JP5040312B2 - 放電加工用電源装置及び放電加工方法 - Google Patents
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Description
図において、電圧可変な直流電源1は、加工液中に微小間隙をおいて対向配置された加工用電極2と被加工物3との間に加工電力を供給するものであり、パルス発生回路8からのスイッチング素子駆動用のパルス信号8aに応じて、パルス信号8aがHのときスイッチング素子4がオンされ電極2と被加工物3の間に電圧が印加され、パルス信号8aがLのときスイッチング素子4がオフされ、電極2と被加工物3の間に電圧印加が停止される。
なお、パルス発生回路8は、NC装置などからなるパルス発生条件設定部9からのパルスのオン/オフ時間やパルス列のパルス数、パルス列とパルス列の間の休止時間、等のパルス発生条件に基づき動作する。
図15は、加工用電極2と被加工物3の間隙が広いために放電が発生していない状態を示し、スイッチング素子4がONしている間は電流制限用抵抗器5の抵抗値とコンデンサ6の静電容量でほぼ決まる時定数でコンデンサ6が充電され、スイッチング素子4がOFFしている間は、放電用抵抗器7の抵抗値とコンデンサ6の静電容量で決まる時定数でコンデンサ6の電荷が放電用抵抗器7を通して放出される。
図に示される如く、放電用抵抗器7の抵抗値は充電用の電流制限抵抗器5の抵抗値よりも十分に大きく設定されているため、スイッチング素子4がOFFしてもコンデンサ6の電荷はすぐには無くならず、加工用電極2と被加工物3の間隙の電圧はパルス列の1パルス目、2パルス目と徐徐に上昇していき、直流電源1の電圧V1近くまで上昇していく。
パルス列が終了するとパルス休止時間となり、極間電圧は0V付近まで徐々に下降していき、そして所定のパルス休止時間を経て次のパルス列を発生するようになっている。
Aはパルス列の3パルス目の電圧上昇中に極間の絶縁破壊が起こって放電が発生した状態であり、このときの放電電流値は、コンデンサ6に充電された電荷による放電電流に直流電源1からスイッチング素子4、ダイオード10と充電電流制限抵抗器5を通して流れる充電電流を加えたものである。
BはAに続いて極間の絶縁破壊が起こりやすい状態が継続したためにAに続いて放電が発生した状態を示す。このときの放電電流値はコンデンサ6の充電電圧がやや低い状態で放電したためにAの放電電流値よりも若干低くなっている。Cは、Bで放電した後に徐徐に極間電圧が上昇してから絶縁破壊が起こり、放電電流が流れた状態を示している。
図14で示した直流パルス方式の電源装置の構成に、直流電源装置17とMOS−FET等からなるスイッチング素子4a、電流制限用抵抗器5aと、ダイオード10aを加えた構成となっている。
なお、図19、20、21は、パルス発生回路8からのパルス列、極間電圧、極間電流の関係を示した図であるが、スイッチング素子4の駆動パルス信号8aを所定のオンオフ時間で所定のパルス数を発生すると所定の休止時間を経てスイッチング素子4aを駆動するパルス信号8bを8aと同一パルス数だけ発生するようになっており、パルス列8aとパルス列8bは所定の休止時間を経て交互に繰り返されるようになっている。
同様の被加工物と加工用電極の間隙に正負両極性の電圧を印加する交流パルス方式を用いた放電加工用電源装置は、例えば特開平3−55117号公報に開示されている。
図20は、A,B,C,およびDで放電が発生した状態を示し、Dの放電電流の極性はA,B,Cとは当然逆になっている。
図21は、加工用電極と被加工物が短絡した状態を示す。短絡電流の極性も、極間電圧極性が反転するたびに反転している。
ここで、図17、21に示すように、加工用電極2と被加工物が短絡した場合には、毎パルス電流が流れるが、この短絡電流は、加工にあまり寄与しない。また、一つ一つのパルス電流が微小なために悪影響も殆ど無いと考えられ見過ごされてきた。
しかし、最近の実験テストにより、特に細穴放電加工装置を用いて微細な穴加工を行う場合などでは、短絡電流が電極の消耗量を増やしたり加工を不安定にしたり、短絡が長く続くと微細な電極を赤熱または焼損させたりする場合があることがわかった。
