JP5038122B2 - 静電荷像現像用混合トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用混合トナー及びその製造方法、並びに該トナーを使用した画像形成方法に関する。
ユーザーの多様な要求に応え得るカスタムカラーのトナーの製造や、装置の簡略化が可能な2色印刷等を目的として、色の異なる2種以上のカラートナーを混合する技術が種々検討されている。例えば、特許文献1では、トナーの表面処理剤に着目し、トナー表面を均質化する試みがなされている。
特開2005−316124号公報
しかしながら、縮合型アゾ顔料を含有したトナーとハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含有したトナーの組み合わせにおいては、特許文献1に記載の方法によってトナー表面を均質化しても、連続印刷に伴う色相の変化を防止することができない。
本発明の課題は、縮合型アゾ顔料を含有したトナーとハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含有したトナーを組み合わせた混合トナーであって、連続印刷においても、画像の色相を一定に維持することのできる静電荷像現像用混合トナー及びその製造方法、並びに該トナーを使用した画像形成方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 結着樹脂及び縮合型アゾ顔料を含むトナー(A)と、結着樹脂及びハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含むトナー(B)とを含有してなる静電荷像現像用混合トナーであって、前記トナー(A)及びトナー(B)が、さらに、サリチル酸化合物のクロム錯体を含有し、トナー(A)とトナー(B)のクロムイオン強度比(トナー(A)のクロムイオン強度/トナー(B)のクロムイオン強度)が1.30〜2.50である、静電荷像現像用混合トナー、
〔2〕 結着樹脂及び縮合型アゾ顔料を含むトナー(A)と、結着樹脂及びハロゲン化銅フタロシアニンを含むトナー(B)とを混合する工程を含む、静電荷像現像用混合トナーの製造方法であって、前記トナー(A)及びトナー(B)が、さらに、サリチル酸化合物のクロム錯体を含有し、トナー(A)とトナー(B)とのクロムイオン強度比(トナー(A)のクロムイオン強度/トナー(B)のクロムイオン強度)が1.30〜2.50である、静電荷像現像用混合トナーの製造方法、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載の混合トナーを、ハイブリッド現像方式の画像形成装置に用いる、画像形成方法
に関する。
本発明の縮合型アゾ顔料を含有したトナーとハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含有したトナーを組み合わせた静電荷像現像用混合トナーは、連続印刷においても、画像の色相を一定に維持することができる。
本発明の静電荷像現像用混合トナーは、縮合型アゾ顔料を含むトナー(A)と、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含むトナー(B)とを含有し、トナー(A)及びトナー(B)が、さらに、サリチル酸化合物のクロム錯体を含有し、トナー(A)とトナー(B)とのクロムイオン強度の比が特定の範囲にある点に特徴を有する。一般に、色の異なる2種以上のカラートナーを混合する際には、互いの帯電量やトナー表面が均質である程、トナーが均等に現像されるものと考えられる。しかしながら、前記特定の着色剤を含有する本発明のカラートナーの組み合わせにおいては、荷電制御剤のトナー表面での分散状態が均質であっても、連続印刷に伴う色相の変化を抑制できず、これは縮合型アゾ顔料を含むトナー(A)の飛散によるものであることが判明した。しかしながら、本発明では、さらに荷電制御剤としてサリチル酸化合物のクロム錯体を含有するトナーの組み合わせにおいて、トナー(A)のクロムイオン強度がトナー(B)よりも大きく、かつ両者のトナーのクロムイオン強度比(トナー(A)のクロムイオン強度/トナー(B)のクロムイオン強度)が1.30〜2.50、好ましくは1.32〜2.40、より好ましくは1.35〜2.30である場合に、色相の変化抑制に対して顕著な効果が奏される。トナーのクロムイオン強度は、結着樹脂と荷電制御剤の混練条件や荷電制御剤の添加量により調整することができる。
本発明において、トナー(A)に含まれる縮合型アゾ顔料としては、式(I):
Figure 0005038122
(式中、R1、R2、R3及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R4及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、ClCH2CH2OCO−基又は(CH3)2CHOCO−基である)
で表される化合物が好ましい。理由は不明なるも、かかる縮合型アゾ顔料を含有したトナー(A)は、光照射による退色が小さく、さらに環境の変化による帯電量の変化も小さい。従って、長期にわたって発色性に優れた鮮やかな画質を維持することができる。
式(I)において、ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられるが、これらの中では塩素原子が好ましい。また、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられるが、これらの中ではメチル基が好ましい。
式(I)で表される縮合型アゾ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド144、C.I.ピグメント・レッド221、C.I.ピグメント・レッド220、C.I.ピグメント・レッド242、C.I.ピグメント・レッド214、C.I.ピグメント・レッド166等が挙げられ、これらはそれぞれ単独であっても、2種以上が混合されて用いられていてもよい。本発明では、トナーの耐光性及び帯電性の観点から、式(Ia):
