JP3548569B2 - 眼鏡レンズの供給システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズの供給システムに関し、特に当該供給システムにおける眼鏡フレ−ムの形状データ処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡レンズの発注側から送られた眼鏡レンズや眼鏡フレームに関する情報に基づき、眼鏡レンズの加工側が、ヤゲン形状を含めた所望のレンズ形状を演算し、その結果に基づき、ヤゲン加工を含めたレンズ加工が可能であるか否かの可否情報を、さらにはヤゲン加工形状を含めた眼鏡レンズの仕上がり予想形状を、発注側に返信し、発注側は、送信された可否情報または仕上がり予想形状を画面表示し、ヤゲン加工を含めたレンズ加工が可能であるか否かを確認し、あるいは仕上がり予想形状を確認し、この確認に基づき、最適なヤゲンが設けられた眼鏡レンズを決定して発注するようにした眼鏡レンズの供給システムが、本願出願人により提案されている(特許文献1)。
【0003】
このシステムの完成度をより高めるためには、眼鏡枠の左右のバランスをとることが行われる必要がある。一般に、左右の眼鏡枠形状は同一であることが美観上好ましいが、フレーム製造後の輸送、保管等の取扱やフレーム素材の経時変化等により形状変形を受け、差異を生じる場合がある。この差異を放置して枠入れすると、例えば、バイフォーカルレンズのように、小玉がついているレンズでは、各々、左右のレンズ枠で小玉のレイアウト位置が異なる場合が発生する。そして、この眼鏡の小玉位置の左右の相違は、装用者以外の第三者から見た場合、非常にアンバランスな眼鏡に映る。そこで、眼鏡枠の左右のバランスをとるために、従来、左右の眼鏡枠形状を同形化することが行われていた。すなわち、例えば特公平3−25298号公報に開示されるように、左右いずれか一方の眼鏡枠形状をそのまま双方の眼鏡枠形状として使用して眼鏡レンズの加工を行い、他方の眼鏡枠形状を変形した上で眼鏡レンズを枠入れすることが行われていた。
【0004】
【特許文献1】
特願平4−165912号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記、ヤゲン加工を含めた眼鏡レンズの供給システムにおいて、最も重要なことは眼鏡フレームの形状データを正確に把握することである。通常、眼鏡店にて実施される玉摺機を用いたヤゲン加工においては、手元に眼鏡フレームとレンズとがあるので、眼鏡フレームの形状変形状態やレンズの厚み等は加工者が視覚的に把握できる。従って、加工者は、長年の経験や勘等のノウハウによる加工技術により、処方と比較しながら対応することができる。
すなわち、工場から出荷された眼鏡フレームは、種々の流通経路を経て眼鏡店の元に届くが、この流通過程で眼鏡フレームは形状変形を受けてしまう。このような場合、熟達した加工者は、当該変形を受けた眼鏡フレームを見て、ここへレンズが枠入れ加工された際の形状復元度等を考慮して、レンズのヤゲン加工等の縁擂り加工を行っていた。
しかし、上記眼鏡レンズの供給システムにおいて、加工者は、当該眼鏡フレームの現物を見ることなく、遠隔地から通信回線にて送られた加工データのみで対応しなければならないため、眼鏡フレームの正確な形状データ把握と、そのデータの送受信が望まれていた。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、発注側にて眼鏡フレームの正確な形状データ把握し、加工側と互いに情報交換をしながら当該データを加工側に与える眼鏡レンズの供給システムを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータと、この発注側コンピュータへ情報交換可能に接続された製造側コンピュータと、この発注側コンピュータへ接続された3次元的眼鏡枠測定装置とを有する眼鏡レンズの供給システムであって、
前記発注側コンピュータと前記製造側コンピュータとは、前記発注側からの眼鏡レンズ情報、3次元的眼鏡枠形状情報を含む眼鏡枠情報、処方値、及びレイアウト情報を含めた枠入れ加工をする上で必要となる情報の入力操作に応じて演算処理を行い、互いに情報交換をしながら、眼鏡レンズの発注及び/又は受注に必要な処理を行う機能を備え、
前記眼鏡枠情報を得るためのステップとは、前記3次元的眼鏡枠測定装置の測定子を、前記眼鏡枠の形状に従って3次元的に移動し、所定の角度毎に前記測定子の移動量を検出して前記眼鏡枠の3次元の枠データを採取し、この3次元の枠データに基づいて前記眼鏡枠のレンズ枠の周長を求め、前記3次元の枠データと前記レンズ枠の周長とを製造側コンピュータへ与えることを特徴とする眼鏡レンズの供給システムである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図2は、本発明の眼鏡枠形状同形化方法が実施される眼鏡レンズの供給システムの全体構成図である。発注側である眼鏡店100とレンズ加工側であるレンズメーカの工場200とは公衆通信回線300で接続されている。図では眼鏡店を1つしか示さないが、実際には複数の眼鏡店が工場200に接続される。
【0008】
眼鏡店100には、オンライン用の端末コンピュータ101およびフレーム形状測定器102が設置される。端末コンピュータ101はキーボード入力装置やCRT画面表示装置を備えるとともに、公衆通信回線300に接続されている。端末コンピュータ101へは、フレーム形状測定器102から眼鏡フレーム実測値が入力され、端末コンピュータ101で計算処理が行われるとともに、キーボード入力装置から眼鏡レンズ情報、処方値等が入力される。そして端末コンピュータ101の出力データは、公衆通信回線300を介して工場200のメインフレーム201にオンラインで転送される。なお、端末コンピュータ101とメインフレーム201との間に、中継局を設けるようにしてもよい。また、端末コンピュータ101の設置場所については眼鏡店100に限定されるものではない。
【0009】
メインフレーム201は眼鏡レンズ加工設計プログラム、ヤゲン加工設計プログラム等を備え、入力されたデータに基づき、ヤゲン形状を含めたレンズ形状を演算し、その演算結果を、公衆通信回線300を介して端末コンピュータ101に戻して画面表示装置に表示させるとともに、その演算結果を工場200の各端末コンピュータ210,220,230,240,250にLAN202を介して送るようにする。
【0010】
端末コンピュータ210には、荒擦り機(カーブジェネレータ)211と砂掛け研磨機212とが接続され、端末コンピュータ210は、メインフレーム201から送られた演算結果に従い、荒擦り機211と砂掛け研磨機212とを制御して、予め表面が加工されたレンズの裏面の曲面仕上げを行う。
【0011】
端末コンピュータ220には、レンズメータ221と肉厚計222とが接続され、端末コンピュータ220は、レンズメータ221と肉厚計222とで得られた測定値と、メインフレーム201から送られた演算結果とを比較して、レンズ裏面の曲面仕上げが完了したレンズの受入れ検査を行うとともに、合格レンズには光学中心を示すマーク(3点マーク)を施す。
【0012】
端末コンピュータ230には、マーカ231と画像処理機232とが接続され、端末コンピュータ230は、メインフレーム201から送られた演算結果に従い、レンズの縁摺りおよびヤゲン加工をする際にレンズをブロック(保持)すべきブロッキング位置を決定し、またブロッキング位置マークを施すことに使用される。このブロッキング位置マークに従い、ブロック用の治工具がレンズに固定される。
【0013】端末コンピュータ240には、マシニングセンタからなるNC制御のレンズ研削装置241とチャックインタロック242とが接続され、端末コンピュータ240は、メインフレーム201から送られた演算結果に従い、レンズの縁摺り加工およびヤゲン加工を行う。
【0014】
端末コンピュータ250には、ヤゲン頂点の形状測定器251が接続され、端末コンピュータ250は、この形状測定器251が測定したヤゲン加工済のレンズの周長および形状を、メインフレーム201から送られた演算結果と比較して加工の合否判定を行う。
【0015】