これらは、短絡時にパルス電流が連続して流れることにより、電極の温度がジュール熱により大幅に上昇することによるものであると考えられている。
また、細穴加工用電極を使用する細穴放電加工に適用した場合には、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる。
以下、本発明の実施の形態1について図を用いて説明する。
図1は、放電加工機の回路構成を示す構成図、図2は、図1に示した構成の各部の信号及び極間の電圧と電流波形を示している。
図において、1は電圧V1が電圧可変な直流電源であり、図示しない設定手段により外部より電圧設定が可能となっている。2は加工用電極、3は被加工物、4はMOS−FET等からなるスイッチング素子、10はダイオード、5は電流制限用抵抗器、6は加工用電極2と被加工物3とに並列に接続されたコンデンサ、7はコンデンサ6を長い時定数で放電させるための抵抗器、8はスイッチング素子4を駆動するための信号を発生するパルス発生回路、9はNC装置などからなるパルス発生条件設定部であり、オペレータが加工内容によりパルス列のパルスオンオフ時間やパルス列のパルス数、パルス休止時間等のパルス列の基本的な発生条件を設定する他、後に説明する短絡検出後のパルス発生数を先に設定したパルス列の基本発生条件に基いて自動で設定するかオペレータが設定することにより放電パルスの発生パターンが設定されている。
11は極間が短絡状態のときに信号を出力する短絡検出回路、12は短絡検出回路11からの短絡検出信号を受けてパルス列中の一定パルス数の間Lレベル信号を出力するパルス停止回路で、パルス発生回路8からの発生パルス数をカウントしパルス発生条件設定部9により設定された短絡検出後の発生パルス数と比較するなどによりLレベルを出力するタイミングを決める。
また、Hレベルに戻すのはパルス列の終了時点から次のパルス列を発生させるまでの休止時間中に行われる。
13はパルス停止回路12からLレベル信号が出力されている間はパルス発生回路8からのパルス信号をマスクしてスイッチング素子4の駆動を阻止するように働くAND回路である。
図2の動作例は従来回路の図16に対比する形で示しており、極間が短絡した状態の各部の信号を示している。
パルス発生条件設定部9からのパルスオンオフ時間、パルス列のパルス数、パルス列とパルス列間の休止時間の指令に基づき、パルス発生回路8は一定のパルス列8a(一例として、パルス列のパルス数は8個)を断続発生する。
そして、パルス発生回路8からの出力パルス信号8aは、AND回路13を通してスイッチング素子4のゲートに接続されている。
AND回路13の一方の入力はパルス停止回路12の出力に接続されており、パルス停止信号がHの間はパルス発生回路の出力信号8aはそのままスイッチング素子4のオンオフ信号13aとなり、パルス停止信号がLの間はスイッチング素子4のオンオフ信号13aはLとなりスイッチング素子4はオフ状態となる。
具体的には、パルス発生回路8が1パルス目のパルスを発生すると、AND回路13を通してスイッチング素子4をパルスオン時間だけオンし、極間に所定電圧が印加される。
パルスが繰り返されるごとに、極間が開放状態である場合には図14で説明したようにコンデンサ6を充電しながら極間電圧は徐々に上昇していく。
また、極間が最適な状態では、図15で説明したように所定のパルス数目に放電が発生し、被加工物3を放電加工する。
短絡検出回路11は、例えばパルス列における1パルス目の終了時点の極間電圧を予め決められたしきい値と比較するなどの方法にて極間が短絡状態であるかどうかの判別を行う。
このしきい値は、極間が絶縁状態である状態から放電が発生した場合のアーク電圧と区別するために0Vに近い値としている。
そして、短絡検出回路11は短絡を検出するとパルス停止回路12に短絡検出信号を出力する。
パルス停止回路12は、短絡検出信号を受けてパルス発生条件設定部9により予め決められたパルス数のタイミング以降にパルス停止信号(Lレベル)を発生させるように動作する。
