JP5043683B2 - 眼鏡レンズの供給システム - Google Patents
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Description
図1および図2において、眼鏡レンズの製造を製造者側(以下、工場ともいう)2に注文する注文者側としての眼鏡店1は、注文用端末10および眼鏡枠4のレンズ枠形状を三次元測定する眼鏡枠形状測定装置13を備えている。一方、工場2は、眼鏡レンズ用製造制御装置20およびレンズ周縁加工部21を備えている。
注文用端末10は、入力手段11により測定装置識別情報55および眼鏡枠種類情報56が入力されることにより、使用する眼鏡枠形状測定装置13および使用する基準枠30が該当する眼鏡枠4の種類を指定する。ここで、眼鏡枠4の種類の指定は、材質(例えば、メタル、プラスチック)などで分類した眼鏡枠4の種類を指定することをいう。これは、測定値が材質による影響を受けるために眼鏡枠4の種類毎に補正値を設定することが好ましいためである。
また、注文用端末10には、基準枠30の情報である基準枠情報57が入力手段11によって入力される。基準枠情報57は、少なくとも左右のレンズ枠の基準周長値を含む基準枠に関する情報である。なお、基準周長値は、予めその基準枠30毎に記憶手段に記憶しておき、基準枠情報として個々の基準枠30に付与されている参照記号を入力することにより、前記記憶手段よりその基準枠の基準周長値を読み呼び出して補正値設定処理プログラムの処理に用いるようにしてもよい。
基準枠30は、オペレータによって眼鏡枠形状測定装置13に装着される。なお、眼鏡枠形状測定装置13、基準枠30の装着方法、装着状態等についてはさらに後述する。
次に、眼鏡枠形状測定装置13は、基準枠30が装着されると、動作して基準枠30の枠形状の測定を開始する。この測定により基準枠30の左右の枠形状が、円筒座標値である3次元形状測定データ(Rn,θn,Zn)(n=1,2,3,・・・、N)として生成される。
さらに、眼鏡枠形状測定装置13の出力データ作成処理部32は、枠形状座標値に必要な演算処理を行うことにより、枠形状の幾何学中心を原点とする極座標値である2次元の枠形状データ(Rn,θn)(n=1,2,3,・・・、N)と、近似曲面定義データを生成する。
(ステップS1−3)
さらに、眼鏡枠形状測定装置13の出力作成処理部32は、枠形状座標値に必要な演算処理を行うことにより、枠形状の幾何学中心を原点とする極座標値である2次元の枠形状データ(Rn,θn)(n=1,2,3,・・・、N)と、近似曲面定義データを生成する。
また、出力作成処理部32は、フレームPDやあおり角、その他必要なデータを算出する。そして、眼鏡枠形状測定装置13は、以上ステップS1−3とS1−4で得られた2次元形状データ、近似曲面定義データ、フレームPD、あおり角などのデータを注文用端末10に出力する。なお、以上のステップS1−2〜S1−4で行われる演算処理の詳細については、後述するステップS7−1〜S7−12のところで説明する。
注文用端末10が眼鏡枠形状測定装置13から基準枠30の枠形状データを受け取ると、補正部40はステップS2−3で読み込んだ補正値を用いて2次元の枠形状データを補正する。
また、処理部41は、補正された2次元の枠形状データを基に3次元の枠形状データを作成し、そのデータを周長演算部42に送る。
次に、周長演算部42は、この3次元枠形状データを基にその周長を算出する。
上記ステップS1−2〜S1−4およびS2−4〜S2−6の操作は、周長の平均値を算出するために所定回数(例えば、5回)繰り返し行われる。
そして、周長演算部42は得られた複数の周長の平均値を算出し、左右枠の測定周長とする。例えば、基準枠30の左右枠についてそれぞれ5回測定し、その周長の平均値を算出する。例えば、5回の測定による周長の平均値が右162.27mm、左161.76mmであったとする。
次に、周長演算部42は、得られた平均測定周長と基準枠30の基準周長との誤差を算出する。
左測定誤差=左測定周長−左基準周長
右測定誤差=右測定周長−右基準周長
例えば、標準フレーム30の基準周長が右161.27mm、左161.26mmとすると、測定誤差は、