以上のような構成のシステムにおいて眼鏡レンズが供給されるまでの処理の流れを、以下、図3および図4を参照して説明する。なお、この処理の流れには、「問い合わせ」と「注文」との2種類があり、「問い合わせ」は、ヤゲン加工を含めたレンズ加工の完了時のレンズ予想形状を報知するように、眼鏡店100が工場200に求めることであり、また、「注文」は、縁摺り加工前のレンズまたはヤゲン加工済のレンズを送るように、眼鏡店100が工場200に求めることである。
【0016】
図3は、眼鏡店100での最初の入力処理の流れを示すフローチャートである。図中、Sに続く数字はステップ番号を表す。〔S1〕眼鏡店100の端末コンピュータ101のレンズ注文問い合わせ処理プログラムが起動され、オーダエントリ画面が画面表示装置に表示される。眼鏡店100のオペレータは、オーダエントリ画面を見ながら、キーボード入力装置により、注文あるいは問い合わせの対象となるレンズの種類の指定を行う。
【0017】
すなわち、レンズの種類指定、注文あるいは問い合わせをするレンズが、ヤゲン加工済のレンズなのか、または縁摺り加工とヤゲン加工とが施されないレンズなのかの指定、レンズの厚さを必要最小値になるように指定する加工指定、マイナスレンズのコバを目立たなくする面取りをし、その部分の研磨仕上げをする加工指定等を行う。
【0018】
〔S2〕レンズのカラーの指定を行う。〔S3〕レンズの処方値、レンズの加工指定値、眼鏡フレームの情報、アイポイント位置を指定するレイアウト情報、ヤゲンモード、ヤゲン位置およびヤゲン形状を入力する。
【0019】
ヤゲンモードは、レンズコバのどこにヤゲンを立てるかによって、「1:1」、「1:2」、「凸ならい」、「フレームならい」、および「オートヤゲン」のモードがあり、それらの中から選択して入力する。ここで例えば「凸ならい」とは、レンズ表面(前面)に沿ってヤゲンを立てるモードである。
【0020】
ヤゲン位置の入力は、ヤゲンモードが「凸ならい」、「フレームならい」、および「オートヤゲン」のときに限り有効であり、ヤゲン表面側底の位置をレンズ表面からどれだけ裏面方向に位置させるかを指定するもので、0.5mm単位で指定する。
【0021】
〔S4〕ここで対象となる眼鏡フレームに対し、図2のフレーム形状測定機102によるフレーム形状の測定が既に完了しているか否かを判別する。完了していればステップS7へ進み、完了していなければステップS5へ進む。
【0022】
〔S5〕まず、眼鏡店100の端末コンピュータ101において、レンズ注文問い合わせ処理プログラムからフレーム形状測定プログラムへ処理が渡される。そして、これから形状測定される眼鏡フレームに付された測定番号を入力する。また、フレームの材質(メタル、プラスティック等)を指定し、さらに、フレーム曲げの可不可の指定を行う。
【0023】
〔S6〕測定すべき眼鏡フレームをフレーム形状測定器102に固定して測定を開始する。フレーム形状測定器102の構造の概略を、図5を参照して後述するとともに、このステップS6の詳細内容を、図6を参照して後述する。
【0024】
フレーム形状測定器102で測定された測定値に対して端末コンピュータ101において計算処理が施され、その結果が端末コンピュータ101の画面表示装置に表示される。なお、測定値に大きな乱れがあったり、左右フレーム枠の形状に大きな差があったりした場合には、その旨のエラーメッセージが画面表示装置に表示される。
【0025】
眼鏡店100では、エラーメッセージが画面表示装置に表示されたときには、そのエラーメッセージの内容に応じて点検をし、再び測定を行う。
〔S7〕既にフレーム形状の測定が行われ、その結果が記憶されている場合には、その記憶された測定値を読み出すために、眼鏡フレームに付けた測定番号を入力する。
【0026】
〔S8〕測定番号に従い、該当する眼鏡フレームについての記憶されたフレーム形状情報を内部記憶媒体から読み出す。以上のステップS1〜S8により、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報、処方値、レイアウト情報、加工指示情報の内の少なくとも1つである加工条件データが送信される。
〔S9〕「問い合わせ」か、「注文」かの指定をする。
【0027】
以上のステップの実行によって得られたレンズ情報、処方値、フレーム情報等のデータが、公衆通信回線を介して工場200のメインフレーム201に送られる。
【0028】
図4は、工場200での処理の流れ、ならびに工場200からの転送により眼鏡店100で行われる確認およびエラー表示のステップを示すフローチャートである。図中、Sに続く数字はステップ番号を表す。
【0029】
〔S11〕工場200のメインフレーム201には眼鏡レンズ受注システムプログラム、眼鏡レンズ加工設計プログラム、およびヤゲン加工設計プログラムが備えられている。レンズ情報、処方値、フレーム情報、レイアウト情報、ヤゲン情報等のデータが、公衆通信回線を介して送られると、眼鏡レンズ受注システムプログラムを経て眼鏡レンズ加工設計プログラムが起動し、レンズ加工設計演算が行われる。すなわち、ヤゲン形状を含めた所望のレンズが演算される。
【0030】
すなわち、指定レンズの外径が不足していないかを確認し、レンズの外径が不足している場合には、ボクシングシステムでの不足方向、不足量を算出し、眼鏡店100の端末コンピュータ101に表示するために、眼鏡レンズ受注システムプログラムに処理を戻す。
【0031】
レンズの外径に不足が出なければ、レンズの表カーブの決定を行う。つぎにレンズの厚さの決定を行い、レンズの厚さが決まったら、レンズの裏カーブ、プリズム、プリズムベース方向を算出し、これにより、縁摺り加工前のレンズの全体形状が決定する。
【0032】
ここで、フレーム各方向の動径毎に全周のコバの厚さを調べて、必要なコバ厚さを下回る箇所がないかを確認する。もし、下回る箇所があれば、ボクシングシステムでの不足方向、不足量を算出し、眼鏡店100の端末コンピュータ101に表示するために、眼鏡レンズ受注システムプログラムに処理を戻す。
【0033】
全周のコバの厚さに不足がなければ、レンズ重量、最大および最小のコバ厚さとそれらの方向等を算出する。そして、レンズの裏面加工のために必要となる、工場200の端末コンピュータ210に対する指示値を算出する。
【0034】
以上の演算は、端末コンピュータ210、荒擦り機211、および砂掛け研磨機212によって、縁摺り加工前のレンズ研磨加工が行われる場合に必要なものであり、算出された種々の値が次のステップに渡される。
【0035】
また、在庫レンズが指定され、縁摺り加工前のレンズ研磨加工が行われない場合には、レンズの種類と処方値とでレンズ外径、レンズ厚さ、表カーブ、裏カーブが予め決まっており、かつ、それらのデータが記憶されているから、それらの値を読み出して上記裏面加工品と同様に、レンズの外形、コバ厚さが不足しないかを確認し、次のステップに渡す。
【0036】
〔S12〕つぎに、メインフレーム201では、眼鏡レンズ受注システムプログラムを経てヤゲン加工設計プログラムが起動し、ヤゲン加工設計演算が行なわれる。
【0037】
まず、眼鏡フレームの材質に応じて眼鏡枠形状の3次元データの補正を行い、眼鏡フレームの材質に起因する眼鏡枠形状データの誤差を補正する。つぎに、眼鏡枠形状と眼鏡レンズとの位置関係を、アイポイント位置を基に3次元的に決める。
【0038】
ヤゲン加工を行うためにレンズを保持する際に基準となる加工原点および回転軸である加工軸を決め、この加工座標に今までのデータを座標変換する。そして、3次元のヤゲン先端形状(ヤゲン軌跡も含む)を、指定されたヤゲンモードに応じて決定する。その際、3次元ヤゲン先端形状を、ヤゲン周長を変えることなく変形させることを前提とし、その予想される変形量を算出する。ヤゲンモードがフレームならいのときやフレーム曲げが不可のときには変形できないから、変形しないとヤゲンが立たない場合には、その旨のエラーコードを出力する。
【0039】
その算出された変形量を、眼鏡フレームの材質毎に設けられた変形の限界量と比較し、限界量を越えていれば、その旨のエラーコードを出力する。なお、3次元のヤゲン先端形状を変形させることにより、アイポイント位置がずれるので、その誤差を補正するようにする。また、復元の誤差の補正も行う。これらの処理は選択的に行うことができる。
【0040】
以上のように、3次元のヤゲン加工の設計演算を行う。
