本実施形態の眼鏡パラメータ演算装置は、眼鏡レンズに加工治具であるカップCuを取り付けるためのカップ取付け装置1として説明する。
以下、本実施形態のカップ取付け装置1の構成を図面に基づいて説明する。図1はカップ取付け装置1及び眼鏡の装用者Wrを撮影するための装用者撮影装置(以下、撮影装置と略す)600の外観斜視図である。図2はカップ取付け装置1の筐体内部の概略構成図であり、図2(a)はカップ取付け装置1を正面方向から見た図、図2(b)はカップ取付け装置を側方から見た図である。 本実施形態において、カップ取付け装置1と撮影装置600は、有線または無線にて接続されている。撮影装置600によって撮影された眼鏡の装用者Wrの画像は、有線または無線によってカップ取付け装置1まで転送される。
<装用者撮影装置>
装用者撮影装置600は、装用者Wrを座らせる椅子601、ハーフミラー602、壁603、デジタルカメラ604、メモリ606を主に備える。ハーフミラー602は壁603にあいた穴に嵌っている。装用者Wrから見てハーフミラー602の奥にデジタルカメラ604が固定される。
図3は撮影装置600によって眼鏡装用者Wrの正面画像22を撮影する方法を説明する図である。装用者Wrはハーフミラー602に写った自身の目の位置と、壁603に記された高さ基準マーク605が合うように、椅子601(図1参照)の高さを調節する。椅子601の高さ調節が完了すると、装用者Wrはハーフミラー602越しにデジタルカメラ604のレンズを見て待機する。操作者は図示無き撮影ボタンを押し、後述する装用者Wrの正面画像22(図17参照)を撮影する。これによって、装用者Wrが眼鏡を装用した状態を正面方向から見たときの画像を撮影することができる。
なお、撮影装置600は、例えば、特開平10−055018号公報に記載の証明写真撮影装置等の構成を利用しても良い。
<カップ取付け装置>
図1を参照してカップ取付け装置1を説明する。カップ取付け装置1の上部奥には玉型形状測定ユニット(以下、測定ユニットと略す)5が配置される。測定ユニット5の手前の筺体上部に測定ユニット5の操作スイッチ部4、操作画面が表示されるカラーディスプレイのタッチパネル3が配置されている。本実施形態のタッチパネル3は表示部及び操作部として用いられるが、これに限らない。例えば、表示部はディスプレイ等であってもよいし、操作部はマウス等であってもよい。カップ取付け装置1から前側に張り出した台座1aの上部には、レンズ支持機構100が配置される。レンズ支持機構100はレンズLEが載置される3個の支持ピン120を持つ。カップ取付け装置1の右側には、カップCuをレンズ表面に固定するためのカップ取付け機構300が配置されている。カップ取付け機構300が持つアーム310の先端には、カップCuの基部が装着される装着部320が配置されている。台座1aの前側には、カップ取付け機構300を作動させるためのスイッチ2が配置されている。
図2を用いて説明する。カップ取付け装置1の前側に張り出した張出上部1bには凹面ミラー13が傾けて配置される。撮像光学系30は、レンズ支持機構100の中心を通る光軸L1からの光が凹面ミラー13によって反射される光軸L2方向に配置される。撮像光学系30は、レンズLEの像を撮像する撮像素子を含む。
<玉型形状測定ユニット>
測定ユニット5について図1を用いて説明する。測定ユニット5は、第1スライダー202、第2スライダー203、測定機構220を備える。
第1スライダー202と第2スライダー203は互いに対抗している。第1スライダー202には、一対のクランプピン230Ra,230Rbと、一対のクランプピン230La,230Lbが備わる。第2スライダー203には、一対のクランプピン240Ra,240Rbと、一対のクランプピン240La,240Lbが備わる。
クランプピン230Ra,230Rbは、眼鏡フレームFの右リムFR(図3参照)を厚み方向(上下方向)からクランプする。クランプピン230La,230Lbは、眼鏡フレームFの左リムを厚み方向(上下方向)からクランプする。同様に、クランプピン240Ra,240Rbは、眼鏡フレームFの右リムFRを厚み方向(上下方向)からクランプする。クランプピン240La,240Lbは、眼鏡フレームFの左リムFLを厚み方向(上下方向)からクランプする。
上記のクランプピンは同じ高さに配置され、本実施形態では、4対のクランプピンのクランプ中心(例えば、上下のクランプピンを接触させたときの接点)を含む面が測定基準面Mとして規定される。測定時、眼鏡フレームFは4対のクランプピンにクランプされることによって、固定される。なお、クランプピンの開閉機構の構成は、特開平4−93163号公報に記載されたものが使用できる。
図4は、玉型形状測定ユニット5の内部に配置される測定機構220の概略構成図である。測定機構220は、パルスモータ221、回転ベース222、固定ブロック225水平移動支基227、上下移動支基229、左右移動支基226、測定子軸231、測定子233、モータ235、エンコーダ236、モータ238、エンコーダ239、モータ234、エンコーダ237を主に備える。
パルスモータ221は水平方向に回転ベース222回転させる。回転ベース222は固定ブロック225に固定される。水平移動支基227は固定ブロック225によって図4上の左右方向に移動可能に支持される。上下移動支基229は、水平移動支基227によって図4上の上下方向に移動可能に支持される。
測定子軸231は上下移動支基229に回転自在に設けられる。測定子233は測定子軸231上の上端に取付けられる。測定子233の先端は測定子軸231上の軸心上にある。モータ235は、上下移動支基229を上下移動させる。エンコーダ236は、上下移動支基229の移動量を検出する。モータ238は水平移動支基227を水平移動させる。エンコーダ239は、水平移動支基227の移動量を検出する。モータ234は左右移動支基226を左右に移動させる。エンコーダ237は左右移動支基226の移動量を検出する。
上下移動支基229、水平移動支基227がモータ235、238によって移動されることで、測定子233は上下方向及び水平方向に移動される。左右移動支基226がモータ234によって移動されることで、測定機構220は、眼鏡フレームFの右リム測定位置と左リム測定位置との間で移動される。各モータ及びエンコーダは、制御部50に接続されている。
なお、測定ユニット5の構成は、上記構成にかぎらない。例えば、特開2010−60326号公報に記載の構成を用いることもできる。
<カップ取付け機構>
カップ取付け機構300の構成を図2によって説明する。装着部320を保持するアーム310は、アーム保持ベース312に取り付けられている。保持ベース312は、Y軸方向移動機構302によりカップ取付け装置1に向かって前後方向(Y軸方向)に移動可能に保持されている。Y軸方向移動機構302は、Z軸方向移動機構304によって上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持されている。Z軸方向移動機構304は、X軸方向移動機構306によってカップ取付け装置1に向かって左右方向(X軸方向)に移動可能に保持されている。これら移動機構302,304,306は、それぞれスライド機構及びモータ等を持つ周知の移動機構で構成できる。
また、装着部320は、カップCuの取付け中心軸S1(図2(a)参照)の軸回りに回転可能にアーム310に保持されている。アーム保持ベース312には、装着部320を回転するためのモータ330が配置され、アーム内にはモータ330によって回転される軸とギヤ等からなる回転伝達機構331が配置される。そして、モータ330の回転により装着部320が中心軸S1を中心に回転される。これによって、装着部320に装着されたカップCuの乱視軸を規定する方向が変えられる。
