JP7327414B2 - 作動溶液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明はアントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される作動溶液の処理方法、並びに、処理された作動溶液を用いる過酸化水素の製造方法に関する。詳しくは、繰り返し使用された作動溶液をアルカリ金属化合物と混合することで、過酸化水素生成能を有さないアントラキノン誘導体をアルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンなどのアントラキノン類に再生する処理方法、並びに、処理された作動溶液を用いる過酸化水素の製造方法に関する。
現在工業的に行われている過酸化水素の主な製造方法は、アントラキノン、テトラヒドロアントラキノン、アルキルアントラキノン又はアルキルテトラヒドロアントラキノン(以下、アントラキノン類と総称することがある。)を反応媒体とする、アントラキノン法である。アントラキノン類は、通常、極性有機溶媒と非極性有機溶媒の2種類の混合溶媒に溶解した状態で用いられる。この混合溶媒にアントラキノン類を溶かして調製した溶液は、作動溶液と呼ばれる。
アントラキノン法は、主に水添工程、酸化工程および抽出工程からなる。水添工程では、作動溶液中のアントラキノン類を触媒存在下で水素化し、対応するアントラヒドロキノン類を生成させる水添処理を実施する工程である。次いで行われる酸化工程では、得られたアントラヒドロキノン類を空気又は酸素を含む気体で酸化してアントラキノン類に戻すが、この時、過酸化水素が生成し、作動溶液に溶解する。続く抽出工程では、生成した過酸化水素を水により抽出し、作動溶液から分離する。抽出工程後の作動溶液は、再び水添工程に戻され、酸化工程、抽出工程・・・と連続使用される。
過酸化水素製造プロセスを繰り返すうち、作動溶液中では、副反応によってアンスロン、オキシアンスロン、テトラヒドロアントラキノンエポキシド、アルキルアンスロン、アルキルオキシアンスロン、アルキルテトラヒドロアントラキノンエポキシドなどのアントラキノン誘導体が生じるようになる。アントラキノン誘導体は、水添工程・酸化工程に供しても過酸化水素を生成しない。アントラキノン誘導体の副生量は1パス当たりでは非常に少ないが、過酸化水素製造プロセスを繰り返すうちに作動溶液中に蓄積し、種々の障害を起こす原因となる。
副生したアントラキノン誘導体から、過酸化水素製造プロセスに利用可能なアントラキノン類を再生する技術として、特許文献1には、アルカリ及びアルカリ水溶液で作動溶液を処理する事で不活性成分(副生したアントラキノン誘導体)をアルキルテトラヒドロアントラキノンに転化する技術が提案されている。しかしながら、特許文献1の技術は、長時間の反応を必要とする。さらに、不活性成分から転化されたアルキルテトラヒドロアントラキノンは晶析により回収されるため、この回収したアルキルテトラヒドロアントラキノンを再度過酸化水素の製造に利用するには、溶剤に溶解させて作動溶液を改めて調製する必要がある。よって、特許文献1の技術は、その設備や操作の複雑さを考慮すると非常に効率が悪い技術である。そのため、短時間の反応でかつ、晶析などの複雑な処理工程を必要としない副生アントラキノン誘導体の再生技術の確立が望まれてきた。
また特許文献2には、過酸化水素の生成に寄与しないアントラキノン誘導体であるアルキルテトラヒドロアントラキノンエポキシドを、過酸化水素の生成に有用なアルキルテトラヒドロアントラキノンに転化するために、アルキルアントラヒドロキノンを含む液を、酸化アルミナをはじめとした固体触媒と接触させる方法が提案されている。しかし、特許文献2の方法は、高濃度のアルキルアントラヒドロキノンを必要とするため、過酸化水素製造の効率を著しく低下させる。また反応条件は100℃を超える高温でかつ1~20時間という長時間である。そのため、やはり過酸化水素製造の効率を落とすことなく、また低い反応温度でかつ短時間の反応で実施できる副生アントラキノン誘導体の再生技術が望まれてきた。
特公昭39-8806号 特公昭43-11658号
従って、繰り返し使用される作動溶液に含まれる、アントラキノン類由来であり且つ過酸化水素生成能を有さない副生物を、アントラキノン類に再生し、アントラキノン類の量を増加させる、作動溶液の処理方法が求められている。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
<1>水添工程、酸化工程および抽出工程を含むアントラキノン法によって過酸化水素を製造する方法に連続使用されている作動溶液を、アルカリ金属化合物と混合することにより処理する方法であって、アルカリ金属化合物と混合する前の被処理作動溶液として、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表されるアントラヒドロキノン類の濃度が、0.20mol/L未満である作動溶液を用いることを特徴とする、処理方法。
Figure 0007327414000001
(一般式(1)及び一般式(2)中、Rは、水素又は炭素数1~10のアルキル基を示す。)
<2>前記被処理作動溶液が、水添工程の後で酸化工程の前に一部を抜き出した作動溶液であるか、あるいは、水添工程の後で酸化工程の前に一部を抜き出した作動溶液に対し、水添工程の前の作動溶液を加えて希釈したものである、上記<1>に記載の処理方法。
<3>前記被処理作動溶液が、抽出工程の後で水添工程の前に一部を抜き出した作動溶液である、上記<1>に記載の処理方法。
<4>前記アントラヒドロキノン類の濃度が、0.05~0.10mol/Lである、上記<1>~<3>のいずれかに記載の処理方法。
<5>前記被処理作動溶液に、更に、下記一般式(a)~(e)からなる群より選ばれる一種以上のアントラキノン誘導体が含まれている、上記<1>~<4>のいずれかに記載の処理方法。
Figure 0007327414000002
