JP2018199499A - ホウレン草を含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及びその青果物の鮮度保持方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、青果物を密封した高分子フィルムよりなる青果物入り包装体において、前記包装体が(A)有孔高分子フィルムと(B)無孔高分子フィルムにより構成されており、前記(A)、(B)の少なくとも一方のフィルム特性が25℃、相対湿度75%の条件下で測定した水蒸気透過率が前記包装体の有効表面積を基準にして50〜800gm-2d-1であり、前記(A)の開孔面積比率は前記包装体の有効表面積に対し3×10-6〜7×10-4%であることを特徴とする青果物入り包装体が記載されており、より具体的には、(A)有孔高分子フィルムとして、厚さ35μmの延伸ポリプロピレンからなり、平均孔径30μmの孔を95個あけたもの、平均孔径が60μmの孔を9個開けたもの等が使用されている。
ホウレン草は、広く流通する野菜の1つであり、上述のような包装体や保管方法を適用することができる。
また、本発明では、約5℃の冷蔵温度で保管した場合でも、ホウレン草の商品性に影響を与える前記四点のトータルバランスに優れた鮮度保持が、長期間安定してできる方法を提供することを課題とする。
[1]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなる包装体であって、
5℃で冷蔵保管した場合に、
前記包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度が6.5%以上15%以下である、前記包装体。
[2]
前記高分子フィルムの酸素透過度が、20℃、90%RHにおいて、7500cc/m2・day・atm以上18000cc/m2・day・atm以下である、[1]に記載の包装体。
[3]
前記青果物の重量あたりの前記包装容器の酸素透過度が、25cc/m2・g・day・atm以上60cc/m2・g・day・atm以下である、[1]又は[2]に記載の包装体。
[4]
前記高分子フィルムの厚みが、15μm以上45μm以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の包装体。
[5]
前記高分子フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、又は延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体である、[1]から[4]のいずれかに記載の包装体。
[6]
前記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有し、又は少なくとも1種の抗菌剤が塗布されている、[1]から[5]のいずれかに記載の包装体。
[7]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなる包装体を、5℃で冷蔵保管し、前記包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度を10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度を6.5%以上15%以下にすることによって、前記青果物の鮮度を保持する方法。
本発明は、高分子フィルムを含んでなる包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなり、5℃で冷蔵保管した場合に、包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度が6.5%以上15%以下である、包装体である。このように、本発明の包装体は、少なくとも、包装容器とそこに収納される青果物とを有する。
本発明の包装体を構成する包装容器は、高分子フィルムを含んでなる。ここで「高分子フィルムを含んでなる」とは、包装容器の全部が高分子フィルムで構成されている場合、及び蓋材等包装容器の一部が高分子フィルムで構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
従って、上記包装容器は、全部又は主要部が可撓性の高分子フィルムで構成された可撓性の包装容器、いわゆる包装袋であってもよく、可撓性の高分子フィルムとコーティング紙等のそれ以外の可撓性の部材を組み合わせた可撓性の包装容器であってもよく、あるいは可撓性の高分子フィルムと剛直な部材とを組み合わせた包装容器、例えば、蓋材としての高分子フィルムと、トレー、カップ等の剛直な部材とを組み合わせた形態のものであってもよい。
なお、このような包装袋は、その平面視での形状は円形、三角形、四角形、四角形以上の多角形でもよいが、加工性や取扱いの容易さの観点から長方形をなすことが好ましい。
本発明で用いる包装容器は、収納される青果物の重量あたりの包装容器の酸素透過度が、好ましくは25cc/m2・g・day・atm以上60cc/m2・g・day・atm以下、好ましくは30cc/m2・g・day・atm以上55cc/m2・g・day・atm以下、さらに好ましくは35cc/m2・g・day・atm以上45cc/m2・g・day・atm以下である。
また、包装容器内の内部ガス濃度は、通常、所定の開口部(孔)を設けた所定の高分子フィルムを使用することによって調整できるが、そのような開口部を設けずに高分子フィルム自体の有する酸素透過度を利用して調整することも可能である。
