JP2014224009A - 過酸化水素製造に使用される作動溶液、および該作動溶液の処理方法、並びに該作動溶液を用いた過酸化水素の製造方法 - Google Patents

過酸化水素製造に使用される作動溶液、および該作動溶液の処理方法、並びに該作動溶液を用いた過酸化水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、アントラキノン法による過酸化水素の製造における作動溶液中の水素化触媒に対して触媒毒となる塩素および硫黄成分などの不純物を除去し、過酸化水素の生産効率を上昇させ、また上記不純物による過酸化水素製造プラントの構造材の腐食を防止する方法を提供する。【解決手段】ある特定の条件にて作動溶液とアルカリ水溶液を接触させる事で、作動溶液中に含まれる塩素および硫黄成分を低減・除去し、より効率的に過酸化水素を製造でき、かつプラント構造材の腐食を防止することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される作動溶液の処理方法に関し、さらに詳しくは、該作動溶液中の塩素成分および硫黄成分を除去するための作動溶液の処理方法、および該処理方法で得られた作動溶液を用いた過酸化水素の製造方法に関する。
現在工業的に行われている過酸化水素の主な製造方法は、アントラキノン類を反応媒体とする方法でアントラキノン法と呼ばれる。一般にアントラキノン類は適当な有機溶媒に溶解して使用される。有機溶媒は単独または混合物として用いられるが、通常は2種類の有機溶媒の混合物が使用される。アントラキノン類を有機溶媒に溶かして調製した溶液は作動溶液と呼ばれる。
アントラキノン法では還元工程において、上記の作動溶液中のアントラキノン類を触媒の存在下に水素で還元し(以下、水素化と称す)、対応するアントラヒドロキノン類を生成させる。次いで酸化工程においてそのアントラヒドロキノン類を空気もしくは酸素を含んだ気体によって酸化することによりアントラキノン類に戻し、同時に過酸化水素を生成する。作動溶液中に生成した過酸化水素は抽出工程において、通常は水を用いて抽出され、作動溶液から分離される。過酸化水素が抽出された作動溶液は再び還元工程に戻され、循環プロセスを形成する。このプロセスは、実質的に水素と空気から過酸化水素を製造するものであり、極めて効率的なプロセスである。既にこの循環プロセスを用いて過酸化水素が工業的に製造されている。
ここで、作動溶液中の不純物にはアントラキノン類を水素化させる工程で触媒の活性を低下させる要因(触媒毒)となり、過酸化水素の生産性を低下させるものがある。よって、そのような不純物は可能な限り取り除いておくことが望ましい。代表的な不純物としては、塩素成分および硫黄成分をはじめとした無機化合物やアントラキノン類の分解物をはじめとした有機化合物である。作動溶液は触媒およびプラント構造材とも直接に接しているため、作動溶液に含まれる不純物は触媒の活性低下だけでなくプラント構造材を腐食させる恐れがある。
塩素成分や硫黄成分といった不純物はSUS材やアルミニウム材といった一般的なプラント構造材に対して、腐食を引き起こす性質が強く、プラント構造材の保護皮膜を破壊する事で腐食を促進させる。特に過酸化水素製造プロセスでは前述のようにアントラヒドロキノン類を酸化させるために空気もしくは酸素を用いる。そのような場合は溶剤中の溶存酸素が豊富になってしまい、作動溶液中の塩素分がプラント構造材を腐食するのを助長してしまう可能性が指摘されている。(非特許文献1)
このような不純物は作動溶液に含まれるアントラキノンや溶剤に由来しており、これはそれらの製造過程によるものである。特許文献1、2、3、4では、不純物を低減したアントラキノン類の製造方法について記載されている。例えば、特許文献1では塩素分を1ppmに低減したアントラキノンの製造方法に言及しているが、実際に工業用として流通しているものは塩素分が25ppm程度含まれている。塩素成分を低減させたアントラキノン類は一般的に、価格が高い傾向にある。また現実的には各アントラキノン類製造メーカでの不純物低減の技術レベルに差があり、実際に過酸化水素を商業ベースで製造する場合においては、この不純物の問題を根本的に解決するものではない。また、溶剤に関しても、塩素成分および硫黄成分の除去技術はあるが、同じ問題が残っており、依然として塩素成分および硫黄成分等の不純物がアントラキノン類の水素化において、構造材の腐食や触媒の活性を低下させる要因となっている。
特開平7−118195号公報 特開2010−105942号公報 特開昭48−75558号公報 特開昭62−93251号公報
最新 腐食事例解析と腐食診断法、監修:石原只雄、出版:株式会社テクノシステム、2008年