(一般式(a)~一般式(e)中、Rは、前記一般式(1)および(2)と同じ意味を示す。)
<6>前記Rが、エチル基、ブチル基又はアミル基である、上記<1>~<5>のいずれかに記載の処理方法。
<7>0~60℃の温度で、前記被処理作動溶液をアルカリ金属化合物と混合する、上記<1>~<6>のいずれかに記載の処理方法。
<8>前記被処理作動溶液と前記アルカリ金属化合物の水溶液とを、被処理作動溶液:アルカリ金属化合物水溶液=1以上:1(体積)の量で混合する、上記<1>~<7>のいずれかに記載の処理方法。
<9>前記アルカリ金属化合物が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、上記<1>~<8>のいずれかに記載の処理方法。
<10>水酸化ナトリウムの濃度が0.5mol/L以上である水酸化ナトリウム水溶液を混合する、上記<1>~<9>のいずれかに記載の処理方法。
<11>前記被処理作動溶液を、ラインミキサーを用いて前記アルカリ金属化合物の水溶液と混合する、上記<1>~<10>のいずれかに記載の処理方法。
<12>アルカリ金属化合物と混合した後に、更に酸を混合して後処理を行う、上記<1>~<11>のいずれかに記載の処理方法。
<13>前記酸が硝酸又はリン酸である、上記<12>に記載の処理方法。
<14>アルカリ金属化合物と混合した後に、更に、硝酸又はリン酸の濃度が0.20mol/L以上の酸性水溶液を混合する、上記<12>又は<13>に記載の処理方法。
<15>酸との混合を、撹拌混合機を用いて行う、上記<12>~<14>のいずれかに記載の処理方法。
<16>前記酸を混合した後に、更に水を混合して後処理を行う、上記<12>~<15>のいずれかに記載の処理方法。
<17>後処理後の作動溶液を純水と攪拌して静置し、分離された水層のpHが7以下となるように、後処理を行う、上記<12>~<16>のいずれかに記載の処理方法。
<18>上記<1>~<17>のいずれかに記載の方法により処理された作動溶液を使用して、アントラキノン法により過酸化水素を製造することを特徴とする過酸化水素の製造方法。
本発明の処理方法においては、特定量のアントラヒドロキノン類を含む作動溶液をアルカリ金属化合物と混合することで、副生物であるアントラキノン誘導体をアントラキノン類に再生し、アントラキノン類の量を増加させることができる。
本発明の製造方法の一例を示す図である。 実施例1~5および比較例1における被処理作動溶液中のアミルアントラヒドロキノン類濃度とアミルアントラキノン類増加率の関係を示す図である。 実施例6~9で得られた水層のpHを示す図である。 実施例13~16で得られた水層のpHを示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。以下の実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明はその要旨を逸脱しない限り種々の形態で実施をする事ができる。
本発明は、アントラキノン法によって過酸化水素を製造する方法において、連続使用により副生物が蓄積した作動溶液をアルカリで処理するというものである。
アントラキノン法では、アントラキノン類を有機溶媒に溶解させた作動溶液を用いる。
使用するアントラキノン類としては、アントラキノン、テトラヒドロアントラキノン、アルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンが挙げられる。以下、アントラキノンとアルキルアントラキノンを、(アルキル)アントラキノンと総称することがある。また、テトラヒドロアントラキノンとアルキルテトラヒドロアントラキノンを、(アルキル)テトラヒドロアントラキノンと総称することがある。(アルキル)アントラキノンおよび(アルキル)テトラヒドロアントラキノンは、各々が複数の(アルキル)アントラキノンおよび(アルキル)テトラヒドロアントラキノンの混合物であってもよい。(アルキル)アントラキノンとしては、アントラキノン、エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、アミルアントラキノンなどが例示される。(アルキル)テトラヒドロアントラキノンとしては、テトラヒドロアントラキノン、エチルテトラヒドロアントラキノン、t-ブチルテトラヒドロアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノンなどが例示される。
アントラキノン類が有するアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、エチル基、ブチル基又はアミル基が特に好ましい。
有機溶媒としては、非極性溶媒と極性溶媒のいずれも使用可能であるが、非極性溶媒と極性溶媒の混合溶媒が好ましい。非極性溶媒としては、芳香族炭化水素類、具体的には、ベンゼン又は炭素数1~5のアルキル置換基を含むベンゼン誘導体などが挙げられる。ベンゼン誘導体としては、例えばプソイドクメンが挙げられる。極性溶媒としては、ジイソブチルカルビノール等の高級アルコール、カルボン酸エステル、四置換尿素、環状尿素、トリオクチルリン酸などが例示される。好ましい有機溶媒は、芳香族炭化水素と高級アルコールとの組み合わせ、又は、芳香族炭化水素とシクロヘキサノール、アルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エステルもしくは四置換尿素の組み合わせである。
非極性有機溶媒と極性有機溶媒を混合する場合、混合比(体積)は、非極性有機溶媒:極性有機溶媒=9:1~1:9が好ましく、8:2~2:8がより好ましく、4:6~6:4が特に好ましい。
