JP3689701B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセス・静電記録プロセス等、適宜の画像形成プロセスにより記録材上に顕画像を形成する画像形成装置の定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置では、像形成手段により、記録媒体(エレクトロファックスシート・静電記録シート・転写材シート・印刷紙など)面上に直接方式若しくは間接(転写)方式で目的画像に応じた顕画像を形成担持させ、該記録媒体上の顕画像を像加熱手段で加熱及び加圧して、該顕画像を記録媒体に定着させている。
【0003】
該画像形成装置の像加熱手段としては、従来からいわゆる加熱ローラ方式の定着装置が多く用いられている。これは図9のように一対のローラの内部に加熱源を設けると共に、両ローラ間に適当な圧力を加えつつ回転させ、トナーを転写した記録材を上記一対のローラ間を通過させて定着を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
記録材上の画像を定着する際に、定着後の記録材上の画像の光沢を制御する場合は、ローラ間を通過する記録材の搬送速度を変える、もしくは、加熱源の温度を変える方法がよく知られている。
【0005】
しかし、ローラ間を通過する記録材の搬送速度を変える場合、光沢の高い画像を形成するときに搬送速度を遅くするので定着に時間がかかってしまう。また、加熱源の温度を変えて光沢を制御する方法は、次に形成する画像の光沢が前に形成した画像の光沢とは違える場合に加熱源の温度が下がる、もしくは上がるのを待たなければならず、前の記録材の定着を終了してから次の記録材の定着を始めるまでに時間がかかってしまう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、未定着トナー像を担持した記録材を挟持搬送するニップ部にてこの未定着トナー像を熱定着する定着部材と、この定着部材に向けて加圧されニップ部を形成するためのローラと、定着部材を加熱するための加熱源と、ニップ部よりも記録材搬送方向上流側の位置にて記録材と未定着トナー像を非接触で加熱する定着前加熱源と、定着前加熱源と非接触かつ近接して記録材をニップ部に案内するガイド部材と、を有する定着装置において、
作成される画像の条件に基づいてガイド部材と定着前加熱源との距離を変更することにより定着前加熱源から付与される熱量を調整可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、図面に基づき本発明の第1の実施形態について説明する。
【0008】
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真フルカラープリンタである。
【0009】
11は像担持体としての電子写真感光ドラムであり、OPC(有機感光体)・アモルファスSe・アモルファスSi等の感光材料層をアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基体(基盤)上に形成したものであり、矢示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0010】
感光ドラム11はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置12で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
【0011】
次いでその帯電処理面にレーザスキャナ10から出力されるレーザビーム13による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザスキャナ10は不図示の画像読取装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザビーム13を出力しミラー19を介して回転感光ドラム面を走査露光するもので、この走査露光により回転感光ドラム11面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0012】
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置14のうちのイエロー現像器14Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光ドラム11と中間転写ドラム15との接触部(或は近接部)である一次転写部T1において中間転写ドラム15の面に転写される。中間転写ドラム15面に対するトナー画像転写後の回転感光ドラム11面はクリーナ17により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0013】
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の、第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器14Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器14Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器14BKが作動)の各色分解成分画像について順次に実行され、中間転写ドラム15面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成形成される。
【0014】
中間転写ドラム15は、金属ドラム上に中抵抗層と高抵抗の表層を有するもので、感光ドラム11に接触して或は近接して感光ドラム11と略同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、中間転写ドラム15の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光ドラム11との電位差で感光ドラム11側のトナー画像を該中間転写ドラム15面側に転写させる。
【0015】
上記の回転中間転写ドラム15面に合成形成されたカラートナー画像は、該回転中間転写ドラム15と転写ローラ16との接触ニップ部である二次転写部T2において、該二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材Cの面に転写されていく。転写ローラ16は記録材Cの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム15面側から記録材C側へ合成カラートナー画像を順次に転写する。
【0016】
これらの像形成手段Mによりトナー像が形成された記録材Cは中間転写ドラム15の面から分離されて像加熱装置(加熱定着装置)Rへ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理(画像の永久固着処理)を受けてフルカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。なお、本例装置ではフルカラー画像だけでなく、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。
【0017】
次に定着装置Rについて説明する。
【0018】
図2は上記定着装置Rの横断面模型図、図3は該装置の加熱ローラR3の模型説明図、図4は図2の定着装置における、定着フィルムの断面模型図である。
