本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等において形成された静電荷潜像を可視像化する静電荷像現像用カラートナーの製造方法及び画像作製装置に関するものである。
例えば電子写真法においては、光導電性感光体を帯電、露光し、感光体上に静電荷潜像を形成し、次いでこの静電荷潜像を樹脂をバインダーとして着色剤等を含有せしめた微粒子状トナーによって現像し、得られたトナー像を記録紙上に転写し定着して記録画像が得られる。
このような静電像記録工程では、微粒子状トナーによる静電荷潜像の現像と記録紙上への定着が特に重要な工程であり、従来においてはトナーを現像する方法として、高速、高画質現像が可能なトナーと磁性キャリアより成る二成分現像剤を用いる磁気ブラシ現像法がよく用いられている。また、トナーを定着する方法としては、熱効率が高く高速定着が可能な熱ローラ定着法がよく用いられている。
一方、最近においては、情報機器の発展に伴い、光導電性感光体の露光にレーザビームを用い、コンピュータの指示による変調信号によって記録画像をドットで再現するレーザビームプリンタが発達している。特に、最近のレーザビームプリンタでは、より一層の高画質化とカラー化が求められるため、レーザビームの径を絞り込んで小さくし、ドット密度を600dpi(dots/inch)以上に高くするとともに、カラー化の画像形成プロセスが検討されている。
カラー化の画像形成プロセスにはカラー電子写真法がある。この方法では、画像の作製に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナーと、黒色を加えた4色のトナーを用い、光導電性感光体上に各色に対応した静電荷潜像を形成し、次いで現像、転写工程を経てトナーを支持体もしくは中間転写体に保持させ、この工程を順次複数回行ってレジストレーションを合わせつつ、同一の支持体もしくは同一の中間転写体に各色トナーを重ね合わせ、支持体の場合には一回の定着によって、中間転写体の場合にはさらに重ね合わせた画像を支持体に転写し、一回の定着によって画像を作製する。
この方法によれば、色の3原色であるイエロー、マゼンタ、シアントナーを用い、それらの減法混色によって画像を発色させるため、原理的には殆ど全ての色をあらゆる濃度で再現でき、それを実現したフルカラープリンタも上市されている。
しかしながら、上記のフルカラープリンタでは複数のカラートナーを重ね合わせて画像を作製するため、それらの位置の制御、トナー同士の混合量の制御等、装置側の制御に高精度が要求され、装置が大型化、複雑化し、安定性を欠く面がある。そのため、多数枚の印刷を繰り返し行う高速の印刷装置には適用し難い難点があった。
一方、印刷の分野では、コンピューターと結びついたPOD(プリントオンデマンド)システムが発達しており、その分野ではモノクロ印刷ばかりでなく、カラーを付加した2色印刷の要求も高まっている。この2色印刷では、赤、青、緑、紺青等の基本色のほかにユーザーが指定したカスタムカラーを実現する必要がある。即ち、重要な項目の強調印刷や企業カラーによるロゴの印刷、ワンポイントの広告挿入、アクセントカラーによる情報やメッセージの刷り込み、自社ブランドイメージの訴求など、ユーザーの多様な要求に応える必要があり、カスタムカラーではオフセット印刷における特色カラーの色域に匹敵した広範囲なカラーの色域に対応する必要がある。
この用途には、前述の電子写真方式のレーザビームプリンタを適用でき、2台のプリンタを連結して使用し、1台のプリンタで基本色の黒色を印刷し、他の1台のプリンタでプラスワンカラーを印刷し、2色印刷を実現することができる。この場合、プリンタは1台で単色の印刷機能を発揮すればよく、前述のフルカラー機のような装置の大型化、複雑化、安定性の欠如等の問題を低減できる。しかし、多種類のプラスワンカラーの印刷を実現するためには、上記したユーザの多様な要求に応え得るカスタムカラートナーの品揃えが必要になる。
カラートナーは、一般に提案されているトナーの製造方法、即ち、粉砕法、重合法等により黒トナーと同様に製造することができる。粉砕法では、熱ローラ、ニーダ、エクスルーダ等の熱混練機によって構成材料(樹脂、着色剤、帯電制御剤、添加剤等)をよく混練した後、機械的な粉砕、分級、表面処理の工程によってトナーを作製する。特に粉砕法では粉砕工程で強い衝撃力が必要であり、微細になった静電荷潜像の現像のためには、トナーの小粒径化が必須であり、粉砕機の改良によって5μm程度の微小粒径のトナーを製造できるようになった。
一方、重合法には、乳化重合法と懸濁重合法があり、前者は乳化剤(界面活性剤)を含有する水中にトナーの樹脂成分となるモノマーを混合乳化させ、水溶性の開始剤によって重合させ、サブミクロン程度の微小粒子を得て、それらを凝集させ、その過程で着色剤、帯電制御剤、添加剤等を添加しトナーを得る。