通常、作動溶液には、遷移金属を担体に担持した触媒を添加し、水素化反応に供する。担体は、特に制限されず、例えばシリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、アルミナ・チタニア複合酸化物、及びこれらの物理的混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つを用いることができる。担体は、0.2~2.0ml/gの全細孔容積を有することが好ましい。特に好ましい担体は、0.2~2.0ml/gの全細孔容積を有する、シリカ、アルミナ又はシリカ・アルミナ複合酸化物である。なお、全細孔容積は、水銀圧入法により測定することができる。
遷移金属としては、パラジウム、ロジウム、ルテニウム又は白金の単体又はその化合物が好ましく、パラジウムの単体又はその化合物がより好ましい。化合物としては、反応条件下で容易に還元されて金属となる観点から、酸化物が好適である。
遷移金属は、通常、担体に対して0.1~10質量%の量で担持されることが好ましい。遷移金属を担持した水素化触媒は、作動溶液中の触媒スラリー濃度として1~100g/Lの量で使用することが好ましい。
図1を参照しながらアントラキノン法の具体的なプロセスについて説明する。図1では、作動溶液の動きを実線矢印と一点鎖線矢印で示している。実線矢印は、アントラキノン法における作動溶液の主流を示す。一点鎖線矢印は、下記の作動溶液:
・水添工程の後で酸化工程の前に一部を抜き出した作動溶液
・水添工程の途中で一部を抜き出した作動溶液
・抽出工程の後で水添工程の前に一部を抜き出した作動溶液
が、アルカリ処理と後処理の工程に供された後、再度アントラキノン法の主流に戻る流れを示す。
アントラキノン法では、まず、作動溶液に水素を添加する水添処理を行う。これにより、作動溶液中のアントラキノン類を水素化し、対応するアントラヒドロキノン類を生成させる(水添工程)。次いで、得られたアントラヒドロキノン類を空気又は酸素を含む気体で酸化してアントラキノン類に戻すが、この時、過酸化水素が生成し、作動溶液に溶解する(酸化工程)。次いで、生成した過酸化水素を水で抽出し、作動溶液から分離する(抽出工程)。過酸化水素は、その後、常法に従っての精製工程と濃縮工程に供され、製品化される。一方、抽出工程後の作動溶液は、水添工程に供され、以後、酸化工程、抽出工程・・・に繰り返し使用される。
(アルカリ処理)
連続使用された作動溶液には、副反応によりアントラキノン類由来の副生物、例えば、下記一般式(a)~(e)からなる群より選ばれる一種以上のアントラキノン誘導体が含まれている。
Figure 0007327414000003
(一般式(a)~一般式(e)中、Rは、水素又は炭素数1~10のアルキル基を示し、好適には、エチル基、ブチル基又はアミル基を示す。)
上記のアントラキノン誘導体は過酸化水素生成能を有さない。よって、これらを過酸化水素生成能を有するアントラキノン類に再生することは、過酸化水素製造の生産効率の点で意義がある。本発明では、連続使用された作動溶液とアルカリ金属化合物とを混合することで、アントラキノン類への再生を実現している。本明細書では、このアルカリ金属化合物を用いた再生処理を、アルカリ処理と呼ぶ。
本発明では、連続使用された作動溶液におけるアントラヒドロキノン類の濃度、即ち、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表されるアントラヒドロキノン類の濃度が、アルカリ金属化合物と混合する前の段階で、0.20mol/L未満となっていることが大切である。処理対象の作動溶液(被処理作動溶液と呼ぶことがある。)が上記条件を満たしている場合にアントラキノン誘導体がアントラキノン類に効果的に再生され、アントラキノン類の量が増加することが、実験的に証明されているからである(後述の実施例と比較例参照)。
Figure 0007327414000004
(一般式(1)及び一般式(2)中、Rは、水素又は炭素数1~10のアルキル基を示し、好適には、エチル基、ブチル基又はアミル基を示す。)
アントラヒドロキノン類が0.20mol/L以上であるときにアントラキノン類への効果的な再生が実現できない理由として、本発明者らは、アントラヒドロキノン類がアルカリ金属化合物の水溶液に溶解しやすいことから、アントラヒドロキノン類が過多であると、再生反応で生成するアントラキノン類より多くのアントラヒドロキノン類がアルカリ金属化合物の水溶液へ溶解し、損失となるため、アントラキノン類への再生が実現できていないためであると推察している。
アルカリ処理に供する被処理作動溶液中のアントラヒドロキノン類濃度は、好適には0.02~0.10mol/Lであり、特に好適には0.05~0.10mol/Lである。濃度がこれらの数値範囲にあると、下記式で表されるアントラキノン類の増加率:
アントラキノン類の増加率(%)=処理後の作動溶液のアントラキノン類の量(mol/L)/被処理作動溶液のアントラキノン類とアントラヒドロキノン類の合計量(mol/L)×100
が高い傾向があるからである。アントラキノン類の増加率が上昇する理由は定かではないが、本発明者らは、以下のように推察している。アントラヒドロキノン類の水添工程において添加された水素は、無触媒で酸素から過酸化水素を生成するほど反応性が高く、溶液全体が還元性雰囲気となる。この還元性雰囲気かつアルカリ水溶液の反応によって、アントラキノン誘導体(劣化物)が効率的にアントラキノン類に再生されるものと考えている。
アントラヒドロキノン類の濃度は、後述の実施例で行っているように、ガスクロマトグラフィー分析装置(GC)を用いて測定することができる。
本発明において、アルカリ処理対象となる被処理作動溶液は、過酸化水素製造プロセスのうち酸化工程以後抽出工程以前を除く段階の作動溶液を一部抜き出したものである。酸化工程以後抽出工程以前の作動溶液には、他工程の作動溶液に比して高濃度の過酸化水素が含まれており安全性の問題があるため、原則として処理対象とはしない。被処理作動溶液は、具体的には、水添工程の後で酸化工程の前に一部を抜き出した作動溶液、水添工程の途中で水添塔から一部を抜き出した作動溶液、抽出工程の後で水添工程の前に一部を抜き出した作動溶液などである。
