHBV及び/又はHCV感染によるB型肝炎及び/又はC型肝炎である。
本明細書のHBV及び/又はHCV感染の症状には、急性および慢性の肝炎を成因とする症状が含まれる。ウイルス性肝炎の臨床症状は、黄疸、腹痛、倦怠感、吐き気、及び嘔吐、並びに肝炎に関係する臨床的/検査所見、肝酵素レベルの上昇(例えば、アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及び/又は乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH))、ビリルビンの上昇、HCVウイルス血症または抗原レベル、門脈圧亢進症および食欲不振等の上昇を含むが必ずしもこれに限定されない。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのB型肝炎及び/又はC型肝炎の治療効果は、上記した臨床症状(例として黄疸、倦怠感、腹痛)、肝炎関連の検査所見(例として血中肝酵素レベル)、ウイルス増幅および複製、あるいはウイルスの量(力価)を指標として評価しうる。すなわち、本発明による治療を行わなかった個体と比較し、本発明による免疫刺激オリゴヌクレオチドを用いて治療をした個体は、B型肝炎及び/C型肝炎の臨床症状の消失、寛解、改善あるいは症状の程度の軽減、さらには罹患期間の短縮が期待できる。肝炎関連の検査所見やウイルス複製およびウイルス量についても治療効果として反映されうる。ウイルス力価の減少は、感染部位又は個体からのウイルスの排除を含む。
評価の方法としては、症状の検出、臨床検査による肝機能の計測、肝生検、肝門脈圧の直接的又は間接的計測、及びウイルス粒子、ウイルス核酸またはウイルス抗原力価の計測、そして抗ウイルス抗体の検出及び計測を含む本技術分野で知られるいずれかの手段が選択されうる。腹痛及び倦怠感等の自覚的な身体的症状は症状の有無により判定し、黄疸は定性ベース、ビリルビンの血中又は血清中レベルの計測により定量化する。肝炎に関する検査所見、例えば、血液あるいは血清中の肝酵素はAST及びALT量は、血液学的、血液生化学的及び組織学的試験により計測する。血液又は血清サンプル中のウイルス力価は当該技術領域における周知の方法、例えばウイルス粒子の定量化(例えば分離及び可視化によるか又はDNase抵抗性粒子のアッセイ)、血液又は血清サンプル中のウイルス抗原の検出(ELISA法による抗原量の定量化)、血液又は血清サンプル中の抗ウイルス抗体の検出、又はウイルス核酸(RNAおよびDNA)の検出(HCV遺伝子特異的プライマーを用いたPCR増幅あるいはウイルス特異的プローブを用いたin situハイブリダイゼーション)により計測する。肝組織生検においても上記方法で評価可能である。
上記発明の治療剤の治療対象は脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。ヒト以外の脊椎動物は、例としてイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ラットまたはマウスがあるが、必ずしもこれに限定されない。
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドはHBV及び/又はHCV感染の可能性のある個体(例としては身体的症状のない場合やHCVキャリアーである母体内の胎児)、HBV及び/又はHCV感染の認められた個体、上記したB型肝炎及び/又はC型肝炎の臨床症状を伴う個体(例えば、慢性肝炎や初期感染あるいは慢性感染後の再発等による急性肝炎を含む)に投与されうる。HBV及び/又はHCV感染あるいはその症状の程度により、免疫刺激オリゴヌクレオチドの投与はさまざまな回数でなされる。また、免疫刺激オリゴヌクレオチドを用いた治療は、インターフェロン療法等の治療(およびその効果)が不十分であった個体あるいは不成功に終わった個体にも用いられうる。さらに、免疫刺激オリゴヌクレオチドは単回又は複数回投与されうる。
このようなアレルギー疾患あるいは肝炎の予防・治療剤として用いる場合、投与経路は、特に限定されないが、皮下注射、皮内注射、静脈内注射、筋肉内注射、患部組織への注入、経口投与、経鼻投与、経眼投与等、経咽頭投与、経肺投与、経皮投与、舌下投与などが好ましい。また、投与量は、患者の症状、治療目的、投与経路等により適宜選択されるが、通常、成人1日当り、オリゴヌクレオチド量として、0.1pmol〜10μmol、好ましくは1pmol〜1μmol程度である。アジュバントとして使用する場合の投与量も、投与目的、投与経路等により適宜選択されるが、通常、上記と同程度の投与量でよい。また、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、通常、採用される剤形を製剤する周知の製剤方法により製剤される。
またこれらの免疫刺激オリゴヌクレオチドは、アレルギー疾患の治療、若しくは予防剤、ワクチンのアジュバント又は肝炎の治療、若しくは予防剤としての使用し、アレルギー疾患の治療、若しくは予防方法、ワクチンに対するアジュバントとして利用する方法又は肝炎の治療、若しくは予防方法としても使用できる。
以下に実施例を詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の説明文中で使用されている免疫刺激オリゴヌクレオチドの配列の略号及び特性は、配列表に記載されている。また、実施例中に記載されている公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドの配列、略号及び特性は表1に示した。
Figure 0005161770
実施例1:ヒトPBMCにおける免疫刺激オリゴヌクレオチドのIFN誘導活性に必須な5'末端側ポリG配列の塩基数の比較
種々の塩基数からなるポリG配列を挿入したCpGオリゴヌクレオチドを合成し、IFN誘導活性に必須な長さについて検討した。徳永らが示しているパリンドローム配列CGATCG(特開平4−352724号公報の配列49及び配列15)を含むパリンドローム配列TGCCGATCGGCAの外側の両末端あるいは5’末端側のみにホスホロチオエート修飾されたポリG配列を含むオリゴヌクレオチドを挿入した免疫誘導オリゴヌクレオチド20種を構築した(配列番号1〜20)。なお、Mod2(配列番号1)およびMod33(配列番号5)については国際公開2006/035939パンフレットにおいて、IFN誘導活性を有することが示されている。そしてこれらの配列からなるオリゴヌクレオチドのうち、ヒトPBMCにおけるIFN−α及びIFN−γ産生の誘導活性を有するものをスクリーニングした(図1−1〜図1−6、表2)。IFN−α及びIFN−γ誘導活性の評価は、ヒトPBMCからのIFN−α及びIFN−γのin vitroでの誘導活性を評価する試験の具体的方法として示した手順及び条件に従い、それぞれ24時間刺激及び7日間刺激した培養上清中の産生量をもとに評価した。
Figure 0005161770