なお、カップ取付け機構は上記の構成に限らない。カップを保持できるカップ保持部(例えば装着部320)を備え、カップ保持部に保持されたカップを眼鏡レンズに対して相対的に移動または回転させ、レンズLEを一致させた状態でレンズLEにカップを取り付けることができればよい。
<レンズ支持機構>
図5は、レンズ支持機構100の説明図である。円筒ベース102の内部には、後述する再帰性反射部材及び受光光学系等が配置されている。円筒ベース102の上部には、透明な保護カバー48がリング部材104により取り付けられている。保護カバー48はレンズテーブルを兼ねている。円筒ベース102の外周部の3個所には、回転軸110がそれぞれ回転可能に保持されている。各回転軸110の上端には、アーム114が取り付けられている。そして、各アーム114の先に支持ピン120が取り付けられている。レンズLEが載せられる3つの支持ピン120は、光軸L1に対して等距離で、且つ、等角度(120度間隔)となる関係で配置されている。3個の支持ピン120の上端にレンズLEの後面が当接され、レンズLEが保持される。各回転軸110には、図示を略す回転伝達機構によりモータ140の回転が伝達される。これによって、各アーム114は、図5(a)の退避位置から、図5(b)の点線で示される支持位置に移動される。
上記の説明ではモータ140によりアーム114が移動される構成とした。しかし、これに限らず、レバー等の回転伝達部材を設け、手動操作でアーム114が連動して移動される構成とすることも可能である。
<光学系>
図6はカップ取付け装置1の光学系の概略構成図である。照明光学系10は、白色光を発するLED等の光源11と、光軸L2上に配置されたハーフミラー12と、光源11からの光軸L2に沿って進む照明光を光軸L1方向に向けて反射すると共に、光軸L1上に置かれたレンズLEより大きな径の略平行光束に整形する凹面ミラー13と、を備える。レンズLEには、照明光学系10によりレンズ表面側から照明光が照射される。
レンズLEの後面側の光軸L1上には、レンズの光学中心等を検出するための指標板16と、指標板16を通過した光束を受光する2次元の受光素子(CCD等の撮像素子)18からなる受光光学系15が配置されている。指標板16と受光素子18との間にレンズが配置される構成であっても良い。指標板16には、所定パターンの多数の開口(光通過口)が幾何学的に配置されている。
レンズLEは照明光学系10の照明光により照明される。レンズLEを透過した照明光は、指標板16の開口を通過し、その開口像が受光素子18により受光され、開口像の座標位置が検出される。
図6において、レンズLEと指標板16との間には、入射光を元の方向に戻す再帰性反射部材20が配置されている。本実施例の反射部材20は、光軸L1の中心部に配置された第1反射部材20aと、その回りに配置された円環状の第2反射部材20bとから構成されている。
第1反射部材20aは、指標板16の上面に貼り付けられ、固定されている。一方、第2反射部材20bは、中心部に開口を持つ円盤部材40に貼り付けられ、図示無き回転機構により光軸L1を中心にして回転される。
レンズLEの表面側には、再帰性反射部材20の反射光により照明されたレンズLEを撮像する撮像光学系30が配置されている。撮像光学系30は、照明光学系10の凹面ミラー13を共用し、光軸L2上のハーフミラー12の後方に配置された絞り31、撮像レンズ32、CCD等の撮像素子33を備える。絞り31は凹面ミラー13の略焦点位置に配置され、光源11と略共役な位置関係にされている。撮像光学系30の撮像倍率は、未加工のレンズの全体が撮像素子33により撮像される倍率とされている。また、撮像素子33のピント位置は、撮像レンズ32及び凹面ミラー13の結像光学系によってレンズLEの表面付近に合わされている。これによって、レンズ表面に付された印点、累進マーク、二重焦点レンズの小玉境界部分が撮像素子33によりほぼ焦点が合った状態で撮像される。
<制御系>
図7は、装置の制御系ブロック図である。受光素子18及び撮像素子33の出力は、制御部50に接続されている。制御部50は、撮像素子33により撮像されたレンズ像を画像処理し、レンズ表面に付された印点、累進マーク、二重焦点レンズの小玉境界、レンズの外形エッジ等の位置を検出する検出機能を持つ。また、制御部50は、受光素子18で受光された指標象(開口像)の座標位置を検出し、これを基にレンズLEの光学中心位置、乱視軸角度、レンズの概略的な屈折度数(球面度数S、乱視度数C)等を検出する機能を持つ。
制御部50がレンズLEの光学中心位置、乱視軸角度を検出する処理について、簡単に説明する。レンズLEが光軸L1上に置かれていない場合に(又は0Dのレンズが置かれている場合)、受光素子18により受光された開口像の座標位置を基準にし、屈折力を持つレンズLEを置いた場合には各開口像の受光位置が変化する。レンズLEの光学中心は、各開口像の位置変化の中心を求めることにより検出される。また、レンズLEが乱視度数を持つ場合には、各開口像の位置変化の方向を求めることにより、乱視軸角度が検出される。この検出方法は、特開2002−292547号公報と同様な方法が採用できる。レンズLEの光学中心及び乱視軸角度の検出は、レンズメータの屈折特性の測定と同様に、原理的には少なくとも3つ開口の指標像を基に検出できる。好ましくは、本実施形態のように、多数の幾何学的パターンの指標とする。また、指標は円形の開口に限らず、一定のパターンであれば良い。
制御部50には、カップ取付け機構300の移動機構302,304,306、モータ330,140が接続され、また、タッチパネル3、玉型形状測定ユニット5、スイッチ2、撮像素子33、メモリ51等が接続されている。
<玉型形状測定ユニットの動作>
測定ユニット5の動作を簡単に説明する。図1を参照する。まず、操作者は、スライダ202及びスライダ203に配置された4箇所のクランプピンによって測定基準面Mに眼鏡フレームFを固定する。眼鏡フレームFはクランプピンによって上リムと下リムが同一の高さに保持される。従って、測定基準面Mに対する上リムと下リムの高さは同一となる。つまり、眼鏡フレームFは測定基準面Mに対して前傾することなく平行に配置される。これによって、測定ユニット5によって測定される玉型は、前傾角度θf(図8参照)が0度の状態における測定結果として求められる。
本実施形態において前傾角度θfとは、図8に示すように、例えば、装用者Wrの遠方視軸Lfに垂直な直線Lnと眼鏡フレームFのなす角度を言うこととする。
操作者によってトレースボタン6(図1参照)が押されると、制御部50は、測定機構220を作動させる。制御部50は、モータ235,238(図4参照)を駆動させて測定子233の先端を眼鏡のレンズ枠の内溝に当接させる。続いて、パルスモータ221を予め定めた単位回転パルス数ごとに回転させる。この回転により、測定子233と共に水平移動支基227が眼鏡枠の動径に従って水平移動し、その移動がエンコーダ239により検出される。
また、測定子233と共に上下移動支基229が眼鏡フレームFの反りにしたがって上下し、その移動がエンコーダ236により検出される。パルスモータ221による回転ベース222の回転角(動径角)θ、エンコーダ239により検出される動径長r、及びエンコーダ236により検出される上下量zから、眼鏡フレームFの内溝の3次元玉型データが(rn,θn,zn)(n=1,2,…,N)として計測される。
