JP2014108903A - 過酸化水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、アントラキノン法による過酸化水素製造において配管内やフィルターでアントラヒドロキノン類を析出させることなく、フタル酸等の不純物の少ない過酸化水素を安全、かつ長期間安定的に製造する方法に関する。
【解決手段】
反応媒体としてアントラキノン類を含む作動溶液を、交互に還元・酸化することにより過酸化水素を製造する方法において、作動溶液中のアントラキノン類として、 アルキル置換基を有するアントラキノンとアルキル置換基を有するテトラヒドロアントラキノンのモル比が2:1〜10:1である混合物を用い、還元工程において、該作動溶液中の全アントラキノン類に占めるアルキル置換アントラキノンとアルキル置換テトラアントラヒドロアントラキノンの割合が、0.5〜10モル%であり、得られた過酸化水素中のフタル酸類の濃度を0.4mg/H−kg以下にできる。
【選択図】なし

Description

本発明は、作動溶液に含まれるアントラキノン類(以下、「アントラキノン及び/又はテトラヒドロアントラキノン」を指す)を用い還元反応と酸化反応を繰り返し行うことにより、連続的に過酸化水素を製造する改良された方法に関する。更に詳しくは、アントラキノン類としてエチルアントラキノンおよびエチルテトラヒドロアントラキノンを特定量用いることを特徴とする過酸化水素の製造方法に関する。
工業的過酸化水素の製造方法としてアントラキノン法が知られている。この方法では、アントラキノン類を有機溶媒に溶解して作動溶液を得、アントラキノン類を水素化触媒の存在下で水素により還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる。次いで、酸化工程においてアントラヒドロキノン類をアントラキノン類に戻すことにより 過酸化水素を製造している。作動溶液中の過酸化水素は、水抽出等の方法により作動溶液から分離される。過酸化水素が抽出された作動溶液は、再び水素化工程に戻され、循環プロセスを形成する。
この水素化工程はアントラキノン法において最も重要な工程であり、その特徴は 反応媒体にアントラキノン類(以下、アルキル基を有するアントラキノン及びアルキル基を有しないアントラキノンの両方を指す場合がある)、またはテトラヒドロアントラキノン類(以下、アルキル基を有するテトラヒドロアントラキノン及びアルキル基を有しないテトラヒドロアントラキノンの両方を指す場合がある)、あるいはその両方を使用することによって大別できる。
特許文献1には、効率よく経済的に過酸化水素を製造する方法として、反応媒体としてアントラキノン、またはテトラヒドロアントラキノンを使用し、還元工程において、作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの全量およびアントラキノンの一部または全量を還元し、還元工程後の作動溶液中のアントラヒドロキノンの含有量をテトラヒドロアントラヒドロキノンの含有量よりも多く保つ過酸化水素の製造方法が開示している。即ち、酸化反応が容易に進行するアントラヒドロキノンを酸化反応速度の遅いテトラヒドロアントラヒドロキノンよりも多く用いることにより、一回の酸化還元反応当たりの過酸化水素の収得量を高く維持する方法を提案している。また、特許文献1には2種類以上のアントラキノン類を使用する事例も紹介されている。
また、特許文献2および特許文献3には、主にテトラヒドロアントラキノンを反応媒体として使用する事例が紹介されている。
さらに特許文献4には、作動溶液中のアントラキノン類として、アルキル基を有するアントラキノンとアルキル基を有するテトラヒドロアントラキノンのモル比が2:1〜8:1である混合物を用い、還元反応工程において、作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの全量およびアントラキノンの一部を還元し、還元工程後の作動溶液中のアントラヒドロキノンの含有量をテトラヒドロアントラヒドロキノンの含有量よりも多く保つ過酸化水素の製造方法において、エチルアントラキノン類(エチルアントラキノンとエチルテトラヒドロアントラキノン)の割合が全アントラキノン類中の10〜45モル%にすることによって不純物含量の少ない過酸化水素を得る方法が開示されている。
:特開平6−191803号公報 :特開2001−163608号公報 :特表2002−511377号公報 :特開2008−19136号公報
特許文献1において使用が好ましいとされるアミルアントラキノンを用いた場合、水素化工程における反応速度が遅くなることがある。つまり水素化工程において遅い反応速度を補うため大きな反応器が必要となり設備負担が大きくなる。別の解決法として遅い反応速度を補うために触媒量を多くすることも可能であるが、触媒量を多くすることによって触媒からの金属類の溶出量も増加するおそれがある。触媒から溶出する金属は使用している金属、例えばパラジウム、白金、ニッケルが挙げられ、これらは酸化工程で生成する過酸化水素の分解を引き起こすだけではなく、製造される過酸化水素中にも不純物として溶出して含有される恐れがある。
特許文献2と3は、反応媒体にテトラヒドロアントラキノン類を主に使用した場合の問題として、テトラヒドロアントラキノン類由来の分解生成物が多く生成することがある。これら分解物(フタル酸類)は製品である過酸化水素中の不純物として混在することになり問題である。これら不純物は工業的にあらゆる方法で分離することが可能であるが、例えば蒸留、又は吸着除去など装置が大きくなり設備費の負担が大きくなる。したがってこれら不純物の除去を行う際に過酸化水素自体のロス、または分解がおこり生産量の低下やコストの上昇が余儀なくされる。