Figure 0005038122
で表されるC.I.ピグメント・レッド242及び式(Ib):
Figure 0005038122
で表されるC.I.ピグメント・レッド221が好ましく、C.I.ピグメント・レッド242がより好ましい。
トナー(A)における縮合型アゾ顔料の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
一方、トナー(B)に含まれるハロゲン化銅フタロシアニン顔料としては、式(II):
Figure 0005038122
(式中、X1〜X4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、p1〜p4は0〜4の整数であり、Xpはp個のXを示し、各Xは同一であっても異なっていてもよい。ただし、pがすべて0の場合を除く。)
で表される化合物が好ましい。式(II)において、ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられるが、これらの中では塩素原子及び臭素原子が好ましい。
式(II)で表されるハロゲン銅フタロシアニン顔料としては、式(IIa):
Figure 0005038122
で表されるC.I.ピグメント・グリーン7、式(IIb):
Figure 0005038122
で表されるC.I.ピグメント・グリーン36等が挙げられ、これらはそれぞれ単独であっても、2種以上が混合されて用いられていてもよい。
トナー(B)におけるハロゲン化銅フタロシアニン顔料の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
トナー(A)には縮合型アゾ顔料以外の着色剤が、トナー(B)にはハロゲン化銅フタロシアニン顔料以外の着色剤が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。
トナー(A)及びトナー(B)に荷電制御剤として含まれるサリチル酸化合物のクロム錯体としては、式(III):
Figure 0005038122
(式中、R7、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子、直鎖または分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基、mは2以上の整数、nは1以上の整数を示す)
で表される化合物が好ましい。
式(III)において、R8は水素原子が好ましく、R7及びR9は好ましくは分岐鎖状のアルキル基、より好ましくはtert-ブチル基である。
本発明において好適に用いられる、R8が水素原子、R7及びR9がtert-ブチル基であるサリチル酸化合物のクロム錯体の市販品としては、「ボントロン E-81」(オリエント化学工業(株)製)等が挙げられる。
トナー(A)及びトナー(B)におけるサリチル酸化合物のクロム錯体の含有量は、帯電立ち上がり性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.3〜4.0重量部がより好ましい。なお、クロムイオン強度を調整する観点からは、サリチル酸化合物のクロム錯体の含有量を低減するほど、トナー表面に存在するサリチル酸化合物のクロム錯体が少なくなり、クロムイオン強度が小さくなる傾向がある。
トナー(A)及びトナー(B)には、サリチル酸化合物のクロム錯体以外の荷電制御剤が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。
トナー(A)及びトナー(B)に含まれる結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられ、特に限定されないが、トナー中の添加剤の分散性が良好である観点から、ポリエステルが好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。
ポリエステルは、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分とを原料モノマーとして用い、これらを縮重合させて得られる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、並びにこれらの酸の無水物及びアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒の存在下、180〜250℃の温度で縮重合させることにより得られる。
耐久性及び定着性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましく、酸価は0.5〜60mgKOH/gが好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
さらに、トナー(A)及びトナー(B)には、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、磁性体等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、アルコール系ワックス等のワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどの天然エステル系ワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましい。
トナー(A)及びトナー(B)は、粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、さらにジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級して得られる。なお、混練温度を高くするほど、被混練物へのシェアが小さくなり、荷電制御剤等の内添剤の分散性が低下するため、トナー表面に存在するサリチル酸化合物のクロム錯体が少なくなり、クロムイオン強度が小さくなる傾向がある。