右測定周長−右基準周長=162.27−161.27=1mm
左測定周長−左基準周長=161.76−161.26=0.5mm
となる。
これから左右の周長の平均値を求めると、平均値は、(1+0.5)/2=0.75mmとなる。
次に、補正値設定部44は、補正値の設定を行うか否かを判定する。この判定は予め補正値の許容範囲(例えば、上記左右の周長平均値が±0.03mm以内)を決めておいて自動的に判定してもよいし、オペレータが基準周長と測定周長を比較して判定してもよい。補正値設定部44が補正の必要なしと判定した場合は、補正値を作成せずに終了する。
補正値設定部44は、補正が必要と判定した場合に補正値を作成する。補正値は、左右の測定誤差の平均値を2πで割った値である。
補正値=(左測定誤差+右測定誤差)/2π
したがって、左右周長の平均値が0.75mmの場合、補正値は
−0.75/2π=−0.12mm
となる。
補正値設定部44によって作成された補正値は、補正値記憶部45に送られ、眼鏡枠形状測定装置13および眼鏡枠4の種類毎に保存される。
次に、眼鏡の注文から加工後の眼鏡レンズ58が供給されるまでの処理の流れを図2、図4および図5を参照して説明する。なお、図2において実線の矢印で示す処理の流れには、「問い合わせ」と「注文」の2種類があり、「問い合わせ」は、ヤゲン加工を含めたレンズ加工の完了時のレンズ予想形状を報告するように、眼鏡店1が工場2に求めることである。一方、「注文」は、縁摺り加工前の眼鏡レンズ5を周縁加工することによりヤゲン付きの加工済みレンズ58を製作、納品するように、眼鏡店1が工場2に依頼することである。
眼鏡店1の注文用端末10のレンズ注文問い合わせ処理プログラムが起動すると、画面表示装置12はオーダエントリ画面を表示する。眼鏡店1のオペレータは、オーダエントリ画面を見ながら、入力手段11により、注文あるいは問い合わせの対象となるレンズの種類の指定を行う。すなわち、レンズの種類指定、注文あるいは問い合わせをするレンズが、ヤゲン加工済のレンズなのか、または縁摺り加工とヤゲン加工とが施されないレンズなのかの指定、レンズの厚さを必要最小値になるように指定する加工指定、マイナスレンズのコバを目立たなくする面取りをし、その部分の研磨仕上げをする加工指定等を行う。
また、入力手段11によってレンズのカラーの指定を行う。
さらに、入力手段11により、レンズの処方値、レンズの加工指定値、眼鏡枠の情報、アイポイント位置を指定するレイアウト情報、ヤゲンモード、ヤゲン位置およびヤゲン形状を注文用端末10に入力する。ヤゲンモードは、レンズコバのどこにヤゲンを立てるかによって、「1:1」、「1:2」、「凸ならい」、「フレームならい」および「オートヤゲン」のモードがあり、それらの中からいずれか1つを選択して入力する。ここで、例えば「凸ならい」とは、レンズ表面(前面)に沿ってヤゲンを立てるモードである。ヤゲン位置の入力は、ヤゲンモードが「凸ならい」、「フレームならい」、および「オートヤゲン」のときに限り有効であり、ヤゲン表面側底の位置をレンズ表面からどれだけ裏面方向に位置させるかを指定するもので、例えば0.5mm単位で指定することができる。
ここで、注文用端末10は、対象となる眼鏡枠4に対し、眼鏡枠形状測定装置13による眼鏡枠形状の測定が既に完了しているか否かを判別する。完了していればステップS5−11へ進み、完了していなければステップS5−5へ進む。
先ず、注文用端末10は、レンズ注文問い合わせ処理プログラムから眼鏡枠形状測定プログラムに切り替える。そして、入力手段11により、これから形状測定される眼鏡枠4に付された測定番号が注文用端末10に入力される。また、入力手段11により眼鏡枠種類情報56が注文用端末10に入力されることにより、注文用端末10は、形状測定される眼鏡枠4の眼鏡枠種類(材質)をステップS2−1と同様に指定する。さらに、フレーム曲げの可不可を指定する。
また、注文用端末10は、入力手段11により測定装置識別情報55が入力されることにより眼鏡枠測定に使用する眼鏡枠形状測定装置13をステップS2−1と同様に指定する。