また、後者の懸濁重合法では、重合開始剤、分散剤、着色剤、帯電制御剤、添加剤等を含有するモノマーを水中で機械的な剪断力によって懸濁させ、重合してトナーを得る。これらの重合法では、粉砕工程が不要であり、最近の技術革新によって分級工程も不要になり、粒度分布のシャープな5μm以下の微小粒径のトナーが得られるようになった。
その他、トナーの構成材料を樹脂の良溶媒に溶解し、分散剤、分散助剤を含む特定の溶媒中で機械的な剪断力等によって造粒し、トナーを得る溶解懸濁法も実用化されている。
これらの方法によって、着色剤にカラー顔料、もしくはカラー染料を用い、カラートナーを製造することができる。最近では、耐光性の面から着色剤にカラー顔料を用いることが多く、高画質のカラー画像を得るためには、トナーの着色剤と樹脂の組成、性状、両者の親和性、粒度等を考慮し、トナー中に着色剤を均一に分散させる必要がある。即ち、着色剤粒子を出来るだけ微細、且つ均一に安定な状態で樹脂中に分散させる必要がある。
さらに、トナーの帯電を制御するためには帯電制御剤として着色剤の色相、彩度を低下させない無色もしくは白色の材料が必要になる。
一方、着色剤に用いる顔料粒子はそれ自体分散性に乏しく、顔料メーカーでは種々の表面処理により分散性の改良を行っているが、その対象用途は多種多様であり、一つの表面処理の方法が全てに有効とは限らない。また、顔料、樹脂が親和性に富んでいても良好な分散性を得るためには、顔料の凝集をほぐし、強制的に樹脂と混合させるために分散、混練の高度な技術開発が必要になる。これらは、顔料と樹脂の素材毎に最適化する必要があり、所望のカラートナーを得るためには多くの検討が必要である。
この困難さに加え、所定の色を発色させるためのカスタムカラートナーを得るためには、発色に必要な顔料系を選定し、発色に必要な顔料の混合系を検討し、それらを含むカラートナーを製造する。この際、粉砕法では顔料の分散性を向上させるため、予め顔料と樹脂のみからなるマスターバッチを作製し、これに最終組成となる樹脂と帯電制御剤、添加剤等を加え、混練、粉砕、分級等の所定の工程を経てトナーを作製する。得られたトナーの発色性が所望の色相でない場合には再度顔料の混合系を検討し、トナーを作製する。これを、所定の色が得られるまで繰り返す。
一方、重合法では、製造工程上良好な顔料の分散性が得られ易いが、色替え時に重合用の反応釜を清掃する必要があり、少量多品種のカラートナーの製造には不向きである。従って、2色印刷においてユーザーの多様な要求に応え得るカスタムカラートナーを得るためには、多大の労力と時間と開発費が必要であった。
本発明の解決しようとする課題は、上記2色印刷においてユーザーの多様な要求に応え得るカスタムカラートナーを効率良く開発でき、安定した印刷を可能とする静電荷像現像用カラートナーの製造方法及び画像作製装置を提供することにある。
本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、少なくとも定着用樹脂、着色剤、表面処理剤を含む静電荷像現像用カラートナーにおいて、所定のカラー色を発色させるために必要な着色剤の構成成分の一部を含む複数のカラートナーを製造し、それらを混合して所定のカラー色を発色させるカラートナーを得る製造方法において、表面処理剤として体積平均粒径が5〜50nmの微粒子を用い、且つ、表面処理剤のトナー表面への固定化率を50%以下にすること。そのため、所定のカラー色を発色させるために必要な着色剤の構成成分の一部を含む複数のカラートナーを表面処理剤を添加せずに製造し、それらを混合する工程で前記の表面処理剤を添加し、所定のカラー色を発色させるカラートナーを得ること。
また、所定のカラー色を発色させるために必要な着色剤の構成成分の一部を含む複数のカラートナーは、着色剤以外の構成材料を同一種とすることにより、静電荷像保持部材上に形成された静電荷潜像をトナーとキャリアから構成される二成分現像剤を用いて顕像化し、顕像化したトナー像を記録媒体上に転写し、静電荷像保持部材上に残留したトナー像を清掃すると共に、記録媒体上に転写したトナー像を定着して記録画像を得る静電像記録工程において、カラートナーは良好な特性を示し、所定のカラー色を発色させるために必要な着色剤の構成成分の一部を含む複数のカラートナー単独による画像が目視できないレベルに小さくなり、安定したカラートナー像作製装置を提供できることを見出した。
