JPWO2018016359A1 - 過酸化水素製造用貴金属触媒および過酸化水素の製造方法 - Google Patents

過酸化水素製造用貴金属触媒および過酸化水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

高濃度の過酸化水素を製造することができる貴金属触媒及び過酸化水素の製造方法を提供すること。水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得る方法に用いる貴金属触媒であって、パラジウムと金と酸素原子と臭素原子とを含み、前記酸素原子及び臭素原子は貴金属触媒の最表面に存在する、貴金属触媒、ならびに反応媒体中に水素及び酸素を含む気体を導入することと、反応媒体中、導入された水素及び酸素と、上記の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得ることとを含む、過酸化水素の製造方法。

Description

本発明は、水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得る方法に用いる貴金属触媒、及びそれを使用する過酸化水素の製造方法に関する。
過酸化水素は、酸化力を有し強力な漂白・殺菌作用を持つことから、紙、パルプ、繊維等の漂白剤、殺菌剤として利用されており、また、エポキシ化及びヒドロキシル化をはじめとする酸化反応に広範囲に用いられる重要な工業製品である。
更に過酸化水素は、半導体産業において半導体基板等の表面の清浄に、銅、錫及び他の銅合金表面の化学的研磨に、及び電子回路の蝕刻等に用いられる。そして、過酸化水素は分解生成物が水と酸素であるため、グリーンケミストリーの観点から重要な位置付けがなされており、塩素系漂白剤の代替材料としても注目されている。
従来、過酸化水素の製造法としてはアントラキノン法、電解法、イソプロピルアルコールの酸化による方法などが知られており、工業的には主にアントラキノン法が採用されている。しかし、アントラキノン法は、アントラキノンの水素添加、空気による酸化、水による生成した過酸化水素の抽出、更には精製、濃縮等といったように多段階からなる方法である。そのため当該方法は、設備投資が高くなること、エネルギーを多量に使用すること、およびアントラキノンを溶解するための有機溶剤の大気への放出があることから、必ずしも理想的な過酸化水素の製造法とはいえない。
上記の問題点を解決する方法として、反応媒体中で触媒を用いて、酸素と水素から直接的に過酸化水素を製造する方法がある。例えば、水と酸と非酸性の酸素含有有機化合物との存在下に液相で金属成分として金、白金又はパラジウムを含有する固体触媒に対して水素と酸素を接触させて過酸化水素を製造する方法が提案されており、ある程度の過酸化水素が生成する事が知られている(特許文献1)。
特許文献2は、反応媒体中で、水素と酸素から接触的に過酸化水素を製造する方法において、酸化物担体に担持された白金族金属触媒を用いる過酸化水素の製造方法を開示している。当該文献は、反応媒体については通常水が好適であり、生成する過酸化水素の分解抑制のために、塩酸水溶液、臭化水素酸水溶液、りん酸水溶液、硫酸水溶液など、特に塩酸水溶液、臭化水素酸水溶液を好適に用いることができることを報告している。また塩酸水溶液のかわりに塩化物イオン成分として塩化ナトリウム、塩化カリウム等と水素イオン成分である硫酸、りん酸等の混合水溶液の組み合わせも好適に採用することができる旨記載されている。さらには、臭化水素酸水溶液のかわりに臭化物イオン成分として臭化ナトリウム、臭化カリウム等と水素イオン成分である硫酸、りん酸等との混合水溶液の組み合わせも好適に採用することができる旨記載されている。
特許文献3は、撹拌型反応器において水素及び酸素から直接過酸化水素水溶液を製造する方法であって、水素及び酸素を別々に小さな気泡形態で、無機酸を添加して予め酸性とし且つ水素及び酸素の導入量を一定のモル比とする方法を提案している。当該文献はまた、前記水性反応媒体は、過酸化水素に対する安定剤(例えば、ホスホネートまたはスズ)及び分解抑制剤(例えば、ハロゲン化物)を含み得ると記載している。さらに前記文献は、ハロゲン化物の内、臭化物が特に好ましい分解抑制剤であり、有利には遊離状態の臭素(Br)との組み合わせで使用される旨記載している。
特許文献4では直接合成法による有機過酸化水素溶液または有機過酸化水素水溶液の製造法であって、その際、水素および酸素を含有する非爆発性のガス状の混合物と液体反応媒体とを、貴金属触媒を含む混合物からなる固定床に導通させる製造法が開示されている。当該文献はまた、前記液体反応媒体が、強酸及びハロゲン化物を含有することを開示している。
