JP5428228B2 - マンゴー類の鮮度保持用包装袋及びマンゴー類の保存方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マンゴー類を包装して、貯蔵、出荷、運搬、店頭陳列する際のマンゴー類の保存方法及びマンゴー類の鮮度保持用包装袋に関する。
マンゴー類は、炭そ病が発生しやすい果実である。炭そ病は、まず果皮に黒い小さな点が生じ、数日後、早い場合は翌日までに1cm以上の黒変になってしまう病気で、出荷時の検査で問題が無いようにみえても、翌日市場等に着いた時点で病状が顕著になっていることもあるので、選別で病害果を取り除くのには限界がある。特にマンゴー類は高価な果物であり、生産者、小売業者等から炭そ病に関する対策を強く望まれている。
炭そ病の原因となる菌は、Colletotrichum属の菌であり、畑の土壌中などにも普通に存在しており、栽培中に付着・感染していることが多い。元々侵害力が弱い菌で高温・多湿を好むといわれており、果実の細胞が死んだり、弱ったりすると発病する。
炭そ病の対策としては、ボルドー液などの殺菌剤が通常使用されているが、十分な効果が得られていなかった。特に、収穫後の果実においては、殺菌剤の使用が制限されており、何らかの対策が必要とされている。
また、マンゴー類は、収穫後に追熟が進む果実であり、熟度が進むにつれて酸味が低下する。ある程度までの低下であれば、甘味と酸味のバランスが程よくなり好ましい現象と言えるが、酸味が低下しすぎるとマンゴー類としての価値が低下してしまうので、適度な酸味を長く維持できることも熱望されている。
マンゴー類をはじめ青果物は、周囲のガス雰囲気が大気よりも低酸素濃度、高二酸化炭素濃度になると、大気中にある場合に比べて呼吸量が少なくなり、青果物の鮮度が長持ちするようになる。しかし、青果物を過度な低酸素濃度、高二酸化炭素濃度条件下に置くと、呼吸障害を起こす。
そのため、青果物を包装して、貯蔵、出荷、運搬、店頭陳列する際には、青果物を適度なガス条件下に置いておくことが望ましい。
ところが、最適なガス条件は、青果物の種類により異なるため、マンゴー類以外の青果物では、良好な保存条件であったとしても、マンゴー類に応用できるとは限らない。特に、マンゴー類は、保存中に腐敗の発生や炭そ病といわれる病気の発生、酸味の低下といった問題が生じやすいため、マンゴー類以外の青果物での保存条件を、そのままマンゴー類に適用することはできない。
マンゴー類の炭そ病の防除方法として、特開2001−39810号公報(特許文献1)には、マンゴー類の炭そ病に対して拮抗作用のある微生物を培養し、その培養菌体をマンゴー類の地上部に散布することにより、病原菌の防除を可能とするマンゴー類の炭そ病の防除法や前記の培養菌体、並びに化学薬剤を収穫後のマンゴー類果実に散布することにより、病原菌を防除する方法が記載されている。しかし、特許文献1の方法では、拮抗作用のある微生物を培養するので手間がかかり、また化学薬剤を散布するので好ましくない。
特開2001−39810号公報
特許文献1に開示されているマンゴー類の炭そ病の防除方法は、菌体の培養や管理する手間、並びに正しい種類の菌体や量が使用できているかを確認しづらいという問題があった。また、菌体や薬剤を収穫後の果実の散布することは、安心・安全の観点から、消費者に受け入れられにくかった。
従って、本発明の課題は、容易にマンゴー類の炭そ病を抑制すること、マンゴー類の酸味が低下し食味が悪くなるのを防止すること、及びしおれや臭気が発生しないことなどに優れた鮮度保持効果を有するマンゴー類の保存方法及びマンゴー類の鮮度保持用包装袋を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、マンゴー類の透湿度と酸素透過量を特定の範囲にすることにより、マンゴー類の鮮度保持効果が高くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、
高分子フィルムからなるマンゴー類の鮮度保持用包装袋であって、マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の透湿度が80g/m2・day(40℃、90%RH)以下であり、酸素透過量Pが120cc/100g・day・atm以上であるマンゴー類の鮮度保持用包装袋を提供するものである。
更には、
(2)前記鮮度保持包装袋の酸素透過量Pが120〜2000cc/100g・day・atmである(1)に記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋であり、
(3)前記鮮度保持包装袋の透湿度が2〜40g/m2・day(40℃、90%RH)である(1)に記載のマンゴー類の鮮度保持包装袋であり、
(4)前記鮮度保持用包装袋が、平均孔径20〜100μmの微孔を有することを特徴とする(1)、(2)又は(3)に記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋であり、
(5)前記鮮度保持用包装袋が、マンゴー類1個包装用の包装袋である請求項(1)〜(4)のいずれかに記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋であり、
(6)マンゴー類が樹上で自然落下するまで熟した果実である(1)〜(5)のいずれかに記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋である。
また、
(7)上記の(1)〜(6)のいずれかに記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋にマンゴー類を内包してマンゴー類を保存することを特徴とするマンゴー類の保存方法。
(8)前記鮮度保持用包装袋にマンゴー類を内包したマンゴー類の包装体において、前記包装体内の湿度が95%RH以上である(7)に記載のマンゴー類の保存方法である。
本発明によれば、マンゴー類を包装して、貯蔵、出荷、運搬、店頭陳列する際に、炭そ病の発症が少なく、酸味の低下が小さく、食味の優れたマンゴー類を提供でき、これらの効果などを含めた鮮度保持効果を発揮するマンゴー類の保存方法及びマンゴー類の鮮度保持用包装袋を提供することができる。これにより生産者、小売業者などの段階で、炭そ病により廃棄されるマンゴー類が少なくなり、また、消費者としても酸味の低下が小さいため購入後直ちに食するという必要はなく、ある程度の期間をおいても十分な食味があるため、食する時期の自由度が大きくなっている。
本発明のマンゴー類の保存方法は、マンゴー類を高分子フィルムで包装して保存するマンゴー類の保存方法において、保存時の該高分子フィルムの透湿度を120g/m2・day(40℃、90%RH)以下、酸素透過量Pを120cc/(100g・day・atm)以上とするマンゴー類の保存方法である。
本発明のマンゴー類の保存方法は、該マンゴー類を収穫後、本発明の包装袋で包装し、貯蔵、出荷、運搬、店頭陳列する際の保存方法である。貯蔵とは包装したマンゴーを出荷までの間倉庫などで保管することを言い、出荷とは貯蔵した後のマンゴーをトラックなどに積み込むまでを言う。
包装体1つ当りの該マンゴー類の数は、1個であることが好ましい。なお、本発明においては、該包装体とは、該高分子フィルムで包装された該マンゴー類のことを指す。
本発明のマンゴー類とは、ウルシ科マンゴー類属の果実であり、食用となる果実である。その種類としては特に限定されないが、例えば、カラパオ種、ヘイデン種、ケント種、ケイト種、アーウィン種などが挙げられる。
本発明のマンゴー類の保存方法に係る該高分子フィルムは、特に制限されず、青果物の包装に用いられている高分子フィルムであれば良い。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリ乳酸等、あるいは、これらの複合材料が挙げられる。これらは、防曇加工や印刷を施したものでもよく、延伸されたものでも良い。これらの材質の中で、ポリプロピレン、ポリエチレンの材質が鮮度保持の点で好ましい。
該高分子フィルムの厚さは、特に制限されないが、通常、15〜60μmであり、取り扱い及びコストの観点から、20〜40μmが好ましい。
本発明のマンゴー類の保存方法では、保存時のマンゴー類の包装に用いられるマンゴー類の鮮度保持用包装袋の透湿度は、80g/m2・day(測定法:JIS Z 0208)以下である。該保存時の透湿度が上記範囲にあることにより、鮮度保持効果が高くなる。特に、該保存時の透湿度が上記範囲にあることにより、炭そ病の発生、しおれが少なくなる。一方、該保存時の透湿度が高過ぎると、炭そ病の発生が多くなり、しおれやすくなる。好ましくは、2〜40g/m2・dayである。
本発明のマンゴー類の保存方法では、マンゴー類の包装に用いられるマンゴー類の鮮度保持用包装袋の酸素透過量Pは、該包装袋内のマンゴー類100g当たり、120cc/(100g・day・atm)以上である。該保存時の酸素透過量Pが上記範囲にあることにより、鮮度保持効果が高くなる。特に、該保存時の酸素透過量Pが上記範囲にあることにより、酸味の低下、食味の低下が少なくなる。一方、該保存時の酸素透過量Pが少な過ぎると、異常代謝による異味が生じて食味が悪くなる可能性がある。酸味が低下するほど食べた際の食味が低下し、マンゴー類はおいしくなくなる。酸素透過量Pは、好ましくは120〜5000cc/(100g・day・atm) 、さらに好ましくは120〜2000cc/(100g・day・atm)である。
マンゴー類は、一般に劣化しやすく、特に生食で食されることが増えてきているので、該マンゴー類の鮮度保持においては、炭そ病が発生しないこと、しおれが少ないことという外観と酸味が低下しない(酸味が抜けすぎない)という固有の味が、特に重視される。
