JP2018135230A - アントラキノン法による過酸化水素製造方法及び製造システム - Google Patents

アントラキノン法による過酸化水素製造方法及び製造システム Download PDF

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英俊 池田
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耕平 茂田
倫太朗 松本
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    • C01B15/01Hydrogen peroxide
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    • C01B15/023Preparation from organic compounds by the alkyl-anthraquinone process

Abstract

【課題】安全性の高いアントラキノン法による過酸化水素の製造方法及び製造システムを提供する。【解決手段】(A)アントラキノン類と溶媒とを含む作動溶液においてアントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる水素化工程、(B)工程(A)からのアントラヒドロキノン類を、アントラキノン類に転化し、過酸化水素を生成させる酸化工程、(C)工程(B)からの過酸化水素を作動溶液から分離する抽出工程、(D)工程(C)からの過酸化水素を精製、濃縮する仕上げ工程、(E)工程(C)からの作動溶液の少なくとも一部を工程(A)に戻す循環工程、を含む過酸化水素の製造方法であって、(F)工程(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部を抜出し液として酸化塔下部から抜き出し、抜出し液を作動溶液と過酸化水素とに分離し、分離された作動溶液を工程(B)へ送る工程を更に含むことを特徴とする過酸化水素の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、アントラキノン法による過酸化水素製造方法及び製造システムに関し、特に過酸化水素製造プロセスの安全管理手法に関する。
過酸化水素は、酸化力を有し強力な漂白・殺菌作用を持つことから、紙、パルプ、繊維等の漂白剤、殺菌剤として利用されており、また、エポキシ化及びヒドロキシル化をはじめとする酸化反応に広範囲に用いられる重要な工業製品である。
従来、過酸化水素の製造法としてはアントラキノン法、電解法、イソプロピルアルコールの酸化による方法などが知られており、工業的には主にアントラキノン法が採用されている。この方法においては、アントラキノンはしばしば反応キャリアーあるいは作動物質と称され、またアントラキノン−溶媒混合物は作動溶液と称される。還元の後、触媒が除去され、ハイドロキノンが酸素含有ガス(通常は空気)によりアントラキノンへと酸化されると同時に過酸化水素が生成する。過酸化水素は水で抽出され、精製され、所望の濃度まで濃縮される。アントラキノン作動溶液は水素化反応器へと戻され、循環利用される。アントラキノン法は、このように多段階からなるため、製造プラントの安全、安定的な商業運転には習熟を要する。
製造プラントの安全面での重要な注意事項は、酸化工程において反応生成した過酸化水素が作動溶液もしくは吹き込み空気中の水分と接触して高濃度の過酸化水素として酸化塔底部に溜まることであり、これは通常酸化ドレンと呼ばれている。この酸化ドレンは適切に管理しないと、作動溶液、空気中のゴミや触媒の微粉などと接触し、爆発する潜在的な危険を有している。
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アントラキノン法過酸化水素製造設備においての酸化塔下部には酸化ドレンと呼ばれる生成した過酸化水素が溜まりやすく、不純物等が混入した場合に過酸化水素が分解、爆発し重大な事故につながる恐れがあった。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸化塔底部に溜まる酸化ドレンを抜き出し、一定以下の温度に冷却管理し、任意選択的に安定剤を添加することにより酸化塔及び周辺での安全性を高める事が出来ることを見出した。更にこれまで酸化ドレンと共に廃棄されていた作動溶液、過酸化水素を分離し、製造工程に返送することで有効利用出来ることを見出した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] (A) 水素化反応器へ、アントラキノン類と溶媒とを含む作動溶液、水素化触媒、及び含水素ガスを供給し、アントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる水素化工程、