【0019】
R1は定着ローラ、R2は加圧ローラ、R3は加熱ローラ、Bは定着フィルム、H1,H2は発熱体を有する加熱源、S1,S2は温度制御手段としてのサーミスタ、Gは記録材支持体としてのガイド部材、Pは定着ニップよりも記録材の搬送方向に関し上流側に位置し、トナーが転写された記録材を非接触で加熱する加熱通路を示す。
【0020】
定着ローラR1は、直径34mmのアルミニウム芯金1上に厚さ3mmのシリコーンゴムによる耐熱弾性被覆層2を設けて構成され、加圧ローラR2は直径40mmのアルミニウム芯金3上に50μmのシリコーンゴムによる耐熱弾性被覆層4を設けて構成されるものであり、耐熱弾性被覆層2の表面硬度は耐熱弾性被覆層4の硬度と同等あるいはそれより軟らかく設定してある。
【0021】
加熱ローラR3は直径40mmのアルミニウム芯金5に30μmのテフロン(R)被覆層6を有し、定着フィルムBの寄り止め対策用に軸方向の両端部において定着フィルムBの厚さより大きな段差部7を有する段付きローラとして構成される。(図3参照)。
【0022】
無端ベルト部材である定着フィルムBは、厚さ40μmの電鋳による金属ニッケルの無端状フィルム主体B1の外周面に100μmのシリコーンゴムによる離型層B2を設けて構成されたもの、または厚さ55μmのポリイミド樹脂の無端状フィルム主体B1の外周面に200μmのシリコーンゴムによる離型層B2を設けて構成されたものである。さらに耐久性及び離型性を向上するために、離型層B2はシリコーンゴムの外周面に4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン樹脂(FEP)、等のフッ素系樹脂をコーティングすることが好ましい。また、定着装置の熱効率を上げるために定着フィルムBは例えばセラミック等の遠赤外線物質を含有するようにしても良い。
【0023】
加熱ローラR3の内部には定着前加熱源としての主加熱源H1が設けられ、加圧ローラR2の内部には補助加熱源H2が設けられ、また定着ローラR1の内部にも必要に応じて補助加熱源を設けることができる。加熱ローラR3の外側において、主加熱源H1の温度を制御するためサーミスタS1が定着フィルムBに接して設けられ、加圧ローラR2に接してサーミスタS2が設けられる。
【0024】
記録材支持体としての金属材から成るガイド板Gは、図2のように、加熱ローラR3付近からニップ部Nの近くまで定着フィルムBの下方位置において定着フィルムBとの間隔を0.5〜10mmの範囲内とし定着フィルムBと略平行状態に設置され、定着フィルムBとの間において加熱ローラR3付近からニップ部Nの手前にかけて略直線上にトナーC1及び記録材Cを予熱する加熱通路Pを形成する。該ガイド板Gは、非通紙時に定着フィルムBからの輻射熱を受けて昇温し、通紙時に該熱を記録材Cに付与することで予熱に寄与する。ここで、本実施例では、定着フィルムBに沿って搬送される記録材Cと該フィルムBとの間隔を制御するように構成したものである。つまり、ガイド板Gを下降又は上昇可能としたものである。
【0025】
このようにすることにより、加熱通路Pにおいて記録材C及びトナーC1の受ける熱量が調整される。例えば、ガイド板Gを上昇させた状態とすれば、加熱源H1−ガイド板G間の距離が短くなり記録材の受ける熱量が増して光沢の高い画像が得られる。また、ガイド板Gを下降させた状態とすれば、加熱源H1−ガイド板G間の距離が長くなり、記録材の受ける熱量が減少して光沢を抑えた画像が得られる。
【0026】
図2において、Eは昇降装置であり、ガイド板Gを昇降させることによりガイド板G上を搬送される記録材Cと定着フィルムBとの間隔を制御している。
特に、カプセルトナーを用いる場合、加熱源H1−ガイド板G間の距離によってワックスのしみ出しやすさが変化するため、より光沢の制御を行いやすくなる。カプセルトナーについては後述する。
【0027】
加圧ローラR2は、不図示の加圧手段により定着フィルムBを挟んで定着ローラR1に向けて加圧されてニップ部Nを形成しており、該ニップ部Nにおける圧接圧(定着圧)が66kgf.に設定されている。
【0028】
定着フィルムBは摩擦帯電する。したがって、帯電極性の正極性のトナーを定着する場合は定着フィルムBの表面をシリコンゴムとし、帯電極性が負極性のトナーを定着する場合は定着フィルムBの表面をフッ素系樹脂とすることが好ましい。このようにトナーの帯電極性に応じて定着フィルム表面の材質を選択することにより、摩擦帯電した定着フィルムBとトナーを静電的に反発させて加熱通路Pで記録材上の未定着トナーが定着フィルムBに付着することを防止することができる。
【0029】
運転時において、定着フィルムBは像形成手段M側から導入される記録材Cの搬送速度と同じ133mm/sの線速で加熱ローラR3からニップ部Nにかけて直線的に移動する。
【0030】
これらの構成において好適な加熱処理が行なえるように、本形態例では加熱ローラR3の温度150〜170℃、加熱空間Pにおける定着フィルムBの温度145〜165℃、ニップ部Nにおける加圧ローラR2の温度が108〜123℃となるようにサーミスターS1からの信号に基づいて主加熱源H1の発熱量を制御している。
【0031】
而して、記録材Cが搬送手段Tにより加熱通路Pに送り込まれると、該記録材Cはガイド板Gと接し、該ガイド板Gにガイドされて定着フィルムBと非接触かつ近接した状態で該フィルムBに沿って搬送され、該搬送過程において記録材C及び未定着トナーC1は、同速度で移動する定着フィルムBからの輻射熱と、非通紙時に蓄熱したガイド板Gからの熱とによって予熱されたのち、ニップ部Nに導入されて所定の定着圧で定着フィルムBと密着し、直接該フィルムBからの熱が付与され加熱処理される。
【0032】
このように本例装置は、加熱通路Pを設けて記録材C及びトナーC1を予熱しているので、ニップ部Nにおいて記録材C及びトナーC1に与える熱量を少なくでき、ニップ部Nの温度を低くすることができる。
【0033】
特に、トナーC1と接する定着フィルムBは熱容量を小さく適切に設定されているため、加熱ローラR3通過時に加熱された定着フィルムBは、その熱を加熱通路P及びニップ部Nを通過中にトナーC1と記録材Cに与えることで冷える。このため、ニップ部N出口での定着フィルムBの温度が従来の加熱ローラ方式の装置の熱ローラと比べて大幅に低くなり、定着フィルムBはトナーC1との分離性が良くなっている。更に、本例装置のトナーC1は、重合方法により生成され、ワックスを内包するトナー(以後重合トナーという)であり、加熱通路Pで予熱されると、ワックスが浸み出やすくなるので、定着フィルムBとの分離性が良くなっている。
【0034】
なお、定着ローラR1の表面硬度を加圧ローラR2の表面硬度と同等あるいはそれより軟らかく設定してあるので、ニップ部Nにおいては加圧ローラR2の一部が定着フィルムBと共に定着ローラR1に食い込むようになり、従ってニップ部Nから出る紙等の記録材Cの先端の向きが加圧ローラR2側の下向きとなるので、定着フィルムB側の分離爪が不要となる(図5参照)。
【0035】
また、寒冷地等において、始動直後に加圧ローラR2が冷えすぎていると定着性能に支障をきたす場合があるので、その場合には上述の所定温度となるようにサーミスタS2の検出温度に基づき補助加熱源H2で加熱する。勿論、トナーを定着する際に主加熱源H1とともに補助加熱源H2で加熱しても良い。
【0036】
定着フィルムBの片寄りについては、図3に示すように加熱ローラR3の両端部に段差部7を設けて、その段差hを定着フィルムBの厚さと同等以上に設定し、該定着フィルムBの剛性を利用して該段差部7で修正する。