表2に表示されたIFN産生量は免疫刺激オリゴヌクレオチドの濃度が100nM(終濃度)における値である。図及び表中の配列中の小文字はホスホロチオエート修飾塩基を表わす。
図1−1及び図1−2は、Mod2(配列番号1:レーン2)、Mod52(配列番号2:レーン3)、Mod51(配列番号3:レーン4)、Mod42(配列番号4:レーン5)、Mod53(配列番号6:レーン6)、Mod54(配列番号7:レーン7)、Mod56(配列番号8:レーン8)、Mod40(配列番号9:レーン9)、及びMod55(配列番号10:レーン10)の、オリゴヌクレオチドの濃度が100nM(終濃度)の際のIFN−α産生量、及び同濃度が300nM(終濃度)の際のIFN−γ産生量の結果をそれぞれ示す。IFN−α誘導活性(表2及び図1−1)に関し、3’末端にポリG配列が3塩基(N=3)ある群(図1−1、レーン3〜7)では、5’末端にポリG配列が6塩基以上(Mは7以上)持つものの活性が高かった(レーン6および7)。また3’末端にポリG配列が2塩基(N=2)ある群(レーン8〜10)では、5’末端にポリG配列を6塩基以上持つものの活性が高かった(レーン9、10)。さらに、典型的なD−タイプCpG配列の構造(M=2/N=6、レーン2)を有するMod2と比較して、Mod52(M=3/N=3、レーン3)、Mod51(M=4/N=3、レーン4)及びMod42(M=5/N=3、レーン5)の活性は減弱あるいは完全に消失することから、Mod2のポリG配列中4乃至6の数塩基を変換した配列を設計するだけでは必ずしも増強されたIFN−α誘導活性を有するオリゴヌクレオチドが得られるわけではないことが判明した。IFN−γ誘導活性(図1−2)についても、Mod56(配列番号8、M=5/N=2、レーン8)を除き、同様の傾向であった。特に、Mod53(M=7/N=3、レーン6)、Mod54(M=8/N=3、レーン7)とMod55(M=7/N=2、レーン10)のIFN−γ誘導活性は、3’末端のポリG配列の長さが6塩基であるMod2よりも有意に向上した(t検定:P<0.01)。この結果は、オリゴヌクレオチドのIFN誘導活性は5’末端側に依存し、少なくとも6塩基以上の長さのポリG配列が必要であることを示している。
次に、5’末端のポリG配列の長さとIFN誘導活性との関連について明らかにするため、20塩基までのポリG配列を5’末端に挿入したオリゴヌクレオチドについてIFN誘導活性を評価した(図1−3及び図1−4)。図1−3及び図1−4には、Mod2(レーン1)、Mod61(配列番号15:レーン2)、Mod62(配列番号16:レーン3)、Mod63(配列番号17:レーン4)、Mod64(配列番号18:レーン5)、Mod65(配列番号19:レーン6)、及びMod66(配列番号20:レーン7)の、オリゴヌクレオチドの濃度が300nM(終濃度)の際のIFN−α産生量とIFN−γ産生量をそれぞれ示す。その結果、濃度300nMにおいて、8塩基までのポリG配列を持つもののIFN−α誘導活性は有意に向上し(図1−3、M=6〜8/n=0、レーン2〜4)、塩基数10のポリG配列を有するオリゴヌクレオチド(M=10/N=0)はMod2を若干上回る活性を示した(図1−3、レーン5)。一方、12塩基以上(M=12 or 20/N=0)では殆ど活性が消失した(レーン6、7)。また、IFN−γ誘導活性は、IFN−α誘導活性と同様の傾向であったが、ポリG配列が12塩基以上でも従来のD−タイプCpG配列のMod2と同程度の活性であった(図1−4、レーン1、6、7)。
さらに、3’末端のポリG配列の塩基数とIFN誘導活性との関連について評価した。図1−5及び図1−6には、Mod2(レーン2)、Mod50(配列番号14:レーン3)、Mod49(配列番号13:レーン4)、Mod40(レーン5)、Mod41(配列番号11:レーン6)の、オリゴヌクレオチドの濃度が100nM(終濃度)の際のIFN−α産生量と、同濃度が300nM(終濃度)の際のIFN−γ産生量とを、それぞれ示す。5’末端のポリG配列の長さを2塩基(Mod2:M=2/N=6、レーン2)から6塩基(Mod50:M=6/N=6、レーン3)にするとMod55(M=7/N=2、図1−1及び図1−2のレーン10参照)と同程度にIFN−α及びIFN−γの産生量は増加した(表2、図1−5及び1−6)。5’末端側に6塩基のポリG配列を有するオリゴヌクレオチド(M=6/N=0〜6)のIFN−α誘導活性は、3’末端側のポリG配列の長さにも依存する傾向を示したが、完全に消失することなく、Mod2を超えていた(図1−5、レーン3〜6)。また、各オリゴヌクレオチドの濃度300nMにおけるIFN−γ誘導活性は、いずれもMod2を超えていた(図1−6、レーン2〜6)。
以上の結果から、5'末端側のポリG配列の塩基数(M)が6乃至10、好ましくは6乃至8である場合、3'末端側にポリG配列が全くないオリゴヌクレオチド(M=6〜8/N=0)であっても、前記式中のPXCGYQ部分が同一である従来のD−タイプCpG配列よりも増強されたIFN誘導活性を有することを確認した。
実施例2:マウスJ774細胞における免疫刺激オリゴヌクレオチドの炎症性サイトカイン誘導活性に必須な3'末端側ポリG配列の塩基数の比較
5'末端側に長さが6塩基のポリG配列を挿入した免疫刺激オリゴヌクレオチドについて、前述したマウスJ774細胞のIL−12p40産生誘導の有無を確認する手段としてのin vitroでの誘導評価試験を行った。すなわち、J774細胞株を各オリゴヌクレオチドで48時間刺激し、培養上清中の炎症性サイトカインIL−12(IL−12p40)の産生量を評価した。その結果、(Mod50(レーン2)、Mod49(配列番号13:レーン3)、Mod48(配列番号12:レーン4)、Mod33(配列番号5:レーン5)、Mod40(レーン6)、Mod41(レーン7))の、それぞれの終濃度300nMにおけるIL−12p40の産生は、3'末端側のポリG配列の塩基数が4以上(M=6/N=4〜6:レーン2〜4)で誘導されたが、3塩基以下(M=6/N=0〜3:レーン5〜7)では全く活性が認められなかった(図2)。
以上の結果から、3'末端側のポリG配列が3塩基以下のオリゴヌクレオチドは、5'末端側に6塩基のポリG配列が挿入されていても炎症性サイトカイン誘導活性が低減あるいは消失することを確認した。
実施例3:パリンドロームモチーフとしてCGATCG、ATCGAT及びGACGTCを有する配列を含む、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド等及びD−タイプCpGオリゴヌクレオチドの、ヒトPBMCにおけるIFN産生誘導効果の比較