〔S13〕図3のステップS9での指定が「注文」ならばステップS15へ進み、一方、「問い合わせ」ならば、問い合わせの結果を、公衆通信回線を介して眼鏡店100の端末コンピュータ101へ送り、ステップS14へ進む。
【0041】
〔S14〕工場200のメインフレーム201から送られてきた、問い合わせに対する結果に基づき、端末コンピュータ101がヤゲン加工完了時のレンズの予想形状あるいはエラー状況を画面表示装置に表示する。眼鏡店100のオペレータは、表示された内容によって、指定入力情報の変更や確認を行う。
【0042】
すなわち、図4のステップS11およびステップS12での加工設計演算においてエラーが発生していないならば、図2の端末コンピュータ101の画像表示装置の画面に順次、レンズ厚さおよびレンズ重量を表示するオーダエントリ着信画面、眼鏡フレームに指定されたレイアウト情報に従ってレンズがどのように配置されるかを視覚的に表示するレイアウト確認図、フレームに枠入れされて空間的に配置された左右のレンズを任意の方向からみた立体図、レンズの形状や、コバとヤゲンとの位置関係を詳しく表示したヤゲン確認図、左右両方のレンズのコバ厚さとヤゲン位置とをヤゲンに沿って展開した左右ヤゲンバランス図を表示する。
【0043】
また、図4のステップS11およびステップS12での加工設計演算において、エラーが発生しているならば、図2の端末コンピュータ101の画面表示装置に、エラーの内容に応じたメッセージが表示される。
【0044】
〔S15〕図3のステップS9での指定が「注文」ならば、このステップを実行し、図4のステップS11およびステップS12での加工設計演算においてエラーが発生したか否かを判別する。エラーが発生していれば、その結果を、公衆通信回線を介して眼鏡店100の端末コンピュータ101へ送り、ステップS17へ進む。一方、エラーが発生していなければ、その結果を、公衆通信回線を介して眼鏡店100の端末コンピュータ101へ送り、ステップS16へ進むとともに、ステップS18に進む。
【0045】
〔S16〕眼鏡店100の端末コンピュータ101の画面表示装置に「注文を受け付けた」旨の表示を行う。これにより、フレームに確実に枠入れ可能な縁摺り加工前またはヤゲン加工後のレンズを発注できたことが確認できる。
【0046】
〔S17〕注文のレンズは、レンズ加工設計演算またはヤゲン加工設計演算においてエラーが発生していて加工のできないレンズであるから、「注文を受け付けられない」旨の表示を行う。
【0047】
〔S18〕ステップS9で「注文」が指定されていて、しかもレンズの加工設計演算またはヤゲンの加工設計演算においてエラーが発生していなかった場合には、工場200で、レンズ裏面の研磨加工、レンズの縁摺り加工、およびヤゲン加工等の実際の加工を行う。
【0048】
すなわち、予め、ステップS11でのレンズ加工設計演算結果が図2の端末コンピュータ210に送られており、荒擦り機211と砂掛け研磨機212とにより、送られた演算結果に従い、レンズ裏面の曲面仕上げを行う。さらに、図示がない装置により、染色や表面処理が行われ、縁摺り加工前までの加工が行われる。なお、こうした加工が完了している在庫レンズの使用が指定されたときは、これらの加工工程はスキップされる。そして、縁摺り加工前まで加工された眼鏡レンズの光学性能、外観性能の品質検査を行う。この検査には、図2の端末コンピュータ220、レンズメータ221、肉厚計222が利用され、光学中心を示す3点マークが施される。なお、縁摺り加工前までのレンズを眼鏡店100から注文された場合には、上記品質検査を行った後、そのレンズを眼鏡店100へ出荷する。
【0049】
つぎに、ステップS12で演算された結果に基づき、図2の端末コンピュータ230、マーカ231、画像処理機232等により、レンズ保持用のブロック治工具をレンズの所定の位置に固定する。このブロック治工具に固定されたレンズを、図2のレンズ研削装置241に装着する。
【0050】
図2のメインフレーム201がステップS12のヤゲン加工設計演算と同様の演算を行い、3次元ヤゲン先端形状を算出する。ただし、実際の加工では、計算上で把握したレンズの位置と実際のレンズの位置とに誤差が生じる場合があるので、加工座標への座標変換が終了した時点で、この誤差の補正を行う。
【0051】
そして、この算出された3次元ヤゲン先端形状を基に、所定の半径の砥石で研削加工する際の加工座標上の3次元加工軌跡データを算出する。この算出された加工軌跡データが端末コンピュータ240を介してNC制御のレンズ研削装置241に送られる。レンズ研削装置241は、送られたデータに従い、レンズの縁摺りおよびヤゲン加工を行う。
【0052】
最後に、端末コンピュータ250およびヤゲン頂点の形状測定器251により、ヤゲン加工完了レンズのヤゲン頂点の周長および形状を測定する。端末コンピュータ250は、ステップS12の演算で求められた設計ヤゲン頂点周長と、形状測定器251により測定された測定値とを比較し、それらの差が、例えば0.1mm以内ならば合格品と判断する。
【0053】
以上のようにして出来上がったヤゲン加工上がりレンズを眼鏡店100へ出荷する。図5は、図3のステップS6で行われる眼鏡フレームの形状測定に使用されるフレーム形状測定器102の構造の概略を示す斜視図である。なお、フレーム形状測定器については、本出願人の出願になる特開平1−305308号公報に詳細な開示があり、本実施例ではそのフレーム形状測定器を用いる。
【0054】
フレーム形状測定器は、図示しない眼鏡フレーム保持手段によって所定位置に動かないように保持された眼鏡フレームFの眼鏡枠Frの形状を測定する測定部1を備えている。この測定部1はU字状の回転台2を備え、この回転台2はその下端面に取り付けられたタイミングプーリ(図示せず)、タイミングベルト4およびタイミングプーリ5を介してモータ6によってΘ方向に回転駆動される。この回転の角度は、回転台2に取り付けられた上記図示のないタイミングプーリに、タイミングベルト7とタイミングプーリ8とを介して接続されたロータリエンコーダ9によって検出される。モータ6とロータリエンコーダ9とは、本フレーム形状測定器の基板10(図5では、測定器の他の部品を見易くするため、一部しか示していないが、実際には回転台2の下に一面に存在する)に固定され、そして上記図示のないタイミングプーリおよび回転台2は図示していない軸受によって基板10に対して回転可能に軸承されている。
【0055】
測定部1の回転台2は2枚の側板11,12と、これら両側板を連結する長方形の中央板13とからなっている。側板11と側板12との間には、2本のスライドガイドシャフト14,15が平行に固定されている。これらスライドガイドシャフト14,15に沿って水平なスライド板16がE方向に滑動可能に案内されている。この案内のために、スライド板16はその下面に、回転自在な3個のスライドガイドローラ17,18,19を備えている。この場合、一方のスライドガイドシャフト14に2個のスライドガイドローラ17,18が接触し、他方のスライドガイドシャフト15に1個のスライドガイドローラ19が接触し、これらのスライドガイドローラ17,18,19はスライドガイドシャフト14,15を両側から挟むようにしてそれぞれスライドガイドシャフト14,15に沿って転動する。
【0056】
スライド板16には、そのスライド方向Eに定荷重ばね20が作用し、スライド板16は一方の側板12の方へ引っ張られている。この定荷重ばね20はブッシング21に巻き取られ、軸22とブラケット23とを介して側板12に固定されている。定荷重ばね20の他端はスライド板16に取り付けられている。定荷重ばね20は、後述のスタイラス30を眼鏡枠Frの内周溝に押しつける作用がある。
【0057】
スライド板16のE方向の移動量Rは、変位計測スケールとしての反射型のリニアエンコーダ24で測定される。このリニアエンコーダ24は、回転台2の側板11と側板12との間に延設されたスケール25と、スライド板16に固定され、かつスケール25に沿って移動する検出器26と、アンプ27と、このアンプ27と検出器26とを接続するフレキシブルケーブル28とからなっている。アンプ27は側板12に固定されたブラケット29に取り付けられている。
【0058】