特許文献5は、水素と酸素からの、三相系における不均質触媒作用による過酸化水素の水溶液の直接合成方法であって、液体水相に粒体状態で懸濁されている固形不均質触媒の表面で直接反応し、該触媒は純粋パラジウム又はパラジウムと少なくとも1種の他の貴金属との組合せから選ばれる金属化合物からなる直接合成法を開示している。さらに当該文献は、この方法において前記金属化合物が二酸化ジルコニウム及び超酸性二酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含む担体上に担持されていること、前記液体水相が水相に対して0.05〜3mmol/リットルの濃度で臭化物イオンを含有し、且つそのpHが0〜4の範囲にあることを開示している。
特許文献6及び7は、ハロゲンイオンを分解抑制剤として用いることなく、反応媒体中、貴金属触媒及びラジカル捕捉剤の存在下で水素と酸素を反応させる、過酸化水素の製造方法を開示している。
特公昭40−19006号公報 特許第3394043号公報 特表2002−503617号公報 特表2007−537119号公報 特開平05−213607号公報 特開2014−15353号公報 国際公開第2014/01372号
しかしながら、かかる従来の過酸化水素の直接製造法では、いずれも高濃度の過酸化水素を得ることができず、実用化への課題の一つとなっている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構成を有する貴金属触媒を、水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得る方法に使用することにより、高濃度の過酸化水素の製造が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するための具体的手段は、以下のとおりである。
本発明の第1の実施形態は、水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得る方法に用いる貴金属触媒であって、
パラジウムと金と酸素原子と臭素原子とを含み、前記酸素原子及び臭素原子は貴金属触媒の最表面に存在する、貴金属触媒である。
本発明の第2の実施形態は、反応媒体中に水素及び酸素を含む気体を導入することと、
反応媒体中、導入された水素及び酸素と、上記第1の実施形態の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得ることとを含む、過酸化水素の製造方法である。
本発明の貴金属触媒を使用することにより、水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得る方法において、高濃度の過酸化水素を製造することができる。また、本発明の過酸化水素の製造方法により、高濃度の過酸化水素を製造することができる。
以下、本発明の貴金属触媒及び過酸化水素の製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書中において、高濃度の過酸化水素とは、例えば、5重量%以上の、より好ましくは10重量%以上の過酸化水素をいう。
実施形態1:貴金属触媒
本発明の貴金属触媒は、パラジウムと金と酸素原子と臭素原子とを含み、前記酸素原子及び臭素原子は貴金属触媒の最表面に存在する。
本発明の貴金属触媒は、貴金属として、パラジウム及び金を含む。パラジウムと金のモル比(パラジウム/金)は、0.1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。本発明の貴金属触媒は、パラジウム及び金の他に、白金又は銀等のその他の貴金属を含んでいてもよい。なお、本明細書中において、酸素原子及び臭素原子を含んでいない状態のパラジウム及び金を含む貴金属を、貴金属触媒前駆体とも呼ぶ。
貴金属は、触媒効率及び反応効率を高めるために、炭素、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、酸化チタン又は酸化ジルコニアなどの担体に担持させることができる。担体としては、好ましくはルチル型酸化チタンが用いられる。
上記貴金属を担体に担持する方法としては、従来公知の方法を特に制限なく採用することができるが、含浸法またはイオン交換法が好ましい。前記含浸法としては、蒸発乾固法、平衡吸着法、ポアフィリング法などを採用することができる。
前記貴金属の担体への担持量は、担体100重量部に対して、貴金属0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。そして、本発明の過酸化水素の製造方法において、貴金属触媒(担体に担持されている場合は担持触媒)の使用量は、反応媒体1Lに対して1〜100gが好ましく、1Lに対して1〜40gがより好ましい。
貴金属は、単体には担持させることなく使用することもでき、例えば、ポリビニルピロリドン等の分散剤中に貴金属を分散させたナノコロイドの状態で使用することもできる。