【0037】
本形態例に使用されるトナーは球形であり、球形の度合いは、以下のように定義される形状係数SF−1、SF−2で表わすと、SF−12は100以上140以下、SF−2は100以上130以下であることが好ましい。SF−2に関しては100以上120以下であることがより好ましい。
【0038】
本発明の形状係数SF−1,SF−2は、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、1000倍に拡大した2μm以上の非磁性トナー粒子像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して、例えばニコレ社製画像解析装置(Luzex III)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値であると定義する。
【外1】
【0039】
(式中、MXLNGは粒子の絶対最大長、PERIは粒子の周囲長、AREAは粒子の投影面積を示す。図6参照)
形状係数SF−1はトナーの丸さの度合を示し、形状係数SF−2はトナーの凹凸の度合を示している。
【0040】
本発明では、このようなトナーを加熱通路Pで予熱することによりトナーの形状を変化させてトナーの流動性を低下させ、記録材の突入ショックによる画像乱れを防止している。
【0041】
また、本形態例のトナーC1は図7に示すような、シェル103の内側にバインダー樹脂102及びワックス101を内包するカプセルトナー(コアーシェル構造のトナー)であることが好ましい。
【0042】
このようなワックス内包型のトナーを加熱通路Pで予熱することによりワックスをしみ出しやすくすることができ、ニップでの加熱量を抑えることができる。
【0043】
このようなカプセル構造のトナーとして好ましいのはシェル103のガラス転移温度がワックス101の融点及びバインダー樹脂102のガラス転移温度よりも高いトナーであり、ワックスの融点は少なくとも加熱通路Pでの記録材の表面温度よりも低いことが好ましい。
【0044】
次に、本形態例で使用するトナーについて詳細に説明する。
【0045】
まず、本形態例のトナーに使用される離型材であるワックスについて説明する。本例に用いられるワックスとしては、良好な定着性、耐オフセット性(離型性)を発現させるため、バインダー樹脂(結着樹脂)と適度な親和性を有し、疎水性が高く、さらに低融点を有する低結晶性のものが好ましい。さらにワックスの分子量分布がピーク及び/またはショルダーを少なくとも2つ以上有し、重量平均分子量(Mw)が400以上4000以下、数平均分量(Mn)が200以上4000以下である事が好ましい。上述の分子量分布は単一のものでも複数のものでも達成しても良く、結果として結晶性が阻害でき、透明性が一層向上する事を見出した。2種以上のワックスをブレンドする方法としては特に制約を受けるものではないが、例えばブレンドするワックスの融点以上においてメディア式分散機(ボールミル,サンドミル,アトライター,アペックスミル,フボールミル,ハンディミル)等を用いて溶融ブレンドする事やブレンドするワックスを重合性単量体中へ溶融させ、メディア式分散機等にてブレンドする事も可能である。この時添加物として、顔料,荷電制御剤,重合開始剤等を使用しても構わない。
【0046】
本例においてワックスの分子量分布はGPCにより次の条件で測定される。
【0047】
(GPC測定条件)装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温 度:135℃
溶 媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流 速:1.0ml/min
試 料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算する事によって算出される。
【0048】
ワックスの重量平均分子量(Mw)は400以上4000以下、数平均分子量(Mn)は200以上4000以下である事が好ましく、より好ましくはMwが450以上3500以下、さらに好ましくは500以上3000以下、Mnは200以上3500以下、さらに好ましくは250以上3000以下である事が望まれる。Mwが400未満,Mnが200未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が悪化する。また、Mwが4000,Mnが4000を越える場合には、ワックス自体の結晶性が発現し、透明性が悪化する。
【0049】
ワックスは、トナーのバインダー樹脂100重量部に対して1〜40重量部(好ましくは2〜30重量部)配合するのが良い。
【0050】
バインダー樹脂、着色剤及びワックスを有する混合物を溶融混練後、冷却し粉砕後分級してトナー粒子を得る乾式トナー製法におけるワックスの添加量は、バインダー樹脂100重量部に対し1〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部使用するのが好ましい。
【0051】
重合性単量体と着色剤及びワックスを有する混合物を重合せしめる事により、直接的にトナー粒子を得る重合法トナー製法におけるワックスの添加量は、重合性単量体100重量部に対し2〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部使用するのが好ましい。
【0052】
乾式トナー製法に比べ重合性トナー製法においては、通常バインダー樹脂よりワックスの極性が低いため水系媒体中での重合方法ではトナー粒子内部に多量のワックスを内包化させ易い。このため、乾式トナー製法と比較し、一般に重合性トナー製法は多量のワックスをトナーに含有させる事が可能となり定着時のオフセット防止効果には、特に有効となる。
【0053】
添加量が下限より少ないとオフセット防止効果が低下しやすく、上限を越える場合、耐ブロッキング効果が低下し耐オフセット効果にも悪影響を与え易く、ドラム融着、スリーブ融着を起こし易く、さらに重合性トナーの場合には粒度分布の広いトナーが生成する傾向にある。
【0054】
定着器の低熱容量で十分なOHP画像を得るためには、トナー中に含有せしめるワックスの結晶性を低下せしめる事が好ましい。また、定着後でも溶解しなかった一部未溶解のトナー粒の界面が存在したり、定着後ワックスにより形成されたトナー層表面の離型剤層と離型剤層下のトナー層との屈折率差が大きいと、これも光の乱反射の原因となる。
【0055】
光の乱反射の増加は、投影像の明度低下や色の鮮鋭度の低下につながる。特に、透過型オーバーヘッドプロジェクターを用いた場合は、反射型オーバーヘッドプロジェクターを用いる場合よりも明度や鮮鋭度の低下が顕著となる。
【0056】
即ち、ワックスの結晶性を低下させるためには、ワックス単独の結晶化度を低くする事が肝要である。更に、トナー定着層中に未溶融のトナー粒の界面を存在させないためには、バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は低いことが好ましい。また、低エネルギー量で迅速に溶解せしめるため、ワックスの潜熱である溶融エンタルピー(ΔH)が小さい材料が特に好ましい。また、溶融したワックスをバインダー樹脂層と定着フィルム間に迅速に移行させ離型層を形成させるため、バインダー樹脂とワックス間の溶解度パラメーター(SP)差を適度に調整する事が好ましい。
【0057】