式:5’−(G)MPXCGYQ(G)N−3’のPがT(チミン)、QがA(アデニン)であり、XCGYが10塩基である6種のパリンドロームモチーフに、それぞれポリG配列が5'末端側に6塩基と3'末端側に3塩基を挿入した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド(G6−PXCGYQ−G3、M=6/N=3)、及びポリG配列が5'末端側に2塩基で3'末端側に6塩基挿入したD−タイプCpG配列(D−type CpG: G2−PXCGYQ−G6、M=2/N=6)を合成し、ヒトPBMCにおけるIFN誘導活性を評価した。それぞれのオリゴヌクレオチドのパリンドロームモチーフは、配列表、図3−1、及び3−2、及び3−3中で示されており、Mod29(配列番号21)及びMod43(配列番号22)はレーン1のCCCGATCGGG、Mod37(配列番号23)及びMod44(配列番号24)はレーン2のTCCGATCGGA、Mod38(配列番号25)及びMod45(配列番号26)はレーン3のGGCGATCGCC、Mod39(配列番号27)及びMod46(配列番号28)はレーン4のGACGATCGTC、D19(配列番号29)及びMod47(配列番号30)はレーン5のGCATCGATGCである。尚、ヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを用いた他は実施例1と同様の手順及び条件にて行った。
濃度100nMにおけるD−タイプCpGと本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドなどの活性を測定した結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(図3−1、G6−PXCGYQ−G3)は、評価した全てのパリンドロームモチーフにおいてD−タイプCpG(G2−PXCGYQ−G6)よりもIFN−αの誘導活性が亢進し、D−タイプCpGの1.4〜74.5倍の範囲で増強された。また、上記オリゴヌクレオチドの濃度100nMにおけるIFN−γ産生誘導活性についても、IFN−αと同様な傾向を示した(図3−2)。
さらに、前記式中のPがA(アデニン)、QがC(シトシン)あるいはT(チミン)であり、8塩基のパリンドロームモチーフCGACGTCGを含む、2種の本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドとD−タイプCpGのヒトPBMCにおけるIFN−α誘導活性を評価した。その結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのMod71(配列番号40、M=7/N=2)とMod73(配列番号42、M=6/N=2)は、濃度300nMにおいて、それぞれのD−タイプCpG配列であるMod70(配列番号39、M=3/N=6)とMod72(配列番号41、M=2/N=6)よりも活性が顕著に増強された(図3−3)。
これらの結果は、本発明の新規な免疫刺激オリゴヌクレオチドの有するポリG配列の挿入様式が特定のパリンドローム構造に非依存的にIFN誘導活性を増強することを示している。
実施例4:パリンドロームモチーフとしてCGATCGを有する本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのヒトPBMCにおけるIFN−α産生誘導効果
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの最適な配列について検討した。M=7且つN=2であり、XCGYがGACGATCGTCである本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのPとQについて、さらに検討した。PがA(アデニン)かつQがT(チミン)のオリゴヌクレオチド(Mod83,配列番号51)、PがTかつQがAのオリゴヌクレオチド(Mod84,配列番号48)、PとQがともにAのオリゴヌクレオチド(Mod85,配列番号50)、PがCかつQがAのオリゴヌクレオチド(Mod87,配列番号52)を合成した。実施例3において見出した、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの中でも特に強いIFN誘導活性を有するMod46とこれらのオリゴヌクレオチドのヒトPBMCにおけるIFN−α誘導活性について比較評価した。尚、ヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを用いたこと、及びIFN−αのみを測定した他は実施例1と同様の手順及び条件にて行った。
その結果、オリゴヌクレオチドの濃度100nMにおいて、Mod83、Mod84、Mod85およびMod87はMod46と同程度のIFN−α誘導活性を示した(図4)。この結果は、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのPとQが、G以外の塩基、すなわちA、T及びCのいずれでも良く、互いに相補的なヌクレオチドでなくても強いIFN−α誘導活性を有することを示している。
実施例5:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドとG9−GACGATCGTC−G1及びG7−GACGATCGTC−G3のヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の比較
本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドと特開2005−237328号公報において強いIFN−α誘導活性を有する配列として示されているオリゴヌクレオチド配列G9−GACGATCGTC−G1(配列番号36)及びG7−GACGATCGTC−G3(配列番号98)のヒトPBMCにおけるIFN誘導活性を比較した。
G9−GACGATCGTC−G1及びG7−GACGATCGTC−G3と最近似な配列を有し、ホスホロチオエート修飾していない本発明の免疫刺激オリゴオリゴヌクレオチドであるMod92(配列番号97)及びMod93(配列番号95)を合成し、ヒトPBMCにおけるIFN−α誘導活性を比較した(表3及び表4)。尚、ヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを用いた他は実施例1と同様の手順及び条件にて行った。
その結果、Mod92及びMod93はG7−GACGATCGTC−G3及びG9−GACGATCGTC−G1に比べて高いIFN−α誘導活性を示した。
Figure 0005161770
表3に表示されたIFN産生量は免疫刺激オリゴヌクレオチドの濃度が100nM(最終濃度)における値である。いずれのオリゴヌクレオチドもホスホロチオエート修飾塩基を使用していない。
Figure 0005161770
表4に表示されたIFN産生量は免疫刺激オリゴヌクレオチドの濃度が100nM(最終濃度)における値である。いずれのオリゴヌクレオチドもホスホロチオエート修飾塩基を使用していない。
以上の結果から、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドはホスホロチオエート修飾されていなくても強いIFN−α誘導活性を有していることが確認された。また、一般式におけるPとQが、G以外の塩基であることの重要性が示された。従って、GACGATCGなどの優れたIFN−α誘導活性を示すパリンドローム配列とポリG配列の間に少なくとも1塩基のヌクレオチドを挿入することによってさらにIFN−α誘導活性が向上することが示された。