本発明の貴金属触媒は、その最表面に酸素原子及び臭素原子が存在する。「その最表面に酸素原子及び臭素原子が存在する」とは、貴金属触媒の最も外側に酸素原子及び臭素原子が存在することを意味するが、貴金属触媒の最表面に酸素原子及び臭素原子以外の原子が存在すること、及び貴金属触媒の内側に酸素原子及び臭素原子が存在することを排除するものではない。本発明の貴金属触媒は、その最表面に酸素原子及び臭素原子が存在することにより、これを用いる過酸化水素の製造方法において、高濃度の過酸化水素の製造を達成することができる。従来の貴金属触媒を用いて酸素と水素から直接的に過酸化水素を製造する方法においては、前記触媒は過酸化水素の分解触媒としても機能するために生成した過酸化水素の分解も同時に起こる。このため、このような方法では分解を抑制するために何らかの化合物を用いることが多く、従来技術では塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオンを反応媒体の液相中に存在させることが知られている。しかしながら、本発明の貴金属触媒のように、貴金属触媒自体に酸素原子及び臭素原子が存在している構成は知られていなかった。本発明者らは、この本発明の貴金属触媒の構成を初めて見出し、この本発明の貴金属触媒が存在する条件下において高濃度の過酸化水素の製造を達成することを見出した。その機構としては、明らかではないが、本発明の貴金属触媒では、その最表面に酸素原子及び臭素原子が存在することにより、製造された過酸化水素の貴金属触媒への再吸着が抑制されて、過酸化水素の分解が抑制され、結果として過酸化水素の製造濃度が増加することが考えられる。
貴金属触媒の最表面に酸素原子及び臭素原子が存在することは、低エネルギーイオン散乱(Low Energy Ion Scattering:LEIS)分析により確認することができる。低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析法とは、数100eVから数keVの希ガスまたはアルカリ元素のイオンビームを固体表面に照射し、散乱されたイオンのエネルギースペクトルと角度スペクトルを測定することにより試料を分析する方法であり、最表層原子の定性、定量が可能である。低エネルギーイオン散乱分光装置(LEIS)としては、例えばION−TOF社製のQtac100を用いることができる。
本発明の貴金属触媒において、好ましくは、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比が、0.10以上であり、より好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.3以上である。また、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比は、0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましい。この低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比は、後述する過酸化水素の製造方法の過程において一定の値を保つことが好ましく、水素と酸素の直接反応開始から反応終了までの間の変化量がΔ0.5以下であることが好ましく、Δ0.30以下であることがより好ましく、Δ0.25以下あることがより好ましい。貴金属触媒の最表面にこの特定量の臭素が存在することにより、高濃度の過酸化水素を製造することができる。
本発明の貴金属触媒において、好ましくは、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の比が、1.5以上であり、より好ましくは1.7以上である。また、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の比は、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。酸素原子がこの量で貴金属触媒の最表面に存在することにより、パラジウムが酸化状態となり、結果として臭素原子が貴金属触媒の最表面に存在しやすくなっていることが考えられる。この低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の検出量の比は、後述する過酸化水素の製造方法の過程において変化しないこと又は微増していくことが好ましく、1時間当たり0〜0.25の変化量で増加していくことがより好ましく、1時間当たりΔ0〜0.1の変化量で増加していくことがより好ましく、1時間当たりΔ0〜0.05の変化量で増加していくことが好ましい。水素と酸素の直接反応開始から反応終了までの間、貴金属触媒最表面の酸素原子の量が変化しないこと又は微増していくことにより、反応後期においても過酸化水素の分解抑制が維持され、高濃度の過酸化水素を製造することができる。反応媒体に臭素成分を過剰に添加することにより類似の効果は得られるが、貴金属触媒の表面を酸化状態にすることで、効率よく臭素原子の吸着量を維持することができると考えられる。
