JP2005287434A - 青果物の流通方法 - Google Patents

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秀志 坂本
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Abstract

【課題】コールドチェーンが途切れた場合にも適切なMA状態を保持し、流通過程における鮮度低下を抑制できる青果物の流通方法を提供する。
【解決手段】包装体を用いて密封包装して流通させる青果物の流通方法であり、該包装体は、大気中で青果物を密封包装した場合の15℃における包装体内平衡酸素濃度C15(%)、及び大気中で青果物を密封包装した場合の5℃における包装体内平衡酸素濃度C(%)がいずれも1〜10%の範囲であり、包装体内平衡酸素濃度比C/C15が1〜5の範囲であり、かつ流通の実質的な環境温度が0〜10℃であることを特徴とする青果物の流通方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、青果物の鮮度を保ちながら青果物を流通させる方法に関する。詳しくは、青果物を包装体により密封し、低温環境下で流通させる青果物の流通方法に関する。
青果物は、環境温度、湿度、ガス環境、輸送時の振動や衝撃等の影響を受けて、鮮度低下を生じるが、中でも環境温度の影響は大きく、青果物の鮮度低下の主因となっており、収穫後の青果物の予冷や保管及び輸送時の環境温度を低く抑えることが重要となっている。尚、本発明において環境温度とは青果物を包装している包装体の周囲の外気温をいう。
青果物は収穫後に必要に応じ強制通風予冷、差圧通風予冷、真空予冷、冷水予冷等の予冷を行い、保冷車や冷凍車に積載され、更に、生産地と消費地が遠隔地の場合には航空便を用いて、小売店や消費地に運搬されている。本来、青果物の収穫から消費に至るまで一貫した低温管理された状態であるコールドチェーンが望ましいが、実際には、生産地や卸売市場、更には飛行場の集出荷場における青果物の積み下ろしの際に、青果物温度が上昇しコールドチェーンが途切れて、青果物の鮮度が低下する場合がある。特に、夏場には前記集出荷場の環境温度が40℃以上に達する場合があり、そうした環境下で数時間放置されることもあって、青果物の鮮度低下が激しくなり問題となる。
一般に、青果物は環境温度が低いほど成長・老化が抑制され鮮度低下が少なくなるため、青果物が凍結しない程度に保管温度や流通温度を低減することが望ましい。しかし、前記のコールドチェーンが切れる場合や小売店の店頭に陳列される際に、青果物温度とその周囲の温度との較差が大きいと青果物表面に結露水が付着し、青果物に褐変等の品質低下が生じる。10℃以下で流通した場合には、この結露水による品質低下が起こりやすく、この品質低下を防止するために10℃を超える温度で流通させているのが実状であった。特にさくらんぼ等のように結露水の影響により品質が著しく低下しやすい青果物の場合には、15℃程度の流通温度となっており十分な鮮度保持環境と言えるものではなかった。
一方、ガス環境も青果物の鮮度に対し重要であり、従来から、青果物の鮮度低下を抑制する方法として青果物の貯蔵雰囲気の気体組成を制御するCA(Controlled Atmosphere)貯蔵が一般的に行われている。近年、包装においても、青果物の鮮度を保持させるために包装体のガス透過度を青果物の呼吸量とバランスさせて、青果物が密封包装された包装体内の気体濃度を最適な状態(以下「MA(Modified Atmosphere)状態」という)に保つMA包装(Modified Atmosphere Packaging)が脚光を浴びつつある。
包装フィルムのガス透過度は、フィルムの素材や厚さによって変化するが、包装フィルム内を前記MA状態とするために、フィルムに細孔を設ける技術(例えば特許文献1,2参照)が開示されている。
これらの孔開きフィルムの場合、ガス透過性に対する温度依存性が極めて小さいことから、低温環境下でMA状態となるように包装体を設計した場合、高温環境下では包装体の酸素透過量が青果物の呼吸量に追いつかず酸素が欠乏し、青果物が嫌気呼吸を行なうことにより異臭の発生や食味の低下を生じる。また、高温環境下でMA状態となるように包装体を設計した場合、低温環境下では青果物の呼吸量より包装体の酸素透過量が多くなることから酸素過多となり適切なMA状態を提供しにくくなる。
特に、青果物が小売店の店頭に陳列された場合、10〜25℃程度の温度環境が1日以上続くことがあるため、流通時に10℃未満に保管されMA状態であったものが、店頭陳列時に無酸素状態となり、異臭の発生や食味の低下を生じる場合がある。特に、夏場はその傾向が著しい。
尚、無孔フィルムとして素材や厚さを変えることにより包装フィルムのガス透過度を向上させる技術(例えば特許文献3,4)が開示されており、青果物をこれらの無孔フィルムで密封包装して保管した場合、適切なMA状態を提供できることが示されている。
しかし、これらの技術は、特定のフィルムを用いることにより保管時の包装体内のガス環境を低酸素状態にするだけであり、青果物流通に関する検討もされておらず、また、集出荷場や小売店の店頭でコールドチェーンが切れた場合の影響も検討されていない。すなわち、青果物の鮮度保持に重要な流通時の保管温度に関しては、知見が得られていない。
特開昭61−259982号公報 特開平2−85181号公報 特開平3−198737号公報 特開平5−96690号公報