片方のリムの測定が終了すると、制御部50は、左右移動支基を移動し、もう一方のリムの測定を開始させる。制御部50は、右リムFR及び左リムFLの三次元形状の測定結果と、モータ134によって左右移動支基226を移動したときの移動情報と、に基づいて左右玉型の中心間距離(FPD)、左右玉型の鼻側端距離(DBL)、眼鏡フレームFのフレーム反り角度(以下、反り角度と略す)θs等の情報を求める。レンズ枠の3次元形状については、片方のデータをミラー反転したデータを他方のデータとしても良い。
なお、制御部50は玉型形状測定ユニット5によって取得されたデータ及びそれを補正したデータをメモリ51に保存する。
そして、制御部50は、眼鏡フレームFの反り角度θsの影響を排除した2次元玉型データを得るため、次のように3次元玉型データ(rn,θn,zn)を眼鏡フレームFの反り方向へ投影した2次元玉型形状に補正する。
図9、図10は、反り方向へ投影した2次元玉型データD2(図11参照)の算出方法を説明する図である。制御部50は、3次元玉型データ(rn,θn,zn)を直交座標データである3次元玉型データD1(xn、yn、zn)に変換する。3次元玉型データD1をxy平面(正面方向から見たときの2次元xy平面)に投影したものが2次元玉型データDxyある。この2次元玉型データにおいて、x軸方向の最大値を持つ点A(xa,ya)、x軸方向の最小値を持つ点B(xb,yb)、y軸方向の最大値を持つ点C(xc,yc)、y軸方向の最小値を持つ点D(xd,yd)を選び、その幾何学中心(ボクシング中心)を中心OF1とする。
この中心OF1を通るx軸方向のラインをデータムラインDLとする。眼鏡枠の反りは、このデータムラインDLを基準とする。3次元玉型データD1(xn、yn、zn)について、データムラインDL上に位置するx軸方向の鼻側点(x最小値点)及び耳側点(x最大値点)を、それぞれ点V1(xv1,yv1,zv1)及び点V2(xv2,yv2,zv2)とする。このとき、点V1、点V2を通る直線LdとデータムラインDLとが成す角度を基準とする眼鏡枠の反り角度(データムライン傾斜角)θsとする。この角度θs分傾けた方向を新たなX軸方向とし、y軸方向はそのままY軸方向とし(眼鏡枠の上下方向の傾きはほぼ無視できる)、点V1と点V2とを結ぶ線分の垂直2等分線の方向を新たなZ方向とする(図10参照)。そして、3次元玉型データD1(xn、yn、zn)を新たな座標系XYZの3次元形状データD1(Xn、Yn、Zn)に変換する。この3次元形状データD1(Xn、Yn、Zn)をXY平面に投影することにより、図11に示すように、反り方向(データムライン傾斜方向)へ投影した2次元玉型データD2(Xn、Yn)が得られる。このときの2次元玉型データD2におけるXY座標系の原点は、データムライン上の中心点ODL2である。
また、制御部50は、3次元玉型データD1(Xn、Yn、Zn)又は3次元玉型データD1(xn、yn、zn)の各データ間の距離を算出し、これを足し合わせることにより、眼鏡枠の3次元枠周長値を求められる。
なお、反り角度θsは、例えば図12に示すように、反り角度θsとして0°,5°,10°,15°,20°,25°の反り角度θsが表示された角度目盛に、眼鏡フレームFを合わせて反り角度θsを求めてもよい。例えば、左右リムFL,FRの鼻側端部Jと耳側端部Kとを結ぶ直線に近い傾斜線を選択し、選択された傾斜線に対応した角度を反り角度θsとしてもよい。角度目盛は、例えば、タッチパネル3に表示してもよい。
なお、本実施形態のカップ取付け装置は、測定ユニット5を備えていなくともよい。例えば、外部に備わる記憶装置から眼鏡フレームFに関するデータを取得できればよい。
前述のように、測定ユニット5によって取得された眼鏡フレームFの2次元玉型データD2(以下、玉型データD2とも言う)は、眼鏡フレームFの前傾角度が0度のときのデータである。装用者Wrが実際に眼鏡フレームFを装用するとき、眼鏡レンズLEは前傾する。従って、測定ユニット5によって取得された眼鏡フレームFの2次元玉型データD2は、装用状態の玉型形状と異なって見える。図13は玉型と、加工された眼鏡レンズの水平方向のずれを説明する図である。
図13(a)は、眼鏡フレームFの前傾角度θfが0度のときの玉型を示す図である。左右の玉型の水平方向を直線Hl,直線Hrで示している。図13(b)は、図13(a)の玉型データに基づいて製作された眼鏡を装用者Wrが装着したときの様子を示す。
眼鏡が前傾された状態で装用者Wrに装用されたとき、眼鏡フレームFの玉型はテンプルTp(耳掛け)側が上方に、ブリッジBL側が下方に向かって回転したように見える。従って、左右の眼鏡レンズの水平方向を示す直線Hl,直線Hrの方向は、装用者Wrの眼の水平方向を示す直線Haの方向と一致しない。本実施形態において、このように玉型が回転した角度を回転角度θrとする。
つまり、眼鏡レンズを加工する場合、装用者Wrが装用したときの眼鏡フレームFの前傾角度θfを考慮することが好ましい。
次に、反り角度θs及び前傾角度θf、回転角度θrの関係について説明する。図14、図15は2次元の玉型データD2に反り角度θs及び前傾角度θfを加えて3次元データに換算した様子を示す図である。
図14(a)は反り角度θs及び前傾角度θfを加える前の2次元玉型データD2である。なお、図14(a)に示す直線HL、HRは、測定ユニット5によって規定された左右の2次元玉型データD2の水平方向を示す直線である。
この2次元玉型データD2に反り角度θsを加えると、図14(b)に示すように、3次元玉型データD3(以下、玉型データD3とも言う)に換算される。なお、2次元玉型データD2に反り角度θsを加えて3次元玉型データD3とするときは、例えば、2次元玉型データD2の各座標を玉型の鼻側端の位置、または、玉型とブリッジBLの接合部分の位置等を中心に反り角度θsだけ回転させるようにXZ平面に関して座標変換(例えば、アフィン変換)を行う。アフィン変換とは、例えば、平行移動と線形変換を組み合わせた変換のことを言う。線形変換とは、例えば、図形を拡大、縮小、回転させることである。反り角度θsだけ回転させた座標変換後の玉型データを3次元玉型データD3とする。
玉型データD3をXY平面に平行投影したときの玉型図形D3´を図14(c)に示す。図14(c)示すように、玉型データD3を正面方向(Z軸方向)から見たときの直線HL、HRの方向は変化していない。
次に、玉型データD3に前傾角度θfの情報を加える。例えば、玉型データD3の各座標を玉型の鼻側端の位置、または玉型とブリッジBLの接合部分の位置等を中心に前傾角度θfだけ回転させるようにYZ平面に関して座標変換(例えば、アフィン変換)を行う(図15(a)参照)。玉型データD3を前傾角度θfに基づいて座標変換したデータを3次元玉型データD4(以下、玉型データD4とも言う)とする。
3次元玉型データD4を正面方向(Z軸方向)から見たときの形状は、2次元玉型データD2及び3次元玉型データD3に比べ、回転して見える。図15(b)は玉型データD4をXY平面に平行投影したときの図形D4´を示す。図15(b)に示すように、XY平面に投影された直線HL、HRは、X軸に平行な直線HAに対して回転角度θrだけ回転する。従って、眼鏡装用者の水平方向に対して、測定ユニット5によって規定された左右の各玉型データの水平方向は回転角度θrだけ回転する。
図16は眼鏡フレームFの反り角度θs及び前傾角度θf、玉型の回転角度θrに関する関係を示す図である。図16に示すように、反り角度θs及び前傾角度θf、回転角度θrは線形性を有する。従って、3次元シミュレータソフトなどによって、反り角度θs、前傾角度θf、回転角度θrの関係を実験的に求めておくことで、反り角度θsのときの前傾角度θfと、回転角度θrの関係を算出することができる。