以上述べた様に本発明によれば、2色印刷においてユーザーの多様な要求に応え得るカスタムカラートナーを効率良く開発でき、それを用いた高信頼な画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、カスタムカラートナーを得るためには着色剤を混合して所定の色を発色させるカラートナーを得るのではなく、基本色を発色する着色剤の一部を含むカラートナーを予め製造しておき、それらを混合して所定の色を発色するカラートナーを得る。このため着色剤を変更する度にトナーを試作し、評価する必要がなく、大幅な省力化を図ることができる。基本色を発色するカラートナーとしては、色の3原色であるイエロー、マゼンタ、シアントナーが必須である。また、必要に応じて他の色を発色するカラートナーもしくは黒、白トナー等を加えることができる。これらのトナーは、前述の様に、着色剤と樹脂の組成、性状、両者の親和性、粒度等を考慮し、トナー中に着色剤を均一に分散させた、高性能な基本色トナーとする。
一般にトナーを製造する工程では、前述の粉砕法、重合法、あるいは溶解懸濁法等を問わず、トナーを製造する最終段階で表面処理剤を添加し、その工程で生じた粗大粒子を除いて、トナーの帯電特性、粉体特性等を向上せしめ、製品トナーが得られる。
本発明においては、この製品トナー同士を混合して、トナーの均一な混合性、良好な帯電特性、粉体特性を得る必要がある。そのためには、混合後のトナーの表面処理剤のトナー表面への付着状態を考慮する必要がある。これは、製品トナーでは既に表面処理剤をある程度良好な状態でトナーの表面に添加しており、これらをさらに混合することでトナーに余分なストレスがかかり、それらの添加状態が変化し、混合後にトナーの特性が低下するのを防ぐためである。トナーの表面処理剤は、トナー特性を制御すると共に、トナー間のスペーサーとなり、トナー間の相互作用を緩和する働きもする。
本発明では構成材料の異なるトナーを混合するため、トナー同士の相互作用をさらに緩和させる必要がある。本発明者等は、混合トナー系で、トナーの表面処理剤の添加状態とトナー特性との関係を詳細に検討した結果、表面処理剤として、体積平均粒径が5nm〜50nmの微粒子を用い、且つ、トナー表面への固定化率を50%以下にすれば、トナーの特性を安定化でき、良好な混合トナー系が得られることが分かった。
また、表面処理剤を含むトナー同士を混合した場合、一般に高帯電を有する表面処理剤同士は互いに静電気的に反発し合い、トナーの均一な混合を妨げると考えられる。そこで、本発明者等は、基本色を発色する着色剤の一部を含むカラートナーを予め表面処理剤を添加せずに製造しておき、それらを混合する過程で前記の表面処理剤を添加し、添加混合条件を最適化することにより表面処理剤のトナー表面への固定化率を50%以下にでき、所定のカラー色を発色する良好な特性を示すカラートナーを得ることができた。
また、混合するトナーの着色剤以外の構成材料を同一種とすることにより、特に良好な混合トナー系を得ることができ、通常の静電像記録工程において、所定のカラー色を発色させるために必要な着色剤の構成成分の一部を含む複数のカラートナー単独による画像を目視できないレベルに小さくでき、安定したカラートナー像作製装置を提供できることが分かった。
一般に、トナーの定着用樹脂には、前記熱ローラ定着用としてスチレン〜(メタ)アクリル系樹脂が用いられ、最近ではポリエステル系樹脂も良く用いられる。この定着用樹脂にワックス類を添加し、トナーの定着性能を向上させる。
ワックス類は、トナーによる熱ローラの汚染、所謂オフセット現象を防止する働きをするが、反面、トナーの耐熱性、耐久性、保存安定性、流動性を低下せしめ、トナー、及び現像剤の信頼性を低下させる問題がある。ワックス類には動・植物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックス等の天然ワックス、フィッシャー・トロピッシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、それらを原料に加工した加工ワックス等多くの種類があり、その機能に応じて使い分けられる。
ワックスは、分子量分布を持った比較的低分子の集合体であり、その特性は、分子量分布に大きく依存する。一般に、ワックスの効果は高温オフセットの防止に加え、低分子量成分を多くすることで低温オフセットの防止や低温定着の向上にも効果を発揮する。
本発明のトナーにおいて、ワックスの添加量は、ワックス総量において、定着用樹脂に対し0.5〜20wt%添加することが好ましい。0.5wt%未満ではトナーの定着性能を改良する効果が少なくなり、20wt%を越える場合にはトナーの耐久性が低下し、高温オフセットも発生し易くなる。
本発明のトナーに使用できる定着用樹脂としては、例えば、以下の樹脂が挙げられる。ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;さらにはポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クロマン〜インデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられるが、好ましくはスチレン〜(メタ)アクリル系共重合体もしくはポリエステル系樹脂である。