本発明の包装体は、上記包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなる。ここで、青果物がホウレン草を「含む」とは、当該青果物の全部がホウレン草で構成されている場合、当該青果物の一部がホウレン草で構成されている場合、の双方を包含する趣旨である。従って、包装容器内に収納される青果物は、これ以外の野菜や果物等を含んでいてもよく、含んでいなくともよい。更には、ホウレン草を含んでいる限りにおいては、青果物以外の成分、例えば青果物以外の食品、調味料、食品添加物等を含んでいてもよい。
また、本発明の包装体を構成する(包装容器に収納される)ホウレン草は、本発明の範囲内で、洗浄、冷却、脱水等の処理のいずれか又は全てを行ったものであってもよく、またこれらの処理のいずれも行わないものであってもよい。
本発明の包装体の内部酸素濃度と二酸化炭素濃度は上述のとおりである。具体的には、
包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度が6.5%以上15%以下である。これにより、約5℃の冷蔵温度で保管した場合に色相の保持、萎えの抑制、異臭発生の抑制、そしてドリップ生成の抑制という四点のトータルバランスに優れた鮮度保持を、少なくとも11日間という長期間に亘って安定して提供することが可能になる。この場合、11日目の前記包装体内部の酸素濃度が12%以上14%以下で、二酸化炭素濃度が8%以上10%以下であることが好ましい。更に、包装体の封止後5日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上14%以下で、二酸化炭素濃度が6.5%以上12%以下であることが好ましい。更に、包装体の封止後8日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上14%以下で、二酸化炭素濃度が8%以上11%以下であることがより好ましい。
なお、このような高酸素濃度になると、包装体に収納されるホウレン草の呼吸をコントロールすることが通常困難になると予想されるため、実務上、好ましくない可能性もあり得る。そのため、ホウレン草の呼吸のコントロールを制御するという観点から、上記四点のトータルバランスについて、上記条件(具体的には、包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度が6.5%以上15%以下)で得られる効果よりも多少劣るとしても、商品価値に影響を与えない程度であれば、5%程度以下の低酸素濃度を保つように行うことを所望することも考えられる。そのような場合には、包装体の封止後4日目から11日目まで、包装体内部の酸素濃度が0.2%以上3%以下で、二酸化炭素濃度が15%以上20%以下とするのが好ましい。
また、本願において、「酸素濃度」や「二酸化炭素濃度」を表すのに使用される%表示は、特に断りのない限り、体積%のことである。
ここで、「包装後」とは、包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納した後、包装容器を封止してからの経過時間をいい、例えば、「包装後4日後」とは、包装容器内にホウレン草を収納した後、包装容器を封止してから4日経過後(即ち、96時間経過後)の状態をいう。
また、上述した所望の内部酸素濃度を実現するためには、酸素透過度が所定値範囲内の高分子フィルムを用いて、包装容器を構成することが望ましい。
通常、20℃、90%RHにおいて、7500cc/m2・day・atm以上18000cc/m2・day・atmの範囲内であるものを使用することが好ましい。好ましくは、9000cc/m2・day・atm以上16500cc/m2・day・atm以下であり、さらに好ましくは10500cc/m2・day・atm以上13500cc/m2・day・atm以下である。
まず、次の方法で内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になれば袋内のガスを連通部からほぼすべて排出する。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールする。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、窒素濃度:79%)の室内に6時間放置する。
袋中の内部の酸素濃度は、株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフ装置GC2014を用いて測定した。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度を算出する。
(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(2×a×bcm2)/0.21(酸素の分圧)
例えば30μmのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)袋の酸素透過度は1000cc/m2・day・atmであるが孔1つ空けることにより酸素透過度を増加させることができる。一方、酸素透過度を調整することが可能となるが、孔の径が大きいほど、また、孔の数が多いほど機械的強度は低下することがある。従って、フィルムの厚さはある程度確保することが好ましい。このような孔の径および数と機械的強度等も併せて考慮すれば、高分子フィルムの厚みは、15〜45μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
高分子フィルム中に開口部が存在しないことは、例えば、包装容器を構成する高分子フィルムが、インク洩れチェッカーで確認できる貫通孔を有さないことにより、確認することができる。