本実施形態のカップ取付け装置1においては、測定ユニット5で取得した玉型データD2を装用者Wrの装用状態に合わせて補正するための回転角度設定モードが存在する。以下に、回転角度設定モードについて図面を用いて説明する。
図17は回転角度設定モード時に表示部(タッチパネル)に表示される回転角度設定画面20の構成を説明するための図である。回転角度設定画面20は右側に表示領域20A、中央に表示領域20B、左側に表示領域20Cが割り当てられる。
表示領域20Aには、表示欄21、決定ボタン26が主に表示される。表示欄21は表示欄21a,21b,21cに分けられる。表示欄21aには眼鏡フレームFの反り角度θs、表示欄21bには前傾角度θf、表示欄21cには玉型の回転角度θrの数値がそれぞれ表示される。
表示領域20Bには、撮影装置600によって撮影された眼鏡フレームFを装用した装用者Wrの正面画像22が表示される。また、表示領域20Bには、眼鏡フレームFの玉型を表す玉型図形(玉型画像)23が正面画像22の上に重畳表示される。玉型図形23は、眼鏡フレームFの左右一対の玉型図形である。
制御部50は、図17に例示するように、玉型図形23として、眼鏡フレームFの少なくとも一部を正面方向から見た場合の玉型図形を表示させる。
表示領域20Cには、装用者Wrの横顔を模した側方画像24が表示される。側方画像24には水平方向を示す線H1、鉛直方向を示すV1が表示される。また、表示領域20Cには、側方玉型図形25が表示される。側方玉型図形25は、玉型を側方(装用者Wrの左右方向)から見たときの図形である。
制御部50は、図17に例示するように、正面画像23に加えて、さらに眼鏡フレームFの少なくとも一部を側面方向から見た場合の側方玉型図形25を表示させる。
なお、表示領域20Cには、装用者Wrの横顔を撮影した写真を表示させてもよい。この場合、撮影装置600には装用者Wrの側方にカメラを備え、装用者Wrの正面画像22を撮影するときに、側方画像も撮影するようにしてもよい。もちろん、撮影装置600は側方にカメラを備えなくとも、正面画像22撮影するための撮像手段(例えば、デジタルカメラ604)で側方を向いた装用者Wrの顔を撮影してもよい。撮影装置600で撮影しなくともよく、外部のカメラで撮った画像をカップ取付け装置1の制御部50が受信するようにしてもよい。
以上のように、撮影装置600は、例えば、眼鏡フレームFを含む装用者Wrの正面画像22及び側方画像24の少なくともいずれかである装用画像を撮像する撮像光学系として機能する。そして、表示制御手段(例えば、制御部50)は、撮像光学系(例えば、撮影装置600)によって撮影された装用画像を表示部(例えば、パネル3)に表示する。
制御部50は、表示領域20A,20B,20Cを連動して表示することができる。例えば、制御部50は眼鏡フレームFの反り角度θs、前傾角度θf、玉型の回転角度θrに関して、表示領域20A,20B,20Cの表示を連動して切換える。
以下、回転角度設定モードを搭載する本実施形態のカップ取付け装置1の操作手順および装置の動作を説明する。回転角度設定モードは、装用者Wrに装用された眼鏡フレームFの見かけの玉型形状から、玉型の回転角度θrを求め、求めた回転角度θrによってカップ取付け位置を設定するためのモードである。本実施形態では、玉型図形23を装用者Wrの正面画像22に一致させたときの回転角度θrtを求め、カップの取付け角度を設定する。制御部50は、各種制御処理を司るプロセッサ(例えば、CPU)と、眼鏡パラメータ演算プログラムを記憶する記憶媒体とを備える。プロセッサは、眼鏡パラメータ演算プログラムに従って、以下、図18に示す制御フローチャートに基づいて説明する処理を実行する。
なお、以下の説明では、一例として、反り角度θsが20°で、装用時の前傾角度θfが20°の眼鏡を作製する場合について説明する。また、以下の説明では、カップを取り付ける眼鏡レンズは単焦点レンズとし、図示無き印点装置によって光学中心及び水平方向(乱視軸の基準方向)が規定される印点が施されているものとする。
まず、操作者は、眼鏡フレームFを測定ユニット5(図1参照)にセットし、トレースボタン6を押す。制御部50はトレースボタン6が押されると、測定ユニット5によって、セットされた眼鏡フレームFの測定を開始する。制御部50は、前述の方法で、3次元玉型データD1、2次元玉型データD2、反り角度θs等を取得し、その結果をメモリ51に記憶する。このように制御部50は、玉型データ及び反り角度θsを取得する(ステップ1)。
眼鏡フレームFのトレースが完了すると、操作者は、パネル3の初期画面で表示されるモード選択用のボタン500a(図1参照)を押す。ボタン500aが押されると、ブロッキングモードとされ、各種のレンズタイプに応じてレイアウトデータを入力できるレイアウト入力画面が表示される。
この場合、操作者は、タッチパネル3の画面(図7参照)に表示されるレンズタイプ選択キー501aにて、単焦点レンズの印点モードを選択する。パネル3には玉型データ及び単焦点レンズのレイアウトデータを入力できる画面が表示される。操作者は、パネル3を操作することにより、メモリ51に記憶された玉型データD2を呼び出して画面上に表示する。
操作者はパネル3に表示されるスイッチキーで、FPD(フレーム中心間距離)、PD(瞳孔間距離)及び玉型の幾何中心FCに対する光学中心LOの高さ等、レイアウトデータを入力することができる。レンズLEが乱視度数を持つ場合は、装用者Wrに処方された乱視軸角度データ(AXIS)を入力しておく。また、この画面により、レンズLEに対するカップCuの取り付け位置のモードについて、光心モード(光学中心)、枠心モード(玉型の幾何学中心)、又は任意モード(任意の位置)にするかを設定できる。また、タッチパネル3により図示無き眼鏡レンズ加工装置で行う加工条件も入力しておくことができる。
<回転角度設定モード>
レイアウトデータ等の入力が完了すると、モード選択用のボタン500aを操作し、回転角度設定モードを選択する。操作者の操作によって、制御部50は操作モードをブロッキングモードから回転角度設定モードに操作モードを切換える。そして、制御部50は、回転角度設定画面20をタッチパネル3に表示させる(図17参照)。なお、前述のモードの切換えは操作者の入力によって切換えられることに限らない。例えば、制御部50は、反り角度θsの大きさに基づいて、回転角度設定モードによる玉型の水平方向の補正が必要かどうかを判断し、操作モードを自動的に切換えてもよい。
以下、回転角度設定モードについて説明する。まず、操作者は装用者Wrに眼鏡フレームFを装着するように指示する。装用者Wrは眼鏡フレームFを装着する。そして、眼鏡フレームFを装着した装用者Wrの顔の正面画像22を装用者撮影装置600のデジタルカメラ604で撮影する。なお、撮影するのは正面画像22だけに限らず、装用者Wrを正面から撮影した動画でもよい。デジタルカメラ604でなくとも、アナログ写真等をスキャンしてデータとして取り込んでもよい。
デジタルカメラ604によって撮影された装用者Wrの正面画像22は、メモリ606に記憶される。制御部50は、メモリ606に記憶された装用者Wrの正面画像22を取得し、メモリ51に記憶させる。なお、デジタルカメラ604によって撮影された画像を直接メモリ51に記憶させてもよい。制御部50またはメモリ51は、装用者Wrの正面画像データを取得するための画像取得手段として機能し、装用者Wrの正面画像22を取得する(ステップ2)。