ポリエステル系樹脂は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA誘導体もしくは置換体、水素化ビスフェノールAの如きジオール成分、グリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール成分と2価以上のカルボン酸またはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)とを共縮重合したものを用いる。
また、前記したポリエステル系樹脂は樹脂に含まれる極性基(水酸基、カルボキシル基)が吸湿し、帯電特性が変化し易い問題があり、ポリエステル系樹脂にスチレン〜(メタ)アクリルをグラフト共重合させた低吸湿性の樹脂も使用できる。なお、スチレン〜(メタ)アクリル系共重合体、もしくはポリエステル系樹脂は一部架橋されていてもよく、混合樹脂でも構わない。
本発明のトナーには帯電制御剤をトナー粒子に配合(内部添加)、もしくは混合(外部添加)して用いることにより、トナーの帯電量を所望の値に制御することができる。トナーの正帯電制御剤としては、ニグロシン及びその脂肪酸等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン系染料及びこれらのレーキ顔料、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;これらの単独あるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料の如き帯電制御剤が特に好ましく用いられ、四級アンモニウム塩は無色であり、カラートナーに適している。
トナーの負帯電制御剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。特にサリチル酸誘導体の金属錯体(中心金属がクロム、亜鉛、アルミニウム、ホウ素等)、他の芳香族ハイドロキシカルボン酸系の金属錯体(中心金属がクロム、アルミニウム、鉄、コバルト、チタン、ホウ素等)は淡色または無色であり、カラートナーに適している。
これらの帯電制御剤をトナーに内部添加する場合、定着用樹脂に対して0.1wt%〜10wt%添加することが好ましい。
本発明のトナーにおいて、多色トナーの均一混合、混合後のトナーの現像性、流動性、帯電安定性、耐久性、保存性向上のために表面処理剤を外部添加する必要がある。
表面処理剤としてはシリカ微粉末が好適であり、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が10m2/g以上、体積平均粒径が5nm〜50nmのものが好ましく、トナーに対して0.01wt%〜5wt%の範囲で外部添加して用いる。また、必要に応じてシリカ微粉末を各種有機ケイ素化合物等の処理剤、あるいは種々の処理剤で疎水化、もしくは帯電性を制御して用いる。本発明において、シリカ微粉末の体積平均粒径は特に重要であり、体積平均粒径が5nm未満のシリカを用いた場合、シリカはトナーの表面に埋没し易くなり、その効果が長続きしない。また、体積平均粒径が50nmを越えるシリカを用いた場合、シリカはトナーの表面に埋没し難くなり、その効果は長続きするが、反面、トナーの表面から離脱し易くなり、トナーの諸特性を低下させる。特に流動性の低下が著しく、トナーが使用不能となる場合がある。従って、本発明では体積平均粒径が5nm〜50nmの範囲のシリカ微粉末を表面処理剤として用いる。
さらに、トナーへの他の表面処理剤としては、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリ沸化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、中でもポリ沸化ビニリデンが好ましい。あるいは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。凝集防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤、また、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることができる。これらは、前記したシリカ微粉末の効果を損なわない範囲で添加し、トナーの諸特性を向上させることができる。
本発明のトナーは、二成分現像剤として用いる場合には、キャリアと混合して用いられる。この場合、トナーとキャリアとの混合比はトナー濃度として2wt%〜20wt%が好ましい。