本発明の貴金属触媒は、貴金属触媒前駆体を、媒体中において、酸素成分及び臭素成分と接触させることにより製造することができる。例えば、臭素成分を含む液相媒体に酸素を含む気体を導入し、液相媒体中の臭素成分と、導入された酸素と、貴金属触媒前駆体とを0.1MPa以上の圧力下で接触させることにより、貴金属触媒を得ることができる。導入される気体中の酸素分圧は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましい。導入される気体中の酸素分圧の上限としては、95%、90%等と、他の気体成分の分圧を勘案して適宜設定することができる。導入される気体は、酸素ガスの他に、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス又は二酸化炭素を含んでいてもよい。液相媒体は、水、メタノール、エタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、及びこれらの混合溶媒が挙げられ、これらの中でも、水及びアルコールが好ましい。臭素成分としては、臭素酸、臭素酸塩、臭化ナトリウム等の臭化物が挙げられるが、これらの中でも、臭化ナトリウムが好ましい。臭素成分の使用量は、反応媒体中0.01mM〜10mMであることが好ましく、0.02mM〜5mMであることがより好ましく、0.02mM〜1mMであることがさらに好ましい。反応の圧力は、好ましくは0.1MPa〜10MPaであり、より好ましくは0.5MPa〜5MPaであり、さらに好ましくは1MPa〜2MPaである。また、反応時間は通常0.01〜100時間であり、好ましくは0.5〜10時間である。
本発明の貴金属触媒は、後述する実施形態2の過酸化水素の製造方法によって、用時調製的に製造することもできる。例えば、臭素成分を含む反応媒体中に上記の貴金属触媒前駆体を添加し、反応媒体中に導入された酸素と、貴金属触媒前駆体とを0.1MPa以上の圧力下で接触させることにより、反応系において貴金属触媒を製造することができる。そして、そのまま過酸化水素の製造工程において、水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得るための貴金属触媒として使用することができる。
また、本発明の貴金属触媒は、担体に担持させることにより、反応後期における高濃度の過酸化水素の分解抑制効果が高まるので、好ましい。
実施形態2:過酸化水素の製造方法
本発明の過酸化水素の製造方法は、反応媒体中に水素及び酸素を含む気体を導入することと、
反応媒体中、導入された水素及び酸素と、上記第1の実施形態の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得ることとを含む。本発明の過酸化水素の製造方法により、高濃度の過酸化水素を製造することができる。
本発明の過酸化水素の製造方法で使用される貴金属触媒は、上記第1の実施形態の貴金属触媒である。そのため、上記と重複する記載について、適宜記載を割愛する。本発明の過酸化水素の製造方法において、貴金属触媒(担体に担持されている場合は担持触媒)の使用量は、反応媒体1Lに対して1〜100gが好ましく、1Lに対して1〜40gがより好ましい。
本発明の過酸化水素の製造方法において、導入される気体中の酸素分圧は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましい。導入される気体中の酸素分圧の上限としては、95%、90%等と、他の気体成分の分圧を勘案して適宜設定することができる。導入される気体中の酸素分圧が上記割合であることにより、製造される過酸化水素の濃度を増加することができる。この機構としては、明らかではないが、貴金属触媒表面に酸素量を増加することにより、過酸化水素生成の速度を向上することができるためと考えられる。
また、導入される気体中の酸素分圧が上記割合である場合は、臭素成分を含む反応媒体中に上記の貴金属触媒前駆体を添加し、反応媒体中に導入された水素及び酸素と、貴金属触媒前駆体とを0.1MPa以上の圧力下で接触させることにより、反応系において上記第1の実施形態の貴金属触媒を用時調製的に製造することができ、そのまま水素及び酸素と第1の実施形態の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得る工程を進めることができるため、好ましい。