つまり特許文献1記載の方法では金属などの無機系の不純物が、特許文献2および特許文献3記載の方法では 有機系の不純物が製品の過酸化水素に混入するという課題を有している。
特許文献4は、アントラヒドロキノン類およびテトラヒドロアントラヒドロキノン類のある特定の含有量の場合、配管内やフィルターでアントラヒドロキノン類が析出し、製造運転を停止せざる得なくなる場合があり、改善が求められていた。
本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決し、アントラキノン法による過酸化水素製造において配管内やフィルターでアントラヒドロキノン類を析出させることなく、不純物の少ない過酸化水素を安全、かつ長期間安定的に製造する方法に関するものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、反応媒体としてアントラキノン類を含む作動溶液を、還元反応と酸化反応を交互に行うことにより過酸化水素を製造する方法において、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、作動溶液中のアントラキノン類として、 アルキル基を 有するアントラキノンとアルキル基を有するテトラヒドロアントラキノン(以下それぞれを単に置換基名をつけたアントラキノン、テトラヒドロアントラキノンと称す)のモル比が2:1〜10:1である混合物を用い、還元工程において、作動溶液中の テトラヒドロアントラキノンの全量およびアントラキノンの一部を還元し、還元工程後の作動溶液中のアントラヒドロキノンの含有量をテトラヒドロアントラヒドロキノンの含有量よりも多く保つ過酸化水素の製造において、エチルアントラキノン類(エチルアントラキノンとエチルテトラヒドロアントラキノンの両方)の割合が全アントラキノン類中の0.5〜10モル%にすることによって配管内やフィルターでアントラヒドロキノン類を析出させることなく、不純物であるフタル酸類が0.4mg/H−kg以下である過酸化水素を安全、かつ長期間安定的に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の方法によれば、アントラキノン法による過酸化水素製造において配管内やフィルターでアントラヒドロキノン類を析出させることなく、不純物の少ない過酸化水素を安全に製造することができる。
アミルアントラキノンとエチルアントラキノンの混合物の溶解度を示す。
以下に、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施をすることができる。
本発明の一実施態様は、反応媒体としてアントラキノン類を含む作動溶液を、還元反応と酸化反応を交互に行う工程を有し、作動溶液中のアントラキノン類として、 アルキル基を有するアントラキノンとアルキル基を有するテトラヒドロアントラキノンを使用することである。
エチルアントラキノンが水素化されたエチルアントラヒドロキノンは、溶剤に対する溶解度が低いことが一般的に知られている。そこでエチルアントラキノンよりも 溶解性が良好なエチルテトラヒドロアントラキノンの比率を上げることで対処することができるが、水素化されたエチルテトラヒドロアントラヒドロキノンは、酸化速度がエチルアントラヒドロキノンよりも遅い上、テトラヒドロアントラキノン類由来の分解生成物(フタル酸類)が多く生成してしまう。そこで安全性および経済性を考慮した上で、すなわち配管やフィルターでのヒドロキノン析出を防止しながら安全に、かつ長期間安定的に商業生産できるように過酸化水素を製造するために好ましい組成が選択される。本発明で用いられる作動溶液中のアントラキノン類とテトラヒドロアントラキノン類のモル比率は 2:1〜10:1であり、さらに好ましくは3:1〜9:1、特に好ましくは4:1〜9:1である。
そして還元工程において作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの全量およびアントラキノンの一部または全量を還元するが、その際アルキル基を有するアントラヒドロキノンの含有量を、アルキル基を有するテトラヒドロアントラヒドロキノンの含有量よりも多く保つようにする。
全アントラキノン類中のエチルアントラキノン類の割合は0.5〜10モル%になるように調整される。好ましくは0.6〜9モル%であり、特に好ましくは0.7〜9モル%である。なお、作動溶液中のアントラキノン類の濃度は、その密度に制限される。すなわち作動溶液中のアントラキノン類の濃度が上がるとそれに伴い密度も増加する。一般的に生成した過酸化水素は水を用いて作動溶液から抽出される。そのため作動溶液の密度が増加すると水との密度差がなくなり安定的に運転することが困難になる。したがって作動溶液中のアントラキノン類の濃度は、プラントが安定的に運転できる範囲で選択される。