本発明は、前記青果物流通における低温貯蔵に関する課題を解決すべくなされたものであり、コールドチェーンが途切れた場合にも適切なMA状態を保持し、流通過程における鮮度低下を抑制できる青果物の流通方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、青果物を特定の包装体を用いて密封包装し、0〜10℃、好ましくは0〜5℃の実質的な環境温度で流通させることにより本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。
本発明は、以下によって構成される。
1.包装体を用いて密封包装して流通させる青果物の流通方法であり、該包装体は、大気中で青果物を密封包装した場合の15℃における包装体内平衡酸素濃度C15(%)、及び大気中で青果物を密封包装した場合の5℃における包装体内平衡酸素濃度C(%)がいずれも1〜10%の範囲であり、包装体内平衡酸素濃度比C/C15が1〜5の範囲であり、かつ流通の実質的な環境温度が0〜10℃であることを特徴とする青果物の流通方法。
2.流通の実質的な環境温度が0〜5℃の範囲であることを特徴とする前記1項記載の青果物の流通方法。
3.包装体が、大気中で青果物を密封包装した場合の15℃における包装体内平衡二酸化炭素濃度、及び大気中で青果物を密封包装した場合の5℃における包装体内平衡二酸化炭素濃度がいずれも1〜8%の範囲であることを特徴とする前記1項もしくは2項に記載の青果物の流通方法。
4.包装体が実質的に孔の空いていない無孔包装体であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
5.包装体がポリオレフィン系樹脂のフィルムからなることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
6.青果物がさくらんぼであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
7.青果物がイチゴであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
本発明の青果物の流通方法は、特定の包装体を用いて、実質的な環境温度0〜10℃、好ましくは0〜5℃において、青果物を流通させる方法である。これにより、青果物の鮮度低下を抑制し、集出荷場における環境温度の上昇や小売店における陳列時の青果物の温度上昇に伴う青果物表面への結露による品質低下を防止する。また、温度上昇に伴う酸素欠乏がないことから異臭の発生や食味の低下が解消されるため、青果物の鮮度低下を大幅に抑制することができる。すなわち、本発明の青果物の流通方法によって消費者に高品質の美味しい青果物を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
1)包装体
本発明の青果物の流通方法は特定の包装体を用いるが、包装体の形態は、青果物を密封包装する個包装袋、集積包装袋、ダンボール内袋、トレーやコンテナ等であって、密封可能な包装体であればいずれでも構わない。また、包装体内を適切なMA状態に維持するために、包装体の一部もしくは全体に、酸素や二酸化炭素等のガスを透過しやすいガス透過性フィルムを用いることが望ましい。
本発明において、5℃における包装体内平衡酸素濃度及び15℃における包装体内平衡酸素濃度はいずれも1〜10%の範囲であることが必要であるが、これを達成するためには、各温度における青果物の呼吸速度と重量、包装体に用いたガス透過性フィルムの各温度における酸素透過度と包装体の内面積から求められる包装体の酸素透過量等から総合的に包装体の設計を行なう必要がある。
尚、本発明で平衡酸素濃度及び平衡二酸化炭素濃度とは、ガス透過性を有する包装体に青果物を包装し一定温度の環境下で保管した場合、包装体内の酸素濃度及び二酸化炭素濃度は平衡状態となることから、経時的に包装体内の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定し、1日以上の間隔で測定した該濃度測定値の差が0.5℃未満となった場合の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を平衡酸素濃度及び平衡二酸化炭素濃度とした。
i)ガス透過性フィルム
包装体を形成するガス透過性フィルムは、23℃における酸素透過度が2,000〜100,000nmol/m・s・100kPa、好ましくは3,000〜50,000nmol/m・s・100kPaであって、23℃における二酸化炭素透過度が7,000〜350,000nmol/m・s・100kPa、好ましくは10,000〜200,000nmol/m・s・100kPaのものが好適に用いられる。
ガス透過性フィルムの材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂やジエン系共重合体に代表されるオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらは、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。中でもガス透過性が高く、易焼却性に優れたポリオレフィン系樹脂が好んで用いられる。
ポリオレフィン樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等との共重合体のポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン樹脂、4−メチル−ペンテンの単独重合体や4−メチル−ペンテンとエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等との共重合体等のポリメチルペンテン樹脂等が挙げられ、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