このような観点から本形態例に好ましい具体例を以下に詳細に述べる。
【0058】
通常トナーのバインダー樹脂としてポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、またはスチレン−ブタジエン系樹脂が多く用いられているため、本例に用いられるワックスは、これらの樹脂と屈折率が近いものが好ましい。以下に述べる屈折率差は、縦(20〜30)×横(8)×厚み(3〜10)の大きさの固体試料を作成し、次にプリズム面との密着性を良好にするために、ブロムナフタレンをプリズム面に少量つけ、その上に固体資料を乗せて測定したものである。また、測定機器としては、例えばアタゴ社製のアッペ屈折計2Tを用いる。
【0059】
バインダー樹脂とワックスの屈折率差は、温度25℃にて0.18以下、より好ましくは0.10以下が特に有効である。屈折率差が0.18を越える場合にはOHP画像の透明性を低下させ易く、特にハーフトーン投影像は、明度が低くなる。
【0060】
本例に用いられるワックスの融点は、30〜150℃である事が好ましく、より好ましくは50〜120℃が特に好ましい。融点が30℃より低い場合はトナーの耐ブロッキング性、多数枚の複写時でのスリーブ汚染抑制・感光体の汚染防止性が低下し易い。融点が150℃を越える場合、粉砕法によるトナーの製造においてはバインダー樹脂との均一混合に過大のエネルギーが必要になる。他方、重合法によるトナーの製造においては融点が100℃よりも小さいことが好ましい。ワックスの融点が100℃よりも大きいとバインダー樹脂を重合する際に粘度が大きくなる為に装置の大型化或いは、相溶する量に限界があり、多量にワックスをトナーに含有させる事が難しくなる。
【0061】
以下の溶解度パラメーター(SP)値は、原子団の加成性を利用したFedorsの方法〔Polym.Eng.Sci.,14(2)147(1974)〕を用いて算出したものである。
【0062】
本例に使用されるワックスのPS値は、7.5〜9.7の範囲である事が好ましい。SP値が7.5未満の値を示すワックスは、用いるバインダー樹脂との相溶性が乏しく、結果的にバインダー樹脂中への良好な分散が得られにくく、多数毎複写時においてワックスの現像スリーブへの付着が生じ易く、トナーの帯電量が変化し易くなる。更に地カブリ・トナー補給時の濃度変動時等も起こし易い。SP値が9.7を越えるワックスを用いる場合には、トナーを長期保存した再トナー同士のブロッキングが発生し易い。更にバインダー樹脂との相溶性が良すぎるため定着時にトナー層表面間に十分な離型層が形成しにくく、オフセット現象を起こし易い。
【0063】
本例に使用されるワックスの溶融粘度の測定方法としては、HAAKE社製VT−500にてコーンプレート型ローター(PK−1)を用いて測定する方法が挙げられる。100℃に於ける溶融粘度は1〜50mPas.secである事が好ましく、更に好ましくは3〜30mPas.secを有するワックス化合物が特に好ましい。1mPas.secより低い溶融粘度を有する場合は、非磁性一成分現像方式でブレード等によりスリーブにトナー層を薄層コーティングする際、機械的なズリ力によりスリーブ汚染を招き易い。また、二成分現像方法に於いてもキャリヤーを用いトナーを現像する際に於いてトナーとキャリヤー間のズリ力によりダメージを生じ易く、外添剤の埋没・トナー破砕等が生じ易い。50mPas.secを越える溶融粘度を有する場合には、重合方法を用いてトナーを製造する際、分散質の粘度が高すぎ、均一な粒径を有する微小粒径のトナーを得る事が容易でなく、粒度分布の広いトナーとなりやすい。
【0064】
ワックスの硬度測定としては、例えば島津ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を用いる測定法が挙げられる。測定条件は、ビッカース圧子を用い0.5g荷重下で9.67mg/秒の負荷速度にて10μm変位させた後、15秒保持させサンプル上に付いた打痕を解析する事によりビッカース硬度を求める。サンプルは直径20mmφの金型を用い予め溶融したサンプルを5mm厚の円柱状に成型して用いる。本例に用いられるワックスの硬度は0.3〜5.0範囲が好ましく、更に好ましいビッカース硬度は0.5〜3.0が特に有効である。
【0065】
ビッカース硬度0.3より低いワックスを含有したトナーは、多数毎複写に於いて複写機のクリーニング部位で破砕され易く、ドラム表面上にトナー融着を起こし易く結果的に画像上に黒筋が発生し易い。また、画像サンプルを多重枚重ねて保存した際、裏面にトナーが転写し所謂裏写りが発生し易い。ビッカース硬度が5.0を越えるワックスを含有したトナーは、加熱定着時に用いる定着器に必要以上の加圧力を必要とし、定着器に必要以上の強度設計が必要となる。通常加圧力の定着器を用いたなら耐オフセット性が低下しやすい。
【0066】
ワックスの結晶化度は10〜50%、より好ましくは20〜35%である事が好ましい。
【0067】
結晶化度が10%未満の場合には、トナー保存性、流動性が低下し易く、50%を越える場合には、OHP画像の透明性が低下し易い。
【0068】
本例に於ける結晶化度は、検量線は使用せず、非晶散乱ピークと結晶散乱ピークの面積比から以下の計算式にて測定する。
【外2】
【0069】
測定装置としては、例えば理学電機社製のローターフレックスRU300(Cuターゲット、ポイントフォーカス、出力50KV/250mA)が挙げられる。測定法は透過法−回転法を用い、測定角度は2θ=5〜35°とする。
【0070】
本例に好ましく用いられるエステルワックスの製造方法としては、例えば、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応等が用いられる。本例に用いられるエステルワックスの特に好ましい製造方法は、原料の多様性、反応の容易さからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法または酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応が特に好ましい。
【外3】
【0071】
上記のエステル平衡反応を生成系に移行させるため、大過剰のアルコールを用いるか、水との共沸が可能な芳香族有機溶剤中にてDean−Stark水分離器を用い反応を行う。また酸ハロゲン化合物を用い芳香族有機溶剤中にて副生する酸の受容物として塩基を添加しポリエステルを合成する方法も利用できる。
【0072】
次に、本形態例のトナーに使用されるバインダー樹脂について説明する。
【0073】
加熱通路Pでトナーの形状が変化するために、本例のトナーに用いられるバインダー樹脂としては、加熱通路Pを通過中に溶融粘度が1×106cp以下になるバインダー樹脂が好ましい。
【0074】
本例のバインダー樹脂としては下記のバインダー樹脂が使用可能である。
【0075】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。好ましいバインダー物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0076】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリニトリル、アクリルアミドなどのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マイレン酸、マイレン酸ブチル、マイレン酸メチル、マイレン酸ジメチル等のような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;例えば塩化ビニル、酸化ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0077】