注文用端末10の補正部40は、ステップS5−5とステップS5−6で指定した測定装置識別情報55と眼鏡枠情報56に基づいて、予め補正値記憶部45に記憶されている指定された測定装置でかつ眼鏡枠種類における補正値を読み込む。また、測定データ補正部40は、眼鏡枠形状測定装置13からの出力データを受け取れるようにスタンバイする。
眼鏡枠形状測定装置13は、測定すべき眼鏡枠4が装着されると、その枠形状と周長の測定を開始する。なお、レンズ枠の装着方法、装着状態等についてはさらに後述する。
眼鏡枠形状測定装置13により測定される眼鏡枠4の左右の枠形状は、三次元形状データ作成処理部31によって円筒座標値である3次元形状測定データ(Rn,θn,Zn)(n=1,2,3,・・・、N)として得られる。得られた3次元形状測定データは、さらに直交座標値に変換されるとともに必要な補正や演算処理が行われ左右のレンズ枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・、N)が生成される。
また、眼鏡枠形状測定装置13の出力データ作成処理部32は、得られたレンズ枠形状座標値に必要な演算処理を行うことにより、レンズ枠形状の幾何学中心を原点とする極座標値である2次元の枠形状データ(Rn,θn)(n=1,2,3,・・・、N)と近似曲面定義データを生成する。
さらに、出力データ作成処理部32は、フレームPDやあおり角、その他必要なデータを算出する。以上のステップS5−17〜S5−18で得られた2次元レンズ枠形状データ、近似曲面定義データ、フレームPD、あおり角等のデータは、注文用端末10の測定データ補正部40に出力される。なお、以上のステップS5−16〜S5−18で行われる演算処理の詳細については、後述するステップS7−1〜S7−12のところで説明する。
注文用端末10の測定データ補正部40は、眼鏡枠形状測定装置13から眼鏡枠4のレンズ枠形状データを受け取ると、ステップS5−7で補正値記憶部45から読み込んだ補正値を用いて2次元のレンズ枠形状データを補正し、その補正データを形状データ作成部41に送信する。
形状データ作成部41は、測定データ補正部40によって補正された2次元の枠形状データを受けとると、3次元の枠形状データを生成し、周長演算部42に送る。
次に、周長演算部42は、形状データ作成部41から3次元枠形状データを受け取ると、その周長を算出する。
既に眼鏡枠形状の測定が行われ、その結果が補正値記憶部45に記憶されている場合には、その記憶された測定値を読み出すために、眼鏡枠4に付けた測定番号を入力手段11によって注文用端末10に入力する。
注文用端末10は、入力手段11によって入力された測定番号にしたがい、該当する眼鏡枠4についての記憶された眼鏡枠形状情報を補正値記憶部45から読み出す。
また、注文データ作成部43は、「問い合わせ」か、「注文」かの指定をする。以上のステップの実行によって得られたレンズ情報、処方値、眼鏡枠情報、2次元レンズ枠形状データ、近似曲面定義データ、フレームPD(またはDBL)、あおり角、周長等のデータは、通信媒体3を介して眼鏡レンズ用製造制御装置20に送られる。
図2に示すように、眼鏡レンズ用製造制御装置20は、眼鏡レンズ受注システム部、眼鏡レンズ加工設計部51、およびヤゲン加工設計部52を備えている。眼鏡レンズ用製造制御装置20は、レンズ情報、処方値、眼鏡枠情報、レイアウト情報、ヤゲン情報等のデータが、注文用端末10から通信媒体3を介して送られてくると、眼鏡レンズ受注システム部を経て眼鏡レンズ加工設計部51を起動させる。眼鏡レンズ加工設計部51が起動すると、レンズ加工設計処理プログラムにより演算処理が行われる。すなわち、ヤゲン形状を含めた所望のレンズ形状が演算される。
次に、眼鏡レンズ用製造制御装置20は、眼鏡レンズ受注システム部を経てヤゲン加工設計部52が起動することにより、ヤゲン加工設計演算が行なわれる。このヤゲン加工設計演算は、先ず眼鏡枠4の材質に応じてレンズ枠形状の3次元データの補正を行い、眼鏡枠4の材質に起因するレンズ枠形状データの誤差を補正する。次に、レンズ枠形状と眼鏡レンズ5との位置関係を、アイポイント位置を基に3次元的に決める。