パルス停止回路12から出力されるパルス停止信号はLレベルなので、AND回路13の一方に入力されるともう一方のパルス発生回路8からのパルス8aはマスクされてスイッチング素子4への信号出力が阻止される。
従って、パルス列の初期の2パルスのみが発生し、その間は図2に示す短絡電流が極間に流れるが、3パルス目以降は極間へのパルスの発生が停止されるので極間にパルス電圧が印加されず、短絡電流は流れない。
そのため、電極と被加工物の1箇所に集中して短絡電流が流れ続けることによる加工面の荒れや、電極の異常消耗や欠けなどの不具合を防止する効果がある。
なお、本回路構成をパイプ電極や棒状電極を用いる細穴放電加工装置に適用した場合、短絡電流が流れ続けることにより加工面を荒らしたり、電極消耗量を増加させたり加工が不安定になり加工時間が長くなったり、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる。
短絡検出時に発生させるパルス数の変更により、電極と被加工物間に加工屑などがブリッジ状に介在している場合に、その除去を行って絶縁を回復させる効果の度合いを変化させることが出来る。
一方、短絡時にパルス電流を流すことにより電極の温度上昇や電極の消耗量が増加する弊害もあるので、加工内容により変更する。
また、短絡検出するパルスはパルス列の1パルス目に限らなく2パルス目以降であってもよく、短絡検出後にパルス停止することで同様の効果を得られる。
さらに、一回の短絡検出でパルス列1列分のパルス発生を停止させる方法に限らず複数パルス列のパルスをまとめて発生停止にすることも可能であるが、1列毎に短絡検出してパルス発生を停止させるようにすれば短絡電流が流れるのを最低限に抑えることが出来るのでより良い。
図3は、本実施の形態2における放電加工機の回路構成を示す構成図であり、図1に示した構成に、短絡検出用の直流電源14、短絡検出用スイッチング素子15、ダイオード10b、短絡検出用電流制限抵抗16を加えたものである。
実施の形態1では、パルス発生回路出力8aの一発目のパルス出力後に極間が短絡しているか否かを検出する例を示したが、本実施の形態では、休止時間中に極間が短絡しているか否かを検出するものである。
パルス列間の休止時間中に、パルス発生回路8より加工パルス発生用のスイッチング素子4とは別に設けられた短絡検出用スイッチング素子15を駆動するために駆動信号8aとは別の駆動信号8cが出力される。
駆動信号8cがスイッチング素子15を駆動すると、直流電源14の電圧V3はダイオード10b、電流制限抵抗16を通して極間に接続される。
すると、短絡検出回路11は、短絡検出パルスの終了時付近の極間電圧を予め決められた0Vに近い基準電圧と比較するなどの方法にて極間が短絡しているかどうかの判別を行うようになっている。
なお、短絡検出用直流電源14の電圧V3は加工用直流電源1の電圧V1より低く、短絡検出用電流制限抵抗16の抵抗値は加工用電流制限抵抗5と同等もしくは大きく、短絡検出用パルスのパルス幅は放電加工用パルスのパルス幅よりも長く、何れも一定の値に設定されている。
従って、加工パルス用の直流電源1の電圧V1や電流制限抵抗器5の抵抗値、パルス幅などの加工パルス条件の変更を行っても短絡検出用パルスの発生状態が変化しないので、短絡を検出する感度が変化しない。
また、短絡検出用パルス幅は加工用パルスのオン時間ほど短くする必要は無いため、パルス幅を長くすることにより、極間が短絡していない場合には極間電圧が短絡検出用電源電圧V3付近まで確実に上昇して安定するので、短絡検出の基準電圧との差をより明確にすることができ、短絡判定時の電圧比較がより正確となり確実に短絡と非短絡を区別できる。
また、検出用電源電圧V3を低くしたので、短絡時に短絡検出用パルスにより極間に流れる電流はピーク電流が低く、短絡検出用パルスにより被加工物の加工面が荒れるのを防止できるとともに電極に必要以上に電流を流さないので電極の消耗が低減できる効果がある。