スライド板16の移動によって、検出器26はスケール25の面と一定の距離を保ちながら移動する。この移動に対応して、検出器26はパルス信号をフレキシブルケーブル28で接続されたアンプ27へ出力する。アンプ27ではこの信号を増幅して、カウンタ(図示せず)を経て移動量Rとして出力する。
【0059】
スライド板16には、測定子としてのスタイラス30が保持されている。このスタイラス30はスライド板16に固定されたスリーブ31の中ですべり軸受によって上下方向(Z軸方向)に移動自在に、かつ回転自在に軸承されている。スタイラス30は算盤玉状の頭部32を持ち、この頭部32が定荷重ばね20の作用により眼鏡枠Frの内周溝に接触し、回転台2の回転により眼鏡枠Frの内周溝に沿って転動する。
【0060】
その際、スタイラス30は眼鏡枠Frの形状に対応して半径方向に移動する。この半径方向の移動量Rは前述のようにスリーブ31とスライド板16とを介してリニアエンコーダ24で測定される。
【0061】
また、スタイラス30は眼鏡枠Frのカーブに対応してZ軸方向に移動する。このZ軸方向の移動量を検出するのが変位計測スケールとして形成されたZ軸測定器33である。このZ軸測定器33は、スライド板16に固定され、スタイラス30のZ軸方向への動きを、スタイラス30の両側に配置された内蔵の電荷結合素子(CCD)ラインイメージセンサと、光源である発光ダイオード(LED)とにより、変位量Zとして検出する。
【0062】
つぎに、以上のように構成されるフレーム形状測定器の作動を説明する。眼鏡フレームFを、図示しない眼鏡フレーム保持手段に固定保持し、スタイラス30の頭部32を眼鏡枠FrのV字形の内周溝に接触させ、図示していない制御装置によりモータ6を回転させる。それにより、タイミングベルト4で連結された回転台2が回転し、スタイラス30が眼鏡枠Frの内周溝に接触しながら転動する。測定部1の回転は、タイミングベルト7で連結されたロータリエンコーダ9を回転し、回転角(θ)として検出される。スタイラス30の半径方向の移動量は、リニアエンコーダ24によってスライド板16のE方向の移動量Rとして検出され、上下方向の移動量はZ軸測定器33によってスタイラス30のZ軸方向の移動量Zとして検出される。なお、これらの円筒座標をなす値θ,R,Zは、連続して測定されるものでなく、回転角(θ)の所定増加量毎に間欠的に測定されて、図2の端末コンピュータ101に入力されるものである。したがって、この入力座標値を以下、3次元測定形状データ(Rn,θn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)と表すことにする。Nが1回転での測定回数を表す。
【0063】
以下、本実施例において、添字nを用いて(n=1,2,3,・・・,N)等で表された点列およびベクトル等は、この添字nの数値の順に空間的に並んでおり、かつ、この添字nに対して周期がNである周期的なデータを意味する。
【0064】
回転台2が1回転すると、眼鏡フレーム保持手段が、眼鏡フレームFを保持したまま所定量スライド移動し、これによりスタイラス30が他方の眼鏡枠に設定され、他方の眼鏡枠の形状測定が行われる。眼鏡フレーム保持手段の所定のスライド量は予め一定値に設定されているので、この設定値と左右の眼鏡枠Frの測定データとから両眼鏡枠の相対的な位置関係を知ることができる。この設定値を3次元的に表現して、以下、相対的位置データ(δX,δY,δZ)とする。これらのデータも図2の端末コンピュータ101に入力される。なお、端末コンピュータ101には、各種定数、例えばスタイラス30の半径SR、内周溝角度BA、内周溝幅BW等が予め入力されている。
【0065】
図6は、これらのデータが送られた端末コンピュータ101における計算処理の手順を示すフローチャートであり、図3のステップS6内での処理内容に相当する。図中、Sに続く数字はステップ番号を表す。
【0066】
〔S601〕3次元測定形状データ(Rn,θn,Zn)は、厳密にはスタイラス30の頭部32の中心軸の軌跡を表すデータであり、眼鏡枠の内周溝形状を示していないので、正確な眼鏡枠形状(内周溝の形状)を得るためには、スタイラス30の先端部(内周溝の底に接触する部分)が描く包絡線を求めねばならない(本実施例ではこの包絡線を求める計算をオフセット計算と呼ぶ)。これを図7および図8を参照して説明する。
【0067】
図7は、片側の眼鏡枠の内周溝形状に沿ったスタイラス頭部の中心軸の軌跡41を3次元座標で表したものであり、図8は、XY平面上に射影したスタイラス頭部32の中心軸の軌跡41、および片側の眼鏡枠の内周溝形状43を示す図である。
【0068】
まず、図7に示すように、円筒座標値である測定形状データ(Rn,θn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)を、原点42を共有する直交座標値(Xsn,Ysn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)に変換する。
【0069】
つぎに、図8に示すように、内周溝形状43は、スタイラス頭部32の中心軸の軌跡41を法線方向にスタイラス30の半径SRだけ変形した形状である点に着目し、内周溝形状43を算出する。すなわち、スタイラス頭部32の中心軸の軌跡41のj番面の点(Xsj,Ysj)における法線ベクトルを(SVxj,SVyj)とすれば、対応する内周溝形状43の直交座標値(Xj,Yj)は、(Xsj,Ysj)に法線ベクトル(SVxj,SVyj)を加えることで得られる。これをj=1からj=Nまで計算することで、内周溝形状座標値(Xn,Yn)(n=1,2,3,・・・,N)を算出する。なお、この内周溝形状のZ軸座標値Znは、直交座標値(Xsn,Ysn,Zn)のZnと等しい。
【0070】
〔S602〕ところで、同一の眼鏡枠を測定したとしても、スタイラスの形状が異なれば、スタイラス頭部32の先端部の位置が変化して内周溝から離れてしまうことがあり得、その結果、ステップS601で求めた内周溝形状が変化してしまう。また、スタイラス頭部32の径方向は、機構上常に、フレーム形状測定器102のZ軸方向に垂直な平面上にあるのに対して、眼鏡枠はZ軸方向にも変化する形状を有しているため、内周溝が、フレーム形状測定器102のZ軸方向に垂直な平面に対して傾きを持つことがある。この場合にも、傾きに応じてスタイラス頭部32の先端部の位置が変化する。本ステップは、以上のようなスタイラスの位置の変化を考慮して、内周溝の底の周形状を求めるものである。以下、図9〜図13を参照して説明する。
【0071】
図9および図10は内周溝44とスタイラス頭部32とを示す斜視図であり、図9は眼鏡枠形状がZ軸方向に変化しないが、スタイラス先端が内周溝の底に接触できない場合を示し、一方、図10は眼鏡枠形状がZ軸方向に変化しているために、スタイラス先端が内周溝の底に接触できない場合を示す。図11は図9に示される内周溝44およびスタイラス頭部32のZX平面図である。図12は図10に示される内周溝44およびスタイラス頭部32のXY平面図であり、図25は図10に示される円32dを通る平面図である。図13は眼鏡枠とレンズヤゲンとのZX平面図である。
【0072】
図9に示すような、眼鏡枠の形状がZ軸方向に変化していない場合、スタイラス頭部32と内周溝44との接触状態は、図11(A)〜(C)に示すように、同一の内周溝形状であっても、スタイラス頭部32の形状によって変化する。したがって、スタイラス頭部32の先端部32aと内周溝44の底44aとの距離Hnを、内周溝角度BA、溝幅BW、スタイラス頭部32の先端部の角度SA、スタイラス頭部32の幅SWから求める。すなわち、図11(A)に示すような、SA≦BAの場合、常にスタイラス頭部32の先端部32aが内周溝44の底44aに接触しているので、Hn=0となる。また、図11(B)に示すような、SA>BA、かつBW≧SWの場合、スタイラス頭部32の上端32bおよび下端32cが内周溝44の壁面に接触するので、SWおよびSAから高さVbを求め、また、SWおよびBAから高さTbを求め、下記式に基づき距離Hnを求める。 Hn=Tb−Vb さらに、図11(C)に示すような、SA>BA、かつBW<SWの場合、スタイラス頭部32の側面が内周溝44の上縁44b,44cに接するので、BWおよびSAから高さVcを求め、また、BWおよびBAから高さTcを求め、下記式に基づき距離Hnを求める。 Hn=Tc−Vc