本発明においては、テトラヒドロアントラキノン類とアントラキノン類の両方を 反応媒体として還元し、作動溶液中に異種のヒドロキノン類を混合状態とすることでヒドロキノン類の溶解度を高め、その結果作動溶液の一回の酸化還元反応あたりの過酸化水素の収量を高く維持することが可能となる。また、本発明においては、過酸化水素製造のための反応媒体として酸化反応が容易に進行するアントラヒドロキノンを、酸化反応速度の遅いテトラヒドロアントラキノン類よりも多く用いることにより、アントラキノン類の析出を抑え、さらに酸化工程でのエネルギー消費量を低く抑えることが可能となる。また、本発明においては、反応媒体として使用しているテトラヒドロアントラキノン類の量が、還元工程における水素化されたヒドロキノン類の量より低く制限され、製造された過酸化水素中へのテトラヒドロアントラキノン類由来の分解物(フタル酸類)の混入を低減することが可能となる。
本発明で使用されるアントラキノン類としては、エチルアントラキノン類(以下、エチルアントラキノンとエチルテトラヒドロアントラキノンの両方を指す)であり、その他のアントラキノン類としては、特に溶解度の高いアミルアントラキノン類(以下、アミルアントラキノンとアミルテトラヒドロアントラキノンの両方を指す)を用いることが好ましい。
ターシャリーブチルアントラキノンや置換基のないアントラキノンなども少量の 混合物を使用することもできる。
エチルアントラキノン類を反応媒体に用いることによって、水素化工程での反応 速度が速くなり、主にアミルアントラキノン類を反応媒体として用いる場合と比較 して、使用する触媒量を減らすことができ、結果的に製品である過酸化水素中への 金属の溶出を低減することができる。しかし、エチルアントラキノン類は反応速度が早い一方で、アミルアントラキノン類に比較して反応媒体の溶剤に対する溶解度が 低い。図1にアミルアントラキノンとエチルアントラキノンの混合物の溶解度を示す。この問題はアミルアントラキノンとエチルアントラキノンの共融混合物とすることで解決することができる。しかしながら、商業規模で過酸化水素を製造する場合には、これらの反応媒体が水素化されたアントラヒドロキノン類の溶剤に対する溶解度も考慮しなければならない。
本発明では、反応媒体として酸化が容易に進行するアントラヒドロキノンを主体的に利用するため、酸化工程での反応温度が50℃以下にすることが安全性の点からも好ましい。好ましくは20〜50℃であり、より好ましくは30〜48℃の反応温度である。温度が50℃を超える場合は、使用している溶媒によっては引火点に近く爆発の危険性が高くなる。また反応温度が高温になり、酸化反応でテトラヒドロアントラキノンエポキシド類に代表される酸化物の生成が促進され、好ましくない。これらの酸化物は作動溶液中に蓄積されるのはもちろんのこと、製造される過酸化水素中へ 酸化物等の不純物も増加し好ましくない。酸化工程の圧力範囲は特に限定されないが、0.01〜1.0MPaの領域で行うことが好ましい。常識的に考えても反応装置・コンプレッサーの負荷を考慮すると、より低圧で行う方が経済的である。酸化工程の反応装置に関しても特に限定されるものではなく、化学工学便覧等に記載された通常の酸化塔が使用できる。例えば、向流酸化・並流酸化などに関しても特に限定されず、それぞれ技術的な特徴を生かし採用することができる。
本発明において作動溶液を調製するために用いられる溶媒は、キノン溶剤である 芳香族炭化水素と、ヒドロキノン溶剤である高級アルコール、アルキルリン酸塩、 四置換尿素、シクロヘキサノールのカルボン酸エステル、および環状尿素からなる群より選ばれる一種以上を含むことが好ましい。本発明における還元工程の操作条件は特に制限されるものではないが、一般にパラジウム触媒、白金触媒、ニッケル触媒等の触媒の存在下、10〜80℃の温度範囲、0.01〜1.0MPaの圧力範囲にて水素または水素含有ガスを用いて還元する方法を好ましく採用することができる。反応装置の形式としては、固定床式反応装置、流動床式反応装置または攪拌式反応装置等を制限なく採用することができる。
以下に実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
水素化触媒の水素化選択性の評価は、作動溶液が還元工程、酸化工程及び抽出工程を循環して過酸化水素を生成する循環装置を用いて行った。以下にその評価試験の 実施法を説明する。上記の循環装置の還元工程の水素化反応器に試験する触媒150重量部(パラジウム担持量1重量%、担体はシリカ、またはシリカアルミナを使用した)を投入し、連続的にアントラキノン類の水素化を行い、過酸化水素を製造した水素化触媒にはプラントで長年使用された触媒を用いた。水素化反応器内の作動溶液は約4リットルに保たれ、0.25リットル/分で供給した。水素は反応器内へ焼結金属フィルターを通じて所定量が供給した。アントラキノン類が水素化された作動溶液は、キャンドルフィルターを通して触媒から分離されて水素化反応器から0.25リットル/分で抜き出した。攪拌は傾斜したタービン翼で行い、反応器内壁に取り付けたバッフルによって十分な混合が得られるようにした。水素化反応の反応温度は40℃とした。作動溶液は酸化工程・抽出工程を経た後、反応器への供給タンクに戻した。
作動溶液は長年使用したものであり、その組成には分析不能な経年劣化物を含む。キノン類の溶剤には1,2,4-トリメチルベンゼンを、ヒドロキノン類の溶剤にはジイソブチルカルビノールを用いた。
この循環装置を用いて作動溶液の循環運転を約200時間行い、水素化反応器の ガス部の水素分圧、及び運転後のキャンドルフィルターのヒドロキノン析出の有無を観察した。また、得られた過酸化水素中のフタル酸量も測定した。因みに、フタル酸はテトラヒドロアントラキノン類の経年分解物であり、これが製品の過酸化水素中に不純物として混入して来る。