パルス停止回路12は、短絡検出信号を受けてパルス発生条件設定部9により予め決められたパルス数のタイミング以降にパルス停止信号(Lレベル)を発生させるように動作する。
パルス停止信号はLレベルなので、AND回路13の一方に入力されるともう一方のパルス発生回路8からのパルス8aはマスクされてスイッチング素子4への信号が阻止される。
図4の場合では、短絡検出後のパルス列の1パルス目はパルス停止信号が発生せず2パルス目以降でパルス停止信号がLとなりパルス停止する設定になっている場合を示した。
従って、パルス列の初期の1パルスのみが発生し、その間は図4に示す短絡電流を極間に意図的に流し、2パルス目以降はパルスの発生が停止されるので短絡電流を流さない。
また、微小電極による放電加工においては短絡電流による電極の温度上昇により加工の不安定や電極消耗量増加への影響が大きいので極力短絡電流を流さない方がよい場合がある。その場合には、加工用パルスによる短絡電流を全く流さないように設定することも可能であるため、加工対象に合わせたより最適な短絡電流の設定が出来る効果がある。
さらにまた、本回路構成を細穴放電加工装置に適用し微細な電極を使用して微細穴を加工する場合などでは、電極に流すことが出来る許容電流が小さいので、短絡電流による電極の赤熱や焼損を防止し電極消耗量の増大を抑制するためには加工に寄与する放電パルス電流以外は極力、電流を流さない方がよく、その場合には、加工用パルスによる短絡電流を全く流さないように設定して電極の焼損や電極消耗の増大を抑制することが可能となる効果がある。
また、一般に放電加工機は、極間の電圧によって極間距離を制御するサーボを行っているため、短絡が発生した場合には短絡が解消するまで電極を素早く後退させることが必要である。
本発明によれば、短絡が発生すると加工用パルスの発生をマスクするので短絡時の極間電圧の平均値は確実に小さくなるので、より素早く電極を後退させることができ、短絡を早く解消することが出来る効果がある。
また、一回の短絡検出でパルス列1列分のパルス発生を停止させる方法に限らず複数パルス列のパルスをまとめて発生停止にすることも可能であるが、1列毎に短絡検出してパルス発生を停止させるようにすれば短絡電流が流れるのを最低限に抑えることが出来るのでより良い。
図5は、実施の形態2による放電加工用電源により、短絡検出後の短絡電流制御による加工特性への効果を実験にて確かめた例である。
本加工テストは、直径80μmのタングステン棒を電極として、厚さ約1mmの鉄系被加工物に穴をあける細穴放電加工機に適用したものであり、パルス列のパルス数を16として、加工電圧約200V、休止時間10μsec、加工用電流制限抵抗100Ω として、短絡検出後に発生するパルス数(パルス停止させないパルス数)と加工時間、電極消耗の関係を示している。
テストした条件においては、短絡検出後に発生させるパルス数を1とした場合が、加工速度と電極消耗量ともに優れた結果となった。
逆に、従来のように短絡してもパルス停止を全く行わない条件として16パルス全てを発生させる条件では、加工速度、電極消耗量ともにもっとも悪い結果となった。
本テスト条件では、1パルスだけ発生させる場合が最もよい結果となったが、他の設定条件例えばパルス列のパルス数や加工電圧、電流制限抵抗値、休止時間などにより最適なパルス数が1から数パルスの間で変化する。
本発明においては、所定時間パルス停止状態を継続させる代わりに、短絡を検出している間はパルス列中の1パルス又は数パルスのみを発生させることにより、短絡電流を大幅に減少させて加工屑が集中することを防止しつつ短絡ブリッジを除去する効果により短絡状態が早く解消するために加工速度が向上する結果になったものと考えられる。
また、短絡電流を流し続ける場合に比べて電極の温度上昇が抑制されるので電極の消耗量が減少するものと考えられる。
一方、電極と被加工物が加工屑などのブリッジではなく電極と被加工物が完全に短絡している場合には短絡を解消する効果は期待できず、電極の温度上昇や電極消耗を増大させる要因となるので短絡電流パルスを多く流し過ぎない方がよいと考えられる。