抜き出した作動溶液中のアントラヒドロキノン類濃度が濃すぎる場合には、希釈を行う。例えば抽出工程の後で水添工程の前に抜き出した作動溶液には、アントラヒドロキノン類は含まれていないか、含まれていたとしても少ないので、希釈が必要となる可能性は低いが、水添工程後で酸化工程前に抜き出した作動溶液は、水素化によって多くのアントラヒドロキノン類が生成していることから、希釈が必要となる可能性が高い。希釈には、抽出工程後水添工程前の作動溶液を用いることが好ましい。
抜き出す作動溶液の量は、適宜決定すればよいが、通常は流れている全作動溶液の0.1~20.0%、特に1.0~10.0%が好ましい。抜き出す量が過多であると、過酸化水素製造に寄与する作動溶液量が減り、また、過少であると、アルカリ処理効果が不十分となる。
アルカリ処理に使用するアルカリ金属は、周期表第1族(第Ia族)のアルカリ金属であればよく、リチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましい。アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、二酸化ホウ素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、三酸化ホウ酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、三ケイ酸ナトリウム、錫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ホウ素カリウム、炭酸カリウム、シアン化カリウム、亜硝酸カリウム、カリウムフェノキシド、リン酸水素カリウム、二リン酸カリウム、錫酸カリウムなどが挙げられる。好適なアルカリ金属化合物は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
アルカリ金属化合物は、通常、水溶液の状態で使用する。アルカリ金属化合物の濃度が濃いほど、アントラキノン類の増加率が向上することが実験的に確認されている(本明細書には掲載していない)。また濃度が低すぎると処理後にアルカリ金属化合物と作動溶液を分離する際に、2つの溶液の密度差が小さくなり、分離に多大な時間が必要になる可能性が高い。よって、アルカリ金属化合物の水溶液中の濃度は、0.5mol/L以上とすることが好ましい。濃度の上限は特に制限されないが、通常10.0mol/Lである。
被処理作動溶液とアルカリ金属化合物水溶液は、通常、被処理作動溶液:アルカリ金属化合物水溶液=1以上:1(体積)の量で混合し、好適には、1~30:1(体積)の量で混合し、特に好適には、1~20:1(体積)の量で混合する。
混合時の温度条件について本発明者らが実験により検討したところ、アルカリ処理には、温度は影響しないことが確認されている。よって、温度条件に特に制限はなく任意の温度で混合を行えばよい。通常は0~60℃で行えばよい。
混合時間は、被処理作動溶液とアルカリ金属化合物水溶液とが十分に混ざるように適宜決定すればよい。例えば、撹拌混合を行う場合には3分以上混合を行えば十分である。また、ラインミキサーを用いた配管内での混合を行う場合はその原理上数秒に満たない混合時間となるが、それでも問題無く本効果を得ることができる。本発明者らの実験により、混合時間を長くしてもアントラキノン類の増加率には影響を及ぼさないことが確認されていることから、適宜のタイミングで混合を終了すればよい。
(後処理)
アルカリ処理により、再生作動溶液とアルカリ金属化合物水溶液の混合液が得られる。アルカリ金属化合物は、過酸化水素と中和反応を起こして過酸化水素を分解するが、この過酸化水素の分解反応は、プラント内での圧力の急上昇や爆発といった災害を引き起こす可能性があり、絶対に避けなければならない。そのため、アルカリ金属化合物を除去する後処理を行ってから、再生作動溶液を過酸化水素製造プロセスに戻す必要がある。
具体的には、静置分離等の公知の手段を用いて再生作動溶液とアルカリ金属化合物の水溶液とを分離した後、更に、酸処理と水洗の少なくとも一方を実施し、好ましくは酸処理又は酸処理と水洗の両方のいずれかを実施し、特に好ましくは酸処理と水洗の両方を実施する。酸処理と水洗を両方行う場合、酸処理、水洗の順に行うことが好ましい。
再生作動溶液とアルカリ金属化合物水溶液の混合液を、酸と接触させる条件は、プラントの安全、安定運転に非常に重要である。
酸処理に用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸を挙げることができるが、硝酸又はリン酸が好ましい。過酸化水素製造プラントの主な構造物の材料は、SUS材やアルミニウム材であるが、硝酸およびリン酸は、これらの材料に対して腐食性を有さないからである。また、作動溶液に残留して水素化触媒を被毒させる虞もないからである。
酸処理は、再生作動溶液と、酸が溶解した酸性水溶液とを、攪拌混合機等の公知の手段により攪拌接触することにより行う。酸性水溶液濃度は、通常、0.20mol/L以上であるが、アルカリ金属化合物の除去効果が特に優れていることから、好適には0.25mol/Lより高く、より好適には0.30mol/L以上であり、更に好適には0.35mol/L以上であり、特に好適には0.50mol/L以上である。酸性水溶液濃度の上限は、通常、5.00mol/L以下であり、除去効果とコスト面および安全面とのバランスの観点からは、3mol/L未満である。攪拌中は窒素等の不活性ガスを通気するとよい。撹拌終了後には、作動溶液と水溶液を静置分離等の公知の手段を用いて分離する。
水洗は、再生作動溶液と水を、攪拌混合機等の公知の手段により攪拌接触することにより行う。「水」としては、蒸留水、イオン交換水、逆浸透法などで精製された水が好ましい。再生作動溶液に対する水の割合は、作動溶液1容積部に対して水0.02容積部以上、好ましくは0.10容積部以上である。上限は特にないが、通常は0.50容積部である。
水洗時間は、作動溶液と水が十分に混ざるように適宜決定すればよい。例えば、撹拌混合を行う場合には1分以上混合を行えば十分である。水洗時間に上限はなく、適宜決定すればよい。また、ラインミキサーを用いた配管内での混合を行っても良い。