図4のステップS5−14での指定が「注文」ならば、眼鏡レンズ用製造制御装置20はステップS6−5へ進む。一方、「問い合わせ」ならば、問い合わせの結果を、通信媒体3を介して注文用端末10へ送り、ステップS6−4へ進む。
注文用端末10は、眼鏡レンズ用製造制御装置20から送られてきた問い合わせに対する結果に基づいて、ヤゲン加工完了時のレンズの予想形状あるいはエラー状況を画面表示装置12に表示させる。眼鏡店1のオペレータは、表示された内容によって、指定入力情報の変更や確認を行う。すなわち.図5のステップS6−1およびステップS6−2での加工設計演算においてエラーが発生していなければ、画像表示装置12の画面にレンズ厚およびレンズ重量を表示するオーダエントリ着信画面を表示する。また、眼鏡枠に指定されたレイアウト情報にしたがってレンズがどのように配置されるかを視覚的に表示するレイアウト確認図および眼鏡枠に枠入れされて空間的に配置された左右のレンズを任意の方向からみた立体図を画像表示装置12の画面に表示する。さらに、レンズの形状や、コバとヤゲンとの位置関係を詳しく表示したヤゲン確認図および左右両方のレンズのコバ厚とヤゲン位置とをヤゲンに沿って展開した左右ヤゲンバランス図を画像表示装置12の画面に順次表示する。また、図5のステップS6−1およびステップS6−2での加工設計演算において、エラーが発生している場合は、画面表示装置12にエラーの内容に応じたメッセージを表示させる。
図4のステップS5−14での指定が「注文」ならば、このステップを実行し、図5のステップS6−1およびステップS6−2での加工設計演算においてエラーが発生したか否かを判別する。エラーが発生していれば、その結果を、通信媒体3を介して注文用端末10へ送り、ステップS6−6へ進む。一方、エラーが発生していなければ、その結果を通信媒体3を介して注文用端末10へ送り、ステップS6−7へ進むとともに、ステップS6−8に進む。
眼鏡レンズ用製造制御装置20は、注文用端末10の画面表示装置12に「注文を受け付けた」旨の表示を行う。これにより、レンズ枠に確実に枠入れ可能な縁摺り加工前またはヤゲン加工後のレンズを発注できたことが確認できる。
注文のレンズは、レンズ加工設計演算またはヤゲン加工設計演算においてエラーが発生していて加工のできないレンズであるから、「注文を受け付けられない」旨の表示を行う。
図6において、眼鏡枠形状測定装置13は、特許第3548569号公報の図5に記載されている形状測定装置と同一のもので、図示しない眼鏡枠保持手段によって所定位置に動かないように保持された眼鏡枠4のレンズ枠4A,4Bの形状を測定する測定部70を備えている。この測定部70はU字状の回転台71を備え、この回転台71はその面に取り付けられたタイミングプーリ(図示せず)、タイミングベルト73およびタイミングプーリ74を介してモータ76によってθ方向に回転駆動される。この回転台71の回転角度は、回転台71に取り付けられたタイミングプーリ(図示せず)に、タイミングベルト77とタイミングプーリ78とを介して接続されたロータリエンコーダ79によって検出される。モータ76とロータリエンコーダ79とは基板80に固定されており、図示しないタイミングプーリおよび回転台71は図示していない軸受によって基板80に対して回転可能に軸承されている。
先ず、眼鏡枠4を図示しない眼鏡枠保持手段に固定する。スタイラス35の頭部35aを眼鏡枠4のレンズ枠4A(または4B)の内周面に形成されている枠溝50に接触させ、図示していない制御装置によりモータ76を回転させる。これにより、タイミングベルト73で連結された回転台71が回転し、スタイラス35がレンズ枠4Aの枠溝50に接触しながら転動する。測定部70の回転は、タイミングベルト77で連結されたロータリエンコーダ79の回転角(θ)として検出される。スタイラス35の半径方向の移動量は、リニアエンコーダ92によってスライド板86の移動量Rとして検出され、上下方向の移動量はZ軸測定器101によってスタイラス35のZ軸方向の移動量Zとして検出される。なお、これらの円筒座標をなす値R,θ,Zは、連続して測定されるものでなく、回転角(θ)の所定増加量毎に間欠的に測定されて、図1および図2に示した注文用端末10に入力されるものである。したがって、この入力座標値を以下、3次元測定形状データ(Rn,θn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)と表すことにする。添字nは1回転での測定回数を表す。