【0073】
図10に示すように、眼鏡枠の形状がZ軸方向に変化している場合、スタイラス頭部32と内周溝44の接触状態は、内周溝44がZ軸方向に垂直な平面となす角度TAの変化によって変わる。この変化によりステップS601で算出された内周溝形状座標値(Xn,Yn)に誤差が生じてしまうため、この誤差の補正を行う必要がある。
【0074】
すなわち、スタイラス頭部32の先端部32aの角度SAが内周溝角度BA以下であるときは、内周溝44がZ軸方向に垂直な平面となす角TAの大きさに拘らず、スタイラス頭部32の先端部は必ず内周溝44の壁面に接触する。よって、スタイラス頭部32の先端部と内周溝44の壁面との接触状態における誤差補正のみを考えればよい。まず、内周溝角度BAと、角度TAとから、スタイラス頭部32の先端部32aを含む平面(図10においてX軸およびY軸を含む平面)が内周溝44に交差してできる2つの線分La,Lbがなす角度βを求める。そして、スタイラス頭部32の先端部32aと内周溝44の底44aとの距離Hnを、角度βとスタイラス頭部32の先端部32aの半径SRとから求める。すなわち、まず図12(A),(B)に示すように、スタイラス頭部32の先端部32aの半径SRの円が、角度βで交差する2つの線分La,Lbに同時に接するときの接点44dと接点44eとの間の距離SDWを求める。また、内周溝44の上縁44b,44c間の距離BDWを求める。なお、2つの線分La,Lbがスタイラス頭部32の先端部32aの円に接しないときには、この円に接するようにこれらの線分を平行移動してから距離SDWを求める。そして、図12(A)に示すようなBDW≧SDWの場合、スタイラス頭部32の先端部32aが、接点44dと接点44eとにおいて内周溝44の壁面に接しているので、SDWおよびSRから高さVSaを求め、また、SDWおよびβから高さTSaを求め、下記式に基づき距離Hnを求める。 Hn=TSa−VSa
【0075】
また、図12(B)に示すようなBDW<SDWの場合、スタイラス頭部32の先端部32aが、内周溝44の上縁44b,44cに接するので、BDWおよびSRから高さVSbを求め、また、BDWおよびβから高さTSbを求め、下記式に基づき距離Hnを求める。 Hn=TSb−VSb こうして求められた距離Hnを、眼鏡枠1周に亘って算出し、それを補正量Hn(n=1,2,3,・・・,N)とする。
【0076】
つぎに、スタイラス頭部32の先端部32aの角度SAが内周溝角度BAより大きいときには、内周溝44がZ軸方向に垂直な平面となす角TAの大きさによっては、スタイラス頭部32の上端32bおよび下端32cが内周溝44の壁面に接触してしまい、スタイラス頭部32の先端部32aが必ずしも内周溝44の壁面に接触しない。よって、スタイラス頭部32の上端32bおよび下端32cが内周溝44の壁面に接触する状態も考慮して補正量Hn(n=1,2,3,・・・,N)を求める。すなわち、まず、スタイラス頭部32の先端部32aから上端32bおよび下端32cに至る間のどの位置で内周溝44の壁面に接するのかを考える。ここで、スタイラス頭部32の形状は上端方向と下端方向とが対称であるので、以下ではスタイラス頭部32の先端部32aから上端32bに至る間のみを考える。図10に示すように、スタイラス頭部32の先端部32aの円の中心をO1とし、この中心O1からZ軸方向へ距離dだけ離れた点O2を中心とするスタイラス頭部32の側面上の円32dが、内周溝44の壁面に接しているとする。この円32dを通る平面(図10でXY平面に平行な面)を図25(A)に示す。図25(B)は図25(A)の一部拡大図である。図25において、まず、内周溝44の底44aから円32dの中心O2までの水平方向距離dsを求める。ここでは、内周溝44の壁面線44a−44b,44a−44cがなす角β* の2等分線の方向を垂直方向とし、この2等分線に直角な方向を水平方向とする。dsは角度TAと距離dとから下記式に基づき与えられる。 ds=d/tan TA つぎに、内周溝44の壁面線44a−44bと円32dの中心O2を通る垂直線との交点を44a* とするとき、内周溝44の底44aから点44a* までの垂直方向距離ts(d)は、距離dsと角β* とから求まり、この距離ts(d)はdをパラメータとする関数となっている。ところで、点44a* を、図11,12における内周溝44の底44aと仮定すれば、図11,12を参照して説明した距離Hnの算出と同様な方法により、円32dの下端と点44a* との距離hn(d)を算出することができる。ここで算出される距離hn(d)はdをパラメータとする関数となっている。なお、図25に記号(* )を添えて示される部分は、こうした仮定における図11,12の対応部分を示している。さらにここで、円32dの中心O2から内周溝44の底44aまでの垂直方向の距離TO(d)を下記式に基づき算出する。 TO(d)=sr(d)+hn(d)+ts(d) sr(d)は、dをパラメータとして表した円32dの半径である。TO(d)はdをパラメータとする関数となっている。そして、円32dが、スタイラス頭部32の先端部32a(d=0)からスタイラス頭部32の上端32b(d=SW/2)まで変化するとしたときに、距離TO(d)が最大となる距離dの値d0を求める。この値d0の距離にある位置を中心とするスタイラス頭部32の側面の円が、内周溝44の壁面に実際に接する円である。このときの距離Hnは、下記式に基づき算出される。 Hn=TO(d0)−SR なお、以上の図25を参照して説明したケースは、発生が稀なケースであるので、計算処理速度を高めるために省略するようにしてもよい。
【0077】
ところで、ヤゲン加工の際に必要な形状は、測定した眼鏡枠にヤゲン加工後のレンズが嵌合したと仮定した状態におけるヤゲンの先端軌跡の形状である。ここでは、これをヤゲン先端軌跡形状と呼ぶことにする。ヤゲン先端軌跡形状の位置55は、図13に示すように、内周溝角度BA、内周溝幅BW、およびヤゲン頂角YAが決まれば、内周溝の底から一定の距離の位置にある。この距離をヤゲン溝間距離BYと呼ぶことにする。ヤゲン先端軌跡形状を最終的な眼鏡枠形状として求めるために、求めた補正量Hn(n=1,2,3,・・・,N)からヤゲン溝間距離BYを引いたものを、新たな補正Hn(n=1,2,3,・・・,N)とする。
【0078】
補正量Hnの補正方向は、図12(C)に示すように、内周溝形状座標値(Xn,Yn,Zn)をXY平面に射影した形状の法線方向と等しいから、この法線方向へ補正量Hnだけ変形した補正形状45を改めて眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)とおく。
【0079】
なお、この実施例では、スタイラス頭部32は算盤玉状をなしているが、スタイラス頭部の形状がZ軸方向に対して回転対称であり、回転対称軸を含む断面形状が予め分かっていれば、スタイラス頭部と傾いた内周溝44との接触状態を計算によって把握することができ、したがって、上記と同様に補正を行うことが可能である。
【0080】
〔S603〕ステップS602で補正された眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)から眼鏡枠形状(内周溝の底の周形状)の周長FLNを算出する。眼鏡枠形状の周長FLNは、眼鏡枠形状の各点間の距離の総和として次式(1)により算出される。
【0081】
FLN=Σ〔((Xi −Xi+1)2 +(Yi −Yi+1)2 +(Zi −Zi+1)2 )1/2 〕(i=1〜N) ・・・(1)ただし、上記式(1)において、i=Nのときはi+1を1とする。
【0082】
〔S604〕一般に、眼鏡フレームがフレーム形状測定器102に保持されて眼鏡枠の形状が測定される際には、左右の眼鏡枠の正面方向はフレーム形状測定器102のZ軸方向に対してそれぞれ傾いている。この各傾きを把握するために、左右の眼鏡枠の正面方向のベクトルを決定する。
【0083】
本発明において、眼鏡枠の正面方向は、眼鏡枠を正面方向に垂直な平面に射影した2次元形状が囲む面積が最大となる方向であると定義することによって、眼鏡枠の正面方向を把握する。この眼鏡枠の正面方向の定義方法に関しては、具体的には種々の方法がある。
【0084】