作動溶液中のアントラキノン類
アミルアントアキノン=482mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=106mmol/L
エチルアントラキノン=5mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=0mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、4.6:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラヒドロアントラキノンの合計は0.8モル%であった。
循環運転中の水素分圧は46kPa程度で安定しており、200時間の連続運転終了後のキャンドルフィルターに析出物は見られなかった。過酸化水素中のフタル酸類の濃度(エチルフタル酸+アミルフタル酸)=0.2mg/H−kgであった。
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

作動溶液中のアントラキノン類
アミルアントアキノン=412mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=196mmol/L
エチルアントラキノン=8mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=4mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、2.1:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は2.0モル%であった。
循環運転中の水素分圧は44kPa程度で安定しており、200時間の連続運転終了後のキャンドルフィルターに析出物は見られなかった。過酸化水素中のフタル酸類の濃度(エチルフタル酸+アミルフタル酸)=0.3mg/H−kgであった。
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

アミルアントアキノン=485mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=87mmol/L
エチルアントラキノン=41mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=7mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、5.6:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は7.8モル%であった。循環運転中の水素分圧は42kPa程度で安定しており、200時間の連続運転終了後のキャンドルフィルターに析出物は見られなかった。過酸化水素中のフタル酸類の濃度(エチルフタル酸+アミルフタル酸)=0.1mg/H−kgであった。
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

アミルアントアキノン=464mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=61mmol/L
エチルアントラキノン=30mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=4mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、7.6:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は6.0モル%であった。
循環運転中の水素分圧は44kPa程度で安定しており、運転終了後のキャンドルフィルターに析出物は見られなかった。過酸化水素中のフタル酸類(エチルフタル酸+アミルフタル酸)は検出されなかった。
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

アミルアントアキノン=509mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=109mmol/L
エチルアントラキノン=50mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=10mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、4.6:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は8.8モル%であった。
循環運転中の水素分圧は41kPa程度で安定しており、運転終了後のキャンドルフィルターの表面には極薄く析出物が見られたが、直ぐに消えてしまった。過酸化水素中のフタル酸類の濃度(エチルフタル酸+アミルフタル酸)=0.2mg/H−kgであった。
「比較例1」
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

アミルアントアキノン=251mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=209mmol/L
エチルアントラキノン=3mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=0mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、1.2:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は0.6モル%であった。
循環運転中の水素分圧は54kPa程度で安定しており、運転終了後のキャンドルフィルターに析出物は見られなかった。過酸化水素中のフタル酸類の濃度(エチルフタル酸+アミルフタル酸)=0.5mg/H−kgであった。
「比較例2」
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