本発明において、該保存時の酸素透過量P[cc/(100g・day・atm)]とは、23℃における、包装されるマンゴー類100g当りの、1日当りの、包装体の内と外との酸素圧力差1気圧当りの酸素透過量である。
23℃における単位面積当りの酸素透過量がF[cc/(m2・day・atm)]の高分子フィルムを用いて、該マンゴー類を包装する場合、該保存時の酸素透過量P[cc/(100g・day・atm)]は、23℃における該高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量F[cc/(m2・day・atm)]に、該高分子フィルムの有効表面積S(m2)を乗じて得た値を、包装されるマンゴー類の質量W(g)で除し、100を乗じた値である。例えば、23℃における高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量がf[cc/(m2・day・atm)]、高分子フィルムの有効表面積がs(m2)、包装されたマンゴー類の質量がw(g)であった場合、保存時の酸素透過量Pは、
P=f×s×(100/w)
となる。なお、該高分子フィルムの有効表面積とは、該高分子フィルムのうち、酸素透過に関与できる部分の表面積を指し、密封のために張り合わせられている部分のような、酸素透過に関与できない部分を除く表面積のことである。例えば、長方形の2枚の高分子フィルムを、4辺をヒートシールして密封して、該マンゴー類を包装する場合、密封後の包装袋の内側の表面積が、該高分子フィルムの有効表面積である。
本発明のマンゴー類の保存方法では、該高分子フィルムの材質自体の酸素透過性が低い場合、例えば、該高分子フィルムに平均孔径5〜150μm、好ましくは平均孔径10〜100μmの微孔を開け、該微孔の大きさ及び数により、該保存時の酸素透過量Pを上記範囲内に調整することができる。また、該高分子フィルムの材質によっては、微孔を開けなくても、材質自体での酸素透過により、該保存時の酸素透過量Pを上記範囲内に調整することができる。このような場合は、該高分子フィルムの材質や厚みを選択することによって、該保存時の酸素透過量Pを調整することができる。また、該高分子フィルムの材質及び微孔の大きさ又は数の選択によって、該保存時の酸素透過量Pを調整することもできる。
該高分子フィルムを用いて作成した鮮度保持用包装袋の形状は、特に制限されない。
本発明のマンゴー類の保存方法では、該マンゴー類を、該高分子フィルムに入れ、密封するが、該高分子フィルムを密封する方法としては、ヒートシール、結束帯、輪ゴム、かしめ等、特に制限されない。この場合、マンゴー類を通気性のある容器に入れた状態で該高分子フィルムに入れても良い。また、本発明のマンゴー類の保存方法では、包装形態としては、袋詰めの形態だけではなく、例えば、トレイ容器にトップシールする形態であってもよく、あるいは、ダンボール箱と該高分子フィルムとを一体化させた形態であってもよい。
本発明のマンゴー類の保存方法は、該マンゴー類を収穫後、高分子フィルムで包装し、該マンゴー類が該高分子フィルムで包装された包装体を、貯蔵、出荷、運搬、店頭陳列する際の保存方法であるので、保存温度は、通常は0〜30℃であることが好ましい。つまり、本発明のマンゴー類の保存方法は、上記保存温度条件下における保存方法であることが好ましい。貯蔵、出荷、運搬、店頭陳列において、上記の保存温度で保存されるのが好ましいが、出荷、運搬、店頭陳列などにおいて、上記の保存温度を保つことが難しい場合もあり、その場合はその温度範囲にできるだけに近づけるようにする方が良い。
保存温度が0℃未満では、凍結と低温障害の恐れがあり、30℃を超えると、果実の劣化やカビの発生が早くなる可能性がある。また、5℃未満では、低温障害が生じる可能性があり、好ましくは5℃〜25℃である。更に5〜12℃の範囲であれば、本発明の包装袋による鮮度保持効果がより大きくなり、貯蔵において1ヶ月程度の長期の貯蔵が可能となるためより好ましい。
本発明のマンゴー類の保存方法において、マンゴー類を内包する包装体内の湿度は95%RH以上であることが好ましく、炭そ病としおれの防止に対してより効果がある。更に好ましくは、97%RH以上である。マンゴー類を内包する包装体内の湿度は、マンゴー類を貯蔵している間だけでも95%RH以上であっても良い。
本発明の該高分子フィルムの透湿度を80g/m2・day(40℃、90%RH)以下とすることによって包装体内の湿度を95%RH以上に維持することができる。該高分子フィルムの透湿度が40g/m2・day(40℃、90%RH)以下であれば包装体の周囲の湿度が10%RHのような特殊な条件でも包装体内の湿度を97%RH以上に維持できるのでより好ましい。
本発明の従来の技術で記したように、一般にマンゴー類は湿度が高いところで保存すると炭そ病が発生しやすいと言われているが、本発明を用い、マンゴー類の包装体内を上記の湿度範囲とすることにより、炭そ病が抑制されることを見出した。
