JP2007314400A - 水素化触媒の賦活方法およびそれを含む過酸化水素の製造方法 - Google Patents

水素化触媒の賦活方法およびそれを含む過酸化水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アントラキノン法による過酸化水素製造プラントに連続繰り返し使用され、水素
化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒にダメージを与えることなく
、該触媒の水素化の選択性と活性を共に賦活する工程を有する過酸化水素の製造方法を提
供する。
【解決手段】繰り返し使用により水素化の選択性が低下した水素化触媒を賦活する触媒賦活工程とを含むアントラキノン法による過酸化水素の製造方法であって、前記触媒賦活工程が、(1)前記水素化触媒を酸素含有ガス中で200〜600℃で熱処理した後、(2)賦活後の水素化触媒1重量部に対して純水5重量部を混合した触媒浸漬液のpHが8.0以上になるように、前記水素化触媒をアルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有することを特徴とする過酸化水素の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アントラキノン法による過酸化水素の製造に連続繰り返し使用され、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒を賦活する方法、およびそのような工程を含む過酸化水素の製造方法に関する。
現在工業的に行われている過酸化水素の主な製造方法は、アントラキノン類を反応媒体とする方法でアントラキノン法と呼ばれる。一般にアントラキノン類は適当な有機溶媒に溶解して使用される。有機溶媒は単独または混合物として用いられるが、通常は2種類の有機溶媒の混合物が使用される。アントラキノン類を有機溶媒に溶かして調製した溶液は作動溶液と呼ばれる。
アントラキノン法では還元工程において、上記の作動溶液中のアントラキノン類を触媒の存在下で水素にて還元(以下、水素化と称す)し、対応するアントラヒドロキノン類を生成させる。次いで酸化工程においてそのアントラヒドロキノン類を空気もしくは酸素を含んだ気体によって酸化することによりアントラキノン類に再度転化し、同時に過酸化水素を生成する。作動溶液中に生成した過酸化水素は抽出工程において通常は水を用いて抽出され、作動溶液から分離される。過酸化水素が抽出された作動溶液は再び還元工程に戻され、循環プロセスを形成する。このプロセスは、実質的に水素と空気から過酸化水素を製造するものであり、極めて効率的なプロセスである。既にこの循環プロセスを用いて過酸化水素が工業的に製造されている。
過酸化水素を製造する前述の循環プロセスにおいて、作動溶液は循環再利用されるため、アントラキノン類の水素化で生成したオキシアンスロン、テトラヒドロアントラキノンエポキシド及びその他のもはや過酸化水素を生成することのできない副生成物が過酸化水素の製造を継続するにつれて作動溶液中に徐々に蓄積される。過酸化水素を生成することのできないこれらの副生成物の生成は供給した水素を損失するだけでなく、高価なアントラキノン類を損失するため、過酸化水素の製造コストを上昇させる好ましくない反応である。
これらの副生成物をアントラキノンに再生転化する方法としては、以下のような方法が提案されている。1.特公昭39-8806号(特許文献1)ではアルカリ及びアルカリ水溶液で作動溶液を処理する方法、2.特公昭43-11658号(特許文献2)では還元された状態の作動溶液を120℃で苛性ソーダや珪酸ナトリウムで処理する方法が開示されている。これらの方法では副生成物を元のアントラキノン類に戻すことができるが、多量の作動溶液を処理することに伴う廃液や作業性の問題があった。3.特公昭45-19164号(特許文献3)ではオゾン処理した後に苛性ソーダ水溶液で処理し、さらに70〜75℃で活性アルミナを通液する方法、4.特公昭49-41040号(特許文献4)では還元前の作動溶液を40℃〜150℃の温度でγ-アルミナを主成分とする触媒存在下で処理する方法などが開示されている。これらの方法でも副生成物を元のアントラキノン類に戻すことができるが、作動溶液中のアントラキノン類が触媒に吸着除去されてしまうことによるロスが問題であった。5.特開平9-278419号(特許文献5)では作動溶液を130℃でパラジウムを担持させた触媒でオレフィンの存在下で処理する方法が開示されている。この方法では副生成物を元のアントラキノン類に戻すことができ、アントラキノン類が触媒に吸着除去されてしまうことによるロスも少ないが、高価なパラジウム触媒やオレフィンを調達する必要がある。これらの欠点は過酸化水素の製造コストの増加要因となるため、前述の循環プロセスの還元工程でアントラキノン類の水素化に使用される触媒には触媒活性や水素化の選択性が持続する触媒寿命が重要であるが、その中でも水素化の選択性は特に重要な要素となる。