本発明に用い得るキャリアとしては、公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト、マグネタイト、ガラスビーズ及びこれらの表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂あるいはシリコーン系樹脂等でコートしたものが用いられる。
本発明のトナーは通常はトナーとキャリアからなる二成分現像剤として用いられるが、トナーを一成分現像機に適用し、一成分現像剤としても用いられる。特に黒トナーに関しては、磁性粉を添加し、磁性一成分トナーとして用いられる。この場合、磁性材料は着色剤の役割を兼ねることができ、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのごとき酸化鉄、及び、又は鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。これらの磁性体は平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1μm〜0.5μm程度のものが好ましく、トナー中に含有させる量としては、定着用樹脂に対し、30〜70wt%がよい。
本発明のトナーに使用し得る着色剤としては、3原色のイエロー、シアン、マゼンタのほか、任意の色材としての顔料または染料が挙げられる。トナーのイエロー顔料としては例えばジアリル系のC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー174、ベンズイミダゾロン系のC.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー180、モノアゾ系のC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー97、ジスアゾ系のC.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー155等があり、シアン顔料としては例えばフタロシアニン系のC.I.ピグメントブルー15:3がある。
また、マゼンタ顔料としては、例えばカルシウムレーキ系のC.I.ピグメントレッド57:1、キナクリドン系のC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、ナフトール系のC.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド184、ベンズイミダゾロン系のC.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、モノアゾ系のC.I.ピグメントレッド146等がある。
なお、黒顔料としてはカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、前述した磁性粉、白顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛等があり、これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要十分な量が用いられ、好ましくは樹脂に対し0.2wt%〜15wt%添加する。
さらに同様の目的で染料が用いられる。例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、これらは樹脂に対し0.2wt%〜15wt%添加する。
本発明における静電荷像現像用カラートナーを得るには、粉砕法では定着用樹脂、ワックス、帯電制御剤、着色剤としての顔料または染料(着色剤は予め樹脂に分散し、マスターバッチとする)、さらに必要に応じて他のワックスや添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサーの如き混合機により十分に混合してから加熱ローラ、ニーダ、エクストルーダーの如き熱溶融混練機を用いて溶融混練して素材類を十分に混合せしめた後、冷却固化後微粉砕及び分級を行って平均粒径が5μm〜10μmのトナーを得る。その他、公知の乳化重合法、懸濁重合法、溶解懸濁法等により、さらに小粒径(3μm〜5μm)の基本色となるカラートナーを得ることができる。次にこれらを適宜混合し、所定の色を与えるカスタムカラートナーを得る。そのため、上記基本色のカラートナーを混合し、該トナー混合系に表面処理剤を添加し、ヘンシェルミキサーの如き混合機により均一に混合し、トナーの表面に表面処理剤を添加し、所望の色を発色するカスタムカラートナーを得ることができる。
本発明のトナーは、静電荷像保持部材上に形成された静電荷潜像をトナーとキャリアから構成される二成分現像剤を用いて顕像化し、顕像化したトナー像を記録媒体上に転写し、静電荷像保持部材上に残留したトナー像を清掃すると共に、記録媒体上に転写したトナー像を定着して記録画像を得る静電像記録工程において、良好な特性を示し、特に基本色トナーの着色剤以外の構成材料を同一種とした場合には安定した印刷特性が得られ、良好なカラートナー像作製装置を提供することができる。