本発明のマンゴー類の保存方法は、次に述べる本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋により、好適に行なわれる。
本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋は、高分子フィルムからなるマンゴー類の鮮度保持用包装袋であって、
マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の透湿度が80g/m2・day以下、酸素透過量Pが、120cc/(100g・day・atm)以上のマンゴー類の鮮度保持用包装袋である。
本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋に係る該マンゴー類は、本発明のマンゴー類の保存方法に係る該マンゴー類と同様である。
本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋に係る該高分子フィルムの材質は、本発明のマンゴー類の保存方法に係る該高分子フィルムの材質と同様である。
該高分子フィルムの厚さは、特に制限されないが、通常、15〜60μmであり、取り扱い及びコストの観点から、20〜40μmが好ましい。
該鮮度保持用包装袋は、該マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の酸素透過量P、又は該高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量Fを調節するために、微孔を有してもよく、この場合、該微孔の平均孔径は、5〜150μm、好ましくは10〜100μmであり、該微孔の開孔面積比率は、7.8×10-6〜6.7×10-4%、好ましくは9.8×10-6〜2.0×10-4%である。なお、該微孔の開孔面積比率とは、該鮮度保持用包装袋を形成する該高分子フィルムの有効表面積に対する該微孔の総面積の比率(%)である({微孔の総面積/高分子フィルムの有効表面積}×100)。
23℃における、該マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の酸素透過量Pは、120cc/(100g・day・atm)以上であり、好ましくは120〜5000cc/(100g・day・atm)、さらに好ましくは、120〜2000cc/(100g・day・atm)である。酸素透過量が大きくなると酸味の低下が進み易くなる可能性があるので、貯蔵日数が長くなる場合は、5000cc/(100g・day・atm)以下、更には2000cc/(100g・day・atm)以下であることが好ましい。該マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の酸素透過量Pが上記範囲にあることにより、鮮度保持効果が高くなる。特に、該マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の酸素透過量Pが上記範囲にあることにより、酸味の低下が少なくなって、食味が良好に維持される。
マンゴー類の酸味は、例えば、次のような手順による滴定酸度を測定することにより、マンゴー類の酸味として判断できる。
縦1/8にカットしたマンゴー類の果肉より果汁を絞った後、果汁を遠心分離機(4000rpm、10分間)にかけた。この上澄み液2mlを精製水10mlで希釈して90%エタノール液に溶解した1%フェノールフタレイン液3滴をスポイトで添加し、0.1N水酸化ナトリウム溶液を滴下して、この滴下液量(ml)を滴定酸度として記した。
この滴定酸度の好ましい範囲としては、滴定酸度(滴下液量)で0.3ml以上であることが好ましく、0.35ml以上であることがより好ましい。さらに好ましくは、0.39ml以上である。滴定酸度(滴下液量)が0.3未満では、マンゴー類を食した際、酸味が少なく感じられ食味が劣る可能性がある。
本発明のマンゴー類の鮮度保持包装袋において1個包装であることが好ましいのは、炭そ病や腐敗が他の果実に広がるのを防止できるからである。
マンゴー類1個あたりの重さは、品種によって異なるが、一般的に流通しているものは、80〜600g程度である。