例えば、電極直径が30μmなどの極微細な電極では電極の許容電流が非常に小さいため、加工パルスによる短絡電流を全く流さない方が良い場合もある。
上述した実施の形態では、直流電源1のみで加工を行う場合について説明したが、本実施の形態は、加工用電極と被加工物との加工間隙に交流パルス電圧を印加する方式の放電加工用電源装置への適用を示したものである。
図6は本実施の形態3における放電加工機の回路構成を示す構成図であり、実施の形態1で示した図1に対し、直流電源1とは極間に対して逆極性に接続された直流電源17、スイッチング素子4a、電流制限用抵抗5a、ダイオード10a、AND回路13bを追加したものである。
すなわち、スイッチング素子4がオンしスイッチング素子4aがオフしているときは被加工物3に対して加工用電極2の極性はマイナス極性に、スイッチング素子4がオフしスイッチング素子4aがオンしているときは加工用電極2がプラス極性になるため、正負両極性の加工電源が接続されているに等しい。
放電加工用の両極性方式の電源は、放電加工中に被加工物がイオン化するいわゆる電解腐食現象を抑える効果があるため水を加工液とした最近のワイヤ放電加工機や一部の細穴放電加工機などに用いられている。
本実施の形態におけるパルス発生回路8は、電極マイナス極性側のスイッチング素子4及び電極プラス側のスイッチング素子4aをパルス列ごとに交互に駆動させるために図7に示すように信号8a及び8bをパルス列ごとに交互に出力し、AND回路13、13bの一方の入力に接続される。
パルス13aによりスイッチング素子4がオンしてパルス列の1パルス目が極間に出力されると、1パルス目の終了時点の電圧を予め決められたしきい値と比較するなどの方法にて極間が短絡状態であるかどうかの判別を行う。
短絡を検出すると、以下、実施の形態1と同様にパルス停止回路12よりパルス停止信号12aが発生し、AND回路13及び13bの一方に入力されパルス発生回路からのパルス列信号8a及び8bの両方がスイッチング素子4及び4aに入力されるのを阻止する。
なお、本回路構成をパイプ電極や棒状電極を用いる細穴放電加工装置に適用した場合、短絡電流が流れ続けることにより加工面を荒らしたり、電極消耗量を増やしたり加工が不安定になり加工時間が長くなったり、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる効果がある。
なお、1パルス目に短絡検出したパルス列から続く休止時間を経た逆極性のパルス列についてもパルス発生数が0になるように制御される。
その結果、極間短絡時に流す電流を最小限にすることにより、微細な電極を使用した場合においても加工に寄与しない短絡電流を流しつづけることにより電極を多く消耗させたり赤熱または焼損させたりすることを防止できる効果がある。
また、別の手法として、図7の破線部は短絡検出後の発生パルス数が2になるようにパルス発生条件設定部9が設定されている場合を示しており、検出後に2パルスが発生した後にパルス発生マスク信号が出力され、短絡検出したパルス列から続く休止時間を経た逆極性のパルス列についてパルス発生数が2になるようになっている。
その結果、電極と被加工物間に加工屑などがブリッジ状に介在して短絡状態となっている場合には短絡ブリッジを除去して極間の絶縁状態を回復させる効果がある。
図8は、実施の形態2にて説明した構成に実施の形態3の如き逆極性発生部を組み合わせた構成である。
次に、図9を用いて動作について説明する。
図9は、極間が短絡した状態の各部の信号を表している。
本実施の形態におけるパルス発生回路8は、パルス列間の休止時間中に短絡検出用スイッチング素子15を駆動するための信号8cと、電極マイナス極性側のスイッチング素子4を駆動するための信号8aと、電極プラス側のスイッチング素子4aを駆動するための信号8bを発生する。
信号8aと信号8bはパルス列毎に交互に発生し、AND回路13,13bの一方に入力される。
短絡検出用パルスの終了時点の極間電圧などより短絡検出回路11が短絡を検出すると、パルス停止回路12はパルス発生条件設定部9の指令に基づきパルス停止信号12aを発生する。