導入される気体中の水素分圧は、爆発範囲を避け、かつ、水素に対して酸素が過剰となるような割合(例えば水素ガスと酸素ガスの流量の体積割合が1:2〜1:10となるような割合)が好ましく、例えば5〜20%、好ましくは10〜15%である。さらに安全性の観点から爆発の危険性をより低下させるため、水素及び酸素は希釈することが好ましい。この場合使用できる希釈ガスは、水素と酸素の反応に影響しない不活性ガスであり、例えば窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスが使用できる。コストの点からは窒素ガスが好ましい。なお、酸素は圧縮空気で希釈して酸素混合ガスとして使用してもよい。また、気体中に二酸化炭素を含んでいてもよく、その場合の気体中の二酸化炭素分圧は、例えば0.01〜5%、好ましくは1〜2%である。
水素及び酸素を含む気体は、反応媒体中に導入されるが、反応効率の点から通常液相、すなわち反応溶液中に導入される。
本発明の過酸化水素の製造方法において、反応媒体が臭素成分を含むことが好ましい。臭素成分としては、臭素酸、臭素酸塩、臭化ナトリウム等の臭化物が挙げられるが、これらの中でも、臭化ナトリウムが好ましい。反応媒体が臭素成分を含む場合は、反応媒体中に上記の貴金属触媒前駆体を添加し、反応媒体中に導入された分圧20%以上の酸素と、貴金属触媒前駆体とを0.1MPa以上の圧力下で接触させることにより、反応系において上記第1の実施形態の貴金属触媒を用時調製的に製造することができ、そのまま水素及び酸素と第1の実施形態の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得る工程を進めることができるため、好ましい。
臭素成分の使用量は、反応媒体中0.01mM〜10mMであることが好ましく、0.02mM〜5mMであることがより好ましく、0.02mM〜1mMであることがさらに好ましい。
本発明の過酸化水素の製造方法においては、過酸化水素の分解抑制のために従来使用されている、臭素以外のハロゲン又はハロゲンイオン(例えば、塩素又は塩素イオン)を使用してもよい。
本発明の過酸化水素の製造方法は、通常液相である反応媒体中で実施される。反応媒体は、水素と酸素の反応を阻害しないものであれば特に制限なく使用することができる。このような反応媒体は当業者に周知である。
前記反応媒体の例としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、水及びアルコールが好ましい。さらに水溶解度が0.1g/L以下のヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素溶剤、パーフルオロカーボン構造を持つフッ素系液体を補助溶媒として用いてもよい。
さらに、これらの反応媒体は、pH調整、安定剤効果又はガス溶解性向上などのために添加物を含有していてもよく、例えばリン酸、硫酸等の酸や、フッ素系不活性液体などを含有していてもよい。反応媒体がこれらの添加物を含有する場合には、反応媒体の重量は、添加物を含めた重量とする。
これらの反応媒体は、ラジカル補足剤を含有していてもよい。ラジカル補足剤としては、ラジカル補足機能を有する限りいずれのものでもよいが、例えば、二酸化炭素や、特開2014−15353号公報に例示されるようなニトロン化合物、ニトロソ化合物、ジチオカルバメート誘導体及びアスコルビン酸誘導体が挙げられる。これらのラジカル捕捉剤は、塩の形態であってもよく、また水和物が可能である場合には、その形態であってもよい。前記塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などが挙げられる。
本発明においては、反応媒体中、導入された水素及び酸素と、上記第1の実施形態の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得る。
この反応は圧力を高く設定することによって、水中に溶存できる水素濃度および酸素濃度を増加でき、過酸化水素の収率を高めることができるため、通常耐圧性のあるオートクレーブなどの反応装置を使用して実施される。
前記反応装置は撹拌槽型、気泡塔型、固定床型、マイクロリアクターなど、いずれの型式も使用可能であり、また反応は回分式でも連続式でも行うことができる。前記反応装置はガス導入部及びガス放出部を備え、さらに通常、温度計及び圧力計などを備えている。
また、本発明の反応においては腐食性のハロゲンが使用されることもあるので、反応装置としてはテフロン(登録商標)ライニングのステンレス鋼、インコネル又はハステロイで形成されたものが好適に使用される。ステンレス鋼や、グラスライニングで形成された反応装置を使用してもよい。
本発明において過酸化水素合成時の水素と酸素の反応温度は、0〜100℃が好ましく、特に5〜50℃の範囲が好ましい。反応の圧力は、0.1MPa以上であり、好ましくは0.1MPa〜10MPaであり、より好ましくは0.5MPa〜5MPaであり、さらに好ましくは1MPa〜2MPaである。また、反応時間は通常0.01〜100時間であり、好ましくは0.5〜50時間である。