本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋が、80〜600gのマンゴー類包装用の鮮度保持用包装袋である場合、すなわち、本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋が、1袋当りに80〜600gの該マンゴー類を詰めて包装する際の包装袋として用いられる場合、23℃における該高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量Fは、3000〜125000[cc/(m2・day・atm)]、好ましくは3700〜65000[cc/(m2・day・atm)]であり、該高分子フィルムの有効表面積は、0.024〜0.18m2、好ましくは0.036〜0.125m2である。本発明のマンゴー類の鮮度保持用包装袋を、80〜600gのマンゴー類の包装用の鮮度保持用包装袋として用いる場合、該高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量F及び有効表面積を上記範囲内とすることにより、該マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の酸素透過量Pを上記範囲内にできるので、鮮度保持効果が高くなる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
表1に示す材質と厚みの高分子フィルムの3辺をヒートシール(シール巾10mm)して、表1に示す外寸の方形の包装袋を作製し、表1に示す微孔を開けた。次いで、該包装袋に、表1に示すマンゴー類1個を詰め、10mm巾でヒートシールして密封し、マンゴー類が包装された包装体を得た。このとき、該高分子フィルムの有効表面積Sは、ヒートシール部を除いた該包装体の内側の表面積であり、保存時の酸素透過量Pは、表1に示す値となる。なお、該保存時の酸素透過量Pは、以下の式で求められる。
S=(袋の外寸巾−0.02)×(袋の外寸長−0.02)×2
P=F×S×(100/W)
P:保存時の酸素透過量[(cc/(100g・day・atm)]
F:23℃における高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量[cc/(m2・day
・atm)]
S:高分子フィルムの有効表面積(m2
W:包装体に詰められているマンゴー類の質量(g)
次いで、該包装体を、表1に示す条件で貯蔵した。各貯蔵日数後、マンゴー類の品質評価を行いその結果を表2に示す。なお、該品質評価では、各貯蔵日数毎に3個の包装体を用意した。
<高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量Fの測定>
(1)包装袋の準備
所定の孔径と孔数を有する高分子フィルムを準備し、該高分子フィルムで、4辺がヒートシールで密封された方形の包装袋を作成する。このとき、ヒートシール後の包装袋の内側の表面積が、高分子フィルムの有効表面積S(m2)であり、Sが0.06m2以上となるように包装袋を作成する。なお、以下全ての作業は、大気中で行う。
(2)窒素ガスの封入
ヒートシールで包装袋を密封した後、アスピレーターを用いて包装袋を脱気する。脱気は、包装袋の両面が貼りつくまで行う。次に、この包装袋に白硬注射筒を用いて窒素ガス(純窒素ガス)を充填する。窒素ガスの充填量は、袋サイズによるが、包装フィルムにテンションがかからない範囲で極力多く入れ、注射筒の目盛りを用いて、窒素ガスの注入量を測定する。なお、注射針を包装袋に突き刺して、ガスの出し入れを行う。針を刺す際は、高分子フィルムに両面テープを貼り、この上からポリプロピレンフィルム製の粘着テープ(以下「PPテープ」という)を貼り付ける。また、針を抜いた後は、速やかにPPテープで針穴を塞ぐ。包装袋にはるテープは、4.5cm2以下の面積に収まるようにする。また、微孔を開けた高分子フィルムの場合は、微孔を塞がないように注意する。
(3)初期酸素濃度の測定
窒素ガス充填直後に、ガスクロマトグラフィー(TCD)で測定して、包装袋内の酸素量を求め、酸素濃度C0(体積%)を算出した。このとき、C0が0.2体積%超えている場合は、上記(1)及び(2)作業をやり直す。なお、酸素濃度測定用のサンプリングガス量は、10cc以下とする。ガスクロマトグラフィーには、1cc程度の決まった量を注入する。
(4)包装袋の保管
初期酸素濃度を測定した包装袋を、23℃のインキュベーター中で保管する。このとき、袋の上に物が載ったり、インキュベーターのファンの風が直撃したりしないように静置する。
(5)保管中の包装袋内の酸素濃度の測定及び酸素透過量の計算
少なくとも2点以上経時時間を代えて、包装袋内のガスをサンプリングし、包装袋内の酸素濃度を測定する。このとき、経時時間は、窒素ガス充填直後から3時間以上経過後であり、且つ、包装袋内の酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内でなれければならない。そして、経時時間t(時間)と包装袋内の酸素濃度との間に比例関係(相関係数が0.98以上)が成り立つ必要がある。もし、包装袋内の酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内からはずれていた場合、あるいは、比例関係が成り立たない場合は再試験を行う。なお、高分子フィルムの酸素透過量が大きすぎて包装袋内の酸素濃度の上昇が速すぎ、この条件をクリアできない場合は、高分子フィルムの一部を酸素透過量が小さい既知である同じ材質のフィルムと張り合わせて袋を作成して同様に行えばよい。この際、袋の表面積は既知である別のフィルムと張り合わせた部分は除く。