ガス透過性フィルムを形成するための材質には、通常の熱可塑性樹脂に使用される添加剤を添加することができるが、特に、公知の防曇剤、抗菌剤、防黴剤が1種もしくは2種以上併用して用いられる。また、ガス透過性フィルムの青果物接触面にこれらの添加剤を含有する塗布膜を形成しても構わない。
ガス透過性フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、フィルムを穿孔し、その孔径及び数によりフィルムのガス透過性を制御するものでなければ、いずれの方法でも構わない。一般にガス透過度を制御する方法として、孔径が数μm〜数mmオーダーの貫通孔を形成する手法があるが、本発明の「実質的に孔の開いていない無孔包装体」は、ガス透過度制御のための前記貫通孔、好ましくは孔径が1μm以上の貫通孔が形成されていない包装体であって、分子レベルの空隙や包装体のシール部等に孔径が1μm未満の気体流路が形成されていても構わない。
フィルムを穿孔せずにガス透過性を制御する方法としては、特開平3−198737号公報や特開平5−96690号公報に開示されたポリメチルペンテン樹脂やポリブタジエン樹脂等のガス透過性の高い材質を用いてフィルムとする方法、及び特開2002−16555号公報に開示された凹凸形状を付与したシートを一軸延伸もしくは二軸延伸を行ない、薄膜を形成する方法が挙げられる。前者の場合には、素材の価格が高いことや剛性が不十分であることから実用は難しいが、後者の場合、素材自体の価格を低く抑えることが可能であり、剛性も凸部により維持させることから包材として望ましい。
一般に、環境温度の変化とともに青果物の呼吸速度は大きく変化し、10℃の環境温度の上昇に対し青果物の呼吸速度は2〜4倍増加する。ガス透過性フィルムは、環境温度が変化しても青果物の呼吸速度の変化に追随できるようにガス透過度が変化することが必要であるが、フィルムに穿孔せずに得られる前記ガス透過性フィルムは、実質的に孔がなくフィルム全体でガスを透過することができるため、10℃の環境温度の上昇に対し、フィルムのガス透過度が2〜3倍となることから、優れたMA状態を提供することが可能である。
2)青果物
本発明における青果物としては、野菜、根菜、果実、花卉、きのこ類が挙げられる。更に詳しくは、アーティチョーク、浅葱、小豆、アスパラガス、アボカド、アロエ、杏、イチゴ、無花果、いよかん、ウド、梅、エシャロット、枝豆、エノキ茸、オクラ、オリーブ、オレンジ、カイワレダイコン、柿、カブ、カボチャ、カリフラワー、キウイ、菊、キクラゲ、キャベツ、キュウリ、金柑、銀杏、栗、グリーンピース、胡桃、グレープフルーツ、クレソン、ゴギョウ、コケモモ、ごぼう、小松菜、コリアンサ、さくらんぼ、ザクロ、さつまいも、里芋、ザボン、サヤインゲン、サヤエンドウ、サラダナ、椎茸、シソ、シメジ、ジャガイモ、シャンツァイ、春菊、生姜、スイカ、スウィーティー、スズシロ、スズナ、スターフルーツ、ズッキーニ、スモモ、セリ、セロリ、ゼンマイ、そら豆、ターサイ、大根、大豆、タカノツメ、筍、玉葱、タラノメ、チンゲンサイ、ツクシ、テコポン、冬瓜、トウモロコシ、トマト、ドリアン、トリュフ、ナガイモ、長ネギ、ナス、ナズナ、夏ミカン、菜の花、なめこ、ナガウリ、日本梨、ニラ、人参、大蒜、パイナップル、白菜、ハコベ、パセリ、ハッサク、バナナ、パパイア、バンペイユ、ピーマン、びわ、フキ、フキノトウ、フクロタケ、ブドウ、プラム、ブルーベリー、プルーン、ブロッコリー、ほうれん草、ホトケノザ、ポンカン、マイタケ、マスカット、マッシュルーム、マツタケ、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミツバ、ミョウガ、メロン、桃、もやし、モロヘイヤ、ヤマトイモ、ユズ、洋ナシ、ヨモギ、ライチ、ラズベリー、ラディッシュ、ラフランス、リンゴ、レタス、レモン、レンコン、ワケギ、ワサビ等が挙げられる。
これらの中でも、特に、イチゴ、さくらんぼ、プラム、ブルーベリーやラズベリー等は流通時の環境温度変化に伴う果皮表面への結露による品質低下が大きいことから、本願発明の流通方法を好適に用いることができる。
3)青果物の流通
本発明における青果物の流通とは、青果物が収穫されてから消費者に購入されるまでの流れを指す。青果物の流通は、中央卸売市場や地方卸売市場等の卸売市場を経由する卸売市場流通システムと卸売市場を経由しない卸売市場外流通システムに大別され、卸売市場外流通システムは、物流業者が介在する物流業者介在型、生協・スーパー等の小売業者が主導権を持って産地から直送する小売業者主導型、輸入商社や産地商人等が介在する中間業者主導型、全農集配センター経由の準市場型等の様々な形態が挙げられるが、青果物の収穫から消費者までの流通経路の多くは、予冷、包装、集出荷、輸送、保管、小売店販売の各工程が含まれている。
本発明において、前記包装体を用いて青果物を密封包装したものは、0〜10℃、好ましくは0〜5℃の範囲の実質的な環境温度で流通させることが必要であり、この温度範囲であれば好適な鮮度保持効果が得られ、これまで日持ちの悪い青果物も鮮度の良好な品質を保持することが可能であり、更に、出荷調整等も可能とすることから消費者に安定供給することができる。前記環境温度が0℃未満の場合には青果物の自由水が凍結し品質低下をきたすケースがあり、10℃を超える場合には初期の鮮度保持効果が得られにくい。