図14はそれらのうちの厳密な定義方法の一例を示すもので、眼鏡枠形状座標値のほぼ中央に位置する点G(例えば、眼鏡枠形状座標値のX,Y,Z各成分の加重平均値として与えられる重心位置)を起点とし、眼鏡枠形状の各座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)を終点とするベクトルVn (n=1,2,3,・・・,N)を示す斜視図である。眼鏡枠の正面方向の単位ベクトルFVは、ベクトルVn (n=1,2,3,・・・,N)を用いて、次式(2)により求めることができる。
【0085】
FV=Σ(Vi ×Vi+1 )/||Σ(Vi ×Vi+1 )|| (i=1〜N)・・・(2)ただし、「×」はベクトルの外積を表し、またi=Nのときi+1を1とする。
【0086】
また、眼鏡枠の正面方向を近似的に求めることもできる。本実施例では、この近似的方法を用いており、この方法を図15を参照して説明する。図15は一方の眼鏡枠の正面方向を示す斜視図である。まず、ステップS602で補正された眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)の中で、Xnが最大値になる眼鏡枠形状上の点をA、Xnが最小値になる眼鏡枠形状上の点をB、Ynが最大値になる眼鏡枠形状上の点をC、Ynが最小値になる眼鏡枠形状上の点をDとする。つぎに、点Aから点Bに至るベクトルをH、点Cから点Dに至るベクトルをVとする。そのとき、眼鏡枠の正面方向の単位ベクトルFVは、2つのベクトルH,Vに垂直なベクトルであると定義し、そのベクトルFVを算出する。
【0087】
〔S605〕ステップS601〜S604の処理が、左右の眼鏡枠形状測定データに対して施されたか否かを判別し、この答えが肯定(YES)ならばステップS606へ進み、否定(NO)ならばステップS601へ戻る。
【0088】
〔S606〕これまでに得られた左右の眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)はそれぞれ座標原点が異なるので、前述の相対的位置データ(δX,δY,δZ)を用いて同一の点を原点とする同一の座標の座標値にそれぞれ変換する。これを、図16を参照して説明する。
【0089】
図16は、3次元の同一の直交座標上に配置された左右の眼鏡枠の斜視図である。まず、右の眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)をX軸、Y軸、Z軸方向にそれぞれ、−δX/2,−δY/2,−δZ/2だけ平行移動した座標値を算出して改めて右眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn)(n=1,2,3,・・・,N)とするとともに、このときの正面方向単位ベクトルを改めてFVrとする。
【0090】
つぎに、左の眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)をX軸、Y軸、Z軸方向にそれぞれ、δX/2,δY/2,δZ/2だけ平行移動した座標値を算出して改めて左眼鏡枠形状座標値(Xln,Yln,Zln)(n=1,2,3,・・・,N)とするとともに、このときの正面方向単位ベクトルを改めてFVlとする。
【0091】
〔S607〕ステップS606で求めた左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlから眼鏡の正面方向を算出し、その正面方向がZ軸方向に一致するように左右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)および左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを回転移動する。これを、図17を参照して説明する。
【0092】
図17は、左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlおよび眼鏡の正面方向単位ベクトルFVMを示す斜視図である。本実施例では眼鏡装用時、左右の眼鏡枠は眼鏡の平面(眼鏡の正面方向に垂直な平面)に対して同一の傾きをなすものとして、眼鏡の正面方向を、左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlの和のベクトルの方向に定義する。すなわち、この和のベクトルの単位ベクトルを、眼鏡の正面方向単位ベクトルFVMとする。
【0093】
つぎに、眼鏡の正面方向がZ軸方向に一致するように、右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn)(n=1,2,3,・・・,N)および左の眼鏡枠形状座標値(Xln,Yln,Zln)(n=1,2,3,・・・,N)ならびに左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを、原点を中心に回転移動した新たな変換値を算出する。〔S608〕ステップS607で変換された左右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)から、XY平面内における眼鏡のデータムラインとX軸方向とのなす角θdを求め、データムラインがX軸方向に一致するように、左右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)および左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを変換する。すなわち、まず、算出された眼鏡の正面方向に垂直な平面に左右の眼鏡枠を射影した2次元形状を用い、左右の眼鏡枠の上方に接する接線と同一方向の単位ベクトルと、左右の眼鏡枠の下方に接する接線と同一方向の単位ベクトルとの和の方向を眼鏡のデータムライン方向として算出する。これを、図18を参照して説明する。
【0094】
図18は、XY平面上(眼鏡の正面方向に垂直な平面)に射影された左右の眼鏡枠を示す平面図である。まず、眼鏡の上方で左右の眼鏡枠形状に同時に接する眼鏡上方接線L1がX軸方向となす角θaと、眼鏡の下方で左右の眼鏡枠形状に同時に接する眼鏡下方接線L2がX軸方向となす角θbとを求める。つぎに、眼鏡のデータムライン46がX軸方向となす角θdは、これら角θaと角θbとの中間の角度であるから、これらの平均値を求め、この平均値を角θdとする。
【0095】
つぎに、眼鏡のデータムラインがX軸方向に一致するように、ステップS607で変換された右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn)(n=1,2,3,・・・,N)および左の眼鏡枠形状座標値(Xln,Yln,Zln)(n=1,2,3,・・・,N)ならびに左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを、Z軸を回転軸として角θdだけ回転移動した新たな変換値を再度算出する。
【0096】
〔S609〕ステップS608で再度変換された左右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)を基に、眼鏡枠間距離を算出する。これを、図19を参照して説明する。
【0097】
図19は、眼鏡枠間距離を示す左右の眼鏡枠の斜視図である。すなわち、右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn)の中で、Xrnが最大値となる点Sと、左の眼鏡枠形状座標値(Xln,Yln,Zln)の中で、Xlnが最小値となる点Tとを求め、点Sから点Tに至るベクトルをZX平面に射影したベクトルの長さDBLを求める。この長さDBLは鼻幅であり、この実施例では、眼鏡枠間距離を、鼻幅DBLを用いて表す。
【0098】