上記の循環プロセスの還元工程でアントラキノン類の水素化に使用される触媒としてラネー・ニッケル触媒、パラジウム黒触媒、担体に担持されたパラジウム触媒が知られている。ラネー・ニッケル触媒は、活性は高いが作動溶液中の微量の過酸化水素により顕著に劣化すること、発火金属であるため取り扱い上の危険を伴うこと及び選択率が低いことなど多くの欠点を有する。また、パラジウム黒触媒は活性及び選択性に優れるが、作動溶液からの分離が困難であり、パラジウムの存在下で分解しやすい過酸化水素を工業的に製造するには致命的な欠点を有する。一方、担持されたパラジウム触媒は、活性及び選択率はパラジウム黒触媒にやや劣るものの作動溶液からの分離が可能であり、過酸化水素を工業的に製造するのに適した触媒である。
担体に担持されたパラジウム触媒としてはシリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、アルミケイ酸塩あるいはアルカリ金属の炭酸塩など種々の担体に担持された触媒が提案されているが、全て工業用触媒として必要な安価で触媒強度が強く、活性及び選択性が高いという条件を満たしているわけではない。実際に工業的に利用されているのはシリカ酸化物、アルミナ酸化物、シリカ・アルミナ複合酸化物である。
本発明者らは、上記のような要望に応えた触媒として0.1〜5重量%のアルカリ金属を含有するシリカ担持パラジウム触媒の調整法を見出し、特許出願を行った(特開平9-271671号(特許文献6)参照)。該触媒は、強度、活性及び寿命に優れる上にアントラキノン類の水素化における副生成物の生成を抑制できる高性能触媒であった。
しかし、高性能触媒も前述の循環プロセスにおいて連続繰り返し使用されると、活性及び水素化の選択性が低下してしまう。従来、触媒活性が劣化した場合の賦活方法としては以下のような方法が提案されている。1.EP-A-670182号(特許文献7)では劣化触媒を酸化された使用液で処理する賦活方法が開示されているが、この方法では触媒上に沈着したハイドロキノン類を脱着させることによる活性賦活能力しかなく、根本的な触媒活性の賦活能力はなく、また水素化の選択率の改善効果は見られない問題があった。2.特開平9-173872号(特許文献8)では、鉱酸、スルホン酸及びシュウ酸などの酸で処理することにより触媒活性を賦活する方法が開示されている。この方法では、触媒活性の賦活効果があるが水素化の選択性に関与する担体のアルカリ性分も除去してしまう為、水素化の選択率の賦活効果は発現しなかった。3.U.S. Patent 2,925,391号(特許文献9)では、劣化触媒を80℃でpH12以上の水酸化ナトリウム水溶液で処理する賦活方法が開示されている。しかし、強力なアルカリ処理は、必ずしも賦活効果があるわけではなく時には触媒担体の性質を壊してしまい失活する場合もある。例えば、特許文献8の比較例Dにおいても5%水酸化ナトリウム溶液の処理で失活した報告がされている。
特公昭39-8806号 特公昭43-11658号 特公昭45-19164号 特公昭49-41040号 特開平9-278419号 特開平9-271671号 EP-A-670182号 特開平9-173872号 U.S. Patent 2,925,391号
以上のように、高性能触媒の特性である高活性と高選択率を賦活させるような触媒賦活
法の開発が望まれていた。特に、アントラキノン法による過酸化水素製造プラントに連続繰り返し使用され、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒(以下、「劣化水素化触媒」と称することがある)にダメージを与えることなく、該触媒の水素化の選択性と活性を共に賦活する方法が望まれていた。
本発明の一実施態様では、有機溶媒およびアントラキノン類を含む作動溶液を水素化触媒の存在下で水素によって還元する還元工程と、繰り返し使用により水素化の選択性が低下した前記水素化触媒を賦活する触媒賦活工程とを含むアントラキノン法による過酸化水素の製造方法であって、前記触媒賦活工程が、(1)前記水素化触媒を酸素含有ガス中で200〜600℃で熱処理した後、(2)賦活後の水素化触媒1重量部に対して純水5重量部を混合した触媒浸漬液のpHが8.0以上になるように、前記水素化触媒をアルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有することを特徴とする過酸化水素の製造方法を提供する。
好ましい態様では、前記触媒浸漬液のpHが8.0から11.5の範囲になるように洗浄する。また、好ましい態様では、前記アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液のpHが、11.0〜13.5の範囲である。また、好ましい態様では、前記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである。また、好ましい態様では、前記水素化触媒を1分以上にわたってアルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液と接触させる。また、好ましい態様では、前記水素化触媒を0〜70℃のアルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液と接触させる。
また、好ましい態様では、前記水素化触媒に担持された金属化合物が、パラジウム、ロジウム、ルテニウムまたは白金を含む1種類以上を含む金属化合物であり、かつその含有量が担体の重量に対して0.1〜10重量%である。また、好ましい態様では、前記水素化触媒の担体が、シリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、シリカ・アルミナ・チタニア複合酸化物及びこれらの物理的混合物からなる群より選択される少なくとも一つの酸化物であり、かつ0.2〜2.0ml/gの全細孔容積を有する。また、好ましい態様では、前記第2のアルカリ性水溶液のpHが、7.1〜7.5の範囲である。また、好ましい態様では、前記触媒賦活工程における洗浄を純水で行う。