なお、本発明の「流通の実質的な環境温度」とは、生産地で保管する低温庫内、産地からの輸送に用いる冷凍トラックの庫内、市場等の経由地で保管する低温庫内、経由地からの輸送に用いる冷凍トラックの庫内、及び小売店で保管する低温庫内等の庫内の環境温度であって、青果物の集出荷や積み替え時のコールドチェーンが途切れた場合の青果物包装体の環境温度や、青果物包装体が庫内に入庫された直後の環境温度は含まれない。流通過程においてさまざまな前記庫内に保管される時間に対する「流通の実質的な環境温度」が占める時間の割合が大きいほど鮮度保持効果が大ききい。
(i)予冷
青果物の鮮度を維持する上で、収穫直後の青果物の品温を下げる予冷は重要であり、青果物の種類により強制通風冷却施設、差圧通風予冷施設、真空予冷等により予冷が実施される。本発明の青果物の流通方法においても予冷することが望ましいが、さくらんぼのように収穫時期が集中する場合等は、予冷を行なわずに朝取りした青果物をそのまま出荷するケースがある。この場合でも、本発明の青果物の流通方法により、包装袋内の酸素濃度が低下し、青果物の呼吸速度を低下させる効果が得られる。
(ii)包装
収穫後に必要に応じ予冷された青果物は、本発明の包装体により密封包装されるが、密封包装の手法としては、ガス透過性フィルム、一般フィルム、トレー等とガス透過性フィルムを加熱融着するヒートシール法、加温を避けるための糊付け法、ゴムバンドや専用治具等で開口部を閉める締込法、開口部をテープにより止めるテープ止め法、チャック法等の公知の方法が挙げられ、いずれの方法を用いても構わない。
また、大気中で青果物を密封包装した場合に、包装直後の包装体内の初期酸素濃度は21%程度であり、これが平衡酸素濃度10%以下に達するまでにはかなりの時間を要することとなり、その間に青果物の成長・老化が進み青果物の鮮度が低下する原因となる。このため、密封包装する際にガス置換を行い包装体内の酸素濃度を予め平衡酸素濃度の予測値以下としておくことが望ましい。置換するガスの種類としては窒素ガスや二酸化炭素ガスが挙げられ、これらのガスは1種もしくは併用して用いても構わない。特に、カビが発生しやすいイチゴやぶどう等は、包装直後の包装体内の初期二酸化炭素濃度を好ましくは5〜80%、より好ましくは10〜60%の範囲にすることによりカビ発生の抑制効果も得られることとなる。
(iii)集出荷
集出荷は、生産地だけでなく卸売市場や全農集配センター等で行なわれており、夏場の炎天下に数時間にわたり晒されることもあり、コールドチェーンが途切れることにより、青果物の呼吸速度が増加し成長・老化による鮮度低下だけでなく、青果物の果皮表面に結露水が付着し、品質低下の原因となる。屋外での青果物の放置は避けることが必要であるが、コールドチェーンが途切れることは回避が難しいのが実状であり、本発明の包装体に包装することにより、環境温度が上昇しても適切なMA環境を提供できることから、また、結露水の付着を抑制することができることからこれらの鮮度低下や品質低下を抑制することが可能となった。
(iv)輸送
輸送方法としては、保冷車トラック、冷凍トラック、鉄道(JR)コンテナ、海上コンテナ、航空コンテナ等が挙げられる。輸送時の温度変化と振動が青果物の鮮度に対して影響を及ぼすが、それ以外にも青果物の積み下ろし時の温度変化はコールドチェーンが途切れる要因となっている。
(v)保管
保管は、生産地、卸売市場や小売店等にて実施されているが、青果物の鮮度維持のためには温度、湿度及びガス環境が調整された保管が望ましい。これらの環境を備える設備は高額となるが、本発明の青果物の流通方法では、青果物を密封する包装体を用いるため、温度だけ管理する低温庫があれば良いことから設備費も低額で済むこととなる。
(vi)小売店販売
青果物が小売店の店頭に陳列される際の環境温度は15〜20℃、更に夏場には20℃以上となる。一般に10℃未満で保管した青果物をこのような環境温度に晒すと青果物の果皮表面に結露水が付着し、品質低下を招く。本発明の青果物の流通方法では、青果物を包装体で密封することにより、10℃未満で保管した後20℃の環境温度下に晒しても、青果物に結露による品質低下もなく、包装体内の酸素濃度も適切な酸素濃度を維持し、良好なMA状態を提供することができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例における青果物包装体に用いる包装体用フィルムの特性は、下記評価方法により実施した。
<青果物包装体に用いる包装体用フィルムの諸特性評価>
(a)気体透過度;JIS−K−7126「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」A法に従って酸素及び二酸化炭素について測定した。
(b)透湿度;JIS−Z−0208「防湿包装材料の透湿度試験方法」条件Bに従って測定した。
<青果物鮮度評価>
青果物を青果物包装体に密封包装して流通させた後の青果物の鮮度評価は、各流通段階を経て千葉に入荷した青果物について、経時的に下記(1)〜(7)の7項目の評価を実施した。尚、青果物入荷から鮮度評価日の2日前の間は5℃の低温庫に保管し、鮮度評価日の2日前の朝9時より小売店等の販売を想定して20℃環境下に放置した。結露の状態観察は鮮度評価日の2日前の13時より、また、それ以外の項目については鮮度評価日の朝9時より実施した。
(1).外観評価;正常な外観の青果物の割合を調査し、下記指標により評価した。尚、青果物に変色、しおれ、ウルミが発生したものを異常な外観と判断した。