本発明の過酸化水素の製造方法は、
臭素成分を含む反応媒体中に水素及び酸素を含む気体を、導入される気体中の酸素分圧20%以上で導入することと、
反応媒体中、導入された酸素と、上記の貴金属触媒前駆体とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて貴金属触媒を得ることと、
反応媒体中、導入された水素及び酸素と、上記工程により得られた貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得ることとを含む、過酸化水素の製造方法の態様を包含する。この態様によれば、反応系において上記第1の実施形態の貴金属触媒を用時調製的に製造することができ、そのまま貴金属触媒が存在する条件において次の過酸化水素を得る工程を進めることができるため、好ましい。この態様において、臭素成分の量、酸素分圧、反応圧力等の反応条件は、上記定義のとおりである。
本発明の過酸化水素の製造方法において、貴金属触媒は、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比が、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.3以上である。また、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比は、0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましい。ここの低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比は、過酸化水素の製造方法の過程において一定の値を保つことが好ましく、水素と酸素の直接反応開始から反応終了までの間の変化量がΔ0.5以下であることが好ましく、Δ0.3以下であることがより好ましく、Δ0.25以下であることがより好ましい。水素と酸素の直接反応開始から反応終了までの間、貴金属触媒の最表面にこの特定量の臭素が存在することにより、高濃度の過酸化水素を製造することができる。
本発明の過酸化水素の製造方法において、貴金属触媒は、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の比が、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.7以上である。また、低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の比は、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。酸素原子がこの量で貴金属触媒の最表面に存在することにより、パラジウムが酸化状態となり、結果として臭素原子が貴金属触媒の最表面に存在しやすくなっていることが考えられる。この低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の検出量の比は、過酸化水素の製造方法の過程において変化しないこと又は微増することが好ましく、1時間当たり0〜0.25の変化量で増加していくことがより好ましく、1時間当たりΔ0〜0.1の変化量で増加していくことがより好ましく、1時間当たりΔ0〜0.05の変化量で増加していくことが好ましい。水素と酸素の直接反応開始から反応終了までの間、貴金属触媒最表面の酸素原子の量が変化しないこと又は微増することにより、反応後期においても過酸化水素の分解抑制が維持され、高濃度の過酸化水素を製造することができる。反応媒体に臭素成分を過剰に添加することにより類似の効果は得られるが、貴金属触媒の表面を酸化状態にすることで、効率よく臭素原子の吸着量を維持することができると考えられる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)担体担持貴金属触媒の製造
エタノールと水の混合溶媒200ml(水:エタノール=1:1)にシュウ酸2gを加え攪拌した。そこに堺化学製チタニア(ルチル型酸化チタン(IV))10g、HAuCl 0.05gおよびPdCl 0.12gを加え、リービッヒ冷却器を用いながら80℃で1時間還流した。
1時間後、懸濁溶液を300mlビーカーに移し、加熱して溶媒を除去した。その後得られた固体を85℃乾燥機で1日間乾燥させ、担体担持貴金属触媒前駆体(Pd−Au/TiO)を得た。
次に、攪拌装置およびガス吹き込み管を備えたテフロン(登録商標)で内張りした270mlのオートクレーブに、上記で製造した担体担持貴金属触媒前駆体(Pd−Au/TiO)1.125g、反応溶液270ml(0.5mMりん酸及び0.05mM臭化ナトリウム含有、反応媒体は水である)を加えた。