本例のバインダー樹脂のTHF可溶分の数平均分子量は3,000〜1,000,000が好ましい。
【0078】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていても良く、またそれらの混合樹脂でも良い。
【0079】
バインダー樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いても良い。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタジオールジメタクリレートなどのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物、が単独もしくは混合物として用いられる。添加量としては、重合性単量体100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましい。
【0080】
本例のトナーは、荷電制御剤を含有しても良い。
【0081】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0082】
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及び金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0083】
また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。
【0084】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0085】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムトテラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
【0086】
これらの荷電制御剤は、樹脂成分100重量部に対して0.01〜20重量部(より好ましくは0.5〜10重量部)使用するのが良い。
【0087】
本例に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが用いられる。
【0088】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
【0089】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン,キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0090】
本例に用いられるシアン着色剤としては、同フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が好適に利用できる。これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本例の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100重量部に対し1〜20重量部添加して用いられる。
【0091】
さらに本例のトナーは更に磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。本例において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及び混合物等が挙げられる。
【0092】
本例に用いられる磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が望まれ、重合法トナーに用いる場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものであれば、どんなものでも良く、このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤などを挙げることができる。
【0093】
これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部が良い。
【0094】
また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)20〜30エルステッド、飽和磁化(σs)50〜200emu/g、残留磁化(σr)2〜20emu/gのものが好ましい。
【0095】
各種トナー特性付与を目的とした添加剤としては、トナー中に、或いはトナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の体積平均径の1/5以下の粒径である事が好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
【0096】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)カーボンブラック、フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0097】
研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)が挙げられる。
【0098】
滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
【0099】
荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)・カーボンブラックなどが挙げられる。
【0100】
これら添加剤は、トナー粒子100重量部に対し0.1〜10重量部が用いられ、好ましくは0.1〜5重量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0101】
本例のトナーは、通常一成分系及び二成分系現像剤として、いずれの現像剤にも使用できる。
【0102】
例えば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有せしめた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、磁性トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード及びファーブラシを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せしめる事で搬送せしめる方法がある。
【0103】
一方、一般的に利用されている二成分系現像剤として用いる場合には、本例のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。本例に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる単独及び複合フェライト状態で構成される。飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点からキャリア形状も重要であり、例えば球状、偏平、不定形などを選択し、更にキャリア表面状態の微細構造、例えば表面凸凹性をもコントロールする事が好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめ、キャリアコア粒子を生成した後、樹脂にコーティングする方法が用いられているが、キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらには、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せしめ真球状分散キャリアを得る重合キャリアを得る方法なども利用する事が可能である。