本発明の目的は、水素化触媒に対して触媒毒である作動溶液中の塩素成分および硫黄成分を簡便かつ効率よく除去し、過酸化水素の生産効率を上昇させ、また不純物による過酸化水素プラント構造材の腐食を防止する方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ある特定の条件にて作動溶液とアルカリ水溶液を接触させる事で、作動溶液に含まれる塩素分、硫黄分をはじめとした不純物を低減し、より効率的に過酸化水素を製造でき、かつプラント構造材の腐食を防止する事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下のとおりである。
1.有機溶媒とアルキルアントラキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを含む混合溶液からなる作動溶液であって、全塩素分が10ppm以下であり、全硫黄分が1ppm以下であることを特徴とする、アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される作動溶液。
2.上記有機溶媒が、芳香族炭化水素、高級アルコール、カルボン酸エステルおよび四置換尿素からなる群から選択される1種または2種以上である第1項に記載の作動溶液。
3.第1項〜第2項いずれかに記載の作動溶液の製造方法であって、有機溶媒とアルキルアントラキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを含む作動溶液を洗浄することによる、全塩素分が10ppm以下であり、全硫黄分が1ppm以下である、アントラキノン法による過酸化水素製造に使用される作動溶液の処理方法。
4.前記洗浄の方法が、前記混合溶液とアルカリ水溶液または水とを接触処理する方法である第3項に記載の作動溶液の処理方法。
5.接触処理時間が1分以上である第4項に記載の作動溶液の処理方法。
6.接触処理時間が5分以上である第4項に記載の作動溶液の処理方法。
7.0〜70℃の温度で接触処理する第4項〜第6項いずれかに記載の作動溶液の処理方法。
8.10〜60℃の温度で接触処理する第4項〜第6項いずれかに記載の作動溶液の処理方法。
9.前記接触処理が、アルカリ水溶液と接触処理した後、水と接触処理するものである第4項〜第8項いずれかに記載の作動溶液の処理方法。
10.第1項〜第2項いずれかに記載の作動溶液を用いることを特徴とするアントラキノン法による過酸化水素の製造方法。
11.第10項に記載の製造方法で製造された過酸化水素。
本発明により、作動溶液中の不純物の低減が可能となり、過酸化水素製造における水素化触媒の触媒毒が低減されるため活性の上昇が期待でき、つまりは高効率なプロセスを実現する。そして、高価な貴金属を含有する水素化触媒の使用量を減らし、かつ長期間の使用に耐え得ることができるようになり、結果として製造コストの低減を実現することができる。
さらに塩素成分および硫黄成分の不純物は主なプラント構造物の材料であるSUS材やアルミニウム材に対して腐食性を有するため、塩素成分および硫黄成分の不純物を低減する事はプラントの腐食を防止する効果もあり、プラントの補修に関わる費用を抑える効果もある。さらに腐食防止は配管などから作動溶液の漏洩の可能性を低減し、プラントの安全操業に貢献できる。
以下に本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は本発明を説明するために例示であり、本発明をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施をする事ができる。
本発明の実施態様の一つは、水素化触媒の存在下で、有機溶媒中でアルキルアントラキノンまたはその誘導体の交互の水素化および酸化を伴うアントラキノン法による過酸化水素の製造に関する。先述のように、アントラキノン類を有機溶媒に溶解させ調整した溶液は作動溶液と呼ばれる。本発明で使用するアントラキノン類は、アルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンあるいはそれらの混合物が好ましい。アルキルアントラキノンおよびアルキルテトラヒドロアントラキノンは、各々が複数のアルキルアントラキノンおよびアルキルテトラヒドロアントラキノンの混合物であってもよい。アルキルアントラキノンとしては、エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アミルアントラキノン、などが例示される。また、アルキルテトラヒドロアントラキノンとしてはエチルテトラヒドロアントラキノン、t−ブチルテトラヒドロアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノン、などが例示される。本発明において作動溶液を調製するために用いられる有機溶媒は、特に限定されるものではないが、好ましい有機溶媒としては、芳香族炭化水素と高級アルコールとの組み合わせ、芳香族炭化水素とシクロヘキサノールもしくはアルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エステルもしくは四置換尿素との組み合わせが例示される。