個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、高分子フィルムの酸素透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能であり、その際には、高分子フィルムの有効面積に占める開口部の数が指針となる。例えば2mmの長さのスリット状の開口部であって、閉じた状態では光学顕微鏡(オリンパス社製、型式SZH−131)にて倍率4倍による観察では貫通口としての幅は視認することができないものを設ける場合、200mm×200mmの包装容器に対して1つ存在するごとに約1000cc/m2・day・atmの酸素透過度を上げる効果があり、この様な知見に基づき必要とされる包装容器全体の酸素透過度からスリット開口部の数を決めることが好ましい。
前記プロピレン系重合体としては、ポリプロピレンの名称で製造、販売されているプロピレン単独重合体(ホモPPとも呼ばれている)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(ランダムPPとも呼ばれている)、プロピレン単独重合体と、低結晶性または非晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体との混合物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主成分とする結晶性の重合体が挙げられる。また、プロピレン系重合体は、分子量が異なるプロピレン単独重合体の混合物であってもよく、プロピレン単独重合体と、プロピレンとエチレン又は炭素数4から10のα−オレフィンとのランダム共重合体との混合物であってもよい。
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体が挙げられる。これらの共重合体中のα−オレフィンの割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
機械的強度等の観点からは、各種高分子の延伸フィルムを好適に用いることができる。
特に、プロピレン系重合体を用いた延伸フィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)は、機械的強度、透明性、耐熱性等に優れるため、本発明に用いる包装容器において、特に好ましく使用することができる。
また、エチレン系重合体を用いたフィルム(ポリエチレン系フィルム)も、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれであってもよいが、ヒートシール性等の観点から、無延伸のものを、特に好ましく使用することができる。
本発明において包装容器を構成する高分子フィルムとして特に好適なものの例として、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、及び延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を挙げることができる。
本発明において好ましく用いられる延伸ポリプロピレンフィルムは少なくとも一方向に延伸されたフィルムから構成されていてもよいし、延伸ポリプロピレンフィルム自体が少なくとも一方向に延伸されていてもよい。また、延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、例えば逐次、あるいは同時二軸延伸することにより容易に製造することも可能である。延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、通常、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に、例えば、20〜40μmとする方法、あるいは、縦方向及び横方向にそれぞれ5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸する方法により製造することができる。
<ポリエチレン系フィルム>
本発明において好ましく用いられるポリエチレン系フィルムは、前記エチレン系重合体を含むフィルムである。ポリエチレン系フィルムは種々の公知の成型方法を用いることができるが、エクストルーダーによる押出によるキャスト成型が、生産効率の観点から好ましい。
ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びポリL乳酸、ポリD乳酸、またはポリL乳酸とポリD乳酸を精密に配位したステレオコンプレックス晶ポリ乳酸からなる一軸あるいは二軸延伸フィルムである。
本発明において好ましく用いられる延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体は上記ポリエチレン系フィルムの層と延伸フィルムの層を積層して得られる。ポリエチレン系フィルムは一方向または二方向に延伸されていてもよいが、包装袋の機械的強度の安定性の観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。
予め作製された延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとを接着剤により貼着させるドライラミネーションを行うが、ここで接着剤を塗布する延伸フィルム表面にはコロナ処理をしておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が接着安定性の観点から、35mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。
青果物等の内容物の鮮度保持の観点からは、上記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有することが好ましい。