〔S610〕ステップS608で再度変換された左右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)および左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlを基に、左右の眼鏡枠形状のAサイズ、Bサイズ、および幾何学中心(フレームセンタ)座標を算出するとともに、これら左右の眼鏡枠形状座標値(Xrn,Yrn,Zrn),(Xln,Yln,Zln)を、算出された各幾何学中心を原点とし、左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVr,FVlをZ軸方向に一致させた座標値にそれぞれ変換する。これを図20を参照して説明する。なお、以降のステップS610〜S612では、特に左右を区別する必要がないので、眼鏡枠形状座標値を(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)と、また眼鏡枠の正面方向単位ベクトルをFVと表記して説明するが、これらは左右のいずれをも表しているものである。
【0099】
図20は、眼鏡枠の正面方向がZ軸方向に一致するように変換された後の眼鏡枠形状のXY平面図である。すなわち、まず、眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVがZ軸方向に一致するように、眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)を、原点を中心に回転移動する。この移動による変換後の座標値(Xn,Yn,Zn)において、Xnの最大値および最小値をXmax,Xminとし、Ynの最大値および最小値をYmax,Yminとすれば、眼鏡枠形状のAサイズ47は、XmaxとXminとの差の絶対値として求められ、Bサイズ48は、YmaxとYminとの差の絶対値として求められる。
【0100】
また、幾何学中心(フレームセンタ)座標(FCx,FCy)は下記式(3),(4)により求められる。 FCx=(Xmax+Xmin)/2 ・・・(3) FCy=(Ymax+Ymin)/2 ・・・(4)つぎに、眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVがZ軸方向に一致するように、先に変換された眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)を、幾何学中心(FCx,FCy)を原点とする座標値に変換する。
【0101】
また、この眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)の2次元データ(Xn,Yn)(n=1,2,3,・・・,N)を、幾何学中心(FCx,FCy)を原点とする極座標値(Rn,θn)(n=1,2,3,・・・,N)に変換する。
【0102】
さらに、極座標値(Rn,θn)の中で、Rnの最大値を求め、それを2倍して有効径EDを算出する。〔S611〕ステップS610で求められた幾何学中心を原点とする眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)は、近似的にトーリック面上の閉曲線にのっていると見做し、そのトーリック面の方程式を求める。これを図21を参照して説明する。
【0103】
図21は、トーリック面の方程式を求めるための眼鏡枠49の斜視図である。図中、トーリック面の中心座標を(a,b,c)とし、またトーリック面の回転対称軸方向単位ベクトルを(p,q,r)とし、このトーリック面の中心座標(a,b,c)を含み回転対称軸方向単位ベクトル(p,q,r)に垂直な平面で前記トーリック面を切ったときにできる最大の円の半径をベース半径RBとし、また、トーリック面の中心座標(a,b,c)を含み回転対称軸方向単位ベクトル(p,q,r)に平行な平面で前記トーリック面を切ったときにできる円の半径をクロス半径RCとする。
【0104】
トーリック面を3次元座標上に定義するためには、中心座標(a,b,c)、ベース半径RB、クロス半径RC、回転対称軸方向単位ベクトル(p,q,r)を変数とするトーリック面の方程式を、眼鏡枠形状座標値(Xn,Yn,Zn)(n=1,2,3,・・・,N)のデータを用いて最小2乗近似法によって解き、これによって、中心座標(a,b,c)、ベース半径RB、クロス半径RC、回転対称軸方向単位ベクトル(p,q,r)を得るようにする。
【0105】
〔S612〕まず、ステップS608で再度変換された眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVを用いて、眼鏡枠の傾きTILTを算出する。これを図22を参照して説明する。
【0106】
図22は、眼鏡枠の傾きTILTおよびフレームPDの算出を説明する説明図であり、図22(A)は眼鏡枠の傾きTILTの斜視図、図22(B)は眼鏡フレームの平面図である。すなわち、図22(A)に示すように、眼鏡枠の傾きTILTは、眼鏡枠の正面方向単位ベクトルFVとYZ平面とのなす角として算出する。
【0107】
つぎに、この傾きTILTと、ステップS609で求めた鼻幅DBLと、ステップS610で求めたAサイズとを基に、幾何学中心間の距離であるフレームPDを算出する。すなわち、図22(B)に示すように、Aサイズは左右の眼鏡枠で異なるので、右の眼鏡枠のAサイズをAr、左の眼鏡枠のAサイズをAlとすると、フレームPD(FPD)は次式(5)で算出される。
【0108】
FPD=(Ar+Al)/2・cos(TILT)+DBL ・・・(5)〔S613〕左右の眼鏡枠形状は同一であることが望ましいが、一般に若干の差異がある。そこで、左右の眼鏡枠のバランスをとるために、左右の眼鏡枠形状を合わせるためのマージ処理を行う。このマージ処理の詳細を、図1を参照して説明する。
【0109】
図1は左右眼鏡枠形状のマージ処理の手順を示すフローチャートであり、図6のステップS613内での処理内容に相当する。図中、Tに続く数字はステップ番号を表す。
【0110】
なお、このフローチャートの説明に際し、適宜、図23および図24を参照する。図23は左右の眼鏡枠形状の差異量の検出を説明する斜視図であり、図24は新たな眼鏡枠形状を示す斜視図である。図24(B)は、図24(A)の部分52の拡大図である。
【0111】
〔T1〕まず、ステップS610で求めた各幾何学中心を原点とする左右の眼鏡枠形状の直交座標値(Xn,Yn,Zn)に基づき、左右の眼鏡枠形状の各周長を算出する。
【0112】
〔T2〕つぎに、一方においてステップS610で求めた各幾何学中心を原点とする左右の眼鏡枠形状の直交座標値(Xn,Yn,Zn)に基づき、加重平均値を算出し、左右それぞれの眼鏡枠形状の重心位置を算出する。
【0113】
〔T3〕そして、左の眼鏡枠形状のX座標値の符号を反転させた上で、図23に示すように、左右の眼鏡枠形状の各重心位置が同一の点Gに位置するようにして、左の眼鏡枠形状51を右の眼鏡枠形状50に重ね合わせる。ここで、点Gを中心とした各動径方向θiにおける左右の眼鏡枠間距離Lθiの総和を算出し、これを左右の眼鏡枠形状の差異量DEとする。
【0114】
ここで予め、その差異量DEに対して、所定の限界変形量を決めておく。
〔T4〕つぎに、図24(A)に示すように、右の眼鏡枠形状50を固定し、左の眼鏡枠形状51を点Gを中心に回転させ、差異量DEが最小となるようにする。そして、差異量DEが最小となったときの左の眼鏡枠形状(以下、これを第2の左の眼鏡枠形状とする)53が、先の眼鏡枠形状51から回転した回転角θsおよび回転軸ベクトルAVを求める。
【0115】
〔T5〕そして、この回転角θsおよび最小の差異量を、所定の回転角および差異量と比較し、前者が後者よりも大きく(所定の基準値を越えている)、左右眼鏡枠形状の差異が大きいならば、ステップT9へ進み、一方、前者が後者よりも小さく差異が小さいならば、ステップT6へ進む。
【0116】
〔T6〕つぎに、図24(B)に示すように、この第2の左の眼鏡枠形状53と右の眼鏡枠形状50との中間となる混合眼鏡枠形状54を算出する。すなわち、各動径方向θiにおける左右の眼鏡枠位置の中点Mを求める。また、混合眼鏡枠形状54の決定は、中点を採用する以外にも、第2の左の眼鏡枠形状53、および右の眼鏡枠形状50のうちの対応する各部分の間の距離を、所定の比率で分割された点の集合形状として算出してもよい。
【0117】
〔T7〕そして、この混合眼鏡枠形状54に基づき、新たな左右の眼鏡枠形状を決定する。すなわち、混合眼鏡枠形状54の座標値を求め、それを新たな右の眼鏡枠形状座標値とし、かつ、混合眼鏡枠形状54の座標値を、点Gを通る回転軸ベクトルAVを中心に回転角θsだけ、先程とは逆方向へ回転させ、新たな左の眼鏡枠形状座標値とする。
【0118】