【0104】
上記キャリアの表面を樹脂等で被覆する系は、特に好ましい。その方法としては、樹脂等の被覆剤を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0105】
キャリア表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などを単独或いは複数で用いるのが適当であるが、必ずしもこれに制約されない。
【0106】
上記化合物の処理量は、一般には総量で本例のキャリアに対し0.1〜30重量%(好ましくは0.5〜20重量%)が好ましい。
【0107】
これらキャリアの平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmを有する事が好ましい。
【0108】
特に好ましい態様としては、フェライトであり、その表面をフッ素系樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の組み合わせ、例えばポリフッ化ブニリデンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂;ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂、フッ素系共重合体とスチレン系共重合体;などを90:10〜20:80、好ましくは70:30〜30:70比率の混合物としたもの或いはシリコーン樹脂等で、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%コーティングしたコートフェライトキャリアであるものが挙げられる。該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルエキシル(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルエキシル−メタクリル酸メチル(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0109】
上記コートフェライトキャリアは粒径分布がシャープであり、本例のトナーに対し好ましい摩擦帯電性が得られ、更に電子写真特性を向上させる効果がある。
【0110】
本例に於けるトナーと混合して二成分現像剤を調整する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2重量%〜15重量%、好ましくは4重量%〜13重量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%以下では画像濃度が低く実用不可となり、15%以上ではカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を縮める。
【0111】
更に該キャリアの磁性特性は以下のものが良い。飽和磁化は20〜90Am2/kgである事が必要である。更に高画質化を達成するために、好ましくは30乃至70Am2/kgである事が良い。90Am2/kgより大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。20Am2/kg未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0112】
本例に於ける粉砕法トナーの製造法はバインダー樹脂、本例の上記エステルワックス、着色剤としての顔料、または染料、磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ、冷却固化後粉砕、球形化、シェルの生成、及び分級を行って本例に係わるところのトナーを得る事ができる。
【0113】
更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、本例に係わる静電荷像現像用トナーを得る事ができる。
【0114】
また、本例で用いられる重合トナーの製造法は、特公昭56−13945号公報等に記載のディスクまたは多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36−10231号公報,特開昭59−53856号公報,特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合法または水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法や、予め1次極性乳化重合粒子を作った後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法等を用いトナーを製造する事が可能である。
【0115】
しかしながら、分散重合法に於いては、得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭い事や有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点からの製造装置が複雑で煩雑化しやすい。ソープフリー重合に代表される乳化重合法は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効であるが、使用した乳化剤や開始剤末端がトナー粒子表面に存在したときに環境特性が低下する。
【0116】
本例に於いては比較的容易に粒度分布がシャープな微粒子トナーが得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合法が特に好ましい。一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も本例に好適に利用することができる。
【0117】
本例に用いられるより好ましいトナーは、直接重合法を用いて製造されたものである。エステルワックスが、シェルである外殻樹脂層に内包されている。定着性の観点から多量のエステルワックスをトナーに含有せしめることが好ましく、エステルワックスを外殻樹脂で内包化せしめたトナーが特に好ましい。
【0118】
エステルワックスを内包化せしめる具体的な方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体よりエステルワックスの方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂または単量体を添加せしめる事でエステルワックスを外殻樹脂で被覆した、所謂コアーシェル構造を有する、トナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、離水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件例えばローターの周速・パス回数・攪拌羽根形状等の攪拌条件や容器形状または、水溶液中での固形分濃度等を制御する事により所定の本例のトナーを得る事ができる。
【0119】