○:正常な外観が80〜100%
△:正常な外観が50〜80%未満
×:正常な外観が50%未満
(2).結露の状態;青果物表面に付着した水滴の量を観察し、下記指標により評価した。
多い :結露水が多く、水滴が付着した状態
少ない:結露水が少なく、青果物表面が濡れた状態
なし :結露水がなく、青果物表面が濡れていない状態
(3).カビの発生有無;各包装袋について開封し、カビ発生の有無を調査し、下記指標により評価した。
○:肉眼でカビの発生が認められない。
△:肉眼でカビの発生が認められ、全体の3割未満にカビが発生している。
×:肉眼でカビの発生が認められ、3割以上がカビに覆われている状態。
(4).臭い評価;各包装袋について開封し、異臭の有無を確認した。
(5). 食味評価;各包装袋について開封したものを食し、異味の有無を確認した。尚、カビが発生しているものは食味を行わなかった。
(6).袋内ガス濃度;各包装袋内部の酸素濃度及び二酸化炭素濃度をPBI Dansensor社製CheckMate9900を用いて測定した。
(7).包装体内温度;青果物の包装時に包装体内のパック内面側にタバイエスペック(株)製温度計(商品名:Thermo Recorder RT−10)のセンサー部を貼り付けて、流通時の包装体内の温度を測定し、流通過程の最高温度を示した。保管温度との差が大きいほどコールドチェーンが途切れて高温に晒されたことを示す。
<平衡ガス濃度の測定>
千葉県に入荷した青果物包装体を5℃及び15℃の恒温槽に保管し、保管後、3日ごとに包装体内の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定し、連続した測定日間のガス濃度差が0.5%未満となった場合を平衡酸素濃度及び平衡二酸化炭素濃度とした。
<包装直後保管による簡易評価>
静置状態における保管と流通過程における青果物の状態を比較するため、包装体に包装した青果物を、生産地にて庫内温度が5℃に設定された低温庫に10日間保管し、低温庫から20℃の評価環境下へ取り出し、直ちに前記青果物の鮮度評価(外観、結露の状況、カビ発生、臭い、食味)を行なった。
[包装体用フィルムの作成]
65mmφ押出機(E1)及び40mmφ押出機(E2)を有し、リップ幅300mmのマルチマニホールド式のTダイを備えた2種2層Tダイ製膜装置を用い、メルトフローレイト(230℃、2.16kg)=6.0g/10分のポリプロピレン樹脂(商品名;ノバテックPP FX4GC、日本ポリプロ(株)製)を40mmφ押出機(E2)へ投入し、また、メルトフローレイト(230℃、2.16kg)=6.0g/10分のポリプロピレン樹脂(商品名;Newcon NHF5014、日本ポリプロ(株)製)90重量%及び防曇剤であるポリオキシエチレンステアリルアミンモノステアレート5重量%を配合したポリプロピレン樹脂組成物10重量%を65mmφ押出機(E1)へ投入し、押出温度250℃で溶融したものを、Tダイより膜状に共押出しを行い、2層からなる膜状溶融物とした。尚、40mmφ押出機の吐出量は4kg/hr、65mmφ押出機の吐出量は28kg/hrとした。
次に、前記溶融膜状物を凹部の深さ、凹部幅、縦ピッチ及び横ピッチがそれぞれ0.5mm、0.5mm、2.8mm、2.8mmであって、凸部の形状が菱形の凹凸形状をロール表面の機械方向に千鳥状に配列した鉄製エンボスロールと鏡面鉄製ロールとの間に挟み込むことにより冷却固化し、目付重量が980、670、500、390g/mの熱可塑性樹脂シートとした。得られた熱可塑性樹脂シートを縦方向へ4倍延伸した後に横方向へ7倍延伸を行なう逐次二軸延伸を実施し、包装体用フィルムa、b、c及びdを得た。該包装体フィルムa、b、c及びdの23℃における酸素透過度はそれぞれ、3,900、6,100、8,100、10,000nmol/m・s・100kPa、23℃における二酸化炭素透過度はそれぞれ、15,000、23,000、30,000、38,000nmol/m・s・100kPa、透湿度はそれぞれ30、42、58、70g/m・24hrsであった。
また、市販の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)を包装体用フィルムeとした。
<青果物用包装袋の作成>
前記実施例で得られた包装体用フィルムa、b、c及びdを用い、3辺がヒートシールされた横200mm×縦300mmの包装体を作成し、包装体A、B、C、Dとした。尚、包装体E、F、Gは、包装体用フィルムeを用いて3辺がヒートシールされた横200mm×縦300mmの包装体を作成後、該包装体に直径70μmmφの孔が1包装体当たりそれぞれ2、4、8個となるように穿孔した。
(実施例1)
2003年6月9日6時(気温15℃)から山形県で収穫されたさくらんぼ(品種「佐藤錦」)を用い、収穫直後のさくらんぼを5℃で5時間予冷を行なった後、20℃の環境下で包装を実施した。包装は、通気性を有する蓋付きパックにさくらんぼ300gを入れてパックごと包装体Aで包み、包装体の内面積が0.08mとなるように開口部をヒートシールした。前記さくらんぼ包装品4個をダンボール梱包したものを、庫内温度が5℃に設定された低温庫に15時間ほど生産地保管した後、庫内温度が5℃に設定された冷凍トラックにより山形県より東京のストックポイントまで約5時間をかけて一次輸送し、更に、庫内温度が5℃に設定された別の冷凍トラックに積み替えて東京から千葉県市原市まで約2時間をかけて二次輸送した。二次輸送されたさくらんぼ包装品について、庫内温度が5℃に設定された低温庫に3、7、14日保管し、低温庫より20℃環境に取り出し2日間放置後、入荷してから5、9、16日経過した青果物について鮮度評価を実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表1に示す。本実施例により、これまで日持ちが悪いとされてきたさくらんぼを入荷から16日間にわたり鮮度を保持し、流通による温度変化や振動を与えても、流通を行なわない包装直後の保管による簡易評価と同様な鮮度を保持することができた。