〔T8〕ステップT7で決定された新たな左右の眼鏡枠形状の各周長がステップT1で算出された左右の眼鏡枠形状の周長に一致するように、ステップT7で決定された新たな左右の眼鏡枠形状を相似形状にそれぞれ変形する。
【0119】
〔T9〕ここで求めた差異量DEおよび回転角θsは、左右の眼鏡枠形状のバランスの悪さを表す値であるから、これらの値が所定の限界値を越えているときには、マージ処理を行わず、左右の眼鏡枠形状のバランスが異常であることを示すエラーコードを出力するようにする。このエラーコードが出力されたときには、目視により左右の眼鏡枠形状のうちの好ましい方を選び、その選ばれた方の形状に他方の形状を合わせるようにする。
【0120】
なお、以上のマージ処理により、左右の眼鏡枠形状が変化してしまっているので、ステップS610〜S612を再度実行する。以上の実施例では、3次元形状におけるマージ処理を示したが、同様の方法でXY成分だけを使って2次元のマージ処理を行うようにしてもよい。ただし、その場合には、眼鏡枠形状は、ステップS611で求めたトーリック面上の形状であるとする。
【0121】
尚、上記の発明は、従来の方法において、一方の眼鏡枠を固定化して、それを基準とするので、例えば、左右の実際の眼鏡枠形状の間に大きな差異が存在する場合に、他方の眼鏡枠形状を大幅に変形させねばならなくなる。しかし、その変形量にも限度がある。しかるに、従来は、必要な変形量をあらかじめ把握して変形可能なものであるか否か等を客観的に確認するための適当な方法がなかったという課題も解決するものである。
【0122】
即ち、本発明は、左右の眼鏡枠形状の相違をできるだけ客観的に把握できるように処理して左右の眼鏡枠形状を重ね合わせる左右眼鏡枠形状重ね合わせ方法を提供することで、上述の課題を解決した。
【0123】
具体的には、第1の手段は、眼鏡枠形状測定装置によって測定された左右の眼鏡枠形状データに座標変換処理を含む処理を加えて左右の眼鏡枠形状を重ね合わせる左右眼鏡枠形状重ね合わせ方法であって、前記眼鏡枠形状データから左右眼鏡枠形状の各重心位置を算出する処理をし、次に、前記左右眼鏡枠形状の重心を一致させて重ね合わせる処理をして左右眼鏡枠形状を重ね合わせることを特徴とする左右眼鏡枠形状重ね合わせ方法である。第2の手段は、眼鏡枠形状測定装置によって測定された左右の眼鏡枠形状データに座標変換処理を含む処理を加えて左右の眼鏡枠形状を重ね合わせる左右眼鏡枠形状重ね合わせ方法であって、前記眼鏡枠形状データから左右眼鏡枠形状の各重心位置を算出する処理をし、次に、前記左右眼鏡枠形状の重心を一致させて重ね合わせる処理をし、次に、前記重心位置を中心とした各動径方向における左右の眼鏡枠間距離の総和を算出してこれを左右の眼鏡枠形状の差異量とし、この差異量が最小になるように前記左右の眼鏡枠形状の一方を回転させる処理をして左右眼鏡枠形状を重ね合わせることを特徴とする左右眼鏡枠形状重ね合わせ方法である。
【0124】
上記第1の手段によれば、前記眼鏡枠形状データから左右眼鏡枠形状の各重心位置を算出する処理をし、次に、前記左右眼鏡枠形状の重心を一致させて重ね合わせる処理をして左右眼鏡枠形状を重ね合わせるようにしており、また、第2の手段によれば、重心位置を中心とした各動径方向における左右の眼鏡枠間距離の総和を算出してこれを左右の眼鏡枠形状の差異量とし、この差異量が最小になるように前記左右の眼鏡枠形状の一方を回転させる処理をして左右眼鏡枠形状を重ね合わせるようにしているので、左右の眼鏡枠形状の相違を客観的に把握することができる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータと、この発注側コンピュータへ情報交換可能に接続された製造側コンピュータとにより、発注側より製造側へ、眼鏡枠の3次元の枠データ、及びこの3次元の枠データに基づいて求めた前記眼鏡枠のレンズ枠の周長を与えることで、加工者は前記眼鏡枠の正確な形状データを把握することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】左右眼鏡枠形状のマージ計算の手順を示すフローチャートであり、図6のステップS613内での処理内容に相当する。
【図2】本発明の眼鏡枠形状同形化方法が実施される眼鏡レンズの供給システムの全体構成図である。
【図3】眼鏡店での最初の入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】工場での処理の流れ、ならびに工場からの転送により眼鏡店で行われる確認およびエラー表示のステップを示すフローチャートである。
【図5】フレーム形状測定器の構造の概略を示す斜視図である。
【図6】眼鏡店の端末コンピュータにおける計算処理の手順を示すフローチャートであり、図3のステップS6内での処理内容に相当する。
【図7】片側の眼鏡枠の内周溝形状に沿ったスタイラス頭部の中心軸の軌跡の斜視図である。
【図8】XY平面上に射影したスタイラス頭部の中心軸の軌跡および片側の眼鏡枠の内周溝形状を示す平面図である。
【図9】内周溝とスタイラス頭部とを示す斜視図である。
【図10】内周溝とスタイラス頭部とを示す斜視図である。
【図11】図9に示される内周溝およびスタイラス頭部のZX平面図である。
【図12】図10に示される内周溝とスタイラス頭部のXY平面図である。
【図13】眼鏡枠とレンズヤゲンとのZX平面図である。
【図14】眼鏡枠形状座標値のほぼ中央に位置する点を起点とし、眼鏡枠形状の各座標値を終点とするベクトルを示す斜視図である。
【図15】眼鏡枠の正面方向を示す斜視図である。
【図16】3次元の同一の直交座標上に配置された左右の眼鏡枠の斜視図である。
【図17】左右の眼鏡枠の正面方向単位ベクトルおよび眼鏡の正面方向単位ベクトルを示す斜視図である。
【図18】XY平面上に射影された左右の眼鏡枠を示す平面図である。
【図19】眼鏡枠間距離を示す左右の眼鏡枠の斜視図である。
【図20】眼鏡枠の正面方向がZ軸方向に一致するように変換された後の眼鏡枠形状のXY平面図である。
【図21】トーリック面の方程式を求めるための眼鏡枠の斜視図である。
【図22】眼鏡枠の傾きおよびフレームPDの算出を説明する説明図である。
【図23】左右の眼鏡枠形状の差異量の検出を説明する斜視図である。
【図24】新たな眼鏡枠形状を示す斜視図である。
【図25】図10に示す円32dを通る平面を示す図である。
【符号の説明】
100…眼鏡店、101…端末コンピュータ、102…フレーム形状測定器、200…工場、201…メインフレーム、202…LAN、210…端末コンピュータ、211… 荒擦り機(カーブジェネレータ)、212… 砂掛け研磨機、220…端末コンピュータ、221…レンズメータ、222…肉厚計、230…端末コンピュータ、231…マーカ、232…画像処理機、240…端末コンピュータ、241…レンズ研削装置、242…チャックインタロック、250…端末コンピュータ、251…形状測定器、300…公衆通信回線

Claims (1)

  1. 眼鏡レンズの発注側に設置されたコンピュータと、この発注側コンピュータへ情報交換可能に接続された製造側コンピュータと、この発注側コンピュータへ接続された3次元的眼鏡枠測定装置とを有する眼鏡レンズの供給システムであって、
    前記発注側コンピュータは、眼鏡レンズ情報、3次元的眼鏡枠形状情報を含む眼鏡枠情報、処方値、及びレイアウト情報を含めた枠入れ加工をする上で必要となる情報を入力し、発注に必要なデータを前記製造側コンピュータへ送信する処理を含む眼鏡レンズの発注機能を有し、
    一方、前記製造側コンピュータは、前記発注側コンピュータからの送信に応じて演算処理を行い、眼鏡レンズの受注に必要な処理を行う機能を備え、
    前記眼鏡枠情報は、前記3次元的眼鏡枠測定装置の測定子前記眼鏡枠の形状に従って3次元的に移動し、所定の角度毎に前記測定子の移動量を検出して前記眼鏡枠の3次元の枠データ(Rn,θn,Zn)を採取して得たものであり、
    前記発注側コンピュータは、前記3次元の枠データに基づいて前記眼鏡枠のレンズ枠の周長、眼鏡枠の傾きTILT、及びフレームPDを求め、これらを前記製造側コンピュータへ送信することを特徴とする眼鏡レンズの供給システム。
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