実施例6:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドとG9−GACGATCGTC−G1及びG7−GACGATCGTC−G3のヒトPBMCにおけるIL−12誘導活性の比較
実施例5において用いた本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod93と特開2005−237328号公報で示されているオリゴヌクレオチド配列G9−GACGATCGTC−G1のヒトPBMCにおけるIL−12誘導活性を比較した。尚、測定は前述したPBMCからのIL−12のin vitroでの誘導活性を評価する試験の具体的方法に沿って行った。
その結果、本発明のMod93はIL−12の産生を全く誘導せず、むしろ刺激しなかった対照と比べて抑制する傾向を示した(表5)。一方、G9−GACGATCGTC−G1は弱いながらIL−12産生の増加を認めた。従って本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドはヒトにおいても炎症性サイトカインの誘導活性が低いことが示された。
Figure 0005161770
表5に表示されたIL−12産生量は無刺激(no CpG−ODN)或いは免疫刺激オリゴヌクレオチドの濃度が300nM(最終濃度)における値である。いずれのオリゴヌクレオチドもホスホロチオエート修飾塩基を使用していない。
免疫刺激オリゴヌクレオチドの単独刺激ではヒト末梢血細胞からの顕著なIL−12産生が認められなかったので、強力な炎症反応の誘導因子であるエンドトキシンのリポポリサッカライド(LPS)とともに刺激してIL−12産生に及ぼす影響を評価した。すなわち、前記した方法に従って単離したPBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあたり2.0×106個の細胞が含まれるように調製後、丸底の96穴マイクロプレートに1ウェルあたり2.0×105個の細胞を播き、LPSと免疫刺激オリゴヌクレオチドの共存下で24時間処置して培養上清を回収し、ELISA法にてIL−12の産生量を定量した。免疫刺激オリゴヌクレオチドはMod92、Mod93、G9−GACGATCGTC−G1及びG7−GACGATCGTC−G3を用いた。その結果、いずれの免疫刺激オリゴヌクレオチドにおいてもLPS(50ng/mL)刺激で誘導されるIL−12産生を増強しなかった。むしろ、その産生を抑制する効果が認められ、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドであるMod93が最も強い阻害活性を示した(表6)。
Figure 0005161770
表6に表示されたIL−12産生量はLPS存在下の無刺激(no CpG−ODN)あるいは免疫刺激オリゴヌクレオチドの濃度が100nM(最終濃度)における値である。いずれのヌクレオチドもホスホロチオエート修飾塩基を使用していない。
以上の結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドはヒトにおいて炎症性サイトカイン誘導活性が公知の配列よりも少なく、かつ抗炎症作用を有することを確認した。
実施例7:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドとM26、M27、M26−GS、M27−GS、I1、2006、2395、1018、C274、G9−GACGATCGTC−G1及びD19のヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の比較
KR2001−0063153(大韓民国公開特許)において示されているオリゴヌクレオチド配列M26(配列番号37)及びM27(配列番号38)とそれぞれのポリG配列のヌクレオチド間をホスホロチオエート修飾したM26−GSおよびM27−GSと、実施例1及び3において見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod55およびMod46のIFN−α誘導活性を比較評価した。尚、本実施例5におけるヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを用いたこと、及びIFN−αのみを測定した他は実施例1と同様の手順及び条件にて行った。その結果、オリゴヌクレオチド濃度100nMにおいて、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは他のオリゴヌクレオチドに比べて著しく高いIFN−α誘導活性を示した(図5−1)。
次に、特開2005−237328号公報において強いIFN−α誘導活性を有する代表的な配列として示されているオリゴヌクレオチド配列G9−GACGATCGTC−G1(配列番号36)と実施例1及び3において見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod53、Mod54、Mod55、Mod61、Mod62、Mod45、Mod46、Mod71及びMod73のIFN−α誘導活性を比較評価した結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの方が濃度1μMにおいて高いIFN−α誘導活性を示した(図5−2)。
また、特表平10−506265号公報において示されているオリゴヌクレオチド配列I1と、実施例3において見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod46と、Mod46と同一のパリンドローム配列を有するD−タイプCpGのMod39と、Mod33のIFN−α誘導活性を比較評価した結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは濃度30nMにおいて著しく高いIFN−α誘導活性を示したのに対し、他のオリゴヌクレオチドはほとんど活性を示さなかった(図5−3)。
さらに、国際公開第00/61151号パンフレットにおいて示されているオリゴヌクレオチド配列(D19)、特表2001−503267号公報及び国際公開第1998/018810号パンフレットにおいて示されているオリゴヌクレオチド配列(2006)、国際公開第03/015711号パンフレットにおいて示されているオリゴヌクレオチド配列(2395)、特表2002−517156号公報及び特表2002−500159号公報において示されているオリゴヌクレオチド配列(1018)及び国際公開第04/058179号パンフレットにおいて示されているオリゴヌクレオチド配列(C274)と本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod46(配列番号28)のヒトPBMCのIFN−α誘導活性を比較した。その結果、オリゴヌクレオチド濃度100nMにおいて、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドが最も強いIFN−α誘導活性を有することを確認した(図5−4)。