アントラキノン法による過酸化水素の製造で用いられる水素化触媒担体としては、通常の触媒担体として用いられるものであればよく、特に限定されないが、シリカ、シリカ・アルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、アルミナ・チタニア複合酸化物、及びこれらの物理的混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの酸化物であり、かつ0.2〜2.0 ml/gの全細孔容積を有することが好ましい。さらに好ましくは0.2〜2.0 ml/gの全細孔容積を有するシリカ、アルミナあるいはシリカ・アルミナ複合酸化物である。
本発明に用いられる水素化触媒に担持された金属化合物は少なくともパラジウム、ロジウム、ルテニウムまたは白金を含む1種類以上を含む金属化合物が好ましく、パラジウムがより好ましい。触媒に担持された金属化合物の含有量は、本発明の効果に決定的ではないが、通常担体質量に対して0.1〜10質量%が好ましい。また該触媒化合物は通常金属の状態で担持されているが、反応条件下で、容易に還元されて金属となるような酸化物の形態で担持されていてもよい。
本発明の過酸化水素の製造方法は、前記作動溶液と水もしくはアルカリ水溶液を接触させる工程を有し、また接触させた作動溶液とアルカリ水溶液とを分離させる工程を有するものである。アルカリとしてはアルカリ金属が好ましい。
本発明で使用されるアルカリ金属は、周期表第Ia族のアルカリ金属であればよいが、リチウム、ナトリウムあるいはカリウムが好ましい。これらを含む試薬に特に限定はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、二酸化ホウ素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、三酸化ホウ酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、三ケイ酸ナトリウム、すず酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ホウ素カリウム、炭酸カリウム、シアン化カリウム、亜硝酸カリウム、カリウムフェノキシド、リン酸水素カリウム、二リン酸カリウム、すず酸カリウムなどが例示される。好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウムであり、さらに好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。
アルカリ金属を含有するアルカリ水溶液のpHは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、特に好ましくは12以上である。
本発明において、用いられる作動溶液は新たに調製されたものがより好ましいが、プラントで使用された後の触媒や過酸化水素を十分に除去された作動溶液であっても良い。触媒はアルカリ水溶液と接触する事で異常な反応を起こす可能性や、そうでないとしても、アルカリ水溶液により触媒が損傷を受け劣化し、プラント内へと戻ってしまう事になる。また過酸化水素の場合は、アルカリと中和反応を起こし、異常分解を起こすため、大変危険である。
本発明での作動溶液と水もしくはアルカリ水溶液との接触は、作動溶液1容積部に対して0.2倍容積部以上の水もしくはアルカリ水溶液と接触させる。より好ましくは0.3倍容積部以上の該水もしくはアルカリ水溶液と接触させる。接触させる方法としては、一般に知られる混合手段を用いる事ができる。例えば、撹拌、振とうおよび不活性ガスによるバブリング、並流および交流接触法などがあるが、これらに限定されるわけではなく、作動溶液と水もしくはアルカリ水溶液とが効率よく接触できる方法であればよい。
また、接触させる水もしくはアルカリ水溶液の容量に重要な上限はなく、接触させる装置や作業の都合で適宜選択すればよい。上記の範囲であれば、好適に塩素成分および硫黄成分を除去できる。
作動溶液と水もしくはアルカリ水溶液との接触時間は1分以上、より好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上接触させる。ここで好ましい重要な上限はなく、接触させる装置や作業の都合で適宜選択すればよい。上記の範囲であれば、好適に塩素成分および硫黄成分を除去できる。
水もしくはアルカリ水溶液との接触温度は0℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃に、特に好ましくは20〜50℃の範囲で作動溶液と接触させる。この範囲であれば、好適に塩素成分および硫黄成分を除去できる。
作動溶液と水もしくはアルカリ水溶液との接触処理中の圧力は特に限定はないが、通常常圧に保たれることが好都合である。接触を終えた水もしくはアルカリ水溶液は作動溶液から分離され排出される。