トナー表面は、外添剤により表面処理されていてもよい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子等が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが好ましい。
シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中ではジメチルジクロロシラン(DMDS)が好ましい。
外添剤の含有量は、外添剤で処理する前のトナー100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
外添剤による表面処理工程は、外添剤とトナーとをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機、V型ブレンダー等を用いる乾式混合法が好ましい。外添剤は、あらかじめ混合して高速攪拌機やV型ブレンダーに添加してもよく、また別々に添加してもよい。
トナー(A)及びトナー(B)の体積中位粒径(D50)は、3〜12μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。
トナー(A)とトナー(B)とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機、V型ブレンダー等を用いて混合することにより、本発明の静電荷像現像用混合トナーが得られる。両者のトナーの混合比は、目的とする混合トナーの色に応じて適宜決定される。
本発明の混合トナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、一成分現像法及び二成分現像法のいずれにも用いることができるが、本発明の混合トナーは、高速印刷にも対応可能な点から、二成分現像用トナーとして好適に使用することができ、ハイブリッド現像方式の画像形成装置にも好適に用いることができる。ハイブリッド現像方式とは、磁気ローラと、現像ローラと、周表面に静電潜像を担持する感光体ドラムとを備え、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を前記磁気ローラの周表面に保持させ、この磁気ローラ上に保持された二成分現像剤と前記現像ローラとを接触させて、現像ローラの周表面に非磁性トナーを静電付着させ、さらに、前記現像ローラ上の非磁性トナーを前記感光体ドラムの周表面に飛翔させて、感光体ドラム上の静電潜像をトナー像として顕像化させるように構成された画像形成装置を用いた現像方式である。
本発明のトナーと混合するキャリアとしては、画像特性の観点から、磁気ブラシのあたりが弱くなる飽和磁化の低いキャリアが好ましい。キャリアの飽和磁化は、40〜100Am2/kgが好ましく、50〜90Am2/kgがより好ましい。飽和磁化は、磁気ブラシの固さを調節し、階調再現性を保持する観点から、100Am2/kg以下が好ましく、キャリア付着やトナー飛散を防止する観点から、40Am2/kg以上が好ましい。キャリアの飽和磁化は、後述の実施例に記載の方法に測定される。
キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、帯電性の観点から、鉄粉、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトが好ましく、画質の観点から、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトがより好ましい。
混合トナーとキャリアとを混合して得られる二成分現像剤において、混合トナーとキャリアの重量比(混合トナー/キャリア)は、1/99〜10/90が好ましく、2/98〜8/92がより好ましい。
本発明の画像形成方法では、静電潜像を現像する現像工程がハイブリッド現像方式で行われる以外は、公知の工程を経て画像が形成される。現像工程以外の工程としては、例えば、感光体表面に静電潜像を形成させる工程(帯電・露光工程)、現像したトナー像を紙等の被転写材に転写する工程(転写工程)、転写したトナー像を定着させる工程(定着工程)、感光体ドラム等の現像部材に残存したトナーを除去する工程(クリーニング工程)等がある。
本発明の混合トナーは、線速が好ましくは750mm/sec以上、より好ましくは1000mm/secの高速の画像形成装置にも好適に用いることができる。ここで、線速とは画像形成装置のプロセススピードをいい、定着部の紙送り速度により決定される。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔トナーのクロムイオン強度〕
測定装置:TOF-SIMS IV(ION-TOF製)
測定条件:1次イオン Bi3 25kV [0.5pA] 、Cycle Time 100μs
Bunchingモード、positive ion検出
測定面積300×300μm、積算50sec
解析方法:クロム(Cr)のイオン強度比は、m/z 52のイオン強度を
total ion強度で規格化することにより求める。
〔トナーの帯電量〕
Q/Mメーター(エッピング社製)を用いて測定する。トナー3.0gとシリコーンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径60μm)47.0gとを50ml容のポリビンに入れ、ペイントシェーカー(TOYOSEIKI社製)を用い30分間攪拌し混合した後、Q/Mメーター付属のセルに規定量の現像剤を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引する。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)として算出する。
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1040g、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン10g、テレフタル酸199g、及び酸化ジブチル錫4gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、さらに減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸209g及びハイドロキノン1gを添加し、5時間反応させた後に、さらに減圧下で反応させてポリエステル(樹脂A)を得た。得られた樹脂Aの軟化点は107.5℃、酸価は21.3KOHmg/g、ガラス転移点は64.4℃であった。