制御部50は、メモリ51に記憶された装用者Wrの正面画像22を回転角度設定画面20の表示領域20Bに表示させる(ステップ3)。
次に、制御部50は測定ユニット5によって取得された反り角度θsの数値を表示領域20Aの表示欄21aに表示する(ステップ4)。
続いて、制御部50は、メモリ51に記憶された2次元玉型データD2を反り角度θsに基づいて補正し、3次元玉型データD3に変換する。そして、3次元玉型データD3の形状(玉型図形23)を、表示領域20Bに表示した正面画像22上に重畳表示させる(ステップ5)。このとき、玉型図形23の前傾角度θf及び回転角度θrは0°であるため、制御部50は、表示欄21b,21cにそれぞれ「0°」と表示する。
ステップ5において、3次元の玉型データD3を正面画像22に表示させる際、制御部50は、眼鏡フレームFの装用者Wrを正面から見たときの見かけの玉型を表示させることが好ましい。これによって、操作者はフレーム画像22aと玉型図形23の形状を比較し易くなる。本実施形態においては、制御部50は、3次元玉型データを透視投影法によって2次元玉型データに投影して、表示部(例えば、タッチパネル3)の表示領域20B上に表示させる。
透視投影法を図19に基づいて説明する。図19は、透視投影法を説明するための図である。図19(a)は、例えば、図14(b)に示す3次元の玉型データD3を視点Pに対してXY平面に投影する様子を示す図である。図19(b)はXY平面に投影された玉型データを示す図である。
透視投影法は、例えば、3次元の直交座標データ(xn,yn,zn)をある視点Pを中心にして投影する方法である。玉型データD3における直交座標データT(x1,y1,z1)をある平面Z=dに投影する場合、視点Pと直交座標データT(x1,y1,z1)を結ぶ直線が平面Z=dと交わる点T´(x2,y2,d)に変換される。なお、透視投影法は、例えば、特開2006−288495号公報に開示される方法が利用できる。
透視投影法を用いることによって、視点Pから近い物体は大きく表示され、視点Pから遠い物体は小さく表示される。例えば、図14(b)に示す3次元の玉型データD3に透視投影法を用いると、眼鏡フレームFの内側部分は、外側部分に比べて大きく表示される。このように、2次元の画像に遠近感を持たせることによって、実際の見た目と似た形状の玉型図形を画面に表示することができる。
つまり、正面画像22のフレーム画像22aの形状と、正面画像22上に重畳表示された玉型図形23の形状とを、より近似させることができる。これによって、フレーム画像22aの形状に重畳表示された玉型図形23の形状を整合させることが容易になる。
なお、3次元の玉型データをパネル3に表示させる方法は、透視投影法に限らない。例えば、周知の平行投影法を用いてもよいし、他の周知の画像処理方法によって玉型図形23を表示させることができる。
なお、反り角度θsに基づいて玉型データD2を補正して表示する場合、本実施形態では、左右玉型の鼻側端距離(DBL)が一定に保たれた状態で補正される。左右玉型の鼻側端距離(DBL)は、測定ユニット5によって測定される。
なお、玉型図形23は、必ずしも正面画像22データ上に表示させなくてもよい。制御部50は、表示領域20Bとは別の表示領域に玉型図形23を表示してもよい。そして、操作者は表示領域20Bに表示された正面画像22におけるフレーム画像22aと見比べて、玉型図形23の形状を調整してもよい。
次に、制御部50は、表示領域Cに表示された側方画像24の上に側方玉型図形25を表示領域Cに表示させる(ステップ6)。
側方玉型図形25を表示領域20Cに表示させる際、眼鏡フレームFを横から見たときの見かけの玉型形状を表示させることが好ましい。これによって、実際の装用状態において玉型がどの程度前傾(回転)してしるのかをイメージし易くなる。このため、ステップ4と同様に、3次元の玉型データD3を透視投影法によって2次元の玉型データに投影して表示領域20Cに表示させる。
図20は、3次元の玉型データを横から見たときの形状を2次元平面に投影する方法を説明するための図である。図20(a)は、図14(b)に示す3次元の玉型データD3を視点Qに対してYZ平面に投影する様子を示す図である。図20(b)は、YZ平面に投影された玉型データを示す図である。
3次元玉型データD3をXY平面に投影したときと同様に、例えば、視点Qに対してYZ平面に投影する。これによって、図20(b)に示すように、YZ平面に投影された2次元の玉型データは、眼鏡フレームFのブリッジBLから近い内側部分が小さく、ブリッジBLから遠い外側部分が大きく見える。
制御部50は、透視投影法によってYZ平面に投影した玉型データを表示領域Cに表示する。これによって、玉型データを表示領域Cに表示したときに、実際に眼鏡フレームFの玉型を横から見ているような遠近感が得られ、眼鏡を装用したときのイメージがつかみやすくなる。
表示領域20Cには、水平方向を示す線H1と鉛直方向を示す線V1が表示される。横から見た玉型データD3を表示領域20Cに表示させる場合、図20(b)のYZ平面における水平方向と鉛直方向が、線H1の方向と線V1の方向に一致するように表示させるとよい。なお、ステップ5とステップ6は同時でよい。本実施形態の説明において、同時とは必ずしも正確な時間の一致を意味しているわけではなく、多少の時間のずれは考慮しない。
続いて、操作者は、玉型図形23をフレーム画像22aに近づける。両画像が近づくことにより、玉型図形23とフレーム画像22aの形状を比較しやすくなる。操作者は、パネル3に表示された玉型図形23に指で触れ、フレーム画像22aの方向にドラッグ操作する。制御部50は、パネル3からの操作信号を受け付け、玉型図形23をフレーム画像22aの方向に移動して表示させる(ステップ7)。
玉型図形23がフレーム画像22aの近くに表示されると、操作者は表示画面に表示された玉型図形23の表示サイズを変更するように操作する。そして、正面画像22において装用者Wrが装用するフレーム画像22aの玉型の大きさと玉型図形22の大きさが概ね一致するようにする。図21は、玉型図形23の表示サイズの変更方法を説明するための図である。図21(a)は、玉型図形23の表示サイズを変更する前の様子を示す。図21(b)は玉型図形23の表示サイズを変更したときの様子を示す。
図21(a)に示すように、タッチパネル3に表示された玉型図形23を2本の指でタッチし、2本の指の間隔を広げるようにドラッグする。制御部50は、タッチパネル3からの操作信号を受け取ると、図21(b)のように玉型図形23の倍率を大きくし、拡大表示する。逆に、2本の指の間隔を狭めるようにドラッグすると、制御部50は玉型23の倍率を小さくし、縮小表示する。このように、制御部50は、玉型図形23のサイズを変更して表示する(ステップ8)。
なお、制御部50は、玉型図形23を拡大または縮小して表示するとき、玉型図形の大きさと左右の玉型図形の間隔(DBL)の比率が同一になるように表示する。操作者は、図21(b)に示すように、フレーム画像22aの玉型間距離と玉型図形23の玉型間距離が等しくなるように玉型図形23の表示サイズを変更するとよい。これによって、フレーム画像22aと玉型図形23の大きさは概ね一致する。これは、玉型の大きさと玉型間距離大きさの比率が、フレーム画像22aと玉型図形23とで一致するためである。
タッチパネル3に表示された玉型図形23の倍率を変えるための操作方法は、上記の説明に限らない。例えば、パネル3に図示無きテンキーを表示させ、倍率の数値を入力してもよい。