(B) 工程(A)からの作動溶液に含まれるアントラヒドロキノン類を、酸化塔においてアントラキノン類に転化し、過酸化水素を生成させる酸化工程、
(C) 工程(B)からの作動溶液に含まれる過酸化水素を作動溶液から分離する抽出工程、
(D) 工程(C)からの過酸化水素を精製、濃縮する仕上げ工程、
(E) 工程(C)からの作動溶液の少なくとも一部を工程(A)に戻す循環工程、
を含む過酸化水素の製造方法であって、
(F) 工程(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部、好ましくは循環流量の0.05%〜3%、を抜出し液として酸化塔下部から抜き出し、
抜出し液を作動溶液と過酸化水素とに分離し、
分離された作動溶液を工程(B)へ送る工程
を更に含み、
分離された過酸化水素を更に第一部分と第二部分(但し、第二部分は存在しなくてもよい)とに分離する任意選択的サブステップ、前記第一部分を工程(D)へ送る任意選択的サブステップ、前記第二部分を分解処理に送る任意選択的サブステップ

を含んでもよいことを特徴とする過酸化水素の製造方法。
[2] 工程(F)において、抜出し液を抜き出しから1分以内に40℃以下とする、[1]に記載の過酸化水素の製造方法。
[3] 工程(F)において、抜出し液に安定剤を添加する、[2]に記載の過酸化水素の製造方法。
[4] (A) アントラキノン類と溶媒とを含む作動溶液、水素化触媒、及び含水素ガスを供給し、アントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる水素化反応器、
(B) 水素化反応器からの作動溶液に含まれるアントラヒドロキノン類を、アントラキノン類に転化し、過酸化水素を生成させる酸化塔、
(C) 酸化塔からの作動溶液に含まれる過酸化水素を作動溶液から分離する抽出装置、
(D) 抽出装置からの過酸化水素を精製する精製装置及び濃縮する濃縮器、
(E) 抽出装置からの作動溶液の少なくとも一部を水素化反応器に戻す循環用導管、
を含む過酸化水素の製造システムであって、
(F) 酸化塔(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部、好ましくは循環流量の0.05%〜3%、を抜出し液として酸化塔下部から抜き出すための導管、
抜出し液を油水分離器に導くための導管、
抜出液を作動溶液と過酸化水素とに分離するための油水分離器、及び
分離された作動溶液を酸化塔(B)へ送るための導管
を更に含み、
任意選択的に、分離された過酸化水素の第一部分を精製装置及び/又は濃縮器へ送るための導管、分離された過酸化水素の第二部分を分解処理に送るための導管
を含んでもよいことを特徴とする過酸化水素の製造システム。
[5] 油水分離器内、又は酸化塔底部と油水分離器との間に、抜出し液を抜き出しから1分以内に40℃以下とする冷却装置を有する、[4]に記載の過酸化水素の製造システム。
[6] 抜出し液に安定剤を添加する安定剤タンクを有する、[4]又は[5]に記載の過酸化水素の製造システム。
本発明によれば、危険性の高い箇所を適切に管理することにより、安全にプラントを運転する事ができる。また、製造された過酸化水素、製造に用いる作動溶液を無駄なく利用することが可能となる。
実施態様1のシステムを示す図である。 実施態様2のシステムを示す図である。
<工程(A)>
工程(A)においては、水素化反応器へ、アントラキノン類と溶媒とを含む作動溶液、水素化触媒、及び含水素ガスを供給し、アントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる。