該作動溶液のアルカリ水溶液による処理に続いて水による洗浄が行われる。ここで言う「水」は、蒸留水、イオン交換水、逆浸透法などで精製された水が好ましい。上記以外の方法で精製された水も好ましく用いられる。特に洗浄に用いられる水として純水が好ましい。いずれを使用した場合も、作動溶液1容積部に対して純水0.2容積部以上、好ましくは0.3容積部以上の割合の量で水洗される。水洗時間は1分以上、より好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上接触させるが、ここで好ましい重要な上限はない。
アルカリ処理後の作動溶液と水と接触させる方法はアルカリ水溶液の接触方法と同様の装置および方法を用いることができる。水洗する水の温度としては0℃〜70℃、より好ましくは10〜60℃で、特に好ましくは20〜50℃の範囲である。水洗を終えた該水は作動溶液から分離され排出される。
なお水洗は1回ではなく複数回行われ、水洗排水のpHが中性付近となるまで、行われるのが好ましい。なぜなら作動溶液に残留したアルカリ金属イオンは、製品である過酸化水素の安定性や品質を損なう不純物となるため、事前に除去しておくことが望ましいためである。水洗の回数は使用される装置にもよるため、前記の条件が得られれば特に制限はないが、通常1〜5回程度行われる。
以下、実施例により、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで用いた試薬のグレードとして、1,2,4−トリメチルベンゼン、ジイソブチルカルビノール、エチルアントラキノン、アミルアントラキノンは工業用グレードを用いた。水酸化ナトリウム、水酸化カリウムは試薬特級を用いた。
参考例1
作動溶液をアルカリ水溶液および水洗処理を行うことなしに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。ここで得られた水素吸収量を相対水素吸収量100%とし、以下に述べる実施例1〜6および比較例1、2と結果を比較し、表1にまとめた。
実施例1
(作動溶液の調製)
アントラキノン法における過酸化水素製造に用いる作動溶液の調製を行った。
作動溶液は1, 2, 4−トリメチルベンゼン60容量%とジイソブチルカルビノール40容量%からなる混合溶液に、エチルアントラキノン(EtAQ)の濃度が0.6 mol/lとなるように溶解させたものである。ここではエチルアントラキノン(EtAQ)71gを1, 2, 4−トリメチルベンゼン/ジイソブチルカルビノール =60:40の溶液に溶解させ500mlにメスアップし作動溶液を得た。
(作動溶液とアルカリ水溶液の接触工程)
アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水溶液を所定のpH値に調整したものを用いた。pHの測定には、京都電子工業製AT−510を用い、校正には和光純薬製ホウ酸塩pH標準液pH9.18(205−08775)及び中性リン酸塩pH標準液pH6.86(165−12155)を用いた。
ここで用いた水酸化ナトリウム水溶液はpH値を12に調整した。
先に調製した作動溶液250mlと上記のpH調整した水酸化ナトリウム水溶液100ミリリットルを分液ロートに仕込んだ。作動溶液およびアルカリ水溶液はあらかじめ30℃になるように温度調整を行った。この分液ロートを振とう器(ヤマト科学製 Shaker SA31)に据え付け、振とう強度は280回/分の強度で5分間振とうした。その後60分間静置し、作動溶液と水酸化ナトリウム水溶液を上層と下層に分離させた。分液ロートより分離した上層の作動溶液を回収した。
(水洗工程)
アルカリ接触後回収した作動溶液の水洗を以下のように行った。分液ロートに該作動溶液と純水100ミリリットルを入れ、前述の方法で5分間振とうを行った。また振とう後は60分間静置し、作動溶液と水層を分離した。下層の水層を除去し、また新たに純水を90ミリリットル追加し、同様の振とう操作を行った。振とう後は同様に水層を除去した。再度水洗を行い、水洗を合計で3回行った。この時の水温はあらかじめ30℃となるように温度を調整した。
(作動溶液の活性試験)
作動溶液の活性の評価は撹拌翼を取り付けたバッチ式のSUS製の評価装置を用いて行った。上記バッチ式のSUS製反応槽に触媒1重量部と作動溶液20重量部を投入した。反応槽を気密にした後、反応系内を水素置換した。撹拌翼を1000rpmで撹拌して30分間、単位触媒当たりの水素吸収量を測定した。反応温度は30℃、反応圧力は常圧に制御した。ここで用いた触媒は特開平9−271670に開示されたシリカ担持パラジウム触媒を用いた。
(作動溶液中の塩素及び硫黄の測定)
塩素および硫黄成分の含有量の測定は、ダイヤインスツルメンツ製塩素・硫黄分析装置:TOX−100型を用いて行った。手順としては、作動溶液サンプルを石英ボートに約20ミリグラム量りとり、高温燃焼させ、燃焼ガスを吸収液に捕集し、捕集の際の電位の変化を銀電極で測定する。燃焼ガスとは、塩素の場合は塩化水素、硫黄の場合は二酸化硫黄である。また、検出限界は、塩素は1ppmで、硫黄は1ppmである。