なお、前述のような装用者撮影装置600を用いる場合など、正面画像22の撮影倍率が取得可能な場合、制御部50は、正面画像22の撮影倍率に合わせて玉型図形23の倍率を設定してもよい。
玉型図形23のサイズが調整されると、操作者は、フレーム画像22aの形状とフレーム画像22aの形状を一致するように、玉型図形23を回転表示させる。以下、図を用いて、玉型図形23を回転角度0°から0.25°まで回転させた場合の回転角度設定画面20及び表示方法について説明する。なお、本実施形態では、玉型図形23は、例えば、回転角度0.25°ごとに回転表示できるものとする。もちろん、何°ごとに回転表示できてもよい。
図22は、玉型図形を回転表示させるときの操作方法を説明するための図である。図22(a)は玉型データを回転させる前の様子を示している。図22(b)は、一例として左の玉型図形23Lを左に回転させるときの様子を示している。
図22(a)に示すように、操作者は、2本の指で左の玉型図形23Lに触れる。そして、操作者は、2本の指を玉型データの左回りに(回転させたい方向)に回転させるようにドラッグする。
上記の操作が行われると、制御部50は、左眼用の玉型図形23Lを左回りに回転角度1°だけ回転表示させるための操作信号(第1操作信号とする)を受け付ける。このように制御部50は、玉型図形23に対する操作者からの操作信号を受け付ける(ステップ9a)。
制御部50は第1操作信号を受け付けると、表示欄20cの回転角度θrの表示を「0°」から「0.25°」に切換え表示する。そして、回転角度θrが0°から0.25°に変化したときの前傾角度θfを求める。
回転角度θrから前傾角度θfの求め方の一例を以下に説明する。反り角度θs、前傾角度θf、回転角度θsは、例えば図16に示すように線形性がある。したがって、3つの角度θs、θf、θrの内、2つの角度が分かれば、もう一つの角度を求めることができる。
例えば、3次元シミュレーションソフトによって実験的に求めた反り角度θsと前傾角度θfと回転角度θrの関係が関数表(テーブル)としてメモリに記憶されている。そして、例えば、反り角度θsが20°で回転角度θrが0.25°であれば、例えば、制御部50は関数表から前傾角度θfが0.7°であるということを求めることができる。
もちろん、制御部50は、関数表を用いずに、反り角度θs、前傾角度θf、回転角度θsの関係式から算出することによって、前傾角度θfまたは回転角度θsを求めてもよい。
続いて、制御部50は、反り角度θs及び関数表によって求めた前傾角度θfに基づいて、回転させる玉型図形23の形状を補正して表示させる(ステップ10)。
制御部50は、まずパネル3に表示している反り角度θsが加味された3次元玉型データD3を前傾角度θfに応じてYZ平面で座標変換(例えば、アフィン変換)を行う。本実施形態においては、例えば、玉型の鼻側端の点を中心にアフィン変換を行う。もちろん、鼻側端の点でなくてもよい。例えば、ブリッジBLの中心点でもよいし、玉型とブリッジの接点でもよい。
制御部50は、θfに応じてアフィン変換を行った3次元の玉型データD4を図19で説明した透視投影法で、XY平面に投影する。透視投影法によってXY平面に投影された玉型データD5は、反り角度θsの付いた眼鏡フレームFが前傾した様子を実際に目視した場合と同様の遠近感が得られる形状に投影される。
制御部50は、第1操作信号を受け付ける前に表示領域20Bに表示していた玉型図形23の形状を、XY平面に投影した玉型データD5の形状に変更して表示する。これによって、制御部50は、眼鏡フレームFが例えば0.7°だけ前傾したときの玉型の形状を表示することができる。
このように、制御部50は、玉型図形23を形成する2次元玉型データD2を反り角度θs及び前傾角度θrに基づいて3次元玉型データD4に変換する。そして、例えば、前述の透視投影法によって、3次元玉型データD4における動径角毎(または、座標ごと)の玉型データに対する奥行き方向(例えば、遠方視軸Lf(図8参照)の方向)の位置に応じて変形された玉型図形23を表示させる。
また、制御部50は、左の玉型図形23Lを左回りに回転させるとき、同時に同じ回転角度0.25°だけ右の玉型図形23Rを右回りに回転して表示する。これによって、左右別々に回転させる必要がなくなり、操作時間の短縮が期待できる。
また、制御部50は、表示領域20Bの表示切換えと同時期に、表示領域20Cの表示を切換える。制御部50は、前傾角度θfに応じてアフィン変換を行った3次元の玉型データD4を図20で説明したように、透視投影法によってYZ平面に投影した形状を演算する。YZ平面に投影された形状の玉型データD6は、反り角度θsのついた眼鏡フレームFが前傾した様子を実際に横から目視した場合と同様の遠近感が得られる形状である。
制御部50は、第1操作信号を受け付ける前に表示領域20Cに表示していた側方玉型図形25の形状を、YZ平面に投影した玉型データD6の形状に変更して表示する。これによって、制御部50は、眼鏡フレームFが前傾したときの玉型を横から見たときの形状を表示することができる。
制御部50は、表示領域20A、表示領域20B、表示領域20Cの表示を連動させて切換える。つまり、制御部50は、玉型図形、反り角度θs、前傾角度θs、回転角度θs等の表示を連動させて切換える。これによって、例えば、操作者は、タッチパネル等の入力によって、表示領域20A,20B,20Cのいずれかを変更するだけで、他の表示領域20A,20B,20Cの表示を切換えることができる。
操作者はフレーム画像22aと玉型図形23の形状が一致するようになるまで、2本の指によって玉型図形23を回転させるようにドラッグする。制御部50は、このドラッグ操作が続く間、第1操作信号(指示信号)を受け付け、ステップ9の表示制御を繰り返すことによって、0.25°ごとに玉型図形23を回転させる。そして、回転させる回転角度θrに基づいて、制御部50は、前傾角度θfを求め、表示欄21b、21cの表示を切換えるとともに、玉型図形23の形状を変更して表示する。
以上のように、制御部50は、装用時における眼鏡フレームFの反り角度θs及び前傾角度θfに基づいて玉型図形23を補正し、補正された玉型図形23を表示部(例えば、パネル3など)に表示させる表示制御手段として機能する。
また、以上のように、本実施形態の眼鏡パラメータ演算装置1は、表示部(例えば、タッチパネル3)に表示された装用画像(正面画像22または側方画像24)を用いて眼鏡フレームFの前傾角度θfを取得するための操作者からの指示を受け付ける前傾角度受付手段(例えば、制御部50など)を備え、表示制御手段(例えば、制御部50など)は、前傾角度受付手段(例えば、制御部50など)によって受け付けられた指示に応じて前記眼鏡フレームFの前傾角度θfを取得する。
制御部50が玉型図形23の形状を変更して表示することによって、操作者は、フレーム画像22aに一致するように玉型図形23を回転させればよい。これによって、装用状態における玉型の乱視軸の基準方向(水平方向)を簡単に設定することができる。
また、装用者Wrが装用した眼鏡を正面方向から見たときの玉型に合わせて、玉型図形の回転角度θrを設定することができる。これによって、眼鏡レンズLEが装用されたときに、眼鏡レンズの乱視軸方向と装用者Wrの眼の乱視軸方向がずれることを軽減することができる。
操作者はフレーム画像22aと玉型図形23の形状が一致すると、ドラッグ操作を止め、玉型図形23から指を離す。表示欄21b、21cには、フレーム画像22aと玉型図形23が一致した状態での前傾角度θfと回転角度θrが表示される。このときの回転角度を回転角度θrtとする。本実施形態の説明においては、例えば、前傾角度θfが20°、回転角度θrtが7°のときにフレーム画像22aと玉型図形23が一致したとする。この場合、表示欄21bに表示される前傾角度θfは「20°」、表示欄21c表示される回転角度θrtは「7°」と表示される。