スイッチング素子駆動信号8a、8bはAND回路13,13bによりパルス停止信号が発生している間はスイッチング素子4,4aの駆動を阻止されるので、駆動信号はスイッチング素子駆動信号13a、13cのようになる。
また、微小電極による放電加工においても短絡検出用パルスによる電流以外は短絡電流を全く流さないように設定することも可能であるため、加工対象に合わせたより最適な短絡電流の設定が出来る効果がある。
また、正極性と負極性の両方のパルス発生を停止させるので、正負両極性電源の特徴である電解腐食現象の低減効果も損なうことがない。
なお、本回路構成をパイプ電極や棒状電極を用いる細穴放電加工装置に適用した場合、短絡電流が流れ続けることにより加工面を荒らしたり、電極消耗量を増やしたり加工が不安定になり加工時間が長くなったり、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる効果がある。
また、別の手法として図9の破線部は短絡検出後のパルス発生数が2になるように設定されている場合を示し、その結果、電極と被加工物間に加工屑などがブリッジ状に介在して短絡状態となっている場合には短絡ブリッジを除去して極間の絶縁状態を回復させる効果がある。
図10は、実施の形態5の一例を示す構成図である。
本実施の形態では、短絡検出回路11は、加工用電極と被加工物との加工間隙の短絡を検出すると短絡検出信号18を発生しパルス発生回路8へ送り、パルス発生回路8が、該短絡検出信号18を受けると、例えば短絡を検出した直後のパルス列とその次のパルス列との間の休止時間を一定時間、一例として非短絡時の設定休止時間の2〜数10倍程度に延ばすように働くようにしたものである。
また、本回路構成をパイプ電極や棒状電極を用いる細穴放電加工装置に適用した場合、加工面を荒らしたり、電極消耗量を増やしたり加工が不安定になり加工時間が長くなったり、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる効果がある。
図11は、実施の形態6の一例を示す構成図である。
本実施の形態では、スイッチング素子4、ダイオード10、電流制限用抵抗5の直列回路と並列にスイッチング素子4b、ダイオード10b、電流制限用抵抗5bの直列回路を接続する構成となっている。
通常は、パルス発生条件設定部9の指令に基づきパルス発生回路8はスイッチング素子駆動信号8a及び8dの両方または何れかを選択的に発生し、スイッチング素子4及び4bの両方または何れかを選択的に動作させることが出来る。
従って、電極径の大小などの加工内容や加工状況に応じて極間に供給するパルス電流の大きさを変化させることができるような構成になっている。
また、実施の形態10と同様に短絡検出回路11が極間の短絡を検出すると短絡検出信号18を発生してパルス発生回路8に送るようになっている。
極間が短絡状態のときには、短絡検出回路11が短絡を検出し、短絡検出信号18がパルス発生回路8に入力される。パルス発生回路8は短絡検出信号18が入力されると、直後のパルス列のパルス電流を小さくするべくパルス発生回路出力8a、8dの内の8dの出力をストップし、スイッチング素子4及び4bのうちの4のみを動作させることにより、短絡時の極間電流値を小さくするようにしたものである。一例として、抵抗5と抵抗5bの抵抗値を2:1の関係に設定しておけば、短絡時の電流値を1/3に抑制することができる。
また、本回路構成をパイプ電極や棒状電極を用いる細穴放電加工装置に適用した場合、短絡電流が多く流れ続けることにより加工面を荒らしたり、電極消耗量を増やしたり加工が不安定になり加工時間が長くなったり、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる効果がある。
本実施の形態の構成の一例を図13に示す。
本実施の形態においては、直流電源1の電圧V1及び直流電源17の電圧V2は、通常はパルス発生条件設定部9の指令に基づき直流電圧制御部19により制御されている。
加工用電極2と被加工物3とが短絡すると、短絡検出回路11は短絡検出信号18を発生し直流電圧制御部19に信号を送る。