本発明の別の態様では、アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される水素化触媒であって、連続繰り返し使用により水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒を、(1)酸素含有ガス中で200〜600℃で熱処理した後、(2)アルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有し、洗浄後の前記触媒1重量部に対して純水5重量部の割合で混合した触媒浸漬液のpH が8.0以上になるように前記洗浄を行うことを特徴とする水素化触媒の賦活方法を提供する。
本発明の賦活方法をアントラキノン法による過酸化水素の製造に連続繰り返し使用され、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒に使用すると、処理に困難を伴う有機物を含む廃液の排出を防止しつつ効果的に触媒表面上の有機汚染物を除去でき、かつ触媒を適度なアルカリ性に保つことにより、水素化触媒の強度を損なうことなく、該触媒の水素化の選択性と活性を共に賦活することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施をすることができる。
本発明の一実施態様は、有機溶媒およびアントラキノン類を含む作動溶液を水素化触媒の存在下で水素によって還元する還元工程と、繰り返し使用により水素化の選択性が低下した前記水素化触媒を賦活する触媒賦活工程とを含むアントラキノン法による過酸化水素の製造方法に関する。
上述したように、アントラキノン類を有機溶媒に溶かして調製した溶液は作動溶液と呼ばれる。
本発明で使用するアントラキノン類は、アルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンあるいはそれらの混合物が好ましい。アルキルアントラキノン及びアルキルテトラヒドロアントラキノンは、各々が複数のアルキルアントラキノン及びアルキルテトラヒドロアントラキノンの混合物であってもよい。アルキルアントラキノンとしては、エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、アミルアントラキノンなどが例示される。また、アルキルテトラヒドロアントラキノンとしてはエチルテトラヒドロアントラキノン、t-ブチルテトラヒドロアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノンなどが例示される。
本発明において作動溶液を調製するために用いられる有機溶媒は、特に限定されるものではないが、好ましい有機溶媒としては、芳香族炭化水素と高級アルコールとの組み合わせ、芳香族炭化水素とシクロヘキサノールもしくはアルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エステルとの組み合わせ、芳香族炭化水素と四置換尿素などが例示される。
本発明で使用される水素化触媒の担体は、通常触媒担体として用いられるものであればよく、特に限定はされないが、シリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、シリカ・アルミナ・チタニア複合酸化物及びこれらの物理的混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの酸化物であり、かつ0.2〜2.0ml/gの全細孔容積を有することが好ましい。さらに好ましくは0.2〜2.0ml/gの全細孔容積を有するシリカあるいはシリカ・アルミナ複合酸化物である。
本発明に用いられる水素化触媒に担持された金属化合物は、少なくともパラジウム、ロジウム、ルテニウムまたは白金を含む1種類以上を含む金属化合物が好ましく、パラジウムがより好ましい。触媒に担持された金属化合物の含有量は、本発明の効果に決定的ではないが通常担体重量に対して0.1〜10重量%が好ましい。また、該触媒の金属化合物は通常金属の状態で担持されているが、反応条件下で容易に還元されて金属となるような酸化物のような化合物の形態で担持されていてもよい。
本発明の過酸化水素の製造方法は、前記触媒賦活工程が、(1)触媒を酸素を含有するガス中で200〜600℃、好ましくは300〜550℃で熱処理する。この熱処理温度は触媒の活性及び水素化の選択性及び活性と関係する。熱処理温度が200℃未満または600℃を超える温度では触媒の賦活効果が低くなる。この理由は明らかではないが、200℃未満では触媒に有機物の炭化物が残留するため、また600℃を超える熱処理ではパラジウム表面積の低下が起こるためと推測される。200〜600℃ではパラジウム表面積の低下が抑制されつつ、有機物の除去が効率的に進むためと考えられる。