本発明の方法で使用される水素化反応器としては、一般的な気液固の触媒反応器、すなわち固定床形式、流動床形式、機械撹拌形式および気泡塔形式などの反応器を用いることができる。水素化反応器は一基であっても良く、二基以上が直列又は並列に繋げられていても良い。
本発明の方法で使用される作動溶液は少なくともアントラキノン類と溶媒とを含む。
本発明で用いるアントラキノン類は特に限定されないが、アルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンあるいはそれらの混合物が好ましい。アルキルアントラキノンとアルキルテトラヒドロアントラキノンは、各々が複数のアルキルアントラキノンあるいはアルキルテトラヒドラアントラキノンの混合物であってもよい。アントラキノン類をアルキルアンラキノンとアルキルテトラヒドロアントラキノンの混合物として用いる場合、その混合モル比は2:1〜50:1が好ましい。
アルキルアントラキノンとは、少なくとも一つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の脂肪族置換基により、1、2または3位が少なくとも一つ置換された9,10−アントラキノンを意味する。通常、これらのアルキル置換基は、9以下の炭素原子、好ましくは6以下の炭素原子を含む。このようなアルキルアントラキノンの具体例として、2−メチルアントラキノン、1,3−、2,3−、1,4−、若しくは2,7−ジメチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−sec−若しくは2−tert−ブチルアントラキノン、又は2−sec−若しくは2−tert−アミルアントラキノン等が挙げられる。作動溶液中のアルキルアントラキノン類の濃度は、プロセスの状況に応じて制御され、通常0.4〜1.0mol/lで用いられる。
本発明の作動溶液に用いられる溶媒は、アントラキノン類を溶解する非極性溶媒とアントラヒドロキノン類を溶解する極性溶媒の混合溶液が好ましい。非極性溶媒としては、少なくとも1個のアルキル基で置換された芳香族炭化水素、特に炭素原子8〜12個を含むアルキルベンゼンまたはその混合物である。極性溶媒としては、アルコール(例えば、ジイソブチルカルビノール、2−オクタノール)、四置換尿素、燐酸エステル、2−ピロリドンまたはアルキルシクロヘキシルアセテートである。好ましい溶媒の組み合わせとしては、芳香族炭化水素とアルコール、芳香族炭化水素とアルキルシクロヘキシルアセテート、芳香族炭化水素と燐酸エステル及び芳香族炭化水素と四置換尿素の組み合わせが挙げられる。
本発明に用いられる水素化触媒は、一般的に担体上に物理吸着または化学吸着した活性金属元素または活性金属元素の混合物を含有している。活性金属元素としては、通常ニッケル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、または白金から一種以上選ばれる。活性金属元素として少なくともパラジウムを含有することが好ましい。活性金属元素の含有量は、通常10重量%を超えず、好ましくは5重量%を超えず、より好ましくは3重量%を超えないものとする。担体は、通常の触媒担体であるシリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナマグネシア、マグネシア、シリカチタニア、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、活性炭若しくは有機ポリマー、またはそれらの混合物などが用いられる。なかでもシリカ、シリカアルミナ、アルミナマグネシアおよびγ−アルミナが好ましく、シリカおよびシリカアルミナが好ましい。
担体の粒子径、粒度分布および粒子形状は、特に制限はなく、水素化触媒を使用する反応器形状に応じて選ばれ、不定形、球状、円柱、三つ葉、四つ葉、およびリング等が例示される。例えば、機械攪拌式または懸濁気泡塔式の反応器用としては、通常、担体のメジアン径が1μm〜200μmであり、好ましくは20〜180μmであり、より好ましくは30〜150μmであり、その粒子形状は、不定形または球状が好ましい。固定床式または流動床式の水素化反応器用としては、メジアン径0.1〜10mm、好ましくは0.5〜3mmの球状粒子または破砕粒子であり、好ましくはペレットである。
使用される水素化触媒の量は、プロセスの状況に応じて適切な濃度範囲に制御され、通常5〜100g/lで用いられる。