〔キャリアの飽和磁化〕
(1) 外径7mm(内径6mm)、高さ5mmの蓋付プラスティックケースにキャリアをタッピングしながら充填し、プラスティックケースの重量とキャリアを充填したプラスティックケースの重量の差から、キャリアの質量を求める。
(2) 理研電子(株)の磁気特性測定装置「BHV-50H」(V.S.MAGNETOMETER)のサンプルホルダーにキャリアを充填したプラスティックケースをセットし、バイブレーション機能を使用して、プラスティックケースを加振しながら、79.6kA/mの磁場を印加して飽和磁化を測定する。得られた値は充填されたキャリアの質量を考慮し、単位質量当たりの飽和磁化に換算する。
実施例1〜5及び比較例1〜5
〔トナー(A)の製造〕
結着樹脂として樹脂A 100重量部、着色剤として縮合型アゾ顔料「NOVOPERM SCARLET 4RF」(クラリアント社製、C.I.ピグメント・レッド242)8重量部、荷電制御剤として表1に示す使用量のサリチル酸化合物のクロム錯体「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)及び離型剤としてポリプロピレンワックス「ハイワックスNP-055」(三井化学社製)1重量部をヘンシェルミキサーで混合後、二軸混練機「PCM-43」(池貝社製)を用いて、表1に示す温度条件下で溶融混練し、ドラムフレーカーにより冷却した後、カッターミルで粗粉砕した。その後、ジェットミルで微粉砕し、気流分級機で分級を行い、体積中位粒径(D50)が8.5μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部と疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS)0.6重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて90秒間攪拌後、目開き100μmの金網で篩って、レッドトナーを得た。
〔トナー(B)の製造〕
着色剤として、縮合型アゾ顔料の代わりにハロゲン化銅フタロシアニン顔料「HOSTPERM GREEN GG01」(クラリアント社製、C.I.ピグメント・グリーン7)8重量部を使用した以外は、トナー(A)と同様にして、グリーントナーを得た。
トナー(A)50重量部とトナー(B)50重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、混合トナーを得た。
実施例6、7
混合トナーの調製において、トナー(A)とトナー(B)の重量比((A)/(B))を、実施例6では70/30、実施例7では30/70に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、混合トナーを得た。
試験例1
オセプリンティングシステム社製のハイブリッド現像方式の画像形成装置「Vario Stream 9000」(線速1000mm/sec)に、フェライトキャリア(平均粒径:60μm、飽和磁化:68Am2/kg)を5kg投入し、さらにトナー濃度が6重量%になるように混合トナーを補給し、10分間攪拌して二成分現像剤に調製した後、印字率0.5%の画像を20万枚印刷した。その際、紙上に印字された画像の色相を印字初期(100枚)と比較し、以下の方法により、色相の変化(ΔE)を測定した。結果を表1に示す。
〔ΔEの測定〕
色彩計「SPM50」(グレタグ社製)を用いてL*値、a*値及びb*値を測定する。下記式に従って色差(ΔE)を算出し、色相の変化を評価する。
Figure 0005038122
(式中、L1 *、a1 *及びb1 *は印字初期の値を、L2 *、a2 *及びb2 *は20万枚印刷後の値をそれぞれ示す。)
Figure 0005038122
以上の結果より、実施例1〜7は、比較例1〜5と比べて、色相の変化抑制に対する効果が格段に高いことが分かる。また、組み合わせるトナーの帯電量がほぼ同等である比較例1の結果や各トナーの帯電量がほぼ同等である実施例1と比較例5との対比から、色相の変化抑制に対する効果が、トナーの帯電量の調整とは関係なく、クロムイオン強度比に影響を受けていることが明らかである。
本発明の静電荷像現像用混合トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる。

Claims (4)

  1. 結着樹脂及び縮合型アゾ顔料を含むトナー(A)と、結着樹脂及びハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含むトナー(B)とを含有してなる静電荷像現像用混合トナーであって、前記トナー(A)及びトナー(B)が、さらに、サリチル酸化合物のクロム錯体を含有し、トナー(A)とトナー(B)のクロムイオン強度比(トナー(A)のクロムイオン強度/トナー(B)のクロムイオン強度)が1.30〜2.50である、静電荷像現像用混合トナー。
  2. 結着樹脂及び縮合型アゾ顔料を含むトナー(A)と、結着樹脂及びハロゲン化銅フタロシアニンを含むトナー(B)とを混合する工程を含む、静電荷像現像用混合トナーの製造方法であって、前記トナー(A)及びトナー(B)が、さらに、サリチル酸化合物のクロム錯体を含有し、トナー(A)とトナー(B)とのクロムイオン強度比(トナー(A)のクロムイオン強度/トナー(B)のクロムイオン強度)が1.30〜2.50である、静電荷像現像用混合トナーの製造方法。
  3. 請求項1記載の混合トナーを、ハイブリッド現像方式の画像形成装置に用いる、画像形成方法。
  4. 画像形成装置の線速が750mm/sec以上である、請求項3記載の画像形成方法。
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