(実施例2)
包装体用フィルムbからなる包装体Bを用いる以外は、実施例1と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表1に示す。
(比較例1)
包装体用フィルムcからなる包装体Cを用いる以外は、実施例1と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表1に示す。包装体内の酸素濃度が10%以上認められることから、実施例1及び2と比較して鮮度維持の効果が若干劣る。
(比較例2)
包装体を用いない以外は、実施例1と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表1に示す。密封包装されていないため、青果物の呼吸が活発に行なわれ、また、水分の蒸散も激しいことから、鮮度低下が激しく商品価値が著しく劣る。
(比較例3)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり2個穿孔した包装体Eを用いる以外は、実施例1と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表1に示す。流通を行なわない包装直後の保管による簡易評価では問題なく5℃平衡酸素濃度が10%以上であるにもかかわらず、嫌気呼吸による異臭の発生や食味の低下が認められ、青果物の集出荷や積み替え及び店頭陳列を想定した環境温度の上昇が原因と推察される。
(比較例4)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり4個穿孔した包装体Fを用いる以外は、実施例1と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表1に示す。酸素欠乏状態とはなっていないが、実施例1及び実施例2と比較して鮮度低下が激しい。このことは、5℃平衡酸素濃度が14%と高く、低温保管(5℃)では青果物の呼吸が抑制されにくかったことから、青果物の老化が促進されたためと推測する。また、流通を行なわない包装直後の保管による簡易評価では問題なくても、温度変化や振動を与える流通過程により外観や食味の低下が来たすことが認められる。
(比較例5)
一次輸送の冷凍トラック及び二次輸送の冷凍トラックの温度を15℃に設定し、ストックポイント及び二次輸送後の保管温度を15℃とする以外は、実施例2と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表2に示す。5℃平衡酸素濃度及び15℃平衡酸素濃度のいずれもが10%未満であるが、流通時の保管温度が15℃と高いため実施例1及び実施例2に比べ鮮度が低下する結果となり、流通時に低温環境とする低温流通の重要性が示された。
(比較例6)
包装体用フィルムbからなる包装体Bを用いる以外は、比較例4と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表2に示す。
(比較例7)
包装体を用いない以外は比較例4と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表2に示す。これまで広く行なわれている流通方式であるが、この方式ではさくらんぼは日持ちが悪く、収穫から6日経過したものは鮮度が保たれず商品価値がないことが示された。
(比較例8)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり2個穿孔した包装体Eを用いる以外は比較例4と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表2に示す。比較例3と同様に酸素欠乏状態による異臭の発生や食味の低下が激しく、実用的な手法ではない。
(比較例9)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり4個穿孔した包装体Fを用いる以外は比較例4と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表2に示す。比較例4より鮮度低下が著しい結果となった。
(実施例3)
生産地での保管時間を約15時間(0.6日)から約183時間(7.6日)とし、千葉県に入荷後に庫内温度が5℃に設定された低温庫に保管する日数を7日(鮮度評価日は入荷9日後)とする以外は実施例1と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表3に示す。長期の生産地保管を行なっても鮮度保持効果が得られることから、これまで難しいとされてきた出荷調整の可能性が示唆された。
(実施例4)
包装体用フィルムbからなる包装体Bを用いる以外は、実施例3と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表3に示す。実施例3と同様に長期の生産地保管が可能となった。
(比較例10)
