JP5104569B2 - 菊の切り花の鮮度保持用包装袋及び菊の切り花の鮮度保持保存方法 - Google Patents
菊の切り花の鮮度保持用包装袋及び菊の切り花の鮮度保持保存方法 Download PDFInfo
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Description
また、菊の切り花は、盆、暮、彼岸に需要が集中するため、これに合わせて数量を調節するのは非常に困難であり、何らかの出荷調整方法も需要と供給の両方の関係者より熱望されている。菊は、通常全ての花弁が完全に閉じた状態で収穫、流通されており、市場着荷時の段階で少しでも花弁が開き始めていると商品価値が著しく低下してしまう。このため、冷蔵で貯蔵する方法が試みられているが、短期間で蕾が開き始めてしまうため、数日程度のごく短い期間しか貯蔵できないのが現状である。
前記鮮度保持用包装袋の微細孔の開孔面積が、菊の切り花100gあたり1.7×10 -4 〜1.5×10 -2 mm 2 /100gであることを特徴とする菊の切り花の鮮度保持用包装袋、
である。
(2)前記菊の切り花の鮮度保持用包装袋の袋内の酸素濃度が4〜16%である(1)に記載の菊の切り花の鮮度保持用包装袋、
(3)前記菊の切り花の鮮度保持用包装袋の微細孔が、平均孔径5〜150μmの微細孔である(1)に記載の菊の切り花の鮮度保持用包装袋、
である。
更に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の菊の切り花の鮮度保持用包装袋を用いて菊の切り花を保存する菊の切り花の鮮度保持保存方法である。
好ましくは、菊の切り花100gあたりの酸素透過量150〜380[cc/(100g・day・atm)]である。
P=f×s×(100/w)
となる。なお、該高分子フィルムの有効表面積とは、該高分子フィルムのうち、酸素透過に関与できる部分の表面積を指し、密封のために張り合わせられている部分のような、酸素透過に関与できない部分を除く表面積のことである。例えば、長方形の2枚の高分子フィルムを、4辺をヒートシールして密封して、該菊の切り花を包装する場合、密封後の包装袋の内側の表面積が、該高分子フィルムの有効表面積である。
23℃において、菊の切り花保存時の該鮮度保持用包装袋の酸素透過量Pが、50〜380[cc/(100g・day・atm)]の菊の切り花の鮮度保持用包装袋である。
表1に示す厚みと素材の高分子フィルムの3辺をヒートシールして、表1に示した大きさの方形の包装袋を作製し、表1に示す微孔を開けた。次いで、該包装袋に、菊の切り花(切り前3で収穫、品種は、神馬)を表1に記載した量の通り詰め、袋開口部をシール巾10mmでヒートシールして密封し、菊の切り花が包装された包装体を得た。このとき、該高分子フィルムの有効表面積Sは、ヒートシール部を除いた該包装体の内側の表面積であり、保存時の酸素透過量Pは、表1に示す値となる。なお、該保存時の酸素透過量Pは、以下の式で求められる。
P=F×S×(100/W)
P:包装した菊の切り花100gあたりの包装袋の酸素透過量
[(cc/(100g・day・atm))(23℃)
F:23℃における高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量[cc/(m2・day
・atm)]
S:高分子フィルムの有効表面積(m2)
W:包装体に詰められている菊の切り花の質量(g)
である。
(1)包装袋の準備
表1に示す開孔面積比率の高分子フィルムで、4辺がヒートシールで密封された方形の包装袋を作成する。このとき、ヒートシール後の包装袋の内側の表面積が、高分子フィルムの有効表面積S(m2)であり、Sが0.06m2以上となるように包装袋を作成する。なお、以下全ての作業は、大気のガス雰囲気(23℃)中で行う。
ヒートシールで包装袋を密封した後、アスピレーターを用いて包装袋を脱気する。脱気は、包装袋の両面が貼りつくまで行う。次に、この包装袋に白硬注射筒を用いて窒素ガス(純窒素ガス)を充填する。窒素ガスの充填量は、袋サイズによるが、包装フィルムにテンションがかからない範囲で極力多く入れ、注射筒の目盛りを用いて、窒素ガスの注入量を測定する。なお、注射針を包装袋に突き刺して、ガスの出し入れを行う。針を刺す際は、高分子フィルムに両面テープを貼り、この上からポリプロピレンフィルム製の粘着テープ(以下「PPテープ」という)を貼り付ける。また、針を抜いた後は、速やかにPPテープで針穴を塞ぐ。包装袋にはるテープは、4.5cm2以下の面積に収まるようにする。また、微孔を開けた高分子フィルムの場合は、微孔を塞がないように注意する。