水洗する水の温度は0~70℃、より好ましくは10~60℃、特に好ましくは20~50℃である。
攪拌中は窒素等の不活性ガスを通気するとよい。撹拌終了後は、作動溶液と水を静置分離等の公知の技術で分離する。
後処理は、後処理後の作動溶液を静置し、分離された水層のpHが7以下、特に6以下となるように行うことが好ましい。
後処理によりアルカリ金属化合物が除去された再生作動溶液は、過酸化水素製造プロセスに戻される。戻す段階は適宜決定してよい。再生作動溶液は、アントラキノン類以外にアントラヒロドキノン類も含んでおり、アントラヒドロキノン類は酸化反応により、過酸化水素を生成することが可能である。よって、水添工程で生成したアントラヒドロキノン類を有効に使い過酸化水素を効率的に製造する観点から、図1に示すように水添工程後酸化工程前に戻すことが好ましい。
これまでアルカリ処理による作動溶液の再生について説明してきたが、本発明では、アルカリ処理と公知の再生処理を組み合わせてもよい。例えば、アルカリ処理とは別に、抽出工程後水添工程前の作動溶液の一部を抜き取って、これを粒状アルミナに接触させる、再生反応を行ってもよい。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
<ガスクロマトグラフィー(GC)分析>
下記条件で、実施例および比較例における作動溶液中のアミルアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノンおよびアミルアントラヒドロキノン類(アミルアントラキノンとアミルテトラヒドロアントラヒドロキノン)をGCで測定し、分析した。
装置:島津製作所製GC-2014
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
分析カラム:Restek社製Rtx-50
(長さ30m,内径0.25mm,膜厚0.5μm)
キャリアガス:He
試料導入部温度:250℃
検出器温度:310℃
試料導入量:1μL
スプリット比:50
昇温プログラム:110℃(8分保持)→昇温10℃/分→310℃(10分保持)
<pH測定>
後処理後の再生作動溶液中のアルカリ金属化合物の残存について、pHの測定により判断した。具体的には、後処理後の作動溶液を静置し、分離された水層のpHをpHメーターで測定した。
装置:堀場製作所製pHメーターD-74
電極:堀場製作所製pH電極9625-10D
pH校正用試薬:
中性リン酸塩pH標準液(富士フイルム和光純薬株式会社製) pH6.86
フタル酸塩pH標準液(富士フイルム和光純薬株式会社製) pH4.01
ホウ酸塩pH標準液(富士フイルム和光純薬株式会社製) pH9.18
<実施例1>
(水添処理)
アミルアントラキノンを0.543mol/Lの濃度で含み、アミルテトラヒドロアントラキノンを0.053mol/Lの濃度で含み、且つ、混合有機溶媒(プソイドクメン:ジイソブチルカルビノール=55:45)を使用している作動溶液を用意した。この作動溶液は、実際にプラントで繰り返し使用されてきた作動溶液であった。以下、この作動溶液を水添前作動溶液と呼ぶ。
この水添前作動溶液に水添処理を実施し、アミルアントラヒドロキノン類0.020mol/Lを含む作動溶液を用意した。水添処理では、水添前作動溶液50mLと、シリカ・アルミナにパラジウムを担持させた水素化触媒100mgをフラスコに採取し、気相部の水素置換を行い、撹拌により還元を実施した。還元量(アミルアントラヒドロキノン類濃度)は水素吸収量より計算した。所定の水素吸収量に達した後に、作動溶液をディスポーザブルシリンジとカートリッジフィルターを用いて触媒とろ別し、水添反応済みの作動溶液を得た。
(アルカリ処理)
この水添反応済みの作動溶液を、被処理作動溶液として使用し、アルカリと接触させた。被処理作動溶液50mLを、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mLと、攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、50℃の湯浴上で行った。15分後、撹拌を停止し、作動溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを分液ロートにより分離し、再生作動溶液Aを得た。
(酸処理)
得られた再生作動溶液Aを1mol/Lの硝酸50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、50℃の湯浴上で行った。15分後、撹拌を停止し、作動溶液と硝酸を分液ロートで分離し、再生作動溶液Bを得た。
(水洗)
得られた再生作動溶液Bを純水50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、50℃の湯浴上で行った。15分後、撹拌を停止し、作動溶液と純水を分液ロートで分離し、再生作動溶液Cを得た。
<実施例2>
アミルアントラヒドロキノン類0.050mol/Lを含む被処理作動溶液を得て、これを使用した点以外は、実施例1と同様にして水添処理、アルカリ処理、酸処理および水洗を行い、再生作動溶液Cを得た。
<実施例3>
アミルアントラヒドロキノン類0.100mol/Lを含む被処理作動溶液を得て、これを使用した点以外は、実施例1と同様にして水添処理、アルカリ処理、酸処理および水洗を行い、再生作動溶液Cを得た。
<実施例4>
アミルアントラヒドロキノン類0.150mol/Lを含む被処理作動溶液を得て、これを使用した点以外は、実施例1と同様にして水添処理、アルカリ処理、酸処理および水洗を行い、再生作動溶液Cを得た。
<実施例5>
アミルアントラヒドロキノン類の濃度が0.000mol/Lである被処理作動溶液を得て、これを使用した点以外は、実施例1と同様にして水添処理、アルカリ処理、酸処理および水洗を行い、再生作動溶液Cを得た。アミルアントラヒドロキノン類の濃度が0.000mol/Lである被処理作動溶液とは実施例1に記載の水添処理にて水素吸収量を0として得た作動溶液である。