次いで、高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量Fを、下記式により計算する。
F={1.143×(Ct−C0)×V}/(t×S)
F : 23℃における単位面積当りの酸素透過量[(cc/(m2・day・atm)]
t : 窒素ガス充填時から経時時間t時間後の包装袋内の酸素濃度(体積%)1)
0 : 窒素ガス充填直後の包装袋内の酸素濃度(体積%)
V : 充填した窒素ガスの量(cc)
t : 窒素ガス充填直後からの経過時間(時間)1)
S : 包装袋の内側の表面積(高分子フィルムの有効表面積)(m2
1)Ct及びtとしては、最も長い経時時間の値を用いて計算する。
なお、高分子フィルムの一部を酸素透過量が小さい既知である同じ材質のフィルムと張り合わせて袋を作成した場合は、上記測定により得られる単位面積当りの酸素透過量から、該既知のフィルムの単位面積当りの酸素透過量を減じた値が、対象となる高分子フィルムの単位面積当りの酸素透過量である。
<官能による食味評価>
貯蔵日数後、マンゴー類の甘み、酸味及び肉質のそれぞれの評価を行った。各項目について、官能評価により、4段階で評価し、4:良好、3:普通、2:やや劣る、1:劣る、0:食べられなかった、の点数を付けた。
なお、官能試験では、3点以上の点数であれば、良好である。
<炭そ病の発生>
貯蔵日数後、目視にてマンゴー類の炭そ病の発生状況を評価した。評価結果は、4段階で評価し、4:良好(発生無し)、3:最大の病斑の大きさが1mm以下、2:最大の病斑の大きさが10mm以下、1:10mmより大きい病斑がある、の点数を付けた。3点以上の点数であれば、良好である。
<しおれの発生>
貯蔵日数後、目視にてマンゴー類の表面を評価した。評価結果は、4段階で評価し、4:良好、3:表皮にツヤがない、2:果実に張りがなく柔らかい、1:表皮にシワが発生、の点数を付けた。3点以上の点数であれば、良好である。
<臭気>
貯蔵日数後、マンゴー類を包装している包装袋を開封した直後の袋内の臭気を嗅覚にて評価した。評価結果は、4段階で評価し、4:異臭無し、3:開封直後のみ僅かに異臭を感じる、2:開封して10秒後でも弱い異臭を感じる、1:強い異臭を感じる、の点数を付けた。3点以上の点数であれば、良好である。
<滴定酸度>
前述のとおりの方法で測定した。
<包装体内の湿度>
包装体内の湿度は、温湿度データロガ((株)テストー製、testo175−H1)で測定した。実施例では、包装後24時間後から開封直前まで1時間毎に記録して平均値を記載した。湿度計は、各条件1袋にマンゴーと同封した。
Figure 0005428228
Figure 0005428228
実施例1、2、4、5は、外観(炭そ病及びしおれ)と食味とも良好であった。実施例3と実施例6は、酸度と酸味がやや低いため食味の総合評価がやや低くなったが、3点以上であり、商品性ありと判断した。
比較例1と比較例3では、炭そ病が発生したため食味評価を行えなかった。比較例2では、炭そ病としおれは良好であったものの、酸度と酸味がやや低く、酸素不足による異常代謝が原因と思われる異味が感じられたので商品性が無いと判断した。

Claims (6)

  1. 高分子フィルムからなるマンゴー類の鮮度保持用包装袋であって、マンゴー類保存時の該鮮度保持用包装袋の透湿度が2〜13g/m2・day(40℃、90%RH)であり、
    酸素透過量Pが120cc/100g・day・atm以上であり、
    前記鮮度保持用包装袋が、平均孔径20〜100μmの微孔を有することを特徴とするマンゴー類の鮮度保持用包装袋。
  2. 前記鮮度保持包装袋の酸素透過量Pが120〜2000cc/100g・day・atmである請求項1に記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋。
  3. 前記鮮度保持用包装袋が、マンゴー類1個包装用の包装袋である請求項1または2に記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋。
  4. マンゴー類が樹上で自然落下するまで熟した果実である請求項1〜のいずれかに記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のマンゴー類の鮮度保持用包装袋にマンゴー類を内包してマンゴー類を保存することを特徴とするマンゴー類の保存方法。
  6. 前記鮮度保持用包装袋にマンゴー類を内包したマンゴー類の包装体において、前記包装体内の湿度が95%RH以上である請求項に記載のマンゴー類の保存方法。
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