この熱処理工程は、バッチ式でも連続式でも実施可能である。熱処理に要する時間は処理する触媒量や酸素含有ガス供給量により変動する。熱処理の完了は、簡易的に目視で触媒が酸化パラジウムの茶褐色になることで判断される。また、上記の熱処理において室温から200〜600℃に到達する昇温速度及び200〜600℃から室温までの降温速度は、特に制限はない。この熱処理を予め行うことにより、アルカリ処理時の有機物を含む廃液の排出を防止し、かつ該処理時の短縮化により触媒へのダメージを防止することができる。
本発明の過酸化水素の製造方法は、前記触媒賦活工程が、(2)賦活後の水素化触媒1重量部に対して純水5重量部を混合した触媒浸漬液のpHが8.0以上になるように、前記水素化触媒をアルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有する。
本発明で使用されるアルカリ金属は、周期表第Ia族のアルカリ金属であればよいが、リチウム、ナトリウムあるいはカリウムが好ましい。これらを含む試薬に特に限定はないが、LiOH、NaOH、Na2CO3、NaHCO3、Na2B4O7、Na4P2O6、NaBO2、NaNO2、NaBO3、Na2HPO4、Na3PO4、Na2SiO3、Na6Si2O7、Na2Si3O7、Na2SnO3、Na2S、Na2S2O3、Na2WO3、Al2K2O4、KOH、BH4K、K2CO3、KCN、KNO2、C6H5OK、K2HPO4、K3PO4、K4P2O7、K2SnO3、K18H35O2、K3SbS4、C3H5KS2Oなどが例示される。アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液のpHは10以上であり、好ましくはpH11.0〜13.5である。
pH10以上が必要な理由は不明な点も多く正確なことはわからないが、アルカリ処理液からアントラキノンの分解物であるフタル酸が検出されることから酸成分触媒毒を溶出するに十分なアルカリ性として適正な値である。
また、pH13.5を超えるようなアルカリ性水溶液では、担体の溶出などの触媒ダメージが起きるため長時間処理すると触媒性能が低下するため好ましくない。
本発明において劣化した水素化触媒は、予め無極性有機溶媒または作動溶液に用いられる溶媒により洗浄処理され、次いで乾燥工程または水洗工程が行われることが好ましい。その後、触媒はアルカリ金属を含有するpH10以上、好ましくはpH11.0〜13.5の第1のアルカリ性水溶液と接触されることが望ましい。触媒は好ましくは約1分以上、より好ましくは30分以上にわたって第1のアルカリ性水溶液と接触されるが、好ましい重要な上限はない。第1のアルカリ性水溶液の温度は、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃に保たれる。圧力に特に限定はないが常圧に保たれることが好適である。
該第1のアルカリ性水溶液による処理に続いて水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液による水洗が行われる。ここで言う「水」は、蒸留、イオン交換、逆浸透などで精製された水が好ましい。上記以外の方法で精製された水も好ましく用いられる。特に、洗浄に用いられる水として純水が好ましい。第2のアルカリ性水溶液のpHは、好ましくは7.1〜7.9、より好ましくは7.1〜7.5である。いずれを用いた場合も洗浄後の水素化触媒1重量部に対して純水5倍重量部の割合で混合した触媒浸漬液がpH8.0以上になっている必要がある。好ましくは、該触媒浸漬液のpHは、8.0から11.5の範囲である。これは優れた水素化の選択性を得るのに必要な値である適正な値である。
なお、アルカリ処理後のスチーミングは行っても良いが、長時間処理は触媒物性が変化するため望ましくない。
これらの異なる処理工程は、それぞれの液を含む容器中に触媒を浸漬することにより、または触媒が配置されている容器に液体を流入することに行われてもよい。
本発明の別の態様は、アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される水素化触媒であって、連続繰り返し使用により水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒を、アルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有し、洗浄後の前記触媒1重量部に対して純水5重量部の割合で混合した触媒浸漬液のpH が8.0以上になるように前記洗浄を行うことを特徴とする水素化触媒の賦活方法を提供する。この態様に記載される用語の意味は、上述したものと同じある。また、この態様は、上記本発明の過酸化水素の製造方法における水素化触媒の賦活工程に相当するため、詳細な記載は省略する。
以下に実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、「%」は特に指定のない限り「重量%」を意味する。また、アルカリ性水溶液中のアルカリ金属の含有量は水に対する重量%で示した。
過酸化水素の製造に使用された劣化水素化触媒のアルカリ処理はバッチ式の処理装置を用いて行った。以下にその処理法を説明する。上記のバッチ式の処理装置の処理槽(SUS製380cc)に劣化水素化触媒210重量部を投入した。触媒の漏洩を防ぐため処理槽の両端には焼結金属フィルター(SUS製 40μm)を取り付けた。日本精密科学(株)製ポンプ(NP-S-701U)を用いて所定のアルカリ金属を含有するアルカリ溶液を1400ミリリットル/時で3時間通液した。アルカリ溶液による処理終了後、処理装置内のアルカリ溶液を窒素ガスで押し出した後、先のポンプを用いて純水を1550ミリリットル/時で3時間通液し、触媒を洗浄した。水洗後の触媒を120℃で2時間乾燥した。