<比較例1>
アミルアントラヒドロキノン類0.200mol/Lを含む被処理作動溶液を得て、これを使用した点以外は、実施例1と同様にして水添処理、アルカリ処理、酸処理および水洗を行い、再生作動溶液Cを得た。
表1に、上記実施例および比較例で得られた水添前作動溶液、被処理作動溶液および再生作動溶液Cについて、アミルアントラキノン濃度(表中ではAmAQ濃度と記載)、アミルテトラヒドロアントラキノン濃度(表中ではAmTHAQ濃度と記載)を示す。また、被処理作動溶液については、アミルアントラヒドロキノン類濃度(表中ではAmHQ類濃度と記載)も示す。
さらに、下記式を用いてアミルアントラキノン類の増加率を算出し、アミルアントラキノン類の増加率と被処理作動溶液中のアミルアントラヒドロキノン類濃度の関係を図2に示した。
アミルアントラキノン類の増加率=(再生作動溶液C中のAmAQ濃度+再生作動溶液C中のAmTHAQ濃度)/(被処理作動溶液中のAmAQ濃度+被処理作動溶液中のAmTHAQ濃度+被処理作動溶液中のAmHQ類濃度)×100
Figure 0007327414000005
これらの結果から、被処理作動溶液中のアミルアントラヒドロキノン類濃度によってアミルアントラキノンの再生量が変化することが見出された。実施例1~5では、再生作動溶液C中のAmAQ濃度が水添前作動溶液中(0.543mol/l)よりも上昇していた。アルカリ処理によるアミルアントラキノン再生効果は、アミルアントラヒドロキノン類濃度が0.02~0.10mol/L、特に0.05~0.10mol/Lの範囲にあるときに優れていた。尚、アミルアントラヒドロキノン類濃度が0.05~0.10mol/Lの時、下記式で表される水添率は8~16%であった。
水添率(%)=被処理作動溶液中のアミルアントラヒドロキノン類濃度(mol/L)/水添前作動溶液中のアミルアントラキノンとアミルテトラヒドロアントラキノンの合計(mol/L)×100
アミルアントラヒドロキノン類を含まない(水添処理無し)アルカリ処理ではアミルアントラキノン濃度は0.545mol/Lまでの上昇にとどまる事から、アミルアントラヒドロキノン類濃度を上記範囲にする事でアミルアントラヒドロキノン類を含まない条件を上回るアミルアントラキノン再生効果を得ることができた。
<実施例6>
アルカリ金属化合物との接触後に実施する酸との混合について、実験を行った。先述の通り、過酸化水素製造プロセスにおいて、アルカリ金属化合物が過酸化水素と接触すると、過酸化水素の分解が促進される。この過酸化水素の分解反応は、プラント内での圧力の急上昇や爆発といった災害を引き起こす可能性があり、避けなければならない。つまり、アルカリ金属と接触した後の作動溶液を酸と接触させる条件は、プラントの安全、安定運転に非常に重要である。
(水添処理)
アミルアントラキノンを0.543mol/Lの濃度で含み、アミルテトラヒドロアントラキノンを0.053mol/Lの濃度で含み、且つ、混合有機溶媒(プソイドクメン:ジイソブチルカルビノール=55:45)を使用している作動溶液を用意した。この作動溶液は、実際にプラントで繰り返し使用されてきた作動溶液であった。 この作動溶液に水添処理を実施し、アミルアントラヒドロキノン類0.100mol/Lを含む被処理作動溶液を用意した。水添処理では、水添前の作動溶液500mLと、シリカ・アルミナにパラジウムを担持させた水素化触媒1000mgをフラスコに採取し、気相部の水素置換を行い、撹拌により還元を実施した。還元量(アミルアントラヒドロキノン類濃度)は水素吸収量より計算した。所定の水素吸収量に達した後に、作動溶液をディスポーザブルシリンジとカートリッジフィルターを用いて触媒とろ別し、被処理作動溶液を得た。
(アルカリ処理)
この被処理作動溶液500mLと2.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液25mLを1Lビーカーに入れて5分間撹拌した。攪拌は、窒素を通気し、25℃で行った。撹拌を停止後、作動溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを分液ロートにより分離し、再生作動溶液Dを得た。
(酸処理)
得られた再生作動溶液Dを1mol/Lの硝酸50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、25℃で行った。15分後、撹拌を停止し、作動溶液と硝酸を分液ロートで分離し、再生作動溶液Eを得た。
(水洗)
得られた再生作動溶液Eを純水50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、25℃で行った。5分後、撹拌を停止し、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
<実施例7>
酸処理に0.5mol/L硝酸を使用した点以外は、実施例6と同様にしてアルカリ処理、酸処理および水洗を行い、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。

実施例8>
酸処理に0.35mol/L硝酸を使用した点以外は、実施例6と同様にしてアルカリ処理、酸処理および水洗を行い、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
<実施例9>
酸処理に0.25mol/L硝酸を使用した点以外は、実施例6と同様にしてアルカリ処理、酸処理および水洗を行い、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
表2および図3に、上記実施例6~9で得られた水層について、pH測定結果を示す。
Figure 0007327414000006