本発明において、トナーの表面処理剤の固定化率は以下の様に定義する。まず、トナーを走査型電子顕微鏡でトナー表面を拡大観察し、画像をパソコンに取り込む。画像処理ソフトを用いてトナー表面の画像を処理し、画像中の各表面処理剤の面積を測定し、トナー表面に埋没した表面処理剤の面積の和(A)とトナー表面に埋没していない表面処理剤の面積の和(B)より、下式により固定化率を求める。
なお、トナー表面に埋没した表面処理剤とは、表面処理剤の体積の1/2以上がトナー表面に埋没しており、そうでないものを埋没していないと判定する。
トナー表面処理剤の固定化率(%)=(A/A+B)×100
本発明において、定着用樹脂の分子量分布はGPCにより次の条件で測定する。
(GPC測定条件)
装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)
分離カラム:TSKgel Super HM−H/H4000/H3000/H2000
カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
圧力:13.6MPa
検出器:示差屈折計
流量:0.6ml/min
試料濃度:3g/l THF
注入量:20μl
上記の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用し、樹脂全体の数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布等を求める。
一方、トナーのガラス転移点(Tg)は、トナーの熱のやり取りを測定し、その挙動を観測するので、測定原理から超高感度の熱流束型の示差走査熱量計(DSC)で測定することが好ましい。例えば、TAインスツルメンツ社製の2910が使用できる。測定条件としては、トナーを約5mg計量してDSCに載置し、1分間に50mlの窒素ガスを吹き込み、0℃から160℃の間を1分間あたり10℃の割合で昇温させ、トナーの吸収熱量曲線を測定し、定着用樹脂に帰属される吸収熱量曲線の図2に示すショルダーよりTgを求める。
また、トナーの軟化点(T1/2)は、定荷重押出し形細管式レオメータ(島津製作所製フローテスタCFT−500C形)を用い、昇温法で図3に示すピストンストロークの流動過程より溶融開始温度(Tfb)と流出終了温度(Tf)の1/2の温度を測定し、T1/2とする。この際、フローテスタの測定条件は、荷重20kgf/cm2、ダイ径1mm、ダイ長さ10mm、昇温速度6℃/分とする。
以下、本発明の実施例について説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
C.I.ピグメントブルー15:3のフタロシアニン系シアン顔料とその6倍量のビスフェノールA誘導体をジオール成分として含むポリエステル樹脂A(数平均分子量:2950、重量平均分子量:5680)をオープンローラ連続押出機で溶融混練し、冷却後粗粉砕し、1mm以下のマスターバッチ用着色樹脂を得た。次いで、ビスフェノールA誘導体をジオール成分として含むポリエステル樹脂B(数平均分子量:4330、重量平均分子量:107420)63重量部、上記C.I.ピグメントブルー15:3のフタロシアニン系シアン顔料4.5重量部を含むマスターバッチ用着色樹脂31.5重量部、ポリエチレンワックス4重量部、芳香族ハイドロキシカルボン酸系のホウ素錯体1.5重量部の配合からなるトナー原料をスーパーミキサーで予備混合し、二軸混練機で熱溶融混練後冷却し、固化物を得た後粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒径が約9μmの粒子:シアン(1)を得た。
着色剤としてC.I.ピグメントレッド122のキナクリドン系マゼンタ顔料を用いる以外は上記と同様にして、約9μmの粒子:マゼンタ(1)を得た。
上記シアン(1)50重量部、マゼンタ(1)50畳量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ微粉末0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの本発明の青トナーを得た。青トナーの疎水性シリカの固定化率は約20%、ガラス転移点(Tg)は約55℃、また、軟化点(T1/2)は約125℃である。
上記青トナーをOPCを感光体として用いた電子写真方式のレーザビームプリンタに適用し、OPCの帯電電位−650V、残留電位−50V、現像バイアス電位−400V、現像部コントラスト電位350Vで、毎分60枚の印刷速度(印刷プロセス速度26.7cm/sec)で画像作製を行った。現像機には、キャリアとして、導電剤含有シリコーン系樹脂でコートした重量平均粒径が100μmのマグネタイトキャリア(電気抵抗4.1×108Ω・cm)を使用し、トナー濃度3.0wt%で現像剤を調製し、磁気ブラシ現像法で現像ギャップ(感光体と現像ローラスリーブ間の距離)を0.8mmとし、感光体と現像ローラを同方向で移動し、両者の周速比(現像ローラ/感光体)を約3とし、反転現像で画像を作製した。