以上の結果、公知のCpG配列を有する免疫刺激オリゴヌクレオチドよりも、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの方が高いIFN−α誘導活性を示すことが明らかとなった。
実施例8:ポリG配列とパリンドローム配列GACGATCGTCを有する、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod46、Mod83、Mod85、Mod87と公知CpGオリゴヌクレオチドG10、G3−6、G9−GACGATCGTC−G1、G1−GACGATCGTC−G9及び2332のヒトPBMCにおけるIFN−α誘導活性の比較
パリンドローム配列GACGATCGTCの外側にポリG配列が挿入された公知のCpGオリゴヌクレオチドとしては、特開2005−237328号公報において示されているオリゴヌクレオチド配列G9−GACGATCGTC−G1(配列番号36)及びG1−GACGATCGTC−G9(配列番号55)、国際公開第2005/014110号パンフレットにおいて開示されているオリゴヌクレオチド配列G10(配列番号56)及びG3−6(配列番号57)と、特表2003−510290号公報において示されているオリゴヌクレオチド2332(配列番号58)がある。そこで、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod46、Mod83、Mod85及びMod87と上記公知CpGオリゴヌクレオチドのIFN−α誘導活性を比較評価した。尚、ヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを用いたこと、及びIFN−αのみを測定した他は実施例1と同様の手順及び条件にて行った。その結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの方が、オリゴヌクレオチド濃度30nMにおいて高いIFN−α誘導活性を示した(図6)。
実施例9:免疫刺激オリゴヌクレオチドMod2、Mod33、Mod39及びMod46のマウス脾細胞におけるサイトカイン産生誘導活性の比較
C57BL/6系統由来のマウス脾細胞を用いて実施例1および3で見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドであるMod46と、Mod33、D−タイプCpGであるMod39及びMod2との間で、サイトカイン誘導活性を比較評価した。
濃度100nMにおけるD−タイプCpGと本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのIFN−γ及びIL−10誘導活性を測定した。測定は、前述したマウスの脾細胞におけるIFN−γ及びIL−10産生誘導の有無を確認する具体的手段として挙げた手順及び条件に従って行った。その結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドであるMod46のIFN−γ誘導活性はパリンドロームモチーフが同一のD−タイプCpGであるMod39より増強し、Mod33よりも大きく上回っていた(図7−1)。一方、Mod33とMod46のIL−10誘導活性は、それぞれ、Mod2やMod39の誘導活性とほぼ同等であった(図7−2)。免疫刺激オリゴヌクレオチドによる免疫制御性サイトカインIL−10の誘導については炎症性サイトカインの誘導メカニズムと異なる可能性が示唆された。
以上の結果は、本発明の新規な免疫刺激オリゴヌクレオチドが、IL−10誘導活性を維持した状態でパリンドロームモチーフ非依存的なIFN誘導活性を増強することを示している。また、免疫刺激活性はCpG配列によって種特異性があるが、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは種差に影響されず、IFN誘導活性を増強させる普遍的な構造であることを確認した。
実施例10:本発明の新規な免疫刺激オリゴヌクレオチドの、J774細胞株における炎症性サイトカイン産生誘導活性の低減
実施例3で見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドなどによる炎症性サイトカイン産生の誘導活性についてパリンドロームモチーフが同一のD−タイプCpGと比較評価した。それぞれのオリゴヌクレオチドのパリンドロームモチーフは、配列表及び図8−1及び8−2中で示されており、Mod37及びMod44はレーン1のTCCGATCGGA、Mod38及びMod45はレーン2のGGCGATCGCC、Mod39及びMod46はレーン3のGACGATCGTCである。尚、評価は、前述したマウスJ774細胞におけるIL−12とTNF−αの誘導活性を評価する試験として挙げた手順及び条件に従って行った。その結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドであるMod44、Mod45及びMod46は、それぞれの同一のパリンドローム配列を有するD−タイプCpGのMod37、Mod38及びMod39と比べて、濃度300nMにおいて、IL−12(図8−1)とTNF−α(図8−2)の誘導活性がどちらも顕著に抑制された。
以上の結果、本発明で見出したポリG配列の挿入様式を有する新規な免疫刺激オリゴヌクレオチドは同一のパリンドロームモチーフからなる従来のD−タイプCpGよりも低減された炎症性サイトカイン誘導活性を示した。
実施例11:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドと2006、2395、1018及びC274のJ774細胞株におけるTNF−α誘導活性の比較
実施例8で見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod46と公知のCpGオリゴヌクレオチドのTNF−α誘導活性を評価した。J774細胞株にそれぞれの免疫刺激オリゴヌクレオチドを(最終濃度300nM)あるいは陽性対照のリポポリサッカライド(LPS:最終濃度100ng/mL)で8時間刺激処置して培養上清中のTNF−α産生量を測定した。その他の手順及び条件は実施例10と同様とした。その結果、実施例4において示されているオリゴヌクレオチド配列2006(配列番号31)、2395(配列番号32)、1018(配列番号33)、C274(配列番号34)及びMod39とLPSと比べて、Mod46は減弱されたTNF−α誘導活性を示した(図9)。このことから、実施例2及び6で示される結果も考慮すると、3'末端のポリG配列の塩基数が3塩基以下である本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは炎症性サイトカインの誘導活性が減弱することが示された。