上述のような眼鏡枠形状測定装置13では長年の使用などによって測定誤差が生じ、図7に示す基準枠30を用いてその測定誤差を校正する必要がある。この基準枠30は、ブリッジ110によって連結されたレンズ枠111A,111Bと、これらのレンズ枠111A,111Bが固定された枠体112とを備えている。この枠体112は、レンズ枠111A,111Bよりも剛性が高い金属板によって形成されている。また、枠体112は、開口114を備えた平板部115と、この平板部115の両端側から一体に立設された左右一対の立設部115a,115bとを備えている。開口114は、ブリッジ110によって結合された一対のレンズ枠111A,111Bに対応し、これらのレンズ枠111A,111Bが内接する例えば四角形状に形成されている。
図8のステップS7−1〜S7−12に示した手順は、眼鏡枠形状測定装置13において行われる計算手順であり、図3のS1−2〜S1−4並びに図4のS5−16〜S5−18の処理において用いられる。また、図8のS7−13〜S7−16に示した手順は、注文用端末10において行われる計算手順であり、図3のS2−2〜S2−5並びに図4のS5−7〜S5−10の処理において用いられる。このフローチャートに示すように、先ず自由空間に保持された眼鏡枠4に対して、眼鏡枠形状測定装置13で測定した測定データから眼鏡レンズ加工に必要な各種データを求める。
上記したように、眼鏡枠形状測定装置13に測定したい眼鏡枠4あるいは基準枠30を装着した状態で眼鏡枠形状測定装置13を作動させて眼鏡枠形状を測定することにより、各レンズ枠4A,4Bの3次元形状測定データ(Rn,θn,Zn)を得る。
各レンズ枠4A,4Bの3次元測定形状データ(Rn,θn,Zn)は、厳密にはスタイラス35の頭部35aの中心軸の軌跡を表すデータであり、眼鏡枠4の枠溝形状を示していない。このため、正確なレンズ枠形状(枠溝の形状)を得るためには、スタイラス頭部35aの先端部35b(枠溝50の底170に接触する部分、図11参照)が描く包絡線を求めねばならない(本実施例ではこの包絡線を求める計算をオフセット計算と呼ぶ)。これを図9および図10を参照して説明する。
ところで、同一の眼鏡枠4の各レンズ枠4A,4Bを測定したとしても、スタイラス35の形状が異なれば、スタイラス頭部35aの先端部35bの位置が変化して枠溝50から離れてしまうことがある。その結果、ステップS7−1で求めた枠溝形状151が変化してしまう。また、スタイラス頭部35aの径方向は、機構上常に、眼鏡枠形状測定装置13のZ軸方向に垂直な平面上にあるのに対して、眼鏡枠4はZ軸方向にも変化する形状を有している。このため、枠溝50は、眼鏡枠形状測定装置13のZ軸方向に垂直な平面に対して傾きを持つことがある。この場合にも、傾きに応じてスタイラス頭部35aの先端部35bの位置が変化する。本ステップは、以上のようなスタイラス頭部35aの位置の変化を考慮して、枠溝50の底170の周形状を求めるものである。以下、図11〜図16を参照して説明する。
一般に、眼鏡枠4が眼鏡枠形状測定装置13に保持されてレンズ枠4A,4Bの形状が測定される際には、左右のレンズ枠4A,4Bの正面方向は眼鏡枠形状測定装置13のZ軸方向に対してそれぞれ傾いている。この各傾きを把握するために、左右のレンズ枠4A,4Bの正面方向のベクトルを決定する。
ただし、「×」はベクトルの外積を表し、またi=Nのときi+1を1とする。
ステップS7−2〜ステップS7−4の処理が、左右のレンズ枠形状測定データに対して施されたか否かを判別し、この答えが肯定(YES)ならばステップS7−6へ進み、否定(NO)ならばステップS7−2へ戻り、残りの方のレンズ枠形状測定データに対して処理を行う。