作動溶液には、上記以外にトリオクチルアミンのような第三級アミン化合物や、N,N−ジアルキルカルボン酸アミドのようなアミド化合物などの添加成分が含まれていても良い。
水素化反応器へ作動溶液、及び水素化触媒を供給する手段は慣用の手段で良く、特に限定されるものではない。
次に、水素化反応器に含水素ガスを供給し、作動溶液に含まれるアントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる。水素化反応器へ含水素ガスを供給する手段は慣用の手段で良く、特に限定されるものではない。
本発明の方法において、アントラキノン類を水素化するために使用される含水素ガスは100%水素でも良く、水素を不活性ガスで希釈したものでも良い。不活性ガスとしては、窒素、フッ化ガスまたはアルゴンなどの希ガスが挙げられる。通常、最も安価な窒素が用いられる。
アントラキノン類を水素により還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる反応は周知である。
本発明の方法における水素化工程の温度は、通常10〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、より好ましくは25℃〜70℃である。本発明の方法における水素化反応器圧力は通常100kPa〜500kPaに設定される。
次に、水素化反応器から、アントラヒドロキノン類と溶媒とを含む作動溶液及び水素化に消費された後のガスを排出する。
水素化反応器から作動溶液及び水素化に消費された後のガスを排出する手段は慣用の手段で良く、特に限定されるものではない。
<工程(B)>
工程(B)は、工程(A)からの作動溶液に含まれるアントラヒドロキノン類を、酸化塔においてアントラキノン類に転化し、過酸化水素を生成させる酸化工程である。
本発明の方法における酸化工程は慣用の手段で行うことができる。すなわち、2−アルキルアントラヒドロキノンを含む作動溶液を酸化工程に導き、酸化塔において酸素あるいは空気を用いて酸化し、2−アルキルアントラキノンを再生すると同時に過酸化水素を生成する。
酸化工程の温度は、通常10〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、より好ましくは25℃〜70℃である。酸化工程の圧力範囲は特に限定されないが、0.01〜1.0MPaの領域で行うことが好ましい。反応装置・コンプレッサーの負荷を考慮すると、より低圧で行う方が経済的である。
酸化塔は慣用のもので良く、特に限定されない。例えば、向流酸化・並流酸化などに関しても特に限定されず、それぞれ技術的な特徴を生かし採用することができる。典型的には、2〜6個の部分に区分された多段式向流酸化塔を挙げることができる。このような酸化塔は、向流で動作可能であり、中央部に穿孔トレーを水平に配置して気液反応を行う。個々の部分は十分な混合のために適当な組込装置、例えばシーブプレート又はネットを有するか又は充填体で充填されていてもよい。
<工程(C)>
工程(C)は、工程(B)からの作動溶液に含まれる過酸化水素を作動溶液から分離する抽出工程である。
本発明の方法における抽出工程は慣用の手段で行うことができる。抽出装置は慣用のもので良く、特に限定されない。通常は水を用いて行い、抽出工程の温度は、通常10〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、より好ましくは25℃〜70℃である。
<工程(D)>
工程(D)は、工程(C)からの過酸化水素を精製、濃縮する仕上げ工程である。
過酸化水素を精製するための方法としては、例えば、溶剤洗浄法、蒸留法、種々の有機溶媒によって行われる抽出法、活性炭、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又はポリマー樹脂への不純物の吸着法、陰イオン交換樹脂又は陽イオン交換樹脂を用いるイオン交換法、逆浸透膜法等が挙げられる
例えば、蒸留法は、過酸化水素の精製法として、水除去により過酸化水素濃度を高める工程を含め、有機物不純物特に自動酸化製造法で使用される化合物の除去に有効であることから広く行われている。この方法は、原料過酸化水素水溶液を蒸発させ発生蒸気を液と分離して精留塔に供給し濃縮することにより、濃縮精製液を得る方法である。