また、上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、抗菌機能を有していてもよい。例えば、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、上記高分子フィルムの少なくとも一方の表面に存在することが好ましく、当該少なくとも1種の化合物が0.002〜0.5g/m2存在することが特に好ましい。あるいは、上記高分子フィルムが、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびグリセリンモノカプレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有していることが好ましく、0.001〜3質量部含有していることが特に好ましい。
上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、当該高分子フィルムの表面での結露の生成が抑制され、雑菌の繁殖が抑制されることにより、結露中での雑菌の増殖が抑制され、抗菌機能が発揮される。
この場合、延伸プロピレンフィルム単体で用いる場合は、その厚さが10〜100μmであることが好ましく、延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を用いる場合には、前者の厚さが10〜50μm、後者の厚さが10〜120μmであることが好ましい。
上述のとおり、本発明は、高分子フィルムを含んでなる包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなる包装体で、5℃で冷蔵保管した場合に、前記包装体の封止後の所定期間経過後の包装体内部の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれ所定濃度に制御することにより、本発明の包装体を製造することができ、また本発明の一実施形態である青果物の鮮度保持方法を実施することができる。
以下、本発明の包装体の製造方法の一実施態様を、ホウレン草からなる鮮度保持用の包装体の一製造例を用いて説明する。
このホウレン草は、必要に応じて、水洗及び脱水の前処理を行う。
カットしたホウレン草を使用する場合には、ホウレン草の鮮度保持の観点からは、切れ味の良い刃を用い、切断面に生ずる傷をより少なくすることが好ましい。なお、カット幅が狭いほど、切断面積が増加し、鮮度保持がより困難になるため、鮮度保持の観点からは、需要の形態に適合する限りにおいてカット幅が広い方が好ましい。
加えて、洗浄後にホウレン草の表面に付着した水分を十分に除去することが、鮮度保持のために重要である。洗浄後静置して水切りを行っても、なお多くの水がその表面に付着している場合が多いので、遠心脱水機等を用いて水分を十分に除去することが有効である。
また、流通の過程での効率向上やスペース節約、特定の気体の排除等の観点からも、必要に応じて、包装容器の封止後に脱気を行ってもよい。
なお、上述のとおり、5体積%程度以下の低酸素濃度を保つように行うことを所望する場合には、包装体の封止後4日目から11日目まで、包装体内部の酸素濃度が0.2%以上3%以下で、二酸化炭素濃度が15%以上20%以下とするのが好ましい。
例えば、青果物に加えて、吸湿剤、及び/又は抗菌剤が包装容器中に収納されていてもよい。
吸湿剤には特に限定は無く、吸湿効果または調湿効果を有する公知又は市販の材料を使用することができる。吸湿剤として好適に用いられるものとしては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び、焼ミョウバン、又はこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭は粉末状、粒状どちらでも何ら差し支えなく、原料はヤシ殻、おがくず、木炭、竹炭、褐炭、泥炭、ほね、石油ピッチなどどんなものでも差し支えない。また活性炭は不織布、セロファン、紙などなどで使用単位毎に包装してあることが望ましいが、活性炭自体が繊維状になったものでも差し支えない。活性炭の包材としては、合成樹脂からなる不織布のように、ヒートシール性を有するものが好ましいが、水蒸気透過性を有しかつ活性炭がこぼれないもので有れば、紙、天然繊維などでも何ら問題ない。
厚さ30μmの防曇性二軸延伸ポリプロピレン(防曇OPP)フィルムに熱針で約100μmの孔1個、3個、6個の孔(210mmピッチ間隔内)を有するフィルムをそれぞれ作成した。
フィルムの酸素透過度を測定するため、孔開け加工を行っていない孔無しのフィルム及び、上記孔開けを行った各フィルムを用いて210mm×150mmサイズの各袋(包装体)をヒートシールして作製した。
そして、各袋に窒素を充填して初期酸素濃度を測定した。数時間放置後に再度酸素濃度を測定した。さらに袋内の空気量を測定し、酸素透過度を算出するための上記計算式に基づいて各フィルムの酸素透過度を見積もった。その結果、各フィルムの酸素透過度は、孔無しフィルムで1,081cc/m2・day・atm、孔1個フィルムで1,227cc/m2・day・atm、孔3個フィルムで1,623cc/m2・day・atm、孔6個フィルムで11,690cc/m2・day・atmであった。
次に、上記の孔開け加工を行っていない孔無しのフィルムと孔開け加工を行ったフィルムを用い、サイズが270mm×360mm(最大容積:5.6L)の三方シール袋を作成し、各袋にホウレン草を約300g詰め、上部をヒートシールした。これら袋のうち、穴無しフィルムを用いた袋を包装体1、孔1個フィルムを用いた袋を包装体2、孔3個フィルムを用いた袋を包装体3、孔6個フィルムを用いた袋を包装体4とし、これらを測定試料とした。
そして、これら測定試料は5℃に設定した冷蔵庫にて保管し、封入から1日後、封入から4日後、封入から5日後、封入から7日後、封入から8日後、そして封入から11日後の各経日毎に以下の測定及び観察評価を行った。
株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフ装置GC2014を用いて、各包装体内部の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定した。