オートクレーブ内温度を25℃に調整しながら、ガスを250ml/min(水素10%、酸素80%、窒素10%)の速度でオートクレーブに吹き込みながら(気体中の酸素分圧80%)、圧力を1Mパスカルに調整し、回転数1000rpmで攪拌しながら反応させ、貴金属触媒を製造した。この反応の過程で、過酸化水素も製造された。反応溶液に貴金属触媒前駆体を導入後一定時間毎に、貴金属触媒を反応溶液から取り出し、各反応時間における貴金属触媒の表面を低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定した。なお、表1中において反応時間0時間とは、反応溶液に貴金属触媒前駆体を導入後直ぐに貴金属触媒を取り出した状態をいう。
(貴金属触媒の表面分析)
貴金属触媒の表面分析は以下のようにして行った。
低エネルギーイオン散乱分光装置(LEIS)Qtac100(ION−TOF社製)により、2KeV〜5KeVのヘリウムイオン又はネオンイオンビーム照射の条件下で、貴金属触媒表面の元素分析を行った。得られたエネルギースペクトラムにおいて各元素を同定した。各元素の検出量(積分値)を算出し、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比(Br/Pd)、及びパラジウムに対する酸素原子の検出量の比(O/Pd)を求めた。これら検出量の比を表1に示す。
(実施例2)
実施例1のガスの組成を水素10%、酸素18%、窒素72%のガス組成(気体中の酸素分圧18%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、貴金属触媒を製造し、各反応時間における貴金属触媒の表面を低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定した。結果を表1に示す。反応の過程で、過酸化水素も製造された。
Figure 2018016359
表1に示した結果から明らかなとおり、貴金属触媒の最表面に酸素原子及び臭素原子が存在することが確認された。なお、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比が0.10以上であり、かつパラジウムに対する酸素原子の比が1.5以上である場合、反応においてより高濃度の過酸化水素が製造された。
(実施例3)
(1)担体担持貴金属触媒前駆体の製造
エタノールと水の混合溶媒200ml(水:エタノール=1:1)にシュウ酸2gを加え攪拌した。そこに堺化学製チタニア(ルチル型酸化チタン(IV))10g、HAuCl 0.05gおよびPdCl 0.12gを加え、リービッヒ冷却器を用いながら80℃で1時間還流した。
1時間後、懸濁溶液を300mlビーカーに移し、加熱して溶媒を除去した。その後得られた固体を85℃乾燥機で1日間乾燥させ、担体担持貴金属触媒前駆体(Pd−Au/TiO)を得た。
(2)過酸化水素の製造
実験においては、攪拌装置およびガス吹き込み管を備えたテフロン(登録商標)で内張りした270mlのオートクレーブに、上記で製造した担体担持貴金属触媒前駆体(Pd−Au/TiO)1.125g、反応溶液270ml(0.5mMりん酸及び0.05mM臭化ナトリウム含有、反応媒体は水である)を加えた。
オートクレーブ内温度を25℃に調整しながら、ガスを250ml/min(水素10%、酸素25%、窒素64%、二酸化炭素1%)の速度でオートクレーブに吹き込みながら(気体中の酸素分圧25%)、圧力を1Mパスカルに調整し、回転数1000rpmで攪拌しながら反応させた。反応溶液に貴金属触媒前駆体を導入後一定時間毎に、過酸化水素濃度を過酸化水素自動滴定装置(機器名:HP−300、製造会社:平沼産業、よう素電量滴定法を用いる測定方式)を用いて定量し、過酸化水素濃度が低下し始めたのを確認してから、反応を終了させた。過酸化水素濃度のピークは、反応開始30時間後に見られ、6.0wt%であった。結果を表2に示す。
上記の過酸化水素製造の過程で、担体担持貴金属触媒も製造された。
(実施例4)
実施例3のガスの組成を水素10%、酸素30%、窒素59%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧30%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始45時間後に見られ、7.7wt%であった。
(実施例5)
実施例3のガスの組成を水素10%、酸素50%、窒素39%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧50%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始30〜40時間後に見られ、9.0wt%であった。
(実施例6)