抽出段階からの粗水性過酸化水素(H濃度15〜35%)は精製装置を介して粗製品貯蔵タンクに導かれる。粗製品貯蔵タンクから、水性過酸化水素は濃縮装置に送られ、そこで蒸留される。ここで、過酸化水素はほとんどの不純物が除去され、25〜70重量%程度の濃度へと濃縮され,貯蔵容器に貯蔵される。
以上のほか、蒸留により有機不純物と無機不純物を除去した後、減圧精留で過酸化水素を精製する方法、イオン交換樹脂と膜ろ過とを組み合わせる方法、膜ろ過、活性炭吸着及び多段式精留を組み合わせる方法等がある。
<工程(E)>
工程(E)は、工程(C)からの作動溶液の少なくとも一部を工程(A)に戻す循環工程である。
作動溶液を工程(E)から工程(A)に戻す手段は慣用の手段で良く、特に限定されるものではない。例えば、抽出装置からの作動溶液の少なくとも一部を酸化塔に戻す循環用導管を設けることにより実施することができる。
作動溶液の循環率は0〜100%の間で任意に設定することができる。
<工程(F)>
工程(F)は、工程(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部、好ましくは循環流量の0.05%〜3%、を抜出し液として酸化塔下部から抜き出すサブステップ、抜出し液を作動溶液と過酸化水素とに分離するサブステップ、及び分離された作動溶液を工程(B)へ送るサブステップを含む工程である。工程(F)は、酸化塔(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部を抜出し液として酸化塔下部から抜き出すための導管、抜出し液を油水分離器に導くための導管、抜出し液を作動溶液と過酸化水素とに分離するための油水分離器、及び分離された作動溶液を酸化塔(B)へ送るための導管を用いて行うことができる。
工程(F)は、分離された過酸化水素を更に第一部分と第二部分(但し、第二部分は存在しなくてもよい)とに分離する任意選択的サブステップ、前記第一部分を工程(D)へ送る任意選択的サブステップ、前記第二部分を分解処理に送る任意選択的サブステップを含んでもよい。上記の任意選択的サブステップは、分離された過酸化水素を更に第一部分と第二部分(但し、第二部分は存在しなくてもよい)とに分離するためのフィルター、前記第一部分を精製装置及び/又は濃縮器へ送るための導管、前記第二部分を分解処理に送るための導管を用いて行うことができる。
分離された過酸化水素の第二部分はなくてもよい。すなわち、分離された過酸化水素の全部を工程(D)へ送ることも可能である。
抜出し液は抜き出しから1分以内に40℃以下とすることが好ましい。冷却は、油水分離器内、又は酸化塔底部と油水分離器との間に冷却装置を設けることによって実施することができる。熱交換器を冷却装置としてもよい。
抜出し液には安定剤を添加することが好ましい。安定剤を添加するための安定剤タンクを設け、そこから安定剤をポンプ等により搬送することによって実施することができる。
以下、本発明を実施態様により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、図1、図2における符号の意味は下記のとおりである。
1 油水分離器
2 安定剤タンク
3 フィルター
4 抜き出し液
5 過酸化水素
6 作動溶液
CW 冷却水
T 温度センサー
実施態様1 − 酸化ドレンに対し油水分離器内にて安定剤を添加する場合
実施態様1のシステムを図1に示す。酸化塔(図示せず)底部から、過酸化水素を含有する酸化ドレンを、循環流量の0.2%の作動溶液と共に、抜き出し液(4)として抜き出す。抜き出し液は油水分離器(1)に送られ、温度が直ちに0度以上、40度以下となるように冷媒にて冷却される。更に、安定剤タンク(2)から所定の安定剤が添加される。安定剤は、リン酸、ピロリン酸及びそれらのナトリウム塩、硝酸アンモニウム、有機ホスホン酸塩、錫酸ナトリウム等の錫酸塩、エチドロン酸のような有機ホスホン酸及びそのナトリウム塩から選ばれる1種以上とし、複数を混合使用しても良い。安定剤の添加量は、酸化ドレンに対し0.1mg/L〜1,000mg/L、好ましくは1mg/L〜500mg/Lとする。油水分離器内にて、抜き出し液は残存作動溶液と過酸化水素とに分離され、分離された作動溶液(6)は酸化塔上部に返送される。また、分離された過酸化水素(5)はフィルター(3)を通し、濃縮工程もしくは精製工程に送られる。