実施例12:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87とMod39と1018のヒトPBMCにおけるIgE産生抑制活性の比較
実施例8で見出した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87と公知のCpGオリゴヌクレオチドのヒトIgE産生抑制活性を、前述したin vitroでのIgE産生の抑制活性を評価する試験の具体的方法として示した手順及び条件に従い、14日間刺激した培養上清中の産生量をもとに評価した。すなわち、PBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあたり4.0×10個の細胞が含まれるように調製した後、平底の96穴マイクロプレートに1ウェルあたり4.0×10個の細胞を播き、20ng/mLのヒトIL−4と0.2μg/mLの抗CD40抗体とともに免疫刺激オリゴヌクレオチドを最終濃度が30あるいは100nMとなるように添加した後、14日間刺激して培養上清中のIgE産生量をELISA法にて測定した(図10)。
その結果、IL−4と抗CD40抗体で誘導されるIgE産生に関し、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドであるMod87(図10のレーン5)は、国際公開2006/035939パンフレットにおいて示されているMod2(図10のレーン3)及びMod39(レーン4)、特表2002−500159号公報において示されている1018(レーン6)や国際公開第03/015711号パンフレットにおいて示されている2395(レーン7)と比べ、IgE産生量が低かった。
以上の結果、公知のCpG配列を有する免疫刺激オリゴヌクレオチドよりも、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドの方が高いIgE産生抑制活性を有しており、ヒトのアレルギー治療に有効である可能性が示された。
実施例13:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのアレルギーモデル動物におけるIgE産生抑制効果の確認
実施例12で顕著なヒトIgE抑制活性を示した本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87のアレルギー治療効果について、アレルゲンに特異的なTh2反応をマウスに惹起したときに誘導される血清中のIgE量を指標に評価した。アレルゲンはスギ花粉症のアレルゲンの一つとして知られる、スギ花粉抗原Cry j 1を用いた。Cry j 1の精製は公知の方法(H.Yasueda et al.(1983)J.Allergey Clin.Immunol.,71,77−86,M.Sakaguchi et al.(1990),45,309−312)に準じて行った。特表2002−517156号公報においてアレルギー治療効果を高める手段として抗原と免疫刺激オリゴヌクレオチドを近接化する方法が開示されている。具体的には共有結合やリポソーム等のマイクロカプセルを用いた方法があり、国際公開第2006/035939号パンフレットにおいてMod2とCry j 1を封入したリポソーム複合体がアレルゲンに暴露された時に誘導されるマウスの血中IgEを抑制することが報告されている。このIgE抑制効果については公知のCpG配列を有するオリゴヌクレオチドと比べて強いことが確認されている。そこで、リポソームによる近接化技術を用いてMod87とMod2のアレルギー治療効果を上記の試験方法により評価した。
Cry j 1と免疫刺激オリゴヌクレオチドを封入したリポソーム複合体の調製は以下の通りに行った。なお、陰性対照として免疫刺激オリゴヌクレオチドを封入しないCry j 1封入リポソーム複合体を調製した。コレステロールとジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)をモル比で1:1で混合し、クロロホルム:メタノール(=2:1)液に溶解し、ナシフラスコ内で脂質フィルムを作製した。次に脂質フィルムに3.75mg/mlのCry j 1あるいはCry j 1と10〜20μMの免疫刺激オリゴヌクレオチドの混合液を加え、40℃にて攪拌し、リポソームを作製した。Mod87の封入量は1条件(1xMod87)であり、Mod2についてはMod87と同濃度(1xMod2)および3倍濃度(3xMod2)の2条件で作製した。これらのリポソームを整粒装置のエクストルーダーを用いて、1μmのフィルターに0.2〜1MPaの範囲で加圧しながら5回整粒を行った。次にリポソーム液を遠心回法にて収後、PBS(−)で3回懸濁、遠心、上清除去することでリポソームの外側のCry j 1および免疫刺激オリゴヌクレオチドを除去した。得られたリポソームの分析は、コレステロール量、Cry j 1、免疫刺激オリゴヌクレオチドの測定をそれぞれ市販のキット、コレステロールEテストワコー(和光純薬、439−17501)、Modified Lowry Protein Assay Reagent Kit(Pierce、23240)、OliGreen ssDNA Quantitation Kit(Molecular Probes,O−11492)を用いて行った。リポソーム液のCry j 1が1μgあたりの1xMod87、1xMod2および3xMod2の量はそれぞれ4.751、5.425、及び16.867ngであった。
以下の実施例で示すリポソーム複合体の略記については以下の通りである。「Cry j 1+1x Mod2/L」とは、Cry j 1と1xMod2の条件で封入したリポソーム複合体であり、「Cry j 1+ 3xMod2/L」とは、Cry j 1と3xMod2の条件で封入したリポソーム複合体であり、「Cry j 1+ 1xMod87/L」とは、Cry j 1と1xMod87の条件で封入したリポソーム複合体である。「1xの場合」とは、Cry j 1が1μgあたりに免疫刺激オリゴヌクレオチドを約5ng含んでいることを示している。「3xの場合」とは、Cry j 1が1μgあたりに免疫刺激オリゴヌクレオチドを1xの3倍量の約15ng含んでいることを示している。また、「Cry j 1/L」とはCryj 1のみをリポソームに封入したものある。また、「Cry j 1」とはリポソームに封入せずにCryj 1を直接投与したことを示す。