定着機は、アルミニウム製芯金をフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体:PFA)のチューブで薄く被覆し(厚さ40μm)、中心部にヒータランプを設置したものを熱ローラとし、アルミニウム製芯金にゴム硬度約30度のシリコーンゴム層(厚さ7mm)を設置し、最外層をPFAチューブで被覆したものをバックアップローラとし、定着条件は、プロセス速度26.7cm/sec、熱ローラとバックアップローラの外径60mm、押し付け荷重80kgf、両者の接触域(ニップ)の幅約7mmとし、熱ローラの制御温度を190℃とした。なお、熱ローラにはシリコーンオイルを含浸したノーメックスペーパ巻き取りタイプの清掃機を設置した。
上記青トナーを上記レーザビームプリンタに適用し、連続印刷を行ったところ良好な定着性能が得られ、数10万頁の連続印刷を繰り返しても安定した画像を得ることができた。
着色剤としてC.I.ピグメントイエロー17のジアリル系イエロー顔料を用いる以外は実施例1と同様にして、約9μmの粒子:イエロー(1)を得た。
上記イエロー(1)50重量部、実施例1のマゼンタ(1)50畳量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの本発明の赤トナーを得た。赤トナーの疎水性シリカの固定化率は約15%、ガラス転移点(Tg)は約54℃、また、軟化点(T1/2)は約124℃である。
上記赤トナーを実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な結果を得た。
実施例1のシアン(1)50畳量部、実施例2のイエロー(1)50重量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの本発明の緑トナーを得た。緑トナーの疎水性シリカの固定化率は約25%、ガラス転移点(Tg)は約53℃、また、軟化点(T1/2)は約123℃である。
上記緑トナーを実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な結果を得た。
実施例1および実施例2において、ポリエステル樹脂Bをスチレン〜アクリル系共重合体樹脂C(数平均分子量:3300、重量平均分子量:230000)に変更する以外は実施例1および実施例2と同様に約9μmの粒子:シアン(2)、マゼンタ(2)、イエロー(2)を得た。
上記シアン(2)50重量部、マゼンタ(2)50畳量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの本発明の青トナーを得た。青トナーの疎水性シリカの固定化率は約18%、ガラス転移点(Tg)は約50℃、また、軟化点(T1/2)は約125℃である。
上記青トナーを実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な結果を得た。
実施例4のイエロー(2)50畳量部、実施例4のマゼンタ(2)50重量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの本発明の赤トナーを得た。赤トナーの疎水性シリカの固定化率は約23%、ガラス転移点(Tg)は約51℃、また、軟化点(T1/2)は約126℃である。
上記赤トナーを実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な結果を得た。
実施例4のイエロー(2)50畳量部、実施例4のシアン(2)50重量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの本発明の緑トナーを得た。緑トナーの疎水性シリカの固定化率は約17%、ガラス転移点(Tg)は約50℃、また、軟化点(T1/2)は約124℃である。
上記緑トナーを実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な結果を得た。
(比較例1)
実施例1において、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで強攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの青トナーを得た。青トナーの疎水性シリカの固定化率は約55%、ガラス転移点(Tg)は約56℃、また、軟化点(T1/2)は約127℃である。