実施例3のガスの組成を水素10%、酸素70%、窒素19%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧70%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始40時間後に見られ、11.0wt%であった。
(実施例7)
実施例3のガスの組成を水素10%、酸素89%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧89%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始45時間後に見られ、11.5wt%であった。
(比較例1)
実施例3のガスの組成を水素10%、酸素19.2%、窒素69.8%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧19.2%)に変更した以外は、実施例3と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始25時間後に見られ、4.7wt%であった。
(実施例8)
(1)ナノコロイド貴金属触媒前駆体の製造
ポリビニルピロリドン(PVP)を分散剤としてPdClとHAuClをシュウ酸により還元し、ナノコロイド貴金属触媒前駆体(Pd−Auナノコロイド)を調製した。
(2)過酸化水素の製造
実験においては、攪拌装置およびガス吹き込み管を備えたテフロン(登録商標)で内張りした270mlのオートクレーブに、上記で製造したナノコロイド貴金属触媒前駆体(Pd−Auナノコロイド)74.52mg、反応溶液130ml(0.5mMりん酸及び2.0mM臭化ナトリウム含有、反応媒体は水及びエタノールである)を加えた。
オートクレーブ内温度を20℃に調整しながら、ガスを600ml/min(水素10%、酸素30%、窒素60%)の速度でオートクレーブに吹き込みながら(気体中の酸素分圧30%)、圧力を1Mパスカルに調整し、回転数1000rpmで攪拌しながら反応させた。反応溶液に貴金属触媒前駆体を導入後一定時間毎に、過酸化水素濃度を過酸化水素自動滴定装置(機器名:HP−300、製造会社:平沼産業、よう素電量滴定法を用いる測定方式)を用いて定量し、過酸化水素濃度が低下し始めたのを確認してから、反応を終了させた。過酸化水素濃度のピークは、反応開始8時間後に見られ、7.0wt%であった。結果を表3に示す。
(実施例9)
実施例8のガスの組成を水素10%、酸素60%、窒素29%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧60%)に変更した以外は、実施例8と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始8時間後に見られ、8.0wt%であった。
(実施例10)
実施例8のガスの組成を水素10%、酸素80%、窒素9%、二酸化炭素1%のガス組成(気体中の酸素分圧80%)に変更した以外は、実施例8と同様にして、過酸化水素を製造した。過酸化水素濃度のピークは、反応開始14時間後に見られ、10.0wt%であった。
Figure 2018016359
Figure 2018016359
表2及び表3に示した結果から明らかなとおり、本発明の過酸化水素の製造方法は、高濃度の過酸化水素を製造することができる。また、過酸化水素の製造方法において導入する気体中の酸素分圧を制御することにより、本発明の貴金属触媒を得ることができると同時に、本発明の貴金属触媒が存在する条件下で過酸化水素の製造を行うことができ、高濃度の過酸化水素が得られることがわかった。

Claims (6)

  1. 水素と酸素を直接反応させて過酸化水素を得る方法に用いる貴金属触媒であって、
    パラジウムと金と酸素原子と臭素原子とを含み、前記酸素原子及び臭素原子は貴金属触媒の最表面に存在する、貴金属触媒。
  2. 低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する臭素原子の検出量の比が0.10以上である、請求項1に記載の貴金属触媒。
  3. 低エネルギーイオン散乱(LEIS)分析により測定される、パラジウムに対する酸素原子の比が1.5以上である、請求項1又は2に記載の貴金属触媒。
  4. 反応媒体中に水素及び酸素を含む気体を導入することと、
    反応媒体中、導入された水素及び酸素と、請求項1〜3のいずれかに記載の貴金属触媒とを0.1MPa以上の圧力下で接触させて過酸化水素を得ることとを含む、過酸化水素の製造方法。
  5. 導入される気体中の酸素分圧が20%以上である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 反応媒体が臭素成分を含む、請求項4又は5に記載の過酸化水素の製造方法。
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