実施例6~9では、十分量のアミルアントラキノン類が得られていた。酸処理に用いる硝酸の濃度が0.35mol/L以上の場合には、再生作動溶液に接触後の純水のpHが7を十分に下回っており、再生作動溶液からアルカリ金属化合物が除去されていた。一方で硝酸濃度が0.25mol/Lの場合は、再生作動溶液接触後の純水のpHが7を超えており、アルカリ金属化合物の一部が再生作動溶液に残留していた。よって、再生作動溶液からアルカリ金属化合物を十分に除去するためには、好ましくは0.25mol/Lより高い濃度、より好ましくは0.35mol/L以上の濃度の硝酸を用いて酸処理を実施すればよいことが示された。さらに、硝酸が濃いほどアルカリ金属化合物の除去効果も向上すると考えられるが、除去効果とコスト面および安全面のバランスの観点からは、0.50mol/L以上3mol/L未満の濃度の硝酸を用いて酸処理を実施することが好ましい。
上記した各種実施例/比較例は、本発明の処理によりアントラキノン類が再生されることを立証しているが、アントラキノン類の再生が、副生物(アントラキノン誘導体)からアントラキノン類への再生であることを直接的に立証すべく、以下の実験を行った。
<実施例10>
前述の一般式(d)~(e)に示されるアルキルオキシアンスロンについて、過酸化水素の製造に有用なアントラキノン類への再生に関する実験を行った。
具体的には、水添前作動溶液として、アミルアントラキノン(AmAQ)を0.509mol/Lの濃度で含み、アミルオキシアンスロン(AmOX)を0.012mol/Lの濃度で含み、且つ混合有機溶媒(プソイドクメン:ジイソブチルカルビノール=55:45)を使用している作動溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、再生作動溶液Cを得た。その結果、再生作動溶液Cに含まれるアミルアントラキノン(AmAQ)の濃度は0.527mol/L、アミルオキシアンスロン(AmOX)の濃度は0.001mol/Lであった。
再生作動溶液Cではアミルオキシアンスロンが大きく減少しており、十分なアミルオキシアンスロンのアミルアントラキノンへの再生効果を得ることができた。
<実施例11>
前述の一般式(a)に示されるアルキルテトラヒドロアントラキノンエポキシドが過酸化水素の製造に有用なアントラキノン類へ再生される現象について実験を行った。
具体的には、水添前作動溶液として、混合有機溶媒(プソイドクメン:ジイソブチルカルビノール=60:40)に対して、アミルテトラヒドロアントラキノンエポキシドを所定量溶解させ、アミルテトラヒドロアントラキノンエポキシド0.016mol/L、アミルアントラキノン0.092mol/L、アミルテトラヒドロアントラキノン0.000mol/Lを含む作動溶液50mLを用いる以外は、実施例1と同様にして、再生作動溶液Cを得た。その結果、再生作動溶液Cに含まれるアミルテトラヒドロアントラキノンエポキシド(AmTHEP)の濃度は0.003mol/L、アミルテトラヒドロアントラキノン(AmTHAQ)の濃度は0.009mol/L、アミルアントラキノン(AmAQ)の濃度は0.094mol/Lであった。
再生作動溶液Cではアミルテトラヒドロアントラキノンエポキシドが大きく減少しており、再生先であるアミルテトラヒドロアントラキノンが増加していた。よって、十分なアミルテトラヒドロアントラキノンエポキシドのアミルテトラヒドロアントラキノンへの再生効果を得ることができた。
<実施例12>
前述の一般式(b)、(c)に示されるアルキルアンスロンが過酸化水素の製造に有用なアントラキノン類へ再生される現象について実験を行った。
具体的には、アルキルアンスロンが実機プラントの作動溶液中に通常含まれる量としては少ないため、アルキル基を有していない(R=水素)アンスロン(アントロン、富士フィルム和光純薬社製、和光特級)を用いて実験を行った。ただし、富士フィルム和光純薬ではアンスロンをアントロンと記載している。
水添前作動溶液として、混合有機溶媒(プソイドクメン:ジイソブチルカルビノール=60:40)に対して、アンスロンを所定量溶解させ、アンスロン0.050mol/Lを含む作動溶液50mLを用いる以外は、実施例1と同様にして、再生作動溶液Cを得た。被作動溶液及び再生作動溶液Cに含まれるアンスロン(AN)の濃度は0.032mol/L、アントラキノン(AQ)の濃度は0.020mol/Lであった。
再生作動溶液Cではアントロンが減少し、再生先であるアントラキノンが増加していた。よって、十分なアントロンのアントラキノンへの再生効果を得ることができた。
上記の実施例10~12から、アミルテトラヒドロアントラキノンエポキシド、アミルオキシアンスロン、アンスロンがアミルアントラキノン類に再生されたことが確認された。ただ、これらの他にいまだ同定されていないアントラキノン副生成物もアントラキノン類に再生されることで、アルカリ処理後の作動溶液中のアントラキノン類の濃度向上に貢献している可能性は十分にあると推察される。
<実施例13>
硝酸ではなくリン酸を用いて、実施例6と同様の実験を実施した。ただし、硝酸に比べてリン酸は弱い酸であるため、酸との接触回数を1回から2回に増やした。具体的には、以下の操作を行った。
(水添及びアルカリ処理)
実施例6と同じ作動溶液を用いて、実施例6と同様にして水添処理及びアルカリ処理を行い、再生作動溶液Dを得た。
(酸処理1回目)
得られた再生作動溶液Dを1.0mol/Lのリン酸50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、25℃で行った。15分後、撹拌を停止し、作動溶液とリン酸を分液ロートで分離し、再生作動溶液E1を得た。
(酸処理2回目)
得られた再生作動溶液E1を1.00mol/Lのリン酸50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、25℃で行った。15分後、撹拌を停止し、作動溶液とリン酸を分液ロートで分離し、再生作動溶液E2を得た。
(水洗)
得られた再生作動溶液E2を純水50mLと攪拌接触させた。攪拌は窒素を通気し、25℃で行った。5分後、撹拌を停止し、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