本例に於いてトナーの断層面は、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用い測定した。本例に於いては、用いるエステルワックスと外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ルテニウム染色法を用いる事が好ましい。
【0120】
本例のトナー製造方法に直接重合法を用いる場合に於いては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造する事が可能である。単量体中にエステルワックス,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように攪拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、または、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法に於いては、通常単量体系100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0121】
また、重合法を用い直接トナーを得るときには、重合性単量体としては、スチレン,o(m−,p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。
【0122】
本例に於いて、コアーシェル構造を形成せしめるためには、極性樹脂を併用する事が必須であり、本例に使用できる極性重合体、共重合体を以下に例示する。
【0123】
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなど含窒素単量体の重合体もしくはスチレン−不飽和カルボン酸エステル等との共重合体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体もしくはスチレン系単量体等との共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂等が挙げられる。より好ましいものとして、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が挙げられる。
【0124】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロエキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキイカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等の過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素などが使用される。
【0125】
重合開始剤は重合性単量体の0.5〜20重量部の添加量が好ましく、単独でまたは、併用しても良い。
【0126】
また、本例では分子量をコントロールするために、公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良く、好ましい添加量としては0.001〜15重量部である。
【0127】
本例に於いて、乳化重合、分散重合、懸濁重合、シード重合、ヘテロ凝集法を用いる重合法等によって、重合法トナーを製造する際に用いられる分散媒には、いずれか適当な安定剤を使用する。例えば、無機化合物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−eu−メタクリル酸)共重合体やノニオン系或いはイオン系界面活性剤等が使用される。
【0128】
また、乳化重合法及びヘテロ凝集法を用いる場合には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が使用される。これらの安定剤は重合性単量体100重量部に対して0.2〜30重量部を使用する事が好ましい。
【0129】
これら安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成させても良い。
【0130】
また、これら安定化剤の微細な分散のために、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を使用しても良い。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進するためのものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0131】
また、本例に於いて重合法トナーに用いられる着色剤としては、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、前記着色剤を好ましくは表面改質、例えば重合阻害のない疎水化処理を施した方が良い。特に染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、これら染料の存在下に重合性単量体を予め重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する。また、カーボンブラックに付いては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を行っても良い。
【0132】
以上のように本形態例によれば、加熱源H1−ガイド板G間の距離を制御することにより光沢を制御することができ、定着速度や加熱源の発熱量を変えずに光沢の制御を行うことができるものである。また、ワックスを内包しているトナーを用いることで、離型剤を定着部材に塗布する塗布手段を設ける必要がなくなるという利点がある。
【0133】
なお、このような光沢制御は、操作者の指示、もしくは、不図示の原稿の光沢を検知する光沢検知手段の検知結果に基づいて行っても良い。または、記録材の厚みや材質、もしくは記録材の表面状態に基づいて、行っても良い。この場合、例えば記録材の厚みが厚いと薄い記録材に定着するときよりもガイド板Gを上昇させる。または、形成する画像が線画像であるが非線画像であるか、または単色であるか複数色であるか、に基づいて行っても良い。この場合、例えば非線画像は線画像に比べて、複数色は単色に比べてガイド板Gは上昇している。
【0134】
また、ガイド板Gの昇降を一枚の記録材が加熱通路を通過する間に行っても良い。たとえば、記録材先端が加熱通路Pを通過する際はガイド板を下降させる。そして、記録材が加熱通路Pを通過中に徐々にガイド板を上げることによって、記録材の後端の光沢と記録材先端の光沢が同一になるようにし、一枚の記録材の光沢が均一になるようにしてもよい。
【0135】
なお、本形態例では、これまで、ガイド板Gの昇降により加熱源H1−ガイド板G間の距離を制御することについて説明したが、図8のように加熱源が直接定着フィルムを加熱する場合、不図示の制御手段、例えばソレノイド、でコア22及びコイル23を回転体である定着フィルムFから離間させたり定着フィルムFに近づけたりしてもよい。つまり、加熱源−定着フィルム間の距離を制御して定着フィルムに与える熱量を制御し光沢の制御を行ってもよい。
【0136】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明はこれらの実施形態例にとらわれるものではなく、技術思想内でのあらゆる変形が可能である。
【0137】
本発明の画像形成装置における具体例について、以下に説明する。