水素化触媒の活性の評価はバッチ式の評価装置を用いて行った。以下にその処理法を説明する。上記のバッチ式の評価装置の反応槽に触媒1重量部と作動溶液20重量部を投入した。反応槽にSUS製の攪拌羽を取り付け、気密した後、反応系内を水素置換した。1000rpmで攪拌して30分間、単位触媒量当たりの水素吸収量を測定した。反応温度は30℃、反応圧力は常圧に制御した。
水素化触媒の水素化選択性の評価は、作動溶液が還元工程、酸化工程及び抽出工程を循環して過酸化水素を生成する循環装置を用いて行った。以下にその評価試験の実施法を説明する。上記の循環装置の還元工程の水素化反応器に試験する触媒200重量部を投入し、連続的にアントラキノン類の水素化を行い、過酸化水素を製造した。水素化反応器内の作動溶液は約4リットルに保たれ、0.25リットル/分の作動溶液と1.8リットル/分の水素が供給された。アントラキノン類が水素化された作動溶液は、キャンドルフィルターを通して触媒から分離されて水素化反応器から抜き出された。攪拌は傾斜したタービン翼にて行われ、反応器内壁に取り付けたバッフルによって十分な混合が得られるようにした。水素化反応の反応温度は40℃とした。
作動溶液は、1,2,4-トリメチルベンゼン60容量%とジイソブチルカルビノール40容量%からなる混合溶媒に、アミルアントラキノンの濃度が0.6mol/Lとなるように溶解したものを用いた。循環装置内の作動溶液の全量は約40リットルとした。
水素化の選択性は、循環反応器で200時間過酸化水素の製造を行った後に、液体クロマトグラフィーを用いて作動溶液中のアミルアントラキノン、アミルオキシアンスロン、アミルテトラヒドロアントラキノンの濃度を測定し、得られた濃度から還元工程におけるアミルアントラキノン、アミルオキシアンスロン、アミルテトラヒドロアントラキノン及びその他の副生成物の生成量を算出し、主生成物の生成量に対する比として求めた。また、水素化触媒の活性劣化は水素分圧の増加速度で評価した。この評価では活性劣化の小さい触媒ほど水素分圧の増加速度が小さくなる。
触媒のアルカリ化の確認は、プラスチック容器に触媒1重量部に対して純水5倍重量部の割合で混合した触媒浸漬液を、空気中の二酸化炭素の影響を避けるため密閉しながら10分程度静置し、この触媒浸漬液の上澄みのpHをpHメーター〔横川電気(株)製pHメーター MODEL PH82〕を用いて測定した。
実施例1
水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)250重量部をSUS製バット上に薄く広げ、ADVANTEC(株)製箱型焼成炉(KM-600)にセットし、空気中で5℃/分で昇温して450℃で5時間熱処理した。熱処理後、自然放冷で室温まで冷却した。乾燥後の触媒全てをガラス管(φ40mm)に詰め、触媒の両端を日本石英硝子(株)製の石英ガラスウールで固定した。系内を窒素で置換した後、室温で水素を500ml/分で60分間通気して触媒を還元した。
熱処理後の該触媒を上記のバッチ式のアルカリ処理装置に投入し、pH12.5の水酸化ナトリウム水溶液を1400ミリリットル/時で1時間通液した。温度は25〜30℃に保持した。アルカリ処理終了時のアルカリ廃液は透明であり、該液の全有機炭素量は検出下限以下であった。アルカリ溶液による処理終了後、処理装置内のアルカリ溶液 を窒素ガスで押し出した後、純水を1550ミリリットル/時で3時間通液し、触媒を洗浄した。水洗後の触媒を120℃で2時間乾燥した。
この触媒をXPSによる元素の状態分析を行ったところ、触媒表面上の炭素量は処理前よりも減少し、触媒表面の金属Pd比率は増加していた。先の処理により触媒表面の有機汚染物が効果的に除去されていた。触媒浸漬液のpHは9.2であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.4Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、熱処理条件は400℃で5時間とし、アルカリ処理時はpH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりにpH13.1の水酸化ナトリウム水溶液を用いた。アルカリ処理終了時のアルカリ廃液は透明であり、該液の全有機炭素量は検出下限以下であった。触媒浸漬液のpHは9.9であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.3Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、熱処理条件は600℃で5時間とし、アルカリ処理時はpH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりにpH11.5の炭酸ナトリウム10水和物水溶液を用いた。アルカリ処理終了時のアルカリ廃液は透明であり、該液の全有機炭素量は検出下限以下であった。触媒浸漬液のpHは9.2であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.3Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、熱処理条件は350℃で5時間とし、アルカリ処理時はpH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりにpH10.5の水酸化カリウム水溶液を用いた。アルカリ処理終了時のアルカリ廃液は透明であり、該液の全有機炭素量は検出下限以下であった。触媒浸漬液のpHは8.5であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