6週齢のBALB/cマウス(日本チャールズリバー)に各被検物質を1週間間隔で被検物質投与開始週を0Wとして0,1及び2Wの3回皮内投与(i.d.)をした。被検物質は、Cry j 1、Cry j 1/L、Cry j 1+ 1xMod2/L、Cry j 1+3x Mod2/L及びCry j 1+ 1xMod87/Lを、Cry j 1蛋白量が1μg/100μLとなるようにPBSで調製して、一回に100μLずつ投与した。最後の被検物質処置から1週間後(3W)と2週間後(4W)の2回に渡り、Cry j 1及びアラムの混合液を各個体に腹腔内投与(i.p.)してTh2反応の惹起を行った。6Wに眼底採血を行い、血液は遠心操作後、血清として−20℃にて凍結保存した。得られた血清はTh2反応の指標である血清中総IgE量の測定用のサンプルとして使用した。また、最後の採血後、各個体から脾臓を摘出した後、各個体の脾臓を摘出してホモジネートし、本明細書中、IFN−γ及びIL−10産生誘導の有無を確認する具体的手段中に記載されている調製方法に従って脾細胞を調製した(RPMI1640培地,10%ウシ胎児血清)。各個体の脾細胞懸濁液は、丸底の96穴マルチプレートに1ウェルあたり4×105細胞となるように播き、Cry j 1存在下(最終濃度25μg/ml)で、CO2インキュベータ内にて72時間の培養を行い、培養上清を回収した。回収した培養上清中のIL−5(Th2反応指標)とIFN−γ(Th1反応指標)をELISA法により測定した。
6Wの血清中のIgE量を測定した結果、Cry j 1処置群のIgE量は、Vehicle投与群よりも2倍以上高い値を示した。また、IgE量はCry j 1+ 1xMod87/L処置群が最も低く、Cry j 1+ 3xMod2/L、Cry j 1/L、Cry j 1+ 1xMod2/Lの順で低い値を示した(図11)。Cry j 1+ 1xMod2/L投与群とCry j 1+ 1xMod87/L投与群の2群間で統計処理(t検定)を行った結果、IgE産生量は有意(P<0.05)にCry j 1+ 1xMod87/Lの方が低かった。
次に、被検物質を処置したマウスのTh2反応またはTh1反応の誘導を確認するために、マウスから脾臓を摘出し、Cry j 1刺激によって培養上清中に誘導される脾細胞のIL−5(Th2反応指標)及びIFN−γの産生量を測定した(図12−1)。Th1反応の指標であるIFN−γの産生量を測定した結果、Cry j 1+ 1xMod87/L(14324.62 pg±7444.07)処置群が最も高く、次いでCry j 1+ 3xMod2/L(3475.30 pg±907.56)とCry j 1/L(1782.02 pg±849.23)の順で産生量が増加していた。また、Cry j 1+ 1xMod87/Lと同じ免疫刺激オリゴヌクレオチド量を投与したにもかかわらず、Cry j 1+ 3xMod2/L処置群では殆ど産生が認められなかった。
次に、IL−5の産生量を測定した。その結果、Cry j 1/Lは全くIL−5の産生を抑制しなかったが、免疫刺激オリゴヌクレオチドを添加することにより顕著に減少した。Cry j 1+ 1xMod87/L投与群の抑制活性が最も強かった。CpGオリゴヌクレオチドとCry j 1を内封したリポソーム複合体のIL−5抑制活性はIFN−γ誘導活性と逆相関し、IgE産生抑制活性とよく相関していた。また、Cry j 1+ 1xMod2/L投与群とCry j 1+ 1xMod87/L投与群の2群間で統計処理(t検定)を行った結果、IL−5産生量は有意(P<0.05)にCry j 1+ 1xMod87/Lの方が低かった。(図12−2)。
これらのことから、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドとアレルゲンを封入したリポソームは、アレルゲンに暴露された時のTh2反応及びIgE産生を、公知の免疫刺激ヌクレオチドとアレルゲンのリポソーム内封アレルゲンの技術と比較してより強力に抑制する効果を有し、Th1誘導活性を強力に誘導することが判明した。
以上の結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは動物を用いたアレルギーモデルにおいて公知のD−タイプCpGオリゴヌクレオチドよりもIgE産生抑制活性、Th2抑制活性とTh1誘導活性が向上しており、かつ低用量で効果的な治療効果を有することから、アレルギー疾患をもつ患者に投与された場合、アレルギー疾患の治療、又は予防剤として有用であることが示された。
実施例14:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのマウスにおける肝炎治療効果
マウスの肝炎モデルとして一般的に利用されているコンカナヴァリンA(ConA)誘発肝炎モデルを用いて本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドのin vivoにおける抗炎症効果について評価した。ConA誘発肝炎モデルは、急激な炎症反応の惹起による肝炎を発症し、免疫反応の活性化を伴う肝炎モデルとして用いられている。尚、ConA誘発肝炎モデルにおいてCpGオリゴヌクレオチドを評価した試験(Abe et al,Fukushima J.Med.Sci.(2005)51,41−49)においてK−タイプCpGである1668(配列番号108)が逆に肝炎の症状を悪化させた結果を示した公知例がある。また、CpGを含有する免疫刺激オリゴヌクレオチドがConA誘発肝炎モデルにおいて肝炎のマーカーとなるALT値の上昇を抑制したという報告例は開示されていない。
ConA誘発マウス肝炎モデルの調製と血清中ALT値の測定は、以下のようにして行った。
5週齢の雌のBALB/cマウス(日本チャールズリバー)を用いた。ConAを投与するマウスは、投与前日の夕方からConA投与完了まで絶食とし、ConA投与終了後に給餌を再開した。ConAを投与しない群をNaive群とした。免疫刺激オリゴヌクレオチドはConAを投与する3,6,24時間前に1回行った。免疫刺激オリゴヌクレオチドはPBS(−)で濃度10μg/mLに調整した後、100μLずつマウスの尾静脈内に注射した。一匹あたり1μgを投与した。ConAは溶媒に生理食塩水を用いて濃度4mg/mlに調整した後、100μLずつマウスの尾静脈内へ投与した。一匹あたり0.4mgを投与した。ConA投与から24時間後に採血し、得られた血液を10000rpm、5分間4℃にて遠心分離し、血清を得た。血清中のALT値はフジドライケム(DRI−CHEM 5500V、富士フィルム)で測定した。
ConA誘発肝炎マウスモデルの炎症惹起から24時間後の血清中ALT値の上昇を評価した結果(図13)、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドであるMod87(配列番号52)は処置時間に依存して血清中ALT値の上昇を抑制した(図13、レーン3〜5)。3時間前処置からALT値上昇を抑制する傾向が認められ(レーン5)、24時間前処置は血清中ALT値が有意に低く(レーン3)、vehicle群におけるALT値(レーン2)の28.5%(t検定:p<0.05)であった。
以上の結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドがin vivoにおいて肝炎治療効果を有することを確認した。
