JP5098215B2 - 水素化触媒の賦活方法およびそれを含む過酸化水素の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明者らは、上記のような要望に応えた触媒として0.1〜5重量%のアルカリ金属を含有するシリカ担持パラジウム触媒の調整法を見出し、特許出願を行った(特開平9-271671号(特許文献6)参照)。該触媒は、強度、活性及び寿命に優れる上にアントラキノン類の水素化における副生成物の生成を抑制できる高性能触媒であった。
上述したように、アントラキノン類を有機溶媒に溶かして調製した溶液は作動溶液と呼ばれる。
本発明で使用するアントラキノン類は、アルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンあるいはそれらの混合物が好ましい。アルキルアントラキノン及びアルキルテトラヒドロアントラキノンは、各々が複数のアルキルアントラキノン及びアルキルテトラヒドロアントラキノンの混合物であってもよい。アルキルアントラキノンとしては、エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、アミルアントラキノンなどが例示される。また、アルキルテトラヒドロアントラキノンとしてはエチルテトラヒドロアントラキノン、t-ブチルテトラヒドロアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノンなどが例示される。
本発明において作動溶液を調製するために用いられる有機溶媒は、特に限定されるものではないが、好ましい有機溶媒としては、芳香族炭化水素と高級アルコールとの組み合わせ、芳香族炭化水素とシクロヘキサノールもしくはアルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エステルとの組み合わせ、四置換尿素などが例示される。
pH10以上が必要な理由は不明な点も多く正確なことはわからないが、アルカリ処理液からアンスラキノンの分解物であるアルキルフタル酸が検出されることから酸成分触媒毒を溶出するに十分なアルカリ性として適正な値である。
また、pH13.5を超えるようなアルカリ性水溶液では、担体の溶出などの触媒ダメージが起きるため長時間処理すると触媒性能が低下するため好ましくない。
なお、アルカリ処理後のスチーミングは行っても良いが、長時間処理は触媒物性が変化するため望ましくない。
実施例
水素化触媒の水素化選択性の評価は作動溶液が還元工程、酸化工程及び抽出工程を循環して過酸化水素を生成する循環装置を用いて行った。以下にその評価試験の実施法を説明する。上記の循環装置の還元工程の水素化反応器に試験する触媒200重量部を投入し、連続的にアントラキノン類の水素化を行い、過酸化水素を製造した。水素化反応器内の作動溶液は約4リットルに保たれ、0.25リットル/分の作動溶液と1.8リットル/分の水素が供給された。アントラキノン類が水素化された作動溶液は、キャンドルフィルターを通して触媒から分離されて水素化反応器から抜き出された。攪拌は傾斜したタービン翼にて行われ、反応器内壁に取り付けたバッフルによって十分な混合が得られるようにした。水素化反応の反応温度は40℃とした。
水素化の選択性は、循環反応器で200時間過酸化水素の製造を行った後に、液体クロマトグラフィーを用いて作動溶液中のアミルアントラキノン、アミルオキシアンスロン、アミルテトラヒドロアントラキノンの濃度を測定し、得られた濃度から還元工程におけるアミルアントラキノン、アミルオキシアンスロン、アミルテトラヒドロアントラキノン及びその他の副生成物の生成量を算出し、主生成物の生成量に対する比として求めた。また、水素化触媒の活性劣化は水素分圧の増加速度で評価した。この評価では活性劣化の小さい触媒ほど水素分圧の増加速度が小さくなる。
触媒のアルカリ化の確認は、プラスチック容器に触媒1重量部に対して純水5倍重量部の割合で混合した触媒浸漬液を、空気中に二酸化炭素の影響を避けるため密閉しながら10分程度静置し、この触媒浸漬液の上澄みのpHをpHメーター〔横川電気(株)製pHメーター MODEL PH82〕を用いて測定した。
この触媒をXPSによる元素の状態分析を行ったところ、触媒表面上の炭素量は処理前よりも減少し、触媒表面の金属Pd比率は増加していた。先の処理により触媒表面の有機汚染物が効果的に除去されていた。触媒浸漬液のpHは9.3であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.4Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.7Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
〈比較例1〉
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
〈比較例2〉
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.3Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
〈比較例3〉
アルカリ溶液による処理終了後、処理装置内のアルカリ溶液を窒素ガスで押し出した後、純水を1550ミリリットル/時で10時間通液し、触媒を洗浄した。水洗後の触媒を120℃で2時間乾燥した。触媒浸漬液のpHは6.8であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
〈比較例4〉
〈比較例5〉
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.7Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
〈比較例6〉
〈比較例7〉
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を表1に示す。
〈参考例1〉
〈参考例2〉
Claims (9)
- 有機溶媒およびアントラキノン類を含む作動溶液を水素化触媒の存在下で水素によって還元する還元工程と、繰り返し使用により水素化の選択性が低下した前記水素化触媒を賦活する触媒賦活工程とを含むアントラキノン法による過酸化水素の製造方法であって、
前記触媒賦活工程が、賦活後の水素化触媒1重量部に対して純水5重量部を混合した触媒浸漬液のpHが8.0から11.5の範囲になるように、前記水素化触媒をアルカリ金属を含有するpH11.0〜13.5の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水またはpHが7.1〜7.5の範囲である第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有し、
前記水素化触媒が、シリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、シリカ・アルミナ・チタニア複合酸化物及びこれらの物理的混合物からなる群より選択される少なくとも一つの酸化物を含む担体であって、かつ0.2〜2.0ml/gの全細孔容積を有する担体を含有することを特徴とする過酸化水素の製造方法。 - 前記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである請求項1に記載の過酸化水素の製造方法。
- 前記水素化触媒を1分以上にわたって前記アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液と接触させる請求項1または2に記載の過酸化水素の製造方法。
- 接触時間が、30分以上である請求項3に記載の過酸化水素の製造方法。
- 前記水素化触媒を0〜70℃の前記アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液と接触させる請求項1から4のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
- 前記第1のアルカリ性水溶液の温度が、10〜60℃の範囲である請求項5に記載の過酸化水素の製造方法。
- 前記水素化触媒が、前記担体及び該担体に担持される金属化合物を含有し、前記金属化合物が、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよび白金から選択される1種類以上の金属を含み、かつその金属化合物の含有量が前記担体の重量に対して0.1〜10重量%である請求項1から6のいずかに記載の過酸化水素の製造方法。
- 前記触媒賦活工程における洗浄を純水で行う請求項1から7のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
- アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される水素化触媒であって、連続繰り返し使用により水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒を、アルカリ金属を含有するpH11.0〜13.5の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水またはpHが7.1〜7.5の範囲である第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有し、洗浄後の前記触媒1重量部に対して純水5重量部の割合で混合した触媒浸漬液のpH が8.0から11.5の範囲になるように前記洗浄を行う水素化触媒の賦活方法であって、
前記水素化触媒が、シリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、シリカ・アルミナ・チタニア複合酸化物及びこれらの物理的混合物からなる群より選択される少なくとも一つの酸化物を含む担体であって、かつ0.2〜2.0ml/gの全細孔容積を有する担体を含有する、前記水素化触媒の賦活方法。
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