(結果)
作動溶液中の塩素分と硫黄分濃度測定結果、および作動溶液活性試験の結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同じ方法で作動溶液の処理を行った。但し、接触させる溶液を水酸化ナトリウム水溶液から純水に変更した。評価方法は同様とし、結果を表1に示す。
実施例3
実施例1と同じ方法で作動溶液の処理を行った。但し、水酸化ナトリウム水溶液との接触時間を5分から30分に変更した。評価方法は同様とし、結果を表1に示す。
実施例4
実施例1と同じ方法で作動溶液の処理を行った。但し、水酸化ナトリウム水溶液のpH値を12から14に変更し、作動溶液と水酸化ナトリウム水溶液の温度を30℃から15℃に変更し、また水酸化ナトリウム水溶液との接触時間を5分から10分へと変更した。同様の評価を行い、結果を表1に示す。
実施例5
実施例1と同じ方法で作動溶液の処理を行った。但し、アルカリ水溶液のpH値を12から14へ変更し、接触時間を5分から10分へと変更した。同様の評価を行い、結果を表1に示す。
実施例6
実施例1と同じ方法で作動溶液の処理を行った。但し、アルカリ種を水酸化ナトリウムから水酸化カリウムへ変更し、水酸化カリウム水溶液のpH値を12から14に変更した。作動溶液とアルカリ水溶液の温度を30℃から50℃へ変更し、接触時間を5分から10分に変更した。同様の評価を行い、結果を表1に示す。
実施例7
実施例1と同じ方法で作動溶液の処理を行った。但し、アントラキノン種をエチルアントラキノンからアミルアントラキノンに変更した。さらにアミルアントラキノン濃度を0.6 mol/Lとした。同様の評価を行い結果を表1に示す。
比較例1
アルカリ水溶液ではなく、純水を用いて実施例1と同様の作動溶液の処理を行った。ただし作動溶液と純水の温度は10℃に調整した。同様の評価を行い、結果を表1に示す。
比較例2
アルカリ水溶液ではなく、純水を用いて、またアントラキノン種としてエチルアントラキノンではなくアミルアントラキノン(濃度は、0.6mol/L)を用いて、実施例1と同様の作動溶液の処理を行った。ただし、作動溶液と純水との振とう時間を2分とした。同様の評価を行い、結果を表1に示す。
Figure 2014224009
アントラキノン法による過酸化水素製造おいて本願発明を利用すると、作動溶液中の塩素や硫黄などの不純物の低減がされ、さらに作動溶液中の塩素や硫黄などの不純物が低減したことから、高効率でかつ安全に過酸化水素を製造する事ができる。これは、過酸化水素製造における水素化触媒の触媒毒が低減されるため活性が上昇したと考えている。さらに、塩素成分を低減させることによりプラント構造材(SUS材等)の腐食を防止する事ができる。

Claims (11)

  1. 有機溶媒とアルキルアントラキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを含む混合溶液からなる作動溶液であって、全塩素分が10ppm以下であり、全硫黄分が1ppm以下であることを特徴とする、アントラキノン法による過酸化水素の製造に使用される作動溶液。
  2. 上記有機溶媒が、芳香族炭化水素、高級アルコール、カルボン酸エステルおよび四置換尿素からなる群から選択される1種または2種以上である請求項1に記載の作動溶液。
  3. 請求項1〜2いずれかに記載の作動溶液の製造方法であって、有機溶媒とアルキルアントラキノンおよび/またはアルキルテトラヒドロアントラキノンを含む作動溶液を洗浄することによる、全塩素分が10ppm以下であり、全硫黄分が1ppm以下である、アントラキノン法による過酸化水素製造に使用される作動溶液の処理方法。
  4. 前記洗浄の方法が、前記混合溶液とアルカリ水溶液または水とを接触処理する方法である請求項3に記載の作動溶液の処理方法。
  5. 接触処理時間が1分以上である請求項4に記載の作動溶液の処理方法。
  6. 接触処理時間が5分以上である請求項4に記載の作動溶液の処理方法。
  7. 0〜70℃の温度で接触処理する請求項4〜6いずれかに記載の作動溶液の処理方法。
  8. 10〜60℃の温度で接触処理する請求項4〜6いずれかに記載の作動溶液の処理方法。
  9. 前記接触処理が、アルカリ水溶液と接触処理した後、水と接触処理するものである請求項4〜8いずれかに記載の作動溶液の処理方法。
  10. 請求項1〜2いずれかに記載の作動溶液を用いることを特徴とするアントラキノン法による過酸化水素の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法で製造された過酸化水素。
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