実施例5
実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、劣化したシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)の代わりに同様に水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ・アルミナ担持パラジウム触媒〔Heraeus(株)製K-0290〕を用い、熱処理条件は400℃で5時間とし、アルカリ処理時はpH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりにpH12.7の水酸化ナトリウム水溶液を用いた。アルカリ処理終了時のアルカリ廃液は透明であり、該液の全有機酸素量は検出下限以下であった。触媒浸漬液のpHは8.9であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
実施例6
実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、劣化したシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)の代わりに水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ・アルミナ担持パラジウム触媒〔Heraeus(株)製K-0290〕を用い、熱処理条件は300℃で5時間とし、アルカリ処理時はpH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりにpH11.5の炭酸ナトリウム10水和物水溶液を用いた。アルカリ処理終了時のアルカリ廃液は透明であり、該液の全有機炭素量は検出下限以下であった。触媒浸漬液のpHは8.3であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.3Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
実施例7
水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)250重量部をSUS製バット上に薄く広げ、ADVANTEC(株)製箱型焼成炉(KM-600)にセットし、空気中で5℃/分で昇温して500℃で5時間熱処理した。熱処理後、自然放冷で室温まで冷却した。
熱処理後の該触媒210重量部を純水630重量部に懸濁し、4wt%-水酸化ナトリウム水溶液をpH9.5になるまで添加した。その後、37%ホルムアルデヒド溶液21ミリリットルを添加し、懸濁液の温度を60℃に上昇させて30分間攪拌を継続した。この間、溶液のpHがpH9.5となるように4wt%−水酸化ナトリウム水溶液を添加した。次いで懸濁液をろ過し、純水6500重量部で洗浄した後、120℃で2時間乾燥した。触媒浸漬液のpHは9.2であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加9.4Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例1
対照として、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)210gを1,2,4-トリメチルベンゼン1050ミリリットルで洗浄した。洗浄後の触媒を120℃で5時間乾燥した。この触媒をXPSによる元素の状態分析を行ったところ、処理前後で触媒表面上の炭素量はあまり変化していなかった。触媒浸漬液のpHは7.6であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例2
対照として、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ・アルミナ担持パラジウム触媒〔Heraeus(株)製K-0290〕210gを1,2,4-トリメチルベンゼン1050ミリリットルで洗浄した後、120℃で5時間乾燥した。触媒浸漬液のpHは8.1であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.3Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例3
対照として、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)250重量部をSUS製バット上に薄く広げ、ADVANTEC(株)製箱型焼成炉(KM-600)にセットし、空気中で5℃/分で昇温して600℃で5時間熱処理した。熱処理後、自然放冷で室温まで冷却した。