これまでに眼鏡枠形状測定装置13によって得られた左右のレンズ枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)は、それぞれ座標原点が異なるので、前述の相対的位置データ(δX,δY,δZ)を用いて同一の点を原点とする同一の座標の座標値にそれぞれ変換される。これを、図19を参照して説明する。
ステップS7−6で求めた左右のレンズ枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlから眼鏡の正面方向を算出し、その正面方向がZ軸方向に一致するように左右のレンズ枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)および左右のレンズ枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを回転移動させる。これを、図20を参照して説明する。
ステップS7−7で変換された左右のレンズ枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)から、XY平面内における眼鏡のデータムラインとX軸方向とのなす角θdを求め、データムラインがX軸方向に一致するように、左右のレンズ枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)および左右のレンズ枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを変換する。すなわち、先ず、算出された眼鏡の正面方向に垂直な平面に左右のレンズ枠を射影した2次元形状を用い、左右のレンズ枠の上方に接する接線と同一方向の単位ベクトルと、左右のレンズ枠の下方に接する接線と同一方向の単位ベクトルとの和の方向を眼鏡のデータムライン方向として算出する。これを、図21を参照して説明する。
ステップS7−8で再度変換された左右のレンズ枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)を基に、レンズ枠間距離を算出する。これを、図22を参照して説明する。
ステップS7−8で再度変換された左右のレンズ枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)および左右のレンズ枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを基に、左右のレンズ枠形状のAサイズ、Bサイズおよび幾何学中心(フレームセンタ)座標を算出するとともに、これら左右のレンズ枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)を、算出された各幾何学中心を原点とし、左右のレンズ枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlをZ軸方向に一致させた座標値にそれぞれ変換する。これを図23を参照して説明する。なお、以降のステップS7−10〜S7−16では、特に左右を区別する必要がないので、レンズ枠形状座標値を(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)と、またレンズ枠の正面方向の単位ベクトルをFVと表記して説明するが、これらは左右のいずれをも表しているものである。
ステップS7−10で求められた幾何学中心を原点とするレンズ枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)は、近似的に球面またはトーリック面上の閉曲線にのっていると見做し、その球面またはトーリック面(これら曲面を本明細書では近似曲面と呼ぶこととする)の方程式を求める。これを近似曲面がトーリンク面の場合について図24を参照して説明する。
ステップS7−8で得られたレンズ枠4Aの正面方向単位ベクトルFVを用いて、レンズ枠のあおり角AGLを算出する。これを図25A、図25Bを参照して説明する。