実施態様2 − 酸化ドレンに対し油水分離器前の配管内にて安定剤を添加する場合
実施態様2のシステムを図2に示す。酸化塔(図示せず)底部から、過酸化水素を含有する酸化ドレンを、循環流量の0.2%の作動溶液と共に、抜き出し液(4)として抜き出す。抜き出し液には、安定剤タンク(2)から所定の安定剤が添加される。安定剤は、リン酸、ピロリン酸及びそれらのナトリウム塩、硝酸アンモニウム、有機ホスホン酸塩、錫酸ナトリウム等の錫酸塩、エチドロン酸のような有機ホスホン酸及びそのナトリウム塩から選ばれる1種以上とし、複数を混合使用しても良い。安定剤の添加量は、酸化ドレンに対し0.1mg/L〜1,000mg/L、好ましくは1mg/L〜500mg/Lとする。安定剤を添加された抜き出し液は油水分離器(1)に送られ、温度が直ちに0度以上、40度以下となるように冷媒にて冷却される。油水分離器内にて、抜き出し液は残存作動溶液と過酸化水素とに分離され、分離された作動溶液(6)は酸化塔上部に返送される。また、分離された過酸化水素(5)はフィルター(3)を通し、濃縮工程もしくは精製工程又は分解処理に送られる。
本発明によれば、アントラキノン法における酸化塔及び周辺での安全性を高める事が出来る。また、これまで酸化ドレンと共に廃棄されていた作動溶液、過酸化水素を分離することで有効利用出来る。

Claims (6)

  1. (A) 水素化反応器へ、アントラキノン類と溶媒とを含む作動溶液、水素化触媒、及び含水素ガスを供給し、アントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる水素化工程、
    (B) 工程(A)からの作動溶液に含まれるアントラヒドロキノン類を、酸化塔においてアントラキノン類に転化し、過酸化水素を生成させる酸化工程、
    (C) 工程(B)からの作動溶液に含まれる過酸化水素を作動溶液から分離する抽出工程、
    (D) 工程(C)からの過酸化水素を精製、濃縮する仕上げ工程、
    (E) 工程(C)からの作動溶液の少なくとも一部を工程(A)に戻す循環工程、
    を含む過酸化水素の製造方法であって、
    (F) 工程(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部を抜出し液として酸化塔下部から抜き出し、抜出し液を作動溶液と過酸化水素とに分離し、分離された作動溶液を工程(B)へ送る工程を更に含むことを特徴とする過酸化水素の製造方法。
  2. 工程(F)において、抜出し液を抜き出しから1分以内に40℃以下とする、請求項1に記載の過酸化水素の製造方法。
  3. 工程(F)において、抜出し液に安定剤を添加する、請求項2に記載の過酸化水素の製造方法。
  4. (A) アントラキノン類と溶媒とを含む作動溶液、水素化触媒、及び含水素ガスを供給し、アントラキノン類を還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる水素化反応器、
    (B) 水素化反応器からの作動溶液に含まれるアントラヒドロキノン類を、アントラキノン類に転化し、過酸化水素を生成させる酸化塔、
    (C) 酸化塔からの作動溶液に含まれる過酸化水素を作動溶液から分離する抽出装置、
    (D) 抽出装置からの過酸化水素を精製する精製装置及び濃縮する濃縮器、
    (E) 抽出装置からの作動溶液の少なくとも一部を水素化反応器に戻す循環用導管、
    を含む過酸化水素の製造システムであって、
    (F) 酸化塔(B)で生成する酸化ドレン及び作動溶液の一部を抜出し液として酸化塔下部から抜き出すための導管、
    抜出し液を油水分離器に導くための導管、
    抜出液を作動溶液と過酸化水素とに分離するための油水分離器、及び
    分離された作動溶液を酸化塔(B)へ送るための導管
    を更に含むことを特徴とする過酸化水素の製造システム。
  5. 油水分離器内、又は酸化塔底部と油水分離器との間に、抜出し液を抜き出しから1分以内に40℃以下とする冷却装置を有する、請求項4に記載の過酸化水素の製造システム。
  6. 抜出し液に安定剤を添加する安定剤タンクを有する、請求項4又は5に記載の過酸化水素の製造システム。
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