短絡検出信号18を受けると直流電圧制御部19は、直流電源1の電圧V1及び直流電源17の電圧V2を例えば設定電圧の1/2にするように0.1m秒〜10m秒程度の予め設定された一定時間の間制御するようにしたものである。
従って、極間が短絡した場合においては、その後の一定時間の間、極間に流れる短絡電流を1/2に少なくすることができる。
また、本回路構成をパイプ電極や棒状電極を用いる細穴放電加工装置に適用した場合、加工面を荒らしたり、電極消耗量を増やしたり加工が不安定になり加工時間が長くなったり、微細な電極を赤熱または焼損させたりすることを防止できる効果がある。
Claims (13)
- 加工用電極と被加工物との加工間隙に所定のタイミングでON/OFFするパルス列を所定時間毎に断続させ、かつパルス列毎に正負両極性に極性を反転させながら電力を供給することにより上記被加工物を加工する放電加工用電源装置において、
加工用電極と被加工物との加工間隙の短絡を検出する短絡検出手段と、
この短絡検出手段により、上記加工間隙で短絡が発生したことを検出すると、上記加工間隙への電力供給を停止すべく、短絡を検出した際の極性に引き続き、反転させて電力を供給する極性である正逆極性一対のパルス列において加工間隙への電力供給を停止するパルス停止手段と、
を備えたことを特徴とする放電加工用電源装置。 - 短絡検出手段は、パルス列中の所定パルス印加時に短絡検出することを特徴とする請求項1に記載の放電加工用電源装置。
- 短絡検出手段は、パルス列中の1パルス目において短絡を検出することを特徴とする請求項2に記載の放電加工用電源装置。
- 短絡検出手段により短絡を検出した場合に、少なくとも1パルスは加工間隙に電力を供給し、その後、パルス列の終わりまでのパルスの発生を停止することを特徴とする請求項3に記載の放電加工用電源装置。
- 短絡検出手段は、パルス列の休止時間中に上記加工用電極と上記被加工物との加工間隙に短絡検出用パルスを印加することにより短絡を検出することを特徴とする請求項1に記載の放電加工用電源装置。
- 短絡検出用パルスは、パルス列で供給する電圧より低く、かつパルス幅が放電加工用パルスよりも長いことを特徴とする請求項5に記載の放電加工用電源装置。
- 加工用電極として細いパイプ或いは棒状電極を用いる細穴放電加工装置に用いられることを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の放電加工用電源装置。
- 細いパイプ或いは棒状電極の加工用電極と被加工物との加工間隙に所定のタイミングでON/OFFするパルス列を所定時間毎に断続させ、かつパルス列毎に正負両極性に極性を反転させながら電力を供給することにより上記被加工物を加工する細穴放電加工において、
加工用電極と被加工物との加工間隙の短絡を検出する工程と、
上記加工間隙で短絡が発生したことを検出すると、上記加工間隙への電力供給を停止すべく、短絡を検出した際の極性に引き続き、反転させて電力を供給する極性である正逆極性一対のパルス列において加工間隙への電力供給を停止させる工程と、
を備えたことを特徴とする放電加工方法。 - 短絡検出は、パルス列中の所定パルス印加時に短絡検出することを特徴とする請求項8に記載の放電加工方法。
- 短絡検出は、パルス列中の1パルス目において短絡を検出することを特徴とする請求項9に記載の放電加工方法。
- 短絡を検出した場合に、少なくとも1パルスは加工間隙に電力を供給し、その後、パルス列の終わりまでのパルスの発生を停止することを特徴とする請求項10に記載の放電加工方法。
- 短絡検出は、パルス列の休止時間中に上記加工用電極と上記被加工物との加工間隙に短絡検出用パルスを印加することにより短絡を検出することを特徴とする請求項8に記載の放電加工用電源装置。
- 短絡検出用パルスは、パルス列で供給する電圧より低く、かつパルス幅が放電加工用パルスよりも長いことを特徴とする請求項12に記載の放電加工方法。
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