注文用端末10は、眼鏡枠形状測定装置13から送られてきた眼鏡枠形状データを予め設定されている補正値に基づいて補正する。上記した通り本実施の形態では、補正値は動径方向の変更量として求めているが、極座標値(Rn,θn)のRnに補正値を加えただけでは形状が変わってしまう場合があるので、ステップS7−2で示したオフセット計算と同様に各点の法線方向に補正値だけ変形する補正を行う。すなわち、はじめに2次元眼鏡枠形状データである極座標値(Rn,θn)(n=1,2,3,・・・,N)を同じく幾何学中心を原点とする直交座標値(Xsn,Ysn)(n=1,2,3,・・・,N)に変換する。
近似曲面定義データから特定される近似曲面上において、ステップS7−13で得られた直交座標値(Xn,Yn)(n=1,2,3,・・・,N)におけるZ軸座標値をZnとして算出する。この算出されたZnとステップ7−13で得られた直交座標値(Xn,Yn)により3次元の眼鏡枠形状座標値(Xn、Yn、Zn)(n=1,2,3,・・・,N)が生成される。このようにして得られた3次元の眼鏡枠形状データに対して、さらに従来から行われているような補正を行ってもよい。例えば特許第3548569号公報で示されているような左右のレンズ枠のバランスをとるために左右のレンズ枠形状を合わせるためのマージ処理などを行ってもよい。
ステップS7−14で得られたレンズ枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)からレンズ枠形状(枠溝の底の周形状)の周長FLNを算出する。レンズ枠形状の周長FLNは、レンズ枠形状の各点間の距離の総和として次式(6)により算出される。
ただし、上記式(6)において、i=Nのときはi+1を1とする。
ステップS7−14による補正により、左右のレンズ枠形状が眼鏡枠形状測定装置13により送られてきたときの形状から変化してしまった場合には、この形状の変化により変化したデータについて再度計算することが好ましい。また、本実施の形態では工場2側へ送る眼鏡枠形状データを2次元眼鏡枠形状データと近似曲面定義データに変換する必要もある。このため、眼鏡枠形状測定装置13で行ったステップS7−10からステップS7−12で行った処理を注文用端末10側でも再度実行する。計算の原理は同じなので説明は省略する。このステップにより得られた2次元形状データ(極座標値)、近似曲面定義データ、フレームPD(またはDLB)、あおり角等のレンズ加工に必要なデータは眼鏡レンズ用製造制御装置20に送信される。
Claims (2)
- 眼鏡枠のレンズ枠形状を3次元測定して3次元眼鏡枠形状情報を生成する眼鏡枠形状測定装置と、
前記眼鏡枠形状測定装置によって生成された眼鏡枠形状情報を補正する機能を有し、その補正された眼鏡枠形状情報を基に注文情報を作成して眼鏡レンズ製造者側に送信する注文用端末と、
前記注文用端末から送信された注文情報を基に眼鏡レンズの加工情報を作成する眼鏡レンズ用製造制御装置とを備え、
前記眼鏡枠形状測定装置は、設置場所に応じて異なる機種が使用され、
前記注文用端末は、
前記眼鏡枠形状測定装置によって生成された眼鏡枠形状情報から算出された3次元の眼鏡枠周長に対して、予め算出された前記眼鏡枠形状測定装置の機種に対応した眼鏡枠のレンズ枠の内周面の周長の補正値を使用して、眼鏡枠の周長を補正する測定データ補正部を有し、
前記測定データ補正部は、
i) 所定の基準周長値を有する基準枠の左右枠を前記眼鏡枠形状測定装置で測定して3次元形状測定データを求め、求めた測定データから3次元的周長値を計算し、
ii) 3次元的周長値の計算を複数回行って複数の周長値を得て、
iii) 左右枠において、得られた複数の周長値の平均測定周長を算出し、
iv) 左右枠において、算出された平均測定周長と所定の基準周長値との誤差を算出し、
v) 左右周長の誤差の平均値を求め、
vi) 求めた平均値を2πで割って求めた値を、当該測定装置の補正値として出力し、
前記注文用端末から前記眼鏡レンズ用製造制御装置に送信される注文情報としての眼鏡枠形状データには前記測定データ補正部で補正された眼鏡枠の周長を含むことを特徴とする眼鏡レンズの供給システム。 - 請求項1記載の眼鏡レンズの供給システムにおいて、前記測定データ補正部は眼鏡枠の種類毎に補正値を有することを特徴とする眼鏡レンズの供給システム。
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