【0138】
〔具体例1〕
本例は、定着フィルムBとして(Ni電鋳フィルム40μm+シリコーンゴム200μm)のものを装着し、トナーとして以下の手法により得たものを備えた装置であり、その他の構成は図1の装置と同じである。
【0139】
本例のトナーは、イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特種機化工業製)を用いて、13000rpmにて攪拌した。これに1.0M−CaC12水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。一方、
スチレン 166g
n−ブチルアクリレーサ 34g
同フヌロラアニン顔料 15g
ジターシャリーブチルサリチル酸金属化合物 3g
飽和ポリエステル(酸価11、ピーク分子量8500)
モノエステルワックス1 40g
(Mw500、Mn400、粘度6.5mPas、SP値8−6)
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特種機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調整した。前記、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで20分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。
【0140】
重合反応終了後、冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、濾過,水洗,乾燥をして、重合粒子を得た。
【0141】
得られた粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が100cm2/gである疎水性酸化チタン2.0質量部を外添し、平均粒径6.2μmのトナーを得た。
【0142】
このトナー7質量部に対し、シリコーンコートされた35μmのクロナイトキャリア93質量部を混合し使用した。
【0143】
装置の各部の設定温度を多段階に変更して普通紙に対するトナー画像の定着を行った。そして、定着性能の評価をした結果を表1に示した。なお、つぎの条件は一定とした。
【0144】
定着フィルムBの線速 :133mm/s
加圧ローラR2の加圧力 :66kg
定着フィルムBとガイド板Gの間隔:3mm
【0145】
【表1】
【0146】
定着性・オフセット発生の評価:○=良好、△=許容範囲、×=不良
備考:ガイド板温度100℃(加熱ローラ170℃の時)〜130℃(加熱ローラ170℃の時)
〔具体例2〕
定着フィルムBとして(ポリイミド55μm+シリコーンゴム200μm)のものを装着した定着装置Rを用いたほかは実施例1と同様な条件で、普通紙に対するトナー画像の定着を行い、定着性能の評価をした結果を表2に示した。
【0147】
【表2】
【0148】
定着性・オフセット発生の評価:○=良好、△=許容範囲、×=不良
備考:ガイド板温度100℃(加熱ローラ170℃の時)〜130℃(加熱ローラ170℃の時)
〔具体例3〕
パラフィンワックス(Mw470,Mn380,粘度6.8mPas,SP値8−3)を用いて現像剤(トナーC1)を作成する以外は実施例1と同様にして評価を行った。表1と同様良好な結果を得られた。
【0149】
〔具体例4〕
ジエステルワックス(Mw470,Mn410,粘度10.5mPas,SP値9−1)を用いてトナーC1を作成する以外は実施例1と同様にして評価を行ったところ、良好な結果が得られた。
【0150】
〔具体例5〕
テトラエステルワックス(Mw430,Mn380,及びMw850にショルダー有り、粘度11.6mPas,SP値8−5)を用いてトナーC1を作成する以外は実施例1と同様にして評価を行ったところ、良好な結果が得られた。
【0151】
〔具体例6〕
銅フヌロラアニン顔料の代わりにキナクリドン顔料,C.I.ピグメントイエロー180,カーボンブラックを用いてマゼンタ,イエロー,ブラック現像剤を作成する以外は実施例1と同様にして画出しを行ったところ、淡い色の色再現性にも優れ、良好な結果が得られた。
【0152】
〔具体例7〕
シランカップリング剤処理磁性酸化鉄200g(平均粒径0.25μm)を使用し、疎水性ラリカを用して磁性トナーC1を作成する以外は実施例1と同様にして画出しを行ったところ良好な結果が得られた。
【0153】
上記の具体例1〜7をそれぞれ、図2の装置に適用し、加熱通路Pの間隔を可変としたところ、何れの装置でも画像の光沢制御を行うことができた。
【0154】
これらの装置において、ガイド板Gを下降させた状態、即ち積極的に予熱しない場合、積極的に予熱した場合と比べ、60度法で10以上光沢が低下した。
【0155】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、加熱源H1−ガイド板G間の距離を制御することにより形成する画像の光沢を制御でき、定着速度や加熱源の発熱量を変えずに光沢の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の縦断面模型図
【図2】第1の実施形態の定着装置の縦断面模型図
【図3】図2の定着装置における加熱ローラの正面模型図
【図4】図2の定着装置における定着フィルムの断面模型図
【図5】図2の定着装置の要部断面図
【図6】形状係数SF−1及びSF−2の説明図
【図7】ワックスを内包するトナーの構成を示す断面図
【図8】第1の実施形態の他の定着装置例の縦断面模型図
【図9】従来の定着装置の縦断面模型図
【符号の説明】
M 像形成手段
R 像加熱手段(定着装置)
R1 定着ローラ
R2 加圧ローラ
R3 加熱ローラ
B 定着フィルム
B1 フィルム主体
B2 離型層
G ガイド板
P 加熱通路
Claims (5)
- 未定着トナー像を担持した記録材を挟持搬送するニップ部にてこの未定着トナー像を熱定着する定着部材と、この定着部材に向けて加圧されニップ部を形成するためのローラと、定着部材を加熱するための加熱源と、ニップ部よりも記録材搬送方向上流側の位置にて記録材と未定着トナー像を非接触で加熱する定着前加熱源と、定着前加熱源と非接触かつ近接して記録材をニップ部に案内するガイド部材と、を有する定着装置において、
作成される画像の条件に基づいてガイド部材と定着前加熱源との距離を変更することにより定着前加熱源から付与される熱量を調整可能に構成したことを特徴とする定着装置。 - 前記定着部材はエンドレスベルトを有し、前記定着前加熱源は前記エンドレスベルトを懸架するローラ内に設けられていることを特徴とする請求項1の定着装置。
- 作像される画像が単色画像であるか多色画像であるかに応じてガイド部材と定着前加熱手段との距離を変更することを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
- 作像される画像が線画像であるか非線画像であるかに応じて前記ガイド部材と前記定着前加熱手段との距離を変更することを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
- 原稿の光沢に応じて前記ガイド部材と前記定着前加熱手段との距離を変更することを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
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