熱処理後の該触媒を上記のバッチ式のアルカリ処理装置に投入し、純水を1400ミリリットル/時で10時間通液した。温度は25〜30℃に保持した。120℃で2時間乾燥後、該触媒の触媒浸漬液のpHは6.7であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例4
対照として、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)250重量部をSUS製バット上に薄く広げ、ADVANTEC(株)製箱型焼成炉(KM-600)にセットし、空気中で5℃/分で昇温して200℃で5時間熱処理した。熱処理後、自然放冷で室温まで冷却した。熱処理後の触媒は黒色のままであり、有機物が完全に除去されていなかった。
熱処理後の該触媒を上記のバッチ式のアルカリ処理装置に投入し、pH11.8の水酸化ナトリウム水溶液を1400ミリリットル/時で1時間通液した。温度は25〜30℃に保持した。アルカリ溶液による処理終了後、処理装置内のアルカリ溶液を窒素ガスで押し出した後、純水を1550ミリリットル/時で3時間通液し、触媒を洗浄した。水洗後の触媒を120℃で2時間乾燥した。触媒浸漬液のpHは8.0であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.6Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例5
対照として、水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)250重量部をSUS製バット上に薄く広げ、ADVANTEC(株)製箱型焼成炉(KM-600)にセットし、空気中で5℃/分で昇温して800℃で5時間熱処理した。熱処理後、自然放冷で室温まで冷却した。
熱処理後の該触媒を上記のバッチ式のアルカリ処理装置に投入し、pH11.2の水酸化ナトリウム水溶液を1400ミリリットル/時で1時間通液した。温度は25〜30℃に保持した。アルカリ溶液による処理終了後、処理装置内のアルカリ溶液 を窒素ガスで押し出した後、純水を1550ミリリットル/時で3時間通液し、触媒を洗浄した。水洗後の触媒を120℃で2時間乾燥した。触媒浸漬液のpHは8.0であった。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.8Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例6
対照として、実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、熱処理は行わず、温度を25〜30℃の代わりに80℃に保持しながらpH13.4の水酸化ナトリウム水溶液で3時間処理した。アルカリ処理後の触媒は溶解して採取することができなかった。
比較例7
対照として、実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、熱処理は行わず、pH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりに15容量%の硝酸を用いた。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.7Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
比較例8
対照として、実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、劣化したシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)の代わりに水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ・アルミナ担持パラジウム触媒〔Heraeus(株)製K-0290〕を用い、熱処理は行わず、温度を25〜30℃の代わりに80℃に保持しながらpH13.4の水酸化ナトリウム水溶液で3時間処理した。アルカリ処理後の触媒は溶解して採取することができなかった。
比較例9
対照として、実施例1と同じ方法で触媒を賦活処理した。但し、劣化したシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)の代わりに水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなったシリカ・アルミナ担持パラジウム触媒〔Heraeus(株)製K-0290〕を用い、熱処理は行わず、pH12.5の水酸化ナトリウム水溶液の代わりに15容量%の硝酸を用いた。
賦活処理した触媒を上記の評価試験で評価した。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
参考例1
参考例として、シリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照)の新触媒を上記の評価試験で評価した。この触媒の触媒浸漬液のpHは9.3であった。200時間運転後の水素分圧の増加は9.3Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
参考例2