続いて操作者は、パネル3に表示された決定ボタン26を押す。これによって、制御部50はフレーム画像22aと玉型図形23が一致した状態での回転角度θrtを用いてカップを取り付ける位置を設定する旨の第2操作信号を受け付ける。
制御部50は第2操作信号を受け付けると、印点によって規定される乱視軸の基準方向(水平方向)に対してカップCuの水平方向を回転角度θrtだけ回転させた状態でカップを取り付けるように回転角度θrtの数値を設定する(ステップ11)。なお、本実施形態の説明のように、制御部50は、回転角度θrtの数値が設定しなくとも、回転角度θr、前傾角度θfの情報が提供するだけでもよい。
以上の説明のように、回転角度設定モードによって玉型図形23を調整することで、装用状態における眼鏡の玉型が、測定ユニット5によって測定された玉型データD2に対して回転する回転角度θrtを求めることができる。そして、制御部50は、求めた回転角度θrtを用いてレンズLEにカップCuを取付ける(ステップ12)。これによって、眼鏡の装用状態が考慮された状態で眼鏡レンズLEの加工を行うことができる。
以下、カップの取り付け動作について説明する。図23はブロッキング時にパネル3に表示される表示画面の例を示す図である。パネル3には上方から撮影されたレンズ像が表示されている。レンズLEが支持ピン120に載置されると、再帰性反射部材20にて反射された照明光によりレンズLEが下方から照明され、そのレンズ像が撮像素子33により撮像される。このとき、撮像素子33は、レンズLEの表面に付された3つの印点像M100a,M100b,M100cも撮像する。レンズLEの表面に付された印点は、レンズの表面方向からレンズ表面付近にピントが合わされた撮像素子33によって、精度良く検出される。中央の印点マーク像M100aは、レンズメータによりレンズLEの光学中心に付された印点の像である。制御部50は、レンズ像LEsを画像処理して印点マーク像M100a,M100b,M100cを抽出し、各マーク像の中心の座標位置を求める。
光学中心に付された印点のマーク像M100aの中心が検出されると、光心モードでは、カップCuの中心がマーク像M100aの中心に位置するように、アーム310の位置が調整される。また、両側の印点マーク像M100b,M100cに基づいて乱視軸角度が検出され、乱視軸角度及び回転角度θrtに基づいて中心軸S1を中心に装着部320が回転される。その後、Z軸方向移動機構304が駆動され、アーム310が下降されることにより、カップCuがレンズLEの表面に固定される。
パネル3の画面には、図23(a)に示されるように、撮像光学系30の撮像素子33により撮像されたレンズ像LEsが表示されると共に玉型データD2が合成して表示される。このとき、玉型データD2の表示サイズ及び表示位置は、光学中心LOの検出結果、玉型データ、レイアウトデータ、受光光学系15の光軸に対する撮像光学系30の光軸の位置関係、撮像光学系30の撮像倍率、等により決定される。
パネル3のディスプレイ上で玉型データD2とレンズ像LEsを合成して表示する際は、まず、表示画面における受光光学系15の光軸位置と撮像光学系の光軸位置とを一致させると共に、光軸L1の位置に対する光学中心LOの偏位位置の表示サイズとレンズ像の表示サイズとを一致させる。玉型データD2の表示位置については、光学中心LOと幾何学中心FCの関係がレイアウトデータにより定められる。また、レンズLEが乱視度数を持つときは、乱視軸の基準方向(水平方向)の検出結果と回転角度設定モードで設定された回転角度θrtとの関係により、光学中心LOに対する玉型データD2の傾き角度が決定される。すなわち、制御部50は、印点によって規定される乱視軸の基準方向に対して、カップの水平方向を回転角度θrtだけ回転させて表示する。
レンズLEの径が足りていれば、カップのブロッキング動作に移行する。ブロックスイッチ2が押されると、枠心モードでは、制御部50はレンズLEの光学中心とレイアウトデータとに基づいて決定された玉型の幾何学中心FCの位置にカップCuの中心軸S1が位置するようにする。このとき、Y軸方向移動機構302及びX軸方向移動機構306を駆動し、アーム310を移動させる。また、レンズLEが乱視度数を持っている場合、制御部50は、印点によって検出された乱視軸の基準方向(水平方向)に対して、カップCuの水平方向を回転角度θrtだけ回転させる(ずらす)ように、中心軸S1を中心に装着部320を回転させる。これによって、カップ取付け装置1は、レンズLEの乱視軸の基準方向(水平方向)とカップCuの水平方向を回転角度θrtだけ回転した(ずらした)状態で、カップCuをレンズLEに取付けることができる。
カップCuの中心の位置調整及び乱視軸の基準方向の調整が完了したら、Z軸方向移動機構304を駆動し、アーム310を下降する。これによって、カップCuの中心が玉型の幾何学中心FCに一致するようにレンズ表面にブロックされる。なお、光心モードでは、カップCuの中心がレンズLEの光学中心LOに位置するように、アーム310の位置が調整される。カップ取り付け機構としては、カップCuが移動される代わりに、レンズLEを保持する機構が相対的に移動される機構であっても良い。
以上のように、制御部50は、レンズLEの乱視軸の基準方向(水平方向)とカップCuの水平方向が回転角度θrtだけ回転した状態で、カップCuをレンズLEに取付けられるよう、カップCuの取り付け角度を演算する。
このように、制御部50は、求めた回転角度θrに基づいて、カップCuの取付け角度を演算する取付け角度演算手段として機能してもよい。
カップCuが取り付けられたレンズLEは、眼鏡レンズを加工する眼鏡レンズ加工装置によって加工される。このとき、例えば、図示無き眼鏡レンズ加工装置は、カップCuの水平方向を基準に眼鏡レンズを加工する。
このようにして加工された眼鏡レンズLEは、カップCuが回転角度θrtだけ回転されていることによって、回転角度θrtだけ乱視軸が回転された状態になる。
従って、回転角度設定モードによって設定した眼鏡装用時の玉型の回転角度θrtだけ、玉型の水平方向と眼鏡レンズの水平方向(乱視軸の基準方向)を回転させておく。これによって、反り角のついた眼鏡を前傾させたときに玉型が回転することで乱視軸の方向がずれてしまうことを防ぐことができる。
以上の説明においては、レンズ支持部材であるレンズ支持ピン120に置かれたレンズLEに対して、カップ取付け機構300により装着部320に装着されたカップCuを移動してカップCuの位置が調整される構成としたが、相対的にレンズLEを支持する支持機構を移動することにより、カップの位置が調整される構成とすることもできる。また、レンズ支持機構又はカップ取付け機構300を移動させる代わりに、特開2000−79545号公報に記載されたように、単焦点レンズのおけるレンズの光学中心、乱視軸角度の検出情報に加えて、玉型の回転角度θrをパネル3のディスプレイに表示し、レンズを手動により移動してカップの位置を調整する構成であっても良い。
また、本実施形態において、求めた回転角度θrtを用いてレンズLEの水平基準方向に対してカップCuの水平基準方向を回転させたが、これに限らない。例えば、図23(b)に示すように、レンズLEの水平基準方向に対してカップCu水平基準方向を回転させずにカップCuをレンズLEに取り付ける。そして、求めた玉型の回転角度θrtを図示無きレンズ加工装置等に送信する。レンズ加工装置は、受信した回転角度θrtだけ玉型を回転させて眼鏡レンズを加工する。こうすることによっても、加工された眼鏡レンズの水平方向は回転された状態になる。これによっても、乱視軸の方向がずれてしまうことを軽減させることができる。