アミルアントアキノン=564mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=59mmol/L
エチルアントラキノン=1mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=0mmol/L

アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、9.6:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は0.2モル%であった。
循環運転中の水素分圧は循環開始直後より徐々に増加し、120時間後に61kPaになり、その後も安定することなく運転停止前には92kPaまで上昇した。運転終了後のキャンドルフィルターに析出物は見られなかった。過酸化水素中のフタル酸類(エチルフタル酸+アミルフタル酸)は検出されなかった。
実施例1から5及び比較例1と2の結果より、作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの割合が増えるにしたがって過酸化水素中のフタル酸類の濃度は上昇した。
また、比較例2の結果より、アミルアントラキノン類を反応媒体として用いる場合、水素分圧を安定化させることはできなかった。
「比較例3」
実施例1と同様な装置を用いて、作動溶液を下記組成のものを用いたほかは実施例1と同じ条件で実施した。抽出する過酸化水素濃度は同じになるように調整して、抽出時の影響が無視できるようにした。

アミルアントアキノン=502mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン=107mmol/L
エチルアントラキノン=92mmol/L
エチルテトラヒドロアントラキノン=16mmol/L
アミルテトラヒドロアントラキノン及びエチルテトラヒドロアントラキノンの合計と、アミルアントラキノン及びエチルアントラキノンの合計とのモル比は、4.8:1.0であった。全アントラキノン類に占めるエチルアントラキノンとエチルテトラアントラヒドロアントラキノンの合計は15.1モル%であった。
循環運転中の水素分圧は最初42kPa程度で安定していたが、運転120時間 あたりから急上昇した。これにあわせてキャンドルフィルターの差圧も急上昇し、 運転を停止した。運転終了後にキャンドルフィルターを観察したところ暗緑色の析出物が見られた。
Et比率
=〔エチルアントラキノン(mol/L)+エチルテトラヒドロアントラキノン
(mol/L)〕/〔エチルアントラキノン(mol/L)+エチルテトラ
ヒドロアントラキノン(mol/L)+アミルアントラキノン(mol/L)
+アミルテトラヒドロアントラキノン(mol/L)〕×100
EAQ;エチルアントラキノン
ETH;エチルテトラヒドロアントラキノン
AAQ;アミルアントラキノン
ATH;アミルテトラヒドロアントラキノン
AQ/TH
=(エチルアントラキノン+アミルアントラキノン)/(エチルテトラヒドロ
アントラキノン+アミルテトラヒドロアントラキノン)
本発明のアントラキノン法による過酸化水素製造を用いることにより配管内やフィルターでアントラヒドロキノン類を析出させることなく、不純物の少ない過酸化水素を安全に製造することができる。

Claims (5)

  1. 反応媒体としてアントラキノン類を含む作動溶液を用い、還元反応と酸化反応を交互に行うことにより過酸化水素を製造する方法において、作動溶液中のアントラキノン類として、アルキル基を有するアントラキノンとアルキル基を有するテトラヒドロアントラキノンのモル比が2:1〜10:1である混合物を用い、還元工程において、該作動溶液中の全アントラキノン類に占めるアルキル基を有するアントラキノンとアルキル基を有するテトラヒドロアントラキノンの割合が、0.5〜10モル%であり、得られた過酸化水素中のフタル酸類の濃度が0.4mg/H−kg以下であることを特徴とする過酸化水素の製造方法。
  2. アルキル基を有するアントラキノンがエチルアントラキノンおよびアミルアントラキノンであり、アルキル基を有するテトラヒドロアントラキノンがエチルテトラヒドロアントラキノンおよびアミルテトラヒドロアントラキノンであることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素の製造方法。
  3. 酸化工程における反応温度が50℃以下である請求項1または2に記載の過酸化水素の製造方法。
  4. 作動溶液中に、アルキル基を有するアントラキノン類の溶剤として芳香族炭化水素と、アルキル基を有するテトラヒドロアントラキノン類の溶剤として高級アルコール、アルキルリン酸塩、四置換尿素、シクロヘキサノールのカルボン酸エステル、および環状尿素からなる群より選ばれる一種以上を含む請求項1から3の何れか1項に記載の過酸化水素の製造方法。
  5. アルキル基を有するアントラキノンとアルキル基を有するテトラヒドロアントラキノンの合計量が全アントラキノン類の2〜8モル%の割合で用いる請求項1から4の何れか1項に記載の過酸化水素の製造方法。
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