実施例15:本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87と2395、1018およびG9−GACGATCGTC−G1のマウスにおける肝炎治療効果の比較
C型慢性肝炎への適用の臨床試験中のCpG10101と同一配列であり、国際公開第03/015711号パンフレットおよび特表2006−515277号公報において示されているオリゴヌクレオチド配列(2395、配列番号32)、特表2003−526662号公報で示されているオリゴヌクレオチド配列(1018、配列番号33)、および特開2005−237328号公報において強いIFN−α誘導活性を有する代表的な配列として示されているオリゴヌクレオチド配列G9−GACGATCGTC−G1(配列番号36)と、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87(配列番号52)とについて、マウスConA誘発肝炎モデルを用いた肝炎治療効果を比較した。
実施例14に示されている方法に従って、免疫刺激オリゴヌクレオチドの肝炎治療効果を血清中ALT値の上昇の抑制を指標に評価した。まず、Mod87と2395の肝炎治療効果を比較評価した。免疫刺激オリゴヌクレオチド1μgをConA投与の6時間前にマウスに処置し、ConAによる炎症惹起から24時間後に採血して血清中のALT値を測定した。その結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87(図14−1、レーン3)は有意にALT値の上昇の抑制をした(t検定:p<0.05)が、2395(レーン4)は全く効果がなかった。
次に、Mod87と1018およびG9−GACGATCGTC−G1の肝炎治療効果を比較評価した。免疫刺激オリゴヌクレオチド1μgをConA投与の24時間前にマウスに処置し、ConAによる炎症惹起から24時間後に採血して血清中のALT値を測定した。その結果、ALT値の上昇は本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87(図14−2、レーン3)が最も強く抑制し、次いで1018(図14−2、レーン4)とG9−GACGATCGTC−G1(図14−2、レーン5)の順に抑制効果があった。Mod87と1018はそれぞれALT値上昇を有意に抑制した(t検定、Mod87:p<0.01,1018:p<0.05)が、G9−GACGATCGTC−G1は有意な抑制が認められなかった。
従って、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドはCpGを含有する公知の免疫刺激オリゴヌクレオチドよりも強い肝炎治療効果を示すことを確認した。
実施例6におけるヒトPBMCを用いたin vitroの比較試験から、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは近似配列よりもIL−12の産生を抑制する活性が強いことが示されており、in vitroの抗炎症作用とマウスの肝炎治療効果は相関する可能性が示めされた。
以上の結果、本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドは、優れたインターフェロン誘導活性かつ低減された炎症性サイトカイン誘導活性を有することに加え、肝炎治療作用を有することが示され、C型肝炎の患者に投与された場合、C型肝炎の治療、又は予防剤として有用であることが確認された。

Claims (15)

  1. 式:5’−(G)MPXCGYQ(G)N−3’で示される塩基配列からなり、
    (式中、Cはシトシンであり、Gはグアニンである。X及びYは相互に独立した0〜7ヌクレオチド長でかつ4塩基以上の連続したグアニンを含まない任意の配列であり、X+Yの長さは7または8ヌクレオチド長である。XCGYは長さが少なくとも8ヌクレオチド長のパリンドローム配列を含み、長さが9または10ヌクレオチド長である。P及びQはグアニン以外の相互に独立した1ヌクレオチドであり、Mは6〜8の整数であり、Nは0〜3の整数である。なお、XとYのヌクレオチド長は必ずしも同じでなくとも良い。)
    全長が17〜23ヌクレオチド長であり、
    前記式で示される塩基配列が、配列番号6、7、10、15〜17、24、26、28、30、40、42、48、50〜52、95及び97からなる群より選ばれる塩基配列からなるものである、免疫刺激オリゴヌクレオチド
  2. 全て又は一部のヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されている、請求項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
  3. 5'−末端の連続するG配列のヌクレオチド残基間の少なくとも一部のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されている、請求項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
  4. 3'−末端のヌクレオチド残基間の少なくとも一部のホスホジエステル結合がホスホロチオエート修飾されている、請求項またはに記載の免疫刺激オリゴヌクレオチド。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、医薬。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、アレルギー疾患の治療、又は予防剤。
  7. 前記アレルギー疾患が花粉アレルギー症である、請求項に記載のアレルギー疾患の治療、又は予防剤。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドをアジュバントとして含む、ワクチン。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、肝炎の治療、又は予防剤。
  10. 前記肝炎がウイルス性肝炎である請求項に記載の肝炎の治療、又は予防剤。
  11. 前記ウイルス性肝炎がB型あるいはC型肝炎である請求項10に記載の肝炎の治療、又は予防剤。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、アレルギー疾患の治療、又は予防剤としての使用。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、ワクチンのアジュバントとしての使用。
  14. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドの、肝炎の治療、又は予防剤としての使用。
  15. 請求項1〜のいずれか1項に記載の免疫刺激オリゴヌクレオチドを、ワクチンに対するアジュバントとして利用する方法。
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