上記青トナーを実施例1と同様に評価した結果、印刷初期は良好な画像を得たが、連続印刷を行うと、画像にシアン色またはマゼンタ色の下地汚れが発生し、安定した画像を得ることができなかった。
(比較例2)
実施例1において、体積平均粒径100nmの疎水性シリカ1.0重量部をヘンシェルミキサーで強攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの青トナーを得た。青トナーの疎水性シリカの固定化率は約35%、ガラス転移点(Tg)は約52℃、また、軟化点(T1/2)は約125℃である。
上記青トナーを実施例1と同様に評価した結果、印刷初期は良好な画像を得たが、連続印刷を行うと、画像にシアン色またはマゼンタ色の下地汚れが発生し、安定した画像を得ることができなかった。
(比較例3)
実施例1のシアン(1)50畳量部、実施例4のイエロー(2)50重量部、体積平均粒径16nmの疎水性シリカ0.8重量部をヘンシェルミキサーで攪拌し、該両粒子の表面に疎水性シリカを付着させた後、粗大粒子を篩で除去し、約9μmの緑トナーを得た。緑トナーの疎水性シリカの固定化率は約22%、ガラス転移点(Tg)は約52℃、また、軟化点(T1/2)は約124℃である。
上記緑トナーを実施例1と同様に評価した結果、印刷初期は良好な画像を得たが、連続印刷を行うと、画像にシアン色、イエロー色の下地汚れが発生し、安定した画像を得ることができなかった。
上記レーザビームプリンタの構成については図1を用いて説明する。
符号1は基本装置本体である。基本装置本体1は装置フレーム2に対し引き出し可能な印写部3を備えている。符号4は、周知の電子写真プロセスによってトナー像が記録形成される感光体ドラムであって、矢印aの方向に一定の速度で回転するように支軸によって支持される。
帯電器5は感光体ドラム4の表面に対向するように配置され、この帯電器5と対向するように通過する感光体ドラム4の表面を均一に帯電する。均一に帯電された感光体ドラム4の表面を露光するレーザ光6は、情報処理装置から供給される印刷情報信号に従って感光体ドラム4の表面に静電荷潜像を形成する。
現像装置7は、静電荷潜像が形成された感光体ドラム4の表面と対向するように配置される。この現像装置7は、上述したトナーを静電荷潜像の静電力で感光体ドラム4の表面に付着させてトナー像を形成する現像機能を有する。
カセット8は、前記トナー像を転写および定着して画像印刷を行うためのシート状の記録媒体(用紙)9を積み重ねた状態で収容する。記録材搬送手段の一部を構成する給紙ローラ機構10は、用紙9をカセット8から取り込んで感光体ドラム4に向けて送り出す。
給紙ローラ機構10から送り出された用紙9は、その表面にトナー像を転写するように感光体ドラム4の表面と接触する。転写器11は、感光体ドラム4の表面に接触した用紙9の背面にトナー像とは反対極性の電荷を与え、感光体ドラム4の表面に形成されているトナー像を用紙9に転写させるための静電力を発生させる。
用紙搬送手段の他の一部を構成する搬送ベルト12は、トナー像が転写された用紙9を定着手段となる接触式加熱定着装置13に送り込む。互いに圧接した熱ローラ14aとバックアップローラ14bとからなる一対の定着ローラ14は、用紙9を加熱および加圧してトナー像を用紙9の表面に定着する。
定着装置13から送り出された用紙9は、用紙搬送路切り替え部材15の位置に応じて、排出部16あるいは排出部17に排出されたり、あるいは、定着装置13から送り出された用紙9を途中まで排出部17側へ搬送し、所定のタイミングで両面印刷用送紙路20側へ用紙9を搬送し、表面印刷が完了した印刷用紙を再び印写部3へ供給して該用紙の裏面に印刷が施されたりする。
なお、図1において、符号18は転写器11通過後の感光体ドラム4表面に残留するトナーや紙粉等の異物を感光体ドラム4表面から除去するための清掃装置、符号19は現像装置7へ必要に応じてトナーを補給するためのトナー補給装置である。なお、図1においては、1本の現像ローラを備えた現像装置を搭載したレーザビームプリンタを例示したが、2本以上の複数本現像ローラを備えた現像装置であってもよいし、また、感光体ドラムと同方向に回転する現像ローラと、感光体ドラムと逆方向に回転する現像ローラとを備えたセンターフィード方式の現像装置を搭載したレーザビームプリンタであってもよい。
本レーザビームプリンタを2台連結し、1台目で基本色となる黒印刷を行い、2台目でプラス1カラーの印刷を行うことにより、高速で安定した2色印刷システムを実現することができる。
画像作製装置の概略構成図。
トナーのDSC吸収熱量曲線によるガラス転移点の測定例を示す説明図。
トナーの定荷重押し出し形細管式レオメータによる軟化点の測定例を示す説明図。
符号の説明
ABは軟化領域、BCは停止領域、CDEは流出領域、Tfbは溶融開始温度、T1/2は軟化点、Tfは流出終了温度。