包装体を用いない以外は実施例3と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表3に示す。外観低下やカビの発生が認められ実用的ではないことが示された。
(比較例11)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり2個穿孔した包装体Eを用いる以外は実施例3と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表3に示す。酸素欠乏状態による異臭の発生や食味の低下が激しく、実用的な手法ではない。
(比較例12)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり4個穿孔した包装体Fを用いる以外は実施例3と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表3に示す。外観が低下しカビの発生も認められることから、生産地における長期保管は難しい。
(実施例5)
2003年11月4日6時(外気温11℃)に栃木県でハウス栽培されたイチゴ(品種「とちおとめ」)を用い、収穫直後のイチゴを5℃で5時間予冷を行なった後、20℃の環境下で包装を実施した。包装は、通気性を有する蓋付きパックにイチゴ250gを入れパックごと包装体Aで包み、包装体の内面積が0.10mとなるように開口部をヒートシールした。該イチゴ包装品4個をダンボール梱包したものを、庫内温度が5℃に設定された低温庫に15時間ほど生産地保管した後、庫内温度が5℃に設定された冷凍トラックにより栃木県より東京のストックポイントまで約2時間をかけて一次輸送し、更に、庫内温度が5℃に設定された別の冷凍トラックに積み替えて東京から千葉県市原市まで約2時間かけて二次輸送した。二次輸送されたイチゴ包装品について、庫内温度が5℃に設定された低温庫に3、7、14日保管し、低温庫より20℃環境に取り出し2日間放置後、入荷してから5、9、16日経過した青果物について鮮度評価を実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表4に示す。本実施例により、これまで3〜4日が鮮度維持の限界とされてきたイチゴを入荷から16日間にわたり鮮度を保持し、流通による温度変化や振動を与えても、流通を行なわない包装直後の保管による簡易評価と同様な鮮度を保持することができた。
(実施例6)
包装体用フィルムbからなる包装体Bを用いる以外は、実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表4に示す。
(比較例13)
包装体用フィルムdを用いた包装体Dを用いる以外は、実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表4に示す。包装体内の酸素濃度が10%以上認められることから、実施例5及び6と比較して鮮度維持の効果が若干劣る。
(比較例14)
包装体を用いない以外は、実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表4に示す。密封包装されていないため、青果物の呼吸が活発に行なわれ、また、水分の蒸散も激しいことから、鮮度低下が激しく商品価値が著しく劣る。
(比較例15)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり4個穿孔した包装体Fを用いる以外は、実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表4に示す。流通を行なわない包装直後の保管による簡易評価では問題なく5℃平衡酸素濃度が10%以上であるにもかかわらず、嫌気呼吸による異臭の発生や食味の低下が認められ、青果物の集出荷や積み替え及び店頭陳列を想定した環境温度の上昇が原因と推察される。
(比較例16)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり8個穿孔した包装体Gを用いる以外は、実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表4に示す。酸素欠乏状態とはなっていないが、実施例5及び実施例6と比較して鮮度低下が激しい。このことは、5℃平衡酸素濃度が17%と高く、低温保管(5℃)では青果物の呼吸が抑制されにくかったことから、青果物の老化が促進されたためと推測する。また、流通を行なわない包装直後の保管による簡易評価では問題なくても、温度変化や振動を与える流通過程により外観や食味の低下が来たすことが認められる。
(比較例17)
一次輸送の冷凍トラック及び二次輸送の冷凍トラックの温度を15℃に設定し、ストックポイント及び二次輸送後の保管温度を15℃とする以外は、実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表5に示す。5℃平衡酸素濃度及び15℃平衡酸素濃度のいずれもが10%未満であるが、流通時の保管温度が15℃と高いため実施例5及び実施例6に比べ鮮度が低下する結果となり、流通時に低温環境とする低温流通の重要性が示された。
(比較例18)
包装体Cを用いる以外は、比較例17と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表5に示す。
(比較例19)
包装体を用いない以外は、比較例17と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表5に示す。比較例14と比較して大きな違いはなく、環境温度の影響が少ないように見えるが、比較例14では結露水が多く、鮮度に悪影響を及ぼしたと推測する。