その結果は図1に示した。
包装体の封を開けて、取り出したホウレン草の表面を中心に全体的な色相を目視にてn(サンプル数)=4で評価した。
評価基準は以下のとおりである。
A:全体的に濃緑色の新鮮で全く問題ない状態
B:やや黄化があるが新鮮と言える状態
C:更に黄化はあるが市販と同じ状態であり、販売可能な状態
D:更に黄化が進み、消費者が気にする状態
E:全体的に黄化してしまい販売不可能な状態
なお、本願では、DとEの評価を商品的価値が無いと評価した。
包装体の封を開けた時に顔を近づけて内部の臭いを嗅いでn(サンプル数)=3で官能評価した。
評価基準は以下のとおりである。
A:異臭が無い新鮮で全く問題ない状態
B:やや異臭があるが新鮮と言える状態
C:更に異臭はあるが市販と同じ状態であり、販売可能な状態
D:更に異臭が強く消費者が気にする状態
E:異臭がとても強く販売不可能な状態
なお、本願では、DとEの評価を商品的価値が無いと評価した。
包装体の封を開けて、取り出したホウレン草の全体的な張りを目視にてn(サンプル数)=4で評価した。
評価基準は以下のとおりである。
A:全体的にピンと張りがある新鮮で全く問題ない状態
B:やや萎びているが新鮮と言える状態
C:更に萎びていているが市販と同じ状態であり、販売可能な状態
D:更に萎れてしまい消費者が気にする状態
E:全体的に萎れてしまい張りが無く、販売不可能な状態
なお、本願では、DとEの評価を商品的価値が無いと評価した。
包装体の封を開けて、取り出したホウレン草の表面を中心にドリップ(水分)の発生を目視にてn(サンプル数)=4で評価した。
評価基準は以下のとおりである。
A:全体的にドリップの発生が認められない新鮮で全く問題ない状態
B:ややドリップの発生が認められるが新鮮と言える状態
C:更にドリップの発生が認められるが市販と同じ状態であり、販売可能な状態
D:更にドリップの発生が認められ、消費者が気にする状態
E:全体的にドリップの発生が認められ、販売不可能な状態
なお、本願では、DとEの評価の場合を商品的価値が無いと評価した。
更に、包装体1〜3の中で最も酸素透過度が低い包装体1は、図1の結果から、包装体3と同様、5℃で冷蔵保管した場合に、包装体の封止後4日目から11日目まで、包装体内部の酸素濃度が0.2%以上3%以下で、二酸化炭素濃度が15%以上20%以下となることが確認された。そして、表1の結果に示されているとおり、この包装体1を使用した場合には、収納されたホウレン草が、5℃で冷蔵保管された場合でも、少なくとも11日間は、ドリップがA評価、色相と異臭がB以上の評価、そして萎えがC以上の評価を得ることができるため、包装体3を使用する場合に比べて異臭の評価は劣るものの、商品的価値には影響が無く、そのため、色相の保持、萎えの抑制、異臭発生の抑制、そしてドリップ生成の抑制という四点のトータルバランスに優れた鮮度保持を安定して提供できることが確認された。
Claims (7)
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなる包装体であって、
5℃で冷蔵保管した場合に、
前記包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度が10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度が6.5%以上15%以下である、前記包装体。 - 前記高分子フィルムの酸素透過度が、20℃、90%RHにおいて、7500cc/m2・day・atm以上、18000cc/m2・day・atm以下である、請求項1に記載の包装体。
- 前記青果物の重量あたりの前記包装容器の酸素透過度が、25cc/m2・g・day・atm以上60cc/m2・g・day・atm以下である、請求項1又は2に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムの厚みが、15μm以上45μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、又は延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有し、又は少なくとも1種の抗菌剤が塗布されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装体。
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にホウレン草を含む青果物を収納してなる包装体を、5℃で冷蔵保管し、前記包装体の封止後4日目から11日目まで、前記包装体内部の酸素濃度を10%以上15%以下で、二酸化炭素濃度を6.5%以上15%以下にすることによって、前記青果物の鮮度を保持する方法。
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JP2017103969A Pending JP2018199499A (ja) | 2017-05-25 | 2017-05-25 | ホウレン草を含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及びその青果物の鮮度保持方法 |
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JP (1) | JP2018199499A (ja) |
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2017
- 2017-05-25 JP JP2017103969A patent/JP2018199499A/ja active Pending
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