なお、本実施形態の眼鏡パラメータ演算装置(例えば、カップ取付け装置)における回転角度設定モードは、前述と異なる操作方法で玉型の回転角度θrtを求めることができる。
例えば、表示領域20Cに表示された側方玉型図形25に対する操作によって前傾角度θfを変更することで、玉型の回転角度θrtを設定してもよい。この場合、操作者は、表示領域20Cに表示された側方玉型図形25に2本の指で触れ、側方玉型図形25を前傾させる方向(例えば、左方向)に回転させるようにドラッグする。制御部50は、側方玉型図形25に対する操作信号を受け付け(ステップ9b)、側方玉型図形25を前傾させて表示させる。
このとき、例えば、前傾角度θfが1°切り換わるごとに表示領域20A,20B,20Cの画像表示を切換えてもよい。例えば、玉型図形23の形状、側方玉型図形25の形状、表示欄21の数値の表示を切り換えてもよい。
操作者は、側方玉型図形25の前傾状態を確認しながら2本の指によるドラッグ操作を行い、側方玉型図形25が程良く前傾して表示された時点で、パネル3から指を放し、操作を終了する。制御部50は、このときの側方玉型図形25の前傾角度θf及び反り角度θsから玉型図形23の回転角度θrを求めてもよい。
以上のように、制御部50は、装用時における反り角度及び前傾角度θfに基づいて、玉型図形23を回転させるための回転角度θrを演算する回転角度演算手段として機能してもよい。回転角度θrを演算する方法は、上記の方法を用いてもよい。
そして、表示制御手段として機能する制御部50は、回転角度演算手段によって演算された回転角度θrに基づいて、玉型図形23を回転して表示させてもよい。
このように、操作者は、表示領域20Cの側方玉型図形25の前傾状態を確認することで、玉型の回転角度θrtを求めてもよい。これによって、眼鏡フレームFの前傾状態または前傾角度θfがどの程度か見当が付いている場合、操作者は、簡単な操作で玉型の回転角度θrtを求めることができる。
また、回転角度設定モードの異なる操作方法の一つとして、例えば、表示領域20Aの表示欄21b,21cに適当な前傾角度θfまたは回転角度θrの数値を入力する方法がある。例えば、操作者は前傾角度θfまたは回転角度θrの内、数値を入力したい方の表示欄をタッチする。すると、図示無きテンキーが表示される。操作者はテンキーの操作によって数値を入力する。すると、制御部50によって表示領域20B,20Cの画像が入力された回転角度θfまたは回転角度θrに基づいて補正され、玉型図形23及び側方玉型図形25の表示が切り換わる。操作者は、表示の切り換わった玉型図形23または側方玉型図形25の形状を確認し、適した形状になるまで、表示欄21bまたは21cへの数値入力を続ける。これを繰り返すことによって、玉型の回転角度θrtを設定することができる。制御部50は、表示欄21への操作信号を受け付け(ステップ9c)、玉型図形23を補正して表示する。
これによって、前傾角度θfまたは回転角度θrの数値がある程度予測できる場合は、簡単な数値入力だけで済ませることができる。
なお、本実施形態のカップ取付け装置は、装用状態撮影装置600によって撮影した装用者Wrの正面画像22をパネル3に表示し、その上に玉型図形23を重畳表示する。そして、玉型図形23の形状を正面画像22のフレーム画像22aの形状に合わせることによって、玉型図形23の形状を調整するものとして説明したが、これに限らない。
例えば、カップ取付け装置は、装用状態撮影装置600を備えず、パネル3には、正面画像22を表示せず、玉型図形23のみを表示させてもよい。このような場合、例えば、操作者は、装置の傍らに眼鏡フレームFを装用した装用者Wrを座らせる。そして、装用者Wrの装用した眼鏡フレームFの玉型の形状を観察し、その形状に合うように、パネル3に表示された玉型図形23の形状を調整してもよい。
このようにすれば、装用状態撮影装置600の構成を省くことができ、カップ取付け装置1全体の構成を簡略化することができる。さらに、装用状態撮影装置600によって装用者Wrを撮影する手間を省くことができ、眼鏡レンズLEにカップCuを取り付けるための時間を短縮することができる。
また、正面画像22を表示させない別の方法としては、例えば、正面方向から見た眼鏡フレームFの形状データをパネル3に表示させてもよい。なお、眼鏡フレームFの形状データを表示させるときは、装用時の前傾状態で表示させるとよい。例えば、テンプルが水平方向に位置する状態、またはテンプルが水平方向より少し前傾した状態における眼鏡フレームFの形状を表示させてもよい。そして、操作者は、表示された眼鏡フレームFの形状に合わせて玉型図形23の形状を調整してもよい。
眼鏡フレームFの形状データは、例えば、眼鏡フレームFの設計データから取得してもよい。眼鏡フレームFの設計データは外部の記憶装置から取得してよい。
なお、以上の説明において、眼鏡パラメータ演算装置はカップ取付け装置1として説明したが、これに限らない。例えば、前述のような回転角度設定モードを備えた印点装置でもよい。印点装置は、例えば、少なくとも眼鏡レンズの光学中心または乱視軸の基準方向を規定するための印点を眼鏡レンズに施すための印点部材を備える装置である。
印点装置において回転角度設定モードが搭載される場合、印点装置の制御部は、回転角度設定モードで求められた玉型の回転角度θrtを用いて印点を施す方向を決定してもよい。また、印点装置に対するレンズの回転量を決定してもよい。また、印点装置は、回転角度演算手段(例えば、印点装置の制御部など)を備え、回転角度演算手段によって求めた玉型の回転角度θrに基づいて、印点部材に対して、印点を施そうとする眼鏡レンズを回転させる角度を出力することとしてもよい。
このように、印点装置の制御部は、回転角度演算手段(例えば、制御部50)によって求められた回転角度θrtに基づいて、眼鏡レンズに施す印点の位置を演算するための印点位置演算手段として機能してもよい。
なお、眼鏡パラメータ演算装置は、眼鏡レンズを眼鏡フレームFの玉型形状に加工するための眼鏡レンズ加工装置であってもよい。この場合、例えば、眼鏡レンズ加工装置の制御部は、装用時の眼鏡フレームFの反り角度及び前傾角度に基づいて、表示部等に表示される玉型図形(または、玉型データ)を回転させるための回転角度を演算する回転角度演算手段として機能してもよい。
眼鏡レンズ加工装置において回転角度設定モードが搭載される場合、眼鏡レンズ加工装置の制御部は、回転角度設定モードで求められた玉型の回転角度θrtを用いて、眼鏡レンズの加工方向を設定してもよい。例えば、眼鏡レンズをチャックするときに予め回転角度θrtだけ回転させてからチャックしてもよい。
また、例えば、眼鏡レンズの加工に用いる玉型データを角度θrtだけ回転させてもよい。このように、求められた回転角度θsに基づいて、眼鏡レンズLEを加工するときの加工動作を制御する加工制御手段(例えば、制御部50)をさらに備えてもよい。
なお、回転角度設定モードにおいて、制御部50は、正面画像22からフレーム画像22aを検出してもよい。そして、制御部50は検出したフレーム画像22aに一致するように、玉型図形23の表示倍率、表示位置、前傾角度θf、回転角度θrなどを変更してもよい。これにより、操作者は、回転角度θrtを求めるために、玉型図形23をフレーム画像22aに合わせるように調整する手間が省け、操作時間が短縮される。