(比較例20)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり4個穿孔した包装体Fを用いる以外は、比較例17と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表5に示す。比較例15と同様に酸素欠乏状態による異臭の発生や食味の低下が激しく、実用的な手法ではない。
(比較例21)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり8個穿孔した包装体Gを用いる以外は、比較例17と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表5に示す。
(実施例7)
生産地での保管時間を約15時間(0.6日)から約183時間(7.6日)とし、千葉県に入荷後に庫内温度が5℃に設定された低温庫に保管する日数を7日(鮮度評価日は入荷9日後)とする以外は実施例5と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表6に示す。長期の生産地保管を行なっても鮮度保持効果が得られることから、これまで難しいとされてきた出荷調整の可能性が示唆された。
(実施例8)
包装体用フィルムbからなる包装体Bを用いる以外は、実施例7と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表6に示す。実施例7と同様に長期の生産地保管が可能となった。
(比較例22)
包装体を用いない以外は実施例7と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表6に示す。外観低下やカビの発生が認められ実用的ではないことが示された。
(比較例23)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり4個穿孔した包装体Fを用いる以外は実施例7と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表6に示す。酸素欠乏状態による異臭の発生や食味の低下が激しく、実用的な手法ではない。
(比較例24)
孔径70μmの細孔を1包装体当たり8個穿孔した包装体Gを用いる以外は実施例7と同様に実施した。得られた青果物の鮮度評価結果を表6に示す。外観が変色し、カビの発生が認められ、生産地における長期保管は難しい。
(表1)
Figure 2005287434
(表2)
Figure 2005287434
(表3)
Figure 2005287434
(表4)
Figure 2005287434
(表5)
Figure 2005287434
(表6)
Figure 2005287434
本発明の青果物の流通方法は、実質的に無孔フィルムからなる特定の包装体を用いて青果物を密封包装し、0〜10℃、好ましくは0〜5℃の実質的な環境温度で流通させることを特徴とするものであり、これにより、従来ではなしえなかった長期にわたる青果物の鮮度保持を可能とし、消費者に美味しい青果物を提供できるだけでなく、青果物の安定供給や流通時の青果物ロスの低減等が図られることから、さくらんぼやイチゴだけでなく、様々な青果物や花卉等の流通に好適に用いられる。
本発明で用いられる凹凸構造を付与した包装体用フィルムの概念図を示す。
符号の説明
1………凹凸構造を付与したフィルムの凸部。
2………凹凸構造を付与したフィルムの凹部。
3………凹凸構造を付与したフィルムの凹部幅。
4………凹凸構造を付与したフィルムのピッチ。
5………凹凸構造を付与したフィルムの凸部厚さ。
6………凹凸構造を付与したフィルムの凹部厚さ。

Claims (7)

  1. 包装体を用いて密封包装して流通させる青果物の流通方法であり、該包装体は、大気中で青果物を密封包装した場合の15℃における包装体内平衡酸素濃度C15(%)、及び大気中で青果物を密封包装した場合の5℃における包装体内平衡酸素濃度C(%)がいずれも1〜10%の範囲であり、包装体内平衡酸素濃度比C/C15が1〜5の範囲であり、かつ流通の実質的な環境温度が0〜10℃であることを特徴とする青果物の流通方法。
  2. 流通の実質的な環境温度が0〜5℃の範囲であることを特徴とする請求項1記載の青果物の流通方法。
  3. 包装体が、大気中で青果物を密封包装した場合の15℃における包装体内平衡二酸化炭素濃度、及び大気中で青果物を密封包装した場合の5℃における包装体内平衡二酸化炭素濃度がいずれも1〜8%の範囲であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の青果物の流通方法。
  4. 包装体が実質的に孔の空いていない無孔包装体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
  5. 包装体がポリオレフィン系樹脂のフィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
  6. 青果物がさくらんぼであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
  7. 青果物がイチゴであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の青果物の流通方法。
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