窒素ガス充填直後に、ガスクロマトグラフィー(TCD)で測定して、包装袋内の酸素量を求め、酸素濃度C0(体積%)を算出した。このとき、C0が0.2体積%超えている場合は、上記(1)及び(2)作業をやり直す。なお、酸素濃度測定用のサンプリングガス量は、10cc以下とする。ガスクロマトグラフィーには、1cc程度を注入する。
初期酸素濃度を測定した包装袋を、23℃のインキュベーター中で保存する。このとき、袋の上に物が載ったり、インキュベーターのファンの風が直撃したりしないように静置する。
少なくとも2点以上経時時間を代えて、包装袋内のガスをサンプリングし、包装袋内の酸素濃度を測定する。このとき、経時時間は、窒素ガス充填直後から3時間以上経過後であり、且つ、包装袋内の酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内でなれければならない。そして、経時時間t(時間)と包装袋内の酸素濃度との間に比例関係(相関係数が0.98以上)が成り立つ必要がある。もし、包装袋内の酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内からはずれていた場合、あるいは、比例関係が成り立たない場合は再試験を行う。なお、高分子フィルムの酸素透過量が大きすぎて包装袋内の酸素濃度の上昇が速すぎ、この条件をクリアできない場合は、高分子フィルムの一部を酸素透過量が小さい既知である同じ材質のフィルムと張り合わせて袋を作成して同様に行えばよい。この際、袋の表面積は既知である別のフィルムと張り合わせた部分は除く。
F={1.143×(Ct−C0)×V}/(t×S)
F : 23℃における単位面積当りの酸素透過量[(cc/(m2・day・atm)]
Ct : 窒素ガス充填時から経時時間t時間後の包装袋内の酸素濃度(体積%)1)
C0 : 窒素ガス充填直後の包装袋内の酸素濃度(体積%)
V : 充填した窒素ガスの量(cc)
t : 窒素ガス充填直後からの経過時間(時間)1)
S : 包装袋の内側の表面積(高分子フィルムの有効表面積)(m2)
1)Ct及びtとしては、最も長い経時時間の値を用いて計算する。
表1に記載の保存日数の間保存した後包装袋を開封して菊の切り花を取り出し評価を行った。花の直径(mm)を測定するとともに、花の蕾を次に記載した切り前の基準に準じて評価を行なった。
3:出荷適期(やや固切り)、4:出荷適期(標準の切り前)、5:出荷適期(やや開き気味)、6:開きすぎ(6以上は、全て6と記載)
なお、試験を開始する前の菊の切り花(蕾)の直径は15mmであり、切り前3の菊を用いて試験を行った。
表1に記載の保存日数の間保存した後包装袋を開封して菊の切り花を取り出し外観と臭気の評価を行った。葉の黄化、花弁の褐変、しおれ、カビ、臭気について、官能評価により、4段階(4:良好、3:普通、2:やや劣る、1:劣る)の点数を付けた。なお、官能試験では、3点以上の点数であれば、鮮度保持効果は良好である。
表1に記載の保存日数の間保存した後包装袋を開封して菊の切り花を取り出し評価を行った。菊の切り花の切り口からおよそ10cmの部分で茎を水きりした後、水に活けて25℃、60%RHで花持ちを評価した。
Claims (4)
- 高分子フィルムからなる菊の切り花の鮮度保持用包装袋であって、前記鮮度保持用包装袋には微細孔を有し、菊の切り花の平均保存温度T(℃)が0℃以上10℃以下であり、23℃における菊100gあたりの前記鮮度保持用包装袋の酸素透過量P(cc/100g・day・atm)が50〜380cc/100g・day・atmであり、
前記鮮度保持用包装袋の微細孔の開孔面積が、菊の切り花100gあたり1.7×10 -4 〜1.5×10 -2 mm 2 /100gであることを特徴とする菊の切り花の鮮度保持用包装袋。 - 菊の切り花を保存する際の前記菊の切り花の鮮度保持用包装袋の袋内の酸素濃度が4〜16%である請求項1に記載の菊の切り花の鮮度保持用包装袋。
- 前記菊の切り花の鮮度保持用包装袋の微細孔が、平均孔径5〜150μmの微細孔である請求項1に記載の菊の切り花の鮮度保持用包装袋。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の菊の切り花の鮮度保持用包装袋を用いて菊の切り花を保存する菊の切り花の鮮度保持保存方法。
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