<実施例14>
2回の酸処理に0.50mol/Lリン酸を使用した点以外は、実施例13と同様にしてアルカリ処理、酸処理および水洗を行い、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
<実施例15>
2回の酸処理に0.25mol/Lリン酸を使用した点以外は、実施例13と同様にしてアルカリ処理、酸処理および水洗を行い、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
<実施例16>
2回の酸処理に0.13mol/Lリン酸を使用した点以外は、実施例13と同様にしてアルカリ処理、酸処理および水洗を行い、作動溶液と水層を分液ロートで分離した。
表3および図4に、上記実施例13~16で得られた水層について、pH測定結果を示す。
Figure 0007327414000007
実施例13~16では、十分量のアミルアントラキノン類が得られていた。酸処理に用いるリン酸の濃度が0.25mol/L以上の場合には、再生作動溶液に純水を接触させた後の水層のpHが7を十分に下回っており、再生作動溶液からアルカリ金属化合物が十分に除去されていた。一方で硝酸濃度が0.13mol/Lの場合は、再生作動溶液接触に純水を接触させた後の水層のpHが7を超えており、アルカリ金属化合物は、一部再生作動溶液に残留していた。よって、再生作動溶液からアルカリ金属化合物を十分に除去するためには、好ましくは0.25mol/L以上の濃度のリン酸を用いて酸処理を実施すればよいことが示された。さらに、硝酸が濃いほどアルカリ金属化合物の除去効果も向上すると考えられるが、除去効果とコスト面および安全面のバランスの観点からは、0.50mol/L以上3mol/L未満の濃度のリン酸を用いて酸処理を実施することが好ましいことがわかった。

Claims (18)

  1. 水添工程、酸化工程および抽出工程を含むアントラキノン法によって過酸化水素を製造する方法に連続使用されている作動溶液を、アルカリ金属化合物と混合することにより処理する方法であって、
    アルカリ金属化合物と混合する前の被処理作動溶液として、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表されるアントラヒドロキノン類の濃度が、0.20mol/L未満である作動溶液を用いることを特徴とする、処理方法。
    Figure 0007327414000008
    (一般式(1)及び一般式(2)中、Rは、水素又は炭素数1~10のアルキル基を示す。)
  2. 前記被処理作動溶液が、水添工程の後で酸化工程の前に一部を抜き出した作動溶液であるか、あるいは、水添工程の後で酸化工程の前に一部を抜き出した作動溶液に対し、水添工程の前の作動溶液を加えて希釈したものである、請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記被処理作動溶液が、抽出工程の後で水添工程の前に一部を抜き出した作動溶液である、請求項1に記載の処理方法。
  4. 前記アントラヒドロキノン類の濃度が、0.05~0.10mol/Lである、請求項1~3のいずれか一項に記載の処理方法。
  5. 前記被処理作動溶液に、更に、下記一般式(a)~(e)からなる群より選ばれる一種以上のアントラキノン誘導体が含まれている、請求項1~4のいずれか一項に記載の処理方法。
    Figure 0007327414000009
    (一般式(a)~一般式(e)中、Rは、前記一般式(1)および(2)と同じ意味を示す。)
  6. 前記Rが、エチル基、ブチル基又はアミル基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の処理方法。
  7. 0~60℃の温度で、前記被処理作動溶液をアルカリ金属化合物と混合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の処理方法。
  8. 前記被処理作動溶液と前記アルカリ金属化合物の水溶液とを、被処理作動溶液:アルカリ金属化合物水溶液=1以上:1(体積)の量で混合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の処理方法。
  9. 前記アルカリ金属化合物が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、請求項1~8のいずれか一項に記載の処理方法。
  10. 水酸化ナトリウムの濃度が0.5mol/L以上である水酸化ナトリウム水溶液を混合する、請求項1~9のいずれか一項に記載の処理方法。
  11. 前記被処理作動溶液を、ラインミキサーを用いて前記アルカリ金属化合物の水溶液と混合する、請求項1~10のいずれか一項に記載の処理方法。
  12. アルカリ金属化合物と混合した後に、更に酸を混合して後処理を行う、請求項1~11のいずれか一項に記載の処理方法。
  13. 前記酸が硝酸又はリン酸である、請求項12に記載の処理方法。
  14. アルカリ金属化合物と混合した後に、更に、硝酸又はリン酸の濃度が0.20mol/L以上の酸性水溶液を混合する、請求項12又は13に記載の処理方法。
  15. 酸との混合を、撹拌混合機を用いて行う、請求項12~14のいずれか一項に記載の処理方法。
  16. 前記酸を混合した後に、更に水を混合して後処理を行う、請求項12~15のいずれか一項に記載の処理方法。
  17. 後処理後の作動溶液を純水と攪拌して静置し、分離された水層のpHが7以下となるように、後処理を行う、請求項12~16のいずれか一項に記載の処理方法。
  18. 請求項1~17のいずれか一項に記載の方法により処理された作動溶液を使用して、アントラキノン法により過酸化水素を製造することを特徴とする過酸化水素の製造方法。
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