参考例として、シリカ・アルミナ担持パラジウム触媒〔Heraeus(株)製K-0290〕の新触媒を上記の評価試験で評価した。この触媒の触媒浸漬液のpHは10.0であった。200時間運転後の水素分圧の増加は9.5Pa/hrであった。触媒の破砕等によるフィルター目詰まりは発生しなかった。水素化の選択性及び活性の結果を第1表に示す。
Figure 2007314400
*1 主生成物に対する副生成物の生成比
*2 対劣化したシリカ担持パラジウム触媒(特許文献6参照 比較例1)の水素吸収量比
*3 アミルオキシアンスロン
*4 アミルテトラヒドロアントラキノン

Claims (13)

  1. 有機溶媒およびアントラキノン類を含む作動溶液を水素化触媒の存在下で水素によって還元する還元工程と、繰り返し使用により水素化の選択性が低下した前記水素化触媒を賦活する触媒賦活工程とを含むアントラキノン法による過酸化水素の製造方法であって、
    前記触媒賦活工程が、(1)前記水素化触媒を酸素含有ガス中で200〜600℃で熱処理した後、(2)賦活後の水素化触媒1重量部に対して純水5重量部を混合した触媒浸漬液のpHが8.0以上になるように、前記水素化触媒をアルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有することを特徴とする過酸化水素の製造方法。
  2. 前記酸素含有ガス中で300〜550℃で処理する請求項1に記載の過酸化水素の製造方法。
  3. 前記触媒浸漬液のpHが8.0から11.5の範囲になるように洗浄する請求項1または2に記載の過酸化水素の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液のpHが、11.0〜13.5の範囲である請求項1から3のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである請求項1から4のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  6. 前記水素化触媒を1分以上にわたって前記アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液と接触させる請求項1から5のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  7. 前記水素化触媒を0〜70℃の前記アルカリ金属を含有する第1のアルカリ性水溶液と接触させる請求項1から6のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  8. 前記第1のアルカリ性水溶液の温度が、10〜60℃の範囲である請求項7に記載の過酸化水素の製造方法。
  9. 前記水素化触媒に担持される金属化合物が、パラジウム、ロジウム、ルテニウムまたは白金を含む1種類以上を含む金属化合物であり、かつその含有量が担体の重量に対して0.1〜10重量%である請求項1から8のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  10. 前記水素化触媒の担体が、シリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、シリカ・アルミナ・チタニア複合酸化物及びこれらの物理的混合物からなる群より選択される少なくとも一つの酸化物であり、かつ0.2〜2.0ml/gの全細孔容積を有する請求項1から9のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  11. 前記第2のアルカリ性水溶液のpHが、7.1〜7.5の範囲である請求項1から10のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  12. 前記触媒賦活工程における洗浄を純水で行う請求項1から10のいずれかに記載の過酸化水素の製造方法。
  13. アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される水素化触媒であって、連続繰り返し使用により水素化の選択性が低下し副生成物の生成が多くなった水素化触媒を、(1)酸素含有ガス中で200〜600℃で熱処理した後、(2)アルカリ金属を含有するpH10以上の第1のアルカリ性水溶液で処理し、かつ水または前記第1のアルカリ性水溶液より弱アルカリの第2のアルカリ性水溶液で洗浄する工程を有し、洗浄後の前記触媒1重量部に対して純水5重量部の割合で混合した触媒浸漬液のpH が8.0以上になるように前記洗浄を行うことを特徴とする水素化触媒の賦活方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011098253A (ja) * 2009-11-04 2011-05-19 Tokyo Electric Power Co Inc:The 劣化触媒の再生方法
JP2013510714A (ja) * 2009-11-17 2013-03-28 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 高い水素化活性を有する担持水素化触媒の製造方法
CN104549246A (zh) * 2013-10-22 2015-04-29 中国石油化工股份有限公司 一种钯基加氢催化剂及其在蒽醌加氢中的应用

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